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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】光硬化デンタルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 9/00 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
A61C9/00 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019560080
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018015291
(87)【国際公開番号】W WO2018140629
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】62/450,211
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カラジバン,ナイム
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アンゲレタキス,クリストス
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0202363(US,A1)
【文献】米国特許第05316473(US,A)
【文献】特表2010-522027(JP,A)
【文献】特開平07-255751(JP,A)
【文献】実開昭59-187159(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の光硬化性歯科材料を受けるためのチャネルを有する本体と、
前記本体に収容される少なくとも1つの光源と、
前記光源に電気的に接続され、前記本体に連結される少なくとも1つのバッテリー源と、
を備え、
前記光源は、前記本体に沿って延び、歯列弓の内外部分に向かって方向付けられ、前記本体にある歯科材料及び前記チャネルの外側に溢れた歯科材料を適切に硬化させることが可能であり、
前記少なくとも1つの光源は、フレキシブル発光ダイオードストリップであり、
前記フレキシブル発光ダイオードストリップは、前記チャネル又は前記本体に設けられたトンネルに着脱自在に挿入することができ
前記フレキシブル発光ダイオードストリップは、前記チャネル又は前記トンネルに挿入する最初の部分の可撓性が大きく、終端部分の可撓性が小さい、
歯科トレイ。
【請求項2】
前記フレキシブル発光ダイオードストリップは、ニチノールワイヤにより支持される、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項3】
前記歯科トレイは、ダブルアーチトレイである、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項4】
前記歯科トレイは、2つの対向するチャネルを含む、請求項3に記載の歯科トレイ。
【請求項5】
前記導光体は、前記2つのチャネル間に置かれる、請求項4に記載の歯科トレイ。
【請求項6】
前記2つのチャネル間には、スペーサが置かれる、請求項4に記載の歯科トレイ。
【請求項7】
前記スペーサは、半透明咬合性基板である、請求項6に記載の歯科トレイ。
【請求項8】
前記歯科トレイは、シングルアーチトレイである、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項9】
前記本体は、前記光硬化性歯科材料の全体にわたって光を分散する上で、前記光源の助けとなる分散機能をさらに含む、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項10】
前記歯科トレイは、既製の歯科矯正ワイヤ及びブラケットアセンブリを歯の上に置き接着するように構成される、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項11】
前記歯科トレイは、患者の歯の上に光活性化溶液を置き、その後前記溶液を置いた位置に適切な波長を加えるように構成される、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項12】
前記トレイには、光ファイバーケーブル又はフレキシブル導光体により、外部光源がテザーでつながれる、請求項1に記載の歯科トレイ。
【請求項13】
前記光硬化性歯科材料は、印象材である、請求項1に記載の歯科トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光硬化印象システム、より具体的には、発光源からの光を正確に分散させ、口腔及び歯科解剖学的構造の口内、口外、及び顎外の部分への光エネルギーの量の制御を提供し、印象材の効果的で迅速な硬化を可能にする発光トレイを備える歯科印象用光硬化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化印象は、多くの理由から、過去商業的に成功していない。従来の硬化ランプを使用する印象材の光硬化は、長く時間がかかる。また、従前の照明トレイは、光が口の中の全部位又はトレイの外領域に達することができなかったため、口の中で全ての印象材を硬化させることができないということが示された。
【0003】
当技術分野において、多くの光源及びトレイが既知であり、印象材を硬化するために使用される。光は、ある波長範囲で送られる。光源のうちいくつかは、LED及びレーザーを含む。米国特許第6,514,075号は、歯科用接着剤を硬化する又はホワイトニング剤を活性化させるための、埋め込み型LED及び無菌バリアスリーブを有するエラストマーワンドについて開示する。
【0004】
米国特許公開公報第2008/0038685号は、少ない熱の発生及び歯列弓の均一な照射のためのエレクトロルミネセンスストリップを提供する。当該ストリップは、強度が弱く、一方向のみを照明し、そのため、印象トレイ境界の外側の溢れた領域にある材料を硬化することができない。
【0005】
米国特許第5,316,473号は、光ファイバーの束又はLEDで照明されるU形状の硬化光プローブ、照明されるLED又は光ファイバーのトレイ内に収まる事前埋設トレイインサート、及び印象を外し、トレイを再利用するための外すことが可能なメッシュ部品を有するダブルアーチトレイについて開示する。しかし、デバイスは、トレイのへりから必然的に溢れる材料を容易に硬化することができない。光源は、また、複数の光ファイバーフィラメントを搭載するため、デバイスが嵩高くなり、製造が高価となる。米国特許第5,487,662号は、光硬化性印象材を硬化するための自給式光源を含む歯科印象用トレイについて開示する。しかし、このデバイスは、溢れた材料を硬化する能力に欠く。米国特許第5,702,250号は、トレイの頬側及び舌側の壁にLED光のアレイと、トレイから外すことができる摺動可能なメッシュインサートとを有するダブルアーチトレイについて開示する。しかし、デバイスは、トレイの頬側の側壁に隣接するポケットに収容されるバッテリーで嵩高である。化学発光光源を有する歯科印象用トレイも、当技術分野に存在し、例えば、米国特許第5,718,577号である。ある量の光硬化性歯科印象材を受けるための少なくとも1つのチャネルを定める壁部分を有する本体を備えるトレイは、化学発光成分を受けるためのチャンバと、チャンバ内に化学発光成分を受け入れるためのチャンバと連通した注入開口とをも含む。トレイは、化学発光光源が歯科印象材に極めて接近することを可能にし、発した光が硬化のため、歯科印象材の様々な部位に分散されることを可能にする。光化学線は、印象材の重合をもたらすために、当技術分野において使用され、このことは、例えば、米国特許第4,867,682号に開示される。米国特許第6,077,073号は、接着剤、シーラント、及び/又はホワイトニング剤もしくはカラーリング剤を硬化するためのシース付き、マルチティース発光ダイオードアレイ光装置について開示する。デバイスは、ハウジングと、ヒトの口に対し非接触を維持するようにハウジング内に含有されるLEDアレイとを有する。しかし、デバイスは、接着剤、シーラント、及びホワイトニング剤/カラーリング剤と共に使用されることが最良であり、別個の印象トレイが口への挿入のためにデバイスを嵩高くさせるため、印象材と共に使用されることは理想でない。米国特許第7,144,249号は、ホワイトニング及び衛生のため歯を電磁照射に晒すためのデバイスについて教示する。しかし、これは、印象材の硬化向けではない。歯のホワイトニング、歯の脱感作、及び歯周病予防など歯科処置用途向けの他のトレイが、当技術分野において存在し、米国特許第8,215,954号、米国特許第8,371,853号、及び米国特許公開公報第2015/0079536 A1号に開示される。
【0006】
照明トレイを使用するとき、硬化することが困難なことがわかった大量の材料は、奥の軟口蓋に向かって流れる材料と、後方領域にある舌下に向かう材料と、深部硬口蓋で流れる厚い材料と、歯間領域又はよりオペークな修復により生まれる影の領域にある材料と、前庭にある材料と、を含む。すべての印象材を硬化させることが可能な照明トレイを作ることは、正しい光配向、熱の管理、異なる種類及び大きさのトレイ(例えば、フルアーチ、セグメント化、トリプルトレイ)への適応、人間工学的で使用が容易なシステムを作ること、及びクロスコンタミネーションの十分な制御を可能にしつつ、最終的には、ユーザーにとって使用毎の適正なコストをシステムにもたらすことの観点から、複数の試練を提起する。
【発明の概要】
【0007】
これまで十分な硬化光を得られなかったトレイの領域及びトレイの外側への正確な方向の硬化光を通して、溢れた印象材を硬化させることができる、安価で、使用が容易で、嵩張らないシステムを提供することが望ましい。単回使用の使い捨てトレイだけでなく、再利用又は消毒することができるトレイを提供することが望ましい。電子装置がオートクレーブの過酷な環境に晒されることがないように、再利用可能なトレイから切り離すことができ、その結果、外すことが可能な電子装置モジュールを有するトレイが望ましい。また、オートクレーブ処理からの蒸気の出入りを妨げるために密閉されるトレイが望ましい。トレイは、オートクレーブの熱に耐えることができるLED又は光源のみを含有してもよい。硬化光の起動モジュールに電力を供給する小さな充電式バッテリーを有するトレイも望ましい。
【0008】
以下に記載する光硬化印象トレイシステムは、印象を記録するのにかかる時間を30秒未満に減少させることができる。これは、施術者のみならず、材料がより短い時間、口の中にあるため、患者にも同様に利益がある。例えば、一般的なファストセット印象材は、通常、口での硬化に2.5分を要する。レギュラーセット材は、通常、5分以上かかることがある。材料が定置されるとき患者に不快で制御不能な口の動きを生じさせ、材料で患者は吐き気を催す場合があり、その結果印象の歪みとなる。
【0009】
他の制限に加え、前述に関連した現状の制限は、概して、光源と、印象トレイと、起動/充電式モジュールと、印象材と、を備える印象システムに関する本開示により解決することができる。
【0010】
従って、本開示の発明を実施するための形態をより理解することができるように、また、本開示による当技術分野への貢献がより認められるように、本開示の特徴の一部をかなり広範囲で概説する。本開示の付加的特徴を以下に記載する。
【0011】
これに関し、本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示がその用途において、以下の発明を実施するための形態に記載される又は図面で図解される構成詳細又は部品配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態、並びに様々な手段で実践及び実行することが可能である。また、本明細書で採用される語法及び用語は、説明を目的としており、限定とみなすべきではないことも理解されたい。
【0012】
以下、硬化光とは、総じて、光又は硬化光などを指し、トレイとは、総じて、光硬化トレイ、歯科印象用トレイ、光硬化印象システム、又は歯科印象用光硬化システムなどを指す。
【0013】
目的の1つは、発光源からの光を正確に分散させる発光トレイからなる歯科印象用光硬化システムを提供すること、及び印象材の効果的で迅速な硬化を可能にするため、口腔の口内、口外、及び顎外の部分及び歯科解剖学的構造への光エネルギーの量の制御を提供することである。
【0014】
別の目的は、システムの口内、口外、及び顎外の部分に最適な量のエネルギーを正確に送り、印象材の光硬化を可能にし、発生する熱の量を制限する光硬化印象システムを提供することである。
【0015】
また別の目的は、歯科印象用システムを含む他の印象システムよりも歯科印象をより容易により素早くする光硬化印象システムを提供することである。親水性洗浄材料を歯の形成部周囲に容易で正確に置くことができ、その後、随意、数秒、発光トレイを用いて硬化させることができるため、このシステムは、容易である。
【0016】
別の目的は、シングル及びダブルアーチ印象トレイを含む、事前埋設印象材110トレイを備える光硬化印象システムを提供することである。これは、事前埋設印象システムを作る方法にも関する。
【0017】
別の目的は、LED(発光ダイオード)又はOLED(有機発光ダイオード)光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。
【0018】
別の目的は、LED又はレーザーなどの照明源に連結されるライトパイプにより送られる光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。これは、口の外で発生しており、照明手段により発生する熱を有するという利点を有し、結果、プラスチックトレイ及びプラスチックライトパイクなどプラスチックのみで作られる低コストの使い捨てトレイとなる。加えて、ライトパイプは、トレイの所望の領域で光を抽出する切欠きを搭載し得る。切欠きの大きさ及び位置は、抜ける光の強度を変え、それにより性能を最適化するように調整することができる。
【0019】
別の目的は、チップオンボード(COB)LED光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。
【0020】
別の目的は、レーザー光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。
【0021】
別の目的は、フレキシブルLEDストリップである光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。
【0022】
別の目的は、高い強度ピークでパルス化され、硬化材料への進入をより深くし、熱の発生をより少なくする光源を使用して印象材を硬化させる光硬化印象システムを提供することである。
【0023】
別の目的は、光源上に分散する印象材の総厚を最小化し、それに伴い、必要なエネルギー及び患者の口で光源により発生する熱を減少させるように設計される光硬化印象システムを提供することである。
【0024】
別の目的は、そのような場合があれば、その電子部品の全てと共にオートクレーブ可能である(例えば、LED、抵抗器、ICなど全て、適宜封止されて、オートクレーブすることができる)光硬化印象システムを提供することである。
【0025】
別の目的は、光源への電力及び起動を提供するための電子装置を有し、電力及び起動回路が、トレイから動作可能に外すことができ、エネルギーアタッチメントユニットに収容される、光硬化印象システムを提供することである。
【0026】
本明細書に記載する他の目的及び利点は、読者にとって明らかとなるであろうし、これら目的及び利点が本開示の範囲内にあることが意図される。上記及び関連する目的を達成するため、本開示は、添付の図面に図解する形で具現化され得るが、図面は例示に過ぎず、本願の範囲内で、図解及び記載する特定の構成に変更が加えられてもよいという事実に留意されたい。
【0027】
本開示の様々な他の目的、特徴、及び不随する利点は、添付図面と合わせて考察すると、より理解できるようになるため、これらは完全に理解されるであろう。図中、同じ参照符号が複数の図にわたって同一又は同様の要素に割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の実施形態の分解上部斜視図である。図1は、事前埋設印象トレイインサート(印象材不図示)及び充電式起動モジュールを有する再利用可能なLEDトレイを図解する。
図2】実施形態の上部斜視図である。図2は、フレキシブルプリント回路ボード(PCB)基板(LED不図示)を図解し、再利用可能なLEDトレイを形成するため基板をどのようにプラスチックでの被包に適した形態に折るかを図解する。フレキシブルPCBのこの実施形態は、患者の口の咽喉及び軟口蓋に向かって折られるパネルを有し、トレイの溢れる領域を硬化させる。
図3】実施形態の上部斜視図である。左側は、印象トレイ形の半分の間のフレキシブルPCB被包についての図解であり、右側の図解では、さらにアセンブリがどのように下部LEDトレイを形成するかを示す。
図4a】上面、側面、及び底面出射の3つの種類のLEDの位置を示すフレキシブルPCBの平面図である。
図4b】フレキシブル回路の反対側及びトレイの外側を照明する底面出射LED用の角穴を示す、LEDのない図4aのフレキシブルPCBの平面図である。細線は、折り目を表す。
図5】ダブルアーチ印象LEDトレイ(トリプルトレイ又はクローズドバイトトレイ)のためのアセンブリ概念について図解する実施形態の上部斜視図である。
図6】再利用可能なダブルアーチLED印象トレイ及び事前埋設トレイインサート(印象材不図示)の図解である。
図7】低粘性(低粘稠度部)洗浄材料及び高粘性(高粘稠度部)トレイ材料を用いた層状埋設技術を示す、事前埋設トレイインサート及びLEDトレイの断面である。
図8】トレイ材料が低粘稠部のためのトラフを形成する点を除いて図7にあるような事前埋設トレイインサートの断面である。
図9a】咽喉又は軟口蓋へ漏れ出し得る材料の量を最小化するために、厚いダムを形成するトレイの後方区画にある事前埋設パテ粘性部を有するLED光トレイの等角図を示す。
図9b図9aのトレイの上面図を示す。
図10】光の強度及び分散を調整するため、個別のLEDのものに対しレンズが光を分散するか、又は光の焦点を合わせるかのいずれかをするLED印象トレイの断面を示す。
図11a】ダブルアーチトレイのための、既製平面にある個別のLED半導体ダイを有するアルミニウム基板(すなわち、チップオンボードLED)を示す。
図11b】プラスチック被包に先立ち、ダブルアーチ印象トレイの形に曲げられる、図11aのアルミニウムLED基板を示す。
図11c図11bにある基板のプラスチック被包を示す。
図12】実施形態の上部斜視図である。図12は、上半分及び下半分を隔てる布メッシュを有し、1つの口がトレイの上部分に、1つの口がトレイの下部分にある充填口をトレイの前方区画に有するリッドストックでトリプルトレイを封止する概念を示す。
図13】事前埋設トレイ材料(不図示)を露出させるために外すことが可能である、トリプルトレイの上壁及び下壁に封止される共射出成形リッドストックを示す、実施形態の斜視図である。
図14】溢れやすく、硬化しにくい軟口蓋及び舌領域を表示する歯科解剖学的構造の図式である。
図15】溢れやすく、硬化しにくい硬口蓋、前庭、及び舌側後方領域を表示する、歯科解剖学的構造及びシングルアーチ印象トレイの断面図式である。
図16】硬化しにくい舌側後方領域を示す印象を示す。
図17】硬化しにくい大きな歯間領域を図解する。
図18】オペークで、影がかかる金属修復及び硬化しにくい領域を示す。
図19】口蓋領域と共にある上部トレイ及び硬化しなければならない印象材の結果として生じる厚い領域の図解である。
図20】口蓋領域のない上部トレイ及び硬化しなければならない、結果として生じる溢れ出たものを図解する。
図21】最適な硬化のため、光がトレイの壁を通りどのように伝わらなければならないかを示す図解である。
図22図21の図解に対し90°の、最適な硬化のためのトレイの壁を通り光がどのように伝わらなければならないかを示す図解である。
図23】フレキシブルLEDストリップを図解する。
図24a】トリプルトレイで作ることができるようなチャネルへの図23のストリップの挿入の第1段階を示す。
図24b】トリプルトレイで作ることができるようなチャネルへの図23のストリップの挿入の第2段階を示す。
図24c】トリプルトレイで作ることができるようなチャネルへの図23のストリップの挿入の第3段階を示す。
図24d】トリプルトレイで作ることができるようなチャネルへの図23のストリップの挿入の第4段階を示す。
図25a】フルアーチトレイで作ることができるような2つのチャネルへの図23のストリップの挿入の第1段階を示す。
図25b】フルアーチトレイで作ることができるような2つのチャネルへの図23のストリップの挿入の第2段階を示す。
図25c】フルアーチトレイで作ることができるような2つのチャネルへの図23のストリップの挿入の第3段階を示す。
図25d】フルアーチトレイで作ることができるような2つのチャネルへの図23のストリップの挿入の第4段階を示す。
図26a】照明のためのトレイ試作品における図24にあるようなチャネルの上面図を示す。
図26b】照明のためのトレイ試作品における図24にあるようなチャネルの側面図を示す。
図26c】電源を入れたストリップでの照明のためのトレイ試作品における図24にあるようなチャネルの上面図を示す。
図27】ライトパイプを有するトリプルトレイの図式を示す。
図28a図27のライトパイプトリプルトレイの構成を示す。
図28b】LED光源と、バッテリーと、起動回路と、連結と、を含むライトパイプの起動モジュールを示す。
図29】実施形態の断面図である。図29は、図30bのライトパイプトリプルトレイの連結機構を示す。
図30a】光が抜けることを可能にする小切欠き及び大切欠きを有するライトパイプと、ライトパイプがフルアーチトレイにどのように構成されるかと、を示す。
図30b】どのようにライトパイプがトリプル及びフルアーチトレイのための光エンジン形態においてLEDアレイから光を取り込むように構成されるかを示す。
図30c】1つのライトパイプを有するフルアーチトレイのための代替構成を示す。
図31図30b及び図32cに示すようなライトパイプトレイに使用されるLED光エンジンの一例を図解する。
図32】トリプルトレイ及びフルアーチトレイで使用されるチップオンボード(COB)PCBを示す。
図33】事前埋設フルアーチトレイの考えられる1つの構成及び外すことができるリッドストックの適用を示す実施形態の上部斜視図である。
図34】残留物を最小にするため、180°で、リッドストックを剥がす概念を図解する事前埋設トレイを示す実施形態の側面図である。
図35図34における概念の実用モデルを示す。
図36】フルアーチ及びトリプルトレイ用のCOB/PCB照明トレイと、バッテリー源及び起動回路を有する電位起動モジュールと、を図解する実施形態の上部斜視図である。
図37】実施形態の上部斜視図である。図37は、図36のトリプルトレイの別の実施形態を示す。
図38】実施形態の上部斜視図である。COB/PCB光トレイのための、小さく軽量な遠隔電源の図解を示す。当該電源は、患者のエプロン、エプロンチェーン、又は安全眼鏡にクリップ止めされるか、又は手持ちとする。
図39】実施形態の上部斜視図である。図39は、印象品質に影響を及ぼすことがある口における重さを減少させつつ、最適な導光のため、遠隔電源、光エンジン、及びトレイに隣接したヒートシンクを有するライトパイプ照明トレイの図解を示す。
図40】実施形態の側面図である。図40は、光を抜けさせることを可能とする側壁の上縁及び下縁にある歯列及び選択的に透き通った領域に向けて光を反射させ、トレイのヘリから溢れた材料を硬化させる、外側に反射コーティングを有するトリプルトレイライトパイプ照明トレイの図式を示す。
図41】フルアーチ印象トレイの斜視図である。
図42】コネクタ部分を明示するフルアーチ印象トレイの別の斜視図である。
図43】使い捨てフルアーチトレイの一実施形態の分解図である。
図44】充電ステーションに接続されたかどうか、フルトレイに接続されたかどうか、又はトリプルトレイに接続されたかどうかを決定するため、トレイ接点との接点及び考えられる電気接続を示す光エンジンのコネクタ部分の概略図式である。
図45】光エンジンの一実施形態の分解図である。
図46】光エンジンの一実施形態の一斜視図である。
図47】光エンジンの一実施形態の別の斜視図である。
図48】トリプルトレイの一実施形態を描写する。
図49】機械的固定穴と組み合わせられる、印象材が事前埋設された、シングルアーチトレイの断面を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、同じ参照符号が複数の図にわたり同じ要素を示す図面を記述によって参照すると、図は、導光、印象トレイ、起動モジュール、及び印象材を図解する。いくつかの場合、明確さのため、事前埋設トレイの図解に印象材は不図示である。
【0030】
図1図13は、本開示の実施形態に係る、再利用可能なLEDトレイ8の様々な部品を図解する図式である。事前埋設印象トレイインサート1(印象材不図示)は、再利用可能なLEDトレイ8の上面に座し、充電式起動モジュール2は、トレイ8に接続され、トレイ8に電力を供給する。実施形態は、印象トレイ8に埋め込まれる(図4に示すような)発光ダイオード(LED)6を備え、光硬化型歯科印象材(不図示)を硬化させる。トレイは、オープンバイトトレイ8(別名、シングルアーチトレイ)であっても、クローズドバイトトレイ8a、図6(別名、ダブルアーチトレイ又はトリプルトレイ)であってもよい。LED6は、所望の印象トレイのような形状であるプラスチックハウジング4、5に密閉される。LED6及び回路配線(不図示)は、高温に耐えることができる。密閉されると、回路は、湿気から保護され、そのため、トレイ8は、患者間で滅菌することができる。
【0031】
LED6から発せられる光28の波長は、450~490nmの可視青色光の範囲であってもよく、光重合開始剤カンファーキノン(CQ)に合わせるために465nmであってもよい。しかし、デバイスは、異なる波長、例えば、380~700nmで他の光重合開始剤で材料を硬化させる実用性を有する。
【0032】
LED6は、LED回路(不図示)が歯科印象用トレイ(図2)の形状に倣った形態に曲げられることを可能にするフレキシブルプリント回路ボード(PCB)3に据えられ得る。LEDの大半は、歯の周囲の歯科印象材を硬化させるため、歯列弓に向けて方向付けられる。いくつかのLEDは、溢れたものがトレイの外側に蓄積することがあるトレイの境界、トレイの外側表面、及び口の軟口蓋領域から常に溢れる印象材118、122、124(図15)を硬化させるために、LED印象トレイ8の外縁に向けて光28b(図22)が発せられるように方向付けられ得る。例えば、図4aに示すように、歯に向けて方向付けられたLED6は、上面出射LEDであり得、トレイの外側に方向付けられたLEDは、底面出射LEDであり得、トレイの垂直縁の縁に方向付けられたLEDは、側面出射LEDであり得る。
【0033】
別の実施形態によれば、デバイス8は、DC電流を用いた充電式バッテリー(図1、起動モジュール2)により動かされ得る。代替実施形態において、バッテリーは、硬化シーケンスと、LED(又は他の硬化光源)及びバッテリーが起動する準備ができているか否かを検出する回路検出プログラム(すなわち、ゴー/ノーゴー回路)で予めプログラミングされるプログラミング可能な集積回路チップをも含む、PCBに取り付けられ得る。PCBは、起動ボタン14、及び回路及びバッテリーの状態に基づき、ゴー/ノーゴーを表示するLED光65を含有してもよい。バッテリー及びPCBは、LED硬化トレイ8に接続することができる起動モジュール2を備える。起動モジュール2は、取り外され得、電子装置に有害であろう滅菌を受けなくてもよいように、表面がトレイ8から切り離されて消毒される。起動モジュール2は、LED6の数などに応じて、特定のトレイと対となってもよく、単一の起動モジュールは、接続されるトレイの種類を自動で検出し、求めに応じて正しい充電シーケンスを伝達するようにプログラミングすることができる。
【0034】
あるいは、起動モジュール2(複数可)は、モジュールが完全に充電され、すぐに使用できる状態を保つ、モジュールのための保管場所としても機能する卓上用充電ステーション(不図示)で充電することができる。充電ステーションには、冷却機能(不図示)が存在し得、起動/照明モジュールを冷却することができるファンなどの任意の適切な冷却機構を含むことができる。一実施形態において、ファンは、付属の光エンジンに空気を吹き付けるように配置され、充電ステーションに挿入され得る。LEDトレイ8は、トレイと電力ユニット(不図示)とを接続する電力コードを有する卓上電力ユニットにより動かされ得る。図3のオープンバイトトレイ8の形態は、透き通った密閉トレイに埋め込まれたLED6を有する、上部、下部、万能型上部/下部、1/4、又は前方のトレイいずれであっても同様であり得る。当該LED6は、フレキシブルPCB又は他の適切な基板に据えることができる。図38図39は、光トレイのための小さく軽量な遠隔電源を示す。当該電源は、患者のエプロン59、安全眼鏡60、又はエプロンチェーン61にクリップ止めされてもよく、単に手持ち62としてもよい。
【0035】
別の代替実施形態において、個別のLED6チップは、COBとして知られる形態で据えることもでき、COB基板は、フレキシブルPCBと同様のトレイ状形態(図32)に形成され、プラスチックで密閉することができる。
【0036】
COB技術を使用して構築される発光トレイは、例えば、アルミニウム基板26(図11a)に配置される個別のLED半導体ダイを有し得、基板は、印象トレイの形に曲げられ(図11b)、形成されるLED基板26は、さらに、プラスチックで被包され10a、10b(図11c)、本明細書で述べたようなLED印象トレイが形成される。あるいは、COB技術を使用して構築される発光トレイは、例えば、アルミニウム基板に配置される個別のLED半導体ダイを有し得、ここで、平面PCB基板は、ボードを異なる大きさのトレイ(不図示)を収容する小さな又は大きなアーチの形態に曲げることを可能にする切欠きを有する。例えば、大抵の患者に適合する中くらいの大きさのフルアーチCOB/PCBは、より小さいトレイに適合するよう圧縮することができ、より大きなトレイに適合するよう膨張させることができる。これは、3つの異なる大きさに対して、必要なのは、1つのサイズのCOB/PCBのみを製造することであるため、コストが削減されるであろう。COB/PCBは、フレキシブルPCB基板であってもよい。
【0037】
クローズドバイト後方又は1/4トレイ8aは、本開示の別の実施形態に係る後臼歯ブリッジ9(図6、組み合わせ)により連結される頬側垂直壁11及び垂直舌側壁12を有し得る。ブリッジ9は、患者が完全に咬合してクローズドバイトすることを可能にするのに十分な厚さがあり、さらに、トレイの舌側区画12を支持するのに十分な強度があろう。LEDトレイは、強度のため、内部金属フレームを有する(図5、下部画像)。フレームは、共に溶接され、頬側シート金属フレームと、後臼歯ブリッジに剛性を提供する金属管9b、及び舌側シート金属フレームからなる。頬側及び舌側フレームは、ぞれぞれ、LEDを有するフレキシブルPCB3aを支持する。2つのフレキシブルPCBは、金属管9bを通過するワイヤ線により電気的に接続される。フレーム及びPCBサブアセンブリは、透き通ったプラスチックで密閉され得る。クローズドバイトトレイは、同様に起動モジュール2と共に使用するために構成される。
【0038】
さらに、クローズドバイトLEDトレイ8aは、光硬化印象材を含有する、事前埋設クローズドバイトトレイインサート1aをそこに摺動させるための手段を有し得る(図6、印象材不図示)。クローズドバイトトレイインサート1aは、布メッシュ中間層13を有し得、アーチの上面及び底面にある印象材で満たされ得る。断面において、事前埋設トレイインサート1aは、水平部分が布メッシュであり、垂直脚が事前埋設インサートの頬側及び舌側壁である、H形状であろう。実施形態において、厚く透明な咬合メッシュは、歯間咬合領域における光の進入を増加させるために中間層として、又は布メッシュ中間層13に加えて、使用され得る。当該機能は、対向する歯の咬合表面間での印象材の硬化の助けとなり得る。半透明メッシュは、人気のある市販のデュアルアーチトレイで利用可能な従来の咬合メッシュよりもより厚く作られ得、例えば、より厚い半透明メッシュは、0.3mm~2.5mm又は0.4mm~2mmの厚さを有し得る。この厚さは、対向する歯の間で光が伝わることの一助となり、そのため、達するのが難しい領域における光の密度を増加させ、適した硬化を保証し得る。歯の構造内への導光が少なくなり得、オペーク修復(金属、オペークセラミックなど)の場合、光は単に遮断されるため、密接咬合接触、例えば、密接な咬頭嵌合は、対向する歯間の光の密度を著しく減少させ得る。インサート1aも、頬側及び舌側側壁を接続し、支持するプラスチック後臼歯ブリッジ13aを有するであろう。トレイインサート1aの後臼歯ブリッジは、完全咬合と干渉しない薄い外形を維持するために、LEDトレイの後臼歯ブリッジに倣うような形状であろう。クローズドバイトトレイインサートは、光保護パッケージでパッケージングされ得、印象材に突き刺さらない剥がすことが可能な保護カバーを有し得る。
【0039】
また、再利用可能なトレイインサート1aは、トレイ接着の必要性をなくす、穴、ダブテールスロット、又はTスロットなどの機械的固定機能100を有し得る。使い捨てフルアーチ(オープンバイト)トレイには、印象トレイプレートの底に保持力の高い層を作製するため、固定穴が作製される。2つの層は、例えば超音波を使用して、共に組み合わせられ、印象がトレイの外壁によりトレイの寸法に含まれるため、このアセンブリを有するトレイの外部に材料110」のこぼれはない(図49)。
【0040】
LEDトレイ(不図示)は、シリコーンゴムなどのセミフレキシブル材料及び剛性トレイインサートから構築され得る。LEDトレイの可撓性は、剛性トレイインサートへの組み込み及び適合の助けとなるし、そのため、LEDトレイは、さもなければ適合し得なかったアンダーカットを有する剛性トレイに挿入することができる。
【0041】
当業者であれば、印象材トレイ全体が、図42で示すように使い捨てであり得、その結果、トレイインサート1aは、一体として取り付けられ、全体として使い捨てトレイの一部であることを理解するであろう。実施形態において、図41及び図42のトレイ200は、光源に接続されるコネクタ部分106を含む。単一の使い捨てトレイを、図41及び図42に示す。この実施形態の使い捨てトレイは、歯科医により、事前埋設又は使用の直前に埋設され得る。機械的固定機能100は、印象材がトレイにあり、埋設トレイが患者の口に置かれたとき、印象材が機械的固定機能を通り流れ、機能100の両側に印象材があるように置かれる。印象材が硬化されると、これら機械的固定機能100は、患者の歯列への吸着に対して、硬化した印象材をトレイに留める助けとなるであろう。
【0042】
図43は、一体として構築されたフルアーチ印象材トレイ200の分解図を示す。フルアーチトレイとしてトレイ200を示し、記載するが、当業者であれば、トリプルトレイに対し同様及び対応する構成が可能であることを理解するであろう。しかし、トリプルトレイでは、ライトパイプ30は、コネクタ部分106での端を1つのみ有する。
【0043】
図43では、使い捨てトレイがどのように構築され得るかが明らかである。この実施形態において、ライトパイプ30は、トレイにおける照明器又は発光器として使用され、トレイの上部分200aと下部分200bの間に介在する。下部分200bは、照明器又はライトパイプ30が設置される窪み300を有する。当業者が理解しているように、この窪み300は、特定の設計において、照明器又は発光器を支持する任意の形状又は幾可学的形状をすることができる。上部分200aは、トレイ内に硬化した印象材を保持する助けとなる機械的固定機能100を含む。トレイ200の上部分200a及び下部分200bは、2つの部分が切り離されない限り、任意の適切な方法で、一体として互いに接続され得る。接続されたときのこれら2つの部分は、照明器のみならずコネクタ部分106をも支持する。コネクタ部分は、カプラコア103の各側にピン414bを含む。照明器、この実施形態におけるライトパイプ30がトレイに加えられる印象材を硬化することができるように、このカプラコア103は、光源に接続することができる。Oリング等のリテーニングリング108は、コネクタ部分106、照明器又はライトパイプ30、上部分200a、及び下部分200bをその場に留め置く助けとなる。カプラコア103は、ライトパイプ30などの照明器の幾可学的形状に対応する少なくとも1つの凹部30aを含む。
【0044】
本開示のまた別の実施形態によれば、使い捨てトレイは、照明用の、外すことができ、充電式のバッテリーモジュールを有する。トレイは、光硬化型印象材110を事前に充填され得る。当該トレイは、光の分散及び硬化の効率を最適にするような手段で配置される表面マウントLED、COBLED(又は他の硬化光源)のいずれかを有するであろう。起動モジュール2は、再利用可能なLEDトレイ1から切り離され得、その結果、電子装置は、LEDトレイ1から外される又は取り外され、消毒することができ、それにより、電子機器は、LEDトレイの蒸気滅菌の過酷な影響を受けずに済む。
【0045】
また別の実施形態において、光トレイ8bは、光の分散のためにトレイに埋め込まれたプラスチック成形のライトパイプ30を有する。光源もしくは光エンジン又はバッテリーは、トレイ8bの外部にあり得、直接接続又は光ファイバーライトテザー(不図示)を通してライトパイプトレイに接続され得る。他の実施形態において、光源は、トレイのコネクタ部分106を介してトレイに直接接続され得る。あるいは、歯列弓の周囲の光を分散させるためトレイに埋め込まれたライトパイプ30を有するプラスチック印象トレイが、実現され得る。当該トレイは、光を歯列に向けて導き、光の分散を改善するリフレクタ31を使用し得る。反射材料は、スパッタリング、真空蒸着、インモールドラベリング、ペイント、オーバーモールド、又はミラー状のコーティングを作製する当業者に既知の他のコーティング法により作られる金属ミラーコーティングで作ることができよう。当該リフレクタは、ミラー表面でなくともよく、任意の光反射又は分散コーティングとすることができる。ライトパイプ30は、成形プラスチック部品又はフレキシブル光ファイバーケーブルとすることができよう。これは、トレイの内外への光の自由な伝送を可能にし、トレイのヘリから溢れる溢れた材料の硬化を可能にするクリアハウジング33を有し得る。ライトパイプ30により運ばれ伝送される全光を最大にするために、ライトパイプ30の断面は、寸法がLED出射面の表面と密接に一致するように作られ、ライトパイプに入る光の量を最大にする。例えば、CREE1950p LEDの方形出射面は、凡そ2×2mmであり、それに伴い、ライトパイプは凡そ2×2mmの断面を有し得る。対して、LEDが方形表面領域を有するとき、直径2mmの円柱形ライトパイプを使用すると、2×2mm出射面のLEDの光の一部は、図30bに示すように、単純にはライトパイプに入らない。反射ペイントは、トレイに戻るなど光の方向を変えるためハウジングの外で使用され得る。反射コーティングのある空間又はトレイの未コーティングの外の部分は光が選択的に抜けることを可能にし、トレイの外部で生じる溢れた材料を硬化させることができる。
【0046】
トレイのペイントが複数の工程がある複雑な手順であることがあるため、別の異なる実施形態においては、トレイの上に反射性「スナップオン」が工夫される。このオーバートレイは、所望の外形の反射コーティングを有し、透き通った透明トレイにしっかりと取り付けることができる。酸化チタンなど高含有率の反射性粒子を有するプラスチックでの射出成形部がこのオーバートレイを成すことができよう。透き通ったトレイを覆う反射コーティングは、一部の光を、反射領域を通過させ、トレイの外部に移動し得る一部の材料を硬化させることを可能にすることを目指し、半透明、場合によっては光学的に半透過性に作ることができる。この効果を実現する別の方法は、トレイを作るための射出成形処理の間、反射層をオーバーモールドすることであろう。
【0047】
光源は、トレイの外部に、例えば、バッテリー409、ドライバPCB406、ヒートシンク404、及び光エンジン/カプラ35を備える充電式モジュール2aの一部であり得る。光エンジン35は、LEDアレイ34と、6b、ガラス窓40と、光をトレイのプラスチックライトパイプ30に伝送するためのガラスライトパイプ42とを備え得る。ユーザーは、充電式/起動モジュール2aを消毒、再充電、再利用することができる。モジュールも、起動の間、例えば(2-10W)を送ることができるリチウムバッテリーを有し得る。さらに、バッテリー又は電源、及び起動回路は、トレイから外され得、小さな手持ちユニットに離して位置し得る。当業者であれば、LEDトレイの有利な特徴が、ライトパイプトレイ8bの設計にも搭載することができること及びトレイ8bがその適用において明細書で記載する又は図面に図解する部品の構成又は配置に限定されないことを理解するであろう。
【0048】
光エンジンのある特定の実施形態において、光源及びバッテリーは、図45図47に示すように1つのハウジングに設置される。
【0049】
光エンジン400ハウジングは、第1部分401及び第2部分413を含む。
【0050】
このハウジングは、バッテリー409及び光源402の両方を収容する。
【0051】
図45に描写する光源は、LEDプリント回路ボードであるが、この形態において、任意の適切な光源に置き換えることもできる。
【0052】
この光源402は、LEDボード熱伝達テープ403に取り付けることができる。
【0053】
当業者が理解しているであろうように、光源402は、過熱を防ぐためヒートシンク404の近くになければならない。
【0054】
実施形態において、ヒートシンクは、ワックスなどの相変化材料である。任意の適切な相変化材料のヒートシンクを使用することができる。
【0055】
ヒートシンク404は、少なくとも1つのねじ415により取り付けられる熱伝達パッド405を含む。
【0056】
図46から明らかであるように、光エンジン400は、メインプリント回路ボード406と、メインプリント回路ボードスペーサパッド407と、バッテリーパッド408と、バッテリー409と、バッテリーマウント410と、ボタンPCB411と、電子ピン414aと、光エンジンボタン412と、をさらに含む。実施形態において、ライトパイプ30は、フルアーチトレイ200などトレイ全体にわたって置かれ、その結果、単一のライトパイプ30は、コネクタ部分106で見ることができる2つの端107を有する。異なる実施形態において、ライトパイプ30は、コネクタ部分106で明らかとなる1つの端107のみを有する。
【0057】
この実施形態は、トリプルトレイ500形態などの印象材トレイにおいて最も有用であり得る。
【0058】
コネクタ部分106にあるライトパイプの端107の異なる数は、コネクタ部分106にあるピン414bの組の数に対応する。
【0059】
例えば、シングルアーチトレイ200は、総じて4つのピン414bを有し得るが、トリプルトレイ500は2つのピン414bを有し得る。このピンは、光エンジン400で見られるピン414aと一致、又は位置合わせされる。
【0060】
当業者であれば、図解として本明細書で述べるピンの数と、任意の適切なピンの数が存在し得ることを理解するであろう。
【0061】
図44は、光エンジン400にあるピン414aと、トリプルトレイ500又はフルアーチトレイ200のうちいずれかの印象トレイにあるピンとの間の接触により、ライトパイプ30で照射するように正しい数のLEDが点灯する一実施形態を明示する。
【0062】
図44は、具体的には、光エンジンの接触部分420が示される一実施形態を示している。
【0063】
この実施形態において、光エンジン400は、充電式バッテリーを含む。また、図44にある光エンジンのピンは、第1SV、第2SV、A、B、第1GND、及び第2GNDと称する。光エンジンが充電ステーションにあるとき、光エンジンの第1SVピンは、充電台にあるSVリードと位置合わせされ、光エンジンの第1GNDピンは、充電台のGNDリードと位置合わせされる。この位置合わせは、光エンジンにあるバッテリーの充電を可能にする。光エンジンの方向が180度回転すると、光エンジンの第2SVピンは、充電台のSVリードと位置合わせされ、光エンジンにある第2GNDピンは、充電台にあるGNDリードと位置合わせされ、同様にバッテリー充電を可能にする。図44に示す独特な配置は、光エンジンを2つの方向で取り付け可能とし、また、正しく接続させることを可能にし、その結果ユーザーは、適した機能のための特定の位置合わせを保証しなくてもよい。
【0064】
トレイにある接点は、光エンジンにある接点と、電気的に連続して接続する。トリプルトレイ500が光エンジン400に接続されると、その後、トレイ接点は、光エンジンの、SV及びAピン又はSV及びBピンのいずれかに接続する。SV/A接続が作られると、第1LEDは、トリプルトレイにおいてライトパイプに正しく方向付けられ照明する。光エンジンが180度回転すると、SV/B接続がなされ、次に新たな方位でライトパイプに正しく方向付けられる第2LEDが照明する。それにより光エンジン400は、ライトパイプ30を照明するためにLEDが起動されるべきであることを認識する。
【0065】
同様に、フルアーチ印象トレイ200が光エンジン400に接続されると、その後、光エンジンの第1SVピンは、光エンジンのAピンに接続され、光エンジンの第2SVピンは、光エンジンのBピンに接続される。この形態において、光エンジンは、フルアーチトレイが接続されること、及び両方のLEDが照明すべきであることを知る。接続が180度回転すると、同じ接続がピンの独特な形態によりなされる。再度、光エンジン400は、ライトパイプ30を適切に照らすために両LEDが起動すべきであることを認識することができる。光エンジン400と接触するピン414aの数及び位置に基づき、光エンジン400は、どのように必要なLEDを適切に起動させるか、又はバッテリーを充電するかを決定することができる。
【0066】
ライトパイプの断面形状がLEDの幾可学的形状に対応していても、等しくてもよいことに留意すべきである。このことにより、印象トレイに伝送される光の効率を改善することができる。
【0067】
図30aを参照すると、ライトパイプは、正確な場所で光を放出する、異なる大きさの切欠き43、44を有し得、例えば、パイプ内の光の密度が高いという光の抽出を最小にするための光源に近い小さな切欠きと、パイプ内の光の密度をより低くするという光の抽出を最大にする光源からさらに離れるより大きな切欠きであり、そのため、印象トレイ全体にわたって光の分散が均一になる。光の方向を制御し、達するのが困難な領域で印象材を硬化させることができるため、これは利点である。あるいは、ペイント又は反射コーティングを、ライトパイプの表面に使用し、ライトパイプから光が出ることを制御してもよい。
【0068】
別の実施形態において、使い捨て光トレイシステムを開示する。当該システムにおいて、トレイインサートの必要はない。光源トレイは、製造量が多く、経済的で、コストを低くすることができ、別の患者で使用するためにトレイを再処理するよりもトレイを処分する方が経済的であろう。光源トレイは、光硬化印象材で事前に充填され、保護フィルムで覆われ、遮光パッケージで梱包され得る。
【0069】
本明細書に記載の実施形態は、層状の低粘稠度部16及び高粘稠度部17を有する事前埋設トレイインサート1bである(図7及び図8に示すように、均一な暑さの水平層又は低粘稠度部16が充填された高粘稠度部17のトラフ形状の層)。この実施形態において、歯科医又は衛生士などのユーザーは、洗浄材料が高粘稠度部を有するトレイに事前に充填されるため、準備した歯に当該洗浄材料を塗布しなくてもよく、貴重な工程が省かれる。例えば、当該印象は、仮(一時的な)歯冠の初めの印象に適切とすることができよう。あるいは、透き通ったパテ粘性印象材18の後方ヘリを有する事前埋設印象トレイは、後臼歯、口の舌側前庭、又は軟口蓋領域への高粘稠度トレイ材料19の溢れを減少させるであろう(図9に示す)。
【0070】
当業者であれば、理解するであろうが、高粘稠度及び低粘稠度印象材の違いは、熟練した衛生士及び歯科医にとって周知である。具体的には、ISO4823の仕様では、パテ(タイプ0)、高(タイプ1)、中(タイプ2)、及び低(タイプ3)が一貫して詳述される。本明細書で使用する場合、パテ及び高粘稠度は、一貫して40未満であり得、低は、一貫して30超であり得る。
【0071】
LED硬化トレイは、再利用可能なトレイの内面22に、必要に応じて、LED6からの光の焦点を合わせる又は分散させ、印象及び口腔の特定の領域への十分な強度を効率的に提供するレンズ20を有する(図10に示す)。分散レンズ23は、光の出射角により、通常必要とされるであろうよりもLEDをさらに離間させることを可能にする。フォーカスレンズ24は、より深部の領域、例えば光が分散しLED6からの十分な光を受けないであろう溢れる領域において、LED6が硬化させることを可能にする。
【0072】
別の実施形態によれば、硬化トレイは、トレイの様々な部位でLED6の稼働群に必要な全電流を減少させるシーケンスで、LED6(又は他の硬化光源)が照明するプログラミング回路を有する。例えば、Dentsply Caulk GenesisTM Clinical Technique Guideに記載されるように、トレイの後方ヘリは、まず軟口蓋への溢れを減少するように硬化させることができ、その後、咬合表面が硬化され、トレイを完全に固定させ、その後口蓋領域、その後頬側表面と続き、それにより、起動モジュール2のバッテリーへの電流需要を減少させることができよう。あるいは、トレイは、LEDに異なる時間間隔及び強度で照明させ、トレイにある様々な厚みの材料を硬化し、熱の発生を減少させ得る。
【0073】
万能型上面及び底面アーチLEDトレイ及びトレイインサートは、下部トレイ及び舌側前方壁が、上部アーチ(不図示)で使用されると、上部口蓋をクリアにするために、歯から離れる角度を有するように上部印象トレイの上部口蓋が外されるよう製造され得る。
【0074】
また別の実施形態において、デバイスは、温度センサー(不図示)を含有し得、その結果、照明時間及び/又は強度を調整し、口腔内の温度を低下させ、歯への熱による損傷を防止することができる。
【0075】
別の実施形態によれば、デバイスは、硬化効率を改善するため、及び一部の歯科材料の表面に形成することがある例えば酸素阻害層を減少させるため、複数の光重合開始剤で材料を硬化させるための2つ以上のピーク波長を有し、例えば、1つの種類は、350~410nmの波長を有するLED1(又は他の硬化光源)であり、別の種類は、450~490nmの波長を有するLED(又は他の硬化光源)である。LED硬化トレイは、200~700nmの範囲の波長を有する様々なLEDを有し得る。
【0076】
さらに、LEDの動力分散及び位置は、より大きな強度を印象の厚い領域118、122、124に、より低い強度を印象の薄い領域に提供するように変わり得る。
【0077】
また、トレイは、インプラント歯周炎及び歯周病の処置のために構成され得る。歯周病処置の間、プラークは、スケーリング及びルートプレーニングにより機械的に外される。通常、抗生物質は、歯周病の処置を受けた部位に投与される。しかし、抗生物質に対する耐性と薬物の副作用の発現は一般的なものである。光活性化抗菌療法は任意である。処置部位に最初に光増感液が塗布される。典型的な光増感剤は、メチレンブルーと他の染料、及び酸化チタンなどの光活性ナノ粒子である。光増感剤は、光によって活性化され、微生物に対して非常に有毒であることが知られている一重項酸素及び他の活性酸素種を放出する。光活性化は、650~550nmの領域の光スペクトルで出射し、病原性微生物を殺し得るLED(又は他の硬化光源)を装備した再利用可能なトレイを挿入することで実現し得る。
【0078】
さらにトレイは、骨及び軟部組織の生体刺激並びに骨壊死の可能性のある反転のために、350~700nmの波長領域で光を送るように構成され得る。
【0079】
別の例示的実施形態によれば、装置は、既製の歯科矯正ワイヤ及びブラケットアセンブリを歯に置き、接着するように構成される。特に、舌側ブラケットは、位置決め及び接着が特に難しい。光硬化印象材は、既成の歯科矯正ワイヤ及びブラケットアセンブリの製造中に、歯科医院で位置決めマトリックスを構築するために使用される。矯正治療医は、硬化位置決めマトリックスを使用して、歯にワイヤ及びブラケットアセンブリを置き、精密に位置決めされたブラケットを接着するために、光硬化トレイ及びマトリックスを再度作動させブラケットセメントを光硬化する。
【0080】
光硬化性接着剤は、歯科矯正器具を患者の歯のエナメル質表面に接着するための間接接着手順でよく使用される。間接接着技術に光硬化性接着剤が必要な場合、光硬化性接着剤の光への暴露及びそれに続く固化を促進するために、光を伝送する材料でボンディングトレイを製造するのが一般的な実践的方法である。しかし、口腔外光源が使用される場合、口腔内にボンディングトレイが存在すると、施術者が光源を操作し、口腔の後方部位に設置される器具に向かう方向など、ある部位に設置される接着剤に向けて照準を合わせる能力を多少妨げる可能性がある。本明細書に記載する再利用可能なトレイを使用すると、必要で適切な位置合わせが容易に維持され、すべてのブラケットをその場で同時に硬化できるため、これは非常に簡単に実現できる。他の歯科矯正手順は、再発光可能な発光トレイでより有利に行われると容易に推測することができる。一例としては、舌側保持具の配置位置である。
【0081】
さらに、色を変更することにより硬化が完了したことを表示する色を変更する光硬化印象材を含む光硬化印象システムを実現してもよい。溢れ領域など、トレイ境界の外側の領域は硬化を受けるのがより難しいため、これは特に有利である。これにより、施術者は、トレイを外す前に、すべての領域が硬化したことを確認できる。
【0082】
代替実施形態において、印象をUV光で自己消毒し、印象を安全に取り扱うことができる光硬化印象システムが得られる。トレイは、細菌やウイルスなどの微生物や他の病原体を殺す短波長(UV-C)範囲のLED(又はその他の硬化光)を有し得る。特に、250~260nmの波長は、殺菌照射に効果的である。自己消毒は、硬化及び患者から外した後に開始できる。
【0083】
別の実施形態によれば、歯科用照明トレイアセンブリは、光源の最適化された位置決めであって、光源は、歯列弓の内部及び外部に向けられ、歯列弓の外側に溢れる印象材50の適切な硬化及び光源を超えて分散する印象材の総厚を最小化することを可能にし、それに伴い、必要なエネルギー及び患者の口で光源により発生する熱を減少させる。トレイ8は、充填可能な口蓋部位を有しない場合がある。口蓋部位は、通常、歯科補綴物の製造には必要ないため、口蓋部位を外すことにより、必要なエネルギーを節約し、材料の溢れを緩和できる。また、トレイ8は、フルアーチ、セグメント化、トリプルトレイ又は単一のユニットトレイの構成形態をとることができる。図21及び図22に示すように、トレイは、より深部の領域に達するためにトレイの壁で光を伝えることを有し得る。
【0084】
実施形態において、放出された光を増幅することが望ましい。ライトパイプ形態アセンブリの場合、光伝達媒体、例えばライトパイプ又は光ファイバーの入口点で最高のエネルギー密度を得ることが望ましく、ライトパイプそれに伴い、光源の出射面の光の密度を増強できることが望ましい。これは、光学設計で実現するのが難しいことが知られている。各光源は最大電気定格で最大密度を持っているため、光の密度を高めるために光学的手段を使用することが望ましい場合がある。光の密度を高めるために、狭い波長スペクトル(390nm+-20nm及び480nm+-20nmなど)の2つの光源を備えたビームスプリッターを使用し、ビームコンバイナーのような半反射ミラーを使用してこれらを結合できることが分かった。これにより、たとえば2×2mm LEDの同じ断面に2つのLED電源を追加することが可能である。このビームスプリッターコンバイナーは、45度で配置することができ、これにより、例えば短波長を通過させ、表面にある長い波長を反射するか、コーティングに応じて逆に反射する。
【0085】
ライトパイプに入る光の密度を上げる別の方法は、入口に2つのLED(2×4mm)と出口に2×2mmを含む長いテーパープリズム(不図示)を使用することであろう。
【0086】
レーザー光源はおそらく、光の入射点での損失が少なく、最も効率的な光の結合である。ライトパイプをLEDの出射面とほぼ直接接触するように配置すると(距離を最小化)、非常に高い結合効率が得られ、ライトパイプを、結合効率を最大化するために導かれた表面の表面から数百ミクロン以内に保つことが重要である。
【0087】
この実施形態は、フルパワーで電源を入れる前に、ライトパイプ30と光源との間の結合が良好であるかどうかを決定するためのモニタリングセンサー(不図示)を含み得る。すべての光はファイバーの入射点の直径を伝わるので、プラスチックライトパイプの燃焼もしくは溶解又は結合不良を避けるために、領域を正確に位置合わせし洗浄し得る。ライトパイプ30の周りにエアギャップを含めると、ライトパイプ30の内部に光を保持できる。プラスチック内で光を反射させることが可能な屈折率の差を与えるため、空気と共にプラスチックコアを使用するライトパイプを作ることが可能である。さらにまた、図30に示すように、ライトパイプ30の長さに沿ってトレイから光が出ることを可能にするため、ライトパイプの表面に機能を含め得る。ライトパイプのLED光エンジンは、放熱を改善し、重量を減らすために、位相変化材料を備えたヒートシンク37により冷却され得る。あるいは、ヒートシンクとしてトレイのプラスチックを使用して燃焼を防ぐために、壁をLED6と熱的に連結してもよい。ゲルをLED6とLED6の周囲の壁の間に使用してもよい。
【0088】
アセンブリは、アセンブリに取り付け可能なオーバートレイを有し得る。オーバートレイは、アセンブリとオーバートレイの固定を可能にする機械的ロックアタッチメント機能を有し得る。アセンブリは、印象材が事前埋設される取り付け可能なオーバートレイを有し得る。図8に示すように、事前埋設オーバートレイは、トレイの異なる設置位置に置かれる異なる粘性のアセンブリを有し得る。化学接着剤でコーティングしてもよい。印象材の早期硬化を防ぐため、オペークリッドストックで覆われ得る。リッドストックは、トレイの上側壁に接着され、非取り付け領域が外されトレイ材料を露出させることができるように構成された共出射成形カバーであってもよい(実施形態では、印象材は、事前埋設トレイの未硬化状態では非常に粘着性があり、リッドストックと印象材の間の分離剤の使用が望ましいことがある)。非極性潤滑剤は、リッドストックを印象材から簡単に取り外し可能に保つのに有用であることがわかった。印象材は通常極性があるため、他の極性分子と親和性があり、極性潤滑剤の場合、経時的に印象材容量内を移動し、潤滑剤の効果が低下するであろう。リッドストックと印象材の間に非極性潤滑剤を使用すると、少量の潤滑剤が存在する場合でも、印象材の他の層との良好な接着性を維持しながら、良好な分離手段が得られる。任意の適切な非極性潤滑剤を使用でき、適切な非極性潤滑剤の1つの例としては、ワセリンがある。実施形態において、非極性潤滑剤はまた、湿潤性(歯の表面印象材)を増加させ、印象材に化学的に接合され得る修復物が存在する印象材の接着を減少させるために使用され得る。
【0089】
また別の実施形態において、アセンブリは、トレイが使用するための電気的及び光学的要件を満たしているかどうかを検証する電子モニタリングシステム(不図示)を備える。取り付けられたモニタリングシステムは、照明の測定のための光の変調を使用し得る。アセンブリは、独立したアセンブリによってさらに検証され、正しく機能するかどうかを決定し得る。モニタリングアセンブリには、トレイ上の他のLEDからの光を測定するためのフォトセンサーとして1つ又は複数のLED光源を有し得る。トレイは、照明の制御又はモニタリング目的のために、異なる区画に分割され得る。トレイは、駆動回路に取り付けられ、さまざまな電力でさまざまな光源を駆動するか、電流及び電圧の値をモニタリングし、トレイの使いやすさ及び/又はLED温度をモニタリングするために許容範囲と比較する。回路はまた、トレイの使用可能性を有効又は無効にしたり、インピーダンス及び/又は接続の容量を測定することによりトレイが確実に取り付けられていることを検出し得る。モニタリングアセンブリは、トレイと照明エンジンの間の接続のチェック、照明エンジンが光硬化サイクルに適していないことの表示、バッテリーが適切に照らすには弱すぎるなど場合の表示など任意の適切な機能を有することができよう。バッテリーの充電状態は、トレイ材料を硬化させるのに十分なエネルギーがあることを確認するために、電子システムによって検証することもできる。この「準備」又は「適合」検出システムは、LED及び周囲の温度、バッテリー残量、物理的及び光学的接続の品質、LEDの性能、付属ライトパイプの性能を直接又は間接的に検証する。この検出システムは、システムが使用可能であれば、ユーザーへクリアに通信することができる。患者の口に置いたときにこのトレイシステムが機能することが重要である。不適切な/準備ができていないトレイアセンブリの位置は、望ましくない/不快/危険な状況になる可能性がある(例えば、口の中の未硬化印象材)。それに伴い、電子システムは、熱電対、電流計、電気抵抗、電圧計付き急速放電アセンブリ、使用回数をカウントする埋め込み型電子カウンターの1つまたはそれらの組み合わせを使用して、上記のパラメータを測定する。
【0090】
また別の実施形態において、図10に示すように、光源にリフレクタとディフューザを付けて、所望の設置位置及び強度で光を方向付け得る
【0091】
LED6は、いくつかの側面出射及び/又は底面出射LEDを含み得る。例えば、図4に示すように、底面照明は、頬側又は舌側の解剖学的構造に向かって投影され、側面出射LEDは、前庭に向かって垂直に出射する。
【0092】
別の実施形態おいて、このアセンブリは、異なる形状及び大きさのトレイに適合するようにいくつかの照明部分の取り付け又は取り外しを可能にするモジュール式であってもよい(不図示)。
【0093】
さらに、印象の歪みを最小限に抑えるために、固定照明と変形可能な(軽量プラスチック)オーバートレイを一緒に取り付けることができ、印象50がキャストされるまで、互いに取り外すことはできなくし、最小限のプラスチックで保護された使い捨てオーバートレイが固定照明トレイへの取り付けにより歪みを防ぐことを可能にする。
【0094】
別の実施形態において、アセンブリは、光源間の距離(フレキシブル照明の場合)又は光源の劣化を検出し、必要に応じて調整を可能にする手段を有する動力モニタリング電子システム(不図示)を備え得る。
【0095】
アセンブリ内の光源は、これら範囲300~500、600~700、又は780~1000nmのうちの少なくとも1つを含み得る。(UVに比べて)比較的良好に進入し、放出されるエネルギーが高く、青色で機能する光重合開始剤がよく知られており、簡単に入手できるため、青色光(465 nm)を使用し得る。350~410nmの範囲のUV照明により、空気阻害層を減少させることを可能にし得る。アセンブリは、過熱を避け、それに応じて照明をオフにするよう警告するために、温度測定手段をさらに含んでもよい。LED6は温度に応じて消費量が異なるため、電流消費は温度の良好なモニターとなり得る。チップ内の熱電対又は他の温度計も、トレイ上又はトレイの近くに置かれ得る。
【0096】
また別の実施形態において、トレイアセンブリは、歯の漂白のための漂白ゲルと共に使用されてもよい。また、反応性ゲルの抗菌目的にも使用できる(歯周処置用)。
【0097】
別の実施形態において、フレキシブル格納式PCBストリップ29が、図23図26に示すように使用され得る。ストリップは、トレイ8から脱着可能なLED6の線形アレイである。このLED6のアレイは、トレイ8の照明を可能にし、トレイ内のトンネル又はチャネルに挿入され得る。他の実施形態のように、トレイのすべての領域に光をもたらすために、リフレクタ及び光学チャネルが作製されてもよい。さらに、このトンネルは、口の汚染物質からPCBを保護し、滅菌せずに再利用することを可能にする。トンネルに入る最初の部分はより多くの湾曲を経験するので、ストリップ29は同じフレキシブル格納式PCBストリップの長さで異なる可撓性を持つが、終端部分はより硬くなり、挿入の摩擦に対抗するのに必要な力を提供する。この格納式PCBの可撓性は、PCBに取り付けられたニチノールなどの柔軟な素材を使用することで得られるであろう。格納式PCBの場合、熱出力を分散し、より良い消散のためにPCB全体に均等に分散させるために、LEDの数を増やすことが望ましいことがある。これにより、LEDの早期の劣化につながる可能性のあるLEDの過度の加熱を防ぐ。また、この格納式PCBとトレイの壁の間のエアギャップによって作製されたこの分離を除去するために、チャネルの格納式PCBが適合する場所に光学的に透明な、熱結合剤を充填し得る。例えば、製造時にチャネルにグリセリンを事前に埋めることができよう。グリセリンの量は、グリセリンをこぼさずにこの格納式PCBの体積に収容するように計算され得る。このような格納式PCBを使用したアセンブリでは、ライトパイプと比較してこの格納式PCBの断面寸法が小さいため(ライトパイプの場合は凡そ2×2mm、格納式PCBの場合は凡そ1×1mmの断面)、デュアルアーチトレイの後臼歯ブリッジの寸法を小さくすることが可能である。また、格納式PCBの厚さは、トリプルトレイの後臼歯の領域(約2~4mm)に挿入するのに十分な薄さである場合がある。LED6が全て一列にあるため、使用に先立ち、適切な機能を確保するために正確に各LED6を分析することが容易であり得る。トレイに配置されている間、LEDはフォトセンサーによって検証及びカウントされてもよい。
【0098】
また別の実施形態において、単回使用トレイ(又は再利用可能な発光トレイの場合のトレイインサート)の場合、光硬化型印象材50を発光トレイに直接注ぐことにより、事前埋設トレイ1を実現することができる。次に、材料50は、トレイからの材料の漏れ又は変位を防ぐために、外すことが可能なリッドストックで被包される。このアセンブリは、励起波長をブロックするコンテナに配置されて、長い貯蔵寿命を可能にする。事前埋設トレイには、トレイを充填する工程を除外し、硬化が困難な領域の過剰な溢れた材料を最小限に抑えるのに必要な材料50を十分に使用できるという利点がある。また別の実施形態において、高粘稠度印象材の溢れを防ぐために、半透過性で、薄い半透明膜を製造中に高粘稠度部の上に置き得る。これにより、この膜又はメッシュ上の粘性の低い材料との良好な化学結合を維持しながら、高粘稠度部の封じ込めが可能なろう。あるいは、この膜を印象材に化学的に結合させることもできる。上述のこの半透過の膜はまた、高粘稠度部の力を洗浄材料に集中させて溝への進入を増加させる弾性材料で作られ得る(不図示)。光硬化型印象材は、材料の良好な制御を可能にし、未硬化の粘性の低い洗浄材料を超えるある圧力を作ることを可能にすることができる高い粘性(高粘稠度又はトレイ材料のようなパテ)からなり得る。アセンブリの被包は、埋設トレイにガラス充填剤と開始剤の混合物を吹き付けて、材料の上面層を硬化させることで実現し得る。この薄いクラストは、その後臨床医又は患者の歯によって破壊することができる。被包は、剥がすことができるプラスチックシートで構成されていてもよい。さらに、被包は、クラストを作製するために、UV光を所定の時間だけ使用して作成され得る。UV光は、樹脂内部への進入が低く、そのため、感度の低いタイミングで厚さをより細かく制御することが可能である。被包は、作成される酸素と阻害層を除去するためUV又は青色光で硬化しつつ不活性ガスを使用して実現してもよい。ペーストが空気に晒されるトレイの端では、薄い酸素阻害層が形成され得る。しかし、材料の硬化速度が速いと、表面に形成される可能性のある酸素阻害層が最小限に抑えられるであろう。
【0099】
さらに、本体(高粘度)材料17は、酸化チタンのような反射性粒子を有し得る。反射性粒子は光の進入を減少させるが、光の散乱により印象材内部の光の分散を増加させる。それに伴い、粒子は光の拡散を可能にし、歯科解剖学的構造のアンダーカットで材料を硬化させる。
【0100】
別の実施形態において、光硬化型洗浄材料は、血液及び唾液の存在下でさえも、歯科準備縁の近く又は歯周溝に置くことができる。250~700ミクロンの内径針を使用して、溝内に正確に洗浄材料を送ることができる。材料は、溝内の配置の直後で、組織が回復して空間を閉じる前に迅速に硬化し得る。洗浄材料は、透明又は半透明であり、歯肉溝内及び修復される歯の縁上の塗布中に材料を通し組織の直接的な視覚的観察を可能にする。
【0101】
洗浄を終えてボディ材料と発光トレイの配置の前に、(独立した光源、例えば通常の硬化光を使用して)洗浄材料は硬化されてもよい。酸素阻害層により後続の層との結合を作成できるため、材料の増分配置が可能である。この事前硬化法は、低粘度部が高粘稠度材料によって移動し、光硬化光が届きにくい領域に向かって押し出されるため、溢れた量を最小限に抑えることができる(不図示)。さらに、材料は汚染に対してあまり敏感ではなく、親水性である可能性があり、光の進入を良好にするために半透明であり得る。
【0102】
洗浄(低粘度部)光硬化型印象材と、針の小さな内腔を通して材料を押し出すための高圧を作り出すことができる注射器を備えた小径針を備える洗浄送達キットが実現され得る。洗浄材料は、歯肉組織による印象材の「崩壊性」を減少させるための繊維及び粒子を有し得る。洗浄材料は、放射線不透過性であるため、光学スキャナー又はマイクロCTでスキャンされ得る。
【0103】
さらに、光学的又は物理的特性のいずれかのために印象材に粒子を追加することができ、効果的な硬化光の保存を可能にするために硬化光周波数で非吸収になるように選択され得る。例えば、青色光硬化開始システムの場合、青色の非蛍光粒子が望ましい。ベース樹脂と同様の粒子の屈折率は、硬化の深さを増加させるために望まれ得る。半透明性を低下させることでより高い可読性を得るには、酸化チタンのような散乱粒子がある程度望まれ得る。
【0104】
別の実施形態において、光硬化型材料は、部分義歯の周辺印象を作成するのに有用であり得る。臨床医はトレイの周辺部分に一定量の印象を置き、ヘリ型を調製する。
【0105】
この光硬化型親水性洗浄材料を使用して、最初に溝を充填し、次に第2段階で、硬化した洗浄材料を印象材の本体で取り上げることで印象を作ることは、必要に応じて、無制限の作業時間と溝の増分充填を可能にする。動作フィールドを、硬化波長を除去するフィルター光で照らすと、無制限の作業時間が可能になる(例えば、周知のオレンジ色のフィルターを使用)。あるいは、動作フィールドを照明するために使用される動作ライトが間接的に照明するように向けられている、例えば、光は患者の顎に向けられている場合、実質的に無制限の作業時間を持つことができる。硬化波長フィルタリングなしの動作ライトの場合(例えば、典型的なオレンジ色の半透明フィルター)、そのとき硬化時間が長い洗浄材料を使用できよう。そのようなより長い作業時間の洗浄材料を使用する場合、硬化時間をより長い期間に調整する必要がある。言い換えれば、フィールドの可視性に使用される高強度の動作ライトは一定量の硬化光を生成するため、これらは洗浄材料をあまりにも速く硬化させる可能性があり、反応性の低い洗浄印象材を使用することが可能である。
【0106】
光硬化印象トレイは、硬化の程度を表示するために、再利用可能なトレイの頬側と舌側に置かれるセンサーを有し得る。例えば、トレイの一方の側にミニチュアスピーカーを埋め込み、もう一方の側にマイクを埋め込むことができる。印象材の硬化の前後で音の伝達が異なり、音信号を変調することが知られている。その後、この信号を電子的に処理して、硬化の程度を表示することができる。あるいは、電気抵抗検出器も想定され得る。
【0107】
実施形態の動作[再利用可能な発光トレイ用]
印象材50、16、17、18、19は、再利用可能な発光印象トレイ8にきちんと適合する単回使用のトレイ1、1aに事前埋設され得る。特定の各トレイ8には、特定の一致する事前埋設トレイインサート1、1aを有し得る。使用中、開業医は、事前埋設トレイインサートを、光保護オーバーパッケージ51(バッグ、ポーチ、ラップ、トレイなど、不図示)から外すだけであろう。次に、ユーザーは、事前埋設インサートを発光トレイ8に置き、起動モジュール2を取り付け、印象材を覆う非粘着性の保護ライナー又は蓋48を取り外す。ユーザーは、トレイを患者の口に挿入し、トレイと患者の位置を合わせ、モジュール2を起動し、これによりLED6、ライトパイプ30(又はその他の硬化光源)が照明する。光硬化印象材50、16、17、18、19は、1秒未満で硬化し得る。
【0108】
実施形態の動作(単回使用の発光トレイ用)
印象材50、16、17、18、19は、単回使用の発光印象トレイ8b、8c、8e、8fに事前埋設され得る。使用中、開業医は、事前埋設トレイを光保護オーバーパッケージ51(バッグ、ポーチ、ラップ、トレイなど、不図示)から外し、起動モジュール2を取り付けるだけであろう。その後、ユーザーは、印象材を覆っている非粘着性保護ライナー又は蓋48を外す。ユーザーは、トレイを患者の口に挿入し、トレイと患者の位置を合わせて、モジュール2を起動し、これにより、LED6、ライトパイプ30(又はその他の硬化光源)が適切な時間照明する。光硬化印象材50、16、17、18、19は、1秒未満で硬化し得る。
【0109】
本明細書に記載及び図解されているのは、いくつかのバリエーションのある本開示の実施形態である。本明細書で使用される用語、説明、及び図は、説明のみを目的として記載されており、限定を意味するものではない。当業者は、本開示の精神及び範囲内で多くの変形が可能であることを認識し、すべての用語は、特に示されない限り、最も広く合理的な意味で意味される。したがって、本開示は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。本明細書で説明する本実施形態のアーキテクチャは、図面に示されている以外の方法で利用及びナビゲートできるように、十分に柔軟に構成可能である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11A
図11B
図11C
図12
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図16
図17
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図25a
図25b
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図27
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図28b
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