(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/18 20060101AFI20230523BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20230523BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230523BHJP
E04F 21/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
E04G21/18 B
G01C15/02
G05D1/02 H
E04F21/00 A
(21)【出願番号】P 2019167123
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】595145050
【氏名又は名称】株式会社日立プラントサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】鹿 篤司
(72)【発明者】
【氏名】屋代 裕一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 貞彦
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-289638(JP,A)
【文献】特開2017-115446(JP,A)
【文献】特許第6561166(JP,B1)
【文献】特開平06-258078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
E04F 21/00-21/32
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作を受け付ける操作受付部と、
墨出しロボットに墨出しを実行させるための墨出しデータを読み込む読込部と、
前記操作受付部で受け付けられた操作に基づいて、前記読込部で読み込まれた前記墨出しデータに含まれている任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する墨出し設定部と、
前記墨出しの実行が設定された墨出し点に対して前記墨出しロボットの走行順路を設定する順路設定部と、
器械点と通り芯と墨出し点と前記墨出しロボットの走行順路とが示された作業現場図面を含む表示画面を作成してディスプレイに表示させる画面制御部と、を有し、
前記表示画面は、前記器械点
及び前記通り芯が追加及び削除可能な状態で一覧化された第1リストと、墨出し作業が行われ
る前記墨出し点が追加及び削除可能な状態で一覧化された第2リストと、前記走行順路が追加及び削除可能な状態で一覧化された第3リストと、を切り替えて表示することが可能な構成になっている
ことを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット制御装置において、
前記操作受付部は、前記操作者による前記表示画面の部分的な拡大縮小操作を受け付けることができ、
前記画面制御部は、前記操作受付部で受け付けられた拡大縮小操作に応じて、部分的に拡大又は縮小された表示画面を作成してディスプレイに表示させる
ことを特徴とするロボット制御装置。
【請求項3】
コンピュータを、墨出しロボットを制御するロボット制御装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
操作者の操作を受け付ける操作受付部と、
墨出しロボットに墨出しを実行させるための墨出しデータを読み込む読込部と、
前記操作受付部で受け付けられた操作に基づいて、前記読込部で読み込まれた前記墨出しデータに含まれている任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する墨出し設定部と、
前記墨出しの実行が設定された墨出し点に対して前記墨出しロボットの走行順路を設定する順路設定部と、
器械点と通り芯と墨出し点と前記墨出しロボットの走行順路とが示された作業現場図面を含む表示画面を作成してディスプレイに表示させる画面制御部として機能させ、
前記画面制御部に、前記器械点
及び前記通り芯が追加及び削除可能な状態で一覧化された第1リストと、墨出し作業が行われ
る前記墨出し点が追加及び削除可能な状態で一覧化された第2リストと、前記走行順路が追加及び削除可能な状態で一覧化された第3リストと、を切り替えて表示することが可能な構成になっている前記表示画面を作成させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備工事では、墨出し作業が行われる。「墨出し」とは、設置する機器のアンカ位置や、天吊り機器のアンカ位置、付帯機器の架台位置等の、工事の基準となる通り芯や墨出し点を建築物の床面や壁面等に印すことをいう。設備工事では、作業者が通り芯や墨出し点に沿って様々な機器を設置するため、通り芯や墨出し点を正確に印すことは重要である。従来の墨出し作業は、作業者が墨つぼから墨を含んだ糸を引き出し、墨出しを行うべき位置(墨出し位置)の近傍に糸を張り、糸を弾いて床面や壁面等に通り芯を付けることで行われていた。その際に、作業者は、基準となる複数個所同士を結ぶように糸を張ることで、墨出し位置を決定していた。このような従来の墨出し作業では、作業者は正確な墨出し位置に墨出しするための熟練を要し、更に手作業に伴う人為的なミスが発生する可能性があった。
【0003】
そこで、墨出しするに際して、作業者は、光学式の計測器を用いて正確な墨出し位置を測定し、その墨出し位置に墨出しするようになっている。これにより、作業者が墨出しに熟練していなくても、所定の精度が担保されるようになった。しかしながら、このような墨出し作業であっても作業者が手作業で墨出しすることには変わりないため、所定の工数が発生し、かつ、依然として人為的なミスが発生する可能性があった。
【0004】
そこで、近年では、自律的に走行して墨出し作業を行う墨出しロボットの使用が試みられつつある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された墨出しロボットによれば、設備工事の墨出し作業を省力化することができ、墨出しに伴う人為的なミスの発生を抑止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、墨出しロボットに墨出しを実行させるための従来のロボット制御装置は、以下に説明するように、ロボット制御装置の操作者が墨出しロボットの好適な走行順路を考え、その走行経路をロボット制御装置に設定しなければならない。このような従来のロボット制御装置は、操作者に負担を強いるため、操作者の負担を軽減することが望まれていた。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、操作者の負担を軽減するロボット制御装置、及び、当該ロボット制御装置を実現するためのプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、ロボット制御装置であって、操作者の操作を受け付ける操作受付部と、墨出しロボットに墨出しを実行させるための墨出しデータを読み込む読込部と、前記操作受付部で受け付けられた操作に基づいて、前記読込部で読み込まれた前記墨出しデータに含まれている任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する墨出し設定部と、前記墨出しの実行が設定された墨出し点に対して前記墨出しロボットの走行順路を設定する順路設定部と、器械点と通り芯と墨出し点と前記墨出しロボットの走行順路とが示された作業現場図面を含む表示画面を作成してディスプレイに表示させる画面制御部と、を有し、前記表示画面は、前記器械点及び前記通り芯が追加及び削除可能な状態で一覧化された第1リストと、墨出し作業が行われる前記墨出し点が追加及び削除可能な状態で一覧化された第2リストと、前記走行順路が追加及び削除可能な状態で一覧化された第3リストと、を切り替えて表示することが可能な構成になっている構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、墨出しロボットの走行順路を自動的に設定することができるため、操作者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る墨出しロボットシステムの概観図である。
【
図2】墨出しロボットシステムのブロック図である。
【
図3】コントローラ(ロボット制御装置)のブロック図である。
【
図4】コントローラ(ロボット制御装置)の動作を示すフローチャートである。
【
図5】コントローラメニュー画面の一例を示す概略図である。
【
図8】データ呼び出し画面の一例を示す概略図である。
【
図10A】器械点設定タブの一例を示す概略図(1)である。
【
図10B】器械点設定タブの一例を示す概略図(2)である。
【
図12】測量器操作タブの一例を示す概略図である。
【
図13】ロボット操作タブの一例を示す概略図である。
【
図15】設定操作が行われた設定画面の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[実施形態]
以下の説明では、「CAD(computer-aided design)」とは、コンピュータを利用して行う機械や構造物の設計・製図を意味している。
また、「基準芯」とは、CAD図面の中の基準となる芯を意味している。
また、「通り芯」とは、柱を基準にした基準芯を意味している。なお、作業現場では、柱が邪魔して床面に墨線を描画することができない。そのため、作業現場の通例として、「通り芯」から所定距離(一般に1000mm、ただし、スペースの関係で800mm又は500mmとなる場合もある)ずらした墨線(逃げ墨)が床面に描画される。
また、「器械点」とは、測量器(本実施形態では、追尾型トータルステーション20)やその他の計測の基準となる地点を意味している。
【0013】
<墨出しロボットシステムの構成>
以下、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る墨出しロボットシステムSの構成について説明する。墨出しロボットシステムSは、設備工事の墨出し作業を省力化するためのシステムである。
図1は、本実施形態に係る墨出しロボットシステムSの概観図である。
図2は、墨出しロボットシステムSのブロック図である。
【0014】
図1に示すように、墨出しロボットシステムSは、墨出しロボット10と、追尾型トータルステーション20と、コントローラ30とを備えている。なお、以下の説明において、「左右方向」、「前後方向」、及び「上下方向」は、墨出しロボット10から見た方向であるものとする。また、
図2に示すように、墨出しロボットシステムSは、更に、現場管理サーバ40と、墨出しデータ作成装置50と、CAD装置60とを備えている。
【0015】
墨出しロボット10は、自律的に走行して墨出し作業を行うロボットである。墨出しロボット10は、自律的に走行する機能と、所定の精度をもって墨出しする機能とを有する。
【0016】
追尾型トータルステーション20は、墨出しロボット10に取り付けられた指向性プリズム15をレーザ等で追尾して、三次元空間における指向性プリズム15の位置を計測する測量器である。指向性プリズム15は、追尾型トータルステーション20によって位置が計測される計測ターゲットである。指向性プリズム15は、墨出しロボット10に対して取り付け及び取り外しが可能な構成になっている。指向性プリズム15が墨出しロボット10に取り付けられた状態において、指向性プリズム15の位置を計測することは、墨出しロボット10の位置を計測することを意味する。
【0017】
コントローラ30は、墨出しロボット10との間及び追尾型トータルステーション20との間で情報を送受信して、墨出しロボット10及び追尾型トータルステーション20の動作を制御するロボット制御装置である。本実施形態では、コントローラ30が、携帯型のパーソナルコンピュータ(PC)や、タブレット端末装置、スマートフォン等の、作業者によって操作される携帯端末であるものとして説明する。
【0018】
現場管理サーバ40は、墨出しを実行させるための墨出しデータD20を管理するためのサーバである。現場管理サーバ40によって管理されている墨出しデータD20は、通信回線や記憶媒体を介してコントローラ30に提供される。
【0019】
墨出しデータ作成装置50は、墨出しデータD20を作成するための装置である。墨出しデータ作成装置50は、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。墨出しデータD20の作成者は、例えば作業現場の施工主等からPDF(登録商標)データ形式の作業現場図面D1又は紙に描画された作業現場図面D1を入手した場合に、作業現場図面D1を墨出しデータ作成装置50に読み込ませ、作業現場図面D1に基づいて墨出しデータD20を作成させる。また、墨出しデータD20の作成者は、例えば作業現場の施工主等から画層として作業現場図面D11を含むDXF(登録商標)データ形式のCAD図面データD10を入手した場合に、CAD図面データD10を墨出しデータ作成装置50に読み込ませ、CAD図面データD10に基づいて墨出しデータD20を作成させる。これらの詳細については、後述する。墨出しデータ作成装置50によって作成された墨出しデータD20は、通信回線や記憶媒体を介して現場管理サーバ40に提供される。
【0020】
CAD装置60は、CAD図面データD10を作成する装置である。CAD装置60は、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。CAD装置60によって作成されたCAD図面データD10は、通信回線や記憶媒体を介して墨出しデータ作成装置50に提供される。
【0021】
墨出しロボット10と追尾型トータルステーション20とコントローラ30は、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LANを介して、相互に通信することができる。
【0022】
墨出し作業を行う場合において、設備工事の作業者は、例えば、コントローラ30を操作して、現場管理サーバ40から所望の墨出し作業を行う墨出しデータD20を取得する。そして、設備工事の作業者(コントローラ30の操作者)は、コントローラ30を操作して、墨出しデータD20に基づいて、器械点を設定したり、墨出し作業を行う墨出し点を設定したり、墨出しロボット10の走行範囲及び順路を設定したりして、墨出し作業の仕様を設定する。この後、設備工事の作業者(コントローラ30の操作者)は、コントローラ30で墨出し作業の実行操作を行う。すると、コントローラ30は、各墨出し位置(通り芯や墨出し点を印す位置)を墨出しロボット10に指示し、墨出しの開始を指示する。すると、墨出しロボット10は、墨出し作業を開始する。
【0023】
追尾型トータルステーション20は、墨出しロボット10に取り付けられた指向性プリズム15を追尾して、三次元空間における指向性プリズム15の位置を計測する。墨出しロボット10は、追尾型トータルステーション20から指向性プリズム15の位置情報を取得する。これにより、墨出しロボット10は、自身の現在位置情報を取得する。墨出しロボット10は、自身の現在位置情報の取得動作と、旋回動作、直進動作、後退動作等の移動動作とを適宜繰り返し行って、墨出し位置まで進む。更に墨出しロボット10は、所定の精度を確保するために、墨出し位置の近傍でXYステージ範囲内の位置計測を行うことで、通り芯や墨出し点の高精度な位置決めを行い、本体内に設けられたプリンタ16で通り芯や墨出し点と所望の情報とを印字する。墨出しロボット10は、各墨出し位置で、これらの処理を繰り返す。
【0024】
なお、通り芯は、直線、十字線等の任意の長さで柱を基準にして描画された基準線であり、墨出し点は、任意の所望位置を表す位置情報である。本実施形態では、墨出しロボット10は、墨出し点を床面に印字(描画)する際に、墨出し点の属性情報を墨出し点の近傍に印字する。例えば、墨出しロボット10は、墨出し点の属性情報として、所望位置に据え付けされる機器を表す機器情報を印字する。機器情報は、据え付ける機器の名称や型番を表す、文字、図形、記号等である。
【0025】
図1に示すように、墨出しロボット10は、フレーム11、収納ケース12、タッチパネルディスプレイ13、PC(Personal Computer)14、指向性プリズム15、プリズムアクチュエータ15ac、プリンタ16、プリンタアクチュエータ16ac、駆動輪17、走行アクチュエータ17ac、無線LAN親機18、表示灯191~193、測域センサSN1、検知センサSN2を備える。更に
図2に示すように、墨出しロボット10は、モーションコントローラMCを備える。モーションコントローラMCは、PC14に接続されて、プリズムアクチュエータ15ac、プリンタアクチュエータ16ac、走行アクチュエータ17ac等を駆動するコントローラである。
【0026】
フレーム11は、収納ケース12と、プリンタアクチュエータ16acとを支持する部材である。フレーム11は、上面視で矩形の形状を呈している。フレーム11の後部の上には、収納ケース12が配置されている。
【0027】
収納ケース12の内部には、PC14が収納されている。PC14は、墨出しロボット10を統括して制御する制御手段である。PC14は、走行アクチュエータ17acにより走行した際に、プリズムアクチュエータ15acにより指向性プリズム15が追尾型トータルステーション20の方向に向くように、指向性プリズム15を回転させる。
【0028】
収納ケース12の上には、タッチパネルディスプレイ13と、表示灯191~193が配置されている。タッチパネルディスプレイ13は、作業者が各種の情報及び動作指示を手動で入力するための手動入力手段である。タッチパネルディスプレイ13は、墨出しロボット10の動作を設定だけでなく、各種の情報を表示したり入力したりするために使用することもできる。タッチパネルディスプレイ13は、好ましくは、操作性を向上させることができるように、配置角度を変更したり(つまり、任意の角度に傾けて配置したり)、取り外したりすることが可能な構成であるとよい。表示灯191~193は、墨出しロボット10の状態を外部に報知するための報知手段である。
【0029】
収納ケース12の前方には、無線LAN親機18が配置されている。無線LAN親機18は、PC14に接続されて、追尾型トータルステーション20やコントローラ30と無線通信する通信手段である。
【0030】
フレーム11の前方には、測域センサSN1が配置されている。測域センサSN1は、墨出しロボット10の前方に障害物が存在するか否かを検知するセンサである。
【0031】
フレーム11の下部には、走行アクチュエータ17acが配置されている。走行アクチュエータ17acは、床面の上を走行する走行手段である。本実施形態では、4つの走行アクチュエータ17acが、フレーム11の下部の四隅に配置されており、それぞれに対応して設けられた駆動輪17を回転駆動する構造になっているものとして説明する。駆動輪17は、車輪として機能する回転体である。墨出しロボット10は、4つの走行アクチュエータ17acが独立して4つの駆動輪17を回転駆動させることで、超信地旋回等の旋回動作と前進動作と後退動作とを行うことができる。例えば、墨出しロボット10は、左右の駆動輪17を逆方向に回転させることで、旋回動作を行うことができる。また、墨出しロボット10は、左右の駆動輪17を同方向に回転させることで、前進動作又は後退動作を行うことができる。ただし、駆動輪17の数は、4つに限らず、4つ以上にすることができる。また、墨出しロボット10は、チェーンリンク機構等を介して1つの走行アクチュエータ17acで複数の駆動輪17を回転駆動する構成にすることができる。また、墨出しロボット10は、無限軌道(すなわち、複数の駆動輪17に履帯(クローラー)を張架させた走行手段)を有する構成にすることができる。
【0032】
フレーム11の収納ケース12よりも前方の場所には、上面視で矩形状の開口部11opが形成されている。開口部11opの内部は、プリンタ16と検知センサSN2とが移動可能な空間となっている。
【0033】
フレーム11の上には、プリンタアクチュエータ16acが配置されている。プリンタアクチュエータ16acは、プリンタ16を支持するとともに、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)にプリンタ16を摺動移動させる機構である。なお、プリンタアクチュエータ16acは、プリンタ16だけでなく、指向性プリズム15と検知センサSN2とを支持しており、プリンタ16と一緒に同じ方向に指向性プリズム15と検知センサSN2とを移動させる。
【0034】
プリンタ16は、床面に印字する印字手段である。本実施形態では、プリンタ16がインクジェット式の印字手段であるものとして説明する。ただし、プリンタ16は例えばプロッタのようなペン型印字ヘッドを用いる印字手段であってもよい。
【0035】
指向性プリズム15は、追尾型トータルステーション20のレーザポインタが照射される箇所である。指向性プリズム15は、墨出しロボット10の位置を計測するための計測ターゲットであり、光を反射する特性を有する。指向性プリズム15は、追尾型トータルステーション20から照射された光を反射することによって光学的に三次元状の位置が計測される。指向性プリズム15は、その中心位置がプリンタ16の位置と一定になるように配設されている。これにより、墨出しロボット10は、プリンタ16の位置を正確に測定可能である。更に指向性プリズム15は、プリズムアクチュエータ15acによって、任意の方向に回転する。これにより、指向性プリズム15は、墨出しロボット10の移動後であっても追尾型トータルステーション20に正対することができる。
【0036】
検知センサSN2は、床面を検知するセンサである。本実施形態では、検知センサSN2は、接触式のタッチセンサで構成されているものとして説明する。タッチセンサで構成された検知センサSN2は、接触端子が床面に向けて配置されている。Z軸アクチュエータ16zは、プリンタ16とともに検知センサSN2をZ軸方向(上下方向)に移動可能に支持している。
【0037】
プリンタアクチュエータ16acは、X軸アクチュエータ16xと、Y軸アクチュエータ16yと、Z軸アクチュエータ16zとを含んでいる。X軸アクチュエータ16xは、左右方向(X軸方向)にプリンタ16を摺動移動させる左右方向移動手段である。Y軸アクチュエータ16yは、前後方向(Y軸方向)にプリンタ16を摺動移動させる前後方向移動手段である。Z軸アクチュエータ16zは、上下方向(Z軸方向)にプリンタ16を摺動移動させる上下方向移動手段である。本実施形態では、X軸アクチュエータ16xとY軸アクチュエータ16yとZ軸アクチュエータ16zとして、それぞれ、電動式の直動アクチュエータが採用されているものとして説明する。
【0038】
本実施形態では、Y軸アクチュエータ16yは、3本の長尺な四角柱状のバー部材y1,y2,y3を有している。Y軸アクチュエータ16yの3つのバー部材y1,y2,y3は、フレーム11の上に固定設置されている。3本のバー部材y1,y2,y3は、フレーム11に形成された開口部11opを囲むように、コ字形状に配置されている。つまり、3本のバー部材y1,y2,y3のうち、2本のバー部材y1,y2が前後方向に延在するように配置されている。また、残りのバー部材y3が、左右方向に延在するように配置されるとともにバー部材y1,y2の後端部に連結されている。
【0039】
X軸アクチュエータ16xは、1本の長尺な四角柱状のバー部材x1を有している。X軸アクチュエータ16xのバー部材x1は、左右方向に延在するように(つまり、Y軸アクチュエータ16yのバー部材y1,y2に対して直交するように)、Y軸アクチュエータ16yのバー部材y1,y2の上に配置されている。X軸アクチュエータ16xのバー部材x1は、Y軸アクチュエータ16yのバー部材y1,y2の延在方向に沿って、移動する。つまり、Y軸アクチュエータ16yは、バー部材y1,y2の延在方向に沿って、X軸アクチュエータ16xのバー部材x1を移動可能に支持している。X軸アクチュエータ16xのバー部材x1とY軸アクチュエータ16yの3つのバー部材y1,y2,y3は、プリンタ16と検知センサSN2とを移動可能に支持する枠体を構成している。
【0040】
X軸アクチュエータ16xのバー部材x1には、Z軸アクチュエータ16zの支持部zaが取り付けられている。Z軸アクチュエータ16zの支持部zaは、バー状のボールねじ部zbを介して指向性プリズム15とプリンタ16と検知センサSN2とを支持する構成要素である。Z軸アクチュエータ16zの支持部zaは、X軸アクチュエータ16xのバー部材x1の延在方向に沿って、移動する。つまり、X軸アクチュエータ16xは、バー部材x1の延在方向に沿って、Z軸アクチュエータ16zの支持部zaを移動可能に支持している。
【0041】
<ロボット制御装置の構成>
以下、
図3を参照して、本実施形態に係るコントローラ30(ロボット制御装置)の構成について説明する。
図3は、コントローラ30(ロボット制御装置)のブロック図である。
【0042】
図3に示すように、コントローラ30(ロボット制御装置)は、動作を制御する制御部31と、各種のプログラムとデータを記憶する記憶部32と、外部装置と通信を行う通信部33と、入力手段と表示手段とを兼用するタッチパネルディスプレイ36とを有している。
【0043】
制御部31は、操作受付部31aと、読込部31bと、器械点設定部31cと、墨出し設定部31dと、測量器操作部31eと、ロボット操作部31fと、走行範囲設定部31gと、順路設定部31hと、通信制御部31iと、画面制御部31jとを有している。
【0044】
操作受付部31aは、操作者による操作を受け付ける。
読込部31bは、外部装置(本実施形態では、現場管理サーバ40(
図2参照))から墨出しデータD20を読み込む。
器械点設定部31cは、設計上の器械点の座標位置と実際の作業現場の器械点の座標位置とを一致させる処理を行う。
墨出し設定部31dは、任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する。
測量器操作部31eは、測量器(追尾型トータルステーション20)を操作する。
ロボット操作部31fは、墨出しロボット10を操作する。
走行範囲設定部31gは、墨出しロボット10の走行範囲を設定する。
順路設定部31hは、墨出しの実行が設定された墨出し点に対して墨出しロボット10の走行順路を設定する。
通信制御部31iは、通信部33の動作を制御する。
画面制御部31jは、表示画面を作成してディスプレイ(タッチパネルディスプレイ36)に表示させる。
【0045】
制御部31を構成するはCPU(Central Processing Unit)、記憶部32に予め格納されたロボット制御プログラムPr30を実行することにより、これらを実現する。
【0046】
記憶部32には、ロボット制御プログラムPr30が予め格納されている。また、記憶部32には、例えば、墨出しデータD20や、墨出しロボット10の走行経路を指定する走行経路データD21が記憶される。
【0047】
<ロボット制御装置の動作>
以下、
図4を参照して、コントローラ30(ロボット制御装置)の動作について説明する。
図4は、コントローラ30(ロボット制御装置)の動作を示すフローチャートである。
図4は、画層として作業現場図面D11を含むCAD図面データD10から墨出しデータD20を作成する場合の動作を示している。
【0048】
墨出しデータD20の作成者は、例えば作業現場の施工主等から画層として作業現場図面D11を含むDXFデータ形式のCAD図面データD10を入手した場合に、CAD図面データD10を墨出しデータ作成装置50に読み込ませ、CAD図面データD10に基づいて墨出しデータD20を作成させる。コントローラ30の操作者は、墨出しデータD20をコントローラ30に読み込み、墨出しデータD20を用いて走行経路データD21を作成して墨出し作業を実行する。
図4は、その場合の墨出しデータD20の作成処理、及び、墨出しロボット10による墨出し作業の一例を示している。
【0049】
図4に示すように、墨出しデータD20の作成者は、墨出しデータ作成装置50を操作して墨出しデータD20の作成を開始する。
【0050】
このとき、まず、墨出しデータ作成装置50は、操作者の操作に基づいてCAD図面データD10(墨出し用図面データ)の読み込みを行う(ステップS405)。
次に、墨出しデータ作成装置50は、操作者の操作に基づいて通り芯、墨出し点の指定、自動取り込みを行う(ステップS410)。
次に、墨出しデータ作成装置50は、操作者の操作に基づいて名称や座標値の確認・編集処理を受け付ける(ステップS415)。
次に、墨出しデータ作成装置50は、操作者の操作に基づいて独自形式のDatデータ形式の墨出しデータD20を現場管理サーバ40に出力して現場管理サーバ40に保存させる(ステップS420)。
【0051】
墨出しデータD20が現場管理サーバ40に保存された後、コントローラ30の操作者は、任意のタイミングで、コントローラ30を操作して墨出しロボット10による墨出し作業を開始する。
【0052】
このとき、まず、コントローラ30は、操作者の操作に基づいて現場管理サーバ40からの墨出しデータD20(墨出し用図面データ)の読み込みを行う(ステップS505)。
次に、コントローラ30は、操作者の操作に基づいて既知点、基準芯の計測・座標変換処理を行う(ステップS510)。
次に、コントローラ30は、操作者の操作に基づいて墨出しロボット10の走行範囲の指定を行う(ステップS515)。
次に、コントローラ30は、操作者の操作に基づいて自動的に墨出しロボット10の走行経路及び順路を表すデータの作成を行う(ステップS520)。
次に、コントローラ30は、墨出し完了が完了したら、自動的に墨出し完了・登録処理を行う(ステップS525)。
【0053】
このようなコントローラ30(ロボット制御装置)は、墨出しロボット10の走行経路及び順路を表すデータの作成を自動的に行うことができるため、操作者の負担を軽減することができる。
【0054】
墨出し作業の実行に際して、コントローラ30(ロボット制御装置)は、例えば、
図5乃至
図15に示す表示画面をタッチパネルディスプレイ36に表示して、操作者による操作を受け付ける。
【0055】
図5は、コントローラメニュー画面I30aの一例を示す概略図である。コントローラメニュー画面I30aは、コントローラ30の初期画面としてタッチパネルディスプレイ36に表示される画面である。
図5に示す例では、コントローラメニュー画面I30aは、測量器ボタンB11と、墨出しロボットボタンB12と、動作テストボタンB13と、データ転送ボタンB14と、設定ボタンB15と、バージョン管理ボタンB16とを有する構成になっている。
【0056】
測量器ボタンB11は、測量器(追尾型トータルステーション20)の操作を行うためのボタンである。
墨出しロボットボタンB12は、墨出しロボット10の操作を行うためのボタンである。
動作テストボタンB13は、動作テストを行うための動作テスト画面I30b(
図6参照)を呼び出すためのボタンである。
データ転送ボタンB14は、墨出しデータD20の転送を行うためのデータ転送画面I30c(
図7参照)を呼び出すためのボタンである。
設定ボタンB15は、墨出し作業に関する設定画面I30e(
図9参照)を呼び出すためのボタンである。
バージョン管理ボタンB16は、バージョンデータを表す画面(図示せず)を呼び出すためのボタンである。
【0057】
図6は、動作テスト画面I30bの一例を示す概略図である。動作テスト画面I30bは、コントローラメニュー画面I30a(
図5参照)で動作テストボタンB13が押下されることで、タッチパネルディスプレイ36に表示される。
図6に示す例では、動作テスト画面I30bは、開始ボタンBb11と、終了ボタンBb12と、コマンド候補欄Cb11と、コマンド入力欄Cb12と、プロジェクトデータ欄Cb13と、データ操作欄Cb14と、速度・距離指定欄Cb15と、測量器操作欄Cb16と、モーションコントローラー操作欄Cb17と、プリンタ欄Cb18と、複合操作欄Cb19とを有する構成になっている。
【0058】
開始ボタンBb11は、動作テストの開始を指示するボタンである。
終了ボタンBb12は、動作テストの終了を指示するボタンである。
コマンド候補欄Cb11は、コマンド候補を表示するための欄である。
コマンド入力欄Cb12は、コマンドを入力するための欄である。
プロジェクトデータ欄Cb13は、プロジェクトデータを指定するための欄である。
データ操作欄Cb14は、データを操作するための欄である。
速度・距離指定欄Cb15は、速度・距離を指定するための欄である。
測量器操作欄Cb16は、測量器を操作するための欄である。
モーションコントローラー操作欄Cb17は、墨出しロボット10のモーションコントローラーを操作するための欄である。
プリンタ欄Cb18は、墨出しロボット10のプリンタ16を操作するための欄である。
複合操作欄Cb19は、複合操作を行うための欄である。
【0059】
図7は、データ転送画面I30cの一例を示す概略図である。データ転送画面I30cは、コントローラメニュー画面I30a(
図5参照)でデータ転送ボタンB14が押下されることで、タッチパネルディスプレイ36に表示される。
図7に示す例では、データ転送画面I30cは、墨出しデータリストLc11を有する構成になっている。墨出しデータリストLc11には、転送可能な墨出しデータが登録されている。
図7に示す例では、「ニュースリリース用デモ3.dat」が転送される墨出しデータとして指定されている。
【0060】
図8は、データ呼び出し画面I30dの一例を示す概略図である。データ呼び出し画面I30dは、コントローラメニュー画面I30a(
図5参照)で墨出しロボットボタンB12が押下されることで、タッチパネルディスプレイ36に表示される。
図8に示す例では、データ呼び出し画面I30dは、呼び出しボタンBd11と、「戻る」ボタンBd12と、「次へ」ボタンBd13と、墨出しデータ表示欄Cd11とを有する構成になっている。
【0061】
呼び出しボタンBd11は、現場管理サーバ40(
図2参照)から、墨出し作業を行うプロジェクトの墨出しデータD20を呼び出すためのボタンである。
「戻る」ボタンBd12は、コントローラメニュー画面I30a(
図5参照)に戻るためのボタンである。
「次へ」ボタンBd13は、設定画面I30e(
図9参照)に進むためのボタンである。
墨出しデータ表示欄Cd11は、選択されたプロジェクトの墨出しデータD20を表示するための欄である。
【0062】
図9は、設定画面I30eの一例を示す概略図である。設定画面I30eは、コントローラメニュー画面I30a(
図5参照)で設定ボタンB15が押下されるか、又は、データ呼び出し画面I30d(
図8参照)で「次へ」ボタンBd13が押下されることで、タッチパネルディスプレイ36に表示される。
図9に示す例では、設定画面I30eは、再読込ボタンB30aと、登録ボタンB30bと、墨出しデータ表示欄C30aと、履歴表示欄C30bと、リスト表示欄C30cとを有する構成になっている。
【0063】
再読込ボタンB30aは、現場管理サーバ40(
図2参照)から、プロジェクトの墨出しデータD20を再読み込みするためのボタンである。
登録ボタンB30bは、設定画面I30eで設定された各種のデータ(例えば、走行経路データD21(
図3参照)等)を記憶部32(
図3参照)に登録するためのボタンである。
【0064】
墨出しデータ表示欄C30aには、墨出しデータ作成装置50で作成された墨出しデータD20の作業現場図面D11が表示される。履歴表示欄C30bには、コントローラ30に読み込まれたデータの履歴が表示される。リスト表示欄C30cには、器械点設定タブT11、墨出しタブT12、測量器操作タブT13、ロボット操作タブT14、走行範囲タブT15で切り替え可能に表示されるリストデータが表示される。
【0065】
なお、
図9に示す例では、墨出しデータ表示欄C30aは、縮小画像が表示された小ウィンドウと、拡大画像が表示された大ウィンドウと、を有する構成になっている。縮小画像は、作業現場図面D11の全体を示している。拡大画像は、作業現場図面D11の中の、操作者によって指定された任意の箇所を部分的に拡大して示している。
【0066】
また、
図9に示す例では、リスト表示欄C30cは、器械点設定タブT11が開かれた状態になっている。器械点設定タブT11は、器械点設定リストLT11を有する構成になっている。器械点設定リストLT11には、X軸方向とY軸方向を規定する複数の器械点が登録される。器械点設定タブT11で設定される器械点の数は、X軸方向に2点以上、Y軸方向に2点以上、合計4点以上である。
図9に示す例では、既知点として2点が設定されているため、器械点設定リストLT11には、2つの点が設定されている。
【0067】
コントローラ30の操作者は、マウス(図示せず)を操作して、墨出しデータ表示欄C30aに表示された墨出しデータD20の作業現場図面D11の中の任意の通り芯(基準芯)を指定することで強調表示(ハイライト表示)することができる。
図9に示す例では、「1」と「2」のナンバーが付されたX軸方向の2つの通り芯が強調表示されている。
【0068】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、器械点設定タブT11の一例を示す概略図である。
図10A及び
図10Bは、器械点設定タブT11を開いた状態を示している。器械点設定タブT11は、サーチボタンBT11aと、既知点基準芯計測ボタンBT11bと、左旋回ボタンBT11cと、右旋回ボタンBT11dと、旋回停止ボタンBT11eと、データ追加ボタンBT11fと、データ削除ボタンBT11gと、計測値削除ボタンBT11hと、「器械点設定」ボタンBT11iと、「器械点設定2(逆)」ボタンBT11jと、前記した器械点設定リストLT11とを有する構成になっている。
【0069】
サーチボタンBT11aは、測量器(追尾型トータルステーション20)にサーチ動作を行わせるためのボタンである。「サーチ動作」は、測量器(追尾型トータルステーション20)が指向性プリズム15をレーザ等で検知して、三次元空間における指向性プリズム15の位置を計測する動作である。
既知点基準芯計測ボタンBT11bは、測量器(追尾型トータルステーション20)に既知点と基準芯を計測させるためのボタンである。
左旋回ボタンBT11cは、測量器(追尾型トータルステーション20)に左旋回させるためのボタンである。
右旋回ボタンBT11dは、測量器(追尾型トータルステーション20)に右旋回させるためのボタンである。
旋回停止ボタンBT11eは、測量器(追尾型トータルステーション20)に旋回を停止させるためのボタンである。
データ追加ボタンBT11fは、コントローラ30にデータの追加を指示するためのボタンである。
データ削除ボタンBT11gは、コントローラ30にデータの削除を指示するためのボタンである。
計測値削除ボタンBT11hは、コントローラ30に計測値の削除を指示するためのボタンである。
「器械点設定」ボタンBT11iと「器械点設定2(逆)」ボタンBT11jは、それぞれ、コントローラ30に器械点の設定を指示するためのボタンである。コントローラ30は、測量器(追尾型トータルステーション20)による計測で、2つの器械点の候補が取得される。コントローラ30の操作者は、「器械点設定」ボタンBT11i又は「器械点設定2(逆)」ボタンBT11jを操作することで、2つの器械点の候補の中から真正な器械点を選択する。
【0070】
コントローラ30は、操作者が指向性プリズム15(
図1参照)を任意の計測位置に設置して既知点基準芯計測ボタンBT11bを押下することで、測量器(追尾型トータルステーション20)から指向性プリズム15の三次元座標データを取得する。これにより、コントローラ30は、作業現場における既知点や基準芯の位置を計測する。そして、コントローラ30は、器械点設定リストLT11に設定された器械点の座標位置(つまり、墨出しデータD20に含まれている作業現場図面D11の器械点の座標位置)と作業現場の器械点の座標位置とを一致させる処理を行う。この後、操作者は指向性プリズム15(
図1参照)を墨出しロボット10に取り付ける。
【0071】
図10Aは、器械点設定リストLT11に器械点を設定する場合の例を示している。一方、
図10Bは、器械点設定リストLT11に軸を設定する場合の例を示している。
図10Aに示す例では、既知点が2点存在するため、コントローラ30の操作者は、コントローラ30を操作して2つの器械点を器械点設定リストLT11に設定している。一方、
図10Bに示す例では、基準芯が2つ存在するため、コントローラ30の操作者は、複数(図示例では、6個)の任意の軸を器械点設定リストLT11に設定している。
【0072】
図11は、墨出しタブT12の一例を示す概略図である。
図11は、墨出しタブT12を開いた状態を示している。墨出しタブT12は、誘導ボタンBT12aと、走行経路作成ボタンBT12bと、走行順割込ボタンBT12cと、走行順交換ボタンBT12dと、追加ボタンBT12eと、記録ボタンBT12fと、指定点墨出しボタンBT12gと、削除ボタンBT12hと、全点墨出しボタンBT12iと、作業停止ボタンBT12jと、墨出し点設定リストLT12とを有する構成になっている。
【0073】
誘導ボタンBT12aは、コントローラ30の操作者に対して、指向性プリズム15(
図1参照)を目標の墨出し位置へ配置させる誘導を指示するためのボタンである。コントローラ30は、誘導ボタンBT12aが押下された場合に、操作者に対して、指定した墨出し位置に指向性プリズム15を配置させるように誘導する。例えば、コントローラ30は、墨出しが完了した後に任意の墨出し点が指定されて誘導ボタンBT12aが押下された場合に、各墨出し点の位置精度を検証するために、操作者に対して、指定された各墨出し点に指向性プリズム15を配置させるように誘導する。このとき、操作者は、例えば、印字が完了した各墨出し点に対し、墨出し点設定リストLT12で任意の墨出し点(例えば、最初に印字された墨出し点、器械点から最も遠い場所で印字された墨出し点、最後に印字された墨出し点等)を指定して、誘導ボタンBT12aを押下する。すると、コントローラ30は、指定された各墨出し点に対して、現在位置からの距離や方向を表示することにより、操作者に対して、指定された各墨出し点に指向性プリズム15を配置させるように誘導する。そして、コントローラ30は、その誘導によって計測された各墨出し点の計測値が設計上の座標位置から予め定めた許容誤差内であるか否かを判断する。各墨出し点の計測値が設計上の座標位置から予め定めた許容誤差内であると判断された場合に、コントローラ30は、各墨出し点の位置精度が合格(良好)であると判断する。
走行経路作成ボタンBT12bは、コントローラ30に走行経路の作成を指示するためのボタンである。コントローラ30は、例えば操作者が墨出し点設定リストLT12で任意の点を指定して走行経路作成ボタンBT12bを押下することで、墨出しロボット10の走行経路を自動的に作成する。
走行順割込ボタンBT12cは、コントローラ30に走行順の割込を指示するためのボタンである。コントローラ30は、例えば操作者が既に作成された墨出しロボット10の走行経路に対して墨出し点設定リストLT12で任意の点を指定して走行順割込ボタンBT12cを押下することで、指定された点の走行順の割込を受け付けて、新たな走行経路を作成する。
走行順交換ボタンBT12dは、コントローラ30に走行順の交換を指示するためのボタンである。コントローラ30は、例えば操作者が既に作成された墨出しロボット10の走行経路に対して墨出し点設定リストLT12で任意の2つの点を指定して走行順交換ボタンBT12dを押下することで、指定された2つの点の走行順の交換を受け付けて、新たな走行経路を作成する。
追加ボタンBT12eは、コントローラ30に墨出し点設定リストLT12への指定点(指定された墨出し点)の追加登録を指示するためのボタンである。
記録ボタンBT12fは、コントローラ30に設定データの記録を指示するためのボタンである。
指定点墨出しボタンBT12gは、コントローラ30に墨出し点設定リストLT12に登録された指定点(指定された墨出し点)の墨出し作業の実行を指示するためのボタンである。
削除ボタンBT12hは、コントローラ30に墨出し点設定リストLT12に登録された指定点(指定された墨出し点)の中から任意の点の削除を指示するためのボタンである。
全点墨出しボタンBT12iは、コントローラ30に墨出し点設定リストLT12に登録された全点の墨出しを指示するためのボタンである。
作業停止ボタンBT12jは、コントローラ30に墨出し作業の停止を指示するためのボタンである。
墨出し点設定リストLT12は、墨出し作業を行う墨出し点が登録されるリストである。
【0074】
図12は、測量器操作タブT13の一例を示す概略図である。
図12は、測量器操作タブT13を開いた状態を示している。測量器操作タブT13は、接続確認ボタンBT13aと、接続解除ボタンBT13bと、サーチボタンBT13cと、左旋回ボタンBT13dと、右旋回ボタンBT13eと、旋回停止ボタンBT13fと、「計測(測量器座標)」ボタンBT13gと、「計測(CAD座標)」ボタンBT13hとを有する構成になっている。
【0075】
接続確認ボタンBT13aは、測量器(追尾型トータルステーション20)に通信の接続を確認ためのボタンである。
接続解除ボタンBT13bは、測量器(追尾型トータルステーション20)に通信の接続を解除ためのボタンである。
サーチボタンBT13cは、測量器(追尾型トータルステーション20)にサーチ動作を行わせるためのボタンである。
左旋回ボタンBT13dは、測量器(追尾型トータルステーション20)に左旋回させるためのボタンである。
右旋回ボタンBT13eは、測量器(追尾型トータルステーション20)に右旋回させるためのボタンである。
旋回停止ボタンBT13fは、測量器(追尾型トータルステーション20)に旋回を停止させるためのボタンである。
「計測(測量器座標)」ボタンBT13gは、測量器(追尾型トータルステーション20)に測量器の座標を計測させるためのボタンである。
「計測(CAD座標)」ボタンBT13hは、測量器(追尾型トータルステーション20)にCAD座標を計測させるためのボタンである。
【0076】
図13は、ロボット操作タブT14の一例を示す概略図である。
図13は、ロボット操作タブT14を開いた状態を示している。ロボット操作タブT14は、再接続ボタンBT14aと、停止ボタンBT14bと、アラート解除ボタンBT14cと、上移動ボタンBT14dと、下移動ボタンBT14eと、原点復帰ボタンBT14fと、姿勢復帰ボタンBT14gと、左移動ボタンBT14hと、右移動ボタンBT14iとを有する構成になっている。
【0077】
再接続ボタンBT14aは、墨出しロボット10にコントローラ30との通信を再接続させるためのボタンである。
停止ボタンBT14bは、墨出しロボット10に移動を停止させるためのボタンである。
アラート解除ボタンBT14cは、墨出しロボット10にアラートを解除させるためのボタンである。
上移動ボタンBT14dは、墨出しロボット10に上移動させるためのボタンである。
下移動ボタンBT14eは、墨出しロボット10に下移動させるためのボタンである。
原点復帰ボタンBT14fは、墨出しロボット10に原点へ復帰させるためのボタンである。
姿勢復帰ボタンBT14gは、墨出しロボット10に傾いた姿勢から平行な姿勢に復帰させるためのボタンである。
左移動ボタンBT14hは、墨出しロボット10に左移動させるためのボタンである。
右移動ボタンBT14iは、墨出しロボット10に右移動させるためのボタンである。
【0078】
図14は、走行範囲タブT15の一例を示す概略図である。
図14は、走行範囲タブT15を開いた状態を示している。走行範囲タブT15は、座標追加ボタンBT15aと、座標削除ボタンBT15bと、範囲指定ボタンBT15cと、走行範囲設定リストLT15とを有する構成になっている。
【0079】
座標追加ボタンBT15aは、コントローラ30に走行範囲を規定する座標の追加を指示するためのボタンである。
座標削除ボタンBT15bは、コントローラ30に走行範囲を規定する座標の削除を指示するためのボタンである。
範囲指定ボタンBT15cは、コントローラ30にマウスによる墨出しロボット10の走行範囲の指定受付を指示するためのボタンである。
走行範囲設定リストLT15は、墨出しロボット10の走行範囲が設定されるリストである。
【0080】
図15は、設定操作が行われた設定画面I30eの一例を示す概略図である。
図15は、墨出しタブT12を開いた状態を示している。コントローラ30の操作者は、コントローラ30を操作し、指定点墨出しボタンBT12gを押下して墨出しを実行する墨出し点を指定し、更に走行経路作成ボタンBT12bを押下して走行経路作成をコントローラ30に指示する。これに応答して、コントローラ30は、墨出しロボット10の走行順路を表す順路データLT12aを自動的に作成して、墨出し点設定リストLT12に登録する。なお、順路データLT12aを作成する手法としては、例えば、後記する<ロボット制御装置の主な特徴>の(2)項から(4)項で説明する手法がある。
【0081】
この後、コントローラ30は、順路データLT12aによって指定された走行順路を墨出しデータD20の作業現場図面D11に反映(設定)する。
図15に示す例では、四角枠の中に「1」から「8」のナンバーが付された順路が示されている。
【0082】
<ロボット制御装置の主な特徴>
(1)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、操作受付部31aと、読込部31bと、墨出し設定部31dと、順路設定部31hと、を有している。操作受付部31aは、操作者の操作を受け付ける。読込部31bは、墨出しロボット10に墨出しを実行させるための墨出しデータD20を読み込む。墨出し設定部31dは、操作受付部31aで受け付けられた操作に基づいて、読込部31bで読み込まれた墨出しデータD20に含まれている任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する。順路設定部31hは、墨出しの実行が設定された墨出し点に対して墨出しロボット10の走行順路を設定する。
【0083】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しロボット10の走行順路を自動的に設定することができる。したがって、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作者は、従来のように、墨出しロボット10の好適な走行順路を考え、その走行経路をロボット制御装置(コントローラ30)に設定しなくてもよい。そのため、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、ロボット制御装置(コントローラ30)の操作者の負担を軽減することができる。
【0084】
(2)本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作受付部31aは、墨出しの実行が設定された墨出し点に対して開始点を受け付けることができる。順路設定部31hは、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、近い順番に残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めるようにしてもよい。
【0085】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、最適な走行順路として、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、近い順番に残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めることができる。
【0086】
(3)本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作受付部31aは、墨出しの実行が設定された墨出し点に対して開始点を受け付けることができる。順路設定部31hは、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、最短の移動距離で残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めるようにしてもよい。
【0087】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、最適な走行順路として、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、最短の移動距離で残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めることができる。
【0088】
(4)本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作受付部31aは、墨出しの実行が設定された墨出し点に対して開始点を受け付けることができる。順路設定部31hは、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、予め定められた最適化アルゴリズムに基づく経路で残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めるようにしてもよい。
【0089】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、最適な走行順路として、墨出しロボット10が、最初に開始点に行った後、最適化アルゴリズムに基づく経路で残りの墨出しの実行が設定された墨出し点を走行するように、走行順路を決めることができる。
【0090】
(5)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しロボット10の走行範囲を設定する走行範囲設定部31gを有している。
【0091】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しロボット10の走行範囲を設定することで、墨出しを行う範囲を限定することができる。
【0092】
(6)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、読込部31bで読み込まれた墨出しデータD20に含まれている作業現場図面D11の器械点の座標位置と作業現場の器械点の座標位置とを一致させるための器械点設定部31cを有している。
【0093】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しデータD20に含まれている作業現場図面D11の器械点の座標位置(つまり、設計上の器械点の座標位置)と実際の作業現場の器械点の座標位置とを容易に一致させることができる。
【0094】
(7)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しロボット10の位置を計測する測量器(追尾型トータルステーション20)を操作する測量器操作部31eを有している。
【0095】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、操作者の操作に応じて測量器(追尾型トータルステーション20)を自在に操作することができる。
【0096】
(8)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出しロボット10を操作するロボット操作部31fを有している。
【0097】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、操作者の操作に応じて墨出しロボット10を自在に操作することができる。
【0098】
(9)
図3に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、器械点と通り芯と墨出し点と墨出しロボット10の走行順路とが示された作業現場図面D11を含む表示画面を作成してディスプレイ(タッチパネルディスプレイ36)に表示させる画面制御部31jを有している。
図9に示すように、表示画面は、器械点
及び通り芯が追加及び削除可能な状態で一覧化された第1リスト(器械点設定リストLT11
(図10A及び図10B))と、墨出し作業が行われ
る墨出し点が追加及び削除可能な状態で一覧化された第2リスト(墨出し点設定リストLT12
(図11))と、走行順路が追加及び削除可能な状態で一覧化された第3リスト(走行範囲設定リスト
LT15(図14))と、を切り替えて表示することが可能な構成になっている。
【0099】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、器械点と通り芯と墨出し点と墨出しロボット10の走行順路とを操作者が自在に設定することができる。
【0100】
(10)本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作受付部31aは、操作者による通り芯の強調操作を受け付けることができる。
図9及び
図15に示すように、画面制御部31jは、操作受付部31aで受け付けられた強調操作に応じて、操作者によって指定された通り芯を強調した作業現場図面D11を含む表示画面を作成してディスプレイ(タッチパネルディスプレイ36)に表示させることができる。
【0101】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、操作者によって指定された通り芯を強調してディスプレイ56に表示することができる。そのため、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、操作者によって指定された通り芯の視認性を向上させることができる。
【0102】
(11)本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)の操作受付部31aは、操作者による表示画面の部分的な拡大縮小操作を受け付けることができる。
図9及び
図15に示すように、画面制御部31jは、操作受付部31aで受け付けられた拡大縮小操作に応じて、部分的に拡大又は縮小された表示画面を作成してディスプレイ(タッチパネルディスプレイ36)に表示させることができる。
【0103】
このような本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、拡大縮小操作に応じて表示画面を部分的に拡大又は縮小してディスプレイ56に表示することができる。そのため、本実施形態に係るロボット制御装置(コントローラ30)は、表示画面の中の任意のエリアの視認性を向上させることができる。
【0104】
以上の通り、本実施形態に係るコントローラ30(ロボット制御装置)によれば、墨出しロボット10の走行順路を自動的に設定することができるため、操作者の負担を軽減することができる。
【0105】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0106】
例えば、前記した実施形態では、ロボットが墨出し作業を行う墨出しロボット10であるものとして説明されている。そして、ロボット制御装置(コントローラ30)が操作受付部31aと読込部31bと墨出し設定部31dとを有する構成になっている。係る構成において、操作受付部31aは、操作者の操作を受け付ける。読込部31bは、墨出しロボット10に墨出しを実行させるための墨出しデータD20を読み込む。墨出し設定部31dは、操作受付部31aで受け付けられた操作に基づいて、読込部31bで読み込まれた墨出しデータD20に含まれている任意の墨出し点に対して墨出しの実行を設定する。しかしながら、本発明は、墨出しロボット10に限らず、走行機能を有する様々なロボット(例えば、建物内をパトロールするパトロールロボットや、物品を搬送する搬送ロボット等)に適用することができる。また、本発明は、平らでない不陸な場所や、水勾配のある場所等の、高さ方向の確認計測を行うロボットにも適用することできる。
【0107】
これらの場合に、ロボット制御装置(コントローラ30)は、墨出し設定部31dの代わりに、操作受付部31aで受け付けられた操作に基づいて、読込部31bで読み込まれた図面データに含まれている任意の地点に対して走行の実行を設定する走行設定部(図示せず)を有する構成にするとよい。すなわち、この場合に、ロボット制御装置(コントローラ30)は、操作受付部31aと、読込部31bと、前記した走行設定部(図示せず)と、を有する構成にするとよい。
【0108】
また、この場合に、プログラムは、コンピュータを、ロボットを制御するロボット制御装置として機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、操作者の操作を受け付ける操作受付部と、ロボットに走行を実行させるための図面データを読み込む読込部と、前記操作受付部で受け付けられた操作に基づいて、前記読込部で読み込まれた前記図面データに含まれている任意の地点に対して走行の実行を設定する走行設定部と、前記走行の実行が設定された地点に対して前記ロボットの走行順路を設定する順路設定部として機能させる構成にするとよい。
【0109】
この場合のロボット制御装置(コントローラ30)及びプログラムは、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、一般にロボットの走行のティーチングは、作業現場毎に設計が変わったり、同じ作業現場であってもロボットの走行の障害物となる物品の置き場所が変わったりするため、困難性が高い。しかしながら、この場合のロボット制御装置(コントローラ30)及びプログラムは、読込部31bで読み込まれた図面データに含まれている任意の地点に対して走行の実行を設定することができる。そのため、この場合のロボット制御装置(コントローラ30)及びプログラムは、作業現場毎に設計が変わったり、同じ作業現場であっても障害物の置き場所が変わったりする場合であっても、ロボットの走行のティーチングを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
10 墨出しロボット
11 フレーム
11op 開口部
12 収納ケース
13 タッチパネルディスプレイ(手動入力手段)
14 PC(制御手段)
15 指向性プリズム(計測ターゲット)
15ac プリズムアクチュエータ(回転アクチュエータ)
16 プリンタ(印字手段)
16ac プリンタアクチュエータ(移動手段)
16x X軸アクチュエータ(左右方向移動手段)
16y Y軸アクチュエータ(前後方向移動手段)
16z Z軸アクチュエータ(上下方向移動手段)
17 駆動輪(回転体)
17ac 走行アクチュエータ(走行手段)
18 無線LAN親機
191,192,193 表示灯
20 追尾型トータルステーション(測量器)
30 コントローラ(ロボット制御装置)
31 制御部
31a 操作受付部
31b 読込部
31c 器械点設定部
31d 墨出し設定部
31e 測量器操作部
31f ロボット操作部
31g 走行範囲設定部
31h 順路設定部
31i 通信制御部
31j 画面制御部
32 記憶部
33 通信部
36 タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
40 現場管理サーバ
50 墨出しデータ作成装置
60 CAD装置
B11 測量器ボタン
B12 墨出しロボットボタン
B13 動作テストボタン
B14 データ転送ボタン
B15 設定ボタン
B16 バージョン管理ボタン
B30a 再読込ボタン
B30b 登録ボタン
Bb11 開始ボタン
Bb12 終了ボタン
Bd11 呼び出しボタン
Bd12 「戻る」ボタン
Bd13 「次へ」ボタン
BT11a サーチボタン
BT11b 既知点基準芯計測ボタン
BT11c 左旋回ボタン
BT11d 右旋回ボタン
BT11e 旋回停止ボタン
BT11f データ追加ボタン
BT11g データ削除ボタン
BT11h 計測値削除ボタン
BT11i 「器械点設定」ボタン
BT11j 「器械点設定2(逆)」ボタン
BT12a 誘導ボタン
BT12b 走行経路作成ボタン
BT12c 走行順割込ボタン
BT12d 走行順交換ボタン
BT12e 追加ボタン
BT12f 記録ボタン
BT12g 指定点墨出しボタン
BT12h 削除ボタン
BT12i 全点墨出しボタン
BT12j 作業停止ボタン
BT13a 接続確認ボタン
BT13b 接続解除ボタン
BT13c サーチボタン
BT13d 左旋回ボタン
BT13e 右旋回ボタン
BT13f 旋回停止ボタン
BT13g 「計測(測量器座標)」ボタン
BT13h 「計測(CAD座標)」ボタン
BT14a 再接続ボタン
BT14b 停止ボタン
BT14c アラート解除ボタン
BT14d 上移動ボタン
BT14e 下移動ボタン
BT14f 原点復帰ボタン
BT14g 姿勢復帰ボタン
BT14h 左移動ボタン
BT14i 右移動ボタン
BT15a 座標追加ボタン
BT15b 座標削除ボタン
BT15c 範囲指定ボタン
C30a 墨出しデータ表示欄
C30b 履歴表示欄
C30c リスト表示欄
Cb11 コマンド候補欄
Cb12 コマンド入力欄
Cb13 プロジェクトデータ欄
Cb14 データ操作欄
Cb15 速度・距離指定欄
Cb16 測量器操作欄
Cb17 モーションコントローラー操作欄
Cb18 プリンタ欄
Cb19 複合操作欄
Cd11 墨出しデータ表示欄
D1,D11 作業現場図面
D10 CAD図面データ(墨出し用図面データ)
D20 墨出しデータ
D21 走行経路データ
I30a コントローラメニュー画面
I30b 動作テスト画面
I30c データ転送画面
I30d データ呼び出し画面
I30e 設定画面
Lc11 墨出しデータリスト
LT11 器械点設定リスト(第1リスト)
LT12 墨出し点設定リスト(第2リスト)
LT12a 順路データ
LT15 走行範囲設定リスト(第3リスト)
MC モーションコントローラ
Pr30 ロボット制御プログラム
S 墨出しロボットシステム
SN1 測域センサ
SN2 検知センサ
T11 器械点設定タブ
T12 墨出しタブ
T13 測量器操作タブ
T14 ロボット操作タブ
T15 走行範囲タブ