(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】安全動作電源を備えた医用装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
H02M7/06 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021044829
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10 2020 107 614.2
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プレツェヴォウスキ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-048375(JP,A)
【文献】特開2007-207585(JP,A)
【文献】特開2002-262573(JP,A)
【文献】特開2006-204028(JP,A)
【文献】特開2011-234481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流源への接続のための電源部を備えた医用装置であって、前記電源部は、整流器と、前記電源部から出力される直流電圧を平滑化する少なくとも1つのフィルタコンデンサ(C1)と、前記フィルタコンデンサ(C1)を放電させる少なくとも1つの放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)と、を有する医用装置において、
前記電源部は、前記放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)および前記フィルタコンデンサ(C1)に電気的に接続された回路を有しており、前記回路は、入力交流電圧が前記電源部に印加される前記医用装置のスイッチオン状態を入力電圧領域の全体にわたって検出して、前記医用装置のスイッチオン状態が前記回路によって検出されなかった場合にのみ、前記放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)を前記フィルタコンデンサ(C1)に対して並列に接続するように形成されており、
前記回路は、前記放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)を前記フィルタコンデンサ(C1)に対して並列に接続する第1のトランジスタ(T2)を有しており、前記第1のトランジスタ(T2)は、自身のベースまたはゲートに接続された制御コンデンサ(C4)が十分に充電されると導通して前記フィルタコンデンサ(C1)の放電を生じさせるように配置および設計されており、
前記制御コンデンサ(C4)は、制御トランジスタ(T1)に接続されており、前記制御トランジスタ(T1)は、前記電源部に電源電圧が供給されているかぎり、規則的に導通して前記制御コンデンサ(C4)を放電させるように配置および設計されている、
医用装置。
【請求項2】
前記第1のトランジスタ(T2)は、電界効果トランジスタ(T2)である、
請求項1記載の医用装置。
【請求項3】
前記整流器は、整流器ブリッジを有し、前記回路は、前記整流器ブリッジの入力側の端子と前記整流器ブリッジの出力側の端子との間の電圧を取り出して、前記整流器ブリッジの前記入力側の端子に印加される供給電源電圧を検出するように構成されている、
請求項1または2のいずれか1項記載の医用装置。
【請求項4】
前記回路は、前記整流器ブリッジの入力側と前記整流器ブリッジの負の出力側との間に接続された分圧器と、前記分圧器の抵抗(R2)に対して並列に接続された第1のコンデンサ(C3)と、を有し、前記第1のコンデンサ(C3)は、供給電源電圧が印加された場合に前記分圧器によって定義される電圧まで充電される、
請求項3記載の医用装置。
【請求項5】
前記制御トランジスタ(T1)のベース‐エミッタ区間は、前記分圧器の前記抵抗に対して並列に接続されており、前記制御トランジスタ(T1)は、50V
AC超から264V
ACまでの範囲の供給電源電圧が印加された場合に導通する、
請求項
4記載の医用装置。
【請求項6】
前記制御トランジスタ(T1)は、バイポーラトランジスタである、
請求項1から5までのいずれか1項記載の医用装置。
【請求項7】
前記電界効果トランジスタ(T2)のゲート‐ドレイン区間に対して
前記制御コンデンサ(C4)が並列に接続されており、前記
制御コンデンサ(C4)は、その充電状態において、前記少なくとも1つの放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)が前記少なくとも1つのフィルタコンデンサ(C1)に対して並列に接続されるように、前記電界効果トランジスタ(T2)を導通させる、
請求項
2記載の医用装置。
【請求項8】
前記
制御コンデンサ(C4)は、前記制御トランジスタ(T1)が導通した場合に前記
制御コンデンサ(C4)が放電されるように、前記制御トランジスタ(T1)のコレクタ‐エミッタ区間に対して並列に接続されており、これにより、前記整流器の入力側に供給電源電圧が印加されると、前記少なくとも1つの放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)が前記少なくとも1つのフィルタコンデンサ(C1)から分離される、
請求項7記載の医用装置。
【請求項9】
前記回路は、電圧制限のための少なくとも1つのツェナーダイオード(D1;D2)を有する、
請求項
7または8記載の医用装置。
【請求項10】
前記回路は、相互に並列に接続された複数の放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)を有する、
請求項
7から9までのいずれか1項記載の医用装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの放電抵抗(R4,R5,R6,R7,R8,R9)は、47kΩから120kΩの抵抗値を有する、
請求項
7から10までのいずれか1項記載の医用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流源への接続のための電源部を備えた医用装置であって、電源部が、整流器と、電源部から出力される直流電圧を平滑化する少なくとも1つのフィルタコンデンサと、フィルタコンデンサを放電させる少なくとも1つの放電抵抗と、を有する医用装置に関する。本発明は、特に、電気外科器具が接続される出力側を有する電気外科ジェネレータに関しており、当該出力側を介して、接続された電気外科器具に高周波出力交流電圧が給電可能となる。
【背景技術】
【0002】
安全上の理由から、電気装置のコンデンサには、遮断後の所定の時間において、高い電圧を印加すべきでない。このことは、医用装置および電気外科ジェネレータの特に高電圧直流電源部にも該当する。このために、高容量のコンデンサに対して並列に配置されてこれを放電させる放電抵抗が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎とする課題は、特に電気外科ジェネレータのような医用装置のための改善された電源部を提供し、安全性要件を充足することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明による、交流電流源への接続のための電源部を備えた医用装置であって、入力交流電圧が電源部に印加されていない場合にのみ少なくとも1つの放電抵抗を少なくとも1つのフィルタコンデンサに対して並列に接続する回路を有する、医用装置により、解決される。
【0005】
電源部は、整流器と、電源部から出力される直流電圧を平滑化する少なくとも1つのフィルタコンデンサと、当該フィルタコンデンサを放電させる少なくとも1つの放電抵抗と、を有する。さらに、電源部は、放電抵抗およびフィルタコンデンサに電気的に接続された回路を有しており、当該回路は、入力交流電圧が電源部に印加される医用装置のスイッチオン状態を検出して、医用装置のスイッチオン状態が当該回路によって検出されなかった場合にのみ、放電抵抗をフィルタコンデンサに対して並列に接続するように形成されている。
【0006】
入力交流電圧の検出は、医用装置の入力電圧領域の全体にわたって確実に行われなければならず、検出回路の給電に付加的に必要となるエネルギは最小化すべきである。
【0007】
好適には、回路は、放電抵抗をフィルタコンデンサに対して並列に接続するスイッチを有する。スイッチは、好適には、電界効果トランジスタである。
【0008】
したがって、提案するのは、医用装置が遮断されてはじめて1つもしくは複数の放電抵抗が電源部の対応する1つもしくは複数のコンデンサ(特にフィルタコンデンサ)に対して並列に接続される、電子回路を備えた電源部である。
【0009】
本発明は、フィルタコンデンサの電圧値およびキャパシタンスに応じて、その放電抵抗を介し、スイッチオン状態において持続的な損失電力を生じさせる高電流が多少に関わらず流れ、このために例えば電気外科ジェネレータの電流消費量がスタンバイ動作モードにおいて著しく高まる、という知見を含んでいる。これにより、医用製品の内部温度が上昇し、医用装置の脱落間の平均動作持続時間が低下する。
【0010】
好適には、整流器は、整流器ブリッジを有し、回路は、整流器ブリッジの入力側の端子と整流器ブリッジの出力側の端子との間の電圧を取り出して、整流器ブリッジの入力側の端子に印加される供給電源電圧を検出するように構成されている。
【0011】
このために、回路は、好適には、整流器ブリッジの入力側と整流器ブリッジの負の出力側との間に接続された分圧器と、当該分圧器の抵抗に対して並列に接続された第1のコンデンサと、を有し、第1のコンデンサは、供給電源電圧の印加時に、電源側で場合により発生する障害インパルスをフィルタリングして、分圧器に必要な分圧比を生じさせる。
【0012】
さらに、回路は、好適には、制御トランジスタを有し、当該制御トランジスタのベース‐エミッタ区間は、分圧器の抵抗に対して並列に接続されており、当該制御トランジスタは、供給電源電圧の印加時に、入力交流電圧のクロックで導通する。したがって、制御トランジスタは、好適には、エミッタ回路において駆動される。制御トランジスタは、好適にはバイポーラトランジスタであり、特にnpnトランジスタである。また制御トランジスタはpnpトランジスタであってもよく、相応に回路を相補的に形成することができる。代替的に、電界効果トランジスタを含む対応する回路も可能である。
【0013】
好適には、スイッチとして用いられる電界効果トランジスタのゲート‐ドレイン区間に対して第2のコンデンサが並列に接続されている。当該第2のコンデンサは、その充電状態において電界効果トランジスタを導通させ、これにより、少なくとも1つの放電抵抗が少なくとも1つのフィルタコンデンサに対して並列に接続される。第2のコンデンサは、供給電源電圧が整流器またはその整流器ブリッジに印加されていない場合、フィルタコンデンサから充電され、スイッチとして用いられる電界効果トランジスタが導通し、これにより、少なくとも1つの放電抵抗が少なくとも1つのフィルタコンデンサに対して並列に接続される。このように、フィルタコンデンサは、整流器の入力側に供給電源電圧が印加されていない場合、放電抵抗を介して放電される。
【0014】
第2のコンデンサは、好適には、制御トランジスタが導通した場合に第2のコンデンサが放電されるように、制御トランジスタのコレクタ‐エミッタ区間に対して並列に接続されている。第2のコンデンサが放電されると、スイッチとして用いられる電界効果トランジスタが阻止され、これにより、少なくとも1つの放電抵抗が少なくとも1つのフィルタコンデンサから分離される。制御トランジスタは、整流器の入力側に供給電源電圧が印加されると導通し、これにより、放電抵抗は、供給電源電圧の印加時にフィルタコンデンサから分離されることになる。
【0015】
好適には、回路は、電圧制限のための1つもしくは複数のツェナーダイオードを有する。各ツェナーダイオードは、特に各トランジスタの保護のために設けられている。
【0016】
好適には、回路は、相互に並列に接続された複数の放電抵抗を有しており、この手段により、フィルタコンデンサの放電時の大きな消散電力も可能となる。
【0017】
少なくとも1つの放電抵抗は、好適には、47kΩから120kΩの抵抗値を有する。一般に、放電抵抗の抵抗値は、好適には、最大入力交流電圧の遮断後の60秒間、少なくとも1つのフィルタコンデンサでの直流電圧が60V未満まで低下するように選定される。したがって、少なくとも1つの放電抵抗の好ましい抵抗値は、最大入力交流電圧と少なくとも1つのフィルタコンデンサのキャパシタンスとから得られる。
【0018】
本発明を、以下に、実施例に則して図を参照しながら詳細に説明する。図中、次のことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電気外科器具に高周波交流電圧を供給する電気外科ジェネレータの幾つかの部品を示す概略図である。
【
図2】本発明による、電源供給交流電圧の分離後の、直流電圧電源部の少なくとも1つのフィルタコンデンサへの少なくとも1つの放電抵抗の並列接続を可能にする回路を示す図である。
【
図3】図示の回路に類似した、ただし対称の出力電圧を送出する電源部のための回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、電気外科ジェネレータ10の実施例に則した医用装置が示されている。
図1から見て取れるように、電気外科ジェネレータ10は、ここでは、例えば通常の共用電流供給源に接続可能であって、その出力側14に高電圧直流電流を形成する、高電圧電源部12(HVPS:High Voltage Power Supply)を有する。当該高電圧直流電流は、電気外科ジェネレータ10の高周波部16に供給される。電気外科ジェネレータ10の高周波部16は、インバータとして機能し、高周波部16の出力トランス(図示せず)を介して電気外科ジェネレータ10の出力側18.1および18.2に送出される高周波交流電圧を形成する。電気外科ジェネレータ10の出力側18.1および18.2には、電気外科器具を接続することができる。電気外科ジェネレータ10の出力としてのパワーは、制御ユニット20と検出ユニット22,24と評価ユニット26とにより、検出された値から導出される値、例えばインピーダンスなどの導出のために、開ループ制御可能または閉ループ制御可能である。
【0021】
現在の高周波電気外科ジェネレータは、HF出力電圧を2段階で形成する。まず、電源入力電圧が可変の直流電圧へ返還される。当該可変の直流電圧は、高電圧電源部12のインバータ回路の入力電圧として用いられ、当該インバータ回路の出力電圧は入力電圧に対して比例的に増大する。したがって、出力電圧(ひいては電流および電力)は、入力電圧によって閉ループ制御可能である。
【0022】
高電圧電源部12については、IEC60601-1の現行バージョンに準拠して、電子医用製品の遮断後の1分間、60V未満の電圧をエネルギ蓄積器(大抵の場合コンデンサ)に印加する準備が必須であることが該当する。
【0023】
図2には、本発明の高電圧電源部の一実施例が示されている。
【0024】
高電圧電源部は、電子医用装置が遮断されてはじめて必要な放電抵抗を対応するコンデンサに対して並列に接続する電子回路を有する。このために、給電電圧(交流電圧)が検出され、制御量として使用される。前提となるのは、装置が100VAC~240VACの給電電圧で駆動されることである。
【0025】
入力交流電圧から出力直流電圧を形成する電源部は、典型的には、交流電流の整流のための、4つのダイオードから形成される整流器ブリッジと、出力電圧を平滑化する1つもしくは複数のフィルタコンデンサと、を有する。整流器ブリッジは、入力交流電圧の2つの入力側と、出力直流電圧の2つの出力側と、を有する。整流器ブリッジの一方の出力側は正の極性を有し、他方の出力側は負の極性を有する。
【0026】
給電電圧(すなわち入力交流電流)の遮断後、まず、フィルタコンデンサがなおも充電されている。
図2に示した実施例では、フィルタコンデンサC1は、2000μFのキャパシタンスを有する電解質コンデンサの形態で設けられている。唯一のフィルタコンデンサに代えて、相互に並列にまたは直列に接続された複数のフィルタコンデンサを設けることもできる。高電圧電源部の出力直流電圧が例えば300Vである場合、フィルタコンデンサは対ごとに直列に接続可能であり、これにより、全てのフィルタコンデンサを介して150Vの最大電圧のみが降下する。フィルタコンデンサの並列接続により、フィルタキャパシタンスを増大させることができる。
【0027】
図2の実施例によれば、相互に並列に接続された全部で6つの放電抵抗R4~R9が設けられており、これにより全体でより高い負荷耐性が得られる。各抵抗R4~R9は、68kΩの抵抗値を有する。
【0028】
給電電圧の遮断後にフィルタコンデンサC1を放電させるために、6つの放電抵抗R4~R9がフィルタコンデンサC1に対して並列に接続されている。放電抵抗の個数および寸法設計は、一般に、フィルタコンデンサのキャパシタンスおよび最大電圧に関して、好適には、コンデンサでの最大電圧が60V未満まで降下するのに最長で60秒間にわたって必要となる放電電力が放電抵抗によって許容されるように選定される。
【0029】
6つの放電抵抗R4~R9が医用装置のスイッチオン時にも持続的に電力の放出を行わないようにするために、放電抵抗R4~R9は、医用装置のスイッチオン時にフィルタコンデンサC1から分離される。このために、スイッチとして用いられる電界効果トランジスタT2が用いられる。
【0030】
電界効果トランジスタT2は、入力交流電圧の印加を検出して、入力交流電圧が医用装置の電源部に印加されていない場合にのみ電界効果トランジスタを導通させ、これにより6つの放電抵抗R4~R9をフィルタコンデンサC1に対して並列に接続させるように形成された、検出回路によって駆動制御される。
【0031】
検出回路は、給電電圧の検出のために、さらには電界効果トランジスタT2の駆動のために、抵抗R1(1MΩ)およびR2(100kΩ)とコンデンサC2(10nF)とを有しており、これらは、整流器ブリッジの入力側と整流器ブリッジの負の出力側との間に相互に直列に接続されている。
【0032】
抵抗R1(1MΩ)およびR2(100kΩ)は、コンデンサC2(10nF)とともに分圧器を形成している。抵抗R2にはコンデンサC3(10nF)が並列に接続されている。コンデンサC2と抵抗R2との間で電圧が取り出され、npnトランジスタT1のベースに供給される。したがって、トランジスタT1は、エミッタ回路において駆動されて、導通状態でコンデンサC4の放電を生じさせる制御トランジスタとして用いられる、バイポーラトランジスタである。フィルタコンデンサC1に対してコンデンサC4が並列に接続されており、トランジスタT1が導通していない場合、フィルタコンデンサC1により、コンデンサC4に対して直列に接続された抵抗R3を介して充電が行われる。
【0033】
抵抗R1およびコンデンサC2を介して整流前の交流電圧がデカップリングされ、抵抗R2およびコンデンサC3によってフィルタリングされて、トランジスタT1(npnトランジスタ)で処理可能となるように低減される。交流電圧が印加されているかぎり、トランジスタT1は交流電圧のクロックで導通し、このため、コンデンサC4が抵抗R3を介して充電可能となることが防止される。これにより、トランジスタT2は阻止され、放電抵抗には電流が流れなくなる。
【0034】
2つのツェナーダイオードD1(3.3V)およびD2(10V)により、それぞれの電圧制限が行われる。ツェナーダイオードD1は、抵抗R2、コンデンサC3およびトランジスタT1のベース‐エミッタ区間に対して並列に接続されている。ツェナーダイオードD2およびコンデンサC4(1μF)は、トランジスタT1のコレクタ‐エミッタ区間に対して並列に接続されている。トランジスタT1が導通しているかぎり、コンデンサC4を介して電圧は降下せず、このため、当該コンデンサC4は充電されない。トランジスタT1が阻止されると、当該コンデンサは抵抗R3を介して充電される。抵抗R3およびコンデンサC4は、このために、整流器ブリッジの2つの出力側間でフィルタコンデンサC1に対して並列となるように、相互に直列に接続されている。抵抗R3は、コンデンサC4がどの程度の速度で充電されるかを判定し、つまり時間素子として用いられる。ツェナーダイオードD2は、コンデンサC4を介した電圧を最大で10Vまでに制限する。よって、コンデンサC4は、最大で10Vまで充電可能である。
【0035】
コンデンサC4を介した電圧により、電界効果トランジスタT2のゲートが駆動される。
【0036】
整流器ブリッジの入力側の交流電圧が遮断されると、トランジスタT1が阻止され、コンデンサC4(1μF)が抵抗R3を介して10Vまで充電可能となる。これにより、電界効果トランジスタT2が導通し、放電抵抗R4~R9がフィルタコンデンサC1を放電させる。交流電圧が復帰すると、コンデンサC4はトランジスタT1を介して放電され、電界効果トランジスタT2が阻止される。これにより、再び、放電抵抗R4~R9には電流が流れなくなる。
【0037】
図3には、対称の出力直流電圧を形成する電源部のための回路が示されている。当該回路は、実質的に、
図2に示した回路を2重化したものである。付加的な2つの抵抗R10,R20は、フィルタコンデンサの直流電圧の対称化に用いられる。グラウンドMP_GNDに対する正の出力直流電圧+UDCと負の出力直流電圧-UDCとの間の直流電圧が負荷されない場合、AC給電電圧が存在して放電抵抗がスイッチオンされなければ、コンデンサ内の種々の大きさのリーク電流によって、グラウンドMP_GNDに対する非対称の高い電圧が発生しうる。R10,R20は、好適には、コンデンサの約5倍のリーク電流を支持するように選定されている。
【0038】
回路は、100VAC~240VACの給電電圧(整流器ブリッジの入力側の交流電圧)用に設計されている。