(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】バスバーと電線の接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 4/02 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
H01R4/02 C
(21)【出願番号】P 2021015542
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一馬
(72)【発明者】
【氏名】水野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 康弘
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-196832(JP,A)
【文献】特開2019-016535(JP,A)
【文献】国際公開第2021/002222(WO,A1)
【文献】特開2018-081757(JP,A)
【文献】特開2016-058137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0112109(US,A1)
【文献】国際公開第2018/116805(WO,A1)
【文献】特開2019-212458(JP,A)
【文献】特開2011-192638(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00-4/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子となるバスバーと、
前記バスバーと端末において絶縁被覆から露出した芯線が接合される電線と、
少なくとも前記バスバーと前記電線の芯線との接合部分を覆う保護部材と、
を備え、
前記芯線は、前記バスバーとの接合部に切削部を有
し、
前記切削部は、前記バスバーとの接合部分における接合方向側を切削してなる接合面と、前記接合面に垂直に形成された垂直面を有し、
前記垂直面と当該垂直面に対向する前記バスバーの端面との間に間隙が形成されている、バスバーと電線の接続構造。
【請求項2】
前記切削部の前記バスバーとの
前記接合面は、平坦な面に形成されている、請求項
1に記載のバスバーと電線の接続構造。
【請求項3】
前記バスバーと前記電線の芯線は、超音波溶接により接合されており、
前記バスバーと前記電線の芯線の接合部分は、絶縁性で筒状の前記保護部材で覆われて
いる、請求項1
又は2に記載のバスバーと電線の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続用の端子(外部端子)として機能するバスバーと電線の芯線(導体)とを接合して接続するバスバーと電線の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバスバーと電線の接続構造として、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載のバスバーと電線の接続構造は、バスバーの一部に形成した水平方向の平板上部からなる外部端子部分に、電線の端末より露出した芯線を超音波溶接等で溶接して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-227738号公報(
図5(A))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のバスバーと電線の接続構造では、例えば、バスバーの外部端子部分と電線の芯線との接合部分を絶縁性で筒状の保護部材で覆って保護した場合、バスバーと芯線とが段差状に接続されているため、無駄な空間ができ、構造全体が大型化する。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バスバーと電線の芯線の接合間にできる空間を最小限にすることができ、構造全体の小型化を図ることができるバスバーと電線の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るバスバーと電線の接続構造は、外部端子となるバスバーと、前記バスバーと端末において絶縁被覆から露出した芯線が接合される電線と、少なくとも前記バスバーと前記電線の芯線との接合部分を覆う保護部材と、を備え、前記芯線は、前記バスバーとの接合部に切削部を有するバスバーと電線の接続構造である。
【0007】
前記切削部は、前記バスバーとの接合部分における接合方向側を切削してなることが好ましい。
【0008】
前記切削部の前記バスバーとの接合面は、平坦な面に形成されていることが好ましい。
【0009】
前記バスバーと前記電線の芯線は、超音波溶接により接合されており、前記バスバーと前記電線の芯線の接合部分は、絶縁性で筒状の前記保護部材で覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バスバーと電線の芯線の接合間にできる空間を最小限にすることができ、構造全体の小型化を図ることができるバスバーと電線の接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るバスバーと電線の接続構造の一例を示す正面図である。
【
図3】上記バスバーと電線の接続構造の接合前の状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るバスバーと電線の接続構造について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態に係るバスバーと電線の接続構造の一例を示す正面図である。
図2は
図1中II-II線に沿う断面図である。
図3はバスバーと電線の接続構造の接合前の状態を示す分解斜視図である。
【0014】
図1、
図2に示すように、バスバーと電線の接続構造1は、外部端子となるバスバー10と、このバスバー10と端末において絶縁被覆21から露出した芯線22が接合される電線20と、バスバー10と芯線22との接合部分を覆う保護部材30と、を備えている。
【0015】
バスバー10は、導電性金属板を打ち抜き加工して形成されていて、外部接続用の端子(外部端子)として機能する。このバスバー10の上面11は、平坦な面に形成されていて、電線20の芯線22との接合面になっている。また、バスバー10の両側面12,12は上面11に対して直角な平坦な面に形成されていると共に、底面13は下側に円弧面状に突出した曲面に形成されている。さらに、バスバー10の前面14及び後面15も両側面12,12に対して直角な平坦な面に形成されている。なお、底面13は、上面11と平行な平坦な面に形成されていてもよい。
【0016】
図3に示すように、電線20は、その端部(端末)20aの絶縁被覆21を皮剥ぎして、芯線22を露出させている。この芯線22は、複数本の素線22aからなる導体であり、銅あるいは銅合金またはアルミニウムあるいはアルミニウム合金等の導電性材料によって形成されている。
【0017】
また、電線20の芯線22は、バスバー10との接合部2に切削部23を有する。この切削部23は、バスバー10との接合部分における接合方向X側を切削加工することで形成されている。この切削部23のバスバー10との接合面23aは、平坦な面に形成されている。そして、
図2に示すように、バスバー10と電線20の芯線22は、超音波溶接により接合されている。この超音波溶接による接合の際に、
図1、
図2に示すように、接合部2の芯線22は、バスバー10の上面11と同じ幅を有した四角柱状に圧縮されてバスバー10と接合される。また、保護部材30と切削部23の接合面23aに接合されたバスバー10の後面15と切削部23の垂直面23bとの間に空間Kを有する。なお、
図2中符号Xは接合方向(垂直方向)を示し、符号Yは芯線22の軸方向(水平方向)を示し、符号Zは前後方向を示す。
【0018】
保護部材30は、絶縁性の合成樹脂により硬性の円筒状に形成されており、少なくともバスバー10の前面14の前方側から電線20の端部20aにかけてバスバー10と電線20を覆うようになっている。この保護部材30がバスバー10と電線20の露出した芯線22を覆うことで、コネクタのハウジングとして機能する。なお、保護部材30と電線20の端部20aにゴム製で円環板状の防水栓を介在させることで、保護部材30内のシール性を高めることができる。
【0019】
以上実施形態のバスバーと電線の接続構造1によれば、
図2に示すように、電線20の芯線22に接続されるバスバー10は、芯線22の切削部23内に収まるため、垂直方向Xの厚みを抑えることができる。これにより、円筒状の保護部材30と切削部23の接合面23aに接合されたバスバー10の後面15と切削部23の垂直面23bとの間にできる空間Kを最小限にすることができ、バスバー10と電線20の接続構造1全体の小型化を図ることができる。
【0020】
また、芯線22の切削部23をバスバー10との接合部分における接合方向X側で切削し、その接合面23aを平坦な面に形成することで、バスバー10と電線20の芯線22を超音波溶接により接合する際に、簡単かつ確実に接合することができる。
【0021】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0022】
すなわち、前記実施形態によれば、バスバーと電線の芯線を超音波溶接により接合したが、バスバーと電線の芯線を電気抵抗溶接等により接合しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 バスバーと電線の接続構造
2 接合部
10 バスバー(外部端子)
20 電線
20a 端部(端末)
21 絶縁被覆
22 芯線
23 切削部(切削加工により形成)
23a 接合面
30 円筒状の保護部材(筒状の保護部材)
X 接合方向