(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】舗装ブロック
(51)【国際特許分類】
E01C 5/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
E01C5/00
(21)【出願番号】P 2020010503
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2021-12-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503413798
【氏名又は名称】矢木コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066956(JP,A)
【文献】実開平06-043005(JP,U)
【文献】特開2005-290850(JP,A)
【文献】特開2004-000596(JP,A)
【文献】特開2009-221741(JP,A)
【文献】特開平08-120603(JP,A)
【文献】特開2013-091974(JP,A)
【文献】特開2018-031193(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および底面と
4つの側面を有する
平面視長方形または正方形に形成された舗装ブロックであって、
前記
4つの側面には、それぞれ、
幅方向所要範囲に形成された幅方向目地形成体と、前記幅方向目地形成体の形成範囲において前記上面に向けて所要高さ範囲に形成された第1高さ方向目地形成体と、前記幅方向目地形成体および前記第1高さ方向目地形成体に対して幅方向に離間した位置において前記上面に向けて前記所要高さ範囲に形成された第2高さ方向目地形成体と、が設けられ、
同形状に形成された第1の前記舗装ブロックおよび第2の前記舗装ブロックを、前記側面を互いに対向させた状態で敷設した際において、
第1の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が、第2の前記舗装ブロックにおける前記幅方向目地形成体の形成範囲内において前記第1高さ方向目地形成体と並んだ状態で配置され
ると共に、
第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックに下向きの力が作用した際において、第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックが互いに寄りかかるように傾いた際の角度が所要角度以上になると、第1の前記舗装ブロックの前記第2高さ方向目地形成体の下端部が、第2の前記舗装ブロックの幅方向目地形成体の上側端縁に乗り上がることで、第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックの寄りかかり合い角度が規制されることを特徴とする舗装ブロック。
【請求項2】
前記幅方向目地形成体は前記底面との境界部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載の舗装ブロック。
【請求項3】
前記幅方向目地形成体と前記第1高さ方向目地形成体が一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の舗装ブロック。
【請求項4】
第1の前記舗装ブロックにおける前記幅方向目地形成体に対し、第2の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が当接していることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項記載の舗装ブロック。
【請求項5】
六面体形状をなし、対向する2つの側面における前記幅方向目地形成体、前記第1高さ方向目地形成体および前記第2高さ方向目地形成体が、上面における中央点を対称の点とする点対称位置に設けられていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の舗装ブロック。
【請求項6】
前記第1高さ方向目地形成体は前記幅方向目地形成体の形成範囲に複数設けられていて、
第1の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が、第2の前記舗装ブロックにおける前記第1高さ方向目地形成体の間の位置に進入していることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか一項記載の舗装ブロック。
【請求項7】
前記側面には、前記幅方向目地形成体および前記第1高さ方向目地形成体と、前記第2高さ方向目地形成体からなる目地形成体群が複数箇所に配設されていることを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか一項記載の舗装ブロック。
【請求項8】
前記側面には、前記第2高さ方向目地形成体と前記側面の幅方向における中央位置との間の位置に、前記上面に向けて所要高さ範囲に形成された第3高さ方向目地形成体がさらに配設されていることを特徴とする請求項7記載の舗装ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターロッキングブロックに代表される舗装面を形成する際に用いて好適な舗装ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
インターロッキングブロックに代表される舗装面を構成する際に用いられる舗装ブロックとしては、例えば特許文献1(特許第3751284号公報)に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3751284号公報(明細書段落0035-0041、第1図~第5図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている
舗装ブロックは、
図11に示すように、平面視形状が略正方形をなす直方体に形成されている。
舗装ブロック200の第1対向側面210における第1側面211には第1側面211の延長方向全体に設けられた凸条212および第1側面211の一端部の所要長さ範囲に凸部213が形成されている。また、第1対向側面210における第2側面214には第2側面214の延長方向全体に設けられた凹条215および第2側面214の一端部の所要長さ範囲に凸部216が形成されている。また、第2対向側面220の第1側面221には
舗装ブロック200の高さ方向に沿って形成された凸部222が所要間隔をあけて2箇所に配設されている。第2対向側面220の第2側面223は平坦面に形成されている。
【0005】
図11に示すような
舗装ブロック200は、第1対向側面210の第1側面211に形成された凸条212を他の
舗装ブロック200の第1対向側面210の第2側面214に形成された凹条215に嵌合させるようにして配設し、第2対向側面220の第1側面221に形成された凸部222を他の
舗装ブロック200の第2対向側面220の第2側面223に当接させた状態で配設し、この後、配設した
舗装ブロック間に砂を敷き詰めることにより敷設が行われ、舗装面等を構成することができる。
【0006】
このような舗装ブロックを用いることにより、舗装面の平坦性を長期にわたって維持することが可能にはなるが、舗装ブロックの形状が複雑であるため、製造が困難になると共に製品の歩留まりが低くなるといった課題の所在が明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、敷設後における舗装面の平坦性を長期にわたって維持することが可能であると共に、簡易な形状により製造が容易で、かつ、製品の歩留まりを高くすることが可能な舗装ブロックの提供を目的としている。
【0008】
すなわち本発明は、上面および底面と4つの側面を有する平面視長方形または正方形に形成された舗装ブロックであって、前記4つの側面には、それぞれ、幅方向所要範囲に形成された幅方向目地形成体と、前記幅方向目地形成体の形成範囲において前記上面に向けて所要高さ範囲に形成された第1高さ方向目地形成体と、前記幅方向目地形成体および前記第1高さ方向目地形成体に対して幅方向に離間した位置において前記上面に向けて前記所要高さ範囲に形成された第2高さ方向目地形成体と、が設けられ、同形状に形成された第1の前記舗装ブロックおよび第2の前記舗装ブロックを、前記側面を互いに対向させた状態で敷設した際において、第1の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が、第2の前記舗装ブロックにおける前記幅方向目地形成体の形成範囲内において前記第1高さ方向目地形成体と並んだ状態で配置されると共に、第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックに下向きの力が作用した際において、第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックが互いに寄りかかるように傾いた際の角度が所要角度以上になると、第1の前記舗装ブロックの前記第2高さ方向目地形成体の下端部が、第2の前記舗装ブロックの幅方向目地形成体の上側端縁に乗り上がることで、第1の前記舗装ブロックと第2の前記舗装ブロックの寄りかかり合い角度が規制されることを特徴とする舗装ブロックである。
【0009】
これにより、敷設後における舗装面の平坦性を長期にわたって維持することが可能であると共に、簡易な形状により製造が容易で、かつ、製品の歩留まりを高くすることができる。
【0010】
また、前記幅方向目地形成体は前記底面との境界部分に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記幅方向目地形成体と前記第1高さ方向目地形成体が一体に形成されていることが好ましい。
【0012】
これらにより、舗装ブロックの製造に即時脱型型枠を用いることができ、低コストで製品の歩留まりが高い舗装ブロックの製造が可能になる。
【0013】
また、第1の前記舗装ブロックにおける前記幅方向目地形成体に対し、第2の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が当接していることが好ましい。
【0014】
これにより、舗装面のたわみの発生を防止することができる。
【0015】
また、六面体形状をなし、対向する2つの側面における前記幅方向目地形成体、前記第1高さ方向目地形成体および前記第2高さ方向目地形成体が、上面における中央点を対称の点とする点対称位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
これにより、複数の舗装ブロックを敷設する際において、対向する側面の幅方向目地形成体、第1高さ方向目地形成体および第2高さ方向目地形成体の位置が重複することを防止できる。
【0017】
また、前記第1高さ方向目地形成体は前記幅方向目地形成体の形成範囲に複数設けられていて、第1の前記舗装ブロックにおける前記第2高さ方向目地形成体が、第2の前記舗装ブロックにおける前記第1高さ方向目地形成体の間の位置に進入していることが好ましい。
【0018】
これにより、第1高さ方向目地形成体と第2高さ方向目地形成体とにより敷設後の舗装ブロックの水平方向の位置ずれを防止することができる。
【0019】
また、前記側面には、前記幅方向目地形成体および前記第1高さ方向目地形成体と、前記第2高さ方向目地形成体からなる目地形成体群が複数箇所に配設されていることが好ましい。
【0020】
また、前記側面には、前記第2高さ方向目地形成体と前記側面の幅方向における中央位置との間の位置に、前記上面に向けて所要高さ範囲に形成された第3高さ方向目地形成体がさらに配設されていることがさらに好ましい。
【0021】
これらにより、舗装ブロックの形状バリエーションを増やすことができ、舗装面のデザインに応じた舗装ブロックの選択をすることで豊富な舗装面の仕上がり形態を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明における舗装ブロックの構成によれば、敷設後における隣接する舗装ブロックどうしは、一方の舗装ブロックの幅方向目地形成体の位置に他方の舗装ブロックの第2高さ方向目地形成体が配置される。このため、舗装面に荷重が作用して舗装ブロックがたわもうとする際には、一方の舗装ブロックの幅方向目地形成体に他方の舗装ブロックの第2高さ方向目地形成体が乗り上がり、舗装面の平坦性を維持することができる。また、複数の舗装ブロックを敷設すれば、水平方向の位置ずれを防止することができる。そして、舗装ブロックが簡易な形状であるため、製造が容易で製品の歩留まりを高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態における
舗装ブロックの斜視図である。
【
図2】第1実施形態における
舗装ブロックの正面図である。
【
図3】第1実施形態における
舗装ブロックの平面図である。
【
図4】第1実施形態における
舗装ブロックの敷設状態を示す要部平面図である。
【
図5】
図4中におけるV-V線における断面図である。
【
図6】第2実施形態における
舗装ブロックの斜視図である。
【
図7】第2実施形態における
舗装ブロックの敷設状態を示す要部平面図である。
【
図8】第3実施形態における
舗装ブロックの斜視図である。
【
図9】第3実施形態における
舗装ブロックの正面図である。
【
図10】第3実施形態における
舗装ブロックの敷設状態を示す要部平面図である。
【
図11】従来技術における
舗装ブロックの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態における舗装ブロックについて図面に基づきながら説明を行う。
【0025】
(第1実施形態)
図1~
図3に示すように、本実施形態における
舗装ブロック100は、平面視形状が略正方形をなす上面10および底面20と、正面視形状が略長方形をなす4つの側面30を有する直方体状(六面体形状)に形成されている。本実施形態における
舗装ブロック100は、上面10の側の所要高さ範囲は第1材料40により形成され、他の部分は第2材料50により形成されている。第1材料40としては審美性や外観性に優れたいわゆる機能性材料が好適に用いられる。第2材料50としては経済性に優れた経済性材料が好適に用いられる。また、本実施形態における
舗装ブロック100のそれぞれの側面30には、幅方向
目地形成体32と、第1高さ方向
目地形成体34と、第2高さ方向
目地形成体36とが設けられている。
【0026】
本実施形態の幅方向目地形成体32は、側面30の幅方向所要範囲に形成されており、幅方向に延びる端縁33が底面20との境界部分である面取部(図示はせず)に接している。なお、幅方向目地形成体32は、幅方向に延びる端縁33を底面20から離反させた状態で配設することもできる。また、第1高さ方向目地形成体34は、幅方向目地形成体32の形成範囲において幅方向目地形成体32の上方位置から上面10に向けて所要高さ範囲に形成されている。本実施形態においては、幅方向目地形成体32とは独立に形成され、所要間隔をあけた複数本(ここでは2本)の第1高さ方向目地形成体34を配設しているが、幅方向目地形成体32と第1高さ方向目地形成体34とを一体にして正面視U字状をなす目地形成体にすることもできる。
【0027】
本実施形態においては第1高さ方向目地形成体34の上端部位置が上面10との境界部分である面取部(図示はせず)の高さ位置になっている。本実施形態のような第1高さ方向目地形成体34は、上端部側における所要高さ範囲を徐々に幅狭にまたは徐々に高さを減らす形状もしくはこれら両方を適用した形状に形成してもよい。また、第1高さ方向目地形成体34は、上端部高さ位置を上面10から所要距離の高さ位置に設定することもできる。これらの構成を採用すれば、舗装ブロック100の敷設後において舗装Hの表面から第1高さ方向目地形成体34の上端部を見え難くすることができる点において好都合である。
【0028】
また、幅方向目地形成体32と第1高さ方向目地形成体34に対して側面30の幅方向における所要距離にある位置には、第1高さ方向目地形成体34と同じ高さ範囲にわたって形成された第2高さ方向目地形成体36が配設されている。本実施形態における第2高さ方向目地形成体36は、側面30の幅方向中心線CLを対称線として同一の側面30に配設された幅方向目地形成体32と第1高さ方向目地形成体34を線対称移動させた際において、第1高さ方向目地形成体34と重複しない位置に配設されている。なお、本明細書における目地形成体群38とは、同一の側面30に形成されている幅方向目地形成体32および第1高さ方向目地形成体34と第2高さ方向目地形成体36の集合体のことを指している。
【0029】
これにより、互いに同形状に形成された第1の舗装ブロック100Aと第2の舗装ブロック100Bを敷設した後、第1の舗装ブロック100Aの第1高さ方向目地形成体34と第2の舗装ブロック100Bの第2高さ方向目地形成体36を第2の舗装ブロック100Bの幅方向目地形成体32の形成範囲に並ばせた状態にすることができる。これを換言すると、第1の舗装ブロック100Aにおける第2高さ方向目地形成体36が、第2の舗装ブロック100Bにおける幅方向目地形成体32の形成範囲内において第1高さ方向目地形成体34と並んだ状態で配置されていることになる。
【0030】
図1~
図3に示すように、本実施形態における
舗装ブロック100の対向する2つの側面30は、上面10における中央点Oを対称の点とする点対称位置に設けられており、いずれの側面30においても正面視形状が同一形状に形成されている。なお、
舗装ブロック100における複数の側面30のうち少なくとも対向する1組の側面30が上述の構成に形成されていればよい。また、本実施形態における
舗装ブロック100はいわゆるゼロスランプコンクリートを用いた即時脱型型枠により製造することができるが、材料はゼロスランプコンクリートに限定されるものではなく、また、製造方法も即時脱型型枠方式に限定されるものではない。
【0031】
次に本実施形態における
舗装ブロック100を複数個敷設した状態の構造について説明する。
図4は第1実施形態における
舗装ブロック100の敷設状態の一例を示した要部平面図である。本実施形態における
舗装ブロック100を敷設する際は、第1の
舗装ブロック100Aのある側面30Aと、第2の
舗装ブロック100Bのある側面30Bとを互いに対向させた状態で当接させた状態で敷設する。以降、それぞれの側面30に対して同様に繰り返すことにより所定平面範囲に複数の
舗装ブロック100を敷き詰めることができる。本実施形態においては、
舗装ブロック100の側面30はすべて同一形状に形成されているため、単純に
舗装ブロック100を上述の状態で敷き詰めていくことができる。
【0032】
所定平面範囲に複数の舗装ブロック100の敷き詰めが完了した状態においては、側面30に形成された目地形成体群38により隣接する舗装ブロック100間に隙間を形成することができる。この隙間部分に砂Sを充填することによって舗装ブロック100の敷設が完了する。必要に応じて砂Sを充填した後に舗装ブロック100の上面10から所要高さ範囲に無収縮モルタル等の目地を形成することもできる。このようにして複数の舗装ブロック100による舗装Hを構築することができる。
【0033】
図5は
図4中のV-V線における断面図である。本実施形態における複数の
舗装ブロック100による舗装Hの表面に荷重が作用した場合について説明する。舗装Hの表面に下向きの荷重が作用すると、舗装Hを構成する第1の
舗装ブロック100Aと第2の
舗装ブロック100Bが互いに寄りかかるようにして傾く。両者の傾きが所定角度以上になると、第1の
舗装ブロック100Aの第2高さ方向
目地形成体36の下端部が、第2の
舗装ブロック100Bの幅方向
目地形成体32の上側端縁に乗り上がることになる。これにより第1の
舗装ブロック100Aと第2の
舗装ブロック100Bとの互いの寄りかかり合いが早期段階で規制することができ、舗装Hの表面の平坦性を維持することができる(舗装Hのたわみが規制される)のである。
【0034】
なお、舗装Hの表面への荷重の作用がなくなると、第1の舗装ブロック100Aの第2高さ方向目地形成体36が第2の舗装ブロック100Bの幅方向目地形成体32に乗り上げた状態が維持されるが、そもそもの第1の舗装ブロック100Aの傾斜がわずかであるため、舗装Hの表面の平坦性は十分許容できる範囲に収めることができる。また、舗装Hを継続的に使用しているうちに、舗装ブロック100の間に充填されている砂Sが流動することにより、第1の舗装ブロック100Aの傾きが解消され、元の舗装Hの状態に戻すこともできる。
【0035】
また、幅方向目地形成体32、第1高さ方向目地形成体34および第2高さ方向目地形成体36はいずれも目地形成体を兼ねている。したがって、互いに隣接する舗装ブロック100の対向面においては、一方の舗装ブロック100における第2高さ方向目地形成体36が他方の舗装ブロック100における2本の第1高さ方向目地形成体34の間に隙間をあけた状態で並んだ配列になる。この隙間部分に砂Sを充填することにより隣接する舗装ブロック100どうしの水平方向のずれを防止することができ、舗装ブロック100どうしの配設間隔を維持することもできる。
【0036】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態における
舗装ブロック100の斜視図である。なお、本実施形態の
舗装ブロック100において、第1実施形態の
舗装ブロック100と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。本実施形態における
舗装ブロック100は、側面30の形状が第1対向側面31Aと第2対向側面31Bとで異なっている。なお、ここでの第1対向側面31Aの構成は、第1実施形態における側面30の構成と同一にし、第2対向側面31Bは第1対向側面31Aの2倍の長さにした。
【0037】
本実施形態における第2対向側面31Bには、第1対向側面31Aに形成されている
目地形成体群38と同一形状の
目地形成体群38が第2対向側面31Bの幅方向に所要間隔をあけて2箇所(複数箇所)に配設されている。このような形態を採用することにより、
図7に示すような配列はもちろん、第1対向側面31Aどうしや第2対向側面31Bどうしを対向させた配列を採用することができる点において好都合である。また、
舗装ブロック100の第2対向側面31Bどうしを対向させる際には、
図7に示す配列に限定されるものではなく、第2対向側面31Bの長さ方向に半個ずつ
舗装ブロック100をずらした配列を採用することももちろん可能である。
【0038】
上述のいずれかの配列により構築した舗装Hにおいても、第1実施形態の舗装Hと同様の機構が構成される。すなわち舗装Hの表面に荷重が作用した場合であっても、第1の舗装ブロック100Aの第2高さ方向目地形成体36が第2の舗装ブロック100Bの幅方向目地形成体32に乗り上げた状態になり、舗装Hの表面の平坦性を長期にわたって維持することができる点は第1実施形態と同様である。また、舗装ブロック100どうしの水平方向の位置ずれの防止と、舗装ブロック100どうしの間隔が維持される点については、第1実施形態と同様である。
【0039】
(第3実施形態)
図8および
図9は、第3実施形態における
舗装ブロック100の斜視図および正面図である。なお、本実施形態の
舗装ブロック100において、第1実施形態または第2実施形態の
舗装ブロック100と共通する構成については、第1実施形態または第2実施形態と同一の符号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。
【0040】
図8、
図9に示すように、本実施形態における
舗装ブロック100の側面30は、いずれも同じ形態に形成されている点で、第1実施形態における
舗装ブロック100と基本的構成を共通にする。本実施形態における
舗装ブロック100の側面30は、幅方向における幅方向中心線CLの右側と左側とで、異なる配列をなす幅方向
目地形成体32、第1高さ方向
目地形成体34、第2高さ方向
目地形成体36により構成される第1
目地形成体群38Aおよび第2
目地形成体群38Bが配設されている。また、本実施形態においては、幅方向
目地形成体32の形成範囲には第1高さ方向
目地形成体34が1箇所に配設されている点で先の実施形態と構成を異にしている。さらに、一つの側面30に異なる形態の第1
目地形成体群38Aおよび第2
目地形成体群38Bが配設されている点においても第2実施形態における
舗装ブロック100と構成を異にしている。
【0041】
さらにまた、本実施形態における舗装ブロック100は、側面30の幅方向中心線CLに対して幅方向に僅かに偏心した位置(第2高さ方向目地形成体36と側面30の幅方向における中央位置との間)に第3高さ方向目地形成体39が配設されている点が特徴的である。本実施形態における舗装ブロック100においても、それぞれの側面30の正面視形状は同一形状に形成されている。なお、本実施形態における第3高さ方向目地形成体39は幅方向中心線CLよりも右側位置に配設しているが、第3高さ方向目地形成体39の配設位置は幅方向中心線CLの左側に配設することもできる。
【0042】
本実施形態における
舗装ブロック100を
図10に示すように敷設して舗装Hを構築する際は、第1実施形態および第2実施形態と同様にして行うことができる。
図10に示すように第1の
舗装ブロック100Aのある側面30と第2の
舗装ブロック100Bのある側面30を対向させた状態で敷設した状態について説明する。
図10に示す敷設状態においては、第1の
舗装ブロック100Aの第1
目地形成体群38Aの幅方向
目地形成体32の形成範囲に第2の
舗装ブロック100Bの第2
目地形成体群38Bの第2高さ方向
目地形成体36が配置されている。そして、第1の
舗装ブロック100Aの第2
目地形成体群38Bの幅方向
目地形成体32の形成範囲に第2の
舗装ブロック100Bの第1
目地形成体群38Aの第2高さ方向
目地形成体36が配置されている。なお、
図10においては、第1の
舗装ブロック100Aおよび第2の
舗装ブロック100Bの側面30どうしの両端部位置を一致させたいわゆるイモ張りと称される敷設パターンを示しているが、他の公知の
舗装ブロック100の敷設パターンを採用した場合においても、幅方向
目地形成体32と第2高さ方向
目地形成体36との位置関係は、上述と同様の位置関係にすることができる。
【0043】
以上に本実施形態における舗装ブロック100について説明したが、本発明における舗装ブロック100は本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態における舗装ブロック100は、上面10の側の所要高さ範囲には審美性に優れる材料やすべり止め機能等を有する機能性材料を用い、その他の部分はゼロスランプコンクリートを用いた形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。舗装ブロック100は単一の材料によって形成することも可能である。
【0044】
また、本実施形態においては、舗装ブロック100をコンクリート系材料により形成した形態について説明しているが、他の材料を用いることも可能である。また、舗装ブロック100は即時脱型型枠による製造方法に限定されず、分割型の金型による製造や切削加工等に代表される他の公知の製造方法により製造することもできる。
【0045】
また、以上の実施形態においては、舗装ブロック100により舗装Hを構築する際においてそれぞれの実施形態における舗装ブロック100のみを用いた形態について説明しているが、舗装Hの形態は以上の実施形態に限定されるものではない。第1実施形態における舗装ブロック100と第2実施形態における舗装ブロック100との組み合わせや、第1実施形態における舗装ブロック100と第3実施形態における舗装ブロック100との組み合わせ等からなる舗装Hの形態を採用することができる。また、舗装ブロック100の配列についても実施形態で示した配列に限定されず、ブリック、フィッシュボーン、パーケットの他、いわゆるレンガ積みのパターンを適宜採用することもできる。
【0046】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10 上面,20 底面,
30、30A、30B 側面,
31A 第1対向側面,31B 第2対向側面,
32 幅方向目地形成体,33 端縁,34 第1高さ方向目地形成体,
36 第2高さ方向目地形成体,38 目地形成体群,38A 第1目地形成体群,
38B 第2目地形成体群,39 第3高さ方向目地形成体,
40 第1材料,50第2材料,
100 舗装ブロック,
100A 第1の舗装ブロック,100B 第2の舗装ブロック,
CL 幅方向中心軸線,H 舗装,O 中央点,S 砂