(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】裏面材、シートパッド及び裏面材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/10 20060101AFI20230524BHJP
A47C 7/20 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B29C39/10
A47C7/20
(21)【出願番号】P 2019143668
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003425
【氏名又は名称】株式会社東洋クオリティワン
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】内田 悠太
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-315979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/10
A47C 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパッドのパッド本体の裏面に配置される裏面材であって、
前記パッド本体側の第1面と、前記第1面とは厚さ方向の反対側に位置する第2面とを有する布状部材と、
前記布状部材の前記第1面に配置される係止具と、を備え、
前記布状部材は、前記布状部材を広げて置いた場合に前記係止具が載せられる底部と、
前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも
2つの壁部と、を備え
、
前記係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備え、
2つの前記壁部が前記環状部を挟むように向かい合って設けられ、
前記環状部を挟んだ2つの前記壁部が前記環状部の内側で互いに連結部によって連結されることを特徴とする裏面材。
【請求項2】
シートパッドのパッド本体の裏面に配置される裏面材であって、
前記パッド本体側の第1面と、前記第1面とは厚さ方向の反対側に位置する第2面とを有する布状部材と、
前記布状部材の前記第1面に配置される係止具と、を備え、
前記布状部材は、前記布状部材を広げて置いた場合に前記係止具が載せられる底部と、
前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備え
、
前記係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備え、
前記壁部を前記底部へ向かって倒した状態で前記壁部と前記底部との間に前記環状部が挟まれ、
前記環状部を挟んだ前記壁部と前記底部とが前記環状部の内側で互いに連結部によって連結されることを特徴とする裏面材。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の前記裏面材がパッド本体の裏面に配置されたシートパッド。
【請求項4】
互いに厚さ方向の反対側に位置する第1面および第2面を有する布状部材と、前記第1面に配置される係止具と、を備える裏面材の製造方法であって、
前記布状部材は、底部と、前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも
2つの壁部と、を備え、
前記係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備え、
前記壁部に沿って前記底部へ向かって前記
ワイヤを前記第1面に配置
し、向かい合って設けられた2つの前記壁部の間に前記環状部を挟む配置工程と、
前記配置工程で前記環状部を挟んだ2つの前記壁部を、前記環状部の内側で互いに連結部によって連結する固定工程と、を備えることを特徴とする裏面材の製造方法。
【請求項5】
互いに厚さ方向の反対側に位置する第1面および第2面を有する布状部材と、前記第1面に配置される係止具と、を備える裏面材の製造方法であって、
前記布状部材は、底部と、前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備え、
前記係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備え、
前記壁部に沿って前記底部へ向かって前記
ワイヤを前記第1面に配置する
配置工程と、
前記配置工程の後、前記壁部を前記底部へ向かって倒して前記環状部を前記壁部と前記底部との間に挟み、前記環状部を挟んだ前記壁部と前記底部とを、前記環状部の内側で互いに連結部によって連結する固定工程と、を備えることを特徴とする裏面材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド本体の裏面に配置される裏面材、パッド本体の裏面に裏面材が配置されたシートパッド、及び、裏面材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの乗物に搭載されるシートのシートパッドは、フレームとの摩擦による異音の発生や破損を抑制するために、クッション材であるパッド本体の裏面に布状の裏面材が配置されている。特許文献1には、軟質フォーム製のパッド本体を発泡成形する成形型に裏面材を装着して、発泡成形されたパッド本体と裏面材とを一体化することが記載されている。さらに特許文献1では、布状部材にワイヤ(保持具)を粘着テープ等で固定して裏面材を形成し、成形型に設けた磁石にワイヤを保持させることで、裏面材を成形型に装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、布状部材のどこにワイヤを配置して粘着テープを貼り付けたら良いか、ワイヤを配置するための目印が分かり難い。そのため、布状部材に対して保持具(ワイヤ)を位置決めし易くすることが望まれている。
【0005】
本発明は上述した要求に応えるものであり、布状部材に対して保持具を位置決めし易くできる裏面材、シートパッド及び裏面材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の裏面材は、シートパッドのパッド本体の裏面に配置されるものであって、前記パッド本体側の第1面と、前記第1面とは厚さ方向の反対側に位置する第2面とを有する布状部材と、前記布状部材の前記第1面に配置される係止具と、を備え、前記布状部材は、前記布状部材を平面上に広げて置いた場合に前記係止具が載せられる底部と、前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備えている。
【0007】
また、本発明の裏面材の製造方法は、互いに厚さ方向の反対側に位置する第1面および第2面を有する布状部材と、前記第1面に配置される係止具と、を備える裏面材を製造する方法であって、前記布状部材は、底部と、前記底部の縁に連なると共に前記第1面の一部を前記底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備え、前記壁部に沿って前記底部へ向かって前記係止具を前記第1面に配置する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の裏面材によれば、布状部材は、底部と、底部の縁に連なると共に第1面の一部を底部に対して突出させた少なくとも2つの壁部と、を備えている。布状部材を広げて置いた場合に係止具が底部に載せられるようにして、第1面に係止具を配置するとき、底部から立ち上がった壁部による立体形状を目印やガイドにできる。これにより、布状部材に対して保持具を位置決めし易くできる。
【0009】
係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備えている。2つの壁部が環状部を挟むように向かい合って設けられ、環状部を挟んだ2つの壁部が環状部の内側で互いに連結部によって連結される。これにより、2つの壁部の対向方向への環状部の移動が壁部によって妨げられると共に、壁部に沿った環状部の移動が連結部によって妨げられるので、布状部材に対する環状部の全方向の移動を規制できる。よって、布状部材に対してワイヤを位置決めし易くできる。
【0010】
請求項2記載の裏面材によれば、布状部材は、底部と、底部の縁に連なると共に第1面の一部を底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備えている。布状部材を広げて置いた場合に係止具が底部に載せられるようにして、第1面に係止具を配置するとき、底部から立ち上がった壁部による立体形状を目印やガイドにできる。これにより、布状部材に対して保持具を位置決めし易くできる。
係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備えている。壁部を底部へ向かって倒した状態で壁部と底部との間に環状部が挟まれ、環状部を挟んだ壁部と底部とが環状部の内側で互いに連結部によって連結される。これにより、壁部と底部との対向方向への環状部の移動が壁部および底部によって妨げられると共に、底部に沿った環状部の移動が連結部によって妨げられるので、布状部材に対する環状部の全方向の移動を規制できる。よって、布状部材に対してワイヤを位置決めし易くできる。
【0011】
請求項3記載のシートパッドは、請求項1又は2に記載の裏面材がパッド本体の裏面に配置されたものであり、請求項1又は2に記載の裏面材の奏する効果と同様の効果を奏する。
【0012】
請求項4記載の裏面材の製造方法は、互いに厚さ方向の反対側に位置する第1面および第2面を有する布状部材と、第1面に配置される係止具と、を備える裏面材を製造する方法である。布状部材は、底部と、底部の縁に連なると共に第1面の一部を底部に対して突出させた少なくとも2つの壁部と、を備えている。係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備える。配置工程では、壁部に沿って底部へ向かってワイヤを第1面に配置し、向かい合って設けられた2つの壁部の間に環状部を挟む。固定工程では、配置工程で環状部を挟んだ2つの壁部を、環状部の内側で互いに連結部によって連結する。これにより、布状部材に対してワイヤを位置決めし易くできる。
請求項5記載の裏面材の製造方法は、互いに厚さ方向の反対側に位置する第1面および第2面を有する布状部材と、第1面に配置される係止具と、を備える裏面材を製造する方法である。布状部材は、底部と、底部の縁に連なると共に第1面の一部を底部に対して突出させた少なくとも1つの壁部と、を備えている。係止具は、一部に環状部を設けたワイヤを備える。配置工程では、壁部に沿って底部へ向かってワイヤを第1面に配置する。配置工程の後の固定工程では、壁部を底部へ向かって倒して環状部を壁部と底部との間に挟み、環状部を挟んだ壁部と底部とを、環状部の内側で互いに連結部によって連結する。これにより、布状部材に対してワイヤを位置決めし易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態におけるシートパッドが装着されたシートクッションの断面図である。
【
図2】ワイヤが配置される部位を拡大して示した裏面材の正面図である。
【
図3】
図2のIII-III線における裏面材の断面図である。
【
図4】(a)は
図3のIVa-IVa線における裏面材の切断部端面図であり、(b)は
図3のIVb-IVbにおける裏面材の断面図である。
【
図5】シートパッドを成形する成形型および裏面材の断面図である。
【
図6】第2実施形態における裏面材の正面図である。
【
図7】(a)は
図6のVIIa-VIIa線における裏面材の断面図であり、(b)は
図6のVIIb-VIIbにおける裏面材の断面図である。
【
図8】(a)は第3実施形態における裏面材の正面図であり、(b)は
図8(a)のVIIIb-VIIIbにおける裏面材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態におけるシートパッド10が装着されたシートクッション1の左右方向中央の断面図である。なお、
図1では、シートクッション1のうち着座者の太腿を下方から支持する部位の近傍を拡大して図示している。また説明の都合上、シートクッション1に着座した着座者から見た上下方向(
図1紙面上下方向)、前後方向(
図1紙面左右方向)、左右方向(
図1紙面垂直方向)を、シートクッション1の上下方向、前後方向、左右方向とする。
【0015】
図1に示すように、シートクッション1は、自動車に搭載されるシートのうち着座者が着座する部分である。このシートクッション1の後端には、着座者の背中や腰を支持する背凭れとしてのシートバック(図示せず)が配置される。
【0016】
シートクッション1は、シートクッション1の基材としてのクッション体であるシートパッド10と、シートパッド10が取り付けられるフレーム(図示せず)と、シートパッド10を覆う表皮材2と、を備えている。表皮材2は、ファブリックや合成皮革、皮革等により形成される部材である。表皮材2の端縁には金属製や合成樹脂製のフック3が取り付けられている。
【0017】
シートパッド10は、弾力性に富んだ発泡合成樹脂成形体である軟質フォーム(例えば軟質ポリウレタンフォーム)製のパッド本体11と、パッド本体11の裏面13に配置される布状の裏面材20と、を備えている。パッド本体11の表面12は、シートクッション1に着座者が着座したときに着座者に面する部位(
図1紙面上側および左側の面)であり、表皮材2によって覆われる。パッド本体11の裏面13は、表面12とはパッド本体11の厚さ方向の反対側の面であり、フレームに密着して支持される部位である。
【0018】
パッド本体11は、着座者の大腿部を下方から支持する腿下部14と、着座者の脹脛に面する張出部15とを少なくとも備えている。腿下部14は、パッド本体11の前方側に設けられる部位であり、フレームにより下方から支持される。張出部15は、腿下部14の前縁部から下方へ張り出す部位であり、フレームの前方を覆う。これらの腿下部14や張出部15を含むパッド本体11の裏面13は、フレームの形状などに沿うように、複数の平面や曲面を組み合わせたり、その平面や曲面に複数の凹凸を設けたりして、立体的に形成されている。
【0019】
裏面材20は、フレームとシートパッド10との擦れ合いによる異音の発生やシートパッド10の破れ等を抑制するためのものであり、パッド本体11の裏面13の略全体に配置される。裏面材20は、複数の繊維により布状に形成される布状部材21と、表皮材2のフック3が引っ掛けられる係止具としてのワイヤ30と、を備えている。
【0020】
布状部材21は、熱可塑性を有する布状の部材であり、本実施形態では熱可塑性合成樹脂製の繊維同士を溶着した不織布からなる。布状部材21は、パッド本体11側の第1面22と、第1面22とは厚さ方向の反対側に位置する第2面23と、を備えている。
【0021】
ワイヤ30は、強磁性を有する金属製の線状の部材であり、布状部材21と比べて十分に硬い。パッド本体11の張出部15の裏面13側に左右方向の略全長に亘って埋設され、布状部材21の第1面22に配置されている。布状部材21の一部を厚さ方向に貫通した貫通孔21aによって、ワイヤ30が埋設されたパッド本体11の一部が第2面23側から視認可能に露出している。この貫通孔21aを通って表皮材2のフック3をワイヤ30に引っ掛けることで、表皮材2がシートパッド10に固定される。
【0022】
図2から
図4(b)を参照して裏面材20についてより詳しく説明する。
図2は、ワイヤ30が配置される部位を拡大して示し、第1面22側から見た裏面材20の正面図である。
図3は
図2のIII-III線における裏面材20の断面図である。
図4(a)は
図3のIVa-IVa線における裏面材20の切断部端面図である。
図4(b)は
図3のIVb-IVbにおける裏面材20の断面図である。
図2から
図4(b)の裏面材20は、パッド本体11の裏面13に密着していない状態である。また、説明の都合上、
図2の紙面上下方向、紙面左右方向をそれぞれ、裏面材20の上下方向、左右方向とする。本実施形態では裏面材20が左右対称に形成されている。
【0023】
図2及び
図3に示すように、ワイヤ30には、ワイヤ30の両端部を曲げて環状部31が形成されている。布状部材21は、本体部24と、ワイヤ30の中央部が置かれる凸部25と、環状部31が置かれる底部26と、底部26に置かれた環状部31の移動を規制する壁部27,28,29と、を備えている。
【0024】
本体部24は、布状部材21のうちワイヤ30の周辺を平面に置いたとき、その平面に密着する部分である。本体部24には、左右方向に互いに離れて2つの貫通孔21aが設けられている。この2つの貫通孔21aにそれぞれ1本のワイヤ30が架け渡されるように、ワイヤ30が第1面22に配置されている。
【0025】
図2、
図3及び
図4(a)に示すように、凸部25は、本体部24に連なる部位であり、2つの貫通孔21aの間に設けられている。凸部25は、本体部24に対して第1面22の一部が突出する。そのため、凸部25の第1面22は、本体部24の第2面23を基準として本体部24の第1面22よりも高い位置にある。凸部25の第2面23は、凸部25の第1面22に沿って凹んでいる。
【0026】
図2、
図3及び
図4(b)に示すように、底部26は、本体部24の第1面22が上を向くように布状部材21を広げて置いた場合に、ワイヤ30の環状部31が載せられる矩形状の部位である。底部26は、ワイヤ30近傍の本体部24と略平行に形成されている。底部26は、第1面22の一部である底表面26aと、第2面23の一部であって底表面26aとは反対側の底裏面26bと、を備えている。布状部材21を広げて置いた場合に、底表面26aの上に環状部31が載せられる。底表面26a及び底裏面26bは、本体部24の第2面23を基準として本体部24の第1面22よりも高い位置にある。本体部24の第2面23を基準とした場合、底表面26aの高さと凸部の第1面22の高さとが略同一である。
【0027】
壁部27,28,29は、布状部材21の第1面22の一部を底部26(底表面26a)に対して突出させた部位であり、布状部材21に対するワイヤ30の移動を規制する。壁部27は、ワイヤ30の長さ方向の両端側にそれぞれ配置され、布状部材21に対するワイヤ30の長さ方向の移動を規制する。壁部27は、底部26のうちワイヤ30の長さ方向の両端側の縁に連なる。
【0028】
壁部28,29は、環状部31を挟むように互いに向かい合って配置される部位であり、底部26に沿ってワイヤ30が径方向へ移動することを規制する。底部26の厚さ方向から見て壁部27,28,29がコ字状(角U字状)に配置されるよう、即ち矩形状の底部26の3辺にそれぞれ壁部27,28,29が配置されるように、壁部28,29が底部26の縁に連なっている。なお、壁部27,28,29に連結されていない底部26の縁は、貫通孔21aの縁を形成している。
【0029】
壁部27,28,29の第1面22は、底裏面26bを基準として底表面26aよりも高い位置にある頂面27a,28a,29aと、頂面27a,28a,29aと底表面26aとを段差状にそれぞれ連結する内壁面27b,28b,29bと、頂面27a,28a,29aと本体部24とをそれぞれ連結する外壁面27c,28c,29cと、を備えている。壁部27,28,29の第2面23は、頂面27a,28a,29a、内壁面27b,28b,29b及び外壁面27c,28c,29cに沿って凹む壁裏面27d、28d、29dからなる。
【0030】
頂面27a,28a,29aは、底部26の底表面26aと対面しない部位であり、底表面26aと同じ方向(
図3、
図4(b)紙面上方)を向く。内壁面27b,28b,29bで囲まれた部分に環状部31が配置される。壁部28の内壁面28bと壁部29の内壁面29bとが環状部31の軸方向に対面している。このような状態で底表面26aを基準とした場合、頂面27a,28a,29aまでの高さが環状部31の高さよりも大きい。これにより、壁部27,28,29(内壁面27b,28b,29b)で囲まれた部分に環状部31を収容できる。
【0031】
環状部31を挟んだ壁部28,29同士は、環状部31の内側で互いに連結部33によって連結されている。本実施形態における連結部33は、商品に値札などのタグを取り付けるために用いられることが多い合成樹脂製のピン(タグピン)である。連結部33は、壁部28,29と環状部31の内側とを貫通する軸部33aと、軸部33aの両端にそれぞれ設けられると共に軸部33aの軸直角方向へ張り出す頭部33bと、を備えている。この頭部33bがそれぞれ壁部28,29の外側に位置することで、連結部33により壁部28,29同士が連結される。
【0032】
以上のような裏面材20によれば、環状部31を挟んだ壁部28,29が連結部33によって連結されるので、壁部28,29同士が互いに離れることを連結部33によって抑制できる。そのため、壁部28,29の対向方向への環状部31の移動が壁部28,29によって妨げられる。これにより、布状部材21に対してワイヤ30を位置決めし易くできる。
【0033】
さらに、環状部31の内側で壁部28,29同士が連結部33によって連結されているので、環状部31の軸方向への移動が壁部28,29によって妨げられると共に、壁部28,29に沿った環状部31の軸直角方向への移動が連結部33によって妨げられる。これにより、布状部材21に対する環状部31の全方向の移動を抑制できる。よって、布状部材21に対してワイヤ30をより位置決めし易くできる。
【0034】
ワイヤ30の両端部の環状部31の移動がそれぞれ壁部28,29によって妨げられている。即ち、ワイヤ30のうち2か所の移動が規制されているので、布状部材21に対してワイヤ30の全体を位置決めできる。特に、ワイヤ30の両端部の環状部31の全方向の移動が壁部28,29及び連結部33によって妨げられているので、布状部材21に対してワイヤ30の全体をより位置決めし易くできる。
【0035】
環状部31はワイヤ30の両端部を環状に曲げた部分であるので、ワイヤ30の中央部側に位置する環状部31の切れ目(ワイヤ30の先端)から連結部33が抜けるおそれがある。これに対して本実施形態では、ワイヤ30の両端側にそれぞれ位置する壁部27が壁部28,29に連結されている。さらに、2つの環状部31の一方を壁部27に押し付けて、その環状部31の一方を取り囲む壁部27,28,29を変形させたとしても、2つの環状部31の他方の切れ目から連結部33が抜けないように、壁部27や連結部33の位置、環状部31の寸法が設定されている。これにより、布状部材21からのワイヤ30の脱落を抑制できる。
【0036】
次に、裏面材20の製造方法について説明する。まず、平面状の布状部材21に熱プレス加工などを施して布状部材21を塑性変形させる(成形工程)。この成形工程では、パッド本体11の裏面13と略同一の形状になるように凸部25や底部26等を布状部材21に立体成形すると共に、第1面22の一部が底部26に対して突出するように壁部27,28,29を布状部材21に立体成形する。この成形工程と同時に布状部材21に貫通孔21aを形成しても良く、成形工程の前後で布状部材21に貫通孔21aを形成しても良い。
【0037】
成形工程の後、壁部27,28,29に沿って底部26へ向かってワイヤ30を布状部材21の第1面22に配置する(配置工程)。このように、布状部材21を広げて置いた場合にワイヤ30が底部26に載せられるようにして、第1面22にワイヤ30を配置するとき、立体形状の壁部27,28,29を、ワイヤ30を設置するための目印やガイドにできるので、布状部材21に対してワイヤ30を位置決めし易くできる。特に、目印やガイドとなる壁部27,28,29が底部26の3方向に立ち上がり、これらの壁部27,28,29に囲まれた部分にワイヤ30を挿入すれば良いので、布状部材21に対してワイヤ30をより位置決めし易くできる。
【0038】
配置工程の後、合成樹脂製のピンである連結部33をタグガンを用いて壁部28,29に打ち込み、連結部33によって壁部28,29同士を環状部31の内側で互いに連結し、ワイヤ30を布状部材21に固定する(固定工程)。このようにして裏面材20が製造される。
【0039】
次に、
図5を参照して及びシートパッド10の製造方法について説明する。
図5は、シートパッド10を成形する成形型40及び裏面材20の断面図である。
図5には、シートパッド10の
図1に示した部分を上下逆転して成形する成形型40の一部を拡大して示している。
【0040】
図5に示すように、成形型40は、シートパッド10を成形する金型であり、下型41と上型43とを備えている。下型41には、パッド本体11の表面12を主に成形する下成形面42が設けられている。上型43には、パッド本体11の裏面13を主に成形する上成形面44が設けられている。下型41の上(
図5紙面上方)に上型43を載せて型閉めすることで、下成形面42と上成形面44との間にキャビティ47が形成される。
【0041】
上成形面44には、張出部15の裏面13を成形する部分に凸成形面45が設けられている。凸成形面45は、凸成形面45の周囲の上成形面44に対して突出した部位であり、先端(底部26が当たる部位)に磁石(永久磁石または電磁石)46が埋め込まれている。
【0042】
成形型40を用いてシートパッド10を製造するには、まず、下型41と上型43とを開いた状態で、上成形面44の略全面に磁石などの強磁性体やピン等を用いて裏面材20の布状部材21を密着させる。このとき、凸成形面45に凸部25の第2面23や底部26の底裏面26bを密着させ、ワイヤ30を磁石46に保持させる。次いで、下型41と上型43とを型締めして、軟質フォームの原料液をキャビティ47内で発泡、硬化させてパッド本体11を発泡成形する。
【0043】
この発泡成形時には、裏面材20の布状部材21に原料液が含浸しながら発泡、硬化するので、布状部材21の繊維間に侵入した状態で硬化した軟質フォームの一部によってパッド本体11に裏面材20が接合される。このようにして、軟質フォーム製のパッド本体11に裏面材20が一体化されたシートパッド10が製造される。
【0044】
以上のような裏面材20及びシートパッド10の製造方法によれば、上成形面44に装着される布状部材21の凸部25や底部26等が、予め上成形面44(パッド本体11の裏面13)の凸成形面45等と略同一の形状に立体成形されている。これにより、上成形面44に布状部材21を装着し易くできる。さらに、布状部材21にワイヤ30が固定されているので、布状部材21をたるみ難くでき、裏面材20の剛性を確保できる。上成形面44に布状部材21を装着するときに布状部材21をたるみ難くできるので、裏面材20を上成形面44に装着し易くできる。
【0045】
また、金属製のワイヤ30を凸成形面45の磁石46に保持させることができるので、裏面材20を上成形面44に簡単に装着できる。そして、上成形面44に装着される裏面材20は、壁部27,28,29や連結部33等により布状部材21に対してワイヤ30が予め位置決めされている。そのため、上成形面44に対してワイヤ30が長さ方向に位置ずれしたり、磁石46に保持されたワイヤ30に対して布状部材21がずれたりすることを抑制できる。これにより、長さ方向に位置ずれしたワイヤ30が上型43と下型41との間に挟まれてパッド本体11の成形性が悪化することを抑制できると共に、予め立体成形された布状部材21が上成形面44の立体形状とずれて成形後の布状部材21にしわ等が生じることを抑制できる。
【0046】
布状部材21の第1面22(キャビティ47側)にワイヤ30が配置されるので、ワイヤ30をパッド本体11に埋設できる。これにより、表皮材2のフック3がワイヤ30に引っ掛けられてワイヤ30が引っ張られても、シートパッド10からワイヤ30を脱落し難くできる。
【0047】
ワイヤ30が置かれる底部26の底表面26a及び凸部25の第1面22は、本体部24の第2面23を基準として本体部24の第1面22よりも高い位置にある。即ち、パッド本体11の裏面13のうち、底部26の底表面26a及び凸部25の第1面22と密着してワイヤ30が埋設される部分は、その周囲の本体部24と密着する部位に対して凹んでいる。これにより、ワイヤ30によって硬くなったシートパッド10の一部とフレームとの間に空間を設けることができる。その空間によって、ワイヤ30をフレームと擦れ難くしたり、ワイヤ30に引っ掛けたフック3をシートパッド10とフレームとの間に挟まれ難くしたりできる。
【0048】
次に
図6、
図7(a)及び
図7(b)を参照して第2実施形態について説明する。第1実施形態では、壁部28,29間に環状部31が挟まれる場合について説明した。これに対して第2実施形態では、壁部53と底部52との間に環状部31が挟まれる場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6は第2実施形態における裏面材50の正面図である。
図7(a)は
図6のVIIa-VIIa線における裏面材50の断面図である。
図7(b)は
図6のVIIb-VIIbにおける裏面材50の断面図である。
【0049】
裏面材50は、パッド本体11の裏面13(
図1参照)の略全体に配置される部材である。裏面材50は、複数の繊維により布状に形成される布状部材51と、ワイヤ30と、を備えている。布状部材51は、熱可塑性を有する部材であり、本実施形態では熱可塑性合成樹脂製の繊維同士を溶着した不織布からなる。
【0050】
布状部材51は、本体部24と、環状部31が置かれる底部52と、底部52に置かれた環状部31の移動を規制する壁部53と、を備えている。底部52は、本体部24の第1面22が上を向くように布状部材51を広げて置いた場合に、ワイヤ30の環状部31が載せられる矩形状の部位である。また、底部52は、布状部材51のうちワイヤ30の周辺を平面に置いたとき、その平面に密着する本体部24の一部である。
【0051】
底部52は、第1面22の一部である底表面52aと、第2面23の一部であって底表面52aとは反対側の底裏面52bと、を備えている。布状部材51を広げて置いた場合に、底表面52aの上に環状部31が載せられる。
【0052】
壁部53は、布状部材51の第1面22の一部を底部52(底表面52a)に対して突出させた部位であり、布状部材51に対するワイヤ30の移動を規制する。壁部53は、底部52のうちワイヤ30の長さ方向の両端側の縁に連なる。壁部53は、底部52との間にワイヤ30を挟んで底部52と対向している。
【0053】
壁部53の第1面22は、底裏面52bを基準として底表面52aよりも高い位置にある頂面53aと、頂面53aと底表面52aとを連結する内壁面53bと、頂面53aと底部52以外の本体部24とを連結する外壁面53cと、を備えている。壁部53の第2面23は、頂面53a、内壁面53b及び外壁面53cに沿って凹む壁裏面53dからなる。
【0054】
頂面53aは、底部52の底表面52aと対面しない部位であり、底表面52aと同じ方向(
図7(a)及び
図7(b)紙面上方)を向く。内壁面53bと底表面52aとの間に環状部31が配置され、内壁面53bと底表面52aとが環状部31の軸方向に対面している。
【0055】
このような裏面材50を製造するには、まず、平面状の布状部材51に熱プレス加工などを施して布状部材51を塑性変形させる(成形工程)。この成形工程では、パッド本体11の裏面13と略同一の形状になるように布状部材51を立体成形すると共に、第1面22の一部が底部52に対して突出するように壁部53を布状部材51に立体成形する。成形工程では、
図7(b)に二点鎖線で示すように、底部52(本体部24)に対して底部52の厚さ方向に壁部53を突出させる。
【0056】
成形工程の後、底部52の厚さ方向に立ち上がった壁部53に沿って、ワイヤ30の環状部31を底部52へ向かって布状部材51の第1面22に配置する(配置工程)。このように、立体形状の壁部53を、ワイヤ30を設置するための目印やガイドにできるので、布状部材51に対してワイヤ30を位置決めし易くできる。
【0057】
配置工程の後、壁部53を底部52側へ倒して壁部53と底部52との間に環状部31を挟み、その環状部31の内側で壁部53と底部52とを熱溶着する(固定工程)。この熱溶着によって、壁部53と底部52との界面近傍に形成された連結部54によって、壁部53と底部52とが環状部31の内側で連結され、環状部31が布状部材51に固定される。
【0058】
これにより、環状部31の軸方向(壁部53と底部52との対向方向)への移動が壁部53及び底部52によって妨げられると共に、底部52に沿った環状部31の軸直角方向への移動が連結部54によって妨げられる。その結果、布状部材51に対する環状部31の全方向の移動を抑制できるので、布状部材51に対してワイヤ30を位置決めし易くできる。
【0059】
次に
図8(a)及び
図8(b)を参照して第3実施形態について説明する。第1,2実施形態では、布状部材21,51の第1面22にワイヤ30が配置される場合について説明した。これに対して第3実施形態では、布状部材61の第1面22に面ファスナ62が配置される場合について説明する。なお、第1,2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図8(a)は第3実施形態における裏面材60の正面図である。
図8(b)は
図8(a)のVIIIb-VIIIbにおける裏面材60の断面図である。
【0060】
裏面材60は、パッド本体11の裏面13(
図1参照)の略全体に配置される部材である。裏面材60は、複数の繊維により布状に形成される布状部材61と、布状部材61の第1面22に配置される面ファスナ(係止具)62と、を備えている。布状部材61は、熱可塑性を有する部材であり、本実施形態では熱可塑性合成樹脂製の繊維同士を溶着した不織布からなる。
【0061】
布状部材61は、本体部24と、面ファスナ62の両端部がそれぞれ置かれる底部52と、底部52に置かれた面ファスナ62の移動を規制する壁部27,28,29と、を備えている。第3実施形態の壁部27,28,29は、第1実施形態の壁部27,28,29と形状や寸法が異なるが、同一の機能を有している。
【0062】
面ファスナ62は、布状部材61に形成された貫通孔21aに架け渡され、第2面23側から視認可能に露出している。面ファスナ62は、
図5に示す第1実施形態の成形型40の磁石46に代えて設けた面ファスナに係止させることで、裏面材60を成形型40に装着するためのものである。また、面ファスナ62は、
図1に示す第1実施形態の表皮材2のフック3に代えて設けた面ファスナに係止させることで、裏面材60を有するシートパッドに表皮材2を装着するためのものである。
【0063】
このような裏面材60を製造するには、まず、平面状の布状部材61に熱プレス加工などを施して布状部材61を塑性変形させる(成形工程)。この成形工程では、パッド本体11の裏面13と略同一の形状になるように布状部材61を立体成形すると共に、第1面22の一部が底部52に対して突出するように壁部27,28,29を布状部材61に立体成形する。
【0064】
成形工程の後、壁部27,28,29に沿って、面ファスナ62を底部52へ向かって布状部材61の第1面22に配置する(配置工程)。このように、立体形状の壁部27,28,29を、面ファスナ62を設置するための目印やガイドにできるので、布状部材61に対して面ファスナ62を位置決めし易くできる。
【0065】
配置工程の後、合成樹脂製のピン63をタグガンを用いて面ファスナ62及び底部52に打ち込み、ピン63によって面ファスナ62を底部52に固定する(固定工程)。このピン63は、第1実施形態における連結部33と略同一の部材であり、面ファスナ62及び底部52を貫通する軸部63aと、軸部63aの両端にそれぞれ設けられると共に軸部63aの軸直角方向へ張り出す頭部63bと、を備えている。このピン63によって布状部材61に面ファスナ62が固定された裏面材60が製造される。
【0066】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、パッド本体11や裏面材20,50,60の各部の形状や寸法を適宜変更しても良い。布状部材21,51,61に対するワイヤ30や面ファスナ62の配置を適宜変更しても良く、布状部材21,51,61に複数のワイヤ30や面ファスナ62を配置しても良く、布状部材21,51,61にワイヤ30と面ファスナ62の両方を配置しても良い。ワイヤ30の中央部に環状部31を設けても良い。
【0067】
上記形態では、自動車に搭載されるシートのシートクッション1について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。産業車両や鉄道車両など自動車以外の車両、航空機、船舶などの乗物に搭載されるシートの座部、家具などの座部にシートクッション1を用いても良い。また、シートクッション1に限らず、背凭れとしてのシートバックのシートパッドに裏面材20,50,60を設けても良い。
【0068】
上記形態では、布状部材21,51,61が、熱可塑性合成樹脂製の繊維同士を溶着した不織布からなる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。各種の繊維同士を熱可塑性合成樹脂製のバインダで固めた不織布を布状部材21,51,61としても良い。また、不織布に限らず、熱可塑性を有する布状の部材であれば、粗毛布、寒冷紗、フェルト、織編物あるいはこれらの積層複合体等により布状部材21,51,61を形成しても良い。また、布状部材21,51,61には、ワイヤ30と比べて十分に細く柔らかい合成樹脂や金属等のワイヤを織り込んだり接着したりしても良い。
【0069】
上記第1実施形態では、壁部28,29同士を連結する連結部33が合成樹脂製のピン(タグピン)である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。壁部28,29同士を上記第2実施形態のように熱溶着し、連結部54を形成しても良い。また、上記第2実施形態の壁部53と底部52とを連結部33により連結しても良い。その他の連結部としては、ステープルや、接着剤による接着層、壁部28,29等を縫製した糸などが例示される。また、上記第3実施形態の面ファスナ62と布状部材61とを熱溶着や接着、ステープル、縫製などによって固定しても良い。また、連結部33,54により連結された壁部28,29の間や、壁部53と底部52との間に面ファスナ62を配置しても良い。
【0070】
なお、連結部33,54と底部26,52との間にワイヤ30の一部があれば、連結部33,54を環状部31の外側に位置させても良い。また、連結部33,54を省略しても良い。連結部33,54により布状部材21,51にワイヤ30を固定していない場合に、布状部材21,51を上成形面44に装着するとき、壁部27,28,29,53を目印やガイドにしてワイヤ30を布状部材21,51の第1面22に配置しながら、ワイヤ30を磁石46に保持させることで、布状部材21,51にワイヤ30を固定できる。
【0071】
上記第1,2実施形態の係止具がワイヤ30である場合について説明し、上記第3実施形態の係止具が面ファスナ62である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。布状部材21,51,61の第1面22に貼り付けられる板状の磁石を係止具としても良い。この磁石を金属製の成形型40や、成形型40に設けた磁石46に保持させることで、裏面材20,50,60を上成形面44に装着できる。
【0072】
上記第1実施形態では、ワイヤ30を成形型40に設けた磁石46に保持させる場合について説明したが必ずしもこれに限られるものではない。磁石46の代わりに、ワイヤ30をつかむクリップを成形型40に設け、貫通孔21aを通してクリップにワイヤ30を保持させても良い。クリップによってワイヤ30を保持した状態でパッド本体11を成形することで、そのクリップにより保持されていた部分のワイヤ30を露出させ易くできる。これにより、表皮材2のフック3をワイヤ30に引っ掛け易くできる。なお、磁石46に保持させるワイヤ30を、強磁性体の粉を混合した合成樹脂により形成しても良い。また、クリップに保持させるワイヤ30を、強磁性を有しない金属や合成樹脂により形成しても良い。
【0073】
上記形態では、布状部材21,51,61の繊維間に侵入した状態で硬化した軟質フォームの一部によってパッド本体11に裏面材20,50,60(布状部材21,51,61)が接合される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。パッド本体11を発泡成形した後、パッド本体11の裏面13に裏面材20,50,60を接着しても良い。
【0074】
また、パッド本体11に裏面材20,50,60を接着する場合には、パッド本体11を軟質フォーム以外のクッション材により構成しても良い。軟質フォーム以外のクッション材としては、例えば、チップウレタンや、合成樹脂製等の繊維をウレタン等のバインダで硬化(結合)したもの、合成樹脂製の繊維を熱で溶融して互いに溶着させたもの等が挙げられる。また、これらのクッション材を複合して用いても良い。
【符号の説明】
【0075】
10 シートパッド
11 パッド本体
13 裏面
20,50,60 裏面材
21,51,61 布状部材
22 第1面
23 第2面
26,52 底部
27,28,29,53 壁部
30 ワイヤ(係止具)
31 環状部
33,54 連結部
62 面ファスナ(係止具)