IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新イオン機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-イオンビーム照射装置 図1
  • 特許-イオンビーム照射装置 図2
  • 特許-イオンビーム照射装置 図3
  • 特許-イオンビーム照射装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】イオンビーム照射装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20230524BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H01J37/317 Z
H01J37/20 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021078720
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2022172668
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 裕章
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕也
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-113714(JP,A)
【文献】特開2020-136227(JP,A)
【文献】特開平06-260133(JP,A)
【文献】特開2019-032940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源と、質量分析器と、前記イオン源から取り出されたイオンビームを第一の方向に通過させる内部空間を有する真空容器と、を備えるイオンビーム照射装置であって、
前記真空容器は、前記イオン源と前記質量分析器との間の一部の領域において、前記内部空間を前記第一の方向と交差する第二の方向に拡張させる凹部を有し、
前記凹部は前記第一の方向に進行する前記イオンビームの周囲全域を取り囲むように形成されており、
前記内部空間において前記イオンビームから前記イオンビームの周囲全域にわたって前記凹部の一部の領域を隠す閉塞部材をさらに備えるイオンビーム照射装置。
【請求項2】
イオン源と、質量分析器と、前記イオン源から取り出されたイオンビームを第一の方向に通過させる内部空間を有する真空容器と、を備えるイオンビーム照射装置であって、
前記真空容器は、前記イオン源と前記質量分析器との間の一部の領域において、前記内部空間を前記第一の方向と交差する第二の方向に拡張させる凹部を有し、
前記内部空間において前記イオンビームから前記凹部の一部の領域を隠す閉塞部材をさらに備え、
前記閉塞部材は、前記真空容器の内壁に取り付けられるライナーであるイオンビーム照射装置。
【請求項3】
前記凹部を冷却する冷却装置をさらに備える請求項1または2に記載のイオンビーム照射装置。
【請求項4】
前記真空容器は、前記第二の方向に開口する開口部を有する本体部材と、前記開口部を閉塞するように前記本体部材に着脱可能に取り付けられる箱状部材と、を備え、
前記凹部は、前記本体部材に前記箱状部材が取り付けられることで形成される請求項1~3のいずれか一項に記載のイオンビーム照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射対象物に向けてイオンビームを照射するイオンビーム照射装置に関し、特に、半導体製造工程またはフラットパネルディスプレイ製造工程で使用され、照射対象物となる基板にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程またはフラットパネルディスプレイ製造工程で使用されるイオンビーム照射装置として、例えば、特許文献1に記載されたイオン注入装置が知られている。このイオン注入装置は、内部に導入された原料ガスからプラズマを生成し、イオンビームを発生させるためのイオン源と、所定のビーム経路に沿ってイオンビームを通過させる真空チャンバーと、内部にウエハが配置される注入チャンバーを備えている。また、ビーム経路の途中には、イオンビームを偏向させて所望のイオンを通過させるための磁石が配置されている。つまり、イオン源から取り出されたイオンビームが当該磁石により偏向された後、注入チャンバーに導かれてウエハに照射されることによって、ウエハに所望のイオンが注入されることになる。
【0003】
特許文献1のイオン注入装置は、当該磁石内のビーム経路にグラファイト性のライナー(内張り)を備えており、このライナーの表面には、イオン注入装置における汚染物となるパーティクルを補足する複数の溝が形成されている。すなわち、このイオン注入装置は、ライナーの溝にパーティクルを補足させることによって、注入チャンバーに到達する汚染物を低減させ、その結果、ウエハに付着する汚染物を低減させることができる。しかしながら、特許文献1のイオン注入装置においては、真空容器内に拡散した汚染物を補足しているのみであり、汚染物が真空容器内に拡散することを低減するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2009-516332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イオン源内部に導入された原料ガス等がイオン源からビーム経路を形成する真空チャンバーに排出されると、当該原料ガス等が真空チャンバーの内壁面上で凝縮し、堆積物が生成する。これは、プラズマ生成時のイオン源と比較して真空チャンバーを形成する内壁の温度が低いためである。さらに、真空チャンバーの内壁と堆積物とは線膨張係数が異なるため、真空チャンバーが温度変化を繰り返すと、堆積物が真空チャンバーの内壁から剥がれ落ちることになる。すなわち、装置の運転と停止を繰り返すこと等によって堆積物は真空容器の内壁から剥がれ落ち、剥がれ落ちた堆積物はイオンビームのポテンシャルによって真空チャンバー内に拡散することになる。このように、特許文献1のイオン注入装置においては、真空容器に堆積する堆積物が真空容器内に拡散されるという問題があった。すなわち、真空容器内に堆積した堆積物が真空容器内に拡散されることを抑制する必要があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、真空容器内の堆積物が真空容器内に拡散されることを抑制できるイオンビーム照射装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるイオンビーム照射装置は、イオン源と、質量分析器と、前記イオン源から取り出されたイオンビームを第一の方向に通過させる内部空間を有する真空容器と、を備えるイオンビーム照射装置であって、前記真空容器は、前記イオン源と前記質量分析器との間の一部の領域において、前記内部空間を前記第一の方向と交差する第二の方向に拡張させる凹部を有し、前記内部空間において前記イオンビームから前記凹部の一部の領域を隠す閉塞部材をさらに備える構成とされている。
【0008】
本発明のイオンビーム照射装置においては、真空容器は、イオン源と質量分析器との間の一部の領域に、内部空間をイオンビームが通行する方向である第一の方向と交差する第二の方向に拡張させる凹部を備える。したがって、真空容器のうち凹部が形成された領域は、他の領域と比較して内部空間を通過するイオンビームから離れることから、他の領域よりもイオンビームからの輻射熱による影響を受け難く、温度が上がり難い。すなわち、真空容器のうち凹部が形成された領域は、他の領域よりも低温となることから、イオン源から放出された原料ガス等から成る気体は凹部が形成された領域で凝縮しやすく、凹部には堆積物が発生する。
これに対し、本発明のイオンビーム照射装置は、内部空間においてイオンビームから凹部の一部の領域を隠す閉塞部材をさらに備えている。すなわち、本発明のイオンビーム照射装置は、他の領域よりも低温となる凹部において原料ガスを凝縮させ、凹部の一部の領域を閉塞部材によってイオンビームから隠すことで、イオンビームのビームポテンシャルが作用する堆積物の割合を少なくしている。その結果、堆積物を凹部に局所的に溜め込むことができ、堆積物が内部空間へ拡散することが抑制される。
【0009】
また、本発明のイオンビーム照射装置においては、前記閉塞部材は、前記真空容器の内壁に取り付けられるライナーである構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、真空容器の内壁に取り付けられるライナーを閉塞部材としても使用できることから、部品点数が削減され、簡易な構成とすることができる。
【0011】
また、本発明のイオンビーム照射装置は、前記凹部を冷却する冷却装置をさらに備える構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、冷却装置によって真空容器のうち凹部が形成される領域を、他の領域と比較してより低温にできることから、イオン源から放出された原料ガス等から成る気体をより凝集させやすくなる。
【0013】
また、本発明のイオンビーム照射装置においては、前記真空容器は、前記第二の方向に開口する開口部を有する本体部材と、前記開口部を閉塞するように前記本体部材に着脱可能に取り付けられる箱状部材と、を備え、前記凹部は、前記本体部材に前記箱状部材が取り付けられることで形成される構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、箱状部材が本体部材に着脱可能に取り付けられることになり、箱状部材を本体部材から離脱させてメンテナンス作業を行うことができる。したがって、清掃等のメンテナンス作業が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のイオンビーム照射装置によれば、真空容器内の堆積物が真空容器内に拡散されることを抑制できる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるイオンビーム照射装置を模式的示す平面図。
図2】同実施形態における真空容器を示す断面図。
図3図2に示すC―C線における断面図。
図4】真空容器の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態におけるイオンビーム照射装置10について説明する。
図1に示すように、イオンビーム照射装置10は、イオンビームIBの照射対象である基板Sに所望するイオンを含むイオンビームIBを照射する装置である。より詳細には、イオンビーム照射装置10は、半導体製造工程等で使用され、半導体ウエハである基板SにイオンビームIBを照射してイオン注入処理を施すためのイオン注入装置である。尚、イオンビーム照射装置10の用途はこれに限定されるものではない。例えば、イオンビーム照射装置10はフラットパネルディスプレイ製造工程で使用されるイオン注入装置であってもよい。この場合、基板Sはガラス基板であってよい。
【0018】
図1に示すように、イオンビーム照射装置10は、イオンビームIBを生成するためのイオン源11と、内部に磁場を発生させる磁石15を有する質量分析器14を備えている。質量分析器14は、磁石15により発生された磁場によってイオンビームIBを偏向させ、所望のイオンを通過させるものである。
【0019】
図1に示すように、イオン源11は、内部でプラズマが生成されるプラズマチャンバー12を備えており、プラズマチャンバー12に供給される原料ガスから所望するイオンを含むプラズマを生成させるものである。また、プラズマチャンバー12の外側近傍には、プラズマチャンバー12内で生成したプラズマに含まれるイオンをイオンビームIBとして取り出すための引出電極13が配置されている。尚、本実施形態におけるイオン源11、引出電極13、および質量分析器14においては、いずれもイオン注入装置に一般的に用いられている構成が採用されている。尚、本実施形態におけるイオンビームIBは、イオン源11の高さ方向、すなわち図中のZ方向に沿った所定の長さを有するリボンビームであるが、イオンビームIBの形状はこれに限定されるものではない。
【0020】
また、イオンビーム照射装置10は、内部にイオン源11を収容するイオン源チャンバー16、および、質量分析器14の磁石内部を通るように配置された質量分析チャンバー17を備えている。
【0021】
図1に示すように、イオンビーム照射装置10は、イオン源チャンバー16と質量分析チャンバー17との間に配置された真空容器18をさらに備えている。真空容器18は、イオン源11から取り出されたイオンビームIBを第一の方向D1に通過させる内部空間Rを有する。内部空間Rは、イオン源チャンバー16の内部空間および質量分析チャンバー17の内部空間のそれぞれに繋がっており、イオンビームIBを通過させる空間を形成している。真空容器18は、イオンビーム照射装置10の運転中、内部を高真空状態とされる。尚、図1図4においては、第一の方向D1をX方向に、真空容器18の高さ方向をZ方向に一致させている。
【0022】
図1および図2に示すように、本実施形態における真空容器18は、第一容器19、第二容器20、および第三容器21がX方向、すなわち第一の方向D1に沿って連結されることで構成されている。図2に示すように、第一容器19は、第一内壁面19bを有する第一壁部19aを有し、第二容器20は、第二内壁面20bを有する第二壁部20aを有する。同様に、第三容器21は、第三内壁面21bを有する第三壁部21aを有する。真空容器18の内部空間Rは、第一内壁面19b、第二内壁面20b、および第三内壁面21bによって形成された第一の方向D1に開口する空間である。尚、真空容器18の上記構成は一例である。本実施形態においては、真空容器18は、二つの容器または四つ以上の容器を連結する構成であってもよく、一つの容器のみから構成されるものであってもよい。
【0023】
図2に示すように、第二容器20の第二壁部20aは断面が凹形状を成すように形成されており、第二内壁面20bによって内部空間RをイオンビームIBの進行方向である第一の方向D1と交差する第二の方向D2に拡張させる凹部22が形成されている。換言すれば、真空容器18は、イオン源11と質量分析器14との間の一部の領域において、内部空間RをイオンビームIBの進行方向である第一の方向D1と交差する第二の方向D2に拡張させる凹部22を有する。
【0024】
図3に示すように、本実施形態においては、凹部22は第一の方向D1に進行するイオンビームIBの周囲全域を取り囲むように形成されている。すなわち、第二の方向D2は特定の方向を指すものではなく、第一の方向D1と交差する任意の方向を示すものである。尚、凹部22は、凹部22は第一の方向D1に進行するイオンビームIBの周囲全域を取り囲むように形成されていることに限定されない。また、本実施形態においては、第一の方向D1と第二の方向D2が直交するよう凹部22は形成されているが、第一の方向D1と第二の方向D2は必ずしも直交している必要はない。凹部22は、イオン源11と質量分析器14との間の一部の領域において、内部空間RにイオンビームIBからの距離が離れるような空間を形成するものであればよい。
【0025】
図2に示すように、イオンビーム照射装置10は、真空容器18の内部空間Rにおいて、イオンビームIBから凹部22の一部の領域を隠す第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bをさらに備えている。第一閉塞部材23aは、カーボン材料により形成されており、第一容器19の第一内壁面19bに、第一内壁面19bの全域および凹部22一部の領域を覆うように配置されている。同様に、第二閉塞部材23bは、カーボン材料により形成されており、第三容器21の第三内壁面21bに、第三内壁面21bの全域および凹部22一部の領域を覆うように配置されている。第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bはいずれも、真空容器18のライナー部材としても機能する。尚、第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bは、ライナー部材とは別の部材により構成してもよく、本発明における閉塞部材は、ライナー部材を兼ねることに限定されるものではない。
【0026】
凹部22の内壁面、すなわち第二内壁面20bは粗面加工が施されている。このように第二内壁面20bの粗さを大きくすることで、後述する凹部22に堆積した堆積物がアンカー効果によって剥がれ難くなる。また、凹部22の内壁面、すなわち第二内壁面20bにカーボン製のライナーや金属製のライナーを配置してもよい。この場合においても、ライナーに溝や凹凸を形成するなどして、当該堆積物が剥がれ難くすることができる。
【0027】
図1に示すように、イオンビーム照射装置10は、凹部22を冷却するための冷却装置24を備えている。本実施形態における冷却装置24は、冷却水によって凹部22を冷却するものであり、冷却水を供給する供給源24aと冷却水が流動する冷却水配管24bを備えている。冷却水配管24bは、第二容器20の第二壁部20aに形成された孔部24cに繋がっており、孔部24cを冷却水が流動することで凹部22が冷却される構成である。尚、上記構成は冷却装置24の一例であり、例えば、冷却装置24は、内部を冷却水が流動する冷却プレートを第二壁部20aに接触するように配置することで凹部22を冷却する構成とされていてもよい。また、冷却装置24は必ずしも必要とされるものではない。
【0028】
本実施形態におけるイオンビーム照射装置10においては、真空容器18は、イオン源11と質量分析器14との間に配置された第二容器20に、真空容器18の内部空間RをイオンビームIBが通行する方向である第一の方向D1と交差する第二の方向D2に拡張させる凹部22を備えている。
【0029】
内部空間Rの凹部22によって形成された領域は、他の領域と比較して内部空間Rを通過するイオンビームIBから第二の方向D2に離れることから、他の領域よりもイオンビームIBからの輻射熱による影響を受け難く、温度が上がり難い。すなわち、真空容器18のうち凹部22が形成された領域は、他の領域よりも低温となることから、イオン源11から原料ガス等から成る気体が放出された場合には、凹部22が形成された領域で、より詳細には第二容器20の第二内壁面20bにおいて、凝縮しやすくなり、凹部22を形成する第二内壁面20bには、当該気体が凝縮することで生成する堆積物が付着することになる。このとき、イオンビーム照射装置10は、内部空間RにおいてイオンビームIBから凹部22の一部の領域を隠す第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bをさらに備えている。
【0030】
イオンビーム照射装置10は、他の領域よりも低温となる凹部22において原料ガスを凝縮させ、凹部22の一部の領域を第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bによってイオンビームIBから隠すことで、イオンビームIBのビームポテンシャルが作用する堆積物の割合を少なくしている。その結果、堆積物を凹部22に局所的に溜め込むことができ、堆積物が内部空間Rへ拡散することが抑制される。また、凹部22内の堆積物の一部がイオンビームIBのポテンシャルにより引き寄せられた場合であっても、第一閉塞部材23aまたは第二閉塞部材23bによって移動が規制され、当該堆積物が内部空間Rへ拡散することが妨げられる。その結果、真空容器内の堆積物が真空容器内に拡散されることを抑制でき、基板Sに付着する汚染物が低減される。
【0031】
また、本発明のイオンビーム照射装置においては、第一閉塞部材23aおよび第二閉塞部材23bは、真空容器18の内壁面を構成するとなる第一内壁面19bおよび第三内壁面21bに取り付けられるライナーを兼ねている。したがって、部品点数が削減され、簡易な構成とすることができる。
【0032】
また、イオンビーム照射装置10は、イオン源チャンバー16と質量分析チャンバー17の間に配置され、板状の弁体25aを有するゲートバルブ25を備える。イオンビーム照射装置10がゲートバルブ25を備えることにより、質量分析チャンバー17内を高真空に保った状態でイオン源チャンバー16を大気開放してメンテナンス作業等を行うことが可能となる。
【0033】
図2に示すように弁体25aは第一の方向D1について、第一閉塞部材23aと第二閉塞部材23bの間を通過するように配置されている。換言すれば、第一閉塞部材23aと第二閉塞部材23bが第一の方向D1について所定間隔離間していることで、弁体25aが動作することを可能にしている。
【0034】
次に、本実施形態におけるイオンビーム照射装置10における真空容器18の変形例である真空容器31について説明する。尚、真空容器18と同一の構成要素については図4に同一の符号を付与し、説明を省略する。
図4に示すように、真空容器31は、内部空間Rを形成する壁部32aを有する本体部材32を備える。壁部32aの一部の領域には、壁部32aの厚さ方向に開口する開口部33が形成されている。
【0035】
また、真空容器31は、開口部33を閉塞するように本体部材32に着脱可能に取り付けられる箱状部材34を備える。真空容器31においては、本体部材32に箱状部材34が取り付けられることで凹部22が形成される。本変形例においては、箱状部材34は複数の板材等を組み合わせて形成されている。
【0036】
この変形例によれば、箱状部材34が本体部材32に着脱可能に取り付けられることになり、箱状部材34を本体部材32から離脱させてメンテナンス作業を行うことができる。したがって、清掃等のメンテナンス作業が容易となる。
【0037】
図4に示すように、第一閉塞部材23aと第二閉塞部材23bとの間にカーボン材料により網状に形成された網状部材35は配置されている。網状部材35は、凹部22から堆積物が剥がれた場合に、堆積物が内部空間Rに拡散することを規制する。また、例えば、第一閉塞部材23aまたは第二閉塞部材23bの、凹部22によって形成された空間を塞ぐ領域は、第一の方向D1と平行である必要はない。また、第一閉塞部材23aと第二閉塞部材23bの向かい合うそれぞれの端部に第一の方向と交差する方向に延在する板材をさらに配置してもよい。この場合、仮に凹部22から堆積物が剥がれた場合であっても、イオン源チャンバー16側または質量分析チャンバー17側に拡散されることが規制される。
【0038】
また、本発明は前記実施形態および前記変形例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
10 イオンビーム照射装置
11 イオン源
12 プラズマチャンバー
13 引出電極
14 質量分析器
15 磁石
16 イオン源チャンバー
17 質量分析チャンバー
18 真空容器
19 第一容器
20 第二容器
21 第三容器
22 凹部22
23a、23b 閉塞部材
24 冷却装置
32 本体部材
33 開口部
34 箱状部材
35 網状部材
IB イオンビーム
S 基板
R 内部空間
D1 第一の方向
D2 第二の方向



図1
図2
図3
図4