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特許7284111計測システム、診断システム、および検知スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】計測システム、診断システム、および検知スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20230523BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20230523BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20230523BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20230523BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230523BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G08C19/00 G
G08C17/00 Z
G08C15/00 E
H04Q9/00 311J
H02J1/00 308C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020015377
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021092524
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2019221404
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢郎
(72)【発明者】
【氏名】三屋 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 久幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215631(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148371(WO,A1)
【文献】特開2018-190053(JP,A)
【文献】特開2014-062775(JP,A)
【文献】特開2011-160612(JP,A)
【文献】特開平11-258062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G08C 19/00
G08C 17/00
G08C 15/00
H04Q 9/00
H02J 1/00
H02J 7/00
F03G 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音、振動、または変位により発電する振動発電部と、
前記振動発電部が発電する電力に基づいて電源の電力消費量を制御する電源制御部と、
前記電源制御部により供給される電力で駆動され、環境状態量を検出する検出部と、
前記電源制御部により供給される電力で駆動され、前記検出部で検出した前記環境状態量に関する情報を送信する送信部と、
前記環境状態量に応じて音または振動を発生する振動発生部と、
を備え、
前記振動発電部は、振動発生部により発生した音または振動により発電する、計測システム。
【請求項2】
請求項に記載の計測システムにおいて、
前記環境状態量は温度、圧力、または流量のいずれか一つ以上であり、
前記振動発生部は、温度、圧力、または流量の変化により形状が変動し、音または振動を発生する部材を含む、計測システム。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の計測システムにおいて、
前記電源は環境発電装置を含む、計測システム。
【請求項4】
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の計測システムにおいて、
前記電源は、環境発電装置により構成される、計測システム。
【請求項5】
診断対象物の近傍に配置された、請求項から請求項までのいずれか一項に記載の計測システムと、
前記計測システムから送信される信号を受信し、前記信号に基づいて前記診断対象物の状態を診断する受信システムと、
を備える診断システム。
【請求項6】
音、振動、または変位に応じて電気信号を生成する振動検知部と、
前記振動検知部が生成する前記電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部と、
環境状態量の変化に応じて音または振動を発生する振動発生部と、
を備え、
前記検知部は、前記振動発生部により発生した音または振動により前記振動検知部が生成した電気信号の出力が、前記所定値より大きいか、または前記所定値以下であるかを検知する、検知スイッチ。
【請求項7】
請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記振動検知部は、音、振動、または変位により発電する振動発電部である、検知スイッチ。
【請求項8】
請求項または請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記検知部が検知した検知結果に基づいて電源が供給する電力量を制御する電源制御部を、さらに備える検知スイッチ。
【請求項9】
請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記電源制御部は、前記振動検知部が生成した前記電気信号を前記検知部が検知した検知結果に基づいて、前記電源が供給する電力を出力端子に出力するか、または前記出力端子への出力を遮断するかを制御する、検知スイッチ。
【請求項10】
請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記環境状態量は温度であり、前記振動発生部は温度変化により形状が変動し音または振動を発生する、検知スイッチ。
【請求項11】
請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記環境状態量は圧力であり、前記振動発生部は圧力変化により形状が変動し音または振動を発生する、検知スイッチ。
【請求項12】
請求項に記載の検知スイッチにおいて、
前記環境状態量は流量であり、前記振動発生部は流量変化により形状が変動し音または振動を発生する、検知スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測システム、診断システム、および検知スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に設置された社会インフラ等の装置を無人で監視し、監視した結果を無線通信等により送信するシステムが提案されている。従来のシステムにおいては、消費電力を低減するために、監視を行う稼動状態に比べ、監視を行わない待機状態における消費電力を削減することで、省電力を図っている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-208067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムにおいては、所定時間毎に、または外部から信号が入力されることによって、待機状態から稼働状態に移行する。このため、待機状態においては、外部からの信号を受信するための回路ユニットに対して常に電力を供給し続ける必要があり、待機状態における消費電力を大幅に削減することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、計測システムは、音、振動、または変位により発電する振動発電部と、前記振動発電部が発電する電力に基づいて電源の電力消費量を制御する電源制御部と、前記電源制御部により供給される電力で駆動され、環境状態量を検出する検出部と、前記電源制御部により供給される電力で駆動され、前記検出部で検出した前記環境状態量に関する情報を送信する送信部と、を備える。
本発明の第2の態様によると、診断システムは、診断対象物の近傍に配置された第1の態様の計測システムと、前記計測システムから送信される信号を受信し、前記信号に基づいて前記診断対象物の状態を診断する受信システムと、を備える。
本発明の第3の態様によると、検知スイッチは、音、振動、または変位に応じて電気信号を生成する振動検知部と、前記振動検知部が生成する前記電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、計測システムの待機状態における消費電力を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の計測システムの概略構成を示す図。
図2】第2実施形態の計測システムの概略構成を示す図。
図3】第3実施形態の計測システムの概略構成を示す図。
図4】振動発電部の変形例を示す図。
図5】環境発電装置を含む電源の一例を示す図。
図6】計測システムの変形例5の概略構成を示す図。
図7】計測システムの変形例6の概略構成を示す図。
図8】計測システムの変形例7の概略構成を示す図。
図9】計測システムの変形例8の概略構成を示す図。
図10】計測システムの変形例9の概略構成を示す図。
図11】診断システムの一実施形態の概略構成を示す図。
図12】診断システムにおける計測システムの使用例を示す図。
図13】各実施形態および各変形例の検知スイッチを含む計測システムの概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態の計測システム)
以下、図1および図2を参照して第1実施形態の計測システム1について説明する。
図1は、第1実施形態の計測システム1の概略構成を示す図である。計測システム1は、音または振動により発電する振動発電部2と、電源10の電力消費量を制御する電源制御部4と、環境状態量S1を検出する検出部6と、検出部6で検出した環境状態量に関する情報を送信する送信部7、等を備えている。
電源10は、外部から電力の供給を受けず、自己の内部に蓄積されたエネルギーを電気エネルギーとして供給する、電池等の電源である。
【0009】
計測システム1はさらに、検出部6で検出した環境状態量(第1信号S1)に基づいて所定の情報を算出し、その情報を第2信号S2として送信部7に伝達する信号処理部5aを備えている。
電源制御部4は、振動発電部2が発電する電力に基づいて、電源10から検出部6、送信部7、および信号処理部5aへの電力供給を制御し、すなわち、電源10の電力消費量を制御する。
計測システム1はさらに、振動発電部2の出力電圧V0が入力され、電源制御部4に第1制御信号V1を出力する自己保持回路3を備えている。
【0010】
検出部6は、一例として、計測システム1が設置された環境における環境状態量の一つである音を検出する音検出部であり、音の振動を電気信号に変換するマイクロフォン等のセンサ12と、検出回路13とを有している。検出回路13は一例として、トランジスタや差動アンプ等の増幅素子を含む回路である。検出回路13は、センサ12から出力されたアナログ信号をSIN端子から受信し、信号に対して増幅等の処理を行い、処理されたアナログ信号をVout端子から第1信号S1として出力する。検出回路13のVCC端子には、電源制御部4の出力端子OUTから出力される電力が供給され、検出回路13のGND端子はグランドである電源10の-側に接続されている。
【0011】
信号処理部5aは、一例として、アナログ/デジタル変換器を含み、変換されたデジタル信号に対して所定の信号処理を行うマイクロコントローラ等の半導体集積回路である。信号処理部5aの入力端子SIは、検出部6のVout端子に接続されており、検出部6のVout端子から出力された第1信号S1は、信号処理部5aの入力端子SIに入力される。信号処理部5aのVCC端子には、電源制御部4の出力端子OUTから出力される電力が供給され、信号処理部5aのGND端子はグランドに接続されている。
【0012】
信号処理部5aの入力端子SIに入力された第1信号S1は、信号処理部5aにおいてアナログ信号からデジタル信号に変換(A/D変換)される。さらに、信号処理部5aにおいてA/D変換された第1信号に基づいて、センサ12が検出した音の大きさ、例えば音圧レベルを検出する、音の周波数スペクトルを算出する、音の発生回数または音の発生の間隔を算出する等の信号処理がなされる。信号処理により第1信号S1から抽出された音の大きさ、または周波数スペクトルに関する情報は、デジタルの第2信号S2として、信号処理部5aの出力端子SOから出力される。
【0013】
信号処理部5aは、不図示のROM等に記憶されているプログラムに従って、上述の信号処理を行う。
なお、信号処理は、アナログの第1信号S1をデジタルの第2信号S2にA/D変換する処理も含むものであり、従って、第2信号S2は、第1信号S1を単にA/D変換した信号であっても良い。
【0014】
送信部7は、通信回路14とアンテナ15とを含む。通信回路14は一例として、トランジスタ等の増幅素子、発素子、SAWデバイス等の周波数選択フィルタ素子を含む通信回路である。通信回路14のVCC端子には、電源制御部4の出力端子OUTから出力される電力が供給され、通信回路14のGND端子はグランドに接続されている。
【0015】
通信回路14の入力端子SSは、信号処理部5aの出力端子SOに接続されており、入力端子SSには信号処理部5aの出力端子SOから出力された第2信号S2が入力される。通信回路14は入力端子SSから入力された第2信号S2を、アンテナ15から無線送信するのに適した変調信号として変調し、増幅し、増幅された変調信号をRF端子からアンテナ15に出力する。第2信号に基づいて変調された変調信号は、アンテナ15から外部に向かって送信される。
【0016】
なお、信号処理により第1信号S1から抽出された音の大きさ、または周波数スペクトル等に関する情報が、いずれも所定の正常範囲にある場合には、信号処理部5aは通信回路14に対して、第2信号S2に代えて、送信不要を伝達する信号を送信しても良い。送信不要を伝達する信号を受信した通信回路14は、外部への送信を行わない。
【0017】
電源制御部4は、一例として、MOS-FET集積回路等の電源制御素子である。電源制御部4の電源端子INは電源10の+側に接続され、電源制御部4の接地端子GNDはグランドに接続されており、電源制御部4には電源10から電力が供給される。電源制御部4の制御端子CNTには、後述する第1制御信号V1が入力され、電源制御部4は制御端子CNTに入力される第1制御信号V1の電圧が、しきい電圧である第1電圧より高いと電源10からの電力を出力端子OUTに出力する。一方、第1制御信号V1が第1電圧以下であると出力端子OUTへの電力の供給を遮断する。
【0018】
第1電圧の値は、一例として、グランドに対して+0.2Vから+2Vまでのいずれかの値とすることができる。
なお、電源制御部4が電源10から出力端子OUTへの電力の供給を遮断する際の第1制御信号V1のしきい電圧は、電源制御部4が電源10から出力端子OUTへの電力の供給を開始する際の第1制御信号V1のしきい電圧よりも、低く設定されていても良い。すなわち、電源制御部4による電の供給および遮断の制御は、第1制御信号V1の値に対して、ヒステリシスを有していても良い。
【0019】
以上で説明したように、計測システム1は、電源制御部4が電源10からの電力を検出部6、信号処理部5a、および送信部7に供給している稼働状態において、検出部6が検出した音等の環境状態量に関する情報を外部に向かって送信することができる。
【0020】
電源10に蓄えられている電力の消費を抑え、電源10に蓄えられている有限の電力により長期間に渡って検出および送信を行うためには、稼働状態ではない待機状態における消費電力を可能な限り削減することが望ましい。
第1実施形態の計測システム1は、環境状態量である音を検出部6が検出し、その音に関する情報を外部に送信する計測システムである。従って、計測システム1が設置されている環境に計測すべき音が存在しなければ、計測システム1は稼働する必要はなく、省電力の待機状態を維持すればよい。そして、計測システム1が設置されている環境に計測すべき音が発生した場合に、計測システム1は待機状態から稼働状態に切り替われば良い。
【0021】
このために、第1実施形態の計測システム1は、計測すべき音を検出するイベントセンサとして、電源10からの電力を消費せず、振動発電部2は音または振動により発電を行ない、発電した電力により信号を出力する振動発電部2を有している。振動発電部2は、計測すべき音を検出するとその音のエネルギーを用いて自ら発電し、上述の電源制御部4に第1電圧より高い電圧の第1制御信号V1を出力する。この第1制御信号V1を受けて、電源制御部4は、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10からの電力の供給を開始する。
【0022】
一方、環境に計測すべき音が存在しない場合、振動発電部2の発電量は低く、電源制御部4へ出力する第1制御信号V1の電圧は、第1電圧以下となる。従って、電源制御部4は、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10から供給する電力の量を削減し、あるいは電力の供給を遮断し、計測システム1は待機状態となる。待機状態においても、イベントセンサである振動発電部2は、電源10の電力を消費しない。
【0023】
振動発電部2は、一例として、振動発電素子11と、一例としてツェナーダイオードである整流素子ZDと、抵抗R1と、コンデンサC1とを含む。振動発電素子11は、環境に存在する音または振動により発電する素子であり、例えば、エレクトレット型発電素子、ピエゾ型発電素子、電磁誘導型、または磁歪型の発電素子である。これらの振動発電素子11は、いずれも音または振動の周波数に等しい周波数を持つ交流電力を発電する。
【0024】
振動発電素子11により発電された交流電力は、整流素子ZD、抵抗R1およびコンデンサC1からなる整流回路により整流される。振動発電素子11の一端はグランドに接続され、他端は整流素子ZDのカソードおよび抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は、コンデンサC1の一端に接続され、出力部T1を構成する。コンデンサC1の他端および整流素子ZDのアノードは、グランドに接続されている。出力部T1の電圧が振動発電部2の出力電圧V0として出力される。なお、出力電圧V0の上限は、ツェナーダイオードである整流素子ZDの降伏電圧により制限される。
【0025】
振動発電部2の出力電圧V0は、自己保持回路3の入出力部T2に入力される。自己保持回路3は、一例として、pnpトランジスタQ1とnpnトランジスタQ2とを含むラッチ回路により構成される。pnpトランジスタQ1のコレクタとnpnトランジスタQ2のベースは接続されており、この部分が入出力部T2となる。入出力部T2には、一端がグランドに接続されている抵抗R2の他端も接続されている。
【0026】
pnpトランジスタQ1のエミッタは、抵抗R3を介して電源10の+側に接続されている。pnpトランジスタQ1のエミッタとベースは、抵抗R4を介して接続されている。npnトランジスタQ2のエミッタはグランドに接続され、コレクタはpnpトランジスタQ1のベースに接続されている。
入出力部T2は、さらに電源制御部4の制御端子CNTにも接続されており、入出力部T2の電圧は、上述の第1制御信号V1として、電源制御部4の制御端子CNTに入力される。
【0027】
振動発電部2の出力電圧V0は、自己保持回路3の入出力部T2に入力され、npnトランジスタQ2のベースに印加される。一例として、npnトランジスタQ2のしきい値電圧である第2電圧は、上述の電源制御部4のしきい電圧である第1電圧と概ね等しく設定されている。出力電圧V0が第2電圧を超えない場合、npnトランジスタQ2のコレクタとエミッタとの間は非導通となる。このためnpnトランジスタQ2のコレクタの電圧は、電源10の電圧に近い電圧となる。そして、この電圧がpnpトランジスタQ1のベースに印加されるため、pnpトランジスタQ1のエミッタとコレクタとの間も非導通となる。
【0028】
この結果、入出力部T2の電圧である第1制御信号V1の電圧は、自己保持回路3に入力される出力電圧V0と概ね同じ電圧となる。そして、上述のとおり、出力電圧V0および第1制御信号V1の電圧は、第2電圧および電源制御部4のしきい値電圧である第1電圧を超えていないため、第1制御信号V1が制御端子CNTに入力されても、電源制御部4は電源10からの電力の供給を開始しない。この結果、計測システム1は待機状態を維持する。
【0029】
一方、npnトランジスタQ2のベースに印加され出力電圧V0がnpnトランジスタQ2のしきい値電圧である第2電圧を超えると、npnトランジスタQ2のコレクタとエミッタとの間は導通する。このため、npnトランジスタQ2のコレクタの電圧は、グランドの電圧(0V)に近くなる。そして、この電圧がpnpトランジスタQ1のベースに印加されるため、pnpトランジスタQ1のエミッタとコレクタとの間も導通する。その結果、入出力部T2の電圧は電源10の電圧に近づき、入出力部T2の電圧である第1制御信号V1の電圧は、自己保持回路3に入力される出力電圧V0以上となる。
なお、自己保持回路3においては、出力電圧V0が第2電圧を超えた場合には、第1制御信号V1の電圧が上述の第1電圧より高い電圧となるように、抵抗R2、R3、R4の抵抗値をそれぞれ設定している。
【0030】
従って、出力電圧V0が第2電圧を超えた状態では、制御端子CNTに入力される第1制御信号V1の電圧も第1電圧を超え、電源制御部4は、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10からの電力の供給を開始する。この結果、計測システム1は稼働状態となる。
この状態で、振動発電部2の出力電圧V0が第2電圧を下回っても、既に導通しているpnpトランジスタQ1およびnpnトランジスタQ2の導通状態は維持されるので、入出力部T2は第1電圧よりも高い電圧に維持される。
【0031】
以上の作用により、自己保持回路3は、振動発電部2の出力電圧V0が所定の電圧である第2電圧を超えない限り、第1制御信号V1として上述の第1電圧以下の電圧を出力し続け、計測システム1は待機状態を維持する。
一方、振動発電部2の出力電圧V0が一度でも第2電圧を超えると、その後も第1制御信号V1として第1電圧より高い電圧を出力し続け、計測システム1は稼働状態を維持する。
【0032】
自己保持回路3は、さらに、入出力部T2の電圧を第1電圧以下にリセットするためのnpnトランジスタQ3を有している。npnトランジスタQ3のコレクタは入出力部T2に接続され、エミッタはグランドに接続されている。そして、npnトランジスタQ3のベースは、信号処理部5aのリセット信号出力端子RSTに接続されている。
【0033】
信号処理部5aは、上述の信号処理および送信部7への第2信号S2の送信の完了後、所定のタイミングで、リセット信号出力端子RSTからプラス電圧の第2制御信号V2を出力する。自己保持回路3にこの第2制御信号V2が入力されると、npnトランジスタQ3のコレクタとエミッタとの間が導通し、従って、入出力部T2の電圧は概ねグランドの電圧(0V)に低下する。これによりnpnトランジスタQ2のコレクタとエミッタとの間は非導通となり、これに伴ってpnpトランジスタQ1のベースの電圧が上昇し、pnpトランジスタQ1のコレクタとエミッタとの間は非導通となる。
【0034】
この結果、入出力部T2の電圧、および第1制御信号V1の電圧は概ねグランドの電圧(0V)に低下する。電源制御部4は、第1電圧以下の第1制御信号V1が制御端子CNTから入力されることにより、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10から供給する電力の量を削減し、あるいは電力の供給を遮断する。これにより、計測システム1は待機状態となる。
【0035】
信号処理部5aが、第2制御信号V2を出力するタイミングは、信号処理部5aを制御するプログラムにより決定されても良い。また、信号処理部5aに代わり、送信部7が送信を完了した時点で、送信部7が信号処理部5aに対して第2制御信号V2を送信してもよい。
【0036】
また、上述したように、第1信号S1から抽出された情報が所定の正常範囲で信号処理部5aおよび通信回路14が外部への送信を行わない場合、信号処理部5aは抽出された情報が所定の正常範囲にあると判断した時点で、第2制御信号V2を出力しても良い。
【0037】
計測システム1が、特定の周波数の音や振動を発生する対象を計測する場合には、その周波数を含む所定の周波数帯域の音または振動に対する発電効率が、他の周波数の音または振動に対する発電効率よりも高められている振動発電部2を使用しても良い。具体的には、例えば、振動発電部2に含まれる振動発電素子11の共振周波数を、その音または振動の周波数を含む所定の周波数帯域に設定すると良い。あるいは、振動発電部2自体の機械的な構造を、その周波数を含む所定の周波数帯域において共振するような構造としても良い。
【0038】
以上においては、自己保持回路3は、npnトランジスタおよびpnpトランジスタのバイポーラトランジスタを含むものとしたが、npnトランジスタに代えてnMOSトランジスタ、pnpトランジスタに代えてpMOSトランジスタで構成しても良い。
また、自己保持回路3の構成は、上記の構成に限られるものではなく、他の構成の公知のラッチ回路を用いても良い。また、フォトダイオードを含む自己保持回路であっても良い。
【0039】
なお、上述の第1実施形態においては、電源制御部4と信号処理部5aとは、別々の回路であるものとしたが、電源制御部4と信号処理部5aとは、例えば、モノリシックあるいはハイブリッドに、1つの集積回路として形成されていてもよい。
すなわち、1つの集積回路において、所定の部分が電源制御部4を構成し、他の部分が信号処理部5aを構成するものであっても良い。
【0040】
計測システム1は、設置された環境に環境状態量である音の存在とは無関係に、例えば定期的に、外部に稼働履歴等の情報を送信することが必要な場合もある。そこで、計測システム1は、タイマーIC等を含むタイマー部16を備え、タイマー部16から所定の間隔で電源制御部4の制御端子CNTに第1電圧より高い電圧を有する信号を送ることで、所定の間隔で計測システム1を稼働状態とする。
【0041】
タイマー部16からの信号で稼働状態とされた場合、設置された環境に検出すべき音は存在しないため、検出部6から検出される音は所定の大きさよりも小さな音になる。従って、信号処理部5aは、例えば、検出部6から検出される音が所定の大きさより大きいか小さいかを判断し、所定の大きさより大きければ、上述の音に関する情報を送信するプロセスを実行しても良い。
【0042】
一方、検出部6から検出される音が所定の大きさより小さければ、稼働履歴等の情報を外部に送信するプロセスを実行しても良い。これに際し、稼働履歴等の情報の一部として、電源10の電圧等の電源10の電気エネルギーの残量に関する情報を外部に送信しても良い。
【0043】
なお、タイマー部16は電源10から電力の供給を受け、計測システム1の稼働状態および待機状態のいずれにおいても常時電力を消費する。しかし、タイマー部16が消費する電力は、例えば腕時計1個が消費する電力程度と極めて微小であり、電源10に蓄えられている電力を大きく消耗させるものではない。
なお、所定の間隔で計測システム1を稼働状態とする必要がない場合には、タイマー部16を設けなくても良い。
【0044】
(第2実施形態の計測システム)
図2は、第2実施形態の計測システム1aを示す図である。第2実施形態の計測システム1aは、多くの構成が上述の第1実施形態の計測システム1と共通する。従って、以下では共通する構成には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0045】
第2実施形態の計測システム1aは、信号処理部5aと後述する制御信号生成部5bとを含む制御部5とを有している。制御部5の電源端子であるVCC端子は、信号処理部5aと制御信号生成部5bとで共有されている。制御部5のVCC端子への電源10からの電力の供給は、第1電源制御部4aにより、振動発電部2からの出力電圧V0に基づいて直接的に制御される。
【0046】
一方、検出部6および送信部7に対する電源10からの電力の供給は、制御部5に含まれる制御信号生成部5bからの第3制御信号V3および第4制御信号V4に基づいて、それぞれ第2電源制御部8および第3電源制御部9により制御される。第2電源制御部8および第3電源制御部9の電源端子INには、電源10からの電力が入力される。第2電源制御部8は、制御信号生成部5bの端子P1から出力され、制御端子CNTに入力される第3制御信号V3に基づいて、検出部6に対する電源10からの電力の供給を制御する。第3電源制御部9は、制御信号生成部5bの端子P2から出力され、制御端子CNTに入力される第4制御信号V4に基づいて、送信部7に対する電源10からの電力の供給を制御する。
【0047】
なお、第1電源制御部4a、第2電源制御部8および第3電源制御部9は、いずれも第1実施形態の計測システム1における電源制御部4と同様な構成で良い。
第2実施形態の計測システム1aにおいては、第1電源制御部4a、第2電源制御部8、第3電源制御部9、および制御信号生成部5bが、第1実施形態の計測システム1における電源制御部4に相当する電源制御部40を構成するともいえる。
【0048】
第2実施形態の計測システム1aにおいては、電源制御部40は、第1制御信号V1に基づいて、電源10から検出部6、送信部7および信号処理部5aへの電力供給を個別に制御することができる。
【0049】
第2実施形態の計測システム1aにおいては、周囲に環境状態量である音が生じると、第1電源制御部4aが、制御部5に対して電源10からの電力の供給を開始する。これにより、制御部5内の信号処理部5aおよび制御信号生成部5bが稼働状態となる。制御信号生成部5bは、一例として、マイクロコントローラ等の半導体集積回路である。制御信号生成部5bの電源端子VCCは、信号処理部5aの電源端子VCCと共有されており、制御信号生成部5bには、信号処理部5aに供給される電力と同じ電圧の電力が供給される。
【0050】
制御信号生成部5bは電の供給を受けると、不図示のROM等に記憶されているプログラムに従って、第3制御信号V3および第4制御信号V4を出力する。第2電源制御部8および第3電源制御部9は、それぞれ第3制御信号V3または第4制御信号V4を受信することで、電源10からの電力を出力端子OUTに出力する。
【0051】
一例として、制御信号生成部5bは、第1電源制御部4aから電の供給を受け稼働状態になると、まず第2電源制御部8に所定の第1期間だけ第3制御信号V3を出力し、第2電源制御部8に検出部6への電源10からの電力の供給を開始させる。
信号処理部5aは、第1電源制御部4aから電の供給を受け稼働状態になると、上述の第1実施形態の計測システム1と同様に、検出部6から出力された第1信号S1を信号処理する。
【0052】
制御信号生成部5bは、信号処理部5aによる上記の信号処理が完了する、あるいは完了する直前のタイミングで、第3電源制御部9に所定の第2期間だけ第4制御信号V4を出力し、第3電源制御部9に送信部7への電源10からの電力の供給を開始させる。電の供給を受け稼働状態になった送信部7は、信号処理部5aから出力された第2信号S2を受信し、変調して外部に送信する。
【0053】
上述の第1期間が終了すると、制御信号生成部5bから第2電源制御部8への第3制御信号V3の出力が終了する。これにより、第2電源制御部8は、検出部6への電源10から供給する電力の量を削減し、あるいは電力の供給を遮断する。
また、上述の第2期間が終了すると、制御信号生成部5bから第3電源制御部9への第4制御信号V4の出力が終了する。これにより、第3電源制御部9は、送信部7への電源10から供給する電力の量を削減し、あるいは電力の供給を遮断する。
【0054】
第2実施形態の計測システム1aにおいては、制御信号生成部5bを備え、制御信号生成部5bが、第2電源制御部8および第3電源制御部9を介して、電源10から検出部6および送信部7に電力を供給、および削減または遮断するタイミングを制御する。例えば、上述のように検出部6が稼働中であっても送信部7には電力を供給せず、または送信部7が稼働中であっても検出部6には電力を供給しないなど、より細かな電力の供給および遮断の制御を行うことができる。このため、計測システム1aの消費電力を一層削減することができる。
【0055】
なお、制御部5を構成する信号処理部5aと制御信号生成部5bとは、例えば同一の半導体集積回路上に形成されていても良く、別々の半導体集積回路として形成されていても良い。信号処理部5aと制御信号生成部5bとは相互に通信を行い、上述の各種のタイミング等相互に共有しても良い。
【0056】
(第3実施形態の計測システム)
図3は、第3実施形態の計測システム1bを示す図である。第実施形態の計測システム1bは、多くの構成が上述の第2実施形態の計測システム1aと共通する。従って、以下では共通する構成には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
第3実施形態の計測システム1bは、第2実施形態の計測システム1と異なり、第1電源制御部4aを有しない。第3実施形態の計測システム1bにおいては、制御部5に含まれる制御信号生成部5cが、第2実施形態の第1電源制御部4aと概ね同等の機能を有している。
【0058】
第3実施形態の計測システム1bにおいては、制御信号生成部5cのVCC端子に、電源10からの電力が直接入力される。また、第1制御信号V1およびタイマー部16からの出力信号は、制御信号生成部5cの制御端子V5に入力される。
【0059】
制御端子V5に入力される第1制御信号V1が、一例として上述の第1電圧を超えていると、制御信号生成部5cは、電源10からVCC端子を介して供給される電力を信号処理部5aに供給する。そして、上述の第2実施形態と同様に、制御信号生成部5cは、所定のタイミングで、第2電源制御部8に所定の第1期間だけ第3制御信号V3を出力し、第2電源制御部8に検出部6への電源10からの電力の供給を開始させる。同じく、制御信号生成部5cは、所定のタイミングで、第3電源制御部9に所定の第2期間だけ第4制御信号V4を出力し、第3電源制御部9に送信部7への電源10からの電力の供給を開始させる。
【0060】
一方、第1制御信号V1の電圧が第1電圧以下の場合には、制御信号生成部5cは、信号処理部5aへの電力の供給を削減または遮断し、第2電源制御部8および第3電源制御部9を制御して、検出部6および送信部7への電力の供給を削減または遮断する。
【0061】
また、上述の第2実施形態と同様に、制御信号生成部5cは、第1期間および第2期間が終了すると、第3制御信号V3および第4制御信号V4の出力を終了し、第2電源制御部8に検出部6への電力の供給を削減または遮断させ、第3電源制御部9に送信部7への電力の供給を削減または遮断させる。
【0062】
第3実施形態の計測システム1bにおいては、制御信号生成部5c、第2電源制御部8、および第3電源制御部9が、第1実施形態の計測システム1における電源制御部4に相当する電源制御部40aを構成するともいえる。
第3実施形態の計測システム1bにおいては、電源制御部40aは、第1制御信号V1に基づいて、電源10から検出部6、送信部7および信号処理部5aへの電力供給を個別に制御することができる。
【0063】
なお、上述の第3実施形態においては、制御信号生成部5cは、第3制御信号V3および第4制御信号V4により第2電源制御部8および第3電源制御部9を制御するものとしたが、構成はこれに限られるものでない。
例えば、第2電源制御部8および第3電源制御部9の少なくとも一方を使用せず、制御信号生成部5cが、検出部6および送信部7の少なくとも一方への電力の供給を、直接的に制御しても良い。このために、例えば、図3に示した第3実施形態の計測システム1bから第2電源制御部8を除き、制御信号生成部5cの端子P1から出力され第3制御信号V3を、直接、検出部6の検出回路13のVCC端子に入力しても良い。同じく、計測システム1bから第3電源制御部9を除き、制御信号生成部5cの端子P2から出力され第4制御信号V4を、直接、送信部7の通信回路14のVCC端子に入力しても良い。
【0064】
これらの場合には、第3制御信号V3および第4制御信号V4は、それぞれ検出部6または送信部7を稼働させるのに十分な電力を供給するものとする。また、これらの場合には、制御信号生成部5cが、第1実施形態の計測システム1における電源制御部4に相当する電源制御部40aを構成するともいえる。
【0065】
なお、第1制御信号V1の電圧が第1電圧以下の場合には、制御信号生成部5cは、信号処理部5aを、あるいはさらに制御信号生成部5c自体を、低消費電力モードで稼働させても良い。低消費電力モードとは、例えば、信号処理部5a等の動作周波数(クロック周波数)を、第1制御信号V1の電圧が第1電圧を超えている場合の動作周波数の1/100程度以下に低下させて稼働させるモードである。低消費電力モードで稼働させることにより信号処理部5aへの電力の供給を削減することができる。
【0066】
なお、上述の第1から第3実施形態の計測システム1、1a、1bのいずれにおいても、検出部6または送信部7の少なくとも一方は、電源制御部4、第2電源制御部8、第3電源制御部9または制御信号生成部5cからの電力の供給が削減された状態において、低諸費電力モードで稼働する構成としても良い。
この場合、電源制御部4、40、40aは、第1制御信号V1が第1電圧以下では、電源10から検出部6、送信部7および信号処理部5aに供給する電力量を、第1制御信号V1が第1電圧を超えている場合の電力量の、例えば1/10以下に削減する。これにより、待機状態における計測システム1、1a、1bの消費電力を一層削減することができる。なお、第1制御信号V1が第1電圧以下の場合の電力量を、さらに1/1000以下に削減しても良い。
【0067】
また、第2実施形態または第3実施形態の計測システム1a、1bにおいては、制御信号生成部5b、5cが、検出部6または送信部7の少なくとも一方を低消費電力モードで駆動するように制御する構成としても良い。このためには、制御信号生成部5b、5cと検出部6の検出回路13または送信部7の通信回路14の少なくとも一方を不図示の制御線を介して接続し、この制御線を介した制御信号により検出部6または送信部7の少なくとも一方を低消費電力モードに設定し、または設定を解除すれば良い。
【0068】
(振動発電部の変形例)
振動発電部2として、ピエゾ等の変位(変形)により起電力を発生する変位発電素子を有する発電部を用いることもできる。
図4は、一例として、シート状のピエゾ素子からなる変位発電素子11bを備えた変形例の振動発電部2aを示している。変位発電素子11bの一端は、固定部71により固定され、変位発電素子11bの他端の近傍には、押圧部72が形成されている。押圧部72には、一例として計測システム1の計測対象物73の一部である突起部74が当接している。
【0069】
計測対象物73が図4中の左右方向に変位すると、突起部74も左右方向に変位し、変位発電素子11bの変位(変形)状態が変化し、変位発電素子11bは変位(変形)量に応じて直流の起電力を発生する。この直流の起電力が、振動発電部2の出力電圧V0として出力される。
変形例の振動発電部2aも、上述の振動発電部2と同様に、待機状態において電源10の電力を消費しない。
【0070】
(各実施形態の計測システムの変形例1)
上述の第1から第3実施形態の計測システム1、1a、1bは、いずれも自己保持回路3を備えるものとしたが、計測システム1、1a、1bは、必ずしも自己保持回路3を備えなくても良い。
自己保持回路3を備えない場合、振動発電部2から出力される出力電圧V0が、第1制御信号として電源制御部4または第1電源制御部4aに入力される。
【0071】
信号処理部5aまたは制御信号生成部5bを、自己保持回路3の代わりとして機能させることもできる。すなわち、信号処理部5aまたは制御信号生成部5bに、電力の供給を受けると第1電圧より高い電圧を一定期間出力する電圧出力部を設け、この電圧出力部からの出力を、電源制御部4または第1電源制御部4aの制御端子CNTに入力させる。この構成によっても、振動発電部2から出力される出力電圧V0が、一度しきい電圧である第1電圧を超えたら、上記の一定期間だけ計測システム1、1a、1bを稼働状態とし、その後、待機状態に戻すことができる。
また、電の供給を受けると第1電圧より高い電圧を一定期間出力する電圧出力部は、電源制御部4または第1電源制御部4aに設けても良い。
【0072】
(各実施形態の計測システムの変形例2)
上述の第1から第3実施形態の計測システム1、1a、1bにおいては、電源10として、自己の内部に蓄積されたエネルギーを電気エネルギーとして供給する電源を使用するものとしたが、電源10として環境発電素子を含む電源を使用することもできる。
【0073】
図5は、環境発電素子11aを含んだ電源10aの一例を示す図である。電源10aは、一例として振動発電素子である環境発電素子11aと、整流回路81と、第2コンデンサC2と、電圧変換器(DC/DCコンバータ)80と、蓄電部C3とを備えている。環境発電素子11aが発電した交流電力は、整流回路81で整流され、第2コンデンサC2に蓄電される。そして、電圧変換器80により電圧が変換され、蓄電部C3に蓄えられる。
【0074】
蓄電部C3に蓄えられた電力は、導線82および83を介して、計測システム1、1a、1bに供給される。
蓄電部C3は、コンデンサであっても良く、充電池(2次電池)であっても良い。
さらに、蓄電部C3と並列して電池(1次電池)が設けられていても良い。なお、上述の例のように、電源10が環境発電素子11aを備えている場合には、1次電池は設けられていなくても良い。
【0075】
(各実施形態の計測システムの変形例3)
上述の第1から第3実施形態の計測システム1、1a、1bにおいては、送信部7は無線通信より外部に情報を送信するものとしたが、送信部7は、有線通信により情報を送信するものであっても良い。
【0076】
(各実施形態の計測システムの変形例4)
上述の第1から第3実施形態の計測システム1、1a、1bにおいては、検出部6は環境状態量として音を検出するものとしたが、検出部6が検出する環境状態量は音に限られるものではない。
例えば、検出部6は、環境状態量として、振動、光量、計測システム1、1a、1bに加わる重力加速度を含む加速度等を検出するものであっても良い。また、計測システム1、1a、1bの周囲の状況を画像情報として検出するものであっても良い。
【0077】
検出部6が複数方向の加速度を検出する場合、計測システム1、1a、1bの信号処理部5aは、検出した加速度に関する第1信号S1を信号処理することにより、計測システム1、1a、1bの傾斜状態を検出し、傾斜状態を第信号S2として送信することができる。この場合、検出部6は検出部6の姿勢を検出する姿勢検出器として機能する。
【0078】
(各実施形態の計測システムの変形例5)
図6を参照して、第1から第3実施形態の計測システムの変形例5について説明する。変形例5の計測システムでは、振動発電部2の近傍に振動発生部20が設けられている点が、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および各変形例の計測システム1、1a、1bとは異なる。しかし、それ以外については、上述の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および各変形例の計測システム1、1a、1bと共通する。
従って、図6においては、計測システム全体の図示は省略し、振動発電部2と振動発生部20とを示している。
【0079】
図6に示したとおり、変形例5においては、振動発電部2は、環境状態量の一例である温度に応じて音または振動を発生する振動発生部20の内部に設けられている。
振動発生部20は、ケース21、キャップ22、およびガイド23等からなる筐体を有し、筐体内に振動発電部2と、温度変化により形状が変動し音または振動を発生する部材の一例としての円板形状のバイメタル(バイメタルディスク)24を有している。バイメタル24は、キャップ22とガイド23とが形成する空洞内に設置されている。
【0080】
図6(a)は比較的温度が低い状態における振動発生部20を示している。このとき、バイメタル24の形状は、図6(a)の中の上方に凸に反った形状である。作動ピン25は、ガイド23に設けられた不図示の貫通孔を貫通して配置されている。作動ピン25の一端はバイメタル24の概ね中央に接し、他端はバネ部材26の押圧部26aに接している。バネ部材26の下端はケース21に固定されており、バネ部材26の弾性力により、バネ部材26の押圧部26aは、作動ピン25を上方に押し上げている。
【0081】
図6(b)は、温度の上昇によりバイメタル24が変形し、反りの形状が下に凸に反転した瞬間を示す。バイメタル24の反転に伴う衝撃力は、作動ピン25を通じてバネ部材26の押圧部26aに伝わり、バネ部材26を急激に弾性変形させる。その結果、バネ部材26の概ね先端部に設けられているハンマー27が急激に移動し、振動発電部2を上面から叩く。振動発電部2は、ゴムまたはばねを含む弾性体28を介してケース21に支持されており、ハンマー27に叩かれることにより振動発電部2は振動する。
【0082】
振動発電部2は、その際に生じる振動または音により、発電を行う。発電された電力は、配線18および端子19を経て振動発電部2から出力され、図1から図3に示した自己保持回路3または電源制御部4、40に入力される。そして振動発電部2により発電された電力に基づいて、図1から図3に示した計測システム1、1a、1bは待機状態から稼働状態に移行する。
【0083】
図6(c)は、ハンマー27が振動発電部2を叩いた後の状態を示す。バネ部材26の弾性力によって、バネ部材26に設けられているハンマー27は振動発電部2から離れる。
その後、振動発生部20の周囲の温度が低下すると、バイメタル24の形状は図6(a)に示したように上に凸に反った状態に戻る。しかし、この場合には、バネ部材26に設けられているハンマー27は上方に移動し、振動発電部2を叩くことはなく、振動発電部2が発電を行うこともない。
【0084】
ハンマー27と振動発電部2の距離、バネ部材26の弾性定数等を、適宜設定することにより、温度上昇に伴うバイメタル24の反転に際し、ハンマー27が一度だけ振動発電部2を叩く構成としても良い。ハンマー27が振動発電部2を複数回叩く、あるいは、ハンマー27が振動発電部2に接した状態で停止するような場合には、振動発電素子の振動が阻害される恐れがある。
【0085】
なお、バイメタル24の上下を上記の例とは反転して配置することにより、温度が低下するとハンマー27が振動発電部2を叩き、振動発電部2が発電を行う構成としても良い。
変形例5においては、図1から図3に示した計測システム1、1a、1bの検出部6が備えるセンサ12を、温度を検出する温度センサとしても良い。
【0086】
(第1実施形態および第2実施形態の計測システムの変形例6)
図7を参照して、第1実施形態および第2実施形態の計測システムの変形例6について説明する。変形例6の大部分は、上述の変形例5の構成と共通する。従って、以下では、特に変形例5との相違点について説明し、共通する構成については適宜説明を省略する。
【0087】
図7(a)は比較的温度が低い状態での、変形例6における振動発生部20aを示している。変形例5における振動発生部20と異なり、変形例6においては、振動発電部2は、弾性体28を介してガイド23に支持されている。また、バイメタル24は、低温時に下に凸となる形状に反っている。この状態では、バネ部材26の押圧部26aは、上方から作動ピン25を介してバイメタル24により下方に押されている。
【0088】
図7(b)は、温度の上昇によりバイメタル24が変形し、反りの形状が上に凸に反転した瞬間を示す。このとき、バネ部材26の押圧部26aを下方に押す力が解放されるので、バネ部材26に設けられたハンマー27は、バネ部材26の弾性力により上方に急激に移動し、振動発電部2を叩く。これにより生じる振動または音により、振動発電部2は発電を行い、図1から図3に示した計測システム1、1a、1bは待機状態から稼働状態に移行する。
その後、バネ部材26に設けられたハンマー27は、バネ部材26の復元力により振動発電部2から離れ、振動発電部2から離れた位置で静止する。
【0089】
その後、振動発生部20の周囲の温度が低下すると、バイメタル24の形状は図7(a)に示したように下に凸に反った状態に戻る。このとき、バイメタル24は作動ピン25を通じてバネ部材26に設けられたハンマー27を急激に下方に移動させる。しかし、ハンマー27の移動方向は、振動発電部2から離れる方向であり振動発電部2を叩くことはなく、従って、振動発電部2が発電を行うこともない。
【0090】
変形例6においては、温度変化により急激に変形するバイメタル24による衝撃力自体によってではなく、バネ部材26の弾性力によりハンマー27が振動発電部2を叩く。このため、振動発電部2を叩く撃力を概ね一定の大きさとすることができる。従って、振動発電部2に安定的に発電を行わせることができる。
なお、変形例6においても、バイメタル24の上下を上記の例とは反転して配置することにより、温度が低下するとハンマー27が振動発電部2を叩き、振動発電部2が発電を行う構成としても良い。
【0091】
(各実施形態の計測システムの変形例7)
図8を参照して、第1実施形態および第2実施形態の計測システムの変形例7について説明する。変形例7の構成の大部分は、上述の変形例5および変形例6の構成と共通する。従って、以下では、特に変形例5、変形例6との相違点について説明し、共通する構成については適宜説明を省略する。
【0092】
図8は比較的温度が低い状態での、変形例7における振動発生部20bを示している。変形例7におけるバイメタル24は、低温時に下に凸となる形状に反っている。
振動発生部20の周囲の温度が所定の温度以上に上昇すると、バイメタル24は、上に凸となる形状に急減に変形する。その結果、作動ピン25はバイメタル24により上方に急激に移動させられ、作動ピン25が振動発電部2を叩く。これにより生じる振動または音により、振動発電部2が発電する。
【0093】
変形例7の構成は、バネ部材26を省略できるためシンプルであり、変形例5および変形例6の構成に比べてコストダウンが図れる。
一方、変形例5および変形例6の構成は、振動発生部20、20aの向きを重力方向に関係なく配置できるという効果がある。
【0094】
変形例5から変形例7において、振動発電部2が設置される位置は、振動発生部20、20a、20bの内部に限らず、振動発生部20、20a、20bの近傍であっても良い。
【0095】
(各実施形態の計測システムの変形例8)
図9を参照して、第1から第3実施形態の計測システムの変形例8について説明する。変形例8の計測システムの構成は、多くの部分が、上述の変形例7の計測システムの構成と共通する。以下では、特に変形例7との相違点について説明し、共通する構成については適宜説明を省略する。
【0096】
図9に示したとおり、変形例8においては、振動発電部2は、環境状態量の一例である圧力に応じて音または振動を発生する振動発生部20cの内部に設けられている。
振動発生部20cは、変形例7の振動発生部20bと同様に、ケース21、キャップ22、およびガイド41等からなる筐体を有し、筐体内に振動発電部2と、圧力隔壁42とを有している。
【0097】
圧力隔壁42はガイド41が形成する気密空間44と開放空間45との隔壁として設けられており、気密空間44は、圧力隔壁42および支持部43により、開放空間45に対して気密化されている。一方、開放空間45は、通気孔46を介して外部と繋がっており、開放空間45内の圧力は、外部の圧力(気圧)と同一の圧力である。
【0098】
圧力隔壁42は、一例として、気密空間44側に凹形状を有する金属板であり、気密空間44および開放空間45の双方に含まれる気体の気圧により押されている。圧力隔壁42の上には作動ピン25が配置され、作動ピン25はガイド41に設けた貫通孔を介して、その上端が振動発電部2と対向するように配置されている。作動ピン25とガイド41との間の気密性を保つために、作動ピン25とガイド41との間に真空ベローズ47を設けても良い。
【0099】
大気圧が所定の値より上がると、開放空間45側の気圧が上がり、圧力隔壁42は気密空間44側が凸形状となるように急激に変形する。
この変形により、作動ピン25が上方に押し上げられて振動発電部2に衝突し、振動発電部2は振動する。
一方、大気圧が所定の値より下がると、開放空間45側の気圧が下がり、圧力隔壁42は、元の気密空間44側が凹形状となる形状に変形する。
【0100】
なお、変形例8の計測システムは、上述の大気圧の変化に応じて音を発生する構成に限らず、計測対象物の内部の気圧、液圧(水圧)に応じて音を発生する構成とすることもできる。このためには、例えば、通気孔46を介して開放空間45に計測対象物の内部の気体または液体を導入すればよい。
【0101】
(各実施形態の計測システムの変形例9)
図10を参照して、第1から第3実施形態の計測システムの変形例9について説明する。変形例8の計測システムの構成は、多くの部分が、上述の変形例7の計測システムの構成と共通する。以下では、特に変形例7との相違点について説明し、共通する構成については適宜説明を省略する。
【0102】
図10に示したとおり、変形例9においては、振動発電部2は、環境状態量の一例である流量に応じて音または振動を発生する振動発生部20dの内部に設けられている。
振動発生部20dは、変形例7の振動発生部20bと同様に、ケース21、およびガイド51等からなる筐体を有し、筐体内に振動発電部2と曲板52とを有している。曲板52の端部は支持部53によりガイド51の内壁に固定されている。曲板52は、一例として作動ピン25側が凹形状である金属板である。
【0103】
ガイド51の下端部は、配管60の側面に固定されている。配管60には、略L字型の形状を有するパドル54が支点56を回転軸として回動可能に挿入されている。パドル54の第1部分54aは配管60の内部にあり、パドル54の第2部分54bは配管60の外部にあり、第2部分54bに設けられた押圧部55が曲板52に対向するように配置されている。
【0104】
図10に示したように、配管60の内部を流体61が矢印で示した向きに流れると、パドル54の第1部分54aには支点56を回転軸としてパドル54を左回りに回転させる力が加わる。この力はパドル54の第2部分54bに伝わり、第2部分54bに設けられている押圧部55は、曲板52を上方に押す。
【0105】
配管60の内部を流れる流体61の流量が所定の値以上になると、押圧部55が曲板52を上方に押す力が強まり、曲板52の形状が作動ピン25側に凸形状となるように急激に変形する。
この変形により、作動ピン25が上方に押し上げられて振動発電部2に衝突し、振動発電部2は振動する。
【0106】
一方、配管60の内部を流れる流体61の流量が所定の値未満になると、押圧部55が曲板52を上方に押す力が弱まり、曲板52は作動ピン25の重さ等により作動ピン25側に凹形状である元の形状に戻る。
【0107】
以上の変形例4から変形例8においては、バイメタル24、圧力隔壁42、および曲板52の形状の急激な変化が作動ピン25を移動させ、作動ピン25が振動発電部2に衝突した振動により、振動発電部2は発電を行うものとした。しかし、作動ピン25を設けず、バイメタル24、圧力隔壁42、および曲板52が急激に変形する際に生じる音により、振動発電部2に発電を行わせても良い。
【0108】
(各実施形態および各変形例の計測システムの効果)
(1)上述の各実施形態および各変形例の計測システム1、1a、1bは、音、振動、または変位により発電する振動発電部2、2aと、振動発電部2、2aが発電する電力(出力電圧V0)に基づいて電源10の電力消費量を制御する電源制御部4、40と、電源制御部4、40により供給される電力で駆動され、環境状態量を検出する検出部6と、電源制御部4、40により供給される電力で駆動され、検出部6で検出した環境状態量に関する情報を送信する送信部7と、を備えている。
この構成においては、計測システム1、1a、1bを待機状態から稼働状態に切り替えるためのイベントセンサとして機能する振動発電部2、2aは、待機状態において電源10からの電力を消費しない。従って、計測システム1、1a、1bの待機状態における消費電力を大幅に削減することができる。これにより、計測システム1、1a、1bの電源10の寿命を延長させ、電源10の交換に関するメンテナンスの頻度を低減することができる。この結果、メンテナンスコストが低減された計測システム1、1a、1bを実現することができる。
【0109】
(2)計測システム1、1aはさらに、電源制御部4、40により供給される電力で駆動され、検出部6で検出した環境状態量(第1信号S1)に含まれる所定の情報(第2信号S2)を抽出し、送信部7に伝達する信号処理部5aを備える構成とすることもできる。この構成においては、送信部7は、第1信号S1から抽出され、環境状態量よりも少ないデータ量を有する第2信号S2を送信すれば良いので、外部に送信すべき情報のデータ量が削減され、送信に要する電力を削減することができる。
【0110】
(3)計測システム1aの電源制御部4は、さらに、振動発電部2、2aが発電する電力(出力電圧V0)に基づいて、信号処理部5aの電力消費量を制御する第1電源制御部4aと、第1電源制御部4aから信号処理部5aに供給される電力の電圧に基づいて第3制御信号V3および第4制御信号V4を生成する制御信号生成部5bと、第3制御信号V3に基づいて、検出部6の電力消費量を制御する第2電源制御部8と、第4制御信号V4に基づいて、送信部7の電力消費量を制御する第3電源制御部9と、を含む構成であってもよい。
この構成においては、制御信号生成部5b等により、電源10から検出部6および送信部7に電力を供給および遮断または削減するタイミングを、より高度に制御することができる。このため、計測システム1aの消費電力を一層削減することができる。
【0111】
(4)さらに、電源制御部4、40は、振動発電部2、2aが発電する電力に基づく第1制御信号V1が第1電圧を超えると所定量の電力を供給し、第1制御信号S1が第1電圧以下では所定量より少ない電力を供給する、または電力供給を行わない構成とすることで、計測システム1、1a、1bの待機状態における消費電力を一層削減することができる。
(5)さらに、電源制御部4、40は、第1制御信号V1に基づいて、検出部6、送信部7および信号処理部5aの電力消費量を個別に制御する構成としても良く、これにより、検出部6、送信部7または信号処理部5aのいずれかについては、待機状態において、省電力のいわゆるスリープモードで待機させることができる。
【0112】
(6)さらに、振動発電部2、2aが発電する電力に基づいて第1制御信号V1を出力する自己保持回路3を備え、電源制御部4、40は、第1制御信号V1に基づいて電源10の電力消費量を制御し、自己保持回路3は、振動発電部2、2aの出力電圧V0が第2電圧を超えない限り、第1電圧以下の電圧の第1制御信号V1を出力し続け、振動発電部2、2aの出力電圧V0が第2電圧を超えると、第1電圧より高い電圧の第1制御信号V1を出力し続ける構成とすることもできる。この構成においては、環境の振動または音により振動発電部2、2aの出力電圧V0が上昇し第2電圧を超えた場合、その後、出力電圧V0が第2電圧以下となった場合にも、検出部6および送信部7への電力の供給を継続することができる。従って、検出部6は環境状態量を安定して検出することができ、送信部7は環境状態量に基づく情報を安定して外部に送信することができる。
【0113】
(7)さらに、自己保持回路3は、送信部7による情報の送信の完了を伝える第2制御信号V2が入力されることにより、第1電圧以下の電圧の第1制御信号V1を出力する状態に設定される構成とすることができる。この構成により、計測システム1、1a、1bは、送信部7による情報の送信の完了後、速やかに検出部6および送信部7への電力の供給を遮断し、消費電力をさらに削減することができる。
【0114】
(8)さらに、計測システム1、1a、1bの送信部7を、無線により送信を行う無線送信部とすることができる。この構成により、有線での送信が困難な、または有線での送信環境の整備にはコストが掛かる遠隔地において運用する場合にも、低コストで運用可能な計測システム1、1a、1bを実現することができる。
【0115】
(9)さらに、計測システム1、1a、1bの振動発電部2を、所定の周波数帯域の音または振動に対する発電効率が、他の周波数の音または振動に対する発電効率よりも高い構成とすることができる。所定の周波数の音または振動を測定すべき計測システム1、1a、1bにおいては、この構成により、振動発電部2のイベントセンサとしての検出感度を高めることができる。
(10)さらに、計測システム1、1a、1bの検出部6は、環境状態量として音を検出する音検出部であり、振動発電部2は環境状態量として検出する音により振動して発電する構成とすることができる。この構成により、計測システム1、1a、1bが検出すべき音に対して、振動発電部2のイベントセンサとしての検出感度を高めることができる。
【0116】
(一実施形態の診断システム)
図11は、一実施形態の診断システム100を示す図である。診断システム100は、一例として、診断対象物として踏切警報機30の作動状態を診断するシステムである。多くの踏切は遠隔地に設置されている。また、多くの踏切においては、診断システムは、踏切または踏切に供給される電力線から比較的低電圧でかつ安定な電力の供給を受けることが難しいという問題がある。そこで、踏切の作動状態を診断するシステムとして、電池等の電源を備え、かつ、電源による限られた電力で、長期間に渡って診断を継続可能なシステムが求められている。
【0117】
診断システム100においては、複数の踏切警報機30に接して、または踏切警報機30の近傍に、上述の各実施形態または変形例1から変形例3まで、あるいは変形例5から変形例7までのいずれかの計測システム1、1a、1bがそれぞれ設置されている。図11では、計測システム1、1a、1bを統合して計測システム1として示している。計測システム1が無線送信する信号は、受信システム70により受信される。一例として複数の踏切警報機30は、いずれも受信システム70から数キロメートル以上離れた遠隔地にある。受信システム70は、受信した信号に基づいて、診断対象物である踏切警報機30の作動状態として、警報音発生器31から発せられる警報音の音量が所定の音量であるか否か、または警報音の発生回数(打数)が適正回数であるか否か、を診断する。
【0118】
図12は、診断システム100における計測システム1の使用例を示す図である。踏切警報機30に接して、または踏切警報機30の近傍に、計測システム1が設置されている。踏切警報機30は、踏切の近傍に列車が接近する場合に警報音発生器31から周囲に警報音32を鳴らす。計測システム1は、警報音32が鳴っていない状態では待機状態を維持して消費電力を削減し、警報音32が鳴り始めたら稼働状態に移行して警報音32の計測を行う。
【0119】
警報音32が鳴り始めると、警報音32の音のエネルギーにより、計測システム1内の振動発電部2が発電を開始する。なお、計測システム1を構成する各部の符号については図1および図2を参照されたい。そして、振動発電部2が発電した電力に基づく第1制御信号V1により、電源制御部4は、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10からの電力の供給を開始し、計測システム1は稼働状態となる。
【0120】
そして、検出部6が警報音32を検出し、検出部6は検出した音に基づく第1信号S1を信号処理部5aが信号処理して第2信号S2を算出し、送信部7は第2信号S2を変調して、受信システム70に送信する。
【0121】
列車の通過により警報音32が鳴り止むと、または電源制御部4が電力の供給を開始してから所定時間が経過すると、電源制御部4は、検出部6、信号処理部5a、および送信部7への電源10からの電力の供給を遮断し、計測システム1は待機状態となる。待機状態においては、上述のとおり計測システム1の消費電力は極めて低く抑えられている。
【0122】
一実施形態の診断システム100は踏切警報機30を診断対象とする。従って、計測システム1が備える振動発電部2は、警報音発生器31が発する警報音の周波数、例えば700Hzまたは750Hzを含む周波数帯域の音または振動に対する発電効率が、他の周波数の音または振動に対する発電効率よりも高められていても良い。
【0123】
(変形例の診断システム)
図12において、踏切の遮断機35の遮断桿36に設置されている計測システム1cは、上述の変形例4の計測システムであり、環境状態量として計測システム1cの姿勢を計測して、姿勢に関する情報を送信する。
【0124】
踏切の近傍に列車が接近し、警報音発生器31から警報音32が鳴らされると、警報音32の音のエネルギーにより計測システム1内の振動発電部2が発電を開始し、計測システム1cは待機状態から稼働状態に移行する。
列車がさらに接近すると、遮断桿36が回転機構37を中心として回転し、遮断桿36が降ろされて、計測システム1cの姿勢が変化する。図12の遮断桿36は、降ろされて、踏切が遮断されている状態を示している。
【0125】
計測システム1cは遮断桿36の回転の前後における姿勢を計測し、計測システム1cの姿勢に関する情報を受信システム70に送信する。
計測システム1cからの情報を受信した受信システム70は、計測システム1cから送信された計測システム1cの姿勢に関する情報に基づいて、遮断機35の遮断桿36が適正な角度回転したか否かを診断する。
【0126】
上述の実施形態および変形例では、診断システム100の診断対象物は、踏切警報機30または遮断機35としているが、診断対象物はこれらに限定されるものではない。診断システム100は、診断対象物から発せられる音または振動を、診断開始のトリガーとして使用できる診断対象物であれば、どのような対象物を診断しても良い。
例えば、防災用のサイレン、防災用のスピーカー、ダムの緊急放水に関する警報機等、各種の社会インフラの装置を診断対象とすることもできる。
【0127】
また、診断対象物に設けられている電磁弁等の可動部材が作動する際に生じる音(衝撃音)または振動をトリガーとして、診断システム100の計測システム1に診断を開始させても良い。
【0128】
さらに、診断システム100は、計測システム1として、上述の変形例5から変形例7までのいずれかの計測システムを備え、計測システムの設置された環境における温度変化または気圧変化を診断開始のトリガーとしても良い。
【0129】
計測システム1、1a~1cから受信システム70に送信される情報には、検出部6が検出した環境状態量に関する情報に加えて、受信システム70に情報を送信する複数の計測システム1、1a~1cを相互に識別するための情報が付加されていても良い。
また、上述のように、計測システム1、1a~1cは、所定の間隔で、稼働履歴等の情報を受信システム70に送信しても良い。
1つの受信システム70に情報を送信する計測システム1、1a~1cは、1つであっても良い。
【0130】
なお、診断システム100において、計測システム1、1a~1cから受信システム70への送信は、電話回線、またはインターネット回線等の回線を経由して行うものであっても良い。すなわち、計測システム1、1a~1cから送信された信号は、始めに中継局により受信され、中継局から回線を経由して、受信システム70に送信されても良い。
【0131】
なお、計測システム1、1a~1cが、上述の稼働状況や電源10の電気エネルギーの残量に関する情報についても受信システム70に送信することにより、受信システム70は、電源10の残量等の計測システム1、1a~1cの状態についても診断することができる。これにより、計測システム1、1a~1cの電池交換の適切な時期を診断することができる。
【0132】
(一実施形態および変形例の診断システムの効果)
(11)一実施形態および変形例の診断システム100は、診断対象物(踏切警報機30、遮断機35)の近傍に配置された、各実施形態および各変形例の計測システム1、1a~1cと、計測システム1、1a~1cから送信される信号を受信し、受信した信号に基づいて診断対象物の状態を診断する受信システム70と、を備えている。
この構成により、計測システム1、1a~1cの待機時の消費電力を抑え、計測システム1、1a~1cの電源10の電力消費を抑え、長期間にわたって安定して稼働する診断システム100を実現することができる。
【0133】
(検知スイッチ)
以下では、検知スイッチの各実施形態および各変形例について、説明する。
後述するように、検知スイッチの各実施形態および各変形例は、既に説明した上述の各実施形態および各変形例の計測システムに含まれている。
そこで、検知スイッチの実施形態および各変形例について説明する前に、これらに共通する検知スイッチの概要について、図13を参照して説明する。
【0134】
図13は、以上の実施形態および各変形例の検知スイッチ90を含む、計測システム1の構成を改めて示したものである。なお、上述したように、各実施形態および各変形例の検知スイッチ90は既に図1図2、および図6から図10に示されているものであり、図13は、それらの概要を示したものである。
【0135】
検知スイッチ90は、音、振動、または変位に応じて電気信号を生成する振動検知部(振動発電部2)と、電源制御部4の一部であって、振動検知部(2)が生成する電気信号の電圧等の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401と、を備えている。検知スイッチ90は、さらに振動発生部20を有している。また、検知スイッチ90は、自己保持回路3(図1図3参照)を備えていても良い。
【0136】
検知スイッチ90は、さらに、電源制御部4のうちの検知部401以外の部分である出力制御部402を備えており、出力制御部402は、検知部401が検知した検知結果に基づいて電源10が供給する電力量を制御する。
なお、図3に示したように、電源制御部4、すなわち検知部401および出力制御部402は、制御部5に含まれていても良い。同様に、電源制御部4、すなわち検知部401および出力制御部402は、信号処理部5aに含まれていても良い。
【0137】
また、検知スイッチ90は、必ずしも振動発生部20を有していなくても良い。
また、検知スイッチ90は、必ずしも出力制御部402を有している必要は無く、検知部401が検知した結果を外部に出力するものであっても良い。その場合、検知スイッチ90に含まれない外部の装置(例えば、信号処理部5aや送信部7)が、検知部401が検知した結果に従って電源10から供給される電力量を制御すれば良い。
【0138】
(第1実施形態の検知スイッチ)
検知スイッチの実施形態は、既に説明した上述の第1実施形態の計測システム1に含まれているので、以下では、第1実施形態の計測システム1を参照して、検知スイッチの実施形態について説明する。
【0139】
図1に示した上述の第1実施形態の計測システム1のうち、振動発電部2、自己保持回路3、および電源制御部4が、第1実施形態の検知スイッチ(2、3、4)を構成している。
上述したように、環境に存在する音や振動等が微弱であり、振動発電部2が所定値以上の電力を発電しない場合には、電源制御部4の制御端子CNTには、しきい電圧である第1電圧以下の電圧の第1制御信号V1が入力される。このとき、電源制御部4は出力端子OUTへの電力の供給を遮断する。
【0140】
一方、環境に存在する音や振動等が大きくなり、振動発電部2が所定値以上の電力を発電する場合には、電源制御部4の制御端子CNTには、しきい電圧である第1電圧を超える電圧の第1制御信号V1が入力される。このとき、電源制御部4は電源10から電源端子INに入力される電力を出力端子OUTに出力する。
【0141】
従って、振動発電部2、自己保持回路3、および電源制御部4は、音または振動により発電する振動検知部としての振動発電部2と、振動発電部2が生成する電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する、電源制御部4中の検知部401(図13参照)と、を備える検知スイッチ(2、3、401)を構成している。
さらに、電源制御部4は、検知部401が検知した検知結果に基づいて、電源が供給する電力量を制御する出力制御部402(図13参照)を有している。
【0142】
(第2実施形態の検知スイッチ)
図2に示した上述の第2実施形態の計測システム1aのうちの、振動発電部2、自己保持回路3、および第1電源制御部4aに含まれる検知部401(図13参照)も、図1に示した上述の第1実施形態の計測システム1と同様に、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4a)を構成している。その理由は、上述の第1実施形態の検知スイッチ(2、3、4)における理由と同じであるため、説明を省略する。
【0143】
なお、上述の振動発電部の変形例で図4を参照して説明したとおり、振動発電部2として、ピエゾ等の変位(変形)により起電力を発生する変位発電素子を有する発電部を用いた場合には、第1実施形態または第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)は、変位により発電する振動発電部2を備えるものとなる。
【0144】
(検知スイッチの各種変形例)
検知スイッチの各種の変形例は、上述の第1実施形態および第2実施形態の計測システムの変形例5から変形例9までのいずれかに含まれているので、以下では、変形例5から変形例9までを参照して、検知スイッチの各変形例について説明する。
【0145】
(検知スイッチの変形例1)
変形例1の検知スイッチは、図1図2および図6を参照して説明した上述の計測システムの変形例5に含まれている。すなわち、変形例1の検知スイッチは、振動発電部2の近傍に環境状態量としての温度の変化により形状が変動し、音または振動を発生する振動発生部20が設けられている点が、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)とは異なる。しかし、それ以外については、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)と共通する。
【0146】
振動発電部2および振動発生部20の構成については、既に説明済であるので説明を省略する。
上述したとおり、環境状態量としての温度が上昇または下降(変化)して概ね所定の温度に達すると、振動発生部20を構成するバイメタル24が図6(a)に示した状態から図6(b)に示した状態に変形(反転)する。バイメタル24の反転に伴う衝撃力が、上述したように振動発電部2に伝わり、その際に生じる振動または音により、振動発電部2は発電を行う。そして、上述したように、図1または図2に示した計測システム1、1aの電源制御部4または第1電源制御部4aの中の検知部401(図13参照)は、振動発電部2により発電された電力である電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する。電気信号の出力が所定値より大きいとの検知結果であれば、この検知結果に基づいて、電源制御部4または第1電源制御部4aに含まれる出力制御部402(図13参照)は、出力端子OUTからの電力の供給を開始する。
【0147】
一方、温度が概ね所定の温度に達する前は、振動発電部2により発電される電力は微弱なため、電源制御部4または第1電源制御部4aは、出力端子OUTからの電力の供給を遮断している。
従って、変形例1の検知スイッチ(2、3、4、4a、20)は、環境状態量としての温度の変化により形状が変動し音または振動を発生する振動発生部20を備えている。そして、電源制御部4内に、振動発生部20により発生した音または振動により振動発電部2が発電した電力に基づく電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401(図13参照)を備えている。さらに、電源制御部4、4a内の出力制御部402(図13参照)は、検知部401が検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力量を制御する。
【0148】
これにより、音または振動ではない、環境状態量としての温度に対してもその変化をトリガーとして検出することができ、かつ電源10からの電力の消費量の少ない検知スイッチを実現することができる。
【0149】
(検知スイッチの変形例2)
変形例2の検知スイッチは、図1図2および図7を参照して説明した上述の計測システムの変形例6に含まれている。すなわち、変形例2の検知スイッチは、図6に示した振動発生部20が図7に示した振動発生部20aに置き換わった以外は、上述の変形例1の検知スイッチと同様である。なお、振動発生部20aについては既に説明済であるため、説明を省略する。
【0150】
変形例2の検知スイッチ(2、3、4、4a、20a)は、環境状態量としての温度の変化により形状が変動し音または振動を発生する振動発生部20aを備えている。そして、電源制御部4内に、振動発生部20aにより発生した音または振動により振動発電部2が発電した電力に基づく電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401(図13参照)を備えている。さらに、電源制御部4、4a内の出力制御部402(図13参照)は、検知部401が検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力量を制御する。
【0151】
(検知スイッチの変形例3)
変形例3の検知スイッチは、図1図2および図8を参照して説明した上述の計測システムの変形例7に含まれている。すなわち、変形例3の検知スイッチは、図6に示した振動発生部20が図8に示した振動発生部20bに置き換わった以外は、上述の変形例1の検知スイッチと同様である。なお、振動発生部20bについては既に説明済であるため、説明を省略する。
【0152】
変形例3の検知スイッチ(2、3、4、4a、20b)は、環境状態量としての温度の変化により形状が変動し音または振動を発生する振動発生部20bを備えている。そして、電源制御部4内に、振動発生部20bにより発生した音または振動により振動発電部2が発電した電力に基づく電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401(図13参照)を備えている。さらに、電源制御部4,4a内の出力制御部402(図13参照)は、検知部401が検知した検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力量を制御する。
【0153】
(検知スイッチの変形例4)
変形例4の検知スイッチは、図1図2および図9を参照して説明した上述の計測システムの変形例8に含まれている。すなわち、変形例4の検知スイッチは、振動発電部2の近傍に環境状態量としての大気圧等の圧力に応じて音または振動を発生する振動発生部20cが設けられている点が、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)とは異なる。しかし、それ以外については、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)と共通する。
【0154】
振動発電部2および振動発生部20cの構成については、既に説明済であるので説明を省略する。
上述したとおり、環境状態量としての圧力が概ね所定の値より上がると、圧力隔壁42は気密空間44側が凸形状となるように急激に変形する。そして、この変形により振動発電部2は振動し、その振動または振動により発生する音により振動発電部2は発電する。そして、上述したとおり、振動発電部2により発電された電力に基づいて、図1または図2に示した計測システム1、1aの中の電源制御部4または第1電源制御部4aは、出力端子OUTからの電力の供給を開始する。
【0155】
一方、圧力が所定の値に達する前は、振動発電部2により発電される電力は微弱なため、電源制御部4または第1電源制御部4aは、出力端子OUTからの電力の供給を遮断している。
従って、変形例4の検知スイッチ(2、3、4、4a、20c)は、環境状態量としての圧力の変化により形状が変動し音または振動を発生する振動発生部20cを備えている。そして、電源制御部4、4a内に、振動発生部20cにより発生した音または振動により振動発電部2が発電した電力に基づく電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401(図13参照)を備えている。さらに、電源制御部4,4a内の出力制御部402(図13参照)は、検知部401が検知した検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力量を制御する。
【0156】
これにより、音または振動ではない、環境状態量としての圧力に対してもその変化をトリガーとして検出することができ、かつ電源10からの電力の消費量の少ない検知スイッチを実現することができる。
【0157】
(検知スイッチの変形例5)
変形例5の検知スイッチは、図1図2および図10を参照して説明した上述の計測システムの変形例9に含まれている。すなわち、変形例5の検知スイッチは、振動発電部2の近傍に環境状態量としての流量の変化により形状が変動し、音または振動を発生する振動発生部20dが設けられている点が、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)とは異なる。しかし、それ以外については、上述の第1実施形態、第2実施形態の検知スイッチ(2、3、4、4a)と共通する。
【0158】
振動発電部2および振動発生部20dの構成については、既に説明済であるので説明を省略する。
上述したとおり、環境状態量としての、配管60の内部を流れる流体61の流量が概ね所定の値以上になると、曲板52の形状が作動ピン25側に凸形状となるように急激に変形し、作動ピン25が振動発電部2に衝突する。その際に生じる振動または音により、振動発電部2は発電を行う。
【0159】
そして、上述したとおり、振動発電部2により発電された電力に基づいて、図1または図2に示した計測システム1、1aの中の電源制御部4または第1電源制御部4aは、出力端子OUTからの電力の供給を開始する。
一方、流量が概ね所定の値に達する前は、振動発電部2により発電される電力は微弱なため、電源制御部4または第1電源制御部4aは、出力端子OUTからの電力の供給を遮断している。
【0160】
従って、変形例5の検知スイッチ(2、3、4、4a、20d)は、環境状態量としての流量の変化により形状が変動し音または振動を発生する振動発生部20dを備えている。そして、電源制御部4、4a内に、振動発生部20dにより発生した音または振動により振動発電部2が発電した電力に基づく電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401(図13参照)を備えている。さらに、電源制御部4,4a内の出力制御部402(図13参照)は、検知部401が検知した検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力量を制御する。
【0161】
これにより、音または振動ではない、環境状態量としての流量に対してもその変化をトリガーとして検出することができ、かつ電源10からの電力の消費量の少ない検知スイッチを実現することができる。
【0162】
上述の検知スイッチの各実施形態および各変形例においては、検知スイッチは自己保持回路3を有するものとしたが、検知スイッチは自己保持回路3を有していなくても良い。 上述したとおり、自己保持回路3を備えない場合、振動発電部2から出力される出力電圧V0が、第1制御信号として電源制御部4または第1電源制御部4aに入力される。
【0163】
一方、検知スイッチが自己保持回路3を有する場合には、環境の振動または音により振動発電部2の出力電圧V0が上昇し第2電圧を超えた場合には、その後、出力電圧V0が第2電圧以下となっても、電源制御部4、4aは電力の供給を継続する。従って、より安定して動作する検知スイッチ(2、3、4、4a)を実現することができる。
【0164】
上述の各実施形態、および各変形例のいずれの検知スイッチにおいても、上述の振動発電部2に代えて、音、振動、または変位に応じて電気信号を生成する振動検知部を採用しても良い。振動検知部は、例えば、加速度センサまたは変位センサと、第2電源とを含むものである。
【0165】
加速度センサとしては、静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、または熱検知方式等の各種の検出素子と増幅回路を含むセンサを用いても良い。
第2電源としては、1次電池、2次電池、あるいは2次電池と振動発電素子との組み合わせたものを使用しても良い。
【0166】
加速度センサまたは変位センサにより検知され、第2電源の電力により増幅されて生成された電気信号は、図1または図2に示した自己保持回路3または電源制御部4、4aに入力される。
なお、振動発電部2も、音、振動、または変位に応じて電気信号を生成するものであるため、振動検知部の一形態に含まれる。
【0167】
(各実施形態および各変形例の検知スイッチの効果)
(12)上述した各実施形態および各変形例の検知スイッチは、音、振動、または変位に応じて電気信号を生成する振動検知部(2)と、振動検知部(2)が生成する電気信号の出力が、所定値より大きいか、または所定値以下であるかを検知する検知部401と、を備えている。
この構成により、状態量である音、振動、または変位が変動しない状態における消費電力を低減した検知スイッチを実現することができる。
【0168】
(13)振動検知部を、音、振動、または変位により発電する振動発電部(2)としても良い。この構成により、状態量である音、振動、または変位が変動しない状態における消費電力を一層低減した検知スイッチを実現することができる。
【0169】
(14)検知部401が検知した検知結果に基づいて電源10が供給する電力量を制御する出力制御部402をさらに備えることで、電源10の消費電力を低減し、電源10のメンテナンス期間(交換または再充電までに必要な期間)を延長し、電源10のメンテナンスに必要なコストを削減することができる。
【0170】
(15)電源制御部4,4aを、振動検知部(2)が生成した電気信号を検知部が検知した検知結果に基づいて、電源10が供給する電力を出力端子OUTに出力するか、または出力端子OUTへの出力を遮断するかを制御する構成としても良い。この構成により、待機状態における、電源10の消費電力を一層低減することができる。
【0171】
(16)環境状態量の変化に応じて音または振動を発生する振動発生部20、20a~20dをさらに備え、電源制御部4,4aは、振動発生部20、20a~20dにより発生した音または振動により振動検知部(2)が生成した電気信号に基づいて、電源が供給する電力量を制御する構成としても良い。これにより、音または振動以外の環境状態量に対してもその変化をトリガーとして検出することができ、かつ電源10からの電力の消費量の少ない検知スイッチを実現することができる。
【0172】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態および変形例は、それぞれ単独で適用しても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0173】
1,1a,1b,1c…計測システム、2、2a…振動発電部、3…自己保持回路、4,40…電源制御部、5…制御部、5a…信号処理部、5b、5c…制御信号生成部、6…検出部、7…送信部、4a…第1電源制御素子、8…第2電源制御素子、9…第3電源制御素子、10…電源、11…振動発電素子、12…センサ、13…検出回路、14…通信回路、15…アンテナ、16…タイマーIC、30…踏切警報機、31…警報音発生器、32…警報音、35…踏切遮断機、36…遮断桿、37…回転機構、70…受信システム、100…診断システム、90…検知スイッチ、401…検知部、402…出力制御部
図1
図2
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図5
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