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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230523BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20230523BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20230523BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/33
H02K11/215
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019099040
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020195195
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】松田 瞬
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-074196(JP,A)
【文献】特開2009-093956(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033833(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/33
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面にコネクタが設けられた基板と、
前記基板の板厚方向一方側に設けられ、前記コネクタに接続されたバスバーを有するモータ部と、
を備え、
前記コネクタは、前記バスバーと圧入固定される接続端子と、前記接続端子を保持すると共に前記基板の一側面に設置されたホルダと、を有し、
前記接続端子は、
前記接続端子の一端部を構成し、前記ホルダに保持されると共に、前記基板に固定された固定部と、
前記接続端子の他端部を構成し、前記バスバーと圧入固定されると共に、前記基板の板厚方向に対して直交する第1方向において前記固定部に対してずれて配置され、前記基板に対して前記基板の板厚方向一方側に離間している端子接続部と、
前記固定部と前記端子接続部とを連結し、前記基板の板厚方向に撓み変形可能に構成された連結部と、
を含んで構成されている回転電機。
【請求項2】
前記接続端子は、前記バスバーと圧入固定される溝部を有しており、
前記連結部が、前記溝部よりも前記基板側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記接続端子は、前記基板の板厚方向から見て、前記第1方向に対して直交する第2方向を板厚方向とする板状に形成され、
前記溝部の縁部には、前記接続端子の板厚方向に屈曲され且つ前記バスバーと圧入固定される一対の圧入部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ホルダは、前記連結部を前記基板側から支持する支持部を有していることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記固定部には、前記基板の板厚方向に延在され且つ前記第1方向に並ぶ一対のターミナル部が形成されており、
一対の前記ターミナル部が、前記基板の端子孔に挿入されて前記基板に半田付けされていることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記ホルダは、
前記基板の一側面に設置されたベース部と、
前記ベース部から前記モータ部側へ突出され、前記固定部を保持するホルダ部と、
前記ベース部から前記モータ部側へ突出され、前記連結部の一部及び前記端子接続部を前記基板の板厚方向に相対変位可能に覆うカバー部と、
を含んで構成されていることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記モータ部は、軸方向一方側端部が閉塞された有底筒状のハウジングを有しており、
前記基板が、前記ハウジングの開口部に固定されたヒートシンクに固定され、
前記ヒートシンクには、一対のヒートシンク側位置決め孔が形成され、前記基板には、一対の基板側位置決め孔が形成されており、
前記ベース部には、前記ヒートシンク側位置決め孔及び前記基板側位置決め孔に嵌入された一対の位置決めピンが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モータのモータ線(バスバー)と、基板の接続端子と、の接続構造が開示されている。この接続構造について簡単に説明すると、接続端子は、略ハット形板状に形成されており、接続端子の長手方向両端部を構成する固定部が基板に半田付けされている。また、接続端子の長手方向中間部には、挿通孔が形成されており、挿通孔の縁部には、一対の弾性部が形成されている。そして、モータ線を一対の弾性部の間に挿入(圧入)することで、接続端子とモータ線とが、接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6303957号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記接続構造では、以下に示す点において、改善の余地がある。すなわち、仮に、モータ線が一対の弾性部に対してずれて圧入された場合には、接続端子の固定部と基板との半田付け部に過度の応力が発生する可能性がある。このとき、半田付け部にクラック等が生じると、接続端子と基板との間に接続不良が発生して、モータの信頼性が低下する虞がある。このため、接続構造としては、信頼性を向上しつつ、モータ線を接続端子に圧入できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、信頼性を向上しつつ、バスバーを接続端子に圧入することができる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、一側面にコネクタが設けられた基板と、前記基板の板厚方向一方側に設けられ、前記コネクタに接続されたバスバーを有するモータ部と、を備え、前記コネクタは、前記バスバーと圧入固定される接続端子と、前記接続端子を保持すると共に前記基板の一側面に設置されたホルダと、を有し、前記接続端子は、前記接続端子の一端部を構成し、前記ホルダに保持されると共に、前記基板に固定された固定部と、前記接続端子の他端部を構成し、前記バスバーと圧入固定されると共に、前記基板の板厚方向に対して直交する第1方向において前記固定部に対してずれて配置され、前記基板に対して前記基板の板厚方向一方側に離間している端子接続部と、前記固定部と前記端子接続部とを連結し、前記基板の板厚方向に撓み変形可能に構成された連結部と、を含んで構成されている回転電機である。
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記接続端子は、前記バスバーと圧入固定される溝部を有しており、前記連結部が、前記溝部よりも前記基板側に配置されていることを特徴とする回転電機である。
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記接続端子は、前記基板の板厚方向から見て、前記第1方向に対して直交する第2方向を板厚方向とする板状に形成され、前記溝部の縁部には、前記接続端子の板厚方向に屈曲され且つ前記バスバーと圧入固定される一対の圧入部が形成されていることを特徴とする回転電機である。
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ホルダは、前記連結部を前記基板側から支持する支持部を有していることを特徴とする回転電機である。
【0010】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記固定部には、前記基板の板厚方向に延在され且つ前記第1方向に並ぶ一対のターミナル部が形成されており、一対の前記ターミナル部が、前記基板の端子孔に挿入されて前記基板に半田付けされていることを特徴とする回転電機である。
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ホルダは、前記基板の一側面に設置されたベース部と、前記ベース部から前記モータ部側へ突出され、前記固定部を保持するホルダ部と、前記ベース部から前記モータ部側へ突出され、前記連結部の一部及び前記端子接続部を前記基板の板厚方向に相対変位可能に覆うカバー部と、を含んで構成されていることを特徴とする回転電機である。
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記モータ部は、軸方向一方側端部が閉塞された有底筒状のハウジングを有しており、前記基板が、前記ハウジングの開口部に固定されたヒートシンクに固定され、前記ヒートシンクには、一対のヒートシンク側位置決め孔が形成され、前記基板には、一対の基板側位置決め孔が形成されており、前記ベース部には、前記ヒートシンク側位置決め孔及び前記基板側位置決め孔に嵌入された一対の位置決めピンが形成されていることを特徴とする回転電機である。
【発明の効果】
【0013】
上記構成の回転電機によれば、信頼性を向上しつつ、バスバーを接続端子に圧入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態に係る回転電機を一部分解した状態で示す斜視図である。
図2】本実施の形態に係る回転電機を示す第2方向一方側から見た縦断面図である。
図3図2に示されるバスバーとコネクタとの接続状態を示す第1方向一方側から見た側面図である。
図4】(A)は、図1に示されるECUユニットを示す下側から見た下面図であり、(B)は、(A)のECUユニットを示す側面図である。
図5図4に示されるECUユニットを分解した、下側から見た分解斜視図である。
図6図4に示されるECUユニットを分解した、上側から見た分解斜視図である。
図7図5に示されるヒートシンクを下側から見た下面図である。
図8図5に示されるコネクタを拡大して示す下側から見た下面図である。
図9図5に示されるコネクタを分解した、下側から見た分解斜視図である。
図10図4に示されるコネクタにおける接続端子の端子ホルダへの保持状態を示す断面図(図4の10-10線断面図)である。
図11図4に示されるコネクタにおける端子ホルダの位置決めピンが、ヒートシンクの第1ヒートシンク側位置決め孔内に嵌入された状態を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本実施の形態に係る回転電機10について説明する。この回転電機10は、車両(自動車)のステアリング装置に適用される回転電機として構成されている。図1及び図2に示されるように、回転電機10は、全体として略円柱状に形成されている。また、回転電機10は、モータ部12と、モータ部12の回転を制御するためのECUユニット14と、を含んで構成されている。以下、回転電機10の各構成について説明する。
【0016】
なお、以下の説明では、回転電機10の軸方向一方側(図1及び図2の矢印A方向側)を回転電機10の下側とし、回転電機10の軸方向他方側(図1及び図2の矢印B方向側)を回転電機10の上側としている。そして、以下の説明において、上下の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、回転電機10の上下方向を示すものとする。
また、以下の説明では、上側から見た平面視で、上下方向に対して直交する方向を第1方向(図1及び図2の矢印C及び矢印Dを参照)とし、第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1の矢印E及び矢印Fを参照)としている。
さらに、平面視で、回転電機10の軸線ALを通過し且つ第1方向に延在する架空線を第1基準線L1(図4及び図7参照)とし、回転電機10の軸線ALを通過し且つ第2方向に延在する架空線を第2基準線L2(図4及び図7参照)としている。
【0017】
(モータ部12について)
図1及び図2に示されるように、モータ部12は、3相交流のブラシレスモータとして構成されている。このモータ部12は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたプレートホルダ24、回転軸28、ステータ34、ロータ40、及びバスバーユニット46と、を含んで構成されている。
【0018】
<ハウジング20について>
ハウジング20は、上側へ開放された略有底円筒状に形成されて、回転電機10の外郭を構成している。ハウジング20の下端部における外周部には、一対の取付片20Aが一体に形成されている。一対の取付片20Aは、ハウジング20の軸方向を板厚方向として配置されると共に、ハウジング20から第1方向一方側(図1及び図2の矢印C方向側)及び第1方向他方側(図1及び図2の矢印D方向側)へ突出されている。この取付片20Aには、取付孔20A1が貫通形成されている。そして、図示しないボルト等の締結部材が取付孔20A1内に挿入されて、当該締結部材によってハウジング20(すなわち、回転電機10)がステアリング装置に固定されている。
【0019】
ハウジング20の開口端部における外周部には、径方向外側へ張出された複数の(本実施の形態では、3箇所)の固定部20Bが形成されている。そして、1箇所の固定部20Bが、ハウジング20から第1方向一方側へ突出されており、3箇所の固定部20Bが、ハウジング20の周方向に等間隔毎に配置されている。固定部20Bには、後述するヒートシンク60を固定するためのネジ部20B1が貫通形成されており、ネジ部20B1の内周面には、雌ネジが形成されている。
【0020】
また、ハウジング20の底壁の中央部には、下側へ隆起された有底円筒状の固定筒部20Cが一体に形成されており、固定筒部20C内には、後述する回転軸28を支持するための第1ベアリング22が嵌入されている。固定筒部20Cの底壁には、後述する回転軸28を挿通させるための挿通孔20C1が貫通形成されており、第1ベアリング22の内部とハウジング20の外部とが挿通孔20C1によって連通されている。
【0021】
<プレートホルダ24について>
プレートホルダ24は、上下方向を板厚方向とした略円形プレート状に形成されて、ハウジング20の上下方向中間部内に嵌入されている。プレートホルダ24の中央部には、後述する回転軸28を挿通させるための挿通孔24Aが貫通形成されている。さらに、プレートホルダ24の中央部には、後述する回転軸28を支持するための第2ベアリング26が固定されており、第2ベアリング26と第1ベアリング22とが同軸上に配置されている。
【0022】
<回転軸28について>
回転軸28は、上下方向に延在された丸棒状に形成されて、ハウジング20の内部において、ハウジング20と同軸上に配置されている。そして、回転軸28の下端側の部分が、第1ベアリング22によって回転可能に支持されており、回転軸28の上端側の部分が、第2ベアリング26によって回転可能に支持されている。回転軸28の上端部は、プレートホルダ24に対して上側へ突出しており、当該上端部には、マグネット30が固定されている。一方、回転軸28の下端部は、ハウジング20の底壁に対して下側へ突出しており、当該下端部には、ステアリング装置に連結されるギヤ32が固定されている。
【0023】
<ステータ34について>
ステータ34は、ハウジング20の内部において、プレートホルダ24の下側に配置されると共に、回転軸28の径方向外側に配置されている。ステータ34は、磁性体によって構成されたステータコア36を有しており、ステータコア36は、円筒状に形成されて、ハウジング20の内部に嵌入されている。また、ステータコア36には、U相、V相、W相に対応する巻線38が巻き回されている。
【0024】
<ロータ40について>
ロータ40は、ロータコア42を有しており、ロータコア42は、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されて、ステータ34の径方向内側に配置されている。そして、回転軸28がロータコア42の軸芯部に嵌入されて、ロータコア42(ロータ40)と回転軸28とが一体回転可能に構成されている。また、ロータコア42内には、複数のマグネット44(永久磁石)が固定されている。これにより、ステータ34のU相、V相、W相の巻線38に電流を流すことで、ロータ40及び回転軸28が軸線AL回りに一体回転するようになっている。
【0025】
<バスバーユニット46について>
バスバーユニット46は、ステータ34の上側に配置されて、プレートホルダ24によって保持されている。バスバーユニット46は、ステータ34のU相、V相、W相の巻線38に対応する3本のバスバー48と、バスバー48を保持するためのバスバーホルダ50と、を含んで構成されている。そして、バスバー48の一端部が、ステータ34のU相、V相、W相の各巻線38に接続されている。図3にも示されるように、バスバー48の他端部は、バスバー端子部48Aとして構成されており、バスバー端子部48Aは、プレートホルダ24から上側へ突出されて、第2方向に並んで配置されている。また、バスバー端子部48Aは、第1方向を板厚方向とし且つ上下方向に延在された略長尺板状に形成されている。そして、バスバー端子部48Aが、後述するコネクタ80の接続端子86に接続されている。
【0026】
(ECUユニット14について)
図1図3に示されるように、ECUユニット14は、ハウジング20の開口端部に組付けられて、回転電機10の上端部を構成している。このECUユニット14は、ヒートシンク60と、モータ部12を制御するための「基板」としての回路基板70と、回路基板70に接続されたコネクタアッシー90と、を含んで構成されている。
【0027】
<ヒートシンク60について>
図1図7に示されるように、ヒートシンク60は、熱伝導性の高いアルミニウム合金等によって構成されている。ヒートシンク60は、上下方向を板厚方向とする略円盤状に形成されている。ヒートシンク60の上端部の外周部には、径方向外側へ張出されたフランジ部60Aが一体に形成されており、フランジ部60Aは、ヒートシンク60の周方向全周に亘って形成されている。そして、ヒートシンク60が、ハウジング20の開口部内に上側から嵌入され、フランジ部60Aが、ハウジング20の開口端面の上側に隣接して配置されている。これにより、ハウジング20の開口部がヒートシンク60によって閉塞されている。すなわち、ヒートシンク60が、ハウジング20の蓋部として構成されると共に、回転電機10の外郭の一部を構成している。
【0028】
また、フランジ部60Aには、ハウジング20のネジ部20B1に対応する位置において、径方向外側へ張出された3箇所の第1固定部60Bが一体に形成されている。この第1固定部60Bには、固定孔60B1が貫通形成されている。そして、固定ネジSC1が、固定孔60B1内に上側から挿入されて、ハウジング20のネジ部20B1に螺合されることで、ヒートシンク60がハウジング20に固定されている。
【0029】
また、フランジ部60Aの第1方向他方側の部分には、径方向外側へ張出された一対の第2固定部60Cが一体に形成されており、第2固定部60Cは、ヒートシンク60の周方向に並んで配置されている。この第2固定部60Cには、後述するコネクタアッシー90を固定するための第1固定ネジ部60C1が貫通形成されており、第1固定ネジ部60C1の内周面には、雌ネジが形成されている。
【0030】
ヒートシンク60の外周部における上下方向中間部には、シール溝60Dが形成されている。シール溝60Dは、ヒートシンク60の径方向外側へ開放されると共に、ヒートシンク60の周方向全周に亘って延在されている。このシール溝60D内には、リング状のOリングOLが収容されており、OリングOLは、ゴム等の弾性部材によって構成されている。そして、ヒートシンク60のハウジング20への固定状態では、OリングOLが、弾性変形して、シール溝60Dの内周面及びハウジング20の内周面に密着している。これにより、ヒートシンク60とハウジング20の開口端部との間が、OリングOLによってシールされて、ハウジング20内の気密性を確保するようになっている。
【0031】
図5及び図7に示されるように、ヒートシンク60の下面60Eの外周部には、後述する回路基板70を接地するための接地部61が形成されている。接地部61は、ヒートシンク60の下面60Eから下側へ突出されると共に、ヒートシンク60の周方向に沿って延在されたリブ状に形成されている。また、接地部61の大半が、ヒートシンク60の第1方向一方側の外周部に形成されており、下側から見た下面視で、接地部61が、第1方向他方側へ開放された略C字形状に形成されている。すなわち、ヒートシンク60の下面60Eにおける外周部には、第1方向他方側の部分において、接地部61よりも上側へ一段下がった段差部62が形成されている。また、接地部61の長手方向両端部は、下面視で、第2基準線L2に対して第1方向他方側に配置されている(図7参照)。つまり、接地部61の長手方向の長さが、ヒートシンク60の周方向の全長の1/2以上に設定されている。
【0032】
また、接地部61は、ヒートシンク60の径方向内側へ張り出された3箇所の第1基板固定部63A、第2基板固定部63B、及び第3基板固定部63Cを有しており、第1基板固定部63A~第3基板固定部63Cの先端面(下面)が、接地部61の先端面(下面)と面一に配置されている。第1基板固定部63A、第2基板固定部63B、及び第3基板固定部63Cには、下側へ開放された凹状の第1基板固定ネジ部63A1、第2基板固定ネジ部63B1、及び第3基板固定ネジ部63C1が、それぞれ形成されている。そして、第1基板固定ネジ部63A1、第2基板固定ネジ部63B1、及び第3基板固定ネジ部63C1の内周面には、雌ネジが形成されている。
また、第1基板固定部63Aは、接地部61の長手方向一方側の端部に形成されて、第1基準線L1に対して第2方向一方側(図7の矢印E方向側)で且つ第2基準線L2に対して第1方向他方側に配置されている。第2基板固定部63Bは、接地部61の長手方向一方側の部分に形成されている。詳しくは、第2基板固定部63Bは、下面視で、第1基準線L1に対して第2方向一方側で且つ第2基準線L2に対して第1方向一方側に配置されている。第3基板固定部63Cは、接地部61の長手方向他方側の部分に形成されている。詳しくは、第3基板固定部63Cは、下面視で、第1基準線L1に対して第2方向他方側(図7の矢印F方向側)で且つ第2基準線L2に対して第1方向一方側に若干ずれて配置されている。
【0033】
さらに、ヒートシンク60の下面60Eには、後述する回路基板70を固定するための第4基板固定部63Dが形成されている。第4基板固定部63Dは、下側へ突出された比較的高さの低い略円筒状に形成されており、第4基板固定部63Dの先端面(下面)が、接地部61の先端面(下面)と面一に配置されている。また、第4基板固定部63Dの内部には、第4基板固定ネジ部63D1が形成されており、第4基板固定ネジ部63D1の内側面には、雌ネジが形成されている。さらに、第4基板固定部63Dは、下面視で、第1基準線L1に対して第2方向他方側で且つ第2基準線L2に対して第1方向一方側の位置に配置されている。
【0034】
また、ヒートシンク60の第1方向一方側の部分(詳しくは、第2基準線L2に対して第1方向一方側の部分)は、後述する回路基板70のFET74によって発生した熱を放熱するための放熱部65として構成されている。この放熱部65には、ヒートシンク60の下面60Eから下側へ突出された第1放熱部65A、第2放熱部65B、及び第3放熱部65Cが形成されている。第1放熱部65A~第3放熱部65Cは、下面視で、それぞれ第1方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。そして、第1放熱部65A~第3放熱部65Cにおける下面60Eからの突出量が、接地部61における下面60Eからの突出量と比べて小さく設定されている。すなわち、第1放熱部65A~第3放熱部65Cの下面が、接地部61の下面よりも上側に配置されている。
【0035】
また、第1放熱部65A~第3放熱部65Cは、第2方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。具体的には、第1放熱部65Aは、下面視で、第3基板固定部63Cと第4基板固定部63Dとの間に配置されている。換言すると、第3基板固定部63C、第1放熱部65A、及び第4基板固定部63Dが、第2方向一方側へこの順に並んで配置されている。
第2放熱部65B及び第3放熱部65Cは、下面視で、第2基板固定部63Bと第4基板固定部63Dとの間の位置において、第2方向に並んで配置されている。換言すると、第4基板固定部63D、第2放熱部65B、第3放熱部65C、及び第2基板固定部63Bが、第2方向一方側へこの順に並んで配置されている。
【0036】
また、ヒートシンク60の下面60Eには、後述する回路基板70のコネクタ80の位置を決めるための一対の位置決め部66,67が形成されている。位置決め部66,67は、ヒートシンク60の下面60Eから下側へ突出されており、位置決め部66,67における下面60Eからの突出量が、接地部61における下面60Eからの突出量と比べて小さく設定されている。また、位置決め部66,67は、ヒートシンク60の下面60Eにおける第1方向一方側の外周側に配置されると共に、接地部61の径方向内側に隣接して配置されている。具体的には、一対の位置決め部66,67が、下面視で第1基準線L1に対して第2方向に対称となる位置に配置されている。
【0037】
第2方向一方側の位置決め部66の下面には、下側へ開放された凹状の「ヒートシンク側位置決め孔」としての第1ヒートシンク側位置決め孔66Aが形成されており、第1ヒートシンク側位置決め孔66Aは、下面視で円形状に形成されている。一方、第2方向他方側の位置決め部67の下面には、下側へ開放された凹状の「ヒートシンク側位置決め孔」としての第2ヒートシンク側位置決め孔67Aが形成されており、第2ヒートシンク側位置決め孔67Aは、下面視で第2方向を長手方向とする略トラック形状に形成されている。すなわち、ヒートシンク60には、一対の第1ヒートシンク側位置決め孔66A及び第2ヒートシンク側位置決め孔67Aが形成されており、第1ヒートシンク側位置決め孔66A及び第2ヒートシンク側位置決め孔67Aが第2方向に並んで配置されている。そして、第2ヒートシンク側位置決め孔67Aの幅方向(第1方向)の寸法が、第1ヒートシンク側位置決め孔66Aの直径と一致する寸法に設定されている。
【0038】
ヒートシンク60の下面60Eには、放熱部65を除く部分(第1方向他方側部分)において、下側へ開放された凹部60Fが形成されており、凹部60Fは、下面視で、略6角形状に形成されている。この凹部60Fの第1方向他方側の部分には、後述するコネクタアッシー90のターミナル94を挿通させるためのターミナル挿通部60Gが貫通形成されている。ターミナル挿通部60Gは、下面視で、第1方向一方側へ開放された略V字形状に形成されている。
【0039】
図6に示されるように、ヒートシンク60の上面には、第1方向一方側部分において、上側へ開放された肉逃げ60Hが形成されており、肉逃げ60Hは、平面視で略扇形状に形成されている。
【0040】
さらに、ヒートシンク60の上面には、肉逃げ60Hとターミナル挿通部60Gとの間の位置において、後述するコネクタアッシー90を固定するための複数(本実施の形態では、3箇所)の第2固定ネジ部60Jが形成されている。第2固定ネジ部60Jは、ヒートシンク60の上側へ開放された凹状に形成されており、第2固定ネジ部60Jの内周面には、雌ネジが形成されている。そして、3箇所の第2固定ネジ部60Jが、平面視で、第2方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0041】
<回路基板70について>
図1図7に示されるように、回路基板70は、上下方向を板厚方向とした円板状に形成されており、回路基板70の直径が、ヒートシンク60の直径よりも僅かに小さく設定されている。そして、回路基板70が、ヒートシンク60と同軸上に配置されると共に、ヒートシンク60の接地部61の下側に隣接して配置されている。これにより、回路基板70の第1方向他方側の外周部とヒートシンク60の段差部62との間には、上下方向に隙間G(図4(B)参照)が形成される構成になっている。
【0042】
また、回路基板70には、ヒートシンク60の第1基板固定ネジ部63A1~第4基板固定ネジ部63D1に対応する位置において、4箇所の基板固定孔70A(図6参照)が貫通形成されている。そして、固定ネジSC2が基板固定孔70A内に下側から挿入されて第1基板固定ネジ部63A1~第4基板固定ネジ部63D1に螺合されることで、回路基板70が、ヒートシンク60に固定されている。これにより、モータ部12が、回路基板70の板厚方向一方側(下側)に配置されている。
【0043】
回路基板70の下面(一側面)の中央部には、磁気センサ72が設けられている(実装されている)。この磁気センサ72は、モータ部12の回転軸28におけるマグネット30の上側に近接して配置されており、磁気センサ72とマグネット30とが上下方向に対向配置されている(図2参照)。これにより、回転軸28の回転量(回転角度)を磁気センサ72によって検出する構成になっている。
【0044】
一方、図6及び図7に示されるように、回路基板70の上面(他側面)には、第1方向一方側の領域(ヒートシンク60の放熱部65と上下に対向する領域)において、複数のFET74(発熱素子)が設けられている(実装されている)。複数のFET74は、ヒートシンク60の第1放熱部65A、第2放熱部65B、及び第3放熱部65Cに対応する位置に配置されている。詳しくは、回路基板70には、ヒートシンク60の第1放熱部65A、第2放熱部65B、及び第3放熱部65Cに対応する位置において、一対のFET74がそれぞれ配置されており、対を成すFET74が第1方向に並んで配置されている(図7参照)。また、回路基板70のヒートシンク60への固定状態では、FET74と、第1放熱部65A、第2放熱部65B、及び第3放熱部65Cと、の間に、上下方向において僅かな隙間が形成されるように、第1放熱部65A、第2放熱部65B、及び第3放熱部65Cのヒートシンク60の下面60Eから突出量が設定されている(図11参照)。そして、当該隙間に、放熱用のグリス等が介在されている。
【0045】
また、回路基板70には、ヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66A及び第2ヒートシンク側位置決め孔67Aに対応する位置において、一対の円形の基板側位置決め孔70B(図6参照)が貫通形成されている。この基板側位置決め孔70Bの直径寸法は、第1ヒートシンク側位置決め孔66Aの直径寸法と略同じに設定されている。
【0046】
また、図3図4及び図5に示されるように、回路基板70の下面には、第1方向一方側の部分(具体的には、前述したバスバー端子部48Aに対応する位置)において、回路基板70及びモータ部12(3本のバスバー48)を接続するためのコネクタ80が設けられている。以下、コネクタ80について説明する。
【0047】
図3図4図5、及び図8図11に示されるように、コネクタ80は、3個の接続端子86と、3個の接続端子86を保持するための「ホルダ」としての端子ホルダ81と、を含んで構成されている。そして、バスバー48のバスバー端子部48Aを接続端子86に圧入して、モータ部12と接続端子86とが接続されている。つまり、コネクタ80が、所謂プレスフィットコネクタとして構成されている。
【0048】
[端子ホルダ81について]
端子ホルダ81は、樹脂材(絶縁材)によって構成されている。端子ホルダ81は、第1方向から見て、下側へ開放された略E字形ブロック状に形成されている。具体的には、端子ホルダ81は、端子ホルダ81の基端部(上端部)を構成するベース部82と、ベース部82から下側(モータ部12側)へ突出された3箇所の保持本体部83と、を含んで構成されている。
【0049】
ベース部82は、上下方向を板厚方向とし且つ第2方向を長手方向とする略矩形板状に形成されて、回路基板70の下面に設置されている。そして、下面視で、ベース部82の長手方向中央部が第1基準線L1と一致するように、ベース部82が回路基板70に対して配置されている(図4参照)。ベース部82には、一対の孔部82Aが貫通形成されており、孔部82Aは、下面視で第1基準線L1に対して第2方向に対称を成す位置に配置されている。この孔部82Aは、第1方向を長手方向とする略トラック状に形成されている。そして、第2方向他方側の孔部82A内に、固定ネジSC2の頭部が配置されている。
【0050】
また、ベース部82には、一対の孔部82Aに対応する位置において、第1方向一方側へ延出された一対の位置決め片82Bが一体に形成されている。この位置決め片82Bの先端部には、位置決めピン82Cがそれぞれ形成されており、位置決めピン82Cは、位置決め片82Bから上側(回路基板70側)へ突出されると共に、下側へ開放された有底円筒状に形成されている。また、位置決めピン82Cの直径が、回路基板70の基板側位置決め孔70B及びヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66Aの直径と略同じに設定されている。
【0051】
そして、第2方向一方側の位置決めピン82Cが、回路基板70の基板側位置決め孔70B内及びヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66A内に嵌入されている(図11参照)。また、第2方向他方側の位置決めピン82Cが、回路基板70の基板側位置決め孔70B内及びヒートシンク60の第2ヒートシンク側位置決め孔67A内に嵌入されている。これにより、ヒートシンク60に対する端子ホルダ81(すなわち、コネクタ80)の位置が、位置決めピン82Cによって決まるように構成されている。
【0052】
3箇所の保持本体部83は、ベース部82の長手方向両端部及び長手方向中央部から下側へそれぞれ突出されている。この保持本体部83は、下面視で、ベース部82の幅方向(第1方向)に沿って延在されている。また、保持本体部83は、保持本体部83の第1方向一方側端部を構成するホルダ部84と、保持本体部83の第1方向他方側部分を構成するカバー部85と、を含んで構成されている。
【0053】
ホルダ部84は、ベース部82から下側へ突出された略直方体ブロック状に形成されている。ホルダ部84には、保持本体部83の幅方向(第2方向)中央部において、一対の保持孔84A1,84A2が形成されており、保持孔84A1,84A2は、上下方向に貫通されている。すなわち、保持孔84A1,84A2は、ベース部82も貫通している。保持孔84A1,84A2は、下面視で、略矩形状に形成されると共に、第1方向に沿って並んで配置されている。また、第1方向他方側に配置された保持孔84A2は、ホルダ部84の第1方向他方側の端部に配置されており、ホルダ部84の第1方向他方側の端部では、保持孔84A2が、下面視で、第1方向他方側へ開放されている。さらに、保持孔84A1,84A2の第2方向の寸法が、後述する接続端子86の板厚よりも僅かに大きく設定されている。
【0054】
カバー部85は、下面視で第1方向一方側へ開放された略U字形柱状に形成されると共に、第2方向を厚み方向とする略偏平状に形成されている。具体的には、カバー部85は、第2方向を板厚方向とする一対の第1側壁85Aと、一対の第1側壁85Aの第1方向他方側の端部を連結する第2側壁85Bと、を含んで構成されている。そして、カバー部85のベース部82からの突出量が、ホルダ部84のベース部82からの突出量と比べて大幅に大きくなっている。また、一対の第1側壁85Aの基端部における第1方向一方側端部が、ホルダ部84に接続されている。そして、カバー部85の内部が、後述する接続端子86を収容するための収容部85Cとして構成されている。
【0055】
一対の第1側壁85Aの先端部(下端部)には、第1方向中間部において、ガイド溝85Dがそれぞれ形成されている。ガイド溝85Dは、上下方向に延在されたスリット状に形成されると共に、第2方向に貫通されている。ガイド溝85Dの開口端部には、一対の傾斜部85Eが形成されており、傾斜部85Eは、下側(ガイド溝85Dの開口側)へ向かうに従い互いに離間する方向(ガイド溝85Dの幅方向外側)へ傾斜されている。また、ガイド溝85Dの溝幅は、バスバー端子部48Aの板厚よりも僅かに大きく設定されており、後述する接続端子86とバスバー端子部48Aとの接続状態では、バスバー端子部48Aがガイド溝85D内に挿入されるようになっている。
【0056】
一対の第1側壁85Aの内周面には、一対のガイドリブ85Fがそれぞれ形成されている。ガイドリブ85Fは、ガイド溝85Dに対して第1方向一方側及び他方側にそれぞれ配置されると共に、ベース部82から下側へ延出されている。そして、第2方向において対向して配置されたガイドリブ85Fが組を成しており、組を成すガイドリブ85Fの第2方向の離間距離が、後述する接続端子86の板厚と略一致するように設定されている。また、ガイドリブ85Fの先端部には、傾斜面85Gが形成されており、傾斜面85Gは、下側へ向かうに従い第1側壁85A側へ傾斜している。
【0057】
さらに、カバー部85の収容部85C内には、ホルダ部84における第1方向他方側に配置された保持孔84A2との境界部分において、「支持部」としての支持突起部85H(図10参照)が設けられている。支持突起部85Hは、ベース部82から下側へ突出されており、支持突起部85Hのベース部82からの突出量が、ホルダ部84のベース部82からの突出量と比べて小さくなっている。また、支持突起部85Hは、第2方向から見た断面視で、略台形状に形成されている。
【0058】
[接続端子86について]
図9及び図10に示されるように、接続端子86は、金属の板材によって構成されている。また、接続端子86は、第2方向を板厚方向として配置されて、端子ホルダ81における3箇所の保持本体部83にそれぞれ保持されている。接続端子86は、第2方向から見て、略クランク形板状に形成されている。具体的には、接続端子86は、接続端子86の一端部(第1方向一方側の端部)を構成する「固定部」としての端子固定部87と、接続端子86の他端部(第1方向他方側の端部)を構成する端子接続部88と、端子固定部87及び端子接続部88を連結する「連結部」としての連結部89と、を含んで構成されている。
【0059】
端子固定部87は、第2方向から見て、上側(回路基板70側)へ開放された略逆U字形板状に形成されている。具体的には、端子固定部87は、端子固定部87の下端部を構成する基部87Aと、基部87Aから上側へ延出された一対のターミナル部87B1,87B2と、を含んで構成されている。基部87Aは、略矩形板状に形成されて、端子ホルダ81のホルダ部84の下側に隣接して配置されている。一対のターミナル部87B1,87B2は、端子ホルダ81のホルダ部84における一対の保持孔84A1,84A2に対応して、第1方向に並んで配置されている。
【0060】
また、第1方向一方側に配置されたターミナル部87B1の基端部(下端部)には、複数(本実施の形態では、4箇所)の突起部87Cが一体に形成されている。具体的には、2箇所の突起部87Cが、ターミナル部87B1の基端部から第1方向一方側へ突出されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、他の2箇所の突起部87Cが、ターミナル部87B1の基端部から第1方向他方側へ突出されると共に、上下方向に並んで配置されている。この突起部87Cは、第2方向から見て、略楔形状に形成されている。そして、突起部87Cが端子ホルダ81の保持孔84A1の内周面に食い込むように、ターミナル部87B1が、保持孔84A1内に下側から嵌入されている。これにより、ターミナル部87B1(すなわち、接続端子86)が端子ホルダ81に保持されている。
【0061】
また、第1方向他方側に配置されたターミナル部87B2の基端側の部分にも、複数(本実施の形態では、2箇所)の突起部87Cが一体に形成されており、突起部87Cは、ターミナル部87B2から第1方向一方側及び第2方向他方側へ突出されている。そして、突起部87Cが端子ホルダ81の保持孔84A2の内周面に食い込むように、ターミナル部87B2が、保持孔84A2内に下側から嵌入されている。これにより、ターミナル部87B2(すなわち、接続端子86)が端子ホルダ81に保持されている。
【0062】
さらに、ターミナル部87B1,87B2の基端側の部分には、第2方向一方側へ突出された突出部87D(図9参照)がそれぞれ形成されており、突出部87Dは、半抜き加工等によって成形されている。そして、突出部87Dが、端子ホルダ81の保持孔84A1,84A2の内周面を圧接した状態で、ターミナル部87B1,87B2が、保持孔84A1,84A2内に嵌入されている。
【0063】
また、一対のターミナル部87B1,87B2の先端部(上端部)は、端子ホルダ81よりも上側(回路基板70側)へ突出し、回路基板70の端子孔70C内に挿入されて、回路基板70に半田付けによって固定されている(図10参照)。なお、図10では、便宜上、一対のターミナル部87B1,87B2と回路基板70とを固定する、半田を図示省略している。
【0064】
端子接続部88は、第2方向から見て、下側(モータ部12側)へ開放された略U字形板状に形成されている。すなわち、端子接続部88には、下側へ開放された「溝部」としての圧入溝88Aが形成されている。そして、圧入溝88Aの開口側の溝幅が、端子ホルダ81のガイド溝85Dの溝幅よりも大きく設定されている。一方、圧入溝88Aの底部側の溝幅は、圧入溝88Aの底部へ向かうに従い小さくなるように設定されている。
【0065】
圧入溝88Aの開口端部には、「圧入部」としての端子圧入部88Bが、それぞれ形成されている。端子圧入部88Bは、第2方向一方側へ屈曲されると共に、第2方向から見て、圧入溝88Aの溝幅方向内側へ凸となる略半円状に形成されている。そして、第1方向における一対の端子圧入部88Bの間の距離が、バスバー端子部48Aの板厚よりも若干短く設定されている。
【0066】
また、端子接続部88は、端子ホルダ81の収容部85C内に収容されて、端子接続部88の全体が、端子ホルダ81のカバー部85によって覆われている。端子接続部88の収容部85C内への収容状態では、端子接続部88の下端が、端子ホルダ81の傾斜部85Eよりも上側に配置されると共に、第1方向において、端子ホルダ81のガイド溝85Dと端子接続部88の圧入溝88Aとが一致する位置に配置されている。具体的には、第2方向から見て、一対の端子圧入部88Bの一部(円弧状の頂部)が、端子ホルダ81の傾斜部85Eよりも上側の位置に配置されると共に、ガイド溝85Dの溝幅方向内側に突出するように配置されている。これにより、バスバー48のバスバー端子部48Aが一対の端子圧入部88Bの間に圧入されて、端子圧入部88Bがバスバー端子部48Aに圧接されるようになっている。換言すると、バスバー端子部48Aが端子圧入部88Bに圧入固定される構成になっている。
【0067】
また、この収容状態では、端子接続部88が、端子ホルダ81のガイドリブ85Fによって第2方向に挟持されると共に、端子ホルダ81のベース部82(つまり、回路基板70)に対して下側に離間して配置されている。すなわち、端子接続部88とベース部82との間には、隙間が形成されており、端子接続部88が、上下方向に相対変位可能に端子ホルダ81に保持されている。
【0068】
連結部89は、第2方向を板厚方向とした略矩形板状に形成されて、端子固定部87における他方のターミナル部87B2の基端部と端子接続部88の上端部とを連結している。すなわち、接続端子86は、端子接続部88における端子圧入部88Bを除いて、屈曲部を有しない平板状に形成されている。また、連結部89は、圧入溝88Aよりも上側(回路基板70側)に配置されると共に、端子ホルダ81の収容部85C内に収容されている。すなわち、連結部89と圧入溝88Aとが上下方向にずれて配置されている。
【0069】
さらに、連結部89の端子固定部87側の部分が、端子ホルダ81の支持突起部85Hに対して下側に隣接して配置されて、支持突起部85Hに当接している。換言すると、支持突起部85Hが、連結部89の端子固定部87側の部分を回路基板70側から支持している。これにより、バスバー48の端子接続部88への圧入時に、上向きの圧入荷重が端子接続部88に作用したときには、支持突起部85Hによって当該圧入荷重を受けるように構成されている。また、所定値以上の圧入荷重が連結部89に入力されたときには、連結部89が、支持突起部85Hとの当接部位を起点に撓み変形して、端子接続部88が回路基板70側へ変位するように構成されている。
【0070】
<コネクタアッシー90について>
図1図6に示されるように、コネクタアッシー90は、モールド部91を有しており、モールド部91は、樹脂材(絶縁材)によって構成されている。モールド部91は、モールドベース92と、3箇所の第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cと、を含んで構成されている。モールドベース92は、上下方向を板厚方向としたプレート状に形成されている。そして、モールドベース92が、ヒートシンク60における第1方向他方側の部分の上側に隣接して配置されて、ヒートシンク60のターミナル挿通部60Gを閉塞している。換言すると、ヒートシンク60における放熱部65(第1方向一方側の部分)が、モールドベース92(モールド部91)によって覆われておらず、回転電機10の外部に露出されている。
【0071】
モールドベース92には、ヒートシンク60の第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに対応する位置において、5箇所の固定孔92Aが貫通形成されている。そして、固定ネジSC3が、固定孔92A内に挿入され、第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに螺合されることで、モールドベース92(すなわち、コネクタアッシー90)がヒートシンク60に固定されている。
【0072】
第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cは、それぞれ筒状に形成されて、モールドベース92の第1方向他方側の端部から下側へ延出されている。また、第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cは、ハウジング20の上端部の径方向外側に配置されると共に、ハウジング20の周方向に並んで配置されている。すなわち、第1コネクタ部93A~第3コネクタ部93Cは、下側へ開放された筒状に形成されている。
【0073】
また、コネクタアッシー90は、回路基板70と車両の制御部とを接続するための複数のターミナル94を有しており、ターミナル94は、モールド部91に一体に形成されている。具体的には、ターミナル94の長手方向中間部が、ヒートシンク60のターミナル挿通部60G内を挿通して、ターミナル94の一端部が、回路基板70に半田付けされている。これにより、ターミナル94の一端部の回路基板70への半田付け状態を、ヒートシンク60の段差部62と回路基板70との間の隙間Gから、視認できるように構成されている(図4(B)参照)。また、ターミナル94の他端部が、第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cの内部にそれぞれ配置されている。そして、車両側の外部コネクタが、第1コネクタ部93A~第3コネクタ部93Cに接続されている。これにより、車両側から回路基板70に電流が供給されると共に、制御信号が出力されて、モータ部12が、回路基板70の制御によって駆動する構成になっている。
【0074】
(作用効果)
次に、回転電機10の組立手順を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0075】
上記のように構成された回転電機10の組立では、先にモータ部12及びECUユニット14を、それぞれユニット状態に組付ける。すなわち、モータ部12のユニット状態では、3本のバスバー48のバスバー端子部48Aが、プレートホルダ24から上側へ延出されて、第2方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0076】
一方、ECUユニット14をユニット状態に組付けるときには、初めに、ヒートシンク60に回路基板70を固定する。具体的には、ヒートシンク60の下側に回路基板70を配置して、ヒートシンク60の接地部61に回路基板70を接地する。このとき、回路基板70における一方の基板側位置決め孔70B内に挿入されたコネクタ80(端子ホルダ81)の位置決めピン82Cを、ヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66Aの内部に挿入させる。また、回路基板70における他方の基板側位置決め孔70B内に挿入されたコネクタ80の位置決めピン82Cを、ヒートシンク60の第2ヒートシンク側位置決め孔67Aの内部に挿入させる。これにより、回路基板70のヒートシンク60に対する位置が、端子ホルダ81の位置決めピン82Cによって決定される。そして、固定ネジSC2をヒートシンク60の第1基板固定ネジ部63A1~第4基板固定ネジ部63D1に螺合させて、固定ネジSC2によって回路基板70をヒートシンク60に固定する。これにより、ヒートシンク60に対するコネクタ80の相対位置が決定した状態で、回路基板70がヒートシンク60に固定される。
【0077】
次に、コネクタアッシー90を、ヒートシンク60の上側に配置して、ヒートシンク60に固定する。具体的には、コネクタアッシー90のターミナル94を、ヒートシンク60のターミナル挿通部60G内に挿入させる。そして、ターミナル94の一端部を回路基板70の端子孔内に挿入させると共に、モールドベース92をヒートシンク60の第1方向他方側の上側に隣接配置する。この状態で、固定ネジSC3をヒートシンク60の第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに螺合させて、固定ネジSC3によってコネクタアッシー90をヒートシンク60に固定する。また、コネクタアッシー90のターミナル94の一端部を回路基板70に半田付けによって固定する。これにより、ヒートシンク60における第1方向一方側の部分が外部に露出された状態で、コネクタアッシー90がヒートシンク60に固定される。以上により、ECUユニット14がユニット状態に組付けられる。
【0078】
次に、ECUユニット14をモータ部12におけるハウジング20の開口端部に組付ける。具体的には、ECUユニット14をハウジング20の上側に配置し、その後、ヒートシンク60をハウジング20の開口端部内に嵌入させる。このとき、モータ部12におけるバスバー48のバスバー端子部48Aを、回路基板70の接続端子86における一対の端子圧入部88B間に下側から圧入する。これにより、バスバー48が、接続端子86に圧入固定される。したがって、ECUユニット14とモータ部12とが、電気的に接続された状態で、ハウジング20の開口端部がヒートシンク60によって閉塞される。
【0079】
ヒートシンク60をハウジング20の開口端部内に嵌入させた後、固定ネジSC1を、ハウジング20のネジ部20B1に螺合させて、固定ネジSC1によって、ヒートシンク60(ECUユニット14)をハウジング20に固定する。これにより、ECUユニット14がハウジング20に固定される。以上により、回転電機10の組立が完了する。
【0080】
ところで、バスバー48のバスバー端子部48Aを、接続端子86における一対の端子圧入部88B間に圧入するときには、上側への圧入荷重が、接続端子86の端子接続部88に作用する。そして、バスバー端子部48Aの端子圧入部88Bへの圧入時に、仮に、両者の位置が第1方向にずれていると、バスバー端子部48Aが、端子圧入部88Bを抉りながら、一対の端子圧入部88B間に圧入される。この場合には、接続端子86における回路基板70との固定部位(ターミナル部87B1,87B2)に比較的高い圧入荷重が作用する。つまり、接続端子86(ターミナル部87B1,87B2)と回路基板70との半田付け部に、比較的高い応力が発生する。このとき、仮に、当該半田付け部にクラック等が生じると、接続端子86と回路基板70との間の接続不良が発生して、回転電機10の信頼性が低下する可能性がある。
【0081】
ここで、接続端子86は、回路基板70に固定され且つ端子ホルダ81に保持された端子固定部87と、端子固定部87に対して第1方向他方側に配置され且つバスバー48を圧入するための端子接続部88と、を含んで構成されている。また、端子接続部88は、回路基板70(詳しくは、端子ホルダ81のベース部82)に対して下側に離間して配置されている。さらに、接続端子86は、端子固定部87及び端子接続部88を連結する連結部89を有しており、連結部89が、上下方向(すなわち、バスバー48の接続端子86への圧入方向)に撓み変形可能に構成されている。このため、所定値以上の圧入荷重が端子接続部88に入力されると、連結部89が回路基板70側へ撓み変形して、端子接続部88が回路基板70側へ変位する。これにより、接続端子86に入力された圧入荷重が、連結部89を撓み変形させる荷重として用いられるため、端子固定部87(ターミナル部87B1,87B2)に伝達される圧入荷重を低減することができる。つまり、端子固定部87と回路基板70との半田付け部に作用する応力を緩和することができる。その結果、当該半田付け部におけるクラック等の発生を抑制することができる。
以上により、本実施の形態の回転電機10によれば、回転電機10の信頼性を向上しつつ、バスバー48を接続端子86に圧入することができる。
【0082】
また、接続端子86では、連結部89が、圧入溝88Aよりも回路基板70側(すなわち、圧入溝88Aの開口側とは反対側)に配置されている。これにより、端子固定部87に伝達される圧入荷重を一層低減することができる。
つまり、バスバー端子部48Aの端子圧入部88Bへの圧入時には、圧入溝88Aが第1方向に広がるように、端子接続部88が弾性変形する。そして、上述のように、連結部89を、圧入溝88Aよりも回路基板70側に配置することで、連結部89と圧入溝88Aとを上下方向にずらすことができる。このため、バスバー端子部48Aの圧入時において、端子接続部88の弾性変形を阻害することなく、端子接続部88の全体を良好に弾性変形させることができる。これにより、バスバー端子部48Aの圧入時における圧入荷重を、端子接続部88の全体に分散させつつ、連結部89を撓み変形させることができる。したがって、端子固定部87に伝達される圧入荷重を一層低減することができる。
【0083】
また、端子ホルダ81は、ベース部82から下側へ突出された支持突起部85Hを有しており、支持突起部85Hが、連結部89の端子固定部87側の部分の上側に隣接配置されている。このため、連結部89の端子固定部87側の部分が、支持突起部85Hによって回路基板70側から支持されている。これにより、バスバー端子部48Aの圧入時に端子接続部88に入力される圧入荷重を、支持突起部85Hによって受けて、ベース部82を介して端子ホルダ81に伝達することができる。このため、圧入荷重を端子ホルダ81に分散することができる。
また、所定値以上の圧入荷重が連結部89に入力されたときには、連結部89が、支持突起部85Hとの当接部位を起点に撓み変形して、端子接続部88が上側へ変位する。以上により、圧入荷重を端子ホルダ81に分散しつつ、連結部89を撓み変形させることができる。したがって、端子固定部87に伝達される圧入荷重を効果的に低減することができる。
【0084】
また、接続端子86の圧入溝88Aには、第2方向に屈曲された一対の端子圧入部88Bが形成されており、一対の端子圧入部88Bの間に、バスバー48を圧入する。これにより、バスバー48と接続端子86との接触領域を大きくすることができる。したがって、バスバー48と接続端子86との接続状態を良好に維持することができる。
【0085】
また、接続端子86は、圧入溝88Aの端子圧入部88Bを除く部分において、接続端子86の板厚方向に屈曲する屈曲部を有していない。すなわち、接続端子86では、回路基板70に半田付けされるターミナル部87B1,87B2と、バスバー48が圧入される端子圧入部88Bと、の間の部位には、接続端子86の板厚方向に屈曲する屈曲部が形成されていない。これにより、仮に、ターミナル部87B1,87B2と端子圧入部88Bとの間に屈曲部を形成した比較例の接続端子と比べて、接続端子86の板厚方向における、ターミナル部87B1,87B2と端子圧入部88Bとの位置ずれを抑制することができる。したがって、例えば、接続端子86の寸法精度を向上することができると共に、接続端子86の単体における寸法管理を容易に行うことができる。
また、上記比較例の接続端子と比べて、接続端子86の体格の小型化に寄与することができる共に、ひいては、接続端子86を保持する端子ホルダ81の小型化に寄与することができる。したがって、コネクタ80を小型化することができる。
【0086】
また、接続端子86における端子固定部87には、上下方向に延在され且つ第1方向に並ぶ一対のターミナル部87B1,87B2が形成されており、一対のターミナル部87B1,87B2が、回路基板70の端子孔70C内に挿入されて、回路基板70に半田付けされている。これにより、例えば、端子固定部において1箇所のターミナル部を有する接続端子と比べて、ターミナル部87B1,87B2と回路基板70との半田付け部に作用する応力を一層緩和することができる。したがって、回転電機10の信頼性を一層向上することができる。
【0087】
また、端子固定部87において、一対のターミナル部87B1,87B2を設けることで、ターミナル部87B1,87B2を回路基板70に固定(接続)する半田の半田付け性を向上することができる。また、モータ部12と回路基板70との間を流れる電流の大電流化に対応することができる。
【0088】
また、端子ホルダ81は、回路基板70の下面に設置されたベース部82と、ベース部82から下側(モータ部12側)へ突出されたホルダ部84及びカバー部85と、を含んで構成されている。そして、接続端子86の端子固定部87(ターミナル部87B1,87B2)がホルダ部84によって保持されており、接続端子86の端子接続部88及び連結部89が、カバー部85によって上下方向に相対変位可能に覆われている。このため、端子接続部88及び連結部89の回路基板70に対する相対変位を許容しつつ、コネクタ80を回路基板70に安定して設置することができる。
【0089】
また、端子ホルダ81のベース部82には、一対の位置決めピン82Cが形成されている。そして、一方の位置決めピン82Cが、回路基板70の一方の基板側位置決め孔70B及びヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66Aに嵌入されている。さらに、他方の位置決めピン82Cが、回路基板70の他方の基板側位置決め孔70B及びヒートシンク60の第2ヒートシンク側位置決め孔67Aに嵌入されている。このため、ヒートシンク60に対するコネクタ80の位置を、コネクタ80の端子ホルダ81によって決めつつ、回路基板70をヒートシンク60に固定することができる。これにより、ECUユニット14をモータ部12に組付けるときの作業性を向上することができる。
【0090】
すなわち、仮に、端子ホルダ81の位置決めピン82Cを、ヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66A及び第2ヒートシンク側位置決め孔67Aに嵌入しない構成にした場合には、ヒートシンク60に対する回路基板70の位置を決めるために、例えば、ヒートシンク60に位置決め用のボスを設けると共に、回路基板70に当該ボスが嵌入される孔部を形成する構造が考えられる(以下、この構造を比較例の固定構造という)。この場合には、ヒートシンク60に対する回路基板70の位置が、当該ボスによって決定され、回路基板70に対するコネクタ80の位置が、端子ホルダ81の位置決めピン82Cによって決定される。このため、比較例の固定構造では、ヒートシンク60に対するコネクタ80(接続端子86)の位置ずれが発生し易くなる。つまり、例えば、部品の寸法公差等による、ヒートシンク60に対する回路基板70の位置ずれ、及び回路基板70に対する端子ホルダ81の位置ずれによって、ヒートシンク60に対するコネクタ80の位置がずれる可能性がある。この場合には、ヒートシンク60をハウジング20の開口部に組付けるときに、モータ部12のバスバー端子部48Aと、コネクタ80の接続端子86と、の間で位置ずれが発生して、バスバー端子部48Aを接続端子86の端子圧入部88Bに良好に圧入固定させることができなくなる可能性がある。これにより、ECUユニット14をモータ部12に組付けるときの作業性が悪化する虞がある。
【0091】
これに対して、本実施の形態では、上述のように、回路基板70の一方の基板側位置決め孔70Bに嵌入された端子ホルダ81の位置決めピン82Cが、ヒートシンク60の第1ヒートシンク側位置決め孔66Aに嵌入され、回路基板70の他方の基板側位置決め孔70Bに嵌入された端子ホルダ81の位置決めピン82Cが、ヒートシンク60の第2ヒートシンク側位置決め孔67Aに嵌入されている。このため、回路基板70に設けられた端子ホルダ81(コネクタ80)のヒートシンク60に対する位置を、端子ホルダ81の位置決めピン82Cによって直接決めつつ、回路基板70をヒートシンク60に固定することができる。これにより、ヒートシンク60に対するコネクタ80(接続端子86)の位置ずれを、上記比較例の固定構造よりも抑制することができる。その結果、ヒートシンク60をハウジング20の開口部に組付けるときの、モータ部12のバスバー端子部48Aと、端子ホルダ81に保持された接続端子86と、の間の位置ずれを抑制することができる。したがって、バスバー端子部48Aを接続端子86の端子圧入部88Bに良好に圧入固定させることができる。以上により、ECUユニット14をモータ部12の開口部に組付けるときの作業性を向上することができる。
【0092】
また、端子ホルダ81におけるカバー部85の第1側壁85Aには、ガイド溝85Dが形成されており、ガイド溝85Dの開口部に傾斜部85Eが形成されている。さらに、傾斜部85Eが、接続端子86の端子圧入部88Bよりもモータ部12側に配置されている。このため、バスバー48の端子接続部88への圧入時に、仮に、バスバー端子部48Aが端子接続部88に対して第1方向にずれた場合には、バスバー端子部48Aを、傾斜部85Eによってガイドしながら、一対の端子圧入部88B内に挿入させることができる。これにより、ECUユニット14をモータ部12へ組付けるときの組付性を向上することができる。
【0093】
また、コネクタ80では、端子ホルダ81が、複数(3箇所)の保持本体部83を有しており、3つの接続端子86が、保持本体部83にそれぞれ保持されている。このため、複数の接続端子86をまとめて回路基板70に組付けることができる。したがって、コネクタ80の回路基板70への組付性を向上することができる。
【0094】
なお、本実施の形態では、接続端子86における一対の端子圧入部88Bが、第2方向一方側に屈曲されているが、端子圧入部88Bを以下のように形成してもよい。すなわち、端子圧入部88Bにおける屈曲を省略して、端子圧入部88Bを圧入溝88Aの溝幅方向内側へ突出した突起状に形成してもよい。この場合には、接続端子86において、接続端子86の板厚方向に屈曲する屈曲部が形成されてないため、接続端子86における曲げ加工が不要になる。したがって、接続端子86を安価に製作することができると共に、回転電機10のコストダウンに寄与することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、接続端子86が、一対のターミナル部87B1,87B2を有しており、ターミナル部87B1,87B2が、回路基板70の端子孔70C内に挿入されて、半田付けによって回路基板70に固定されているが、接続端子86の回路基板70への固定構造はこれに限らない。例えば、ターミナル部87B1,87B2の代わりに、回路基板70の下面に実装される端子を端子固定部87に形成してもよい。また、例えば、接続端子86の端子固定部87に、1箇所のターミナル部を形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 回転電機
12 モータ部
48 バスバー
60 ヒートシンク
66A 第1ヒートシンク側位置決め孔(ヒートシンク側位置決め孔)
67A 第2ヒートシンク側位置決め孔(ヒートシンク側位置決め孔)
70 回路基板(基板)
70B 基板側位置決め孔
70C 端子孔
80 コネクタ
81 端子ホルダ(ホルダ)
82 ベース部
84 ホルダ部
85 カバー部
85D ガイド溝
85H 支持突起部(支持部)
86 接続端子
87 端子固定部(固定部)
87B1 ターミナル部
87B2 ターミナル部
88 端子接続部
88A 圧入溝(溝部)
88B 端子圧入部(圧入部)
89 連結部
図1
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図11