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特許7284243車両の操舵角帰還制御を実施するための帰還制御装置と方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】車両の操舵角帰還制御を実施するための帰還制御装置と方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20230523BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D113:00
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197883
(22)【出願日】2021-12-06
(65)【公開番号】P2022121374
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】10 2021 201 141.1
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ケスラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ファイク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ジーモン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020604(JP,A)
【文献】特開2016-088436(JP,A)
【文献】特開2019-025961(JP,A)
【文献】特開2016-147590(JP,A)
【文献】特開2021-000950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0054953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 101/00-137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニット(2)を包含し、
該帰還制御ユニット(2)が操舵角基準情報(φsoll)から割出される第一操舵角情報(φ’soll)と実測操舵角(φ)との間の帰還制御差を受信し、且つ、操舵系を作動させるモータ(3)用に制御情報を提供できるように構成されており、
該第一帰還制御ユニット(2)に累積される補正帰還制御ループ想定され、
該補正帰還制御ループが、入力値としてモータ(3)の制御情報、モータ(3)の出力モーメント、及び/又は、モータ(3)の出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報(φkomp)を提供するフィードバックパス(4)を有し、
該操舵角補正情報(φkomp)に基づいた操舵角基準情報(φsoll)の第一操舵角情報(φ’soll)に対する適合が実施され、且つ、
該補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能である、但し、該制御値(s)は、操舵装置に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値であり、
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)の入力値が、第一帰還制御ユニット(2)の基準モーメント情報、モータ(3)を流れる電動モーメントを形成する電流の強さ、又はその電流の強さと比例する測定情報であることを特徴とする車両の操舵角を帰還制御するための帰還制御装置。
【請求項2】
第一帰還制御ユニット(2)が、PID帰還制御手段、又は、Iメンバに即した帰還制御挙動を有していることを特徴とする請求項1に記載の帰還制御装置。
【請求項3】
第一帰還制御ユニット(2)が、第一帰還制御ユニット(2)の帰還制御挙動を適合させるための外部インターフェースを有していない自己完結型帰還制御ユニットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の帰還制御装置。
【請求項4】
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、閾値に依存した不感帯として形成される第一帰還制御メンバ(4.1)を有していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の帰還制御装置。
【請求項5】
不感帯の閾値が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能であることを特徴とする請求項に記載の帰還制御装置。
【請求項6】
該帰還制御装置(1)が、不感帯の閾値を、第一関数(f1)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されていることを特徴とする請求項又はに記載の帰還制御装置。
【請求項7】
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、ローパスフィルタとして形成される第二帰還制御メンバ(4.2)を有していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の帰還制御装置。
【請求項8】
第二帰還制御メンバ(4.2)が、PT1メンバ、乃至、高次元のPTメンバを、有していることを特徴とする請求項に記載の帰還制御装置。
【請求項9】
第二帰還制御メンバ(4.2)の帰還制御挙動が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して可変であることを特徴とする請求項又はに記載の帰還制御装置。
【請求項10】
帰還制御装置(1)が、第二帰還制御メンバ(4.2)の帰還制御挙動を、第二関数(f2)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されていることを特徴とする請求項に記載の帰還制御装置。
【請求項11】
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、リミッタとして形成される第三帰還制御メンバ(4.3)を有していることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の帰還制御装置。
【請求項12】
該リミッタが、その値から出力シグナルの振幅の制限が実施される閾値を有しており、且つ、該閾値が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能であることを特徴とする請求項11に記載の帰還制御装置。
【請求項13】
帰還制御装置(1)が、第三帰還制御メンバ(4.3)の閾値を、第三関数(f3)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されていることを特徴とする請求項12に記載の帰還制御装置。
【請求項14】
少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニット(2)を包含する帰還制御装置(1)を用い、
該帰還制御ユニット(2)が操舵角基準情報(φsoll)から割出される第一操舵角情報(φ’soll)と実測操舵角(φ)との間の帰還制御差を受信し、且つ、操舵系を作動させるモータ(3)用に制御情報を提供し、
一つのフィードバックパス(4)を有する第一帰還制御ユニット(2)に累積された補正帰還制御ループが想定されており、
該フィードバックパスが、該補正帰還制御ループが、入力値としてモータ(3)の制御情報、モータ(3)の出力モーメント、及び/又は、モータ(2)の出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報(φkomp)を提供し、
該操舵角補正情報(φkomp)に基づいて操舵角基準情報(φsoll)を、第一操舵角情報(φ’soll)に対して適合し、
該補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更される、但し、該制御値(s)は、操舵装置に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値であり、
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)の入力値が、第一帰還制御ユニット(2)の基準モーメント情報、モータ(3)を流れる電動モーメントを形成する電流の強さ、又はその電流の強さと比例する測定情報であることを特徴とする車両の操舵角を帰還制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操舵角の帰還制御を実施するための帰還制御装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の電動機械式操舵手段(EPS:Electric Power Steeringとも呼ばれる)は、原則的に既知である。ここでは、プログラムによって制御されている電動アクチュエータが、操舵メカニズムに、力を伝達することによって、ドライバーの操舵運動をサポートし、干渉する。
【0003】
また、電動機械式操舵手段が、邪魔となる影響を緩和する、乃至、低減するための帰還制御装置を有していることも既知である。この様な帰還制御装置は、増加する横方向の力を補整するために、組み入れられる帰還制御成分を有している。
【0004】
既知の帰還制御装置は、それを介して、帰還制御挙動を、例えば、走行状態に依存して、又は、状況に依存して適応されることが可能なインターフェースを有している。これにより、自律的乃至部分自律的走行における電動機械式操舵手段の振動する操舵運動を低減し、ドライバーと操舵系のアクチュエータが同時に車両の制御に作用する協力的走行を改善することができる。組み入れられる帰還制御成分の欠点は、操舵角帰還制御によって算出された舵角に対する人的エラーに基づく舵角のずれが、アクチュエータのカウンター操舵モーメンの増加の要因となるため、協力的走行の際、非常に邪魔に感じられる。これは、帰還制御装置のインターフェースを介した帰還制御挙動への介入によって回避される、乃至、少なくとも緩和されることができる。
【0005】
尚、帰還制御装置がこの様なインターフェースを有していないため、上記の帰還制御挙動への介入が、不可能である、乃至、帰還制御装置の構成が知られておらず、望まれない帰還制御挙動の走行状況に依存した補整が不可能であると言うことは問題である。よって、例えば、操舵角帰還制御におけるチャージされる組み入れ成分が、更に望まれない車両挙動の要因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらを起点とした本発明の課題は、操舵角帰還制御の帰還制御挙動への介入を、この様な介入を実施するためのインターフェースが想定されていない場合でも、可能にする帰還制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項1に記載の特徴を持つ装置によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。車両の操舵角を帰還制御するための方法は、並列独立請求項15の対象である。
第一観点によれば本発明は、車両の操舵角の帰還制御を実施するための帰還制御装置に関する。該帰還制御装置は、少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニットを包含している。第一帰還制御ユニットは、第一操舵角基準情報から割出される第一操舵角情報と実測操舵角との間の帰還制御差を受信するため、並びに、操舵系を作動させるモータ用に制御情報を提供するために、構成されている。操舵角基準情報は、例えば、自律的乃至部分自律的な車両制御を可能にするドライバーアシストシステムから提供されることができる。
【0008】
加えて、第一帰還制御ユニットに累積される補正帰還制御ループも想定されている。該補正帰還制御ループは、入力値としてモータの制御情報、モータの出力モーメント、及び/又は、モータの出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報を提供するフィードバックパスを有している。該操舵角補正情報に基づき、操舵角基準情報の適合と、それに伴い、第一操舵角情報の形成が、実施される。特に、操舵角基準情報と操舵角補正情報を受信し、減算結果として第一操舵角情報を出力する減算点が想定されている。補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値に依存して変更可能であるが、該制御値とは、操舵手段に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値である。ヒューマンドライバーの介入値とは、ドライバーが、車両のステアリングホイールにかけるモーメントであることができる。走行状況に依存する測定値とは、例えば、カーブの湾曲度、即ち、カーブ半径の逆数、乃至、車両速度であることができる。
【0009】
本発明に係る方法の技術的長所は、入手可能な情報を基にした補正帰還制御ループにより、帰還制御挙動の改善を可能にし、その際、特に振動を回避し、組み入れられる帰還制御成分の邪魔になる影響を低減する帰還制御補正を、実施することができると言うことにある。
【0010】
ある実施例によれば、第一帰還制御ユニットは、PID帰還制御手段である、乃至、該第一帰還制御ユニットは、PID帰還制御手段を有している。PID帰還制御手段の帰還制御挙動は、操舵角帰還制御にとって有利な帰還制御挙動を有している。
【0011】
ある実施例によれば、第一帰還制御ユニットは、第一帰還制御ユニットの帰還制御挙動を適合させるための外部インターフェースを有していない自己完結型帰還制御ユニットである。言い換えれば、該第一コントロール・ユニットは、帰還制御挙動の状況に依存した変更を可能にするであろう外部からの帰還制御挙動の調整を実施できない所謂ブラックボックスである。しかしながら、第一帰還制御ユニットを下位の帰還制御ユニットととして累積される補正帰還制御ループは、対応するインターフェースが無いことを、外部帰還制御ループによって補うことを可能にする。
【0012】
ある実施例によれば、第一コントロール・ユニットは、モータの制御情報として、基準モーメント情報を提供する。第一帰還制御ユニットは、第一操舵角情報と実測操舵角との間の帰還制御差を入力情報として受信し、これを、モータ制御の基準とされる基準モーメント情報に変換する。該モータは、基準モーメント情報をモータモーメントに変換するモータ帰還制御を含んでいる。
【0013】
ある実施例によれば、補正帰還制御ループのフィードバックパスの入力値は、第一帰還制御ユニットの基準モーメント情報、モータを流れる電動モーメントを形成する電流の強さ、又は、その電流の強さと比例する測定情報、例えば、モータ電流が流れる抵抗を介した電圧降下や電動モーメントである。これらの入力値は、第一帰還制御ユニットの入力情報、又は、出力情報のいずれかである、即ち、第一帰還制御ユニットの入力乃至出力インターフェースにおいて捕捉可能な測定シグナル、又は、操舵系の電動モータにおいて使用可能な測定シグナルであるため、自己完結型帰還制御ユニットにおいても使用可能である。
【0014】
ある実施例によれば、補正帰還制御ループ、特に、該補正帰還制御ループのフィードバックパスは、閾値に依存した不感帯として形成される第一帰還制御メンバを有している。これにより、補正帰還制御ループを超える、及び/又は、未満において効果を示す入力値閾値を設定することができる。
【0015】
ある実施例によれば、第一帰還制御メンバは、入力値、特に、補正帰還制御ループのフィードバックパスの入力値が、入力値閾値未満である場合に、値0を有する出力値を出力することができる様に構成されている。これにより、入力値が小さい場合、補正帰還制御ループを非活性化できる。
【0016】
ある実施例によれば、不感帯の閾値、即ち、入力値閾値が、少なくとも一つの制御値に依存して変更可能である。これにより、補正帰還制御ループの活性化閾値を、走行状況に依存して、乃至、走行状態に依存して適合することができる。
【0017】
ある実施例によれば、帰還制御装置は、不感帯の閾値を、第一関数をベースに、少なくとも一つの制御値に依存して算出することができる様に構成されている。これにより、不感帯の閾値に対する制御値の効果を適合することができる。該第一関数は、例えば、単調増加、乃至、単調減少する関数であることができる。複数の制御値を用いる場合、第一関数は、閾値を入力値としての複数の制御値に基づいて算出することができる様に構成されている。
【0018】
ある実施例によれば、補正帰還制御ループ、特に、該補正帰還制御ループのフィードバックパスは、ローパスフィルタとして構成されている、乃至、ローパス挙動を有する第二帰還制御メンバを有している。これにより、フィードバックパスの入力値の高周波成分は、フィルタ除去できるため、振動を回避することができ、また、低周波成分、即ち、組み入れられる帰還制御成分由来の入力値の緩慢に変化する成分は、補整時に、大きめに考慮される。
【0019】
ある実施例によれば、第二帰還制御メンバは、PT1メンバ、又は、高次のPTメンバである、又は、この様なPT1メンバ、乃至、高次のPTメンバを有している。
【0020】
ある実施例によれば、第二帰還制御メンバの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値に依存して可変である。これにより、補正帰還制御ループの活性化閾値を、走行状況に依存して、乃至、走行状態に依存して適合することができる。
【0021】
ある実施例によれば、帰還制御装置は、第二帰還制御メンバの帰還制御挙動を、第二関数をベースに、少なくとも一つの制御値に依存して算出することができる様に構成されている。これにより、第二帰還制御メンバの帰還制御挙動に対する制御値の効果を適合することができる。該第二関数は、例えば、単調増加、乃至、単調減少する関数であることができる。複数の制御値を用いる場合、第二関数は、第二帰還制御メンバの帰還制御挙動に影響を与える出力値の算出を、入力値としての複数の制御値に基づいて、実施することができる様に構成されている。
【0022】
ある実施例によれば、補正帰還制御ループ、特に、該補正帰還制御ループのフィードバックパスは、リミッタとして形成される第三帰還制御メンバを有している。これにより、安全と言う観点から、高すぎるフィードバック効果を回避するために、補正帰還制御ループの効果を制限する、特に、補正帰還制御ループのフィードバックパスの出力シグナルを制限することが可能になる。
【0023】
ある実施例によれば、該リミッタは、その値から出力シグナルの振幅の制限が実施される閾値を有している。該閾値は、少なくとも一つの制御値に依存して可変である。これにより、リミッタの閾値を、走行状況に依存して、乃至、走行状態に依存して適合することができる。
【0024】
ある実施例によれば、帰還制御装置は、第三帰還制御メンバの閾値を、第三関数をベースに、少なくとも一つの制御値に依存して算出することができる様に構成されている。これにより、リミッタの閾値に対する制御値の効果を適合することができる。該第三関数は、例えば、単調増加、乃至、単調減少する関数であることができる。複数の制御値を用いる場合、第三関数は、閾値を入力値としての複数の制御値に基づいて算出することができる様に構成されている。
【0025】
ある更なる観点によれば、本発明は、帰還制御装置を用いた車両の操舵角を帰還制御するための方法に関する。該帰還制御装置は、少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニットを有している。該第一帰還制御ユニットは、第一操舵角基準情報から割出される第一操舵角情報と実測操舵角との間の帰還制御差を受信し、操舵系を作動させるモータ用に制御情報を提供する。また、ここでは、入力値としてモータの制御情報、モータの出力モーメント、又は、モータの出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報を提供する第一帰還制御ユニットに累積される補正帰還制御ループが、想定されている。操舵角補正情報に基づいて操舵角基準情報が、適合され、その際、第一操舵角情報が形成される。特に、第一操舵角情報は、操舵角補正情報を、ドライバーアシストシステムから提供された操舵角基準情報から除算することによって得られる。補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値に依存して変更されるが、該制御値とは、操舵装置に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値である。
【0026】
ここで言う「累積される帰還制御ループ」とは、下位の帰還制御ルートの制御値、即ち、階層的に見ると下位の帰還制御ストラクチャによって影響される帰還制御ループであると解釈できる。累積される帰還制御ループは、特に、下位の帰還制御ルートのシグナル、乃至、情報を、下位の帰還制御ルートの帰還制御挙動に影響を与えるために用いることができる。
【0027】
本発明における「近似的に」、「実質的に」、又は、「略」と言う表現は、正確な値から、それぞれ+/-10%、好ましくは、+/-5%以内の誤差、及び/又は、機能に対して有意性のない誤差であると解釈される。
【0028】
本発明の発展形態、長所、及び、応用範囲は、実施例と図面に関する以下の説明によって示される。その際、全ての記述されている、及び/又は、図示されている特徴は、それぞれにおいて、並びに、任意な組み合わせにおいて、各請求項、又は、その参照元との組み合わせからは独立して、本発明の対象である。尚、請求項の内容も明細書の構成要素とする。
【0029】
以下本発明を、図面と実施例に基づいて詳しく説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】車両の電動機械式操舵手段の帰還制御ループの概略的な図を例示する。
図2】累積する補正帰還制御ループ有する車両の電動機械式操舵手段の帰還制御ループの概略的な図を例示する。
図3】第一帰還制御ユニットが、PID帰還制御手段として形成されている図1の帰還制御ループを模式的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、プログラム制御電動モータが、ドライバーの操舵運動をサポートする、乃至、自律的乃至部分自律的走行においては、少なくとも部分的に自己操舵運動を実施する電気力学的駆動系を有した操舵装置EPSの帰還制御ループの概略的なブロック図を例示している。
【0032】
ブロック回路図では、符号2が付けられたブックは、操舵角帰還制御手段、符号3が付けられたブロックは、モータ、符号5が付けられたブロックは、操舵メカニズムの帰還制御技術的再現である。操舵メカニズムは、モータ3と共に、電動機械式操舵装置EPSを構成している。
【0033】
帰還制御ループは、入力情報として、例えば、電子的制御手段、特に、自律的乃至部分自律的走行機能を制御する計算ユニットから提供される、例えば、設定操舵角度φsollを包含している。該設定操舵角度φsoll に対しては、ここでは、「操舵角基準情報」と言う用語も用いられる。
【0034】
その点において設定操舵角度φsollが、実測操舵角φをベースに変更される帰還制御ループの減算点上には、例えば、基準作動モーメントTsollを提供する第一帰還制御ユニット2が設けられている。該第一帰還制御ユニット2は、例えば、図3に例示されているようなPID帰還制御手段である。尚、該第一帰還制御ユニット2は、組み入れ成分を有していることが特に好ましい。これにより、基準作動モーメントは、設定操舵角度φsollと実測操舵角φとの間の差が定まった場合、連続的に単調である。これは、例えば、ヒューマンドライバーが、ステアリングホイールを、長時間にわたって、設定操舵角度φsoll.とは異なる操舵角を選択するようなケースである。これにより、ドライバーがかけなければならない操舵力は、設定操舵角度φsollから逸脱している操舵角を維持するために、望まれない形で連続的に増加する。これは、ドライバーにとって不自然運転挙動であるため、邪魔であると感じられる。
【0035】
第二帰還制御ユニット2は、それにより走行状態に依存して及び/又は、状況に依存して、特に、ヒューマンドライバーの運転命令に依存して帰還制御挙動に影響を与えうる外部制御シグナルを入力するためのインターフェースを有していない、例えば、自己完結型乃至カプセル化された帰還制御ユニットである。即ち、第一帰還制御ユニット2には、直接的には、組み入れ成分などによって起こる邪魔となる帰還制御挙動を相殺する方法は、無い。
【0036】
該第一帰還制御ユニット2は、出力側においてモータ3とカップリングされている。これは、特に好ましくは、車両の機械的操舵に対して操舵力を提供する電動サーボモータである。該モータ3は、例えば、第一帰還制御ユニット2から、モータ3によって、モータ由来の操舵モーメントTEPSとして実施される基準作動モーメントTsollを受信する。この際、操舵モーメントTEPSは、モータ3が操舵系に伝達する実際のモーメントである。操舵モーメントTEPSは、直接的に測定する、又は、電流とモータによって発生される操舵モーメントTEPSとの間に直接的な、又は、略直接的な比例関係があるため、間接的に、モータ3内を流れる電流の強さから割出すことができる。
【0037】
図1には、帰還制御モデルとして模式的に示されている符号5が付けられた機械的操舵系が示されている。機械的操舵系の帰還制御モデル5は、例えば、IT1メンバとして再現されることができる。先ずそれは、モータによって発生された操舵モーメントTEPS、外乱値d並びに、ここでは、操舵角φの微分と摩擦dの掛け算である内部フィードバック値が供給される差分点を包含している。
【0038】
外乱値dは、外部から及ぼされる全ての外乱値(轍掘れ、路面の傾き、カーブ走行における横方向への力、モータによって発生されるEPSの操舵サポート機能による付加的なモーメントなど)、及び/又は、ヒューマンドライバーによって、ステアリングホイールになされた操舵運動によって与えられた操舵モーメントであることができる。
【0039】
帰還制御ループの出力値は、第一帰還制御ユニット2の入力部以前にある差分点にフィードバックされる実測操舵角φである。
【0040】
操舵角帰還制御内の組み入れ成分により、外乱値dは、補正される。これにより、組み入れ成分が増加する。モータ由来の操舵モーメントTEPSに対し、仮定されているIT1ストラクチャより、以下が得られる:
【0041】
【数1】
式1より解る如く、組み入れ成分の増加を引き起こす外乱値dは、モータによって発生された操舵モーメントTEPSにも反映される。要するに、モータによって発生された操舵モーメントTEPSのフィードバックは、第一帰還制御ユニット2内の組み入れ成分の増加を補正することに適している。
【0042】
基準作動モーメントTsollもそれを要因として組み入れ成分を増加させる情報を包含しているため、モータによって発生された操舵モーメントTEPSに対して代案的、乃至、付加的に、基準作動モーメントTsollをフィードバックされる値として用いることもできる。これは、特に、少なくとも一時的に、モータによって発生された操舵モーメントTEPSの最新情報がない場合に、有利である。
【0043】
即ち、図3との組み合わせにおいて図1に係る帰還制御ループに対しては、以下のような伝達関数が得られる:
【0044】
【数2】
図2は、それにおいて、図1に示されている補正帰還制御ループの帰還制御ループが、フィードバックパス4に、操舵角帰還制御の邪魔となる効果を、介入する方法が無く、直接的に第一帰還制御ユニット2に対して実施できない場合でも、緩和する、乃至、防止することができる様にするために、累積されている帰還制御装置1を示している。
【0045】
補正帰還制御ループのフィードバックパス4には、示されている実施例では、モータによって発生された操舵モーメントTEPSは、入力値として入力される。上記の如く、代案的に、基準作動モーメントTsollも、入力値として用いることができる。出力値として、補正帰還制御ループのフィードバックパスは、操舵角補正情報を提供する。これは、操舵角基準情報φsollから、操舵角補正情報を引くことによって、補正された操舵角基準情報とも呼ばれる第一操舵角情報φ‘sollが得られるように、減算点へ入力される。この第一操舵角情報φ‘soll自身も、操舵装置EPSの帰還制御ループ様の入力情報としての役割を果たす。
【0046】
補正帰還制御ループのフィードバックパス4は、それによって様々な帰還制御機能が実施される一つ又は複数の帰還制御メンバを包含している。尚、複数の帰還制御メンバの機能を一台の物理的な帰還制御手段内において実装したより複雑な帰還制御ストラクチャを用いることも可能であることは、言うまでも無い。
【0047】
示されている実施例では、三つの帰還制御メンバ4.1,4.2,4.3が、想定されている。尚、これは単なる例であり、より多くの又はより少ない数の帰還制御メンバを設けることも可能であることは、自明である。
【0048】
第一帰還制御メンバ4.1は、例えば、不感帯として構成されている、即ち、これは、第一帰還制御メンバ4.1の入力シグナルが、閾値を超えた、又は、下回った場合にのみ、ゼロ以外の出力シグナルを出力する。閾値を超えた後、入力情報と出力情報との間に一次関数的な関係がある場合があり得る。これにより、第一帰還制御メンバ4.1によって、どの閾値から補正帰還制御ループを作動させた方が良いかを定めることができる。
【0049】
第一帰還制御メンバ4.1の閾値は、可変であり、好ましくは、一つ又は複数の制御値sに依存している。
【0050】
この際、少なくとも一つの制御値sは、直接的に第一帰還制御メンバ4.1に、入力値として伝達されることもできるが、第一関数f(s)を介して、制御値sに依存する制御情報に変更してから、第一帰還制御メンバ4.1に対して、閾値を変更するために伝達されることも可能である。
【0051】
補正帰還制御ループのフィードバックパス4は、もう一つの、好ましくは、入力情報として、第一帰還制御メンバ4.1の出力情報を受信する第二帰還制御メンバ4.2も有していることができる。第二帰還制御メンバ4.2は、例えば、ローパス挙動を有する伝達関数GTを備えている。例えば、第二帰還制御メンバ4.2は、PT1メンバとして、乃至、高次元(即ち、x∈{2,3,4,..})のPTxメンバとして、構成されていることができる。但し、ローパス挙動を有する他の帰還制御機能も原則的に考えうる。ローパス挙動により、カットオフ周波数以上の部分をフィルタ除去することができる。これにより、低周波部が、即ち、舵角の緩慢な変化が強調され、これを、組み入れ成分によって増加して行く基準作動モーメントの原因にフィードバックすることで、より自然な操舵挙動が達成できる。代案的には、例えば、他の伝達関数を用いることもできるが、その例としては、標準釈義方法より得られる、例えば、Polゼロ位置補正、状態帰還制御などを用いることも可能である。
【0052】
第二帰還制御メンバ4.2の帰還制御挙動も、可変であり、好ましくは、一つ又は複数の制御値sに依存している。
【0053】
この際、少なくとも一つの制御値sは、直接的に第二帰還制御メンバ4.2に、入力値として伝達されることもできるが、第二関数f(s)を介して、制御値sに依存する制御情報に変更してから、第二帰還制御メンバ4.2に対して、帰還制御特性を変更するために伝達されることも可能である。
【0054】
補正帰還制御ループのフィードバックパス4は、もう一つの、好ましくは、入力情報として、第二帰還制御メンバ4.2の出力情報を受信する第三帰還制御メンバ4.3も有していることができる。第三帰還制御メンバ4.3は、例えば、飽和グリッドとも呼ばれる、リミッタとして、構成されていることができる。該リミッタは、フィードバック情報の振幅(特に、第二帰還制御メンバ4.2の出力シグナル)を、安全と言う観点から高さ過ぎるフィードバック値を回避するために、制限する役割を有している。
【0055】
第三帰還制御メンバ4.3は、好ましくは、振幅制限がそこから実施される閾値を有している。該閾値は、可変であるが、好ましくは、一つ又は複数の制御値sに依存している。
【0056】
この際、少なくとも一つの制御値sは、直接的に第三帰還制御メンバ4.1に、入力値として伝達されることもできるが、第三関数f(s)を介して、制御値sに依存する制御情報に変更してから、第三帰還制御メンバ4.3に対して、閾値を変更するために伝達されることも可能である。
【0057】
第一から第三の関数f(s)からf(s)としては、少なくとも一つの制御値sの影響を、各々の帰還制御メンバ4.1から4.3に与える一つのないし複数の単調増加する又は単調減少する関数上記の単調増加乃至単調減少する関数とは異なり、他の関数タイプ、例えば、二次関数なども使用することができる。
【0058】
複数の異なる制御値sを用いるケースでは、関数f(s)からf(s)も、複数の関数部分を有していることができるが、それぞれ一つの制御値sを各々の関数部分用の入力値として用いることにより、各々の関数f(s)からf(s)の総合結果に、複数の制御値によって影響を与えることができる。
【0059】
制御値sとしては、以下に示すうち一つの又は複数の情報を用いることができる:
ヒューマンドライバーによってステアリングホイールにかけられた操舵モーメント。これは、例えば、ヒューマンドライバーの操舵モーメントが増加するのに伴い、不感帯の幅を、ドライバーが、第一帰還制御ユニット2から外乱として補正制御されることを回避するために、縮小されることができる。
【0060】
操舵角速度、即ち、操舵角が変化する速度。これは、操舵角速度が増すにつれて不感帯の閾値、即ち、不感帯の幅を、低減し、オプション的に、第二帰還制御メンバ4.2の伝達関数GTの増幅を高め、それにより、チャージされすぎたI成分による振り切りを回避するために、用いられる。
【0061】
カーブの湾曲度(即ち、走行しているカーブのカーブ半径の逆数)。これは、カーブの湾曲度が低くなれば、不感帯の閾値、即ち、不感帯の幅は、振動を回避するために、縮小される。
【0062】
車両速度。これは、帰還制御メンバ4.1から4.3の補正を、少なくとも部部的に速度に依存させることができる様にするために用いられる。
【0063】
本発明は、上記実施例によって説明された。しかしながら、特許請求項に定義されている請求範囲を逸脱することなく、数多くの変更やヴァリエーションが可能であることは、言うまでも無いことである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニット(2)を包含し、
該帰還制御ユニット(2)が、操舵角基準情報(φ soll )から割出される第一操舵角情報(φ’ soll )と実測操舵角(φ)との間の帰還制御差を受信し、且つ、操舵系を作動させるモータ(3)用に制御情報を提供できるように構成されており、
該第一帰還制御ユニット(2)に累積される補正帰還制御ループが想定され、
該補正帰還制御ループが、入力値としてモータ(3)の制御情報、モータ(3)の出力モーメント、及び/又は、モータ(3)の出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報(φ komp )を提供するフィードバックパス(4)を有し、
該操舵角補正情報(φ komp )に基づいた操舵角基準情報(φ soll )の第一操舵角情報(φ’ soll )に対する適合が実施され、且つ、
該補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能である、但し、該制御値(s)は、操舵装置に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値である、車両の操舵角を帰還制御するための帰還制御装置。
2.
第一帰還制御ユニット(2)が、PID帰還制御手段、又は、Iメンバに即した帰還制御挙動を有している上記1に記載の帰還制御装置。
3.
第一帰還制御ユニット(2)が、第一帰還制御ユニット(2)の帰還制御挙動を適合させるための外部インターフェースを有していない自己完結型帰還制御ユニットである上記1又は2に記載の帰還制御装置。
4.
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)の入力値が、第一帰還制御ユニット(2)の基準モーメント情報、モータ(3)を流れる電動モーメントを形成する電流の強さ、又は、その電流の強さと比例する測定情報である上記1~3のいずれか1つに記載の帰還制御装置。
5.
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、閾値に依存した不感帯として形成される第一帰還制御メンバ(4.1)を有している上記1~4のいずれか1つに記載の帰還制御装置。
6.
不感帯の閾値が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能である上記5に記載の帰還制御装置。
7.
該帰還制御装置(1)が、不感帯の閾値を、第一関数(f1)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されている上記5又は6に記載の帰還制御装置。
8.
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、ローパスフィルタとして形成される第二帰還制御メンバ(4.2)を有している上記1~7のいずれか1つに記載の帰還制御装置。
9.
第二帰還制御メンバ(4.2)が、PT1メンバ、乃至、高次元のPTメンバを、有している上記8に記載の帰還制御装置。
10.
第二帰還制御メンバ(4.2)の帰還制御挙動が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して可変である上記8又は9に記載の帰還制御装置。
11.
帰還制御装置(1)が、第二帰還制御メンバ(4.2)の帰還制御挙動を、第二関数(f2)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されている上記10に記載の帰還制御装置。
12.
補正帰還制御ループのフィードバックパス(4)が、リミッタとして形成される第三帰還制御メンバ(4.3)を有している上記1~11のいずれか1つに記載の帰還制御装置。
13.
該リミッタが、その値から出力シグナルの振幅の制限が実施される閾値を有しており、且つ、該閾値が、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更可能である上記12に記載の帰還制御装置。
14.
帰還制御装置(1)が、第三帰還制御メンバ(4.3)の閾値を、第三関数(f3)をベースに、少なくとも一つの制御値(s)に依存して算出することができる様に構成されている上記13に記載の帰還制御装置。
15.
少なくとも一つの組み入れ成分を有する帰還制御挙動を示す第一帰還制御ユニット(2)を包含する帰還制御装置(1)を用い、
該帰還制御ユニット(2)が、操舵角基準情報(φ soll )から割出される第一操舵角情報(φ’ soll )と実測操舵角(φ)との間の帰還制御差を受信し、且つ、操舵系を作動させるモータ(3)用に制御情報を提供し、
一つのフィードバックパス(4)を有する第一帰還制御ユニット(2)に累積された補正帰還制御ループが想定されており、
該フィードバックパスが、該補正帰還制御ループが、入力値としてモータ(3)の制御情報、モータ(3)の出力モーメント、及び/又は、モータ(2)の出力モーメントに依存した情報を受信し、これらの入力値に基づいて操舵角補正情報(φ komp )を提供し、
該操舵角補正情報(φ komp )に基づいて操舵角基準情報(φ soll )を、第一操舵角情報(φ’ soll )に対して適合し、
該補正帰還制御ループの帰還制御挙動は、少なくとも一つの制御値(s)に依存して変更される、但し、該制御値(s)は、操舵装置に対するヒューマンドライバーの介入値、及び/又は、走行状況に依存する測定値である、車両の操舵角を帰還制御するための方法。
【符号の説明】
【0064】
1 帰還制御装置
2 第一帰還制御ユニット
3 モータ
4 補正帰還制御ループのフィードバックパス
4.1 第一帰還制御メンバ
4.2 第二帰還制御メンバ
4.3 第三帰還制御メンバ
5 機械的操舵系
d 摩擦
外乱値
EPS 操舵装置
第一関数
第二関数
第三関数
s 制御値
EPS モータ由来の操舵モーメント
soll 基準作動モーメント
φkomp 操舵角補正情報
φsoll 設定操舵角度
φ’soll 第一操舵角情報
φ 実測操舵角
図1
図2
図3