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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】外側の筋を有する超音波生成源
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230523BHJP
   A61B 17/225 20060101ALI20230523BHJP
   A61B 8/14 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B17/225
A61B8/14
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019018093
(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2019162414
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】1851140
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511004944
【氏名又は名称】エダップ テエムエス フランス
【氏名又は名称原語表記】EDAP TMS FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンスノ,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ナレ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ヌリー,ダヴィド
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508851(JP,A)
【文献】特表2013-512016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257144(US,A1)
【文献】特開2000-342597(JP,A)
【文献】特開2002-048277(JP,A)
【文献】米国特許第04630607(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61F 2/01
A61N 7/00-7/02
A61B 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方において放射面(4)を有する超音波変換器(3)を含むボディ(2)を備えた超音波生成源であって、前記ボディ(2)は、筒状壁(6)によって規定された開口(5)であって、該開口(5)に向かって前記超音波変換器(3)の前記放射面(4)が面するように設けられた開口(5)を含み、前記筒状壁(6)の外面には、螺子組み合わせシステムの少なくとも1つの筋(17)であって、前記ボディに可撓膜(8)を固定する固定リング(15)、保護カバー(30)、または、位置合わせシステム(36)が取り付けられたリング(35)、のいずれかにおける少なくとも1つの相補的な筋(16)と協働する少なくとも1つの筋(17)が設けられ、
前記固定リング(15)には、前記固定リング(15)における螺子留めの際に回転させられるのが防止されるよう前記固定リング(15)に対して自由に回転するように取り付けられたワッシャ(21)が設けられ、前記ワッシャは、前記固定リング(15)が前記ボディ(2)に螺子留めされたとき、前記可撓膜(8)に押圧力を及ぼし、
前記超音波生成源は、前記固定リング(15)を前記ボディ(2)に組み合わせるために前記固定リング(15)が回転させられているときに第1状態及び第2状態がこの順に現れるように構成されており、
前記第1状態は、前記ワッシャ(21)及び前記固定リング(15)の両方が一緒に回転する状態であり、
前記第2状態は、前記可撓膜(8)が前記ワッシャ(21)と前記筒状壁(6)との間に配置され、前記筒状壁(6)及び前記可撓膜(8)に対して前記ワッシャ(21)が静止して固定され、且つ、前記固定リング(15)が回転する状態である、超音波生成源。
【請求項2】
前記筒状壁(6)の端部には環状リム(6a)が設けられており、前記環状リム(6a)に前記可撓膜(8)が押し当てられる、請求項1に記載の超音波生成源。
【請求項3】
前記第2状態は、前記可撓膜(8)が前記ワッシャ(21)と前記環状リム(6a)との間に配置され、前記環状リム(6a)及び前記可撓膜(8)に対して前記ワッシャ(21)が静止して固定され、且つ、前記固定リング(15)が回転する状態である、請求項2に記載の超音波生成源。
【請求項4】
前記固定リング(15)は、前記可撓膜(8)の一部が通過する中央通路(19)を有し、前記固定リング(15)は、前記ボディに対して螺子留めされたとき、前記可撓膜(8)を、前記ボディ(2)にシール態様で押圧された状態で固定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項5】
前記固定リング(15)が前記ボディ(2)に螺子留めされたとき、前記ワッシャ(21)は、前記可撓膜(8)に押圧力が及ぶように、前記固定リング(15)と前記可撓膜(8)との間に配置されて前記固定リング(15)に取り付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項6】
前記ワッシャ(21)は、C形状領域である環状凹部(22)の内側において前記固定リング(15)内で固定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項7】
前記ワッシャ(21)には、前記可撓膜(8)に接触したシーリングガスケットが取り付けられる、請求項~6のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項8】
前記ワッシャ(21)は、ポリテトラフルオロエチレンでできている、請求項~7のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項9】
前記筋(17)または前記相補的な筋(16)は、連続的な要素の形状を有していてもよく、または、スタッドのような不連続的な要素の形状を有していてもよい、請求項1~8のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項10】
前記ボディ(2)の前記筋(17)は、保護カバー(30)の相補的な筋(16)と協働する、請求項1~9のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項11】
前記ボディ(2)の前記筋(17)は、較正工程における使用に適した位置合わせシステム(36)が取り付けられたリング(35)の前記相補的な筋(16)と協働する、請求項1~10のいずれか一項に記載の超音波生成源。
【請求項12】
螺子組み合わせシステムの少なくとも1つの筋(17)が外面に設けられた筒状壁(6)を有するボディを備えた請求項1~11のいずれか一項に記載の超音波生成源を備えた超音波生成組み合わせ体であって、前記組み合わせ体は、さらに、装備品として、可撓膜を固定する固定リング(15)、保護カバー(30)、および、位置合わせシステム(36)が取り付けられたリング(35)を備え、各装備品は、前記生成源の前記ボディの前記筒状壁(6)の前記筋(17)と協働する相補的な筋(16)を含む、組み合わせ体。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の超音波生成源(1)を含むことを特徴とする、超音波処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を生成し治療の分野で使用される源を含む装置(apparatuses or devices)の技術分野に関し、人体の解剖学的構造の超音波検査画像を生成するための超音波プローブに関連付けられ得る。
【0002】
本発明の具体的な有利な適用例は、高密度焦点式超音波(HIFU)を生成する源を含む治療器の分野である。
【0003】
本発明の別の具体的な有利な適用例は、砕石術の処理を行うために体内における固体の結石を破壊する器具であって、音響衝撃波のような、腎臓、胆汁または唾液の結石(concretions or calculi)を破壊する超音波圧力波を生成する源を備えた器具の分野である。
【背景技術】
【0004】
一般的には、超音波を生成する源は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する音響変換器を取り付ける取り付けボディ(mounting body)を備える。その前方に向かって、超音波変換器は、放射面を有する。放射面は、音響結合および/または冷却流体を閉じ込める閉じ込めチャンバを規定する可撓膜と協働する。従来、可撓膜は、各回の使用後に交換可能とするために、漏れ止め性を有しかつ取り外し可能な固定システムを用いることによって、ボディの環状支持体に取り付けられる。
【0005】
典型的には、可撓膜は、弾性リングによって環状支持体に取り付けられ、弾性リングは、膜が漏れ止め態様で支持体に取り付けられるのに十分な復帰力を発揮し、一方で、リングを容易に装着できるようにする力を発揮した状態で、手作業により配置され得る。実のところ、可撓膜を取り付ける作業を、環状支持体の周縁部全体で閉じ込めチャンバの良好なシール性が得られるように行うことは、比較的困難である。さらに、弾性リングを配置することの困難性を考慮すると、上記の取り付け作業では、作業者が不注意により圧力を加えることによって、超音波変換器が損傷することがある。
【0006】
特許出願EP2327450には、超音波を生成するためのプローブであって、HIFU変換器が取り付けられたHIFUヘッドを覆う取り外し可能な可撓膜を含むものが記載されている。プローブには、膜とHIFUヘッドとの間の取り外し可能な固定を実現する接続手段が設けられている。接続手段は、膜の内側に形成された環状溝であって、HIFUヘッドの外側に形成された外周リブに嵌合可能なものを含む。さらに、膜およびHIFUヘッドの間に閉じ込められた冷却流体のシール性および流路が得られるように、膜は、その内側面において、HIFUヘッドを押圧する3つの周縁リブを含む。
【0007】
可撓膜を取り付ける作業では、溝がヘッドのリブに嵌合するように、膜が弾性変形することが必要であることに留意されたい。たとえ膜がプルタブを有していたとしても、HIFUヘッドの周縁部全体における良好なシール性が得られるように膜を配置するには、無視できない手作業による力を加えることが必要であるが、その力は調整困難である。
【0008】
超音波検査プローブの分野では、文献US2015/0182200には、ケーブルによってコネクタに接続されたプローブヘッドを有し、プローブヘッドとコネクタの間で冷却流体を循環させる冷却システムを有する超音波検査プローブが記載されている。冷却システムは、ポンプによって生成されるものであり超音波画像の品質を害するものである流体圧力パルスを減衰させる減衰器を含む。この振動減衰器は、一方側で冷却流体保持チャンバを規定し、他方側で閉じた空気チャンバを規定するように取り付けられた可撓膜を備える。2つのチャンバの間のシール性は、筐体と、該筐体の内側に螺子留めされたリングと、の間に挟まれた膜の圧縮によって得られる。冷却流体のパルスは、可撓膜が機械的に変形することによって吸収される。
【0009】
上記の文献では、プローブのヘッドの説明に関して記載されておらず、取り付け装置に関しては、あるにしても、超音波変換器に対して冷却流体を閉じ込める閉じ込めチャンバを規定する取り外し可能な膜を取り付けるものに過ぎない。
【発明の概要】
【0010】
先行技術の分析により、道具に頼りにしたり実行困難な作業を行うことを必要としたりすることなく可撓膜を装着可能な超音波プローブを有することを可能とすること対する必要性が存在することは明らかである。さらに、膜を保持する筐体の開口付近に配置された超音波変換器には、膜が配置されるときおよび超音波プローブが使用されていないときに損傷するリスクがある。従って、効果的であり配置するのが簡単なシステムによって、プローブの使用時および不使用時の両方においてプローブの超音波変換器を保護できることに対する必要性も存在する。
【0011】
超音波プローブに対して較正作業が行われ、較正作業では超音波ビームの位置合わせのために用いられる位置合わせシステムが必要であることに留意されたい。超音波ビームに対してそのような位置合わせシステムを配置する問題に加え、較正作業は、超音波変換器を損傷させるリスクなしで行われる必要がある。
【0012】
本発明は、超音波を生成する新規な源であって該源の使用時において行われるべき種々の動作が最適化されるように構成されたものを提案することによって、従来技術の欠点を緩和することを目的とする。
【0013】
本発明の目的は、超音波変換器を損傷させるリスクなしで以下の動作をより簡単にするように構成された、超音波を生成する新規な源を提案することである:
-音響結合および/または冷却流体を閉じ込める可撓膜を装着する;
-プローブの不使用時において、超音波保護体を保護する;および
-超音波変換器を較正する。
【0014】
これらの目的を達成するために、本発明の超音波生成源は、前方において放射面を有する超音波変換器を含むボディを備え、ボディは、筒状壁によって規定された開口であって、該開口に向かって超音波変換器の放射面が面するように設けられた開口を含み、筒状壁の外面には、螺子組み合わせシステムの少なくとも1つの筋であって、ボディに可撓膜を固定する固定リング、保護カバー、または、位置合わせシステムが取り付けられたリング、のいずれかにおける少なくとも1つの相補的な筋と協働する少なくとも1つの筋が設けられている。
【0015】
源が超音波を生成するのに用いられる本発明の実施形態では、源には、音響結合および/または冷却流体を閉じ込めるための可撓膜が取り付けられる必要がある。この実施形態では、本発明のプローブは、可撓膜の一部が通過する中央通路を有する固定リングを含み、固定リングは、ボディに対して螺子留めされたとき、可撓膜を、ボディにシール態様で押圧された状態で固定する。
【0016】
この実施形態では、ボディの筒状壁の端部には環状リムが設けられており、環状リムに可撓膜が押し当てられる(bears)。
【0017】
有利な変形実施形態によれば、固定リングには、固定リングにおける螺子留めの際に回転させられるのが防止されるよう固定リングに対して自由に回転するように取り付けられたワッシャが設けられ、ワッシャは、固定リングがボディに螺子留めされたとき、可撓膜に押圧力を及ぼす。そのような装置により、しわがない膜が筐体に取り付けられる。
【0018】
さらに、本発明の超音波生成源は、以下の追加の特徴の1つおよび/または複数を併せて含んでいてもよい:
-固定リングがボディに螺子留めされたとき、ワッシャは、可撓膜に押圧力が及ぶよう横方向の動きの自由(freedom to move laterally)が制限された状態で、固定リングに取り付けられる;
-ワッシャは、C形状領域である環状凹部の内側において固定リング内で固定される;
-可撓膜に接触したシーリングガスケット;
-ワッシャには、シーリングガスケットが取り付けられる;
-ワッシャは、ポリテトラフルオロエチレンでできている;および
-筋または相補的な筋は、連続的な要素の形状を有していてもよく、または、スタッドのような不連続的な要素の形状を有していてもよい。
【0019】
超音波変換器が保護される本発明の別の実施形態では、ボディは、保護カバーの相補的な筋と協働する筋を有する。
【0020】
超音波変換器を較正する段階を実行することが必要な本発明の別の実施形態では、ボディは、特に較正工程における使用に適した位置合わせシステムの相補的な筋と協働する筋を含む。
【0021】
さらに、本発明は、本発明に係る超音波生成源を含む超音波処理装置(ultrasound treatment apparatus)を提案する。
【0022】
本発明の実施形態を非限定的な例として示す添付図面を参照する以下の記載から、様々な他の特徴が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明を具現化する超音波生成源の一実施形態の斜視図である。
図2図2は、本発明に係る超音波生成源の一実施形態の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す超音波生成源の平面断面IIIの立面図である。
図4図4は、本発明に係る超音波生成源の別の実施形態を示す斜視図である。
図5図5は、保護カバーが取り付けられる本発明に係る超音波生成源の一実施形態を示す分解斜視図である。
図6図6は、本発明に係るまたは位置合わせシステムを有するリングが取り付けられる超音波生成源の一実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図に見られるように、本発明は、生体組織の熱処理用の超音波を生成する源1に関する。源1は、より具体的には治療処置のために用いられるものであり、一般的な意味における治療を行う装置の一部を構成する。この装置は、図示していないが、公知であり、超音波によって生物の組織の処理を行うのに適している。有利な適用例では、治療用の源は、高密度焦点式超音波(HIFU)を生成する。他の適用例では、源は、音響衝撃波のような超音波圧力波を生成する。当然ながら、治療用の超音波を生成するこの源は、人体の解剖学的構造の超音波検査画像を生成するためのプローブに関連付けられてもよい。
【0025】
超音波生成源1は、具体的には、変換器3を支持するボディ2を含み、変換器3は、1または複数の超音波放射器を有し、超音波放射器は、例えばピエゾ素子である。変換器3の超音波放射器は、増幅段を介して、超音波放射器を駆動する信号を送信する制御回路に接続される。そのような制御回路の作製は当業者の技術的知識の一部を構成するため、制御回路については詳細には記載しない。制御回路は、従来のとおり、増幅段を介して超音波放射器に接続された、制御信号生成器を含む。
【0026】
その前方において、変換器3は、ボディ2に設けられた開口5に向かって面する超音波放射面4を有する。典型的には、ボディ2または筐体は、カラーまたは首部を有する筒状壁6を有するように設けられている。ボディの筒状壁6は、外側面6eと内側面6iの間で規定され、筒状壁6の端部には、開口5の内側部を規定する環状リム6aが設けられている。
【0027】
一般的には、放射面4は、実質的に開口5の中心を通る音波伝搬軸に対応する対称軸Xを有する。有利な変形実施形態では、放射面4は、集束形状を有する、すなわち、超音波放射器の制御のされ方によりまたは放射面の幾何形状により、生成された超音波が焦点領域において集束する。典型的には、放射面4は、半球形状、楕円形状またはトロイダル形状等のような凹形状を有する。当然ながら、放射面4は、例えば平面形状のような、凹形状ではない形状を有していてもよい。
【0028】
超音波変換器3は、開口5に直接面して配置されている。典型的には、超音波変換器3は、開口5に、または、開口5から少し後退して、位置している。
【0029】
本発明の生成源1の実施のされ方に応じて、生成源1は、機器の様々な部品または様々な装備品であって各々が特定の機能に適合したものを保持する。
【0030】
源1が超音波を生成することに用いられるとき、超音波生成源1は、放射面4の前方に配置され超音波を透過させる材料でできた可撓膜8を含む。この可撓膜8は、放射面4と協働して冷却流体用の閉じ込めチャンバ10を規定し、さらに、音波に暴露される媒体との音響結合機能を発揮するのに適している。典型的には、冷却流体は、波の伝搬を向上させるために前もってガス抜きされた水、または、超音波の吸収が小さい音響特性を有する複数の油から選択された油、に基づいた液体である。特許EP1038551に記載された液体を用いることも可能である。
【0031】
閉じ込めチャンバ10は、少なくとも1つの供給管11を介して供給される冷却流体用の少なくとも1つの入口を含む。また、閉じ込めチャンバ10は、出口管12と連通した少なくとも1つの出口を有し、これにより閉じ込めチャンバの内側で流体が流れることが可能となる。
【0032】
可撓膜8は、シリコン、ラテックス、ポリウレタン、または、膜の加熱に伴う音響エネルギー損失が低減するような音響吸収が小さい材料のような、任意の適切な材料でできている。
【0033】
可撓膜8は、漏れ止め性を有しかつ取り外し可能または分離可能な固定システム14によって、ボディ2に取り付けられる。固定システム14により、可撓膜8を素早くかつ容易な態様で自在に交換でき、膜が交換された後には閉じ込めチャンバ10がシールされる。
【0034】
本発明によれば、固定システム14は、分離可能な態様でボディ2に組み合わされる固定リング15を備える。固定リング15およびボディ2には、螺子組み合わせシステム16,17が設けられ、このシステム16,17は、固定リング15をボディ2に螺子留めすることによって、可撓膜8を、ボディ2にシール態様で押圧された状態で固定する。
【0035】
図2および3においてより詳細に見られるように、固定リング15は、環状上壁15dを有する環状体の形状を有し、環状上壁15dは、その中央において、可撓膜8の一部、具体的には可撓膜の中央部8a用の、中央通路19を規定する。可撓膜8および固定リング15は、互いに独立した2つの部品である。典型的には、固定リング15がボディ2に取り付けられたときに開口5と中央通路19とが合致するように、中央通路19は、開口5の領域に実質的に対応する領域を有する。
【0036】
典型的には、中央通路19は、円形の輪郭を有する。当然ながら、可撓膜8は、その中央部8aが中央通路19を通過しこれにより閉じ込めチャンバ10を形成できるように、適合した形状を有するまたは変形可能である。可撓膜の中央部8aの境界は、周縁部8bによって規定され、周縁部8bは、閉じ込めチャンバ10をシールするようにボディ2と協働する。より正確には、可撓膜8の周縁部8bは、環状壁6の環状リム6aを押圧するようになっている。
【0037】
環状上壁15dは、筒状スカート部15jに対して直角に拡がり、筒状スカート部15jは、内側面15iを有し、固定リング15がボディ2に取り付けられたときにボディ2の筒状壁6に面して拡がるようになっている。
【0038】
固定リング15とボディ2との間の螺子組み合わせシステム16,17は、任意の適切な態様で構成され得る。そのような螺子組み合わせシステムは、少なくとも1つの螺旋状のリブまたは筋17であって少なくとも1つの相補的な螺旋状のリブまたは筋16と協働するものを備える。筋17は固定リング15に設けられ相補的な筋16はボディ2に設けられている、または、筋17はボディ2に設けられ相補的な筋16は固定リング15に設けられている。筋17または相補的な筋16は、連続的な要素の形状(図2)を有していてもよく、または、スタッドまたはタブのような不連続的な要素の形状(図4)を有していてもよいことに留意されたい。螺子組み合わせシステム16,17は、複数の螺旋状の筋17と、複数の相補的な螺旋状の筋16と、を備えていてもよい。
【0039】
図3に示す実施形態では、ボディ2、具体的には筒状壁6は、外面において、少なくとも1つの筋17を有し、一方、固定リング15には、螺子立て部(tapping)のような相補的な筋16が設けられている。図4に示す例では、リングをボディに螺子留めするために、固定リング15には、相補的な筋16として機能し筋17と協働する2つのスタッド16が設けられている。スタッドは、固定リング15の少なくとも1つの相補的な筋16と協働するように、ボディ2の外側表面、具体的には筒状壁6に設けられ、筋17として機能していてもよいことに留意されたい。
【0040】
固定リング15がボディ2に取り付けられるとき、可撓膜8の周縁部8bは、固定リング15とボディ2の間、より具体的には固定リング15と筒状壁6の間に挟まれる。固定リング15をボディ2に螺子留めすることにより、可撓膜8は、ボディ2にシール態様で押圧された状態で固定される。例えば、可撓膜8は、その周縁部8bが筋17から離れて配置されるような寸法を有する。
【0041】
有利な実施形態の特徴によれば、固定リング15は、固定リング15に対して自由に回転するように取り付けられたワッシャ21を有する。ワッシャ21は、その中央部において、可撓膜の中央部8aが通過する貫通孔21aを有する。貫通孔21aの領域は、環状上壁15d内の中央通路19の領域に実質的に対応する、または、図示の例のように、環状上壁15d内の中央通路19の領域よりも大きい。ワッシャ21が取り付け位置にあるとき、その内側縁部は、固定リング15の環状上壁15dの内側縁部から後退した位置をとる。
【0042】
ワッシャ21は、環状上面21eおよび環状下面21iを含み、環状凹部22の内側において固定リング15内で固定される。環状凹部22は、環状上壁15dの内側面と、スカート部15jの内側面15iから突出したリブ15nと、によって規定される。凹部22は、C形状領域を呈する。ワッシャ21が横方向に移動する自由は、一方側では、環状上面21eが接触し得る環状上壁15dの下面によって、他方側では、環状下面21iが接触し得るリブ15nによって、制限される。ワッシャ21が半径方向に移動する自由は、スカート部15jの内側面15iによって制限される。リブ15nは、螺子立て部16によって構成されていてもよいことに留意されたい。ワッシャ21および固定リング15は、ワッシャの対称軸についての互いの旋回が自由な状態で、接続される。
【0043】
有利な実施形態の特徴によれば、ワッシャ21は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはテフロン)のような、引っ付かない性能が非常に大きい材料でできている。
【0044】
ワッシャ21および固定リング15は、任意の適切な態様で組み合わせられ得る。1つのやり方(solution)は、公知の3次元プリント技術を用いて、ワッシャ21を組み込んだ固定リング15を作製することである。ワッシャ21は、固定リング15の内側において変形させられることによって配置されてもよい。
【0045】
固定リング15がボディ2における固定リング15の取り付け位置にないとき、ワッシャ21は固定リング15に対して自由に回転することが理解されよう。換言すると、固定リング15は、ワッシャ21を回転させることなく静止させたまま、回転させられ得る。
【0046】
固定リング15を配置する前に、可撓膜8が、その周縁部8bが環状上壁6aを覆うように配置されることに留意されたい。固定リング15がボディ2に取り付けられ、ワッシャ21が可撓膜8の周縁部8bにはまだ接触していないとき、可撓膜8の周縁部8bは、筒状壁6の環状リム6aのみに接触する。固定リング15が回転すると、リングおよびワッシャ21の両方が一緒に回転する。ワッシャ21が周縁部8bに接触するように配置されるに至ったとき、可撓膜8は、ワッシャ21と、筒状壁6の環状リム6aと、の間に挟まれる。筒状壁6の環状リム6aおよび可撓膜8に対してワッシャ21が静止して固定された状態で、固定リング15は回転し続ける。
【0047】
固定リング15をボディ2に組み合わせる作業中に、固定リング15は、ワッシャ21を回転させることなく回転させられ、このため、ワッシャは、可撓膜8にしわをつけることなく可撓膜8を固定する。締め付けの最後には、固定リング15は、ワッシャ21が動かないよう環状上壁15dを介して環状上面21eに押し当て力(bearing force)を及ぼし、これにより筒状壁6の環状リム6aに対して可撓膜8を押圧する。
【0048】
固定リング15がボディ2に螺子留めされたとき、ワッシャ21は、膜に押圧力が及ぶよう横方向の動きの自由が制限された状態で、固定リング15に取り付けられる。換言すると、ワッシャの環状上面21eに押し当たるに至った環状上壁15dの下面によって固定リング15が締め付けられるとき、ワッシャ21はその最終的な押圧位置をとる。当然ながら、固定リング15の螺子締めのストロークは、筋17のピッチと、環状上壁15dの下面およびワッシャの環状上面21eの間の隙間と、に依る。上述の半径方向の移動に関連付けられた横方向の移動によってスペースが生じ、そのスペースへと洗浄および汚染除去用の液体が入り込みその機能が汚染除去および殺菌の段階において発揮され得る。
【0049】
ワッシャ21は、可撓膜8に直接的に接触してもよく、あるいは、図示の例のように、ワッシャ21は、環状リム6aに押し当たる可撓膜8に押し当たる平坦または環状のシーリングガスケット23を介して、可撓膜8に接触してもよいことに留意されたい。好ましい実施形態の例では、シーリングガスケット23は、ワッシャ21に取り付けられる。図3に見られるように、ワッシャ21は、その環状下面21iにおいて取り付け溝21gを有し、取り付け溝21gにシーリングガスケット23が取り付けられる。
【0050】
源1が超音波を生成するために使用されていないときは、固定リング15は取り外され得る。固定リング15がないとき、ボディ2は、超音波変換器3を保護する保護カバー30を保持できる。図5に示すように、ボディ2は、筋17であって固定リング15がないときに保護カバー30の相補的な筋16と協働するもの、または、相補的な筋16であって固定リング15がないときに保護カバー30の筋17と協働するもの、を含む。保護カバー30は、デザインの点では固定リング15と似ているが、固定リング15の中央通路19を閉鎖する閉鎖壁31をさらに含む。保護カバー30は、ボディ2の筒状壁6に螺子留めされ、これにより、超音波変換器3を、その不使用時において保護する。
【0051】
固定リング15および保護カバー30がないとき、ボディ2は、位置合わせシステムを保持できる。位置合わせシステムは、特に、較正工程における使用に適している。較正工程において、固定リング15に類似しており位置合わせシステム36が取り付けられたリング35が用いられる。例えば、位置合わせシステム36はアーム37を有し、アーム37はリングによって支持され、アーム37の端部にはセンサ38が取り付けられ、センサ38は、変換器によって生成された音響圧力を測定する、または、超音波変換器3の超音波伝搬軸Xもしくは焦点領域を視覚化する。ボディ2は、固定リング15および保護カバー30がないときに位置合わせシステム36が取り付けられたリング35の相補的な筋16と協働する筋17を含む、または、固定リング15および保護カバー30がないときに位置合わせシステム36が取り付けられたリング35の筋17と協働する相補的な筋16を含む。得られたボディ2との機械的な接続、つまるところ超音波変換器3との接続により、放射面4の音響軸Xまたは焦点領域上へのセンサ38の位置合わせを、音響軸Xにおける圧力を測定するために、音響軸Xの位置を与えるために、または、焦点領域の位置を与えるために、行うことが可能となる。
【0052】
上述の説明から、超音波生成源1の使用に応じ、源、具体的にはそのボディの筒状壁6は、可撓膜8を固定する固定リング15、保護カバー30、または、位置合わせシステム36が取り付けられたリング35、のいずれかを取り付けるのに螺子留めを用いることに適合されていることが理解されよう。取り付けまたは取り外しの作業の実行は非常に簡単であり、超音波変換器3が損傷するリスクはない。
【0053】
本発明は、本発明に係る生成源1を備え、さらに、装備品として、可撓膜を固定する固定リング15、保護カバー30、および/または、位置合わせシステム36が取り付けられたリング35を備え、各装備品は、生成源のボディの筒状壁6の筋17と協働する相補的な筋16を有する、超音波を生成する組み合わせ体を提案する。
【0054】
本発明は、説明し図示した例に限定されない。なぜなら、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を上記例に適用できるためである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6