(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】電子制御可能なバルブおよびミキシングバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 11/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
F16K11/00 A
(21)【出願番号】P 2020506214
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 NZ2018050108
(87)【国際公開番号】W WO2019031971
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-26
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】520036765
【氏名又は名称】ウノヴァ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UNOVA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ジェロムソン,ピーター ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ホートン,ブラッドリー ジェイムズ
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-058895(JP,A)
【文献】国際公開第2016/118528(WO,A1)
【文献】実開昭63-168372(JP,U)
【文献】特開2013-104441(JP,A)
【文献】特開平06-026583(JP,A)
【文献】特表2008-527220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジであって、
・少なくとも2の流体入口および少なくとも1の流体出口と、
・少なくとも1の温度センサと、
・少なくとも1の可動バルブ部材、および可動バルブ部材を移動させるように構成された少なくとも1のアクチュエータと、
・入力装置からの入力を受信するように構成されるとともに、温度センサからの入力を受信して、アクチュエータの動作を制御するように構成された電子制御システムとを備え
、
前記バルブカートリッジは、前記少なくとも2の流体入口および前記少なくとも1の流体出口を含む単一の実質的に平坦な合わせ面を有し、前記バルブカートリッジは、機械的固定システムを使用して前記バルブカートリッジの前記合わせ面を相補的な固定式バルブ継手にしっかりと保持し、前記合わせ面と前記固定式バルブ継手との間に漏れ防止シールを形成するように構成されることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブカートリッジにおいて、
前記アクチュエータ
又は各アクチュエータには電気モータが含まれることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブカートリッジにおいて、
流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向が、電気モータの回転軸に実質的に沿った流れの方向であることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
アクチュエータには線形アクチュエータが含まれることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブカートリッジにおいて、
流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向が、可動バルブ部材の移動方向に実質的に一致する流れの方向であることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
前記相補的な固定式バルブ継手
は、
配管設備のパイプに接続可能で相補的な流体出口および1または複数の流体入口を有する
継手であることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブカートリッジにおいて、
前記バルブカートリッジ
の前記合わせ面は、バルブカートリッジの各流体入口および流体出口と固定式バルブ継手との間に密封接続を確立するように構成され
ていることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
バルブカートリッジが、2以上の流体の流れを混合するように構成された混合チャンバを含み、この混合チャンバが、可動バルブ部材の下流かつ少なくとも1の温度センサの上流に位置することを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載のバルブカートリッジにおいて、
バルブカートリッジは、流体が混合チャンバに近付く際に流体が流れる移送通路を含み、この移送通路が、混合チャンバ内で渦運動を生成するように構成されていることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブカートリッジにおいて、
混合チャンバが実質的に円筒形であり、移送通路が、円筒形の混合チャンバの外周を規定する円の実質的に接線方向に流体をそれぞれ導くように構成されていることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項11】
請求項9または10に記載のバルブカートリッジにおいて、
移送通路の断面積が、混合チャンバに向かう流れの方向に沿って減少することを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
バルブカートリッジが、流量検知手段も含むことを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブカートリッジにおいて、
流量検知手段が、混合チャンバ内の渦巻く流体によって回転する回転要素を含むことを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のバルブカートリッジにおいて、
温度センサの温度検知素子が、プローブまたはシャフトに支持されており、
前記流量検知手段の回転要素が、シャフトまたはプローブと同軸の軸を中心に回転することを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項15】
請求項4乃至14の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
線形アクチュエータがリードスクリューアセンブリを含むことを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
可動バルブ部材がセラミックバルブ部材であることを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか一項に記載のバルブカートリッジにおいて、
可動バルブ部材が細長い形状であり、可動バルブ部材の直線運動が、細長い形状の長さ方向に沿うことを特徴とするバルブカートリッジ。
【請求項18】
電子制御可能なミキシングバルブアセンブリであって、
請求項1乃至17の何れか一項に記載の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと、固定式バルブ継手とを含み、
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジが、機械的固定システムにより固定式バルブ継手に接続可能であり、
固定式バルブ継手が、建物の配管システムに接続可能であり、バルブカートリッジの少なくとも2の流体入口に流体を導き、バルブカートリッジの少なくとも1の流体出口から流体を受け入れるように構成されるとともに、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの
合わせ面と、固定式バルブ継手の相補的な
合わせ面との間に漏れ防止シールを確立するように構成されていることを特徴とする電子制御可能なミキシングバルブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御可能なミキシングバルブに関し、特に、衛生目的に適した電子制御可能なミキシングバルブに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
何年もの間、様々なバルブ製造業者や他のイノベータが、衛生ミキシングバルブとして使用するための種々のタイプの電子制御可能なバルブを開発している。それらのバルブは、例えば、シャワーヘッドや洗面台に均一な温度の温水を供給するために使用されている。
【0003】
バルブは、通常、電子制御システム、アクチュエータおよび温度検出素子などを含むハウジング内に収容される。また、ハウジングは、温水と冷水の別々の入口と、混合水出口も有する。
【0004】
ミキシングバルブパッケージは、リモート制御パネルから制御されることが多く、サーモスタットで制御された水をシャワーヘッドまたは蛇口に供給する。
【0005】
それらのデバイスは非常に大きくなることがあり、このため、多くの場合、住居の壁の空洞、食器棚、ロフトまたは天井のスペースに取り付けられる。現在利用可能なデバイスの一般的なサイズは、250×200×70mm程度である。デバイスは通常非常に高価であり、それらの一部は重大な信頼性の問題を抱えている。デバイスは住居の配管に直接接続され、その接続には、通常、水密ネジ接続のアセンブリが必要とされる。
【0006】
取り外しを促進するために、例えばネジおよび密封ジョイントなどの多くの水密配管接続を切断しなければならないのに加えて、デバイスの狭い場所によって、多くの場合、デバイスの交換が困難で費用がかかる。或いは、例えば、食器棚やロフトなど、簡単にアクセスできるエリアにそれらが配置されている場合、シャワーからある程度離れているため、所望の温度に設定してからシャワーヘッドでその温度の水を受け取るまでの時間差が大きくなる可能性がある。
【0007】
信頼性の問題、交換コスト、デバイスへのアクセスの困難さや、デバイスの取り外しと交換の困難さによって、それらの製品の消費者の支持や購入の速度が遅くなっている。
【0008】
必要なのは、より小さく、より容易に設置でき、問題が発生した場合の修理または交換がより簡単である、電子制御可能なミキシングバルブ構成である。サイズを小さくすると、ミキシングバルブをより望ましい場所、例えばシャワーヘッドの近傍や、インターフェースユニットのカバープレートの下方に配置することができる。電子制御可能なミキシングバルブがよりシンプルで信頼性が高く、製造コストが低いことも、有用であると考えられる。
【0009】
本明細書では、反対のことが明示的に述べられていない限り、文書、行為または知識項目が引用または検討されている場合、その引用または検討は、文書、行為または知識項目、またはそれらの組合せが、優先日に、公表され、公知であり、共通の一般知識の一部であるか、あるいは本明細書が対象とする何れかの問題を解決する試みに関連していることが知られていることを認めるものではない。
【発明の概要】
【0010】
目的
本発明の目的は、少なくとも上述した問題の1または複数を克服する方向に向かうか、あるいは公衆に有用な選択を提供する、電子制御可能なバルブまたはバルブカートリッジまたはその一部を提供することである。
【0011】
発明の記述
第1の態様において、本発明は、流体制御バルブアセンブリであって、
・可動バルブ部材と、
・少なくとも1の固定バルブ部材と、
・バルブ作動装置とを有し、
使用時に、可動バルブ部材が、バルブ作動装置により、固定バルブ部材に対して直線運動で作動されて、流体制御バルブアセンブリを通る流体の流れを制御するように構成された流体制御バルブアセンブリからなると広く言うことができる。
【0012】
好ましくは、可動バルブ部材および少なくとも1の固定バルブ部材は、セラミック系材料で作られたバルブ部材である。
【0013】
好ましくは、流体制御バルブアセンブリは2つの固定バルブ部材を含み、可動バルブ部材が2つの固定バルブ部材の間に挟まれる。
【0014】
好ましくは、可動バルブ部材および少なくとも1の固定バルブ部材はそれぞれ通路を含み、この通路を通る流体の流れが流体制御バルブアセンブリによって制御される。
【0015】
好ましくは、可動バルブ部材は細長い形状であり、可動バルブ部材の直線運動が、細長い形状の長さ方向に沿ったものとなる。
【0016】
バルブ作動装置は、手動で操作されるレバーまたは回転可能なノブ若しくはハンドル、または電動アクチュエータを含むことができるが、好ましくは、バルブ作動装置が、電気モータを含む電動アクチュエータである。
【0017】
好ましくは、バルブ作動装置は、電気モータおよび線形アクチュエータを含み、線形アクチュエータが可動バルブ部材に結合されている。
【0018】
好ましくは、線形アクチュエータはリードスクリューアセンブリを含み、可動バルブ部材がリードスクリューアセンブリに結合される。
【0019】
好ましくは、電気モータは、リードスクリューアセンブリのネジ付きスピンドルを回転させる。
【0020】
好ましくは、ネジ付きスピンドルは、電気モータの主軸の一体的部分である。
【0021】
好ましくは、リードスクリューアセンブリは、被駆動ナットまたはスリーブを含み、そのナットまたはスリーブが、ネジ付きスピンドル上のネジ山と相補的なネジ山を有する。
【0022】
好ましくは、被駆動ナットまたはスリーブは、可動バルブ部材に連結または結合される。
【0023】
好ましくは、可動バルブ部材は、線形アクチュエータの相補的な結合特徴部を受け入れるように構成されたスロットまたは突起を含み、そのスロットまたは突起は、線形アクチュエータの相補的な結合特徴部がスライドしてスロットまたは突起と係合することを可能にするとともに、流体制御バルブアセンブリの使用中に、可動バルブ部材に対する線形アクチュエータの相補的な特徴部の回転を防ぎ、かつ、可動バルブ部材の意図した移動方向への可動バルブ部材に対する線形アクチュエータの相補的な特徴部の直線運動を防ぐように構成される。
【0024】
好ましくは、スロットまたは突起は、「T」形状の外形を有するスロットまたは突起である。
【0025】
好ましくは、流体制御バルブアセンブリは、可動バルブ部材を固定バルブ部材と密封接触状態に保持するように構成されたバルブ部材ハウジングを含む。
【0026】
好ましくは、バルブ部材ハウジングは、可動バルブ部材の直線運動を案内するように構成されたガイドを含む。
【0027】
好ましくは、バルブ部材ハウジングは、ボックス部材および蓋部材を備え、それら2つのハウジング部材はともにプラスチック材料で作られ、可動バルブ部材および固定バルブ部材の周囲で、一緒に溶接される。任意選択的には、2つのハウジング部材は、機械的留め具で一緒に保持することができ、それらを、例えば真鍮などの金属で作ることができる。
【0028】
好ましくは、電気モータは、バルブ部材ハウジングに対して固定保持される。
【0029】
任意選択的には、少なくとも1の固定バルブ部材は、バルブ部材ハウジングに形成されたバルブシートの形態である。
【0030】
第2の態様では、本発明は、電子制御可能な流体ミキシングバルブ用の混合および検知モジュールであって、本体と温度検知手段を備え、本体が、2以上の入口領域、混合チャンバおよび出口領域を有し、各入口領域が、関連する移送通路によって混合チャンバに接続されており、混合チャンバが、入口領域および出口領域と連通し、各移送通路が、流体が混合チャンバに入るときに流体に渦運動を生じさせるように構成され、温度検知手段の温度検知素子が、流体が出口領域に向かうときまたは出口領域を通るときに流体の温度を検知することができるように配置されている、混合および検知モジュールであると広く言える。
【0031】
好ましくは、混合チャンバは円筒形混合チャンバであり、移送通路はそれぞれ、円筒形混合チャンバの外周を規定する円に実質的に接する方向に流体を導く。
【0032】
好ましくは、移送通路は、入口領域に隣接する断面積が、混合チャンバに隣接する断面積よりも大きい。
【0033】
好ましくは、混合および検知モジュールは、流量検知手段も含む。
【0034】
好ましくは、流量検知手段は、混合チャンバ内で流体を旋回させることにより回転する回転要素を含む。
【0035】
好ましくは、回転要素は、パドルホイールの形態である。
【0036】
好ましくは、温度検知素子は、プローブまたはシャフト上に支持され、回転要素が、シャフトまたはプローブと同軸の軸を中心に回転する。
【0037】
好ましくは、流量検知手段は近接検知トランスデューサを含む。
【0038】
好ましくは、流量検知手段の回転要素は、近接検知トランスデューサによって検知されるように構成された1または複数の磁気検知物体を含む。
【0039】
好ましくは、入口領域に流入する流体の流れと、出口領域から流出する流体の流れはすべて、単一の平面を通る流れである。
【0040】
好ましくは、混合および検知モジュールは2つの入口領域を有する。
【0041】
好ましくは、本体は2つの実質的に平行な面、すなわち、入口領域および出口領域を含む第1の面と、温度検知素子が設置される第2の面とを有し、混合チャンバが第1の面と第2の面の間に位置する。
【0042】
好ましくは、本体は、2以上の流体入口供給部から流体を受け入れ、混合流体を混合流体水路に導くように構成される。
【0043】
第3の態様では、本発明は、本明細書で実質的に特定される2以上の流体制御バルブアセンブリを有するミキシングバルブアセンブリからなると広く言うことができる。
【0044】
好ましくは、ミキシングバルブアセンブリは、本明細書で実質的に特定される少なくとも1の混合および検知モジュールも含む。
【0045】
好ましくは、ミキシングバルブアセンブリは、各混合および検知モジュールから入力を受け取って、各流体制御バルブアセンブリの電動アクチュエータの動作を制御するように構成された制御システムを有する電子制御可能なミキシングバルブアセンブリである。
【0046】
好ましくは、ミキシングバルブアセンブリは、交換可能なバルブカートリッジの形態である。
【0047】
好ましくは、ミキシングバルブアセンブリは、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有し、それらポートのすべてが単一の実質的に平坦な面に位置する。
【0048】
好ましくは、交換可能なバルブカートリッジは、機械的固定システムが交換可能なバルブカートリッジを固定式バルブ継手にしっかりと保持できるように構成される。
【0049】
第4の態様では、本発明は、バルブアセンブリであって、
・可動バルブ部材と、
・バルブシートと、
・電気モータと、
・リードスクリューアセンブリと、
・バルブメンバハウジングとを有し、
バルブ部材ハウジングが、可動バルブ部材をバルブシートに対して保持し、バルブシートに対する可動バルブ部材の直線運動のみを許容するように構成され、リードスクリューアセンブリが電気モータにより駆動されるようにバルブアセンブリが構成され、リードスクリューアセンブリが、可動バルブ部材を移動させて可動バルブ部材の直線運動を生じさせ、バルブアセンブリを通る流体の流れを制御するように構成される、バルブアセンブリからなると広く言うことができる。
【0050】
好ましくは、可動バルブ部材およびバルブシートはセラミック材料で作られている。
【0051】
好ましくは、バルブ部材ハウジングは、上部部材および底部部材を備え、それら2つの部材がともにプラスチック材料で作られ、可動バルブ部材およびバルブシートの周囲で、一緒に溶接される。任意選択的には、2つのハウジング部材は、機械的留め具で一緒に保持することができ、それらを、例えば真鍮などの金属で作ることができる。
【0052】
好ましくは、バルブアセンブリは、セラミック材料からなるトッププレートをさらに含み、可動バルブ部材が、トッププレートとバルブシートとの間に挟まれる。
【0053】
好ましくは、リードスクリューアセンブリのスクリューシャフトまたはリードスクリューは、電気モータによって駆動される。
【0054】
好ましくは、リードスクリューアセンブリの被駆動ナットは、可動バルブ部材に接続される。
【0055】
好ましくは、被駆動ナットは、被駆動スリーブの長さ方向の少なくとも一部に沿って雌ネジを有する被駆動スリーブの形態である。
【0056】
好ましくは、被駆動スリーブは、被駆動スリーブが可動バルブ部材に対して回転できないように可動バルブ部材に接続される。
【0057】
好ましくは、可動バルブ部材は「C」字形通路を含み、バルブアセンブリが開いた構成にあるときに、「C」字形通路の第1の開口端はバルブシート部材の第1の通路と連通し、「C」字形通路の第2の開口端はバルブシート部材の第2の通路と連通する。
【0058】
任意選択的には、可動バルブ部材は、可動バルブ部材の一方の側から他方の側に至る貫通通路を含み、バルブアセンブリが開いた構成にあるときに、貫通通路が、バルブシートの通路および上部部材の通路と連通する。
【0059】
好ましくは、バルブ部材ハウジングは、流体入口ポートおよび流体出口ポートを有する。
【0060】
第5の態様では、本発明は、本明細書で実質的に特定される2以上のバルブアセンブリを含むバルブモジュールアセンブリから構成されると広く言うことができる。
【0061】
第6の態様では、本発明は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジであって、
・少なくとも2の流体入口および少なくとも1の流体出口と、
・少なくとも1の温度センサと、
・少なくとも1の可動バルブ部材、および可動バルブ部材を移動させるように構成された少なくとも1のアクチュエータと、
・入力装置および温度センサからの入力を受信して、アクチュエータの動作を制御するように構成された電子制御システムとを備え、
バルブカートリッジが、相補的な固定式バルブ継手と係合するように構成され、固定式バルブ継手が、1または複数の支持部材に固定可能であり、配管設備のパイプに接続可能であり、かつ相補的な流体出口および流体入口を有し、カートリッジと固定式バルブ継手との間の係合によって、バルブカートリッジの各流体入口および各流体出口と、固定式バルブ継手の相補的な流体出口および流体入口との間に密閉接続を確立することができる、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジからなると広く言うことができる。
【0062】
好ましくは、流体入口および各流体出口を通る流体の流れの方向は、可動バルブ部材の移動方向と実質的に一致する流れ方向である。
【0063】
好ましくは、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、本明細書で実質的に特定される少なくとも1のバルブモジュールアセンブリを含む。
【0064】
好ましくは、アクチュエータは電動アクチュエータである。
【0065】
好ましくは、バルブカートリッジの各流体入口および各流体出口と、固定式バルブ継手の相補的な流体出口および流体入口との間の密封接続は、バルブカートリッジの表面と固定式バルブ継手の表面との間に流体密封シールを提供するエラストマーシールを含む。
【0066】
好ましくは、バルブカートリッジは、交換可能なバルブカートリッジの形態である。
【0067】
好ましくは、バルブカートリッジは、機械的固定システムがバルブカートリッジを固定式バルブ継手にしっかりと保持できるように構成される。
【0068】
好ましくは、機械的固定システムは、差込式固定システム、または1または複数の機械的固定具、例えば小ネジを含む。
【0069】
好ましくは、可動バルブ部材は、セラミックバルブ部材である。
【0070】
好ましくは、バルブカートリッジは、セラミック可動バルブ部材と係合するように構成されたセラミックバルブシートを含む。
【0071】
好ましくは、電動アクチュエータは電気モータを含む。
【0072】
好ましくは、電動アクチュエータは線形アクチュエータを含む。
【0073】
好ましくは、線形アクチュエータはリードスクリューアセンブリを含む。
【0074】
好ましくは、流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向は、線形アクチュエータの動作方向と実質的に一致する流れの方向である。
【0075】
好ましくは、電子制御システムは、電磁信号を介して、例えば、WiFi、Bluetoothまたは誘導データ転送を介して、ローカルまたはリモート入力装置またはユーザインターフェースからの入力を受信するように構成される。
【0076】
任意選択的には、電子制御システムは、手動操作ノブ、レバーまたは同様の手動制御デバイスを有するローカル入力装置またはユーザインターフェースから機械的入力を受け取るように構成されている。
【0077】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジはユーザインターフェースを含む。
【0078】
好ましくは、電子制御システムは閉ループ制御システムである。
【0079】
好ましくは、温度センサは、バルブカートリッジの流体出口内に配置される。
【0080】
好ましくは、バルブカートリッジの流体出口に通じる1または複数の水路は、流体出口を通って流れる流体に渦を引き起こすように構成される。
【0081】
好ましくは、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、流体混合チャンバを含む。
【0082】
好ましくは、流体混合チャンバは、
・2以上の別々の供給源から流体の流れを受け入れ、
・流体の流れを組み合わせ、かつ、
・流体の流れが出会ったときにそれらを能動的に混合する
ように構成された流体混合モジュール内に位置する。
【0083】
好ましくは、流体混合モジュールは、流体の流れが出会う領域で流体の流れを旋回させることにより、流体の流れを能動的に混合する。
【0084】
好ましくは、流体混合モジュールは、流体の流れが出会う混合チャンバを含み、混合チャンバは、流入する流体の流れが混合チャンバに入る領域に第1の直径を有し、混合流体が混合チャンバから出る位置に、第2のより小さい直径を有する。
【0085】
好ましくは、混合チャンバは、第1の直径から第2の直径への移行部に丸みを帯びた漏斗状部分を含む。
【0086】
好ましくは、流体混合モジュールは、2つの流体の流れを混合するように構成され、2つの流体の流れはそれぞれ、混合チャンバの反対側から混合チャンバに入る。
【0087】
好ましくは、流体混合モジュールは、流体の流れがそれぞれ、第1の直径によって規定される混合チャンバの一部の外周に実質的に接する方向から、混合チャンバに入るように構成される。
【0088】
好ましくは、流路が混合チャンバに近付くに連れて、混合チャンバに入る流体用の流体混合モジュール内の流路が狭くなる。
【0089】
好ましくは、流体混合モジュールは、少なくとも1の温度センサを収容するように構成される。
【0090】
好ましくは、流体混合モジュールは、混合流体が流出するモジュールの出口部分内に少なくとも1の温度センサを収容する。
【0091】
好ましくは、流体混合モジュールによって収容される少なくとも1の温度センサは、流体が混合モジュールを出るときに流体温度を検知するように配置される。
【0092】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、1または複数の流量センサを含む。
【0093】
好ましくは、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、蓄積された電気エネルギーを保持するための手段、例えば、コンデンサまたは1または複数のバッテリ用の設備を含む。
【0094】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、流体がバルブカートリッジを通って流れるときに電気エネルギーを生成するように構成されたタービン発電機を含む。
【0095】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、緊急遮断弁、例えば、選択温度を超える流体がバルブカートリッジから出るのを防ぐように構成されたワックスチューブ作動シャットオフまたはダイバータバルブを含む。
【0096】
好ましくは、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、バルブカートリッジの各流体入口および各流体出口が単一の合わせ面に位置し、固定式バルブ継手の単一の合わせ面上の流体出口および流体入口と係合するように構成される。
【0097】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、バルブカートリッジの流体入口がバルブカートリッジの第1の合わせ面に位置し、バルブカートリッジの各流体出口がバルブカートリッジの第2の合わせ面に位置するように構成されるとともに、バルブカートリッジは、固定式バルブ継手のソケットまたはキャビティの2つの別々の面に位置する流体出口および流体入口と係合するように構成される。
【0098】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、バルブカートリッジの第1の流体入口がバルブカートリッジの第1の側に位置し、第2の流体入口がバルブカートリッジの反対の第2の側に位置し、バルブカートリッジの流体出口が、バルブカートリッジの第1の側と第2の側との間に位置するように構成され、バルブカートリッジは、固定式バルブ継手のハウジング内に収まるように構成され、固定式バルブ継手のハウジングは、ハウジングの第1の端部にある第1の流体出口と、ハウジングの反対側の第2の端部にある第2の流体出口と、固定式バルブ継手のハウジング第1の端部と第2の端部との間の位置に配置される流体入口とを有する。
【0099】
好ましくは、固定式バルブ継手は、例えば、ネジ込み管接続または接着管接続を使用して、配管設備のパイプに恒久的に接続可能である。
【0100】
任意選択的には、固定式バルブ継手は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを収容するように構成されたハウジングを含む。
【0101】
第7の態様では、本発明は、本明細書で実質的に特定される少なくとも1の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと、少なくとも1の相補的な固定式バルブ継手とを含むミキシングバルブアセンブリからなると広く言える。
【0102】
好ましくは、固定式バルブ継手は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの一つの面のみと係合して、流体密封シールを形成するように構成される。
【0103】
任意選択的には、固定式バルブ継手は、ソケットの異なる面に位置する流体出口および流体入口を有するソケットを含み、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの相補的な舌部と係合するように構成される。
【0104】
任意選択的には、固定式バルブ継手は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを完全に収容するように構成されたハウジングを含む。
【0105】
第8の態様では、本発明は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジであって、
・少なくとも2の流体入口および少なくとも1の流体出口と、
・少なくとも1の温度センサと、
・少なくとも1の可動バルブ部材、および可動バルブ部材を移動させるように構成された少なくとも1のアクチュエータと、
・入力装置からの入力を受信するように構成されるとともに、温度センサからの入力を受信してアクチュエータの動作を制御するように構成された電子制御システムとを有する
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジからなると広く言うことができる。
【0106】
好ましくは、アクチュエータは電気モータを含む。
【0107】
好ましくは、流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向は、電気モータの回転軸に実質的沿った流れの方向である。
【0108】
好ましくは、アクチュエータは線形アクチュエータを含む。
【0109】
好ましくは、流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向は、線形アクチュエータの動作方向と実質的に一致する流れの方向である。
【0110】
好ましくは、流体入口および流体出口を通る流体の流れの方向は、可動バルブ部材の移動方向と実質的に一致する流れ方向である。
【0111】
好ましくは、バルブカートリッジは、配管設備のパイプに接続可能でかつ相補的な流体出口および1または複数の流体入口を有する相補的な固定式バルブ継手と係合するように構成される。
【0112】
好ましくは、バルブカートリッジは、バルブカートリッジの各流体入口および各流体出口と固定式バルブ継手との間の密封接続を確立するように構成された1または複数の係合特徴部を含む。
【0113】
好ましくは、バルブカートリッジは、混合チャンバを含み、この混合チャンバが、2以上の流体の流れを混合するように構成されるとともに、各可動バルブ部材の下流かつ少なくとも1の温度センサの上流に配置される。
【0114】
好ましくは、バルブカートリッジは、流体が混合チャンバに近付くときに流体が流れる移送通路を含み、移送通路は、混合チャンバ内で渦運動を作り出すように構成される。
【0115】
好ましくは、混合チャンバは形状が実質的に円筒形であり、移送通路はそれぞれ、円筒形混合チャンバの外周を規定する円のほぼ接線方向に流体を導くように構成される。
【0116】
好ましくは、移送通路の断面積は、混合チャンバに向かう流れの方向に沿って減少する。
【0117】
好ましくは、バルブカートリッジは、流量検知手段も含む。
【0118】
好ましくは、流量検知手段は、混合チャンバ内で流体を旋回させることにより回転する回転要素を含む。
【0119】
好ましくは、回転要素は、パドルホイールの形態である。
【0120】
好ましくは、温度センサの温度検知素子は、プローブまたはシャフト上に支持され、回転要素が、シャフトまたはプローブと同軸の軸を中心に回転する。
【0121】
好ましくは、流量検知手段は、磁気または近接検知トランスデューサを含む。
【0122】
好ましくは、流量検知手段の回転要素は、ホール効果検知トランスデューサによって検知されるように構成された1または複数の磁気検知物体を含む。
【0123】
好ましくは、線形アクチュエータがリードスクリューアセンブリを含む。
【0124】
好ましくは、可動バルブ部材は、セラミックバルブ部材である。
【0125】
好ましくは、可動バルブ部材は細長い形状であり、可動バルブ部材の直線運動が、細長い形状の長さ方向に沿ったものとなる。
【0126】
好ましくは、バルブカートリッジは、可動バルブ部材に関連する2つの固定バルブ部材を含み、可動バルブ部材が、関連する2つの固定バルブ部材の間に挟まれる。
【0127】
好ましくは、少なくとも2の流体入口および少なくとも1の流体出口はすべて、単一の実質的に平坦な面に位置する。
【0128】
好ましくは、バルブカートリッジの係合特徴部は、1または複数のエラストマーシールを保持するように構成された1または複数の構造を含む。
【0129】
好ましくは、バルブカートリッジは、機械的固定システムがバルブカートリッジを固定式バルブ継手にしっかりと保持できるように構成される。
【0130】
第9の態様では、本発明は、電子制御可能なミキシングバルブアセンブリであって、本明細書で実質的に特定される電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと固定式バルブ継手とを含み、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジが、機械的固定システムを使用して固定式バルブ継手に接続可能であり、固定式バルブ継手が、建物の配管システムに接続可能であり、かつバルブカートリッジの少なくとも2の流体入口に流体を導くとともに、バルブカートリッジの少なくとも1の流体出口から流体を受け入れるように構成され、さらに、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの係合特徴部と固定式バルブ継手の相補的な係合特徴部との間に漏れ防止シールを確立できるように構成されている、電子制御可能なミキシングバルブアセンブリからなると広く言うことができる。
【0131】
第10の態様では、本発明は、電子制御可能なバルブを修理する方法であって、
・正常に動作しない、実質的に本明細書で特定される電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを固定式バルブ継手から取り外すステップと、
・交換用の電子制御ミキシングバルブカートリッジを固定式バルブ継手に取り付けるステップとを含む方法からなると広く言うことができる。
【0132】
本発明は、個別または集合的に、本明細書で言及または示される部品、要素および特徴、並びに、それら部品、要素および特徴の2以上の任意またはすべての組合せから構成されると広く云うことができ、既知の均等物を有する特定の整数が本明細書で言及される場合、そのような均等物は、あたかもそれらが個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0133】
本発明の更なる態様は、単なる例として与えられ、添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、本発明に係る電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第1の実施例の斜視図である。
【
図2】
図2は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第1の実施例の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第1の実施例のバルブモジュールアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図4は、バルブモジュールアセンブリの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、バルブモジュールアセンブリの断面図である。
【
図6】
図6は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第1の実施例を組み込んだ第1のミキシングバルブアセンブリの斜視図である。
【
図7】
図7は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第2の実施例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第2の実施例の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第2の実施例を組み込んだ第2のミキシングバルブアセンブリの斜視図である。
【
図10】
図10は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第2の実施例の流体混合モジュールの斜視図である。
【
図12】
図12は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第3の実施例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第3の実施例の分解斜視図である。
【
図14】
図14は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの第3の実施例を組み込んだ第3のミキシングバルブアセンブリの斜視図である。
【
図15】
図15は、第3のミキシングバルブアセンブリの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、第4のミキシングバルブアセンブリの斜視図である。
【
図17】
図17は、第4のミキシングバルブアセンブリの分解斜視図である。
【
図18】
図18は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の斜視図である。
【
図19】
図19は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の分解斜視図である。
【
図20】
図20は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の背面図であり、断面
図AAおよびBBが規定されている。
【
図21】
図21は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例のAA断面図である。
【
図22】
図22は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例のBB断面図である。
【
図23】
図23は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の混合および検知モジュールの正面斜視図である。
【
図24】
図24は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の混合および検知モジュールの背面斜視図である。
【
図25】
図25は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例の混合および検知モジュールの分解斜視図である。
【
図26】
図26は、ミキシングバルブアセンブリの第5の実施例のバルブハウジング用の代替的なボックス部材の斜視図である。
【
図27】
図27は、代替的なバルブ部材構成の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
図1~
図15および
図18~
図26を参照して、本発明に係る取り外し可能な電子制御可能なミキシングバルブカートリッジの4つの実施例を以下に説明する。
図16および
図17は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと同様の特徴を有するが、取り外し可能なカートリッジの特徴を持たないミキシングバルブアセンブリに関する。
図27および
図28は、よりコンパクトでアクチュエータのみを使用するミキシングバルブの代替的なバルブ部材構成を示している。
【0135】
最初の3つの実施例の各々および第5の実施例では、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジが、ミキシングバルブアセンブリ、例えば、所望の安全な温度の水などの流体をシャワーヘッド、手洗器、工業プロセスなどに供給するために使用されるミキシングバルブアセンブリと係合するか、またはそのようなミキシングバルブアセンブリとともに使用するように構成された交換可能または取り外し可能なユニットとして設計されている。
【0136】
ミキシングバルブアセンブリには、通常、相補的な固定式バルブ継手と係合するように構成された1つの交換可能な電子制御可能なミキシングバルブカートリッジが含まれる。固定式バルブ継手は、通常、住宅、商業用または工業用不動産または建物の配管設備に恒久的または半恒久的に取り付けられる継手またはハウジングである。
【0137】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと固定式バルブ継手はともに、互いに係合して、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジと固定式バルブ継手との間の接触面に流体密封シールを形成するように構成されている。バルブカートリッジの係合特徴部は、固定式バルブ継手の相補的な係合特徴部と係合するように構成されている。ここで説明するカートリッジの3つの実施例の動作上の特徴はほぼ同じであるが、各場合における主な違いは、カートリッジがそれぞれの固定式バルブ継手と係合する方法である。
【0138】
例えば、いくつかのカートリッジは、固定式バルブ継手の一面のみと係合または流体密封シールを形成するように構成されている。別のカートリッジは、固定式バルブ継手の相補的なソケットと係合するように構成された舌部を有し、舌部が、固定式バルブ継手のソケットの2つの内面と流体密封シールを形成する。さらに別の例では、固定式バルブ継手が、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを完全に収容するように構成されたハウジングを含み、流体密封シールがカートリッジの3つの面に形成されている。
【0139】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、機能不良の電子制御可能なバルブを簡単に修理する方法を提供するように設計されている。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、通常は資格のある配管工を必要とする電子制御可能なバルブアセンブリ全体の交換の代わりに、機能不良の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを固定式バルブ継手から簡単に取り外し、または取り除いて、交換用の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを、空になった固定式バルブ継手に取り付けることができるように設計されている。その目的は、簡単かつ迅速に、理想的には、修理を行うのに資格のある配管工を必要とせずに、交換できるカートリッジを提供することである。
【0140】
第1の実施例
図1~
図6を参照して、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の第1の実施例について説明する。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の第1の実施例は、2つの流体入口(13)と、1つの流体出口(15)と、温度センサ(17)とを備えている。さらに、カートリッジ(11)は、2つの可動バルブ部材(19)と、各可動バルブ部材(19)を動かすように構成されたアクチュエータ(21)とを有する。この例では、アクチュエータ(21)が電動アクチュエータである。
【0141】
また、カートリッジ(11)は、プリント回路基板の形態の一体型電子制御システム(23)も含む。電子制御システム(23)は、温度センサ(17)からの入力またはフィードバックおよび入力装置(図示省略)からの入力を受信して、アクチュエータ(21)の動作を制御するように構成されている。入力装置は、リモート制御パネルとすることができ、例えば、1または複数のプッシュボタン、タッチスクリーンまたは制御ノブ(24)スタイルの入力パネルを有し、理想的にはシャワーモジュールの目の高さに位置するパネルとすることができる。
【0142】
上述したように、カートリッジ(11)の特徴は、相補的な固定式バルブ継手(25)と係合して第1のミキシングバルブアセンブリ(26)を形成するように構成されていることである。バルブカートリッジ(11)は、交換可能なバルブカートリッジの形態である。
【0143】
固定式バルブ継手(25)は、支持部材に固定することができ、例えば、建物の骨組み材に固定することができる。固定式バルブ継手(25)は、建物の配管設備のパイプに恒久的または少なくとも半恒久的に接続できる。固定式バルブ継手(25)は、例えば、ネジ込み管接続または接着管接続を使用して接続できる。
【0144】
固定式バルブ継手(25)は、2つの相補的な流体出口(27)と、流体入口(29)とを備える。カートリッジ(11)と固定式バルブ継手(25)との間の係合により、カートリッジ(11)の流体入口(13)および流体出口(15)と固定式バルブ継手(25)の相補的な流体出口(27)および流体入口(29)との間に流体密封シール接続を確立することができる。
【0145】
バルブカートリッジ(11)の各流体入口(13)および流体出口(15)と、固定式バルブ継手(25)の相補的な流体出口(27)および流体入口(29)との間のシール接続には、エラストマーシール(31)、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムOリング(図示省略)が含まれる。各エラストマーシール(31)は、バルブカートリッジ(11)のカートリッジ合わせ面(33)と、固定式バルブ継手(25)の固定合わせ面(35)との間の接触面で流体密封シールを提供する。バルブカートリッジ(11)の流体入口(13)および流体出口(15)は、カートリッジのカートリッジ合わせ面(33)にそれぞれ配置され、それらが、固定式バルブ継手(25)の固定合わせ面(35)にある流体出口(27)および流体入口(29)と係合する。
【0146】
可動バルブ部材(19)はセラミックバルブ部材であり、各々が固定セラミックバルブシート(37)と係合する。可動バルブ部材(19)の各々は、可動バルブ部材(19)が完全に開いた位置にあるときに、係合するバルブシート(37)の2つのポートに跨って接続する「C」字形のブリッジ通路(36)を有する。「C」字形のブリッジ通路(36)は、可動バルブ部材(19)が完全に閉じた位置にあるとき、係合するバルブシート(37)の2つのポートを接続しない。可動バルブ部材(19)は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間の中間位置にあるときに流量を制御する。
【0147】
図4および
図5に示すように、各可動バルブ部材(19)が、関連する固定バルブシート(37)と固定セラミックトッププレート(38)との間に挟まれている。各バルブ「サンドイッチ」は、1つのトッププレート(38)、中央にある1つの可動バルブ部材(19)および1つのバルブシート(37)により構成され、このバルブサンドイッチは、バルブハウジング本体(39)とバルブハウジングベース(40)との間にしっかりと保持されている。製造中、バルブハウジング本体(39)とバルブハウジングベース(40)が一緒にクランプされて、バルブサンドイッチに所望の圧縮荷重がもたらされ、その後、溶接や接着などの適切な固定方法を使用して、バルブハウジングベース(40)がバルブハウジング本体(39)に恒久的に固定される。
【0148】
電動アクチュエータ(21)はそれぞれ、電気モータ(42)およびリードスクリューまたはスクリュージャッキ(44)を含む。各リードスクリュー(44)は、関連する電気モータ(42)によって駆動されるネジ山付き駆動シャフト(46)と、相補的なネジ山付き被駆動ナットまたはスリーブ(47)とを含む。各リードスクリュー(44)は、理想的には電気モータ(42)の一部であり、リードスクリュー(44)は、電気モータ(42)の主軸の一部または延長部である。
【0149】
各被駆動スリーブ(47)は、可動バルブ部材(19)の1つに接続されるとともに、直線方向に移動することができ、それにより、関連する可動バルブ部材(19)を移動させることができるが、関連する可動バルブ部材(19)との接続によって、回転が防止されている。各被駆動スリーブ(47)と、それに関連する可動バルブ部材(19)との間の接続では、各被駆動スリーブ(47)の端部にある正方形または長方形のキー(58)が、各可動バルブ部材(19)の相補的な正方形または長方形のソケット(59)内に嵌るようなサイズとされている。
【0150】
トッププレート(38)、可動バルブ部材(19)、バルブシート(37)、電動アクチュエータ(21)、バルブハウジング本体(39)およびバルブハウジングベース(40)を含む、
図4に示す構成要素は、組み立てたときに、
図3に示すように、バルブモジュールアセンブリ(49)を形成する。バルブモジュールアセンブリ(49)は、
図2に示すように、6本の小ネジ(50)を使用して、カートリッジ(11)のカートリッジ本体(41)に固定されている。カートリッジ本体(41)とバルブモジュールアセンブリ(49)との間の流体密封接続は、カートリッジ本体(41)の上面とバルブシート(37)の下面との間にわたるように構成された4つのシールリング(51)を使用して達成されている。
【0151】
上述したように、電子制御システム(23)は、ローカルまたはリモートの入力装置またはユーザインターフェースからの入力を受信するように構成されている。電子制御システム(23)は、電磁信号を介して、例えばWiFi、Bluetoothまたは誘導データ転送を介して、入力を受信することができる。
【0152】
温度センサ(17)は、バルブカートリッジ(11)の流体出口(15)内に配置されて、閉ループ電子制御システムを容易にする温度データを提供し、カートリッジから出る流体の温度を所望の範囲内にカートリッジが制御することを可能にする。
【0153】
流体出口(15)につながる2つの中間水路(61)は、流体出口(15)を通って流れる流体に渦を引き起こすように構成されている。この渦作用は、例えば温水の流れと冷水の流れの混合など、流体の混合を加速するために重要であると考えられ、これにより、流体がカートリッジ(11)を離れる前に十分に正確な混合流体温度測定を行うことができる。
【0154】
この混合作用を促進するために、カートリッジ(11)は流体混合チャンバ(63)を含み、この流体混合チャンバ(63)がカートリッジ(11)の流体混合モジュール(65)内に配置されている。流体混合モジュール(65)の原理は、後述する第2の実施例の説明でより詳細に説明することとする。
【0155】
バルブカートリッジ(11)は、機械的な固定システムによってバルブカートリッジ(11)を固定式バルブ継手(25)にしっかりと保持できるように構成されている。この例では、外側ハウジング(53)を使用して、バルブカートリッジ(11)を固定式バルブ継手(25)に固定している。外側ハウジング(53)の雌ネジは、固定バルブ部材(25)の雄ネジ(54)と噛み合い、外側ハウジング(53)が雄ネジ(54)の上で回されると、外側ハウジング(53)の内側肩部(図示省略)がカートリッジ(11)の外側肩部(55)を支える。このようにして、外側ハウジング(53)を使用して、カートリッジ合わせ面(33)を固定バルブ部材(25)の固定合わせ面(35)に向けて押圧し、それによりOリングを圧縮して、流体接続からの漏れを防いでいる。
【0156】
この第1の実施例では、入力装置が、外側ハウジング(53)の自由端に取り付けられた回転制御ノブ(24)である。回転制御ノブ(24)からの手動入力は電子信号に変換されて、例えば、電気接点、誘導データ転送、WiFiなどを介してカートリッジ(11)の内蔵電子制御システムのプリント回路基板(23)に伝えられる。
【0157】
プリント回路基板(23)は、本体(69)のスロット(67)内に配置され、キャップ(71)は、プリント回路基板(23)と電気モータ(42)を取り囲んで、それらアイテムを保護する。
【0158】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)は、理想的には、主電源システムに対する接続から給電される。その接続は、接続プラグを介した有線接続とすることができ、あるいは誘導電力伝送または代替的な非接触手段を介した電気接続でも実現することができる。また、カートリッジ(11)は、蓄積された電気エネルギーを保持するための手段、例えばコンデンサまたは1または複数のバッテリ用の設備を含むこともできる。貯蔵された電気エネルギーを保持する能力は、例えば主電源の停電の場合に、カートリッジ(11)がシャワーへの水の流れを遮断するように構成することができるという点で有利である。この安全機能により、カートリッジ(11)の制御が失われたことにより人が非難を受ける可能性を最小限に抑えることができる。
【0159】
本明細書に記載のバルブカートリッジまたはバルブアセンブリの各々において、同じスタイルの電源および電気貯蔵またはバックアップを使用することができる。
【0160】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の実施例は、固定配管継手または固定バルブ部材(25)に嵌合する方向から見たときに、比較的小さな外形を持つように構成されている。この比較的小さな外形を実現できる特徴の1つは、流体入口(13)および流体出口(15)を通る流体の流れの方向が、電気モータ(42)の回転軸に実質的に整列した流れの方向であるという特徴である。入口ポート(13)および出口ポート(15)を通る流れの方向は、線形アクチュエータまたはリードスクリュー(44)の動作方向および可動バルブ部材(19)の移動方向とも一致する。
【0161】
比較的小さな外形により、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)を壁の比較的小さな開口部に取り付けることが可能となる。理想的には、バルブカートリッジ(11)は直径160ミリメートル未満の開口部に収めることができ、これまでに試用およびテストされた一部のバルブカートリッジは直径120ミリメートル未満の開口部に収めることができる。このような小さなサイズにより、バルブカートリッジ(11)を、フェースプレートまたは手動制御ノブ(24)により、または電子制御パネルまたは他のユーザインターフェイスにより容易に覆うことができる。
【0162】
第2の実施例
図7~
図11を参照して、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の第2の実施例について説明する。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の第2の実施例は、以下に概説することを除いて、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の第1の実施例と同様である。
【0163】
第1の実施例とこの第2の実施例との大きな違いは、この第2の実施例が、第2の固定式バルブ継手(83)の2つの面の流体接続部と係合することである。バルブカートリッジの流体入口(85)は、バルブカートリッジ(81)の第1の合わせ面(87)上に位置し、バルブカートリッジ(81)の流体出口(89)は、第2の合わせ面(91)上に位置する。バルブカートリッジ(81)は、固定式バルブ継手(83)のソケットまたはキャビティ(97)の2つの別々の面または異なる面に位置する流体出口(93)および流体入口(95)と係合するように構成されている。第1の合わせ面(87)および第2の合わせ面(91)はカートリッジ(81)の舌部(99)に位置し、舌部(99)はソケット(97)内に取り付けられて、ソケットと相補的である。
【0164】
この実施例では、バルブカートリッジ(81)の舌部(99)が、一本の小ネジ(101)によって固定式バルブ継手(83)のソケット(97)内にしっかりと保持されている。小ネジ(101)は、固定式バルブ継手(83)のネジ山付きボス(103)と螺合する。
【0165】
バルブカートリッジ(81)のこの第2の実施例のバルブモジュールアセンブリ(105)は、第1の実施例で使用されるバルブモジュールアセンブリ(49)と同じ基本構成要素を有するが、それら構成要素には僅かな違いがある。それらの違いは主に、この実施例では、流体がバルブモジュールアセンブリ(105)の一方の側から反対側に出るという事実に関連している。
【0166】
バルブモジュール(105)は、2つのトッププレート(107)、2つの可動バルブ部材(109)、2つのバルブシート(111)、2つの電動アクチュエータ(113)、バルブハウジング本体(115)およびバルブハウジングベース(117)を含む。バルブハウジング本体(115)とバルブハウジングベース(117)はともに2つの流体ポートを有している。バルブハウジング本体(115)は2つの流体入口ポート(85)を含み、バルブハウジングベース(117)は2つの出口ポート(119)を含む。2つの出口ポート(119)は、後述する流体混合モジュール(121)の通路と連通する。
【0167】
トッププレート(107)、可動バルブ部材(109)およびバルブシート(111)はそれぞれ貫通通路を含む。可動バルブ部材(109)の1つの貫通通路が、その関連するトッププレート(107)およびバルブシート(111)の貫通通路と部分的または完全に整列すると、流体はその可動バルブ部材(109)を通って流れる。各可動バルブ部材(109)は、関連するバルブシート(111)に対してアクチュエータ(113)により直線方向に移動し、流体の流れが停止する位置まで、または所望の流体流量を達成する位置の範囲まで移動することができる。
【0168】
カートリッジ(81)のこの第2の実施例は、第1の実施例の流体混合モジュール(65)と同様に動作する流体混合モジュール(121)を含む。流体混合モジュール(121)は、2つの中間水路(123)を有し、各水路が、流体を一体の流体混合チャンバ(125)へと導く。混合チャンバ(125)は、各中間水路(123)からの流体の流れが出会う領域に位置する。
【0169】
流体混合モジュール(121)は、2つの別個の供給源から流体の流れを受け入れて、流体の流れを合わせ、流体の流れが出会ったときに能動的に混合するように構成されている。この場合、流体は、それぞれバルブモジュール(105)の2つの出口ポート(119)から中間水路(123)の各々に受け入れられる。流体混合モジュール(121)は、流体混合チャンバ(125)内で各流体を一緒に回転させることにより、2つの流体の流れを能動的に混合する。
【0170】
混合チャンバ(125)は、流入する流体が混合チャンバ(125)に入る領域に第1の直径(126)を有し、混合チャンバ(125)は、混合流体が混合チャンバ(125)から出る位置に第2のより小さい直径(127)を有する。混合チャンバ(125)は、第1の直径(126)から第2の直径(127)への移行部に丸みを帯びた漏斗状部分を含む。
【0171】
2つの流体の流れはそれぞれ、混合チャンバ(125)の両側から混合チャンバ(125)に入る。流体混合モジュール(121)、より具体的には中間水路(123)は、第1の直径により規定される混合チャンバ(125)の一部の外周のほぼ接線方向に沿って流体の流れがそれぞれ混合チャンバに入るように構成されている。
【0172】
図10および
図11に示すように、流路または中間水路(123)は、混合チャンバ(125)に近付くに連れて狭くなる。これにより、流体が混合チャンバ(125)に入るときに流体が加速され、混合作用が強化される。
【0173】
流体混合モジュール(121)は、バルブカートリッジ(81)の流体出口(89)内に温度センサ(129)を保持するように構成されたソケット(128)を含む。流体出口(28)は、本質的に流体混合モジュール(125)の出口部分である。温度センサ(129)は、流体が流体混合モジュール(121)を出るときに流体温度を検知するように配置されている。
【0174】
流体混合モジュール(121)は、ミキシングバルブモジュール(105)によって生成される混合水の正確な温度測定を可能にし、それにより電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)内の閉ループ制御を可能にするため、バルブカートリッジ(81)の重要な部分である。
【0175】
電動アクチュエータ(113)およびプリント回路基板(131)を含む電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の電気部品は、円筒形キャップ(133)内に収容されている。円筒形キャップ(133)は、バルブカートリッジ(81)の本体(135)に取り付けられ、小ネジ(101)によって定位置に保持されている。この実施例では円筒形のキャップが使用されているが、キャップ(133)は任意の形状にできることが想定される。
【0176】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)のこの第2の実施例には、一体型の入力装置は含まれていない。リモート入力装置、例えば、タッチスクリーンまたは手動操作ノブを備えたリモート装置を使用して、所望の水温を提供することができ、この入力が、配線またはWiFi、Bluetoothまたは誘導データ転送などの非接触方式を介してバルブカートリッジ(81)に中継される。代替的には、タッチスクリーンまたは手動操作ノブを電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)に組み込むことができる。
【0177】
第3の実施例
図12~
図15を参照して、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)の第3の実施例を説明する。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)の第3の実施例は、以下に概説することを除いて、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)および(81)の第1および第2の実施例と同様である。
【0178】
この第3の実施例(161)との大きな違いは、この第3の実施例が円筒形のハウジング内に収まるように設計され、第3の固定式バルブ継手(163)の3つの面の流体接続と係合することである。バルブカートリッジ(161)の1つの流体入口(165)は、バルブカートリッジ(161)の一面または一端の第1の合わせ面(167)に位置し、第2の流体入口(165)は、バルブカートリッジ(161)の他面または他端の第2の反対側の合わせ面(169)に位置する。そして、バルブカートリッジ(161)の流体出口(171)は、第1の合わせ面(167)と第2の合わせ面(169)の間に位置する第3の合わせ面であって、それら面に対して垂直な方向を向く第3の合わせ面(173)に位置する。
【0179】
バルブカートリッジ(161)は、固定式バルブ継手(163)の中央ハウジング(181)内のキャビティ(179)の3つの別個または異なる面に位置する流体出口(175)および流体入口(177)と係合するように構成されている。第1の合わせ面(167)および第2の合わせ面(169)は、カートリッジ(161)の実質的に円筒形本体(183)の両端に位置する。そして、第3の合わせ面(173)は、円筒形本体(183)の側面上の平坦なベース部(185)上に位置する。円筒形本体(183)は、キャビティ(179)内に収まるように構成され、キャビティ(179)と相補的である。
【0180】
バルブカートリッジ(161)は、円筒形本体(183)の第2の平坦部(189)上に位置する表示画面(187)を有する。第2の平坦部(189)は、平坦なベース部(185)の位置と比較すると、実質的に円筒形の本体(183)の反対側に位置する。バルブカートリッジ(161)の制御システムのプリント回路基板(191)は、表示画面(187)の下に位置する。
【0181】
バルブカートリッジ(161)は、固定式バルブ継手(163)の中央ハウジング(181)内に収まるように構成されている。この実施例の固定式バルブ継手(163)は、壁の温水パイプ接続部と冷水パイプ接続部まで接続するように構成され、それら接続部は通常、約150~250ミリメートル離れている。このようにして、固定式バルブ継手(163)は、建物の配管システムに固定することができる。
【0182】
図14および
図15を参照すると、固定式バルブ継手(163)が3つの主要部品、第1の端部継手(193)および第2の端部継手(195)を含み、それぞれが中央ハウジング(181)の両端に取り付けられていることが分かる。第1の端部継手(193)は、建物の一対の水道管接続部の一方に接続するように構成された管継手を含み、第2の端部継手(195)も、一対の水道管接続部の他方に接続するように構成された管継手を含む。
【0183】
第1の端部継手(193)は、固定式バルブ継手(163)の流体出口(175)の1つも含み、それらが、カートリッジ(161)の流体入口(165)と係合するとともに、その流体入口と流体密封シールを形成するように構成されている。第2の端部継手(195)は、カートリッジ(161)の他の流体入口(165)と流体密封シールを形成するように同様に構成されている。中央ハウジング(181)は、固定式バルブ継手(163)の流体入口(177)を含み、この流体入口(177)は、カートリッジ(161)の流体出口(171)と係合して流体密封シールを形成するように構成されている。このようにして、流体入口(177)は、固定式バルブ継手のハウジングの2つの端部間の中央位置に配置されている。固定式バルブ継手(163)の流体入口(177)は、カートリッジ(177)から温度制御された水を受け入れ、通常はシャワーヘッドに接続されている。
【0184】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)のこの第3の実施例は、カートリッジバルブ(81)の第2の実施例を参照して説明した流体混合モジュール(125)と同様に機能する流体混合モジュール(図示省略)を有する。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)の第3の実施例の流体混合モジュールは、円筒形本体(183)内に一体的に形成され、バルブ構成要素の真下に位置する。
【0185】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)の第3の実施例のバルブモジュール(197)は、殆どの点で、本明細書に記載の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の第1の実施例のバルブモジュールと同様である。最も顕著な違いは、2つの電動アクチュエータ(199)がそれぞれ円筒形本体(183)の両端に配置されていることである。このようにして、バルブモジュール(197)の2つのバルブサンドイッチアセンブリは、バルブモジュール(49)の2つの同一のバルブアセンブリと比べると、他方の鏡像である。
【0186】
また、円筒形本体(183)は、バルブモジュール(197)のバルブハウジング本体およびバルブハウジングベースも形成することに留意されたい。バルブモジュールのトッププレート(201)は、4本の小ネジ(203)を使用して円筒形本体(183)に取り付けられ、バルブサンドイッチの固定部分と可動部分を互いにクランプした状態で維持する。
【0187】
温度センサ(205)は、バルブモジュールのトッププレート(201)の中心にある穴を通して取り付けられ、バルブ構成要素間を通り、円筒形本体(183)の平坦なベース部(185)に位置する流体出口(171)へと下方に延びている。
【0188】
代替的な構成では、第3の固定式バルブ継手(163)を、壁の温水および冷水パイプ接続部に接続される単一部品として作成することができる。そして、第3の固定式バルブ継手(163)は、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(161)の修正版を取付可能な合わせ面を含むことができる。カートリッジは、独自のクロームメッキを施したカバーおよびユーザインターフェイスを含むことができる。このように、カートリッジは、何れにしても固定式バルブ継手を分解する必要なく、交換することができる。
【0189】
第4の実施例
図16および
図17を参照して、本発明の別の態様に係るミキシングバルブアセンブリ(241)を以下に説明する。この実施例では、ミキシングバルブアセンブリ(241)は取り外し可能なカートリッジの特徴部を含まないが、ミキシングバルブアセンブリは、本明細書に記載の取り外し可能なカートリッジの実施例で使用されるものと同様のバルブモジュールアセンブリ(243)を含む。
【0190】
ミキシングバルブアセンブリ(241)は、バルブモジュールアセンブリ(243)が取り付けられるバルブ本体(245)を本質的に含む。バルブ本体(245)は、2つの流体入口ポートと1つの混合流体出口ポートを含む。バルブモジュールアセンブリ(243)を介する場合を除き、流体入口ポートまたは出口ポートは何れも他方と連通していない。
【0191】
第1の流体入口ポート(247)は第1のバルブ入口ポート(249)と連通し、同様に、第2の流体入口ポート(251)は第2のバルブ入口ポート(253)と連通する。そして、2つのバルブ出口ポート(255)は、バルブ本体(245)の流体出口ポート(257)と連通する。
【0192】
バルブモジュールアセンブリ(243)は、バルブ本体(245)の機械加工面(261)と係合する平坦なベースを有している。第1のバルブ入口ポート(249)、第2のバルブ入口ポート(253)および2つのバルブ出口ポート(255)は、機械加工面(261)上に位置する。6本の小ネジ(263)を使用してバルブモジュールアセンブリ(243)をバルブ本体(245)に取り付けると、ポート(249)、(253)、(255)の各々と、バルブモジュールアセンブリ(243)の底面の対応するポートとの間に、4つのエラストマーシール(265)を使用して、流体密封シールが作成される。
【0193】
バルブモジュールアセンブリ(243)の構造および機能は、本明細書の第1の実施例を参照して説明したバルブモジュールアセンブリ(49)と同様である。バルブモジュールアセンブリ(243)は、可動バルブ部材(267)、バルブシート(269)、バルブトッププレート(271)、電気モータ(273)およびリードスクリューアセンブリを有し、リードスクリューアセンブリが、ネジ付き駆動シャフト(275)およびネジ付き被駆動スリーブ(277)を備える。
【0194】
バルブモジュールアセンブリ(243)はやや長方形のハウジング部材(279)に取り付けられ、電気モータ(273)とプリント回路基板(281)は、長方形のハウジング部材(279)にスナップ留めされるキャップ(283)内に収容されている。
【0195】
温度センサ(285)は、バルブ本体(245)に取り付けられ、流体出口ポート(257)から流出する流体に曝される。温度センサ(285)により、ミキシングバルブアセンブリが閉ループ温度制御を実現することができる。2つのバルブ出口ポート(255)に流入する流体は、円形通路を規定する円に接する角度で流体出口ポート(257)に至る円形通路に入るように導かれる。それにより、円形通路に流入する流体は渦巻き、これが、流体または水の2つの流れの迅速な混合の助けとなる。この混合は、温度センサ(285)のすぐ上流で生じる。
【0196】
代替例として、温度センサ(285)は、本明細書に記載の第1、第2、および第3の実施例のように、バルブモジュールアセンブリ(243)内に含まれて、流体混合チャンバ内に取り付けられるようにしてもよい。
【0197】
温度入力は、リモート入力装置から受信され、本明細書に記載のカートリッジと同様に有線または無線の方法を使用して、ミキシングバルブアセンブリ(241)の制御システムに中継することができる。
【0198】
ミキシングバルブアセンブリ(241)は、閉ループ温度制御が可能なコンパクトな構成であり、建物の配管用パイプに容易に設置でき、必要なのは、3つのパイプ接続部と電力およびデータ接続部のみである。そのサイズにより、壁の空洞内や、配管の設置に適した場所に容易に設置することが可能になる。
【0199】
第5の実施例
図18~
図26を参照して、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)の第5の実施例について説明する。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)の第5の実施例は、多くの点で、本明細書に記載の電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の第2の実施例に類似している。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)の第5の実施例と電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の第2の実施例との間の主な違いは、混合流体がバルブカートリッジ(311)を出るときの経路である。バルブカートリッジ(311)では、混合流体は、第1の流体制御バルブアセンブリ(315)と第2の流体制御バルブアセンブリ(317)との間に位置する混合流体出口水路(313)を通って出る。
【0200】
混合流体の新しい流れ方向により、2つの入口ポート(319)と出口ポート(321)がすべてバルブカートリッジ(311)の片側に配置され、実際にはすべてが単一の平坦合わせ面(323)に配置された構成が提供される。単一の合わせ面(323)により、バルブカートリッジ(311)を固定バルブ部材(325)の単一の合わせ面に係合させて取り付けることが可能となる。この実施例では、バルブカートリッジ(311)が、バルブ部材ハウジング(329)の外縁近くにある小ネジ穴(327)を通る2本の小ネジ(図示省略)を使用して、固定バルブ部材(325)に留められている。バルブ部材ハウジング(329)は、第1の流体制御バルブアセンブリ(315)と第2の流体制御バルブアセンブリ(317)の両方によって共有されている。
【0201】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)の第5の実施例と電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(81)の第2の実施例のもう1つの顕著な違いは、温度検知手段(331)の位置と、流量検知手段(333)の追加である。温度検知手段(331)および流量検知手段(333)はそれぞれ、混合および検知モジュール(337)の後面を通して取り付けられている。
【0202】
各流体制御バルブアセンブリ(315、317)は、可動バルブ部材(339)および2つの固定バルブ部材(341)、およびバルブ作動装置(343)を有する。各流体制御バルブアセンブリ(315、317)は、使用時に、関連する可動バルブ部材(339)がバルブ作動装置(343)によって、2つの固定バルブ部材(341)に対して直線運動で移動し、それにより各流体制御バルブアセンブリを通る流体の流れを制御するように構成されている。
【0203】
可動バルブ部材(339)は、2つの固定バルブ部材(341)の間に挟まれており、バルブ部材(339、341)のすべてはセラミック系材料で作られている。すべてのバルブ部材(339、341)は細長い形状であり、真っ直ぐな側面と丸みを帯びた端部を有し、長さが幅の約2倍となっている。可動バルブ部材(339)の直線運動は、細長い形状の長さ方向に沿っている。
【0204】
可動バルブ部材(339)および2つの固定バルブ部材(341)はそれぞれ、通路(345)を含み、この通路を通る流体の流れが、2つの固定バルブ部材(341)に対する可動バルブ部材(339)の位置によって制御される。可動バルブ部材(339)の通路(345)が2つの固定バルブ部材(341)の通路(345)と完全に整列したときに、最大流体流量が生じることとなる。通路(345)が全く重なり合わない場合には流れがゼロとなり、通路(345)が完全な整列に向けて移動するにつれて流れが増加し、その間のポイントで一定範囲の流れが発生する。
【0205】
バルブ作動装置(343)は、手動で操作されるレバーまたは回転可能なノブまたはハンドル、または電動アクチュエータなどを含むことができ、この実施例では、バルブ作動装置(343)が、電気モータ(347)および線形アクチュエータ(349)を含む動力式アクチュエータである。線形アクチュエータ(349)は、可動バルブ部材(339)に結合されている。この実施例では、線形アクチュエータ(349)が単純なリードスクリューアセンブリの形態となっている。
【0206】
リードスクリューアセンブリのネジ付きスピンドル(351)は、電気モータ(347)の主軸の一体的部分であり、それにより、ネジ付きスピンドル(351)は電気モータによって直接駆動される。リードスクリューアセンブリは、被駆動ナットまたはスリーブ(353)も含み、ナットまたはスリーブ(353)が、ネジ付きスピンドル(351)のネジ山と相補的なネジ山を有する。
【0207】
スリーブ(353)は、可動バルブ部材(339)に接続されているか、または直接結合されている。この実施例では、スリーブ(353)の自由端の「T」字形の突起(355)を可動バルブ部材(339)の一端の相補的な「T」字形のスロット(357)と係合させることにより、その結合が達成されている。「T」字形スロット(357)は、相補的な突起(355)がスライドしてスロット(357)と係合することを可能にすると同時に、可動バルブ部材(339)に対する突起(355)の回転を防止するように構成されている。使用中の可動バルブ部材(339)の意図された移動方向での可動バルブ部材(339)に対するスリーブ(353)の直線運動も、突起(355)とスロット(357)間の「T」字形ジョイントによって防止されている。
【0208】
各流体制御バルブアセンブリ(315、317)は、可動バルブ部材(339)を固定バルブ部材(341)と密封接触状態に保持するように構成されたバルブ部材ハウジング(329)を含む。この実施例では、単一のバルブ部材ハウジング(329)が流体制御バルブアセンブリ(315、317)の両方を収容し、バルブ部材ハウジング(329)が、可動バルブ部材(339)の直線運動を案内して、固定バルブ部材(341)を定位置に保持するように構成されたガイド(361)を含む。
【0209】
この実施例では、バルブ部材ハウジング(329)が、ボックス部材(363)および蓋部材(364)を備え、そらら2つのハウジング部材(363)、(364)がどちらも比較的剛性の高いプラスチック材料で作られており、可動バルブ部材(339)と2つの固定バルブ部材(341)を保持および密閉すべく、互いに溶接されている。また、バルブ部材ハウジング(329)は、流体入口ポート(319)と、流体出口ポート(321)で終わる混合流体出口水路(313)とを含む。
【0210】
電気モータ(347)は、バルブ部材ハウジング(329)の外側に取り付けられ、バルブ部材ハウジング(329)に対して固定された状態で保持されている。電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)で使用される2つの電気モータ(347)は、モータベースプレートハウジング部材(365)とモータカバーハウジング部材(366)とを含むモータハウジング内に収容されている。
【0211】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)の第5の実施例は、混合および検知モジュール(337)も含む。混合および検知モジュール(337)は、本体(371)、温度検知手段(331)および流量検知手段(333)を有する。本体(371)は、2つの入口領域(377)、混合チャンバ(379)および出口領域(381)を有する。混合チャンバ(379)は、可動バルブ部材(339)の下流かつ温度検知手段(331)の上流に位置する。
【0212】
この実施例では、2つの入口領域(377)と出口領域(381)がすべて、本体(371)の同じ側にある。このように、混合および検知モジュール(337)は、バルブ部材ハウジング(329)から2つの個別の流体の流れを受け入れて、2つの流体の流れを結合または混合し、その後、混合流体をバルブ部材ハウジング(329)の混合流体出口水路(313)を介して戻すように導くことができる。
【0213】
混合チャンバ(379)は、2つの入口領域(377)と連通するとともに、出口領域(381)と連通している。2つの入口領域(377)はそれぞれ、関連する移送通路(383)によって混合チャンバ(379)に接続されている。各移送通路(383)は、先細であり、流れの方向に沿って狭くなり、流体が混合チャンバ(379)に入るときに、流体に渦運動を引き起こすように構成されている。
【0214】
混合チャンバ(379)は、円筒形混合チャンバであり、移送通路(383)はそれぞれ、円筒形混合チャンバ(379)の外周を規定する円のほぼ接線方向に流体を導く。移送通路(383)の断面積は、流れが混合チャンバ(379)に向かう方向に沿って減少する。移送通路(383)は、混合チャンバ(379)に隣接する断面積よりも入口領域(377)に隣接する断面積が大きく、流体は狭いギャップを通って移動するように強制されるため、流体は、混合チャンバ(379)に向かって移動するときに加速される。
【0215】
温度検知手段(331)は、流体が出口領域(381)に向かう又は通るとき、あるいは混合流体出口水路(313)内にあるときに流体の温度を検知できるように配置された温度検知素子(385)を含む。
【0216】
流量検知手段(333)は、混合チャンバ(379)内の渦巻く流体によって回転する回転要素(387)を含む。回転要素(387)は、パドルホイールの形態である。温度検知素子(385)はプローブまたはシャフト(389)に支持され、回転要素(387)はシャフト(389)に支持され、シャフト(389)と同軸の軸を中心に回転する。回転要素(387)は、固定輪(390)によってシャフト(389)にしっかりと保持されている。回転要素(387)は、流量検知手段(333)の磁気または近接検知トランスデューサ(391)、例えばホール効果トランスデューサによって検知されるように構成された1または複数の磁気検知物体を含む。
【0217】
モジュール本体(371)は、2つの実質的に平らで平行な面、すなわち、入口領域(377)と出口領域(381)を含む第1の面(393)と、温度検知素子(385)が取り付けられる第2の面(395)とを有する。混合チャンバ(379)は、第1の面(393)と第2の面(395)との間に位置する。入口領域(377)に流入する流体の流れおよび出口領域(381)から流出する流体の流れはすべて、第1の面(393)の単一面を通る流れである。
【0218】
この実施例では、2つの流体制御バルブアセンブリ(315、317)と混合および検知モジュール(337)とを組み合わせて、電子制御可能なミキシングバルブアセンブリが形成されている。ミキシングバルブアセンブリは、交換可能なバルブカートリッジ(311)の重要な部分である。交換可能なバルブカートリッジ(311)は、集積回路(397)を含む制御システムをさらに含み、集積回路が、混合および検知モジュール(337)から入力を受け取って、各流体制御バルブアセンブリ(315、317)の電気モータ(347)の動作を制御するように構成されている。集積回路(397)は、モジュール本体(371)に固定された制御ボックスハウジング(399)および制御ボックス蓋(401)内に収容されている。本明細書に記載の他の実施例と同様に、制御システムは、様々な手段、例えば手動回転ノブ、WiFi、Bluetoothまたは他のデータ送信などからコマンド入力を受け取るように構成されている。
【0219】
上述したように、交換可能なバルブカートリッジ(311)は2つの入口ポートと1つの出口ポートとを有し、それらがすべて、ほぼ平坦な合わせ面(323)の形態の単一の係合特徴部に位置している。実質的に平坦な合わせ面(323)は、エラストマーOリングシールを保持するように構成されたOリング溝の形態の構造を含む。エラストマーシールは、固定式バルブ継手(325)に対する各入口ポートと出口ポート(319、321)の接続部の周りに配置され、漏れ防止シールを生成するために使用されている。漏れ防止シールは、バルブカートリッジ(311)の合わせ面(323)と固定式バルブ継手(325)の相補的な係合特徴部との間に確立され、固定式バルブ継手(325)の相補的な係合特徴部が、エラストマーシールに接触して圧縮する実質的に平坦な面となっている。
【0220】
交換可能なバルブカートリッジ(311)は、機械的な固定システムによって、交換可能なバルブカートリッジを固定式バルブ継手(325)にしっかりと保持できるように、またはそれを可能にするように構成されている。この実施例では、2本の小ネジ(図示省略)が、2つの小ネジ穴(327)に通され、固定式バルブ継手(325)の2つの内部ネジ穴にネジ込まれ、さらに、エラストマーOリングシールを圧縮して漏れ防止シールを形成すべく、バルブカートリッジ(311)を固定式バルブ継手(325)に固定するように締め付けられている。この取付とシーリング方法により、必要に応じて交換可能なバルブカートリッジ(311)を簡単かつ迅速に交換でき、その交換を、特別な配管訓練を受けることなく、実行することができる。
【0221】
固定式バルブ継手(325)は、配管システムに恒久的に設置し、建物の構造に固定することができる配管ハードウェア装置である。固定式バルブ継手(325)は、2つの流体供給部、例えば温水と冷水の供給部に恒久的に接続されるとともに、出口パイプ、例えば温度調節された水をシャワーローズに供給するパイプに恒久的に接続される。この構成により、恒久的な配管接続部を切断することなく、バルブカートリッジ(311)を交換または修理することができる。
【0222】
バルブカートリッジ(311)または固定式バルブ継手(325)には、必要に応じてフィルタおよび逆止弁を取り付けることができる。
【0223】
バルブカートリッジ(311)には、電源への有線接続によって電力を供給することができるが、代替的には、誘導電力伝送によってバルブカートリッジ(311)に電力を供給することが想定される。例えば、誘導電力伝送モジュールを固定式バルブ継手(325)に提供するとともに、対応する誘導電力伝送モジュールをバルブカートリッジ(311)に提供し、バルブカートリッジ(311)を固定式バルブ継手(325)に接続したときに、2つの誘導電力伝送モジュールを互いに隣接させることができる。
【0224】
バルブカートリッジ(311)の動作モデルは、発明者によって構築され、テストされている。構築されたバルブカートリッジ(311)は、サイズが90×80×64mmであり、毎分約14リットルの流量を処理することができ、これは、殆どの家庭用シャワーに十分なものである。このカートリッジのサイズは、現在市場に出ている240×180×68mmのサイズの競合する電子制御可能なミキシングバルブモジュールと比べることができる。この劇的な全体サイズの縮小により、バルブカートリッジ(311)を遥かに便利でアクセス可能な場所に取り付けることができ、例えば、バルブカートリッジ(311)を、手動シャワーミキシングバルブを収容するように現在設計されているシャワー制御モジュール、継手またはハウジング内に取り付けることができる。
【0225】
図26には、バルブ部材ハウジング(329)の代替的なボックス部材(363A)が示されている。この代替的なボックス部材(363A)では、交互に配置された入口ポート(319A)と交互に配置された出口ポート(321A)に繋がる通路が、直角に曲がった部分を有する通路であり、入口ポート(319A)および出口ポート(321A)が、線形アクチュエータ(349)の動作方向に対して垂直な面上に位置するようになっている。
【0226】
この代替的な構成では、流体入口(319A)および流体出口(321A)を通る流体の流れの方向が、電気モータ(347)の回転軸の方向と実質的に一致する流れの方向である。入口ポート(319A)および出口ポート(321A)を通る流れの方向は、線形アクチュエータ(349)の動作方向および可動バルブ部材(339)の移動方向とも一致している。
【0227】
この代替的な構成により、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)を、バルブカートリッジ(311)が固定式バルブ継手(325)と係合する方向において見たときの外形が小さくなるように構築することができる。すなわち、この代替的な構成では、バルブカートリッジ(311)を、固定式バルブ継手(325)に取り付けるときに、より小さい外形の結果として、壁またはシャワーライニングのより小さな開口部に取り付けることができる。このようにして、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(311)は、
図6に示す電子制御可能なミキシングバルブカートリッジ(11)の第1の実施例と同様の方法で使用することができる。
【0228】
第6の実施例
図26および
図27を参照して、代替的なバルブ部材構成(411)について説明する。この代替的なバルブ部材構成(411)は、単一のアクチュエータのみを使用して混合を制御するために使用される単一セットのバルブ部材に2つの入口供給を提供するようにバルブ部材ハウジングを適切に変更することで、本明細書に記載のタイプの電子制御式ミキシングバルブカートリッジで使用することができる。
【0229】
単一のアクチュエータは、本明細書の他の実施例に示されているアクチュエータと同様の電気モータ(413)およびリードスクリューアセンブリ(415)を含む。代替的なバルブ部材構成(411)との大きな違いは、単一の可動バルブ部材(417)を使用して、第1の固定部材(419)に設けられた2つの入口ポートを制御することである。入口固定部材(419)の第1の入口ポート(421)は、例えば冷水供給部に接続することができ、入口固定部材(419)の第2の入口ポート(423)は、温水供給部に接続することができる。
【0230】
本明細書に記載の他の実施例と同様に、可動バルブ部材(417)は2つの固定バルブ部材の間に挟まれ、バルブ部材のすべてがセラミック材料で作られている。この場合、可動バルブ部材(417)は、第1の固定部材(419)と第2の固定部材(425)との間に挟まれている。第2の固定部材(425)は、出口ポート(427)を有する。出口ポート(427)は、組み合わされた第1および第2の入口ポート(421、423)の外周と同様の全体サイズを有する。可動バルブ部材(417)は、出口ポート(427)のサイズの約半分である制御ポート(429)を有する。
【0231】
可動バルブ部材(417)は、アクチュエータによって、4つの領域に移動して、それら領域を通過すると言える。その4つの領域は、
・制御ポート(429)が第1の固定部材の中実領域で完全に覆われる第1の領域であって、流体がバルブ部材アセンブリを全く通過しない第1の領域と、
・制御ポート(429)が第1の固定部材の第1の入口ポート(421)の上にある第2の領域であって、第1の入口ポート(421)からの流体のみがバルブ部材アセンブリを通過できる第2の領域と、
・制御ポート(429)が第1の固定部材の第1の入口ポート(421)と第2の入口ポート(423)の両方の上にある第3の領域であって、第1の入口ポート(421)と第2の入口ポート(423)の両方からの流体がバルブ部材アセンブリを通過できる第3の領域と、
・制御ポート(429)が第1の固定部材の第2の入口ポート(423)の上にある第4の領域であって、第2の入口ポート(423)からの流体のみがバルブ部材アセンブリを通過できる第4の領域である。
【0232】
このようにして、代替的なバルブ部材構成(411)は、単一のアクチュエータのみを使用して2つの流体の流れの混合を制御することができる。代替的なバルブ部材構成(411)は、温度センサおよび電子制御システムと組み合わせて使用して、本明細書に記載のタイプの電子制御可能なミキシングバルブカートリッジをもたらすことができる。
【0233】
変形例
本発明の態様は、単なる例として説明しているだけであり、その範囲から逸脱することなく、それらに変更および追加を加えることができることを理解されたい。
【0234】
本明細書に記載のいくつかのミキシングバルブアセンブリは、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを1つのみ含むが、複数のカートリッジ、例えば、別々の入力パネルから複数のシャワーヘッドを供給するアセンブリを使用することが想定される。
【0235】
本明細書に記載のバルブモジュールアセンブリは、直線的に移動する可動バルブ部材を含む。代替的な実施形態では、バルブモジュールアセンブリが、回転可能な可動バルブ部材、例えば、手動ミキシングバルブで一般的に使用される四分の一回転セラミックバルブディスクを含むことが想定される。
【0236】
同様に、本明細書に記載の実施例はすべて、2つの電動アクチュエータおよびバルブ部材の2つの係合ペアを含むが、バルブが1つの係合ペアのみを含み、単一のアクチュエータで操作されることも想定される。
【0237】
本明細書に記載のバルブは、2つの流体入口と1つの流体出口を含むが、2つより多い流体入口と任意の数の流体出口を管理するために同じ動作原理と構成要素が使用されることも想定される。同様に、代替的な実施形態に適合させるために、複数の温度センサを使用することも可能である。
【0238】
可動バルブ部材および固定バルブ部材は、セラミック材料で作られており、各々を、摩擦を減らすために異なるセラミック材料で作ることが可能であり、例えば、一対の係合バルブ部材のうちの一方をアルミナ、他方をジルコニア、炭化ケイ素または窒化ケイ素で作ることが可能である。
【0239】
本明細書に記載の実施例では、2つのハウジング部材がプラスチック材料で作られて、互いに溶接されている。しかしながら、2つのハウジング部材を、機械的な留め具で一緒に保持して、それらを例えば真鍮などの金属で作ることも想定される。
【0240】
本明細書に記載の実施例はすべて、電動アクチュエータを備えている。アクチュエータに動力を供給する他の手段、例えば、液圧駆動アクチュエータ(例えば、水圧を使用)または空気圧駆動アクチュエータを使用することも想定される。
【0241】
バルブカートリッジまたはミキシングバルブアセンブリの何れかの電子制御システムは、手動操作ノブ、レバー、または同様の手動制御デバイスを有するローカル入力装置またはユーザインターフェイスから機械的入力を受け取るように構成することができる。
【0242】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、必要に応じて、例えば、水の使用量の管理に使用するために、または温度を制御する代替的方法として、1または複数の流量センサを含むことができる。
【0243】
任意選択的には、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、流体がバルブカートリッジを通って流れるときに電気エネルギーを生成するように構成されたタービン発電機を含むことができる。
【0244】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、緊急遮断バルブ、例えば、特に停電時の安全性を高めるために、選択した温度を超える流体がバルブカートリッジから流出するのを防ぐように構成されたワックスチューブ作動シャットオフバルブまたはダイバータバルブも含むことができる。
【0245】
電子制御可能なミキシングバルブカートリッジは、安全性を向上させ、アクチュエータによる作業を減らすために、手動の流量制御およびシャットオフバルブを含むこともできる。このオプションでは、アクチュエータは流量のみを制御し、シャットオフの役割を制御することはなく、それにより、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジで使用される電力を削減することができる。
【0246】
電気モータと可動バルブ部材との間の結合は、様々な形態をとることが考えられる。例えば、代替的な実施形態では、可動バルブ部材が、ネジ継手を介して、それぞれの電気駆動モータに直接結合することができる。可動バルブ部材の一部である、あるいは可動バルブ部材に連結されるネジ付きシャフトは、1つの選択肢として、電気モータの主軸に形成された雌ネジと係合することができる。
【0247】
係合する「T」字形スロットおよび突起を含む、線形アクチュエータと可動バルブ部材との間の機械的接続部は、代替的には、可動バルブ部材に突起を有し、線形アクチュエータにスロットを有することもできる。
【0248】
1または複数の固定バルブ部材は、バルブ部材ハウジングに形成されたバルブシートの形態をとることが考えられる。本明細書に記載のバルブ技術を使用して、流量制御バルブ、例えば、1つの入口、1つの出口および流量センサを有する流量制御バルブを製造することも考えられる。
【0249】
定義
本明細書全体を通じて、「comprise(含む)」という単語および「comprises(含む)」および「comprising(含む)」などのその変化形は、他の付加、成分、整数またはステップを除外することを意図するものではない。
【0250】
利点
少なくとも本発明の好ましい形態は、より簡単かつ容易に設置および交換することができ、それにより人件費を削減することができる、電子制御可能なミキシングバルブカートリッジを提供することがわかる。バルブカートリッジのサイズが比較的小さいことは、現在使用されている手動操作のミキシングバルブと同じ場所に設置することができ、同じスタイルの継手に連結することができることを意味している。
【0251】
カートリッジの設計は、一部を形成する電子制御可能なバルブの予想される信頼性を損なうことなく、バルブサイズとバルブコストを削減することも意図している。
【0252】
ミキシングバルブアセンブリも同様にシンプルで小型であるため、製造コストを削減し、設置の柔軟性を高めることができる。
【0253】
ミキシングバルブで2つのバルブアセンブリを使用することにより、合計流量と混合の両方を個別に調整または制御することができる。
【0254】
セラミック製のバルブ部材を使用することにより、信頼性の高いシーリングと長寿命を実現することができる。
【0255】
可動バルブ部材の直線運動により、比較的小型の電気モータとリードスクリューとを組み合わせて使用して、作動させることが可能となり、その作動手段は、低コストであり、可動バルブ部材が部分的に固定された場合、例えばバルブ乾燥で固定された場合でも、確実に可動バルブ部材を動かすのに十分強力である。
【0256】
本明細書に記載の混合および検知モジュールにより、非常にコンパクトなバルブカートリッジ内で温度と流量に関する有用なフィードバックを取得することができる。混合チャンバ内の渦巻き動作は、2つの流体の流れを急速に混合し、混合チャンバは、フロー検知パドルホイールに適した場所を提供する。
【0257】
信頼性の高いバルブ動作と正確なフィードバックの組合せにより、簡単に着脱できるように容易に構成することができる、非常に好都合な電子制御可能なミキシングバルブカートリッジが提供されるものとなる。