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特許7284338電力変換システムのDC-DCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】電力変換システムのDC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
H02M3/155 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022502604
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2020003602
(87)【国際公開番号】W WO2021010570
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0087131
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェホ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038240(JP,A)
【文献】国際公開第2007/110954(WO,A1)
【文献】特開2014-090662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0190259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列で連結された第1~第4スイッチ
直列で連結された第5~第8スイッチ;
前記第1および第2スイッチの直列連結と並列で連結された第1キャパシタ;
前記第5および第6スイッチの直列連結と並列で連結された第2キャパシタ;
前記第3および第4スイッチの直列連結と並列で連結された第3キャパシタ;
前記第7および第8スイッチの直列連結と並列で連結された第4キャパシタ;
前記第1および第2スイッチ間の第1ノードと、前記第5および第6スイッチ間の第2ノードに電気的に連結される第1インダクタ;および
前記第3および第4スイッチ間の第3ノードと、前記第7および第8スイッチ間の第4ノードに電気的に連結される第2インダクタを含み、
前記第1および第2インダクタは第1カップルドインダクタを構成する、DC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記第2および第3スイッチ間の第5ノードと前記第6および第7スイッチ間の第6ノードは電気的に等価である、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記第1および第2スイッチ、第3および第4スイッチ、第5および第6スイッチ、第7および第8スイッチはそれぞれ相補的に動作する、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記第5および第8スイッチがオンであり、前記第6および第7スイッチがオフであり、前記第1および第4スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が小さくなる、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項5】
前記第1および第4スイッチがオンであり、前記第2および第3スイッチがオフであり、前記第6および第7スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が大きくなる、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項6】
直列で連結された第9~第12スイッチ;
直列で連結された第13~第16スイッチ;
直列で連結された第17~第20スイッチ;
直列で連結された第21~第24スイッチ;
前記第9および第10スイッチ間の第7ノードと、前記第13および第14スイッチ間の第8ノードに電気的に連結される第3インダクタ;
前記第11および第12スイッチ間の第9ノードと、前記第15および第16スイッチ間の第10ノードに電気的に連結される第4インダクタ;
前記第17および第18スイッチ間の第11ノードと、前記第21および第22スイッチ間の第12ノードに電気的に連結される第5インダクタ;および
前記第19および第20スイッチ間の第13ノードと、前記第23および第24スイッチ間の第14ノードに電気的に連結される第6インダクタをさらに含み、
前記第3および第4インダクタは第2カップルドインダクタを構成し、前記第5および第6インダクタは第3カップルドインダクタを構成する、請求項2に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項7】
前記第5ノードと、前記第6ノードと、前記第10および第11スイッチ間の第15ノードと、前記第14および第15スイッチ間の第16ノードと、第18および第19スイッチ間の第17ノードと、第22および第23スイッチ間の第18ノードは電気的に等価である、請求項6に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項8】
前記DC-DCコンバータはモジュール化されて構成され、
少なくとも二つ以上の前記DC-DCコンバータが並列で連結されて構成されることを特徴とする、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項9】
上部コンバータ;および
前記上部コンバータに直列で連結される下部コンバータを含み、
前記上部コンバータは、
直列で連結される第1および第2スイッチ;
直列で連結される第3および第4スイッチ;
前記第1および第2スイッチ間の第1ノードと前記第3および第4スイッチ間の第2ノードに電気的に連結される第1インダクタ;
前記第1および第2スイッチの直列連結に並列で連結される第1貯蔵部;および
前記第3および第4スイッチの直列連結に並列で連結される第2貯蔵部を含み、
前記下部コンバータは、
直列で連結される第5および第6スイッチ;
直列で連結される第7および第8スイッチ;
前記第5および第6スイッチ間の第3ノードと前記第7および第8スイッチ間の第4ノードに電気的に連結される第2インダクタ;
前記第5および第6スイッチの直列連結に並列で連結される第3貯蔵部;および
前記第7および第8スイッチの直列連結に並列で連結される第4貯蔵部を含み、
前記第1および第2インダクタはカップルドインダクタを構成し、前記第2スイッチと前記第5スイッチは直列で連結され、前記第4スイッチと前記第スイッチは直列で連結される、DC-DCコンバータ。
【請求項10】
前記第1および第2スイッチ、第3および第4スイッチ、第5および第6スイッチ、第7および第8スイッチはそれぞれ相補的に動作する、請求項9に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項11】
前記第3および第8スイッチがオンであり、前記第4および第7スイッチがオフであり、前記第1および第6スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が小さくなる、請求項9に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項12】
前記第1および第6スイッチがオンであり、前記第2および第5スイッチがオフであり、前記第4および第7スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が大きくなる、請求項9に記載のDC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力変換システムのDC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換システムは、直流(DC)電力を他のロード(load)への適用に適合した電力に変換するものである。例えば、電気自動車はエネルギー貯蔵装置(バッテリー)に貯蔵された電気エネルギーを利用して電気モータに電力を供給することができる。
【0003】
このような電力変換システムは両方向DC-DCコンバータを含むことができる。両方向DC-DCコンバータはエネルギー貯蔵装置とインバータの間で電圧を変換することができる。インバータは電気モータに電力を供給し、または電気モータから回生制動によって電力の供給を受けたりもする。この時、両方向DC-DCコンバータはエネルギー貯蔵装置からインバータへの電圧を調整して電気モータに電力を供給したり、またはインバータから電圧を調整してエネルギー貯蔵装置を充電したりもする。
【0004】
最近太陽光発電やエネルギー貯蔵装置などに使われるDC電圧がますます上昇されており、事故時にエネルギー貯蔵装置をはじめとするシステムを保護するための対策が要求されている趨勢である。
【0005】
しかし、従来のDC-DCコンバータの場合、入出力電圧範囲が低いか、DC短絡事故発生時に遮断が不可能な問題点がある。したがって、両方向DC-DCコンバータのための新しいトポロジーが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、広い入出力電圧に対応しながらもDC短絡事故発生時に効率的に遮断可能なDC-DCコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例のDC-DCコンバータは、直列で連結された第1~第4スイッチ;直列で連結された第5~第8スイッチ;前記第1および第2スイッチの直列連結と並列で連結された第1キャパシタ;前記第5および第6スイッチの直列連結と並列で連結された第2キャパシタ;前記第3および第4スイッチの直列連結と並列で連結された第3キャパシタ;前記第7および第8スイッチの直列連結と並列で連結された第4キャパシタ;前記第1および第2スイッチ間の第1ノードと前記第5および第6スイッチ間の第2ノードに電気的に連結される第1インダクタ;および前記第3および第4スイッチ間の第3ノードと前記第7および第8スイッチ間の第4ノードに電気的に連結される第2インダクタを含み、前記第1および第2インダクタはカップルドインダクタを構成し、前記第2および第3スイッチ間の第5ノードと前記第6および第7スイッチ間の第6ノードは電気的に等価であり得る。
【0008】
本発明の一実施例において、前記第2および第3スイッチ間の第5ノードと前記第6および第7スイッチ間の第6ノードは電気的に等価であり得る。
【0009】
本発明の一実施例において、前記第1および第2スイッチ、第3および第4スイッチ、第5および第6スイッチ、第7および第8スイッチはそれぞれ相補的に動作することができる。
【0010】
本発明の一実施例において、前記第5および第8スイッチがオンであり、前記第6および第7スイッチがオフであり、前記第1および第4スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が小さくなり得る。
【0011】
本発明の一実施例において、前記第1および第4スイッチがオンであり、前記第2および第3スイッチがオフであり、前記第6および第7スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が大きくなり得る。
【0012】
本発明の一実施例において、直列で連結された第9~第12スイッチ;直列で連結された第13~第16スイッチ;直列で連結された第17~第20スイッチ;直列で連結された第21~第24スイッチ;前記第9および第10スイッチ間の第7ノードと、前記第13および第14スイッチ間の第8ノードに電気的に連結される第3インダクタ;前記第11および第12スイッチ間の第9ノードと、前記第15および第16スイッチ間の第10ノードに電気的に連結される第4インダクタ;前記第17および第18スイッチ間の第11ノードと、前記第21および第22スイッチ間の第12ノードに電気的に連結される第5インダクタ;および前記第19および第20スイッチ間の第13ノードと、前記第23および第24スイッチ間の第14ノードに電気的に連結される第6インダクタをさらに含み、前記第3および第4インダクタは第2カップルドインダクタを構成し、前記第5および第6インダクタは第3カップルドインダクタを構成することができる。
【0013】
本発明の一実施例において、前記第5ノードと、前記第6ノードと、前記第10および第11スイッチ間の第15ノードと、前記第14および第15スイッチ間の第16ノードと、第18および第19スイッチ間の第17ノードと、第22および第23スイッチ間の第18ノードは電気的に等価であり得る。
【0014】
本発明の一実施例において、前記DC-DCコンバータはモジュール化されて構成され、少なくとも二つ以上の前記DC-DCコンバータが並列で連結されて構成され得る。
【0015】
また、前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例のDC-DCコンバータは、上部コンバータ;および前記上部コンバータに直列で連結される下部コンバータを含み、前記上部コンバータは、直列で連結される第1および第2スイッチ;直列で連結される第3および第4スイッチ;前記第1および第2スイッチ間の第1ノードと前記第3および第4スイッチ間の第2ノードに電気的に連結される第1インダクタ;前記第1および第2スイッチの直列連結に並列で連結される第1貯蔵部;および前記第3および第4スイッチの直列連結に並列で連結される第2貯蔵部を含み、前記下部コンバータは、直列で連結される第5および第6スイッチ;直列で連結される第7および第8スイッチ;前記第5および第6スイッチ間の第3ノードと前記第7および第8スイッチ間の第4ノードに電気的に連結される第2インダクタ;前記第5および第6スイッチの直列連結に並列で連結される第3貯蔵部;および前記第7および第8スイッチの直列連結に並列で連結される第4貯蔵部を含み、前記第1および第2インダクタはカップルドインダクタを構成し、前記第2スイッチと前記第5スイッチは直列で連結され、前記第4スイッチと前記第6スイッチは直列で連結され得る。
【0016】
本発明の一実施例において、前記第1および第2スイッチ、第3および第4スイッチ、第5および第6スイッチ、第7および第8スイッチはそれぞれ相補的に動作することができる。
【0017】
本発明の一実施例において、前記第3および第8スイッチがオンであり、前記第4および第7スイッチがオフであり、前記第1および第6スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が小さくなり得る。
【0018】
本発明の一実施例において、前記第1および第6スイッチがオンであり、前記第2および第5スイッチがオフであり、前記第4および第7スイッチのオン/オフ動作によって入力電圧より出力電圧が大きくなり得る。
【発明の効果】
【0019】
前記のような本発明は、スイッチが直列連結されて構成されるため、低い電圧のスイッチング素子を基盤として高い入出力電圧の利用が可能となる効果がある。
【0020】
また、本発明はカップルドインダクタによってインダクタの体積の節減が可能となり、損失が減少する効果がある。
【0021】
また、本発明はDC短絡事故に効率的に対応するようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例が適用される電力変換システムの一例を説明するための構成図である。
【0023】
図2】本発明の一実施例が適用される電力変換システムの他の一例を説明するための構成図である。
【0024】
図3a】従来のDC-DCコンバータのトポロジーを説明するための回路構成図である。
【0025】
図3b】従来のDC-DCコンバータのトポロジーを説明するための回路構成図である。
【0026】
図3c】従来のDC-DCコンバータのトポロジーを説明するための回路構成図である。
【0027】
図4】本発明の一実施例のDC-DCコンバータのトポロジーを説明するための回路構成図である。
【0028】
図5】本発明の一実施例のDC-DCコンバータの動作を説明するための一例示図である。
【0029】
図6図5のカップルドインダクタの等価回路図である。
【0030】
図7】本発明の一実施例のDC-DCコンバータが3相で構成される場合を説明するための一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の構成および効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態で具現され得、多様な変更を加えることができる。ただし、本実施例に対する説明は本発明の開示を完全なものとし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。添付された図面で構成要素は説明の便宜のためにその大きさを実際より拡大して図示したものであり、各構成要素の比率は誇張または縮小され得る。
【0032】
「第1」、「第2」等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われ得る。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく「第1構成要素」は「第2構成要素」と命名され得、同様に「第2構成要素」も「第1構成要素」と命名され得る。また、単数の表現は文脈上明白に異なるように表現しない限り、複数の表現を含む。本発明の実施例で使われる用語は異なって定義されない限り、該当技術分野で通常の知識を有する者に通常的に知られている意味で解釈され得る。
【0033】
以下では、図面を参照して本発明の一実施例の電力変換システムのDC-DCコンバータを説明することにする。
【0034】
図1は、本発明の一実施例が適用される電力変換システムの一例を説明するための構成図である。
【0035】
図面に図示された通り、本発明の一実施例が適用されるシステムは、エネルギー貯蔵部100、DC-DCコンバータ1、DCリンク部110およびインバータ120を含むことができる。
【0036】
図1のシステムで、エネルギー貯蔵部100に貯蔵されたDC電圧は本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1により昇圧または強圧されてDCリンク部110に提供され、DCリンク部110に貯蔵されたDC電圧はインバータ120により交流(AC)電圧に変換されて負荷(load)に伝達され得る。
【0037】
このように、本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1はエネルギー貯蔵部100に貯蔵されたDC電圧の大きさを変換してDCリンク部110に提供することができる。
【0038】
この時、制御部7はDC-DCコンバータ1の複数のスイッチをそれぞれ制御して、入力DC電圧を変換してDC電圧を出力することができる。
【0039】
図2は、本発明の一実施例が適用される電力変換システムの他の一例を説明するための構成図である。
【0040】
図面に図示された通り、本発明の一実施例が適用されるシステムは、太陽光発電部(Photovoltaic、PV)200、DC-DCコンバータ1およびエネルギー貯蔵部210を含むことができる。
【0041】
本発明の一実施例において、DC-DCコンバータ1はPV200により生産されるDC電圧を変換してエネルギー貯蔵部210が貯蔵するように提供することができる。
【0042】
この時、制御部7はDC-DCコンバータ1の複数のスイッチをそれぞれ制御して、入力DC電圧を変換してDC電圧を出力することができる。
【0043】
ただし、本発明のDC-DCコンバータ1は、前述したシステムに限定的に提供されるものではなく、多様にDC電圧の大きさを変換して提供するシステムで適用され得るであろう。
【0044】
以下では、従来のDC-DCコンバータのトポロジーを説明した後、本発明の一実施例のDC-DCコンバータを説明することにする。
【0045】
図3a~図3cは、従来のDC-DCコンバータのトポロジーを説明するための回路構成図である。
【0046】
図3aは従来基本的に使われる2-レベルブーストトポロジーを示すものであって、入力電圧が650Vである場合、出力電圧が650V以下となり、1500Vの電圧を出力するために2000Vのスイッチング素子が要求される。また、DC短絡事故発生時には遮断が不可能な問題点がある。
【0047】
図3bはNPC(neutral-point-clamped)トポロジーを示すものであって、入力電圧が650Vである場合、出力電圧が400~1500Vの範囲内であり、1500Vの電圧を出力するために1200Vのスイッチング素子が要求される。図3bのトポロジーによると、DC短絡事故発生時に遮断は可能であるが、キャパシタの電圧バランシングが不可能な問題点がある。
【0048】
図3cはフライングキャパシタ(flying capacitor)トポロジーを示すものであって、入力電圧が650Vである場合、出力電圧が400~1500Vの範囲内であり、1500Vの電圧を出力するために1200Vのスイッチング素子が要求される。図3cのトポロジーによると、DC短絡事故発生時に遮断は可能であるが、インダクタ周波数が2倍であり、フライングキャパシタのサイズが大きくなるためコンバータ自体のサイズも大きくなり、キャパシタの初期充電回路が必要であり、電圧の維持のための制御が要求される問題点がある。
【0049】
図4は、本発明の一実施例のDC-DCコンバータを説明するための回路構成図である。
【0050】
図面に図示された通り、本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1は、順次直列で連結された第1~第4スイッチ11~14と、順次直列で連結された第5~第8スイッチ15~18を含むことができる。第1~第8スイッチ11~18はそれぞれ、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)であり得るが、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な種類の半導体スイッチング素子が使われ得る。
【0051】
第1スイッチ11と第2スイッチ12は制御部7の制御によって、相補的に(complementary)動作することができる。相補的に動作するとは、第1スイッチ11がオンである場合、第2スイッチ12はオフであり、第1スイッチ11がオフである場合、第2スイッチ12はオンであることを意味する。同様に、第3スイッチ13と第4スイッチ14は相補的に動作することができ、第5スイッチ15と第6スイッチ16は相補的に動作することができる。また、第7スイッチ17と第8スイッチ18は相補的に動作することができる。
【0052】
第1スイッチ~第4スイッチ11~14の直列連結と第1キャパシタ21および第3キャパシタ23の直列連結が並列で連結され得る。この時、第2スイッチ12と第3スイッチ13の間のノードFと第1キャパシタ21と第3キャパシタ23の間のノードEは電気的に等価であり得る。すなわち、第1および第2スイッチ11、12の直列連結と第1キャパシタ21が並列で連結され得、第3および第4スイッチ13、14の直列連結と第3キャパシタ23が並列で連結され得る。
【0053】
また、第5スイッチ~第8スイッチ15~18の直列連結と第2キャパシタ22および第4キャパシタ24の直列連結が並列で連結され得る。この時、第6スイッチ16と第7スイッチ17の間のノードGと第2キャパシタ22と第4キャパシタ24の間のノードHは電気的に等価であり得る。すなわち、第5および第6スイッチ15、16の直列連結と第2キャパシタ22が並列で連結され得、第7および第8スイッチ17、18の直列連結と第4キャパシタ24が並列で連結され得る。
【0054】
第1インダクタ31は第1スイッチ11と第2スイッチ12の間のノードAと第5スイッチ15と第6スイッチ16の間のノードBに電気的に連結され得る。また、第2インダクタ32は第3スイッチ13と第4スイッチ14の間のノードCと第7スイッチ17と第8スイッチ18の間のノードDに電気的に連結され得る。
【0055】
第1および第2インダクタ31、32は互いに結合されてカップルドインダクタ(coupled inductor)を構成することができる。すなわち、第1および第2インダクタ31、32の巻線比は同一であり得、コアを通じて第1インダクタ31の1次コイルと第2インダクタ32の二次コイルが磁気的に結合され得る。
【0056】
また、本発明の一実施例において、第2スイッチ12と第3スイッチ13の間のノードFと、第6スイッチ16と第7スイッチ17の間のノードGは電気的に等価であり得る。したがって、ノードE、ノードF、ノードGおよびノードHは電気的に等価であり得る。
【0057】
このように、構成されるトポロジーによって、本発明のDC-DCコンバータ1は、非絶縁型で構成され得、両方向に昇圧および降圧が可能な構造である。
【0058】
本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1はスイッチが直列連結されて構成されるため、低い電圧のスイッチング素子を基盤として高い入出力電圧の利用が可能となり得る。また、カップルドインダクタによってインダクタの体積の節減が可能となり、損失が減少し得る。また、DC短絡事故に効率的に対応することができる。
【0059】
図4のようなトポロジーで、本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1がバック(buck、降圧)コンバータとして動作する場合、第1および第4スイッチ11、14が制御部7の制御によってオンまたはオフに制御され、第2スイッチ12は第1スイッチ11に相補的に動作し、第3スイッチ13は第4スイッチ14に相補的に動作することができる。また、制御部7により第5スイッチ15と第8スイッチ18はオンに制御され、第6スイッチ16と第7スイッチ17はオフに制御され得る。
【0060】
また、本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1がブースト(boost、昇圧)コンバータとして動作する場合、第6および第7スイッチ16、17が制御部7の制御によってオンまたはオフに制御され、第5スイッチ15は第6スイッチ16に相補的に動作し、第8スイッチ18は第7スイッチ17に相補的に動作することができる。また、制御部7により第1スイッチ11と第4スイッチ14はオンに制御され、第2スイッチ12と第3スイッチ13はオフに制御され得る。
【0061】
図4のような本発明の一実施例のDC-DCコンバータ1はモジュール化されて構成され得る。このような構成によると、このようなDC-DCコンバータ1が並列でそれぞれ連結されてもよい。
【0062】
並列で連結されたモジュール化されたDC-DCコンバータ1により、望む大きさの出力電圧を得ることができる。
【0063】
図5は本発明の一実施例のDC-DCコンバータの動作を説明するための一例示図であって、DC-DCコンバータ1がバックコンバータとして使われる場合を例にして示したものである。ただし、本発明の一実施例では、制御部7が半周期(Ts/2)で一部(5A)を第1スイッチ11をオンにし、一部(5B)はオフ(この時、第4スイッチ14はオフ)にし、残りの半周期(Ts/2)で一部(5C)を第4スイッチ14をオンにし、一部(5D)はオフ(この時、第1スイッチ11はオフ)にしたものを例として説明しているが、半周期の間すべてオンまたはオフ(すなわち、半周期の間第1スイッチ11はオン、第4スイッチ14はオフ、残りの半周期の間第1スイッチ11はオフ、第4スイッチ14はオン)に制御してもよく、5Aと5Bの比率および5Cと5Dの比率も図5に示したものに限定されるものではない。
【0064】
図5の(a)を参照すると、制御部7は第1スイッチ11と第4スイッチ14のオン/オフを制御することができる。すなわち、半周期(Ts/2)の一部区間(5A)で第1スイッチ11をオンにし、残りの区間(5B)で第1スイッチ11をオフに制御することができる。この時、該当半周期で第4スイッチ14はオフに制御することができる。また、残りの半周期の一部区間(5C)で第4スイッチ14をオンにし、残りの区間(5D)で第4スイッチ14をオフに制御することができる。この時、該当残りの半周期で第1スイッチ11はオフに制御することができる。バックコンバータの場合であるので、第2スイッチ12と第3スイッチ13はそれぞれ第1スイッチ11と第4スイッチ14と相補的に動作し、第5スイッチ15および第8スイッチ18はオンであり、第6スイッチ16および第7スイッチ17はオフである。
【0065】
これによって、(b)のように、第1スイッチ11がオンになる5A区間では、第1インダクタ31に電圧vが5Eのように印加され得る。この時、電圧vの大きさ5Eは第1キャパシタ21の電圧Vc1から第2キャパシタ22の電圧Vc2を差し引いた値であり得る。また、一周期内で第1スイッチ11がオフになる区間(5Aを除いた区間)では、第1インダクタ31に電圧vが5Fのように印加され得る。電圧vの大きさ5Fは第2キャパシタ22の電圧の逆電圧であり得る。
【0066】
また、第4スイッチ14がオンになる区間5Cでは、第2インダクタ32に電圧vが5Hのように印加され得る。この時、電圧vの大きさ5Hは第3キャパシタ23の電圧Vc3から第4キャパシタ24の電圧Vc4を差し引いた値の逆電圧であり得る。また、一周期内で第4スイッチ14がオフになる区間(5Cを除いた区間)では、第2インダクタ32に電圧vが5Gのように印加され得る。電圧vの大きさ5Gは第4キャパシタ24の電圧Vc4であり得る。
【0067】
一方、カップルドインダクタ30の相互インダクタンスによって電圧vが印加され得る。この時、電圧vは実際には測定不可の電圧であり、モデリングによって求められる値である。
【0068】
図6は、図5のカップルドインダクタの等価回路図である。
【0069】
図面に図示された通り、カップルドインダクタ30は第1インダクタ31のインダクタンスLと、第2インダクタ32のインダクタンスLと相互インダクタンスLで等価化され得る。
【0070】
すなわち、第1インダクタ31に流れる電流iと第2インダクタ32に流れる電流iに実際に影響を及ぼす電圧はv-v、およびv-vである。
【0071】
図5の(b)を参照すると、vは第1スイッチ11と第4スイッチ14のスイッチングによって印加される電圧であって、それぞれスイッチがオフの場合にはvが0となり、第1スイッチ11がオンである区間5Aでは所定の大きさ5Iであり、第4スイッチ14がオンである区間5Cでは5Iの逆電圧である5Jとなり得る。vの大きさはモデリングによって求められる値であり、本発明で説明したものに限定されるものではない。
【0072】
したがって、図5の(c)のように、第1インダクタ31に流れる電流iと第2インダクタ32に流れる電流iに実際に影響を及ぼす電圧v-vおよびv-vを求めることができ、これによって第1インダクタ31に流れる電流iと第2インダクタ32に流れる電流i図5の(d)のように決定することができる。
【0073】
図7は、本発明の一実施例のDC-DCコンバータが3相で構成される場合を説明するための一例示図である。
【0074】
図面に図示された通り、本発明の一実施例の3相DC-DCコンバータ2は、一つの相ごとに直列で連結された4個のスイッチを含む二つのレッグ(leg)51、62から、上部の二つのスイッチ間のそれぞれのノードに第1インダクタ71が連結され、下部の二つのスイッチ間のそれぞれのノードに第2インダクタ72が連結され、第1および第2インダクタ71、72は巻線数が同一のカップルドインダクタであり得る。
【0075】
第1レッグ61の上部の二つのスイッチの直列連結は第1キャパシタ81と並列で連結され、下部の二つのスイッチの直列連結は第3キャパシタ83と並列で連結され得る。また、第2レッグ62の上部の二つのスイッチの直列連結は第2キャパシタ82と並列で連結され、下部の二つのスイッチの直列連結は第4キャパシタ84と並列で連結され得る。
【0076】
前記の説明は一つの相に対してその構成を説明したものであり、これは図5の説明と同一であり、それぞれ残りの二つの相に対してもその構成が同一である。
【0077】
ただし、これは例示的なものであり、本発明の一実施例のDC-DCコンバータが3相に拡張されることに限定されるものではなく、N相にそれぞれのレッグが構成され得る。この場合にも、各複数のレッグで上部の二つのスイッチと下部の二つのスイッチ間のノードは等価であり得、上部の二つのスイッチ間のノードに連結されるインダクタと下部の二つのスイッチ間のノードに連結されるインダクタはカップルドインダクタを構成することができるであろう。
【0078】
このような構成によると、広い入出力電圧に対応することができ、カップルドインダクタの適用でインダクタの体積の減少を誘導することができるであろう。
【0079】
また、図5または図7のようなコンバータがモジュール化されて並列で連結される場合、パルス幅変調(PWM)同期化が要求されないため、製品の運用が容易となり得る。
【0080】
以上、本発明に係る実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形および均等な範囲の実施例が可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は次の特許請求の範囲によって定められるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7