(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】往復動刈刃装置
(51)【国際特許分類】
A01D 34/13 20060101AFI20230523BHJP
A01G 3/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A01D34/13 C
A01G3/04 501B
(21)【出願番号】P 2019121832
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦夫
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-50414(JP,A)
【文献】特開2008-136370(JP,A)
【文献】特開2003-319713(JP,A)
【文献】実開昭53-87237(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D34/00 - 34/01
34/412 - 34/90
42/00 - 42/08
43/06 - 43/077
A01G 3/00 - 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に互いに重ねた状態で配備される一対の往復動刈刃と、
前記往復動刈刃を長手方向に往復移動自在に支持する支持部材と、
前記支持部材の下面側で前記往復動刈刃の隙間を調整する調整機構とを備え、
前記調整機構は、
前記支持部材に設けたネジ孔と、
前記往復動刈刃に設けた長孔を通して前記ネジ孔に螺合する雄ネジ部を備えた調整ネジと、
前記支持部材の上面側に突出した前記雄ネジ部に螺合して前記雄ネジ部と前記支持部材とを固定するナットとを備え、
前記支持部材の上面側に突出する前記雄ネジ部には、前記調整ネジの回転を操作する被操作部が設けられていることを特徴とする往復動刈刃装置。
【請求項2】
前記被操作部は、前記雄ネジ部の先端に設けたすり割り部であることを特徴とする請求項1記載の往復動刈刃装置。
【請求項3】
前記被操作部は、前記雄ネジ部の先端に設けた
孔部であることを特徴とする請求項1記載の往復動刈刃装置。
【請求項4】
前記支持部材が独立して取り付けられる伝動ケースを備え、
前記調整ネジを取り外すことで、前記伝動ケースに前記支持部材を取り付けた状態で、前記往復動刈刃を前記支持部材から取り外し可能にしたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の往復動刈刃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動刈刃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
往復動式(所謂バリカン式)の刈刃を具備した往復動刈刃装置を備えたものとしては、枝葉の刈り込みや剪定作業を行う刈り込み機(ヘッジトリマー)が一般に知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、往復動刈刃は、一般の刈り払い機に採用されている回転刃やナイロンカッターに比べると、作業時に飛散物が発生し難い利点があるので、この利点を生かし、手持ち式の操作桿の先端に往復動刈刃装置を装備して地面の草刈り作業を行う刈り払い機が提案されている(下記特許文献2参照)。
【0004】
前述した往復動刈刃は、一枚の刃物が、長手方向に延長する平板状の基部とこの基部から長手方向に交差する方向に突設された複数の刃部を備えており、2枚の刃物が厚さ方向に重ねられて、一対の往復動刈刃を構成している。そして、一対の往復動刈刃は、接触面で摺動しながら長手方向に往復移動することで、一方の刃物の刃部と他方の刃物の刃部に挟まった物に切断作用を加える。
【0005】
このような往復動刈刃は、2枚の刃物の隙間が刈刃の切断性能(切れ味)に大きく影響する。刈刃の切れ味を良い状態に保つためには、2枚の刃物の隙間を適正な幅に調整することが必要になる。刈刃は、ある程度使用すると刃物が摩耗して2枚の刃物の隙間が広がってしまい切れ味が低下する。従来技術の往復動刈刃装置は、刃物の摩耗に対して刈刃の切れ味を回復させるために、2枚の刃物の隙間を調整することができる調整機構を備えている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-136370号公報
【文献】特開2016-49082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の調整機構は、支持板の下面側に2枚の刃物を重ねた状態で摺動自在に支持する構造において、支持板に設けた雌ねじ部に、ワッシャと2枚の刃物の長孔を貫通した調整ねじの雄ネジ部を螺合して、ワッシャと支持板の間に2枚の刃物を配置し、調整ねじのねじ込み状態を加減することで2枚の刃物の隙間を調整している。そして、支持板の上面側に突出した調整ねじの雄ネジ部にナットを螺合することで雄ネジ部と支持板とを固定して、調整した隙間を保持している。
【0008】
このような調整機構によって2枚の刃物の隙間調整を行う際には、作業者は先ず、支持板の上面側のナットを緩め、2枚の刃物の下側で調整ねじの締め込み(ボルト回し)を行う。そして、2枚の刃物間に適度な隙間を設けるために、2枚の刃物の下側から調整ねじを半回転ほど緩める。これによって適度の隙間が確保されると、2枚の刃物の下側から工具で調整ねじが回らないように保持し、支持板の上面側のナットを締め込んで、調整された隙間を固定する。
【0009】
これによると、調整を行う作業者は、支持板の上面側でナットの締め緩めを行い、2枚の刃物の下側で調整ねじの締め込みなどを行うため、刃物を挟んだ上側と下側にそれぞれ手を回して刃物の上側と下側を交互に視認しながら作業をすることになり、刃物との接触を気にしながらの作業になるため、調整作業が繁雑にならざるを得ない問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものであり、往復動刈刃装置における2枚の刃物の隙間調整を簡易に行うことができる調整機構を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
厚さ方向に互いに重ねた状態で配備される一対の往復動刈刃と、前記往復動刈刃を長手方向に往復移動自在に支持する支持部材と、前記支持部材の下面側で前記往復動刈刃の隙間を調整する調整機構とを備え、前記調整機構は、前記支持部材に設けたネジ孔と、前記往復動刈刃に設けた長孔を通して前記ネジ孔に螺合する雄ネジ部を備えた調整ネジと、前記支持部材の上面側に突出した前記雄ネジ部に螺合して前記雄ネジ部と前記支持部材とを固定するナットとを備え、前記支持部材の上面側に突出する前記雄ネジ部には、前記調整ネジの回転を操作する被操作部が設けられていることを特徴とする往復動刈刃装置。
【発明の効果】
【0012】
このような特徴を備えた本発明によると、支持部材の上側に突出する雄ネジ部に螺合するナットを緩めて、支持部材の上側に突出する雄ネジ部に設けられる被操作部を工具で操作して調整ネジを回転することで隙間調整を行い、支持部材の上側にて雄ネジ部に螺合したナットを締めて調整ネジの雄ネジ部を支持部材に固定することができる。これにより、支持部材の上側のみの操作で往復動刈刃の隙間調整を行うことができ、2枚の往復動刃物の隙間調整を安全且つ簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る往復動刈刃装置の要部を示した説明図。
【
図2】本発明の実施形態に係る往復動刈刃装置の要部を示した断面図。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る往復動刈刃装置の要部を示した断面図。
【
図4】往復動刈刃装置の一形態例を示した外観斜視図。
【
図5】往復動刈刃装置の一形態例を示した分解斜視図。
【
図6】往復動刈刃装置を備える手持ち作業機の一例を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0015】
図1及び
図2は、本発明の往復動刈刃装置の要部を示している。往復動刈刃装置1は、厚さ方向に互いに重ねた状態で配備される一対の往復動刈刃(以下、単に刈刃)2と、刈刃2を長手方向に往復移動自在に支持する支持部材3とを備えており、支持部材3の下面側で一対の刈刃2の隙間を調整する調整機構100を備えている。
【0016】
刈刃2は、金属板からなる2枚の刃物2A,2Bを厚さ方向(図示Z方向)に互いに重ねた状態で配備している。刈刃2を構成する各刃物2A,2Bは、長手方向(図示X方向)に延長している平板状の基部20と、長手方向に交差する方向(図示Y方向)に突設されている複数の刃部21を備えている。
【0017】
刃物2A,2Bの基部20は、支持部材3に支持される部分であり、複数の長孔20Aが刈刃2の長手方向(図示X方向)に沿って設けられている。刃物2A,2Bに設けられる刃部21は、図示のようにY方向の両側に設けても良いし、片側のみに設けても良い。この刃部21は、所謂バリカン刃であり、2枚の刃物2A,2Bを長手方向に沿って互いに摺動させることで、一方の刃物2Aの刃部21と他方の刃物2Bの刃部21の間に挟まる草などに切断作用を加える。
【0018】
支持部材3は、一対の刈刃2(刃物2A,2B)の基部20を長手方向(図示X方向)に移動自在に支持している。この支持部材3は、刈刃2の長手方向に沿って配備された板状部材あり、単体で一対の刈刃2を支持するものであってもよいし、2枚の板状部材で一対の刈刃2の基部20を挟むように支持するものであってもよい。
【0019】
調整機構100は、支持部材3の下面側で一対の刈刃2の隙間を調整する。各刃物2A(2B)は、薄厚の板材であって、それ単体では刃物としての剛性を有さないが、2枚の刃物2A,2Bを重ねることで刃物としての剛性が得られる。この際、両者間の隙間は、往復動時の摺動抵抗を低く抑える上である程度必要ではあるが、その隙間が必要以上に大きくなると切断性能(切れ味)が低下することになる。
【0020】
刈刃2は、繰り返しの使用で刃部21だけでなく基部20や上下支持板3A,3Bに摩耗が生じると、刃物2A,2B間の隙間が大きくなって切れ味が鈍ることになるので、2枚の刃物2A,2B間の隙間調整は、刈刃2の切れ味を維持する上で重要なメンテナンスになっている。刃物2A,2Bの切れ味が鈍った場合に、調整機構100によって刃物2A,2B間を適正な間隔に調整して切れ味を回復させる。
【0021】
調整機構100は、支持部材3に設けたネジ孔101と、刈刃2に設けた長孔20Aを通してネジ孔101に螺合する雄ネジ部102Aを備えた調整ネジ102と、支持部材3の上面側に突出した雄ネジ部102Aに螺合して雄ネジ部102Aと支持部材3とを固定するナット103とを備えている。
【0022】
そして、この調整機構100には、支持部材3の上面側に突出する雄ネジ部102Aに、調整ネジ102の回転を操作する被操作部200が設けられている。
図1及び
図2に示す例では、被操作部200は、雄ネジ部102Aの先端に設けたすり割り部200Aであり、このすり割り部200Aにマイナスドライバーなどの工具を係合させることで、調整ネジ102を支持部材3の上面側から操作することができる。
【0023】
図示の例では、調整機構100は、刈刃2の下側からワッシャ104を介して調整ネジ102を長孔20Aに通し、支持部材3のネジ孔101に調整ネジ102の雄ネジ部102Aを螺合しており、ワッシャ104と支持部材3との間隔を調整することで、刃物2A,2Bの隙間を調整している。
【0024】
このような調整機構100によって刃物2A,2Bの隙間調整を行う際には、先ず、支持部材3の上側から調整ネジ102の被操作部200に工具を係合して調整ネジ102の回転を止め、支持部材3の上側にあるナット103を緩める。そして、被操作部200に係合している工具で支持部材3の上側から調整ネジ102を回して、隙間調整を行う。最後に、被操作部200に係合している工具で支持部材3の上側から調整ネジ102の回転を止めた状態で、支持部材3の上側にあるナット103を締め付けて、調整ネジ102を支持部材3に固定する。
【0025】
このような調整機構100によると、刃物2A,2Bの下面側に手を回して調整ネジ102を操作する必要が無く、また、作業者は、刈刃2の上側のみを視認しながら調整作業を行うことができる。これによって、刃物2A,2Bの隙間調整を簡易且つ安全に行うことができる。
【0026】
図3は、調整機構100における被操作部200の他の形態例を示している。この例では、被操作部200は、調整ネジ102の雄ネジ部102Aの先端部に設けた孔部200Bによって構成されている。この孔部200Bにピン状の工具を挿入して、前述した例と同様に調整ネジ102を操作することで、作業者は、刈刃2の上側のみを視認しながら調整作業を行うことができ、刃物2A,2Bの隙間調整を簡易且つ安全に行うことができる。
【0027】
図4及び
図5は、前述した調整機構を備える往復動刈刃装置の一形態例を示している。ここでは、刈刃をT字形に配置した例を説明するが、往復動刈刃装置の形態は特にこれに限定されるものではない。
【0028】
この往復動刈刃装置1は、伝動ケース4を備えている。伝動ケース4は、刈刃2を往復動させる伝動機構が配備されている。伝動機構は図示省略した駆動軸の回転を往復動に変換するものであり、刈刃2の長手方向(図示X方向)に往復移動自在に支持される往復移動体(コネクティングロッド)40(40A,40B)やカム41などを備えている。
【0029】
往復移動体40(40A,40B)は、各刃物2A,2Bにおける基部20にそれぞれ連結する連結部40tを具備している。この連結部40tは、刈刃2の長手方向に直交する方向(図示Y方向)に向けて突出する凸部を有している。そして、連結部40tが連結する基部20の被連結箇所には、前述した連結部40t(凸部)が係合する凹部20Bが設けられている。
【0030】
図示の例では、往復移動体40(40A,40B)は、それぞれカム41が係合する係合孔40mと、伝動ケース4内のガイド部材42におけるガイド片42Aに嵌まるガイド孔40nを備えている。ガイド孔40nは、図示X方向に沿って、係合孔40mの左右両側に一対設けられている。
【0031】
前述した支持部材3は、伝動ケース4に取り付けられ、一対の刈刃2(刃物2A,2B)の基部20を挟んで、刈刃2を長手方向(図示X方向)に移動自在に支持している。この支持部材3は、図示の例では、刈刃2の長手方向(図示X方向)に延びる一対の支持板(上支持板3Aと下支持板3B)を備えている。
【0032】
支持部材3の上支持板3Aと下支持板3Bは、間にスペーサ30を介して締結されることで、一対の刈刃2が収容されるスペースを保持しており、このスペースを保持した状態で、伝動ケース4に独立して取り付けられている。そして、一対の刈刃2は、前述したスペース内に収容されて、支持部材3に対して着脱自在に取り付けられている。
【0033】
図5を参照して、刈刃2及び支持部材3の締結・支持構造を具体的に説明する。先ず、支持部材3の上支持板3Aは、取り付けネジ31を伝動ケース4の孔4Aに通して、上支持板3Aのネジ孔31Aにねじ込むことで、伝動ケース4に独立して取り付けられている。これに対して、上支持板3Aと下支持板3Bは、一対の刈刃2には干渉しない締結箇所32Aで、締結ネジ32によって締結されている。締結ネジ32は、下支持板3Bの孔とスペーサ30を貫通して、上支持板3Aの締結箇所32Aにねじ込まれる。これにより、上支持板3Aと下支持板3Bは、間にスペーサ30の厚さスペースを確保した状態で締結され、この状態で伝動ケース4に取り付けられている。
【0034】
そして、上支持板3Aと下支持板3Bに挟まれる一対の刈刃2(刃物2A,2B)は、前述した締結箇所32Aとは異なる箇所で、調整ネジ102によって、支持部材3に往復動自在に支持されている。ここで、4本の調整ネジ102(a~d)のうち2本の調整ネジ102(a),102(d)が、前述したようにワッシャ104に挿入されて、一対の刈刃2の長孔20Aを通って上支持板3Aのネジ孔101にねじ込まれ、ナット103にて固定されている。また、別の2本の調整ネジ102(b),102(c)が、下支持板3Bの孔に挿入されて、一対の刈刃2の長孔20Aを通って上支持板3Aのネジ孔101にねじ込まれ、ナット103にて固定されている。
【0035】
この際、調整ネジ102(a),102(d)は、ワッシャ104と上支持板3Aとの間隔を調整することで、両者間に挟まれている2枚の刃物2A,2Bの隙間を調整できるようになっており、調整ネジ102(b),102(c)は、上支持板3Aと下支持板3Bとの間隔を調整することで、両者間に挟まれている2枚の刃物2A,2Bの隙間を調整できるようになっている。
【0036】
ここで、調整ネジ102(a~d)によって、一対の刈刃2が支持部材3(上支持板3A)に支持される箇所は、取り付けネジ31によって支持部材3(上支持板3A)が伝動ケース4に取り付けられるネジ孔31Aとは異なる位置になっている。これにより、調整ネジ102(a~d)を取り外すだけで、支持部材3を伝動ケース4に取り付けたままの状態で、一対の刈刃2の取り外しが可能になる。
【0037】
上支持板3Aと下支持板3Bの間にはスペーサ30が介在しているが、スペーサ30を介して上支持板3Aと下支持板3Bを締結している締結箇所32Aとは異なる箇所に、調整ネジ102(b),102(c)が設けられているので、調整ネジ102(b),102(c)の締め込みで、上支持板3Aと下支持板3Bが弾性変形して両者の間隔を調整することができる。
【0038】
一対の刈刃2の着脱は、調整ネジ102を取り外すだけで、往復動刈刃装置1を分解することなく、簡単に行うことができる。すなわち、ナット103を調整ネジ102から外し、調整ネジ102を上支持板3Aのネジ孔101から外して調整ネジ102を引き抜くだけで、一対の刈刃2は、支持部材3(上支持板3Aと下支持板3B)との関係がフリーになる。図示の例では、調整ネジ102の列を締結ネジ32の列と違う列にして、一対の刈刃2を往復動刈刃装置1から取り外す際に扱うネジを間違えないようにしている。
【0039】
刈刃2と伝動ケース4内の伝動機構との連結は、往復移動体40の連結部40tが刈刃2の基部20に連結しているのみであり、連結部40tの図示Y方向に突出する凸部が基部20の同方向に凹む凹部20Bの係合しているのみであるから、一対の刈刃2を図示Y方向に引き抜くことで、簡単に一対の刈刃2を支持部材3から取り外すことができる。
【0040】
図6は、前述した往復動刈刃装置1を備える手持ち作業機の一例を示している。図示の手持ち作業機10は、操作桿11を備えており、操作桿11の先端部は、伝動ケース4に装備される操作桿装着部43に装着されている。操作桿装着部43は、角度調整機構43Aを介して伝動ケース4に装備されており、角度調整機構43Aによって、刈刃2の作業面に対する操作桿11の立ち角度が調整できるようになっている。
【0041】
操作桿11の内部には、前述した伝動機構に動力を伝達する駆動軸(図示省略)が設けられている。また、操作桿11の基端には、駆動軸を駆動する駆動部12が配備され、更に、操作桿11の基端側には、操作ハンドル13が設けられている。操作ハンドル13は、操作桿11の上側に把持部13Aを有している。
【0042】
駆動部12は、操作桿11内の駆動軸を介して往復動刈刃装置1を駆動するものであり、操作桿11と略同軸に配置されるモータが内部に収容されるハウジング14を備えている。ハウジング14には、往復動刈刃装置1をオンオフ操作する操作スイッチ14Bを備えたリアハンドル14Aが設けられ、また、ハウジング14内のモータに給電するバッテリユニット15が外付けされている。
【0043】
この手持ち作業機10は、往復動刈刃装置1を備えた電動式の刈り払い機であり、刈刃2の長手方向が操作桿11の長手方向に対して交差する方向に配備されていることで、操作桿11の先端に往復動刈刃装置1がT字状に装備されている。この手持ち作業機10は、操作ハンドル13とハウジング14のリアハンドル14Aを作業者が手で持って、操作桿11を地面に対して所定の立ち角度にした状態で、往復動刈刃装置1を駆動して、往復動刈刃装置1を地面に沿って移動しながら刈り払い作業を行う。
【0044】
このような手持ち作業機10によると、操作桿11を左右に振らなくても、往復動刈刃装置1の刈刃2の長手方向の幅が作業幅になり、作業者は、操作桿11を前方に押しながら作業するだけで、前述した作業幅での刈り払い作業を行うことができる。このため、往復動刈刃装置1を素早く前進させながら作業を行うことが可能になり、作業効率の高い刈り払い作業を実現することができる。また、往復動刈刃で刈り払い作業を行うので、作業中の飛散物の発生を抑えることができる。これによって、作業者及びその周囲の安全を確保することができると共に、作業現場近くの他人の資産を傷付けることなく、刈り払い作業を行うことが可能になる。
【0045】
また、この手持ち作業機10によると、一対の刈刃2の隙間調整を簡易且つ安全に行うことができるので、繰り返しの作業に対してメンテナンス性の高い作業機を提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1:往復動刈刃装置,
2:往復動刈刃(刈刃),2A,2B:刃物,
20:基部,20A:長孔,20B:凹部,21:刃部,
3:支持部材,3A:上支持板,3B:下支持板,
30:スペーサ,31:取り付けネジ,31A:ネジ孔,
32:締結ネジ,32A:締結箇所,
4:伝動ケース,4A:孔,40,40A,40B:往復移動体,
40t:連結部,40m:係合孔,40n:ガイド孔,
41:カム,42:ガイド部材,42A:ガイド片,
43:操作桿装着部,43A:角度調整機構,
10:手持ち作業機,11:操作桿,12:駆動部,
13:操作ハンドル,13A:把持部,
14:ハウジング,14A:リアハンドル,14B:操作スイッチ,
15:バッテリユニット,
100:調整機構,101:ネジ孔,102:調整ネジ,102A:雄ネジ部,
103:ナット,104:ワッシャ,
200:被操作部,200A:すり割り部,200B:孔部