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特許7284151ポリ(アリールエーテルスルホン)と、ポリ(アリールエーテルケトン)と、少なくとも1つのポリフェニレンスルフィドと、ガラス繊維とを含むガラス充填ポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ポリ(アリールエーテルスルホン)と、ポリ(アリールエーテルケトン)と、少なくとも1つのポリフェニレンスルフィドと、ガラス繊維とを含むガラス充填ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 81/06 20060101AFI20230523BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20230523BHJP
   C08L 81/02 20060101ALI20230523BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C08L81/06
C08L71/10
C08L81/02
C08K7/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020511898
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073052
(87)【国際公開番号】W WO2019042949
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】62/550,816
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17207184.7
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シェンパー, ビアンカ サディコフ
(72)【発明者】
【氏名】シア, チーチアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォード, クリストファー
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-172954(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102330(WO,A1)
【文献】特表2015-502441(JP,A)
【文献】特表2016-501927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、
- 25~59重量%の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)と;
少なくとも1重量%かつ20重量%未満の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と;
- 20~35重量%の少なくとも1つのポリフェニルスルフィド(PPS)と;
- 5~50重量%のガラス繊維と
を含むポリマー組成物(C1)。
【請求項2】
1~15重量%の少なくとも1つのPAEKを含む、請求項1に記載のポリマー組成物(C1)であって、前記PAEKがポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)であるポリマー組成物(C1)。
【請求項3】
前記PAEKが、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として、式(J-A):
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
j’は、各R’について、独立して、0~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位(RPEEK)を含むポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)である、請求項1又は2に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項4】
前記PEEKが、少なくとも50モル%の式(J-A)の繰り返し単位(RPEEK)を含む、請求項3に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項5】
前記PAESが少なくとも1つのポリスルホン(PSU)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項6】
前記PSUが、少なくとも60モル%の式(L):
(式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムから独立して選択され;
hは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位(RPSU)を含み、前記モル%が、ポリマー中の総モル数を基準とする、請求項5に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項7】
PPSが、少なくとも約50モル%の式(U):
(式中、
- Rは、ハロゲン、C~C12アルキル基、C~C24アルキルアリール基、C~C24アラルキル基、C~C24アリーレン基、C~C12アルコキシ基、及びC~C18アリールオキシ基からなる群から独立して選択され、
- iは、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位(RPPS)を含み、前記モル%が、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項8】
紫外線安定剤、熱安定剤、酸捕捉剤(すなわち、酸化亜鉛、酸化マグネシウム)、酸化防止剤、顔料、加工助剤、滑剤、難燃剤、及び/又は導電性添加剤(すなわち、カーボンブラック及びカーボンナノフィブリル)からなる群から選択される1つ以上の追加の添加剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C1)を含む物品。
【請求項10】
パイプ、管継手、多岐管、弁、医療機器又は機器の部品、医療用ケース又はトレイ、航空機インテリアコンポーネント、調理器具、実験動物ケージ、実験装置、及び電子デバイスの構造部品からなる群から選択される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)とガラス繊維とを含むポリマー組成物(C2)のフローエンハンサーとしての少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と少なくとも1つのポリフェニルスルフィド(PPS)とのブレンドの使用。
【請求項12】
前記PAESが、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)及びポリエーテルスルホン(PES)からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記PAEKがポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)である、請求項11又は12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月28日出願の米国仮特許出願第62/550,816号に対する、及び2017年12月14日出願の欧州特許出願第17207184.7号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、高性能ポリマー組成物及びそれらから製造された物品に関する。特に、本発明は、少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)と、少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と、少なくとも1つのポリフェニレンスルフィド(PPS)と、ガラス繊維とを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
高い溶融流動性を有するポリマー組成物は、多くの用途及び製造技術において有利である。例えば、熱可塑性連続繊維(ガラス、炭素、アラミド)複合材料において及びだからより粘性の高いポリマーが適さない付加製造法において、薄肉部品を有する造形物品の射出成形のために、高い溶融流動性ポリマーが必要である。いくつかのそのような用途、例えば、携帯型電子デバイス用の構造部品において、10mm未満、5mm未満、3mm未満、又は更に1mm未満の厚さを有する薄肉構造体を製造することが必要である場合がある。さらに、溶融フィラメント製造(FFF)及び選択的レーザー焼結(SLS)などの付加製造法において、印刷プロセスでのポリマーの連続層の十分な堆積及び延展のために、高い溶融流動性が必須である。
【0004】
ポリスルホン(PSU)は、180℃超のガラス転移温度(Tg)を有する高温非晶質熱可塑性樹脂である。PSUは、Union Carbide Corporationによって1965年に商業的に導入され、次の化学構造:
を示す。
PSUは、今日では、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.からUdel(登録商標)PSUとして入手可能である。
【0005】
ガラス充填ポリスルホン組成物は、それらの有益な機械的特性、とりわけ、約-100℃~150℃の範囲の温度にわたっての強度、剛性及び耐衝撃性のために、配管、商用航空機インテリア、調理器具、電線絶縁材及び食品サービス物品などの、多くの用途に使用されている。
【0006】
多くの有益な特性にもかかわらず、このポリマーの機械的性能を損なうことなく、とりわけ強化充填材を含む場合に、より低い溶融粘度を有するPSU組成物の必要性が依然として存在する。
【0007】
本発明は、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、例えばPSU、PPSU又はPESを、主ポリマー成分として、並びに2つの他の芳香族ポリマー、すなわち、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)及びポリフェニレンスルフィド(PPS)を含むガラス充填ポリマー組成物を指向する。
【0008】
幾つかの文献が、有益な特性を有する、三成分ポリマーブレンドでできた組成物を記載している。
【0009】
国際公開第01/09248 A1号パンフレット(Solvay)は、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)と、ポリ(エーテルスルホン)(PES)とポリスルホン(PSU)とを含む三成分樹脂ブレンドを記載している。この三成分ブレンドから製造された物品は、応力亀裂なしに繰り返して蒸気滅菌することができ、それを例えば医療用途において有用にする良好な耐化学薬品性を有する。
【0010】
国際公開第2013/092628 A1号パンフレット(Solvay)は、ASTM D2343に従って測定されるように少なくとも76GPaの弾性率を有する、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)と、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)と、ポリスルホン(PSU)とガラス繊維とを含む別の三成分ポリマーブレンドに関する。ポリマー組成物は、配管及びエレクトロニクスのような様々な分野で有用な物品の製造に非常に好適である。
【0011】
国際公開第2016/102330 A1号パンフレット(Solvay)は、少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と、少なくとも1つのポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)と、少なくとも1つのポリエーテルスルホン(PES)ポリマーと、少なくとも1つの強化充填材とを含む組成物に関する。この三成分組成物は、強度及び靱性などの改善された機械的特性を有する低溶融粘度ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)組成物を有する。
【0012】
しかしながら、これらの文献のどれも、組成物を、とりわけ薄肉部品を有する造形品の射出成形に又は付加製造に好適にする、PAESポリマーの機械的性能を損なうことなく、高い溶融流動性を有する、PAES(主ポリマー成分としての)と、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)とポリフェニレンスルフィド(PPS)とを含むガラス充填ポリマー組成物を記載していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、
- 25~59重量%の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、例えば1つのポリスルホン(PSU)と;
- 1~35重量%の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、例えば1~15重量%の少なくとも1つのPAEKであって、PAEKが好ましくはポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)であるPAEKと;
- 20~35重量%の少なくとも1つのポリフェニルスルフィド(PPS)と;
- 5~50重量%のガラス繊維と
を含むポリマー組成物(C1)に関する。
【0014】
本発明はまた、パイプ、管継手、多岐管、弁、医療機器又は機器の部品、医療用ケース又はトレイ、航空機インテリアコンポーネント、調理器具、実験動物ケージ、実験装置、及び電子デバイスの構造部品からなる群から例えば選択される、ポリマー組成物(C1)を含む物品に関する。
【0015】
本発明は、最後に、少なくとも1つのポリスルホン(PSU)とガラス繊維とを含むポリマー組成物(C2)のフローエンハンサーとしての少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と少なくとも1つのポリフェニルスルフィド(PPS)とのブレンドの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、
- 25~59重量%の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)と;
- 1~35重量%の少なくとも1つのポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)と;
- 20~35重量%の少なくとも1つのポリフェニルスルフィド(PPS)と;
- 5~50重量%のガラス繊維と
を含むポリマー組成物(C1)が本明細書に記載される。
【0017】
本発明のポリマー組成物は、少なくとも3つのポリマーとガラス繊維とを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、例えば、3、4又は5つのポリマーとガラス繊維とから本質的になってもよい。
【0018】
本発明のポリマー組成物は、PSUとガラス繊維とを含む組成物又は2つのポリマー(例えばPSU+PEEK若しくはPSU+PPS)を含む組成物と比較して高い溶融流動性を有する。本ポリマー組成物はまた、PSUとガラス繊維とを含む組成物と比較して改善された引張強さ、引張伸び及びノッチなし耐衝撃性を有する。
【0019】
本出願において:
- いずれの記載も、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本発明の他の実施形態に適用可能であり、及びそれらと交換可能であり、
- 要素若しくは成分が、列挙された要素若しくは成分のリストに含まれる及び/又はリストから選択されると言われる場合、本出願で明示的に企図される関連実施形態において、要素若しくは成分はまた、個別の列挙された要素若しくは成分のいずれか1つであることができ、又はまた、明示的にリストアップされた要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群から選択することもでき;要素若しくは成分のリストに列挙されたいかなる要素若しくは成分も、そのようなリストから省略され得ることが理解されるべきである。
- 端点による数値範囲の本明細書でのいずれの列挙も、列挙された範囲内に包含される全ての数、並びに範囲の端点及び同等物を含む。
【0020】
ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)
本発明のポリマー組成物は、少なくとも1つのPAESを含む。
【0021】
本発明の目的のためには、「ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)」は、繰り返し単位の少なくとも50モル%が、式(K):
[式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
hは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数であり;
Tは、結合、スルホン基[-S(=O)2-]、及び基-C(R)(R)-(ここで、互いに等しいか又は異なる、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムから選択される)からなる群から選択される]
の繰り返し単位(RPAES)である任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0022】
Tは、好ましくは、結合、スルホン基又は基-C(R)(R)-(式中、R及びRは好ましくはメチル基である)である。
【0023】
本発明のある実施形態によれば、PAES中の繰り返し単位の少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、繰り返し単位(RPAES)である。
【0024】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも10重量%、例えば少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも40重量%の量でPAESを含んでもよい。
【0025】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、55重量%未満、例えば53重量%未満、51重量%未満、49重量%未満、47重量%未満、45重量%未満、又は43重量%未満の量でPAESを含んでもよい。
【0026】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、27~53重量%、例えば30~50重量%、32~48重量%又は34~46重量%の範囲の量でPSUを含んでもよい。
【0027】
1つの好ましい実施形態において、PAESポリマーはポリスルホン(PSU)である。
【0028】
本発明の目的のためには、ポリスルホン(PSU)は、少なくとも50モル%の式(L):
(式中、
Rは、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムから独立して選択され;
hは、各Rについて、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位(RPSU)を含む任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の総モル数を基準とする。
【0029】
式(L)によれば、繰り返し単位(RPSU)の各芳香環は、1~4個のラジカル基Rを含有してもよい。hが0である場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基Rも含有しない。
【0030】
ある実施形態によれば、各Rは、上の式(L)中での各位置において、1つ若しくは2つ以上のヘテロ原子;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン並びに第四級アンモニウム基を任意選択的に含む、C1~C12部分からなる群から独立して選択される。
【0031】
ある実施形態によれば、hは、各Rについてゼロである。言い換えれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(RPSU)は、式(L’):
の単位である。
【0032】
本発明のある実施形態によれば、PSU中の繰り返し単位の少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(L)及び/又は(L’)の繰り返し単位(RPSU)である。
【0033】
本開示の別の実施形態によれば、ポリスルホン(PSU)は、式(L’’):
の繰り返し単位(RPSU)である少なくとも50モル%(モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする)の繰り返し単位を含む任意のポリマーを意味する。
【0034】
本開示のある実施形態によれば、PSU中の繰り返し単位の少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(L’’)の繰り返し単位(RPSU)である。
【0035】
本発明のPSUポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。PSUポリマーがコポリマーである場合、それは、ランダム、交互又はブロックコポリマーであり得る。
【0036】
ポリスルホン(PSU)がコポリマーである場合、それは、式(M)、(N)及び/又は(O):
の繰り返し単位などの、繰り返し単位(RPSU)とは異なる及びそれらに加えて、繰り返し単位(R*PSU)を含むことができる。
【0037】
PSUは、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.からUdel(登録商標)PSUとして入手可能である。
【0038】
PSUの重量平均分子量Mwは、30,000~80,000g/モル、例えば、35,000~75,000g/モル又は40,000~70,000g/モルであってもよい。
【0039】
PSUの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を使って、移動相として塩化メチレンを使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(Agilent Technologies製の2×5μ混合Dカラム(ガードカラム付き);流量:1.5mL/分;注入量:20μLの0.2w/v%サンプル溶液)によって測定することができる。
【0040】
より正確には、重量平均分子量(Mw)は、移動相として塩化メチレンを使用する、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。実験の部において、以下の方法が用いられた:Agilent Technologies製の2つの5μ混合Dカラム(ガードカラム付き)が分離のために使用された。254nmの紫外線検出器が、クロマトグラムを得るために使用された。1.5mL/分の流量及び移動相中の20μLの0.2w/v%溶液の注入量が選択された。較正は、12の狭分子量ポリスチレン標準(ピーク分子量範囲:371,000~580g/モル)を使って行った。重量平均分子量(Mw)が報告された。
【0041】
ポリスルホンポリマーは、様々な方法によって製造することができる。例えば、米国特許 第4,108,837号明細書及び同第4,175,175号明細書は、ポリアリールエーテル、特にポリアリールエーテルスルホンの調製を記載している。幾つかの1段階及び2段階プロセスが、これらの特許に記載されており、これらの特許は、それらの全体を参照により本明細書に援用される。これらのプロセスにおいて、二価フェノールの二重アルカリ金属塩が、実質的に無水の条件下にスルホン又はスルホキシド溶媒の存在下でジハロベンゼン化合物と反応させられる。2段階プロセスにおいて、二価フェノールが、先ず、アルカリ金属又はアルカリ金属化合物との反応によってスルホン又はスルホキシド溶媒の存在下で、その場で、アルカリ金属塩誘導体に変換される。PSU製造の場合には、出発モノマーは、ビスフェノールA及び4,4’-ジハロジフェニルスルホン、典型的には4,4’-ジクロロジフェニルスルホンである。ビスフェノールAは、先ず、ビスフェノールAの二ナトリウム塩を生成するために1:2の化学量論モル比で、水酸化ナトリウム、NaOHのような塩基と反応させることによって二アルカリ金属塩誘導体に変換されられる。ビスフェノールAのこの二ナトリウム塩は、次に、ポリマーを生成するために第2段階の間において4,4’-ジクロロジフェニルスルホンと反応させられる。塩化ナトリウム塩が、重合の副産物として生成する。
【0042】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも25重量%、例えば少なくとも27重量%、少なくとも29重量%、少なくとも31重量%、少なくとも33重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも37重量%の量でPSUを含んでもよい。
【0043】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、55重量%未満、例えば53重量%未満、51重量%未満、49重量%未満、47重量%未満、45重量%未満、又は43重量%の量でPSUを含んでもよい。
【0044】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、27~53重量%、例えば30~50重量%、32~48重量%又は34~46重量%の範囲の量でPSUを含んでもよい。
【0045】
1つの他の実施形態において、PAESは、ポリフェニルスルホン(PPSU)である。
【0046】
本明細書において、ポリフェニルスルホン(PPSU)は、少なくとも50モル%の式(M):
の繰り返し単位(RPPSU)を含む任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0047】
本開示のある実施形態によれば、PSU中の繰り返し単位の少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全ては、式(M)の繰り返し単位(RPPSU)である。
【0048】
PPSUは、公知の方法によって調製することができ、とりわけSolvay Specialty Polymers USA,L.L.C.からRADEL(登録商標)PPSUとして入手可能である。
【0049】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも25重量%、例えば少なくとも27重量%、少なくとも29重量%、少なくとも31重量%、少なくとも33重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも37重量%の量でPPSUを含む。
【0050】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、55重量%未満、例えば53重量%未満、51重量%未満、49重量%未満、47重量%未満、45重量%未満、又は43重量%未満の量でPPSUを含んでもよい。
【0051】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、27~53重量%、例えば30~50重量%、32~48重量%又は34~46重量%の範囲の量でPPSUを含んでもよい。
【0052】
1つの別の実施形態において、PAESは、ポリエーテルスルホン(PES)である。
【0053】
本明細書において、ポリエーテルスルホン(PES)は、少なくとも50モル%の式(O):
の繰り返し単位(RPES)を含む任意のポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0054】
本開示のある実施形態によれば、PES中の繰り返し単位の少なくとも60モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(O)の繰り返し単位(RPES)である。
【0055】
PESは、公知の方法によって調製することができ、とりわけSolvay Specialty Polymers USA,L.L.C.からVERADEL(登録商標)PESUとして入手可能である。
【0056】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも25重量%、例えば少なくとも27重量%、少なくとも29重量%、少なくとも31重量%、少なくとも33重量%、少なくとも35重量%、又は少なくとも37重量%の量でPESを含んでもよい。
【0057】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、55重量%未満、例えば53重量%未満、51重量%未満、49重量%未満、47重量%未満、45重量%未満、又は43重量%未満の量でPESを含んでもよい。
【0058】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、27~53重量%、例えば30~50重量%、32~48重量%又は34~46重量%の範囲の量でPESを含んでもよい。
【0059】
ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)
本発明のポリマー組成物は、少なくとも1つのPAEKを含む。
【0060】
本明細書において、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)は、Ar’-C(=O)-Ar*基(式中、互いに等しいか又は異なる、Ar’及びAr*は、芳香族基であり、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする)を含む繰り返し単位(RPAEK)を含む任意のポリマーを意味する。繰り返し単位(RPAEK)は、下の式(J-A)~式(J-D):
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
j’は、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の単位からなる群から選択される。
【0061】
繰り返し単位(RPAEK)において、それぞれのフェニレン部分は、独立して、繰り返し単位(RPAEK)中でR’とは異なる他の部分に1,2-、1,4-又は1,3-結合を有してもよい。好ましくは、フェニレン部分は、1,3-又は1,4-結合、より好ましくは、それらは、1,4-結合を有する。
【0062】
繰り返し単位(RPAEK)において、フェニレン部分がポリマーの主鎖を連結するもの以外の他の置換基を全く有さないように、j’は、好ましくは各位置でゼロである。
【0063】
ある実施形態によれば、PAEKは、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)である。
【0064】
本明細書において、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として、式(J-A):
の繰り返し単位(RPEEK)を含む任意のポリマーを意味する。
[式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
J’は、各R’について、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数(例えば、1、2、3、又は4)である]
【0065】
式(J-A)によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各芳香環は、1~4つのラジカル基R’を含有してもよい。j’が0である場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基R’も含有しない。
【0066】
繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、互いに独立して、他のフェニレン部分への1,2-、1,3-又は1,4-結合を有してもよい。ある実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、互いに独立して、他のフェニレン部分への1,3-又は1,4-結合を有する。その上別の実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、他のフェニレン部分への1,4-結合を有する。
【0067】
ある実施形態によれば、R’は、上の式(J-A)中での各位置において、任意選択的に1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含む、C1~C12部分;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0068】
ある実施形態によれば、j’は、各R’についてゼロである。言い換えれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)は、式(J’-A):
に従う。
【0069】
本開示のある実施形態によれば、PAEK中の繰り返し単位の少なくとも10モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも20モル%、少なくとも30モル%、少なくとも40モル%、少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(J-A)及び/又は(J’-A)の繰り返し単位(RPEEK)である。
【0070】
本開示の別の実施形態によれば、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)は、式(J-A’’):
の繰り返し単位(RPEEK)である少なくとも10モル%(モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする)の繰り返し単位を含む任意のポリマーを意味する。
【0071】
本開示のある実施形態によれば、PEEK中の繰り返し単位の少なくとも10モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、少なくとも20モル%、少なくとも30モル%、少なくとも40モル%、少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(J’’-A)の繰り返し単位(RPEEK)である。
【0072】
本開示のPEEKポリマーは、それ故、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。PEEKポリマーがコポリマーである場合、それは、ランダム、交互又はブロックコポリマーであり得る。
【0073】
PEEKがコポリマーである場合、それは、式(J-D):
の繰り返し単位などの、繰り返し単位(RPEEK)とは異なる及びそれらに加えて、繰り返し単位(R*PEEK)から製造することができる。
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
j’は、各R’について、独立して、ゼロ又は1~4の整数である)
【0074】
式(J-)によれば、繰り返し単位(R*PEEK)の各芳香環は、1~4つのラジカル基R’を含有してもよい。j’が0である場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基R’も含有しない。
【0075】
ある実施形態によれば、R’は、上の式(J-)中での各位置において、任意選択的に1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含む、C1~C12部分;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0076】
ある実施形態によれば、j’は、各R’についてゼロである。言い換えれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(R*PEEK)は、式(J’-D):
に従う。
【0077】
本開示の別の実施形態によれば、繰り返し単位(R*PEEK)は、式(J’’-D):
に従う。
【0078】
本開示のある実施形態によれば、PEEK中の繰り返し単位の90モル%未満 (ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準として)、80モル%未満、70モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、40モル%未満、30モル%未満、20モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満又は全てが、式(J-B)、(J’-B)、及び/又は(J’’-B)の繰り返し単位(R*PEEK)である。
【0079】
ある実施形態によれば、PEEKポリマーは、PEEK-PEDEKコポリマーである。本明細書において、PEEK-PEDEKコポリマーは、式(J-A)、(J’-A)及び/又は(J’’-A)の繰り返し単位(RPEEK)と、式(J-B)、(J’-B)又は(J’’-B)の繰り返し単位(R*PEEK)(本明細書では繰り返し単位(RPEDEK))とも呼ばれる)とを含むポリマーを意味する。PEEK-PEDEKコポリマーは、95/5~5/95、90/10~10/90、又は85/15~15/85の範囲の繰り返し単位の相対モル比(RPEEK/RPEDEK)を含み得る。繰り返し単位(RPEEK)と(RPEDEK)との合計は、例えば、PEEKコポリマー中の繰り返し単位の、少なくとも60モル%、70モル%、80モル%、90モル%、95モル%、99モル%を表すことができる。繰り返し単位(RPEEK)と(RPEDEK)との合計はまた、PEEKコポリマー中の繰り返し単位の100モル%を表すことができる。
【0080】
欠陥、末端基及びモノマーの不純物は、ポリマー組成物(C1)中のポリマーの性能に望ましくない影響を与えることなく、本開示のポリマー(PEEK)に非常にわずかな量で組み込まれてもよい。
【0081】
PEEKは、Solvay Specialty Polymers USA,LLCからKetaSpire(登録商標)PEEKとして商業的に入手可能である。
【0082】
PEEKは、当該技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。それは、例えば、塩基の存在下での4,4’-ジフルオロベンゾフェノンとヒドロキノンとの縮合から生じることができる。モノマー単位の反応器は、求核性芳香族置換によって起こる。分子量(例えば、重量平均分子量Mw)は、モノマーのモル比の調整、及び重合の収率の尺度(例えば、反応混合物を撹拌するインペラーのトルクの尺度)であり得る。
【0083】
本開示の一実施形態によれば、PEEKポリマーは、(ポリスチレン標準を使って、160℃でフェノール及びトリクロロベンゼン(1:1)を使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるように)75,000~100,000g/モル、例えば77,000~98,000g/モル、79,000~96,000g/モル、81,000~95,000g/モル、又は85,000~94,500g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0084】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも1重量%、例えば少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも3重量%、少なくとも3.5重量%、又は少なくとも4重量%の量でPEEKを含む。
【0085】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、35重量%未満、例えば30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、13重量%未満、又は11重量%未満の量でPEEKを含む。
【0086】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、1~15重量%、例えば1.5~14重量%、2~13重量%又は2.5~12重量%の範囲の量でPEEKを含む。
【0087】
別の実施形態において、PAEKは、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)である。
【0088】
本明細書において、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)は、50モル%超の式(J-B)及び(J-B):
(式中、
及びRは、各場合に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
i及びjは、各場合に、0~4の範囲の独立して選択される整数である)
の繰り返し単位を含むポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0089】
ある実施形態によれば、R及びRは、上の式(J-B)及び(J-B)中での各位置において、任意選択的に1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含む、C1~C12部分;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0090】
別の実施形態によれば、i及びjは、各R及びR基についてゼロである。この実施形態によれば、PEKKポリマーは、少なくとも50モル%の式(J’-B)及び(J’-B):
の繰り返し単位を含み、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0091】
本開示のある実施形態によれば、PEKKポリマー中の繰り返し単位の少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(J-B)及び(J-B)の繰り返し単位である。
【0092】
本開示の一実施形態によれば、PEKKポリマーにおいて、繰り返し単位(J-B)又は/及び(J’-B)対繰り返し単位(J-B)又は/及び(J’-B)のモル比は、少なくとも1:1~5.7:1、例えば、少なくとも1.2:1~4:1、少なくとも1.4:1~3:1又は少なくとも1.4:1~1.86:1である。
【0093】
PEKKポリマーは、好ましくは、濃HSO(最小96重量%)中の0.5重量/体積%溶液に関して30℃でASTM D2857に従って測定されるように、1グラム当たり少なくとも0.50デシリットル(dL/g)、例えば、少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g、及び例えば最大でも1.50dL/g、最大でも1.40dL/g、又は最大でも1.30dL/gの固有粘度を有する。
【0094】
ポリフェニレンスルフィド(PPS)
ポリマー組成物(C1)は、ポリフェニレンスルフィドポリマー(PPS)を含む。
【0095】
その最も広い定義において、本発明のPPSは、置換及び/又は非置換のフェニレンスルフィド基から製造することができる。
【0096】
本発明によれば、PPSポリマーは、少なくとも50モル%の式(U):
(式中、
Rは、ハロゲン、C~C12アルキル基、C~C24アルキルアリール基、C~C24アラルキル基、C~C24アリーレン基、C~C12アルコキシ基、及びC~C18アリールオキシ基からなる群から独立して選択され、
iは、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位(RPPS)を含む任意のポリマーを意味する(モル%は、PPSポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする)。
【0097】
式(U)によれば、繰り返し単位(RPPS)の芳香環は、1~4つのラジカル基Rを含有してもよい。iがゼロである場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基Rも含有しない。
【0098】
本発明のある実施形態によれば、PPSポリマーは、iがゼロである、少なくとも50モル%の式(U’):
の繰り返し単位(RPPS)を含む任意のポリマーを意味する。
【0099】
本発明のある実施形態によれば、PPSポリマーは、PPS中の繰り返し単位の少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%が、式(U)又は(U’)の繰り返し単位(RPPS)であるようなものである。モル%は、PPSポリマー中の繰り返し単位の総モル数を基準とする。
【0100】
本発明のある実施形態によれば、PPSポリマーは、繰り返し単位の100モル%が、式(U)又は(U’)の繰り返し単位(RPPS)であるようなものである。この実施形態によれば、PPSポリマーは、式(U)又は(U’)の繰り返し単位(RPPS)から本質的になる。
【0101】
PPSは、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから商品名Ryton(登録商標)PPSで商業的に入手可能である。
【0102】
PPSのメルトフローレイト(ASTM D1238、手順Bに従って5kgの重量下で316℃での)は、50~400g/10分、例えば60~300g/10分又は70~200g/10分であってもよい。
【0103】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも26重量%、又は少なくとも28重量%の量でPPSを含む。
【0104】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、35重量%未満、例えば33重量%未満、31重量%未満、29重量%未満、27重量%未満、25重量%未満、又は23重量%未満の量でPPSを含む。
【0105】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、20~32重量%、例えば21~30重量%、22~28重量%又は23~27重量%の範囲の量でPPSを含む。
【0106】
ガラス繊維
ポリマー組成物(C1)はまた、ガラス繊維を含む。ガラス繊維は、異なるタイプのガラスを生み出すために調整することができる幾つかの金属酸化物を含有するシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態でのシリカであり;カルシウム、ナトリウム及びアルミニウムの酸化物などの、他の酸化物が、溶融温度を低下させ、結晶化を妨げるために組み込まれる。ガラス繊維は、円形横断面又は、卵形、楕円形又は長方形などの、非円形横断面(いわゆる「扁平ガラス繊維」)を有し得る。ガラス繊維は、エンドレス繊維として又はチョップドガラス繊維として添加されてもよいが、チョップドガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、一般に、5~20μm、好ましくは5~15μm、より好ましくは5~10μmの直径を有する。
【0107】
ある実施形態によれば、ポリマー組成物(C1)は、E-ガラス繊維を含む。
【0108】
ある実施形態によれば、ポリマー組成物(C1)は、ASTM D2343に従って測定されるように少なくとも76、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも82GPaの弾性率(引張弾性率とも呼ばれる)を有する高モジュラスガラス繊維を含む。
【0109】
ある実施形態によれば、ポリマー組成物(C1)は、R、S及びTガラス繊維からなる群から選択される高モジュラスガラス繊維を含む。それらは、とりわけ、Fiberglass and Glass Technology,Wallenberger,Frederick T.;Bingham,Paul A.(Eds.),2010,XIVに記載されている。R、S及びTガラス繊維は、ケイ素、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物から本質的に構成される。特に、R、S及びTガラス繊維は、典型的には、62~75重量%のSiO、16~28重量%のAl及び5~14重量%のMgOを含む。さらに、R、S及びTガラス繊維は、一般に、10重量%未満のCaOを含む。
【0110】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも26重量%、又は少なくとも28重量%の量でガラス繊維を含む。
【0111】
ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、50重量%未満、例えば46重量%未満、42重量%未満、40重量%未満、38重量%未満、36重量%未満、又は34重量%未満の量でガラス繊維を含む。
【0112】
好ましくは、ポリマー組成物(C1)は、ポリマー組成物(C1)の総重量を基準として、10~45重量%、例えば15~40重量%、20~35重量%又は25~33重量%の範囲の量でガラス繊維を含む。
【0113】
任意選択的な成分
ポリマー組成物(C1)は、任意選択的に、紫外線安定剤、熱安定剤、酸捕捉剤(すなわち、酸化亜鉛、酸化マグネシウム)、酸化防止剤、顔料、加工助剤、滑剤、難燃剤、及び/又は導電性添加剤(すなわち、カーボンブラック及びカーボンナノフィブリル)からなる群から選択される1つ以上の追加の添加剤をさらに含んでもよい。
【0114】
ポリマー組成物(C1)はまた、PSU、PEEK及びPPS以外の他のポリマーをさらに含んでもよい。特に、ポリマー組成物(C1)は、ポリ(ビフェニルエーテルスルホン)(PPSU)、ポリ(エーテルスルホン)(PES)及び/又はポリカーボネート(PC)などのポリマーをさらに含んでもよい。
【0115】
ポリマー組成物(C1)は、ハロゲン及びハロゲン不含難燃剤などの難燃剤をさらに含んでもよい。
【0116】
ポリマー組成物(C1)の製造方法
例示的な実施形態はまた、ポリマー組成物(C1)の製造方法を含む。
【0117】
ポリマー組成物(C1)は、当業者に周知の方法により製造することができる。例えば、そのような方法には、溶融混合プロセスが含まれるが、それらに限定されない。溶融混合プロセスは、典型的には、熱可塑性ポリマーの溶融温度よりも上にポリマー成分を加熱し、それにより熱可塑性ポリマーの溶融物を形成することによって実施される。いくつかの実施形態において、処理温度は、約280~450℃、好ましくは約290~440℃、約300~430℃又は約310~420℃の範囲である。好適な溶融混合装置は、例えば、ニーダ、バンバリー(Banbury)ミキサー、一軸スクリュー押出機、及び二軸スクリュー押出機である。好ましくは、所望の成分を全て押出機に、押出機の供給口か溶融物かのいずれかに投与するための手段を備えた押出機が使用される。部品材料の調製プロセスにおいて、ポリマー組成物の成分、例えばPSU、PEEK、PPS、ガラス繊維、及び任意選択的な添加剤が、溶融混合装置に供給され、その装置内で溶融混合される。成分は、乾燥ブレンドとしても知られる、粉末混合物又は顆粒ミキサーとして同時に供給されてもよいし、又は別々に供給されてもよい。
【0118】
溶融混合中に成分を組み合わせる順序は、特に限定されない。一実施形態において、成分は、所望量の各成分が一緒に添加され、続いて混合されるような、単一バッチで混合することができる。他の実施形態において、最初のサブセットの成分を最初に一緒に混合することができ、1つ若しくは複数の残りの成分を、さらなる混合のために混合物に添加することができる。明確にするために、各成分の全所望量が単一量として混合される必要はない。例えば、1つ若しくは複数の成分について、一部の量を最初に添加し、混合し、続いて、残りのいくらか又は全てを添加し、混合することができる。
【0119】
造形品及び製造方法
例示的な実施形態はまた、上記のポリマー組成物を含む造形品及び造形品の製造方法を含む。
【0120】
ポリマー組成物は、多種多様な用途に有用な物品の製造に好適であり得る。例えば、ポリマー組成物の高流動性、靭性、及び耐薬品特性は、ポリマー組成物を、薄肉物品、携帯型電子デバイス用の構造部品(例えば、骨組み又はハウジング)、熱可塑性連続繊維複合材料(例えば航空及び自動車の構造部品用の)、医療用インプラント及び医療用デバイス、並びに以下に考察されるような付加製造法によって製造される造形品での使用にとりわけ好適にする。
【0121】
いくつかの態様において、造形品は、射出成形、押出成形、回転成形、又はブロー成形などの、任意の好適な溶融加工方法を用いてポリマー組成物から製造され得る。
【0122】
例示的な実施形態はまた、造形品がポリマー組成物から印刷される、付加製造による造形品の製造方法を指向する。本方法は、以下に記載されるようにポリマー組成物から造形品の層を印刷することを含む。
【0123】
付加製造システムは、1つ以上の付加製造技術によって造形体のデジタル表現から造形体を印刷する又はその他の方法で構築するために使用される。商業的に利用可能な付加製造技術の例としては、押出ベースの技術、選択的レーザー焼結、粉末/バインダー噴射、電子ビーム溶融、及びステレオリソグラフィプロセスが挙げられる。これらの技術のそれぞれについて、造形体のデジタル表現が、最初に、水平多層へとスライスされる。各層について、工具経路が次に生み出され、それが、所与の層を印刷するように特定の付加製造システムに命令を与える。
【0124】
例えば、押出ベースの付加製造システムにおいて、造形品は、ポリマー組成物のストリップを押し出し、隣接させることによって層ごとに造形品のデジタル表現から印刷され得る。ポリマー組成物は、システムの印刷ヘッドにより運ばれる押出先端部を通して押し出され、x-y面での圧盤上に一連の道として堆積される。押し出された材料は、前に堆積された材料と融合し、冷えるにつれて固化する。基材に対する印刷ヘッドの位置は、z軸(x-y面に垂直の)に沿って次に増分され、このプロセスが繰り返されて、デジタル表現に類似する造形品を形成する。押出ベースの付加製造システムの例は、溶融フィラメント製造(FFF)である。
【0125】
別の例として、粉末ベースの付加製造システムにおいて、レーザーが、粉末を局部的に焼結させて固体部品にするために用いられる。造形品は、粉末の層を順次堆積し、引き続き画像をその層上へ焼結させるためのレーザパターンによって生み出される。粉末ベースの付加製造システムの例は、選択的レーザー焼結(SLS)である。
【0126】
別の例として、炭素繊維複合材料造形品は、連続繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)印刷法を用いて調製することができる。この方法は、熱溶解積層法(FDM)に基づいており、繊維と樹脂との組み合わせを印刷する。
【0127】
ポリマー組成物(C1)の流動性は、例えばポリマーが印刷ノズルから容易に流れなければならない、及び冷却前に一様な表面を生じるために迅速に且つ均一に広がらなければならない付加製造用途で特に重要であり;しかしながら、印刷のために必要とされる流動性が、結果として生じる印刷された物体中の樹脂の機械的特性を有意に損なわないこともまた重要である。上に考察されたように、例えば、PSUと、PEEKとPPSとを含むガラス充填ポリマー組成物(C1)は、PSU単独、又はPSUとPEとのブレンドと比べて、機械的特性を損なうことなく溶融粘度の低下を示し、そのようなポリマー組成物を、例えば、携帯型電子デバイス用の構造部品などの、用途、並びに選択的レーザー焼結(SLS)及び溶融フィラメント製造(FFF)などの付加製造法に特に好適にする。
【0128】
したがって、いくつかの実施形態は、押出ベースの付加製造システム(例えばFFF)、粉末ベースの付加製造システム(例えばSLS)、又は連続繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)印刷法によって造形品を形成するためにポリマー組成物の層を印刷することを含む造形品の製造方法を含む。
【0129】
いくつかの実施形態は、ポリマー組成物(C1)を含むフィラメントを含む。好ましくは、フィラメントは、FFFなどの、上記のような付加製造法での使用に好適である。
【0130】
用語「フィラメント」は、ポリマー組成物を含む糸様の物体又は繊維を言う。フィラメントは、円筒形の又は実質的に円筒形の形状を有していてもよいし、又はリボン形状のフィラメントなどの、非円筒形状を有していてもよい。フィラメントは、中空であってもよいし、又は異なるポリマー組成物がコアかシェルかのいずれかを構成する状態で、コア-シェル形状を有していてもよい。
【0131】
フィラメントが円筒形状を有する場合、繊維横断面の直径は、好ましくは、0.5~5mm、好ましくは0.8~4mm、好ましくは1mm~3.5mmの範囲である。フィラメントの直径は、具体的なFFF 3Dプリンターに供給するために選択することができる。FFFプロセスで広く用いられるフィラメント直径の例は、約1.75mm又は約2.85mmである。フィラメントは、好ましくは、ポリマー組成物を押し出すことによって製造される。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、電子顕微鏡法により測定されるように、1~200μm、好ましくは10~100μm、好ましくは20~80μmの範囲の平均径を例えば有する、微粒子又は粉末の形態にある。
【0133】
例示的な実施形態はまた、上記のポリマー組成物を使用して上記の付加製造法によって、少なくともある程度は、製造された造形品を含む。そのような造形品は、埋め込み可能な医療用デバイス、歯科人工装具、並びに航空宇宙産業及び自動車産業におけるブラケット及び複雑な造形部品などの様々な最終用途において使用することができる。
【0134】
フローエンハンサー
ある実施形態によれば、PAEK及びPPSが、本発明の少なくとも1つのポリスルホン(PSU)とガラス繊維とを含むポリマー組成物(C1)のフローエンハンサーとして使用される。フローエンハンサーは、好ましくは、所与の温度で組成物のメルトフロー粘度を効果的に低下させる物質である。本発明において、PAEK及びPPSは、フローエンハンサーとして使用され、少なくとも1つのポリスルホン(PSU)とガラス繊維とを含むポリマー組成物(C1)の動的粘度を下げるのに十分な量で提供される。PAEK及びPPSは、少なくとも1つのポリスルホン(PSU)とガラス繊維とを含むポリマー組成物にと比べて、少なくとも20%、例えば少なくとも25%だけ溶融流動性を増加させるのに十分な量で例えば提供される。PAEK及びPPSは、例えば、組成物の総重量を基準として、6重量%~55重量%、例えば10重量%~50重量%の量で提供される。
【0135】
例示的な実施形態が下記の非限定的な実施例でこれから説明される。
【0136】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0137】
溶融粘度及び機械的特性への影響を、様々な二成分及び三成分ポリマーブレンドについて評価した。
【0138】
出発原料
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.製のUDEL(登録商標)PSU P-1700
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.製のKETASPIRE(登録商標)PEEK KT-880
Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.製のRYTON(登録商標)PPS QA-250N
Owens-Corning Vetrotex製のOCV910AチョップドE-繊維ガラス
【0139】
PSU/PEEK/PPS/ガラス繊維ポリマー組成物の配合プロセスの概要
各調合物を、48:1のL/D比を有する26mm直径Coperion(登録商標)ZSK-26共回転部分噛合二軸スクリュー押出機を用いて溶融配合した。バレル区域2~12及びダイを次の通りの設定点温度に加熱した:バレル2~6:350℃;バレル7~12:360℃;ダイ:360℃。
【0140】
各場合において、樹脂ブレンドを、30~35ポンド/時の範囲の押出量で重量測定フィーダーを用いてバレル区域1で供給した。押出機を約200RPMのスクリュー速度で運転した。真空を約27インチの水銀の真空レベルでバレルゾーン10に適用した。単一孔ダイをコンパウンドの全てについて用いて直径約2.6~2.7mmのフィラメントを生じさせ、ダイを出るポリマーフィラメントを水中で冷却し、ペレタイザーに供給して長さ約2.7mmのペレットを生成した。ペレットを、射出成形する前に乾燥させた。
【0141】
レオロジー特性及び機械的特性の評価
機械的特性は、タイプI引張試験片からなる射出成形した0.125インチ(3.2mm)厚さのASTM試験検体を使用して調合物の全てについて試験した。下記のASTM試験方法を、調合物の機械的特性を評価する際に用いた:
溶融粘度(350℃、5kg):ASTM D3835
引張特性:ASTM D638
アイゾット(Izod)ノッチなし耐衝撃性(ノッチなし):ASTM D256
【0142】
実験結果
【0143】
【0144】
ガラス充填PSUへの5重量%のPEEKの添加(C2)は、溶融流動性の低下をもたらし、機械的特性はそれ故測定しなかった。ガラス充填PPSへの5重量%のPEEKの添加(C3)は、引張伸びを犠牲にして高流動性二成分組成物をもたらし、脆いコンパウンドにつながる。
【0145】
実施例1及び2の三成分組成物は、同じ含有量のPEEKで、相乗効果が得られ、溶融流動性及び機械的部分を含む全ての特性を最大にすることができることを実証する。
【0146】
【0147】
ガラス充填PSUへの10重量%のPEEKの添加(C4)は、ガラス充填PSU(組成物C1)と比較して低すぎる溶融流動性をもたらし、機械的特性はそれ故測定しなかった。
【0148】
ガラス充填PPSへの10重量%のPEEKの添加(C5)は、ガラス充填PSU(組成物C1)と比較して溶融流動性の増加をもたらし、機械的特性はそれ故測定しなかった。
実施例7及び8の組成物は、溶融流動性の、及び同じく引張強さの改善を可能にする。