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特許7284408情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20230524BHJP
   G06Q 30/0201 20230101ALI20230524BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q30/0201
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021043653
(22)【出願日】2021-03-17
(62)【分割の表示】P 2019134730の分割
【原出願日】2016-05-19
(65)【公開番号】P2021099876
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2015146062
(32)【優先日】2015-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500175565
【氏名又は名称】株式会社ぐるなび
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真治
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特許第5314199(JP,B1)
【文献】特開2013-137657(JP,A)
【文献】特開2015-035217(JP,A)
【文献】特開2012-234368(JP,A)
【文献】特開2001-297189(JP,A)
【文献】特開2014-052944(JP,A)
【文献】特開2011-159203(JP,A)
【文献】特開2005-292983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0065851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の飲食店のPOSデータから、当該第1の飲食店のメニューのうち所定の注文率を有するメニューに関するメニュー情報を抽出し、当該抽出されたメニュー情報を含む、第2の飲食店へ送信するための送信情報を生成する制御手段
を具備し、
前記制御手段は、複数の飲食店のPOSデータ及びフロア面積情報を基に、当該複数の飲食店の中から、前記第2の飲食店が有する単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を前記第1の飲食店として選択する
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、
前記第1の飲食店のPOSデータを基に、前記第1の飲食店のメニューのうち、所定の閾値未満の注文率を有するメニューに関する情報を抽出し、
前記抽出された閾値未満の注文率を有する上記メニューに関する情報を抽出する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、
前記第2の飲食店のPOSデータを基に、メニュー総数に対する各名称、各カテゴリまたは各価格帯のメニュー数を示すメニュー構成率と、前記各名称、各カテゴリまたは各価格帯の前記注文率とを比較し、
前記メニュー構成率に対する前記注文率の比率が第1の閾値以上の名称、カテゴリまたは価格帯が存在する場合に、当該カテゴリまたは価格帯に関する情報を前記送信情報として生成する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の情報処理装置であって、
前記制御手段は、前記第1の飲食店及び前記第2の飲食店の、1日のうちの複数の時間帯毎のPOSデータを基に、前記第1の飲食店のメニューのうち、前記第2の飲食店の対応するメニューよりも高い注文率を有するメニューに関する情報を、前記時間帯毎に抽出する
情報処理装置。
【請求項5】
第1の飲食店のPOSデータから、当該第1の飲食店のメニューのうち所定の注文率を有するメニューに関するメニュー情報を抽出し、
前記抽出されたメニュー情報を含む、第2の飲食店へ送信するための送信情報を生成し、
複数の飲食店のPOSデータ及びフロア面積情報を基に、当該複数の飲食店の中から、前記第2の飲食店が有する単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を前記第1の飲食店として選択する
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項6】
情報処理装置に、
第1の飲食店のPOSデータから、当該第1の飲食店のメニューのうち所定の注文率を有するメニューに関するメニュー情報を抽出するステップと、
前記抽出されたメニュー情報を含む、第2の飲食店へ送信するための送信情報を生成するステップと、
複数の飲食店のPOSデータ及びフロア面積情報を基に、当該複数の飲食店の中から、前記第2の飲食店が有する単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を前記第1の飲食店として選択するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店のPOS(point of sales)システムと通信可能な情報処理装置、当該情報処理装置における情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食店では、経営管理の効率化の観点からPOSシステムが導入されている。当該POSシステムにより、いつどのような商品が売れたかという点が集計されることで、それを基に飲食店の経営管理がなされている。
【0003】
下記特許文献1には、POSサーバが、飲食店サーバから飲食店毎のPOSデータを取得し、それに基づいてその飲食店及びその飲食店に類似する条件を有する他の飲食店のPOSデータをそれぞれ抽出して比較し、その比較結果を飲食店サーバに送信するシステムが開示されている。当該システムでは、飲食店は、上記送信された比較結果に基づいて、他店舗と比較した自店舗の状態を把握し、経営管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-137657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、エリア、業態、立地条件といった属性に基づいて類似する他の飲食店が抽出されるところ、当該他の飲食店は、エリア、業態、立地条件が類似していたとしても、実際には自身の飲食店の競合店ではない場合もあり得る。その場合、抽出された他の飲食店との間でPOSデータを比較しても、当該飲食店の経営の改善に資さないことになる。
【0006】
また、この技術では他の飲食店との間で席数当たりの売上を比較しているが、それを比較するのみでは、飲食店側はその売上の相違の要因となる事象を判断できず、改善策を講じることができない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、飲食店の売上上位の競合店を精度良く選定し、当該競合店のPOSデータを基に飲食店の経営状況(メニュー)の改善に資する情報を提供することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、記憶手段と、通信手段と、制御手段とを有する。上記記憶手段は、複数の飲食店の識別情報と、上記複数の飲食店が提供可能な飲食物のメニューのカテゴリに関するカテゴリ情報を少なくとも含む飲食店情報とを対応付けて記憶する。上記通信手段は、上記複数の飲食店のPOSシステムから、メニュー毎の単価及び注文数を含むPOSデータをそれぞれ受信する。上記制御手段は、上記記憶された飲食店情報及び上記受信されたPOSデータを基に、上記複数の飲食店のうち、第1の飲食店のメニューとの間で、少なくとも上記カテゴリについて所定の閾値以上の重複率を有するメニューを提供し、かつ、上記第1の飲食店の単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を、第2の飲食店として選定する。また上記制御手段は、上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、上記第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出する。さらに上記制御手段は、上記抽出されたカテゴリまたは価格帯に関する情報を上記第1の飲食店のPOSシステムへ送信するように上記通信手段を制御する。
【0009】
これにより情報処理装置は、メニューの重複及び単位面積当たりの売上を基に、ある飲食店よりも売り上げの大きい競合店を選定し、その競合店のPOSデータを基に当該競合店で注文率の高いメニューのカテゴリ/価格帯に関する情報を上記飲食店に提供することで、当該飲食店のメニューの改善を促し、経営状態の改善に資すことができる。すなわち、情報処理装置は、競合関係にある第1の飲食店と第2の飲食店との間で、提供するメニューのカテゴリは全体として重複しているものの、カテゴリ毎または価格帯毎の品揃えが違うことで第2の飲食店の方が売上が大きくなっていることを第1の飲食店に把握させ、それにより、特定のカテゴリまたは価格帯メニューの品揃えを増やす等の改善策を講じさせることができる。ここで情報処理装置は、上記各飲食店の面積情報を上記飲食店情報の一部として記憶していてもよいし、上記第2の飲食店の選定処理の際に外部から上記面積情報を取得してもよい。
【0010】
上記制御手段は、上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、所定の閾値未満の注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出してもよい。さらに制御手段は、上記抽出された閾値未満の注文率を有するカテゴリまたは価格帯に関する情報を上記第1の飲食店のPOSシステムへ送信するように上記通信手段を制御してもよい。
【0011】
これにより情報処理装置は、第1の飲食店において、第2の飲食店で注文率が高いカテゴリ/価格帯のメニューを増やす代わりに、減らすべきメニューのカテゴリ/価格帯を、第1の飲食店に把握させることができる。
【0012】
上記制御手段は、上記第1の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、メニュー総数に対する各カテゴリまたは各価格帯のメニュー数を示すメニュー構成率と、上記各カテゴリまたは各価格帯の上記注文率とを比較してもよい。さらに制御手段は、上記メニュー構成率に対する上記注文率の比率が第1の閾値以上のカテゴリまたは価格帯が存在する場合に、当該カテゴリまたは価格帯に関する情報を第1の飲食店のPOSシステムへ送信するように上記通信手段を制御してもよい。
【0013】
これにより情報処理装置は、第1の飲食店において注文数が多い割に品揃えが少ないカテゴリ/価格帯のメニューを第1の飲食店に把握させ、第2の飲食店からの情報と併せてメニュー改善に利用させることができる。
【0014】
上記制御手段は、上記メニュー構成率に対する上記注文率の比率が上記第1の閾値よりも小さい第2の閾値未満のカテゴリまたは価格帯が存在する場合に、当該カテゴリまたは価格帯に関する情報を第1の飲食店のPOSシステムへ送信するように上記通信手段を制御してもよい。
【0015】
これにより情報処理装置は、第1の飲食店において、品揃えが多い割に注文数が少ないカテゴリ/価格帯のメニューを第1の飲食店に把握させ、第2の飲食店からの情報及び上記第1の閾値以上のカテゴリ/価格帯のメニューの情報と併せてメニュー改善に利用させることができる。
【0016】
上記制御手段は、上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の、1日のうちの複数の時間帯毎のPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、上記第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を、上記時間帯毎に抽出してもよい。
【0017】
これにより情報処理装置は、第1の飲食店と第2の飲食店との間のカテゴリまたは価格帯毎の注文率の比較を、1日のうちの複数の時間帯毎に実行することで、第1の飲食店のメニューの改善を時間帯毎に詳細に提案することができる。時間帯とは、例えば1日のうちの1時間区切りまたは2時間区切り等の時間帯、または、ランチ営業時間、ディナー営業時間等の営業区分毎の時間帯である。
【0018】
上記制御手段は、上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記複数の時間帯のうち所定の時間帯において、上記第1の飲食店の売上が無く、上記第2の飲食店の売上が1日の売上の所定割合以上であると判断した場合に、当該所定の時間帯における営業を提案する情報を送信するように上記通信手段を制御してもよい。
【0019】
これにより情報処理装置は、第1の飲食店が所定の時間帯(例えばランチ営業時間や朝食営業時間)における営業を行っておらず、第2の飲食店が当該所定の時間帯において営業を行いかつ所定の売上がある場合には、第1の飲食店においても当該所定の時間帯において営業を行うメリットがあると考えられることから、当該時間帯における営業を提案することで、第1の飲食店の売上の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の他の形態に係る情報処理方法は、
複数の飲食店の識別情報と、上記複数の飲食店が提供可能な飲食物のメニューのカテゴリに関するカテゴリ情報を少なくとも含む飲食店情報とを対応付けて記憶し、
上記複数の飲食店のPOSシステムから、メニュー毎の単価及び注文数を含むPOSデータをそれぞれ受信し、
上記記憶された飲食店情報及び上記受信されたPOSデータを基に、上記複数の飲食店のうち、第1の飲食店のメニューとの間で、少なくとも上記カテゴリについて所定の閾値以上の重複率を有するメニューを提供し、かつ、上記第1の飲食店の単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を、第2の飲食店として選定し、
上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、上記第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出し、
上記抽出されたカテゴリまたは価格帯に関する情報を上記第1の飲食店のPOSシステムへ送信することを含む。
【0021】
本発明のまた別の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、
複数の飲食店の識別情報と、上記複数の飲食店が提供可能な飲食物のメニューのカテゴリに関するカテゴリ情報を少なくとも含む飲食店情報とを対応付けて記憶するステップと、
上記複数の飲食店のPOSシステムから、少なくともメニュー毎の単価及び注文数を含むPOSデータをそれぞれ受信するステップと、
上記記憶された飲食店情報及び上記受信されたPOSデータを基に、上記複数の飲食店のうち、第1の飲食店のメニューとの間で、少なくとも上記カテゴリについて所定の閾値以上の重複率を有するメニューを提供し、かつ、上記第1の飲食店の単位面積当たりの売上よりも大きい単位面積当たりの売上を有する他の飲食店を、第2の飲食店として選定するステップと、
上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、上記第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出するステップと、
上記抽出されたカテゴリまたは価格帯に関する情報を上記第1の飲食店のPOSシステムへ送信するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、飲食店の売上上位の競合店を精度良く選定し、当該競合店のPOSデータを基に飲食店の経営状況(メニュー)の改善に資する情報を提供することができる。ただし、この効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供システムの構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバのハードウェア構成を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバが有するデータベースの構成を示した図である。
図4】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバによる、他店舗のPOSデータ分析情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバによって生成されPOSシステムにおいて表示される他店舗のPOSデータの分析情報の例を示した図である。
図6】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバによる、自店舗のPOSデータ分析情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバによって生成されPOSシステムにおいて表示される自店舗のPOSデータの分析情報の例を示した図である。
図8】本発明の一実施形態に係る飲食店情報提供サーバによって生成されPOSシステムにおいて表示される自店舗のPOSデータの分析情報の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係るPOSデータ分析情報提供システムの構成を示した図である。
【0026】
同図に示すように、このシステムは、インターネット50上の飲食店情報提供サーバ100と、複数の飲食店におけるPOSシステム200と、複数のユーザ端末300を含む。
【0027】
飲食店情報提供サーバ100は、飲食店に関する情報を掲載したポータルサイト(飲食店情報提供サイト)を運営するウェブサーバである。飲食店情報提供サーバ100は、複数の飲食店の各POSシステム200及び複数のユーザ端末300とインターネット50を介して接続されている。
【0028】
飲食店情報提供サーバ100は、上記ポータルサイトにアクセスし検索条件を入力したユーザ端末300へ、当該検索条件に合致する飲食店情報を掲載したWebページを送信する。
【0029】
また飲食店情報提供サーバ100は、各飲食店のPOSシステム200から、定期的(例えば半日、1日、1週間、1月等の所定期間毎)に、各飲食店で提供されるメニューに関するメニュー情報(メニュー名、カテゴリ等)のほか、メニュー毎の単価、出数(注文数)、売上金額等を含むPOSデータを受信可能である。
【0030】
さらに飲食店情報提供サーバ100は、上記各POSシステム200から受信したPOSデータを基に作成した分析データを、例えば各POSシステム200用の管理画面を介して各POSシステム200へ提供可能である。
【0031】
POSシステム200(200A,200B,・・・)は、各飲食店に設けられ、例えばPOSレジ端末、注文受付装置、飲食店サーバ等から構成される。
【0032】
飲食店の顧客の注文に関する情報は、飲食店の従業員が携帯する(または顧客のテーブルに設置される)例えばタブレットPC(Personal Computer)タイプの注文受付装置によって受け付けられる。注文データは例えばメニュー(料理)の識別情報、その金額、出数、注文日時、利益率等を含み、それらのデータがPOSデータとして飲食店サーバに送信され記憶される。
【0033】
POSレジ端末は、飲食店の顧客が注文した料理に対応する会計処理を実行するコンピュータである。POSレジ端末は、顧客が料理を注文した後に顧客に交付される伝票に印字されたバーコード等の識別情報を読み取り、その識別情報を飲食店サーバに問い合わせて、それに対応する商品及び金額の情報を取得し、合計金額を算出する。
【0034】
飲食店サーバは、その飲食店において提供可能な料理(メニュー)に関する情報(識別番号、メニュー名、金額、カテゴリ等)を記憶している。また飲食店サーバは、例えばPOSレジ端末からの上記識別情報の問い合わせに基づいて、会計処理が済んだPOSデータに対して、会計済のフラグを付す。
【0035】
当該POSシステム200を構成する上記POSレジ端末、注文受付装置及び飲食店サーバは、必ずしも物理的に別個の装置である必要な無く、例えば1つのタブレットPCがそれらの機能を併せ持っていても構わない。
【0036】
上述したように、当該POSシステム200(例えば飲食店サーバ)は、記憶された会計済のPOSデータを基に、メニュー毎のPOSデータを定期的に飲食店情報提供サーバ100へ送信する。
【0037】
各POSシステム200(例えば飲食店サーバ)の管理者は、飲食店情報提供サーバ100によって作成される分析データを、飲食店情報提供サーバ100が提供する管理画面に例えばブラウザによってアクセスすることで閲覧可能である。
【0038】
ユーザ端末300(300A,300B,300C...)は、ユーザ(ユーザA,ユーザB,ユーザC...)により使用される端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットPC、ノートブックPC、デスクトップPC等である。
【0039】
ユーザ端末300は、飲食店情報提供サーバ100が提供する飲食店情報提供サイトへアクセスし、上記Webページを受信して、ブラウザにより画面に表示する。
【0040】
ユーザ端末300のユーザは、上記ブラウザによって表示される画面を介して、上記ポータルサイト内で飲食店を検索し、所望の飲食店に関する情報を閲覧する。上記Webページ上に表示される各飲食店に関する情報には、その飲食店の店名や、その飲食店を識別するID(店舗ID)、その飲食店の業態・サービスのカテゴリ情報、その飲食店を紹介する内容(飲食店のPR文等の店舗の特徴を示す情報や飲食店が行うイベント情報等)、飲食店が立地しているエリア情報、飲食店の住所、電話番号、飲食店が提供するメニュー情報、飲食店のフロア面積等が含まれる。ここでフロア面積とは、飲食店全体の面積でもよく、客席部分についてのみの面積であってもよい。
【0041】
[飲食店情報提供サーバのハードウェア構成]
図2は、上記飲食店情報提供サーバ100のハードウェア構成を示した図である。同図に示すように、飲食店情報提供サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0042】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながら飲食店情報提供サーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0043】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0044】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。
【0045】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。操作受付部17がタッチパネルである場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0046】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
【0047】
後述するが、特に本実施形態において、記憶部18は、飲食店情報データベース、POS情報データベース、注文率情報データベース、及びメニュー構成率情報データベースを有している。
【0048】
通信部19は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記各飲食店のPOSシステム200との間の通信処理を担う。
【0049】
なお、図示しないが、上記POSシステム200を構成するPOSレジ端末、注文受付装置、飲食店サーバのうち少なくとも1つは、上記POSデータを記憶するHDD等の記憶部と、当該POSデータを上記飲食店情報提供サーバ100へ送信する通信部とを有している。
【0050】
[飲食店情報提供サーバのデータベース構成]
図3は、上記飲食店情報提供サーバ100が有するデータベースの構成を示した図である。
【0051】
同図に示すように、飲食店情報提供サーバ100は、記憶部18に、飲食店情報データベース31、POS情報データベース32、及び注文率情報データベース33を有している。
【0052】
飲食店情報データベース31は、飲食店毎に、その飲食店の店名や、その飲食店を識別するID(店舗ID)の他、その飲食店の業態・サービスのジャンル情報、営業時間、その飲食店を紹介するテキスト(店舗のPR文等の店舗の特徴を示す情報や、飲食店が行うイベント情報等)、飲食店が立地しているエリア情報、飲食店の住所、電話番号、飲食店が提供するメニュー情報(メニューID含む)、店舗フロア面積、ウェブサイトURL等の情報を記憶している。ここで店舗フロア面積に関する情報は必ずしも予め飲食店情報データベース31に含まれている必要は無く、後述する第2の飲食店の選定処理が実行される際に外部から取得されて利用されてもよい。
【0053】
上記エリア情報は、例えば都道府県単位のものであるが、市区町村等のより狭い範囲の単位でも情報が記憶されてもよい。上記ジャンル情報は、例えば和食、中華、イタリアン、フレンチ、焼肉等のメインジャンルの他、和食における焼き鳥・天ぷら等、イタリアンにおけるパスタ・ピザ等のより詳細なサブジャンルを含んでいてもよい。
【0054】
上記メニュー情報は、各飲食店が提供し得る全てのメニューが、そのカテゴリ毎及び価格帯毎に分類可能に記憶された情報であり、上記各飲食店のPOSシステム200から定期的(例えば1日毎、1週間毎)に受信され記憶される。カテゴリとは、例えばサラダ、炒め物、肉料理、魚料理、粉物、揚げ物、ご飯物、パン、麺、スープ・煮込み料理、串物、鍋、デザート等である。また価格帯は、例えば100円以上150円未満、780円以上980円未満というように複数設定される。価格が高額になるほど、1つの価格帯の範囲が大きくなってもよい。なお、価格帯に関する情報は、必ずしもメニュー情報に含まれていなくてもよく、例えば後述する注文率の算出処理の際に、下記POSデータから抽出された各メニューの単価を基に適宜設定され、それに基づいて各メニューが各価格帯に分類されてもよい。
【0055】
POS情報データベース32は、上記各飲食店のPOSシステム200から定期的に受信されるメニュー毎のPOSデータを記憶している。当該POSデータは例えばメニューID、その単価、出数(または売上金額)及び注文時刻等から構成される。飲食店情報提供サーバ100は、当該メニューIDをキーとして上記飲食店情報データベース31中のメニュー情報を参照することで、それぞれの出数に対応するメニュー名並びにそのカテゴリ及び価格帯を抽出することができる。
【0056】
注文率情報データベース33は、上記POS情報データベース32に記憶されたPOSデータを基に算出された、各飲食店におけるメニューのカテゴリ毎または価格帯毎の注文率を記憶する。ここで注文率とは、各飲食店の所定期間における全注文数に対する、各カテゴリまたは各価格帯に属するメニューの注文数の割合である。当該注文率の算出処理は、例えば定期的に、または上記POSデータが各飲食店のPOSシステム200から受信された際に実行される。
【0057】
メニュー構成率情報データベース34は、上記飲食店情報データベース31に記憶された各飲食店のメニュー情報(カテゴリ情報及び価格帯情報)を基に算出された、各飲食店のメニュー総数に対する、各カテゴリまたは各価格帯のメニュー数の構成率を記憶したものである。このメニュー構成率の算出処理は、例えば定期的に、または最新のメニュー情報が各飲食店のPOSシステム200から受信された際に実行される。
【0058】
これら各データベースは、後述する飲食店情報提供サーバ100によるPOSデータ分析情報提供処理において、必要に応じて相互に参照されて用いられる。
【0059】
[飲食店情報提供サーバの動作]
次に、以上のように構成された飲食店情報提供サーバ100の動作について説明する。当該動作は、飲食店情報提供サーバ100のCPU11及び通信部19等のハードウェアと、記憶部18に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、便宜上、CPU11を動作主体とする。
【0060】
(他店舗のPOSデータ分析情報)
まず、飲食店情報提供サーバ100による他店舗のPOSデータ分析情報提供処理について説明する。この処理は、例えば自店舗のPOSデータとの比較により実行されるが、自店舗のPOSデータの分析とは独立して実行されてもよい。
【0061】
図4は、上記飲食店情報提供サーバ100による、他店舗のPOSデータ分析情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。この処理は、例えば分析情報の提供先である飲食店(第1の飲食店)のPOSシステムから管理画面へのアクセスがあった場合に実行される。
【0062】
同図に示すように、まず、飲食店情報提供サーバ100のCPU11は、例えば1日、1週間等の所定期間の経過毎に、各POSシステム200から、POSデータを受信したか否か(またはPOS情報データベース32に記憶されているか否か)を判断する(ステップ41)。
【0063】
POSデータを受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該POSデータに対応する各飲食店のメニュー情報(カテゴリ情報)を飲食店情報データベース31から取得する(ステップ42)。
【0064】
続いてCPU11は、第1の飲食店のメニューとの間で、メニューのカテゴリについて、所定の閾値以上の重複率を有するメニューを提供する飲食店を抽出する(ステップ43)。
【0065】
具体的には、CPU11は、第1の飲食店のメニューのカテゴリをキーにして、当該カテゴリと合致するカテゴリのメニューを提供する飲食店を検索し、例えば合致するカテゴリの割合が、第1の飲食店のメニューの全カテゴリ数の閾値割合(例えば70%等)以上の飲食店を抽出する。
【0066】
続いてCPU11は、上記受信したPOSデータと、上記メニュー情報に含まれる各飲食店のフロア面積情報とを基に、上記第1の飲食店と、上記抽出した飲食店のとの間で、単位面積当たりの売上を比較する(ステップ44)。ここで売上とは、各飲食店における所定期間内の総売上であってもよく、所定期間における客単価や時間当たりの売上であってもよい。また売上は売上金額に限られず、飲食店の売れ行きを評価することのできる数値ならば何が用いられてもよい。
【0067】
続いてCPU11は、上記比較の結果、第1の飲食店よりも単位面積当たりの売上が大きい飲食店を、第2の飲食店として選定する(ステップ45)。
【0068】
続いてCPU11は、上記第1の飲食店と第2の飲食店のPOSデータを分析し(または上記注文率情報データベース33を参照し)、各飲食店におけるメニューのカテゴリ毎または価格帯毎の注文率を比較する(ステップ46)。ここで第2の飲食店が複数選定された場合には、CPU11は、それら複数の第2の飲食店におけるカテゴリ毎または価格帯毎の注文率の平均値を算出し、当該平均値と第1の飲食店におけるカテゴリ毎または価格帯毎の注文率を比較する。これに代えて、複数の第2の飲食店のうち、単位面積当たりの売上が最も大きい1つの飲食店が第2の飲食店として抽出されてもよい。本実施形態では、第2の飲食店が1つ抽出された場合について記載する。
【0069】
続いてCPU11は、上記比較の結果、第2の飲食店のメニューから、第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出する(ステップ47)。
【0070】
続いてCPU11は、上記第2の飲食店のメニューから、所定の閾値(例えば5%)未満の注文率を有するカテゴリまたは価格帯を抽出する(ステップ48)。
【0071】
そしてCPU11は、抽出したカテゴリまたは価格帯に関する情報を、管理画面を介して第1の飲食店のPOSシステムへ送信して表示させる(ステップ49)。
【0072】
図5は、上記第1の飲食店と第2の飲食店の各注文率の比較によって抽出されたカテゴリまたは価格帯に関する情報を表示する管理画面の例を示す。同図では、上記カテゴリ及び価格帯に関する情報のうち、カテゴリについての情報が表示される例を示す。
【0073】
なお、管理画面では、例えば第1の飲食店のPOSシステム200のユーザがメニュー画面上から選択することで、同図で示す画面以外の後述する他の画面も表示可能とされている。
【0074】
同図に示すように、当該管理画面では、例えば左側に第1の飲食店のカテゴリ毎の注文率が表示され、例えば右側に上記第2の飲食店のカテゴリ毎の注文率が表示される。上述の通り、第2の飲食店が複数選定された場合には、それら複数の第2の飲食店のカテゴリ毎の注文率の平均値が表示される。
【0075】
同図の例では、「魚料理」のカテゴリについて、第1の飲食店における注文率が24%であるのに対して、第2の飲食店における注文率は第1の飲食店よりも1.5倍以上の39%となっており、当該カテゴリを表示する部分が例えば実線の矩形で囲まれて強調表示されている。
【0076】
なお、この「魚料理」のカテゴリ以外にも、第1の飲食店における注文率よりも第2の飲食店における注文率が高いカテゴリは存在するが、同図の例では、最も注文率の差が大きいカテゴリが強調表示されている。
【0077】
さらに、当該実線の強調表示に加えて、例えば魚料理の品揃えを増やすよう促すアドバイス情報51も表示される。アドバイス情報51の内容はこれに限られない。
【0078】
また同図では、第2の飲食店における「ご飯物」の注文率は、上記で例示した閾値である5%未満となっているため、当該カテゴリを表示する部分が例えば破線の矩形で囲まれて強調表示されている。
【0079】
この「ご飯物」のカテゴリ以外にも第2の飲食店における注文率が閾値未満のカテゴリは存在するが、それらカテゴリは第1の飲食店における注文率が0%であり、強調表示する意義が薄いため、例えば、上記第2の飲食店における注文率が上記閾値未満で、かつ、第1の飲食店における注文率が第2の飲食店における注文率よりも高いカテゴリが強調表示される。
【0080】
さらに、この破線の強調表示に加えて、例えばご飯物の品揃えを減らすよう促すアドバイス情報51も表示されている。
【0081】
価格帯に関する情報を示す管理画面についても、図5で示した例と同様に作成され、第1の飲食店のPOSシステム200において表示される。
【0082】
以上のような情報が提供されることで、第1の飲食店の責任者または担当者は、自店舗よりも売上が大きい競合店ではどのカテゴリまたは価格帯のメニューの注文率が多いかを把握し、当該カテゴリまたは価格帯のメニューを増やすことで売上を増やすことができる。また、上記責任者または担当者は、上記メニューを増やす代わりに、上記競合店でも注文率が低い、売上が望めなさそうなカテゴリまたは価格帯のメニューを減らすことができる。
【0083】
(自店舗のPOSデータ分析情報)
次に、他店舗(上記第2の飲食店)とのPOSデータの比較による情報とは別に提供される、自店舗(上記第1の飲食店)のPOSデータの分析情報の提供処理について説明する。
【0084】
図6は、飲食店情報提供サーバ100による、自店舗のPOSデータ分析情報の提供処理の流れを示したフローチャートである。当該処理も、第1の飲食店のPOSシステムから管理画面へのアクセスがあった場合に実行される。
【0085】
同図に示すように、まず、飲食店情報提供サーバ100のCPU11は、上記メニュー構成率情報データベース34から上記第1の飲食店のカテゴリ毎及び価格帯毎のメニュー構成率を取得し、また注文率情報データベース33から上記第1の飲食店のカテゴリ毎及び価格帯毎の注文率を取得する(ステップ61)。当該メニュー構成率及び注文率が上記各データベースに記憶されていない場合には、CPU11は、その時点で上記メニュー情報及びPOSデータを基にそれらを算出してもよい。
【0086】
続いてCPU11は、上記取得したメニュー構成率と注文率とを比較する(ステップ62)。
【0087】
続いてCPU11は、上記メニュー構成率に対する注文率の比率が第1の閾値(例えば1.5等)以上のカテゴリまたは価格帯を抽出する(ステップ63)。
【0088】
またCPU11は、上記メニュー構成率に対する注文率の比率が上記第1の閾値よりも小さい第2の閾値(例えば0.7等)未満のカテゴリまたは価格帯を抽出する(ステップ64)。
【0089】
そしてCPU11は、抽出したカテゴリまたは価格帯に関する情報を、管理画面を介して第1の飲食店のPOSシステムへ送信して表示させる(ステップ65)。
【0090】
図7及び図8は、上記メニュー構成率に対する注文率の比率が第1の閾値以上のカテゴリ及び価格帯、並びに上記比率が第2の閾値未満のカテゴリ及び価格帯に関する情報を表示する管理画面の例を示す。図7がカテゴリに関する情報を示す画面であり、図8が価格帯に関する情報を示す画面である。
【0091】
図7に示すように、当該管理画面では、例えば左側に第1の飲食店のカテゴリ毎のメニュー構成率が表示され、例えば右側に第1の飲食店のカテゴリ毎の注文率が表示される。
【0092】
同図の例では、「揚げ物」のカテゴリのメニュー構成率が8.3%であるのに対して、その注文率は17.3%となっている。すなわち、メニュー構成率に対する注文率の比率が上記第1の閾値(1.5)以上であるため、当該カテゴリのメニュー構成率及び注文率を表示する部分が例えば実線の矩形で囲まれて強調表示されている。
【0093】
さらに、当該実線の強調表示に加えて、例えば揚げ物の品揃えが少ないことを示すアドバイス情報51も表示される。
【0094】
同様に、「魚料理」のカテゴリのメニュー構成率が13.9%であるのに対して、その注文率は24.2%となっており、上記比率が第1の閾値以上であるため、当該カテゴリのメニュー構成率及び注文率を表示する部分も実線の矩形で囲まれて強調表示されている。またこれに加えて、例えば魚料理の品揃えが少ないことを示すアドバイス情報51も表示される。
【0095】
一方で、「デザート」のカテゴリのメニュー構成率は25.0%であるのに対して、その注文率は8.5%となっており、当該メニュー構成率に対する注文率の比率が上記第2の閾値(0.7)未満であるため、当該カテゴリのメニュー構成率及び注文率を表示する部分が例えば破線の矩形で囲まれて強調表示されている。またそれに加えて、例えばデザートの品揃えが多すぎることを示すアドバイス情報51も表示される。
【0096】
図8に示すように、当該管理画面では、例えば左側に第1の飲食店の価格帯毎のメニュー構成率が表示され、例えば右側に第1の飲食店の価格帯毎の注文率が表示される。
【0097】
同図の例では、「270円以上340円未満」の価格帯のメニュー構成率が5.3%であるのに対して、その注文率は28.0%となっている。すなわち、メニュー構成率に対する注文率の比率が上記第1の閾値(1.5)以上であるため、当該価格帯のメニュー構成率及び注文率を表示する部分が例えば実線の矩形で囲まれて強調表示されている。さらに、当該実線の強調表示に加えて、例えば270円以上340円未満のメニューの品揃えが少ないことを示すアドバイス情報51も表示される。
【0098】
一方で、「480円以上580円未満」の価格帯のメニュー構成率が23.8%であるのに対して、その注文率は15.8%となっている。すなわち、メニュー構成率に対する注文率の比率が上記第2の閾値(0.7)未満であるため、当該価格帯のメニュー構成率及び注文率を表示する部分が例えば破線の矩形で囲まれて強調表示されている。さらに、当該破線の強調表示に加えて、例えば480円以上580円未満のメニューの品揃えが多すぎることを示すアドバイス情報51も表示される。
【0099】
なお、この「480円以上580円未満」の価格帯以外にも、メニュー構成率に対する注文率の比率が第2の閾値以下である価格帯は存在するが、同図の例では、最もメニュー構成率が大きい価格帯のみが強調表示されている。
【0100】
両図のような管理画面の表示により、第1の飲食店の責任者または担当者は、注文数が多い割に品揃えが少ない、また品揃えが多い割に注文数が少ないカテゴリ/価格帯のメニューを把握し、上記図5で示した第2の飲食店との注文率の比較による情報と併せて、メニュー改善策を講じることができる。
【0101】
[まとめ]
以上説明したように、飲食店情報提供サーバ100は、メニューの重複及び単位面積当たりの売上を基に、ある飲食店よりも売り上げの大きい競合店を選定し、その競合店のPOSデータを基に当該競合店で注文率の高いメニューのカテゴリ/価格帯に関する情報を上記飲食店に提供することで、当該飲食店のメニューの改善を促し、経営状態の改善に資すことができる。すなわち、飲食店情報提供サーバ100は、競合関係にある第1の飲食店と第2の飲食店との間で、提供するメニューのカテゴリは全体として重複しているものの、カテゴリ毎または価格帯毎の品揃えが違うことで第2の飲食店の方が売上が大きくなっていることを第1の飲食店に把握させ、それにより、特定のカテゴリまたは価格帯メニューの品揃えを増やす等の改善策を講じさせることができる。
【0102】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0103】
上述の実施形態では、第1の飲食店との他の飲食店とのメニューの重複率は、メニューのカテゴリによって算出されたが、例えばそれに代えて、またはそれに加えて、メニュー名が重複するかによって重複率が算出されてもよい。またさらに加えて、価格帯の重複率や立地エリアが同一または近傍であるか否かも考慮されて競合店が抽出されてもよい。
【0104】
上述の実施形態では、第1の飲食店との間のメニューのカテゴリの重複率によって飲食店を抽出した後に、その抽出された飲食店と第1の飲食店との間で単位面積当たりの売上を比較したが、この処理の順序は逆でも構わない。
【0105】
また、上記重複率による飲食店の抽出処理については、各POSシステムからPOSデータを受信する前に予め実行されていても構わない。
【0106】
上述の実施形態では、所定期間における総注文数に対する各カテゴリまたは価格帯のメニューの注文数を注文率として、当該注文率に関する情報が提供された。しかし、これに代わり、所定期間(1日、1週間、1ヶ月等)に来店した客の組(一緒に来店した客のグループまたは個人)の総数に対する所定のカテゴリまたは価格帯のメニューを注文した組数の割合(組注文率)が算出されてそれに関する情報(第1の飲食店と第2の飲食店との組注文率の比較や第1の飲食店におけるメニュー構成率と組注文率との比較)が提供されてもよい。
【0107】
上述の実施形態では、飲食店情報提供サイトを運営するサーバと、各飲食店のPOSシステム200からPOSデータを受信して管理するサーバとが同一のサーバ(飲食店情報提供サーバ100)とされたが、飲食店情報を提供するサーバとは別に各飲食店のPOSデータを管理するPOSサーバが別途設けられ、POSサーバと飲食店情報提供サーバとの間でPOSデータがやり取りされることで上記注文率に関するデータが生成され各POSシステム200へ提供されても構わない。
【0108】
上述の実施形態では、第1の飲食店と第2の飲食店との間におけるカテゴリ毎または価格帯毎の注文率の比較は、例えば1日、1週間等のPOSデータの受信タイミングに応じた期間のデータを対象に実行された。しかし、飲食店情報提供サーバ100は、上記比較を、1日のうちの複数の時間帯毎に実行してもよい。ここで時間帯とは、例えば1日のうちの1時間区切りまたは2時間区切り等の時間帯、または、ランチ営業時間、ディナー営業時間等の営業区分毎の時間帯である。
【0109】
すなわち、飲食店情報提供サーバ100は、上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の、1日のうちの複数の時間帯毎のPOSデータを基に、上記第2の飲食店のメニューのうち、上記第1の飲食店の対応するカテゴリまたは価格帯よりも高い注文率を有するカテゴリまたは価格帯を、上記時間帯毎に抽出してもよい。
【0110】
これにより飲食店情報提供サーバ100は、第1の飲食店のメニューの改善を時間帯毎に詳細に提案することができる。具体的には、第1の飲食店と比較して、第2の飲食店の夜の営業時間帯のうち早い時間帯(例えば17時~18時の時間帯)には、あるカテゴリまたは価格帯のメニューの注文率が高いが、その後の時間帯(例えば19時~20時の時間帯)には別のカテゴリまたは価格帯のメニューの注文率が高いことが分かった場合には、第1の飲食店に対してそれらの情報が提供されることで、第1の飲食店の店員に時間帯毎に異なるメニューを客に勧めたり、注文受付装置において時間帯毎に異なるメニューをお勧めメニューとして掲載させたりすることができる。
【0111】
また、第2の飲食店において高い注文率を有するカテゴリが、ランチ営業時間とディナー営業時間とで異なることが分かった場合には、第1の飲食店に対して当該情報が提供されることで、第1の飲食店において、ランチ営業時間にはディナー営業時間に提供するメニューに使用される食材を、ディナー時間帯とは異なるカテゴリのメニューにアレンジして提供する等の施策を講じることができる。
【0112】
また、飲食店情報提供サーバ100は、第2の飲食店が、第1の飲食店が営業していない時間帯において好調な売上を有している場合には、当該時間帯において営業することを第1の飲食店に提案してもよい。
【0113】
すなわち、飲食店情報提供サーバ100は、上記第1の飲食店及び上記第2の飲食店の飲食店情報及びPOSデータを基に、上記複数の時間帯のうち所定の時間帯において、上記第1の飲食店の売上が無く、上記第2の飲食店の売上が1日の売上の所定割合以上であると判断した場合に、当該所定の時間帯における営業を提案する情報を送信するように上記通信手段を制御してもよい。なお、所定の時間帯において第1の飲食店における売上が無いことは、上記POSデータから判断されてもよいし、飲食店情報データベース31に含まれる営業時間情報から判断されてもよい。上記所定割合とは、例えば2割、3割等であるが、これに限られない。
【0114】
これにより飲食店情報提供サーバ100は、第1の飲食店が所定の時間帯(例えばランチ営業時間や朝食営業時間)における営業を行っておらず、第2の飲食店が当該所定の時間帯において営業を行いかつ所定の売上がある場合には、第1の飲食店においても当該所定の時間帯において営業を行うメリットがあると考えられることから、当該時間帯における営業を提案することで、第1の飲食店の売上の向上を図ることができる。
【0115】
また、上記提案対象の時間帯で第2の飲食店において注文率の高いカテゴリまたは価格帯に関する情報が共に提供されることで、第1の飲食店は、新たに営業を開始する時間帯において提供するメニューのカテゴリまたは価格帯の判断材料も得ることができる。
【符号の説明】
【0116】
11…CPU
18…記憶部
19…通信部
31…飲食店情報データベース
32…POS情報データベース
33…注文率情報データベース
34…メニュー構成率情報データベース
51…アドバイス情報
100…飲食店情報提供サーバ
200…POSシステム
300…ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8