(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3827 20150101AFI20230524BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230524BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H04B1/3827 110
H02J7/00 S
H04M1/02 C
(21)【出願番号】P 2019014399
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関山 良男
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-035036(JP,A)
【文献】特開2015-037269(JP,A)
【文献】特開2010-35053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38 - 1/58
H02J 7/00
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池と、
機器本体の表面に露出するように設けられ、外部から電力が入力される、正極の第1端子および負極の第2端子により構成される一対の外部電源端子と、
前記第1端子と前記第2端子とが短絡することによって電子機器が水没したことを検出する水没検出回路と、
前記水没検出回路による水没の検出を報知する報知部と、を備え、
前記水没検出回路は、
抵抗を介して前記充電池の正極端子
の電圧が印加されるとともに、前記電子機器が水没した場合に前記外部電源端子の前記第1端子が接続される
ゲートを有するトランジスタを含み、前記
ゲートの電圧が前記正極端子の電圧によりしきい値を超えると前記トランジスタがオフすることで前記電子機器の水没を検出せず、前記第2端子と短絡した前記第1端子の電位が前記しきい値以下になると前記トランジスタがオンすることで前記電子機器の水没を検出する電子機器。
【請求項2】
前記外部電源端子を介して入力される電力によって前記充電池を充電する充電器を備えている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器の水没が検出されると、前記充電器と前記外部電源端子との間を遮断する遮断回路を備えている請求項2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水没検出機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
水際や水上で電子機器を使用する場合、電子機器を水中に落とすなどして、電子機器が水没することがある。例えば、特許文献1には、外部に露出する一対の電極を設け、電子機器が水中に落下したことで電極間が導通すると、電子機器を発見しやすいようにLEDが点滅することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5521887号(2014年6月18日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の一対の電極は、電子機器の水没を検出するために専用に設けられている。このため、電極の費用、電極を配置するスペース、電極の組み立て加工に要する費用などが必要となる。
【0005】
本発明の一態様は、電子機器の水没検出を低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、機器本体の表面に露出するように設けられ、外部から電力を入力する一対の外部電源端子と、前記外部電源端子同士が短絡することによって電子機器が水没したことを検出する水没検出回路と、前記水没検出回路による水没の検出を報知する報知部と、を備えている。
【0007】
上記の構成によれば、外部電源端子同士が短絡することで電子機器の水没が検出されるので、外部電源端子を水没の検出に利用することができる。これにより、水没の検出のために専用の端子を設ける必要がなくなる。それゆえ、専用の端子そのもの、専用の端子を配置するためのスペース、専用の端子を電子機器に組み付ける加工費等が不要になる。
【0008】
前記電子機器は、充電池と、前記外部電源端子を介して入力される電力によって前記充電池を充電する充電器とを備えていてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、外部電源端子が充電器への充電のための電源供給端子として機能する。これにより、充電器を備える電子機器の水没の検出が可能になる。
【0010】
前記電子機器は、前記電子機器の水没が検出されると、前記充電器と前記外部電源端子との間を遮断する遮断回路とを備えていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、電子機器の水没が検出されたときに充電器と外部電源端子との間が遮断されるので、外部電源端子同士の短絡から充電器を保護することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、電子機器の水没検出を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線機の操作面側の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】上記トランシーバの背面側の外観構成を示す斜視図である。
【
図3】上記トランシーバのシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】上記トランシーバの回路構成における本発明に関連する部分を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態〕
本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0015】
〈トランシーバの外観構成〉
図1は、本実施形態に係るトランシーバ1の操作面側の外観構成を示す斜視図である。
図2は、トランシーバ1の背面側の外観構成を示す斜視図である。
【0016】
図1および
図2に示すように、トランシーバ1(電子機器)は、船舶通信用のハンディ機器であり、マリンVHFバンドの無線通信を行う。トランシーバ1は、機器本体2を備えている。
【0017】
図1に示すように、機器本体2は、トランシーバ1の主要部品を実装する本体部分である。機器本体2の前面には、スピーカ11(報知部)、液晶パネル12(報知部)、LED13(報知部)、操作部14などが設けられている。機器本体2の頂部には、アンテナ15、電源・音量ツマミ16などが設けられている。アンテナ15は、機器本体2に対して着脱可能である。
【0018】
スピーカ11の前面は、複数のスリットを有するスピーカグリル17によって保護されている。スピーカ11は、通信時に音声を出力する以外に、トランシーバ1の水没状態で警告音を出力する。液晶パネル12は、通話に関する情報、電波状況に関する情報、電池状態に関する情報などの各種の情報を表示する。LED13は、トランシーバ1の待ち受け状態では消灯し、送信状態では赤色に点灯し、受信状態では緑色に点灯し、水没状態では青色に点灯する。操作部14は各種の操作キーを備えている。
【0019】
また、
図2に示すように、機器本体2は、外部電源端子22を有している。外部電源端子22は、機器本体2の背面側の表面におけるトランシーバ1の底部の近傍に露出するように設けられている。外部電源端子22は、正極端子22aおよび負極端子22bにより構成されている。
【0020】
〈トランシーバのシステム構成〉
図3は、トランシーバ1のシステム構成を示すブロック図である。
【0021】
図3に示すように、トランシーバ1は、充電系として、バッテリ21(充電池)と、外部電源端子22と、充電スイッチ23(遮断回路)と、スイッチ制御回路24(遮断回路)と、充電器25とを備えている。
【0022】
バッテリ21は、トランシーバ1に取り外し可能に設けられている。バッテリ21は、軽量かつ大容量のリチウムイオン電池である。
【0023】
充電スイッチ23は、一対の外部電源端子22(正極端子22aおよび負極端子22b)に所定範囲の電圧が印加されたときにオンして、正極端子22aと充電器25との間を接続する。また、充電スイッチ23は、外部電源端子22が短絡しているときにオフして、正極端子22aと充電器25との間を遮断する。
【0024】
スイッチ制御回路24は、充電スイッチ23のオン・オフを制御する。外部電源端子22に所定範囲の電圧が印加されたときにオンすることで、充電スイッチ23をオンさせる。また、外部電源端子22が短絡していているときにオフすることで、充電スイッチ23をオフさせる。
【0025】
充電器25は、外部電源端子22を介して入力される電力によってバッテリ21を充電する。
【0026】
トランシーバ1は、電源系として、主電源スイッチ26と、電源維持回路27と、電源制御回路28と、電源回路29とを備えている。
【0027】
主電源スイッチ26は、電源・音量ツマミ16の操作によってオン・オフされる。
【0028】
電源維持回路27は、主電源スイッチ26のオフ時に、バッテリ21から電源制御回路28への電力供給を維持するためのスイッチである。また、電源維持回路27は、後述するCPU35(制御回路)からのパワーオン信号PONに基づいて、トランシーバ1が水没から脱した後にも、電源制御回路28のオン状態を維持する。
【0029】
電源制御回路28は、主電源スイッチ26によってオン・オフし、バッテリ21から電源回路29への電力供給および電力供給停止を制御する。
【0030】
電源回路29は、トランシーバ1各部への電力供給および電力供給停止を切り替える。
【0031】
トランシーバ1は、水没検出系として、水没検出回路30と、水没検出スイッチ31とを備えている。
【0032】
水没検出回路30は、外部電源端子22の正極端子22aが負極端子22bと短絡することにより、トランシーバ1の水没を検出する。また、水没検出回路30は、外部電源端子22の正極端子22aが負極端子22bと短絡しないことにより、トランシーバ1の水没状態を検出しない。
【0033】
水没検出スイッチ31は、水没検出回路30によってトランシーバ1の水没が検出されると、例えば“L”の検出信号WETINをCPU35に出力する。
【0034】
トランシーバ1は、制御系として、LED駆動回路32と、アンプ33と、表示コントローラ34と、CPU35とを備えている。
【0035】
LED駆動回路32は、CPU35からの点灯制御信号に基づいて、LED13を駆動する。より具体的には、LED駆動回路32は、LED13を、上述のように、赤、緑および青に点灯させる。
【0036】
アンプ33は、CPU35からの報知音声信号に基づいて、スピーカ11が水没時に報知音を出力するように、スピーカ11を駆動する。
【0037】
表示コントローラ34は、CPU35からの表示信号に基づいて、液晶パネル12に上述の各種の情報を表示させる。
【0038】
CPU35は、トランシーバ1の各部の動作を制御する。例えば、CPU35は、電源維持回路27に上述したパワーオン信号PONを出力したり、充電器25の動作を可能にするイネーブル信号ENBを出力したりする。
【0039】
〈トランシーバの回路構成における本発明に関連する部分〉
図4は、トランシーバ1の回路構成における本発明に関連する部分を示す回路図である。
【0040】
図4に示すように、外部電源端子22の負極端子22bはグランドに接続され、外部電源端子22の正極端子22aは、充電スイッチ23の入力端子に接続されている。
【0041】
充電スイッチ23は、pチャネルMOSFETからなるトランジスタQ1によって構成されている。トランジスタQ1のソースは、充電スイッチ23の入力端子となる。トランジスタQ1のゲートは、抵抗R4を介してトランジスタQ1のソースと接続されている。また、トランジスタQ1のドレインは、ダイオードD7を介してCPU35の電源ラインに接続される。
【0042】
スイッチ制御回路24は、nチャネルMOSFETからなるトランジスタQ2によって構成されている。トランジスタQ2のゲートは、正極端子22aとグランドとの間に直列に接続される抵抗R1,R2の接続点に接続されている。また、トランジスタQ2のソースはグランドに接続され、トランジスタQ2のドレインは抵抗R3を介してトランジスタQ1のゲートに接続されている。
【0043】
充電器25は、充電IC251と、トランジスタQ3,Q4(NPNトランジスタ)とを含んでいる。充電IC251は、バッテリ21の充電を制御する。
【0044】
充電IC251の入力端子VINは、トランジスタQ1のドレインに接続されており、トランジスタQ1を介して正極端子22aからの入力電圧(外部電圧)が入力される。充電IC251は、充電端子VBATから、バッテリ21への充電電圧を出力する。このため、充電端子VBATは、バッテリ21の正極端子21aに接続されている。バッテリ21は、正極端子21aの他、グランドに接続される負極端子21bと、バッテリ21の温度検出のために設けられた温度検出端子21cとを有している。温度検出端子21cには、CPU35に供給される温度検出信号BTEMPVが出力される。
【0045】
充電IC251のイネーブル端子ENは、充電IC251に設けられたプルアップ抵抗(図示せず)の一端に接続されるとともに、トランジスタQ3のコレクタに接続されている。トランジスタQ3のエミッタはグランドに接続されている。トランジスタQ3のベースおよびトランジスタQ4のコレクタは、ともに抵抗R5を介して入力端子VINに接続されている。トランジスタQ4のエミッタは、グランドに接続されている。トランジスタQ4のベースには、CPU35からのイネーブル信号ENBが入力される。
【0046】
トランジスタQ4のベースに“H”のイネーブル信号ENBが入力されると、トランジスタQ4がオンして、入力端子VINが抵抗R5を介してグランドに接続されるとともに、トランジスタQ3のベースがグランドに接続される。すると、トランジスタQ3がオフするので、イネーブル端子ENがプルアップされて“H”となる。これにより、充電IC251は起動する。
【0047】
トランジスタQ4のベースに“L”のイネーブル信号ENBが入力されると、トランジスタQ4がオンして、入力端子VINが抵抗R5を介してトランジスタQ3のベースに接続される。すると、トランジスタQ3がオンするので、イネーブル端子ENがプルアップされずに“L”となる。これにより、充電IC251は停止する。
【0048】
電源制御回路28は、pチャネルMOSFETからなるトランジスタQ5と、抵抗R6,R8とを有している。抵抗R6,R8は、直列に接続されている。抵抗R6の一端およびトランジスタQ5のソースは、正極端子21aに接続されている。トランジスタQ5のゲートは、抵抗R6,R8の接続点に接続されている。抵抗R8の一端は、後述するダイオードD2のアノードに接続されている。抵抗R8の一端の論理レベルが“L”となることによって、トランジスタQ5のゲート電圧はゲートしきい値以下になる。これにより、トランジスタQ5がオンして、電源電圧VCCを出力する。
【0049】
電源回路29は、pチャネルMOSFETからなるトランジスタQ6によって構成されている。トランジスタQ6のドレインは、トランジスタQ5のドレインに接続されている。トランジスタQ6のソースは、CPU35の電源端子(図示せず)に接続されている。トランジスタQ6のゲートは、ダイオードD1を介してトランジスタQ1のドレインに接続されるとともに、抵抗R7を介してグランドに接続されている。
【0050】
これにより、トランジスタQ6は、外部電源端子22の正極端子22aから電圧が印加されるときにオフするため、電源制御回路28からの電源電圧VCCをCPU35に出力しない。また、トランジスタQ6は、正極端子22aから電圧が印加されないときにオンして、電源制御回路28からの電源電圧VCCをCPU35に出力する。
【0051】
主電源スイッチ26の一端は、グランドに接続されている。主電源スイッチ26の他端は、ダイオードD2,D3のカソードに接続されている。ダイオードD2のアノードは、抵抗R8を介してトランジスタQ5のゲートに接続されている。ダイオードD3のアノードには、主電源信号PSWが現れる。
【0052】
水没検出回路30は、トランジスタQ7(pチャネルMOSFET)と、抵抗R9とを有している。トランジスタQ7のドレインは、バッテリ21の正極端子21aに接続されている。トランジスタQ7のソースは、抵抗R9を介して正極端子21aに接続されるとともに、抵抗R10およびダイオードD4~D6を介して外部電源端子22の正極端子22aに接続されている。これにより、トランジスタQ7は、正極端子22aの電位が“L”になるとオンしてソースに“H”の電圧を出力することにより、トランシーバ1の水没を検出する。
【0053】
ダイオードD4~D6は、直列に接続されることにより、トランシーバ1の水没時にトランジスタQ7がオンする条件を設定している。また、ダイオードD4~D6は、充電器25の充電時にトランジスタQ7のゲートを保護する機能を有している。
【0054】
水没検出スイッチ31は、トランジスタQ8,Q9(NPNトランジスタ)を有している。トランジスタQ8のベースは、トランジスタQ7のソースに接続され、トランジスタQ8のエミッタはグランドに接続されている。トランジスタQ8は、コレクタに水没検出信号WETINを出力する。トランジスタQ9のベースはトランジスタQ7のソースに接続され、トランジスタQ9のエミッタはグランドに接続されている。トランジスタQ9のコレクタはダイオードD2のアノードに接続されている。
【0055】
電源維持回路27は、トランジスタQ11(NPNトランジスタ)を有している。トランジスタQ11のエミッタはグランドに接続され、トランジスタQ11のコレクタは、ダイオードD2のアノードに接続されている。トランジスタQ11のベースには、CPU35からのパワーオン信号PONが入力される。
【0056】
〈トランシーバの動作〉
以降の説明では、主電源スイッチ26のオン時またはオフ時と、トランシーバ1の水没時または非水没時と、外部電源端子22への外部電圧印加時または外部電圧非印加時とを組み合わせたそれぞれの状況について説明する。なお、以降の説明では、バッテリ21が機器本体2に装着されているものとする。
【0057】
(1)主電源オン、非水没および外部電圧非印加
外部電源端子22に外部電圧が印加されていないので、スイッチ制御回路24のトランジスタQ2および充電スイッチ23のトランジスタQ1はオンしない。このため、充電IC251に外部電圧が印加されないので、充電が行われない。また、ダイオードD4~D6はオフしている。このため、水没検出回路30のトランジスタQ7のゲート電圧は、バッテリ21の正極端子21aの電圧により、しきい値を超える。これにより、トランジスタQ7がオフするので、水没検出回路30は動作しない。
【0058】
主電源スイッチ26がオンしているので、抵抗R8の一端が主電源スイッチ26を介してグランドに接続される。すると、電源制御回路28のトランジスタQ5のゲート電圧がしきい値以下となることで、トランジスタQ5がオンする。また、外部電源端子22に外部電圧が印加されていないので、電源回路29のトランジスタQ6のゲートには、トランジスタQ1がオフしていることで外部電圧が印加されない。また、トランジスタQ6のゲートは、抵抗R7を介してグランドに接続されている。この状態では、トランジスタQ6のゲート電圧がゲートしきい値以下になるので、トランジスタQ6はオンしている。これにより、CPU35は、電源回路29を介して電源電圧VCCが印加されることで、起動する。
【0059】
また、主電源スイッチ26がオンしているときには、電源制御信号PWSWが“L”となっている。CPU35は、電源制御信号PWSWを受けると、主電源がオン状態にあることを認識して、パワーオン信号PONを出力する。電源維持回路27のトランジスタQ11がパワーオン信号PONによってオンすると、抵抗R8の一端がグランドに接続されて、電源制御回路28の動作状態が維持される。
【0060】
(2)主電源オン、水没および外部電圧非印加
上記の(1)の状態からトランシーバ1が水没すると、外部電源端子22の正極端子22aと負極端子22bとが短絡することにより、正極端子22aの電位が“L”となる。すると、ダイオードD4~D6がオンすることにより、トランジスタQ7は、ゲート電圧が“L”となってオンする。これに伴い、トランジスタQ8,Q9もオンする。これにより、水没検出スイッチ31のトランジスタQ8から、水没を表す“L”の水没検出信号WETINが出力される。CPU35は、水没検出信号WETINを受けて、LED13の点灯、スピーカ11による音声出力、液晶パネル12による表示を制御して、水没を報知する。
【0061】
また、トランシーバ1の水没時には、正極端子22aに接続される抵抗R1,R2の接続点における電位が低下することにより、スイッチ制御回路24のトランジスタQ2がオフする。これに伴い、充電スイッチ23のトランジスタQ1もオフする。これにより、正極端子22aと充電IC251の入力端子VINとの間が遮断される。したがって、正極端子22a負極端子22bとの短絡から、充電器25を保護することができる。
【0062】
(3)主電源オン、非水没および外部電圧印加
上記の(1)の状態で外部電源端子22に外部電圧が印加されると、抵抗R1,R2の接続点における電位が上昇することにより、トランジスタQ2がオンする。これに伴い、トランジスタQ1のゲートがトランジスタQ2を介してグランドに接続されることで、トランジスタQ1のゲート電圧がしきい値以下となる。このため、トランジスタQ1もオンする。これにより、正極端子22aと充電IC251の入力端子VINとの間が導通する。したがって、充電器25は、CPU35の制御により、外部電圧でバッテリ21の充電を行うことができるようになる。
【0063】
(4)主電源オフ、非水没および外部電圧非印加
外部電源端子22に外部電圧が印加されていないので、スイッチ制御回路24のトランジスタQ2および充電スイッチ23のトランジスタQ1はオンしない。このため、(1)の状態と同様、充電は行われず、かつ水没検出回路30は動作しない。また、トランジスタQ1がオフしていることから、外部電源端子22からCPU35への電源供給は行なわれない。
【0064】
主電源スイッチ26がオフしているので、抵抗R8の一端が主電源スイッチ26を介してグランドに接続されない。このため、電源制御回路28のトランジスタQ5は、ゲートに電圧が印加されてオフしている。また、外部電源端子22に外部電圧が印加されていないので、(1)の状態と同様、電源回路29のトランジスタQ6のゲートには、トランジスタQ1を介しての外部電圧も印加されず、トランジスタQ6はオンしている。しかしながら、トランジスタQ5がオフしていることから、トランジスタQ5から電源電圧VCCが出力されない。
【0065】
それゆえ、CPU35は、外部およびバッテリ21のいずれからも電源電圧VCCが印加されずに動作しない。したがって、回路に流れる暗電流はほぼ0となる。
【0066】
(5)主電源オフ、水没および外部電圧非印加
上記の(4)の状態で、トランシーバ1が水没すると、外部電源端子22の正極端子22aの電位が“L”となる。(1)の場合と同じく、トランジスタQ7,Q8,Q9がオンする。これにより、水没検出スイッチ31のトランジスタQ8から、水没を表す“L”の水没検出信号WETINが出力される。また、抵抗R8の一端がトランジスタQ9を介してグランドに接続されることにより、トランジスタQ5がオンすることで、トランジスタQ5から電源電圧VCCが出力される。これに応じて、オン状態にあるトランジスタQ6から電源電圧VCCが出力される。
【0067】
CPU35は、電源電圧VCCが印加されることで起動すると、水没検出信号WETINを受けて、LED13の点灯、スピーカ11による音声出力、液晶パネル12による表示を制御して、水没を報知するとともに、パワーオン信号PONを出力する。電源維持回路27のトランジスタQ11がパワーオン信号PONによってオンすると、抵抗R8の一端がグランドに接続されるので、電源制御回路28および電源回路29の動作状態が維持される。
【0068】
これにより、トランシーバ1の主電源がオフしている状態でも、CPU35の動作が維持されるため、水没検出に対する報知動作が行われる。また、トランシーバ1が水没を脱した状態でも、CPU35がパワーオン信号PONを所定時間出力することにより、電源維持回路27が動作する。これにより、電源制御回路28および電源回路29が所定時間動作するので、CPU35への電力供給が持続される。それゆえ、脱水没状態であっても、しばらくの期間、水没の報知状態を維持することにより、トランシーバ1が水没していたことを認識することができる。したがって、トランシーバ1の水没を知らない第三者が、スピーカグリル17内に水が浸入して使用できない状態であることを認識することができる。
【0069】
また、トランシーバ1の水没時には、上記の(2)の場合と同じく、スイッチ制御回路24のトランジスタQ2と、充電スイッチ23のトランジスタQ1とがオフすることにより、正極端子22a負極端子22bとの短絡から、充電器25を保護することができる。
【0070】
(6)主電源オフ、非水没および外部電圧印加
上記の(4)の状態で外部電源端子22に外部電圧が印加されると、抵抗R1,R2の接続点における電位が上昇することにより、トランジスタQ2がオンする。これに伴い、トランジスタQ1もオンする。これにより、正極端子22aと充電IC251の入力端子VINとの間が導通する。また、CPU35は、ダイオードD7を介して正極端子22aから電圧が印加されることにより起動する。したがって、充電器25は、CPU35の制御により、外部電圧でバッテリ21の充電を行うことができるようになる。
【0071】
〈トランシーバによる効果〉
トランシーバ1は、露出するように設けられ、外部から電力が入力される一対の外部電源端子22と、外部電源端子22同士が短絡することによってトランシーバ1が水没したことを検出する水没検出回路30および水没検出スイッチ31を備えている。
【0072】
これにより、外部電源端子22を水没の検出に利用することができる。それゆえ、水没の検出のために専用の端子を設ける必要がなくなる。したがって、専用の端子そのもの、専用の端子を配置するためのスペース、専用の端子を電子機器に組み付ける加工費等が不要になる。
【0073】
また、外部電源端子22の正極端子22aと充電器25との間に介在するトランジスタQ1,Q2と、バッテリ21の正極端子21aからCPU35に至る電源ラインに介在するトランジスタQ5,Q6とが、それぞれFETである。これにより、暗電流がほぼ0となる。また、水没検出回路30のトランジスタQ7をFETで構成することにより、トランシーバ1の水没時に外部電源端子22に流れる電流が数μA程度となる。それゆえ、外部電源端子22およびバッテリ21の端子に流れる電流が微小になることにより、各端子の腐食を抑えることができる。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
トランシーバ1の水没検出機能を、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよい。あるいは、これらの機能をソフトウェアによって実現してもよい。
【0075】
後者の場合、トランシーバ1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサとしてCPU35を備えているとともに、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0076】
上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。
【0077】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0078】
〔付記事項〕
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
実施形態1および2では、例えば、電子機器としてのトランシーバ1について説明した。本発明は、トランシーバ1に限らず、露出する充電端子を有する充電池を備えた電子機器に適用が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 トランシーバ(電子機器)
2 機器本体
11 スピーカ(報知部)
12 液晶パネル(報知部)
13 LED(報知部)
21 バッテリ(充電池)
22 外部電源端子
23 充電スイッチ(遮断回路)
24 スイッチ制御回路(遮断回路)
25 充電器
30 水没検出回路
35 CPU(制御回路)