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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/12 20060101AFI20230523BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A62C37/12
B05B1/18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020528695
(86)(22)【出願日】2019-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2019016949
(87)【国際公開番号】W WO2020008707
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2018128127
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小岩 康明
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-080961(JP,A)
【文献】米国特許第04616710(US,A)
【文献】実公昭15-006137(JP,Y1)
【文献】特開平10-024121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126950(US,A1)
【文献】特開2012-040165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管と接続されたノズルを内部に備えた本体と、
円盤状であり縁部から中心向かって線状に欠如された複数のスリットを有しており前記ノズルの中心軸に交差して設置されたデフレクターと、
前記本体と前記デフレクターとを連結する支持部材と、
を備えたスプリンクラーヘッドであり、
前記デフレクターの中心を起点として前記支持部材の位置から90度回転した方向に円弧状の第1凸部が設置されており、前記第1凸部の両隣には円弧状の第1スリットが設置され、一方の前記第1スリットから前記第1凸部、他方の前記第1スリットまでの形状が波型であり、前記ノズルから放出された水を前記第1凸部の縁から放射方向に飛散し、
前記第1凸部と、前記第1スリットに隣接した第2凸部は、前記デフレクターの外周径よりも内側に設置され
前記第1凸部の幅は、前記デフレクターの外周側から前記デフレクターの中心側に向かって拡がっており、
前記第2凸部は、その先端の角が丸みを帯びた円弧状であることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項2】
前記支持部材は、一端が前記デフレクターに設置され他端には前記本体との係合部を有するピンと、前記本体に設置されており前記ピンが摺動可能に挿通されている穴とから構成されている請求項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項3】
前記第1スリットの円弧端と、前記第2凸部に隣接する第2スリットの円弧端は同じ円周上に接している請求項1または請求項2記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項4】
前記ノズルの中心軸と交差しており前記デフレクター平面に沿った直線上に2つの前記ピンが設置されており、前記ピンは前記デフレクターの外周径よりも外側に延出された第3凸部に設置されている請求項1~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項5】
前記第3凸部の両隣には、前記直線に沿って第4凸部が設置され、前記第4凸部の先端と前記第3凸部の先端は前記直線と垂直に交わる一つの直線上にある請求項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項6】
前記第3凸部の先端は前記第4凸部の平面よりも前記ノズルから離れる方向に屈曲された段が設置されている請求項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項7】
前記第3凸部と前記第4凸部の間の第3スリットは前記デフレクター平面に沿った直線に対して傾いて設置されおり、前記第3凸部は先端に向かうに従って幅が細くなっている請求項または請求項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項8】
前記第4凸部に隣接した第4スリットと前記第1スリット、前記第2スリットの円弧端は同じ円周上に接している請求項~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項9】
前記スプリンクラーヘッドは、前記ノズルを閉塞する弁が設置され、通常は前記弁を支持しており火災の熱によって作動する感熱分解部が前記本体に設置されている請求項~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項10】
前記スプリンクラーヘッドは筒部材を有しており、前記筒部材の内側に前記本体が配置され、前記筒部材の一端は前記本体に取付られており、他端は筒状のリテーナーとの接続構造を有する請求項1~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項11】
前記リテーナーには熱により分離されるカバープレートが設置されている請求項1~請求項10の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項12】
前記デフレクターの外周円と前記第2スリットの円弧端が接する円との半径差から、前記第2凸部の長さを差し引いた寸法は、前記第2凸部の長さと略同じか、前記第2凸部の長さよりも大きい請求項記載のスプリンクラーヘッド。
【請求項13】
前記デフレクターの中心には、前記ノズルの方向に突出したボタンが設置されており、前記スリットの円弧端及び第1スリットの円弧端が前記ボタンの周縁と離間している請求項1~請求項12の何れか1項記載のスプリンクラーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用のスプリンクラーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラーヘッドは、天井や壁面に設置され、火災の際に作動して水を散布し消火を行うものである。スプリンクラーヘッドの一例として、作動時にデフレクターが天井から室内側に突出して水を散布するものがある。
【0003】
上記のスプリンクラーヘッドは、複数の支柱で吊設されたデフレクターが、平時は円筒形のフレーム内に収納されている。火災が発生すると分解部分が分解して、該分解部分で支えていたデフレクターが一定距離だけ落下して停止し、本体の放水口から噴出してきた水がこのデフレクターに当たって四方に散布される。
【0004】
一方アメリカでは、スプリンクラーヘッドの設置や施工の基準がthe National Fire Protection Association standardsによりNFPA 13として定められおり、建物の用途に応じたスプリンクラー設備の設計および設置のための基準が定められている。住宅用スプリンクラー設備の基準はNFPA 13D、13Rがある。また住宅用スプリンクラーヘッドの基準としてUnderwriters Laboratories(UL LLC)によりUL 1626が規定されている。
【0005】
特許文献1のスプリンクラーヘッドは上記の住宅用スプリンクラーヘッドであり、該スプリンクラーヘッドは、デフレクターを吊設するピンが本体の外部に設置されている。図7に示すようにデフレクター5の外形は略円形をしているが、ピン5Cが設置された箇所の凸部H1は外方に延出した形状となっている。
【0006】
デフレクター5の縁には複数のスリット5Aが設置されており、スリット5Aの形状(長さ、幅、角度、等)によって散水パターンをコントロールしている。一般的にスリット5Aを設置した方向ではスプリンクラーヘッドの直下や近距離領域の床面の散水量が多くなる傾向にあり、2つのスリット5A、5Aの間に形成された凸部の方向おいては、スプリンクラーヘッドから離れた遠距離領域の床面の散水量が多くなる傾向がある。
【0007】
住宅用スプリンクラーヘッドは、床面への散水に加えて壁面にも散水を行うようにUL 1626に定められている。壁面への散水の条件の一つとして、壁面の濡れが天井面から床面に向かって所定の距離以下を濡らさなければならない事が規定されている。
【0008】
そのため、床面だけでなく壁面にもある程度の水が向かうようにスリットや凸部の形状を構成しているが、ピンが設置された位置からデフレクターの中心を起点に90度回転した方向にはピンのような散水の妨げとなるものが無く、水が飛び過ぎる傾向があった。
【0009】
また、散水しているスプリンクラーヘッドの周囲に設置されているスプリンクラーヘッドは、散水によって感熱分解部が水で冷やされると作動が遅れるおそれがある。このため、周囲に設置されているスプリンクラーヘッドを濡らさないように水平よりも下方に向けて水を飛散させなければならないが、前述の壁面の濡れ条件も満たさなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2012-80961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、壁面を適度に濡らすことができ、周囲のスプリンクラーヘッドの作動に影響を及ぼさない散水パターンが得られるスプリンクラーヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は以下のスプリンクラーヘッドを提供する。
すなわち、給水配管と接続されたノズルを内部に備えた本体と、円盤状で縁部に複数のスリットを有しておりノズルの中心軸に交差して設置されたデフレクターと、本体とデフレクターとを連結する支持部材と、を備えたスプリンクラーヘッドであり、デフレクターの中心を起点として支持部材の位置から90度回転した方向に円弧状の第1凸部が設置されており、該凸部の両隣には円弧状の第1スリットが設置され、一方の第1スリットから第1凸部、他方の第1スリットまでの形状が波型であるスプリンクラーヘッドである。
【0013】
上記スプリンクラーヘッドにおいて、ノズルから放出されデフレクターに衝突して第1凸部に流れた水は第1凸部の縁から霧状の水が放射方向に飛散される。一方、第1スリットから飛散する水流はまとまった水流となり、このまとまった水流により周囲の空気が動いて気流が生じる。第1凸部から飛散した霧状の水は気流の影響を受けてスプリンクラーヘッドから離れた床面の遠距離領域や壁面まで到達する。
【0014】
第1凸部と、第1スリットに隣接した第2凸部は、デフレクターの外周径よりも内側に設置されており、ノズルから放出された水流は、その勢いを保った状態で第1スリットを通過してスプリンクラーヘッドの真下やその周囲の近距離領域に均一に散布される。これにより、床面の近距離領域と遠距離領域、壁面に対して必要な散水量が得られる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように本発明によれば、第1凸部から飛散する水が霧状となり、第1スリットのまとまった水流により発生する気流によって、霧状の水を壁面や遠距離方向に到達させることができる。これにより、周囲に設置されたスプリンクラーヘッドが被水することを抑制して作動に影響を及ぼさないようにしたスプリンクラーヘッドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のスプリンクラーヘッドの断面図。
図2】本体の斜視図。
図3図1に示す感熱分解部のIII-III断面図。
図4】デフレクターの要部拡大断面図。
図5図4のV-V断面図。
図6図5の要部拡大図。
図7】従来のデフレクターの平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明について図1図6を参照して説明する。本発明のスプリンクラーヘッドSは、本体1、弁体2、感熱分解部3、デフレクター4等から構成される。
【0018】
本体1は図1図2に示すように中空状であり内部にノズル11を有する。本体1の一端は給水配管Pと接続可能な牡ネジ12を有しており、他端には弁体2が設置されており常時ノズル11が閉塞されている。
【0019】
本体1の中間部分には外側に拡張した平面13を有している。平面13の外周部からノズル11の放水方向に向かって円筒状の周壁部14が設置されている。周壁部14の下端の内側には段部15が設置されており、段部15には感熱分解部3のレバー31、31が係合される。段部15には欠如部16、16を有しており、欠如部16は対向して設置されている。欠如部16から周壁部14の内部にレバー31、31を通過可能となっている。
【0020】
周壁部14の外周にはデフレクター4を吊設するための突起17が2箇所設置されている。突起17は欠如部16から離れて設置されており、図中において突起17は欠如部16から90度回転した位置に設置されている。突起17にはノズル11の中心軸10と平行に穿設された穴18を有している。穴18はテーパー穴となっており、ノズル11側の端の穴径のほうが大きく形成されている。
【0021】
周壁部14の外周には円筒形状をしたサポートカップ19が設置されており、サポートカップ19の内側に本体1が配置されている。サポートカップ19の上端面は平面13との係合面となっており、サポートカップ19は本体1に取付られている。サポートカップ19の下方にはカバープレート20が設置されており、図1に示すようにデフレクター4はカバープレート20に載置された状態にある。
【0022】
カバープレート20は円筒状のリテーナー20aの下端と低融点合金によって接合しており、火災の熱により低融点合金が溶融するとカバープレート20はリテーナー20aから分離して脱落する。リテーナー20aの上部はサポートカップ19の内側に挿通される。サポートカップ19の側面とリテーナー20aの側面は接続構造を有しており、リテーナー20aをサポートカップ19に係合可能となっている。
【0023】
弁体2は円盤形状をしており、前述のとおりノズル11の出口端を閉塞している。弁体2において
ノズル11側の面にはシール部材21が設置されている。本実施形態ではシール部材21としてフッ素樹脂シートを弁体2に貼付している。弁体2のシール部材21が設置された面と反対側の面の中央には半球型の突起を有している。該突起はコンプレッションスクリュー22の端と接しており、コンプレッションスクリュー22によって弁体2がノズル11の方向に押圧されている。
【0024】
弁体2と感熱分解部3の間にはコンプレッションスクリュー22とサドル23が設置されている。コンプレッションスクリュー22は外周に牡ネジ24が刻設されており、サドル23に設置された牝ネジ25と螺合している。サドル23は金属製であり矩形の平面を有している。該平面の中央には牝ネジ25が設置されている。図中においてサドル23の平面の両端は、下面が感熱分解部3のレバー31、31と接触している。これにより、段部15に係止されたレバー31、31とサドル23、コンプレッションスクリュー22によって弁体2はノズル11の出口端と接触した構成になる。この状態にてコンプレッションスクリュー22を回転させて、その先端を弁体2の方向に移動させると弁体2がノズル11の出口端に押圧される。
【0025】
このとき、コンプレッションスクリュー22を回転させても弁体2によりノズル11側への移動が妨げられるので、サドル23が図中下方に移動する。しかしながらサドル23の両端はレバー31、31と係合しており下方への移動が妨げられているため、サドル23の平面が弓状に湾曲して弾性変形され、牝ネジ25が設置された中央付近が下方に凹んで湾曲した状態となる。このためサドル23の両端に接しているレバー31、31にもサドル23の弾性による力が作用している。
【0026】
感熱分解部3は、前述の段部15に係合され通常時は弁2を支持しており、火災時には火災の熱によって分解作動して弁体2を解放する。感熱分解部3は、図3に示すように一対のレバー31、支持板32、バランサー33、シリンダー34、プランジャー35、低融点合金36、セットスクリュー37から構成される。感熱分解部3の構成は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0027】
感熱分解部3は図3に示すようなユニット部品として構成され、ユニット部品として保管、運搬が可能である。スプリンクラーヘッドSの組立時においても図3で示すユニット部品の状態で本体1に組み込まれる。
【0028】
デフレクター4は、円盤形状をしておりノズル11の中心軸10に対して垂直に交差している。図1においてデフレクター4は2本のピン41、41によって本体1に摺動可能に設置されている。より具体的には、ピン41が本体1の穴18に摺動可能に挿通されており、ピン41の下端がデフレクター4に固定設置されている。ピン41の上端は穴18との係合部42となっており、上端に向かうに従い拡径している。上記のピン41と本体の穴18は本体1とデフレクター4を連結する支持部材として機能する。
【0029】
図4および図5においてデフレクター4の中心にはノズル11の方向に突出したボタン43が設置されている。デフレクター4にはノズル中心軸10と交差しており、デフレクター4の平面に沿った直線L1上に2本のピン41、41が設置される。デフレクター4には縁部から中心に向かって線状に欠如されたスリットを複数有している。スリットはデフレクター4の中心側の端が円弧状をした円弧端となっている。また、一つのスリットと該スリットに隣接するスリットの間は凸部となっている。尚、図5に示すデフレクター4のスリット及び凸部の形状は直線L1に対して対称である。
【0030】
図5において、デフレクター4の中心(ノズル11の中心軸10と直線L1の交点)を起点としてピン41、41の位置から90度回転した方向に円弧状の第1凸部44が設置されている。第1凸部44の両隣には円弧状の第1スリット45、45が設置されている。より具体的には、一方の第1スリット45から第1凸部44を通過して他方の第1スリット45までのデフレクター4の外形は波型をしている。また第1凸部44と、第1スリット45に隣接した第2凸部46は、デフレクター4の外周円C1よりも内側に設置されている。
【0031】
上記構成において、第1凸部44と第2凸部46は周囲の凸部よりも短く形成され、一方の第1スリット45から他方の第1スリット45までの間は波型形状となっている。ノズル11から放出された水はボタン43に衝突してデフレクター4の外周に向かって流れ、波型をした第1凸部44から第2凸部46の方向へ流れた水の一部は、第1スリット55を通過してスプリンクラーヘッドSの直下やその周囲の近距離領域へ均一に散布される。このとき第1スリット45、45の方向(矢印Bの方向)にまとまった水流が生じる。
【0032】
一方、第1凸部44から飛散した水流は図6において第1凸部44の周囲に図示された矢印のように第1凸部44の縁から放射方向に飛散される。そのため矢印A方向の水流は霧状の水流となる。しかしながら第1スリット45、45の方向にまとまった水流が生じていることから、この水流によって生じる気流により矢印A方向に飛散した霧状の水流が遠くまで運ばれてA方向の延長上にある壁面を濡らす。第2凸部46の先端と、隣の第1スリット45および第2スリット47の間の角は、丸みを帯びた円弧状となっており、この円弧状の部分から飛散する水は第1凸部44の縁から飛散する水と同じように放射方向に飛散される。
【0033】
図6に示すように、第1凸部44の先端と第1スリットの円弧端までの距離aは、1~2mmにするのが好ましい。距離aが大きくなり過ぎると、矢印B方向への水流が増して矢印A方向への水流が減る傾向となる。
【0034】
第2凸部46の長さbは、それと隣接する凸部4aの長さよりも短い。凸部4aの長さから第2凸部46の長さbを差し引いた寸法cは、第2凸部46の長さと略同じか僅かに寸法cの方が長く構成されている。第2凸部46の長さbを調整することでデフレクター4の中心から第2凸部46に向かう方向(矢印Cの方向)への水流をコントロールできる。より具体的には、第2凸部46の長さbを短くすると矢印Cの方向に飛散する水流が矢印Bで示す水流の方に引き寄せられる傾向があり、矢印C方向の散水量が減少する。
【0035】
第3凸部48は直線L1上に配置されておりピン41が設置されている。ピン41はデフレクター4の外周円C1よりも外側に設置されており、また第3凸部48の先端はデフレクター4の外周円C1よりも外側に延出している。第3凸部48の両隣には、直線L1に沿って第4凸部49が設置され、第4凸部49の先端と第3凸部48の先端は直線L1と垂直に交わる直線L2上にある。
【0036】
第3凸部48の先端は第4凸部49の平面よりもノズル11から離れる方向に屈曲され、段50が設置されている。段50にはピン41の下端が挿通される穴が穿設されており、ピン41を該穴に挿通した後、ピン41を段50に固定設置する。第3凸部48上において段50の近傍に斜面51を有しており、斜面51はデフレクター4の外周円C1よりも外側に設置されている。
【0037】
第3凸部48と第4凸部49の間の第3スリット52は、直線L1に対して僅かに傾いて設置されている。このため第3凸部48は先端に向かうに従って幅が細くなっている。
【0038】
第4凸部49に隣接した第4スリット53と第1スリット45、第2スリット47の円弧端は、デフレクター4の外周円C1と同芯である円C2に接している。円C2はデフレクター4の外周円C1よりも小径である。
【0039】
ピン41が設置された直線L1の方向への水の飛距離はピン41が水の流れの妨げとなる。そのため第3凸部48と第4凸部49の先端はデフレクター4の外周円C1よりも外側に設けられ、ボタン43からピン41の方向に流れる水の滑走距離を長くして水流の勢いを増加させている。
【0040】
第3スリット52に到達した水は、第3スリットを通過して下方に流れるが、第3凸部48の表面を流れた水は斜面51に到達するまで水流の勢いを維持して滑走する。そのためL1方向の延長上に設けられた壁面を十分濡らす程度の流量を確保できる。
【0041】
以上、説明した本発明のスプリンクラーヘッドSの構成は上記に限定されるものではなく、例えば感熱分解部3としてグラスバルブやリンクを用いることができる。また、本体とデフレクターとを連結する支持部材を、本体からノズルの放水方向に延出したフレームアームとして構成することも可能であり、フレームアームの先端に本発明のデフレクターを設置してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 本体
2 弁体
3 感熱分解部
4 デフレクター
11 ノズル
41 ピン
43 ボタン
44 第1凸部
45 第1スリット
46 第2凸部
47 第2スリット
48 第3凸部
49 第4凸部
50 段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7