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  • 特許-タイマー時計装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】タイマー時計装置
(51)【国際特許分類】
   G04G 9/00 20060101AFI20230524BHJP
   G04C 19/04 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
G04G9/00 306B
G04G9/00 301B
G04C19/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019050245
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020153711
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】316006794
【氏名又は名称】小畠 敬良
(72)【発明者】
【氏名】小畠 敬良
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-187086(JP,A)
【文献】特開昭51-142367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線状に60分割されて配置された、発光体又は発光体群を備えた時計又はタイマー装置であって、前記放射状に配置された発光体又は発光体群若しくはその一部分(以下、発光体群という)の1列を発光させることにより1つの指針として視認させ、前記1列の発光体群を同時に2列又は3列発光させることにより、前記発光体群のそれぞれを、少なくとも、時針と分針、分針と秒針又は、時針と秒針、を含む指針として視認させる時計又はタイマー装置において、前記時針、分針、秒針、として発光する複数列の発光体群は、前記放射線方向において、少なくとも一部分を共通して使用し、さらに、複数列の前記発光体群に、時分割で電力を供給し発光させると共に、各指針に対応する複数列の前記発光体群毎に、供給する電力又は供給する平均電力に差異を与えることを特徴とした時計又はタイマー装置。
【請求項2】
複数列の前記発光体群毎に供給する電力に差異を与える手法として、前記発光体群への電力供給を時分割で行うと共に、前記発光体群への電力供給におけるデューティ比に差異を与えることを特徴とする請求項1に記載の時計又はタイマー装置。
【請求項3】
複数列の前記発光体群毎に供給する電力に差異を与える手法として、前記発光体群への電力供給における電流に差異を与えることを特徴とする請求項1に記載の時計又はタイマー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時計又はタイマーの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時計の多くは、秒針、長針、短針の位置から、人が時刻を把握する方法を使用している。通常、モーターやぜんまい、分銅の位置エネルギー等を動力として、ギヤを介してそれぞれの針を動かす。しかし、稼働部品がいくつか必要であったり、機構が複雑となったりする欠点があった。
【0003】
また、夕方、夜などの暗い環境では、見にくいという欠点もあった。それを回避するには、時計表示板全体に照明をあてる必要があるが、必要電力が大きくなる。針自体に発光体又は発光体群を設置する手法も存在するが、回転する針に電力供給を行うには、スリップリング等の高額な機構を用いなければならない。
【0004】
これらの欠点を克服すべく、あらかじめ線分形状に構成された発光体又は発光体群を放射状に60分割して配置し、これらの内の2ヶ所を人の目から見て同時発光させることにより、それら発光個所を針の代替として表示する手法も存在する。針の代替物を発光により実現することで、前記の欠点も克服される。しかし、発光状態が同一であるので、秒、分及び時の3種類の区別がしにくい。発光体又は、発光体群の長さによる差異のみで区別するのであれば、秒、分及び時の内の2種類を選択し、表示することが実質的な限界である。このような事例としては、特許文献1がある。また、秒に対して、周辺部の発光体又は発光体群を発光させる手法もあるが、従来からの時計のイメージとは合わない欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3526768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、あらかじめ線分形状に構成された発光体又は発光体群を放射状に60分割して配置した装置を使用して、秒、分及び時の3種類の区別がつきやすいこと、並びに従来のアナログ時計のイメージに合うことを保持して、時計又はタイマーとして機能させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)に関わる時計又はタイマーは、秒、分及び時を示す針に対応する発光体又は発光体群を発光させる際、従来のように連続線分形状又は点線分形状に構成された発光体の長さ又は発光体群の長さによる差異だけで区別するのではなく、それぞれの発光体又は発光体群に供給する電力又は平均電力に差異を与えることにより発光光度に差異を持たせ、秒、分、又は時に対応する発光体又は発光体群の区別を人が見て容易に行えるようにすることが可能となる。また、短針は短く太い、長針は長く細い及び秒針は長くさらに細いという従来からのアナログ時計の3種類の針のイメージを保つことも可能となる。
【0008】
本発明(請求項2)に関わる時計又はタイマーでは、秒、分及び時に対応する発光体又は発光体群を発光させる際、これらを時分割で点灯させると共に、それぞれのデューティ比を変えることにより、発光体又は発光体群に供給する単位長さ当たりの時間平均電力に差異を与えることを実現する。
【0009】
本発明(請求項3)に関わる時計又はタイマーでは、秒、分及び時に対応する発光体又は発光体群を発光させる際、これらを時分割で点灯させると共に、それぞれの電流を変えることにより、発光体又は発光体群に供給する単位長さ当たりの時間的平均電力に差異を与えることを実現する。
【発明の効果】
【0010】
連続線分形状又は点線分形状に構成された発光体又は発光体群をアナログ時計又はタイマーの針の代替として用いるのであるが、針の種類により明るさに差異を与えているので、人が見て、針の区別がしやすいと共に、従来のアナログ時計の針のイメージに合うので、時間の把握が容易である。また、暗い環境でも容易に時間を把握できる、機構が単純で稼働部品がないため時計自体の厚さを薄くすることができる、機械音が全くない、故障が少なくなるといった特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】発光体群の配置と点灯図
図2】発光体群の配置部分拡大図
図3】発光体群としてLED群を用いた場合の点灯回路図
図4】発光体群への電流を制御する部分の回路図
図5】使用状況の写真
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は放射線状に60分割されて配置された発光体又は発光体群から成っている。さらに、各発光体又は各発光体群は2分割されている。一例をあげると、図1に示すように、各発光体群は6個のLEDから構成されていると共に、-6°ごとの間隔で放射状に配置されている。順にLED1、LED2、・・・、LED60と名付ける。さらに、それら発光体群は、放射の中心側の4個のLEDと、外側に2個のLEDに分けられており、図2の拡大図に示すように、それぞれの群をLEDnC、LEDnAと名付ける。ここにnは1から60までの整数である。
【0013】
従来の時刻表示の手法の一例としては、5msを周期としてそのときの時刻を表示し繰返すものがある。5msを5分割し、その時刻における秒に対して対応するLEDnCとLEDnAを5分割の内の一つである1msだけオンし発光させる。分に対しても同様に、対応するLEDnCとLEDnAを1msだけオンし発光させる。時に対しては、時に対応するLEDnCを1msだけオンし発光させる。基本的には、発光している各LEDにおいては、デューティ比が1/5となっている。
【0014】
このようにLEDのオンオフ動作を繰り返すわけであるが、LEDのオン、オフが短い周期で繰り返されるため、人の目からは3個所のLED群が同時にオンしているように見える。しかし、このままでは、秒と分に対する発光状態が同じであるので、時計を見る人に秒と分の区別がつきにくい。従って、LEDnCとLEDnAを同時にオンする長いLED群と、LEDnCだけをオンする短いLED群だけを利用し、秒、分及び時の内の2種類だけを表示することがなされていた。特許文献1はこれに類する手法として開示されている。
【0015】
または、秒に対しては、対応するLEDnAだけをオンし、分に対しては、対応するLEDnCとLEDnAをオンし、時に対しては、対応するLEDnCをオンするという手法をとることも考えられる。しかしこれは従来のアナログ時計のイメージとは合わないので、好ましいものとは言えない。
【0016】
本発明では、LED等の発光体へ供給する電力又は平均電力に差異を与えることにより、秒、分及び時に対応する発光体の区別を人が見て容易にできることを特徴としている。
【0017】
その一実施例を示す。まず、すべてのLEDをオフし、ある時刻において、その秒に対して対応するLEDnCとLEDnAを0.2msオンする。その直後、これらLEDをオフし、分に対応するLEDnCとLEDnAを1.2msオンする。その直後、これらLEDをオフし、時に対応するLEDnCを2.6msオンする。さらにその直後は、これらLEDをオフし、元に戻って秒に対するLEDnCとLEDnAをオンする。これを連続的に繰返す。この場合、周期は4msとなる。
【0018】
こうすると、秒に対応するLED群の光度が三者の中で最も低く、次に分に対応するLED群がやや高くなり、時に対応するLED群が最も高い。これは、従来からの、モーター、ぜんまい、あるいは、分銅の位置エネルギー等を動力として用いたアナログ時計のイメージと重なり、時計、あるいは、タイマーを見る人にとって把握しやすい表示法となる。
【0019】
これを実現するための電気回路は、120個所のLED群のオンオフを制御できるものでなければならない。一例として、図3のようにLED群をマトリクス状に配置し、マイクロコンピュータでこれらを制御する手法がある。この回路は、8×8マトリクスの内の60個所にLED群を配置したものを2個つないでいる。マトリクス回路には、PNPトランジスタアレイ又はPチャネルMOSFETアレイのドライバ1、及び、NPNトランジスタアレイ又はNチャネルMOSFETアレイのドライバ2と3を接続している。また、nが同じなら、LEDnCとLEDnAは、回路上、2つのマトリクスの同じに個所に位置することを特徴としている。なお、各LEDnC、及び各LEDnAは、複数のLEDと抵抗から構成されている発光回路である。
【0020】
まず、マイクロコンピュータからオンさせたいLEDnCに対応するドライバ1の8ラインの内の一つを選択しオンする。次にドライバ2の8ラインの内の一つを選択しオンする。これにより、ドライバ1から所望のLEDnCを通ってドライバ2に向かって電流が流れ、LEDnCをオンする。さらに、LEDnAもオンさせたい場合は、ドライバ3の8ラインの内のドライバ2に対して選択したのと同じラインをオンする。するとドライバ2の場合と同様、LEDnAもオンする。このようにすることで、秒、分及び時に対応するLEDnC、および、LEDnAのオン、オフを制御することができる。
【0021】
マイクロコンピュータの制御としては、4msごとに割込みをかけ、その割込みプログラムの中で、(1)すべてのLEDをオフする。(2)その時点での秒に対応するLEDnCとLEDnAをオンする。(3)0.2msこの状態を保持する。(4)すべてのLEDをオフする。(5)その時点での分に対応するLEDnCとLEDnAをオンする。(6)1.4msこの状態を保持する。(7)すべてのLEDをオフする。(8)その時点での時に対応するLEDnCをオンする。(9)次の4msごとの割込みが入るまでこの状態を保持する。
【0022】
(1)に戻ってこれを繰返すと、4msの周期で秒、分及び時に対応するLED群がそれぞれオン、オフを繰返すことになる。これにより、人の目から見て、暗く光る長い秒針、明るく光る長い分針及びさらに明るく光る短い短針を実現することが可能となる。つまり、発光体又は発光体群の単位長さ当たりの時間平均電力に差を与えることにより、発光体又は発光体群の単位長さ当たりの光度に差をつけ、秒、分、又は時に対応する光る針の区別をつけることが可能となる。
【0023】
また、分に対応する光る長針と時に対応する光る短針は、長さの違いにより人が見て比較的容易に区別がつきやすいので、オンの時間をほぼ同じにし、単位長さ当たりの明るさを同等にして、秒に対応する光る針だけのオンの時間を少なくする手法もある。
【0024】
本発明の他の実施例を説明する。前に示した実施例では、電気回路において、ドライバ1にLED電源が直接、接続されていた。つまり、PNPトランジスタのコレクタ、あるいは、PチャネルMOSFETのソースがLED電源につなげられていた。本実施例では、この部分に図4に示すような抵抗を切替える仕組みを加えた。
【0025】
マイクロコンピュータからの指令で、秒に対応するLED群をオンにする際は、マイクロコンピュータから同じタイミングで、スイッチの役割をする2個のトランジスタT3及びT4の両方をオフにする。すると、LED群に流れる電流に影響を及ぼし得るトランジスタT0及びT1がオフになる。これにより、LED群を発光させるマトリクス回路を通過する電流は、抵抗2を通らなければならないため、小さくなる。結果的にLED群への供給電力は抑えられ、発光光度は小さくなる。
【0026】
同様に、分に対応するLED群をオンにする際は、2個のトランジスタの内、抵抗R1と直列に設置した側のトランジスタT1をオンする。時に対応するLED群をオンにする際は、2個のトランジスタの内、抵抗のない側のトランジスタT0をオンにする。
【0027】
こうすることにより、秒、分及び時に対応するLED群等の発光体のオンの時間は同じであっても、それぞれに供給される電力は異なり、人が見て各発光体の光度に差異ができるので、それぞれの区別を容易に行うことが可能となる。
【0028】
このLED群へ供給する平均電力に差異を与える手法を実際に適用した装置の使用状況写真を図5に載せる。秒及び分に対応するLED群に対して供給平均電力に差異を与えているので、発光しているLED群の長さは同じであるが、光度に明らかな差異が認められる。
【符号の説明】
【0029】
1 ドライバ1
2 ドライバ2
3 ドライバ3
T0 トランジスタ
T1 トランジスタ
T3 トランジスタ
T4 トランジスタ
R1 抵抗
R2 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5