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特許7284521吸水パッド及び吸水パッドを股下部に備えた衣類
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】吸水パッド及び吸水パッドを股下部に備えた衣類
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20230524BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20230524BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20230524BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20230524BHJP
   A41B 9/02 20060101ALI20230524BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20230524BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A61F13/496
A61F13/539
A61F13/511 300
A61F13/53 300
A41B9/02 P
A41B9/04 D
A41B9/04 C
A41B9/02 F
A41B9/12 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021119050
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014865
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594208846
【氏名又は名称】チーカス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207066
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 毅
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 順子
(72)【発明者】
【氏名】小林 麻里
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135958(JP,A)
【文献】特表2004-533307(JP,A)
【文献】特開2004-105485(JP,A)
【文献】特開平10-179624(JP,A)
【文献】実開平05-033721(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0130736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成した吸水性シートと、該吸水性シートの肌面側を被覆するメッシュシートと、該吸水性シートの外表面側を被覆する非透水性シートとを含む吸水パッドであって、
前記吸水性シートが左右別体の吸水性生地により構成され、
前記左右別体の吸水性生地のそれぞれ一部分が相互に重ね合わせられて厚手部位が形成され、
前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着され
前記厚手部位が、前記吸水性シートの前端辺部及び後端辺部に向けて細くなる形状であり、
前記前端辺部及び前記後端辺部において、前記左右一対の吸水性生地の前端及び後端の角がそれぞれ重ねられることを特徴とする吸水パッド。
【請求項2】
左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成した吸水性シートと、該吸水性シートの肌面側を被覆するメッシュシートと、該吸水性シートの外表面側を被覆する非透水性シートとを含む吸水パッドであって、
前記吸水性シートが左右別体の吸水性生地により構成され、
前記左右別体の吸水性生地のそれぞれ一部分が相互に重ね合わせられて厚手部位が形成され、
前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着され
前記メッシュシートが、前記吸水性シートと、前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着されて一体となっていることを特徴とする吸水パッド。
【請求項3】
前記吸水性シートの厚手部位が、前記吸水性シートの前端辺部及び後端辺部に向けて細くなる形状であることを特徴とする請求項に記載の吸水パッド。
【請求項4】
前記吸水性シートと、前後長さ寸法が前記吸水性シートよりも長く構成されている非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って縫着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッド。
【請求項5】
前記吸水性シートと前記メッシュシートとが、同一の外郭形状を有しているとともに、
前記非透水性シートの前後長さ寸法が、前記メッシュシート及び前記吸水性シートの前後長さ寸法よりも長く構成され、
前記吸水性シートと前記メッシュシートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッド。
【請求項6】
前記吸水性シートと前記メッシュシートと前記非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッド。
【請求項7】
前記吸水性シートと前記メッシュシートと前記非透水性シートとが、相互の左端辺部及び右端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の左端辺部及び右端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸水パッド。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の吸水パッドを股下部に備えた衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、股下部を有する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、経血、おりもの又は尿等の体液に対する体液吸収機能を有する吸水パッド、あるいは、体液吸収機能を有する股下部を備えた衣類が知られており、このような吸水パッド又は股下部の体液吸収機能を高めるために、複数の体液吸収層を有するもの(特許文献1乃至特許文献3)及び単一の体液吸収層を折り曲げ重ねて構成したもの(特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-259500号公報
【文献】特開2017-63846号公報
【文献】特開2011-24924号公報
【文献】実用新案登録第3202346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の体液吸収層を有するものは、体液吸収層同士の隙間では体液が吸収されずに滞留して液漏れが生じる問題があり、一方、単一の体液吸収層を単に折り曲げて重ねて構成するものは、いったん吸収した体液が体液吸収層内で短時間に拡散、移動して、吸水パッド又は股下部の端辺部等から液漏れが生じるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、吸水パッド及びこれを股下部とした衣類における体液の吸収量を増大させるとともに、体液吸収後の前後左右からの液漏れを抑制し、さらに吸水パッドを装着した際の圧迫感を減らすことができる吸水パッド及びそのような吸水パッドを股下部に備えた衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成した吸水性シートと、該吸水性シートの肌面側を被覆するメッシュシートと、該吸水性シートの外表面側を被覆する非透水性シートとを含む吸水パッドであって、前記吸水性シートが左右別体の吸水性生地により構成され、前記左右別体の吸水性生地のそれぞれ一部分が相互に重ね合わせられて厚手部位が形成され、前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着され、前記厚手部位が、前記吸水性シートの前端辺部及び後端辺部に向けて細くなる形状であり、前記前端辺部及び前記後端辺部において、前記左右一対の吸水性生地の前端及び後端の角がそれぞれ重ねられることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成した吸水性シートと、該吸水性シートの肌面側を被覆するメッシュシートと、該吸水性シートの外表面側を被覆する非透水性シートとを含む吸水パッドであって、前記吸水性シートが左右別体の吸水性生地により構成され、前記左右別体の吸水性生地のそれぞれ一部分が相互に重ね合わせられて厚手部位が形成され、前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着され、前記メッシュシートが、前記吸水性シートと、前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着されて一体となっていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、請求項に係る発明の構成に加えて、前記吸水性シートの厚手部位が、前記吸水性シートの前端辺部及び後端辺部に向けて細くなる形状であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記吸水性シートと、前後長さ寸法が前記吸水性シートよりも長く構成されている非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って縫着されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記吸水性シートと前記メッシュシートとが、同一の外郭形状を有しているとともに、前記非透水性シートの前後長さ寸法が、前記メッシュシート及び前記吸水性シートの前後長さ寸法よりも長く構成され、前記吸水性シートと前記メッシュシートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記吸水性シートと前記メッシュシートと前記非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に係る発明の構成に加えて、前記吸水性シートと前記メッシュシートと前記非透水性シートとが、相互の左端辺部及び右端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の左端辺部及び右端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の吸水パッドを股下部に備えた衣類により、前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートが左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成したことにより、吸水性シートの厚手部位において吸水性生地が二重構造となって体液の吸収量を増大させるため、吸水パッドが優れた吸水性を発揮することができるばかりでなく、吸水性シートのうち厚手部位を除く残りの部位において吸水性生地が一重構造となって吸水性シートの柔軟性を確保するため、吸水パッドを人体の股下等に装着した際の圧迫感を軽減することができる。
【0015】
また、本発明の請求項1に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートの吸水性生地が、厚手部位の周縁に沿って相互に縫着されていることにより、吸水性シートの厚手部位に吸収された体液が縫着部位において包囲されて吸水性シートの厚手部位内に封止されるため、吸水性シートの厚手部位内から外部へ体液が漏れ出すことを抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明の吸水パッドによれば、メッシュシートが、吸水性シートと相互に縫着されて一体となっていることにより、請求項1記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、吸水性シートの厚手部位の周縁を示す縫い目がメッシュシートの肌面側から視認できるため、吸水パッドを人体の股下等に装着する際に、吸水性シートの厚手部位を容易に視認しながら人体の股下等の体液が滲出する人体部位に確実に装着することができる。
【0017】
本請求項3に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートの厚手部位が、吸水性シートの前後端辺部に向けて細くなる形状であることにより、請求項1又は請求2記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、厚手部位の保水量が、前端辺部及び後端辺部に近いほど少なくなるため、吸水性シートの厚手部位で吸収された体液が厚手部位内で拡散しても、吸水パッドに吸収された体液の前漏れ、後漏れを抑制することができるばかりでなく、二重構造の厚手部位が前端辺部及び後端辺部に近いほど前後方向に反り易いため、吸水パッドを装着者の股下等のボディラインに自然にフィットさせることができる。
【0018】
本請求項4に係る発明の吸水パッドによれば、前記吸水性シートと、前後長さ寸法が前記吸水性シートよりも長く構成されている非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って縫着されていることにより、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、吸水性シートの外側への体液の移動が縫着部位で抑制されるため、体液が吸水性シートの前後方向の外側に移動して発生する前漏れ及び後漏れを抑制することができる。
【0019】
本請求項5に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートとメッシュシートとが、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、撥水性テープが、吸水性シートに吸収された体液を相互の前端辺部及び後端辺部で封じ込めるため、吸水性シートに吸収された体液の前漏れ、後漏れを防止することができる。
【0020】
また、本請求項5に係る発明の吸水パッドによれば、非透水性シートの前後長さ寸法が、メッシュシート及び吸水性シートの前後長さ寸法よりも長く構成されていることにより、吸水性シートに吸収された体液が仮に前後方向に漏出しても、メッシュシート及び吸水性シートの前後長さ寸法よりも長い非透水性シートが外表面側への体液の浸み出しを止めるため、体液が非透水性シートの外表面に漏出することを防ぐことができる。
【0021】
本請求項6に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートとメッシュシートと非透水性シートとが、相互の前端辺部及び後端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の前端辺部及び後端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、撥水性テープが、吸水性シートに吸収された体液の漏出を前端辺部及び後端辺部において完全に封じ込めるため、吸水パッドからの前漏れ、後漏れを防止することができる。
【0022】
本請求項7に係る発明の吸水パッドによれば、吸水性シートとメッシュシートと非透水性シートとが、相互の左端辺部及び右端辺部において同一の形状寸法を有し、相互の左端辺部及び右端辺部に沿って撥水性テープによってバインディングされていることにより、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸水パッドが奏する効果に加えて、撥水性テープが、吸水性シートに吸収された体液の漏出を左端辺部及び右端辺部において完全に封じ込めるため、吸水パッドからの横漏れを防止することができる。
【0023】
本請求項8に係る発明の衣類によれば、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の吸水パッドを股下部に備えていることにより、それぞれの吸水パッドと同様の効果を奏する衣類を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の衣類を表した模式図。
図2】本発明の吸水パッドが衣類の股下部を構成するために前身頃及び後身頃と共に縫着されている状態を肌面側から見た様子を示す模式図。
図3】本発明の吸水パッドの層構造を示す模式的分解図。
図4】本発明の第1実施例に係る吸水パッドの製造プロセスを示す模式図。
図5】本発明の第2実施例に係る吸水パッドの製造プロセスを示す模式図。
図6図4における模式的VI-VI断面図。
図7図5における模式的VII-VII断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る吸水パッドは、左右一対の吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成した吸水性シートと、該吸水性シートの肌面側を被覆するメッシュシートと、該吸水性シートの外表面側を被覆する非透水性シートとで一体に構成された吸水パッドであって、前記吸水性シートの吸水性生地が、前記厚手部位の周縁に沿って相互に縫着されていることにより、吸水パッドが優れた吸水性を発揮し、吸水パッドを人体の股下等に装着した際の圧迫感を軽減し、吸水性シートの厚手部位内から外部へ体液が漏れ出すことを抑制することができるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0026】
すなわち、本発明に係る衣類は、人体のうち体液の吸収を要する部位に着用するものであり、シャツ、パンツ、ショーツ等とすることができるが、特に吸水パッドを股下部に備えるショーツとして用いることができる。
【0027】
また、本発明に係る吸水パッドは、人体のうち体液の吸収を要する部位に着用する衣類に装着し、またはそのような衣類を構成する股下部または汗取りパッドなどの衣類用吸水パッドとして利用することができ、特に前身頃、後身頃、股下部を有するショーツの股下部として用いることができる。
【0028】
本発明の吸水性シートは、吸水性生地のそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位を形成して構成するが、この吸水性生地の素材としては、体液等の液体を吸収する構造を有するシート状の材料を広く用いることができ、例えば、コットン、麻、パルプ等の植物繊維、ウール等の獣毛繊維、親水性の付与されたポリエステル、アクリル等の合成繊維、スパンデックス等ポリウレタン系ポリマー繊維、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー繊維、キュプラ、レーヨン、アセテート等の再生繊維を用いることができる。
【0029】
本発明のメッシュシートとしては、不織布又は織布等であって体液等の液体を透過する構造を有するシート状の材料を広く用いることができ、例えば、メリヤス、トリコット、ラッセルなどの編機により製造されて編物の表面に貫通孔を有する生地や、ポリプロピレン系繊維、スパンデックス等のポリウレタン系繊維或いはポリウレタン系繊維と他のナイロン、アクリル等との混紡繊維を素材とする伸縮性の生地を用いることができる。
【0030】
本発明の非透水性シートとしては、各種の防水性又は撥水性のシートを用いることができ、例えば、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン・キュプラ等の再生繊維を含む化学繊維からなる防水加工又は撥水加工された編地、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等の樹脂材料を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、スパンレース等の不織布と通気性の樹脂フィルムとが一体化された複合シートなどを用いることができる。
【0031】
本発明の撥水性テープとしては、撥水性及び伸縮性を有する素材からなる細幅の生地を広く用いることができ、例えば、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン・キュプラ等の再生繊維を含む化学繊維からなるからなる撥水加工された編地、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等の樹脂材料を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、スパンレース等の不織布と通気性の樹脂フィルムとが一体化された複合シートからなる各種の撥水性テープを用いることができる。
【0032】
本発明の吸水性シートとメッシュシートとを相互の前端辺部及び後端辺部にオーバーロック(overlock)等で縫着する際には、非伸縮性の縫着糸、より具体的には各種のスパン糸を広く用いることができる。
【0033】
一方、吸水性シートを構成する一対の吸水性生地を厚手部位の周縁に沿って相互に直線縫い(straight stich)等により縫着する際、吸水性シート、メッシュシート又は非透水性シートを相互の前端辺部、後端辺部、左端辺部又は右端辺部に沿って撥水性テープによって玉縁縫い、すなわちバインディング(binding)する際、直線縫い(straight stich)、又は、環縫い/単環縫い(chain stich)等により縫着する際に用いる伸縮性縫着糸としては、ストレッチ素材対応の伸縮性を有する縫着糸を広く用いることができ、例えば、レジロンF(登録商標)、ウーリーナイロン、ポリエステルウーリー等のナイロン又はポリエステルを素材とした各種の伸縮性のある縫着糸を用いることができる。
【実施例1】
【0034】
以下に、本発明の第1実施例である吸水パッド及び吸水パッドを股下部に備えた衣類について、図1乃至図4及び図6に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の衣類を表した模式図であり、図2は、本発明の吸水パッドが衣類の股下部を構成するために前身頃及び後身頃と共に縫製されている状態を肌面側から見た様子を示す模式図であり、図3は、本発明の吸水パッドの層構造を示す模式的分解図であり、図4は、本発明の第1実施例に係る吸水パッドの製造プロセスを示す模式図であり、図6は、図4における模式的VI-VI断面図である。
【0035】
本実施例に係る衣類100は、図1に示すショーツであり、吸水パッド110、前身頃120、後身頃130及び股下部140を少なくとも備えている。
【0036】
股下部140の肌面側に浮きマチ構造で配置される吸水パッド110は、図2に示すように、前端辺部110Feが前身頃120に縫着されるとともに後端辺部110Reが後身頃130に縫着されて衣類100を構成する。
【0037】
まず、本実施例に係る吸水パッド110の構成を説明する。吸水パッド110は、図3に示すように、吸水性シート111、メッシュシート112、非透水性シート113及び撥水性テープ114L、114Rを有している。
【0038】
吸水性シート111は、図3図4及び図6に示すように、左側吸水性生地111Lpと右側吸水性生地111Rpとのそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて厚手部位111Aを形成して構成されている。
【0039】
そして、吸水性シート111を構成している左右一対の左側吸水性生地111Lp及び右側吸水性生地111Rpが、厚手部位111Aの周縁に沿って伸縮性縫着糸116により相互に縫着されている。
【0040】
次に、図4本実施例に係る吸水パッド110の製造プロセスを説明する。
【0041】
吸水パッド110を製造するプロセスは、まず、図4の(a)に示すように、左側吸水性生地111Lpと右側吸水性生地111Rpとを、股下部の左右中央に対応する位置でそれぞれの一部分を重ねて配置して厚手部位111Aを形成する。
【0042】
左側吸水性生地111Lpは右辺部分が弧状に右向きに膨出する形状を有しており、右側吸水性生地111Rpは左辺部分が弧状に左向きに膨出しているため、これらの辺の前端及び後端の角をそれぞれ重ねることにより、容易に位置合わせすることができ、形成された厚手部位111Aの形状は、吸水性シートの前端辺部111Fe及び吸水性シートの後端辺部111Beに向けて細くなる形状、例えば木の葉形、すなわち紡錘形になる。なお、ここでは厚手部位111Aの前後端辺部に向けて細くなる形状の例として、木の葉形と表現したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、厚手部位111Aの形状は、任意の曲線状、あるいは、部分的に凸部ないし角部を有する形状、例えば、多角形状であってもよく、また、厚手部位111Aとして重ね合わされる部分の形状は左右対称や前後方向に対称である必要はなく、重ね合わせが可能な形状であればどのような形状であってもよい。例えば厚手部位111Aの形状が多角形状、例えば菱形である場合、重ね合わせの際の角部ないし凸部を位置合わせの目印とすることができるため、より位置合わせがし易いという効果を奏する。この場合においても、角部ないし凸部は、丸みを持たせた形状としてもよい。
【0043】
次に、図4の(b)に示すように、この厚手部位111Aの周縁に沿って左側吸水性生地111Lpと右側吸水性生地111Rpとを伸縮性縫着糸116により相互に縫着して、吸水性シート111を形成する。この時の縫着としては、特に限定されるものではないが、例えば、直線縫い、二本針、千鳥縫い(2点千鳥、3点千鳥、4点千鳥等)等が挙げられる。
【0044】
その後、図4の(c)に示すように、吸水性シート111と同一の外郭形状を有しているメッシュシート112を吸水性シート111の上に重ねて配置し、図4の(d)に示すように、吸水性シート111とメッシュシート112とに対し、吸水性シートの前端辺部111Feとメッシュシートの前端辺部112Feとを相互の前端辺部に沿って非伸縮性縫着糸115としてのスパン糸により例えばオーバーロック等で縫着するとともに、吸水性シートの後端辺部111Beとメッシュシートの後端辺部112Beとを相互の後端辺部に沿って非伸縮性縫着糸115としてのスパン糸により例えばオーバーロック等により縫着する。
【0045】
さらに、図4の(e)に示すように、前後長さ寸法がメッシュシート112及び吸水性シート111の前後長さ寸法よりも長く構成されている非透水性シート113の上に、縫着により一体となったメッシュシート112及び吸水性シート111を重ねて配置し、図4の(f)に示すように、吸水性シートの前端辺部111Feとメッシュシートの前端辺部112Feと非透水性シートの前端辺部113Feとを、相互の前端辺部に沿って、非伸縮性縫着糸115による縫着部の上からさらに直線縫い等で縫着する。
【0046】
吸水性シート111とメッシュシート112と非透水性シート113は、相互の左端辺部及び右端辺部において同一の形状寸法を有しており、吸水性シートの左端辺部111Leとメッシュシートの左端辺部112Leと非透水性シートの左端辺部113Leとを相互の左端辺部に沿って撥水性テープ114Lを用いて伸縮性縫着糸116により単環縫いでバインディングするとともに、吸水性シートの右端辺部111Reとメッシュシートの右端辺部112Reと非透水性シートの右端辺部113Reとを相互の右端辺部に沿って撥水性テープ114Rを用いて伸縮性縫着糸116により単環縫いでバインディングすることにより、吸水パッド110が完成する。
【実施例2】
【0047】
以下に、本発明の第2実施例である吸水パッド及び吸水パッドを股下部に備えた衣類について、図1乃至図3図5及び図7に基づいて説明する。
【0048】
ここで、図1は、本発明の衣類を表した模式図であり、図2は、本発明の吸水パッドが衣類の股下部を構成するために前身頃及び後身頃と共に縫着されている状態を肌面側から見た様子を示す模式図であり、図3は、本発明の吸水パッドの層構造を示す模式的分解図であり、図5は、本発明の第2実施例に係る吸水パッドの製造プロセスを示す模式図であり、図7は、図5における模式的VII-VII断面図である。
【0049】
本実施例に係る衣類100及び吸水パッド110の構成は、メッシュシート112が吸水性シート111と相互に縫着されて一体となっている点以外は実施例1と同様である。
【0050】
本実施例に係る吸水パッド110の製造プロセスは、図5に示すように、メッシュシート112が吸水性シート111と相互に縫着して一体とする点以外は、実施例1と同様である。
【0051】
本実施例の吸水パッド110を製造するプロセスは、まず、図5(a)に示すように、裏返したメッシュシート112の上に裏返した左側吸水性生地111Lpそれぞれの前端辺部、後端辺部、左端辺部がそれぞれ一致するように配置して、左側吸水性生地111Lpの円弧状の膨出部分の縁に沿って左側吸水性生地111Lpとメッシュシート112とを伸縮性縫着糸116により直線縫い等で相互に一体に縫着する。
【0052】
次に、図5(b)に示すように、裏返した右側吸水性生地111Rpを重ねて、メッシュシート112と右側吸水性生地111Rpそれぞれの前端辺部、後端辺部及び右辺端部がそれぞれ一致するように配置して、右側吸水性生地111Rpの円弧状の膨出部分の縁に沿って右側吸水性生地111Rpとメッシュシート112とを伸縮性縫着糸116により直線縫い等で相互に一体に縫着する。
【0053】
こうして左側吸水性生地111Lpと右側吸水性生地111Rpのそれぞれ一部分を相互に重ね合わせて木の葉形の厚手部位111Aを形成した吸水性シート111とメッシュシート112とが縫着により一体となった状態で全体を裏返すと、図5(c)に示すように、メッシュシート112の肌側面に、吸水性シートの前端辺部111Fe及び吸水性シートの後端辺部111Beに向けて細くなる木の葉形の縫着線が表れる。
【実施例3】
【0054】
本実施例に係る衣類100及び吸水パッド110は、吸水性シート111とメッシュシート112とに対し、吸水性シートの前端辺部111Feとメッシュシートの前端辺部112Feとを相互の前端辺部に沿って縫着糸115により縫着する代わりに撥水性テープ114によって単環縫いでバインディングし、吸水性シートの後端辺部111Beとメッシュシートの後端辺部112Beとを相互の後端辺部に沿って非伸縮性縫着糸115により縫着する代わりに、撥水性テープ114によって単環縫いでバインディングしている以外は、実施例1又は実施例2と同様に構成し、製造することで、体液の吸収量を増大させるとともに、体液吸収後の前後左右からの液漏れを抑制し、さらに吸水パッドを装着した際の圧迫感を減らすことができる吸水パッド及びそのような吸水パッドを股下部に備えた衣類を得た。
【実施例4】
【0055】
本実施例に係る衣類100及び吸水パッド110は、吸水性シート111とメッシュシート112と非透水性シート113とが、相互の前端辺部及び後端辺部において同一の形状寸法を有し、吸水性シートの前端辺部111Feとメッシュシートの前端辺部112Feに加えて非透水性シートの前端辺部113Feを相互の前端辺部に沿って撥水性テープ114によって単環縫いでバインディングし、吸水性シートの後端辺部111Beとメッシュシートの後端辺部112Beに加えて非透水性シートの後端辺部113Beを相互の後端辺部に沿って撥水性テープ114によって単環縫いでバインディングしている以外は、実施例1乃至実施例3と同様に構成し、製造することで、体液の吸収量を増大させるとともに、体液吸収後の前後左右からの液漏れを抑制し、さらに吸水パッドを装着した際の圧迫感を減らすことができる吸水パッド及びそのような吸水パッドを股下部に備えた衣類を得た。
【0056】
以上の各実施例は本発明の技術思想を具体化するための衣類又は吸水パッドを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、各実施例に変更を加えたもの、各実施例を組み合わせたもの等、その他の実施例のものにも等しく適用し得るものである。例えば、本発明の衣類又は吸水パッドの生地や縫製の種類としては、各実施例で記載したもの以外にも様々なものを採用可能であり、また、縫着糸についても種類、伸縮性の有無の設定等、様々な縫着糸の中から仕様に応じて適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・・衣類
110・・・・吸水パッド(股下部)
110Fe・・吸水パッドの前端辺部
110Re・・吸水パッドの後端辺部.
111・・・・吸水性シート
111Fe・・吸水性シートの前端辺部
111Be・・吸水性シートの後端辺部
111Le・・吸水性シートの左端辺部
111Re・・吸水性シートの右端辺部
111Lp・・左側吸水性生地
111Rp・・右側吸水性生地
111A・・・厚手部位
112・・・・メッシュシート
112Fe・・メッシュシートの前端辺部
112Be・・メッシュシートの後端辺部
112Le・・メッシュシートの左端辺部
112Re・・メッシュシートの右端辺部
113・・・・非透水性シート
113Fe・・非透水性シートの前端辺部
113Be・・非透水性シートの後端辺部
113Le・・非透水性シートの左端辺部
113Re・・非透水性シートの右端辺部
114・・・・撥水性テープ
114L・・・撥水性テープ
114R・・・撥水性テープ
115・・・・非伸縮性縫着糸
116・・・・伸縮性縫着糸
120・・・・前身頃
130・・・・後身頃
140・・・・股下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7