(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】樹脂モールド装置及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20230524BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20230524BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20230524BHJP
B29K 105/06 20060101ALN20230524BHJP
B29L 31/34 20060101ALN20230524BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/18
H01L21/56 T
B29K105:06
B29L31:34
(21)【出願番号】P 2020083368
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 裕史
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-150551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/32
B29C 43/18
H01L 21/56
B29K 105/06
B29L 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品がキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置であって、
前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部と、
前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部と、
前記プレス部へ搬送される前記ワークの前記電子部品が搭載されていないワーク裏面をクリーニングするクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、
前記プレス部より前記ワークの搬送経路の上流側で重なる位置
であって、
前記プリヒート部の直前、及び、前記プリヒート部と前記プレス部との間、の何れか一方又は両方の位置に設けられ、
前記クリーニング装置は、前記ワーク裏面にブラシ毛が当接するブラシ本体と、塵埃を吸引する吸引部と、を有するクリーニングヘッド本体を備えていること
を特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項2】
前記クリーニングヘッド本体は、前記ワーク裏面に前記ブラシ毛の当接及び離間駆動を行うアクチュエータを備えていること
を特徴とする請求項
1記載の樹脂モールド装置。
【請求項3】
前記ブラシ本体は、前記ワークの搬送方向に対して直角方向に複数に分割されており、
分割された各ブラシ本体に個別に連結されて、前記各ブラシ本体を個々上下駆動させる駆動装置を備えていること
を特徴とする請求項
1又は請求項
2記載の樹脂モールド装置。
【請求項4】
電子部品がキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置であって、
前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部と、
前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部と、
前記プレス部へ搬送される前記ワークの前記電子部品が搭載されているワーク表面を吸引するクリーニング装置と、を備え、
前記クリーニング装置は、前記プレス部より前記ワークの搬送経路の上流側で重なる位置
であって、前記プリヒート部より前に設けられていること
を特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項5】
前記クリーニング装置は、前記ワークに前記モールド樹脂が供給された後の位置に設けられて、塵埃を吸引する吸引部を有すること
を特徴とする請求項
4記載の樹脂モールド装置。
【請求項6】
電子部品がキャリアに搭載されたワーク
及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置における該ワークのクリーニング方法であって、
前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部より前記ワークの搬送経路
の上流側で重なる位置
であって、
前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部の直前、及び、前記プリヒート部と前記プレス部との間、の何れか一方又は両方の位置に、前記ワークに当接するクリーニング装置
を設け
、
前記クリーニング装置にブラシ毛及び吸引部を設け、
前記ワークと前記クリーニング装置とを相対移動させて前記ワークの前記電子部品が搭載されていないワーク裏面をクリーニングすること
を特徴とするクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを樹脂でモールドする樹脂モールド装置及びワークのクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品がキャリアに搭載されたワークをモールドする際に、モールド樹脂を溶融硬化させて成形する樹脂モールド装置が用いられている。
【0003】
樹脂モールド装置は、上型と下型を備えて構成されるモールド金型に設けられるモールド領域(キャビティ)に所定量のモールド樹脂を供給すると共に当該モールド領域に例えばワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止するものである。樹脂モールド装置には多数の方式があり、ポットに投入された樹脂を圧送するトランスファ成形装置とモールド金型内にワークと樹脂を投入しキャビティの体積を減少させて所要の形状にする圧縮成形装置がある。更に圧縮成形装置には下型に可動キャビティを設けた下型キャビティ可動圧縮成形装置と上型に可動キャビティを設けた上型キャビティ可動圧縮成形装置がある。このとき、上型に可動キャビティを設けた圧縮成形金型を用いる場合、例えば半導体チップ等の電子部品が搭載されたキャリア上にモールド樹脂が供給されたワークが圧縮成形金型に搬入され、成形される(特許文献1:特開2015-128908号公報参照)。また、下型に可動キャビティを設けた圧縮成形金型を用いる場合、例えば支持具に支持されたフィルム上にモールド樹脂が供給され、支持具と共にフィルムとモールド樹脂とが下型に搬入され、一方、キャリアからなるワークが上型に搬入され、成形される(特許文献2:特開2004-148621号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-128908号公報
【文献】特開2004-148621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、上型に可動キャビティを設けたモールド金型を有する圧縮成形装置では、ワーク上に供給されたモールド樹脂、特には顆粒樹脂や粉状樹脂を載せたまま搬送されるため、装置内にパーティクル(樹脂粉や異物等の塵埃)によるコンタミネーション(汚染、異物混入)が起こり易い。また、下型に可動キャビティを設けたモールド金型を用いる圧縮成形装置では、支持具に支持されたフィルム上にモールド樹脂、特には顆粒樹脂や粉状樹脂を載せたまま搬送されるため、同じく装置内にパーティクルによるコンタミネーションが起こり易い。特に圧縮成形装置の場合はワークに搭載されてる半導体チップの搭載数が前工程の何らかの理由によりワーク上に搭載されていない箇所があり1回の成形時の樹脂量を一定にすることができないため、成形時に必要な樹脂量を容易に可変させなければならないことから液状樹脂、顆粒樹脂、粉状樹脂が採用されている。特には顆粒樹脂、粉状樹脂を使用する場合はパーティクルによるコンタミネーションが起こっている。また、トランスファ成形の場合はタブレット状の固形樹脂を使用するが粉状樹脂を固めた状態のため一部が欠けることがある。さらに樹脂搬送時にタブレット樹脂間で擦られることによる粉塵が発生することが起きている。このため、モールド金型に搬入されるワークにパーティクルが付着していると、成形品にコンタミネーションが起こったり、上下金型間に入り込むと成形品の平坦性が損なわれてTTV(Totol Thickness Variation)にばらつきが生じる等して、成形品質の低下の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ワークにパーティクル(塵埃)が付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止でき、成形品質の低下を防止できる樹脂モールド装置及びワークのクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る樹脂モールド装置は、電子部品がキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置であって、前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部と、前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部と、前記プレス部へ搬送される前記ワークの前記電子部品が搭載されていないワーク裏面をクリーニングするクリーニング装置と、を備え、前記クリーニング装置は、前記プレス部より前記ワークの搬送経路の上流側で重なる位置であって、前記プリヒート部の直前、及び、前記プリヒート部と前記プレス部との間、の何れか一方又は両方の位置に設けられ、前記クリーニング装置は、前記ワーク裏面にブラシ毛が当接するブラシ本体と、塵埃を吸引する吸引部と、を有するクリーニングヘッド本体を備えていることを要件とする。
【0009】
これによれば、ワークがモールド金型に搬入される前にワーク裏面のクリーニングを行ってパーティクル(塵埃)を除去することができるため、ワークにパーティクルが付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止できる。
【0010】
また、前記クリーニング装置が、前記プリヒート部の直前に設けられることで、プリヒート(予熱)により一部のパーティクル(例えば、樹脂粉や異物としての顆粒状樹脂)が硬化してしまう前にクリーニングを行うことができるため、パーティクルをより容易に除去することができる。
【0011】
また、前記クリーニング装置が、前記プリヒート部と前記プレス部との間に設けられることで、ワークと共にプレス部へパーティクルが搬入されることを防止して成形品質を向上させることができる。
【0012】
また、前記クリーニング装置が、前記ワーク裏面にブラシ毛が当接するブラシ本体と、塵埃を吸引する吸引部と、を有するクリーニングヘッド本体を備えていることで、ワーク裏面に付着したパーティクルをブラシ本体により擦り取ると共に、吸引部により吸引して除去することができる。
【0013】
また、前記クリーニングヘッド本体は、前記ワーク裏面に前記ブラシ毛の当接及び離間駆動を行うアクチュエータを備えていることが好ましい。これによれば、クリーニングヘッド本体を位置調整してワークに対してブラシ毛を適切に押し当ててより確実にブラッシングすることができる。
【0014】
前記ブラシ本体は、前記ワークの搬送方向に対して直角方向に複数に分割されており、分割された各ブラシ本体に個別に連結されて、前記各ブラシ本体を個々上下駆動させる駆動装置を備えていることが好ましい。これによれば、分割された各ブラシ本体の高さ位置を個々に調整して、ブラシ本体(ブラシ毛)先端の全領域をワークにより確実に当接させることができる。その結果、ブラシ毛の接触面積を広く維持してより確実にブラッシングすることができる。
【0015】
また、課題を解決する他の手段として、本発明に係る樹脂モールド装置は、電子部品がキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置であって、前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部と、前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部と、前記プレス部へ搬送される前記ワークの前記電子部品が搭載されているワーク表面を吸引するクリーニング装置と、を備え、前記クリーニング装置は、前記プレス部より前記ワークの搬送経路の上流側で重なる位置であって、前記プリヒート部より前に設けられていることを要件とする。
【0016】
これによれば、ワークがモールド金型に搬入される前にワーク表面のクリーニングを行ってパーティクル(塵埃)を除去することができるため、ワークにパーティクルが付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止できる。
【0017】
また、前記クリーニング装置は、前記ワークに前記モールド樹脂が供給された後の位置に設けられて、塵埃を吸引する吸引部を有することが好ましい。これによれば、吸引部により、モールド樹脂が供給された際の樹脂粉等の舞い上がり等に起因してワーク表面に付着したパーティクルを除去することができる。
【0020】
また、本発明に係るクリーニング方法は、電子部品がキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入される樹脂モールド装置における該ワークのクリーニング方法であって、前記ワーク及び前記モールド樹脂をクランプして樹脂封止する前記モールド金型を有するプレス部より前記ワークの搬送経路の上流側で重なる位置であって、前記ワークのプリヒートを行うプリヒート部の直前、及び、前記プリヒート部と前記プレス部との間、の何れか一方又は両方の位置に、前記ワークに当接するクリーニング装置を設け、前記クリーニング装置にブラシ毛及び吸引部を設け、前記ワークと前記クリーニング装置とを相対移動させて前記ワークの前記電子部品が搭載されていないワーク裏面をクリーニングすることを要件とする。
【0021】
これによれば、ワークの搬送経路においてクリーニングを行ってワークがモールド金型に搬入される前にパーティクル(塵埃)を除去することができる。従って、ワークにパーティクルが付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ワークにパーティクル(塵埃)が付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止できる。従って、成形品質の低下の防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置の例を示す装置構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成例を示す概略図(正面断面図、
図4のII-II線断面図)である。
【
図3】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成例を示す概略図(平面図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成例を示す概略図(左側面図)である。
【
図5】本発明の実施形態に係るクリーニング装置を上型に可動キャビティを有する圧縮成形装置の電子部品が搭載されていないワーク裏面のクリーニングに適用した例を説明する説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るクリーニング装置を下型に可動キャビティを有する圧縮成形装置に適用した例を説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るクリーニング装置を電子部品が搭載されているワーク表面のクリーニングに適用した例を説明する説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るクリーニング装置のブラシ本体に係る他の実施例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(樹脂モールド装置)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置1の構成例を示す概略図である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0025】
本実施形態に係る樹脂モールド装置1は、上型及び下型を備えるモールド金型12を用いて、ワークWの樹脂モールド成形を行う装置である。以下、樹脂モールド装置1として、上型に可動キャビティを有する圧縮成形装置の場合を例に挙げて説明する。
【0026】
先ず、成形対象であるワークWの一例として、半導体チップ等の電子部品WbがキャリアWa上に保持されたものが用いられる。主要な実施例として、キャリアWaには、500[mm]~600[mm]角程度の矩形状プレートが用いられる。キャリアWaが金属製(銅合金、ステンレス合金等)の場合には厚さ0.2[mm]程度まで薄型に形成され、ガラス製の場合には厚さ1.2[mm]程度まで薄型に形成される。このようなキャリアWa上に、接着剤等を用いて複数の半導体チップWbが行列状に貼り付けられてワークWが構成される。なお、ワークWは上記の構成に限定されるものではない。例えば、キャリアWaは円形状であってもよい。また、キャリアWaのサイズは最大幅(一辺若しくは直径)が400[mm]~700[mm]程度で、厚さが0.2[mm]~3[mm]程度のプレートであってもよい。キャリアWaの材質も前記に捉われない。本実施形態においては、キャリアWa及び電子部品Wbとして、プレート及び半導体チップを例に挙げているが、その他にも様々な構成を採用し得る。
【0027】
一方、モールド樹脂Rは、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂)であり、その状態としては顆粒状、粉状、液状、シート状、場合によってはミニタブレットに代表される固形状であってもよい。
【0028】
続いて、本実施形態に係る樹脂モールド装置1の概要について説明する。
図1に示すように、樹脂モールド装置1は、ワーク供給ユニットA、樹脂供給ユニットB、ワーク受渡しユニットC、プレスユニットD、冷却ユニットEが各々直列に連結されてなる。なお、ワークWの搬送は、ワーク搬送部2及びローダ4等によって行われる。以下、矩形状のワークWの場合を例に挙げて説明する。
【0029】
ワーク供給ユニットAには、前工程からワークWを受取る位置となる受取り位置P(第1位置)が設けられている。また、ワーク受渡しユニットCには、ワークWをローダ4に受渡し位置となる受渡し位置Q(第2位置)が設けられている。ここで、ワーク搬送部2は、ワーク供給ユニットA、樹脂供給ユニットB、ワーク受渡しユニットC間に設けられたレール部3に沿って、搬送部本体2aが受取り位置Pと受渡し位置Qとの間を往復動するように構成されている(
図1実線矢印H参照)。一例として、搬送部本体2aは、例えば駆動ベルト(不図示)に連結されて往復動するようになっている。また、搬送部本体2a上には、ワークWよりも外形が大きく厚さが厚い(例えば10[mm]程度)矩形状の板面(格子状等でもよい)を有するホルダープレート5が設けられている。このようなワーク搬送部2の構成によって、ワークWはホルダープレート5に対して位置決めされて載置された状態で搬送されるようになっている。従って、従来よりも薄型で大型のワークWが用いられる場合であっても、ホルダープレート5に載置された状態で搬送されるため、当該ワークWに撓みが生じることを防止できる。
【0030】
次に、樹脂供給ユニットBには、モールド樹脂R(一例として、顆粒状樹脂)を供給するディスペンサ6及び樹脂供給ステージ7が設けられている。ワークWは、ホルダープレート5に載置された状態のまま、Y-Z方向に移動可能なピックアンドプレイス機構(不図示)を用いて、搬送部本体2aから樹脂供給ステージ7へ一例としてピックアンドプレイス機構にて載せ替えられる。この樹脂供給ステージ7に載置された状態で、ディスペンサ6よりモールド樹脂RがワークW上に供給される。ここで、ディスペンサ6は、ワークW上でX-Y方向に走査可能に設けられている。また、ディスペンサ6の代わりに樹脂供給ステージ7がX-Y方向に走査可能に設けられていてもよい。また、樹脂供給ステージ7には電子天秤(不図示)が設けられており、ワークW上に供給されるモールド樹脂Rが適量となるように計量される。
【0031】
次に、ワーク受渡しユニットCには、モールド樹脂Rが供給された状態のワークWを、ホルダープレート5からローダ4に受渡し位置となる受渡し位置Qが設けられている。ローダ4には、ワークWを保持する機構が設けられている。具体的には、ローダ4は、ワークWの上面(ここでは、電子部品Wbの搭載面)における外縁部に接離する枠体22と、ワークWの下面(ここでは、電子部品Wbの非搭載面)における外縁部に接離するチャック32とを備えている。この枠体22とチャック32とが移動装置(不図示)により移動してワークWを上下方向に挟持可能に構成されている。ローダ4に関し、
図5(a)に正面断面図、
図5(b)に平面断面図を示す。なお、正面断面図は、図を分かり易くするため奥側のチャック32の図示を省略している。このようなローダ4の構成によって、ワークWが受渡し位置Qで保持されて、プレスユニットDのプリヒート部9へ空中搬送される。ローダ4のX-Y方向の移動範囲を
図1中の破線矢印G1、G2で示す。また、移動装置(不図示)によりチャック32(チャック爪32a)がワークWの側方外周部に当接しないように近接可能に構成されるため、ローダ4によってワークWを保持する位置の補正を行うことができる。
【0032】
また、ワーク受渡しユニットC(X1の位置)には、ワークWの所定面に付着したパーティクル(樹脂粉や異物等の塵埃)を除去するクリーニング装置8(詳細は後述)が設けられている。これによれば、ローダ4に保持されたワークWのクリーニングを行うことができ、ワークWにパーティクルが付着した状態でプレスユニットD(プリヒート部9及びプレス部11)へ搬入されることを防止できる。なお、クリーニング装置8を設ける位置は、X1の位置に限定されるものではない。例えば、
図1中における破線で示す位置(X2~X4の位置)のように、クリーニング装置8をワークWがプレスユニットDのプレス部11(モールド金型12)に搬入される前の所定の位置に設ければよい。また、クリーニング装置8を複数位置に設ける構成としてもよい。
【0033】
次に、プレスユニットDには、プリヒート部9及びプレス部11が設けられている。プリヒート部9には、プリヒータ10が設けられている。プリヒータ10は、モールド樹脂Rが供給されたワークWをプリヒートステージ10a上に載置した状態で、所定温度(一例として、100[℃]程度)までプリヒート(予熱)するものである。このプリヒート部9(プリヒータ10)によって所定温度までプリヒートされたワークWは、ローダ4によって保持されてプレス部11(モールド金型12)に搬入される。
【0034】
一方、プレス部11には、上型及び下型を有するモールド金型12が設けられている。本実施形態においては、下型にワークWの載置部が設けられ、上型に可動キャビティが設けられる構成としている。このように構成されたモールド金型12内に、モールド樹脂Rが搭載された状態のワークWを搬入した後、型閉じを行って例えば130[℃]~150[℃]程度まで加熱して樹脂モールド(圧縮成形)を行う構成となっている。なお、一例として、型開閉機構は下型を可動型とし、上型を固定型としているが、これに限定されるものではなく、下型を固定型とし、上型を可動型としてもよく、或いは双方を可動型としてもよい。また、モールド金型12は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。型開閉機構の例として、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)とを備える構成が知られている(何れも不図示)。
【0035】
また、プレス部11には、モールド金型12(ここでは、上型)にリリースフィルムFを供給(搬送)するフィルム搬送機構13が設けられている。このフィルム搬送機構13を備えて、キャビティを含む上型クランプ面にリリースフィルムFが吸着保持されるように構成されている。ここで、リリースフィルムFは、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れた長尺状に連なるフィルム材が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等が好適に用いられる。リリースフィルムFは、繰出しロールF1から繰出されて、上型クランプ面を経て巻取りロールF2に巻取られるように供給(搬送)される。なお、長尺状のフィルムに替えてワークWに対応した必要なサイズに切断された短冊状のフィルムを用いる構成としてもよい。
【0036】
次に、冷却ユニットEには、モールド金型12から取出されたワークWの冷却を行う冷却ステージ14が設けられている。動作例として、樹脂モールド動作が完了し、モールド金型12が型開きした状態において、ローダ4がモールド金型12内に進入してワークWを保持して取出す。ワークWは、ローダ4に保持されたままプレスユニットDから冷却ユニットEへ搬送され、冷却ステージ14に受渡されて冷却が行われる。なお、冷却後のワークWは、後工程(ダイシング工程等)に搬送される。
【0037】
続いて、本実施形態に係るクリーニング装置8の構成について詳しく説明する。
図2は、本実施形態に係るクリーニング装置8の構成例を示す正面断面図(
図4のII-II線断面図)である。
図3は、本実施形態に係るクリーニング装置8の構成例を示す平面図である。
図3(a)(b)に、吸引口46aに関する各々別の構成例を示す。
図4は、本実施形態に係るクリーニング装置8の構成例を示す側面図(左側面図)である。
図5は、本実施形態に係るクリーニング装置8を上型に可動キャビティを有する圧縮成形装置の電子部品Wbが搭載されていないワークW裏面のクリーニングに適用した例を説明する説明図である。
図6は、本実施形態に係るクリーニング装置8を下型に可動キャビティを有する圧縮成形装置に適用した例を説明する説明図である。
図7は、本実施形態に係るクリーニング装置8を電子部品Wbが搭載されているワークW表面のクリーニングに適用した例を説明する説明図である。
図8は、本実施形態に係るクリーニング装置8のブラシ本体48に係る他の実施例を説明する説明図である。
【0038】
本実施形態に係るクリーニング装置8は、ワークWの所定面に付着したパーティクル(樹脂粉や異物等の塵埃)を除去する(ワークWの所定面のクリーニングを行う)装置である。本実施形態に係るクリーニング装置8は、プレス部11よりワークWの搬送経路の上流側で重なる位置に設けられている。以下、先ずはクリーニング装置8として、ワーク受渡しユニットC(X1の位置)に設けられて、ワークWの電子部品Wbが搭載されていないワークW裏面のクリーニングを行う構成を例に挙げて説明する。
【0039】
本実施形態に係るクリーニング装置8は、
図2に示すように、例えばY方向を長手方向としX方向を短手方向として、Z方向に起立するブロック状に形成されたクリーニングヘッド本体42を備えている。なお、クリーニングヘッド本体42は、必ずしも上記形態に限られるものではない。さらにワークWに対して細長いクリーニングヘッド本体42に限らず、ワークWと略同形(正方形型)のクリーニングヘッド本体42であっても良い。
【0040】
クリーニングヘッド本体42の近傍には、ワークWの下面(ここでは、電子部品Wbの非搭載面である裏面)にイオン風を吹き付ける除電用ブロー54が設けられている。除電用ブロー54は、一例として、公知のイオナイザを備え、ワークWの下面にイオン風を吹き付けることで静電気を除去し、パーティクルが付着し難くすると共に除去し易くする。
【0041】
同じくクリーニングヘッド本体42の近傍には、ワークWの下面にエアーを吹き付けるエアブロー(不図示)が設けられていても良い。一例として、ブロアに接続された配管を備え、エアーを吹き付けることでパーティクルを吹き飛ばして除去する。
【0042】
また、クリーニングヘッド本体42の上端面42aには、短手方向(X方向)中央部に吸引口46aが設けられている。クリーニングヘッド本体42内には、吸引口46aに連なる配管路を備えた吸引部46が設けられている。吸引部46は、集塵機(不図示)と接続され、吸引口46aよりエアー吸引するようになっている。吸引口46aを備えた吸引部46は、
図3(a)(b)に示すように、クリーニングヘッド本体42の長手方向(Y方向)に複数個所に設けられている。
【0043】
吸引口46aは、例えば
図3(a)に示す小孔や
図3(b)に示す長孔等で構成されている。孔の形状、サイズ(径、長さ、幅、面積)、数及び粗密は適宜設定すればよい。例えば本実施形態に係る樹脂モールド装置1が顆粒状のモールド樹脂Rを供給する構成である場合には、孔のサイズ(例えば、小孔の直径又は長孔の短手幅)を顆粒の最大径(例えば、2.5[mm])より大きく形成する(例えば、3[mm]程度)ことが好ましい。これによれば、ワークWのモールド樹脂Rの非供給面に付着した異物としての顆粒状樹脂を吸引口46aから吸引することができる。なお、集塵機の動作は、制御部(不図示)によって制御される。
【0044】
また、クリーニングヘッド本体42の上端部には、短手方向(X方向)両面に一対のブラシ本体48が各々ねじ留め固定されている。ブラシ本体48は、クリーニングヘッド本体42の長手方向(Y方向)に沿って延設され、上端部にはブラシ毛48aが植毛されている。
図3(a)(b)に示すように、クリーニングヘッド本体42の上端面42aは、平面視すると吸引口46aが短手方向(X方向)両側に起立する一対のブラシ毛48aによって囲まれている。なお、ブラシ本体48及びブラシ毛48aは、クリーニングヘッド本体42の上端面42aの吸引口46aを挟んだ一方側のみ設けられていてもよい。
【0045】
ブラシ本体48は、ねじ穴を上下方向(Z方向)にやや緩く形成することにより、所定程度上下動可能に設けられている。また、ブラシ本体48のクリーニングヘッド本体42に対する取付位置(ここでは、高さ位置であるZ方向の位置)が、変更可能に構成されている。また、ブラシ本体48は一体物であっても良いが、複数に分割されていても良く、複数に分割されている場合は、ワークWの反りに合わせて上下方向に取付位置を調整することができる。なお、
図2~
図4に示すように、クリーニングヘッド本体42には、ブラシ毛48aの高さ位置(Z方向の位置)を可変とするアクチュエータ44が設けられている。アクチュエータ44は、一例として、サーボ機構を備え、クリーニングヘッド本体42の下端部に連結されてクリーニングヘッド本体42を上下駆動させる。また、少なくともブラシ毛48aがESD(Electro Static Discharge:静電気放電)材料を用いた除電ブラシで形成されていることが好ましい。これによれば、ワークWの下面に静電付着した樹脂を除電ブラシにより除電する事によりワークWの帯電防止と容易に樹脂をワークWより剥離させることができるとともにワークWの上面(特に、下面に近い外縁部)に載置されたモールド樹脂R(例えば、顆粒)がワークWの下面に当接するブラシ毛48aに吸着してしまうことを防止できる。
【0046】
なお、ブラシ本体48に代えて、又はブラシ本体48と共に、スポンジ状の粘着性ローラー(不図示)を設けられていてもよい。粘着性ローラーは、ワークWの下面に当接することでパーティクルを貼り付けて除去する。
【0047】
ここで、クリーニング装置8は、
図1に示すように、ワークWの搬送経路に重なる位置に設けられている。具体的には、例えばプリヒート部9の直前の位置(X1の位置)に、クリーニングヘッド本体42の長手方向(Y方向)とローダ4により搬送されるワークWの搬送方向(X方向)とが直交するように配置されている。なお、エアブロー及び除電用ブロー54の動作、並びにアクチュエータ44の駆動は、制御部(不図示)によって制御される。
【0048】
上記構成によれば、クリーニング装置8はプレス部11よりワークWの搬送経路の上流側でワークWと重なる位置に設けられているので、ワークWがモールド金型12に搬入される前にワークWの下面(ここでは、電子部品Wbの非搭載面である裏面)に付着したパーティクルを吸引して除去することができる。また、クリーニング装置8がプリヒート部9の直前位置に設けられていると、ワークWの下面に付着したパーティクル(例えば、樹脂粉や異物としての顆粒状樹脂)がプリヒートにより加熱硬化してしまうことを防止できる。また、ローダ4により搬送されるワークWにクリーニングヘッド本体42の上端面42aを対向配置させ、ブラシ本体48に植毛されたブラシ毛48aをワークWの下面に当接させたままローダ4がワークWを搬送する際に擦り落としたパーティクルを吸引口46aから吸引して除去することができる。その結果、成形品質の低下(例えば、コンタミネーションやTTVのばらつき)を防止できる。
【0049】
ここで、ブラシ本体48のクリーニングヘッド本体42に対する高さ位置(Z方向の位置)は、例えば
図5(a)に示すように、X方向に移動するローダ4のチャック爪32aに対して、ブラシ毛48aの一部が干渉する程度の位置に設定すればよい。これによれば、ローダ4はクリーニングヘッド本体42に妨げられることなく進行することができ、且つローダ4の進行に伴ってワークWの下面にブラシ毛48aを当接させることができる。
【0050】
一方、前述のブラシ毛48aの高さ位置(Z方向の位置)を可変とするアクチュエータ44によりクリーニングヘッド本体42を上下駆動させて、ワークW搬送時に下面にブラシ毛48aの当接及び離間駆動を複数回行ってもよい。この場合、例えばローダ4のチャック爪32aに対してはブラシ毛48aとの干渉を避けたり、ワークWに対してはクリーニングヘッド本体42を適切に押し当てて、より確実にブラッシングすることができる。なお、樹脂モールド装置1の所定位置に、ワークWの品種データ(例えば、キャリアWaの形状、サイズ(径、厚み等)、材料等に関する情報)を記憶する記憶部(不図示)を設ける構成としてもよい。この場合、アクチュエータ44駆動制御を行う制御部が、ブラシ毛48aの高さ位置(Z方向の位置)、当該品種データに基づいてワークWに応じた所定の位置に調整することができる。
【0051】
また、クリーニングヘッド本体42のサイズは限定されないが、例えば
図5(b)に示すように、ワークWの搬送方向(X方向)と直交する長手方向(Y方向)の幅をワークW(キャリアWa)の最大幅以上に設定するとよい。これによれば、ワークWの下面の全領域のクリーニングを行うことができる。
【0052】
なお、他の実施例として、
図8に示すように、ブラシ本体48をワークWの搬送方向(X方向)に対して直角方向(Y方向)に複数に分割させ、分割された各ブラシ本体48b、48c、48dのクリーニングヘッド本体42に対する取付位置(ここでは、高さ位置であるZ方向の位置)が、個々変更可能に構成されるため、ブラシ本体48(ブラシ毛48a)を更に細かく上下動させることができる。従って、ブラシ毛48a先端の全領域をワークWに反りが発生していた場合であっても、より確実に当接させることができる。その結果、ブラシ毛48aの接触面積を広く維持してより確実にブラッシングすることができる。ブラシ本体48を分割する数は限定されず、各ブラシ本体48b、48c、48dが均一なサイズに分割されなくてもよい。なお、
図8に示すように、クリーニングヘッド本体42には、分割されたブラシ毛48aの高さ位置(Z方向の位置)を個々可変とする移動装置50が設けられていてもよい。移動装置50は、一例として、サーボ機構を備え、分割された各ブラシ本体48b、48c、48dに個別に連結されて各ブラシ本体48b、48c、48dを個々上下駆動させる。これによれば、仮にローダ4によって保持されたワークWに撓みが生じた場合でも、分割された各ブラシ本体48b、48c、48dの高さ位置を個々に調整することができるため、ブラシ毛48a先端の全領域をワークWにより確実に当接させることができる。
【0053】
更に他の実施例として、クリーニングヘッド本体42をワークWの搬送方向(X方向)に対して直角方向(Y方向)に複数に分割すると共に、アクチュエータが分割された各クリーニングヘッド本体(例えば、下端部)に個別に連結されて各クリーニングヘッド本体を個々上下駆動させる構成(不図示)としてもよい。この場合も、クリーニングヘッド本体42に設けられたブラシ本体48が複数に分割される。従って、各クリーニングヘッド本体を個々上下駆動させることによって分割された各ブラシ本体48b、48c、48dを各々上下駆動させることもできる。
【0054】
また、クリーニング装置8を、プリヒート部9とプレス部11との間(X2の位置)に設けてもよい。この場合も、クリーニング装置8はプレス部11よりワークWの搬送経路の上流側でワークWと重なる位置に設けられているので、ワークWがモールド金型12に搬入される前にワークWの下面(ここでは、電子部品Wbの非搭載面である裏面)に付着したパーティクルを吸引して除去することができる。また、クリーニング装置8が、プリヒート部9とプレス部11との間に設けられていると、その後の搬送が無いため再付着が無く、ワークWと共にプレス部11へパーティクルが搬入されることを防止して成形品質を向上させることができる。なお、ローダ4によって保持されたワークWは、プリヒート部9とプレス部11との間をY方向に搬送される(
図1中の破線矢印G2参照)。従って、X2の位置には、前述のX1の位置に設けるクリーニング装置8を、水平方向に90[°]回転させて(左右方向は問わない)取付ければよい。
【0055】
このように、本実施形態に係るクリーニング装置8を、ワークWがプレスユニットDのプレス部11(モールド金型12)に搬入される前の所定の位置、すなわちプレス部11(モールド金型12)よりワーク搬送径路の上流側でワークWと重なる位置に設ければよい。これによって、ワークWにパーティクルが付着した状態でモールド金型12に搬入されることを防止できる。勿論、クリーニング装置8を複数位置(例えば、X1の位置及びX2の位置の両方)に設ける構成としてもよい。この場合、より確実にワークWのクリーニングを行うことができる。
【0056】
また、本実施形態に係るクリーニング装置8は、これまで説明したワークWの電子部品Wbが搭載されていないワークW裏面のクリーニングを行うクリーニング装置8(以下、「クリーニング装置8a」と表記する)に対して、ワークWの電子部品Wbが搭載されているワークW表面のクリーニングを行うクリーニング装置8(以下、「クリーニング装置8b」と表記する)として構成してもよい。具体的には、クリーニング装置8aを上下に反転させてブラシ本体48を取り除き、ワークWの搬送経路の上部に取付けることにより、ローダ4に保持されたワークWがクリーニングヘッド本体42の下部を通過する構成とする(
図7参照。
図7は搬送レール2cにワイヤ接続された半導体チップWbで樹脂が搭載される前のワークWが搬送されているが、クリーニングヘッド本体42は同じものである)。これによれば、ワークWの上面(ここでは、電子部品Wbの搭載面である表面)のクリーニングを行うことができる。従って、クリーニング装置8aを、例えばX1、X2の位置に設け、クリーニング装置8bをX3、X4の位置に設けることにより、樹脂モールド装置1全体で一対のモールド金型12に挟まれるキャリアWaの電子部品Wbの搭載面及び非搭載面のクリーニングを行って、成形品質の低下(例えば、コンタミネーションやTTVのばらつき)を防止できる。また、モールド金型12に直接接触する可能性のある搭載面や非搭載面のクリーニングを行って、モールド金型12にパーティクルが付着して汚染されることを防止できる。
【0057】
なお、X4の位置におけるワークW上には、樹脂供給ユニットBで供給されたモールド樹脂Rが載置されている。従って、これらの位置にクリーニング装置8bを設ける場合、クリーニング装置8bによってこのモールド樹脂Rが吸引されないように構成する必要がある。具体的には、ブラシ本体48及びエアブローを設けない構成とすることが好ましい。また、吸引力を相対的に弱める、又は吸引のタイミングをずらす等、吸引部46の駆動を適宜調整したり、或いは吸引口46aの孔のサイズをモールド樹脂R(例えば、顆粒)の最大径より小さく形成して、樹脂粉等の微粒子のみを吸引可能とし、モールド樹脂Rを吸引不可能に構成することが好ましい。
【0058】
具体的には、クリーニング装置8bを、ワークWにモールド樹脂Rが供給される前の位置に設けてもよい。一例として、クリーニング装置8bを、ワーク供給ユニットAと樹脂供給ユニットBとの間(X3の位置)に設けてもよい。これによれば、搬送部本体2aによって保持されたワークWがワーク供給ユニットAから樹脂供給ユニットBへ搬送される際に、クリーニングヘッド本体42をワークWの搬送経路の上部に設けて、上面(ここでは、電子部品Wbの搭載面である表面であってモールド樹脂Rの供給面)のクリーニングを行うことができる。従って、ワークWにパーティクルが付着した状態で樹脂供給ユニットB(樹脂供給ステージ7)へ搬入されることを防止できる。その結果、モールド樹脂RがワークW上に供給される際に、モールド樹脂Rにパーティクルが混入することを防止できる。
【0059】
一方、クリーニング装置8bを、ワークWにモールド樹脂Rが供給された後の位置に設けてもよい。一例として、クリーニング装置8bを、樹脂供給ユニットBとワーク受渡しユニットCとの間(X4の位置)に設けてもよい。これによれば、搬送部本体2aによって保持されたワークWが樹脂供給ユニットBからワーク受渡しユニットCへ搬送される際に、クリーニングヘッド本体42をワークWの搬送経路の上部に設けて、上面(ここでは、電子部品Wbの搭載面である表面であってモールド樹脂Rの供給面)のクリーニングを行うことができる。従って、樹脂供給ユニットB(樹脂供給ステージ7上)でモールド樹脂Rが供給された際の樹脂粉等の舞い上がり等に起因してワークWの上面に付着したパーティクルを除去することができる。その結果、ワークWにパーティクルが付着した状態でプレスユニットD(プリヒート部9及びプレス部11)へ搬入されることを防止できる。
【0060】
なお、X4の位置に設けられるワークW上には、樹脂供給ユニットBで供給されたモールド樹脂Rが載置されている。従って、クリーニング装置8bを、前述と同様に、ワークW上のモールド樹脂Rが吸引されないように構成する必要がある。
【0061】
このように、ワークWの電子部品Wbが搭載されているワークW表面のクリーニングを行うクリーニング装置8bも、ワークWの電子部品Wbが搭載されていないワークW裏面のクリーニングを行うクリーニング装置8aと同様に、ワークWがプレスユニットDのプレス部11(モールド金型12)に搬入される前の所定の位置、すなわちプレス部11(モールド金型12)よりワーク搬送径路の上流側でワークWと重なる位置に適宜設ければよい。
【0062】
また、本実施形態に係るクリーニング装置8は、下型に可動キャビティを有する圧縮成形装置にも適用できる。すなわち、少なくともクリーニング装置8a及びクリーニング装置8bの何れか一方を、プレス部11よりワークWの搬送経路の上流側でワークWと重なる位置に設ければよい。例えば、
図6に示すように、クリーニング装置8aを上下反転させた構成にし、搬送具2b(例えば、搬送ローダ)により保持されたワークWの搬送経路の上部に取付けて、ワークWの上面(ここでは、電子部品Wbの非搭載面である裏面)のクリーニングを行う構成とすればよい(なお、本例では搬送具2bはX方向に移動する)。
【0063】
また、本実施形態に係るクリーニング装置8は、トランスファモールド装置にも適用できる。すなわち、少なくともクリーニング装置8a及びクリーニング装置8bの何れか一方を、プレス部11よりワークWの搬送経路の上流側でワークWと重なる位置に設ければよい。この場合、プレス部11より前に樹脂はワークWに搭載されないがタブレットの欠けや成形後の樹脂フラッシュが飛散するため有効である。例えば、
図7に示すように、クリーニング装置8bを搬送具2c(例えば、搬送レール)により保持されたワークWの搬送経路の上部に取付けて、ワークWの上面(ここでは、電子部品Wbの搭載面である表面)のクリーニングを行う構成とすればよい(なお、本例では搬送具2cはY方向に移動する)。
【0064】
このように、本実施形態に係るクリーニング装置8を、下型に可動キャビティを有する圧縮成形装置又はトランスファモールド装置に適用した場合も、ワークWがモールド金型12に搬入される前にワークWのクリーニングを行ってパーティクルを除去することができるため、ワークWにパーティクルが付着した状態でモールド金型12に搬入されることを防止できる。
【0065】
更に、本実施形態に係るクリーニング装置8に関し、本実施形態に係る樹脂モールド装置1を以下の構成としてもよい。すなわち、電子部品WbがキャリアWaに搭載されたワークW及びモールド樹脂Rを圧縮成形するモールド金型12を備えると共に、ワークWとモールド樹脂Rとが別々にモールド金型12に搬入される構成(例えば、下型に可動キャビティを有する圧縮成形装置)において、モールド樹脂Rをモールド金型12に搬入する樹脂モールド搬送具(不図示)にモールド樹脂Rが供給された後の位置にクリーニング装置8を備え、クリーニング装置8は、樹脂モールド装置1内に浮遊するパーティクル(塵埃)を吸引する吸引部46を有する構成である。
【0066】
上記の構成によれば、モールド樹脂Rが供給された後の位置にクリーニング装置8を設けることにより、モールド樹脂Rが供給された際の樹脂粉等の舞い上がりに起因して浮遊するパーティクルを吸引部46により吸引することができる。従って、樹脂モールド装置1内にパーティクルが拡散することを防止できる。その結果、成形品質の低下(例えば、コンタミネーションやTTVのばらつき)を防止できる。また、ワークWを供給するモールド金型12に搬入される構成においては、ワークWの搬送経路にワークWの電子部品Wbの非搭載面である裏面のクリーニングを行うクリーニング装置8aを備える事でモールド金型12にパーティクルを搬入させてしまうことを防止することができる。
【0067】
(ワークのクリーニング方法)
本実施形態に係る電子部品WbがキャリアWaに搭載されたワークWのクリーニング方法は、ワークWの搬送経路と重なる位置にワークWに当接するクリーニング装置8が設けられており、ワークWとクリーニング装置8とを相対移動させてワークWの電子部品Wbが搭載されていないワーク裏面をクリーニングする方法である。本実施形態では、ワークWの対象面の全領域とクリーニング装置8とが重なるように移動させて、ワークWの対象面の全領域のクリーニングを行うことができる。このとき、少なくともワークWとクリーニング装置8との何れか一方を移動させればよい。仮にワークWを移動させる場合、ワーク搬送を利用することができ、機構の簡素化及び製造コストの低下を実現できる。なお、前記クリーニング装置8に、適宜ブラシ毛48a及び吸引部46を設ければよい。
【0068】
本実施形態に係る方法によれば、ワークWの搬送経路においてクリーニングを行ってワークWがモールド金型12に搬入される前にパーティクル(塵埃)を除去することができる。従って、ワークWにパーティクルが付着した状態でモールド金型12に搬入されることを防止できる。
【0069】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、ワークとして矩形状のプレートに複数の半導体チップが行列状に搭載された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、被搭載部材としてプレートに代えてその他部材等を用いたワーク、或いは、搭載部材として半導体チップに代えてその他電子部品や素子等を用いたワーク等であっても同様に樹脂モールドを行うことができる。また、ワークは大きい程、撓みが生じ易いが、必ずしも一辺500[mm]のような大きなワークでなくても、いわゆる100×300[mm]以下の樹脂基板やリードフレームのストリップ基板のような通常の大きさのワークに対しても本発明の構成を適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 樹脂モールド装置
2 ワーク搬送部
4 ローダ
5 ホルダープレート
6 ディスペンサ
8、8a、8b クリーニング装置
9 プリヒート部
10 プリヒータ
11 プレス部
12 モールド金型
13 フィルム搬送機構
22 枠体
32 チャック
42 クリーニングヘッド本体
44 アクチュエータ
46 吸引部
48、48b、48c、48d ブラシ本体
50 移動装置
A ワーク供給ユニット
B 樹脂供給ユニット
C ワーク受渡しユニット
D プレスユニット
E 冷却ユニット
F リリースフィルム
R モールド樹脂
W ワーク