(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】アナログ電子時計システム
(51)【国際特許分類】
G04C 9/00 20060101AFI20230523BHJP
G04R 20/26 20130101ALI20230523BHJP
G04G 21/00 20100101ALI20230523BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20230523BHJP
【FI】
G04C9/00 301A
G04R20/26
G04G21/00 D
G04G5/00 C
(21)【出願番号】P 2022072989
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2018247713の分割
【原出願日】2018-12-28
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018009768
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松王 大輔
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142120(JP,A)
【文献】特開2015-184102(JP,A)
【文献】特開2015-078943(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181467(WO,A1)
【文献】特開2008-227952(JP,A)
【文献】特開2011-149710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04R 20/00-60/14
G04G 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板上を回転する1以上の指針と、
外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を受信することができる時計側通信部と、
を有するアナログ電子時計と、
外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を送信することができる端末側通信部と、
前記文字板を撮像し、前記指針および前記文字板に対応する画像を含む指針文字板画像を生成する撮像部と、
前記指針の現在表示位置に基づいた表示時刻情報を生成する端末側制御部と、
を有する端末機器と、
を備え、
前記端末側制御部は、
前記指針文字板画像における反射領域を特定し、
前記反射領域に基づいて前記現在表示位置を検出することが可能であるか否かの判断を行い、
前記現在表示位置を検出することが可能であると判断すると、
前記アナログ電子時計の前記指針の形状に関する情報および前記指針文字板画像に基づいて前記現在表示位置を検出し、
少なくとも前記現在表示位置に基づいた表示時刻情報を前記時計側通信部に送信し、
前記アナログ電子時計は、
前記表示時刻情報に基づいて、前記指針の表示位置を補正する、
ことを特徴とするアナログ電子時計システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアナログ電子時計システムにおいて、
前記端末側制御部は、
前記アナログ電子時計に対する前記反射領域の位置、面積の少なくとも一方に基づいて、前記現在表示位置を検出することできるか否かを判断する、
アナログ電子時計システム。
【請求項3】
請求項2に記載のアナログ電子時計システムにおいて、
前記端末側制御部は、
前記文字板に対する前記反射領域の位置が前記アナログ電子時計の中心側ではなく、インデックス側であると判断すると、前記現在表示位置を検出することが可能でないと判断する、
アナログ電子時計システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のアナログ電子時計システムにおいて、
前記反射領域に基づいて前記現在表示位置を検出することが困難であると判断すると、
前記端末機器の表示部に少なくとも表示時刻の補正が困難であることに関する補正困難情報を表示する、
アナログ電子時計システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のアナログ電子時計システムにおいて、
前記アナログ電子時計は、前記文字板と対向する風防を有し、
前記風防は、少なくとも前記文字板と対向する面に反射低減コーディング層が形成されている、
アナログ電子時計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ電子時計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが所有する端末機器と、無線通信を介して、時刻に関する時刻情報等の情報を送受信することができるアナログ電子時計が提案されている。アナログ電子時計は、ステップモータにより秒針、分針、時針および日板などの指針群を回転させることにより、内部時刻に基づいた表示位置に指針群を配置させることで、ユーザーに現在時刻を認識させるものである。
【0003】
ところで、アナログ電子時計は、各種の外的要因により、指針群がずれる場合がある。指針群がずれている場合は、現在内部時刻と、指針群の現在表示位置に基づいた現在表示時刻とがずれることとなる。このため、アナログ電子時計では、表示時刻の補正機能が備わっている。従来、表示時刻補正を行う場合は、指針群を現在表示位置から基準位置となるまで、指針群の位置情報に基づいて回転させている。ユーザーによる手動補正の場合は、ユーザーの指示により、表示時刻補正が開始されると、現在表示位置情報と、基準位置に対応する基準位置情報とを比較し、指針群を基準位置情報に基づいた表示位置まで回転させ、アナログ電子時計の操作部を操作し、指針群が基準位置とずれている場合は、基準位置となるように指針群を調整し、ユーザーの指示により、指針群を時計内部時刻に基づいて回転させる。また、端末機器による自動補正の場合も、同様に、ユーザーの指示により、指針群を基準位置情報に基づいた表示位置まで回転させ、ユーザーが端末機器により指針群を含めて文字板を撮像して、生成された画像における指針群の現在表示位置を検出し、指針群が基準位置とずれていると判断すると、補正時刻情報をアナログ電子時計に送信し、表示時刻補正情報を受信したアナログ電子時計が補正時刻情報に基づいて、指針群が基準位置となるように自動的に調整し、ユーザーの指示により、指針群を時計内部時刻に基づいて回転させる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生成された画像における指針群の現在表示位置を検出するために、画像から、外装ケース、文字板、指針などを抽出することとなるが、これらの形状や色などがアナログ電子時計の種類、製造年によって異なっているため、どのアナログ電子時計であっても画像全体から指針群の現在表示位置を検出することとなる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、指針文字板画像における指針の文字板に対する現在表示位置の検出精度を向上することができるアナログ電子時計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本実施形態におけるアナログ電子時計システムは、文字板上を回転する1以上の指針と、外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を受信することができる時計側通信部と、を有するアナログ電子時計と、外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を送信することができる端末側通信部と、前記文字板を撮像し、前記指針および前記文字板に対応する画像を含む指針文字板画像を生成する撮像部と、前記指針の現在表示位置に基づいた表示時刻情報を生成する端末側制御部と、を有する端末機器と、を備え、前記端末側制御部は、前記指針文字板画像における反射領域を特定し、前記反射領域に基づいて前記現在表示位置を検出することが可能であるか否かの判断を行い、前記現在表示位置を検出することが可能であると判断すると、前記アナログ電子時計の前記指針の形状に関する情報および前記指針文字板画像に基づいて前記現在表示位置を検出し、少なくとも前記現在表示位置に基づいた表示時刻情報を前記時計側通信部に送信し、前記アナログ電子時計は、前記表示時刻情報に基づいて、前記指針の表示位置を補正する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明におけるアナログ電子時計システムは、表示時刻補正を行う際に、針識別情報に基づいて指針文字板画像における文字板に対する指針の現在表示位置を検出するので、指針文字板画像における指針の現在表示位置の検出精度を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態におけるアナログ電子時計システムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるアナログ電子時計のブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態における端末機器のブロック図である。
【
図4】
図4は、端末機器により撮像された指針文字板画像を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるアナログ電子時計システムのシーケンス図である。
【
図6】
図6は、アナログ電子時計における通信確立処理のフロー図である。
【
図7】
図7は、端末機器における通信確立処理のフロー図である。
【
図8】
図8は、実施形態1における端末機器における表示時刻補正処理のフロー図である。
【
図9】
図9は、アナログ電子時計における表示時刻補正処理のフロー図である。
【
図10】
図10は、時計の中心および向きを特定する処理の説明図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における端末機器の表示面に対する補正困難情報表示画像の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例におけるアナログ電子時計の要部断面を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態2における端末機器における表示時刻補正処理のフロー図である。
【
図14】
図14は、端末機器により撮像された補正後指針文字板画像を示す図である。
【
図15】
図15は、端末機器により撮像された指針文字板画像の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態におけるアナログ電子時計システムの全体構成図である。
図2は、実施形態におけるアナログ電子時計のブロック図である。
図3は、実施形態における端末機器のブロック図である。
図4は、端末機器により撮像された指針文字板画像を示す図である。
【0012】
実施形態1にかかるアナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と、端末機器3とを備える。アナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と端末機器3との間で、時刻に関する時刻情報を互いに送受信することで、アナログ電子時計2に対する表示時刻補正を行うものである。本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と端末機器3との間の通信手段として、近距離無線通信手段の1つであるBluetooth(登録商標)を用いる場合について説明するが、通信手段はこれに限定されるものではなく、他の近距離無線通信手段や広域通信網等を用いてもよい。
【0013】
アナログ電子時計2は、後述するアナログ表示部26を有する時計であり、アナログ表示部26における秒針26b、分針26c、時針26dおよび日板26e(以下、単に「指針群26b~26e」ともいう)と、文字板26aとの位置関係に対応する時刻である表示時刻をユーザーに認識させるものである。アナログ電子時計2は、アンテナ21と、時計側通信部22と、時計側制御部23と、時計側電源部24と、駆動機構部25と、アナログ表示部26と、操作部27と、時計側記憶部28とを有する。アナログ電子時計2は、アナログ電子時計2の最外郭を形成する外装ケース29の内部空間部に、アンテナ21、時計側通信部22、時計側制御部23、時計側電源部24、駆動機構部25、アナログ表示部26および時計側記憶部28が収容されている。ここで、外装ケース29は、環状部29eから外側に向かって突出して、複数のかん29a~29dが形成されている。かん29a~29dは、環状部29eの前方向の端部から離間して前方向に突出して2つ、後方向の端部から離間して後方向に突出して2つ形成されている。アナログ電子時計2は、前方向側の2つで一組のかん29a,29bの間にベルトの一端が連結され、後方向側の2つで一組のかん29c,29dの間にベルトの他端が連結され、外装ケース29に対してベルトが環状に連結される。本実施形態におけるアナログ電子時計2は、ユーザーが腕に装着する腕時計として説明するが、置き時計や掛け時計であってもよい。
【0014】
アンテナ21は、時計側通信部の一部を構成するものであり、近距離無線通信規格の1つであるBluetooth(登録商標)規格の電波を受信するものである。アンテナ21は、時計側通信部22と接続されている。
【0015】
時計側通信部22は、時計側通信部の一部を構成するものであり、外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を受信および時計識別情報を送信することができるものである。時計側通信部22は、Bluetooth(登録商標)モジュール22aと変換部22bとを有する。Bluetooth(登録商標)モジュール22aは、アンテナ21を介して、外部である端末機器3との間でBluetooth(登録商標)通信を行うための通信制御モジュールである。変換部22bは、シリアル信号をパラレル信号に変換、あるいはパラレル信号をシリアル信号に変換するものである。時計側制御部23から出力され、外部に送信される送信情報(送信データ)は、変換部22bにおいてシリアル/パラレル変換等の信号処理が行われ、Bluetooth(登録商標)モジュール22aからアンテナ21を介して端末機器3に送信される。一方、アンテナ21を介して、Bluetooth(登録商標)モジュール22aが受信した受信情報(受信データ)は、変換部22bにおいてシリアル/パラレル変換等の信号処理が行われ、時計側制御部23に出力される。
【0016】
時計側制御部23は、アナログ電子時計2に含まれる各種の回路や機構等を制御するものであり、少なくとも時計内部時刻に基づいて駆動機構部25による指針群26b~26eの回転を制御するものである。時計側制御部23は、表示時刻情報に基づいて、指針群26b~26eの表示位置を補正、すなわち表示時刻を補正するものである。また、時計側制御部23は、端末機器3より受信した基準時刻情報に基づいて、時計内部時刻を補正するものでもある。ここで、基準時刻情報は、端末機器3の後述する端末内部時刻に対応する時刻情報である。また、時計側制御部23は、指針群26b~26eの基準位置情報を記憶しており、基準位置情報を更新するものである。時計側制御部23は、マイクロコントローラ23aと、モータ駆動回路23bと、不揮発性メモリ23cと、RTC(Real Time Clock)23dとを有する。
【0017】
マイクロコントローラ23aは、演算部23eと、RAM(Random Access Memory)23fと、ROM(Read Only Memory)23gと、を有する。マイクロコントローラ23aは、1つの集積回路により構成されている。演算部23eは、RTC23dから出力されたクロック信号に含まれるパルスを図示しないカウンタによりカウントする。演算部23eは、ROM23gに格納されたプログラムにしたがって各種の情報処理を行う。本実施形態における演算部23eは、表示時刻補正処理を実行する。演算部23eは、カウントされたパルスの数に応じた時計内部時刻を決定する。RAM23fは、演算部23eのワークメモリとして機能し、演算部23eの処理対象となる情報が書き込まれる。また、RAM23fは、時計側制御部23により時計内部時刻に基づいて指針群26b~26eの回転を駆動機構部25により制御する指針群26b~26eの制御動作に基づく、それぞれの現在表示位置情報を記憶するものでもある。
【0018】
モータ駆動回路23bは、演算部23eにより決定された時計内部時刻に基づいて、駆動機構部25に含まれる後述するステップモータ25a~25cをそれぞれ駆動する駆動信号を出力する。
【0019】
不揮発性メモリ23cは、時計側電源部24により、時計側制御部23に電力が供給されていない場合や、アナログ電子時計2を再起動する場合等において、情報を保持するメモリである。不揮発性メモリ23cは、指針群26b~26eの基準位置情報が記憶されている。本実施形態における基準位置情報は、予め設定されている基準位置に基づく情報である。ここで、基準位置は、例えば、秒針26b、分針26c、時針26dが文字板26aの12時を指す位置であり、かつ、日板26eが文字板26aの日窓26gから「1」を視認できる位置である。基準位置情報は、基準時刻(1日午前12時00分00秒)における指針群26b~26eのそれぞれの位置に関する初期値情報である。不揮発性メモリ23cは、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等である。
【0020】
RTC23dは、アナログ電子時計2の内部で計時に使用されるクロック信号をマイクロコントローラ23aに出力するものである。
【0021】
時計側電源部24は、アナログ電子時計2の電力源であり、時計側通信部22、時計側制御部23、駆動機構部25等、アナログ電子時計2内の各部に対して電力を供給する。時計側電源部24は、発電回路24aと、バッテリ24bと、電源電圧検出回路24cとを有する。
【0022】
発電回路24aは、アナログ表示部26の後述する文字板26aの下側に配置される光発電素子を含むものである。発電回路24aは、文字板26aに対して照射される太陽光等の外光によって発電するものであり、発電した電力をバッテリ24bに供給するものである。
【0023】
バッテリ24bは、充放電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池等である。バッテリ24bは、充電および放電を管理する図示しないバッテリーマネジメント回路により、発電回路24aが発電した電力を充電、あるいはアナログ電子時計2内の各部に対して電力を供給するために放電する。
【0024】
電源電圧検出回路24cは、バッテリ24bの電圧を測定する回路である。測定された電圧を示す信号は、マイクロコントローラ23aに出力される。
【0025】
駆動機構部25は、モータ駆動回路23bから出力される駆動信号に応じて回転駆動(例えば、1制御パルスごとに180度)する複数のステップモータ25a,25b,25cと、図示しない輪列とを有する。駆動機構部25は、各ステップモータ25a~25cの回転力を輪列が伝達することで、指針群26b~26eを予め設定されている1回の回転量ごとに回転させる。本実施形態においては、ステップモータ25aにより秒針26bが回転され、ステップモータ25bにより分針26cおよび時針26dが回転され、ステップモータ25cにより日板26eが回転される。ここで、分針26cおよび時針26dは、連動して回転するものであり、時針26dが分針26cの回転速度に対して1/12の比で連動して回転する。ステップモータ25a~25cは、秒針26bに対して1分で1回転、分針26cに対して1時間で1回転、日板26eに対して1ヶ月で1回転となる回転量にて回転させる。
【0026】
アナログ表示部26は、アナログ電子時計2のうち外部から視認可能な位置に配置されている。アナログ表示部26は、
図1および
図2に示すように、外装ケース29の収容空間部において、透過性を有する風防WSよりも下方向側に配置され、文字板26aと、秒針26bと、分針26cと、時針26dと、日板26eとを有する。文字板26aは、円盤状に形成されており、外光を透過するものである。文字板26aは、インデックス26fと、日窓26gが形成されている。インデックス26fは、秒針26b、分針26cおよび時針26d(以下、単に「3針26b~26d」ともいう)との相対位置により、ユーザーに現在時刻を認識させるものである。インデックス26fは、文字板26aに対して周方向に等間隔に形成されている。本実施形態におけるインデックス26fは、6度ごとに等間隔に形成されるものと、30度ごとに等間隔に形成されるものとがある。日窓26gは、文字板26aの上下方向において日板26eと対向する位置に形成されており、文字板26aを上下に貫通するものである。本実施形態における日窓26gは、矩形形状であり、文字板26aにおいて「3時」の位置に形成されている。秒針26b、分針26cおよび時針26dは、図示しないフレームに回転自在に支持されており、文字板26aの上側、例えば文字板26aの中心部において同軸上を回転する。秒針26b、分針26cおよび時針26dは、文字板26a上のインデックス26fに対する位置を指し示すことで、表示時刻の秒、分、時を指し示す。日板26eは、図示しないフレームに回転自在に支持されており、文字板26aの下側を回転する。日板26eは、日窓26gにより文字板26aの上側に露出可能であり、日窓26gを介して、時刻のうち「日」を指し示す。日板26eは、日を識別することができる識別パターン、本実施形態では1~31の数字が周方向に等間隔に配置して形成されている。秒針26bは現在時刻のうち「秒」を指し、分針26cは現在時刻のうち「分」を指し、時針26dは現在時刻のうち「時」を指すものである。本実施形態における3針26b~26dは、時針26d、分針26c、秒針26bの順で、回転半径方向において文字板26aの中心からの長さが短く形成されている。
【0027】
操作部27は、例えば、リューズや操作ボタン等である。操作部27は、ユーザーが操作することで、入力操作に応じた操作内容が時計側制御部23に出力される。ここで、時計側制御部23は、操作内容に応じて、各種の処理を実行する。本実施形態における操作部27は、外装ケース29に対して、アナログ電子時計2の「12時」の位置を0度とすると、「3時」の位置、すなわち90度の位置に設けられている。
【0028】
時計側記憶部28は、時計識別情報を記憶するものである。時計識別情報とは、アナログ電子時計2の種類、色、製造年などに関する情報であり、いわゆるシリアル番号、製造番号などの情報である。また、時計側記憶部28は、後述するペアリング用のパスキーや、アナログ電子時計2にアラーム機能がある場合にはアラーム情報を記憶するものである。時計側記憶部28は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等である。
【0029】
端末機器3は、アナログ電子時計2とは別個であり、アナログ電子時計システム1の表示時刻補正機能に対応する表示時刻補正アプリケーション(以下、単に、「アプリ」ともいう)が、端末機器3の初期時(工場出荷時)から後述する端末側記憶部37に記憶、あるいはインターネット網100を介して外部サーバ200からダウンロードや接続された記録媒体から読み込むことで端末側記憶部37に記憶されるものである。本実施形態における端末機器3は、一部の機能として、アナログ電子時計システム1としての機能を有し、他の機能、例えば、電話機能、インターネット接続機能などを有しているスマートフォン、タブレットなどの携帯端末であるがこれに限定されるものではなく、ノートパソコンなどのパーソナルコンピュータであってもよい。端末機器3は、
図1、
図3に示すように、撮像部31と、タッチパネル部32と、アンテナ33と、端末側通信部34と、端末側制御部35と、端末側電源部36と、端末側記憶部37と、内蔵時計部38と、音声入出力部39とを含んで構成されている。なお、端末機器3は、要求される機能に応じて、例えば、振動発生部などが追加されてもよい。
【0030】
撮像部31は、アナログ電子時計2の文字板26aを撮像するものであり、
図4に示すように、指針群26b~26eおよび文字板26aを含む指針文字板画像Pを生成するものである。撮像部31は、端末機器3の裏面(タッチパネル部32の後述する表示面32aが設けられている面と反対側の面)に配置されており、端末側電源部36からの電力により駆動する撮像素子が面状に配列されたCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像センサ31aを有するものである。撮像センサ31aは、露光ごとに、入射される光に応じた出力値に基づいて指針文字板画像Pを生成し、画像信号として端末側制御部35に出力する。撮像部31は、撮像センサ31aの撮像条件、すなわち露光タイミング、露光時間、ホワイトバランスなどに基づいて、各撮像素子を駆動制御する。ここで、指針文字板画像Pは、文字板26aに対応する画像、秒針26bに対応する画像、分針26cに対応する画像、時針26dに対応する画像、日板26eのうち日窓26gから露出する部分に対応する画像、インデックス26fに対応する画像、外装ケース29に対応する画像が含まれる。
【0031】
タッチパネル部32は、表示部および入力部として機能するディスプレイである。タッチパネル部32は、表示部の機能として、表示面32aを有し、撮像部31により撮像された指針文字板画像Pを表示面32aに表示する。タッチパネル部32は、端末機器3の表面に配置されており、端末側電源部36からの電力により駆動する液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。タッチパネル部32は、端末側制御部35から出力される画像データ信号に基づいて、撮像部31により撮像された画像である指針文字板画像Pを表示する。タッチパネル部32は、入力部の機能として、ユーザーが任意の位置を押圧することで、操作入力位置に対する操作入力信号が端末側制御部35に出力される。
【0032】
アンテナ33は、端末側通信部の一部を構成するものであり、少なくともBluetooth(登録商標)規格の電波を受信するものである。アンテナ33は、端末側通信部34と接続されている。
【0033】
端末側通信部34は、端末側通信部の一部を構成するものであり、外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を送信および時計識別情報を受信することができるものである。本実施形態における端末側通信部34は、アナログ電子時計2から時計識別情報および外部サーバ200から針識別情報を受信し、アナログ電子時計2に現在表示時刻情報を送信するものである。端末側通信部34は、時計側通信部22と同様に、アンテナ33を介して、少なくとも外部であるアナログ電子時計2との間でBluetooth(登録商標)通信を行うための図示しないBluetooth(登録商標)モジュールおよび変換部を有する。端末側制御部35から出力される送信情報(送信データ)、例えば時刻情報は、端末側通信部34の変換部において信号処理が行われ、Bluetooth(登録商標)モジュールからアンテナ33を介してアナログ電子時計2に送信される。一方、アンテナ33を介して、端末側通信部34のBluetooth(登録商標)モジュールが受信した受信情報(受信データ)、例えば時刻情報は、変換部において信号処理が行われ、端末側制御部35に出力される。また、端末側通信部34は、各地に設置されている基地局を含むインターネット網100と、無線通信により、情報の送受信を行うことができるものでもある。つまり、端末側通信部34は、インターネット網100を介して、外部サーバ200との間で情報の送受信を行うことができる。ここで、外部サーバ200には、時計識別情報と後述する針識別情報とが関連づけられた状態で記憶されている。
【0034】
端末側制御部35は、撮像部31を含む端末機器3を構成する機器を制御するものである。端末側制御部35は、上記アプリを実行することで、アナログ電子時計2の指針群26b~26eの回転を停止させ、アナログ電子時計2の回転停止状態におけるアナログ表示部26の撮像を実現するものである。また、端末側制御部35は、針識別情報を取得し、端末側記憶部37に記憶するものである。本実施形態における端末側制御部35は、アナログ電子時計2との通信を確立した際に、インターネット網100を介して外部である外部サーバ200から針識別情報を取得するものである。端末側制御部35は、撮像部31が生成した指針文字板画像Pを画像処理するとともに、針識別情報に基づいて指針群26b~26eの現在表示位置を検出するものである。端末側制御部35は、検出された現在表示位置に基づいて現在表示時刻情報をアナログ電子時計2に向けて出力するものである。ここで、端末側制御部35のハードウェア構成は、周知の端末機器における制御部のハードウェア構成と同一であり、例えば、図示しない演算部、RAM、ROMを有する。
【0035】
端末側電源部36は、端末機器3の電力源であり、撮像部31と、タッチパネル部32と、端末側通信部34と、端末側制御部35と、端末側記憶部37と、内蔵時計部38と、音声入出力部39等、端末機器3内の各部に対して電力を供給する。端末側電源部36は、少なくとも充放電可能なバッテリを有する。
【0036】
端末側記憶部37は、端末側制御部35が実行する表示時刻補正アプリケーションに対応するプログラムを含む各種のプログラム、初期設定情報などを記憶するものである。端末側記憶部37は、針識別情報を記憶するものでもある。ここで、針識別情報は、アナログ電子時計2の少なくとも指針の形状に関する針形状情報を含む情報である。本実施形態における針識別情報は、アナログ電子時計2の文字板26a、秒針26b、分針26c、時針26d、外装ケース29の色情報、形状情報である。端末側記憶部37は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等である。
【0037】
内蔵時計部38は、端末内部時刻を計時して保持するカウンタである。端末機器3では、端末側制御部35により端末内部時刻が読み出され、タッチパネル部32の表示面32aに表示される。また、端末機器3では、端末側制御部35により、端末内部時刻と設定時刻とを比較することで、各種動作が行われる。端末内部時刻は、端末側通信部34によって端末機器3と基地局との通信が行われている際に、基地局から取得される基地局側時刻情報に基づいて、端末側制御部35により随時更新が行われる。
【0038】
音声入出力部39は、主にユーザーと端末機器3との間で音声を介して情報を伝達するものである。音声入出力部39は、マイク39aと、スピーカー39bとを有する。マイク39aは、主に、ユーザーの音声を入力するものであり、音波を音声信号に変換し、端末側制御部35などに出力するものである。スピーカー39bは、主に、ユーザーに対して音声を出力するものであり、端末側制御部35などから出力された音声信号を音波に変換し、端末機器3の外部に出力するものである。
【0039】
次に、実施形態1におけるアナログ電子時計システム1による表示時刻補正について説明する。まず、アナログ電子時計2と端末機器3との通信確立処理について説明する。
図5は、実施形態におけるアナログ電子時計システムのシーケンス図である。
図6は、アナログ電子時計における通信確立処理のフロー図である。
図7は、端末機器における通信確立処理のフロー図である。
図8は、本実施形態1における端末機器における表示時刻補正処理のフロー図である。
図9は、アナログ電子時計における表示時刻補正処理のフロー図である。
図10は、時計の中心および向きを特定する処理の説明図である。
図11は、本実施形態における端末機器の表示面に対する補正困難情報表示画像の一例を示す図である。ここで、
図5は、アナログ電子時計2と、端末機器3と、外部サーバ200との間のやりとりを順に示したシーケンス図である。
【0040】
まず、ユーザーは、
図5に示すように、ペアリングを行う。ここでは、ユーザーは、アナログ電子時計2および端末機器3に対してペアリング操作を行う。ユーザーは、例えば、アナログ電子時計2の操作部27を操作することでアナログ電子時計2に対してペアリング操作を行う。また、ユーザーは、端末機器3は、タッチパネル部32を操作することで、表示面32aにペアリング用の設定画面を表示させ、ペアリング実行用ボタンのアイコンを押下する。なお、アナログ電子時計2は、ペアリング操作を操作部27により行うが、これに限定されるものではなく、操作部27とは異なるスイッチなどの操作部により行ってもよい。以下、
図5に示すシーケンスについて順を追って
図6以降の図を用いて説明する。
【0041】
次に、アナログ電子時計2の時計側制御部23は、
図6に示すように、ペアリング操作が行われた否かを判断する(ステップST201)。
【0042】
次に、時計側制御部23は、ペアリング操作が行われたと判断する(ステップST201:Yes)と、端末機器3との通信を確立する(ステップST202)。ここでは、時計側制御部23は、ユーザーによりペアリング操作が行われると、通信確立用信号を端末機器3に向けて時計側通信部22により送信し、端末機器3からのパスキーを含む通信確立用信号を時計側通信部22が受信し、端末機器3からの通信確立用信号に含まれるパスキーが時計側制御部23に記憶されているパスキーと一致すると、通信確立完了信号を端末機器3に向けて時計側通信部22により送信し、端末機器3との通信を確立する。なお、時計側制御部23は、ペアリング操作が行われていないと判断する(ステップST201:No)と、ペアリング操作が行われるまで、ステップST201を繰り返す。
【0043】
次に、時計側制御部23は、時計識別情報を送信する(ステップST203)。ここでは、時計側制御部23は、端末機器3との通信が確立すると、時計側記憶部28に記憶されている時計識別情報を時計側通信部22により端末機器3に送信する。
【0044】
一方、端末機器3の端末側制御部35は、
図7に示すように、ペアリング操作が行われた否かを判断する(ステップST301)。
【0045】
次に、端末側制御部35は、ペアリング操作が行われたと判断する(ステップST301:Yes)と、アナログ電子時計2との通信を確立する(ステップST302)。ここでは、端末側制御部35は、ユーザーによりペアリング操作が行われると、アナログ電子時計2からの通信確立用信号を受信し、パスキーを含む通信確立用信号をアナログ電子時計2に向けて端末側通信部34により送信し、アナログ電子時計2からの通信確立完了信号を受信すると、アナログ電子時計2との通信を確立する。なお、端末側制御部35は、ペアリング操作が行われていないと判断する(ステップST301:No)と、ペアリング操作が行われるまで、ステップST301を繰り返す。
【0046】
次に、端末側制御部35は、時計識別情報を受信したか否かを判断する(ステップST303)。
【0047】
次に、端末側制御部35は、時計識別情報を受信したと判断する(ステップST303:Yes)と、情報取得要求を行う(ステップST304)。ここでは、端末側制御部35は、外部サーバ200から針識別情報を取得するために、端末側通信部34により、インターネット網100を介して外部サーバ200に対して、針識別情報を要求する。ここで、外部サーバ200は、複数の針識別情報が時計識別情報に関連づけられて記憶されている。各針識別情報は、アナログ電子時計2の種類、色、製造年などに対応したものである。なお、端末側制御部35は、時計識別情報を受信していないと判断する(ステップST303:No)と、時計識別情報を受信するまで、ステップST303を繰り返す。
【0048】
次に、端末側制御部35は、針識別情報を受信したか否かを判断する(ステップST305)。ここでは、端末側制御部35は、外部サーバ200に対して、情報取得要求を行った結果として、外部サーバ200から通信が確立したアナログ電子時計2の時計識別情報に対応する針識別情報を端末側通信部34により受信したか否かを判断する。
【0049】
次に、端末側制御部35は、針識別情報を受信した判断する(ステップST305:Yes)と、針識別情報を記憶する(ステップST306)。ここでは、端末側制御部35は、端末側通信部34により針識別情報を受信すると、端末側記憶部37に針識別情報を記憶する。これにより、端末機器3は、時計識別情報に基づいて針識別情報を取得する。なお、端末側制御部35は、針識別情報を受信していないと判断する(ステップST305:No)と、針識別情報を受信するまで、ステップST305を繰り返す。
【0050】
以上のように、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、端末側通信部34を介して、端末機器3の外部からアナログ電子時計2の時計識別情報に対応する針識別情報を取得する。ここで、端末機器3は、端末機器3と通信を確立することができるアナログ電子時計2であれば、どのアナログ電子時計2であっても表示位置を補正することができるため、予め針識別情報を端末側記憶部37に記憶しておく場合、表示位置を補正することができるすべてのアナログ電子時計2に対応する針識別情報を記憶してもよいが、端末側記憶部37に多くの記憶容量が必要となる。一方、本実施形態における端末機器3は、端末機器3により表示位置を補正するアナログ電子時計2の針識別情報を予め端末側記憶部37に記憶しておく必要がないので、針識別情報を記憶する端末側記憶部37の記憶容量を少なくすることができる。
【0051】
次に、アナログ電子時計2と端末機器3との通信が確立した後における、表示時刻補正処理について説明する。まず、ユーザーは、端末機器3において表示時刻補正アプリケーションを起動する。ここで、アプリの起動は、例えば、ユーザーが表示面32aに表示されたアプリに対応する起動ボタンのアイコンを押下する(表示面32aのうち、起動ボタンのアイコン表示位置に対して操作入力する)。
【0052】
次に、端末機器3の端末側制御部35は、
図8に示すように、アプリが起動しているか否かを判断する(ステップST311)。
【0053】
次に、端末側制御部35は、アプリが起動していると判断する(ステップST311:Yes)と、アナログ電子時計2に対して回転停止信号を送信する(ステップST312)。現時点で、アナログ電子時計2の指針群26b~26eが回転状態であるため、端末側制御部35は、指針群26b~26eが停止している状態で撮像部31による撮像ができるように、端末側通信部34および時計側通信部22を介して、指針群26b~26eの回転を停止させる回転停止信号を時計側制御部23に出力する。なお、端末側制御部35は、アプリが起動していないと判断する(ステップST311:No)と、アプリが起動されるまでステップST311を繰り返す。
【0054】
次に、アナログ電子時計2の時計側制御部23は、
図9に示すように、回転停止信号を受信したか否かを判断する(ステップST211)。
【0055】
次に、時計側制御部23は、回転停止信号を受信したと判断する(ステップST211:Yes)と、指針群26b~26eの回転を停止する(ステップST212)。ここでは、時計側制御部23は、モータ駆動回路23bに対して駆動機構部25に出力している駆動信号の出力を停止させる。これにより、アナログ電子時計2は、指針群26b~26eが現在表示位置において停止することとなる。また、時計側制御部23は、カウンタによるカウントを禁止し、時計内部時刻の更新、すなわち時計内部時刻の計時を停止する。なお、時計側制御部23は、回転停止信号を受信していないと判断する(ステップST211:No)と、回転停止信号を受信するまでステップST211を繰り返す。
【0056】
次に、端末側制御部35は、撮像部31を起動する(ステップST313)。ここでは、端末側制御部35は、指針群26b~26eが回転停止状態のアナログ表示部26を撮像するために、撮像部31を起動する。端末側制御部35は、撮像部31が起動されると、撮像部31からリアルタイムに出力される画像信号に基づいた画像を表示面32aに表示させる。つまり、ユーザーは、表示面32aを視認することで、撮像部31が撮像しようとする被写体、すなわちアナログ電子時計2を確認することができる。また、端末側制御部35は、
図1に示すように、表示面32aに対して、撮像部31による撮像を指示するシャッターをアイコンPBとして表示する。なお、端末側制御部35は、ユーザーに対してアナログ電子時計2の回転が停止してから撮像することを注意喚起する表示を表示面32aに表示させてもよい。
【0057】
次に、端末側制御部35は、シャッターが押下されたか否かを判断する(ステップST314)。
【0058】
次に、端末側制御部35は、シャッターが押下されたと判断する(ステップST314:Yes)と、指針文字板画像Pを生成する(ステップST315)。ここでは、端末側制御部35は、ユーザーによりアイコンPBが押下されると、撮像部31による撮像を指示する撮像指示信号を撮像部31に出力し、撮像部31による撮像が行われ、指針文字板画像Pが生成される。また、端末側制御部35は、シャッターが押下されていないと判断する(ステップST314:No)と、シャッターが押下されるまで、ステップST314を繰り返す。
【0059】
次に、端末側制御部35は、反射領域を特定する(ステップST316)。ここでは、端末側制御部35は、生成された指針文字板画像Pにおいて、外乱光が風防WSにおいて反射することで、指針文字板画像Pのうちアナログ表示部26に対応する領域が認識できない可能性がある反射領域を特定する。本実施形態における端末側制御部35は、指針文字板画像Pの各画素の輝度に関する情報、例えばRGBの値に基づいて、RGBの値が所定値以上の画素を抽出することで反射領域を特定する。ここで、所定値は、針識別情報におけるアナログ電子時計2の秒針26b、分針26c、時針26d、外装ケース29の色情報に基づいて設定される。例えば、文字板26aが白色であると、指針文字板画像Pにおいて反射領域を特定する場合に、外乱光が風防WSにおいて反射したものなのか、文字板26aなのかの判別が困難となる。そこで、所定値は、針識別情報におけるアナログ電子時計2の色情報に基づいて設定することで、外乱光が風防WSにおいて反射した領域なのか、アナログ電子時計2に対応する領域なのかを精度良く判別することができる。これにより、反射領域を精度良く特定することができるので、指針文字板画像Pにおける3つの針26b~26dの現在表示位置の検出精度を向上することができる。
【0060】
次に、端末側制御部35は、風防領域を特定する(ステップST317)。ここでは、端末側制御部35は、指針文字板画像Pのうち、アナログ表示部26の上方向側に位置する風防WSに対応する領域を特定する。本実施形態における端末側制御部35は、針識別情報に基づいて風防WSに対応する領域を特定する。具体的には、端末側制御部35は、針識別情報における外装ケース29の形状情報に基づいて外装ケース29のうち最大円と同心円の風防WSの外径に対応する径の円に対応する領域を風防WSに対応する領域として特定する。なお、端末側制御部35は、指針文字板画像Pのうち、円形状を抽出し、抽出した円形状のうち最大円と同心円の最小円に対応する領域を風防WSに対応する領域として特定してもよい。
【0061】
次に、端末側制御部35は、指針文字板画像Pに基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断する(ステップST318)。ここでは、端末側制御部35は、反射領域に基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断する。具体的には、端末側制御部35は、指針文字板画像Pのうち、風防WSに対応する領域内において反射領域が占める割合、すなわちアナログ電子時計2、本実施形態では風防WSに対する反射領域の面積に基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断する。端末側制御部35は、例えば、風防WSに対応する領域を100%とした場合に、風防WSに対応する領域内において反射領域が占める割合が10%以下であるか否かを判断する。
【0062】
次に、端末側制御部35は、指針文字板画像Pに基づいて現在表示位置を検出することが可能であると判断する(ステップST318:Yes)と、指針文字板画像Pに対して画像処理を行う(ステップST319)。ここでは、端末側制御部35は、針識別情報に基づいて現在表示位置を検出しやすくするために、指針文字板画像Pに対して画像処理を行う。本実施形態における端末側制御部35は、指針文字板画像Pに対して、輝度、色温度などに基づいたエッジ検出処理を実行し、指針文字板画像Pを二値化する。そして、端末側制御部35は、二値化した指針文字板画像Pに対して白黒反転処理を実行する。なお、端末側制御部35は、二値化した指針文字板画像Pに対して白黒反転処理を実行しなくてもよい。
【0063】
次に、端末側制御部35は、指針文字板画像Pに基づいて注意点を抽出する(ステップST320)。ここでは、端末側制御部35は、画像処理された指針文字板画像Pから時計の中心、向きを特定するために、複数の注意点を抽出する。具体的には、
図10に示すように、指針文字板画像Pにおいて、外装ケース29の離間した4つ注意点A~Dを抽出する。ここで、外装ケース29のうち環状部29eとかん29aとの連結部のうち、ベルト側端部を注意点Aとし、環状部29eとかん29bとの連結部のうち、ベルト側端部を注意点Bとし、環状部29eとかん29cとの連結部のうち、ベルト側端部を注意点Cとし、環状部29eとかん29dとの連結部のうち、ベルト側端部を注意点Dとする。
【0064】
次に、端末側制御部35は、
図8に示すように、全注意点A~Dを抽出できたか否かを判断する(ステップST321)。ここでは、端末側制御部35は、画像処理された指針文字板画像Pから注意点A~Dを全て抽出することができたか否かを判断する。
【0065】
次に、端末側制御部35は、全注意点A~Dを抽出できたと判断する(ステップST321:Yes)と、時計の中心および向きを特定する(ステップST322)。ここでは、端末側制御部35は、抽出された注意点A~Dに基づいてアナログ電子時計2の時計の中心Oと、時計の向きを特定する。本実施形態における時計の中心Oは、指針群26b~26eの回転中心であり、外装ケース29の中心である。本実施形態における時計の向きは、アナログ電子時計2の「12時」の位置、すなわち0度の位置である。具体的には、端末側制御部35は、
図10に示すように、注意点Aと注意点Bとを通る直線ABと、注意点Cと注意点Dとを通る直線CDと、注意点Aと注意点Cとを通る直線ACと、注意点Bと注意点Dとを通る直線BDとを生成する。次に、端末側制御部35は、直線ABおよび直線CDに基づいて、直線ABと直線CDとの間における真ん中に位置し、かつ直線ABおよび直線CDと平行な直線を直線Xとし、直線ACおよび直線BDに基づいて、直線ACと直線BDとの間における真ん中に位置し、かつ直線ACおよび直線BDと平行な直線を直線Yとする。端末側制御部35は、直線Xと直線Yとが交差する点を時計の中心Oに特定する。また、端末側制御部35は、時計の中心Oと操作部27であるリューズの直線Y方向における真ん中とを通る線を時計の中心Oを回転中心として、反時計回りに90度回転させた線、すなわち時計の中心Oからの延在方向を0度の位置として特定する。
【0066】
次に、端末側制御部35は、現在表示位置を検出したか否かを判断する(ステップST323)。ここでは、端末側制御部35は、針識別情報に基づいて秒針26b、分針26c、時針26dを検出し、文字板26aに対する現在表示位置を検出する。本実施形態における端末側制御部35は、針識別情報である秒針26b、分針26c、時針26dの形状と、画像処理された指針文字板画像Pとに基づいて、パターンマッチング処理により、指針文字板画像Pにおいて秒針26bに対応する領域、分針26cに対応する領域、時針26dに対応する領域を抽出する。次に、端末側制御部35は、抽出された3針26b~26dに対応する領域、時計の中心Oおよび時計の向きに基づいて、0度の位置に対する3針26b~26dの回転角度を算出する。これにより、端末側制御部35は、3針26b~26dの現在表示位置を検出する。
【0067】
次に、端末側制御部35は、現在表示位置を検出したと判断する(ステップST323:Yes)と、表示時刻情報を生成する(ステップST324)。ここでは、端末側制御部35は、検出した3針26b~26dの回転角度に基づいて、表示時刻における「秒」、「分」、「時」を特定する。
【0068】
次に、端末側制御部35は、アナログ電子時計2に対して表示時刻情報を送信する(ステップST325)。現時点で、アナログ電子時計2の指針群26b~26eが回転停止状態であるため、端末側制御部35は、時計内部時刻の計時を停止している状態で、指針群26b~26eを駆動機構部25によりそれぞれ回転させることができるように、端末側通信部34および時計側通信部22を介して、3針26b~26dの現在表示位置を時計側制御部23に出力する。本実施形態における端末側制御部35は、表示時刻情報とともに、基準時刻情報を時計側制御部23に出力する。
【0069】
次に、時計側制御部23は、
図9に示すように、表示時刻情報を受信したか否かを判断する(ステップST213)。
【0070】
次に、時計側制御部23は、表示時刻情報を受信したと判断する(ステップST213:Yes)と、表示時刻情報に基づいて3針26b~26dの表示位置を補正する(ステップST214)。ここでは、時計側制御部23は、表示時刻情報と時計内部時刻とを比較して、秒、分、時それぞれの差分に基づいて、表示時刻が時計内部時刻と一致するように、駆動機構部25の各ステップモータ25a,25bに対してモータ駆動回路23bが駆動信号を出力し、3針26b~26dを表示時刻情報に基づいて回転させる。本実施形態における時計側制御部23は、表示時刻情報に対応する表示時刻および基準時刻情報に対応する基準時刻と、時計内部時刻とを比較して、秒、分、時それぞれの差分に基づいて、駆動機構部25の各ステップモータ25a,25bに対してモータ駆動回路23bが駆動信号を出力する。つまり、時計側制御部23は、時計内部時刻を基準時刻と一致させるとともに、表示時刻が時計内部時刻と一致するように、駆動機構部25の各ステップモータ25a,25bに対してモータ駆動回路23bが駆動信号を出力し、3針26b~26dを表示時刻情報に基づいて回転させる。
【0071】
次に、時計側制御部23は、指針群26b~26eの回転を再開する(ステップST215)。ここでは、時計側制御部23は、時計内部時刻の計時を再開するとともに、時計内部時刻に基づいてモータ駆動回路23bおよび駆動機構部25を介して、指針群26b~26eの回転を再開させる。
【0072】
次に、時計側制御部23は、端末機器3に対して表示時刻補正完了通知を送信する(ステップST216)。現時点で、アナログ電子時計2の表示時刻補正が完了し、指針群26b~26eが回転再開状態であるため、時計側制御部23は、アプリを終了できるように、時計側通信部22および端末側通信部34を介して、アプリ終了のトリガーとなる表示時刻補正完了通知を端末側制御部35に出力する。
【0073】
次に、端末側制御部35は、
図8に示すように、表示時刻補正完了通知を受信したか否かを判断する(ステップST326)。
【0074】
次に、端末側制御部35は、表示時刻補正完了通知を受信したと判断する(ステップST326:Yes)と、アプリを終了する(ステップST327)。ここでは、端末側制御部35は、表示時刻補正完了通知を受信すると、例えば、表示面32aに表示時刻補正が完了した旨をユーザーに認識させる注意喚起表示を表示した後、アプリを終了する。また、端末側制御部35は、表示時刻補正完了通知を受信していないと判断する(ステップST326:No)と、表示時刻補正完了通知を受信するまでステップST326を繰り返す。
【0075】
また、端末側制御部35は、指針文字板画像Pに基づいて現在表示位置を検出することが可能でないと判断する(ステップST318:No)と、表示面32aに再撮像情報を表示する(ステップST328)。ここでは、端末側制御部35は、反射領域に基づいて現在表示位置を検出することが困難であると判断した場合に、端末機器3のタッチパネル部32に現在表示位置を検出することが困難であることに関する補正困難情報を表示する。本実施形態における端末側制御部35は、風防WSに対する反射領域の面積が3針26b~26dを検出することが困難であると判断できる面積である場合に、ユーザーに現在の指針文字板画像Pでは、現在表示位置の検出が困難であるため、風防WSに対する反射領域の面積を小さくした状態で再度撮像をしてもらう注意喚起を行う。端末側制御部35は、再撮像情報として、
図11に示すように、例えば「反射しないように撮影してください」などの補正困難情報PM1を表示面32aに表示する。これにより、ユーザーは、自身が撮像した指針文字板画像Pに基づいて表示時刻の補正を行うことができないことを認識することができる。特に、補正困難情報PM1として、反射に関する情報を表示面32aに表示することで、反射が原因により表示時刻の補正を行うことができないことを認識することができる。従って、ユーザーは、反射を考慮して、再度端末機器3によりアナログ電子時計2を撮像部31により撮像することができ、確実に表示時刻の補正を行うことができる。
【0076】
また、端末側制御部35は、全注意点A~Dを抽出できないと判断する(ステップST321:No)と、表示面32aに再撮像情報を表示する(ステップST328)。ここでは、端末側制御部35は、例えば、撮像部31に対してアナログ電子時計2が正対していない、撮像部31の撮像範囲内にアナログ電子時計2の全注意点A~Dが含まれていないなどで、指針文字板画像Pがアナログ電子時計2の全注意点A~Dを含んでいない画像であると、現在表示位置の検出が困難であるため、生成される指針文字板画像Pにおいてアナログ電子時計2の全注意点A~Dが含まれる状態で再度撮像をしてもらう注意喚起を行う。
【0077】
また、端末側制御部35は、現在表示位置を検出できないと判断する(ステップST323:No)と、一時運針を要求する。ここでは、端末側制御部35は、生成された指針文字板画像Pに基づいて現在表示位置を検出できない場合に、3針26b~26dが重なっていることが原因で現在表示位置を検出することができないことが考えられるので、3針26b~26dのいずれかを少し回転させ、すなわち一時運針する。本実施形態における端末側制御部35は、秒針26bを15秒進めるものであり、端末側通信部34および時計側通信部22を介して、秒針26bを15秒分回転させるための一時運針要求信号を時計側制御部23に出力する。
【0078】
また、時計側制御部23は、
図9に示すように、表示時刻情報を受信していないと判断する(ステップST213:No)と、一時運針要求があったか否かを判断する(ステップST217)。ここでは、時計側制御部23は、現在表示位置を検出できないために、3針26b~26dを一時運針する一時運針の要求が端末機器3からあったか否かを判断する。
【0079】
次に、時計側制御部23は、一時運針要求があったと判断する(ステップST217:Yes)と、一時運針後回転を停止する(ステップST218)。ここでは、時計側制御部23は、駆動機構部25のステップモータ25aに対してモータ駆動回路23bが駆動信号を出力し、秒針26bを15秒分回転させ、モータ駆動回路23bに対して駆動機構部25に出力している駆動信号の出力を停止させる。なお、時計側制御部23は、一時運針要求がないと判断する(ステップST217:No)と、表示時刻情報を受信したか否かを判断(ステップST213)し、ステップST213以降を繰り返す。ここで、時計側制御部23は、一時運針要求がないと判断(ステップST217:No)し、所定時間が経過した場合に、指針群26b~26eの回転を再開して、制御を終了してもよい。
【0080】
次に、端末側制御部35は、表示面32aに再撮像情報を表示する(ステップST328)。ここでは、端末側制御部35は、アナログ電子時計2の一時運針を行っても、ユーザーが再度撮像することを意識していない場合、意識しているがどのタイミングで再度撮像するのかを把握していない場合などが考えられるため、一時運針後に再度撮像をしてもらう注意喚起を行う。
【0081】
以上のように、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、表示時刻補正を行う際に、針識別情報に基づいて指針文字板画像Pにおける文字板26aに対する秒針26b、分針26c、時針26dの現在表示位置を検出するので、針識別情報がない場合において、文字板26aに対する秒針26b、分針26c、時針26dの現在表示位置を検出する場合と比較して、指針文字板画像Pにおける指針の現在表示位置の検出精度を向上することができる。これにより、精度の高い現在の表示時刻情報を生成することができるので、精度の高い表示時刻補正を行うことができる。また、指針文字板画像Pにおける秒針26b、分針26c、時針26dの現在表示位置が検出しやすくなるので、表示時刻補正ができないことを抑制することができる。これにより、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、表示時刻補正の信頼性を向上することができる。特に、腕時計の外装の場合、文字板26a、指針26b~26c、外装ケース29、操作部27は、デザインバリエーションが多く、多品種となることから、本実施形態のように、個々のデザインに合わせた識別条件で現在表示位置を検出することによって、表示時刻補正の信頼性を向上することができる。
【0082】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、反射領域に基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断し、反射領域に基づいて現在表示位置を検出することが可能であると判断した場合のみ現在表示位置を検出するので、反射領域が原因で現在位置表示を検出することができないことを、針識別情報に基づいて現在表示位置を検出する前に行うことができる。現在表示位置を検出することが可能であるか否かを素早く判断することができ、ユーザーに認識させることができる。
【0083】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、アナログ電子時計2に対する反射領域の面積に基づいて現在表示位置を検出するので、反射領域の面積の増加に比例して現在表示位置を検出することが可能でなくなるため、容易に現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断することができる。
【0084】
なお、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、外乱光の反射を抑制するようにしてもよい。
図12は、変形例におけるアナログ電子時計の要部断面を示す図である。変形例におけるアナログ電子時計2においては、風防WSの上下方向において対向する面のうち、文字板26aと対向する面、すなわち下面に反射低減コーティング層NRが形成されている。反射低減コーティング層NRは、例えば、シリコーン化合物や、フッ化マグネシウムなどを積層して形成されている。変形例におけるアナログ電子時計システム1は、反射低減コーティング層NRが形成されていることで、端末機器3による撮像時における反射を低減することができるので、指針文字板画像Pにおける反射領域を低減することができる。これにより、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、表示時刻補正の信頼性をさらに向上することができる。ここで、反射低減コーティング層NRは、風防WSの下面に形成されているが、下面とともに上下方向において対向する面のうち、アナログ電子時計2の外部と対向する面、すなわち上面に形成されていてもよい。この場合は、端末機器3による撮像時における反射をさらに低減することができるので、指針文字板画像Pにおける反射領域をさらに低減することができる。なお、反射低減コーティング層NRは、風防WSの上面にのみ形成されていてもよい。
【0085】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、時計の中心Oおよび時計の向きを特定するために、かん29a~29dを利用したが、これに限定されるものではなく、時計の中心Oおよび時計の向きを特定することができれば、外装ケース29のどの部分を利用してもよい。例えば、操作部27や文字板26aに含まれるインデックス26fを利用してもよい。
【0086】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2にかかるアナログ電子時計システムについて説明する。
図13は、実施形態2における端末機器における表示時刻補正処理のフロー図である。
図14は、端末機器により撮像された補正後指針文字板画像を示す図である。
図15は、端末機器により撮像された指針文字板画像の一部を示す図である。
【0087】
実施形態2におけるアナログ電子時計システムが実施形態1におけるアナログ電子時計システム1に対して異なる点は、撮像時に文字板26aが傾いた状態で撮像され、指針文字盤画像Pにおける文字板26aが傾いている場合に傾きを補正し、補正後指針文字板画像P´に基づいて現在表示位置を検出する点である。実施形態2におけるアナログ電子時計システムの基本構成のうち、実施形態1におけるアナログ電子時計システム1の基本構成と共通する部分の説明は省略する。
【0088】
本実施形態における文字板26aは、特徴部が形成されている。ここで、特徴部は、文字板26における境界に基づいて交差する仮想線を2以上形成することができるものである。本実施形態における特徴部は、特徴部と文字板26との境界に基づいて交差する仮想線により四角形状OL(OL1,OL2)を形成することができるものであり、ここでは
図14に示すように、ロゴタイプ26hである。
【0089】
本実施形態における端末側通信部34は、外部サーバ200から特徴部形状情報を含む針識別情報を受信するものである。ここで、特徴部形状情報とは、文字板26の特徴部の形状に関する情報である。
【0090】
本実施形態における端末側制御部35は、特徴部形状情報を含む針識別情報を取得し、端末側記憶部37に記憶するものである。端末側制御部35は、撮像部31が生成した指針文字板画像Pを針識別情報のうち、特徴部形状情報に基づいて指針文字板画像Pにおける文字板26aの傾きを補正し、指針文字板画像Pにおける文字板26aの傾きを補正した補正後指針文字板画像P´を生成するものである。端末側制御部35は、補正後指針文字板画像P´を画像処理するとともに、針識別情報に基づいて指針群26b~26eの現在表示位置を検出するものである。
【0091】
次に、実施形態2におけるアナログ電子時計システムによる表示時刻補正について説明する。実施形態2におけるアナログ電子時計システムの表示時刻補正のうち、実施形態1におけるアナログ電子時計システム1の表示時刻補正と共通する部分の説明は省略する。
【0092】
端末機器3の端末側制御部35は、
図13に示すように、アプリが起動していると判断(ステップST311:Yes)と、アナログ電子時計2に対して回転停止信号を送信する(ステップST312)。次に、アナログ電子時計2の時計側制御部23は、
図9に示すように、回転停止信号を受信したと判断する(ステップST211:Yes)と、指針群26b~26eの回転を停止する(ステップST212)。次に、端末側制御部35は、
図13に示すように、撮像部31を起動し(ステップST313)、シャッターが押下された判断する(ステップST314:Yes)と、指針文字板画像Pを生成する(ステップST315)。
【0093】
次に、端末側制御部35は、特徴部を抽出したか否かを判断する(ステップST330)。ここでは、端末制御部35は、指針文字板画像Pにおける文字板26aから特徴部、ここではロゴタイプ26hを抽出したか否かを判断する。端末制御部35は、例えば、指針文字板画像Pにおける文字板26aにおけるロゴタイプ26hと文字板26aとの境界点を複数抽出する。次に、端末制御部35は、抽出した複数の境界点に基づいて、複数の仮想線を形成する。次に、端末制御部35は、複数の仮想線のうち、ロゴタイプ26hのもっとも外側に位置し、かつ最も外側に位置する仮想線と交差する線を4つ抽出する。端末制御部35は、抽出した4つの仮想線により四角形状OL1を形成する。ここで、撮像時に文字板26aが傾いた状態で撮像されると、
図15に示すように、抽出した4つの仮想線により形成される四角形状OL1は矩形状ではなく、台形形状などになる。
【0094】
次に、端末側制御部35は、
図13に示すように、特徴部を抽出したと判断する(ステップST330:Yes)と、補正後指針文字板画像P´を生成する(ステップST331)。ここでは、端末側制御部35は、例えば、針識別情報のうち、特徴部形状情報および四角形状OL1に基づいて台形補正を行う。ここでは、
図14に示すように、特徴部形状情報に基づいた4つの仮想線により形成される四角形状OL2と指針文字盤画像Pにおける四角形状OL1とを比較し、対応する各直線の長さなどに基づいて、四角形状OL2を四角形状OL1に変形できるように、指針文字盤画像P全体を補正し、補正後指針文字板画像P´を生成する。つまり、生成された補正後指針文字板画像P´は、文字板26aの傾きを補正、すなわち文字板26aを正対して撮像した場合の指針文字板画像Pである。
【0095】
次に、端末側制御部35は、反射領域を特定し(ステップST316)、風防領域を特定し(ステップST317)、補正後指針文字板画像P´に基づいて現在表示位置を検出することが可能であると判断する(ステップST318:Yes)と、補正後指針文字板画像Pに対して画像処理を行う(ステップST319)。
【0096】
次に、端末側制御部35は、時計の中心および向きを特定する(ステップST322)。ここでは、端末側制御部35は、補正後指針文字板画像P´における特徴部に基づいてアナログ電子時計2の時計の中心Oと、時計の向きを特定する。端末側制御部35は、例えば、文字板26aに対するロゴタイプ26hの位置および向きに基づいて、時計の中心Oと、時計の向きを特定する。
【0097】
次に、端末側制御部35は、現在表示位置を検出したと判断する(ステップST323:Yes)、表示時刻情報を生成し(ステップST324)、アナログ電子時計2に対して表示時刻情報を送信する(ステップST325)。
【0098】
また、端末側制御部35は、特徴部を抽出できないと判断する(ステップST330:No)と、表示面32aに再撮像情報を表示する(ステップST329)。ここでは、端末側制御部35は、例えば、撮像部31に対してアナログ電子時計2が特徴部を抽出できないほど傾いているなどで、指針文字板画像Pが特徴部を含んでいない画像であると、現在表示位置の検出が困難であるため、生成される指針文字板画像Pにおいてアナログ電子時計2の特徴部が含まれる状態で再度撮像をしてもらう注意喚起を行う。
【0099】
以上のように、本実施形態におけるアナログ電子時計2は、指針文字板画像Pに基づいて傾きを補正した補正後指針文字板画像P´に基づいて、文字板26aに対する秒針26b、分針26c、時針26dの現在表示位置を検出するので、補正後指針文字板画像P´における指針の現在表示位置の検出精度をさらに向上することができる。
【0100】
なお、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、特徴部を文字板26aに形成されたロゴタイプ26hとしたが、これに限定されるものではなく、文字板26aに形成されたマーク、日窓26g、インデックス26fであってもよい。また、指針文字板画像Pに基づいて補正後指針文字板画像P´を生成する際に用いられる特徴部は、1つだけではなく、複数であってもよい。
【0101】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2に対する反射領域の面積に基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断するが、これに限定されるものではない。端末側制御部35は、アナログ電子時計2に対する反射領域の位置、すなわち文字板26aに対する反射領域の位置に基づいて現在表示位置を検出することが可能であるか否かを判断してもよい。この場合は、文字板26aに対する反射領域の位置が時計の中心O側ではなく、インデックス26f側であると判断すると、現在表示位置を検出することが可能でないと判断してもよい。また、端末側制御部35は、アナログ電子時計2に対する反射領域の面積および位置に基づいて現在表示位置を検出することが可能か否かを判断してもよい。
【0102】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、針識別情報として、秒針26b、分針26cおよび時針26dの形状情報を含むが、形状情報として、秒針26b、分針26cおよび時針26dの一部の形状であってもよい。秒針26b、分針26cおよび時針26dは、時計の中心Oにおいて、上下方向に重なり合っている。従って、端末側制御部35によりパターンマッチング処理を行うことで現在表示位置を検出する際に、秒針26b、分針26cおよび時針26dの全ての形状情報で現在表示位置を検出する場合に、重なり合っている部分が一致しにくくなるという問題がある。そこで、例えば、秒針26b、分針26cおよび時針26dの各形状情報として、3針26b~26dの重なり合っている部分を除いた形状をそれぞれの形状情報としてもよい。これにより、アナログ電子時計システム1は、端末側制御部35によりパターンマッチング処理を行うことで現在表示位置を検出する際の検出精度を向上することができる。なお、秒針26b、分針26cおよび時針26dの各形状情報として、重なり合っている部分における他の3針26b~26dを含んでいてもよい。
【0103】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、一時運針として、秒針26bを15秒進めるものであるが、一時運針を行っても、端末側制御部35により現在表示位置を検出することができない場合がある。この場合は、一時運針を複数回行ってもよく、複数回行っても端末側制御部35により現在表示位置を検出することができない場合には、指針群26b~26eの回転を再開して、制御を終了してもよい。また、一時運針としては、分針26cまたは時針26dを所定時間進めてもよい。例えば、分針26cの場合は一時運針として15分進める。
【0104】
また、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、撮像部31がアナログ電子時計2を撮像する際の撮像センサ31aの撮像条件を針識別情報に基づいて設定してもよい。この場合は、端末制御部35は、針識別情報に基づいて、指針文字板画像Pにおける反射領域を低減することができる撮像条件、例えば、露光タイミング、露光時間、ホワイトバランスなどを設定することとなる。
【符号の説明】
【0105】
1 アナログ電子時計システム
2 アナログ電子時計
21 アンテナ
22 時計側通信部
23 時計側制御部
24 時計側電源部
25 駆動機構部
26 アナログ表示部
26a 文字板
26b 秒針
26c 分針
26d 時針
27 操作部
28 時計側記憶部
29 外装ケース
29a~29d かん
3 端末機器
31 撮像部
32 タッチパネル部
32a 表示面
33 アンテナ
34 端末側通信部
35 端末側制御部
36 端末側電源部
37 端末側記憶部
38 内蔵時計部
39 音声入出力部
P 指針文字板画像
P´ 補正後指針文字板画像
PB アイコン
PM1 補正困難情報