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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/32 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
B65D5/32 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019091544
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020186028
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月28日に日本たばこ産業株式会社に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】仲井間 祥吾
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-049184(JP,U)
【文献】実開昭56-014061(JP,U)
【文献】実開昭50-024227(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0060262(US,A1)
【文献】独国実用新案第000008803018(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/32
B65D 85/575
B65D 85/57
B65D 85/00
B42D 1/00
B42D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体(2)の背面(2R)側を軸として回動する蓋部(3)を備えて冊子状に形成された収納箱(1)であって、
前記箱本体は、物品(M)の一部を収容するための収容部(2S)を有し、
前記蓋部は、
前記箱本体に連設され、前記収容部に対応する蓋開口部(30A)を有し、前記箱本体に積層されて前記収容部から突き出た前記物品を前記蓋開口部に挿通させた内蓋閉塞位置(P4)と、前記収容部を開放した内蓋開放位置(P5)との間で回動する少なくとも1つの内蓋部(4)と、
前記箱本体と前記内蓋部の少なくとも一方に連設され、前記内蓋部に積層されて前記蓋開口部を閉塞した外蓋閉塞位置(P1)と、前記蓋開口部を開放した外蓋開放位置(P2)との間で回動する外蓋部(5)と、を含み、
前記内蓋部は、一対の内蓋形成板(30)によって構成されており、前記箱本体と前記外蓋部とに接続され、
前記外蓋部は、前記内蓋部と前記箱本体の前記背面とを覆うように形成され、前記外蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記背面から離間した第2の外蓋開放位置(P3)まで回動し、
前記外蓋部が前記外蓋開放位置から前記第2の外蓋開放位置に回動する過程において、前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動することを特徴とする収納箱。
【請求項2】
箱本体(2)の背面(2R)側を軸として回動する蓋部(3)を備えて冊子状に形成された収納箱(1)であって、
前記箱本体は、物品(M)の一部を収容するための収容部(2S)を有し、
前記蓋部は、
前記箱本体に連設され、前記収容部に対応する蓋開口部(30A)を有し、前記箱本体に積層されて前記収容部から突き出た前記物品を前記蓋開口部に挿通させた内蓋閉塞位置(P4)と、前記収容部を開放した内蓋開放位置(P5)との間で回動する少なくとも1つの内蓋部(4)と、
前記箱本体と前記内蓋部の少なくとも一方に連設され、前記内蓋部に積層されて前記蓋開口部を閉塞した外蓋閉塞位置(P1)と、前記蓋開口部を開放した外蓋開放位置(P2)との間で回動する外蓋部(5)と、を含み、
各々の前記内蓋部は、折り返された一対の内蓋形成板(30)によって構成され、
複数の前記内蓋部は、一列に連設された複数の前記内蓋形成板をジグザグに折り返すことで蛇腹状に形成されたことを特徴とする収納箱。
【請求項3】
前記蓋開口部は、僅かな隙間(G)を有して前記物品が挿通可能に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の収納箱。
【請求項4】
前記内蓋閉塞位置に配置された前記内蓋部は、前記収容部に収容された前記物品の表面と同一平面を構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の収納箱。
【請求項5】
最深層の前記内蓋部は、前記箱本体に接続され、
最表層の前記内蓋部は、前記外蓋部に接続され、
前記外蓋部は、最表層の前記内蓋部と前記箱本体の前記背面とを覆うように形成され、前記外蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記背面から離間した第2の外蓋開放位置(P3)まで回動し、
最深層の前記内蓋部を除く前記内蓋部は、前記内蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記第2の外蓋開放位置に配置された前記外蓋部に重なる第2の内蓋開放位置(P6)まで回動し、
前記外蓋部が前記外蓋開放位置から前記第2の外蓋開放位置に回動する過程において、最表層の前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動し、
表層側の前記内蓋部が前記内蓋開放位置から前記第2の内蓋開放位置に回動する過程において、深層側の前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動することを特徴とする請求項に記載の収納箱。
【請求項6】
前記外蓋部は、
最表層の前記内蓋形成板に接続された外蓋本体(32)と、
前記箱本体の下面に接続された外蓋固定部(33)と、
前記外蓋本体と前記外蓋固定部とに連設された外蓋背部(34)と、を含み、
前記外蓋部が前記外蓋閉塞位置に回動した状態では、前記外蓋本体は前記蓋開口部を閉塞し、前記外蓋背部は前記箱本体の前記背面に対向し、
前記外蓋部が前記第2の外蓋開放位置に回動した状態では、前記外蓋本体は前記蓋開口部を開放し、前記外蓋背部は前記箱本体の前記背面から離間することを特徴とする請求項またはに記載の収納箱。
【請求項7】
前記外蓋部は、最表層の前記内蓋形成板に連設され、前記内蓋形成板と共に蛇腹形状を構成する外蓋接続板(31)を更に含むことを特徴とする請求項に記載の収納箱。
【請求項8】
前記箱本体は、積み重ねて固定された複数の箱形成板(20)で構成され、
前記収容部は、複数の前記箱形成板に開口した複数の収容開口部(20A)によって構成されたことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の収納箱。
【請求項9】
前記箱本体は、一列に連設された複数の前記箱形成板をジグザグに折り返すことで積層状態に形成されたことを特徴とする請求項に記載の収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するための収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、展開状態でケース本体(底部)の両側に中蓋と外蓋とを連設したフロッピー用郵送ケースが開示されている。ケース本体の底部上にはメッセージ等が載置され、中蓋は底部に対向するように折り返されてケース本体の天部となる。フロッピーは中蓋に開口したフロッピー挿入孔に挿入され、外蓋は中蓋に重なるように折り返される。これにより、フロッピー用郵送ケースが封緘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-183582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したフロッピー用郵送ケースでは、メッセージ等がフロッピーの下に隠れているため、このメッセージ等を広告として使用することは有効ではなかった。仮に、外蓋の裏面やケース本体の天部(中蓋の表面)に広告を印刷することも考えられるが、印刷可能な面積が限定されているため、広告の情報量が不足し、十分な訴求効果を期待することができない虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、広告等の情報を提示するためのスペースを増加させることができる収納箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明は、箱本体の背面側を軸として回動する蓋部を備えて冊子状に形成された収納箱であって、前記箱本体は、物品の一部を収容するための収容部を有し、前記蓋部は、前記箱本体に連設され、前記収容部に対応する蓋開口部を有し、前記箱本体に積層されて前記収容部から突き出た前記物品を前記蓋開口部に挿通させた内蓋閉塞位置と、前記収容部を開放した内蓋開放位置との間で回動する少なくとも1つの内蓋部と、前記箱本体と前記内蓋部の少なくとも一方に連設され、前記内蓋部に積層されて前記蓋開口部を閉塞した外蓋閉塞位置と、前記蓋開口部を開放した外蓋開放位置との間で回動する外蓋部と、を含む。
【0007】
この場合、前記蓋開口部は、僅かな隙間を有して前記物品が挿通可能に形成されたことが好ましい。
【0008】
この場合、前記内蓋閉塞位置に配置された前記内蓋部は、前記収容部に収容された前記物品の表面と同一平面を構成することが好ましい。
【0009】
この場合、前記内蓋部は、一対の内蓋形成板によって構成されており、前記箱本体と前記外蓋部とに接続され、前記外蓋部は、前記内蓋部と前記箱本体の前記背面とを覆うように形成され、前記外蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記背面から離間した第2の外蓋開放位置まで回動し、前記外蓋部が前記外蓋開放位置から前記第2の外蓋開放位置に回動する過程において、前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動することが好ましい。
【0010】
この場合、各々の前記内蓋部は、折り返された一対の内蓋形成板によって構成され、複数の前記内蓋部は、一列に連設された複数の前記内蓋形成板をジグザグに折り返すことで蛇腹状に形成されたことが好ましい。
【0011】
この場合、最深層の前記内蓋部は、前記箱本体に接続され、最表層の前記内蓋部は、前記外蓋部に接続され、前記外蓋部は、最表層の前記内蓋部と前記箱本体の前記背面とを覆うように形成され、前記外蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記背面から離間した第2の外蓋開放位置まで回動し、最深層の前記内蓋部を除く前記内蓋部は、前記内蓋開放位置よりも更に開放方向に開いて前記第2の外蓋開放位置に配置された前記外蓋部に重なる第2の内蓋開放位置まで回動し、前記外蓋部が前記外蓋開放位置から前記第2の外蓋開放位置に回動する過程において、最表層の前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動し、表層側の前記内蓋部が前記内蓋開放位置から前記第2の内蓋開放位置に回動する過程において、深層側の前記内蓋部を構成する一対の前記内蓋形成板は、互いの前記背面側を離間させながら前記内蓋閉塞位置から前記内蓋開放位置に向かって回動することが好ましい。
【0012】
この場合、前記外蓋部は、最表層の前記内蓋形成板に接続された外蓋本体と、前記箱本体の下面に接続された外蓋固定部と、前記外蓋本体と前記外蓋固定部とに連設された外蓋背部と、を含み、前記外蓋部が前記外蓋閉塞位置に回動した状態では、前記外蓋本体は前記蓋開口部を閉塞し、前記外蓋背部は前記箱本体の前記背面に対向し、前記外蓋部が前記第2の外蓋開放位置に回動した状態では、前記外蓋本体は前記蓋開口部を開放し、前記外蓋背部は前記箱本体の前記背面から離間することが好ましい。
【0013】
この場合、前記外蓋部は、最表層の前記内蓋形成板に連設され、前記内蓋形成板と共に蛇腹形状を構成する外蓋接続板を更に含むことが好ましい。
【0014】
この場合、前記箱本体は、積み重ねて固定された複数の箱形成板で構成され、前記収容部は、複数の前記箱形成板に開口した複数の収容開口部によって構成されたことが好ましい。
【0015】
この場合、前記箱本体は、一列に連設された複数の前記箱形成板をジグザグに折り返すことで積層状態に形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収納箱にて広告等の情報を提示するためのスペースを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る収納箱の小口側を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る収納箱の背面側を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る収納箱の箱本体のブランクを示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る収納箱の蓋部の第1ブランクを示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る収納箱の蓋部の第2ブランクを示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る収納箱の蓋部の第3ブランクを示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部および最上層の内蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部および最上層の内蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部および2つの内蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る収納箱の外蓋部および2つの内蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図14】本発明の一実施形態の第1変形例に係る収納箱の外蓋部および2つの内蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態の第2変形例に係る収納箱の外蓋部および2つの内蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図16】本発明の一実施形態の第3変形例に係る収納箱の外蓋部を開いた状態を示す側面図である。
図17】本発明の一実施形態の第4変形例に係る収納箱の外蓋部を開いた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。また、これらの方向を示す用語は、説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
[収納箱の概要]
図1ないし図4を参照して、本実施形態に係る収納箱1について説明する。図1は収納箱1の小口2F側を示す斜視図である。図2は収納箱1の背面2R側を示す斜視図である。図3は収納箱1の外蓋部5を開いた状態を示す斜視図である。図4は、図1のIV-IV断面図である。
【0020】
図1および図2に示すように、収納箱1は、複数の段ボールシートを積層することで平たい略直方体状に形成されている。収納箱1は、平面(底面)から見て、前後方向の幅よりも左右方向の幅を長くした略長方形状に形成されており、その四隅部は円弧状に隅切されている。
【0021】
図1ないし図3に示すように、収納箱1は、箱本体2の背面2R側を軸として回動する蓋部3を備えて冊子状に形成されている。蓋部3は、箱本体2の上面に積層された2つの内蓋部4と、最上層(最表層)の内蓋部4に積層された外蓋部5と、を含んでいる。
【0022】
図1ないし図4に示すように、箱本体2は、平たい略直方体状に形成され、物品Mの下部(一部)を収容するための収容部2Sを有している。収容部2Sは、箱本体2の中央領域に開口した穴(窪み)であって、平面から見て前後方向の幅よりも左右方向の幅を長くした略長方形状に形成されている。各内蓋部4は、収容部2Sに対応する蓋開口部30Aを有している。各蓋開口部30Aは、収容部2Sと略同一形状に形成され、収容部2Sに連通している。収容部2Sおよび各蓋開口部30Aには、直方体状の物品M(例えばタバコの箱等)が収容されている。外蓋部5は、最表層の内蓋部4と箱本体2の背面2Rとを覆うように形成されている。
【0023】
箱本体2は、図5に示すブランク2Aから組み立てられる。蓋部3は、図6ないし図8に示す第1~第3ブランク3A~3Cから組み立てられる。これらのブランク2A,3A~3Cは、それぞれ、1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成される。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(図10等参照)とを貼り合せた両面段ボールである。蓋部3の第1~第3ブランク3A~3Cは、箱本体2のブランク2Aよりも薄い段ボールシートで形成されている。なお、図5ないし図8は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。また、本明細書では、上下、左右、前後およびこれに類する方向を示す用語は、スタッキングトレイ2や蓋体3を組み立てた状態(組立状態)における方向を指している。
【0024】
[箱本体のブランク]
図5を参照して、箱本体2のブランク2Aについて説明する。図5はブランク2Aを示す平面図である。
【0025】
ブランク2Aは、5つの箱形成板20を含んでいる。5つの箱形成板20は、段方向に一列に並べられ、第1箱折曲線L1または第2箱折曲線L2を介して連設されている。2本の第1箱折曲線L1と2本の第2箱折曲線L2とは、交互に間隔をあけて配置され、5つの箱形成板20を区画している。各箱形成板20は、収納箱1を底面形状と同一であって、段方向の幅よりも流れ方向の幅を長くした略長方形状に形成されている。また、各箱形成板20の四隅部は、円弧状に隅切されている。各箱形成板20の中央領域には、収容部2Sを構成するための収容開口部20Aが穿設されている。つまり、各箱形成板20は、略矩形環状に形成されている。各収容開口部20Aは、段方向の幅よりも流れ方向の幅を長くした略長方形状に形成されている。
【0026】
なお、第1箱折曲線L1は、裏ライナ9Cから中しん9Aの厚み方向の約半分まで切断した裏半切線である。第1箱折曲線L1は、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる機能を有している。第2箱折曲線L2は、表ライナ9Bから中しん9Aの厚み方向の約半分まで切断した表半切線である。第2箱折曲線L2は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる機能を有している。なお、第1箱折曲線L1と第2箱折曲線L2とは、裏半切線や表半切線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができる線であれば如何なるものでもよい。
【0027】
[蓋部のブランク]
図6ないし図8を参照して、蓋部3の第1~第3ブランク3A~3Cについて説明する。図6は第1ブランク3Aを示す平面図である。図7は第2ブランク3Bを示す平面図である。図8は第3ブランク3Cを示す平面図である。
【0028】
<第1ブランク>
図6に示すように、第1ブランク3Aは、5つの内蓋形成板30と、外蓋接続板31と、を含んでいる。5つの内蓋形成板30は、段方向に一列に並べられ、第1蓋折曲線L3または第2蓋折曲線L4を介して連設されている。外蓋接続板31は、段方向一端に配置された内蓋形成板30に第1蓋折曲線L3を介して連設されている。3本の第1蓋折曲線L3と2本の第2蓋折曲線L4とは、交互に間隔をあけて配置され、5つの内蓋形成板30と外蓋接続板31とを区画している。各内蓋形成板30は、箱形成板20と同一形状であって、中央領域に開口した蓋開口部30Aを有した略矩形環状に形成されている。外蓋接続板31は、蓋開口部30Aを削除した内蓋形成板30と略同一形状に形成されている。つまり、各内蓋形成板30および外蓋接続板31は、四隅部を隅切した略長方形状に形成されている。
【0029】
なお、第1蓋折曲線L3は裏半切線であり、第2蓋折曲線L4は表半切線である。第1蓋折曲線L3と第2蓋折曲線L4とは、裏半切線や表半切線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができる線であれば如何なるものでもよい。
【0030】
<第2ブランク>
図7に示すように、第2ブランク3Bは、外蓋本体32と、外蓋固定部33と、外蓋背部34と、を含んでいる。外蓋本体32および外蓋固定部33は、それぞれ、外蓋接続板31と同一形状に形成されている。外蓋背部34は、2本のヒンジ線L5を介して外蓋本体32と外蓋固定部33とに連設されている。外蓋背部34は、外蓋本体32等よりも流れ方向の幅が短い略長方形状に形成されている。外蓋背部34の段方向の寸法は、収納箱1の高さに対応しており、外蓋本体32等の段方向の寸法よりも短く設定されている。
【0031】
なお、ヒンジ線L5は、段ボールシートを裏ライナ9Cの側から厚み方向に線状に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる機能を有している。ヒンジ線L5は、汎用罫線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げることができる線であれば如何なるものでもよい。
【0032】
<第3ブランク>
図8に示すように、第3ブランク3Cは、外蓋本体32等と同一形状に形成された外蓋表層部35を含んでいる。
【0033】
なお、第1ブランク3A(各内蓋形成板30および外蓋接続板31)の表ライナ9Bには、文字や画像等の広告が印刷されている(図示せず)。また、第3ブランク3Cの表ライナ9Bに広告が印刷されていてもよい。
【0034】
[収納箱の組立]
以上で説明したように、箱本体2のブランク2Aと蓋部3の第1~第3ブランク3A~3Cとは互いに別体で形成されており、これらのブランク2A,3A~3Cを折り曲げたり連結したりすることで収納箱1が組み立てられる。以下、図4ないし図8を参照して、収納箱1の組立工程の一例について説明する。収納箱1は、例えば、作業者によって手作業で組み立てられる。
【0035】
<箱本体の組立>
まず、箱本体2(ブランク2A)の組立工程の一例について説明する。作業者は、第1箱折曲線L1(裏半切線)を挟んで隣接する箱形成板20の表ライナ9Bに両面テープ(図示せず)を貼付し、第2箱折曲線L2(表半切線)を挟んで隣接する箱形成板20の裏ライナ9Cに両面テープを貼付する。
【0036】
続いて、作業者は、第1箱折曲線L1に沿って箱形成板20を折り返し、第1箱折曲線L1を挟んで隣接する箱形成板20の表ライナ9B同士を両面テープで接着する。また、作業者は、第2箱折曲線L2に沿って箱形成板20を折り返し、第2箱折曲線L2を挟んで隣接する箱形成板20の裏ライナ9C同士を両面テープで接着する。このように、積み重ねて固定された5つの箱形成板20によって箱本体2が構成される。すなわち、一列に連設された5つの箱形成板20が第1および第2箱折曲線L1,L2に沿ってジグザグに折り返されて積層状態になることで、箱本体2が形成される(図4参照)。この箱本体2では、第1箱折曲線L1側が背面2R(後面)になり、第2箱折曲線L2側が小口2F(前面)となるが、第1箱折曲線L1側を小口2Fとし、第2箱折曲線L2側を背面2Rとしてもよい(図示せず)。
【0037】
また、5つの箱形成板20に開口した5つの収容開口部20Aによって収容部2Sが構成される。収容部2Sは、僅かな隙間Gを有して物品Mが挿通可能に形成されている。収容部2Sの深さ(高さ)は、物品Mの高さの約2/3に設定されている。したがって、収容部2Sには物品Mの下部が収容され、物品Mの上部は箱本体2(収容部2S)から上方に突き出る。
【0038】
<内蓋部の組立等>
次に、内蓋部4(第1ブランク3A)の組立工程の一例について説明する。作業者は、表ライナ9Bを内側に向けるように内蓋形成板30を第1蓋折曲線L3に沿って折り返し、裏ライナ9Cを内側に向けるように内蓋形成板30を第2蓋折曲線L4に沿って折り返す。また、作業者は、外蓋接続板31を内蓋形成板30に重ねるように第1蓋折曲線L3に沿って折り返す。このように、折り返された一対の内蓋形成板30によって各々の内蓋部4が構成される。2つの内蓋部4は、一列に連設された5つの内蓋形成板30をジグザグに折り返すことで蛇腹状に形成されている。また、最上層(最表層)の内蓋形成板30に連設された外蓋接続板31は、内蓋形成板30と共に蛇腹形状を構成する。なお、隣接する内蓋形成板30や外蓋接続板31は互いに接着(固定)されない。また、最下層の内蓋形成板30は内蓋部4を構成しない。
【0039】
続いて、作業者は、段方向他端(外蓋接続板31とは反対側)に配置された内蓋形成板30の裏ライナ9C(または箱本体2の上面)に両面テープを貼付し、その内蓋形成板30を箱本体2の上面に接着する。これにより、最下層(最深層)の内蓋部4(内蓋形成板30)は箱本体2の外形(輪郭)に合わせた状態で箱本体2に接続(連設)される。この状態で、第1蓋折曲線L3は箱本体2の後方(背面2R側)に向き、第2蓋折曲線L4は箱本体2の前方(小口2F側)に向いている。また、この状態で、各内蓋部4の蓋開口部30Aは箱本体2の収容部2S(蓋開口部30A)と略一致し、外蓋接続板31は最上層に位置している。
【0040】
<外蓋部の組立等>
次に、外蓋部5の組立工程の一例について説明する。外蓋部5は、外蓋接続板31と、第2ブランク3B(外蓋本体32、外蓋固定部33および外蓋背部34)と、第3ブランク3C(外蓋表層部35)とによって構成される。
【0041】
作業者は、第2ブランク3Bの外蓋固定部33の裏ライナ9C(または箱本体2の下面)に両面テープを貼付し、外蓋固定部33を箱本体2の輪郭に合わせた状態で箱本体2の下面に接着(接続)する。この状態で、箱本体2の収容部2Sの下面開口が閉塞され、外蓋固定部33が収容部2Sの底面を構成する。
【0042】
続いて、作業者は、ヒンジ線L5に沿って外蓋固定部33を略直角に折り曲げる。外蓋固定部33は、外蓋固定部33に対して起立し、箱本体2の背面2Rに対向配置される。
【0043】
次に、作業者は、外蓋本体32の裏ライナ9C(または外蓋接続板31の上面(裏ライナ9C))に両面テープを貼付する。そして、作業者は、ヒンジ線L5に沿って外蓋本体32を折り曲げ、外蓋本体32を外蓋接続板31の輪郭に合わせた状態で外蓋接続板31の上面に接着する。これにより、最上層(最表層)の内蓋部4(内蓋形成板30)は、外蓋接続板31を介して外蓋本体32(外蓋部5)に接続される。以上によって、第2ブランク3Bが箱本体2と各内蓋部4とを上下両側から挟み込むように接続される。
【0044】
次に、作業者は、外蓋表層部35(第3ブランク3C)の裏ライナ9C(または外蓋本体32の表ライナ9B)に両面テープを貼付し、外蓋表層部35を外蓋本体32の輪郭に合わせた状態で外蓋本体32の上面に接着する。このように、外蓋接続板31、第2ブランク3B(外蓋本体32、外蓋固定部33、外蓋背部34)および外蓋表層部35(第3ブランク3C)によって、箱本体2と内蓋部4に連設された外蓋部5が構成される。外蓋部5の上面部は、外蓋接続板31、外蓋本体32および外蓋表層部35によって三重積層構造となっている。なお、以下の説明では、外蓋接続板31、外蓋本体32および外蓋表層部35を、まとめて「表紙部5U」ともいう。
【0045】
以上によって、収納箱1の組立が完了する。なお、上記した収納箱1の組立工程における両面テープの貼付位置等は、一例であって、両面テープの貼付位置や貼付数は適宜変更してもよい。また、上記した組立工程では、一例として、両面テープを用いていたが、これに代えて、例えば、接着剤を用いてもよい。また、上記した組立工程は一例であって、その順序は矛盾のない範囲で入れ替えてもよい。
【0046】
[収納箱の作用]
次に、図3図4図9ないし図13を参照して、収納箱1の作用、具体的には外蓋部5と各内蓋部4との開閉について説明する。図9は外蓋部5を開いた状態を示す側面図である。図10は外蓋部5および最上層の内蓋部4を開いた状態を示す斜視図である。図11は外蓋部5および最上層の内蓋部4を開いた状態を示す側面図である。図12は外蓋部5および2つの内蓋部4を開いた状態を示す斜視図である。図13は外蓋部5および2つの内蓋部4を開いた状態を示す側面図である。
【0047】
外蓋部5と各内蓋部4とは、箱本体2の背面2R側を軸として回動する。具体的には、各内蓋部4は、箱本体2に積層されて収容部2Sから突き出た物品Mを蓋開口部30Aに挿通させた内蓋閉塞位置P4(図3図9参照)と、収容部2Sを開放した内蓋開放位置P5(図10図11参照)との間で回動する。外蓋部5(表紙部5U、外蓋背部34)は、(内蓋閉塞位置P4に配置された)内蓋部4に積層されて蓋開口部30Aを閉塞した外蓋閉塞位置P1(図1図4参照)と、蓋開口部30Aを開放した外蓋開放位置P2(図3図9参照)と、外蓋開放位置P2よりも更に開放方向に開いて背面2Rから離間した第2の外蓋開放位置P3(図10図11参照)との間で回動する。外蓋部5が外蓋閉塞位置P1に回動した状態では、外蓋本体32は蓋開口部30Aを閉塞し、外蓋背部34は箱本体2の背面2Rに対向している(図4参照)。また、最上層の内蓋部4(最下層の内蓋部4を除く内蓋部4)は、内蓋開放位置P5よりも更に開放方向に開いて第2の外蓋開放位置P3に配置された外蓋部5に重なる第2の内蓋開放位置P6(図12図13参照)まで回動する。
【0048】
<物品の収容>
まず、作業者が収納箱1に物品Mを収容する手順について説明する。図3および図9に示すように、作業者は、外蓋閉塞位置P1に配置された表紙部5Uを外蓋開放位置P2に向かって回動させる。表紙部5Uは、最上層の内蓋形成板30と外蓋接続板31との間の第1蓋折曲線L3と、上方のヒンジ線L5とを中心にして回動する。各内蓋部4は、回動せず、内蓋閉塞位置P4に留まっている。外蓋開放位置P2に配置された表紙部5Uは、内蓋閉塞位置P4に配置された内蓋部4に対して略垂直に起立している。
【0049】
作業者は、開放された蓋開口部30Aおよび収容部2Sに物品Mを収容する。収容部2Sおよび各蓋開口部30Aは、それぞれ、僅かな隙間G(図4参照)を有して物品Mが挿通可能に形成されているため、物品Mは、僅かなガタつきをもって収容部2Sおよび蓋開口部30Aに嵌合する。また、内蓋閉塞位置P4に配置された最上層の内蓋部4は、収容部2Sに収容された物品Mの上面(表面)と同一平面を構成している。なお、「僅かな隙間G」とは、作業者(ユーザ)が容易に指を入れることができない程度の隙間Gであり、例えば1~5mm程度の隙間Gであることが好ましい。また、内蓋部4と物品Mとの上面が「同一平面」であるとは、完全に一致した平面だけでなく、僅かな段差(数mm程度)があることを含む概念である。好ましくは、物品Mとの上面が内蓋部4の上面よりも僅かに下がっているとよい。
【0050】
作業者は、収容部2S等に物品Mを収容した後、外蓋開放位置P2に配置された表紙部5Uを外蓋閉塞位置P1に戻す(図1図2参照)。以上によって、物品Mが収納箱1に収容される。
【0051】
<物品の取り出し>
次に、ユーザが収納箱1から物品Mを取り出す手順について説明する。図3および図9に示すように、ユーザは、上記した物品Mの収容手順と同様に、表紙部5Uを外蓋閉塞位置P1から外蓋開放位置P2に回動させる。この状態で、ユーザは、外蓋接続板31と最上層の内蓋形成板30とに印刷された広告を目視することができる。また、この状態で、物品Mは蓋開口部30Aに僅かな隙間Gを有して嵌合し、物品Mの上面は最上層の内蓋部4の上面と略同一平面を成しているため、ユーザは物品Mを掴んで取り出すことができない。
【0052】
続いて、図10および図11に示すように、ユーザは、外蓋開放位置P2に配置された表紙部5Uおよび外蓋背部34を第2の外蓋開放位置P3に向かって回動させる。表紙部5Uおよび外蓋背部34は、下方のヒンジ線L5を中心にして回動する。回動する表紙部5Uに引っ張られて、最上層の内蓋部4も回動し始める。表紙部5U等(外蓋部5)が外蓋開放位置P2から第2の外蓋開放位置P3に回動する過程において、最上層の内蓋部4を構成する一対の内蓋形成板30は、互いの背面2R側を離間させながら内蓋閉塞位置P4から内蓋開放位置P5に向かって回動する。最下層の内蓋部4は、回動せず、内蓋閉塞位置P4に留まっている。
【0053】
表紙部5U等(外蓋部5)が第2の外蓋開放位置P3に回動した状態では、外蓋本体32は蓋開口部30Aを開放し、外蓋背部34は箱本体2の背面2Rから離間する。詳細には、第2の外蓋開放位置P3に配置された表紙部5Uおよび外蓋背部34は、外蓋固定部33(箱本体2の底面)と略平行な姿勢になる。内蓋開放位置P5に配置された内蓋部4は、下部から上部に向かって後側に傾斜した姿勢になる。また、この内蓋部4を構成する一対の内蓋形成板30は、第2蓋折曲線L4で連設された先端部を中心にして基端側(背面2R側)を広げた略三角形状(山型状)に形成される。
【0054】
この状態で、最上層の内蓋部4と最下層の内蓋部4とが見開きとなり、ユーザは、最上層の内蓋部4と最下層の内蓋部4とを繋ぐ一対の内蓋形成板30に印刷された広告を目視することができる。また、この状態で、物品Mの上部は、最下層の内蓋部4の上面から僅かに突き出している。しかし、物品Mの上部の突き出し量が少ないため、ユーザは物品Mを容易に掴むことができない。
【0055】
次に、図12および図13に示すように、ユーザは、内蓋開放位置P5に配置された内蓋部4を第2の内蓋開放位置P6に向かって回動させる。回動する最上層の内蓋部4に引っ張られて、最下層の内蓋部4も回動し始める。最上層の内蓋部4が内蓋開放位置P5から第2の内蓋開放位置P6に回動する過程において、最下層の内蓋部4を構成する一対の内蓋形成板30は、互いの背面2R側を離間させながら内蓋閉塞位置P4から内蓋開放位置P5に向かって回動する。内蓋開放位置P5に配置された最下層の内蓋部4は、最上層の内蓋部4と同様に、傾斜姿勢になり、この内蓋部4を構成する一対の内蓋形成板30は、先端部(第2蓋折曲線L4)を中心にして基端側を広げた略三角形状に形成される。
【0056】
この状態で、箱本体2の上面に接着された内蓋形成板30が露出し、ユーザは、最下層側の一対の内蓋形成板30に印刷された広告を目視することができる。また、この状態で、物品Mの上部の周囲に積層されていた2つの内蓋部4が除去されるため、物品Mの上部は、最下層の内蓋形成板30(箱本体2)の上面から突き出している。ユーザは、物品Mの上部を掴んで物品Mを収容部2Sから取り出す。
【0057】
以上のように、ユーザは、外蓋部5と2つの内蓋部4とを全てめくり、外蓋部5と2つの内蓋部4とに印刷された全ての広告を目にした後、物品Mを取り出すことができる。
【0058】
以上説明した本実施形態に係る収納箱1では、箱本体2、内蓋部4および外蓋部5が冊子状に綴じられていた。この構成によれば、外蓋部5の裏面(または表裏両面)および内蓋部4の表裏両面等に広告等の情報を印刷することができる。箱本体2と外蓋部5とに加えて内蓋部4の表裏両面にも情報提示が可能になるため、箱本体2と外蓋部5のみを備えた箱に比べて、情報を提示するためのスペースを増加させることができる。なお、本実施形態に係る収納箱1では、各内蓋形成板30および外蓋接続板31等に広告が印刷されていたが、これに限らず、例えば、広告が印刷されたステッカー等を各内蓋形成板30および外蓋接続板31等に貼付してもよい。また、広告以外でも、物品Mの情報などを印刷してもよい。さらに、各内蓋形成板30および外蓋接続板31等に印刷をせず、白紙としてもよい。
【0059】
また、本実施形態に係る収納箱1では、蓋開口部30Aと物品Mとの間の隙間Gを小さくし、ユーザが当該隙間Gに指を入れることができない構成とした。また、内蓋部4の表面と物品Mの表面とを略面一とし、ユーザが物品Mの上部を掴むことができない構成とした。この構成によれば、ユーザは、外蓋部5を開いた後、物品Mを取り出すために自然に内蓋部4を開くことになるため、外蓋部5の裏面および内蓋部4の表裏両面等に印刷された全ての広告を見ることになる。これにより、優れた訴求効果を期待することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る収納箱1では、2つの内蓋部4が一連の蛇腹状に形成され、箱本体2に対し冊子状に綴じられていた。この構成によれば、ユーザの目に触れる表側を表ライナ9Bのみで構成することができる。これにより、表ライナ9Bのみに広告等を印刷すればよいため、複数の内蓋形成板30の表裏両面に印刷する場合に比べて、印刷にかかるコストを低減することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋開放位置P2から第2の外蓋開放位置P3に回動する外蓋部5に連動して、内蓋部4が内蓋閉塞位置P4から内蓋開放位置P5に向かって回動する構成とした。この構成によれば、ユーザが外蓋部5を第2の外蓋開放位置P3に回動させることで、自動的に内蓋部4がめくられて新たな広告をユーザに提示することができる。また、内蓋開放位置P5から第2の内蓋開放位置P6に回動する上側の内蓋部4に連動して、下側の内蓋部4が内蓋閉塞位置P4から内蓋開放位置P5に向かって回動する構成とした。この構成によれば、ユーザが上側の内蓋部4を第2の内蓋開放位置P6に回動させることで、自動的に下側の内蓋部4がめくられて新たな広告をユーザに提示することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る収納箱1では、内蓋部4の回動に伴って一対の内蓋形成板30の背面2R側が離間する構成とした。すなわち、一対の内蓋形成板30を接着せずに折るだけで内蓋部4が形成されていた。これにより、内蓋部4の製造工程を簡略化することができ、収納箱1の製造コストを削減することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る収納箱1によれば、外蓋部5が、背面2Rを覆い、且つ箱本体2の下面と最上層の内蓋部4(内蓋形成板30)とを連結する構成とした。この構成によれば、外蓋背部34によって箱本体2と内蓋部4との端面(背面2R)を隠すことができ、収納箱1の意匠性を向上させることができる。また、外蓋背部34が箱本体2の背面2Rから離れるように倒れることで、第2の外蓋開放位置P3に回動する外蓋部5と内蓋開放位置P5に回動する内蓋部4とを連動させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋接続板31が内蓋形成板30と一体に形成されているため、外蓋接続板31と内蓋形成板30とを別々に形成して接着した場合に比べて、外蓋部5の製造工程を簡略化することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る収納箱1によれば、複数の箱形成板20を積層することで箱本体2が構成されるため、箱形成板20の積層数を変更したり、収容開口部20Aの形状を変更したりすることで、箱本体2の厚みや収容部2Sの形状を柔軟に変更することができる。これにより、物品Mの形状等に合わせた収納箱1を低コストで製造することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る収納箱1によれば、一列に連設された複数の箱形成板20をジグザグに折り曲げることで簡単に箱本体2を形成することができる。
【0067】
ところで、本実施形態に係る収納箱1では、蓋部3の第1ブランク3Aの第1蓋折曲線L3が裏半切線であり、第2蓋折曲線L4が表半切線であるため、第1ブランク3Aの製造工程では、表ライナ9Bに広告を印刷した段ボールシートの表面と裏面に2回刃物を入れなければならなかった。仮に、第1および第2蓋折曲線L3,L4の位置が規定の位置からずれた場合、広告が途切れて見た目が悪くなるだけでなく、広告による訴求効果が低下する虞もある。このような問題に解決するために、第1蓋折曲線L3と第2蓋折曲線L4とが表ライナ9B側から形成されてもよい。具体的には、第1蓋折曲線L3は、段ボールシートを厚み方向に完全に切断した全切線と、段ボールシートを切断せずに残した繋ぎ部と、を交互に並設した繋ぎ付き全切線としてもよい。この場合、第2蓋折曲線L4は表半切線とする。この構成によれば、印刷した段ボールシートの表面のみから刃物を入れればよいため、第1および第2蓋折曲線L3,L4の位置が規定の位置からずれるリスクを低減することができる。また、上記とは逆に、第1蓋折曲線L3と第2蓋折曲線L4とが裏ライナ9C側から形成されるように、第2蓋折曲線L4を繋ぎ付き全切線として、第1蓋折曲線L3を裏半切線としてもよい。また、第1蓋折曲線L3と第2蓋折曲線L4との両方が繋ぎ付き全切線であってもよい。さらに、上記と同様に趣旨で、箱本体2のブランク2Aの第1箱折曲線L1または/および第2箱折曲線L2を繋ぎ付き全切線としてもよい。
【0068】
なお、本実施形態に係る収納箱1では、蓋部3の第1~第3ブランク3A~3Cが、箱本体2のブランク2Aよりも薄い段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、箱本体2のブランク2Aよりも厚い段ボールシートで形成されてもよいし、箱本体2のブランク2Aと同じ厚みの段ボールシートで形成されてもよい。
【0069】
また、本実施形態に係る収納箱1では、5つの箱形成板20が積層されて箱本体2を構成していたが、本発明はこれに限定されない。箱形成板20の積層数は、物品Mの高さに応じて自由に変更してもよい。また、箱本体2は、一列に連設された複数の箱形成板20をジグザグに折り返すことで蛇腹状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、個別に形成された複数の箱形成板20を上下方向に重ねるように接着してもよい。また、箱本体2は、複数の箱形成板20を積層したものではなく、紙や合成樹脂等で一体に成型されたものでもよい(図示せず)。
【0070】
また、本実施形態に係る収納箱1では、2つの内蓋部4が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの内蓋部4が設けられてもよいし、3つ以上の内蓋部4が設けられてもよい(図示せず)。つまり、少なくとも1つの内蓋部4が設けられていればよい。なお、3つ以上の内蓋部4が設けられる場合、上層側(表層側)の内蓋部4が内蓋開放位置P5から第2の内蓋開放位置P6に回動する過程において、下層側(深層側)の内蓋部4が内蓋閉塞位置P4から内蓋開放位置P5に向かって回動することになる。
【0071】
また、本実施形態に係る収納箱1では、最下層の内蓋形成板30が、内蓋部4を構成しておらず、箱本体2に接続されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、内蓋部4を構成する最下層の内蓋形成板30の一部を延長して継代片40を構成し、この内蓋形成板30が継代片40を介して箱本体2の背面2R(または上面)に接続されてもよい(第1変形例)。
【0072】
また、本実施形態に係る収納箱1では、複数の内蓋部4が一列に連設された複数の内蓋形成板30をジグザグに折り返すことで蛇腹状に形成され、各内蓋部4が一対の内蓋形成板30で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図15に示すように、複数の内蓋部4は、それぞれ、継代片40を介して箱本体2の背面2R等に接続された1枚の内蓋形成板30であってもよい(第2変形例)。この場合、外蓋接続板31が省略されることが好ましい。この場合、内蓋部4を外蓋部5に連動させて開閉することができなくなり、外蓋部5と内蓋部4とは別々に開閉されることになる。なお、外蓋部5も継代片を介して箱本体2の背面2R等に接続される板としてもよい(図示せず)。
【0073】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋部5を構成する外蓋接続板31が最上層の内蓋形成板30に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16に示すように、外蓋接続板31と内蓋形成板30とが別体で形成され、外蓋接続板31が継代片41を介して内蓋形成板30に接着されてもよい(第3変形例)。なお、図16では継代片41が外蓋接続板31に連設されていたが、内蓋形成板30に連設されてもよい(図示せず)。
【0074】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋部5が箱本体2と内蓋部4との両方に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。外蓋部5は、箱本体2と内蓋部4の少なくとも一方に連設されていればよい。例えば、先に説明した図15に示すように、外蓋部5は、外蓋接続板31を削除することで内蓋部4から分離され、箱本体2のみに連設されてもよい。この場合、外蓋表層部35は省略されてもよい。他にも、例えば、図17に示すように、外蓋部5は、外蓋本体32および外蓋背部34を削除することで箱本体2から分離され、内蓋部4のみに連設されてもよい(第4変形例)。なお、外蓋固定部33は、収容部2Sの底面を形成するために残される。この場合、最上層の内蓋形成板30の後方の一部を刳り貫いて背面板42を形成し、この背面板42を下方に延ばして箱本体2の底面(または背面2R)に接着することが好ましい。なお、外蓋表層部35は、外蓋接続板31に接着してもよいし、省略されてもよい。
【0075】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋表層部35(第3ブランク3C)が外蓋部5の最表層を構成していたが、外蓋表層部35は省略されてもよい。この場合、外蓋本体32が外蓋部5の最表層となり、外蓋部5の上面部は、外蓋接続板31と外蓋本体32とによる二重積層構造となる。
【0076】
また、本実施形態に係る収納箱1では、外蓋表層部35(第3ブランク3C)が両面段ボールで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、外蓋表層部35は、両面段ボールから表ライナ9Bを省略した片面段ボールや段ボール以外の素材のシートで構成してもよい。これにより、印象に残りやすい意匠を構成することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る収納箱1では、収容部2S(各収容開口部20A)と各蓋開口部30Aとが平面から見て同一形状であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋開口部30Aが物品Mの外形に合わせた形状に形成され、収容部2S(各収容開口部20A)が蓋開口部30Aよりも大きく形成されたり、蓋開口部30Aとは異なる形状に形成されたりしてもよい(図示せず)。また、収容部2S(各収容開口部20A)や各蓋開口部30Aは、物品Mに合わせて長方形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。物品Mは直方体以外の多面体、球体、円柱状または錐体状などに形成されてもよく、収容部2S(各収容開口部20A)や各蓋開口部30Aは物品Mの形状に合わせて自由に形状変更されてもよい。
【0078】
また、本実施形態に係る収納箱1では、1つの物品Mを収容するために1つの収容部2Sが形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の物品Mを収容するために複数の収容部2Sが形成されてもよい(図示せず)。この場合、各箱形成板20には複数の収容開口部20Aが形成され、各内蓋形成板30にも複数の蓋開口部30Aが形成されることが好ましい。また、他にも、箱本体2と内蓋部4との間に開口の無い仕切板(図示せず)を追加し、仕切板によって仕切られた箱本体2の収容部2Sと複数の内蓋部4の蓋開口部30Aとに2つの物品Mを収納するようにしてもよい。なお、仕切板は、内蓋部4等と同様に、箱本体2の背面2R側を軸として回動することが好ましい。また、複数の内蓋部4のうち何れか1つを仕切板に変更してもよい。さらに、仕切板は複数設けられてもよい。
【0079】
また、本実施形態に係る収納箱1は、略直方体状に形成されていたが、これに限らず、直方体以外の多面体、球体、円柱状または錐体状などに形成されてもよい(図示せず)。
【0080】
また、本実施形態に係る収納箱1は、紙製の両面段ボールで形成されていたが、これに限らず、片面段ボール、複両面段ボール、複々両面段ボール等の紙製段ボールシート、厚紙、または樹脂製の各種の段ボールシートで形成されていてもよい。
【0081】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る収納箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 収納箱
2 箱本体
2R 背面
2S 収容部
3 蓋部
4 内蓋部
5 外蓋部
20 箱形成板
20A 収容開口部
30 内蓋形成板
30A 蓋開口部
31 外蓋接続板
32 外蓋本体
33 外蓋固定部
34 外蓋背部
G 隙間
M 物品
P1 外蓋閉塞位置
P2 外蓋開放位置
P3 第2の外蓋開放位置
P4 内蓋閉塞位置
P5 内蓋開放位置
P6 第2の内蓋開放位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17