(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】低誘電率、低損失レドーム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20230523BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20230523BHJP
【FI】
H01Q1/42
B32B7/025
(21)【出願番号】P 2021559053
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020026098
(87)【国際公開番号】W WO2020205923
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507358446
【氏名又は名称】レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】16401 Swingley Ridge Road, Suite 700, Chesterfield, Missouri 63017 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ、ホアン ディン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、リチャード エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マクベイン、ダグラス エス.
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079448(JP,A)
【文献】特開2016-149756(JP,A)
【文献】特開平03-224304(JP,A)
【文献】特開平11-322924(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108467532(CN,A)
【文献】米国特許第07420523(US,B1)
【文献】特表2014-506197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材内に取り込まれたミクロスフェアを含む低誘電率、低損失のレドームであって、前記ミクロスフェア
が全体的な比誘電率を低下させることにより、
前記レドームは、前記レドームの厚さを通して2.5未満の比誘電率を有
し、かつ、
前記レドームは、異方性であるように構成され、水平偏光と垂直偏光との間の交差偏光の差を低減するように構成されているか;
前記レドームは、前記レドームが硬化前に熱成形可能な均質かつ統合された構造を有するように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
前記レドームが、コアの両側に配置されて3層積層Aサンドイッチ構造を画定する外側及び内側のスキン層を有しないように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、レドーム。
【請求項2】
前記ミクロスフェアは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、及び中空セラミックミクロスフェアのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のレドーム。
【請求項3】
前記母材内に
前記繊維
を含む、請求項1又は2に記載のレドーム。
【請求項4】
前記繊維は、難燃性メタアラミド材料、オープンウィーブポリマーファブリック、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維、及び高密度ポリ
プロピレン繊維のうちの1つ以上を含む、請求項3に記載のレドーム。
【請求項5】
前記繊維は補強及び機械的強度を提供するように構成されている、請求項3又は4に記載のレドーム。
【請求項6】
母材内に取り込まれたミクロスフェアを含む低誘電率、低損失のレドームであって、前記ミクロスフェアが全体的な比誘電率を低下させることにより、前記レドームは、前記レドームの厚さを通して2.5未満の比誘電率を有し、
前記レドームは、前記母材内に繊維をさらに含み、
前記繊維及び
前記ミクロスフェアは、前記レドームが硬化前に熱成形可能な均質かつ統合された構造を有するように前記母材内に取り込まれている
、レドーム。
【請求項7】
前記均質かつ統合された構造は単層構造である、請求項6に記載のレドーム。
【請求項8】
第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層の間のコアとを含み、前記第1及び第2の層は前記母材及び前記母材に取り込まれた
前記ミクロスフェアを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項9】
前記ミクロスフェアは前記第1及び第2の層内に取り込まれて前記レドームの全体的な比誘電率を低下させることにより、前記第1及び第2の層はそれぞれ約3.6以下の比誘電率を有する、請求項8に記載のレドーム。
【請求項10】
前記コアは:
熱硬化性母材内の、約1.7以下の比誘電率を有するミクロスフェア;又は
約1.03以下の比誘電率を有する熱可塑性ハニカムコア
を含む、請求項8又は9に記載のレドーム。
【請求項11】
前記コアは、
前記レドームが熱成形及び硬化されるように熱硬化性コアを含むか、又は
前記コアは、
前記レドームが熱成形可能であるように熱可塑性フォームコアを含む、請求項8又は9に記載のレドーム。
【請求項12】
3次元で形成又は成形され、完全に硬化するように構成された部分的に硬化させたBステージ材料;又は
ファブリック又は繊維が埋め込まれたBステージエポキシ樹脂を含む、請求項8又は9に記載のレドーム。
【請求項13】
前記レドームは、第1及び第2の熱可塑性層と、前記第1及び第2の熱可塑性層の間の熱可塑性コアとを含むことにより、前記レドームは熱成形可能であり、
前記熱可塑性コアは熱可塑性フォーム又は熱可塑性ハニカムを含み、
前記第1及び第2の熱可塑性層は前記母材及び前記母材内に取り込まれた前記ミクロスフェアを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項14】
前記ミクロスフェアは前記第1及び第2の熱可塑性層内に取り込まれて前記レドームの全体的な比誘電率を低下させることにより、前記第1及び第2の熱可塑性層はそれぞれ約2.8以下の比誘電率を有する、請求項13に記載のレドーム。
【請求項15】
前記母材は、射出成形可能な樹脂を含み、
前記レドームは、約20GHz~約90GHzの周波数で約1.5~約2.5の範囲内の全体的な比誘電率、及び約0.01未満の全体的な低損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成された射出成形されたレドームである、請求項1~5のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項16】
前記母材は、ポリプロピレン、又はポリカルボナート及びポリブチレンテレフタラートのブレンドを含む、請求項1~5及び15のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項17】
母材内に取り込まれたミクロスフェアを含む低誘電率、低損失のレドームであって、前記ミクロスフェアが全体的な比誘電率を低下させることにより、前記レドームは、前記レドームの厚さを通して2.5未満の比誘電率を有し、
前記レドームは、前記母材内に繊維をさらに含み、
前記レドームが、コアの両側に配置されて3層積層Aサンドイッチ構造を画定する外側及び内側のスキン層を有しないように、前記繊維及び
前記ミクロスフェアは前記母材内に取り込まれている
、レドーム。
【請求項18】
前記レドームがUL94火炎定格V0を有するように、
前記レドームの少なくとも一部に適用され又は取り込まれた難燃剤をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項19】
母材内に取り込まれたミクロスフェアを含む低誘電率、低損失のレドームであって、前記ミクロスフェアが全体的な比誘電率を低下させることにより、前記レドームは、前記レドームの厚さを通して2.5未満の比誘電率を有し、前記レドームが異方性であるように構成され、水平偏光と垂直偏光との間の交差偏光の差を低減するように構成されている
、レドーム。
【請求項20】
約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率、
約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率、及び
約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率
のうちの1つ以上を有するように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のレドーム。
【請求項21】
低誘電率、低損失のレドーム用の材料であって、前記材料は母材内に取り込まれたミクロスフェアを含み、前記ミクロスフェア
が全体的な比誘電率を低下させることにより、
前記材料は、前記材料の厚さを通して2.5未満の比誘電率を有
し、かつ、
前記材料は、異方性であるように構成され、水平偏光と垂直偏光との間の交差偏光の差を低減するように構成されているか;
前記材料は、前記材料が硬化前に熱成形可能な均質かつ統合された構造を有するように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
前記材料が、コアの両側に配置されて3層積層Aサンドイッチ構造を画定する外側及び内側のスキン層を有しないように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、材料。
【請求項22】
前記ミクロスフェアは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、及び中空セラミックミクロスフェアのうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の材料。
【請求項23】
前記母材内に
前記繊維
を含む、請求項21又は22に記載の材料。
【請求項24】
前記繊維は、難燃性メタアラミド材料、オープンウィーブポリマーファブリック、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維、及び高密度ポリ
プロピレン繊維のうちの1つ以上を含む、請求項23に記載の材料。
【請求項25】
前記母材は、ポリプロピレン、又はポリカルボナート及びポリブチレンテレフタラートのブレンドを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の材料。
【請求項26】
前記材料がUL94火炎定格V0を有するように、前記材
料に適用され又は取り込まれた難燃剤をさらに含み、
約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率、
約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率、及び
約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率
のうちの1つ以上を有するように構成されている、請求項21~25のいずれか一項に記載の材料。
【請求項27】
約2.5以下の比誘電率を有する低誘電率、低損失のレドームを作製する方法であって、全体的な比誘電率を低下させるためにミクロスフェアを母材に取り込ませることで、レドームの厚さを通して比誘電率を2.5未満にすることを含
み、かつ、
前記レドームは、異方性であるように構成され、水平偏光と垂直偏光との間の交差偏光の差を低減するように構成されるか;
前記レドームは、前記レドームが硬化前に熱成形可能な均質かつ統合された構造を有するように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
前記レドームが、コアの両側に配置されて3層積層Aサンドイッチ構造を画定する外側及び内側のスキン層を有しないように、前記母材内に取り込まれた繊維及び前記ミクロスフェアを含むか;
又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせとする方法。
【請求項28】
前記ミクロスフェアは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、及び中空セラミックミクロスフェアのうちの1つ以上を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記繊維を前記母材に取り込ませることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ミクロスフェアは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、及び中空セラミックミクロスフェアのうちの1つ以上を含み、
前記繊維は、難燃性メタアラミド材料、オープンウィーブポリマーファブリック、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維、及び高密度ポリ
プロピレン繊維のうちの1つ以上を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記繊維及び前記ミクロスフェアを前記母材に取り込ませることは、前記繊維及び前記ミクロスフェアを前記母材にカレンダー加工することを含み、それにより、硬化前に熱成形可能なカレンダー加工されたワンピース構造を提供する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記繊維及び前記ミクロスフェアを前記母材に取り込ませることは、前記繊維及び前記ミクロスフェアを前記母材にカレンダー加工することを含み、それにより、硬化前に熱成形可能なカレンダー加工されたワンピース構造を提供する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、第1及び第2の熱可塑性層の間の熱可塑性コアを熱成形することによって熱成
形レドームを提供することを含み、
前記熱可塑性コアは熱可塑性フォーム又は熱可塑性ハニカムを含み、
前記第1及び第2の熱可塑性層は前記母材内に取り込まれた前記ミクロスフェアを含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
射出成形により、前記母材内に取り込まれた前記ミクロスフェアを含む射出成形されたレドームを提供することを含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記母材は熱可塑性樹脂を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、又はポリカルボナート及びポリブチレンテレフタラートのブレンドを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記レドームは、
約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率、
約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率、及び
約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率
のうちの1つ以上を有するように構成される、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に低誘電率、低損失のレドームに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
レドームは、アンテナ用の電磁透過性の環境保護エンクロージャである。レドームの設計は通常、屋外環境の構造的要求を満たし、かつ電磁エネルギーの損失を最小限に抑える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本願に記載の図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実装ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】第1及び第2の混合され、均質な、及び/又は統合された層と、第1及び第2の混合され、均質な、間の内部層とを含むレドームの例示的な実施形態を示す。
【
図2】単一の統合された構造を有するレドームの例示的な実施形態を示す。
【
図3】第1及び第2の層と、第1及び第2の層の間の内部層又はコアを含むレドームの例示的な実施形態を示す。
【
図4】第1及び第2の層と、第1及び第2の層の間の内部層又はコアを含むレドームの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
対応する参照番号は、図面中のいくつかの図を通して対応する(ただし必ずしも同一ではない)パーツを示す場合がある。
詳細な説明
次に、例示的な実施形態を、添付の図面を参照してより十分に説明する。
【0005】
従来のレドームは、屋外で使用するための構造的要求を満たすことができる複合材料で作られていた。しかし、本明細書で認識されるように、従来のレドーム複合材料は、特に高周波ではかなり高い比誘電率(例えば、2.8の比誘電率など)及び誘電正接を有する傾向がある。
【0006】
したがって、本明細書に開示されるのは、比較的高い周波数で全体的に低い比誘電率及び全体的に低い損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成された低誘電率、低損失のレドームの例示的な実施形態である。例えば、本明細書に開示されるのは、ミリ波周波数及び/又は比較的高い周波数(例えば、約20ギガヘルツ(GHz)~90GHz、約20GHz~約50GHz、約24GHz~約40GHzなど)で全体的に低い比誘電率(例えば、約1.3~約1.8、約1.67、約1.19、約1.5、約1.59、約1.76、約1.45、約1.3~約1.6、約1.3未満など)及び全体的に低い損失正接又は誘電正接(Df)(例えば、約0.002~約0.01、約0.002、約0.0047、約0.0024、約0.0028、約0.0055、約0.005、約0.006未満など)を有するように構成されたレドームの例示的な実施形態である。
【0007】
例示的な実施形態では、レドームは、約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約2以下の比誘電率を有するように構成され得る。例えば、レドームは、約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率を有するように構成され得る。又は、例えば、レドームは、約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の誘電率を有するように構成され得る。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、ハニカムタイプの低誘電率及び低損失材料(例えば、ポリカーボネートハニカムなど)が、低損失複合スキン又は層(広義には部分)の間のレドームコアに使用される。スキン又はレイヤーは、高い衝撃に耐え、屋外の環境保護を提供するように構成できる。スキン又は層は、熱可塑性及び/又は熱硬化性材料、ミクロスフェア(例えば、中空ガラス、プラスチック、及び/又はセラミックのミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)を有する複合熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン(HDPE)、プリプレグガラス繊維又はミクロスフェアを有するプリプレグ複合熱硬化性樹脂を含み得る。
【0009】
いくつかの例示的な実施形態では、レドームコアがUL94火炎定格を有するように、難燃剤がレドームのハニカムコア又は他の多孔質コアに適用され及び/又は取り込まれる。難燃剤は、好ましくは、レドームコアのオープンセル又は細孔を完全に遮断又は閉塞しないように、レドームコアのオープンセル又は細孔を画定する表面に沿って十分に薄いコーティング又は層を形成する。したがって、レドームに比較的開いた構造を維持することにより、レドームの比較的低い比誘電率を達成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、難燃剤はまた、レドームの外側のスキン又は層及び/又は内側のスキン又は層のいずれか又は両方に沿うようになどして、レドームの1つ以上の他の部分に適用及び/又は取り込まれ得る。
【0010】
難燃剤は、いくつかの例示的な実施形態では、ハロゲンを含まないリン系の難燃剤(例えば、リン酸アンモニウム塩など)を含み得る。例として、難燃剤は、いくつかの例示的な実施形態では、最大900ppm以下の塩素、最大900ppm以下の臭素、及び最大1,500ppm以下の総ハロゲンを含み得る。
【0011】
いくつかの例示的な実施形態では、レドームは、低比誘電率(例えば、約1.05以下、約1.03など)及び低損失正接又は誘電正接(Df)(例えば、約0.0009以下など)を有するオープンセル構造又は多孔質構造を有するコアを含む。そのような例示的な実施形態では、レドームは、約1.4の全体的な比誘電率及び約0.002の損失正接又は誘電正接Dfを有し得、複合スキンは、約2.5ミリメートル(mm)の厚さを有する。いくつかの例示的な実施形態では、全体の厚さは約1mm程度の薄さでもよい。
【0012】
ここで、例示的な実施形態による様々なレドームサンプルの説明を提供する。第1のレドームサンプルは、約3ミリメートルの厚さ、約1.68の全体的な比誘電率及び約0.0047の損失正接を有していた。第1のレドームサンプルは、熱硬化性母材内に中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡を含む熱硬化性複合材料を含んでいた。熱硬化性複合材料の比誘電率は約1.7であった。第1のレドームサンプルは、熱硬化性複合材料の内側部分と外側部分にそれぞれ沿った複合繊維強化樹脂製の内側及び外側スキン、層、又は部分も含んでいた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、それぞれ約2.6の比誘電率を有していた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、高密度ポリエチレン(HDPE)(例えば、超高分子量ポリエチレンから作られたSPECTRA製の繊維など)を含んでいた。これに加え、又はこれに代えて、内側及び外側のスキン、層、又は部分は、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維(例えば、INNEGRA高密度ポリプロピレン繊維など)を含んでもよい。
【0013】
第2のレドームサンプルは、約3ミリメートルの厚さ、約1.19の全体的な比誘電率、及び約0.0024の損失正接を有していた。第2のレドームサンプルは、約1.03の比誘電率を有するハニカムコア(例えば、ポリカーボネートハニカム、熱可塑性ハニカムなど)を含んでいた。第2のレドームサンプルは、ハニカムコアの内側部分と外側部分にそれぞれ沿った複合繊維強化樹脂製の内側及び外側のスキン、層、又は部分も含んでいた。内側及び外側のスキン、層、又は部分はそれぞれ約2.6の比誘電率を有していた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、高密度ポリエチレン(HDPE)(例えば、超高分子量ポリエチレンから作られたSPECTRA製の繊維など)を含んでいた。これに加え、又はこれに代えて、内側及び外側のスキン、層、又は部分は、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維(例えば、INNEGRA高密度ポリプロピレン繊維など)を含んでもよい。
【0014】
第3のレドームサンプルは、約3.8ミリメートルの厚さ、約1.5の全体的な比誘電率、約0.0028の損失正接、及び防水コーティングを有していた。第3のレドームサンプルは、約1.03の比誘電率を有するハニカムコア(例えば、ポリカーボネートハニカム、熱可塑性ハニカムなど)を含んでいた。第3のレドームサンプルは、ハニカムコアの内側部分と外側部分にそれぞれ沿った複合繊維強化樹脂製の内側及び外側のスキン、層、又は部分も含んでいた。内側及び外側のスキン、層、又は部分はそれぞれ2.2の比誘電率を有していた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、熱硬化性母材内に中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡と、高密度ポリエチレン(HDPE)繊維(例えば、超高分子量ポリエチレンから作られたSPECTRA製の繊維など)とを含む熱硬化性複合材料を含む。これに加え、又はこれに代えて、内側及び外側のスキン、層、又は部分は、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維(例えば、INNEGRA高密度ポリプロピレン繊維など)を含んでもよい。
【0015】
第4のレドームサンプルは、約3.7ミリメートルの厚さ及び約1.59の全体的な誘電率を有していた。第4のレドームサンプルは、約1.03の比誘電率を有するハニカムコア(例えば、ポリカーボネートハニカム、熱可塑性ハニカムなど)を含んでいた。第4のレドームサンプルは、ハニカムコアの内側部分と外側部分にそれぞれ沿った複合繊維強化樹脂製の内側及び外側のスキン、層、又は部分も含んでいた。内側及び外側のスキン、層、又は部分はそれぞれ約3.6の比誘電率を有していた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、熱硬化性の中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡、及びガラス繊維(例えば、Eガラスなど)を含んでいた。
【0016】
第5のレドームサンプルは、約2.8ミリメートルの厚さ、約1.76の全体的な誘電率、及び約0.0055の損失正接を有していた。第5のレドームサンプルは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡を含み、比誘電率が約1.6の熱硬化性複合材料(ウレタン母材など)を含んでいた。第5のレドームサンプルは、NOMEX難燃性メタアラミド材料、DACRONオープンウィーブ(open weave)ポリマーファブリック、その他のオープンウィーブポリマーファブリック、その他のプリプレグ又は強化材などの繊維/ファブリックも含んでいた。繊維/ファブリックは、第5のレドームサンプルが単一の統合された構造を有するように、熱硬化性複合材料内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた(例えば、カレンダー加工されるなど)。埋め込まれた繊維/ファブリックは、荷重を担持するように熱硬化性複合材料に補強及び強度を提供し、一方、低誘電率の中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡は、全体的な比誘電率を低下させるのを助ける。したがって、第5のレドームサンプルは、外側及び内側のスキン層がコアの両側に配置又は積層された3層積層Aサンドイッチ構造を有していなかった。
【0017】
第6のレドームサンプルは、約1.3ミリメートル~約3ミリメートルの範囲内の厚さ、約1.45の全体的な比誘電率、及び約0.005の損失正接を有していた。第6のレドームサンプルは、約1.03の比誘電率を有するハニカムコア(例えば、ポリカーボネートハニカム、熱可塑性ハニカムなど)を含んでいた。第6のレドームサンプルは、ハニカムコアの内側部分と外側部分にそれぞれ沿った熱可塑性樹脂製の内側及び外側のスキン、層、又は部分も含んでいた。内側及び外側のスキン、層、又は部分はそれぞれ約2.8の比誘電率を有していた。内側及び外側のスキン、層、又は部分は、ポリカーボネート及び熱可塑性アクリル-ポリ塩化ビニル材料(例えば、KYDEX熱可塑性アクリル-ポリ塩化ビニル材料など)を含んでいた。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態では、レドームは、1つ以上の混合され、均質な、及び/又は統合された層を含む。各層は、補強及び強度のために層内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた繊維/ファブリックを含み得る。各層は、全体的な比誘電率を低下させるために、層内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡(例えば、シンタクチックフォームなど)をさらに含み得る。
【0019】
図1に示されるそのような例示的な実施形態の1つでは、レドーム100は、第1及び第2(又は上側及び下側)の混合され、均質な、及び/又は統合された層104及び108を含む。この例示的な実施形態では、第1及び第2の混合層104、108は、補強及び強度のために、その中に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた繊維及び/又はファブリックを含む。また、この例示的な実施形態では、第1及び第2の混合層104、108は、全体的な比誘電率を低下させるために層内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡をさらに含む。1つ以上の任意の内部層112が、第1及び第2の混合され、均質な、及び/又は統合された層104、108の間に配置されてもよく、それによって機械的強度のための追加の層を提供する。したがって、本開示の態様は、機械的強度などのための任意選択の内部層の追加を可能にすることによって、より大きな自由度を可能にする。
【0020】
図2は、単一の統合された構造を有するレドーム200の例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、レドーム200は、内側及び外側のスキン層の間には配置されていない均一な、均質な、又は統合された(例えば、カレンダー加工されたなどの)材料216を含み、その結果、レドーム200は、層状サンドイッチ構造を有しない。別の言い方をすれば、レドーム200のこの例示的な実施形態は、コアの両側に沿って積層され又は他の態様で配置されて共に3層積層Aサンドイッチ構造を画定する別個の又は異なる外側及び内側のスキン層を含まない。
【0021】
レドーム200の均一な材料216は、熱硬化性母材(例えば、エポキシ、シリコーン、ポリウレタン、フェノール系、その他の熱硬化性ポリマー、樹脂、プラスチックなど)内に(例えば、カレンダー加工されるなど)、強化繊維及び低比誘電率、低損失フィラー(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェアなど)を含み得る。強化繊維は、熱硬化性母材内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた(例えば、カレンダー加工されるなどした)繊維を含み得る。例えば、繊維及びミクロスフェアを熱硬化性母材内にカレンダー加工することにより、硬化前に熱成形可能なカレンダー加工されたワンピース構造を提供することができる。
【0022】
レドーム200の均一な材料216は、好ましくは、均一な材料216の幅又は厚さ全体にわたって一貫した超低比誘電率(例えば、60GHz超の周波数で約2.5未満の比誘電率、0.7以下の比誘電率、約1.76以下の比誘電率など)を有する。レドーム200は、偏角(off angle)及び入射面で良好な又はより高い信号性能を提供するように構成され得、その結果、より良好な高い周波数帯域幅(例えば、60ギガヘルツ(GHz)超など)を提供し得る。
【0023】
例示的な実施形態では、統合された構造を有するレドーム200は、約2ミリメートル(mm)~約3mm(例えば、2mm、2.5mm、2.75mm、3mmなど)の範囲内の全体的な厚さを有し得る。代替の実施形態では、レドーム200は、異なる全体的な厚さ、例えば、2mm未満、3mm超などを有し得る。
【0024】
例示的な実施形態では、レドーム200は、約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で少なくとも約2.6キロボルト/ミリメートルの絶縁耐力、約2以下の比誘電率、及び/又は約0.02以下の低損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成され得る。例えば、レドーム200は、約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率;及び/又は約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率;及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率を有するように構成され得る。
【0025】
例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム200(
図2)など)は、低比誘電率、低損失、及び低重量を有するように構成され得る。レドームは、屋外用途のために、強い耐衝撃性、構造的要求のための高い引張強度、及び剛性を備えて構成又は適合させることができる。レドームは、その幅全体にわたって均一な比誘電率を提供する均質な比誘電率材料を含み得る。これにより、最初の入射面での比誘電率が低くなり、信号の通過強度が向上し、偏角での信号性能が向上する。レドームは、信号干渉が非常に少ないアンテナの環境保護を提供するように構成することができる。レドームは、5Gアンテナアプリケーションでのパフォーマンスのために構成(例えば、最適化など)することができる。レドームの均質な構造により、レドームの性能が向上し、信号の通過強度が向上し、より高い入射角での信号性能が向上する。レドームは、RoHSやREACHなどに対応する環境に優しい解決策となり得る。
【0026】
例として、以下の表1は、例示的な実施形態においてレドーム(例えば、レドーム200(
図2)など)が有し得る例示的な特性を含む。他の例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム300(
図3)、レドーム400(
図4)など)は別様に構成されてもよく、例えば、1つ以上の異なる特性を有することができる。
【0027】
【0028】
図3は、第1及び第2の熱成形可能な熱可塑性層304、308と、第1及び第2の層304、308の間の熱成形可能な熱可塑性内部層又はコア312とを含むレドーム300の例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、レドーム300は、レドーム300が、例えば湾曲した形状、その他の非平面又は複雑な形状などに熱成形可能であるように、超低比誘電率熱可塑性材料(例えば、熱可塑性フォームコアに沿った熱可塑性スキン又は層など)を含み得る。例えば、レドーム300は、屋内用途の工業デザインの必要性に応じて複雑な形状に、又はドーム型に熱成形可能である。
【0029】
コア312は、低比誘電率を有する熱可塑性プラスチックを含み得る。例として、コア312は、熱可塑性フォーム、ウレタンフォーム、エアブローフォーム、熱可塑性ハニカムなどを含み得る。
【0030】
第1及び第2の層304、308は、低比誘電率を有する熱可塑性樹脂材料を含み得る。例として、第1及び第2の層304、308は、接着剤を介してコア312に接着された熱可塑性プラスチックを含み得る。第1及び第2の層304、308は、それぞれ、約2.8以下の比誘電率を有し得る。第1及び第2の層304、38は、熱可塑性樹脂材料中に繊維及び/又はミクロスフェア(例えば、中空ガラス、プラスチック、及び/又はセラミックミクロスフェアなど)を含み得る。繊維は、難燃性メタアラミド、オープンウィーブポリマーファブリック、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維、及び/又は高密度ポリエチレン繊維のうちの1つ以上を含み得る。
【0031】
レドーム300は、ゼロ度の入射角及び約18GHz~約40GHzまでの周波数帯域幅で良好又は最良の信号性能を提供するように構成され得る。
例示的な実施形態では、第1及び第2の層304、308はそれぞれ、約0.25ミリメートル(mm)~約0.5mm(例えば、0.25mm、0.38mm、0.43mm、0.5mmなど)の範囲内の層厚を有し得る。他の例示的な実施形態では、第1及び第2の層304、308のいずれか一方又は両方は、0.25mm未満又は0.5mmを超えるなどの厚さを有し得る。例示的な実施形態では、第1及び第2の層304、308は、それぞれ、ほぼ同じ厚さを有し得る。他の例示的な実施形態では、第1及び第2の層304、308は、互いに異なる厚さを有し得る。
【0032】
例示的な実施形態では、レドーム300は、ミリ波5G周波数(例えば、28GHz、39GHzなど)及び/又は約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で少なくとも約4キロボルト/ミリメートルの絶縁耐力、約2以下の全体的な比誘電率、及び/又は約0.01以下の全体的な低損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成され得る。例えば、レドーム300は、約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率;及び/又は約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85の比誘電率;及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率を有するように構成され得る。
【0033】
例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム300(
図3)など)は、低比誘電率、低損失、及び低重量を有するように構成され得る。レドームは、屋外及び屋内用途のために、強い耐衝撃性、構造的要求のための高い引張強度、及び剛性を備えて構成又は適合させることができる。レドームは熱可塑性であり得、デバイスの用途と美的ニーズに合うように複雑な曲線に熱成形することができる。レドームは、顧客が求める色のニーズを満たすように塗装することができる。レドームは、5G屋内アンテナ及びルーターデバイスに使用するように構成され得る。
【0034】
レドームは、信号干渉が非常に少ないアンテナの環境保護を提供するために使用できる。レドームは、5Gアンテナアプリケーションでのパフォーマンスのために構成(例えば、最適化など)することができる。レドームは、全てが熱可塑性のシステムを備え、及び/又は、レドーム材料を熱成形して5Gデバイスの外側デザインに取り込ませられるような熱可塑性特性を備えていてもよい。レドームは、RoHSやREACHなどに対応する環境に優しい解決策となり得る。
【0035】
例として、以下の表2は、例示的な実施形態においてレドーム(例えば、レドーム300(
図3)など)が有し得る例示的な特性を含む。他の例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム200(
図2)、レドーム400(
図4)など)は別様に構成されてもよく、例えば、1つ以上の異なる特性を有することができる。
【0036】
【0037】
図4は、第1及び第2の層404、408と、第1及び第2の層404、408の間の内部層又はコア412とを含むレドーム400の例示的な実施形態を示す。例として、コア412は、ハニカムタイプの低誘電率及び低損失の複合材料(例えば、ポリカーボネートハニカムなど)を含み得、低損失複合スキン又は層(広義には部分)の間のレドームコアに使用される。又は、例えば、コア412は熱成形可能な材料、発泡体(例えば、熱可塑性フォーム、熱硬化性フォーム、ウレタンフォームなど)、低比誘電率を有するオープンセル構造又は多孔質構造、低比誘電率を有する他の材料などを含み得る。
【0038】
例示的な実施形態では、コア412は、レドーム400が熱成形及び硬化されるように熱硬化性コアを含む。別の例示的な実施形態では、コア412は、レドーム400が熱成形可能であるように熱可塑性フォームコアを含む。
【0039】
第1及び第2の層404、408は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ、シリコーン、ポリウレタン、フェノール系、その他の熱硬化性ポリマー、樹脂、プラスチックなど)内に強化繊維及び低比誘電率、低損失フィラー(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェアなど)を含み得る。強化繊維は、熱硬化性樹脂内に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた(例えば、カレンダー加工されるなどした)繊維を含み得る。第1及び第2の層404、408は、高い衝撃に耐え、屋外環境保護を提供するように構成され得る。第1及び第2の層404、408は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ミクロスフェア(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン(HDPE)、プリプレグガラス繊維、又はミクロスフェアを有するプリプレグ複合熱硬化性樹脂、その他の超低比誘電率スキンなどを含み得る。
【0040】
例として、第1及び第2の層404、408は、より良い高周波帯域幅及び約18GHz~約90GHzまでの良好な全体的性能のために、比較的低い比誘電率(例えば、レドーム300の第1及び第2の層304、308の比誘電率よりも低い)を有し得る。レドーム400は、信号が材料に入るときの損失がより低くなるように構成することができる。レドーム400は、より良好な、及び/又はより一定の偏角性能を可能にするように構成され得る。
【0041】
例示的な実施形態では、第1及び第2の層404、408はそれぞれ、約0.25ミリメートル(mm)~約1mm(例えば、0.25mm、0.38mm、0.5mm、1mmなど)の範囲内の層厚を有し得る。他の例示的な実施形態では、第1及び第2の層404、408のいずれか一方又は両方は、0.25mm未満又は1mmを超えるなどの厚さを有し得る。例示的な実施形態では、第1及び第2の層404、308は、それぞれ、ほぼ同じ厚さを有し得る。他の例示的な実施形態では、第1及び第2の層404、408は、互いに異なる厚さを有し得る。
【0042】
例示的な実施形態では、レドーム400は、ミリ波5G周波数(例えば、28GHz、39GHzなど)及び/又は約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で少なくとも約3.56キロボルト/ミリメートルの絶縁耐力、約2以下の全体的な比誘電率、及び/又は約0.05以下の全体的な低損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成され得る。例えば、レドーム400は、約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率;及び/又は約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率;及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率を有するように構成され得る。
【0043】
例示的な実施形態では、レドーム400は、3次元で形成又は成形され、完全に硬化するように構成された部分的に硬化させたBステージ材料;及び/又はファブリック及び/又は繊維が埋め込まれたBステージエポキシ樹脂を含み得る。
【0044】
例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム400(
図4)など)は、低比誘電率、低損失、及び低重量を有するように構成され得る。レドームは、屋外用途のために、強い耐衝撃性、構造的要求のための高い引張強度、及び剛性を備えて構成又は適合させることができる。レドームは、アンテナ信号性能を高め、耐衝撃性を向上させるために、超低比誘電率の外面を備える。低比誘電率の外部入射面は、高比誘電率の外面を備えた全体的に低dKの材料と比較して、信号が材料に入るときの信号強度損失を少なくすることができる。レドームは、信号干渉が非常に少ないアンテナの環境保護を提供するために使用できる。レドームは、5Gアンテナアプリケーションでのパフォーマンスのために構成(例えば、最適化など)することができる。レドームは、信号通過強度を高めてレドーム性能を向上させる低誘電性表面を有し得る。レドームは、RoHSやREACHなどに対応する環境に優しい解決策となり得る。
【0045】
例として、以下の表3は、例示的な実施形態においてレドーム(例えば、レドーム400(
図4)など)が有し得る例示的な特性を含む。他の例示的な実施形態では、レドーム(例えば、レドーム200(
図2)、レドーム300(
図3)など)は別様に構成されてもよく、例えば、1つ以上の異なる特性を有することができる。
【0046】
【0047】
例示的な実施形態では、射出成形された低誘電率、低損失のレドームは、射出成形可能な樹脂母材内に繊維及び/又はミクロスフェアを含み得る。レドームは、ミリ波5G周波数(例えば、28GHz、39GHzなど)及び/又は約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.5~約2.5の範囲内の全体的な比誘電率、及び約0.01未満の全体的な低損失正接又は誘電正接(Df)を有するように構成され得る。
【0048】
射出成形可能な樹脂は、ポリプロピレン(PP)及び/又はポリカルボナート/ポリブチレンテレフタラート(PC/PBT)ブレンドを含み得る。繊維は、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、低比誘電率を有する高密度プラスチック繊維、及び/又は高密度ポリプロピレン繊維のうちの1つ以上を含み得る。ミクロスフェアは、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、及び/又は中空セラミックミクロスフェアのうちの1つ以上を含み得る。
【0049】
例示的な実施形態では、射出成形された低誘電率、低損失のレドームは、約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率;及び/又は約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率;及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率を有するように構成され得る。
【0050】
約2.5以下の比誘電率を有する低誘電率、低損失のレドームを作製する例示的な方法も開示される。例えば、レドームは、約20GHz~約90GHzの周波数で約2以下の比誘電率;及び/又は約20GHz~約50GHzの周波数で約1.85以下の比誘電率;及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数で約1.7以下の比誘電率を有するように構成され得る。
【0051】
例示的な実施形態では、低誘電率、低損失のレドームを作製する方法は、繊維及びミクロスフェアを母材に取り込ませることにより、均質かつ/又は統合された構造を有するレドームに、レドームの厚さを通して実質的に均一な低比誘電率を提供することを含む。繊維及びミクロスフェアは、繊維及びミクロスフェアを母材にカレンダー加工することによって母材に取り込ませることができ、それにより、硬化前に熱成形可能なカレンダー加工されたワンピース構造を提供する。
【0052】
別の例示的な実施形態では、低誘電率、低損失のレドームを作製する方法は、第1及び第2の熱可塑性層の間の熱可塑性コアを熱成形することにより、熱成形レドームを提供することを含む。例えば、この方法は、第1及び第2の熱可塑性層の間の熱可塑性コアを熱成形することにより、複雑な及び/又は湾曲した形状を有する熱成形レドームを提供することを含み得る。熱可塑性コアは、熱可塑性フォーム又は熱可塑性ハニカムを含み得る。第1及び第2の熱可塑性層は、熱可塑性樹脂材料を含み得る。
【0053】
さらなる例示的な実施形態では、低誘電率、低損失のレドームを作製する方法は、ミクロスフェア及び/又は繊維を含む熱可塑性樹脂を含む複合材料を射出成形することにより、射出成形レドームを提供することを含む。熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン(PP)及び/又はポリカルボナート/ポリブチレンテレフタラート(PC/PBT)ブレンドを含み得る。
【0054】
上記のレドーム100(
図1)、レドーム200(
図2)、レドーム300(
図3)、レドーム400(
図4)、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のレドームサンプル、及び本明細書に開示される他のレドームのいずれか1つには、例示的な実施形態において難燃剤が提供されてもよい。例えば、難燃剤は、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のレドームサンプルに従って作製されたレドームの少なくとも一部(例えば、コア及び/又は外側及び/又は内側のスキン、層、又は部分など)に適用され、取り込まれ、及び/又は埋め込まれ得る。例えば、難燃剤は、レドームのコアがUL94火炎定格を有するように、第2、第3、第4、及び/又は第6のレドームサンプルのハニカムコアに適用され及び/又は取り込まれ得る。難燃剤は、ハニカムコアのオープンセル又は細孔を完全に遮断又は閉塞しないように、ハニカムコアのオープンセル又は細孔を画定する表面に沿って十分に薄いコーティング又は層として適用され得る。したがって、レドームコアに比較的開いた構造を維持することにより、レドームの比較的低い比誘電率を達成することができる。
【0055】
また、本明細書には、低誘電率、低損失のレドームを作製する例示的な方法であって、カレンダー加工、熱成形、シート成形コンパウンド(SMC)(例えば、ポリカルボナート、高密度ポリエチレン(HDPE)、他のシート成形コンパウンドであって、圧縮成形での使用に適したガラス繊維強化ポリエステル材料をすぐに成形できるSMC)を用いた圧縮成形を含み得る方法が開示される。
【0056】
例示的な実施形態では、方法は、総じて、ファブリックの切断及び準備、ファブリックの積み重ね及び予備成形、ファブリックの堆積、熱及び圧力下でのファブリックの成形及び硬化、ならびに硬化部分の離型を含む。この例を続けると、ファブリック(広義には材料)の切断と準備には、プリプレグ及びシート成形コンパウンドの切断と準備が含まれる場合がある。プリプレグ(例えば、プリプレグの複数のシートなど)は、シート成形コンパウンドの上部シートと下部シートとの間に積み重ねられ、湾曲又は他の適切な形状を有するように予備成形され得る。積み重ねられ/予備成形されたプリプレグ及びシート成形コンパウンドは、金型キャビティ内に配置され、次いで、熱及び圧力下で成形及び硬化され得る。次に、得られた硬化部品を離型して、金型キャビティから取り出すことができる。
【0057】
例示的な実施形態では、レドームは、繊維/ファブリックが、ミクロスフェア(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)を有する熱硬化性又はエポキシ内に埋め込まれ、取り込まれ、組み込まれ、及び/又は混合される方法又はプロセス(例えば、カレンダー加工など)によって作製され得る。埋め込まれた繊維/ファブリックは、好ましくは、荷重を担持するように熱硬化性複合材料に補強及び強度を提供し、一方、低誘電率のガラスミクロスフェアは、好ましくは全体的な比誘電率を低下させるのを助ける。埋め込まれた繊維/ファブリックは、NOMEX難燃性メタアラミド材料、DACRONオープンウィーブポリマーファブリック、他のオープンウィーブポリマーファブリック、他のプリプレグ又は強化材などを含み得る。レドーム材料は、3次元で描画又は成形することができる。そのような例示的な実施形態では、レドームは、単一の統合された構造を有し、例えば、3層積層Aサンドイッチ構造を持たず、別個の外側及び内側のスキンを有しない。
【0058】
例示的な実施形態では、レドームは、Bステージ化方法又はプロセスによって作製され得る。例えば、レドームは、部分的に硬化したBステージ材料(例えば、ファブリック/繊維が埋め込まれたBステージエポキシ樹脂など)から作製され得る。次に、上記部分的に硬化したBステージ材料を後で形成し(例えば、レドームを3次元で描画又は他の方法で成形するなど)、完全に硬化させることができる。そのような例示的な実施形態では、Bステージ化方法又はプロセスは、取り扱い易さ及び/又は処理し易さをより向上し得る。
【0059】
例示的な実施形態では、レドーム構造は異方性であり、及び/又は水平偏光と垂直偏光との間の交差偏光の差を最小化又は低減することによって性能向上を提供するように構成される。レドームは、発散を少なくするために、異なる偏光を有する重なり合う信号又はビームを指向、方向付け、集束、反射、又は拡散するように構成することができる。レドームは、繊維が所定の配向(例えば、垂直に配向及び/又は水平に配向されるなど)を有するように、ミクロスフェアをカレンダー加工又は混合するときに繊維を埋め込むことによって異方性になるように構成され得る。繊維を所定の方向に向けることによって、レドームは異方性であるように構成され、方向によって異なる特性を有し得る。
【0060】
例示的な実施形態では、比較的薄い難燃性コーティング又は層が、レドームがUL94火炎定格を有するように、レドームの少なくとも一部に適用及び/又は取り込まれ得る。難燃性コーティング又は層は、レドームのコアのオープンセルを完全に閉塞又は遮断しないように、十分に薄くてもよい(例えば、約0.002ミクロン~約0.005ミクロンの範囲内の厚さなど)。さらに、例示的な実施形態では、レドームのオープンセル構造又は多孔質構造も維持するために、レドームは樹脂でシールされていない。レドームのオープンセル構造又は多孔質構造を維持することにより、レドームの比較的低い比誘電率を維持することができる。難燃剤は、ハロゲンを含まないリン系の難燃剤(例えば、リン酸アンモニウム塩など)を含み得る。例として、難燃剤は、最大900ppm以下の塩素、最大900ppm以下の臭素、及び最大1,500ppm以下の総ハロゲンを含み得る。
【0061】
例示的な実施形態では、レドームは、コアに適用され及び/又は取り込まれた難燃剤を含む又は含まない熱可塑性ハニカムコアを含む。コアは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び/又は繊維強化樹脂スキン層の間に配置することができ、スキン層には難燃剤が適用され及び/又は取り込まれていてもいなくてもよい。スキン層は、ミクロスフェア(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)を有する熱硬化性又はエポキシ材料を含み得る。ミクロスフェアは、全体的な比誘電率を下げるのに役立ち得る。スキン層はまた、その中に取り込まれ、組み込まれ、混合され、及び/又は埋め込まれた繊維/ファブリックを含み得る。埋め込まれた繊維/ファブリックは、荷重を担持するための補強及び強度を提供するのに役立ち得る。埋め込まれた繊維/ファブリックは、NOMEX難燃性メタアラミド材料、DACRONオープンウィーブポリマーファブリック、他のオープンウィーブポリマーファブリック、他のプリプレグ又は強化材などを含み得る。
【0062】
他の例示的な実施形態では、レドームは、スキン層に適用された又は取り込まれた難燃剤を含む又は含まないスキン層を含む。スキン層は、ミクロスフェア(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)を有する熱硬化性材料及び繊維/ファブリックプリプレグ(例えば、NOMEX耐火性メタアラミド材料、DACRONオープンウィーブポリマーファブリック、他のオープンウィーブポリマーファブリック、他のプリプレグ又は強化材など)を含み得る。レドームは、難燃剤を含む又は含まない(例えば、熱硬化性材料に適用及び/又は取り込まれるなどした)低損失誘電体熱硬化性材料を含み得、これは、ミクロスフェア(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は泡など)を含む。
【0063】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、以下のような利点又は特徴のうちの1つ以上(必ずしもいずれか又はすべてではない)を含むか、又は提供することができる。
・ミリ波周波数及び/又は比較的高い周波数での全体的な低比誘電率及び全体的な低損失正接又は誘電正接(Df);及び/又は
・電磁エネルギー損失を最小限に抑え又は少なくとも低下させる比較的強力なコア構造(例えば、熱硬化性複合材料又はミクロスフェアを含むエポキシ(例えば、中空ガラスミクロスフェア、中空プラスチックミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、マイクロバルーン、又は気泡など)、熱可塑性ハニカム構造など);及び/又は
・環境保護を提供し、高い衝撃に耐えることができる外側部分(例えば、外側の表面、スキンなど);及び/又は
・比較的低いコスト;及び/又は
・圧縮成形プロセスを使用して、複雑な形状のレドームを作製できるようにすること;及び/又は
・難燃性(例えば、UL94燃焼性認証など);及び/又は
・屋外での使用に適していること(例えば、UL756C Fl紫外線(UV)及び水浸認証など);及び/又は
・長期の周囲熱への適合性(例えば、UL746B RTI認証など)。
【0064】
例示的な実施形態では、レドームは、5G/ミリ波アンテナに屋外環境保護を提供するように構成され得る。例示的な実施形態では、レドームは、建物内で使用するために5G信号をWiFiに変換する屋内アンテナ、リピータ、ルータなどと共に使用するように構成され得る。本明細書に開示される例示的な実施形態は、高周波に対する非常に低い信号損失、超低比誘電率材料、剛性、耐衝撃性、構造的要求に対する良好な引張強度、及び/又は軽量などの使用上の利点の1つ以上(必ずしもいずれか又はすべてではない)を含むか又は提供し得る。例示的な実施形態は、ミリ波5G周波数(例えば、28GHz、39GHzなど)及び/又は約20GHz~約90GHz及び/又は約20GHz~約50GHz及び/又は約24GHz~約40GHzの周波数に対応し得る。本明細書に開示された低比誘電率レドームの例示的な実施形態は、いくつかの従来のレドームと比較して、5G周波数で電力を(例えば、約25パーセント以上など)ブーストすることができ、5G信号は建物や家の中へ貫通する際に問題になりやすいため、電力ブーストは有利であり得る。
【0065】
例示的な実施形態は、本開示が十分であり、当業者に範囲を完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、及び方法の例など、多数の特定の詳細が示されている。特定の詳細を使用する必要がないこと、例示的な実施形態は多くの異なる形態で具体化することができること、及びどちらも本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではないことは当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は詳細に説明されていない。さらに、本開示の1つ又は複数の例示的な実施形態で達成され得る利点及び改善は、例示のみを目的として提供され、本開示の例示的な実施形態は、上記の利点及び改善のすべてを提供するか、又はまったく提供せず、かつ依然として本開示の範囲内にあるため、本開示の範囲を限定しない。
【0066】
本明細書に開示の特定の寸法、具体的な材料、及び/又は特定の形状は、本質的に例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。所与のパラメータの特定の値及び特定の範囲の値に関する本明細書の開示は、本明細書に開示される1つ又は複数の例において有用であり得る他の値及び値の範囲を排除するものではない。さらに、本明細書に記載の特定のパラメータの任意の2つの特定の値は、所与のパラメータに適し得る値の範囲のエンドポイントを定義し得ることが想定される(すなわち、所与のパラメータの第1の値及び第2の値の開示は、第1の値と第2の値の間の任意の値を特定のパラメーターに使用できることを開示していると解釈できる)。例えば、パラメータXが値Aを有するように本明細書で例示され、また値Zを有するように例示される場合、パラメータXは、約Aから約Zまでの値の範囲を有し得ることが想定される。同様に、パラメータの値の2つ以上の範囲の開示(そのような範囲が入れ子になっているか、重複しているか、又は別個であるかを問わない)は、開示された範囲のエンドポイントを用いて請求される可能性のある値の範囲のすべての可能な組み合わせを包含することが想定される。例えば、パラメータXが1~10、又は2~9、又は3~8の範囲の値を有するように本明細書で例示されている場合、パラメータXは、1~9、1~8、1~3、1~2,2~10、2~8、2~3、3~10、及び3~9を含む他の範囲の値を有することも想定される。
【0067】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的のみのためであり、限定することを意図するものではない。例えば、「含んでもよい」、「含み得る」などの許容句が本明細書で使用される場合、少なくとも1つの実施形態が、その特徴を含む。本明細書で使用される、単数形「1つ」及び「その」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことが意図され得る。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法ステップ、プロセス、及び操作は、性能の順序として具体的に特定されない限り、説明又は図示された特定の順序でそれらの性能を必ずしも必要とするものとして解釈されるべきではない。追加又は代替のステップが採用され得ることも理解されるべきである。
【0068】
要素又は層が、別の要素又は層「の上にある」、「と係合している」、「に接続している」、又は「に結合している」と記載される場合、それは、直接的にその別の要素又は層、あるいは存在し得る介在する要素又は層の上にある、と係合している、に接続している、又は、に結合され得る。対照的に、要素が別の要素又は層「の直接上にある」、「と直接係合している」、「に直接接続している」、又は「に直接結合している」と記載される場合、介在する要素又は層が存在しない場合がある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈されるべきである(例えば、「~の間」と「~の間に直接」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列記された項目の1つ又は複数の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0069】
値に適用される場合の「約」という用語は、計算又は測定が値のわずかな不正確さを許容することを示す(値の正確さへのアプローチにより、値にほぼ又は合理的に近い;ほぼ)。何らかの理由で、「約」によって提供される不正確さが当技術分野においてこの通常の意味で理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、少なくともそのようなパラメータを測定又は使用する通常の方法から生じ得る変動を示す。例えば、「概して」、「約」、及び「実質的に」という用語は、本明細書では、製造公差内を意味するために使用され得る。あるいは、例えば、本明細書で使用される「約」という用語は、本発明の成分又は反応物の量を変更するときに使用される場合、例えば、現実の世界で濃縮物又は溶液を製造するときに使用される典型的な測定及び取り扱い手順において、これらの手順の不注意による誤りを通じて;組成物を作るために、又は方法を実行するために使用される成分の製造、供給源、又は純度の違いを通じて;起こり得る数値の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件のために異なる量を包含する。「約」という用語で変更されているかどうかに関係なく、数量と同等量が含まれる。
【0070】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では様々な要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションを、別の領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用できる。本明細書で使用される場合の「第1」、「第2」などの用語、及び他の数値用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序又は順番を意味するものではない。したがって、以下で論じられる第1の要素、コンポーネント、領域、層又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、層又はセクションと呼ばれ得る。
【0071】
「内側」、「外側」、「下方」、「下」、「下側」、「上」、「上方」などのような空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は機能と別の要素又は機能との関係の説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる方向を包含することを意図し得る。例えば、図のデバイスが裏返されている場合、他の要素又は機能の「下」又は「下方」として記載されている要素は、他の要素又は機能の「上」になる。したがって、「下」という用語の例は、上と下の両方の方向を包含することができる。デバイスは、別様に方向付けられ(90度又は他の方向に回転され)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈され得る。
【0072】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。これは網羅的であったり、開示を制限したりすることを意図したものではない。特定の実施形態の個々の要素、意図された又は記載された使用、又は特徴は、大抵の場合、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、交換可能であり、具体的に示されていない、又は説明されていない場合でも、選択された実施形態で使用することができる。同じものも多くの方法で変更することができる。そのような変更は、開示からの逸脱と見なされるべきではなく、そのようなすべての改変は、開示の範囲内に含まれることが意図されている。