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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】コンロシステム
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20230524BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019154379
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021032509
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】原野 史帆
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-184197(JP,A)
【文献】特開2018-128200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信部を備えたコンロと、
第2無線通信部を備えた情報処理端末と、
を有し、
前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で無線通信を行うコンロシステムであって、
前記コンロは、
音声を出力する第1音声出力部と、
前記第1音声出力部を制御する第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立された場合に前記外部装置が前記情報処理端末であるか否かを判定する判定部を有し、
前記情報処理端末は、
音声を出力する第2音声出力部と、
前記第2音声出力部を制御する第2制御部と、
識別情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記第1制御部は、音声を出力するイベントが発生した場合に前記識別情報を要求する指令を無線送信するように前記第1無線通信部を制御し、
前記第2制御部は、前記要求する指令を前記第2無線通信部が受信した場合において、音声出力を許可すべき状態である場合に前記識別情報及び許可情報を前記コンロに無線送信するように前記第2無線通信部を制御し、
前記判定部は、前記第1無線通信部と前記外部装置との無線通信が確立された場合において前記第1無線通信部が前記識別情報を受信した場合に前記外部装置が前記情報処理端末であると判定し、
前記第1制御部は、
前記イベントが発生した場合において前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合及び前記許可情報を受信していない場合のいずれの場合でも、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第1音声出力部を動作させ、
前記イベントが発生した場合において、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立され、前記外部装置が前記情報処理端末であり、前記コンロが前記許可情報を取得した場合に、前記イベントに応じた音声を出力する動作を前記第1音声出力部に行わせず、前記イベントに応じた音声を出力する指令を前記情報処理端末に無線送信するように前記第1無線通信部を制御し、
前記第2制御部は、前記第2無線通信部が前記出力する指令を受信した場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第2音声出力部を動作させる
コンロシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンロシステム、コンロおよび情報処理端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の加熱調理器は、携帯端末との無線通信を行う通信実行部を備えている。この加熱調理器は、携帯端末から受信したレシピデータに従った自動調理を実行するガスコンロである。この加熱調理器は、加熱調理器が自動調理モードに移行すると、グリル操作部の各操作部に割り当てられる機能が変更される。そして、加熱調理器は、自動調理が終了すると、自動調理が終了した旨の情報をスピーカを介して音声出力する。さらに、加熱調理器は、スピーカによる音声出力と同時に、携帯端末に対して終了信号を送信することで、携帯端末を介してユーザに報知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-155414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、加熱調理器よりも携帯端末の方が音声の出力機構を高機能化させ易い。そのため、携帯端末に音声の出力機構を設けて音声の出力によって報知を行う構成とすることで、より聞き取り易い音声をユーザに届けることができる。しかしながら、自動調理の終了時に、加熱調理器と携帯端末の両方から同時に音声が出力されると、音声の内容が聞き取りにくくなってしまう問題が生じる。
【0005】
そこで、上述した課題の少なくとも1つを解決するために、ガスコンロにおいて音声を出力するイベントが発生した場合に、イベントに応じた音声を確実に出力させることを担保しつつ聞き取り易い態様で出力し得る技術を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のコンロシステムは、
第1無線通信部を備えたコンロと、
第2無線通信部を備えた情報処理端末と、
を有し、
前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との間で無線通信を行うコンロシステムであって、
前記コンロは、
音声を出力する第1音声出力部と、
前記第1音声出力部を制御する第1制御部と、
を備え、
前記情報処理端末は、
音声を出力する第2音声出力部と、
前記第2音声出力部を制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
音声を出力するイベントが発生した場合において前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第1音声出力部を動作させ、
前記イベントが発生した場合において、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されている場合又は確立されている場合において所定条件が成立した場合に、前記イベントに応じた音声を出力する動作を前記第1音声出力部に行わせず、前記イベントに応じた音声を出力する指令を前記情報処理端末に無線送信するように前記第1無線通信部を制御し、
前記第2制御部は、前記第2無線通信部が前記出力する指令を受信した場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第2音声出力部を動作させる。
【0007】
本開示の一態様のコンロは、
外部と無線通信を行う第1無線通信部と、
音声を出力する第1音声出力部と、
前記第1音声出力部を制御する第1制御部と、
を備え、
音声を出力する第2音声出力部と前記第2音声出力部を制御する第2制御部と第2無線通信部とを備えた情報処理端末との間で無線通信を行うコンロであって、
前記第1制御部は、
音声を出力するイベントが発生した場合において前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第1音声出力部を動作させ、
前記イベントが発生した場合において、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されている場合又は確立されている場合において所定条件が成立した場合に、前記イベントに応じた音声を出力する動作を前記第1音声出力部に行わせず、前記イベントに応じた音声を出力する指令を前記情報処理端末に無線送信するように前記第1無線通信部を制御する。
【0008】
本開示の一態様の情報処理端末は、
外部と無線通信を行う第1無線通信部と音声を出力する第1音声出力部と前記第1音声出力部を制御する第1制御部とを備えたコンロとの間で無線通信を行う情報処理端末であって、
前記第1無線通信部と無線通信を行い得る第2無線通信部と、
音声を出力する第2音声出力部と、
前記第2音声出力部を制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
音声を出力するイベントが発生した場合において前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第1音声出力部を動作させ、
前記イベントが発生した場合において、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との無線通信が確立されている場合又は確立されている場合において所定条件が成立した場合に、前記イベントに応じた音声を出力する動作を前記第1音声出力部に行わせず、前記イベントに応じた音声を出力する指令を前記情報処理端末に無線送信するように前記第1無線通信部を制御するものであり、
前記第2制御部は、前記第2無線通信部が前記出力する指令を受信した場合に、前記イベントに応じた音声を出力するように前記第2音声出力部を動作させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、ガスコンロにおいて音声を出力するイベントが発生した場合に、イベントに応じた音声を確実に出力させることを担保しつつ聞き取り易い態様で出力し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のコンロシステムを概略的に例示する説明図である。
図2】第1実施形態のガスコンロの各ガスバーナへのガス供給路等を概念的に示す説明図である。
図3】第1実施形態のガスコンロの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図4】第1実施形態のコンロシステムの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図5】第1実施形態のコンロシステムの動作の流れを説明する説明図である。
図6】第1実施形態のガスコンロの制御の流れを例示するフローチャートである。
図7】第1実施形態の情報端末の制御の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
【0012】
本開示のコンロシステムは、音声を出力するイベントが発生した場合において、第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が確立されている場合又は確立されている場合において所定条件が成立した場合には、イベントに応じた音声を、コンロから出力させず、情報処理端末から出力させることができる。つまり、所定条件を満たす場合には、コンロと情報処理端末の両方から音声が出力することを防ぎ、両装置からの音声が同時期に発せられることに起因する「聞き取りにくさ」を抑制することができる。また、コンロの第1音声出力部よりも情報処理端末の第2音声出力部のほうが高機能である場合には、より高機能な音声出力部から音声を出力させることができるため、一層メリットが大きくなる。一方で、音声を出力するイベントが発生した場合において、第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合には、第1音声出力部を動作させてコンロからイベントに応じた音声を出力させることができる。従って、無線通信が確立されていない場合には、コンロでの音声出力が強制的に制限されることを抑えることができ、コンロから音声をより確実に出力することができる。
【0013】
本開示のコンロシステムにおいて、第1制御部は、第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立された場合に外部装置が情報処理端末であるか否かを判定する判定部を有し、イベントが発生した場合において第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立され且つ外部装置が情報処理端末である場合に、イベントに応じた音声を出力する動作を第1音声出力部に行わせず、イベントに応じた音声を出力する指令を情報処理端末に無線送信するように第1無線通信部を制御してもよい。このような構成により、第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立された場合に、判定部によって外部装置が情報処理端末であるか否かを判定することができる。これにより、外部装置が音声を出力する機能(第2音声出力部)を有するか否か判定することができる。そして、外部装置が音声を出力する機能(第2音声出力部)を有すると判定した上で、イベントに応じた音声を出力する指令を情報処理端末に送信するため、音声を出力する機能(第2音声出力部)を有さない外部装置に対して不要な指令を送信することを防ぐことができ、コンロの電力消費を抑制することができる。
【0014】
本開示のコンロシステムにおいて、情報処理端末は、識別情報を記憶する記憶部を有していてもよい。第2制御部は、識別情報をコンロに無線送信するように第2無線通信部を制御してもよい。判定部は、第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立された場合において第1無線通信部が識別情報を受信した場合に外部装置が情報処理端末であると判定してもよい。このような構成により、情報処理端末は、判定部における情報処理端末か否かの判定に用いられる識別情報を、予め記憶部に記憶させておくことができる。そして、コンロは、識別情報を受信した場合に外部装置が情報処理端末であると判定する構成である。そのため、第1無線通信部と外部装置との無線通信が確立された場合において、外部装置が情報処理端末であるか否かの判定を、情報処理端末からコンロに識別情報を送信するという簡易な制御によって行うことができる。
【0015】
本開示のコンロシステムにおいて、第1制御部は、イベントが発生した場合に識別情報を要求する指令を無線送信するように第1無線通信部を制御してもよい。第2制御部は、要求する指令を第2無線通信部が受信した場合に、識別情報をコンロに無線送信するように第2無線通信部を制御してもよい。このような構成によって、イベントが発生した場合、すなわち、音声を出力する機能(第2音声出力部)を有する情報処理端末との通信が必要な場合に、識別情報を要求する指令を無線送信することができる。これにより、情報処理端末は、イベントが発生したタイミングで、識別情報をコンロに無線送信することができる。そのため、コンロにおいて識別情報の取得が必要な時期に情報処理端末から識別情報を受信することができ、適切でないタイミングで識別情報を要求することで、コンロおよび情報処理端末における電力消費を抑制することができる。
【0016】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1で示すコンロシステム100は、主に、ガスコンロ(コンロ)1と、情報端末(情報処理端末)70と、によって構成されている。コンロシステム100は、ガスコンロ1の通信部11と、情報端末70の通信部75と、の間で無線通信を行うシステムである。
【0017】
まず、ガスコンロ1について説明する。
図1のように、ガスコンロ1は、調理鍋等の調理器具を加熱可能なビルトインコンロとして構成されている。ガスコンロ1は、コンロ本体1Aの上面を構成する天板2(トッププレート)から露出するように、右コンロ部4A、左コンロ部4B、がそれぞれ設けられ、その左右のコンロ部4A,4Bの間で後方寄りに後コンロ部4Cが設けられている。天板2の下方においてコンロ本体1Aの内部中央付近にはグリル3が設けられている。グリル3は、被調理物を収納してグリルバーナ(ガスバーナ54:図2)で加熱調理するグリル庫を備え、このグリル庫は、グリル扉3Bによって開閉可能とされている。右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4C、グリル3には、図2で示すガスバーナ51,52,53,54がそれぞれ設けられている。
【0018】
図2のように、複数のガスバーナ51,52,53,54には、複数の分岐供給路61,62,63,64がそれぞれ接続され、これら分岐供給路61,62,63,64は、共通供給路60から分岐する構成をなす。共通供給路60は、ガスバーナ51,52,53,54への共通のガス経路であり、複数の分岐供給路61,62,63,64は、共通供給路60から分岐するとともに各ガスバーナ51,52,53,54に向けてガスを導くように配設された供給路である。共通供給路60には、共通供給路60を開閉する元電磁弁N1が設けられる。共通供給路60から分岐してガスバーナ51に続く分岐供給路61には、分岐供給路61を開閉可能な電磁弁(安全弁)51Gと、分岐供給路61を開閉可能な閉止弁51Fと、ガスバーナ51へのガス供給量を調整可能な火力調整弁51Eとが設けられている。共通供給路60から分岐してガスバーナ52に続く分岐供給路62には、分岐供給路62を開閉可能な電磁弁(安全弁)52Gと、分岐供給路62を開閉可能な閉止弁52Fと、ガスバーナ52へのガス供給量を調整可能な火力調整弁52Eとが設けられている。共通供給路60から分岐してガスバーナ53に続く分岐供給路63には、分岐供給路63を開閉可能な電磁弁(安全弁)53Gと、分岐供給路63を開閉可能な閉止弁53Fと、ガスバーナ53へのガス供給量を調整可能な火力調整弁53Eとが設けられている。
【0019】
安全弁51G、閉止弁51F、火力調整弁51Eは、図3で示すステッピングモータM1によって駆動されるようになっており、ステッピングモータM1の回転角度が第1角度範囲になったときに安全弁51Gが開放し、モータM1の回転角度が第2角度範囲になったときに閉止弁51Fが開放し、ステッピングモータM1の回転角度が第1角度範囲及び第2角度範囲よりも大きい第3角度範囲のときに回転角度に応じて火力調整弁51Eの開度が設定されるようになっている。具体的には、制御回路(第1制御部)10からの指示に応じたモータ駆動回路48Aの動作によってステッピングモータM1の回転角度が制御されることで火力調整弁51Eの開度が制御され、ガスバーナ51での火力が火力調整弁51Eの開度に応じて定まる。同様に、制御回路10からの指示に応じたモータ駆動回路48Bの動作によってステッピングモータM2の回転角度が制御されることで火力調整弁52Eの開度が制御され、ガスバーナ52での火力が火力調整弁52Eの開度に応じて定まる。同様に、制御回路10からの指示に応じたモータ駆動回路48Cの動作によってステッピングモータM3の回転角度が制御されることで火力調整弁53Eの開度が制御され、ガスバーナ53での火力が火力調整弁53Eの開度に応じて定まる。グリル3のガスバーナ(グリルバーナ)54は、グリル3内において上側に配置される上バーナ54Aと、グリル3内において上バーナ54Aよりも下側に配置される下バーナ54Bとを備える。共通供給路60から分岐してガスバーナ54にガスを導く分岐供給路64には、更に、分岐供給路64から分岐して上バーナ54Aにガスを導く第1供給路65Aと、分岐供給路64から分岐して下バーナ54Bにガスを導く第2供給路65Bとが接続されている。分岐供給路64には、分岐供給路64を開閉可能な電磁弁(安全弁)54Gと閉止弁54Fとが設けられ、第1供給路65Aには複数の電磁弁54H,54Jが設けられ、第2供給路65Bには電磁弁54Kが設けられている。電磁弁54H,54J,54Kの開閉は、制御回路10によって制御される。
【0020】
図3に示すように、右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4C、グリル3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dが設けられている。回転操作部6Aは、右コンロ部4Aの点火、消火、火力調整を行うものであり、回転操作部6Bは、左コンロ部4Bの点火、消火、火力調整を行うものであり、回転操作部6Cは、後コンロ部4Cの点火、消火、火力調整を行うものであり、回転操作部6Dは、グリル3の点火、消火、火力調整を行うものである。4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dはいずれも、押圧操作可能に構成され、且つ回転操作可能に構成されている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれも、使用者が押す毎に退避位置と突出位置とに切り替わるようになっている。そして、図3の電気的構成で示すように、回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するようにスイッチ30A,30B,30C,30Dがそれぞれ設けられ、スイッチ30A,30B,30C,30Dにそれぞれ対応するように点火信号入力回路40A,40B,40C,40Dがそれぞれ設けられている。スイッチ30A,30B,30C,30Dは、いずれも点火スイッチとして機能し、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部が突出位置から退避位置(消火位置)へと操作されることに応じて、各回転操作部に対応するスイッチがオフ状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオフ信号が与えられる。また、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部が退避位置から突出位置(点火位置)へと操作されることに応じて、各回転操作部に対応するスイッチがオン状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオン信号が与えられる。
【0021】
更に、回転操作部6A,6B,6C,6Dにそれぞれ対応するように変位検出部32A,32B,32C,32Dがそれぞれ設けられ、変位検出部32A,32B,32C,32Dにそれぞれ対応するように火力信号入力回路42A,42B,42C,42Dがそれぞれ設けられている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、各回転操作部の変位(回転位置)を各回転操作部に対応する変位検出部が検出し、この変位検出部に対応する火力信号入力回路から変位検出部が検出した変位(回転位置)に応じた信号が制御回路10に与えられる。
【0022】
図2のように、上バーナ54Aにガスを導く主経路として第1供給路65Aが構成され、この第1供給路65Aに設けられた電磁弁54Jを迂回するように、電磁弁54Jの経路と並列の経路であるバイパス路66Aが設けられている。電磁弁54Hが開放した状態で電磁弁54Jが閉じているときには分岐供給路64によって導かれたガスはバイパス路66Aを通って上バーナ54Aに供給される。また、電磁弁54H,54Jがいずれも開いているときには分岐供給路64によって導かれたガスは第1供給路65A又はバイパス路66Aを通って上バーナ54Aに供給される。また、下バーナ54Bにガスを導く主経路として第2供給路65Bが構成され、この第2供給路65Bに設けられた電磁弁54Kを迂回するように、電磁弁54Kの経路と並列の経路であるバイパス路66Bが設けられている。電磁弁54Kが閉じているときには分岐供給路64によって導かれたガスはバイパス路66Bを通って下バーナ54Bに供給される。また、電磁弁54Kが開いているときには分岐供給路64によって導かれたガスは第2供給路65B又はバイパス路66Bを通って下バーナ54Bに供給される。
【0023】
また、図2図3のように、各ガスバーナ51,52,53のそれぞれの近くにはサーミスタ51C,52C,53Cがそれぞれ設けられている。そして、サーミスタ51C,52C,53Cのそれぞれに対応して温度信号入力回路44A,44B,44Cがそれぞれ設けられている。具体的には、サーミスタ51Cは、右コンロ部4Aに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Aは、サーミスタ51Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。サーミスタ52Cは、左コンロ部4Bに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Bは、サーミスタ52Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。サーミスタ53Cは、後コンロ部4Cに載置された調理容器の底部の温度を検出し、温度信号入力回路44Cは、サーミスタ53Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。なお、図2ではサーミスタ51C,52C,53Cを概念的に示しているが、サーミスタ51C,52C,53Cのそれぞれの配置は、右コンロ部4A、左コンロ部4B、後コンロ部4Cのそれぞれに載置された調理容器に近接し得る位置(具体的には、調理容器に対して直接的に又は他部材を介して間接的に接触し得る位置)であればよい。サーミスタ54Cは、グリル3内に配置され、グリル3の庫内の所定位置の温度を検出し、温度信号入力回路44Dは、サーミスタ54Cでの検出温度に応じた電圧信号を制御回路10に入力する。なお、図2図3では図示は省略しているが、各ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのそれぞれに隣接して熱電対がそれぞれ設けられ、各熱電対のそれぞれに対応して温度信号入力回路がそれぞれ設けられている。これら温度信号入力回路はいずれも、対応する熱電対で生じた起電力に応じた信号を制御回路10に入力する。
【0024】
各ガスバーナ51,52,53,54のそれぞれに隣接してイグナイタ26A,26B,26C,26Dがそれぞれ設けられ、イグナイタ26A,26B,26C,26Dのそれぞれに対応してイグナイタ回路46A,46B,46C,46Dがそれぞれ設けられている。例えば、ガスバーナ51に対応してイグナイタ26Aが設けられ、イグナイタ回路46Aは、スイッチ30Aの点火操作に応じてイグナイタ26Aを駆動し、イグナイタ26Aで火花を放電させてガスバーナ51に点火する。
【0025】
コンロ1では、後述する操作部12を操作することで、グリル3において複数種類の加熱調理モードが設定可能である。複数種類の加熱調理モードの中には、少なくとも「通常モード」と「自動調理モード(オートモード)」とが含まれ、「自動調理モード」の中には、例えば、「トーストモード」「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」などが含まれる。「自動調理モード」では、例えば、燃焼工程の終了後、タイマの計測時間が予め定められた設定時間(例えば自動調理モードごとに設定されている時間)に到達した場合に、余熱工程を終了させる。通常モードは、このような自動調理モード(「トーストモード」「干物モード」「切身モード」「姿焼モード」など)がなされないモードである。
【0026】
制御回路10は、第1制御部の一例に相当し、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、通信部11や音声出力部13(第1音声出力部)を制御する機能を有する。制御回路10は、図3のように、CPU10A、ROM10B、RAM10Cなどを備え、更に、図示しないタイマ、I/Oインタフェースなどを備える。制御回路10は、上述した各電磁弁(図3では図示を省略)、イグナイタ26A,26B,26C,26D、複数のモータM1,M2,M3,M4、音声出力部13などを制御し得る。制御回路10は、判定部14の機能を有している。判定部14は、通信部11と無線通信が確立された外部装置が情報端末70であるか否か判定するように機能する。具体的には、判定部14は、通信部11と無線通信が確立された外部装置から識別情報を受信した場合に、この外部装置が情報端末70であると判定する。
【0027】
操作部12は、操作ボタンやタッチパネルなどの公知の入力インタフェースによって構成され、ユーザの操作に応じた情報を制御回路10に入力し得るものである。また、上述した電気部品を含め、様々な電気部品に電力を供給するように電源回路48が設けられている。電源回路48は電池ボックスに収容された電池49(例えば2つの乾電池)からの電力供給を受け、所定の電源電圧を生成する機能を有しており、電源回路48で生成された電源電圧は、図示しない経路を介して様々な電気部品に供給される。
【0028】
更に、ガスコンロ1には、後述する情報端末70と無線通信を行うための通信回路である通信部11が設けられている。通信部11は、第1無線通信部の一例に相当し、例えば公知のbluetooth(登録商標)の無線通信規格に従った通信方式によって情報端末70と無線通信を行い得る装置である。具体的には、制御回路10と通信部11とが協働して情報端末70との間で情報の送受信を行う。コンロ本体1Aと情報端末との間のbluetooth(登録商標)通信方式に従った無線通信は、ガスコンロ1と情報端末70との間でのペアリングが確立された上で行われる。より詳しくは、ガスコンロ1及び情報端末70がいずれも電源オン状態であり且つガスコンロ1と情報端末70とがbluetooth(登録商標)通信を行い得る距離にあるときに、ガスコンロ1と情報端末70との間でbluetooth(登録商標)規格に従った公知のペアリング方式(例えば、情報端末70からガスコンロ1に送られた識別情報(ID)をガスコンロ1で認証するペアリング方式)でペアリングがなされる。例えば、情報端末70の識別情報(ID)が情報端末70からガスコンロ1に送られた場合に、制御回路10は、その識別情報(ID)が記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には情報端末70との通信を許可してペアリング状態とし、情報端末70とbluetooth(登録商標)通信方式で無線通信を行う。なお、ガスコンロ1の電源オン状態は、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれかに対して点火操作が行われると点火がなされる状態であり、例えば、制御回路10へ電力供給が行われる状態である。
【0029】
更に、ガスコンロ1には、音声出力部13が設けられている。音声出力部13は、第1音声出力部の一例に相当し、メロディ、メッセージなどの音声を発する装置であり、例えば、スピーカやスピーカに対して音声信号を与える駆動回路などを備え、制御回路10からの指示に対応した音声を発するように動作する。なお、音声出力部13は制御回路10からの指示に対応した音声を出力し得る装置であればよく、公知の様々な音声装置を採用し得る。
【0030】
次に、情報端末70について説明する。
情報端末70は、近距離通信方式(例えば公知のbluetooth(登録商標)通信方式)でガスコンロ1と無線通信を行う。図4のように、情報端末70は、制御回路71と、記憶部72、表示部73と、操作部74と、通信部75と、音声出力部76と、を備える。情報端末70は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報処理端末として構成されており、図示しない二次電池を電源として動作し得るようになっている。なお、図1,4では、タブレット端末として構成された情報端末70を例示しているが、情報処理機能を有する携帯型の端末であればタブレット端末以外の構成であってもよい。また、図4では、ガスコンロ1については一部部品のみを例示し、他の部品の図示を省略している。
【0031】
制御回路71は、第2制御部の一例に相当し、例えばマイクロコンピュータなどの公知の情報処理装置として構成され、後述する通信部75や音声出力部76(第2音声出力部)などを制御する機能を有する。制御回路71は、CPUなどの公知の演算装置及び他の周辺回路などを備えてなり、様々な制御や演算を行い得る。記憶部72は、例えば半導体メモリ装置などの公知の記憶装置によって構成されており、例えばRAM、ROM、その他の不揮発性メモリなどがこれに相当する。記憶部72は、情報端末70であること(音声出力機能(音声出力部76)を備えていること)を証明する情報である識別情報が記憶されている。識別情報は、例えば、音声出力機能(音声出力部76)を備える情報端末70に対応付けられた固有のID(数字等)であり、ガスコンロ1のROM10Bに予め記憶されている情報である。
【0032】
表示部73は、例えば公知のタッチパネル式表示装置の一部をなす表示部であり、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの公知の画像表示装置として構成されている。操作部74は、例えば、表示部73の前方を覆うように配置される公知のタッチパネルとして構成され、表示部73の画像を外部から視認可能な透明性の構成で表示部73を覆う構成をなす。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、表示部73は、ユーザが視認し得る状態で画像を表示し得る構成であればよい。操作部74は、ユーザの操作によって情報を入力し得る構成であればよく、タッチパネル以外の入力インタフェース(ボタン等)を備えていてもよい。
【0033】
通信部75は、第2無線通信部の一例に相当し、公知のbluetooth(登録商標)の無線通信規格に従った通信方式で無線通信を行い得る通信装置である。通信部75は、bluetooth(登録商標)通信方式でガスコンロ1の通信部11と無線通信を行う。通信部75は、ガスコンロ1から送信される指令(後述する識別情報の送信指令など)を受信したり、ガスコンロ1に対して、自動調理モードのレシピ、指示(例えば、バーナの消火指令)、および後述する識別情報などが送信される。
【0034】
更に、音声出力部76は、第2音声出力部の一例に相当し、メロディ、メッセージなどの音声を発する装置であり、例えば、スピーカやスピーカに対して音声信号を与える駆動回路などを備え、制御回路71からの指示に対応した音声を発するように動作する。なお、音声出力部76は制御回路71からの指示に対応した音声を出力し得る装置であればよく、公知の様々な音声装置を採用し得る。
【0035】
次に、コンロシステム100による通信制御について説明する。
コンロシステム100は、ガスコンロ1が情報端末70との間で無線通信を行う。情報端末70には、コンロシステム100の制御に関するアプリケーションプログラム(調理アプリ)がインストールされており、調理アプリを起動させた状態で、ガスコンロ1と通信を行う。
【0036】
図5には、コンロシステム100で行われる制御の流れが例示されている。まず、ガスコンロ1で音声を出力するイベントが発生する。例えば、イベントとして、自動調理モードが終了したこと(余熱工程が終了したこと)が挙げられる。イベントが発生すると、ガスコンロ1は、識別情報の要求指令を外部装置に送信する。外部装置が情報端末70である場合、識別情報の要求指令を受信すると、ガスコンロ1に識別情報を送信する。ガスコンロ1は、識別情報を受信すると、識別情報を送信した外部装置が音声出力機能(音声出力部76)を備えている情報端末70であると判定する。続いて、ガスコンロ1は、イベントに応じた音声を出力する動作を、音声出力部13に行わせないようにする。そして、ガスコンロ1は、イベントに応じた音声を出力する指令(音声出力指令)を情報端末70に送信する。情報端末70は、音声出力指令を受信すると、イベントに応じた音声を出力するように音声出力部76を制御する。イベントに応じた音声として、例えば、「自動調理が終了しました」等のメッセージが挙げられる。これにより、コンロシステム100は、音声出力部76からイベントに応じた音声を出力することで、イベントが発生したことを報知することができる。
【0037】
次に、ガスコンロ1、及び情報端末70の各装置で行われる制御について詳しく説明する。
まず、ガスコンロ1で行われる制御について説明する。図6で示す制御は、ガスコンロ1において制御回路10によって実行される処理である。制御回路10は、予め定められた開始条件が成立した場合に図6の制御を実行する。開始条件は、例えば、「自動調理モードでの調理を開始するための開始条件が成立したこと」であってもよく、その他の開始条件であってもよい。図6の制御の開始条件が「自動調理モードでの調理を開始するための開始条件が成立したこと」である場合、自動調理モードでの調理を開始するための開始条件は、例えば、操作部12に対して予め定められた所定操作がなされたことであってもよく、その他の条件であってもよい。
【0038】
制御回路10は、上記開始条件の成立に応じて図6の制御を開始した場合、ステップS11において、予め定められた「音声を発するイベント」がガスコンロ1で発生したか否か判断する。ガスコンロ1には、複数種類の「音声を発するイベント」が予め登録されており、制御回路10は、ステップS11において、予め登録された複数種類の「音声を発するイベント」のうちのいずれかが発生したか否かを判断する。具体的には、「音声を発するイベント」として、「自動調理モードの終了」「余熱工程の終了」「所定エラーの発生」「所定ボタンの操作」などが挙げられ、各イベントごとに、発生する音声内容が対応付けられている。なお、イベント毎の音声データは、各イベントに対応付けられてガスコンロ1内の記憶部(例えば、ROM10Bや図示しない不揮発性メモリなど)に記憶されている。
【0039】
制御回路10は、ステップS11において「音声を発するイベント」が発生していないと判断する場合、Noに進み、繰り返しステップS11の処理を行う。制御回路10は、ステップS11において「音声を発するイベント」が発生したと判断する場合、Yesに進み、ステップS12において、識別情報の要求指令を送信する。このように、制御回路10は、「音声を発するイベント」が発生した場合に外部装置に対して識別情報を要求する指令を無線送信するように通信部11を制御する。
【0040】
続いて、制御回路10は、ステップS13において、外部装置と無線通信が確立しているか否か判断する。具体的には、制御回路10は、bluetooth(登録商標)通信方式によって外部装置と無線通信を行い得る状態であるか否か判断する。ステップS13の判断は、例えば、ガスコンロ1と何らかの外部装置との間でbluetooth(登録商標)通信方式でのペアリングが確立されている場合に「外部装置と通信が確立している」と判断し、ガスコンロ1と何らかの外部装置との間でペアリングが確立されていない場合に、「外部装置と通信が確立していない」と判断してもよい。或いは、ガスコンロ1と何らかの外部装置との間で無線通信による情報送受信がなされている場合に「外部装置と通信が確立している」と判断し、ガスコンロ1と何らかの外部装置との間で無線通信による情報送受信がなされていない場合に、「外部装置と通信が確立していない」と判断してもよい。或いは、ガスコンロ1と何らかの外部装置との間で予め定められた無線通信状態となっている場合に「外部装置と通信が確立している」と判断し、そうでない場合に、「外部装置と通信が確立していない」と判断してもよい。なお、ステップS12とステップS13の順序は逆であってもよい。
【0041】
制御回路10は、ステップS13において外部装置と通信が確立していないと判断する場合、Noに進み、ステップS14において、音声出力部13を動作させてイベントに応じた音声を出力させる。制御回路10は、音声を出力するイベントが発生した場合において通信部11と通信部75との無線通信が確立されていない場合に、イベントに応じた音声を出力するように音声出力部13を動作させる。制御回路10は、ステップS11で発生したイベントが、特定メッセージを音声出力すべきイベントである場合において、ステップS13でNoと判断する場合、ステップS14では、音声出力部13から特定メッセージを音声出力する。例えば、制御回路10は、ステップS11で発生したイベントが、「自動調理が終了しました」というメッセージを音声出力すべきイベントである場合において、ステップS13でNoと判断する場合、ステップS14では、音声出力部13から「自動調理が終了しました」というメッセージを音声出力する。制御回路10は、ステップS14の処理の後、図6の制御を終了する。
【0042】
制御回路10は、ステップS13において「外部装置と通信が確立している」と判断する場合、Yesに進み、ステップS15において、外部装置から予め定められた識別情報を受信したか否か判断する。ステップS15は、通信が確立している外部装置が情報端末70であるか否かを判定する処理である。本構成では、制御回路10の一部が判定部14として機能し、この判定部14は、通信部11と外部装置との無線通信が確立されている場合に、ステップS15において、通信が確立されている外部装置が情報端末70(ガスコンロ1の代わりに音声を発することが可能な端末として予め定められている情報処理端末)であるか否かを判定している。具体的には、制御回路10は、ステップS15において、ステップS12での要求指令に応じて外部装置から特定の識別情報(ステップS12での要求指令を情報端末70が受信した場合に情報端末70が送信することが予定された固有情報)が送信されてきたか否かを判定しており、外部装置からガスコンロ1に対して上記識別情報が送信されてガスコンロ1がこの識別情報を受信した場合に、ステップS16において、通信が確立されている外部装置(識別情報の送信元の装置)が情報端末70であると判定する。このように、判定部14は、通信部11と外部装置との無線通信が確立された場合において通信部11が上記識別情報を受信した場合に外部装置が情報端末70(音声出力機能(音声出力部76)を備えている情報処理端末)であると判定する。
【0043】
一方、制御回路10は、例えば、ステップS12での要求指令の送信から一定時間を経過しても外部装置から上記識別情報を受信していないと判断した場合、ステップS15においてNoに進み、上述したステップS14の処理を行う。制御回路10は、ステップS14の処理の後、図6の制御を終了する。つまり、本構成では、制御回路10(第1制御部)は、音声を出力するイベントが発生した場合において第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が確立されていない場合(具体的には、何らかの外部装置と無線通信が確立していない場合、又は、何らかの外部装置と無線通信が確立していても予め定められた識別情報(情報端末70を特定する情報)を受信できない場合)に、ガスコンロ1の記憶部において「発生した上記イベント」に対応付けられている音声を出力するように音声出力部13(第1音声出力部)を動作させる。
【0044】
制御回路10は、上述したステップS16の処理の後、続くステップS17において、ステップS11で発生が判断されたイベント(音声を出力するイベント)に対応付けられた音声の出力を、音声出力部13で行わないようにさせる。即ち、ステップS11で発生が判断されたイベントに対応付けられた音声を出力する指令を音声出力部13に与えないようにする。制御回路10は、上述したステップS17の後、続くステップS18において、ステップS11で発生が判断されたイベント(音声を出力するイベント)に対応付けられた音声を出力する指令(音声出力指令)を情報端末70に送信する。
【0045】
このように、制御回路10(第1制御部)は、上述した「音声を発するイベント」が発生した場合において、「第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が確立されている場合において所定条件が成立した場合」に、上述のイベントに応じた音声を出力する動作を音声出力部13(第1音声出力部)に行わせず、上述のイベントに応じた音声を出力する指令を情報端末70(情報処理端末)に無線送信するように通信部11(第1無線通信部)を制御する。ここでの「所定条件」は、「判定部14によって外部装置が情報端末70であると判定されること」、すなわち、「音声出力機能(音声出力部76)を備えていることを証明する識別情報を、外部装置からガスコンロ1が受信すること」である。制御回路10は、ステップS18の処理の後、図6の制御を終了する。
【0046】
なお、ここでは所定条件の一例を示したが、所定条件は、これに限定されない。例えば、上記条件(判定部14によって外部装置が情報端末70であると判定されること)に代えて、「外部装置から音声出力の許可を伝える許可情報をガスコンロ1が取得すること」を「所定条件」としてもよい。この例では、図6の制御に加えて、ステップS13の後、ステップS17よりも前のタイミングで上記許可情報をガスコンロ1が取得した場合にステップS17、S18の処理を行うようにすればよい。この場合、情報端末70では、ステップS12での要求指令があった場合において音声出力を許可すべき状態である場合(例えば、ガスコンロ用の音声出力が許可された設定となっている場合、或いは、他のアプリケーションプログラムによって音声出力がなされていない場合など)にガスコンロ1に対して許可情報を送信するような構成となっていればよい。
【0047】
或いは、「所定条件」はガスコンロ1側の条件であってもよい。例えば、ガスコンロ1において情報端末70に対する音声出力指示を許可する設定と許可しない設定とに設定変更できるようにしておき、「許可する設定がなされていること」を所定条件の成立としてステップS17、S18の処理を行うようにしてもよい。このような方法を実現する場合、図6の制御に加えて上記方法を実現してもよく、図6の制御の一部を変更して上記方法を実現してもよい。
【0048】
次に、情報端末70で行われる制御について説明する。図7で示す制御は、情報端末70において制御回路71によって実行される処理である。図7で示す制御は、所定の開始条件の成立(例えば、情報端末70で調理アプリが起動されること)で開始される。制御回路71が図7の制御を行う場合、まずステップS21において、情報端末70がガスコンロ1との間で無線通信が確立されているか否か(ガスコンロ1との間で無線通信を行い得る状態であるか否か)を判断する。ステップS21の判断は、例えば、情報端末70とガスコンロ1との間でbluetooth(登録商標)通信方式でのペアリングが確立されている場合に「無線通信が確立している」と判断し、ペアリングが確立されていない場合に「無線通信が確立していない」と判断する。制御回路71は、情報端末70とガスコンロ1との間で無線通信が確立されていないと判断する場合、ステップS21においてNoに進み、繰り返しステップS21の処理を行う。
【0049】
制御回路71は、ステップS21において、情報端末70とガスコンロ1との間で無線通信が確立されていると判断する場合、ステップS21においてYesに進み、ステップS22において、ガスコンロ1から識別情報の要求指令(図6の制御においてステップS12で発せられる要求指令)を受信したか否か判断する。制御回路71は、ステップS21においてガスコンロ1から識別情報の要求指令を受信していないと判断する場合、Noに進み、繰り返しステップS22の処理を行う。制御回路71は、ステップS21においてガスコンロ1から識別情報の要求指令を受信したと判断する場合、Yesに進み、ステップS23において、識別情報(情報端末70において固有に割り当てられた情報であり、情報端末70を特定し得る情報)をガスコンロ1に送信する。制御回路71は、要求する指令を通信部75が受信した場合に、識別情報をガスコンロ1に無線送信するように通信部75を制御する。
【0050】
制御回路71は、続くステップS24において、一定期間(例えば1分)内にイベントに応じた音声の出力の指令(音声出力指令)を受信したか否か判断する。制御回路71は、一定期間内に音声出力指令を受信していないと判断する場合、Noに進み、図7の制御を終了する。
【0051】
一方で、制御回路71は、ステップS24において、音声出力指令を受信したと判断する場合、Yesに進み、ステップS25において、音声出力部76を動作させてイベントに応じた音声を出力させる。制御回路71は、通信部11が出力する指令を受信した場合に、イベントに応じた音声を出力するように音声出力部76を動作させる。例えば、制御回路71は、音声出力部76から「自動調理が終了しました」等のメッセージを音声出力する。制御回路71は、ステップS25の処理の後、図7の制御を終了する。
【0052】
このように、制御回路71(第2制御部)は、第2無線通信部が上述した「出力する指令」(ステップS18で発せられる音声出力指令であり、ステップS11で発生が判断されたイベント(音声を出力するイベント)に対応付けられた音声を出力する指令)を受信した場合に、イベント(この指令で特定されるイベント)に対応付けられた音声を出力するように音声出力部76(第2音声出力部)を動作させる。なお、各イベントに対応付けられた各音声のデータは、ステップS18の指令に含まれた状態でガスコンロ1から情報端末70に送信されてもよく、情報端末70の記憶部内において予め各イベントに対応付けられた形で各音声が記憶されていてもよい。
【0053】
本構成の効果を例示する。
上記のコンロシステム100は、音声を出力するイベントが発生した場合において、通信部11と通信部75との無線通信が確立されている場合において所定条件が成立した場合には、イベントに応じた音声を、ガスコンロ1から出力させず、情報端末70から出力させることができる。そのため、ガスコンロ1と情報端末70の両方から音声が出力することを防ぎつつ、ガスコンロ1の音声出力部13よりも高機能化させ易い音声出力部76から音声を出力させることができるため、イベントに応じた音声が聞き取り易くなる。
一方で、音声を出力するイベントが発生した場合において、通信部11と通信部75との無線通信が確立されていない場合には、音声出力部13を動作させてガスコンロ1からイベントに応じた音声を出力させることができる。そのため、情報端末70から音声が出力されない場合でも、ガスコンロ1と情報端末70の両方から音声が出力されなくなることを防ぐことができ、ガスコンロ1から出力されるイベントに応じた音声を聞くことができる。したがって、コンロシステム100は、イベントに応じた音声を確実に出力させることを担保しつつ聞き取り易い態様で出力することができる。
【0054】
上記のコンロシステム100において、制御回路10は、通信部11と外部装置との無線通信が確立された場合に外部装置が情報端末70であるか否かを判定する判定部14を有し、イベントが発生した場合において通信部11と外部装置との無線通信が確立され且つ外部装置が情報端末70である場合に、イベントに応じた音声を出力する動作を音声出力部13に行わせず、イベントに応じた音声を出力する指令を情報端末70に無線送信するように通信部11を制御している。
このような構成により、通信部11と外部装置との無線通信が確立された場合に、判定部14によって外部装置が情報端末70であるか否かを判定することができる。これにより、外部装置が音声を出力する機能(音声出力部76)を有するか否か判定することができる。そして、外部装置が音声を出力する機能(音声出力部76)を有すると判定した上で、イベントに応じた音声を出力する指令を情報端末70に送信するため、音声を出力する機能(音声出力部76)を有さない外部装置に対して不要な指令を送信することを防ぐことができ、ガスコンロ1の電力消費を抑制することができる。
【0055】
上記のコンロシステム100において、情報端末70は、識別情報を記憶する記憶部72を有している。制御回路71は、識別情報をガスコンロ1に無線送信するように通信部75を制御している。判定部14は、通信部11と外部装置との無線通信が確立された場合において通信部11が識別情報を受信した場合に外部装置が情報端末70であると判定する。
このような構成により、情報端末70は、判定部14における情報端末70か否かの判定に用いられる識別情報を、予め記憶部72に記憶させておくことができる。そして、ガスコンロ1は、識別情報を受信した場合に外部装置が情報端末70であると判定する構成である。そのため、通信部11と外部装置との無線通信が確立された場合において、外部装置が情報端末70であるか否かの判定を、情報端末70からガスコンロ1に識別情報を送信するという簡易な制御によって行うことができる。
【0056】
本開示のコンロシステム100において、制御回路10は、イベントが発生した場合に識別情報を要求する指令を無線送信するように通信部11を制御してもよい。制御回路71は、要求する指令を通信部75が受信した場合に、識別情報をガスコンロ1に無線送信するように通信部75を制御する。
このような構成によって、イベントが発生した場合、すなわち、音声を出力する機能(音声出力部76)を有する情報端末70との通信が必要な場合に、識別情報を要求する指令を無線送信することができる。これにより、情報端末70は、イベントが発生したタイミングで、識別情報をガスコンロ1に無線送信することができる。そのため、ガスコンロ1において識別情報の取得が必要な時期に情報端末70から識別情報を受信することができ、適切でないタイミングで識別情報を要求することで、ガスコンロ1および情報端末70における電力消費を抑制することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。なく、例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
【0058】
第1実施形態では、コンロシステム100で行われる制御において、イベントとして、自動調理モードにおける余熱工程が終了する例を示したが、その他の内容のイベントであってもよい。例えば、イベントは、ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのいずれかで失火が生じたことであってもよい。制御回路10は、ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのいずれかで失火が生じたことを検知した場合に、図6の制御を開始してもよい。そして、ステップS14やステップS25で出力されるイベントに応じた音声として、例えば、「失火が発生しました」等のメッセージが挙げられる。
また、例えば、イベントは、バーナでの燃焼時のタイマー時間(バーナを自動消火する時間)が経過したことであってもよい。制御回路10は、ガスバーナ51,52,53,54A,54Bのいずれかにおいて、予め設定したタイマー時間が経過したことを検知した場合に、図6の制御を開始してもよい。そして、ステップS14やステップS25で出力されるイベントに応じた音声として、例えば、「加熱が終了しました」等のメッセージが挙げられる。
【0059】
第1実施形態では、音声出力をガスコンロ1又は情報端末70のいずれで行うかの判断基準が、通信部11と通信部75との無線通信が確立されている場合において所定条件が成立したか否かであったが、通信部11と通信部75との無線通信が確立されているか否かのみを判断基準にしてもよい。具体的には、図6のガスコンロ1の制御において、制御回路10は、ステップS13において外部装置と無線通信が確立されていると判断する場合、Yesに進み、ステップS15,16の処理を行うことなくステップS17の処理を行う。
【0060】
第1実施形態では、情報端末70の通信部75(第2無線通信部)は、bluetooth(登録商標)通信方式でガスコンロ1の通信部11(第1無線通信部)と無線通信を行った。しかしながら、通信部75と通信部11とが無線通信し得る方式であればよく、例えば、bluetooth(登録商標)通信方式以外の通信方式、例えば、WiFi(登録商標)、LTE、4Gなどの公知の無線通信規格に従った通信方式で通信部75と通信部11とが無線通信を行ってもよい。また、通信部75と通信部11との間で無線通信がなされる方式であれば、通信部75と通信部11とが直接無線通信を行ってもよく、他の装置を介して間接的に無線通信を行ってもよい。
【0061】
第1実施形態では、コンロ本体1Aによってガスコンロ1が構成されたが、コンロ本体1Aがガスコンロ1の一部をなしていてもよい。即ち、コンロ本体1Aに他の付属品が加えられた形でガスコンロ1が構成されていてもよい。
【0062】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1…ガスコンロ(コンロ)
10…制御回路(第1制御部)
11…通信部(第1無線通信部)
13…音声出力部(第1音声出力部)
14…判定部
70…情報端末(情報処理端末)
71…制御回路(第2制御部)
72…記憶部
75…通信部(第2無線通信部)
76…音声出力部(第2音声出力部)
100…コンロシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7