(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブの合成のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C01B 32/164 20170101AFI20230523BHJP
【FI】
C01B32/164
(21)【出願番号】P 2020511187
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(86)【国際出願番号】 US2018047283
(87)【国際公開番号】W WO2019040468
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-02
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517127045
【氏名又は名称】インサーマ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NTHERMA CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】ヌウェン, カティエン, ブイ.
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0186550(US,A1)
【文献】特開2005-067916(JP,A)
【文献】特表2005-522340(JP,A)
【文献】特開2006-305554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/164
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重壁のカーボンナノチューブを合成する方法であって、
常に動いている基板上に触媒を連続的に堆積させる
堆積ステップと、
前記基板上に多重壁のカーボンナノチューブを形成させる
形成ステップと、
前記基板から多重壁のカーボンナノチューブを分離する
分離ステップと、
多重壁のカーボンナノチューブを収集する
収集ステップと
からなり、
ここで、前記基板は、前記堆積ステップ、
前記形成ステップ、
前記分離ステップ及び
前記収集ステップを通して常に逐次的に動
き、
前記多重壁のカーボンナノチューブの純度は、95%超である、方法。
【請求項2】
前記多重壁のカーボンナノチューブが、均一な長さのものであ
り、前記均一な長さは、前記多重壁のカーボンナノチューブの長さの平均値+/-10%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平均値は、50μm、100μm、150μmおよび200μmからなる群より選ばれるいずれかの長さである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記多重壁のカーボンナノチューブ
は、99%
超の純度のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記多重壁のカーボンナノチューブ
は、99%
超の純度のものであり、
前記平均値は、50μm、100μm、150μmおよび200μmからなる群より選ばれるいずれかの長さのものである、請求項
2に記載の方法。
【請求項6】
前記多重壁のカーボンナノチューブは、99.5%超の純度のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多重壁のカーボンナノチューブは、99.9%超の純度のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多重壁のカーボンナノチューブが、99.5%超の純度のものであり、前記平均値は、50μm、100μm、150μmおよび200μmからなる群より選ばれるいずれかの長さのものである、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記多重壁のカーボンナノチューブが、99.9%超の純度のものであり、前記平均値は、50μm、100μm、150μmおよび200μmからなる群より選ばれるいずれかの長さのものである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記多重壁のカーボンナノチューブのラマンスペクトルは、0.76のI
g
/I
d
比である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2017年8月22日に出願された米国仮特許出願第62/548,942号、2017年8月22日に出願された米国仮特許出願第62/548,945号及び2017年8月22日に出願された米国仮特許出願第62/548,952号に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書において提供するのは、高い構造的均一性及び低レベルの不純物を有するカーボンナノチューブ(CNT)の生成のための方法及び装置である。装置は、例えば、基板上に触媒を堆積させるためのモジュール、CNTを形成させるためのモジュール、基板からCNTを分離するためのモジュール、CNTを収集するためのモジュール、並びに上記のモジュールを通して基板を連続的及び逐次的に前進させるためのモジュールを含む。この方法は、例えば、動いている基板上に触媒を堆積させるステップと、基板上にカーボンナノチューブを形成させるステップと、基板からカーボンナノチューブを分離するステップと、表面からカーボンナノチューブを収集するステップとを含み、ここで、基板は、堆積ステップ、形成ステップ、分離ステップ及び収集ステップを通して逐次的に動く。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブ(CNT)は、直径が約1nm未満~約100nmの範囲である円筒形の構造及び直径を有する炭素の同素体である。CNTは、ナノメートルスケールのサイズと相まった多くのたぐいまれな特性によって、多種多様の産業において多くの有望な用途を有する。例えば、高い熱伝導性、電気伝導性、機械的強度及び可撓性などの特性は、高いアスペクト比と相まって、増加する数のCNT用途に関与している。
【0004】
現在のCNT製造方法は典型的には、相当な不純物、例えば、金属触媒及びアモルファス炭素を有するCNTを生成する。精製ステップが典型的には、通常の製造方法によるCNTの合成の後に必要とされ、比較的に純粋なカーボンナノチューブを実現する。CNTの精製ステップは大きく高価な化学プラントを必要とし、これは、90%超の純度の大量のCNTを生成することを極めて高価なものとする。さらに、本CNT製造方法は、低い構造的均一性を有するCNT(すなわち、変化する長さのCNT)を生成する。
【0005】
したがって、必要とされているのは、高い構造的均一性及び低レベルの不純物を有する高い質及び高価でないCNTを提供するための新規な方法及び装置である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一態様において、カーボンナノチューブを合成する方法を提供することによってこれら及び他の必要性を満足させる。一部の実施形態では、ナノチューブは、多重壁のカーボンナノチューブである。他の実施形態では、ナノチューブは、単一壁のカーボンナノチューブである。また他の実施形態では、ナノチューブは、単一壁のカーボンナノチューブ及び多重壁のカーボンナノチューブの混合物である。この方法は、常に動いている基板上に触媒を堆積させるステップと、基板上にカーボンナノチューブを形成させるステップと、基板からカーボンナノチューブを分離するステップと、カーボンナノチューブを収集するステップとを含み、ここで、基板は、堆積ステップ、形成ステップ、分離ステップ及び収集ステップを通して逐次的に動く。
【0007】
別の態様において、カーボンナノチューブを合成するための装置を提供する。一部の実施形態では、ナノチューブは、多重壁のカーボンナノチューブである。他の実施形態では、ナノチューブは、単一壁のカーボンナノチューブである。また他の実施形態では、ナノチューブは、単一壁のカーボンナノチューブ及び多重壁のカーボンナノチューブの混合物である。装置は、基板上に触媒を堆積させる触媒モジュール、基板上にカーボンナノチューブを形成させるナノチューブ合成モジュール、基板からカーボンナノチューブを取り出す分離モジュール、カーボンナノチューブを収集する収集モジュール、及び触媒モジュール、ナノチューブモジュール、分離モジュール及び収集モジュールを通して基板を逐次前進させるための輸送モジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】基板上に触媒を堆積させるステップと、基板上にカーボンナノチューブを形成させるステップと、基板からカーボンナノチューブを分離するステップと、高純度及び高構造的均一性のカーボンナノチューブを収集するステップとを含む、カーボンナノチューブの合成のための例示的なフローチャートを例示する。
【
図2】基板上にカーボンナノチューブを形成させるステップと、基板からカーボンナノチューブを分離するステップと、高純度及び高構造的均一性のカーボンナノチューブを収集するステップとを含む、カーボンナノチューブの合成のための例示的なフローチャートを例示する。
【
図3】常に動いている基板上に触媒を連続的に堆積させるステップと、動いている基板上にCNTを形成させるステップと、動いている基板からCNTを分離するステップと、高純度及び高構造的均一性のカーボンナノチューブを収集するステップとを含む、カーボンナノチューブの連続的合成のための例示的なフローチャートを例示する。
【
図4】金属基板を含有する、動いている基板上にCNTを形成させるステップと、動いている基板からCNTを分離するステップと、高純度及び高構造的均一性のカーボンナノチューブを収集するステップとを含む、カーボンナノチューブの連続的合成のための例示的なフローチャートを例示する。
【
図5】カーボンナノチューブの連続的合成のための装置を模式的に例示し、これは、逐次的に配列されている様々なモジュール、例えば、モジュールを通して基板を前進させるための輸送モジュール;触媒モジュール;ナノチューブ合成モジュール;分離モジュール;及び収集モジュールを含む。
【
図6】カーボンナノチューブの連続的合成のための基板の閉ループ供給を有する装置を模式的に例示し、これは、逐次的に配列されている様々なモジュール、例えば、モジュールを通して基板を前進させるための輸送モジュール;触媒モジュール;ナノチューブ合成モジュール;分離モジュール;及び収集モジュールを含む。
【
図7】例示的な分離モジュールを模式的に例示する。
【
図8】複数の基板を含む、ナノチューブ合成モジュールにおいて使用し得る長方形の石英チャンバーの水平図を模式的に例示する。
【
図9】複数の基板を含む、ナノチューブ合成モジュールにおいて使用し得る長方形の石英チャンバーの斜視図を例示する。
【
図10】本明細書に記載されている方法及び器具によって生成されるMWCNTについての99.4%超の純度を示すTGA結果を例示する。
【
図11】本明細書に記載されている方法及び器具によって生成されるMWCNTが、工業用等級試料と比較したとき高結晶質であることを示すラマンスペクトルを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
他に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書においてある用語について複数の定義が存在する場合、他に断りのない限り、このセクションにおけるものが優先する。
【0010】
本明細書において使用する場合、「カーボンナノチューブ」は、円筒形の構造を有する炭素の同素体を指す。カーボンナノチューブは、欠陥、例えば、C5及び/又はC7環構造を含み得、カーボンナノチューブは直線状ではなく、コイル状構造を含み得、C-C結合配置においてランダムに分布している欠陥のある部位を含有し得る。カーボンナノチューブは、1つ若しくは複数の同心円状の円筒形層を含み得る。用語「カーボンナノチューブ」は、本明細書において使用する場合、単独で精製された形態又はこれらの混合物として、単一壁のカーボンナノチューブ、二重壁のカーボンナノチューブ、多重壁のカーボンナノチューブを含む。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、多重壁である。他の実施形態では、カーボンナノチューブは、単一壁である。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、二重壁である。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、単一壁及び多重壁のナノチューブの混合物である。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、単一壁及び二重壁のナノチューブの混合物である。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、二重壁及び多重壁のナノチューブの混合物である。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、単一壁、二重壁及び多重壁のナノチューブの混合物である。
【0011】
本明細書において使用する場合、「多重壁のカーボンナノチューブ」は、黒鉛の様な層間距離を伴う複数の同心円状に重ね合わせられたグラフェンシートからなるカーボンナノチューブを指す。
【0012】
本明細書において使用する場合、「二重壁のカーボンナノチューブ」は、2つの同心円状に重ね合わせられたグラフェンシートを有するカーボンナノチューブを指す。
【0013】
本明細書において使用する場合、「単一壁のカーボンナノチューブ」は、単一の円筒形のグラフェン層を有するカーボンナノチューブを指す。
【0014】
本明細書において使用する場合、「垂直状に整列しているカーボンナノチューブ」は、基板上に堆積されたカーボンナノチューブの配列を指し、ここで、カーボンナノチューブの構造は、基板と直角に物理的に整列している。
【0015】
本明細書において使用する場合、「触媒」又は「金属触媒」は、炭化水素ガスの分解、及び化学蒸着プロセスによるカーボンナノチューブの形成の補助において使用される、例えば、Fe、Ni、Co、Cu、Ag、Pt、Pd、Auなどの金属又は金属の組合せを指す。
【0016】
本明細書において使用する場合、「化学蒸着」は、プラズマ助長化学蒸着、熱化学蒸着、アルコール触媒CVD、気相成長、エアロゲル支持CVD及びレーザーを利用したCVDを指す。
【0017】
本明細書において使用する場合、「プラズマ助長化学蒸着」は、炭化水素ガス混合物を、表面上にカーボンナノチューブを堆積させる励起種へと転換させる、プラズマ(例えば、グロー放電)の使用を指す。
【0018】
本明細書において使用する場合、「熱化学蒸着」は、表面上にカーボンナノチューブを堆積させるために使用し得る、触媒の存在下での炭化水素蒸気の熱分解を指す。
【0019】
本明細書において使用する場合、「物理蒸着」は、フィルム材料上への所望のフィルム材料の気化物の凝縮によって薄いフィルムを堆積させるために使用される真空堆積方法を指し、技術、例えば、陰極アーク堆積、電子ビーム堆積、気化堆積、パルスレーザー堆積及びスパッタ堆積を含む。
【0020】
本明細書において使用する場合、「カーボンナノチューブを形成させること」は、反応チャンバーにおいて基板上にカーボンナノチューブを形成させるための、本明細書に記載されている化学、プラズマ及び物理蒸着方法を含めた任意の蒸着プロセスを指す。
【0021】
カーボンナノチューブは、例外的な物理的特性、例えば、優れた通電容量、高い熱伝導性、良好な機械的強度、及び大きな表面積を伴う相対的に新規な材料であり、これらはいくつかの用途において有利である。カーボンナノチューブは、3000W/mKもの高い値を伴う例外的な熱伝導性を有し、これは、ダイヤモンドの熱伝導性より低いのみである。カーボンナノチューブは、機械的に強く、400℃超の大気条件下にて熱的に安定であり、特に、垂直に整列しているとき、可逆的な機械的可撓性を有する。したがって、カーボンナノチューブは、この固有の可撓性によって異なる表面形態に機械的に適合させることができる。さらに、カーボンナノチューブは、高温下で閉鎖的な条件において、低い熱膨張率を有し、可撓性を保持する。
【0022】
カーボンナノチューブを制御された様式で実用的及び単純な集積化及び/又はパッケージングを伴って経済的に提供することは、多くのカーボンナノチューブ技術を実行するために必須である。例外的な純度及び均一な長さの大量のカーボンナノチューブを提供する装置及び方法を、本明細書において提供する。本明細書において合成されるCNTは、合成後の高価な精製を必要としない。
【0023】
手短に言えば、方法の一般の特徴は下記の通りである。第1に、金属触媒は表面上にコーティングされ、基板は高温にて加熱される。次いで、触媒は高温にて基板の表面上にコーティングされ、基板上に触媒のナノ粒子を提供し、これはCNT合成のための開始部位としての機能を果たす。CNTは、炭素源を触媒へと供給することによって合成される。したがって、炭素源及びキャリアガスの混合物は、触媒でコーティングされた加熱された基板を含むチャンバー中に流れ、付着したCNTを有する基板を提供する。最終的に、合成されたCNTを基板から抽出し、収集する。任意選択で、触媒でコーティングされた基板が再生される。
【0024】
一部の実施形態では、触媒は、スパッタリング、蒸発、ディップコーティング、印刷スクリーニング、エレクトロスプレー、スプレー熱分解又はインクジェット印刷によって基板上に堆積される。次いで、触媒は、化学エッチング又は熱的にアニーリングされ、触媒粒子核生成を誘発し得る。触媒の選択は、多重壁のCNTを超えて単一壁のCNTの優先的な成長をもたらし得る。
【0025】
一部の実施形態では、触媒は、基板を触媒の溶液に浸漬することによって基板上に堆積される。他の実施形態では、水性又は有機溶媒/水中の触媒溶液の濃度は、約0.01%~約20%である。また他の実施形態では、水性又は有機溶媒/水中の触媒溶液の濃度は、約0.1%~約10%である。また他の実施形態では、水性又は有機溶媒/水中の触媒溶液の濃度は、約1%~約5%である。
【0026】
CNTが合成されるチャンバーの温度は、基板の融解温度より低い温度、炭素源の分解温度より低い温度、及び触媒原料の分解温度より高い温度であるべきである。多重壁のカーボンナノチューブを成長させるための温度範囲は、約600℃~約900℃であり、一方、単一壁のCNTを成長させるための温度範囲は、約700℃~約1100℃である。
【0027】
一部の実施形態では、CNTは、CNTの成長のための金属触媒を含有する基板上の化学蒸着によって形成される。常に動いている基板上の連続的なCNT形成は、CNTが均一な長さを有することを可能とすることに留意することは重要である。典型的な供給原料には、これらに限定されないが、一酸化炭素、アセチレン、アルコール、エチレン、メタン、ベンゼンなどが含まれる。キャリアガスは、不活性ガス、例えば、アルゴン、ヘリウム、又は窒素であり、一方、水素は、典型的な還元ガスである。ガス混合物の組成及び基板曝露の期間は、合成されたCNTの長さをレギュレートする。当業者には公知の他の方法、例えば、上記の物理蒸着方法、Nikolaev et al.,Chemical Physics Letter,1999,105,10249-10256の方法及び噴霧スプレー熱分解(Rao et al.,Chem.Eng.Sci.59,466,2004)は、本明細書に記載されている方法及び装置において使用し得る。当業者には周知である条件を使用して、上記の方法のいずれかを使用してカーボンナノチューブを調製し得る。
【0028】
ここで
図1を参照すると、カーボンナノチューブを合成する方法を提供する。この方法は、
図1において例示するように別々のステップにおいて行い得る。ステップの任意の組合せは、必要に応じて連続的に行うことができることを当業者は認識する。触媒は、102において基板上に堆積され、カーボンナノチューブは、104において基板上に形成され、カーボンナノチューブは、106において基板から分離され、カーボンナノチューブは、108において収集される。
【0029】
ここで
図2を参照すると、カーボンナノチューブを合成する別の方法を提供する。この方法は、
図2において例示するように別々のステップにおいて行い得る。ステップの任意の組合せは、必要に応じて連続的に行うことができることを当業者は認識する。カーボンナノチューブは、202において触媒を含有する基板上に形成され、カーボンナノチューブは、204において基板から分離され、カーボンナノチューブは、206において収集される。
【0030】
ここで
図3を参照すると、カーボンナノチューブを合成する別の方法を提供する。この方法は、連続的に行われる。触媒は、302において動いている基板上へと連続的に堆積され、カーボンナノチューブは、304において動いている基板上に連続的に形成され、カーボンナノチューブは、306において基板から連続的に分離され、カーボンナノチューブは、308において連続的に収集される。基板は、本明細書に記載されているステップを通して1回又は任意選択で、何回も、例えば、50回超、1,000回超若しくは100,000回超循環し得る。
【0031】
ここで
図4を参照すると、カーボンナノチューブを合成する別の方法を提供する。この方法は、例示されるように連続的に行われる。カーボンナノチューブは、402において触媒を既に含有する、動いている基板上に連続的に形成され、カーボンナノチューブは、404において基板から連続的に分離され、カーボンナノチューブは、406において連続的に収集される。一部の実施形態では、基板を、堆積ステップ、形成ステップ及び分離ステップを通して50回超、1,000回超又は100,0000回超循環させる。
【0032】
動いている基板上のCNTの堆積は、高純度及び高い長さ均一性の両方であるCNTを提供する。さらに、制御プロセス条件は、CNT長さのカスタマイズを可能とする。例えば、生成プロセスを通した、動いている基板の速度のバリエーションは、CNT長さを修正し、CNT堆積モジュールを通したより速い速度は、より短い長さのCNTを生じさせ、一方、より遅い速度は、より長い長さのCNTを生じさせる。
【0033】
一部の実施形態では、基板は、金属箔によって完全にカバーされている。これらの実施形態では、基板は、触媒堆積及びCNT合成の条件に対して安定な任意の材料であり得る。多くのこのような材料は当業者には公知であり、例えば、炭素繊維、炭素フォイル、ケイ素、石英などを含む。他の実施形態では、基板は、金属箔であり、これは本明細書に記載の方法の様々なステップを通して連続的に前進することができる。
【0034】
一部の実施形態では、金属箔の厚さは、10μm超である。他の実施形態では、金属箔の厚さは、約10μm~約500μmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約500μm~約2000μmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.05μm~約100cmである。他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.05μm~約100cmである。他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.05mm~約5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.1mm~約2.5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.5mm~約1.5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約1mm~約5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.05mm~約1mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.05mm~約0.5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約0.5mm~約1mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約1mm~約2.5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約2.5mm~約5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約100μm~約5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、約10μm~約5mmである。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、100μm超である。また他の実施形態では、金属箔の厚さは、100μm未満である。
【0035】
一部の実施形態では、金属箔は、鉄、ニッケル、アルミニウム、コバルト、銅、クロム、金、銀、白金、パラジウム又はこれらの組合せを含む。他の実施形態では、金属箔は、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、金属箔は、有機メタロセン、例えば、フェロセン、コバルトセン又はニッケロセンでコーティングし得る。
【0036】
一部の実施形態では、金属箔は、鉄、ニッケル、コバルト、銅、クロム、アルミニウム、金又はこれらの組合せの2つ若しくはそれより多いものの合金である。他の実施形態では、金属箔は、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金又はこれらの組合せの2つ若しくはそれより多いものの合金である。
【0037】
一部の実施形態では、金属箔は、高温の金属合金である。他の実施形態では、金属箔は、ステンレス鋼である。また他の実施形態では、金属箔は、その上にカーボンナノチューブを成長させるための触媒が堆積されている高温の金属合金である。また他の実施形態では、金属箔は、そのうえに触媒がカーボンナノチューブを成長させるために堆積されているステンレス鋼である。
【0038】
一部の実施形態では、金属箔は、400℃超にて熱的に安定である金属又は金属の組合せである。他の実施形態では、金属箔は、500℃超、600℃超、700℃超又は1000℃超にて熱的に安定である金属又は金属の組合せである。上記の実施形態のいくつかでは、金属の組合せは、ステンレス鋼である。
【0039】
一部の実施形態では、金属箔は、約100μm未満の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有する。一部の実施形態では、金属箔は、約100μm超の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有する。また他の実施形態では、金属箔は、約100μm未満の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有し、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金又はこれらの組合せを含む。また他の実施形態では、金属箔は、約100μm超の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有し、鉄、ニッケル、コバルト、銅、金又はこれらの組合せを含む。また他の実施形態では、金属箔は、約100μm未満の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有し、触媒フィルムを含む。また他の実施形態では、金属箔は、約100μm超の厚さ、及び約250nm未満の表面の二乗平均平方根粗さを有し、触媒フィルムを含む。上記の実施形態のいくつかでは、二乗平均平方根粗さは、約100nm未満である。
【0040】
一部の実施形態では、基板は、上記の方法のステップを通して0.1cm/分超の速度で連続的に前進する。他の実施形態では、基板は、上記の方法のステップを通して0.05cm/分超の速度で連続的に前進する。また他の実施形態では、基板は、上記の方法のステップを通して0.01cm/分超の速度で連続的に前進する。また他の実施形態では、基板を、堆積ステップ、形成ステップ、分離ステップ及び収集ステップを通して10回超、50回、1,000回超又は100,0000回超循環させる。
【0041】
一部の実施形態では、基板は、約1cmより幅が広い。他の実施形態では、基板は、1m超、10m超、100m超、1,000m超又は10,000m超の長さを有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、基板は、金属箔である。
【0042】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、基板の全ての側面上で形成される。他の実施形態では、カーボンナノチューブは、金属箔の両方の側面上で形成される。
【0043】
一部の実施形態では、基板上に堆積された触媒の濃度は、約0.001%~約25%である。他の実施形態では、基板上に堆積された触媒の濃度は、約0.1%~約1%である。また他の実施形態では、基板上に堆積された触媒の濃度は、約0.5%~約20%である。
【0044】
一部の実施形態では、基板上のカーボンナノチューブの濃度は、1μm当たり約1のナノチューブから1μm当たり約50のナノチューブある。他の実施形態では、基板上のカーボンナノチューブの濃度は、1μm当たり約10のナノチューブから1μm当たり約500のナノチューブである。
【0045】
一部の実施形態では、CNTは、基板の表面からのCNTの機械的な取り出しによって基板から分離される。他の実施形態では、基板からのCNTの分離は、機械的ツール(例えば、ブレード、摩耗表面など)で基板の表面からCNTを取り出すことが関与し、このように、金属不純物が殆どないか又は金属不純物がない高純度CNTを生じさせ、これは任意のさらなる精製を必要としない。また他の実施形態では、基板からのCNTの分離は、基板へのCNTの接着を乱す化学的方法が関与する。また他の実施形態では、超音波処理は、基板へのCNTの接着を乱す。また他の実施形態では、加圧ガス流は、基板へのCNTの接着を乱す。基板上にCNTを堆積させること及び基板からCNTを分離することの組合せは、触媒及びアモルファス炭素不純物が非含有な均一な長さのCNT生成物を提供する。
【0046】
CNTは、任意の好都合な物体、例えば、開放容器、ワイヤーメッシュスクリーン、固体表面、濾過装置などの中、又はこれらの上で収集することができる。収集装置の選択は、基板へのCNTの接着を乱すために使用される方法と相関する。
【0047】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、ランダムに整列している。他の実施形態では、カーボンナノチューブは、垂直に整列している。また他の実施形態では、均一な長さは、平均して約50μm、約100μm、約150μm又は約200μmである。また他の実施形態では、均一な長さは、50μmから2cmの範囲であり得る。一般に、均一な長さは、記述された長さの約+/-10%である。したがって、約100μmの均一な長さを有する試料は、90μm~110μmの長さのナノチューブを含む。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、垂直に整列しており、均一な長さのものである。
【0048】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブの密度は、約2mg/cm2~約1mg/cm2である。他の実施形態では、カーボンナノチューブの密度は、約2mg/cm2~約0.2mg/cm2である。
【0049】
一部の実施形態では、垂直に整列しているカーボンナノチューブは、約50W/mK超の熱伝導性を有する。他の実施形態では、垂直に整列しているカーボンナノチューブは、約70W/mK超の熱伝導性を有する。
【0050】
一部の実施形態では、垂直に整列しているカーボンナノチューブの厚さは、約100μm~約500μmである。他の実施形態では、垂直に整列しているカーボンナノチューブの厚さは、約100μm未満である。
【0051】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、90%超、95%超、99%超、99.5%超又は99.9%超の純度のものである。他の実施形態では、カーボンナノチューブは、90%超、95%超、99%超、99.5%超又は99.9%超の純度のものであり、約50μm、約100μm、約150μm又は約200μmの均一な長さのものである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブは、垂直に整列している、90%超、95%超、99%超、99.5%超又は99.9%超の純度のものであり、約50μm、約100μm、約150μm又は約200μmの均一な長さのものである。
【0052】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約11GPa~約63GPaである。他の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約20GPa~約63GPaである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約30GPa~約63GPaである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約40GPa~約63GPaである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約50GPa~約63GPaである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブの引張強度は、約20GPa~約45GPaである。
【0053】
一部の実施形態では、カーボンナノチューブの弾性率は、約1.3TPa~約5TPaである。他の実施形態では、カーボンナノチューブの弾性率は、約1.7TPa~約2.5TPaである。また他の実施形態では、カーボンナノチューブの弾性率は、約2.7TPa~約3.8TPaである。
【0054】
ここで
図5を参照すると、CNTを連続的に合成するための装置を提供する。輸送モジュールは、基板506によって接続されているドラム501A及び501Bを含む。基板506は、触媒モジュール502、ナノチューブ合成モジュール503及び分離モジュール504を通して、ドラム501Aからドラム501Bへと連続的に動く。未処理の基板506Aは、触媒モジュール502によって修正され、触媒を含む基板506Bを提供することに留意されたい。一部の実施形態では、触媒モジュール502は、その中で基板506Aが浸漬される触媒の溶液である。カーボンナノチューブは、移行の間にナノチューブ合成モジュール503を通して基板506B上に連続的に形成され、カーボンナノチューブを含む基板506Cを生じさせる。一部の実施形態では、ナノチューブ合成モジュール503は、CVDチャンバーである。基板506Cは、分離モジュール504によって連続的に処理され、付着したカーボンナノチューブを取り除かれ、基板506Aが得られ、これは次いで、ドラム501Bに収集される。一部の実施形態では、分離モジュール504は、基板506Cからの新たに形成されたCNTを機械的に剪断するブレードを含む。基板506Cから取り出されたカーボンナノチューブは、収集モジュール505においてプロセス506Dによって連続的に収集されることに留意されたい。一部の実施形態では、収集モジュール505は、分離モジュール504によって基板表面から分離されたCNTを収集するために適切に位置している、単純に空の容器である。上記の実施形態では、基板506は、生成工程の間に再循環されない。
【0055】
ここで
図6を参照すると、CNTを連続的に合成するための別の装置を、模式的に例示する。輸送モジュールは、基板606によって接続されているドラム601A及び601Bを含む。基板606は、触媒モジュール602、ナノチューブ合成モジュール603及び分離モジュール604を通して、ドラム601Aからドラム601Bへと連続的に動く。未処理の基板606Aは、触媒モジュール602によって修正され、触媒を含有する基板606Bを提供することに留意されたい。一部の実施形態では、触媒モジュール502は、その中で基板606Aが浸漬される触媒の溶液である。カーボンナノチューブは、移行の間にナノチューブ合成モジュール603を通して基板606B上に連続的に形成され、基板506Cを生じさせる。一部の実施形態では、ナノチューブ合成モジュール603は、CVDチャンバーである。基板606Cは、分離モジュール604によって連続的に処理され、付着したカーボンナノチューブを取り除かれ、基板606Aが得られ、これは次いで、ドラム601Bに収集される。一部の実施形態では、分離モジュール604は、基板606Cからの新たに形成されたCNTを機械的に剪断するブレードを含む。基板606Cから取り出されたカーボンナノチューブは、収集モジュール605においてプロセス606Dによって連続的に収集されることを留意されたい。一部の実施形態では、収集モジュール605は、分離モジュール604によって基板表面から分離されたCNTを収集するために適切に位置している、単純に空の容器である。上記の実施形態では、基板は、生成工程を通して少なくとも一度再循環される。
【0056】
上記の実施形態の多くはナノチューブを連続的に合成することを記載してきたが、本明細書に記載されている方法及び装置は、非連続的に実行し得ることを当業者は認識する。
【0057】
図7は、例示的な分離モジュールを模式的に例示する。ドラム704は、触媒モジュール(図示せず)及びカーボンナノチューブ堆積モジュール(図示せず)によって処理されてきており、且つカーボンナノチューブでカバーされている基板701を、ツール700へと前進させ、これは、カーボンナノチューブ702を取り出し、カーボンナノチューブを欠いている基板703を提供する。一部の実施形態では、ツール700は、切断ブレードである。基板703は、ドラム705によって収集される。カーボンナノチューブ702は、容器706中に収集される。基板701は、例示するように、1つの側面上のみがカーボンナノチューブでコーティングされている。ナノチューブは、基板の両方の側面上で成長させることができ、且つ両方の側面がコーティングされている基板は上記のものと類似の様式で処理することができることを当業者は認識する。
【0058】
図8は、例示的な長方形の石英チャンバー800の水平図を例示し、これは、触媒を含有する複数の基板801を含むナノチューブ合成モジュールにおいて使用し得る。
図9は、例示的な長方形の石英チャンバー900の斜視図を例示し、これは、触媒を含有する複数の基板901を含むナノチューブ合成モジュールにおいて使用し得る。石英チャンバーは、キャリアガス及び炭素供給原料のためのシャワーヘッド(図示せず)を含み、CNTを形成させるのに十分な温度にて加熱し得る。一部の実施形態では、チャンバーは、0.2インチ超の内側チャンバー厚さを有する。他の実施形態では、基板は、チャンバーによって同時に処理される。
【0059】
CNTは、例えば、ラマン分光法、UV分光法、可視分光法、近赤外分光法、蛍光X線光電子分光法、熱重量分析、原子間力顕微鏡法、走査トンネル顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法及びトンネル電子顕微鏡法を含めた多数の技術によって特性決定することができる。上記の全部ではないが、多くの組合せは、カーボンナノチューブを十分に特性決定するのに十分である。
【0060】
CNT用途のいくつかの例は、CNTと金属又は金属合金とを混合してより強く及びより軽い防弾チョッキを提供すること、CNTとプラスチック及び/又はポリマーとを混合して様々な産業において多くの適用可能性を有する熱伝導性及び/又は電気伝導性のプラスチック及び/又はポリマーを提供すること、CNTをタイヤに加えてタイヤのタイヤ寿命を増加させること、CNTとアスファルト、コンクリート、金属、プラスチック又はこれらの組合せとを混合して材料の機械的亀裂を防止又は最小化するより高い性能及び耐久性(例えば、優れた抗摩耗特徴、改善された機械的強度など)の複合材料を提供すること、並びにCNTとコーティング材料及び潤滑剤とを混合してコーティング及び/又は滑らかにされている設備及び構造の寿命を増加させることを含む。CNTは、加えて、機械的用途、建設材料、リチウムイオンバッテリー、潤滑剤添加物、マイクロエレクトロニクス、超コンデンサー、電解コンデンサー、太陽電池、センサー、織物、タッチスクリーンディスプレイ、導線、様々な医療用途(例えば、薬物送達、人工埋植物、保存剤、ナノプローブ、がん療法、遺伝子送達、生体イメージングバイオセンサーなど)において、及びインクとして使用し得る。
【0061】
CNTの質、特に、CNTの純度及び構造的均一性、例えば、長さは、高い性能及び優れた質のCNT含有生成物を一貫して提供する製造秩序に極めて重要である。多くの他の使用、例えば、CNTを利用し、且つ潜在的な商業化を最大化する優れた質のCNT及び低減した価格を必要とする医薬品用途及び生物学的用途。
【0062】
最終的に、本発明を実行する代替方法が存在することに留意すべきである。したがって、本実施形態は、例示的なものであり、限定されるものではないと考えられ、本発明は本明細書において示した詳細には限定されないが、添付の特許請求の範囲及び同等物内で修正し得る。
【0063】
本明細書において引用した全ての公開資料及び特許は、その全体が参照により組み込まれている。
【0064】
下記の実施例は、例示の目的のみのために提供し、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0065】
実施例1:多重壁のCNTの熱重量分析
CNTの炭素純度及び熱安定性を、熱重量分析器(TGA)であるTA instruments、Q500を使用して試験した。試料を、空気雰囲気(Praxair AI NDK)下にて温度から900℃まで10℃/分の速度で加熱し、900℃にて10分間保持し、その後、冷却した。炭素純度は、(全ての炭素質材料の重量)/(全ての炭素質材料の重量+触媒の重量)として定義される。屈曲点は、熱分解がその最大値に達する温度である。開始点は、材料の約10%が高温によって分解する温度である。
図10は、本明細書に記載されている方法及び装置によって作製された多重壁のカーボンナノチューブについての熱安定性データを例示する。本明細書において作製された多重壁のカーボンナノチューブは、5~8つの壁及び10μm~200μmのカスタマイズ可能な長さを伴って約5nmの内径を有する。400℃未満の領域は、乏しい耐熱性を有するアモルファス炭素及び炭素質材料が分解した場所である。グラフから見ることができるように、本明細書に記載されている方法及び装置によって作製された多重壁のカーボンナノチューブ中にアモルファス炭素及び炭素質材料は殆ど存在しない。屈曲点は、721℃であり、開始点は、644℃であり、炭素純度は、99.4%超である。対照的に、NC7000(図示せず)、市販のCNTにおいて、屈曲点は、643℃であり、開始点は、583℃であり、炭素純度は、90%である。
【0066】
実施例2:多重壁のCNTのラマン分析
10mgのCNTを、約100mLのメタノールに懸濁し、黒っぽい溶液を形成させた。次いで、このように得られた懸濁液を約10分間超音波処理し、CNTの薄層がラマンスペクトルのために必要とされるため、懸濁液にCNTを均一に分散させた。次いで、懸濁液をSi基板上に広げ、薄層を形成させた。次いで、コーティングされたSi基板を、オーブン中に130℃にて10分間入れ、試料から分散化剤を蒸発させた。次いで、ラマンスペクトルを、532nmのレーザー放射、50sの積分、10×対物レンズ及び24mWのレーザーを伴うThermos Nicolet Dispersive XRラマン顕微鏡で記録した。D及びGバンド強度の比は、CNTの構造的完全性を検証する診断手段として使用されることが多い。
【0067】
図11は、本明細書に記載されている方法及び装置によって作製された多重壁のカーボンナノチューブ(実線)及び市販のNC7000(破線)のラマンスペクトルを例示する。本明細書に記載されている方法及び装置によって作製された多重壁のカーボンナノチューブのId/IG及びIG/IG’比は、それぞれ、0.76及び0.44であり、一方、NC7000についての同じ比は、それぞれ、1.27及び0.4である。上記は、他の方法によって生成されたものを超えた、本明細書に記載されている方法及び装置によって作製された多重壁のカーボンナノチューブのより大きな結晶化度を示し、熱安定性データと合致する。