(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】秤量装置と分包装置との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
(21)【出願番号】P 2021144697
(22)【出願日】2021-09-06
(62)【分割の表示】P 2017177870の分割
【原出願日】2017-09-15
【審査請求日】2021-09-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】野崎 知之
(72)【発明者】
【氏名】長村 佳則
(72)【発明者】
【氏名】吉井 進一
(72)【発明者】
【氏名】大賀 優希
(72)【発明者】
【氏名】勝丸 智行
(72)【発明者】
【氏名】岩川 明弘
(72)【発明者】
【氏名】澤田 優貴
(72)【発明者】
【氏名】河井 崇
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-226087(JP,A)
【文献】特開2012-016461(JP,A)
【文献】特開平11-226086(JP,A)
【文献】特開平08-119202(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散剤を払い出す払出部と、
前記払出部より払い出された散剤を収容するトレイを載置し、前記トレイに収容する散剤を秤量する秤量部と、を備える秤量装置と、
前記秤量装置から作業者によって取り出された前記トレイに収容された散剤を分包する分包装置と、を備え、
前記秤量装置は、前記トレイに設けられる情報表示部に対して、前記トレイに収容される散剤を識別するための光学的に読み取り可能な識別子と、前記払出部からの前記トレイに対する実際の散剤の供給に関する情報と、を書き込む情報書込部を備え、
前記情報表示部は、前記情報書込部によって書き込まれた前記識別子及び前記実際の散剤の供給に関する情報を表示可能であり、
前記分包装置は、前記識別子を読み取る読取手段を備え、
前記分包装置は、前記読取手段が前記識別子を読み取ることで、前記トレイに収容された散剤を識別する、秤量装置と分包装置との組み合わせ装置。
【請求項2】
前記分包装置により前記識別子が読み取られると、前記情報表示部の表示が消去される、請求項1に記載の秤量装置と分包装置との組み合わせ装置。
【請求項3】
前記情報書込部は、前記払出部による前記トレイへの散剤の払出しにおいて、前記払出部からの前記トレイに対する実際の散剤の供給に関する情報として、少なくとも秤量値を書き込む、請求項1又は2に記載の秤量装置と分包装置との組み合わせ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散剤を秤量するための秤量装置と分包装置との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調剤薬局等で散剤(「散薬」ともいう)の調剤を行う際、薬剤師等が散剤の入った散剤瓶を調剤台に出してきて、電子天秤に載せられた散剤を受けるトレイに散剤瓶から散剤を供給して秤量を行っていた。このトレイは秤量皿と呼ばれる。散剤を一服用量ごとに分けて包装する分包装置は存在していたが、当該装置に投入する前において分包に必要な散剤の総量を秤量する作業は手作業で行われていたため、改良の余地があった。
【0003】
また、特許文献1に記載の「散薬供給装置」が存在する。この装置は、カップ供給ユニットから供給されたカップに対し、カセット収納ユニットに収納された任意のカセットから散剤を払い出して秤量し、カップ昇降ユニット及びカップ還流ユニットによってカップを搬送して分包ユニットまで運搬するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の装置では、例えばカセットに収容されていない散剤を調剤することはできなかったため、供給指示への柔軟な対応という点で改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、供給指示に応じて散剤を効率的に用意することのできる秤量装置と分包装置との組み合わせを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の秤量装置と分包装置との組み合わせは、散剤を払い出す払出部と、前記払出部より払い出された散剤を収容するトレイを載置し、前記トレイに収容する散剤を秤量する秤量部と、を備える秤量装置と、前記トレイに収容された散剤を分包する分包装置と、を備え、前記秤量装置は、前記トレイに設けられる情報表示部に対して、前記トレイに収容される散剤を識別するための識別子を書き込む情報書込部を備え、前記分包装置は、前記識別子を読み取る読取手段を備える。
【0008】
また、本発明の秤量装置と分包装置との組み合わせは、散剤を払い出す払出部と、前記払出部より払い出された散剤を収容するトレイを載置し、前記トレイに収容する散剤を秤量する秤量部と、を備える秤量装置と、前記トレイに収容された散剤を分包する分包装置と、を備え、前記秤量装置は、前記トレイに設けられる識別子に対して、前記トレイに収容される散剤を識別するための情報を書き込む情報書込部を備え、前記分包装置は、前記識別子に書き込まれた前記情報を読み取る読取手段を備える。
【0009】
また、前記秤量装置は、前記秤量部から前記トレイを移送するトレイ移送部と、前記トレイ移送部に移送される前記トレイを載置するトレイ集積部と、前記トレイ集積部に前記トレイを載置する各区画に対応して設けられる表示器と、を備え、前記表示器は、前記分包装置での操作に応じて表示状態になることもできる。
【発明の効果】
【0010】
以上より、本発明によれば、供給指示に応じて散剤を効率的に用意することのできる秤量装置と分包装置との組み合わせを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る秤量装置の外観を示す正面図である。
【
図2】同実施形態に係る秤量装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の斜視図である。
【
図4】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の正面図である。
【
図5】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の平面図であって、自動で秤量を行う場合の平面図である。
【
図6】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の平面図であって、手動で秤量を行う場合の平面図である。
【
図7】同実施形態に係る秤量装置の主要部分の断面図であって、払出位置で散剤容器の払出口とテーブルに形成された開口とが位置合わせされた状態を説明するための断面図である。
【
図8】同実施形態に係る秤量装置の制御に係る構成を示したブロック図である。
【
図9】同実施形態に係る秤量装置の情報表示部に表示される情報を説明するための図である。
【
図10】他の実施形態に係る秤量装置のトレイ集積部を示す平面視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る秤量装置1について、図面を参照しつつ説明する。以下説明における方向の表示は、
図3に示した方向に対応している。なお、「幅方向」のことを「左右方向」とも称している。また、本実施形態で用いられるトレイT(
図9参照)は、トレイ待機部4、秤量部3、トレイ集積部6の順に移動する。そのため、各構成要素の配置関係に対して、トレイTの移動方向を流れに例えて、「上流」等の表現で説明する場合がある。
【0013】
[概要]
本実施形態の秤量装置1は、従来、薬剤師等の作業者が散剤を調剤する際に手作業で行っていた、散剤の秤量作業を機械的に行うことができ、必要によっては作業者による手作業で行うこともできる装置である。この秤量装置1は、秤量部3に載置したトレイTに対して機械的または手作業で散剤を供給して秤量できる。本実施形態の各トレイTには1種類の散剤が供給され、作業者が後工程で(分包装置への投入時等)必要に応じて異種の散剤を混合させる。ただし、場合によっては各トレイTに複数種類の散剤を供給することも可能である。
【0014】
図1~
図3に示すように、本実施形態の秤量装置1は主に、払出部2、秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6、情報書込部7、装置側表示部8、制御部9、筐体10を備える。以下、各部について主な構成を説明する。
【0015】
[払出部]
払出部2は、散剤が収容可能な散剤容器21と、散剤容器21を着脱可能に保持する保持体22と、保持体22に保持された散剤容器21を移動させる移動機構23と、散剤容器21から散剤を払い出させる払出機構24とを備え、更に、散剤容器21、保持体22、移動機構23、払出機構24をそれぞれ支持するテーブル25を備える。なお、
図3~
図6では一部の保持体22に散剤容器21が取り付けられていない状態を示している。
【0016】
(散剤容器)
散剤容器21は水平方向に複数設けられている。散剤容器21は、移動機構23により、散剤を払い出すための払出位置P1に移動させられる。払出機構24により払い出される散剤は、散剤容器21から落下して、下方に位置する秤量部3に載置されたトレイTに収容される。本実施形態では、散剤容器21は14個設けられている。ただし散剤容器21の数量はこれに限定されるものではない。本実施形態の散剤容器21の各々には、通常では、散剤が種類別に収容されている。即ち、1つの散剤容器21に1種類の散剤が収容されている。ただし、例えば使用量の多い散剤に関しては、1種類の散剤を2つ以上の散剤容器21に収容することもできる。
【0017】
図7に示すように、散剤容器21は、筒状の胴部211と、該胴部211の一端(下端)に設けられた底部212と、胴部211の他端(上端)に設けられた蓋部213とを有する。散剤容器21は、胴部211及び底部212によって散剤Mを収容する空間を画定し、蓋部213で胴部211の他端を閉じることで、収容された散剤Mを散剤容器21内に格納する。そして、秤量部3における秤量検出値に基づき、払出機構24からトレイTに一定量の散剤Mが払い出されるように構成されている。以下、胴部211の軸方向を上下方向とする。本実施形態の散剤容器21は、前記軸方向が鉛直方向と略一致し、水平面上に起立するように配置されている。散剤容器21は、底部212を下側に位置させた状態で保持体22に対して着脱される。
【0018】
胴部211は、円筒状に形成されている。本実施形態の胴部211は、例えば透明材料で形成されている。そのため、胴部211内に収容された散剤Mは、胴部211の外側から視認可能となっている。これにより、散剤容器21内の散剤Mの量を外部から把握することができる。透明材料は、胴部211の全体を占めていてもよいし、視認窓とする一部だけを占めていてもよい。
【0019】
底部212には、散剤Mを払い出すための払出口212aが形成されており、払出口212aから散剤Mが払い出される。
【0020】
蓋部213は、胴部211の一端を塞ぐ部分である。蓋部213は、胴部211の径方向に平行な軸まわりに、胴部211に対して回動可能に取り付けられている。
【0021】
(保持体)
保持体22は、散剤容器21を着脱可能に保持する部分である。保持体22は、散剤容器21を保持する保持本体221と、移動機構23に固定された被固定部223と、を備える。本実施形態の保持体22は、散剤容器21を1つ保持するように構成されている。そのため、保持体22は、散剤容器21の個数に対応する個数設けられている。本実施形態の保持体22は、14個設けられている。しかしながら、保持体22は、複数の散剤容器21をまとめて保持するように構成されていてもよい。
【0022】
保持本体221には、散剤容器21の払出口212aに対応する位置に連通口221aが形成されている。
図7に示すように、散剤容器21から払い出された散剤Mは、該連通口221aを通過して落下する。
【0023】
被固定部223は、後述する移動機構23に対してネジ止めされ、これによって保持体22が移動機構23に固定されている。
【0024】
(移動機構)
移動機構23は、保持体22に保持された散剤容器21を移動させるための機構である。具体的には、移動機構23は、保持体22を移動させることによって散剤容器21を移動させる。移動機構23は、複数の散剤容器21を水平方向に移動させる。本実施形態の移動機構23は、保持体22を、水平面内で周回移動させる。
図5には、散剤容器21の移動軌道Qが示されている。本実施形態の移動機構23は、保持体22を移動させる移動本体231と、該移動本体231を駆動するための移動駆動部232とを有する。そして、後述の払出位置P1及び着脱位置P2にある散剤容器21を検知するため、散剤容器21に設けられたRFIDタグ214(
図7参照)に対して情報を読み書きできるRFIDリーダライタ233が、払出位置P1及び着脱位置P2における散剤容器21のRFIDタグ214に対応する位置に設けられている。
【0025】
図5及び
図6に示すように、移動軌道Qには、散剤容器21から散剤を払い出すための払出位置P1が設定されている。また、移動軌道Qには、散剤容器21を保持体22に対して着脱するための着脱位置P2が設定されている。着脱位置P2は、例えば、該着脱位置P2の部分だけ散剤容器21の上方に空間が確保されたことで着脱可能とされており、他の部分は散剤容器21が筐体10内の天井部分に引っ掛かって着脱不能とすることで実現できる。
【0026】
着脱位置P2は、払出位置P1とは水平方向に異なる位置に設けられている。本実施形態では、着脱位置P2は、払出位置P1を基準とした場合、払出位置P1に近い位置である、一つから三つ隣の散剤容器21が保持される位置である。着脱位置P2を払出位置P1と同一の位置にしていない理由は、払出位置P1の下方にトレイTが位置するため、着脱する散剤容器21に付着した散剤が落下することや、着脱時の振動により保持体22から散剤が落下することにより、意図せずトレイTに散剤が混入してしまう可能性があるからである。そしてこの位置関係により、散剤が無くなった散剤容器21を着脱位置P2に移動させ、保持体22から散剤容器21を取り外して散剤を速やかに補充できる。更に、散剤補充後の散剤容器21を速やかに払出口212aに移動させることができる。このため、散剤が無くなった状態から払い出し再開までの時間を短縮することができる。なお、一つ隣であると、着脱位置P2における散剤容器21の着脱の際、作業者の手や着脱する散剤容器21が払出位置P1にある散剤容器21に当たってしまい、意図しない散剤の落下を招く可能性があるため、二つ以上隣である方が好ましい。
【0027】
本実施形態では、移動機構23は、保持体22を周回移動させるので、散剤容器21の移動軌道Qはすなわち周回軌道となっている。移動機構23は、必要に応じて(例えば払出位置P1までの移動距離が小さい方向となるように)散剤容器21を時計回り及び反時計回りの双方向に周回させることができる。本実施形態の移動軌道Qは長円形状である。そのため、本実施形態の周回軌道である移動軌道Qは、保持体22が直線上に移動する一対のストレート軌道Q1と、カーブしながら移動する一対の湾曲軌道Q2とから構成されている。周回軌道である移動軌道Qは、長円形状に限定されず、円形状、楕円形状、矩形状等であってもよい。また、移動機構23は、保持体22を周回移動させるものに限定されず、所定範囲内で直線状または湾曲状に往復移動させるものであってもよい。
【0028】
なお、本実施形態における秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6は、それぞれ前記移動軌道Qにおける正面側の範囲(前半分の範囲)の下方に位置している。
【0029】
以下、一対のストレート軌道Q1のうちの一方側を正面側、他方側を背面側(奥行側)として、一対のストレート軌道Q1が対向する方向を奥行方向(前後方向と称する場合もある)とする。また、一対の湾曲軌道Q2が対向する方向を幅方向(左右方向と称する場合もある)とする。払出位置P1は、移動軌道Qにおける正面側の範囲に設定されている。また、着脱位置P2も、移動軌道Qにおける正面側の範囲に設定されている。本実施形態では、散剤容器21の移動軌道Qの長さ(大きさ)に対応して筐体10のサイズが定まっている。即ち、散剤容器21の移動軌道Qにおける一対のストレート軌道Q1の対向距離に基づいて筐体10の奥行方向の長さが定められ、一対の湾曲軌道Q2の対向距離に基づいて筐体10の幅方向の長さが定められる。
【0030】
本実施形態の移動本体231は、表面が上下方向に沿って配置されたベルト式に構成されている。このベルトに保持体22の被固定部223が固定されている。移動本体231は、環状に形成されている。該環状のベルトの中心が、保持体22が周回移動する周回中心である。移動本体231は、長円形状に形成されている。移動本体231の周方向に沿って散剤容器21の移動軌道Qが形成され、保持体22及び散剤容器21は、移動本体231の外周を周回する。移動本体231には、周方向における等間隔に保持体22の被固定部223を固定するための固定部231aが設けられている。
【0031】
移動駆動部232は、移動本体231を周回移動させる。移動駆動部232は、制御部9からの命令に基づいて、移動本体231を駆動し、又は停止する。
【0032】
(払出機構)
払出機構24は、散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した散剤容器21から散剤を払い出させるための機構である。払出機構24は、所定量の散剤を払出口212aに払い出すように構成されている。
【0033】
払出駆動部241は、払出部2における払出位置P1に設けられており、払い出しを行う際に払出機構24において、駆動力を発生する。払出駆動部241は、制御部9からの命令に基づいて、連結された状態の払出機構24を駆動させ、又は駆動を停止させる。
【0034】
(テーブル)
テーブル25は、散剤容器21、保持体22、移動機構23、及び払出機構24を載置する。テーブル25は、板状に形成されている。テーブル25は、散剤容器21の移動軌道Qに対応して、長辺と短辺とを有する長方形状に形成されている。移動軌道Qは、該テーブル25の略中心に設定されている。テーブル25には、長手方向と移動本体231の延びる方向とが一致するように移動本体231が設置されている。移動本体231は、テーブル25の中央部に設置されている。テーブル25は、水平に設置されており、散剤容器21及び保持体22は、水平に配置されている。
【0035】
テーブル25には、散剤容器21の移動(周回)軌道上の払出位置P1に対応する位置に開口251が形成されている。即ち、保持体22及び散剤容器21が払出位置P1に位置すると、散剤容器21の払出口212a、保持体22の連通口221a、及びテーブル25の開口251が上下方向に重なった状態となる。これにより、散剤容器21内の散剤が払い出される。
【0036】
テーブル25は、テーブル25の下面に設けられ、テーブル25の開口251を開閉するシャッターを備える。本実施形態のシャッターは板状に形成されている。シャッターは、例えば、保持本体221の下方側に配置されていてもよい。なお、このテーブル25におけるシャッターは払出部2において必須ではなく、設けないこともできる。
【0037】
[秤量部]
秤量部3は、散剤容器21から払い出された散剤を収容するトレイTを載置し、トレイTに供給された散剤を秤量する。また、払出機構24により散剤容器21から払い出すことなくトレイTに供給される散剤を秤量する。秤量部3は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。具体的には、秤量部3は、テーブル25の下に配置されている。本実施形態の秤量部3は、電子天秤である。秤量部3における秤量検出値は制御部9に送られる。そして、秤量部(電子天秤)3が有する表示部には秤量検出値が表示され、この表示は払出機構24により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤を供給する際に作業者によって視認される。
【0038】
本実施形態の秤量部3は、奥行方向に移動可能に構成されている。秤量部3は、後述する自動秤量モード(第1のモード)では、奥行方向における背面側(作業者から遠い側)の第1位置S1に位置し、後述する手動秤量モード(第2のモード)では、奥行方向における正面側(作業者に近い側)の第2位置S2に位置させることができる。秤量部3は、奥行方向に移動自在な架台101に載置され、該架台101が移動することで秤量部3が移動する。架台101は、作業者が取手102を把持することによって引き出される。ただし、引き出し用の駆動部を設けておき、手動秤量モードに切り替わると、自動的に架台101が引き出されるよう構成することもできる。
【0039】
ここで、筐体10において秤量部3の正面側に設置された扉10bにはロック部3aが設けられている。自動秤量モードではロック部3aが扉10bを開放できないようにロックすることで、秤量部3を第1位置S1に移動不能に保持し、第2位置S2に移動させられないようにされている。なお、ロック部3aを架台101に設けておき、自動秤量モードではロック部3aが秤量部3を移動できないようにロックするよう構成することもできる。
【0040】
第1位置S1は、
図5に示すように、秤量部3が払出部2(テーブル25)と上下方向において少なくとも一部が重なる位置である。第1位置S1は、払出位置P1の下方側に設定されている。このため、第1位置S1は自動秤量に適した位置である。第2位置S2は、秤量部3が払出部2(テーブル25)に対して前方側の位置である。第2位置S2では、秤量部3の上方が作業空間として開放されており、後述するように、手動秤量モード(第2のモード)における手動秤量作業を行うための空間が確保されている。このため、第2位置S2は手動秤量に適した位置である。このように、第1位置S1が自動秤量時の位置に対応し、第2位置S2が手動秤量時の位置に対応していればよいので、前記第1位置S1と第2位置S2は、本実施形態のように奥行方向の位置関係に限定されず、種々の
位置関係とできる。
【0041】
[トレイ待機部]
トレイ待機部4は、秤量部3に移動させる前のトレイTを保持する部分である。トレイ待機部4は、複数のトレイT(本実施形態では9つであるが、これに限定されない)を保持する。トレイ待機部4は、トレイTを載置して、トレイ移送部5によるトレイTの把持が可能なように搬送するように構成されている。トレイ待機部4のうち少なくとも一部(本実施形態では背面側の一部)は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。トレイ待機部4は、トレイTを載置して搬送するための待機トレイ移送部41と、該待機トレイ移送部41を駆動するための待機駆動部42とを有する。
【0042】
待機トレイ移送部41は、所定の方向に延びるベルトコンベヤで構成されている。本実施形態の待機トレイ移送部41は、奥行方向に延びている。複数のトレイTは、該待機トレイ移送部41の延びる方向(奥行方向)に並べられ、且つ積み重ねられる。
図3には、一例として、トレイTが奥行方向に3つ並べられ、各トレイTの上にトレイTが重ねられ、トレイTが計3段重ねられた状態(9つのトレイT)を示す。本実施形態の待機トレイ移送部41は、払出部2におけるテーブル25の下に設置されている。待機トレイ移送部41は、該奥行方向において半分以上が上下方向でテーブル25と重なるように配置されている。待機トレイ移送部41は、正面側から背面側に移動して、載置されたトレイTを奥行方向の背面(後方)側へ、トレイ移送部5の移送部本体51の下方まで移動させる。
【0043】
待機駆動部42は、待機トレイ移送部41を駆動する。待機駆動部42は、制御部9からの命令に基づいて、待機トレイ移送部41を駆動し、又は停止する。
【0044】
[トレイ移送部]
トレイ移送部5は、トレイTを移送する部分である。トレイ移送部5は、少なくとも、秤量後にトレイTを秤量部3から取り外すように構成されている。具体的には、トレイ移送部5は、散剤の払い出しに先立ちトレイ待機部4からトレイTを秤量部3に移動させ、散剤の払い出し後にトレイTを秤量部3から取り外すように構成されている。更に、本実施形態のトレイ移送部5は、トレイTを秤量部3から取り外した後、トレイ集積部6に載置する。このようにトレイ移送部5は、トレイ待機部4から秤量部3を経由してトレイ集積部6まで一連のトレイTの移送を行う部分である。トレイ移送部5は、払出部2の下方に上下方向で該払出部2に対して重なって位置している。
【0045】
トレイ移送部5は、トレイTを移送するための移送部本体51と、該移送部本体51を駆動するための移送駆動部52とを有する。
【0046】
移送部本体51は、左右方向(X方向)及び上下方向(Y方向)に移動する。移送部本体51は、トレイTを把持するように構成されている。本実施形態の移送部本体51は、一対のアーム51aを有する。移送部本体51は、該一対のアーム51aでトレイTを把持して、トレイTを移送する。一対のアーム51aは、左右方向に離間しており、互いに接近及び離反する動作をなすように構成されている。
【0047】
移送部本体51は、トレイTを移送しない待機状態においては、トレイ待機部4の上方に位置している。待機状態における位置を移送部本体51の標準位置とする。移送部本体51は、該標準位置を基準に上下方向及び左右方向に移動可能に構成されている。本実施形態の移送部本体51は奥行方向には移動しないが、移動可能に構成することもできる。移送部本体51は、トレイ待機部4に載置されたトレイTを秤量部3に移送する際には、標準位置から下方に移動して(下降して)トレイTを把持し、トレイTを把持した状態で上方に移動する(上昇する)。移送部本体51は、標準位置を経由して左右方向における右方(
図3の右側)に移動し、秤量部3の上方で停止する。続いて、移送部本体51は、下方に移動してトレイTを秤量部3に載置し、載置後トレイTを離し、トレイTを離した位置で待機する。
【0048】
移送部本体51は、散剤がトレイTに払い出された後に、散剤が入ったトレイTを把持する。そして、トレイTを把持したまま上昇し、そのまま右方に移動する。移送部本体51は、トレイ集積部6の上方まで移動して、所定の位置で下降してトレイTをトレイ集積部6に載置する。移送部本体51は、載置後トレイTを離し、上方へ移動する。そして、移送部本体51は、左方(
図3の左側)に移動して、標準位置に戻る。
【0049】
[トレイ集積部]
トレイ集積部6は、秤量後の散剤が収容されたトレイTが載置される秤量後トレイ置き場である。トレイ集積部6に載置されたトレイTは、作業者によって取り出され、後工程(分包装置)に回される。なお、後工程に回された後の空になったトレイTは、吸引装置等により清掃されて残留した散剤が除去され、その後作業者の手によってトレイ待機部4に戻される。
【0050】
このトレイ集積部6は、払出部2(テーブル25)の下方に重なって位置している。トレイ集積部6は、複数のトレイT(本実施形態では3つであるが、これに限定されない)を載置可能に構成されている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、左右方向に並んだ3つのトレイTのうち右側2つが正面側に露出した状態とされており、これら2つのトレイTを作業者が秤量装置1の外部に取り出すことができる。トレイ集積部6は、トレイTを載置して、搬送するように構成されている。トレイ集積部6は、トレイTを載置して搬送するための集積トレイ移送部61と、該集積トレイ移送部61を駆動するための集積駆動部62とを有する。
【0051】
集積トレイ移送部61は、所定の方向に延びるベルトコンベヤで構成されている。本実施形態の集積トレイ移送部61は、左右方向に延びている。複数のトレイTは、該集積トレイ移送部61の延びる方向(左右方向)に並べられる。
図3には、一例として、トレイTが左右方向に3つ並べられた状態(3つのトレイT)を示す。本実施形態の集積トレイ移送部61は、払出部2におけるテーブル25の下に設置されている。集積トレイ移送部61は、略全域が上下方向でテーブル25と重なるように配置されている。移送部本体51がトレイTを集積トレイ移送部61に載置して標準位置に戻ると、集積トレイ移送部61は、左右方向における左側から右側に移動して、載置されたトレイTを左から右へ移動させる。これにより、トレイTは秤量装置1の外部に取り出すことができる位置に移動する。
【0052】
集積駆動部62は、集積トレイ移送部61を駆動する。集積駆動部62は、制御部9からの命令に基づいて、集積トレイ移送部61を駆動し、又は停止する。
【0053】
なお、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3から取り外し、その後、該トレイTを処方情報に対応する供給指示毎に前記トレイ集積部6に集積させることもできる。これに対応するため、例えば
図10に示すように、集積トレイ移送部61を複数並列したベルトコンベヤで構成した並列トレイ集積部6X,6Yを形成し、供給指示に対応して各トレイ集積部6X,6YにトレイTを分けて載置するよう構成することもできる。この場合、トレイ移送部5は、トレイ集積部6X,6Yに対応するベルトコンベアの上方にトレイTを移動させることができるよう構成される。つまり、トレイ移送部5は処方情報に対応する供給指示毎に複数のトレイTを振り分ける振り分け手段として機能する。
【0054】
[情報書込部]
情報書込部7は、トレイTに設けられた情報表示部T1へ、トレイTに収容される散剤の処方情報等、散剤を識別するための情報の書き込みを行う。書き込みは非接触(無線)の電力供給により行われる。書き込みは、後述する自動秤量モードの場合も手動秤量モードの場合も行われる。情報表示部T1には、該収容される散剤の処方情報が表示される。トレイTの情報表示部T1については後述する。情報書込部7は、情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込むことができるように構成されている。情報書込部7は、秤量部3の上流側に設置され、トレイTが秤量部3に載置される前に情報表示部T1に処方情報を書き込む。
【0055】
本実施形態では、情報書込部7は、例えば、標準位置に位置した移送部本体51の正面側(
図3において二点鎖線で示した位置)に配置されている。情報書込部7は、トレイTがトレイ待機部4から秤量部3に移動する経路上で情報表示部T1に処方情報を書き込む。即ち、情報書込部7は、トレイTに対して散剤が供給される前に、情報表示部T1に処方情報を書き込む。例えば、情報書込部7は、トレイ待機部4から移送部本体51によって持ち上げられて標準位置で停止したトレイTに対して、処方情報を書き込んでもよい。なお、これに限らず、情報書込部7はトレイTをトレイ集積部6に載置するまでの間に、情報表示部T1に処方情報を書き込めばよい。そうすることにより、作業者がトレイ集積部6からトレイTを取り出す際に取り違いが生じることを抑制できる。ただし、手動秤量モードの実行を前提とするなら、情報書込部7はトレイTを秤量部3に載置するまでの間に、情報表示部T1に処方情報を書き込む必要がある。これにより、払出機構24により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤を供給する際に誤った散剤を供給することを防止できる。
【0056】
また、情報書込部7は秤量部3における秤量がされた以降に、情報表示部T1に処方情報を書き込むこともできる。この場合、書き込む情報には、処方情報のほかに実際の供給に関する情報(例えば秤量値(実測値)や散剤容器から払い出した散剤が目標量に達していないことなど)を含むことができる。これにより、もしもトレイTに払い出された散剤に不足があった場合、作業者に注意喚起でき、散剤の不足分を補わないまま、誤って後工程(分包など)に回してしまうことを抑制できる。
【0057】
[装置側表示部]
装置側表示部8は、散剤の供給に関する所定の情報を表示する部分である。
図1及び
図2に示すように、装置側表示部8は筐体10の正面側に設けられている。本実施形態の装置側表示部8は、モニターである。なお、装置側表示部8は、作業者が所定の操作を行う操作部(操作パネル)を兼用していてもよい。
【0058】
[制御部]
制御部9は、秤量装置1全体の動作を制御する部分である。制御部9に接続される主な部分を
図8に示す。制御部9は、接続されている指示入力部9aを介して入力された供給指示に係る散剤量の目標値に応じて、秤量部3で秤量しながら払出機構24により散剤容器21から散剤を払い出す第1のモードとしての自動秤量モードと、払出機構24により散剤容器21から散剤を払い出すことなく、トレイTに投入される散剤を秤量部3で秤量する第2のモードとしての手動秤量モードと、を切り替える。供給指示には、例えば、払出機構24により払い出す散剤の種類、各散剤の供給量や供給の目標値等が含まれる。指示入力部9aは、一例として、調剤薬局等に設置されたホストシステムから処方情報を受ける入力部や、バーコードリーダー、RFIDリーダー、キーボード、タッチパネルが挙げられ、種々の態様を取り得る。
【0059】
自動秤量モードにおいて、制御部9は、払出駆動部241を駆動させて、散剤容器21から散剤の払い出しを行う。制御部9は、秤量部3から入力される秤量検出値に応じて払出駆動部241の駆動を制御し、供給指示に係る散剤量の払い出しを行う。本実施形態における制御部9の制御として、以下の複数パターンが例示できる。
【0060】
制御部9は、前記供給指示に係る散剤が散剤容器21に収容されている散剤の場合、自動秤量モードとし、そうでない散剤の場合、手動秤量モードとすることができる。具体的には、調剤する散剤がA薬である場合に、制御部9には、供給指示に係る散剤をA薬として、供給すべき散剤量の目標値と共に入力される。制御部9は、該A薬が散剤容器21に収容されている場合には、払出機構24にA薬を払い出させる(自動秤量モード)。一方、制御部9は、A薬が散剤容器21に収容されていない場合には、払出機構24に払い出しの指示を行わず、手動秤量モードを実行する。本実施形態では、自動秤量モードでは、供給指示に係る散剤量の目標値に応じて散剤が自動で秤量される。手動秤量モードでは、払出機構24による払出が実施されないので、例えば、作業者は、A薬が収容された散剤瓶などからA薬をトレイTに移し、秤量部3で秤量する。
【0061】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤が不足する場合、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量モードによる払い出しを継続するか、手動秤量モードへ切り替えるかを作業者が選択可能に構成されることができる。即ち、散剤容器21が空になった場合、または、散剤容器21内の散剤量が払い出し終了までに目標値に対して不足することが予測される場合等に、作業者は、散剤容器21に散剤を補充して自動秤量を続行するか(自動秤量モード)、又は目標値に対して不足する散剤量について手動秤量するか(手動秤量モード)を選択することができる。作業者は、例えば、該選択を操作パネル(装置側表示部8等)にて行うことができる。
【0062】
ここで、散剤容器21が空になったことは、秤量部3における秤量検出値の変化(具体的には増加)が一定時間なかったことにより検出できる。また、散剤容器21内の散剤量が不足することは、供給指示に係る散剤量の目標値と払い出し開始前に把握されている散剤の残量を比較することにより予測できる。
【0063】
また、制御部9は、自動秤量モードで払い出す散剤が不足する場合、自動秤量モードに係る動作を終了させ、手動秤量モードに移行させることができる。即ち、制御部9は、作業者の判断によることなく、自動秤量モードから手動秤量モードに自動的に移行させてもよい。この場合、制御部9に前記制御を行わせるか否かについては、作業者が予め設定可能であってもよい。制御部9は、手動秤量モードでトレイTに供給することが必要な散剤量を装置側表示部8に表示させることができる。具体的には、制御部9は、散剤が不足して自動秤量モードを終了させた後におけるトレイTに収容された散剤の秤量検出値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値から、不足する散剤量を算出し、該不足する散剤量を装置側表示部8に表示させる。これにより、第2モードに切り替えられた状態で、作業者は表示された散剤量をトレイTに供給すればよく、手作業による秤量作業が容易となる。また、装置側表示部8には不足する散剤量を表示せず、トレイTに収容された散剤の秤量値及びトレイTに供給すべき散剤量の目標値を表示させるようにしてもよく、作業者が不足する散剤量を把握できる表示であればよい。
【0064】
また、供給指示に係る複数種の散剤に、複数の散剤容器21のいずれかに収容されている散剤とそうでない散剤とがある場合、制御部9は、先に自動秤量モードとしてその後手動秤量モードとするか、先に手動秤量モードとしてその後自動秤量モードとするか、作業者が選択可能に構成されることができる。また、制御部9は、前記選択することなく、先に自動秤量モードとしてその後手動秤量モードとすることもできる。更に、制御部9は、前記選択することなく、自動秤量モードに先立って手動秤量モードとし、手動秤量モードが終了後に自動秤量モードとすることもできる。
【0065】
また、制御部9は、複数種の散剤の払い出しを行う際における自動秤量モードの実行中に手動秤量モードを実行するように指示された場合、実行中の散剤の払い出しが完了すると自動秤量モードを中断して手動秤量モードに移行することができる。
【0066】
本実施形態の制御部9は、自動秤量モードの際にはロック部3aを作動させて、例えば秤量部3の正面側に位置する扉10bを開放できないようにする。また、制御部9は、手動秤量モードの際には前記ロック部3aの作動を解除する。
【0067】
制御部9は、散剤容器21を払出位置P1に移動させ、その後、トレイ移送部5がトレイTをトレイ待機部4から秤量部3に移動させる。即ち、制御部9は、トレイTが秤量部3に載置されている状態で、散剤容器21が払出位置P1を通過しないように制御している。
【0068】
テーブル25がシャッターを備える場合、制御部9は、移動機構23による複数の散剤容器21の移動中にはテーブル25のシャッターを閉鎖し、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3に移動させた後にシャッターを開放する。また、制御部9は、シャッター、散剤容器21から散剤を払い出す前に開放する。具体的には、制御部9は、秤量部3にトレイTが載置された後であって、秤量部3のゼロ調整(風袋引き)の後にシャッターを開放する。
【0069】
[筐体]
筐体10は、払出部2、秤量部3、トレイ待機部4、トレイ移送部5、トレイ集積部6、情報書込部7、装置側表示部8、及び制御部9を囲むように構成される。
図1及び
図2に示すように、筐体10には、散剤容器21の着脱位置P2に対応した位置に散剤容器21を着脱するための着脱用窓10aが形成されている。また、筐体10には、秤量部3の正面側に扉10bが設置されている(
図1及び
図2は扉10bの開放状態を示している)。手動秤量モードの際には、作業者は該扉10bを開いて秤量部3を第2位置S2まで引き出し、手動秤量を行う。前述した各部分のほか、筐体10には供給された散剤の処方情報や供給結果に関する情報を紙にプリントするためのジャーナルプリンタ、散剤容器21を管理するためのバーコードリーダー等、散剤の供給に伴い必要な作業を支援するための種々の機構を設けることができる。
【0070】
[トレイ]
本実施形態の秤量装置1において用いられるトレイTは、供給される散剤を収容するためのものである。このトレイTは、秤量部3に載置されることで供給された散剤を秤量することができ、且つ、トレイ移送部5によって移送できる形状とされており、本実施形態では
図9に示すように、扁平であって上端が開口した略直方体状に形成されている。このトレイTは、
図3に示すように上方に複数積み重ねできる形状であることが好ましい。また、このトレイTは、トレイ移送部5の一対のアーム51aに係合し、または作業者が指を掛けることのできる側方突起T2を有している。
【0071】
図9に示すように、トレイTは、収容される散剤の処方情報が表示される情報表示部T1を備える。情報表示部T1は、4つの側面のうちの1つ側面に設けられている。本実施形態の情報表示部T1は、図示のようにトレイTの本体に対して差し込みにより取り付けできるよう構成されているが、例えばトレイTの側面に貼り付けることもできる。本実施形態では、情報表示部T1として、電子ペーパーを備えた表示ユニットが用いられている。電子ペーパーは表示内容を、電力を要することなく保持することができるので、例えば液晶表示に比べて省エネに資することができる。また、情報書込部7により、情報表示部T1に表示される情報を書き換えることができる。また、本実施形態の情報表示部T1は、情報書込部7によって書き込まれた表示が、次回の情報書込部7による書き込みまで保持されるように構成されている。なお、後工程の装置(分包装置など)において情報表示部T1に表示された識別子が読み取られると共に、該識別子を含む情報表示部T1の表示が消去されるよう構成することもできる。
【0072】
情報表示部T1には種々の情報を表示することができる。例えば、
図9に示すように、処方情報として、受付番号J1、受付日時J2、患者名J3、年齢J4、薬品名J5、薬種記号表示J6、秤量値J7、バーコードJ8、RP番号J9等を表示できる。また、処方情報には、患者情報(患者名、患者ID、患者の生年月日、患者の年齢)、薬剤情報(薬剤名、薬剤コード、用量)、用法情報(用法、用法コード)、服用情報(内服、外用など)、診察種別(外来、入院など)、処方箋交付日時などの情報が含まれる。受付番号J1は、調剤薬局等に設置されたホストシステムが処方オーダリングシステムなどの上位コンピュータから処方情報を受信する際に処方情報ごとに付与される番号である。受付日時J2は、ホストシステムが処方情報を受信した日時である。ホストシステムでは、上位コンピュータから受信した処方情報に基づいて各調剤機器に調剤指示を割り当てるために、薬剤種、用法、服用時点などの特定の条件により処方情報を組み分けて、組み分けた各データにRP番号(RP1、RP2・・・)を付与する。また、上位システムから受信した処方情報は、各調剤機器を作動させるために必要な情報(患者名、患者ID、患者の生年月日、患者の年齢、薬剤名、薬剤コード、用量、用法、用法コードなど)が抜粋される。そして、ホストシステムでは、受付番号および受付日時と、組み分けられた各データのRP番号と、各データに対応する抜粋された処方情報とが紐づけて記憶され、各調剤機器を作動させるための調剤情報が生成される。制御部9は該調剤情報を取得して、取得した調剤情報に基づき供給指示を行う。
【0073】
なお、バーコードJ8に対応する表示としては、図示したバーコード(1次元コード)の他、2次元コード等の光学的に読み取り可能な識別子であってよい。該識別子にはホストシステムで生成される各調剤情報に固有の情報が記憶される。該識別子はバーコードリーダー等の読取手段で容易に情報を読み取ることができるため、後工程での機械的な処理がしやすい利点がある。このため例えば、該識別子を読取手段で読み取ることにより、ホストシステムに記憶された調剤情報が呼び出され、調剤情報をホストシステムから分包装置に自動的に入力することができるようなシステムを構築することができる。更に、情報表示部T1には光学的に読み取り可能な識別子に代えて、または該識別子と共に、RFIDタグ等の電気的に読み取り可能な識別子を設けることもできる。
【0074】
[使用方法の説明]
以上のように構成された本実施形態に係る秤量装置1の使用方法の概略を説明する。なお、以下の使用方法は一例に過ぎずこれに限定される訳ではない。使用に先立ち、作業者は、複数の散剤容器21の各々に散剤を収容する。この際、各散剤容器21に異種の散剤を収容することもできるし、2つ以上の散剤容器21に同種の散剤を収容することもできる。次に作業者は、散剤が収容された散剤容器21を、着脱位置P2において保持体22に装着する。
【0075】
次に、指示入力部9aを経由して秤量装置1に処方情報が入力される。すると、制御部9は、トレイ移送部5を制御して、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部3に移動させるとともに、移動機構23を作動させて保持体22を周回移動させる。制御部9は前記移動の途中のトレイTに対し、情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。払い出し対象の散剤が収容された散剤容器21が払出位置P1に来ると、制御部9は移動機構23を停止させる。払い出し対象の散剤が収容された散剤容器21が払出位置P1に位置すると、トレイTを秤量部3に移動させる。
【0076】
次に制御部9は、払出機構24を作動させて散剤の払い出しを開始する。制御部9は、秤量部3から送られた秤量検出値を基に払出機構24を制御し、処方情報に対応した量の散剤がトレイTに供給されると、払出機構24の駆動を停止させる。
【0077】
次に、制御部9はトレイ移送部5を制御して、散剤の供給されたトレイTを、秤量部3からトレイ集積部6に移動させる。作業者は、トレイ集積部6に移動したトレイTを手で持って分包装置等に投入する等する。
【0078】
前述の説明は自動秤量モードにおける使用方法である。手動秤量モードでは、自動秤量モードと同様に、トレイ待機部4にあるトレイTを秤量部に移動させ、移動の途中に情報書込部7を作動させてトレイTに設けられた情報表示部T1に処方情報の書き込みをさせる。トレイTが秤量部に移動されると、制御部9はロック部3aのロックを解除する。これにより、扉10bが開放可能となる。作業者は扉10bを開放し、取手102を把持して架台101ごと秤量部3を第2位置S2に引き出す。トレイ移送部5によりトレイTを秤量部3に移動させず、作業者が秤量部3にトレイTを載せるようにしてもよい。この場合、作業者が装置側表示部8を操作するなどしたことにより、制御部9がロック部3aのロックを解除する。そして秤量部を第2位置S2に引き出した後、散剤瓶から散剤をトレイTに供給する。作業者は、秤量部3が有する表示部に表示される秤量検出値を視認しつつ供給量を処方情報に対応するように調整する。散剤の供給されたトレイTは、作業者が秤量部3から取り外し、分包装置等に投入する等する。また、散剤をトレイTに供給した後に秤量部を第1位置S1に戻し、自動秤量モードと同様に、制御部9はトレイ移送部5を制御して、散剤の供給されたトレイTを、秤量部3からトレイ集積部6に移動させるようにしてもよい。
【0079】
[実施形態のまとめ]
以下、前記実施形態に係る秤量装置1における構成の組み合わせ、及び、該構成の組み合わせが奏することを期待できる作用につき、第1~第5の実施形態に分けて記す。
【0080】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の秤量装置1は、散剤が収容可能な散剤容器21を有し、前記散剤容器21から散剤を払い出させる払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤を受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤を秤量する秤量部3と、秤量後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、秤量後の散剤が収容された複数の前記トレイTが載置されるトレイ集積部6と、を備える。
【0081】
前記構成によれば、散剤が収容された複数のトレイTがトレイ集積部6に載置されることで、トレイTが一時的にトレイ集積部6に留め置かれる。このため、トレイ集積部6にトレイTが載置された状態で、次のトレイに散剤を供給することができ、散剤の供給の度に散剤が収容されたトレイTを秤量装置1から取り外す必要がない。また、分包が終了しなくても次に分包する散剤を秤量することができるため、秤量装置の稼働率を低下させることがない。秤量後に即時に分包等の後工程の処理がされる構成に比べると、分包装置等の他の調剤装置を使用して、作業者が複数のトレイTのうち任意のトレイTに収容された散剤を調剤することができるので、秤量後における後工程の自由度を高めることができる。また、複数種類の散剤を秤量しておき、それぞれの散剤を複数台の分包装置を用いて並行して分包することができる。
【0082】
また、秤量装置1は、前記トレイTに設けられる情報表示部T1に対して、前記トレイTに収容される散剤を識別するための情報を書き込む情報書込部7を備えている。
【0083】
前記構成によれば、トレイTに設けられる情報表示部に、トレイに収容される散剤を識別するための情報が表示されるため、作業者によるトレイTの取り間違いを防止できる。また、作業者が、後工程において分包装置等に誤った散剤を供給することを防止することができる。また、払出部2により散剤容器21から払い出すことなく、手作業などによりトレイTに散剤を供給する際に誤った散剤を供給することを防止できる。
【0084】
また、前記情報書込部7は、前記情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込む。
【0085】
前記構成によれば、情報書込部7が前記情報表示部T1に対して光学的に読み取り可能な識別子を書き込む。したがって調剤装置に該識別子を読み込む装置を備えておくことで、トレイTに収容される散剤を、調剤装置において識別することができる。
【0086】
また、前記情報表示部T1として電子ペーパーが用いられている。
【0087】
前記構成によれば、情報表示部T1に表示された内容を、電力を要することなく保持することができる。また、情報書込部7により、情報表示部T1に表示される情報を書き換えることができる。
【0088】
また、前記トレイ移送部5は前記トレイTを前記秤量部3から取り外し、その後、前記トレイTを処方情報に対応する供給指示毎に前記トレイ集積部6に集積させるようになっている。
【0089】
前記構成によれば、処方情報に対応する供給指示毎にトレイがまとまってトレイ集積部に集積されるので、作業者はトレイTがどの供給指示に対応するものなのかを混同しにくい。
【0090】
以上のように、第1の実施形態によれば、散剤の供給の度に散剤が収容されたトレイTを秤量装置1から取り外す必要がなく、分包が終了しなくても次に分包する散剤を秤量することができるため、秤量装置1の稼働率を低下させることがない。また、秤量後における後工程の自由度を高めることができる。また、複数種類の散剤を例えば複数台の分包装置を用いて並行して分包することができる。よって、効率良く散剤の秤量を行うことができて使い勝手の良い秤量装置1を提供することができる。
【0091】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤が収容可能であって払出口212aを有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤を払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤を受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤を秤量する秤量部3と、前記秤量部3に移動させる前の複数の前記トレイTを保持するトレイ待機部4と、前記トレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させ、払い出し後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、秤量後の散剤が収容された前記トレイTが載置される秤量後トレイ置き場6と、を備え、前記払出部2には、前記複数の散剤容器21が水平方向に配置され、前記トレイ待機部4、前記トレイ移送部5、前記秤量部3、前記秤量後トレイ置き場6は、それぞれ前記払出部2の下方に重なって位置する。
【0092】
前記構成によれば、払出部2に複数の散剤容器21が水平方向に配置され、且つトレイ待機部4、トレイ移送部5、秤量部3、及び秤量後トレイ置き場6がそれぞれ払出部2の下方に重なって位置している。そのため、払出部2の下方側のスペースを有効利用することができる。よって、装置内の構成要素を立体的に配置できるので、装置を幅方向、奥行方向に小さく構成することができ、狭い場所にも配置することができる。
【0093】
また、前記トレイ待機部4には、複数の前記トレイTが奥行方向に配置されている。
【0094】
前記構成によれば、トレイ待機部4上のトレイTが奥行方向に配置されているので、装置の幅寸法を拡大させずにトレイ待機部4に保持できるトレイの数量を増やすことができる。
【0095】
また、前記秤量後トレイ置き場6は、秤量後の散剤が収容された複数の前記トレイTが載置されるトレイ集積部6であり、前記トレイ集積部6は前記払出部2の下方に重なって位置している。
【0096】
前記構成によれば、複数のトレイTが載置されるトレイ集積部6が払出部2の下方に重なって位置しているので、払出部2の下方側のスペースに秤量後の複数のトレイTを配置することができる。そのため、秤量後トレイ置き場6に複数のトレイTを載置する場合であっても、幅方向、奥行方向に装置を拡大させることなく装置がコンパクトなままで複数のトレイTを集積可能となる。
【0097】
また、前記払出部2は、前記複数の散剤容器21を着脱可能に保持する複数の保持体22を有し、前記複数の保持体22は、正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するよう構成されている。
【0098】
前記構成によれば、保持体22が正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するように構成されているので、正面視において正面側と背面側とで移動軌道Qを重複させられる。このため、秤量装置1を幅方向に小さく構成することができる。
【0099】
また、前記トレイ待機部4、前記トレイ移送部5、前記秤量部3、前記秤量後トレイ置き場6は、それぞれ前記周回軌道Qにおける正面側の範囲の下方に位置する。
【0100】
前記構成によれば、トレイ待機部4、トレイ移送部5、秤量部3、及び秤量後トレイ置き場6が、周回軌道Qにおける正面側の範囲の下方に位置するので、作業者が作業を行う正面側から各部にアクセスし易く、手作業における払い出し、または、秤量後のトレイTの取り出しが容易となっている。
【0101】
以上のように、第2の実施形態によれば、装置内の構成要素を立体的に配置できるので、装置を幅方向、奥行方向に小さく構成することができ、狭い場所にも配置することができる。よって、狭い設置箇所にも対応できる秤量装置1を提供することができる。
【0102】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤が収容可能であって払出口212aを有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を着脱可能に保持する複数の保持体22、前記保持体22に保持された前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤を払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記払出位置P1の下方に位置するもので、前記散剤容器21から払い出された散剤を受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤を秤量する秤量部3と、を備え、前記払出部2には、前記複数の散剤容器21が水平方向に配置され、前記移動機構23は、前記複数の散剤容器21を水平方向に移動させ、前記散剤容器21は前記移動機構23により前記払出位置P1に移動され、前記払出機構24により払い出される散剤は落下して前記秤量部3に載置された前記トレイTに収容され、前記散剤容器21が前記保持体22に対して着脱可能な着脱位置P2が、前記払出位置P1とは水平方向に異なる位置に設けられている。
【0103】
前記構成によれば、散剤容器21から散剤を払い出す位置と、散剤容器21を保持体22に着脱する位置とが水平方向に異なる位置に設定されているので、散剤容器21の着脱の際に着脱に係る散剤容器21の下方側にトレイTが位置しない。そのため、着脱させようとする散剤容器21の払出口212aや保持体22に付着していた散剤が不意に秤量部3や秤量部3に載置されたトレイTに落下することを防止できる。
【0104】
また、前記複数の保持体22は、正面側から背面側にわたる周回軌道Q上を周回するよう構成され、前記着脱位置P2は、前記周回軌道Qにおける正面側の範囲に位置している。
【0105】
前記構成によれば、着脱位置P2が、周回軌道Qにおける正面側に位置しているので、作業者が作業を行う正面側から散剤容器21にアクセスし易く、着脱の作業性が良い。
【0106】
また、前記着脱位置P2が、前記払出位置P1を基準とした場合、一つから三つ隣の前記保持体22にあってもよい。
【0107】
前記構成によれば、着脱位置P2が、払出位置P1を基準とした場合、一つから三つ隣の前記保持体22が位置する場所に設定されているので、散剤容器21を払出位置P1から速やかに着脱位置P2に移動でき、しかも、着脱位置P2において散剤容器21を装着後、該散剤容器21を速やかに払出位置P1に移動させることができるため、散剤容器21の着脱に関する所要時間を短縮することができる。
【0108】
以上のように、第3の実施形態によれば、着脱させようとする散剤容器21の払出口212aや保持体22に残留していた散剤が不意に秤量部3や秤量部3に載置されたトレイTに落下することを防止できる。よって、異種の散剤が混ざってしまうこと(クロスコンタミネーション)を防止でき、安全な秤量装置1を提供することができる。
【0109】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の秤量装置1は、散剤が収容可能な散剤容器21を有し、前記散剤容器21から散剤を払い出させる払出部2と、前記散剤容器21から払い出された散剤を受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤を秤量する秤量部3と、装置全体の動作を制御する制御部9と、を備え、前記制御部9は、入力された供給指示に係る散剤量の目標値に応じて、前記秤量部3で秤量しながら前記払出部2により前記散剤容器21から散剤を払い出す、自動秤量モード(第1のモード)と、前記払出部2により前記散剤容器21から散剤を払い出すことなく、前記トレイTに投入される散剤を前記秤量部3で秤量する、手動秤量モード(第2のモード)と、を切り替えることができる。
【0110】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)と手動秤量モード(第2のモード)とを切り替えることができるので、散剤容器21に収容されておらず、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しのできない散剤(残量不足で払い出しできない場合を含む)を供給する際に手動秤量モード(第2のモード)に切り替えて、所望の散剤を秤量することができる。
【0111】
また、前記制御部9は、前記供給指示に係る散剤が前記散剤容器21に収容されている散剤の場合、前記自動秤量モード(第1のモード)とし、そうでない散剤の場合、前記手動秤量モード(第2のモード)とする。
【0112】
前記構成によれば、散剤容器21に供給指示に係る散剤が収容されていない場合であっても、手動秤量モード(第2のモード)で作業を行うことで、払出部2に準備していない散剤も秤量することができる。
【0113】
また、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤が不足する場合、前記散剤容器21に散剤を補充して前記自動秤量モード(第1のモード)による払い出しを継続するか、前記手動秤量モード(第2のモード)へ切り替えるかを作業者が選択可能とする。
【0114】
前記構成によれば、払い出しの途中で散剤容器21に散剤を補充して払い出しを続行することができる。また、散剤容器21への散剤補充を行わなくても、手作業により秤量することができる。このように、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しを行うか、手動秤量モード(第2のモード)で払い出しを行うかが作業者の判断に委ねられ、作業の自由度を高めることができる。
【0115】
また、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤が不足する場合、前記自動秤量モード(第1のモード)に係る動作を終了させ、前記手動秤量モード(第2のモード)に移行させる。
【0116】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)で払い出す散剤が不足する場合には、手動秤量モード(第2のモード)に自動的に切り替わるので、作業を単純化することができる。
【0117】
また、秤量装置1は、装置側表示部8を更に備え、前記制御部9は、前記手動秤量モード(第2のモード)で前記トレイに投入することが必要な散剤量を前記装置側表示部8に表示させる。
【0118】
前記構成によれば、手動秤量モード(第2のモード)でトレイTに投入することが必要な散剤量を装置側表示部8に表示させることができるので、トレイTに供給する散剤として不足している散剤量を作業者が把握することができ、手作業による秤量作業の負担を軽減することができる。
【0119】
また、前記払出部は、複数の前記散剤容器21を有し、前記散剤容器21の各々には、散剤が種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤に、複数の前記散剤容器21のいずれかに収容されている散剤とそうでない散剤とがある場合、前記制御部9は、先に前記自動秤量モード(第1のモード)としてその後前記手動秤量モード(第2のモード)とするか、先に前記手動秤量モード(第2のモード)としてその後前記自動秤量モード(第1のモード)とするか、選択することができる。
【0120】
前記構成によれば、選択により、自動秤量モード(第1のモード)の後に手動秤量モード(第2のモード)とすることで、自動秤量モード(第1のモード)の実行中に作業者が手動秤量モード(第2のモード)の準備を進めることができる。もしくは、選択により、手動秤量モード(第2のモード)の後に自動秤量モード(第1のモード)とすることで、手作業により手動秤量モード(第2のモード)を先に終わらせることができるため、その後の自動秤量モード(第1のモード)の実行中は、該自動秤量モード(第1のモード)が終了するまで作業者が待機している必要がない。
【0121】
また、前記払出部は、複数の前記散剤容器21を有し、前記散剤容器21の各々には、散剤が種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤に、複数の前記散剤容器21のいずれかに収容されている散剤とそうでない散剤とがある場合、前記制御部9は、先に前記自動秤量モード(第1のモード)としてその後前記手動秤量モード(第2のモード)とする。
【0122】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)が実施されている間(自動払出中)の時間を利用して、例えば手動秤量モード(第2のモード)で必要な手作業の準備を進めることができるので、自動秤量モード(第1のモード)の終了後に即座に手動秤量モード(第2のモード)に移行することができ、効率的に秤量することができる。
【0123】
また、前記制御部9は、複数種の散剤の払い出しを行う際における前記自動秤量モード(第1のモード)の実行中に前記手動秤量モード(第2のモード)を実行するように指示された場合、実行中の散剤の払い出しが完了すると前記自動秤量モード(第1のモード)を中断して前記手動秤量モード(第2のモード)に移行する。
【0124】
前記構成によれば、例えば、至急に払い出しが必要な散剤を手作業で迅速に供給したいときに、自動秤量モード(第1のモード)を中断して、手作業により供給することができる。また、自動秤量モード(第1のモード)による自動供給を行っているときに作業者の手が空いた場合に、手作業による散剤の供給ができる。このように、自動秤量モード(第1のモード)が実行中であっても、所望のタイミングで手動秤量モード(第2のモード)に切り替えられるので、作業者の作業状況に臨機応変に対応することができる。
【0125】
また、前記払出部2は、複数の前記散剤容器21を有し、前記複数の散剤容器21の各々には、散剤が種類別に収容されており、前記供給指示に係る複数種の散剤に、前記複数の散剤容器21のいずれかに収容されている散剤とそうでない散剤とがある場合、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)に先立って前記手動秤量モード(第2のモード)とし、前記手動秤量モード(第2のモード)が終了後に前記自動秤量モード(第1のモード)とする。
【0126】
前記構成によれば、手作業により手動秤量モード(第2のモード)を先に終わらせることができるため、その後の自動秤量モード(第1のモード)の実行中は、該自動秤量モード(第1のモード)が終了するまで作業者が待機している必要がない。
【0127】
また、秤量装置1は、前記トレイTに設けられ、収容される散剤の処方情報が表示される情報表示部T1への書き込みを、前記秤量部3での秤量が開始される前に行う情報書込部7を備える。
【0128】
前記構成によれば、秤量部3での秤量開始前に情報表示部T1の表示がなされた状態になっているので、手作業により供給する散剤を間違うことがなく、その後即時に誤りなくトレイTを後工程に回すことができる。
【0129】
また、前記情報表示部T1の表示が、次回の前記情報書込部7による書き込みまで保持される。
【0130】
前記構成によれば、前回の供給の際にトレイTに収容されていた散剤を把握することができるので、トレイTの清掃を行う指標とすることができる。
【0131】
また、前記秤量部3は移動可能に構成され、前記自動秤量モード(第1のモード)の際に前記秤量部3を移動不能とするロック部3aを備え、前記制御部9は、前記手動秤量モード(第2のモード)の際にロック部3aを解除する。
【0132】
前記構成によれば、作業者が誤って自動秤量モード(第1のモード)中における自動供給の実行中に秤量部3を使用しようとしても、ロック部3aにより秤量部3が移動せず、自動秤量モード(第1のモード)が中断することを防止できる。また、手動秤量モード(第2のモード)の際には、秤量部3を作業位置まで移動させることができる。
【0133】
また、前記秤量部3は移動可能に構成され、前記制御部9は、前記自動秤量モード(第1のモード)の際に、前記秤量部3を前記散剤容器21から散剤が払い出される位置である払出位置P1の下方に位置させ、前記手動秤量モード(第2のモード)の際に、手作業により散剤を投入するための作業空間を確保できる位置に前記秤量部3を移動させる。
【0134】
前記構成によれば、自動秤量モード(第1のモード)中には、払出位置P1の下方という作業者の手の届き難い場所から秤量部3を移動不能としておくことで、自動秤量モード(第1のモード)の際に作業者が誤って秤量部3を移動させることを防止でき、且つ手動秤量モード(第2のモード)中には、作業空間を確保できる位置に秤量部3を移動させることができるので作業者が作業し易くなっている。
【0135】
以上のように、第4の実施形態によれば、散剤容器21に収容されておらず、自動秤量モード(第1のモード)で払い出しのできない散剤(残量不足の場合を含む)を払い出す際に手動秤量モード(第2のモード)に切り替えて、所望の散剤を秤量することができる。よって、供給指示に応じて散剤を効率的に用意することのできる秤量装置を提供することができる。
【0136】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の秤量装置1は、各々に散剤が収容可能であって払出口212aを有する複数の散剤容器21、前記複数の散剤容器21を移動させる移動機構23、前記複数の散剤容器21の移動軌道Q上にある所定の払出位置P1に移動した前記散剤容器21から散剤を払い出させる払出機構24、をそれぞれ有する払出部2と、前記払出位置P1の下方に位置するもので、前記散剤容器21から払い出された散剤を受けるトレイTを載置し、前記トレイTに払い出された散剤を秤量する秤量部3と、前記秤量部3に移動させる前の複数の前記トレイTを保持するトレイ待機部4と、前記トレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させ、払い出し後に前記トレイTを前記秤量部3から取り外すトレイ移送部5と、装置全体の動作を制御する制御部9と、を備え、前記散剤容器21は前記移動機構23により前記払出位置P1に移動され、前記払出機構24により払い出される散剤は落下して前記秤量部3に載置されたトレイTに収容され、前記制御部9は、前記散剤容器21を前記払出位置P1に移動させ、その後、前記トレイ移送部5がトレイTを前記トレイ待機部4から前記秤量部3に移動させる。
【0137】
前記構成によれば、制御部9は、散剤容器21を払出位置P1に移動させ、その後、トレイ移送部5がトレイTをトレイ待機部4から秤量部3に移動させる。そのため、払い出し対象でない散剤を収容する散剤容器21がトレイTの上方を通過する際、散剤容器21の払出口212aとその周辺に付着した散剤が落下しても払出口212aの下方にトレイTが載置されていないので、落下した散剤がトレイTに入ることを防止することができる。このように、前記構成によれば、払い出し対象でない散剤がトレイTに収容されることによるクロスコンタミネーションを防止できる。
【0138】
また、前記払出部2と前記秤量部3との間に位置し、前記秤量部3の上方を移動する前記散剤容器21から散剤が前記秤量部3に落下することを防ぐシャッターをさらに備え、前記制御部9は、前記移動機構23による前記複数の散剤容器21の移動中には前記シャッターを閉鎖し、前記トレイ移送部5が前記トレイTを前記秤量部3に移動させた後に前記シャッターを開放する。
【0139】
前記構成によれば、制御部9は、移動機構23による複数の散剤容器21の移動中にはシャッターを閉鎖し、トレイ移送部5がトレイTを秤量部3に移動させた後にシャッターを開放する。そのため、トレイTが秤量部3に載置されるまでシャッターを閉鎖しておくことができ、払い出し対象でない散剤が秤量部3やトレイTに落下するのを防止できる。
【0140】
また、前記制御部9は、前記秤量部3に前記トレイTが載置された後であって、前記秤量部3のゼロ調整の後に前記シャッターを開放して前記散剤容器から散剤を払い出す。
【0141】
前記構成によれば、秤量部3がゼロ調整された後にシャッターが開放されるので、散剤を正確に秤量することができる。
【0142】
以上のように、第5の実施形態によれば、払い出し対象でない散剤がトレイTに収容されることによるクロスコンタミネーションを防止することができる。よって、異種の散剤が混ざってしまうこと(クロスコンタミネーション)を防止でき、安全な秤量装置を提供することができる。
【0143】
[実施形態の変更可能性]
なお、本発明の秤量装置1は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。つまり、前記実施形態において明示していない構成についても、明示した構成と同一の作用を奏する構成については本発明の範囲内で変更が可能であって、該構成を明示していないことをもって意識的に除外している訳ではない。
【0144】
例えば、トレイ集積部6に関し、各トレイTを載置した各区画に対応する表示器を設けておくこともできる。この場合、例えば後工程に係る分包装置で分包情報を呼び出すと、対応する表示器が表示状態になるように構成することができる。表示器として例えばLEDランプを用いることができる。この構成によると、分包情報に対応するトレイ集積部6上の区画を認識でき、作業者において分包に必要なトレイTが容易にわかる点で有利である。
【0145】
また、秤量部3に関し、散剤容器21からトレイTに払い出される散剤を秤量する第1秤量部と、手作業によりトレイに投入される散剤を秤量する第2秤量部の二つを設けることもできる。この場合、トレイ移送部5がトレイTを自動秤量モード、手動秤量モードに応じて第1秤量部または第2秤量部に振り分けるよう構成することができる。
【0146】
また、制御部9に関し、複数の供給指示が秤量装置1に入力された場合で、該複数の供給指示中に同一種類の散剤を払い出す指示を含む場合、制御部9は、同一の散剤が連続して払い出されるように順番を設定することもできる。これにより、複数の供給指示に対応した全体の払出時間を短縮できる。
【0147】
また、制御部9に関し、供給指示に含まれる散剤種の情報に応じて、制御部9が自動秤量モードとするか手動秤量モードとするかを決定することもできる。例えば、規制医薬品(毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬など)に関しては、もしもクロスコンタミネーションが発生すると深刻な悪影響が生じる可能性があるため、規制医薬品の情報が供給指示に含まれる場合、規制医薬品の払い出しは手動で行うようにできる。
【0148】
また、制御部9に関し、秤量部(電子天秤)3が有する表示部を撮影できるカメラを設けておき、該カメラにより得られた、秤量部3における秤量検出値の表示情報と、トレイTの情報表示部T1に表示された秤量値J7とが一致しているか確認するよう構成することもできる。
【0149】
また、トレイTに関し、前記実施形態では情報表示部T1として電子ペーパーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば液晶画面等の種々の表示手段を用いることができる。更に、利便性は低下するものの、情報表示部T1として紙等の印刷可能なシートを用い、情報書込部7としてプリンターを用いてもよい。
【0150】
また、トレイTに関し、各トレイに固有の識別情報を付すことができる。この場合、制御部9で特定のトレイTと、該トレイTに収容される散剤との対応関係を記憶しておき、該トレイTに収容する散剤を固定化することもできる。これにより、万が一トレイTに異種の散剤が残留していたことによるクロスコンタミネーションの発生を防止できる。
【0151】
また、トレイTに関し、容量の異なる複数のトレイTを用いることもできる。この場合、制御部9で特定容量のトレイTと、該トレイTに収容される散剤との対応関係を記憶しておくこともできる。これにより、払い出し量の大きな散剤に対しては容量の大きなトレイTを利用でき、払い出し量の小さな散剤に対しては容量の小さなトレイTを利用できる。よって、後工程に回す際に散剤を取り出しやすくできる。
【符号の説明】
【0152】
1…秤量装置、2…払出部、21…散剤容器、211…胴部、212…底部、212a…払出口、213…蓋部、214…RFIDタグ、22…保持体、221…保持本体、221a…連通口、223…被固定部、23…移動機構、231…移動本体、231a…固定部、232…移動駆動部、24…払出機構、241…払出駆動部、25…テーブル、251…開口、3…秤量部、3a…ロック部、4…トレイ待機部、41…待機トレイ移送部、42…待機駆動部、5…トレイ移送部、51…移送部本体、51a…アーム、52…移送駆動部、6…トレイ集積部(秤量後トレイ置き場)、6X,6Y…並列トレイ集積部、61…集積トレイ移送部、62…集積駆動部、7…情報書込部、8…装置側表示部、9…制御部、9a…指示入力部、10…筐体、10a…着脱用窓、101…架台、M…散剤、P1…払出位置、P2…着脱位置、Q…移動軌道(周回軌道)、Q1…ストレート軌道、Q2…湾曲軌道、S1…第1位置、S2…第2位置、T…トレイ、T1…情報表示部