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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/00 20060101AFI20230523BHJP
   H01H 25/06 20060101ALI20230523BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01H25/00 B
H01H25/06 A
B60R16/02 630
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021019345
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122182
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】根岸 茂穂
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 拓也
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299417(JP,A)
【文献】特開平11-096853(JP,A)
【文献】実開昭63-058437(JP,U)
【文献】実開昭63-080735(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00
H01H 25/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置であって、
前記操作部は、
基準位置において前記開閉操作が可能なよう構成されており、当該操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動すると共に、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰するよう構成されており、前記基準位置から前記他の位置に移動中に前記開閉操作しないよう構成されており、
さらに、前記移動操作により前記他の位置に移動する前後のそれぞれにおいて前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、それぞれ異なるウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付け、前記移動操作により前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、前記第一のウインドウに対して前記移動操作による移動方向に位置する第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により予め設定された方向にのみ直線移動可能なよう構成されている、
操作装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により車両の後方向にのみ移動可能なよう構成されている、
操作装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、車両の前方に位置する前記第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付け、前記移動操作により前記基準位置に対して車両の後方に位置する前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、車両の後方に位置する前記第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作が前記第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けられる状態において、車両の作動状態が予め設定された条件を満たす場合に、前記開閉操作を前記第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付ける、
操作装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作中に前記基準位置から前記他の位置に移動しないよう構成されている、
操作装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作の一つである当該操作部自体を下方に押し下げる操作を、ウインドウを開ける操作指令として受け付け、前記開閉操作の一つである当該操作部自体を上方に引き上げる操作を、ウインドウを閉じる操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
【請求項9】
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置によるウインドウ開閉制御方法であって、
前記操作部が基準位置において前記開閉操作されることにより所定のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動し、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰した後に、前記操作部が前記基準位置において前記開閉操作されることにより前記所定のウインドウとは異なる他のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部は、前記基準位置から前記他の位置に移動中に前記開閉操作しないよう構成されている、
ウインドウ開閉制御方法。
【請求項10】
請求項に記載のウインドウ開閉制御方法であって、
前記操作部が前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときに前記開閉操作されることにより第一のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部が前記移動操作により前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときに前記開閉操作されることにより、前記第一のウインドウに対して前記移動操作による移動方向に位置する第二のウインドウを開閉するよう制御する、
ウインドウ開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドウを操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたウインドウを操作する操作装置として、特許文献1,2に示す装置が知られている。特許文献1,2に示す操作装置は、いずれも運転席に設置される操作装置であり、運転席のウインドウのみならず、他の座席に設置されたウインドウに対する操作も可能なよう構成されている。
【0003】
具体的に、特許文献1に記載の操作装置は、2つのウインドウにそれぞれ対応する2つのアップ・ダウン操作子が設けられた操作盤を備えている。操作盤は、前後方向に沿って3つの位置に位置するよう構成されており、操作盤の側面に設けられた凸状の操作部を操作することで、その位置を移動させることができる。そして、操作盤が3つの位置のうち中間位置に位置する際には、2つのアップ・ダウン操作子はフロント側の2つのウインドウ(運転席側及び助手席側のもの)にそれぞれ対応する操作子となり、後位置に位置する際には、2つのアップ・ダウン操作子はリア側の2つのウインドウ(右後部席側及び左後部席側のもの)にそれぞれ対応する操作子となる。
【0004】
特許文献2に記載の操作装置は、複数方向にスライド移動可能であり、かつ、各スライド位置で押圧操作可能なスイッチボタンを備えている。このとき、各スライド位置は、それぞれ4つの座席(運転席、助手席、右後部席、左後部席)に対応している。このため、スイッチボタンが各スライド位置に位置する際には、その位置に対応したウインドウを操作するスイッチボタンとして機能することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭63-58437号公報
【文献】実開昭63-80735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した車両のウインドウを操作する操作装置では、さらなる操作性の向上を図ることができない、という問題が生じる。例えば、特許文献1に記載の操作装置では、操作盤の側面に設けられた凸状の操作部を操作すると共に、アップ・ダウン操作子を操作する必要があり、操作が複雑となり、操作性のさらなる向上を図ることができない。また、特許文献2に記載の操作装置では、操作者がスイッチボタンのスライド操作位置を目視して確認しつつ操作する必要があり、操作が容易ではなく、操作性のさらなる向上を図ることができない。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、車両のウインドウを操作する操作装置において操作性のさらなる向上を図ることができない、ということを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である操作装置は、
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置であって、
前記操作部は、
基準位置において前記開閉操作が可能なよう構成されており、当該操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動すると共に、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰するよう構成されており、
さらに、前記移動操作により前記他の位置に移動する前後のそれぞれにおいて前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、それぞれ異なるウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態であるウインドウ開閉制御方法は、
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置によるウインドウ開閉制御方法であって、
前記操作部が基準位置において前記開閉操作されることにより所定のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動し、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰した後に、前記操作部が前記基準位置において前記開閉操作されることにより前記所定のウインドウとは異なる他のウインドウを開閉するよう制御する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されることにより、車両のウインドウを操作する操作装置において操作性のさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における操作装置の構成を示す図である。
図2図1に開示した操作スイッチを含むウインドウを可動させるための構成の概略を示すブロック図である。
図3図1に開示した操作スイッチの動作を示す図である。
図4図1に開示した操作スイッチの動作を示す図である。
図5図1に開示した操作スイッチの動作を示す図である。
図6図1に開示した操作スイッチの動作を示す図である。
図7図1に開示した操作装置によるウインドウの開閉動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図2は、操作装置の構成を説明するための図であり、図3乃至図7は、操作装置の動作を説明するための図である。
【0013】
[構成]
本発明における操作装置は、車両である自動車のウインドウを開閉操作するためのものであり、例えば、座席のドアに設けられたアームレスト上に配置されている。特に、本実施形態における操作装置は、運転席のドアに設けられたアームレスト上に配置され、2つの操作スイッチ20,30(操作部)を備えており、4つの座席(運転席、助手席、運転席後席、助手席後席)のウインドウを開閉操作可能なものであることとする。但し、本発明の操作装置は、必ずしも運転席のドアに設けられていることに限定されず、他の座席のドアや、ドアに限らず車両内のいかなる場所に設けられていてもよい。また、本発明の操作装置は、必ずしも操作スイッチを2つ備えていることに限定されず、いかなる数の操作装置が設けられていてもよい。さらに、本発明の操作装置は、後述するように1つの操作スイッチにて2つの座席のウインドウを操作可能なよう構成されていることに限定されず、1つの操作スイッチにて3つ以上の座席のウインドウを開閉操作可能なよう構成されていてもよい。
【0014】
図1(1)は、本実施形態における操作装置を上方から見た図である。この図において、左方向が車両の前方であり、右方向が車両の後方であるとする。このため、操作装置付近に運転席ウインドウが位置し、操作装置よりも後方側に運転席後席ウインドウが位置することとなる。
【0015】
図1(1)に示すように、操作装置は、略矩形のカバー10が上面を覆っている。そして、操作装置は、中央付近から後方側に、ウインドウを開閉操作するための2つの操作スイッチ20,30を備えており、前方側に、ウインドウの開閉をロックするためのスイッチやドアをロックしたりロックを解除するためのスイッチなど、他のスイッチ41,42,43を備えている。本発明は、ウインドウを開閉操作する操作スイッチ20,30に特徴があるため、以下、操作スイッチ20,30の構成について詳しく説明する。
【0016】
図1(2)は、図1(1)の一部を側方から見た概略図であり、特に、符号20で示す操作スイッチ、及び、その付近のカバー10のみを図示したものである。この図に示すように、操作装置のカバー10の中央付近には、内部側に凹んだ凹部11が形成されており、かかる凹部11よりも後方側は切除されており、その切除箇所に操作スイッチ20が配置されている。また、カバー10の後方には、操作スイッチ20の後方側の上部を覆う上部カバー12が形成されている。
【0017】
操作スイッチ20は、略直方体形状に形成されており、上面が第一操作面21を形成しており、前方側の側面が第二操作面22を形成している。なお、操作スイッチ20の上面である第一操作面21には、前方側に幅方向に延びる凸部が形成されており、後述するように操作者が下方へ押す操作を行う際に、操作する指が係止される係止部となる。また、操作スイッチ20の前方側の側面である第二操作面22は、全体的に後方側に凹んだ凹面状に形成されており、後述するように操作者が上方へ引き上げるよう操作されたり、後方に向かって引くよう操作されることとなる。なお、操作スイッチ20は、後述するように何ら操作がなされていないときには、図1(1)(2)に示す「基準位置」に位置することとなる。また、上述した符号20で示す操作スイッチは、運転席ウインドウ及びその後方に位置する運転席後席ウインドウといった2つのウインドウを操作するものである。そして、もう1つの符号30に示す操作スイッチは、助手席ウインドウ及びその後方に位置する助手席後席ウインドウといった2つのウインドウを操作するものである。以下では、符号20の操作スイッチの構成を説明するが、符号30の操作スイッチの構成も同一であるため、その詳細な説明は省略する。なお、本実施形態で説明する操作装置は、ハンドルが右前方座席に位置する仕様の車両に搭載され、その運転席に配置されるものである場合を例示しているが、ハンドルが左前方座席に位置する仕様の車両に搭載されてもよい。その場合には、操作スイッチ20,30の配置が入れ替わることとなる。
【0018】
ここで、操作スイッチ20により操作される運転席ウインドウ71及び運転席後席ウインドウ72を可動するために車両に設けられた構成の概略を、図2のブロック図に示す。図2に示すように、操作スイッチ20は、カバー10の内部側において可動機構50に装着されて支持されており、かかる可動機構50により、後述する図3乃至図6に示すように可動することとなる。なお、可動機構50は、図1では図示を省略している。そして、可動機構50には検出部51が装備されており、かかる検出部51により、操作スイッチ20の操作による可動状態が検出されることとなる。また、検出部51によって検出された操作スイッチ20の可動状態は、車両に装備された制御装置60に通知される。制御装置60は、通知された操作スイッチ20の可動状態に応じて、運転席ウインドウ71及び運転席後席ウインドウ72のいずれに対する操作であるか、開閉のいずれの操作であるかを特定し、各ウインドウ71,72を開閉するよう制御する。
【0019】
具体的に、操作スイッチ20は、ウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能である。操作スイッチ20に対する開閉操作の一つであるウインドウを開ける操作として、図3(1)の矢印F1に示すような、操作スイッチ20の上面である第一操作面21を下方に押し下げる操作がある。操作スイッチ20は、操作者により第一操作面21を押し下げる操作F1が行われると、操作スイッチ20の一部が下方に下がるよう可動機構50により可動する。より具体的に、操作スイッチ20は、図3(1)の矢印A1に示すように、2点鎖線で示す基準位置から実線で示す開操作位置まで、操作スイッチ20自体の後方下部の所定位置を支点として、前方側の部位が下がるよう、可動機構50により回転可動することとなる。このとき、検出部51は、ウインドウを開ける操作がされたことを検出し、制御装置60は、ウインドウを開ける操作指令として受け付ける。そして、操作スイッチ20は、操作者による第一操作面21を押し下げる操作F1が解除されると、図3(2)の矢印A2に示すように、2点鎖線で示す開操作位置から実線で示す基準位置まで復帰するよう、可動機構50により回転可動することとなる。このとき、検出部51は、ウインドウを開ける操作が解除されたことを検出し、制御装置60は、ウインドウを開ける操作指令が停止したとして受け付ける。
【0020】
また、操作スイッチ20に対する開閉操作の一つであるウインドウを閉じる操作として、図4(1)の矢印F3に示すような、操作スイッチ20の前方側の側面である凹面で形成された第二操作面22を上方に引き上げる操作がある。操作スイッチ20は、操作者により第二操作面22を引き上げる操作F3が行われると、操作スイッチ20の一部が上方に上がるよう可動機構50により可動する。より具体的に、操作スイッチ20は、図4(1)の矢印A3に示すように、2点鎖線で示す基準位置から実線で示す閉操作位置まで、操作スイッチ20自体の後方下部の所定位置を支点として、前方側の部位が上がるよう、可動機構50により回転可動することとなる。このとき、検出部51は、ウインドウを閉じる操作がされたことを検出し、制御装置60は、ウインドウを閉じる操作指令として受け付ける。そして、操作スイッチ20は、操作者による第二操作面22を引き上げる操作F3が解除されると、図4(2)の矢印A4に示すように、2点鎖線で示す閉操作位置から実線で示す基準位置まで復帰するよう、可動機構50により回転可動することとなる。このとき、検出部51は、ウインドウを閉じる操作が解除されたことを検出し、制御装置60は、ウインドウを閉じる操作指令が停止したとして受け付ける。
【0021】
さらに、操作スイッチ20は、上述したウインドウの開閉を操作する開閉操作に加え、開閉操作対象となるウインドウを切り替える操作である、操作スイッチ20自体の位置を移動させるスライド操作(移動操作)が可能である。操作スイッチ20は、操作者により図5(1)(2)の矢印F5に示すような、第二操作面22を後方に引く操作が行われると、操作スイッチ20全体が後方にスライド移動するよう可動機構50により可動する。より具体的に、操作スイッチ20は、図5(1)(2)の矢印A5に示すように、2点鎖線で示す基準位置から実線で示すスライド位置(他の位置)まで、可動機構50により車両の後方側に向かって直線的にスライド移動することとなる。そして、操作スイッチ20は、操作者による第二操作面22を後方に引く操作F5が解除されると、図6(1)(2)の矢印A6に示すように、2点鎖線で示すスライド位置から実線で示す基準位置まで復帰するよう、可動機構50によりスライド移動することとなる。
【0022】
そして、操作スイッチ20が上述したようにスライド移動されたときには、検出部51は、スライド操作がなされたことを検出し、制御装置60に通知する。すると、制御装置60は、スライド操作の前後で、操作スイッチ20による開閉操作対象となるウインドウを切り替える。例えば、制御装置60は、エンジン始動時など初期化時には、操作スイッチ20による開閉操作の操作対象となるウインドウが「運転席ウインドウ」と設定されており、この状態で後方へのスライド操作がされた通知を受けると、開閉操作の操作対象となるウインドウを「運転席後席ウインドウ」に切り替えて設定する。このように、制御装置60は、初期化時には、車両の前方に位置する「運転席ウインドウ」(第一のウインドウ)を開閉操作対象として設定し、操作スイッチ20が後方にスライド操作された後には、車両の後方に位置する「運転席後席ウインドウ」を開閉操作対象として設定する。なお、操作スイッチ20の操作対象が、前席である運転席ウインドウに設定されているか、その後席である運転席後席ウインドウ席に設定されているか、を表す情報を、車両の任意の位置に設置されたインジケータやメーターパネル内に表示してもよい。
【0023】
なお、制御装置60は、上述したように操作スイッチ20が後方にスライド操作されることで開閉操作対象が「運転席後席」として設定されているときに、再度、操作スイッチ20が後方にスライド操作された場合には、開閉操作対象を「運転席ウインドウ」に戻すよう切り替えて設定する。また、制御装置60は、上述したように操作スイッチ20が後方にスライド操作されることで開閉操作対象が「運転席後席」として設定されているときに、さらに一定時間(例えば、60秒)が経過した後に、開閉操作対象を「運転席ウインドウ」に戻すよう切り替えて設定してもよい。但し、制御装置60が開閉操作対象を「運転席後席」から「運転席ウインドウ」に戻す条件としては、他の条件が設定されていてもよい。例えば、操作スイッチ20の開閉操作対象が「運転席後席」として設定されているときに、自動車のシフトがパーキングに入れられた時、エンジンが停止された後に始動された時など、自動車の作動状態が予め設定された条件を満たす場合に、開閉操作対象を「運転席ウインドウ」に戻すよう切り替えて設定してもよい。
【0024】
そして、制御装置60は、上述したように操作スイッチ20が基準位置において開閉操作され、ウインドウを開ける操作指令、あるいは、ウインドウを閉じる操作指令を受け付けると、かかる操作指令を、その時に操作スイッチ20の開閉操作対象として設定されているウインドウに対する操作指令として受け付ける。例えば、制御装置60は、車両のエンジン始動後の初期化時であって、操作スイッチ20による開閉操作の操作対象となるウインドウが「運転席ウインドウ」と設定されているときに、当該操作スイッチ20が基準位置で図3(1)に示すようにウインドウを開ける操作指令を受け付けると、「運転席ウインドウ」を開くよう制御し、当該操作スイッチ20が基準位置で図4(1)に示すようにウインドウを閉じる操作指令を受け付けると、「運転席ウインドウ」を閉じるよう制御する。そして、その後、制御装置60は、操作スイッチ20が後方にスライド操作されると、当該操作スイッチ20による開閉操作の操作対象となるウインドウを「運転席後席ウインドウ」に設定し、操作スイッチ20が基準位置で図3(1)に示すようにウインドウを開ける操作指令を受け付けると、「運転席後席ウインドウ」を開くよう制御し、当該操作スイッチ20が基準位置で図4(1)に示すようにウインドウを閉じる操作指令を受け付けると、「運転席後席ウインドウ」を閉じるよう制御する。
【0025】
以上のように、操作スイッチ20は、後方へのスライド操作の前後で、異なるウインドウを開閉操作対象とし、基準位置で行われた開閉操作を、その時に開閉操作対象としているウインドウに対する開閉操作指令として受け付ける。例えば、符号20に示す操作スイッチにおいては、初期化時で後方へのスライド操作の前に基準位置で開閉操作されると、自動車の前方に位置する「運転席ウインドウ」の開閉操作の操作指令として受け付け、その後、後方へのスライド操作がされた後に基準位置で開閉操作されると、自動車の後方に位置する「運転席後席ウインドウ」の開閉操作の操作指令として受け付ける。同様に、例えば、符号30に示す操作スイッチにおいては、初期化時で後方へのスライド操作の前に基準位置で開閉操作されると、自動車の前方に位置する「助手席ウインドウ」の開閉操作の操作指令として受け付け、その後、後方へのスライド操作がされた後に基準位置で開閉操作されると、自動車の後方に位置する「助手席後席ウインドウ」の開閉操作の操作指令として受け付ける。
【0026】
なお、可動機構50は、開閉操作による操作スイッチ20の上下可動(回転可動)と、スライド操作による操作スイッチ20のスライド可動とが、同時に生じないよう構成されている。つまり、可動機構50は、操作スイッチ20が図3及び図4に示すように開閉操作により上下可動(回転可動)している最中には、図5の矢印F5に示すようなスライド操作の力が付勢されたとしても、操作スイッチ20がスライド可動しないよう構成されている。また、可動機構50は、操作スイッチ20が図5及び図6に示すようにスライド操作によるスライド可動している最中には、図3及び図4の矢印F1,F3に示すような開閉操作の力が付勢されたとしても、操作スイッチ20が上下可動(回転可動)しないよう構成されている。
【0027】
[動作]
次に、上述した操作装置、特に図1の符号20に示す操作スイッチを操作した時の動作を、主に図7のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
エンジン始動時といった初期化時においては、操作スイッチ20は、後方にスライド操作されない限りは(ステップS1でNo)、車両の前方に位置する「運転席ウインドウ」が開閉操作対象として設定されている(ステップS2)。このため、かかる状態で操作スイッチ20が基準位置で図3あるいは図4に示すような開閉操作された場合には(ステップS3でYes)、制御装置60は、「運転席ウインドウ」を開閉可動するよう制御する。
【0029】
その後、操作スイッチ20が、図5に示すように後方にスライド操作され、図6に示すように基準位置に復帰した後には(ステップS1でYes)、車両の後方に位置する「運転席後席ウインドウ」が開閉操作対象として設定される(ステップS5)。なお、「運転席後席ウインドウ」が開閉操作対象として設定された状態は、操作スイッチ20が再び後方にスライド操作されるか、一定時間が経過するまで継続する(ステップS6でNo)。そして、かかる状態で操作スイッチ20が基準位置で図3あるいは図4に示すような開閉操作された場合には(ステップS7でYes)、制御装置60は、「運転席後席ウインドウ」を開閉可動するよう制御する。
【0030】
なお、「運転席後席ウインドウ」が開閉操作対象として設定されているときに(ステップS5)、操作スイッチ20が再び後方にスライド操作された場合や、一定時間が経過した場合には(ステップS6でYes)、開閉操作対象が再び「運転席ウインドウ」に戻るよう設定される(ステップS2)。また、エンジンが停止された場合など、予め設定された車両の作動状態となった場合にも、同様に開閉操作対象が再び「運転席ウインドウ」に戻るよう設定される。
【0031】
以上のように、本実施形態における操作装置によると、操作スイッチ20を後方へスライド操作する前においては、前方のウインドウを操作対象として操作スイッチ20を開閉操作することができる。そして、その後、操作スイッチ20を後方へスライド操作して基準位置に復帰した後においては、後方のウインドウを操作対象として操作スイッチ20を開閉操作することができる。このため、1つの操作スイッチ20で概ねスライド操作方向に沿ってそれぞれ位置する2つのウインドウの開閉操作を行うことができる。その結果、構成を簡略化しつつ、操作者によるウインドウの操作が容易となり、操作性のさらなる向上を図ることができる。
【0032】
[変形例]
上記では、操作スイッチ20は、車両の前後方向にそれぞれ位置する「運転席ウインドウ」と「運転席後席ウインドウ」とを操作対象として設定する場合を例示したが、操作スイッチは、いかなる方向に位置するウインドウを操作対象とするよう構成されてもよい。例えば、操作スイッチ20は、上述したような基準位置から、車両の幅方向つまり進行方向に対して左右方向にスライド移動可能なよう構成され、左右方向にそれぞれ位置するウインドウを操作対象とするよう構成されてもよい。一例として、操作スイッチは、まず初期化時には「運転席ウインドウ」を開閉操作対象としており、かかる状態で操作スイッチ20が回転操作された場合には、「運転席ウインドウ」の開閉操作指令として受け付ける。そして、操作スイッチは、基準位置から左方向にスライド操作することでスライド移動し、スライド操作を解除すると基準位置に復帰するよう可動する。すると、操作スイッチは、スライド操作後に基準位置で開閉操作されることで、スライド方向に位置する「助手席ウインドウ」の開閉操作として受け付ける。さらに、他の例として、操作スイッチは、基準位置から複数の方向にスライド移動し、かかるスライド操作の解除により基準位置に復帰するよう構成されていてもよい。例えば、スイッチ装置が、基準位置から、車両の後ろ方向、左方向、斜め左後方向の3方向にスライド移動可能であり、初期化時の基準位置では「運転席ウインドウ」、左方向にスライド移動後は「助手席ウインドウ」、後方向にスライド移動後は「運転席後席ウインドウ」、斜め左後方向にスライド移動後は「助手席後席ウインドウ」、がそれぞれ開閉操作対象として設定され、その後の基準位置での開閉操作を各ウインドウの開閉操作指令として受け付けてもよい。
【0033】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における操作装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0034】
(付記1)
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置であって、
前記操作部は、
基準位置において前記開閉操作が可能なよう構成されており、当該操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動すると共に、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰するよう構成されており、
さらに、前記移動操作により前記他の位置に移動する前後のそれぞれにおいて前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、それぞれ異なるウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
(付記2)
付記1に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付け、前記移動操作により前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、前記第一のウインドウに対して前記移動操作による移動方向に位置する第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
(付記3)
付記2に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により予め設定された方向にのみ直線移動可能なよう構成されている、
操作装置。
(付記4)
付記2又は3に記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により車両の後方向にのみ移動可能なよう構成されている、
操作装置。
(付記5)
付記2乃至4のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、車両の前方に位置する前記第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付け、前記移動操作により前記基準位置に対して車両の後方に位置する前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときの前記開閉操作を、車両の後方に位置する前記第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
(付記6)
付記2乃至5のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作が前記第二のウインドウを開閉する操作指令として受け付けられる状態において、車両の作動状態が予め設定された条件を満たす場合に、前記開閉操作を前記第一のウインドウを開閉する操作指令として受け付ける、
操作装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作中に前記基準位置から前記他の位置に移動しないよう構成されている、
操作装置。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記基準位置から前記他の位置に移動中に前記開閉操作しないよう構成されている、
操作装置。
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の操作装置であって、
前記操作部は、前記開閉操作の一つである当該操作部自体を下方に押し下げる操作を、ウインドウを開ける操作指令として受け付け、前記開閉操作の一つである当該操作部自体を上方に引き上げる操作を、ウインドウを閉じる操作指令として受け付けるよう構成されている、
操作装置。
(付記10)
車両に装備されたウインドウの開閉を操作する開閉操作が可能な操作部を備えた操作装置によるウインドウ開閉制御方法であって、
前記操作部が基準位置において前記開閉操作されることにより所定のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部自体が移動操作により前記基準位置から他の位置に移動し、当該移動操作が解除された際に前記他の位置から前記基準位置に復帰した後に、前記操作部が前記基準位置において前記開閉操作されることにより前記所定のウインドウとは異なる他のウインドウを開閉するよう制御する、
ウインドウ開閉制御方法。
(付記11)
付記10に記載のウインドウ開閉制御方法であって、
前記操作部が前記移動操作により前記他の位置に移動する前に前記基準位置に位置するときに前記開閉操作されることにより第一のウインドウを開閉するよう制御し、
前記操作部が前記移動操作により前記他の位置に移動した後に前記基準位置に位置するときに前記開閉操作されることにより、前記第一のウインドウに対して前記移動操作による移動方向に位置する第二のウインドウを開閉するよう制御する、
ウインドウ開閉制御方法。
【0035】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 カバー
11 凹部
12 上部カバー
20,30 操作スイッチ
21 第一操作面
22 第二操作面
41,42,43 他のスイッチ
50 可動機構
51 検出部
60 制御装置
71 運転席ウインドウ
72 運転席後席ウインドウ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7