(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ベルトコンベアのクリーナ装置及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
B65G 45/12 20060101AFI20230524BHJP
B08B 1/00 20060101ALI20230524BHJP
B08B 11/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B65G45/12 Z
B08B1/00
B08B11/00 A
(21)【出願番号】P 2019026643
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000233734
【氏名又は名称】株式会社アステック入江
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 一浩
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-037121(JP,U)
【文献】特開2017-032346(JP,A)
【文献】特開2013-252976(JP,A)
【文献】特開平10-109731(JP,A)
【文献】特開2016-155615(JP,A)
【文献】特開2004-244171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/12
B08B 1/00
B08B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転し物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記ベルト表面に対する前記クリーナ掻き取り刃の押付力を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【請求項2】
前記クリーナ掻き取り刃は、前記コンベアベルトの幅方向に沿ってベルト幅と同等の長さに延出され、
前記荷重検出部は、前記クリーナ掻き取り刃の長手方向の両側若しくは中央に設けられている請求項1に記載のコンベアのクリーナ装置。
【請求項3】
所定方向に回転して物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記クリーナ掻き取り刃の変位の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出情報の記録及び演算が可能である共に前記検出情報の閾値設定が可能である
請求項1から3の何れか一項に記載のコンベアのクリーナ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記閾値設定に基づいた警告表示が可能である
請求項4に記載のコンベアのクリーナ装置。
【請求項6】
所定方向に回転して物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記ベルト表面に対する前記クリーナ掻き取り刃の押付力を検出する荷重検出部と、
前記クリーナ掻き取り刃の変位の加速度を検出する加速度検出部と、
前記荷重検出部及び前記加速度検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【請求項7】
前記クリーナ掻き取り刃は、少なくとも基部が収容部に着脱可能に収容支持され、
前記収容部は、前記クリーナ支持部に連結されたクリーナ本体ケースに着脱可能に支持されている
請求項1から6の何れか一項に記載のコンベアのクリーナ装置。
【請求項8】
前記検出情報に関わる通信機能を有する通信部を備えている
請求項1から7の何れか一項に記載のコンベアのクリーナ装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載のコンベアのクリーナ装置を用いるクリーニング方法であって、
前記コンベアのクリーナ装置の少なくとも2つ以上について、前記荷重検出部若しくは前記加速度検出部或いは前記荷重検出部及び前記加速度検出部の検出情報を、通信回線を用いて統括して管理する
クリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送するベルトコンベアのクリーナ装置及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送するエンドレスの搬送ベルトを用いたベルトコンベアは各種産業の分野において利用されている。この搬送ベルトは、そのベルト外周面に物品を乗せて搬送するため、ベルト外周面に搬送排出後の付着残渣が搬送歩留りを低下させる一方、コンベアライン下部に落下堆積し、搬送を阻害する。このため、定期の点検と清掃が必要である。この清掃を行う場合は、搬送ラインを止めるために生産性が低下するだけでなく、人手にて行う場合には作業者の安全性のリスクがある。
【0003】
このような状況下において、ベルトコンベアを清掃する装置は、例えば特許文献1に提案されている。特許文献1においては、搬送ベルトの表面に接触する研削チップがベルト幅方向に配列されており、この研削チップによってベルト上に付着した異物を掻き取るように落として除去する構造となっているベルトコンベアのクリーナ装置が開示されている。また、このクリーナ装置においては、研削チップを保持した架台をジャッキボルトの調整により、ベルト表面に対する研削チップの押付力等を調整できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたこの種の所謂、ベルト掻取り式のクリーナ装置は、設置費用と効率面で主に用いられているが、ベルト表面に対する研削チップの押付力が弱すぎるとクリーニング作用が弱くなってしまう一方、押付力が強すぎるとクリーナ掻取り部の偏摩耗やベルト面摩耗・損傷などが発生しやすくなってしまう。また、従来は、クリーナ後のベルト面清浄性の目視点検やコンベア下の急な落材堆積等の異常を目視で発見していた。また、クリーナ掻取り部の設置押あて具合を上下調整し、調整後のベルト面観察を交互に繰り返すことで、均一な最良な調整をする方法が行われているのが現状であり、この調整も調整範囲も狭い事から、調整作業には長年の経験と時間手間を必要としていた。
【0006】
また、ベルトコンベアの稼働中においては、研削チップの摩耗状態を点検する事はできず、クリーニング状況やコンベアベルトの状態については上記のように付着残渣量と落材増量や稼働するベルト面の目視から推察する以外に方法がないため、クリーナ装置側並びにコンベアベルト側の継部めくれ・破れや異物刺さり等双方の変化や異常を十分に把握することができていないのが現状であった。このため、クリーナ装置の性能低下の気づきが遅くなる他、クリーナ設置も一因となる搬送ベルトの破損に伴うトラブルの可能性が高く、掻取り式ベルトクリーナの設置自体や設置しても長期に安定したクリーニング性能を発揮させる事も困難であった。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベルトコンベアのクリーナ装置の取付け設定や調整・交換メンテナンス時期の推定を容易にし、搬送歩留り向上と落材清掃の省力化を可能にし、コンベアベルト異常等まで早期に検出できベルトクリーニングとコンベアベルト状態の包括的な監視・コントロールが容易で、コンベアベルト異常診断も可能なベルトコンベアのクリーナ装置及びクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は下記手段により達成することができる。すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
所定方向に回転し物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記ベルト表面に対する前記クリーナ掻き取り刃の押付力を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【0009】
〔2〕
前記クリーナ掻き取り刃は、前記コンベアベルトの幅方向に沿ってベルト幅と同等の長さに延出され、
前記荷重検出部は、前記クリーナ掻き取り刃の長手方向の両側若しくは中央に設けられている〔1〕に記載のコンベアのクリーナ装置。
【0010】
〔3〕
所定方向に回転して物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記クリーナ掻き取り刃の変位の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【0011】
〔4〕
前記制御部は、前記検出情報の記録及び演算が可能である共に前記検出情報の閾値設定が可能である
〔1〕から〔3〕の何れか1つに記載のコンベアのクリーナ装置。
【0012】
〔5〕
前記制御部は、前記閾値設定に基づいた警告表示が可能である
〔4〕に記載のコンベアのクリーナ装置。
【0013】
〔6〕
所定方向に回転して物品を載置して搬送する無端状のコンベアベルトに対して、ベルト表面に接触可能なクリーナ掻き取り刃を設け、前記ベルト表面の付着物を掻き落として清掃するコンベアのクリーナ装置であって、
前記クリーナ掻き取り刃を前記コンベアベルトに当接させる押付力の調節が可能なクリーナ支持部と、
前記ベルト表面に対する前記クリーナ掻き取り刃の押付力を検出する荷重検出部と、
前記クリーナ掻き取り刃の変位の加速度を検出する加速度検出部と、
前記荷重検出部及び前記加速度検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部と、
を有するコンベアのクリーナ装置。
【0014】
〔7〕
前記クリーナ掻き取り刃は、少なくとも基部が収容部に着脱可能に収容支持され、
前記収容部は、前記クリーナ支持部に連結されたクリーナ本体ケースに着脱可能に支持されている
〔1〕から〔6〕の何れか1つに記載のコンベアのクリーナ装置。
【0015】
〔8〕
前記検出情報に関わる通信機能を有する通信部を備えている
〔1〕から〔7〕の何れか1つに記載のコンベアのクリーナ装置。
【0016】
〔9〕
〔1〕から〔8〕の何れか1つに記載のコンベアのクリーナ装置を用いるクリーニング方法であって、
前記コンベアのクリーナ装置の少なくとも2つ以上について、前記荷重検出部若しくは前記加速度検出部或いは前記荷重検出部及び前記加速度検出部の検出情報を、通信回線を用いて統括して管理する
クリーニング方法。
【発明の効果】
【0017】
〔1〕のコンベアのクリーナ装置によれば、荷重検出部により、ベルト表面に対するクリーナ掻き取り刃の押付力が検出でき、かつ、クリーナ掻き取り刃をコンベアベルトに当接させる調節が可能なクリーナ支持部を有し、このクリーナ支持部の設定を荷重検出部の検出情報により接触面を適切に調節できる。また荷重検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部を備えることにより、荷重検出部からのデータに基づく表示によって稼働時のクリーニング性能状態やコンベアベルトの異常等のコンベアの監視が常時でき、迅速且つ適切な調整やメンテナンスを行うことができる。
【0018】
〔2〕のコンベアのクリーナ装置によれば、クリーナ掻き取り刃は、コンベアベルトの幅方向に沿ってベルト幅と同等の長さに延出され、クリーナ掻き取り刃の長手方向の両側若しくは中央に設けられている荷重検出部により、検出時当初のクリーナ掻き取り刃の自重からベルト面との接触以降は押付力や偏りが的確に検出でき、また、コンベアベルトの左右両側の押付力を検出できる。この結果、ベルト表面に対するクリーナ掻き取り刃の押付力を見ながら均一にでき、ベルトへ過剰な負荷なくクリーナ掻き取り刃の適切な押圧調整がし易くなる。
【0019】
〔3〕のコンベアのクリーナ装置によれば、加速度検出部により、コンベアベルトと接触したクリーナ掻き取り刃間の連続した振動・変位変化の加速度を検出でき、かつ、クリーナ掻き取り刃をコンベアベルトに対するクリーナ支持部の押付量や角度等の設定を加速度検出部の検出情報により調節できる。更に、加速度検出部の検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部を備えることにより、加速度検出部からのデータに基づいて監視及び適切な調整やメンテナンスができる。
【0020】
〔4〕のコンベアのクリーナ装置によれば、制御部は、検出情報の記録及び演算が可能である共に検出情報の閾値設定が可能であるので、荷重及び加速度検出部の複数種類のデータに基づきより広範囲且つ繊細な監視及び適切な調整やメンテナンスが可能となる。
【0021】
〔5〕のコンベアのクリーナ装置によれば、制御部は、閾値設定に基づいた警告表示が可能であるので、緊急処置を促すことができ、適切な監視及び調整やメンテナンスが可能となる。
【0022】
〔6〕のコンベアのクリーナ装置によれば、荷重検出部により、クリーナ掻き取り刃の押付力が検出できると共に、加速度検出部により、クリーナ掻き取り刃のコンベアベルトに対する接触状態の振動や変位変化具合を変位・振動の加速度が検出できる。この結果、クリーナ掻き取り刃をコンベアベルトに対するクリーナ支持部の設定を、荷重及び加速度検出部の双方の検出情報により調節でき、更に、荷重及び加速度検出部からの検出情報に基づいて少なくとも表示出力が可能な制御部を備えることにより、荷重及び加速度検出部からの複数種類のデータに基づきより広範囲且つ繊細な監視及び適切な調整やメンテナンスが可能となる。
【0023】
〔7〕のコンベアのクリーナ装置によれば、クリーナ掻き取り刃は、少なくとも基部が収容部に着脱可能に収容支持され、更に収納ボックスがクリーナ支持部に連結されたクリーナ本体ケースに着脱可能に支持されていることで、クリーナ掻き取り刃の収容および支持がユニット構造とされているので組み立て性並びに修理や交換時のメンテナンス性に優れている。
【0024】
〔8〕のコンベアのクリーナ装置によれば、検出情報に関わる通信機能を有する通信部を備えているので、ベルトコンベアが設置されたところとは離れたところで、ベルトコンベアを監視し、異常に早期対処することができる。
【0025】
〔9〕のクリーニング方法によれば、コンベアのクリーナ装置の少なくとも2つ以上について、荷重検出部若しくは加速度検出部或いは荷重検出部及び加速度検出部の検出情報を、通信回線を用いて統括して管理するので、複数のクリーナ掻き取り刃のベルト表面に対する対応を同時に監視することができ、複数のベルトコンベアからのクリーナ情報を一箇所で集中管理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態のクリーニング装置が適用されたコンベア全体を示す概略図である。
【
図2】
図1に示すクリーニング装置の要部斜視図である。
【
図3】
図2に示すクリーニング装置のA-A断面線に沿った概略断面図である。
【
図4】本発明にかかる制御を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示すクリーニング装置における制御部の表示画面の一例を示し、(a)は一端側の研削チップのコンベアベルトに対する押付力を示すグラフであり、(b)は他端側の研削チップのコンベアベルトに対する押付力を示すグラフである。
【
図6】
図1に示すクリーニング装置における制御部の表示画面の一例を示し、(a)は研削チップのコンベアベルトに対する進行方向の加速度変化をグラフであり、(b)は研削チップのコンベアベルトに対する横方向の加速度変化をグラフであり、(c)は研削チップのコンベアベルトに対する垂直方向の加速度変化をグラフである。
【
図7】本発明の第1実施形態の第1変形例を示す要部斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第2変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の第3変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態の第4変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の第5変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態の第6変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態の第7変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態の第8変形例を示す要部の概略断面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態の第9変形例を示すブロック図である。
【
図16】本発明にかかる第2実施形態のクリーニング方法の一例を示すブロック図である。
【
図17】本発明にかかる第2実施形態のクリーニング方法の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明のコンベアのクリーナ装置の第1実施形態について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0028】
本実施形態におけるコンベアのクリーナ装置1は、
図1及び
図2に示すように、ベルトコンベア30の下側にその主要部分が設置されて、コンベアベルト32をクリーニングするように構成されている。詳細には、コンベアのクリーナ装置1は、所定方向に回転し物品mを載置して搬送する無端状のコンベアベルト32に対して、ベルト表面32sに接触可能なクリーナ掻き取り刃8が設けられている。そして、このクリーナ掻き取り刃8が、ベルト表面32s上に付着した付着物D(
図3参照)を掻き落として清掃する。
【0029】
なお、ベルトコンベア30は、
図1に示すように、ベルト巻回ローラ35にて回転駆動され、複数のベルト支持ローラ38によって保持されコンベアベルト32上に物品mを載置して搬送する。このため、コンベアベルト32のベルト表面32sには、物品mの搬送に伴う汚れや付着物Dがこびり付くように付着する。
【0030】
付着物Dを掻き落とすクリーナ掻き取り刃8は、コンベアベルト32の幅方向に沿ってベルト幅と同等の長さに延出され、ベルト表面32sに接触するように支持されている。このクリーナ掻き取り刃8は、後述するクリーナ支持部5の固定支持によって、コンベアベルト32と当接するように設けられている。
【0031】
このクリーナ支持部5には、
図2に示すように、ベルト表面32sに対するクリーナ掻き取り刃8の押付力を検出可能な荷重検出部11と、クリーナ掻き取り刃8の変位・振動の加速度を検出可能な加速度検出部12と、が設けられている。そして、制御部10が設けられており、この制御部10は、荷重検出部11及び加速度検出部12からの検出情報の記録、演算及び表示が可能であると共に少なくとも荷重及び加速度の検出信号の閾値設定が可能に構成されている。
なお、ここで云う、閾値設定とは、荷重及び加速度の検出信号が所定の値以上或いは以下に数値になったときの正否判定のための値である。
【0032】
クリーナ掻き取り刃8は、
図2及び
図3に示すように、例えば、ベルト表面32sに接して該ベルト表面32sを清掃する研削チップ8bを先端に備える棒状のチップ保持部8aを有している。そして、チップ保持部8aがベルト幅方向に複数配列された構造となっている。このチップ保持部8aは、少なくともその基部8dがケース状の収容部7に着脱可能に収容支持されて配列されている。また、この収容部7は、クリーナ支持部5の支持軸5gに連結されたクリーナ本体ケース6に着脱可能に支持されている。
【0033】
クリーナ掻き取り刃8は、研削チップ8bが、例えば、チップ保持部8aに対して着脱可能に設けられ、また、チップ保持部8aが、例えば、ウレタン樹脂などの弾性部材にて構成され、適宜弾性を有する。
【0034】
そして、荷重検出部11及び加速度検出部12は、収容部7の底面とクリーナ本体ケース6の底面との間に挟持されるように設置されている。また、荷重検出部11は、コンベアベルト32の幅方向の両側にそれぞれ設けられており、加速度検出部12は、幅方向略中央に設けられている。
【0035】
クリーナ支持部5は、クリーナ本体ケース6から延出された支持軸5gを左右両端でコンベア架台フレーム31に対して支持する構造となっている。詳細には、クリーナ支持部5は、長孔5hを有し該長孔5hを貫通してコンベア架台フレーム31に上下位置調整可能に取付けられるスライドベース部5aと、スライドベース部5aから水平の延びる水平ブラケット部5bと、支持軸5gを固定する軸固定部5cと、軸固定部5cの下端側に回転自在に連結され且つ水平ブラケット部5bに螺合された雄ねじシャフト部5fと、雄ねじシャフト部5fを水平ブラケット部5bに対し固定可能な固定ナット5dと、を備えている。
【0036】
したがって、クリーナ支持部5のスライドベース部5aを上下動させることにより、適宜テンションにて張られたコンベヤベルト32に対するクリーナ掻き取り刃8の当接力の調節することができる。また、微調整ネジ部5dの調節により、雄ねじシャフト部5dを上下動して当接力の微調整が可能である。
【0037】
ここで、制御部10は、少なくとも表示出力が可能な構成であれば良いが、本実施形態では、
図4に示すように、演算部13、記憶部14、表示部15、条件入力部16を有している。これにより、荷重検出部11の検出情報の記録、演算及び表示が可能であり、この荷重検出部11からの検出信号に基づいて、荷重の閾値の設定が可能である。また、加速度検出部12の検出情報の記録、演算及び表示についても可能であり、この加速度検出部12からの検出信号に基づいて、加速度の閾値の設定が可能である。
また、制御部10は、通信部17を備えており、外部との通信が可能な機能を備えており、離れた場所での監視・管理が可能である。すなわち、通信部17を有していることで、コンベアのクリーナ装置の情報を遠隔地で受信でき、また、装置作動状態を把握することが可能となり、該クリーナ装置の設置場所から離れた遠隔地でも、コンベアの管理元に連絡・対処し、重大なリスクでない場合に於いては、遠隔地から閾値を変更するなどの操作を可能とする。
【0038】
荷重(押付力)及び加速度の閾値の設定は、例えば、条件入力部16を操作して適宜数値を設定値として入力し、記憶し、また表示出力することができる。
ここで云う、表示部15の表示出力とは、検出情報の数値を、例えばディスプレイに表示する形態もあるが、その他にも、閾値設定に基づいた警告表示を含む形態を云う。すなわち、本発明で云う表示出力とは、作業者や管理者が認識できる、例えば視覚、聴覚、その他あらゆる感覚で認識できるものを云う。したがって、閾値の情報に基づいて警告等を行う場合、この警告表示は、視覚的な表示では、例えば、警告ランプの点滅表示(電気的表示)、画面警告表示、更には機械的な警告動作表示(警告ランプの回転表示等)、また、聴覚的な表示では、ブザーや音声警告アナウンス、等を云う。また、音声・警告灯の組み合わせ表示もある。
【0039】
また、警告表示については、例えば複数の閾値の設定によって警告程度変えるなど、ベルトコンベア30の運用に最適な閾値設定によって、種々の警告形態を採用することができる。なお、条件入力部16は、表示部15の一部の、例えば表示画面を使用する構成であっても良いし、また、別途入力端末を使用する構成であっても良い。
【0040】
また、表示部15における表示形態についは、閾値や検出情報だけでなく、これまでの検出情報に基づいて得られた傾向、例えば、時間の経過と共に変化する押付力や加速度の傾向表示を行うことができる。この傾向表示は、グラフや表などにて示すことができ、これにより、現状のクリーニング状態と比較して、その判断基準にすることができる。
【0041】
以下、コンベアのクリーナ装置1において押付力の設定及び作動について
図5を参照して説明する。
【0042】
先ず、ベルトコンベア30を稼動する前に、コンベアのクリーナ装置1のセッティングを行う。このセッティングでは、クリーナ掻き取り刃8のベルト表面32sへの押付力(荷重)を調整する。この調整は、クリーナ支持部5の上方への移動によって行う。すなわち、コンベアベルト32に当接しない手前の位置で掻取り刃面をコンベアベルト32に平行に調整する。この時、荷重表示値は荷重検出部11が支えるクリーナ装置自重を2点に分割、又は、総量を示す。次に、ベルト表面32sにクリーナ掻き取り刃8を接触させる。その後、クリーナ掻き取り刃8を同時又は交互に指定(メーカ等により予め指定される)された寸法だけコンベアベルト32に押しつけるように押上げる。
【0043】
このときの押付力の状態を、
図5に示す。ベルト幅方向の一端側においては、
図5(a)に示すように、押付力P5が初期設定時の押付力として表示され、他端側においては、
図5(b)に示すように、押付力P6が初期設定時の押付力として表示されるが、高位側を下位側に合わせ、P5≒P6に調整する。
【0044】
なお、表示部15における
図5に示す(a)及び(b)の表示形態としては、コンベアベルト32の幅方向の一端側と他端側とを別々に記載してあるが、初期設定時以外においては、両側で押付力が略同じになるように調整することから、便宜的に別々に記載したものであり、実際の表示部15においては、同じグラフ画面上に色を変えて重なるように表示することができる。これにより、押付力の調整は、表示部15を見ながらリアルタイムに調整作業を容易に行うことができる。
【0045】
前述のように、クリーナ掻き取り刃8を規定量押上げる際、初期の状態の表示値を見ながら調整し、クリーナ掻き取り刃8は、コンベアベルト32に対して、ベルト幅方向において押付力(P6≒P5)をもって当接させる。
【0046】
次に、クリーナ掻き取り刃8の両端の押付力を確認しながら、例えば、初期の押付力(P5,P6)よりも小さい調整押付力P4で押付力調整(荷重調整)を行う。
この調整押付力P4は、例えば、これまで蓄積された同じ機種のベルトコンベア30であるが、搬送する物品mの種類や含水率を変えつつ、クリーナの弾性力を変更したものや押付力も大小水準を変え、同じ作業現場や同類の作業現場の蓄積データを基に算出された数値である。
【0047】
次に、ベルトコンベア30を、例えば試運転稼動(本稼働であっても良い)させる。ベルトコンベア30の稼働後は、クリーナ掻き取り刃8とベルト表面32sとの摩擦抵抗によって、水平方向にも押付力が分散される。このために、稼動押付力P2は、調整押付力P4の値より小さくなる。また、この稼動時の押付力は、ベルト走行による振動等により細かい上下動はあるものの、特に問題も無く通常に運転されている場合は、例えば、稼動押付力P2の付近で推移する。
【0048】
ここで、押付力の閾値として、例えば、稼動押付力P2よりも大きい上閾値押付力P3と、稼動押付力P2よりも小さい下閾値押付力P1とを設定することができる。この上下両閾値押付力P3,P1は、これまで蓄積された同じ機種のベルトコンベア30や同じ作業現場や同類の作業現場の蓄積データを基に算出された数値を適用したものである。したがって、押付力の上下動で閾値を超えた場合、何らかの異常が発生したか、或いは異常が発生する直前の状態であるか等種々の状況を監視することが可能になる。すなわち、ベルトコンベア30の摩耗やトラブル直前の状況の発見や、クリーナ装置1のクリーニングの掻き取り性能変化をリアルタイムに監視する。この監視において、例えば、下限以下(下閾値押付力P1)は、クリーニング能の低下・ベルト伸びや破断リスクがあることを示す。一方、上限以上(上閾値押付力P3)は、本来発生しないがクリーナ装置1が損傷するレベルの過剰な力≒ベルト反転やベルト面の異物刺さり等固定物の接触リスクを示す。又、異常が周期的であればベルト長さ方向の定点の異常と判断できる。
【0049】
また、クリーナ掻き取り刃8の押付力は、長期にわたって使用され、例えば、数か月~1年の長期に稼働し続けるものが一般的である。そして、長い使用時間を経て、押付力は、例えば当初の設定値から8割~6割~4割というように落ちてゆく。このような現状を考慮すると、押付力の調整点をどの時点にするか、部品交換点をどこに設定するかは、物品mの落材状況などを踏まえたユーザーニーズで仮設定し、さらに客先で変更していくことになる。したがって、
図5においては、上下両閾値押付力P3,P1の2つの閾値を設定したが、これに加えて必要に応じた更なる閾値設定が必要になる。
【0050】
以下、加速度検出部12の動作について、
図6を参照して説明するが、
図6は、ベルト表面32sに突起異物を人為的に貼り付けて、ベルトめくれ・異物刺さりの再現試験走行の波形グラフである。なお、加速度検出部12は、クリーナ掻き取り刃8において、コンベアベルト32の進行方向、ベルト幅方向である横方向、コンベアベルト32に対する押圧方向である垂直方向、について検出するため、
図6の(a),(b),(c)に便宜的に別々に記載してある。しかし、表示部15による表示は、図示の如く別々のグラフ画面として同時或いは個別の表示、更には同じグラフ画面上に重ねる表示でも良い。
【0051】
ベルトコンベア30が稼動されていると、加速度検出部12は、上記3方向における加速度を検出し、その情報を表示部15に表示する。ここで、
図6に示すように、コンベアベルト32が一回転する1サイクル(C1,C2,C3・・・)が繰り返し表示(コンベア速度、突起異物の突起高さによって異常値が表示)される。そして、この加速度検出部12の検出値推移との対比や変化と比較する事によって、各種のトラブルやトラブルの前兆を検出することができる。
【0052】
ここで、コンベアベルト32にトラブルが発生したときの一例について説明する。なお、
図6に示す場合においては、加速度閾値を、例えばS1~S6までの6段階に設定した場合について説明する。
【0053】
図6(a)に示す進行方向の加速度変化について説明する。この場合、コンベアベルト32の移動方向であることから、加速度変化は、他の場合と比べると、通常のときにおいても比較的大きく、変動幅も大きくなる傾向にある。この場合の加速度閾値として、例えばS4、S5、S6を設定しておく。したがって、正常な場合においては、図示のような加速度閾値S4を越えない振幅の振動を繰り返す。ここで、加速度閾値S4は、ベルト表面32sにおいて、例えば数ミリ程度の凸状の捲れや破孔が発生したときの閾値とし、これよりも大きき凸状が生じた場合を加速度閾値S5、更に大きい場合を加速度閾値S6として設定する。
【0054】
したがって、
図6(a)に示すように、加速度閾値S4及びS5を越える事態が加速度変化(T1,T2,T3,T4・・・)として定期的に発生している場合は、ベルト表面32sの異常(めくれ・破れ・異物局所残り等)が生じていることを示し、この状態を画面表示や警告により検出する。
【0055】
図6(b)に示す横方向の加速度変化について説明する。この場合、コンベアベルト32の横方向であることから、加速度変化は、他の2つの場合と比べると、小さい。したがって、正常な場合においては、図示のような極めて小さい振幅の振動を繰り返す。そして、この場合の加速度閾値として、例えばS1,S2を設定しておく。また、この場合、
図6(a)に示す進行方向の加速度変化(T1,T2,T3,T4・・・)に同期した加速度変動が見られる。なお、この横方向の加速度変化については、ベルト転動異常(蛇行等)を検出する等、他の2つ加速度検出とは異なった見地からコンベアベルト32の監視を行う。
【0056】
図6(c)に示す垂直方向の加速度変化について説明する。この場合、加速度変化は、進行方向の場合と比べると、比較的小さい。したがって、正常な場合においては、図示のような極めて小さい振幅の振動を繰り返す。この場合の加速度閾値として、例えばS3,S4を設定しておく。主にクリーナ基材の弾性低下やチップ摩耗異常で小さくなる。他方、この場合も、
図6(a)に示す進行方向の加速度変化(T1,T2,T3,T4・・・)に同期した加速度変化(H1,H2,H3,H4・・・)として大きな変動が見られる。すなわち、異常の検出において、進行方向の加速度変動とは異なった閾値によって、検出することができる。
【0057】
このように、本実施形態においては、3軸方向の加速度変化を見ることによって、1つの異常を、異なった数値で検出できる。このことは、異常を正確に把握する上では極めて重要であり、検出値の微妙な違いを異常の微妙な違いに反映させることで、異常の的確な検出や異常事態の予測さらにリスクの大きさ把握に利用することができる。
【0058】
また、異常事態の的確な把握の観点から、例えば、人工的な突起物をコンベアベルト32に設置して、該突起物によって生じる波形グラフと実際の異常箇所との比較し、異常箇所の監視ができる。すなわち、人工的に作り出した波形グラフとは異なる波形のピークこそ異常個所を示すピークであると判断でき、コンベア稼働速度と人工ピークとの時間差からその位置を推定することができる。又、相対的な高さや巾から損傷具合も概ね推察できる。
【0059】
以上述べたように、本実施形態においては、荷重検出部11により、ベルト表面32sに対するクリーナ掻き取り刃8の押付力(荷重)が検出でき、かつ、クリーナ掻き取り刃8をコンベアベルト32に当接させる調節が可能なクリーナ支持部5を有し、このクリーナ支持部5の設定を荷重検出部11の検出情報により調節できる。また、荷重検出部11の検出情報の記録、演算及び表示が可能であると共に少なくとも検出信号の閾値設定が可能な制御部10を備えることにより、荷重検出部11からのデータに基づいて稼働時のベルトコンベア30の監視が常時でき、性能低下や異常事態に、迅速且つ適切な管理やメンテナンスを行うことができる。
【0060】
また、クリーナ掻き取り刃8の性能の低下を荷重検出部11及び加速度検出部12を検出することで、ベルトクリーニングの性能低下を早期に発見し、熟練性がなくても誰でも数値調整でき、搬送歩留向上及びコンベア下落下堆積除去作業頻度低減等の作業性向上が図れる。また、クリーナ掻き取り刃8の押付力を均一・適切にする初期設定から稼働中の監視・管理により装置機能を好状態で長期間維持できる事で、高性能なコンベアクリーナ装置を提供することができる。
【0061】
本実施形態においては、クリーナ掻き取り刃8は、コンベアベルト32の幅方向に沿ってベルト幅と同等の長さに延出され、コンベアベルト32の幅方向の両端側にそれぞれ設けられている荷重検出部11により、コンベアベルト32の左右両側の押付力を検出できる。この結果、ベルト表面32sに対するクリーナ掻き取り刃8の押付力を均一にでき、クリーナ掻き取り刃8の押圧調整がし易くなる。
【0062】
本実施形態においては、加速度検出部12により、コンベアベルト32に対するクリーナ掻き取り刃8の変位の加速度が検出でき、かつ、クリーナ掻き取り刃8をコンベアベルト32に対するクリーナ支持部5の設定を加速度検出部12の検出情報により調節できる。更に、加速度検出部12からの検出情報の記録、演算及び表示が可能であると共に少なくとも検出信号の閾値設定が可能な制御部10を備えることにより、加速度検出部12からのデータに基づいて監視及び適切な制御ができる。
【0063】
また、本実施形態においては、荷重検出部11により、クリーナ掻き取り刃8の押付力が検出できると共に、加速度検出部12により、クリーナ掻き取り刃8の変位の加速度が検出できる。この結果、クリーナ掻き取り刃8をコンベアベルト32に対するクリーナ支持部5の設定を、荷重検出部11及び加速度検出部12の双方の検出情報により調節でき、更に、これらの検出情報の記録、演算及び表示が可能であると共に少なくとも検出信号の閾値設定が可能な制御部10を備えることにより、荷重情報及び加速情報の複数種類のデータに基づきより広範囲且つ繊細な制御ができる。
【0064】
また、本実施形態においては、荷重検出部11及び加速度検出部12は、クリーナ掻き取り刃8をコンベアベルト32との間で挟む位置に設けられる。この構成の場合、特に加速度変化については、加速度により変位する箇所に近いこと、更に、クリーナ掻き取り刃8の基部8d側に接近して設けられていることで、クリーナ掻き取り刃8の挙動を確実に検知でき、測定精度を高くできる。
【0065】
本実施形態においては、クリーナ掻き取り刃8は、少なくとも基部8dが収容部7に着脱可能に収容支持され、更に収納部7がクリーナ支持部5に連結されたクリーナ本体ケース6に着脱可能に支持されていることで、クリーナ掻き取り刃8の収容・支持がユニット構造とされている。この結果、コンベアクリーナ装置1は、センシング精度を正確に安定的に測定できる上、その組み立て性並びに修理や交換時のメンテナンス性にも優れている。
【0066】
本実施形態においては、制御部10が通信機能を備えているので、ベルトコンベア30が設置されたところとは離れた場所で、ベルトコンベア30を監視・管理することができる。
【0067】
<第1変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1におけるクリーナ支持部5の第1変形例を
図7に示す。
図7に示す構造においては、
図2に示した構成とクランプ方式固定方法は同様ながら、クリーナ支持部5が、コンベア架台フレーム31に対する取り付け位置が異なる。すなわち、コンベア架台フレーム31に対して、スライドベース部5aがコンベアベルト32の幅方向に沿うように取付けられている。
【0068】
<第2変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第2変形例を
図8に示す。
図8に示す構造では、荷重検出部11及び加速度検出部12の設置位置が
図3に示した構成とは異なる。詳細には、荷重検出部11は、クリーナ支持部5の軸固定部5cと雄ねじシャフト部5fの先端部分との間に設けられている。また、加速度検出部12は、支持軸5gに固定取付けられている。
【0069】
<第3変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第3変形例を
図9に示す。
図9に示す構成では、荷重検出部11及び加速度検出部12の設置は、
図3に示す場合と同様に、収容部7の底面に配置した構造ではあるが、その配置位置及び数が異なる。すなわち、
図9に示すように、荷重検出部11は、収容部7の長手方向の中央に1つ設けられており、加速度検出部12は、収容部7の長手方向の一端側に設けられている。
なお、この場合、収容部7の底面とクリーナ本体ケース6と間において、収容部7の長手方向の他端側(加速度検出部12が配置された反対側)には、例えばダミー部材と設けて、収容部7の水平位置を調整することができる。
【0070】
<第4変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第4変形例を
図10に示す。
図10に示す構造では、荷重検出部11の設置位置が
図3に示したものとは異なるだけでなく、加速度検出部12が設けられていない構成となっている。詳細には、荷重検出部11は、クリーナ支持部5の軸固定部5cと雄ねじシャフト部5fの先端部分との間に設けられている。したがって、
図10に示す構成においては、荷重検出部11の検出情報によってコンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。
【0071】
<第5変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第5変形例を
図11に示す。
図11に示す構成では、荷重検出部11の設置は、
図3に示す場合と同様に、収容部7の底面の長手方向の両側に配置した構造ではあるが、加速度検出部12が設けられていない点が第4変形例と同じである。したがって、この場合においても、荷重検出部11の検出情報によってコンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。
【0072】
<第6変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第6変形例を
図12に示す。
図12に示す構成では、荷重検出部11の設置は、
図3に示す場合と同様に、収容部7の底面に配置した構造ではあるが、その配置位置は、収容部7の長手方向の中央に1つ設けられており、加速度検出部12は、設けられていない構成である。したがって、この場合においても、1つの荷重検出部11の検出情報によってコンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。なお、この場合、収容部7の底面とクリーナ本体ケース6と間において、収容部7の長手方向の両側に例えばダミー部材と設けて、収容部7の水平位置を調整するようにしても良い。
【0073】
<第7変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第7変形例を
図13に示す。
図13に示す構造では、加速度検出部12が支持軸5gに取付けられている。しかし、荷重検出部11は、設けられていない構成である。したがって、
図13に示す構成においては、支持軸5gに設けられた加速度検出部12の検出情報によってコンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。
【0074】
<第8変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における押付力の検出構造の第8変形例を
図14に示す。
図14に示す構造では、加速度検出部12が収容部7の底面に設けられ、第7変形例と同様に荷重検出部11が設けられていない構成である。したがって、
図14に示す構成においては、収容部7の底面に設けられた加速度検出部12の検出情報によってコンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。
【0075】
<第9変形例>
本実施形態のコンベアのクリーナ装置1における第9変形例を
図15に示す。
図15に示す構成では、制御部10において、
図4に示した構成とは異なり、記憶部14,条件入力部16及び通信部17が設けられておらず、演算部13及び表示部15を有する構成となっている。すなわち、荷重検出部11及び加速度検出部12の検出情報を、表示部15によって表示出力する機能のみを有した構成となっている。
したがって、
図15に示す構成においては、表示部15において表示出力される検出数値や警告表示などによって、コンベアのクリーナ装置1並びにコンベア30の監視・管理を行う。
【0076】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、
図16を参照してクリーニング方法の一例について説明をする。本実施形態においては、第1実施形態と異なる部分のみを説明し、第1実施形態を同じ構成要素については、同符号を付して説明を適宜省略する。なお、
図16は、第1実施形態で示したコンベアのクリーナ装置1を制御するクリーニング方法を示すブロック図である。
【0077】
本実施形態においては、
図16に示すように、2つのコンベアのクリーナ装置1には制御部10が設けられている。そして、この各制御部10にはそれぞれ通信部17が設けられており、統括制御部50が、各通信部17を介して2つのコンベアのクリーナ装置1に接続されている。すなわち、この統括制御部50は、各制御部10の通信部17と通信できる通信機能を有している。また、この統括制御部50は、表示部15、記憶部14,条件入力部15,演算部13を適宜有している。したがって、統括制御部50によって、複数コンベアの各クリーナ装置1の状況を、該クリーナ装置1が設置された場所から離れた場所で、同時に表示して見ることができる。
【0078】
なお、各制御部10は、第1実施形態と同様に、演算部13、記憶部14、表示部15、条件入力部15、通信部17を有している。したがって、
図16に示すクリーニング方法においては、各クリーナ装置1の側の制御部10にて、荷重や加速度の閾値の設定や変更が可能である。
【0079】
このように本実施形態においては、ベルト表面32sに対するクリーナ掻き取り刃8の対応状態を検出可能な検出部からの検出情報の記録、演算及び表示が可能であると共に少なくとも検出情報に基づく閾値設定が可能な制御部が通信機能を有し、複数の制御部10を統括して制御するので、双方向の通信方法を用いる場合において、明らかな条件変化による検出値変化が判っていれば、遠隔場所の管理システムから、複数のベルトコンベア30を一箇所で集中管理が可能になり、例えば閾値を適便変更し、現地警報の精度向上を図る事ができる。
【0080】
また、複数のコンベアのクリーナ装置1を監視・管理するには、
図17に示すような他の構成にしても良い。
図17に示すクリーニング方法では、
図16に示した構成とは、各コンベアのクリーナ装置1には、演算部13、記憶部14、表示部15及び条件入力部16が設けられておらず、統括制御部50に、演算部13、記憶部14、表示部15及び条件入力部16が設けられている。そして、各クリーナ装置1の通信部17と統括制御部50の通信部17とが通信回線によってつながれている。
このように通信部17によって接続されていることで、コンベアのクリーナ装置1を設置したすべてのコンベア30の検出情報を遠隔地で受信し、その検出情報によって一箇所で集中して制御が可能であり、また監視・管理することができる。この結果、各コンベア30の管理元に連絡・対処することもでき、遠隔地から閾値を変更するも可能である。
【0081】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、適宜変更できる。例えば、上記実施形態においては、クリーナ掻き取り刃8の形状や構造については、図示のものに何ら制限されるものではない。また、荷重検出部11及び加速度検出部12の設置箇所や設置個数についても、上記実施形態において図示した形態に限るものではなく、適宜変更することができる。更に、押付力の閾値や加速度の閾値の設定や表示形態についても、上記実施形態に何ら制限されるものではなく適宜変更できる。
【符号の説明】
【0082】
1 コンベアのクリーナ装置
5 クリーナ支持部
8 クリーナ掻き取り刃
10 制御部
11 荷重検出部
12 加速度検出部
13 演算部
14 記憶部
15 表示部
16 条件入力部
17 通信部
30 ベルトコンベア
32 コンベアベルト
32s ベルト表面
50 統括制御部
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