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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】歯科用ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/62 20170101AFI20230523BHJP
【FI】
A61C5/62
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020504015
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2018044029
(87)【国際公開番号】W WO2019023540
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】62/537,549
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジャゴディンスキー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ガラーノ,ケネス
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05964736(US,A)
【文献】米国特許第05176657(US,A)
【文献】特表2000-501986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/62
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科材料を定量吐出するための歯科用ディスペンサであって、
近位端および遠位端を有し、かつ前記遠位端にアプリケータ受け入れ部分をさらに含む、カートリッジを受け入れるためのルアー本体と、
前記近位端において前記ルアー本体と動作可能に係合するグリップと、
前記グリップにヒンジ接続された後部と、
前記グリップにヒンジ接続され、かつバネ圧力下で跳ね返るように構成されたタブであって、前記後部の動作が制限される閉鎖位置に前記後部を配置するために前記後部に係合するように動作可能であるとともに、前記後部に含まれるロッドリングと共に前記後部が揺動して前記タブから離れる開放位置において前記後部から係合解除するように動作可能であるように構成されたタブと
を備え、
前記後部は、前記閉鎖位置において、前記ロッドリングがユーザの親指により摺動可能に移動するよう拘束されるように構成されていることを特徴とする歯科用ディスペンサ。
【請求項2】
前記ルアー本体は前記グリップに対して回転するように構築されている、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項3】
前記ユーザが前記カートリッジ内の気泡の移動を見て前記カートリッジ内の歯科材料の粘度を決定するのを可能にする前記ルアー本体の中に配置された窓をさらに備える、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項4】
前記タブはリベットおよびトーションバネにより前記グリップにヒンジ接続されている、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項5】
前記ロッドリングは前記後部に対して回転するように構成されている、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項6】
前記グリップの形状は前記グリップを保持する指の形状に一致するように構築されている、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項7】
前記後部は圧縮バネおよびカラーを含み、かつ
挿入された場合に、前記カートリッジは、(i)圧縮バネによって加えられる圧縮力、(ii)前記後部のカラー、(iii)前記ロッドリングの先端、および/または(iv)前記ルアー本体のチャネルの直径および形状によって前記ルアー本体の中の中央に置かれ、かつその中に拘束される、
請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項8】
前記歯科用ディスペンサは加圧滅菌可能である、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項9】
前記歯科用ディスペンサは滅菌可能である、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項10】
前記ロッドリングは前記カートリッジのプランジャに係合する丸い先端を有し、かつ前記丸い先端は、前記カートリッジのハウジングを破壊することなく前記丸い先端を前記カートリッジ内を前進させて前記カートリッジの内容物を排出するように、前記ハウジングの内周よりも小さい円周を有する、
請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項11】
前記ルアー本体のチャネルの円周は、所定のサイズまたは形状を有するカートリッジを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【請求項12】
ディスペンサはポリフェニルスルホン材料を含む、請求項1に記載の歯科用ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に歯科用ディスペンサに関し、より具体的には注射不可能な麻酔薬などの歯科材料の押し出しおよび配置のためにカートリッジおよび鈍先端アプリケータに着脱可能に係合する歯科用ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科技術分野では、流体薬物を安全に注射するために予め装着されたカートリッジを有する注射器などの歯科用器具を提供し、かつそのような実施を、例えば薄い弾性の鞘によって使用前に無菌に維持される先端を有する永久的に取り付けられた先端針などの手段によって現代の感染予防策にさらに準拠させることが知られている。
【0003】
そのような装置に、安全かつ有効な取り扱いおよび把持、押し出し制御ならびに特定のカートリッジの挿入を制限する能力などの様々な特徴を設けることが有利である。歯科専門家がそのような装置を操作している時に、長さおよび重量制限、回転不能ならびに把持方式およびカートリッジ収納が原因で、当該器具を長時間効率的に取り扱うことは多くの場合に難しいことが分かっている。さらに、入手可能なディスペンサは、挿入されるカートリッジを制約し、かつ溢流することなく押し出すための鈍先端アプリケータと接続するそれらの能力において制限されている。
【0004】
米国特許第5,176,657号は、予め装着されたカートリッジを有する注射器を医学的使用のためにより安全なものにさせることについて記載している。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0154354号は、カートリッジ注射器、カートリッジ、およびカートリッジ注射器を備えた眼科用注射器セットを開示しており、このカートリッジ注射器は、使用後に眼科用治療薬を含むカートリッジのみを交換および廃棄することによってカートリッジ注射器を繰り返し使用することができるように構成されている。
【0006】
米国特許出願公開第2016/0354326号は、歯科および/または造影剤用途のための改良された局所麻酔液を開示している。
【0007】
米国特許第6,719,736号は、針組立体を含む注射器本体を備えた歯科用注射器システムを開示しており、この注射器本体は薬物が注射された後に保護シールドとして機能する。再利用可能なプランジャ組立体は、薬物送達のために摺動可能なシールおよび針を押し出し、次いで薬物が送達された後にそれらを注射器本体の中に引き戻す。
【0008】
国際特許の国際公開第2017/011895号では、Magneらは、注射器と注射器の周りに装着される単一ユニット型非ヒンジ式シュラウドとを含む組み合わせを開示しており、この注射器は、カープルを受け入れるための開口部を有するハウジング、摘み、親指用リングを有するプランジャおよび針ハブを備え、かつそのシュラウドは歯科用注射器を覆ってより多くの患者に使いやすい注射器を作り出す。
【発明の概要】
【0009】
多くの用途において、リドカインおよびプリロカイン歯周ゲルなどの歯科材料を含むディスペンサと共に使用するための改良されたカートリッジを提供することが望ましい。本開示は、近位端および遠位端を有するルアー本体を備える装置に関し、ここでは、ルアー本体はその中に配置された窓とその遠位端に鈍先端アプリケータ受け入れ部分とを有し、かつその近位端においてグリップに動作可能に係合しており、グリップはさらにディスペンサの後部に動作可能に係合しており、前記後部はカラーを含み、かつロッドリングの移動がユーザの1本の親指により前方に押されたり後方に引かれたりするために拘束されるように前記ロッドリングを受け入れる。本装置は保持装置も備えていてもよく、これによりグリップに対するルアー本体の回転移動を可能にする。ロッドリングは後部およびカラーに対してさらに回転してもよい。また後部はリベットなどの手段によってグリップにヒンジ接続されていてもよく、これによりロッドリングが完全に引き抜かれた場合に本ディスペンサを開放位置に変え、かつカートリッジの挿入のためにロッドリングおよび後部をルアー本体の平面から外すのを可能にする。また、本ディスペンサがロッドリング、後部およびルアー本体が同一線上にある閉鎖位置にある場合に後部の移動を拘束するために、リベットおよびトーションバネなどの手段によってタブがグリップにヒンジ接続されていてもよい。これにより、歯科材料の正確な配置のための向上した送達が得られる。
【0010】
本装置の特徴のいくつかを、その詳細な説明をより良好に理解することができ、かつ当該技術分野への本寄与をより良好に理解することができるようにするために、どちらかと言えば大まかに概説してきた。
【0011】
これに関して本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示はその適用において以下の説明に示されているか図面の中の図示されている構成要素の構成または配置に関する詳細に限定されないことを理解されたい。本装置は他の実施形態が可能であり、かつ様々な方法で実施および実行することができる。また当然のことながら、本明細書に用いられている表現および用語は説明のためのものであり、本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。
【0012】
目的は、安全な制御可能グリップを備えたディスペンサであって、前記グリップの形状はそれを保持する指の曲率半径に実質的に一致することを特徴とするディスペンサを提供することにある。
【0013】
目的は、本ディスペンサの窓によりユーザが挿入されたカートリッジ内の気泡の移動を見てカートリッジ内の歯科材料の粘度を決定し、かつカートリッジ内の歯科材料がゲル化していないことを保証するのを可能にする、ディスペンサの操作方法を提供することにある。
【0014】
目的は、カートリッジを本ディスペンサの側面からではなくその後方から本ディスペンサの中に装着する、ディスペンサの安全な操作方法を提供することにある。
【0015】
さらに別の目的は、鈍先端アプリケータおよびカートリッジを備えたディスペンサの安全な使用方法を提供することにある。前記鈍先端アプリケータは歯科用麻酔薬の注射が組織に貫入するのを防止してもよい。
【0016】
別の目的は、本ディスペンサが閉鎖位置にある場合にロッドリング上にある1本の親指を押すことによって操作されるディスペンサを提供することにある。
【0017】
別の目的は、親指で作動されたタブが本ディスペンサの後部と動作可能に分離してロッドおよび後部を開放位置に戻した場合にカートリッジの容易な挿入を可能にするディスペンサを提供することにある。
【0018】
別の目的は、挿入されたカートリッジは本ディスペンサが閉鎖位置にある場合に、圧縮バネ、カラーおよびロッドリングの先端ならびにルアー本体の内部チャネルの直径および形状によって前記挿入されたカートリッジ上に加えられる圧縮力によって中央に置かれ、かつ安定な状態に維持される、圧縮バネおよびカラーを含む後部を備えたディスペンサを提供することにある。
【0019】
別の目的は、加圧滅菌可能なディスペンサを提供することにある。
【0020】
さらに別の目的は、全体浸漬によって滅菌可能なディスペンサを提供することにある。
【0021】
別の目的は、閉鎖位置にある前記ディスペンサを落とした場合に、本ディスペンサが閉鎖したままであるように設計された保持ラッチを備えたディスペンサを提供することにある。
【0022】
別の目的は、本ディスペンサのグリップに対して回転するルアー本体および本ディスペンサの後部に対して回転するロッドリングを備えたディスペンサを提供することにある。
【0023】
さらに別の目的は、鈍先端アプリケータおよびカートリッジの安全かつ衛生的な組立体を備えたディスペンサを提供することにあり、ここでは、前記ディスペンサのルアー本体の遠位端は前記鈍先端アプリケータを受け入れ、かつ前記カートリッジが前記ルアー本体のチャネルの中に装着される前に前記鈍先端アプリケータは前記ルアー本体の外側から前記ルアー本体の遠位端に装着される。本明細書では、鈍先端アプリケータは保護トレイによって覆われた鋭先端を有する端部も有していてもよく、前記鋭先端を有する端部を前記ルアー本体の遠位端の中に挿入し、かつ完全に位置するまで捻じってもよい。カートリッジを前記ルアー本体のチャネルの中に挿入してもよく、カートリッジが閉鎖されている場合に前記カートリッジを鋭先端を有する端部によって穴を開けて歯科材料の押し出しのための流路を形成する。
【0024】
別の目的は、丸い先端を有するロッドリングを含むディスペンサを提供することにあり、ここでは、前記丸い先端はカートリッジハウジングの内周よりも小さい円周を有し、かつ前記先端は、押し出しの間、および押し出し後に当該先端をカートリッジから抜き出す間にカートリッジハウジングを破壊または粉砕することなく最小の力でカートリッジ内を自由に前進してカートリッジの流体内容物を排出することができる。ロッドリングの前記先端は押し出しを達成するためにカートリッジのプランジャに係合してもよい。
【0025】
本開示の他の目的および利点は読者には明らかになると思われ、これらの目的および利点は本開示の範囲内であることが意図されている。上記および関連する目的の達成のために、本装置を添付の図面に図示されている形態で具体化してもよいが、この図面は単に例示であって、本出願の範囲内で図示および説明されている具体的な構成において変形を行うことができるという事実に留意されたい。
【0026】
本開示の様々な他の目的、特徴および付随する利点は、添付の図面と共に考察した場合にそれがより良好に理解されるため十分に理解されるであろう。図面の中では同様の符号はいくつかの図にわたって同じもしくは同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示に係るディスペンサの分解図である。
図2】本開示に係るディスペンサの側面図である。
図3】本開示に係るディスペンサの底面図である。
図4】本ディスペンサの後部を示す本開示の一実施形態の別の側面図である。
図5】本ディスペンサのタブを示す本開示の一実施形態の側面図である。
図6】後方に引かれたロッドを示す本開示の一実施形態の側面図である。
図7】本ディスペンサを開放位置に配置するために後方に引かれたロッドおよびディスペンサの後部を示す本開示の一実施形態の側面図である。
図8】本ディスペンサのルアー本体のカートリッジ受け入れチャネルを示す本開示の一実施形態の斜視図である。
図9】本ディスペンサの後部に存在する本ディスペンサのカラーを示す開放位置にある本開示の一実施形態の斜視図である。
図10】歯科材料を押し出すためにアプリケータを受け入れる本ディスペンサのルアー本体の遠位端を示す開放位置にある本開示の一実施形態の斜視図である。
図11】本ディスペンサのルアー本体の窓を示す開放位置にある本開示の一実施形態の別の斜視図である。
図12】本開示の一実施形態の断面側面図である。
図13】本ディスペンサのグリップの断面をさらに示す本開示の一実施形態の別の断面側面図である。
図14】本開示に係るロッドおよびディスペンサの後部の断面側面図である。
図15】本開示の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの図を通して同様の符号が同様の要素を示す図面を参照すると、これらの図は歯科材料の押し出しおよび正確な配置のための歯科用ディスペンサを示している。添付の図面、本明細書では特に図1図2および図12を参照すると、本ディスペンサは、近位端および遠位端を有するルアー本体111を備え、本ディスペンサは一般に符号100によって示されている。ディスペンサ100は第1の端部および第2の端部を有するロッドリング107をさらに備え、第1の端部は一般にユーザの親指を受け入れるハンドルを形成し、かつ第2の端部はカートリッジ(図示せず)のプランジャ(図示せず)に係合して前記カートリッジから歯科材料(図示せず)を排出する先端121を形成している。先端121は、挿入されたカートリッジ内を先端121が最小の力で自由に前進することができるように丸くなっていてもよい。これにより押し出しの間、および押し出し後にカートリッジから当該先端を抜き出す間のカートリッジハウジング、例えばガラスカートリッジハウジングの破壊または粉砕などの先行技術の装置における欠点を防止する。ロッドリングの前記先端121は押し出しのためにカートリッジのプランジャと係合してもよい。
【0029】
ディスペンサのルアー本体111は、その中に配置された窓214とその遠位端部に鈍先端アプリケータ受け入れ部分216とをさらに備え、かつその近位端でグリップ101に動作可能に係合しており、ここでは、グリップ101はさらに後部102に動作可能に係合しており、前記後部102はカラー103を含み、かつ前記ロッドリング107の移動がユーザの1本の親指(図示せず)で前方に押されたり後方に引かれたりするために拘束されるように前記ロッドリング107を受け入れる。装置100は保持装置203も備えていてもよく、これにより、グリップ101に対するルアー本体111の回転移動を可能にして手の位置決めを調整する。ロッドリング107は後部102およびカラー103に対してさらに回転してもよい。また後部102はリベット213などの手段によってグリップ101にヒンジ接続されていてもよく、これによりロッドリングが完全に引き出された場合にディスペンサ100を開放位置に変え、かつカートリッジの挿入のためにロッドリング107および後部102をルアー本体111の平面から外すのを可能にする。またディスペンサ100が閉鎖位置にある場合に後部102の移動を制限するために、タブ104がリベット213およびトーションバネ201などの手段によってグリップ101にヒンジ接続されていてもよく、ここではロッドリング107、後部102およびルアー本体111は同一線上にある。
【0030】
一実施形態では、ディスペンサのグリップ101は各側に指受け入れ端部を有し、その各端部はその凹面が指の形状に一致するような凹状のプロファイルを有し、このようにして安全な制御可能グリップを形成している。
【0031】
別の実施形態では、図11に示すように、窓214はルアー本体111の中に形成されていてもよい。そのような窓は、ユーザが挿入されたカートリッジ内での気泡の移動(図示せず)を見て前記カートリッジ内の歯科材料の粘度を決定するのを可能にする。
【0032】
特に図8を参照すると、本ディスペンサはバネ201によって加えられるバネ圧力下で跳ね返るタブ104を有していてもよい。タブ104は、指で一回押すことで開放状態にすることができるヒンジ式ラッチ機構を形成していてもよい。本ディスペンサが開放位置にある場合に、好適なカートリッジをチャネル215に挿入してもよい。次いで、図6に見られるように、タブ104を押し、ロッド107を回し、かつ後部102をルアー本体111と同じ平面にし、かつ閉鎖したら(303)タブ104を解放して後部102の上に跳ね返らせて後部102を適所に保持することによって、ディスペンサロッド107および後部102をルアー本体111と位置合わせする。後部102は開放される場合に揺動してタブ104を退かせてもよい(302)。ルアー本体111は304に示されているように、圧力下でグリップに対して回転して手の位置決めを可能にしてもよい。チャネル215は、所定のサイズおよび/または形状を有する適合可能なカートリッジのみを挿入することができるような円周/直径および形状を有していてもよい。例えば本ディスペンサのチャネルは、Oraqixなどの注射不可能な麻酔薬カートリッジのみを受け入れるように成形されていてもよい。より大きい直径のカートリッジは挿入されないように防止することができ、より小さい直径の適合不可能なカートリッジは挿入時にチャネル215内部で不安定にさせてもよい。本明細書では、本ディスペンサのチャネルは適合不可能な種類のカートリッジの挿入を拒絶し、それを歯科用途のためにより安全なものにする。一実施形態では、チャネル215の遠位端は、カートリッジを本ディスペンサのチャネル内に受け入れ、中央に位置決めし、かつ拘束するために、カートリッジのカラー(図示せず)の雌型として形成されていてもよい。別の実施形態では、当該チャネルの近位端は、第1の円周よりも大きい外周を有するカートリッジを挿入させることができないような第1の円周を有していてもよい。
【0033】
別の実施形態では、ディスペンサの後部102は圧縮バネ200およびカラー103(図9)を有していてもよく、前記圧縮バネおよびカラーは本ディスペンサが閉鎖された際に挿入されたカートリッジに圧縮を加えると共に、治療中に前記挿入されたカートリッジを中央に置き、かつ安定化させるのを助ける。これにより、カートリッジがチャネル215内でガタつくのを防止する。またカラー103は後部102から落下しないようにロッドリング107を維持してもよい。
【0034】
さらに別の実施形態では、本ディスペンサは、ポリフェニルスルホン(Radel)などの高性能ポリマーで作られていてもよい。本ディスペンサのリベット213、バネ200、201および保持装置203はステンレス鋼で作られていてもよい。本ディスペンサは、加圧滅菌可能であり、かつ滅菌剤の中に完全に浸漬することによって滅菌可能であってもよい。
【0035】
特に本ディスペンサの断面を示す図13の実施形態を参照すると、305はリベット213が貫通している平面に沿ったグリップ101の断面を示す。リベット213は同一平面306の下に形成されていてもよく、かつ本ディスペンサを使用している際にリベットが動いてその道から外れて手袋を裂くという可能性を回避するために加締められていてもよい。「a」という文字は加締め後のリベットの一実施形態を示し、「b」は加締め前のリベットを示す。
【0036】
図14を参照すると、本ディスペンサのロッドリング107は、中央に置かれ(405)、かつ超音波溶接などの手段によってロッドリング107に接合させることができる先端121を含み、このようにして保持部品を形成し、ロッドの本ディスペンサからの完全な取り外れを防止する。嵌合接合402は例えば、適切な接合が形成されるのを保証するために25lbの負荷を保持してもよい。ロッド107は、その中に結合することなく後部102のカラー103を通って自由に摺動してもよい。カラー103も結合することなく摺動して戻ってもよく、バネ200によって自由に前方に押してもよい。製造中に、バリは同一平面406、407を超えると容認できない場合がある。バリは審美的に問題になる可能性があるだけでなく、拭き取り消毒を妨害する可能性もあり、場合によっては痛みをもたらしたり、取り扱いの間に紙で切ったような傷を生じさせたりし得る非常に鋭い形状を作り出す可能性もある。
【0037】
さらに別の実施形態では、本ディスペンサは、後部102とロッドリング107のハンドルとの間の領域内のロッドリング107の遠位部の周りにバネ501を有していてもよく、ここでは本ディスペンサが図15に示すように使用中でない場合に、当該バネはロッドリングを完全な伸長位置まで押してディスペンサの後部102から離すための力を加える。
【0038】
上記考察から本ディスペンサの様々な実施形態が同様の方法で動作することが理解されるであろう。本ディスペンサの一実施形態の動作は、Oraqixブリスターパックから取り出した鈍先端アプリケータなどのアプリケータ(図示せず)をユーザの手の中に置くことを含んでもよい。アプリケータの鋭先端を有する端部からプラスチックカバーを捩じって除去することによりアプリケータを開封する。アプリケータが本ディスペンサの上に完全に位置するまでそれを時計回りに捻じることによって、アプリケータの前記露出された鋭先端を有する端部を本ディスペンサの外側から本ディスペンサの遠位端においてディスペンサ100に取り付ける。本ディスペンサのロッドリング107を完全に後退させ、タブ104を押してラッチを解放してディスペンサ100を開放する。その中に気泡を含むOraqixカートリッジなどの適合可能なカートリッジ(図示せず)をそれが可聴クリック音と共に所定の場所に嵌め込まれるまで本ディスペンサのチャネル215の中に装着し、ここではアプリケータの鋭先端を有する端部によりカートリッジに穴を開けて押し出し流路を作り出す。次いでタブ104を指(図示せず)で押してディスペンサ100を閉鎖した後に、タブ104を解放する。次いで、鈍先端アプリケータ上のキャップ(図示せず)を使用前に除去することができる。そのようなキャップを使用してアプリケータを曲げて歯周ポケットへのアクセスを向上させてもよい。次いで、角度が付けられたアプリケータをユーザおよび患者(図示せず)から離して向けた状態でディスペンサ100を垂直に保持してもよい。挿入されたカートリッジを窓214から観察して歯科材料が適当な粘度を有することを確認してもよい。ロッドリング107を押下して気泡を除去して、より一貫した流れを得てもよい。次いで最小の力で自由に動くロッドリング107により歯科材料を必要に応じて定量吐出してもよい。投与後、アプリケータをキャップで覆い、かつ清浄してもよい。さらに、アプリケータをそのキャップと共に反時計回りに捩じって鋭先端を有する端部を露出させることにより、本ディスペンサを分解してもよい。次いで、鋭先端を有する端部のためのカバーを再度取り付け、鈍先端アプリケータを配置してもよい。次いで、ロッドリング107を完全に後退させ、ディスペンサ100を開放し、窓214を介してカートリッジの側面を把持し、かつカートリッジをディスペンサ100の外に摺動させることにより、カートリッジを取り出してもよい。当業者であれば、本ディスペンサを取り扱う上記プロセスにより、歯周用途のためにより安全かつより制御される器具が得られることを認識するであろう。
【0039】
本明細書に記載および図示されているものは、その変形のいくつかと共に本開示の好ましい実施形態である。本明細書で使用されている記載および図は単に例示として示されており、本発明を限定するものではない。また当業者であれば本開示の趣旨および範囲の範囲内で多くの変形が可能であることを認識しているはずであり、本開示では特に明記しない限り、全ての用語がそれらの最も広い妥当な意味で解釈されるものとする。本記載の中で利用されているあらゆる見出しは単に便宜上のものであり、法的または限定的効果を有しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15