(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型を発現する操作された細胞および関連方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230524BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230524BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20230524BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230524BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230524BHJP
C12N 15/57 20060101ALI20230524BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230524BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230524BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230524BHJP
C07K 14/52 20060101ALI20230524BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230524BHJP
C07K 14/715 20060101ALI20230524BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230524BHJP
C12Q 1/37 20060101ALI20230524BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20230524BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230524BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230524BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230524BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230524BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20230524BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230524BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230524BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230524BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230524BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230524BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20230524BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20230524BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20230524BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20230524BHJP
C07D 213/82 20060101ALN20230524BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N5/10 ZNA
C12N15/115 Z
C12N5/0783
C12N15/12
C12N15/57
C12N15/13
C12N15/867 Z
C12Q1/04
C07K14/52
C07K14/705
C07K14/715
C07K16/30
C12Q1/37
A61K31/44
A61K31/198
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K31/7088
A61K47/61
A61K35/12
A61P31/00
A61P37/02
A61P29/00
A61P35/00
G01N33/53 Y
G01N33/483 C
A61B5/055 383
G01T1/161 D
A61B6/03 377
C07D213/82
(21)【出願番号】P 2019554757
(86)(22)【出願日】2018-04-07
(86)【国際出願番号】 US2018026619
(87)【国際公開番号】W WO2018187791
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】398076227
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フス デビッド ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィツキー ハイアム アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミン イル
(72)【発明者】
【氏名】ポンパー マーティン ジー.
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529919(JP,A)
【文献】Mark A. Castanares et al.,Evaluation of Prostate-Specific Membrane Antigen as an Imaging Reporter,Journal of Nuclear Medicine,2014年,Vol.55、No.5,805-811
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変された前立腺特異的膜抗原(改変PSMA)、および
組換え抗原受容体
を含む、操作された細胞であって、
改変PSMAが、
SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含み、
かつ、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、前記1つまたは複数のアミノ酸改変が、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含み、
改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、(i)低減した内在性シグナル伝達を示す、(ii)増加した細胞表面発現を示す、かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す、操作された細胞。
【請求項2】
改変PSMAが、PSMAターゲティング分子によって認識されることができる、請求項1に記載の操作された細胞。
【請求項3】
前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはPSMAターゲティング分子のいずれかのコンジュゲートを含む、請求項2に記載の操作された細胞。
【請求項4】
前記PSMAターゲティング分子が小分子を含み、前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)からなる群より選択される、請求項3に記載の操作された細胞。
【請求項5】
前記PSMAターゲティング分子が抗体またはその抗原結合断片を含み、前記抗体またはその抗原結合断片が、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、
およびA5、ならびにその抗原結合断片からなる群より選択される、請求項3に記載の操作された細胞。
【請求項6】
前記PSMAターゲティング分子がアプタマーまたはそのコンジュゲートを含み、前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101を含む、請求項3に記載の操作された細胞。
【請求項7】
改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2にアミノ酸改変を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項8】
改変PSMAが、
SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配
列、または、
SEQ ID NO:24に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつSEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
を含む、請求項
7に記載の操作された細胞。
【請求項9】
改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、19個のN末端アミノ酸残基内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、かつ/または、改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、かつ/または、改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、野生型または非改変PSMAと比較して、位置2、3、4、または5のアミノ酸残基から開始しかつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項10】
改変PSMAが、
SEQ ID NO: 52に示されるアミノ酸配
列、または、
SEQ ID NO: 52に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンを含有する、アミノ酸配列
を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項11】
改変PSMAが、
SEQ ID NO: 53に示される核酸配
列、または、
SEQ ID NO: 53に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンをコードするヌクレオチドを含有する、核酸配列
によってコードされる、請求項1~
10のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項12】
改変PSMAが、CpGを含まないように改変されている、かつ/またはコドン最適化されている、核酸配列によってコードされる、請求項1~
11のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項13】
改変PSMAが、
SEQ ID NO:27に示される核酸配
列、または、
SEQ ID NO:2
7に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンをコードするヌクレオチドを含有する、核酸配列
によってコードされる、請求項
12に記載の操作された細胞。
【請求項14】
組換え抗原受容体が、
疾患、障害、もしくは状態に関連する、疾患、障害、もしくは状態に特異的である、かつ/または疾患、障害、もしくは状態の細胞もしくは組織上に発現される、標的抗原に結合することができる、請求項1~
13のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項15】
前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、かつ/または、前記標的抗原が腫瘍抗原である、請求項
14に記載の操作された細胞。
【請求項16】
組換え抗原受容体が、T細胞受容体(TCR)またはその抗原結合断片を含む、またはキメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項17】
CD4+ T細胞またはそのサブタイプ、CD8+ T細胞またはそのサブタイプ、NK細胞またはiPSCである、請求項1~
16のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項18】
セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、ナイーブT細胞、幹セントラルメモリーT細胞、エフェクターT細胞、および制御性T細胞からなる群より選択されるT細胞である、請求項
17に記載の操作された細胞。
【請求項19】
制御性T細胞である、請求項
18に記載の操作された細胞。
【請求項20】
組換えFOXP3またはそのバリアントをさらに含む、請求項
17~
19のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項21】
改変された前立腺特異的膜抗原(改変PSMA)をコードする第1の核酸ならびに組換え抗原受容体をコードする第2の核酸を含む、ポリヌクレオチドであって、
改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含み、かつ、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、(i)低減した内在性シグナル伝達を示す、(ii)増加した細胞表面発現を示す、かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す、ポリヌクレオチド。
【請求項22】
改変PSMAをコードする核酸ならびに組換え抗原受容体をコードする核酸が、内部リボソーム進入部位(IRES)、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分離されている、または
改変PSMAをコードする第1の核酸ならびに組換え抗原受容体をコードする第2の核酸が、それぞれ異なるプロモーターに機能的に連結されている、請求項
21に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
改変された前立腺特異的膜抗原(改変PSMA)をコードする核酸を含む第1のポリヌクレオチド、ならびに組換え抗原受容体をコードする核酸を含む第2のポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドのセットであって、
改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含み、かつ、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、(i)低減した内在性シグナル伝達を示す、(ii)増加した細胞表面発現を示す、かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す、ポリヌクレオチドのセット。
【請求項24】
コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む改変PSMAであり、前記1つまたは複数のアミノ酸改変が、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む、請求項
21または
22に記載のポリヌクレオチド、または請求項
23に記載のポリヌクレオチドのセット。
【請求項25】
コードされる改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2にアミノ酸改変を含む、請求項
21~
24のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項26】
コードされる改変PSMAが、
SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配
列、または、
SEQ ID NO:24に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつSEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
を含む、請求項
25に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項27】
コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、19個のN末端アミノ酸残基内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、かつ/またはコードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、かつ/またはコードされる改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2、3、4、または5のアミノ酸残基から開始しかつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む、請求項
21~
26のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項28】
コードされる改変PSMAが、
SEQ ID NO: 52に示されるアミノ酸配
列、または、
SEQ ID NO: 52に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンを含有する、アミノ酸配列
を含む、請求項
21~
27のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項29】
改変PSMAが、
SEQ ID NO: 53に示される核酸配
列、または、
SEQ ID NO: 53に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、請求項
21~
28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項30】
改変PSMAが、CpGを含まないように改変されている、かつ/またはコドン最適化されている、核酸配列によってコードされる、請求項
21~
29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項31】
改変PSMAが、
SEQ ID NO:27に示される核酸配
列、または、
SEQ ID NO:2
7に対して少なくとも90%の配列同一性を示し、かつ、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、請求項
30に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項32】
コードされる組換え抗原受容体が、TCRもしくはその抗原結合断片、またはキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項
21~
31のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセット。
【請求項33】
5'から3'への順序で以下を含む、請求項
21、
22、および
24~
32のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド:
i)シグナルペプチドをコードする核酸、
ii)キメラ抗原受容体(CAR)である組換え受容体をコードする核酸であって、該CARが、scFv
、スペーサー
、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸、
iii)自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列、ならびに
iv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配
列、あるいは、
SEQ ID NO:52に対して少なくとも90%の配列同一性を示す、アミノ酸配列
を含む、
改変PSM
Aをコードする核酸。
【請求項34】
請求項
21、
22、および
24~
33のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項35】
請求項
21、
22、および
24~
33のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、または請求項
34に記載のベクターを細胞に導入する工程を含む、操作された細胞を作製する方法。
【請求項36】
請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞および薬学的に許容される賦形剤を含む、組成物。
【請求項37】
対象における治療方法における使用のための、請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞または請求項
36に記載の組成物であって、前記操作された細胞または組成物を対象に投与する工程を含む、操作された細胞または組成物。
【請求項38】
対象における治療方法における使用のための医薬の製造のための、請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞または請求項
36に記載の組成物の使用。
【請求項39】
前記対象に、
PSMAターゲティング分子、または
PSMAターゲティング分子を含む組成物
を投与する工程をさらに含む、請求項
37に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項40】
前記PSMAターゲティング分子が、治療剤であるかまたはそれを含む、請求項
39に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項41】
改変PSMAを発現する細胞を検出する工程、ならびに/または、改変PSMAへのPSMAターゲティング分子の結合および/もしくはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程をさらに含む、請求項
37に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項42】
前記検出する工程が、インビボで、かつ/またはインビボイメージングを介して行われる、請求項
41に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項43】
(a)操作された細胞をPSMAターゲティング分子と接触させる工程、ならびに
(b)改変PSMAへの、および/または操作された細胞への、PSMAターゲティング分子の結合、および/または、存在、または、改変PSMA、および/または操作された細胞と、PSMAターゲティング分子の結合、および/または、存在を検出する工程
を含む、操作された細胞を検出する方法における使用のための請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞または請求項
36に記載の組成物。
【請求項44】
(a)操作された細胞をPSMAターゲティング分子と接触させる工程、ならびに
(b)改変PSMAへの、および/または操作された細胞への、PSMAターゲティング分子の結合、および/または、存在、または、改変PSMA、および/または操作された細胞と、PSMAターゲティング分子の結合、および/または、存在を検出する工程
を含む、操作された細胞を検出する方法における使用のための医薬の製造のための、請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞または請求項
36に記載の組成物の使用。
【請求項45】
前記検出が、インビボイメージングを介して実施される、請求項
43に記載の使用のための操作された細胞または組成物、または請求項
44に記載の使用。
【請求項46】
前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはPSMAターゲティング分子のいずれかのコンジュゲートを含む、請求項
43に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項47】
前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはPSMAターゲティング分子のいずれかのコンジュゲートを含む、請求項
44に記載の使用。
【請求項48】
前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)からなる群より選択される、請求項
46に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項49】
前記抗体またはその抗原結合断片が、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、
およびA5、ならびにその抗原結合断片からなる群より選択される、請求項
46に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項50】
前記PSMAターゲティング分子が、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはPSMAターゲティング分子のいずれかのコンジュゲートを含む、アプタマーまたはそのコンジュゲートを含む、請求項
46に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項51】
前記PSMAターゲティング分子が、治療剤をさらに含み、該治療剤が、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、リンカーを介して連結されている、請求項
46に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項52】
前記PSMAターゲティング分子が、イメージングプローブまたは検出試薬を含む、請求項
51に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項53】
前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[
18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(
18F-DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-[
18F]フルオロベンジル-L-システイン(
18F-DCFBC)である、請求項
52に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項54】
前記インビボイメージングが、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、コンピュータ断層撮影法(CT)、コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)、電子ビームコンピュータ断層撮影法(EBCT)、高解像度コンピュータ断層撮影法(HRCT)、下環状断層撮影法、陽電子放射断層撮影法(PET)、シンチグラフィー、ガンマカメラ、β+検出器、γ検出器、蛍光イメージング、低照度イメージング、X線、生物発光イメージング、および近赤外(NIR)光断層撮影法の中から選択される、請求項
42に記載の使用のための操作された細胞または組成物。
【請求項55】
(a)請求項1~
20のいずれか一項に記載の操作された細胞の治療的有効量を含む組成物、ならびに
(b)PSMAターゲティング分子を含む組成物
を含み、該操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、該操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書をさらに含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「ENGINEERED CELLS EXPRESSING PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) OR A MODIFIED FORM THEREOF AND RELATED METHODS」と題する2017年4月7日に出願された米国特許仮出願第62/483,313号、「ENGINEERED CELLS EXPRESSING PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) OR A MODIFIED FORM THEREOF AND RELATED METHODS」と題する2017年8月30日に出願された米国特許仮出願第62/552,354号、「ENGINEERED CELLS EXPRESSING PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) OR A MODIFIED FORM THEREOF AND RELATED METHODS」と題する2017年9月7日に出願された米国特許仮出願第62/555,635号、「ENGINEERED CELLS EXPRESSING PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) OR A MODIFIED FORM THEREOF AND RELATED METHODS」と題する2017年11月7日に出願された米国特許仮出願第62/582,913号、および「ENGINEERED CELLS EXPRESSING PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) OR A MODIFIED FORM THEREOF AND RELATED METHODS」と題する2018年1月19日に出願された米国特許仮出願第62/619,724号の優先権を主張し、その内容は全体が参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に提出されている。配列表は、サイズが59.3キロバイトである、2018年4月6日に作成された735042010640SeqList.txtと題するファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、いくつかの局面において、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、典型的には改変PSMAを発現する操作された細胞、例えば操作されたT細胞に関する。細胞は、抗原に特異的に結合する遺伝子操作された組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体をさらに含有する。本開示はまた、例えば、養子細胞療法の方法を含む、対象へのPSMAを発現する細胞の投与に関連した、または操作された細胞を製造する方法に関連した、PSMAを発現する細胞を検出する、同定する、選択する、または標的とする方法も提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
細胞療法の施与を含む、様々な戦略が、がんまたは腫瘍などの疾患または状態の処置のために利用可能である。さらに、遺伝子操作された組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように免疫細胞を操作するため、およびそのような細胞を含有する組成物を対象に投与するために、戦略が利用可能である。例えば、対象への投与時にそのような治療法に関連した、操作された細胞をモニターする、検出する、または調節する能力を改善するために、改善された戦略が必要とされる。そのような必要を満たす組成物、細胞、および方法が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型;および組換え受容体を含む操作された細胞が、本明細書において提供される。また、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする核酸;および組換え受容体をコードする核酸を含む操作された細胞も、本明細書において提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0006】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞の表面上に発現される。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞外部分および膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、任意で細胞外部分は、PSMAターゲティング分子またはその一部分によって認識されることができる。
【0007】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0008】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメインを含み、かつ/または、任意で、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700の残基である、1個または複数個の活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基を含む。
【0009】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、ヒトPSMAまたはその改変型である。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、野生型PSMA、任意で野生型ヒトPSMAである。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメイン、または、SEQ ID NO:23またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメインに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含有する改変PSMAである。
【0011】
いくつかの態様において、野生型または非改変PSMAは、ヒトPSMAであり、かつ/または、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して(i)低減した内在性シグナル伝達を示し;(ii)増加した細胞表面発現を示し;かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す。
【0013】
いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、W2Gに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、またはW2を含まないか、または位置2にいかなる残基も含まない。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、または、SEQ ID NO:24もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、野生型または非改変PSMAと比較して、位置2、3、4、または5の残基から開始し、かつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、または2~3の残基の欠失を含む。
【0015】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:52もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含み、かつ任意で、第1の残基としてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンを含有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:25もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:26もしくは53に示される核酸配列またはその断片;または、SEQ ID NO:26もしくは53またはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、第1の残基としてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する核酸配列によってコードされる。
【0018】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、CpGを含まないように改変されているかつ/またはコドン最適化されている核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:27に示される核酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:27もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、第1の残基としてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する核酸配列によってコードされる。
【0019】
いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインのすべてもしくは実質的にすべてを含み;または、改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインと同じ数もしくは少なくとも同じ数のアミノ酸を有する膜貫通ドメインを含む。
【0020】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0021】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0022】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0023】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0024】
いくつかの態様において、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、組換え受容体は、疾患、障害、または状態に関連する、疾患、障害、または状態に特異的である、かつ/または疾患、障害、または状態の細胞もしくは組織上に発現される標的抗原に結合することができる。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである。いくつかの態様において、標的抗原は腫瘍抗原である。
【0025】
いくつかの態様において、標的抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子の中から選択される。いくつかの態様において、標的抗原は、ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-A1、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、胎児腫瘍性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化 GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される。
【0026】
いくつかの態様において、組換え受容体は、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0027】
いくつかの態様において、組換え受容体は、抗原結合ドメインを含有する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、任意で一本鎖断片である、抗体またはその抗体断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、断片は、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含む。いくつかの態様において、断片はscFvを含む。
【0028】
いくつかの態様において、組換え受容体はまた、スペーサーおよび/またはヒンジ領域も含む。
【0029】
いくつかの態様において、組換え受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖の、任意でCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む。
【0030】
いくつかの態様において、組換え受容体はまた、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインも含む。
【0031】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域はまた、共刺激シグナル伝達領域も含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、4-1BB、もしくはICOS、の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある。
【0032】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞に含まれる1つまたは複数のポリヌクレオチド内に含まれる。いくつかの態様において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、1つのポリヌクレオチドであり、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている。
【0033】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸およびCARをコードする核酸は、細胞に含まれる1つのポリヌクレオチド内に含まれ、該ポリヌクレオチドは、5'から3'への順序で以下を含む:i)シグナルペプチドをコードする核酸;ii)CARをコードする核酸であって、該CARが、scFv;スペーサー;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達領域と、およびCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸;iii)任意でT2A、P2A、E2A、またはF2Aである、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列;ならびにiv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:52もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を任意で含む、PSMAまたはその改変型をコードする核酸。
【0034】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている。
【0035】
いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸は、PSMAまたはその改変型をコードする核酸の下流に存在する。
【0036】
いくつかの態様において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、2つの異なるポリヌクレオチドを含み、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結され、かつ/または、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる場所に存在するかまたは挿入される。
【0037】
いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞であり;細胞は、CD4+ T細胞およびそのサブタイプ、ならびにCD8+ T細胞およびそのサブタイプからなる群より任意で選択されるT細胞であり;細胞は、NK細胞であり;かつ/または細胞は、任意でiPSCである、多分化能もしくは多能性細胞に由来する。
【0038】
いくつかの態様において、細胞は、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、ナイーブT細胞、幹セントラルメモリーT細胞、エフェクターT細胞、および制御性T細胞からなる群より選択されるT細胞であり;かつ/または、細胞は、多数の細胞を含み、該多数は、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、ナイーブT細胞、幹セントラルメモリーT細胞、エフェクターT細胞、および制御性T細胞からなる群より選択される細胞の集団を少なくとも50%含有する。いくつかの態様において、細胞は制御性T細胞である。
【0039】
いくつかの態様において、本明細書において提供される操作された細胞はまた、組換えFOXP3またはそのバリアントも含む。
【0040】
また、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする第1の核酸および組換え受容体をコードする第2の核酸を含有する、ポリヌクレオチドも提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている。
【0041】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている。
【0042】
いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸は、PSMAまたはその改変型をコードする核酸の下流に存在する。
【0043】
また、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする核酸を含有する第1のポリヌクレオチド、および組換え受容体をコードする核酸を含有する第2のポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドのセットも提供される。また、そのようなポリヌクレオチドのセットを含む、組成物も提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0044】
本明細書において提供されるポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、またはポリヌクレオチドのセットを含む組成物のいくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、各々独立して、プロモーターに機能的に連結されている。
【0045】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、細胞の表面上に発現されることができる。いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、細胞外部分および膜貫通ドメインを含む。
【0046】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、任意で細胞外部分は、PSMAターゲティング分子またはその一部分によって認識されることができる。
【0047】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0048】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメインを含み、かつ/または、任意で、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700の残基である、1個または複数個の活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基を含む。
【0049】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、ヒトPSMAまたはその改変型である。いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、野生型PSMA、任意で野生型ヒトPSMAである。いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメイン、または、SEQ ID NO:23またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメインに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含有する改変PSMAである。いくつかの態様において、野生型または非改変PSMAは、ヒトPSMAであり、かつ/または、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0051】
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む。いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して(i)低減した内在性シグナル伝達を示し;(ii)増加した細胞表面発現を示し;かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す。
【0052】
いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、W2Gに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、またはW2を含まないか、または位置2にいかなる残基も含まない。いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、または、SEQ ID NO:24もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。
【0053】
いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2、3、4、または5の残基から開始し、かつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む。いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、または2~3の残基の欠失を含む。
【0054】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:52もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含み、かつ任意で、第1のコドンとしてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンを含有するアミノ酸配列を含む。
【0055】
いくつかの態様において、コードされるPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、または、SEQ ID NO:25もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を含む。
【0056】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:26もしくは53に示される核酸配列またはその断片;または、SEQ ID NO:26もしくは53またはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、第1の残基としてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する核酸配列によってコードされる。
【0057】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、CpGを含まないように改変されているかつ/またはコドン最適化されている核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:27に示される核酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:27もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、第1の残基としてのメチオニンもしくはメチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する核酸配列によってコードされる。
【0058】
いくつかの態様において、コードされる改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインのすべてもしくは実質的にすべてを含み;または、コードされる改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインと同じ数もしくは少なくとも同じ数のアミノ酸を有する膜貫通ドメインを含む。
【0059】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0060】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0061】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0062】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0063】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体であるかまたはそれを含む。
【0064】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体は、疾患、障害、または状態に関連する、疾患、障害、または状態に特異的である、かつ/または疾患、障害、または状態の細胞もしくは組織上に発現される標的抗原に結合することができる。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである。いくつかの態様において、標的抗原は腫瘍抗原である。
【0065】
いくつかの態様において、標的抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子の中から選択される。いくつかの態様において、標的抗原は、ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-A1、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、胎児腫瘍性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化 GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される。
【0066】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体は、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、コードされる組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0067】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体は、抗原結合ドメインを含有する細胞外ドメインを含む。
【0068】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、任意で一本鎖断片である、抗体またはその抗体断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、断片は、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含む。いくつかの態様において、断片はscFvを含む。
【0069】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体はまた、スペーサーおよび/またはヒンジ領域も含む。
【0070】
いくつかの態様において、コードされる組換え受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有するシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖の、任意でCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む。
【0071】
いくつかの態様において、組換え受容体はまた、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインも含む。
【0072】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域はまた、共刺激シグナル伝達領域も含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。
【0073】
いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある。
【0074】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、5'から3'への順序で以下を含む:i)シグナルペプチドをコードする核酸;ii)CARをコードする核酸であって、該CARが、scFv;スペーサー;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸;iii)任意でT2A、P2A、E2A、またはF2Aである、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列;ならびにiv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:52もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を任意で含む、PSMAまたはその改変型をコードする核酸。
【0075】
また、ベクター、例えば本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを含有するベクターも提供される。いくつかの態様において、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの態様において、ベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの態様において、ベクターはレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0076】
また、第1のベクターおよび第2のベクターを含むベクターのセットも提供される。いくつかの態様において、第1のベクターは、本明細書に記載される第1のポリヌクレオチドのいずれかを含み、第2のベクターは、本明細書に記載される第2のポリヌクレオチドを含む。また、そのようなベクターのセットを含む組成物も提供される。
【0077】
また、操作された細胞を作製する方法も提供される。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、セットにおけるポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセットを含有する組成物のいずれか、本明細書に記載されるベクター、またはセットのベクター、またはベクターのセットを含有する組成物のいずれかを細胞中に導入する工程を含む。また、そのような作製の方法を用いて作製された、操作された細胞も提供される。
【0078】
また、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、セットにおけるポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドのセットを含有する組成物のいずれか、本明細書に記載されるベクター、またはセットのベクター、またはベクターのセットを含有する組成物のいずれかを含有する、操作された細胞も提供される。
【0079】
また、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかを含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、組成物はまた、薬学的に許容される賦形剤も含有する。いくつかの態様において、組成物はまた、PSMAターゲティング分子、例えば本明細書に記載されるいずれかのPSMA結合分子も含有する。
【0080】
また、処置の方法も提供される。いくつかの態様において、処置の方法は、本明細書に記載される操作された細胞または組成物のいずれかを対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、方法はまた、対象に、PSMAターゲティング分子、またはPSMAターゲティング分子を含有する組成物を投与する工程も含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるかもしくは治療剤を含むか、または治療剤も含む。
【0081】
また、対象に、本明細書に記載される操作された細胞または組成物、および治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤も含むPSMAターゲティング分子、または治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤も含むPSMAターゲティング分子を含有する組成物のいずれかを投与する工程を含む、処置の方法も提供される。
【0082】
また、本明細書に記載される操作された細胞または組成物のいずれかを投与されている対象に、治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤も含むPSMAターゲティング分子、または治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤も含むPSMAターゲティング分子を含有する組成物を投与する工程を含む、処置の方法が提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0083】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはPSMAターゲティング分子を含有する組成物は、操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物の投与と同時に、または逐次的に任意の順序で投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはPSMAターゲティング分子を含有する組成物は、操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物の投与と同時に、任意で同じまたは異なる組成物において投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはPSMAターゲティング分子を含有する組成物は、操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物の投与と逐次的に任意の順序で投与される。
【0084】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0085】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、操作された細胞のうちの1つまたは複数上に発現される。
【0086】
いくつかの態様において、対象は、疾患、障害、または状態、任意で、がん、腫瘍、自己免疫性の疾患、障害、もしくは状態、または感染性疾患を有する。
【0087】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0088】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0089】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0090】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0091】
いくつかの態様において、治療剤は、腫瘍微小環境(TME)を調節することができるか、または腫瘍に対して細胞傷害性である。
【0092】
いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である。
【0093】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるかまたは治療剤を含むかまたは治療剤への変換もしくは治療剤のアンマスキングができるプロドラッグであるかまたはそれを含み、かつ/または、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断は、治療剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ミプサガルギン(G-202、(8-O-(12-アミノドデカノイル)-8-O-デブタノイルタプシガルギン)-Asp-γ-Glu-γ-Glu-γ-GluGluOH)であるかまたはそれを含む。
【0094】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。
【0095】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子はまた、治療剤も含み、治療剤は、PSMAにまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている。
【0096】
いくつかの態様において、リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチドであるか、または化学的リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、PSMAターゲティング分子によるPSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断は、治療剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断は、治療剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む。
【0097】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞のうちの1つまたは複数の、および/または組換え受容体によって特異的に認識される対象中に存在する細胞もしくは組織の、死滅または破壊を誘導する。
【0098】
いくつかの態様において、治療剤は細胞傷害剤を含む。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、毒素であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、毒素は、ペプチド毒素、リシンA鎖毒素、アブリンA鎖、ジフテリア毒素(DT)A鎖、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、志賀毒素A鎖、ゲロニン、モモルジン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、トリコサンチン、プロアエロリジン、またはオオムギ毒素である。
【0099】
いくつかの態様において、治療剤は光増感剤を含む。いくつかの態様において、光増感剤は、ピロフェオホルビド-a(Ppa)またはYC-9を含む。
【0100】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子の投与は、健常組織または健常細胞の、操作された細胞を含有しないかつ/または抗原を発現しない細胞または組織の、死滅または破壊を誘導しないか、または実質的に誘導しない。
【0101】
いくつかの態様において、治療剤は免疫調節剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤もしくは調節物質またはサイトカインである。
【0102】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント分子の機能または免疫チェックポイント分子を含むシグナル伝達経路を阻害または遮断することができる免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン受容体または細胞外アデノシン、任意で、アデノシン2A受容体(A2AR)もしくはアデノシン2B受容体(A2BR)、またはアデノシン、または前述のいずれかを含む経路の中から選択される。
【0103】
いくつかの態様において、方法はまた、PSMAもしくはその改変型を発現する細胞を検出する工程、ならびに/または、PSMAもしくはその改変型へのPSMAターゲティング分子の結合、および/もしくはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程も含む。いくつかの態様において、前記検出する工程は、インビボで行われ、かつ/または検出は、インビボイメージングを介して実施される。
【0104】
また、操作された細胞を検出する方法も提供される。いくつかの態様において、方法は、本明細書において提供される操作された細胞または組成物のいずれかを、PSMAターゲティング分子と接触させる工程;ならびに、PSMAもしくはその改変型および/または操作された細胞へのまたはそれらを伴う、該PSMAターゲティング分子の結合および/または該PSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を含む。いくつかの態様において、接触させる工程は、操作された細胞を投与されている対象へのPSMAターゲティング分子の投与を含む。
【0105】
また、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、ならびにPSMAまたはその改変型を対象において発現する対象における、操作された細胞の存在または非存在を検出する方法であって、該対象が、提供される操作された細胞のいずれかまたは提供される組成物のいずれかを以前に投与されている方法も提供され、該方法は、(a)本明細書において提供される操作された細胞のいずれかまたは本明細書において提供される組成物のいずれかを以前に投与されている対象に、PSMAターゲティング分子を投与する工程であって、該操作された細胞が、対象においてキメラ受容体および/または組換え抗原受容体、ならびにPSMAまたはその改変型を発現する、工程;ならびに(b)対象における、PSMAもしくはその改変型への、および/または操作された細胞へのPSMAターゲティング分子の結合、ならびに/またはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を含む。
【0106】
また、本明細書において提供される操作された細胞または組成物のいずれかを以前に投与されている対象における、組換え受容体およびPSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞の存在または非存在を検出する方法も提供される。いくつかの態様において、方法は、対象にPSMAターゲティング分子を投与する工程;ならびに、対象における、PSMAもしくはその改変型への、および/または操作された細胞へのPSMAターゲティング分子の結合、ならびに/または、PSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を含む。いくつかの態様において、検出は、インビボイメージングを介して実施される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0107】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0108】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0109】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0110】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0111】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供し、または検出可能であるシグナルを誘導し、またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができ;かつ/または、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、検出する工程は、対象における、または対象由来の試料からの、シグナルの同定を含み、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供し、または検出可能であるシグナルを誘導し、またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができ;かつ/または、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む。
【0112】
いくつかの態様において、部分は、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、発色性化合物、量子ドット、ナノ粒子、金属キレート、または酵素を含む。
【0113】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、任意で放射性リガンドである、イメージングプローブまたは検出試薬であるかまたはそれを含む。
【0114】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、部分であるかまたはそれを含み、かつ/または、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断は、部分を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。
【0115】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子はまた、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分も含み、部分は、PSMAにまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている。
【0116】
いくつかの態様において、リンカーは、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、PSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断は、部分を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断は、部分を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む。
【0117】
いくつかの態様において、放射線治療薬、放射性同位体、放射性リガンド、または放射性切断産物は、11C、18F、64Cu、68Ga、68Ge、86Y、89Zr、90Y、99mTc、111In、123I、125I、177Lu、および/または213Biを含む。
【0118】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-[18F]フルオロベンジル-L-システイン(18F-DCFBC)である。
【0119】
いくつかの態様において、接触させる工程および/または検出する工程は、インビボで行われ、かつ/または検出は、インビボイメージングを介して実施される。
【0120】
いくつかの態様において、インビボイメージングは、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、コンピュータ断層撮影法(CT)、コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)、電子ビームコンピュータ断層撮影法(EBCT)、高解像度コンピュータ断層撮影法(HRCT)、下環状断層撮影法、陽電子放射断層撮影法(PET)、シンチグラフィー、ガンマカメラ、β+検出器、γ検出器、蛍光イメージング、低照度イメージング、X線、生物発光イメージング、および近赤外(NIR)光断層撮影法の中から選択される。いくつかの態様において、インビボイメージングは、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された陽電子放射断層撮影法(PET)である。
【0121】
いくつかの態様において、方法は、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、または、指定された体積中に存在するおよそ4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞を検出することができる。いくつかの態様において、指定された体積は、液体の、試料の、および/または器官もしくは組織の体積であり、かつ/または、10~100μLまたは約10~約100μLである。
【0122】
いくつかの態様において、接触させる工程および/または検出する工程は、インビトロまたはエクスビボで行われる。いくつかの態様において、接触させる工程および/または検出する工程は、免疫組織化学(IHC)、免疫細胞化学、またはフローサイトメトリーを含む。いくつかの態様において、方法は、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、または、指定された体積中に存在するおよそ2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞を検出することができる。いくつかの態様において、指定された体積は、液体の、試料の、および/または器官もしくは組織の体積であり、かつ/または、10~100μLまたは約10~約100μLである。
【0123】
いくつかの態様において、方法は、対象における投与された、操作された細胞の数または濃度を決定する工程をさらに含む。いくつかの態様において、決定する工程は、シグナルと標準曲線との比較を含む。いくつかの態様において、標準曲線は、PSMAまたはその改変型を発現する定義された数の細胞を含有する多数の対照試料由来のシグナルの検出から生成され、該多数の対照試料は、PSMAターゲティング分子と接触している。
【0124】
いくつかの態様において、インビボイメージングは、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された陽電子放射断層撮影法(PET)であり、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)である。
【0125】
また、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択する、単離する、または分離する方法も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかを含有する多数の細胞を、PSMAターゲティング分子と接触させる工程;ならびに、PSMAターゲティング分子によって認識されるかまたは結合される細胞を選択する、単離する、または分離する工程を含む。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0126】
また、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択する、単離する、または分離する方法も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、PSMAターゲティング分子によって認識されるかまたは結合される細胞を、PSMAターゲティング分子と接触させた本明細書における操作された細胞のいずれかを含有する多数の細胞から選択する、単離する、または分離する工程を含む。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0127】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0128】
いくつかの態様において、多数の細胞は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、もしくはポリヌクレオチドのセットを含有する組成物、または本明細書に記載されるベクター、ベクターのセット、もしくはベクターのセットを含有する組成物のいずれかを含有する操作された細胞を含む。
【0129】
いくつかの態様において、操作された細胞を含有する多数の細胞は、本明細書に記載される操作された細胞または組成物のいずれかを投与されている対象由来の末梢血白血球を含む。
【0130】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0131】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0132】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0133】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0134】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、マトリックス中に含まれるか、または固体支持体上に固定化される。いくつかの態様において、固体支持体は磁性粒子を含む。
【0135】
また、キットも本明細書において提供される。いくつかの態様において、キットは、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含有する組成物;およびPSMAターゲティング分子を含有する組成物を含有する。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤も含み、かつ/または、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供し、または検出可能であるシグナルを誘導し、またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができる。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様において、検出する工程は、対象における、または対象由来の試料からの、シグナルの同定を含み、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供し、または検出可能であるシグナルを誘導し、またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができ;かつ/または、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む。
【0136】
いくつかの態様において、キットはまた、疾患または状態を処置するための対象に、疾患または状態を処置するための併用療法において操作された細胞およびPSMAターゲティング分子を投与するための説明書も含む。いくつかの態様において、キットはまた、操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書も含む。
【0137】
また、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含有する組成物;および、操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書を含有するキットも、本明細書において提供される。
【0138】
また、PSMAターゲティング分子を含有する組成物;および、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を受けているかまたは投与されている対象に、操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書を含有するキットも、本明細書において提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0139】
いくつかの態様において、説明書は、対象における投与された、操作された細胞の数または濃度を決定する工程をさらに指定する。いくつかの態様において、説明書は、決定する工程がシグナルと標準曲線との比較を含むことを指定する。いくつかの態様において、説明書は、標準曲線が、PSMAまたはその改変型を発現する定義された数の細胞を含有する多数の対照試料由来のシグナルの検出から生成され、該多数の対照試料が、PSMAターゲティング分子と接触していることをさらに指定する。いくつかの態様において、説明書は、検出する工程が任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された陽電子放射断層撮影法(PET)を介して実施され、PSMAターゲティング分子が2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)であることを指定する。
【0140】
また、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含有する組成物;および、疾患または状態を処置するための対象に、PSMAターゲティング分子との併用療法において操作された細胞を投与するための説明書であって、該PSMAターゲティング分子が、疾患または状態を処置するための治療剤であるかまたはそれを含むかまたはそれも含む、説明書を含有するキットも、本明細書において提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0141】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子または治療剤は、腫瘍微小環境(TME)を調節することができるか、または腫瘍に対して細胞傷害性である。いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である。
【0142】
また、PSMAターゲティング分子を含有する組成物;および、疾患または状態を処置するための対象に、疾患または状態を処置するための本明細書において提供される操作された細胞のいずれかの治療的有効量との併用療法においてPSMAターゲティング分子を投与するための説明書を含有するキットも、本明細書において提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0143】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0144】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0145】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0146】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0147】
また、PSMAターゲティング分子も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAにまたはその改変型に結合することができる一部分を含み、PSMAターゲティング分子は、免疫調節剤であるかまたはそれも含む。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫細胞の活性もしくは免疫応答を調節する、任意で増加させることができ、かつ/または腫瘍微小環境(TME)を調節することができる。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0148】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、免疫調節剤であるかまたは免疫調節剤を含むかまたは免疫調節剤への変換もしくは免疫調節剤のアンマスキングができるプロドラッグであるかまたはそれを含み、かつ/または、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断は、免疫調節剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。
【0149】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、PSMAにまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチドであるか、または化学的リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、結合分子によるPSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断は、免疫調節剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断は、免疫調節剤を含有する少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む。
【0150】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤もしくは調節物質またはサイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント分子の機能または免疫チェックポイント分子を含むシグナル伝達経路を阻害または遮断することができる免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン受容体または細胞外アデノシン、任意で、アデノシン2A受容体(A2AR)もしくはアデノシン2B受容体(A2BR)、またはアデノシン、または前述のいずれかを含む経路の中から選択される。
【0151】
また、PSMAターゲティング分子も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAにまたはその改変型に結合することができる一部分を含み、PSMAターゲティング分子は、腫瘍微小環境(TME)を調節することができる治療剤であるかまたはそれも含み、治療剤は、TME中に存在する1つまたは複数の条件または要因に応答性の放出可能または切断可能リンカーによってPSMAターゲティング分子の一部分に連結されている。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む。いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0152】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。
【0153】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0154】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。
【0155】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。
【0156】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。
【0157】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、アプタマーは、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む。
【0158】
また、本明細書に記載されるPSMAターゲティング分子のいずれかを対象に投与する工程を含む処置の方法も、本明細書において提供される。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【0159】
また、製造物品も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、製造物品は、本明細書において提供される操作された細胞、組成物、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、ポリヌクレオチドのセットを含有する組成物、ベクター、ベクターのセット、ベクターのセットを含有する組成物、キット、またはPSMAターゲティング分子のいずれかを含む。提供される態様のいずれかのうちのいくつかにおいて、組換え受容体は、キメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【
図1A】
図1A~1Bは、CAR+ T細胞濃縮試料における抗PSMA抗体(PSMA(mAb))およびCD4の結合の検出レベルを示す、例示的なFACSプロットを図示する。細胞は、抗CD19 CARと、完全長野生型PSMA(WT PSMA)、位置2にアミノ酸置換を有するN末端改変 PSMA バリアント(PSMA
(W2G))、もしくは9個のアミノ酸 のN末端欠失(PSMA
(N9del))とを発現するように操作された。または対照として、細胞はCARをコードしないおよび/またはPSMAをコードしないベクターで形質導入された(モック)。
【
図1C】
図1Cは、CD4+およびCD8+ T細胞について、抗PSMA抗体の結合によって決定したPSMA(またはN末端改変バリアント)の発現の幾何平均蛍光強度(gMFI)を示す。
【
図1D】
図1Dは、切断型 EGFR(EGFRt)を発現するまたはモック形質導入に供されたT細胞に対する、各PSMAまたはバリアントの1つを発現するように形質導入されたCD4+またはCD8+細胞におけるPSMA(またはN末端改変バリアント)の発現についてのgMFIを示す。
【
図1E】
図1E~1Fは、抗CD19 CARおよびPSMA(またはN末端改変バリアント)を発現するCAR+ T細胞濃縮試料におけるYC-36-FITC(DCFPyLのFITCコンジュゲート類似体)およびCD8の結合の検出レベルを示す、例示的なFACSプロットを図示する。
【
図1G】
図1Gは、CARの結合ドメインに特異的な抗イディオタイプ抗体によって決定された、CARを発現する細胞の表面上での改変PSMA
(N9del)の共発現を示す例示的なFACSプロットを図示する。
【
図1H】
図1H~1Lは、WT PSMAまたは改変バリアント(PSMA
(W2G)およびPSMA
(N9del))を形質導入したCD4+またはCD8+細胞におけるPSMAおよび抗CD19 CARの発現を示す例示的なFACSプロットを図示する。
【
図1M】
図1Mは、切断型PSMA バリアントを共発現する抗CD19 CAR発現細胞(CD19-tPSMA;PSMA
(N9del))または対照代替マーカーとして切断型受容体を発現する細胞(CD19-tReceptor)における、フローサイトメトリーによるCARの表面発現についてのgMFIを示す。
【
図2A】
図2Aは、4:1のエフェクター対標的細胞比で、生存しているNLR標識CD19発現標的細胞(NLR+細胞)の減少を測定することによって評価した、PSMA(もしくはN末端改変バリアント)を発現するCAR+細胞または代替EGFRtマーカーを発現するCAR+細胞の細胞溶解活性を示す。
【
図2B】
図2Bは、E:T比(4:1、2:1、1:1および1:2)での様々な死滅指標についての結果の比較を示す。
【
図2C】
図2Cは、4:1のE:T比での、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)である、PSMAの触媒ドメインに結合する試薬の存在下での、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞の細胞溶解活性を示す。
【
図2D】
図2Dは、4:1または1:1のE:T比での、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)の存在下での、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞の死滅指標を示す。
【
図3-1】
図3A(IFN-γ)、
図3B(TNF-α)、および
図3C(IL-2)は、CD19発現標的細胞とのインキュベーションに応答しての、抗CD19 CAR/WT PSMA、抗CD19 CAR/PSMA
(W2G)、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞またはモック形質導入細胞(モック)による各サイトカイン産生の量を図示する。
【
図3-2】
図3Dは、切断型PSMA バリアントを共発現する抗CD19 CAR発現細胞(CD19-tPSMA;PSMA
(N9del))または対照代替マーカーとして切断型受容体を発現する細胞(CD19-tReceptor)におけるIFN-γ産生を示す。
【
図3-3】
図3Eは、様々な濃度のDCFPyLの存在下で培養した、4:1および1:1のE:T比での、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞およびK562-CD19標的細胞の共培養において産生されたIFN-γの量を図示する。
【
図4】
図4Aは、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)、抗CD19 CAR/EGFRtを発現する操作されたT細胞、またはモック形質導入細胞(モック)の投与を受ける、腫瘍を有するマウスにおける経時的な腫瘍成長を示す。経時的腫瘍成長は、生物発光タンパク質を発現する腫瘍を有するマウスモデルの生物発光イメージングで決定された平均放射輝度(p/s/cm
2/sr)によって決定された。
図4Bは、各群におけるマウスの生存曲線を示す。
【
図5A】
図5Aは、マウスに500(0.5k)、2,500(2.5k)、5,000(5k)、25,000(25k)、50,000(50k)、250,000(250k)、500,000(0.5M)、または2,500,000(2.5M)個の抗CD19 CAR/PSMA
(Ndel)を発現する操作された細胞が注入されるように、50%CAR+細胞および50%非CAR+ T細胞を含有するT細胞が注入されたマウスの、例示的な陽電子放射断層撮影法-コンピュータ断層撮影法(PET/CT)スキャンを示す。マウスには、400 μCiの2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[
18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸([
18F]DCFPyL)も注入された。横断面図を、2.5 M個の抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作された細胞および400 μCiの[
18F]DCFPyLを受けている例示的な動物について示す。PETの結果を、画像化した組織の立方センチメートル当たりの注入用量のパーセンテージ(%ID/cc)で表した。
【
図5B】
図5Bは、NOD/Scid/gc-/-(NSG)マウスの肩に注入した50 μL(50% Matrigel(登録商標))中に2,000(2k)、4,000(4k)、20,000(20k),40,000(40k)、200,000(200k)、400,000(400k)、または2,000,000(2M)個のPSMA-N9delを発現する抗CD19 CAR+ T細胞による、追加試験からの例示的な陽電子放射断層撮影法-コンピュータ断層撮影法(PET/CT)を示す(白矢印は注入した細胞の位置を示す)。PETの結果を、画像化した組織の立方センチメートル当たりの注入用量のパーセンテージ(%ID/cc)で表した。
【
図6】
図6は、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)、抗CD19 CAR/EGFRtを発現する操作されたT細胞、モック形質導入細胞(モック)またはT細胞なしの投与を受けている、播種性腫瘍を有するマウスの生物発光イメージングおよびPET/CTスキャンを示す。上段のパネルは、各試験群における例示的なマウスにおいて発生した腫瘍および自然転移の生物発光イメージングを示す。下段のパネルは、上端のパネルの各部分に示されるマウスそれぞれにおけるPSMAターゲティング剤を用いる改変PSMA発現CAR+細胞の検出に対応するPET/CTスキャンを示す。
【
図7】
図7は、PSMAターゲティング放射標識剤([
18F]DCFPyL)およびPETイメージングを用いる、様々な数の操作された抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現T細胞のインビトロ検出を示す。20 μL PBS中のCAR+/PSMA
(N9del)発現T細胞の数を左パネルに図示し;PETイメージングの結果を右パネルに図示する。
【
図8】
図8は、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞もしくはモック形質導入細胞(モック)の投与を受けている、または処置なし(処置なし)での、播種性腫瘍を有するマウスの異種移植モデルの経時的生存率を表す生存曲線を示す。
【
図9A】
図9A~9Dは、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞の投与を受けた播種性腫瘍を有するマウスにおける、CAR+ T細胞注入後0および11日目での例示的な生物発光イメージングの結果、およびCAR+ T細胞注入後5および12日目でのPET/CTイメージングの結果を図示する。第1および第3の画像パネルはそれぞれ、0日目および11日目での生物発光イメージングの結果を示し、第2および第4の画像パネルはそれぞれ、5日目および12日目でのPSMAターゲティング剤を用いる改変PSMA発現CAR+細胞の検出のPET/CTスキャンの結果を示す。矢印は腫瘍の位置を示す。
【
図9E】
図9Eは、未処置マウス(未処置)およびモック試験群(モック処置)の、0日目の生物発光イメージングの結果、および9日目のPET/CTイメージングの結果を図示する。矢印は腫瘍の位置を示す。
【
図10】
図10は、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞の投与を受けている播種性腫瘍を有するマウスにおける腫瘍細胞およびPSMA発現CAR+細胞の存在を決定するための免疫組織化学の結果を図示する。Nalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を検出するために抗GFP抗体、または抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞を検出するために抗PSMA抗体を用いて、腫瘍組織の切片を染色した。
【
図11A】
図11Aは、PSMA特異的PETリガンド[
18F]DCFPyLを用いるPET/CTイメージングによるPSMA発現細胞の数を決定するための標準曲線を示す。対応する細胞数に対して、インビトロでのファントムイメージング実験からのPET画像(n=8)からの総ボクセル(三次元空間での画像情報の単位)をプロットすることによって、標準曲線を決定した。その結果生じる一次回帰式はy=5×10
-6x+0.0122(R
2=0.9989)であった。エラーバーは標準偏差を示す。
【
図11B】
図11Bおよび11Cは、0日目の初回BLI後4、5、6、7、8、9、10、11、および12日目の、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現細胞を投与されている腫瘍モデルマウスでの例示的な生物発光イメージングの結果およびPET/CTイメージングの結果を示す。腫瘍中のCAR+細胞の総数を標準曲線に基づき推定し、表1に列記する。
【
図12】
図12は、抗PSMA抗体で染色したPSMA+細胞の数を計数することによって決定した、投与後6日目から13日目の間の、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現細胞を投与されている腫瘍モデルマウスから得られた腫瘍生検試料中に存在する投与したCAR+ T細胞の密度、およびCAR+ T細胞の投与後のヒト腫瘍生検試料からのCAR+ T細胞の密度を示す。
【
図13A】
図13A~13Bは、4日目~11日目の、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞を受けている播種性腫瘍を有するマウスにおける腫瘍細胞およびPSMA発現CAR+細胞の存在を確認する免疫組織化学の例示的な結果を図示する。Nalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を検出するために抗GFP抗体、または抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞を検出するために抗PSMA抗体を用いて、腫瘍組織の切片を染色した。
【
図14A】
図14A~14Bは、0日目の初回BLI後10、11および12日目の、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現細胞を投与されている腫瘍モデルマウスでの例示的な生物発光イメージングの結果およびPET/CTイメージングの結果を示す。
【
図14C】
図14C~14Dは、
図14A~14Bに図示するマウスのそれぞれにおける、抗PSMA抗体での染色によるフローサイトメトリーを用いて決定された末梢血(PPB)中または骨髄(BM)試料内の生細胞内のCAR+ T細胞のパーセンテージに対して、標準曲線に基づき推定された、腫瘍中のCAR+細胞の総数をプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0161】
詳細な説明
前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型、例えば、バリアントPSMA、および組換え受容体などの組換え分子、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作された細胞が、本明細書において提供される。また、治療法および組成物を含む、関連した方法および組成物が提供される。いくつかの態様において、操作された細胞はまた、組換え受容体、例えば、組換え抗原受容体および/またはキメラ受容体も発現する。いくつかの態様において、操作された細胞は、PSMA、典型的には改変PSMA、および組換え受容体(例えばCAR)を共発現する。また、PSMAターゲティング剤またはPSMAターゲティング分子を用いた、そのような細胞の検出および/またはターゲティングを含む方法も提供される。方法の中には、検出法およびイメージング法、ならびに、例えば、操作された細胞および追加の治療剤の併用療法のための方法がある。
【0162】
提供される方法の中には、細胞によって発現されるPSMAまたは改変PSMAを、例えば、治療的、診断的、モニタリング、および/または調節的な成果またはアプローチのために活用することができるものがある。いくつかの態様において、PSMAまたは改変PSMAは、細胞が投与されるかまたは投与されている対象における、インビボなどでの細胞の検出、例えば、イメージングのために活用される。いくつかの態様において、PSMAまたは改変PSMAは、例えば、細胞または組換え受容体によって認識される抗原、細胞、または組織に対する治療剤のターゲティングまたは送達のために活用される。いくつかの態様において、PSMAまたは改変PSMAは、疾患もしくは状態を処置するために、ならびに/または、遺伝子操作された細胞、例えば、組換え受容体(例えばCAR)で操作された細胞に関連してのものを含む、細胞の検出、イメージング、同定、選択、単離、分離、操作、細胞の処理、および/もしくは細胞の除去のために、標的とされる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞の操作、例えば、細胞の形質導入の確認のため、および/または操作された細胞の存在もしくは数を確認するためなどの、マーカーとして作用する。また、PSMAおよび/または組換え受容体をコードするポリヌクレオチドおよびベクター、そのような細胞を操作するための方法、ならびに、そのような細胞を処置する、検出する、選択する、単離する、または分離するための方法を含む、そのような操作された細胞を使用する方法も提供される。また、PSMA、例えば、操作された細胞の表面上に発現されたPSMAまたはその改変型を標的とするかまたはそれに結合することができるPSMAターゲティング分子も提供される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤および/または部分、例えば、シグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、本明細書において提供される方法中で、操作された細胞に関連して用いることができる。
【0163】
養子療法用の操作された細胞を作製し、投与するために、様々な戦略が利用可能である。細胞は概して、1つまたは複数の遺伝子操作された核酸またはその産物を導入することによって操作される。核酸およびその産物の中には、操作されたT細胞受容体(TCR)および機能的非TCR抗原受容体を含む、遺伝子操作された抗原受容体、例えば、活性化CAR、刺激CAR、および共刺激CAR、ならびにそれらの組み合わせを含むキメラ抗原受容体(CAR)がある。例えば、CARなどのキメラ受容体を発現する、T細胞などの細胞を操作するため、およびそのような操作された細胞を含有する組成物を対象に投与するために、戦略が利用可能である。
【0164】
操作された細胞を作製するプロセスを通して、形質導入された細胞、および/または組換え受容体などの所望の組換え分子を発現する細胞を同定する、検出する、位置づける、および/または選択することができることは、有益であり得る。同様に、養子療法用の操作された細胞の投与に続いて、または実質的にそれと同時に、養子移入された細胞を検出する、モニターする、観察する、局在化させる、または同定する必要または要望もまたあり得る。例えば、養子移入された細胞の有無、もしくは増大の程度、持続性、免疫原性を決定するかもしくは評価すること、またはその生体内分布および/もしくは薬物動態を決定すること、ならびに/または対象における養子移入された細胞の数を枯渇させるかもしくは低減させる機構を提供することが望ましい場合がある。
【0165】
いくつかの場合には、投与された細胞、例えば、養子移入された細胞の生体内分布および/または薬物動態を決定するためのある特定の利用可能な方法が、完全に満足のいくものではない可能性がある。例えば、養子移入された細胞の全身空間分布を決定すること、例えば、疾患または障害、例えば腫瘍の部位または場所の内部のまたはその周りの細胞の特異的な場所、身体における細胞の持続性、および/または有害作用、例えば毒性の発生を決定することが、困難である場合がある。
【0166】
養子移入された細胞の薬物動態を決定するための方法は、操作された細胞を投与されている対象から末梢血を採取すること、および末梢血における操作された細胞の数または比率を決定することを含んでもよい。細胞を選択する、および/または単離するためのアプローチは、キメラ抗原受容体(CAR)特異的抗体(例えば、Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 2013 Mar; 5(177): 177ra38)、プロテインL(Zheng et al., J. Transl. Med. 2012 Feb; 10:29)、CAR中の特異的部位に直接導入され、それによってStrep-Tagに対する結合試薬がCARを直接評価するために用いられる、Strep-Tag配列などのエピトープタグ(Liu et al. (2016) Nature Biotechnology, 34:430;国際特許出願公開番号WO2015095895)、およびCARポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体(国際特許出願公開番号WO2014190273を参照されたい)の使用を含んでもよい。外因性マーカー遺伝子が、いくつかの場合には、細胞の検出または選択を可能にするために、いくつかの場合にはまた、細胞自殺を促進するために、操作された細胞による療法に関連して利用されてもよい。切断型上皮成長因子受容体(EGFRt)を、いくつかの場合には、形質導入細胞において関心対象の導入遺伝子(例えば、CARまたはTCRをコードする)と共発現させることができる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。EGFRtは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含有してもよく、これを、EGFRt構築物および別の組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)で操作されている細胞を同定するかもしくは選択するために、ならびに/または受容体を発現する細胞を排除するかもしくは分離するために用いることができる。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。
【0167】
いくつかの態様において、提供される組成物および方法は、それらが、いくつかの局面において、注入後にインビボで、循環する操作された細胞、例えばCAR T細胞の直接評価についての能力を提供し得る、高度の感度での養子移入された細胞の検出またはイメージングを可能にする点で、有利である。いくつかの局面において、提供される態様は、例えば、操作された細胞の1つもしくは複数の機能に影響を及ぼすことなく、CAR T細胞などの投与された細胞を標的とする、結合する、および/もしくは検出する様式で、PSMAターゲティング分子などの試薬で細胞を検出する能力を提供することによるインビボ使用のために、かつ/または細胞作製の最中の検出もしくは分離のために、その適性において有利である。いくつかの局面において、提供される態様はまた、それらが、操作された組換え受容体の配列または機能を変化させることなくインビボ検出を可能にする点でも、有利である。いくつかの態様において、提供される態様は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型が、例えば、インビトロ細胞傷害性および/またはインビボ抗腫瘍活性を評価することによって示されるような、操作された細胞の機能を変更することのない検出のために、操作された細胞の細胞表面上に有効に発現されるという観察に基づく。いくつかの態様において、提供される態様はまた、インビボで原発腫瘍部位および転移腫瘍部位で組換え受容体を発現するように操作された、投与された細胞の存在、生体内分布、および輸送を検出するためにも用いることができる。
【0168】
いくつかの態様において、提供される作用物質、組成物、製造物品、組み合わせ、および方法は、投与された細胞組成物の生体内分布および/または薬物動態を決定する点で、有用かつ/または有利である。いくつかの局面において、方法は、安全、高感度、最小の侵襲性、リアルタイム、比較的に非免疫原性を提供する点で、かつ/または操作された細胞の機能性に影響を及ぼさない点で有利である。いくつかの局面において、提供される態様は、形質導入された細胞産物を含む、作製、モニタリング、および/または投与後の段階を手助けすることができる細胞表面マーカーを含む。例えば、いくつかの局面において、導入遺伝子について陽性の細胞の効率的な選択および単離のため、ならびにインビボおよびエクスビボでの導入遺伝子発現細胞のモニタリングのための方法が提供される。いくつかの態様において、提供される操作された細胞、核酸、ベクター、組成物、PSMAターゲティング分子、および方法は、操作された細胞に関連して用いられる既存のマーカーまたは選択の戦略と比較して、1つまたは複数の利点を提供する。
【0169】
いくつかの態様において、本明細書において提供される操作された細胞上に発現されるように操作される前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型は、ヒトPSMAである。いくつかの態様において、細胞は概して、1つまたは複数の遺伝子操作された核酸またはその産物、例えば、組換え受容体および/またはPSMAもしくは改変PSMAをコードするものを導入することによって操作される。操作された細胞をヒト対象に投与するために、PSMAまたはその改変型、特にヒトPSMAを発現するように細胞を操作することは、PSMAが免疫原性ではないため有利である。PSMAは、非常に組織特異的な様式で、ヒト身体において発現される抗原である。したがって、PSMAまたはその改変型の発現は、免疫応答を惹起することまたは免疫原特性を有することなく、PSMAに特異的に結合するかつ/またはそれを標的とするPSMAターゲティング分子を用いた、特定の細胞の検出およびターゲティングをこのように可能にする。
【0170】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞を、PSMAに結合することができる一部分および検出可能な部分または剤を含むことができるPSMAターゲティング分子を標的とするために利用することができる。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子を、治療剤の送達またはターゲティング;細胞の検出、同定、またはイメージング;細胞の選択、単離、または分離を可能にするため;および細胞自殺または細胞除去を促進するために、本明細書において提供される操作された細胞に関連して利用することができる。PSMAを特異的に標的とすることができる様々な公知の試薬が、治療目的および/または検出目的で態様に関連して用いられてもよい。
【0171】
いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型のターゲティングは、例えば、操作された細胞を投与されている対象において、検出可能な部分または剤の検出を容易にすることができ、操作された細胞の検出を可能にすることができる。特に、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子およびシステムを、PSMAを発現する細胞のインビボイメージングのために用いることができる。インビボイメージングのためにPSMAターゲティング分子を用いることは、いくつかの局面において、操作された細胞の、最小の侵襲性の、リアルタイムの、正確な、かつ/もしくは迅速な決定、評価、および/もしくは確認、またはその生体内分布のモニタリングを可能にする。
【0172】
いくつかの態様において、マーカーとしてのPSMAまたはその改変型は、操作された細胞を、最小の侵襲性の、迅速な、正確な、かつ/または高感度の方法を用いた検出に適合性にする。例えば、提供されるPSMAまたはその改変型は、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、または、放射性核種標識リガンドを用いた、細胞のリアルタイムのもしくはインビボのイメージング、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、および単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)のために用いられる他のPSMAターゲティング分子によって認識されることができ、かつ/または特異的に結合されることができる。PETは、身体において特定の細胞を検出するための最小の侵襲性の、迅速な、正確な、かつ高感度の方法であり、全身空間解像度を提供する。いくつかの局面において、提供される態様は、侵襲的方法の使用を伴わずに、投与された細胞の定量的評価、例えば、投与された細胞の生体内分布および/または薬物動態を正確にかつ迅速に提供する利点をもたらす。いくつかの局面において、提供される態様は、いかなる空間情報ももしくは腫瘍部位での特異的な情報も提供しない末梢血採取、または侵襲性でありかつ腫瘍部位での情報を提供するだけである生検などの、生体内分布または薬物動態を評価する既存の方法を上回る利点を提供する。したがって、いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子によって認識されるかまたは標的とされるかまたは結合されることができるものなどの、PSMAまたはその改変型を発現するように細胞を操作することは、ある特定の利点を提供することができる。さらに、提供される操作された細胞、核酸、ベクター、組成物、PSMAターゲティング分子、および方法は、細胞の処理、作製、および/もしくは機能を容易にするため、ならびに/または細胞の選択、分離、死滅、および/もしくは除去を容易にするための、細胞表面分子標的および試薬を提供する。
【0173】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型およびPSMAターゲティング分子を発現する操作された細胞を、免疫調節剤または細胞傷害剤を含む治療剤をある特定の部位、場所、微小環境に、および/またはある特定のタイプの細胞にターゲティングさせるために利用することができる。例えば、PSMAまたはその改変型を、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分および治療剤を含むことができるPSMAターゲティング分子の、操作された細胞を含有する部位、場所、および/または微小環境、例えば腫瘍微小環境(TME)への送達のために標的とすることができる。
【0174】
また、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を用いるための方法も提供される。細胞単離および遺伝子操作のための方法が提供される。構築物などの核酸、例えば、PSMAもしくはその改変型をコードする、ならびに/またはPSMAもしくはその改変型の核酸および/もしくはタンパク質をコードするウイルスベクター、ならびに、例えば形質導入によって、そのような核酸を細胞中に導入するための方法が提供される。また、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分および免疫調節剤を含むPSMAターゲティング分子も提供される。また、操作された細胞を含有する組成物、ならびに、例えば養子細胞療法のために、細胞および組成物を対象に投与する、およびモニターするための方法、キット、および製造物品も提供される。
【0175】
本出願において言及される特許文書、科学論文、およびデータベースを含むすべての刊行物は、あたかも各々個々の刊行物が個別に参照により組み入れられるのと同じ程度に、すべての目的でその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願、および他の刊行物において示される定義と相反するか、またはさもなければ矛盾する場合は、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先される。
【0176】
本明細書において用いられる節の見出しは、組織化の目的だけのものであり、記載されている主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0177】
I. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)および組換え受容体を発現する操作された細胞
前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型、例えば、PSMAのバリアントを発現する操作された細胞、ならびに、細胞の投与およびPSMAターゲティング剤または分子でのその検出、結合、またはターゲティングを含むものを含む、関連した組成物、製造物品、組み合わせ、方法、および使用が、本明細書において提供される。操作された細胞は、概してまた、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え分子も発現する。いくつかの態様において、方法、組成物、および使用は、提供される操作された細胞に関連している。
【0178】
A. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)
いくつかの態様において、前立腺特異的膜抗原(PSMA;グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ2または葉酸ヒドロラーゼ1としても知られる)またはその改変型は、操作された細胞、例えば、組換え受容体、例えばCARでも操作された細胞を含む、免疫細胞、例えばT細胞などの初代細胞において発現される。いくつかの態様において、PSMAはヒトPSMAである。
【0179】
PSMAは、短い細胞質アミノ末端、単一の膜貫通ドメイン、および大きな細胞外ドメインを含有する、II型膜貫通タンパク質である。PSMAは、共触媒メタロペプチダーゼを含むペプチダーゼファミリーM28タンパク質に対して類似性を示すアミノ酸配列を含有する。野生型の完全長ヒトPSMAは、19アミノ酸残基の細胞内部分、24アミノ酸残基の膜貫通部分、および707アミノ酸残基の細胞外部分を含む750アミノ酸のタンパク質である。ヒトにおいて、PSMAは、例えば、GenBankアクセッション番号DD461260(SEQ ID NO:26に示される)に記載されるFOLH1遺伝子、ならびにそのアイソフォームおよびバリアントによってコードされる。例示的なヒトPSMAアミノ酸配列は、例えば、UniProtアクセッション番号Q04609(SEQ ID NO:23に示される)に示される。
【0180】
いくつかの局面において、PSMAの細胞内(N末端)部分は、細胞内部移行、例えば、分子のクラスリン依存性エンドサイトーシス内部移行に関与するアミノ酸残基を含有する。いくつかの局面において、細胞内部移行は、N末端アミノ酸、例えば、SEQ ID NO:23に示される例示的なヒトPSMAアミノ酸配列の位置1~5のアミノ酸残基によって媒介される(例えば、Rajasekaran et al. (2003) Mol. Biol. Cell. 14:4835-4845を参照されたい)。
【0181】
いくつかの場合には、PSMAの細胞外部分は、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、以下の3つの別個の構造的および機能的なドメインにフォールディングする:プロテアーゼドメイン(残基56~116および352~590)、頂端ドメイン(残基117~351)、およびC末端ヘリックスドメイン(残基592~750)(例えば、Davis et al., (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. 102(17): 5981-5986;Mesters et al., (2006) EMBO Journal 25:1375-1384を参照されたい)。PSMAは概して、二核亜鉛部位を含有し、ポリ-γ-グルタミン酸型葉酸からのグルタメートの加水切断を触媒する、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼまたは葉酸ヒドロラーゼとして作用することができる。PSMAはまた、N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)活性およびジペプチジル-ペプチダーゼIV型活性も有する。酵素部位は、2個の亜鉛イオンを含有し、グルタメートセンシングポケット(S1'ポケット)および非ファルマコフォアポケット(S1ポケット)の2つのポケットから構成されている。3つのドメイン由来のアミノ酸残基は概して、基質認識、結合、および/または触媒活性に関与している。いくつかの場合には、PSMAにおける活性部位残基ならびに/または基質結合および/もしくは触媒活性に関与する残基は、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700のアミノ酸残基を含む。いくつかの場合には、活性部位残基は、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、His377、Asp387、Glu425、Asp453、および/またはHis553に対応する1個または複数個の残基などの、活性亜鉛イオンと協調するもう1個の残基を含む。いくつかの態様において、PSMAのN-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメインはまた、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、アミノ酸残基274~587を含むと定義されることもできる(Speno et al., (1999) Molecular Pharmacology 55:179-185)。
【0182】
いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型のいずれかは、組換えPSMAである。いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型は、異種の、組換えの、外来性の、かつ/またはトランスジェニックの核酸分子、すなわち、例えば、操作されている細胞および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものなどの、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在しない核酸から発現される。
【0183】
いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、もう1個の活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基、例えば、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700のアミノ酸残基に対応するもう1個のアミノ酸残基を含有する。いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、野生型ヒトPSMA、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはその対立遺伝子バリアントもしくは他のバリアント、および/またはSEQ ID NO:23に対して少なくとももしくは約少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す配列と同じかまたは実質的に同じ基質認識を示す。
【0184】
いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、野生型ヒトPSMA、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の基質またはリガンドを結合しないかもしくは認識せず、かつ/または、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上よりも多くの分、もしくは約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくはそれ以上よりも多くの分低減した、低減した結合および/もしくは認識を示す。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基に関与するもう1個の残基、例えば野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはその対立遺伝子バリアントもしくは他のバリアント、および/またはSEQ ID NO:23に対して少なくとももしくは約少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す配列の位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700のアミノ酸残基に対応するもう1個のアミノ酸残基の、例えば、アミノ酸の置き換え、挿入、または置換によって改変される。
【0185】
いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、プロテアーゼドメインもしくはその一部分を含有し、かつ/または触媒活性、例えばポリ-γ-グルタミン酸型葉酸からのグルタメートの加水切断を触媒する活性を示す。いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、亜鉛結合に関連するもう1個の残基、および/または触媒活性のための残基、例えば1個または複数個の残基His377、Asp387、Glu425、Asp453、および/またはHis553を含有する。いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、NAALADアーゼドメインを含有し、かつ/または、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはその対立遺伝子バリアントもしくは他のバリアント、および/またはSEQ ID NO:23に対して少なくとももしくは約少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す配列の位置に関して、アミノ酸残基274~587、274~700、または247~750を含む。
【0186】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、触媒的に活性を有さないか、または、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上よりも多くの分、もしくは約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくはそれ以上よりも多くの分低減した、低減した触媒活性を示し、例えばポリ-γ-グルタミン酸型葉酸からのグルタメートの加水切断を触媒する触媒活性を示さず、かつ/または低減した触媒活性を示す。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、亜鉛結合および/または触媒活性に関連する1個または複数個のアミノ酸残基、例えば野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはその対立遺伝子バリアントもしくは他のバリアント、および/またはSEQ ID NO:23に対して少なくとももしくは約少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す配列に関して、1個または複数個の残基His377、Asp387、Glu425、Asp453、および/またはHis553の、例えば、アミノ酸の置き換え、挿入、または置換によって改変される。
【0187】
PSMAはまた、単量体としても膜表面上に存在するが、二量体としてのみ酵素的に活性を有する。C末端ドメインは、別のPSMA単量体のプロテアーゼドメインおよび頂端ドメインとの二量体化界面の形成に関与している(例えば、Davis et al., (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. 102(17): 5981-5986;Mesters et al., (2006) EMBO Journal 25:1375-1384を参照されたい)。いくつかの態様において、提供される開示に関連したPSMAまたはその改変型は、二量体化に関与する1個または複数個の残基を含み、かつ/または二量体を形成することができる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、二量体化に関与する1個または複数個のアミノ酸残基の、例えば、アミノ酸の置き換え、挿入、または置換によって改変されており、かつ/または二量体を形成することができない。
【0188】
いくつかの場合には、本開示に関連したPSMAまたはその改変型は、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、または他のPSMAターゲティング分子によって認識されることができ、かつ/または特異的に結合されることができる。いくつかの場合には、本開示に関連したPSMAまたはその改変型は、エピトープ、例えば、抗体またはその抗原結合断片によって認識されることができるエピトープを含有する。いくつかの局面において、エピトープは直鎖エピトープである。他の局面において、エピトープは立体配座エピトープである。いくつかの態様においてPSMAターゲティング抗体またはその抗原結合断片によって認識され得る例示的なエピトープは、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、アミノ酸残基57~134、91~108、100~104、118~135、271~288、469~486、638~657、640~657、または716~723を含む。
【0189】
いくつかの態様において、提供される操作された細胞は、PSMAまたはその改変型を含有するかまたは発現する。いくつかの態様において、PSMAは、哺乳動物PSMAまたはその改変型である。いくつかの態様において、PSMAは、ヒトPSMAまたはその改変型である。いくつかの態様において、本開示に関連して提供されるPSMAは、野生型PSMA、任意で野生型ヒトPSMA、またはその対立遺伝子バリアントもしくは他のバリアント、例えば、代替アイソフォームまたはその断片である。ヒトPSMAをコードする例示的な配列は、SEQ ID NO:23に示されるヒトPSMAをコードする、SEQ ID NO:26に示されている。いくつかの態様において、PSMAは、改変核酸配列、例えば、CpGを含まないように改変されているかつ/またはコドン最適化されている核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、改変核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの局面において、コドン最適化は、選択されるコドンのパーセンテージをヒトトランスファーRNAの公表されている存在量と、いずれも過負荷されないようにまたは律速ではないように平衡させることを含む。いくつかの態様において、PSMAをコードするCpGを含まない核酸配列は、いかなるCpG配列も含有しない改変cDNA配列であるかまたはそれを含む。いくつかの局面において、CpGを含まない核酸および/またはコドン最適化配列は、野生型または非改変PSMAと比較してタンパク質配列を変化させない。PSMAをコードする、CpGを含まない例示的な核酸配列を、SEQ ID NO:27に示す。いくつかの局面において、CpGを含まないPSMAによってコードされるPSMAは、SEQ ID NO:23に示されるタンパク質配列に対して実質的なパーセント同一性を有する。
【0190】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:26もしくは27に示される核酸配列、または、SEQ ID NO:26もしくは27またはその断片のいずれかに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:26もしくは27、またはSEQ ID NO:26もしくは27に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列によってコードされる細胞外ドメインおよび/または膜貫通ドメインを含有する断片をコードする核酸配列によってコードされる。
【0191】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:53に示される核酸配列、またはSEQ ID NO:53もしくはその断片のいずれかに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:53、またはSEQ ID NO:53に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列によってコードされる細胞外ドメインおよび/または膜貫通ドメインを含有する断片をコードする核酸配列によってコードされる。
【0192】
いくつかの態様において、野生型または非改変PSMAは、ヒトPSMAであり、かつ/またはSEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、それに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むか、またはその断片である。いくつかの態様において、断片は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:23に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列の細胞外ドメインおよび/または膜貫通ドメインを含有する。
【0193】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列またはその断片またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメイン、または、SEQ ID NO:23またはその断片またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメインのいずれかに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、完全長PSMAである。いくつかの態様において、PSMAは、野生型PSMAまたは非改変PSMAである。いくつかの態様において、PSMAは、野生型ヒトPSMAである。いくつかの態様において、PSMAは、SEQ ID NO:23に示される配列を含むかまたはそれから本質的になる。
【0194】
いくつかの態様において、改変PSMAは、組換え改変PSMAである。いくつかの態様において、提供される開示に関連した改変PSMAは、異種の、組換えの、外来性の、かつ/またはトランスジェニックの核酸分子、すなわち、例えば、操作されている細胞および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものなどの、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在しない核酸から発現される。
【0195】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む改変PSMA、例えば、組換え改変PSMAである。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、例えば、野生型または非改変PSMAのN末端またはC末端での、それからの、またはその近くの1個または複数個の連続したアミノ酸残基の欠失または切断を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、変更されたPSMA酵素活性および/またはリガンド結合能および/または細胞内部移行を示す。いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して(i)低減した内在性シグナル伝達を示し;(ii)増加した細胞表面発現を示し;かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す。
【0196】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、例えば、組換えPSMAまたはその改変型は、1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、改変PSMAは、例えば、SEQ ID NO:23に示されるPSMAにおける位置に関して、W2Gに対応する、トリプトファンがグリシンによって置換されている2番目のアミノ酸残基での、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるPSMA配列における位置に関して、W2Gに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むか、またはW2を含まないか、または位置2にいかなる残基も含まない。例えば、いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、または、SEQ ID NO:24もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。
【0197】
いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるPSMA配列における位置に関して、位置2、3、4、5、6、7、8、9、10、または14のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数でのアラニンへのアミノ酸置換を含む。
【0198】
いくつかの態様において、PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む改変PSMAである。いくつかの態様において、PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分において1個または複数個の連続したアミノ酸残基の欠失を含む改変PSMAである。野生型の完全長ヒトPSMAは、19アミノ酸残基の細胞内部分、24アミノ酸残基の膜貫通部分、および707アミノ酸残基の細胞外部分を含む750アミノ酸のタンパク質である。いくつかの態様において、改変PSMAは、(PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列においてコード配列の5'末端に対応する)N末端にまたはその近くに欠失を含有し、その欠失は、PSMAの細胞内部分内である。いくつかの局面において、細胞内部分内に1つまたは複数の欠失、任意で連続したアミノ酸残基を含有する改変PSMAはまた、PSMAの切断型、切断型PSMA、またはtPSMAとも呼ばれる。
【0199】
いくつかの局面において、切断型PSMAまたはtPSMAは、野生型または非改変PSMAのN末端にまたはその近くに、1個または複数個のアミノ酸残基、任意で連続したアミノ酸残基の欠失または切断を含有する。いくつかの局面において、改変PSMAは、PSMAの細胞内部分またはドメイン内に、1個または複数個のアミノ酸残基、例えば、1個または複数個の連続したアミノ酸残基の欠失または切断を含有する。いくつかの態様において、N末端アミノ酸の欠失を含有するPSMAタンパク質は、N末端改変PSMAが細胞膜および中心体への局在化に成功することを可能にし、かつ/または、野生型もしくは非改変PSMAと比較して(i)低減した内在性シグナル伝達を示し;(ii)増加した細胞表面発現を示し;かつ/もしくは(iii)低減した細胞内部移行を示す。いくつかの態様において、改変PSMAは、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上よりも多くの分、または約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくはそれ以上よりも多くの分低減した、低減した内在性シグナル伝達または低減した細胞内部移行を示す。いくつかの態様において、改変PSMAは、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上よりも多くの分、または約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、もしくはそれ以上よりも多くの分増加した、増加した細胞表面発現、または細胞膜および中心体への増加した局在化を示す。いくつかの局面において、細胞表面発現および/または細胞内部移行は、PSMAまたはそのバリアントに特異的に結合する標識結合分子、例えば抗体を用いた共焦点顕微鏡観察などの細胞イメージング技法を用いて評価することができる。
【0200】
いくつかの態様において、改変PSMA、例えばtPSMAは、いくつかの場合には翻訳に必要とされる第1の残基として、メチオニンを含有するかまたは保持する。いくつかの態様において、PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に、1個または複数個のN末端アミノ酸残基、任意で連続したアミノ酸残基の欠失を含むが、翻訳に必要とされる最初のメチオニンの欠失は含まない改変PSMAである。
【0201】
いくつかの態様において、改変PSMA、例えばtPSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のN末端アミノ酸残基の欠失を含有する。いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21個のN末端アミノ酸残基の欠失を含有する。いくつかの局面において、改変PSMAは、第1のN末端メチオニンが保持されているかまたは欠失していない、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21個のN末端アミノ酸残基の欠失を含有する切断型PSMA(tPSMA)である。
【0202】
いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるPSMA配列における位置に関して、残基2、3、4、または5から開始し、かつ残基6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21までのN末端のアミノ酸の連続した配列の欠失を含有する。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるPSMA配列における位置に関して、残基2~22、2~21、2~20、2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、または2~3の欠失を含有する。
【0203】
いくつかの場合には、改変PSMAは、第1のN末端残基、例えばメチオニンの欠失を含有してもよい。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示されるPSMA配列における位置に関して、残基1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、または1~2の欠失を含有する。
【0204】
いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列は、異なるタンパク質などの別のタンパク質をコードする核酸配列も含有するポリヌクレオチドに、例えば発現構築物に含有される。いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列は、異なる分子、例えば組換え受容体をコードする核酸配列と共に単一のオープンリーディングフレーム内に含有される。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列は、自己切断ペプチド(例えば2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えばフーリン)をコードする配列によって、異なる分子、例えば組換え受容体をコードする核酸配列から分離される。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかに個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。そのようなポリヌクレオチドのいくつかの態様において、PSMAをコードする核酸は、最初のメチオニンをコードしてもよく、または最初のメチオニンをコードする必要はない。いくつかの局面において、PSMAをコードする配列が、別のタンパク質をコードする配列との関係において、より下流である、例えば、コード配列の3'末端により近く、例えば、PSMAが別のタンパク質の後に翻訳される場合は、最初のメチオニンは保持される必要がない可能性がある。いくつかの局面において、PSMAをコードする配列が、別のタンパク質をコードする配列のより上流である、例えば、コード配列の5'末端により近いか、または別のタンパク質をコードする配列の前に存在し、例えば、PSMAが1番目に翻訳される場合は、最初のメチオニンは保持される必要がある可能性がある。
【0205】
いくつかの局面において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、9個のN末端アミノ酸残基(翻訳に必要とされるN末端メチオニンを含まない)の欠失を含有する切断型PSMA(tPSMA)、例えばPSMA(N9del)である。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示される配列もしくはその断片、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列の残基2~10の欠失を含有する切断型PSMA(tPSMA)である。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0206】
いくつかの局面において、改変PSMAは、野生型または非改変PSMAと比較して、9個のN末端アミノ酸残基の欠失を含有する切断型PSMA(tPSMA)である。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:23に示される配列もしくはその断片の、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列の、残基1~9の欠失を含有する切断型PSMA(tPSMA)である。いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列もしくはその断片、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0207】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:25もしくは52に示されるアミノ酸配列またはその断片、または、SEQ ID NO:25もしくは52またはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個もしくは複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を含む。
【0208】
いくつかの態様において、改変PSMAは、SEQ ID NO:53に示される核酸配列、または、SEQ ID NO:53に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すか、またはその断片、例えば、細胞外ドメインおよび/もしくは膜貫通ドメインを含有する断片である核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、改変PSMAは、翻訳に必要とされるメチオニン開始コドンの欠失を含まない、例えば、最初のメチオニンを含有するポリペプチドをコードする核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、改変PSMAは、改変核酸配列、例えば、CpGを含まないように改変されているかつ/またはコドン最適化されている核酸配列によってコードされる。
【0209】
いくつかの態様において、改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインのすべてもしくは実質的にすべてを含み;または、改変PSMAは、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインと同じ数もしくは少なくとも同じ数のアミノ酸を有する膜貫通ドメインを含む。
【0210】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、PSMAターゲティング分子、例えば抗体またはその抗原結合断片によって結合されるかまたは認識されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、抗体またはその抗原結合断片によって認識されるエピトープを含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、残基57~134、91~108、100~104、118~135、271~288、469~486、638~657、640~657、もしくは716~723のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0211】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、PSMAまたはその一部分の細胞外ドメインのうちの少なくとも1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、野生型ヒトPSMA配列、例えば、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列の位置に関して、プロテアーゼドメイン(残基56~116および352~590)、頂端ドメイン(残基117~351)、およびC末端ヘリックスドメイン(残基592~750)の中から選択される少なくとも1つまたは複数の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、PSMAの細胞外ドメインのうちの少なくとも2つを含有する。
【0212】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞外触媒ドメインまたは酵素的に活性を有するドメインを含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメインを含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、残基274~587、247~700、もしくは247~750のアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、活性部位残基ならびに/または基質結合および/もしくは触媒活性に関与する残基を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700の残基、例えば保存された残基を含む。
【0213】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞外部分のドメインまたは領域の1つまたは複数の欠失を含む改変PSMAである。例えば、いくつかの態様において、細胞外部分のドメインまたは領域の欠失は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置44~273または588~750のアミノ酸配列の欠失を含む。いくつかの態様において、改変PSMAは、PSMAターゲティング分子、例えば、リガンドまたは抗体もしくはその抗原結合断片によって結合されないかまたは認識されない細胞外部分において、1個または複数個のアミノ酸残基、任意で1個または複数個の連続したアミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、1個または複数個のC末端アミノ酸残基、任意で1個または複数個の連続したアミノ酸残基の欠失を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるPSMAにおける位置に関して、アミノ酸残基103~750、626~750、721~747、または736~750の欠失を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、SEQ ID NO:23に示されるPSMAにおける位置に関して、15個のC末端アミノ酸残基の欠失を含む。
【0214】
いくつかの態様において、改変PSMAは、例えば、国際PCT公開番号WO2015143029、Rajasekaran et al. (2003) Mol. Biol. Cell. 14:4835-4845、Rajasekaran et al. (2008) Mol Cancer Ther. (2008) 7(7): 2142-2151、Barinka et al. (2004) Eur. J. Biochem. 271:2782-2790、およびDavis et al. (2005) Proc. Natl. Acad. Sci. 102(17)-5981-5986に記載されているPSMAを含む。
【0215】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型、任意で細胞外部分は、PSMAターゲティング分子またはその一部分、例えば本明細書に記載されるいずれかのPSMAターゲティング分子またはその一部分によって認識されることができる。
【0216】
B. 組換え受容体
いくつかの態様において、組換え受容体およびPSMAまたは改変PSMAを発現する操作された細胞、例えば、T細胞などの免疫細胞が提供される。受容体の中には、抗原受容体、およびその1つまたは複数の構成要素を含有する受容体がある。組換え受容体は、キメラ受容体、例えばリガンド結合ドメインまたはその結合断片および細胞内シグナル伝達ドメインを含有するもの、機能的非TCR抗原受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、およびT細胞受容体(TCR)、例えばトランスジェニックTCR、ならびに前述のいずれかの構成要素を含んでもよい。いくつかの態様において、提供される操作された細胞は、組換え受容体およびPSMAまたはその改変型、典型的には組換えPSMAまたは改変PSMAを発現する。CARなどのキメラ受容体は概して、いくつかの局面においてはリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素に連結された、細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。
【0217】
1. キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの態様において、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、特定の細胞型の表面上に発現される抗原に対して特異性を有するCARを発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。いくつかの態様において、抗原はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0218】
特定の態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有し、これは、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる細胞質(細胞内)領域などの細胞質シグナル伝達ドメイン(互換的に細胞内シグナル伝達ドメインとも呼ばれる)、例えば、T細胞受容体(TCR)構成要素の細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)を含み、かつ/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0219】
いくつかの態様において、キメラ受容体は、リガンド(例えば抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。いくつかの態様において、抗原などのリガンドは、細胞の表面上に発現されるタンパク質である。いくつかの態様において、CARはTCR様CARであり、抗原は、細胞内タンパク質のペプチド抗原などのプロセシングされたペプチド抗原であり、これは、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上で認識される。
【0220】
CARを含む例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作して細胞中に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/または、Sadelain et al., Cancer Discov.2013 April;3(4):388-398;Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338;Turtle et al., Curr.Opin.Immunol.,2012 October;24(5):633-39;Wu et al., Cancer,2012 March 18(2):160-75によって記載されているものを含む。いくつかの局面において、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものを含む。CARの例には、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの前述の刊行物のいずれかにおいて開示されているCARが含まれる。WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0221】
いくつかの態様において、CARは、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、養子療法によって標的とされる特定の細胞型において発現される抗原、例えばがんマーカー、および/または正常細胞型もしくは非罹患細胞型上に発現される抗原などの減衰応答を誘導することが意図される抗原に対する特異性を備えて構築される。したがって、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つもしくは複数の抗原結合断片、ドメイン、もしくは一部分などの1つもしくは複数の抗原結合分子、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する一本鎖抗体断片(scFv)などの、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分を含む。
【0222】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現される。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。いくつかの態様において、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、いくつかの局面においてはリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素に連結されている。いくつかの態様において、そのような分子は、典型的には、TCRなどの天然の抗原受容体を介するシグナル、および任意で、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナルを模倣するかまたは近似することができる。
【0223】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体(例えばCAR)は、抗原(またはリガンド)に結合する、例えば特異的に結合するリガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的とされる抗原の中には、養子細胞療法を介して標的とされる疾患、状態、または細胞型に関連して発現されるものがある。疾患および状態の中には、血液がん、免疫系のがん、例えば、B、Tおよび骨髄性の白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などのリンパ腫、白血病、および/または骨髄腫を含むがんおよび腫瘍を含む、増殖性、新生物性、および悪性の疾患および障害がある。
【0224】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)はポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、糖質または他の分子である。いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、正常のまたは非標的の細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または操作された細胞上に発現される。
【0225】
いくつかの態様において、CARは、細胞の表面上に発現される抗原、例えば無傷の抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を含有する。
【0226】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、NKG2D、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、MART-1、糖タンパク質100(gp100)、胎児腫瘍性抗原、ROR1、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化 GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子であるかまたはそれを含む。
【0227】
いくつかの態様において、抗原またはリガンドは、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原またはリガンド、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子であるかまたはそれを含む。
【0228】
いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原は、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0229】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原である。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えばHIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0230】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的または病原体発現抗原、例えば、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBV由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原であるかまたはそれを含む。
【0231】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片(例えば、scFvまたはVHドメイン)は、CD19などの抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、CD19に特異的に結合する抗体または抗原結合断片に由来するか、またはそのバリアントである。
【0232】
いくつかの態様において、scFvおよび/またはVHドメインは、FMC63に由来する。FMC63は概して、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して生じたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様において、scFvおよび/またはVHドメインは、SJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して生じたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。
【0233】
いくつかの局面において、CARは、ユニバーサルタグまたはユニバーサルエピトープを結合するかまたは認識する、例えば、特異的に結合するリガンド(例えば抗原)結合ドメインを含有する。いくつかの局面において、結合ドメインは、疾患または障害に関連する抗原を認識する様々な結合分子(例えば、抗体または抗原結合断片)に連結させることができる分子、タグ、ポリペプチド、および/またはエピトープに結合することができる。例示的なタグまたはエピトープには、色素(例えばフルオレセインイソチオシアナート)またはビオチンが含まれる。いくつかの局面において、疾患または障害に関連する抗原、例えば腫瘍抗原を認識するタグに連結された結合分子(例えば、抗体または抗原結合断片)は、タグに特異的なCARを発現する操作された細胞と共に、操作された細胞の細胞傷害性または他のエフェクター機能をもたらす。いくつかの局面において、疾患または障害に関連する抗原に対するCARの特異性は、タグ付加結合分子(例えば抗体)によって提供され、異なるタグ付加結合分子を、異なる抗原を標的とするために用いることができる。ユニバーサルタグまたはユニバーサルエピトープに特異的な例示的なCARには、例えば、U.S. 9,233,125、WO 2016/030414、Urbanska et al., (2012) Cancer Res 72: 1844-1852、およびTamada et al., (2012). Clin Cancer Res 18:6436-6445に記載されているものが含まれる。
【0234】
いくつかの態様において、CARは、TCR様抗体、例えば、細胞表面上にMHC-ペプチド複合体として提示される腫瘍関連抗原などの細胞内抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合断片(例えばscFv)を有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、組換え受容体、例えば抗原受容体の一部として細胞上に発現されることができる。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)がある。概して、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARとも呼ばれ得る。
【0235】
「主要組織適合遺伝子複合体」(MHC)への言及は、いくつかの場合には、細胞機構によってプロセシングされたペプチド抗原を含むポリペプチドのペプチド抗原と複合体を形成することができる、多型ペプチド結合部位または結合溝を含有するタンパク質、概して糖タンパク質を指す。いくつかの場合には、MHC分子は、TCRまたはTCR様抗体などの、T細胞上の抗原受容体が認識可能な立体配座での抗原の提示のために、ペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体としてのものを含めて、細胞表面上に表示されるかまたは発現されることができる。概して、MHCクラスI分子は、いくつかの場合には3つのαドメインを備える膜貫通α鎖、および非共有結合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。概して、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質、αおよびβから構成され、それらは両方とも、典型的には膜を貫通している。MHC分子は、ペプチドに結合するための1つまたは複数の抗原結合部位、および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含有するMHCの有効部分を含むことができる。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、サイトゾルが起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでMHC-ペプチド複合体は、概してCD8+ T細胞であるが、いくつかの場合にはCD4+ T細胞などのT細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、小胞系が起源であるペプチドを細胞表面に送達し、ここでそれらは、典型的にはCD4+ T細胞によって認識される。概して、MHC分子は、マウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と総称される一群の連鎖する遺伝子座によってコードされる。したがって、典型的には、ヒトMHCはまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれ得る。
【0236】
「MHC-ペプチド複合体」もしくは「ペプチド-MHC複合体」という用語またはその変形は、例えば、概して、MHC分子の結合溝または裂におけるペプチドの非共有結合性相互作用による、ペプチド抗原とMHC分子との複合体または会合を指す。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するかまたは表示される。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えばTCR、TCR様CAR、またはその抗原結合部分によって特異的に認識されることができる。
【0237】
いくつかの態様において、ポリペプチドの、ペプチド抗原またはエピトープなどのペプチドは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。概して、ペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質などのより長い生物学的分子の断片に由来するか、またはそれに基づく。いくつかの態様において、ペプチドは、典型的には、長さが約8~約24アミノ酸である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスII複合体における認識のために、9~22アミノ酸または約9~22アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI複合体における認識のために、8~13アミノ酸または約8~13アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体などのMHC分子に関連したペプチドの認識時に、抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様CARは、T細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答、または他の応答などのT細胞応答を誘導する、T細胞への活性化シグナルを生じるかまたは誘発する。
【0238】
いくつかの態様において、TCR様抗体または抗原結合部分は、公知であるか、または公知の方法によって作製することができる(例えば、米国特許出願公開第2002/0150914号;同第2003/0223994号;同第2004/0191260号;同第2006/0034850号;同第2007/00992530号;同第20090226474号;同第20090304679号;および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照されたい)。
【0239】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原で宿主を免疫することによって作製することができる。いくつかの場合には、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合することができる抗原、例えば腫瘍抗原、例えば、ユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原、または以下に記載される他の抗原のエピトープである。いくつかの態様において、次いで、免疫応答を惹起するために有効量の免疫原を宿主に投与し、ここで免疫原は、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示に対する免疫応答を惹起するのに十分な期間、その三次元形態を保持する。次いで、宿主から収集した血清をアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元提示を認識する所望の抗体が生じているかどうかを判定する。いくつかの態様において、生じた抗体を評価して、抗体が、MHC分子単独、関心対象のペプチド単独、およびMHCと無関係なペプチドとの複合体からMHC-ペプチド複合体を識別できることを確認することができる。次いで、所望の抗体を単離することができる。
【0240】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリなどの抗体ライブラリディスプレイ法を使用することによって作製できる。いくつかの態様において、例えば、ライブラリのメンバーが1つまたは複数のCDRの1個または複数個の残基で変異している、変異体Fab、scFv、または他の抗体型のファージディスプレイライブラリを生成することができる。例えば、米国特許出願公開第20020150914号、同第2014/0294841号;およびCohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
【0241】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、無傷の抗体、ならびに断片抗原結合(Fab)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む機能的(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvを包含する。特に明記されない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGならびにそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷のまたは完全長の抗体も包含する。
【0242】
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質、抗体、およびその抗原結合断片は、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であることができ、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fv、もしくは一本鎖Fv断片(scFv))であることができる。他の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、より詳細にはIgG1(例えばヒトIgG1)から選択される。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は、例えば、κまたはλ、特にκから選択される。
【0243】
提供される抗体の中には、抗体断片がある。「抗体断片」とは、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部分を含む、無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;可変重鎖(VH)領域、scFvおよび単一ドメインVH単一抗体などの一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されない。特定の態様において、抗体は、scFvなどの、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体断片である。
【0244】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は概して、類似した構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい。)単一のVHまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、抗原に結合する抗体由来のVHまたはVLドメインを用いて単離して、それぞれ相補的なVLまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングしてもよい。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0245】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、CARは、抗原、例えばがんマーカーまたは標的とされる細胞もしくは疾患、例えば腫瘍細胞もしくはがん細胞の細胞表面抗原、例えば本明細書に記載されるかまたは公知の標的抗原のいずれかに特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0246】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク質分解消化、および組換え宿主細胞による産生を含むがそれらに限定されない、様々な技法によって作ることができる。いくつかの態様において、抗体は、組換え生産された断片、例えば、合成リンカー、例えばペプチドリンカーによって連結された2つ以上の抗体領域もしくは鎖を有するものなどの、天然には存在しない配置、および/または天然に存在する無傷の抗体の酵素消化によっては生じ得ない配置を含む断片である。いくつかの態様において、抗体断片はscFvである。
【0247】
「ヒト化」抗体は、すべてのまたは実質的にすべてのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、すべてのまたは実質的にすべてのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。非ヒト抗体の「ヒト化型」は、典型的には、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化を受けている非ヒト抗体のバリアントを指す。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復するかまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0248】
したがって、いくつかの態様において、TCR様CARを含むキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvを含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。
【0249】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えばCAR、例えばその抗体部分は、スペーサーをさらに含み、これは、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などの、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョンの少なくとも一部分であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの態様において、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面において、定常領域の一部分は、抗原認識構成要素、例えばscFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として働く。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後に増加した細胞の応答性を提供する長さのものであることができる。いくつかの例において、スペーサーは、12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであるか、または12アミノ酸以下の長さである。例示的なスペーサーには、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有する、および列挙された範囲のいずれかの両端の値の間の任意の整数を含むものが含まれる。いくつかの態様において、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーには、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが含まれる。例示的なスペーサーには、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135、または国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものが含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示される配列を有し、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示される配列を有する。
【0250】
いくつかの態様において、定常領域または一部分は、IgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、および5のいずれかに対して少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0251】
いくつかの局面において、スペーサーは、以下から選択される1つまたは複数などのポリペプチドスペーサーである:(a)免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなり、または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなり、かつ/または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、または(c)12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであり、かつ/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなる;または(d)SEQ ID NO:1、3~5に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントからなるかまたはそれを含む、または(e)式X1PPX2P(SEQ ID NO:66)を含むかまたはそれからなり、式中、X1はグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2はシステインまたはスレオニンである。いくつかの態様において、スペーサーは、免疫グロブリン由来の配列を含む。いくつかの態様において、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジおよび/またはIgG1ヒンジのすべてまたは一部分を含むかまたはそれからなる。いくつかの態様において、スペーサーは、免疫グロブリン重鎖定常領域、任意でCH2および/またはCH3領域の一部分を含む。
【0252】
抗原認識ドメインは概して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素、例えば、CARの場合には、TCR複合体などの抗原受容体複合体を介する活性化、および/または別の細胞表面受容体を介するシグナルを模倣するシグナル伝達構成要素に連結されている。したがって、いくつかの態様において、抗原結合構成要素(例えば抗体)は、1つまたは複数の膜貫通領域および細胞内シグナル伝達領域に連結されている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合されている。1つの態様において、受容体、例えばCAR中のドメインのうちの1つと天然で会合している膜貫通ドメインが用いられる。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに対するそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように、選択されるかまたはアミノ酸置換によって改変される。
【0253】
いくつかの態様における膜貫通ドメインは、天然の供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、いくつかの局面におけるドメインは、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、いくつかの態様における膜貫通ドメインは合成である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。いくつかの局面において、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。いくつかの態様において、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。
【0254】
細胞内シグナル伝達領域の中には、天然の抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するかまたは近似するものがある。いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含有するもの、例えばグリシン-セリンダブレットなどの2~10アミノ酸の長さのリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成する。
【0255】
受容体、例えばCARは、概して、少なくとも1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ζ鎖などのTCR複合体の細胞内構成要素を含む。したがって、いくつかの局面において、抗原結合ドメインは、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結されている。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部分をさらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3ゼータ(CD3ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0256】
いくつかの態様において、CARの連結時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達領域は、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況において、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様において、抗原受容体構成要素または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の切断部分が、例えば、それがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷の免疫刺激鎖の代わりに用いられる。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内ドメインを例えば含む細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、およびいくつかの局面においてはまた、天然の状況でそのような受容体と協調的に作用して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始する共受容体のもの、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくはバリアント、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
【0257】
天然のTCRに関連して、完全な活性化は概して、TCRを介するシグナル伝達だけではなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様において、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素もCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成要素を含まない。いくつかの局面において、追加のCARが、同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0258】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存性の一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存性の様式で作用して、二次シグナルまたは共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達構成要素の一方または両方を含む。
【0259】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を制御する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性の様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRまたはCD3ζ、FcRγまたはFcRβに由来するものが含まれる。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含有する。
【0260】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの、共刺激受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面において、同じCARが、シグナル伝達領域および共刺激構成要素を両方とも含む。
【0261】
いくつかの態様において、シグナル伝達領域は、1つのCAR内に含まれ、他方、共刺激構成要素は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、活性化CARまたは刺激CAR、および共刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上で発現される(WO2014/055668を参照されたい)。
【0262】
ある特定の態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3(例えばCD3ζ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ細胞内ドメインに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0263】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARには、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内構成要素が含まれる。
【0264】
いくつかの場合には、CARは、第一世代、第二世代、および/または第三世代のCARと呼ばれる。いくつかの局面において、第一世代のCARは、抗原結合時にCD3鎖誘導シグナルを提供するだけのものである;いくつかの局面において、第二世代のCARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するもの、例えば、CD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものである;いくつかの局面において、いくつかの局面における第三世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0265】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインを含む。
【0266】
いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、直接または間接的に連結されることができる。いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとは、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結されている。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0267】
いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的バリアントであるかまたはそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的バリアントを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかのそのような態様において、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部分、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0268】
いくつかの態様において、受容体、例えばCARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはそのバリアント、例えば、ヒトCD28(アクセッション番号P01747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインであるか、または、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインであり;いくつかの態様において、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0269】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0270】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、その41アミノ酸ドメインおよび/または天然CD28タンパク質の位置186~187にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、ヒト4-1BB(アクセッション番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分、例えば、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞内領域は、ヒト4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは一部分を含む。
【0271】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意でCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアント、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号P20963.2)の112 AAの細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0272】
いくつかの局面において、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えば、SEQ ID NO:1に示されるヒンジのみのスペーサーを含有する。他の態様において、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示されるような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示されるような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他のフレキシブルリンカー、例えば公知のフレキシブルリンカーであるかまたはそれを含む。
【0273】
いくつかの態様において、CARは、
(i)順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含み;
(ii)順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み;または
(iii)順番に、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み;かつ:
スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかまたはそれからなり、または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28 細胞外領域もしくはCD8細胞外領域を含まない、(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなり、かつ/または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、または(c)12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであり、かつ/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなる;または(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントによってコードされる配列を有するかまたはそれからなる、または(e)式X1PPX2P(SEQ ID NO:66)を含むかまたはそれからなり、式中、X1はグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2はシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーであり;かつ/または
共刺激ドメインは、SEQ ID NO:12またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するそのバリアントを含み;かつ/または
一次シグナル伝達ドメインは、それに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含み;かつ/または
scFvは、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:59)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:60)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:61)のCDRL3配列、ならびに/またはDYGVS(SEQ ID NO:62)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:63)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:64)のCDRH3配列を含み、または、scFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/または FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述のいずれかと同じエピトープに結合するかもしくはそれと結合について競合し、かつ任意で、scFvは、順番に、VH、任意でSEQ ID NO:65を含むリンカー, およびVLを含み、かつ/または、scFv は、フレキシブルリンカーを含み、かつ/もしくはSEQ ID NO:65に示されるアミノ酸配列を含む。
【0274】
2. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様において、腫瘍の抗原、ウイルスまたは自己免疫タンパク質などの標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する操作された細胞、例えばT細胞が提供される。
【0275】
いくつかの態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはその抗原結合部分を含有し、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様において、TCRはαβ形態である。典型的には、αβ形態およびγδ形態で存在するTCRは概して、構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は、別個の解剖学的場所または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上にまたは可溶型で見出されることができる。概して、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見出され、ここで概して、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することを担う。
【0276】
特に明記されない限り、「TCR」という用語は、完全なTCR、およびその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様において、TCRは、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、無傷または完全長のTCRである。いくつかの態様において、TCRは、完全長未満のTCRであるが、MHC分子に結合した特異的なペプチドに結合する、例えば、MHC-ペプチド複合体に結合する抗原結合部分である。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長または無傷のTCRの構造ドメインの一部分のみを含有することができるが、それでもなお、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特異的なMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。概して、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
【0277】
いくつかの態様において、TCRの可変ドメインは、概して抗原認識ならびに結合能力および特異性への主たる寄与因子である、超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含有する。いくつかの態様において、TCRのCDRまたはそれらの組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位のすべてまたは実質的にすべてを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは概して、CDRと比較してTCR分子の間でより低い変動性を概して示すフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990;Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい;またLefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。いくつかの態様において、CDR3は、抗原結合もしくは特異性を担う主なCDRであるか、または抗原認識のため、および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用のために、所与のTCR可変領域上の3つのCDRの中で最も重要である。いくつかの状況において、α鎖のCDR1は、ある特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、β鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況において、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれを担う主たるCDRである。いくつかの態様において、β鎖の可変領域は、概してスーパー抗原結合に関与し、抗原認識には関与しないさらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含有することができる(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
【0278】
いくつかの態様において、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質尾部も含有することができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)。いくつかの局面において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質尾部を保有することができる。いくつかの態様において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質と会合している。
【0279】
いくつかの態様において、TCR鎖は、1つまたは複数の定常ドメインを含有する。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリングに基づくアミノ酸1~116、Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインもしくはCα、典型的にはKabatナンバリングに基づく鎖の位置117~259、またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づく鎖の位置117~295)を含有することができる。例えば、いくつかの場合には、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含有し、この可変ドメインは各々、CDRを含有する。TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する短い接続配列を含有し得る。いくつかの態様において、TCRが定常ドメイン中に2つのジスルフィド結合を含有するように、TCRは、α鎖およびβ鎖の各々に追加のシステイン残基を有し得る。
【0280】
いくつかの態様において、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質尾部を含有する。いくつかの場合には、その構造は、TCRがCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含有するTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMを含有する。
【0281】
いくつかの態様において、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または一本鎖TCR構築物であり得る。いくつかの態様において、TCRは、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結されている、2本の別々の鎖(α鎖およびβ鎖、またはγ鎖およびδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。
【0282】
いくつかの態様において、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に入手可能である、Vα、β鎖の配列などの公知のTCR配列から生成することができる。V鎖配列を含む完全長TCR配列を細胞供給源から得るための方法は、周知である。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸は、例えば、所与の1つまたは複数の細胞内のもしくは細胞から単離されたTCRコード核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成によって、様々な供給源から得ることができる。
【0283】
いくつかの態様において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えば、T細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に入手可能な供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞は、インビボで単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様において、TCRは、胸腺的に選択されたTCRである。いくつかの態様において、TCRは、ネオエピトープ拘束性TCRである。いくつかの態様において、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであることができる。いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分またはその抗原結合断片は、TCRの配列の知識から合成的に生成することができる。
【0284】
いくつかの態様において、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対して候補TCRのライブラリをスクリーニングすることから同定されたかまたは選択されたTCRから生成される。TCRライブラリは、PBMC、脾臓、または他のリンパ系器官中に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からの、VαおよびVβのレパートリの増幅によって生成することができる。いくつかの場合には、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅することができる。いくつかの態様において、TCRライブラリは、CD4+またはCD8+細胞から生成することができる。いくつかの態様において、TCRは、正常な健常対象のT細胞供給源、すなわち正常なTCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、TCRは、罹患対象のT細胞供給源、すなわち罹患TCRライブラリから増幅することができる。いくつかの態様において、ヒトから得られたT細胞などの試料において、例えばRT-PCRによってVαおよびVβの遺伝子レパートリを増幅するために、縮重プライマーが用いられる。いくつかの態様において、scTvライブラリは、ナイーブVαおよびVβライブラリからアセンブルすることができ、ここで、増幅産物がクローニングされるか、またはリンカーによって分離されるようにアセンブルされる。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリは、HLA対立遺伝子特異的であることができる。あるいは、いくつかの態様において、TCRライブラリは、親または骨格TCR分子の突然変異誘発または多様化によって生成することができる。いくつかの局面において、TCRは、例えば、α鎖またはβ鎖の突然変異誘発などによって、指向性進化に供される。いくつかの局面において、TCRのCDR内の特定の残基が、変更される。いくつかの態様において、選択されたTCRを、親和性成熟によって改変することができる。いくつかの態様において、抗原特異的T細胞は、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって選択され得る。いくつかの局面において、例えば、抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、結合活性、例えば、抗原に対する特定の親和性または結合力などによって選択され得る。
【0285】
いくつかの態様において、遺伝子操作された抗原受容体は、組換えT細胞受容体(TCR)および/または天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRを含む。いくつかの態様において、標的抗原(例えばがん抗原)に対する高親和性T細胞クローンは、患者から同定され、単離され、細胞中に導入される。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、またはHLA)で操作されたトランスジェニックマウスにおいて生成されている。例えば、腫瘍抗原を参照されたい(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい)。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRを単離するために、ファージディスプレイが用いられる(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい)。
【0286】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、改変されているかまたは操作されているものである。いくつかの態様において、特異的なMHC-ペプチド複合体に対するより高い親和性などの変更された特性を有するTCRを生成するために、指向性進化法が用いられる。いくつかの態様において、指向性進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62;Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)を含むがそれらに限定されないディスプレイ法によって達成される。いくつかの態様において、ディスプレイアプローチは、公知の、親または参照TCRを操作することまたは改変することを含む。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRを、CDRのうちの1個または複数個の残基が変異している変異誘発されたTCRを作製するための鋳型として用いることができ、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの所望の変更された特性を有する変異体が選択される。
【0287】
いくつかの態様において、関心対象のTCRの作製または生成における使用のための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるか、または当業者によって容易に同定されることができる。いくつかの態様において、TCRまたは抗原結合部分の生成における使用に適しているペプチドは、下記の標的ポリペプチドなどの、関心対象の標的ポリペプチド中のHLA拘束性モチーフの存在に基づいて決定することができる。いくつかの態様において、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様において、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、MHC拘束性エピトープはHLA-A0201であり、これは、すべての白人のおよそ39~46%において発現され、そのため、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子を調製する使用のためのMHC抗原の適している選択である。
【0288】
コンピュータ予測モデルを用いたHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームについての切断部位が、公知である。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred:prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17 (12):1236-1237 2001により詳細に記載されている)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照されたい)を含むが、それらに限定されない。
【0289】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の特性が変更されている、組換え生産された天然のタンパク質またはその変異型であってもよい。いくつかの態様において、TCRは、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物などの様々な動物種のうちの1つに由来してもよい。TCRは、細胞結合型であってもよく、または可溶型であってもよい。いくつかの態様において、提供される方法の目的で、TCRは、細胞の表面上に発現される細胞結合型である。
【0290】
いくつかの態様において、TCRは完全長TCRである。いくつかの態様において、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様において、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様において、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載されている構造を有する。
【0291】
いくつかの態様において、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様において、TCRは、CD3とTCR複合体を形成することができる。いくつかの態様において、dTCRまたはscTCRを含むTCRのいずれかは、シグナル伝達ドメインに連結されることができ、T細胞の表面上に活性TCRを生じる。いくつかの態様において、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0292】
いくつかの態様において、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第2のポリペプチドを含有し、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとはジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様において、結合は、天然の二量体αβTCR中に存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応することができる。いくつかの態様において、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCR中に存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。いくつかの態様において、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含有する。
【0293】
いくつかの態様において、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含有し、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を一緒に連結する。
【0294】
いくつかの態様において、TCRはscTCRである。典型的には、scTCRは、公知の方法を用いて生成することができる。例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992);Wulfing, C. and Pluckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994);Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993);国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186;およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照されたい。いくつかの態様において、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするために導入された非天然のジスルフィド鎖間結合を含有する(例えば、国際公開PCT番号WO 03/020763を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、そのC末端に融合した異種のロイシンジッパーが鎖の会合を容易にする、非ジスルフィド結合切断型TCRである(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照されたい)。いくつかの態様において、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合で連結されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照されたい)。
【0295】
いくつかの態様において、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0296】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0297】
いくつかの態様において、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列および膜貫通配列の配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、ならびに任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0298】
いくつかの態様において、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成できる任意のリンカーであることができる。いくつかの態様において、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有してもよく、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様において、第1および第2のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために配向されるように対合される。したがって、いくつかの場合には、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間、またはその逆の間の距離を橋渡しするのに十分な長さを有するが、標的リガンドに対するscTCRの結合を遮断するかまたは低減するほど長くはない。いくつかの態様において、リンカーは、10~45アミノ酸または約10~45アミノ酸、例えば10~30アミノ酸または26~41アミノ酸残基、例えば、29、30、31、もしくは32アミノ酸を含有することができる。いくつかの態様において、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、かつSはセリンである(SEQ ID NO:28)。いくつかの態様において、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKS(SEQ ID NO:29)を有する。
【0299】
いくつかの態様において、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する、共有ジスルフィド結合を含有する。いくつかの態様において、天然のTCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列中に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然のジスルフィド結合が両方とも、望ましい可能性がある。
【0300】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRのいくつかの態様において、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様において、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する天然のシステインのうちの1つまたは複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置換されている。いくつかの態様において、導入されるジスルフィド結合は、第1および第2のセグメント上の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然のジスルフィド結合は、国際公開PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0301】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合断片は、10-5~10-12M または約10-5~10-12 Mならびにその中のすべての個々の値および範囲の、標的抗原に対する平衡結合定数で親和性を示す。いくつかの態様において、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0302】
いくつかの態様において、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする1つまたは複数の核酸は、PCR、クローニング、または他の適している手段によって増幅し、適している1つまたは複数の発現ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の適している組換え発現ベクターであることができ、任意の適している宿主を形質転換するかまたはトランスフェクトするために用いることができる。適しているベクターには、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および増大のため、または発現のため、またはその両方のために設計されたものが含まれる。
【0303】
いくつかの態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであることができる。いくつかの場合には、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも用いることができる。いくつかの態様において、植物発現ベクターを用いることができ、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、およびpBIN19(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、動物発現ベクターには、pEUK-Cl、pMAM、およびpMAMneo(Clontech)が含まれる。いくつかの態様において、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが用いられる。
【0304】
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技法を用いて調製することができる。いくつかの態様において、ベクターは、適切なように、かつベクターがDNAベースであるかまたはRNAベースであるかを考慮に入れて、ベクターが導入されることになる宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的である制御配列、例えば転写および翻訳開始および終止コドンを含有することができる。いくつかの態様において、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然のプロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復配列において見出されるプロモーターであることができる。他の公知のプロモーターもまた、企図される。
【0305】
いくつかの態様において、T細胞クローンが得られた後に、TCRα鎖およびβ鎖を単離して、遺伝子発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様において、TCRαおよびβ遺伝子は、両方の鎖が共発現するように、ピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを介して連結される。いくつかの態様において、TCRの遺伝子移入は、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクターを介して、またはトランスポゾンを介して達成される(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063;Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:1748-1757;およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい)。
【0306】
いくつかの態様において、TCRをコードするベクターを生成するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAから、α鎖およびβ鎖をPCR増幅して、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、同じベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、α鎖とβ鎖とは、異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様において、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター中に組み込まれる。
【0307】
3. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ自己抗体受容体(CAAR)である。いくつかの態様において、CAARは、自己抗体に特異的である。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞を、正常な抗体発現細胞には特異的に結合せず、死滅させないが、自己抗体発現細胞に特異的に結合して死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、自己免疫疾患などの自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、最終的に自己抗体を産生して、その細胞表面上に自己抗体を提示するB細胞を標的とし、これらのB細胞を治療的介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞を、抗原特異的キメラ自己抗体受容体を用いて疾患を引き起こすB細胞をターゲティングすることによって、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的にターゲティングし、死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開第2017/0051035号に記載されているいずれかである。
【0308】
いくつかの態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、二次または共刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
【0309】
いくつかの態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存することができる。例えば、自己抗原は、それが特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連する、B細胞などの標的細胞上の自己抗体を認識するために、選択されてもよい。いくつかの態様において、自己免疫疾患は尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原には、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3が含まれる。
【0310】
4. マルチターゲティング
いくつかの態様において、細胞および方法は、マルチターゲティング戦略、例えば、各々が同じかまたは異なる抗原を認識し、典型的には各々が異なる細胞内シグナル伝達構成要素を含む、2つ以上の遺伝子操作された受容体の細胞上での発現を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO 2014055668 A1(例えば、オフターゲット、例えば正常細胞上では個別に存在するが、処置されるべき疾患または状態の細胞上でのみ一緒に存在する2つの異なる抗原をターゲティングする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載している)、ならびにFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(2013年12月)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常または非罹患細胞、および処置されるべき疾患または状態の細胞の両方上で発現される1つの抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置されることが望ましくない細胞でのみ発現される別の抗原に結合するものを記載している)に記載されている。
【0311】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、概して第1の受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原への特異的結合時に、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様において、細胞は、概して第2の受容体によって認識される第2の抗原への特異的結合時に、免疫細胞への共刺激シグナルを誘導することができる、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えば、キメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは同じである。いくつかの態様において、第1の抗原と第2の抗原とは異なる。
【0312】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化を含み、ITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫学的シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近くの分子(例えば、CD4もしくはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/もしくはAP-1などの1つもしくは複数の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、ならびに/または生存を結果としてもたらす。
【0313】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含む。いくつかの態様において、第1の受容体と第2の受容体とは、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1の受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2の受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有するか、またはその逆である。
【0314】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを両方とも含む。
【0315】
いくつかの態様において、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2の受容体は、共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞において誘導される活性化または刺激シグナルと組み合わせた共刺激シグナルは、免疫応答、例えば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能のような堅牢なかつ持続的な免疫応答を結果としてもたらすものである。
【0316】
いくつかの態様において、第1の受容体単独の連結または第2の受容体単独の連結はいずれも、堅牢な免疫応答を誘導しない。いくつかの局面において、1つの受容体のみが連結されている場合、細胞は、抗原に対して寛容もしくは非応答性になり、または阻害され、かつ/または増殖するかもしくは因子を分泌するかもしくはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかし、いくつかのそのような態様において、第1および第2の抗原を発現する細胞の遭遇時などの、多数の受容体が連結される時には、例えば、1つもしくは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続性、および/または標的細胞の細胞傷害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの所望の応答が達成される。
【0317】
いくつかの態様において、2つの受容体は、受容体のうちの一方によるその抗原への結合は細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合はその応答を抑制するかまたは減衰させるシグナルを誘導するように、それぞれ、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせである。例えば、活性化CARが、疾患または状態において発現されるが正常細胞上でも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞上で発現されるが疾患または状態の細胞上では発現されない別々の抗原に結合するそのような戦略が、用いられてもよい。
【0318】
いくつかの態様において、マルチターゲティング戦略は、特定の疾患または状態に関連する抗原が非罹患細胞上でおよび/または操作された細胞自体上で、一過性に(例えば、遺伝子操作に関連する刺激時に)または永続的にのいずれかで発現される場合に使用される。そのような場合には、2つの別々のおよび個別に特異的な抗原受容体の連結を必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0319】
いくつかの態様において、多数の抗原、例えば、第1および第2の抗原は、がん細胞などの標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態で発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、多数の抗原のうちの1つまたは複数は、概してまた、正常もしくは非罹患細胞もしくは組織などの細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、および/または操作された細胞自体でも発現される。そのような態様において、細胞の応答を達成するために複数の受容体の連結を必要とすることによって、特異性および/または有効性が達成される。
【0320】
C. 核酸およびベクター
また、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば核酸分子)、そのようなPSMAまたはその改変型および受容体を発現するように細胞を遺伝子操作するためのベクター、ならびに操作された細胞を作製するための方法も提供される。
【0321】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるPSMAまたはその改変型のいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの局面において、ポリヌクレオチドは、単一のコード配列、例えば、PSMAまたはその改変型をコードするコード配列のみを含有する。他の例において、ポリヌクレオチドは、少なくとも2つの異なるコード配列、例えば、PSMAまたはその改変型をコードする第1の核酸配列、および組換え受容体をコードする第2の核酸配列を含有する。いくつかの局面において、組換え受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはそれを含有する。いくつかの局面において、組換え受容体は、T細胞受容体(TCR)、例えばトランスジェニックTCRであるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドおよびベクターは、PSMAまたはその改変型および組換え受容体の細胞における共発現のために用いられる。
【0322】
また、ポリヌクレオチドのセットまたは組み合わせも提供される。いくつかの態様において、セットまたは組み合わせは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする核酸を含む第1のポリヌクレオチド、および組換え受容体をコードする核酸を含む第2のポリヌクレオチドを含む。また、そのようなポリヌクレオチドのセットまたは組み合わせを含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドのセットまたは組成物は、細胞の操作のために一緒に用いられる。いくつかの態様において、セットにおける第1および第2のポリヌクレオチドは、操作のために細胞中に同時に、または逐次的に任意の順序で導入される。
【0323】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸を含有する提供されるポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:26、27、もしくは53に示される核酸配列、または、SEQ ID NO:26、27、もしくは53、またはその断片のいずれかに対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示す核酸配列を含む。
【0324】
いくつかの場合には、PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。いくつかの局面において、シグナル配列は、天然のポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードしてもよい。他の局面において、シグナル配列は、異種または非天然のシグナルペプチド、例えば、SEQ ID NO:31に示され、かつSEQ ID NO:30に示されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRα鎖の例示的なシグナルペプチドをコードしてもよい。いくつかの場合には、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。シグナルペプチドの非限定的な例示的な例には、例えば、SEQ ID NO:31に示され、かつSEQ ID NO:30に示されるヌクレオチド配列によってコードされるGMCSFRα鎖シグナルペプチド、またはSEQ ID NO:32に示されるCD8αシグナルペプチドが含まれる。
【0325】
いくつかの態様において、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結されている少なくとも1つのプロモーターを含有する。いくつかの例において、ポリヌクレオチドは、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された2つ、3つ、またはそれよりも多いプロモーターを含有する。
【0326】
核酸分子が2つ以上の異なるポリペプチド鎖をコードするある特定の場合には、ポリペプチド鎖の各々は、別々の核酸分子によってコードされることができる。例えば、2つの別々の核酸が提供され、各々は、細胞における発現のために、細胞中に個別に移入されるかまたは導入されることができる。
【0327】
いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸およびPSMAまたはその改変型をコードする核酸は、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる場所に存在するかまたは挿入される。いくつかの態様において、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、例えばレトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって、培養細胞を含有する組成物中に導入される。
【0328】
ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含有する態様などのいくつかの態様において、異なるポリペプチド鎖の各々をコードするコード配列は、同じかまたは異なることができるプロモーターに機能的に連結されることができる。いくつかの態様において、核酸分子は、2つ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、そのような核酸分子は、マルチシストロン性(2シストロン性または3シストロン性、例えば、米国特許第6,060,273号を参照されたい)であることができる。いくつかの態様において、転写単位は、単一のプロモーターからのメッセージによって遺伝子産物(例えば、PSMAまたはその改変型をコードする、および組換え受容体をコードする)の共発現を可能にする、IRES(内部リボソーム進入部位)を含有する2シストロン性単位として操作することができる。あるいは、いくつかの場合には、単一のプロモーターが、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)に、自己切断ペプチド(例えば2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えばフーリン)をコードする配列によって互いに分離された2つまたは3つの遺伝子(例えば、PSMAまたはその改変型をコードする、および組換え受容体をコードする)を含有するRNAの発現を指令してもよい。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかに個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。いくつかの場合には、T2Aなどのペプチドは、リボソームに2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と下流の次のペプチドとの間の分離をもたらす(例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004) およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい)。様々な2Aエレメントが公知である。本明細書中で開示される方法およびシステムにおいて用いることができる2A配列の例は、非限定的に、米国特許出願公開第20070116690号に記載されているような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO:22)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えばSEQ ID NO:21)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO:6または17)、およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えばSEQ ID NO:19または20)からの2A配列である。
【0329】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる場所に存在するかまたは挿入される。
【0330】
いくつかの態様において、また、PSMAまたはその改変型のいずれかをコードする核酸配列ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体、例えば、本明細書において提供されるCARのいずれかをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドも提供される。いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸およびCARをコードする核酸は、1つのポリヌクレオチド内に含まれる。いくつかの態様において、提供されるポリヌクレオチドは、5'から3'への順序で以下を含む:i)シグナルペプチドをコードする核酸;ii)CARをコードする核酸であって、該CARが、scFv;スペーサー;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達領域と、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸;iii)任意でT2A、P2A、E2A、またはF2Aである、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列;ならびにiv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列もしくはその断片;または、SEQ ID NO:52もしくはその断片に対して少なくとももしくは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むアミノ酸配列を任意で含む、PSMAまたはその改変型をコードする核酸。
【0331】
いくつかの態様において、コードされるCARは、
(i)順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、膜貫通ドメインとscFvとの間にスペーサーをさらに含み;
(ii)順番に、抗原に特異的なscFv、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み;または
(iii)順番に、抗原に特異的なscFv、スペーサー、膜貫通ドメイン、任意で4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、および、任意でCD3ζシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含み;かつ:
スペーサーは、任意で、(a)免疫グロブリンヒンジもしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなり、または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28 細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジ、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなり、かつ/または約15アミノ酸以下を含み、かつCD28細胞外領域またはCD8細胞外領域を含まない、または(c)12アミノ酸もしくは約12アミノ酸の長さであり、かつ/または免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4、もしくはその改変バージョンのすべてもしくは一部分を含むかもしくはそれからなる;または(d)SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有する前述のいずれかのバリアントによってコードされる配列を有するかまたはそれからなる、または(e)式X1PPX2P(SEQ ID NO:66)を含むかまたはそれからなり、式中、X1はグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2はシステインまたはスレオニンである、ポリペプチドスペーサーであり;かつ/または
共刺激ドメインは、SEQ ID NO:12またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するそのバリアントを含み;かつ/または
一次シグナル伝達ドメインは、それに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するSEQ ID NO:13または14または15を含み;かつ/または
scFvは、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:59)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:60)のCDRL2配列、および/もしくはGNTLPYTFG(SEQ ID NO:61)のCDRL3配列、ならびに/またはDYGVS(SEQ ID NO:62)のCDRH1配列、VIWGSETTYYNSALKS(SEQ ID NO:63)のCDRH2配列、および/もしくはYAMDYWG(SEQ ID NO:64)のCDRH3配列を含み、または、scFvは、FMC63の可変重鎖領域およびFMC63の可変軽鎖領域、ならびに/または FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むか、または前述のいずれかと同じエピトープに結合するかもしくはそれと結合について競合し、かつ任意で、scFVは、順番に、VH、任意でSEQ ID NO:65を含むリンカー, およびVLを含み、かつ/または、scFv は、フレキシブルリンカーを含み、かつ/もしくはSEQ ID NO:65に示されるアミノ酸配列を含む。
【0332】
いくつかの態様において、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、例えばレトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって、培養細胞を含有する組成物中に導入される。
【0333】
また、そのような核酸および/またはポリヌクレオチドを含有するベクターまたは構築物も提供される。いくつかの態様において、ベクターまたは構築物は、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードする核酸に機能的に連結された1つまたは複数のプロモーターを、その発現を駆動するために含有する。いくつかの態様において、プロモーターは、1つまたは1つよりも多い核酸分子またはポリヌクレオチドに機能的に連結されている。したがって、また、本明細書において提供されるポリヌクレオチドのいずれかを含有するベクターなどのベクターも提供される。いくつかの態様において、ベクターは、PSMAまたはその改変型をコードする第1のポリヌクレオチド、および組換え受容体、例えばCARをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0334】
いくつかの場合には、ベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターまたはガンマウイルスベクターなどのウイルスベクターである。また、ベクターのセットまたは組み合わせも提供される。いくつかの態様において、ベクターのセットまたは組み合わせは、第1のベクターおよび第2のベクターを含み、第1のベクターは、第1のポリヌクレオチド、例えば、PSMAまたはその改変型をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、組換え受容体、例えばCARをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。また、そのようなベクターのセットまたは組み合わせを含有する組成物も提供される。いくつかの態様において、ベクターのセットまたは組み合わせは、細胞の操作のために一緒に用いられる。いくつかの態様において、セットにおける第1および第2のベクターは、操作のために細胞中に同時に、または逐次的に任意の順序で導入される。
【0335】
いくつかの態様において、ベクターには、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスもしくはレンチウイルス、非ウイルスベクター、またはトランスポゾン、例えばSleeping Beautyトランスポゾンシステム、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクター、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、もしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターが含まれる。
【0336】
本明細書に記載されるPSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体のいずれかは、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸配列を含有するポリヌクレオチドによって、いずれかの組み合わせまたは配置においてコードされることができる。例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多いポリヌクレオチドが、1つ、2つ、3つ、またはそれよりも多い異なるポリペプチド、例えば、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードすることができる。いくつかの態様において、1つのベクターまたは構築物が、PSMAまたはその改変型をコードする核酸配列を含有し、別々のベクターまたは構築物が、組換え受容体、例えばCARをコードする核酸配列を含有する。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型をコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている。いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸は、PSMAまたはその改変型をコードする核酸の下流に存在する。
【0337】
D. 操作のための細胞および細胞の調製
PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体を含有する操作された細胞などの細胞が、本明細書において提供される。また、例えば、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体、例えばキメラ受容体を発現する細胞が、組成物中の全細胞、またはT細胞またはCD8+もしくはCD4+細胞などのある特定のタイプの細胞の少なくとも50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99以上の%を占める、そのような細胞の集団、そのような細胞を含有するかつ/またはそのような細胞が濃縮された組成物も提供される。組成物の中には、養子細胞療法のためなどの、投与のための薬学的組成物および製剤がある。また、そのような細胞を操作する、作製する、または生成するための方法、細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための治療法、ならびに、そのような細胞を検出する、選択する、単離する、または分離するための方法も提供される。
【0338】
したがって、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体、例えばCARを発現する遺伝子操作された細胞が提供される。細胞は概して、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は、血液、骨髄、リンパ液、またはリンパ系器官に由来し、自然免疫または適応免疫の細胞などの免疫系の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む、骨髄系またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞には、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、多分化能および多能性幹細胞などの幹細胞が含まれる。細胞は、典型的には初代細胞、例えば対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものである。いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその亜集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化、増大、再循環、局在化、および/もしくは持続能力についての潜在能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種異系および/または自己由来であり得る。方法の中には、既製の方法が含まれる。例えば既製の技術についてのいくつかの局面において、細胞は、多能性かつ/または多分化能、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞である。いくつかの態様において、方法は、対象から細胞を単離すること、本明細書に記載されているように、それらを調製すること、処理すること、培養すること、および/または操作すること、ならびに凍結保存の前または後に、それらを同じ対象中に再導入することを含む。いくつかの態様において、操作された細胞は、PSMAが典型的にまたは正常で発現されている細胞ではない。いくつかの態様において、操作された細胞は、PSMA発現が罹患状態中に増加している細胞ではない。いくつかの態様において、細胞は前立腺細胞ではない。いくつかの態様において、細胞は、PSMAまたはそのバリアントをコードする組換えまたは異種核酸配列の導入による操作の前には、PSMAを発現していない。
【0339】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在するかつ適応性の制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。いくつかの態様において、細胞は制御性T細胞(Treg)である。いくつかの態様において、細胞は、組換えFOXP3またはそのバリアントをさらに含む。
【0340】
いくつかの態様において、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0341】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様において、核酸は異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られる試料中に正常では存在せず、例えば、操作されている細胞、および/またはそのような細胞が由来する生物において通常は見出されない、別の生物または細胞から得られるものなどである。いくつかの態様において、核酸は、天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞型由来の様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものを含む、天然において見出されない核酸である。
【0342】
いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養工程および/または調製工程を含む。操作のための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば、対象から得られるかまたは対象に由来するものから単離され得る。いくつかの態様において、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が施与される対象である。いくつかの態様における対象は、特定の治療的介入、例えば、そのために細胞が単離され、処理され、かつ/または操作されている養子細胞療法を必要とするヒトである。
【0343】
したがって、いくつかの態様における細胞は、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料には、組織、体液、および対象から直接採取された他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターでの形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から結果として生じた試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料、または処理されている試料であることができる。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿、および汗などの体液、組織および器官の試料が、それに由来する処理された試料を含めて含まれるが、それらに限定されない。
【0344】
いくつかの局面において、細胞が由来するかまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料には、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の器官、および/またはそれに由来する細胞が含まれる。試料には、細胞療法、例えば養子細胞療法に関連して、自己由来および同種異系の供給源由来の試料が含まれる。
【0345】
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、またはブタから得られる。
【0346】
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または親和性に基づかない細胞分離工程を含む。いくつかの例において、例えば、不要な構成要素を除去する、所望の構成要素を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解するかまたは除去するために、細胞を、洗浄し、遠心分離し、かつ/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートする。いくつかの例において、細胞は、密度、接着特性、サイズ、特定の構成要素に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0347】
いくつかの例において、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0348】
いくつかの態様において、対象から収集された血球を、例えば、血漿画分を除去するため、およびその後の処理工程に適切な緩衝液または培地に細胞を置くために洗浄する。いくつかの態様において、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウム、ならびに/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面において、洗浄工程は、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)において、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの局面において、洗浄工程は、接線流濾過(TFF)によって、製造業者の説明書に従って達成される。いくつかの態様において、細胞を、洗浄後に、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁する。ある特定の態様において、血球試料の構成要素を除去し、細胞を、培養培地に直接再懸濁する。
【0349】
いくつかの態様において、方法は、密度に基づく細胞分離法、例えば、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびPercollまたはFicoll勾配を通した遠心分離を含む。
【0350】
いくつかの態様において、単離法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特異的な分子の細胞における発現または存在に基づく、異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が用いられてもよい。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、ならびにその後概して続く、洗浄工程、および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離による、細胞および細胞集団の分離を含む。
【0351】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞がさらなる使用のために保持される陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持される陰性選択に基づくことができる。いくつかの例において、両方の画分が、さらなる使用のために保持される。いくつかの局面において、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に実施されるように、不均一な集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能ではない場合に特に有用であり得る。
【0352】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去を結果としてもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在を結果としてもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去を結果としてもたらす必要はない。
【0353】
いくつかの例において、1つの工程から陽性または陰性選択された画分が、その後の陽性または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例において、例えば、細胞を、陰性選択のために標的とされるマーカーに各々特異的な多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、単一の分離工程が、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、細胞を、様々な細胞型上に発現される多数の抗体または結合パートナーとインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0354】
例えば、いくつかの局面において、T細胞の特異的な亜集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーが陽性であるかまたは高レベルを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞が、陽性または陰性選択技法によって単離される。
【0355】
例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて陽性選択することができる。
【0356】
いくつかの態様において、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって実施される。いくつかの態様において、陽性または陰性選択は、細胞を、それぞれ陽性または陰性選択される細胞上に発現される(マーカー+)かまたは比較的高いレベルで発現される(マーカー高)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合物質とインキュベートすることによって達成される。
【0357】
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現されるマーカー、例えばCD14の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程が、CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために用いられる。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるかまたは比較的高い程度に発現されるマーカーについての陽性または陰性選択によって、さらに亜集団に選別することができる。
【0358】
いくつかの態様において、CD8+細胞は、例えば、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性または陰性選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞がさらに濃縮されるかまたは枯渇する。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を増加させるために、例えば、いくつかの局面ではそのような亜集団において特に堅牢である、投与後の長期生存、増大、および/または生着を改善するために実施される。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82;Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。いくつかの態様において、TCM濃縮CD8+ T細胞とCD4+ T細胞とを組み合わせることは、有効性をさらに増強する。
【0359】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分を濃縮するかまたは枯渇させることができる。
【0360】
いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき;いくつかの局面において、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高発現する細胞についての陰性選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって実施される。1つの局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から出発して実施され、これが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lに基づく陽性選択に供される。そのような選択は、いくつかの局面において同時に実施され、他の局面においては、連続的に任意の順序で実施される。いくつかの局面において、CD8+細胞集団または亜集団の調製において用いられるのと同じCD4発現に基づく選択工程がまた、CD4に基づく分離からの陽性画分および陰性画分が両方とも保持され、任意で1つまたは複数のさらなる陽性または陰性選択工程後の、方法のその後の工程において用いられるように、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも用いられる。
【0361】
特定の例において、PBMCの試料または他の白血球試料を、CD4+細胞の選択に供し、ここで、陰性画分および陽性画分は両方とも保持される。次いで、陰性画分を、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく陰性選択、ならびにCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づく陽性選択に供し、ここで、陽性選択および陰性選択は任意の順序で実施される。
【0362】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0363】
1つの例において、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的にはCD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、陽性および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にするように、磁性ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合している。例えば、いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In vitro and In vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権) Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説されている)を用いて分離されるかまたは単離される。
【0364】
いくつかの局面において、分離されるべき細胞の試料または組成物を、小さな磁化可能または磁気応答性材料、例えば磁気応答性粒子または微小粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)とインキュベートする。磁気応答性材料、例えば粒子は、概して、分離することが望ましい、例えば、陰性または陽性選択することが望ましい1つまたは複数の細胞、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接または間接的に付着している。
【0365】
いくつかの態様において、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離法において用いられる多くの周知の磁気応答性材料がある。適している磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものが含まれる。コロイドサイズの粒子、例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものが、他の例である。
【0366】
インキュベーションは概して、磁性粒子もしくはビーズに付着している抗体もしくは結合パートナー、または、そのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬などの分子が、試料内の細胞上に存在する場合は細胞表面分子に特異的に結合する条件下で実施される。
【0367】
いくつかの局面において、試料を磁場に置き、磁気応答性または磁化可能粒子が付着している細胞を、磁石に引きつけて、非標識細胞から分離する。陽性選択のためには、磁石に引きつけられる細胞が保持され;陰性選択のためには、引きつけられない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面において、陽性選択と陰性選択との組み合わせが同じ選択工程中に行われ、ここで、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0368】
ある特定の態様において、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされている。ある特定の態様において、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。ある特定の態様において、ビーズではなく細胞を、一次抗体または結合パートナーで標識し、次いで、細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子を添加する。ある特定の態様において、ストレプトアビジンコーティング磁性粒子を、ビオチン化一次抗体または二次抗体と組み合わせて用いる。
【0369】
いくつかの態様において、磁気応答性粒子は、その後インキュベート、培養、および/または操作されることになる細胞に付着したままであり;いくつかの局面において、粒子は、患者への投与のための細胞に付着したままである。いくつかの態様において、磁化可能または磁気応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は、公知であり、例えば、競合する非標識抗体、切断可能リンカーにコンジュゲートした磁化可能粒子または抗体などの使用を含む。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
【0370】
いくつかの態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を介する。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が付着している細胞の高純度の選択ができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種および標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出される間、適所に保持される。次いで、この最初の溶出工程が完了した後に、磁場に捕捉されて溶出が阻止されていた種は、それらが溶出されて回収され得るように、何らかの方法で遊離される。ある特定の局面において、非標的細胞を、標識して、不均一な細胞の集団から枯渇させる。
【0371】
ある特定の態様において、単離または分離は、本発明の方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実施するシステム、デバイス、または装置を用いて実施される。いくつかの局面において、システムは、例えば、エラー、使用者の取り扱い、および/または汚染を最小化するように、これらの工程の各々を閉鎖環境または無菌環境で実施するために用いられる。1つの例において、システムは、国際PCT公開番号WO2009/072003、またはUS 20110003380 A1に記載されているシステムである。
【0372】
いくつかの態様において、システムまたは装置は、統合もしくは自己完結型システムで、および/または自動化もしくはプログラム可能方式で、単離、処理、操作、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えばすべてを実施する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置に接続されたコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、使用者が処理、単離、操作、および製剤化工程をプログラムする、制御する、その成果を評価する、かつ/またはその様々な局面を調整することが可能になる。
【0373】
いくつかの局面において、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖系および無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。いくつかの局面における統合コンピュータは、機器のすべての構成要素を制御し、標準化された順序で反復手順を行うようにシステムに指令する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動永久磁石および選択カラム用のホルダを含む。蠕動ポンプは、チューブセット全体の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通る緩衝液の制御された流れおよび細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0374】
いくつかの局面におけるCliniMACSシステムは、無菌非発熱性溶液において供給される抗体カップリング磁化可能粒子を用いる。いくつかの態様において、細胞の磁性粒子での標識化後に、細胞を、洗浄して過剰の粒子を除去する。次いで、細胞調製バッグをチューブセットに接続し、これを次に、緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続する。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含むあらかじめ組み立てられた無菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムの開始後、システムは、自動的に細胞試料を分離カラム上にアプライする。非標識細胞が一連の洗浄工程によって除去される間、標識細胞は、カラム内に保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されておらず、カラムに保持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、標識されており、カラムに保持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法での使用のための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0375】
ある特定の態様において、分離工程および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。いくつかの局面におけるCliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムはまた、供給源細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する、搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば、末梢血は、赤血球、白血球、および血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば、細胞分化および増大、抗原負荷、ならびに長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを達成する、統合細胞培養チャンバも含むことができる。入力ポートは、培地の無菌除去および補充を可能にすることができ、細胞を、統合顕微鏡を用いてモニターすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0376】
いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れにおいて運ばれるフローサイトメトリーを介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団を、調製規模(FACS)選別を介して、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)。ある特定の態様において、本明細書に記載される細胞集団を、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって、収集し、かつ濃縮する(または枯渇させる)(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10:1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合も、細胞を、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする、複数のマーカーで標識することができる。
【0377】
いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、陽性および/または陰性選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づいてもよい。いくつかの例において、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、調製規模(FACS)を含む蛍光活性化細胞選別(FACS)、および/または、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、流体の流れにおいて行われる。そのような方法は、同時に複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を可能にする。
【0378】
いくつかの態様において、調製法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存するための工程を含む。いくつかの態様において、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球を、およびある程度まで、単球を除去する。いくつかの態様において、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかが、いくつかの局面において用いられてもよい。1つの例は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適している細胞凍結培地を用いることを含む。次いで、これを培地で1:1希釈して、DMSOおよびHSAの最終濃度が、それぞれ10%および4%になるようにする。次いで、細胞を、1分あたり1°の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
【0379】
いくつかの態様において、提供される方法は、育成、インキュベーション、培養、および/または遺伝子操作工程を含む。例えば、いくつかの態様において、枯渇させた細胞集団および培養開始組成物をインキュベートする、かつ/または操作するための方法が提供される。
【0380】
したがって、いくつかの態様において、細胞集団を、培養開始組成物においてインキュベートする。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞の培養もしくは育成のための他の容器などの、培養容器において実施され得る。
【0381】
いくつかの態様において、細胞を、遺伝子操作の前にまたはそれに関連して、インキュベートおよび/または培養する。インキュベーション工程は、培養、育成、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。いくつかの態様において、組成物または細胞を、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートする。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または、PSMAもしくはその改変型および組換え受容体、例えばCARの導入のためなどの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように、設計されたものが含まれる。
【0382】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された他の任意の作用物質のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0383】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達領域を活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動するかまたは開始する。そのような作用物質は、TCRに特異的な抗体などの抗体、例えば抗CD3を含むことができる。いくつかの態様において、刺激条件は、共刺激受容体を刺激することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。いくつかの態様において、そのような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。任意で、増大法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5 ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、刺激物質は、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。いくつかの局面において、IL-2濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0384】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されている技法などの技法に従って実施される。
【0385】
いくつかの態様において、T細胞を、培養開始組成物に、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダ細胞を添加すること(例えば、結果として生じる細胞の集団が、増大させるべき初期集団中の各Tリンパ球に対して少なくとも約5、10、20、もしくは40個、またはそれ以上のPBMCフィーダ細胞を含有するように);および培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)によって増大させる。いくつかの局面において、非分裂フィーダ細胞は、γ線照射PBMCフィーダ細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を阻止するために、約3000~3600ラドの範囲のγ線を照射される。いくつかの局面において、フィーダ細胞は、T細胞の集団の添加の前に、培養培地に添加される。
【0386】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適している温度、例えば、少なくとも約25℃、概して少なくとも約30℃、および概して37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダ細胞として添加することをさらに含んでもよい。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のγ線で照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダ細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダ細胞対初期Tリンパ球の比率などの、任意の適している量で提供される。
【0387】
いくつかの態様において、抗原特異的T細胞、例えば抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株またはクローンを、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染した対象からT細胞を単離すること、および細胞をインビトロで同じ抗原で刺激することによって生成することができる。
【0388】
E. 遺伝子操作のための方法
遺伝子操作された構成要素、例えば、PSMAまたはその改変型および組換え受容体、例えば、CARまたはTCRの導入のための様々な方法が、周知であり、提供される方法および組成物と共に用いられてもよい。例示的な方法には、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスもしくはレンチウイルス、非ウイルスベクター、またはトランスポゾン、例えばSleeping Beautyトランスポゾンシステムを介してのものを含む、ポリペプチドまたは受容体をコードする核酸の移入のためのものが含まれる。遺伝子移入の方法には、形質導入、エレクトロポレーション、または細胞中への遺伝子移入を結果としてもたらす他の方法が含まれ得る。
【0389】
いくつかの態様において、遺伝子移入は、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるような、増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激薬と細胞を組み合わせることなどにより、細胞を最初に刺激すること、ならびにその後続く、活性化細胞の形質導入、および臨床応用に十分な数までの培養における増大によって達成される。
【0390】
いくつかの状況において、対象における毒性に関連する因子などの刺激因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現が、対象において不要な成果またはより低い有効性を潜在的に結果としてもたらし得る可能性を防ぐことが望ましい場合がある。したがって、いくつかの状況において、操作された細胞は、養子免疫療法における投与時などに、細胞をインビボでの陰性選択を受けやすくさせる遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、細胞は、それらが投与される患者のインビボ状態における変化の結果として排除され得るように操作される。陰性選択可能な表現型は、投与される作用物質、例えば化合物に対する感受性を付与する遺伝子の挿入から結果として生じ得る。陰性選択可能な遺伝子には、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell 11 :223, 1977);細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼが含まれる(Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33 (1992))。
【0391】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞中に移入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを用いて、T細胞中に移入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照されたい)。
【0392】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類または哺乳類の細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは、典型的には両種指向性であり、これは、それらが、ヒトを含む数個の種の宿主細胞に感染できることを意味している。1つの態様において、発現されることになる遺伝子は、レトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列に取って代わる。いくつかの例証となるレトロウイルスシステムが、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852;Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0393】
レンチウイルス形質導入の方法は、公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0394】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションを介してT細胞中に移入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転位を介してT細胞中に移入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437;Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞において遺伝物質を導入し、発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されている通り)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子によって促進される微小粒子照射(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0395】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0396】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞は、増大中または増大後のいずれかに、例えば、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体、例えば、T細胞受容体(TCR)もしくはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸がトランスフェクトされてもよい。所望のポリペプチドまたは受容体の遺伝子の導入のためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適しているレトロウイルスベクターで実施することができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を、最初の刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放し、その後、第2のタイプの刺激で(例えば、新たに導入された受容体を介して)刺激することができる。この第2のタイプの刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)新しい受容体のフレームワーク内に直接に結合する任意のリガンド(抗体など)の形態における抗原刺激を含んでもよい。例えば、Cheadle et al, "Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy" Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0397】
追加の核酸、例えば、導入のための遺伝子の中には、例えば、移入された細胞の生存度および/または機能を促進することによって治療の有効性を改善するためのもの;例えば、インビボでの生存または局在化を評価するために、細胞の選択および/または評定用の遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;例えば、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)によって記載されているような、細胞をインビボでの陰性選択を受けやすくさせることによって安全性を改善するための遺伝子がある。また、有力な陽性選択可能なマーカーと陰性選択可能なマーカーとの融合に由来する二機能性の選択可能な融合遺伝子の使用を記載している、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報も参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号、第14欄~第17欄を参照されたい。
【0398】
上記のように、いくつかの態様において、細胞を、遺伝子操作の前にまたはそれに関連して、インキュベートおよび/または培養する。インキュベーション工程は、培養、育成、刺激、活性化、増殖、および/または保存のための凍結、例えば凍結保存を含むことができる。
【0399】
II. PSMAターゲティング分子
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、本明細書において提供される操作された細胞、例えば、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体、例えばCARを発現する操作された細胞と関連して、ならびに/または本明細書において提供される方法において用いられる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型に結合することができるか、またはPSMAもしくはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、1つもしくは複数の治療剤、および/またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する1つもしくは複数の部分、例えば検出可能な部分であるかまたはそれも含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型に結合することができる一部分、および治療剤、および/またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分、例えば検出可能な部分を含む。
【0400】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができ;かつ/またはPSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である。
【0401】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型への結合時に活性化される、切断される、かつ/もしくは放出される、または特定の条件、例えば、疾患もしくは障害の部位、位置、もしくは微小環境に近い条件の存在下で、例えば、腫瘍微小環境(TME)において活性化される、切断される、かつ/もしくは放出される、治療部分を含有する。
【0402】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分は、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、ナノ粒子、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤、および/またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれも含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤および/または部分、例えば検出可能な部分に連結されたかまたはコンジュゲートされた、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分であるかまたはそれを含む。
【0403】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMA、例えばヒトPSMAの検出および/または結合について公知のかつ利用可能な試薬である。PSMAは、低いバックグラウンド発現および組織特異的発現、後期前立腺がんにおける発現の増加、大きな細胞外ドメイン標的、ヒト生体適合性、利用可能なプローブの多様性、ならびに証明された臨床的有用性、ならびに内部移行およびエンドソームリサイクリングに基づいて、前立腺がんのイメージングのための標的として用いられている。低分子量核、蛍光、およびマルチモダリティイメージングプローブを含み、いくつかのPSMA結合リガンドが、前立腺がんのイメージングおよび治療剤の送達のために開発されている(Chen et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 2009, 390(3):624-629;Banerjee et al., Oncotarget 2011; 2(12): 1244-1253;以下もまた参照されたい:Maurer et al. (2016) Nature Reviews Urology 13:226-235; Rowe et al. (2016) Prostate Cancer Prostatic Dis. 19(3):223-230;Mease et al., (2013) Curr Top Med Chem. 13(8):951-962)。例示的な他のPSMAターゲティング分子を、以下に記載する。
【0404】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供し、または検出可能であるシグナルを誘導し、またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができ;かつ/または、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAに結合する公知のまたは利用可能なもの、例えば前立腺がんの処置および/または診断において用いられるものを含む。
【0405】
いくつかの態様において、また、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分、および免疫調節剤を含むPSMAターゲティング分子も提供される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫細胞の活性もしくは免疫応答を調節する、任意で増加させることができ、かつ/または腫瘍微小環境(TME)を調節することができる。
【0406】
A. PSMA結合部分
1. 小分子
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、リガンドおよび/または小分子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、リガンドおよび/または小分子であるかまたはそれを含む、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAの活性部位または基質結合部位に結合することができる小分子であるかまたはそれを含む。
【0407】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAのおよび/またはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/または選択的阻害剤であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAの阻害剤であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、および/または低分子量分子、および/または低分子量阻害剤であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、小分子、ならびに治療剤および/または検出可能な部分である、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分であるかまたはそれを含む。
【0408】
上記のように、PSMAは、N-アセチルアスパルチルグルタメート(NAAG)、トリ-α-グルタメートペプチド、およびポリ-γ-グルタミル葉酸などの内在性基質を切断する酵素部位をその細胞外ドメインに保有し、酵素部位は、2個の亜鉛イオンを含有し、グルタメートセンシングポケット(S1'ポケット)および非ファルマコフォアポケット(S1ポケット)の2つのポケットから構成されている。いくつかのPSMA阻害剤は、亜鉛結合部位およびグルタメートまたはグルタメートアイソスターを含有し、グルタメートまたはグルタメートアイソスターはS1'ポケットに存在する。非ファルマコフォアポケットは、アルギニンリッチ領域を含有し、中程度のサイズの親油性部分を融通することができる。
【0409】
いくつかの場合には、小分子PSMA阻害剤は、概して、グルタメートまたはグルタメートアイソスターに付着した亜鉛結合化合物であり、3つのファミリーの骨格:(1)ホスホナート、ホスファート、およびホスホルアミダート;(2)チオール;および(3)尿素に分類される。いくつかの態様において、骨格はヒドロキサメートである。いくつかの態様において、小分子骨格は、a)PSMA活性部位のS1'結合ポケット内に適合するためのグルタメート模倣物としてのペンタン二酸;およびb)PSMA活性部位で触媒性亜鉛原子と相互作用するための亜鉛結合基を含む、共通の特徴を共有する。尿素ベースの小分子、例えば尿素ベースのPSMA阻害剤は、その高い結合親和性および合成の単純さにより、生物学的イメージング、例えば、放射性核種を用いた、陽電子放射断層撮影法(PET)および単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)における使用のために開発されている。
【0410】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、例えば、
に記載されているいずれかを含む。
【0411】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ホスホナート、ホスファート、ホスホルアミダート、ホスフィナート、ヒドロキサメート、チオール誘導体、尿素、ペンタン二酸、またはその誘導体のうちの1つまたは複数であるかまたはそれを含む。
【0412】
いくつかの態様において、小分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、N-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。
【0413】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、高親和性陽電子放射リガンドである、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)であるかまたはそれを含む。
【0414】
2. 抗体
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAの細胞外部分の一部に結合することができる抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、抗体またはその抗原結合断片、ならびに治療剤および/または検出可能な部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体-薬物コンジュゲートおよび/または放射標識抗体である。
【0415】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択され、またはCDR3、VHおよび/もしくはVLを含み、かつ/またはPSMAに対する結合について競合し、または前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体であり、ここで、抗体の標的のうちの1つは、PSMAまたはその改変型である。
【0416】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、
に記載されているもの、またはその断片、そのコンジュゲート、もしくはその誘導体を含む。
【0417】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、111In-J591、99mTc-J591、89Zr-J591、177Lu-J591、90Y-J591、64Cu-J591、64Cu-3/A12 F(ab')2、64Cu-3/A12 Fab、111In-CYT356、90Y-CYT356、および89Zr-DFO-J591、またはその誘導体の中から選択される、放射標識抗体またはその抗原結合断片である。
【0418】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、J591-モノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびA5-シュードモナス外毒素A(PE40)の中から選択される抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であるかまたはそれを含む。
【0419】
3. アプタマー
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマーであるかまたはそれを含む、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAの細胞外部分の一部に結合することができるアプタマーであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、アプタマー、ならびに治療剤および/または検出可能な部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体-薬物コンジュゲートおよび/または放射標識抗体である。
【0420】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む。アプタマーは、親和性成熟を介して、標的分子、例えばPSMAに対する特異的結合について選択され得る、コンビナトリアルライブラリから単離された8~15 kDaのオリゴヌクレオチドまたはペプチドのいずれかである。アプタマーは、フォールディングして標的の表面に相補的である特有の三次元立体配座になることによって、標的に対する高い親和性および特異性を達成する。
【0421】
PSMAまたはその改変型に結合することができる例示的なアプタマーには、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートが含まれる。いくつかの態様において、アプタマーは、ナノ粒子、量子ドット、または放射性同位体をさらに含む。
【0422】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤または部分、例えば検出可能な部分に連結されているかまたはコンジュゲートされている、アプタマーであるかまたはそれを含む。例えば、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、アプタマー-ナノ粒子、アプタマー-量子ドット、アプタマー-ドキソルビシン、アプタマー-シスプラチン、A10-ドキソルビシン、A10-shRNA、A10-ナノ粒子、アプタマー-ポリアミドアミンポリエチレングリコール(PAMAM-PEG)、64Cu-標識DOTA-、NOTA-、および3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-S-4-(4-ニトロベンジル-3,6,9-三酢酸(PCTA)-A10、または生体適合性かつ生分解性のポリ(D,L-乳酸-コ-グリコール酸)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)コポリマー(PLGA-b-PEG)-A10で製剤化されたドセタキセルカプセル化ナノ粒子であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、例えば、Maurer et al. (2016) Nature Reviews Urology 13:226-235;Rowe et al. (2016) Prostate Cancer Prostatic Dis. 19(3):223-230;Mease et al., (2013) Curr Top Med Chem. 13(8):951-962;Osborne et al., (2013) Urol Oncol. 31(2): 144-154;Philipp Wolf (2011), Prostate Specific Membrane Antigen as Biomarker and Therapeutic Target for Prostate Cancer, Prostate Cancer - Diagnostic and Therapeutic Advances, Dr. Philippe E. Spiess (Ed.), Intech, pp.81-100に記載されているいずれかを含む。
【0423】
4. ペプチド
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ペプチドであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ペプチドであるかまたはそれを含む、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAの細胞外部分の一部に結合することができるペプチドであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、ペプチド、ならびに治療剤および/または検出可能な部分であるかまたはそれを含む。
【0424】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ペプチド、例えば、PSMAに結合することができるペプチドであるかまたはそれを含む。PSMAに結合することができる例示的なペプチドには、
が含まれる(例えば、US 8258256を参照されたい)。
【0425】
B. 治療剤
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、1つまたは複数の治療剤であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、治療剤は、疾患または障害または状態、例えば腫瘍の処置に関連して用いられるものである。いくつかの態様において、治療剤は、養子細胞療法、例えば、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞の投与での処置の効果を強化するかまたは増強することができる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子またはその一部分は、治療剤を、疾患または障害または状態、例えば腫瘍の部位に方向付けるかまたはターゲティングさせることができる。いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、放射線治療剤、および/または光増感剤である。
【0426】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる。いくつかの態様において、切断は、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。
【0427】
いくつかの態様において、治療剤は、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子剤、細胞、毒素、脂質、糖質、もしくはその組み合わせ、または任意の他のタイプの治療剤、例えば放射線治療薬、またはその任意のコンジュゲートもしくは組み合わせであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、治療剤は、小分子、抗体もしくはその抗原結合断片、阻害性核酸、例えば、siRNAもしくはshRNA、またはその任意のコンジュゲートもしくは組み合わせである。
【0428】
いくつかの態様において、治療剤を含むPSMAターゲティング分子を、細胞傷害剤を腫瘍にターゲティングさせることによって、標的細胞、例えば腫瘍細胞を除去するかまたは死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、治療剤を含むPSMAターゲティング分子を、例えば、細胞傷害剤を養子移入された細胞にターゲティングさせて、試料または対象の身体由来の養子移入された細胞、例えば、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞を除去するかまたは死滅させるために用いることができる。
【0429】
1. 免疫調節剤
いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤(本明細書において「免疫調節物質」とも呼ばれる)である。いくつかの局面において、免疫調節剤は、身体の免疫応答を直接または間接的に、抑制するかまたは活性化するかいずれかの物質である。例えば、腫瘍および/または病原体に対する免疫応答を刺激する免疫調節剤が、操作された細胞と組み合わせて用いられてもよい。
【0430】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型に結合することができる剤を含むPSMAターゲティング分子は、1つまたは複数の免疫調節剤を含有することができる。いくつかの態様において、1つまたは複数の免疫調節剤は、同じであるかまたは異なる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、2つ以上の異なる免疫調節剤を含有することができる。
【0431】
いくつかの態様において、治療剤は、例えば、免疫抑制性シグナル伝達を阻害するか、または免疫刺激性シグナル伝達を増強することによって、抗腫瘍免疫応答を刺激する、増幅する、かつ/または他の方法で増強することができる任意の免疫調節剤であることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ペプチド、タンパク質であるか、または小分子である。いくつかの態様において、タンパク質は、融合タンパク質または組換えタンパク質であることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫学的標的、例えば、T細胞、B細胞、または抗原提示細胞などの免疫細胞上に発現された細胞表面受容体に結合する。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片、融合タンパク質、小分子、またはポリペプチドである。
【0432】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント経路を阻害するかまたは調節する。免疫系は、自己寛容の維持に関与する、および免疫応答を調節するための、複数の阻害経路を有する。腫瘍は、特に腫瘍抗原に特異的であるT細胞に対する免疫耐性の主要な機構として、ある特定の免疫チェックポイント経路を使用できることが公知である(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。多くのそのような免疫チェックポイントは、リガンド-受容体相互作用によって開始されるため、それらは、リガンドおよび/またはその受容体に対する抗体によって容易に遮断することができる。
【0433】
そのため、小分子、核酸阻害剤(例えばRNAi)、または抗体分子などの免疫チェックポイント経路を遮断するアンタゴニスト分子での治療法は、がんおよび他の疾患のための免疫療法の有望な手段になってきている。抗がん剤の大多数とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、必ずしも腫瘍細胞を直接標的とせず、むしろ、免疫系の内在性抗腫瘍活性を増強するために、リンパ球受容体またはそのリガンドを標的とする(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。
【0434】
本明細書において用いられる場合、「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、1つまたは複数のチェックポイントタンパク質を全体的にまたは部分的に低減させる、阻害する、干渉する、または調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性または阻害性の相互作用を担う。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容ならびに生理的免疫応答の持続期間および大きさを制御し、かつ維持する。
【0435】
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害経路を統計学的に有意な様式で遮断するかまたは阻害する、任意の剤を含む。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント分子の機能、または免疫チェックポイント分子を含むシグナル伝達経路を阻害または遮断することができる。そのような阻害剤は、小分子阻害剤を含んでもよく、または、免疫チェックポイント受容体リガンドに結合し、かつそれを遮断もしくは阻害する抗体またはその抗原結合断片を含んでもよい。遮断または阻害のために標的とされ得る、例証となる免疫チェックポイント分子には、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG-3(CD223)、TIM3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、CD40L、ICOS、ICOS-L、OX40(CD134、TNFRSF4)、OX40L、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、CD28、VISTA、CD27、CD30、STING、A2Aアデノシン受容体、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、すべてのNK、γδ、およびメモリーCD8+(αβ)T細胞上に発現される)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049が含まれるが、それらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG3、TIM3、4-1BB、4-1BBL、GITR、CD40、CD40L、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、CXCR2、TAA、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、CD28、VISTA、CD27、CD30、STING、A2Aアデノシン受容体、KIR、2B4、CD160、およびCGEN-15049のうちの1つまたは複数に結合し、かつその活性を遮断または阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質を含む。例証となる免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断剤)、ニボルマブ(抗PD-1抗体)、CT-011(抗PD-1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PD-L1抗体)、BMS-936559(抗PD-L1抗体)、MPLDL3280A(抗PD-L1抗体)、MSB0010718C(抗PD-L1抗体)、およびYervoy/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が含まれる。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン受容体または細胞外アデノシン、任意で、アデノシン2A受容体(A2AR)もしくはアデノシン2B受容体(A2BR)、またはアデノシン、または前述のいずれかを含む経路の中から選択される。
【0436】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。そのような抗体の例には、ダクリズマブ(Zenapax)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MPDL3280A、ピディリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(HCD122)、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(アベルマブ)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、ARGX-115、エマクツズマブ、CC-90002、およびMNRP1685A、またはその抗体結合断片が含まれるが、それらに限定されない。
【0437】
いくつかの態様において、免疫を調節する剤はサイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境においてサイトカインの発現の増加を誘導する剤である。「サイトカイン」とは、細胞間媒介物質として別の細胞に対して作用する、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質についての総称的用語を意味する。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;サイロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-αおよび-β;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-βなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF-αおよびTGF-βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン-α、β、および-γなどのインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF)、および顆粒球-CSF (G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF); IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15などのインターロイキン(IL);TNF-αまたはTNF-βなどの腫瘍壊死因子;ならびに、LIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において用いられる場合、サイトカインという用語は、天然の供給源由来または組換え細胞培養由来のタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性を有する等価物を含む。例えば、免疫調節剤はサイトカインであり、サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSF、またはIL-2である。いくつかの態様において、サイトカインは、PDGF、TGF-β、VEGF、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、エンドセリン-1、またはIL-10を含む。いくつかの態様において、サイトカインは、IL-12またはIL-2である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、1つまたは複数のインターロイキンまたは他のサイトカインを含有することができる。例えば、インターロイキンは、天然のサイトカインの組み合わせである白血球インターロイキン注射(Multikine)を含むことができる。
【0438】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞の免疫原性を増強するもの、例えばpatupilone(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)ターゲティングモノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、およびエンチノスタット)、n3-多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、プロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)、シコニン(ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根の主成分)、ならびにTVec(タリモジーン・ラハーパレプベック)などの腫瘍溶解性ウイルスであることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、がんまたは腫瘍の免疫原性細胞死を活性化し、例えばアントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非ICD誘導物質、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、エピジェネティック療法、例えばDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、デシタビン、5-アザ-2'-デオキシシチジン)であることができる。
【0439】
例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍関連抗原(TAA)の発現を制御できるDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であることができる。TAAは、免疫応答を誘発する、腫瘍細胞において生じる抗原物質である。TAAは多くの場合、免疫系を回避するために、腫瘍においてDNAメチル化によって下方制御される。DNAメチル化の逆転は、TAA発現を回復させ、腫瘍細胞の免疫原性を増加させる。例えば、デシタビン(5-アザ-2'-デオキシシチジン)などの脱メチル化剤は、腫瘍細胞においてTAAの発現を上方制御して、がん性細胞の免疫認識を増加させることができる。
【0440】
例示的な免疫調節剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan、Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、およびバシリキシマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002、およびMNRP1685Aを含むことができるが、それらに限定されず、またはその抗体結合断片である。
【0441】
いくつかの態様において、治療剤は、アデノシンレベルを調節し、かつ/またはアデノシン経路構成要素の活性もしくは量を調節する剤である。アデノシンは、身体において免疫調節剤として機能することができる。例えば、アデノシン、およびアデノシン受容体サブタイプを非選択的に活性化するいくつかのアデノシン類似体は、炎症性酸化産物の好中球産生を減少させる(Cronstein et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 451:291, 1985;Roberts et al., Biochem. J., 227:669, 1985;Schrier et al., J. Immunol. 137:3284, 1986;Cronstein et al., Clinical Immunol. Immunopath. 42:76, 1987)。いくつかの場合には、細胞外アデノシンまたはアデノシン類似体の濃度は、特異的な環境、例えば腫瘍微小環境(TME)において増加し得る。いくつかの場合には、アデノシンまたはアデノシン類似体シグナル伝達は、低酸素、または低酸素に関与する因子もしくはその制御、例えば低酸素誘導因子(HIF)に依存する。いくつかの態様において、アデノシンシグナル伝達の増加は、細胞内cAMPおよびcAMP依存性タンパク質キナーゼを増加させて、炎症誘発性サイトカイン産生の阻害を結果としてもたらすことができ、かつ、免疫抑制分子の合成およびTregの発生をもたらすことができる(Sitkovsky et al., Cancer Immunol Res (2014) 2(7):598-605)。いくつかの態様において、治療剤は、アデノシン、アデノシン類似体、および/またはアデノシンシグナル伝達の免疫抑制効果を低減させるかまたは逆転させることができる。いくつかの態様において、治療剤は、低酸素により駆動されるA2-アデノシン作動性T細胞免疫抑制を低減させるかまたは逆転させることができる。いくつかの態様において、治療剤は、アデノシン受容体のアンタゴニスト、細胞外アデノシン分解剤、CD39/CD73細胞外酵素によるアデノシン生成の阻害剤、および低酸素-HIF-1αシグナル伝達の阻害剤の中から選択される。いくつかの態様において、治療剤は、アデノシン受容体アンタゴニストまたはアゴニストである。
【0442】
いくつかの態様において、治療剤は、細胞外アデノシンの阻害剤(例えば、細胞外アデノシンの形成を阻止する、細胞外アデノシンを分解する、不活性にする、かつ/もしくは減少させる剤)の効によって、細胞外アデノシンもしくはアデノシン受容体を阻害するかもしくは低減させることができ、かつ/または、アデノシン受容体阻害剤(例えばアデノシン受容体アンタゴニスト)は、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、T細胞および/もしくはB細胞媒介性の応答などの、免疫応答を増強することができる。加えて、Gsタンパク質媒介性のcAMP依存性細胞内経路の阻害剤およびアデノシン受容体誘発性のGiタンパク質媒介性細胞内経路の阻害剤もまた、急性および慢性の炎症を増加させ得る。
【0443】
いくつかの態様において、治療剤は、A2受容体(A2R)アンタゴニストである。例示的なA2Rアンタゴニストには、KW6002(イストラデフィリン)、SCH58261、カフェイン、パラキサンチン、3,7-ジメチル-1-プロパルギルキサンチン(DMPX)、8-(m-クロロスチリル)カフェイン(CSC)、MSX-2、MSX-3、MSX-4、CGS-15943、ZM-241385、SCH-442416、プレラデナント、ビパデナント(BII014)、V2006、ST-1535、SYN-115、PSB-1115、ZM241365、FSPTP、およびA2R発現を標的とする阻害性核酸、例えば、siRNAもしくはshRNA、またはA2Rを標的とする任意の抗体もしくはその抗原結合断片が含まれるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、治療剤は、例えば、Ohta et al., Proc Natl Acad Sci U S A (2006) 103:13132-13137;Jin et al., Cancer Res. (2010) 70(6):2245-2255;Leone et al., Computational and Structural Biotechnology Journal (2015) 13:265-272;Beavis et al., Proc Natl Acad Sci U S A (2013) 110:14711-14716;およびPinna, A., Expert Opin Investig Drugs (2009) 18:1619-1631;Sitkovsky et al., Cancer Immunol Res (2014) 2(7):598-605;US 8,080,554;US 8,716,301;US 20140056922;WO2008/147482;US 8,883,500;US 20140377240;WO02/055083;US 7,141,575;US 7,405,219;US 8,883,500;US 8,450,329およびUS 8,987,279に記載されているA2Rアンタゴニストである。
【0444】
ある特定の態様において、治療剤は、対象に対する、アデノシンデアミナーゼ(ADA)またはその改変型、例えば、組換えADAおよび/またはポリエチレングリコール改変ADA(ADA-PEG)である。アデノシンデアミナーゼは、細胞外アデノシンの局所組織蓄積を阻害することができる。ADA-PEGは、ADA SCIDを有する患者の処置において用いられている(Hershfield (1995) Hum Mutat. 5:107)。いくつかの態様において、細胞外アデノシンの形成を阻止するかもしくは減少させ、かつ/または細胞外アデノシンの蓄積を阻止するかもしくは減少させ、それによってアデノシンの免疫抑制効果を無効にするかまたは実質的に減少させる剤を含む、細胞外アデノシンを阻害する剤が、対象に投与される。いくつかの態様において、核転写因子の調節物質を含む、炎症誘発性分子の合成および/または分泌の制御に関与する酵素およびタンパク質を特異的に阻害する剤が、対象に投与される。アデノシン受容体発現、またはGsタンパク質もしくはGiタンパク質依存性細胞内経路、またはcAMP依存性細胞内経路の発現の抑制は、免疫応答の増加/増強を結果としてもたらし得る。
【0445】
いくつかの態様において、治療剤は、細胞外アデノシンを生成するかまたは産生する細胞外酵素を標的とする剤である。いくつかの態様において、剤は、細胞外アデノシンを生成するために協力して機能する、CD39およびCD73細胞外酵素を標的とする。CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼとも呼ばれる)は、細胞外ATP(またはADP)を5'AMPに変換する。その後、CD73(5'ヌクレオチダーゼとも呼ばれる)が、5'AMPをアデノシンに変換する。CD39の活性は、NDPキナーゼおよびアデニル酸キナーゼの作用によって可逆的であるのに対し、CD73の活性は不可逆的である。CD39およびCD73は、内皮細胞およびTregを含む腫瘍間質細胞上に、ならびに多くのがん細胞上にも発現される。例えば、内皮細胞上のCD39およびCD73の発現は、腫瘍微小環境の低酸素条件下で増加する。腫瘍低酸素は、不十分な血液供給および無秩序な腫瘍血管系から結果として生じ、酸素の送達を損ない得る(Carroll and Ashcroft (2005), Expert. Rev. Mol. Med. 7(6):1-16)。低酸素はまた、アデノシンをAMPに変換するアデニル酸キナーゼ(AK)も阻害し、非常に高い細胞外アデノシン濃度をもたらす。したがって、アデノシンは、固形腫瘍におけるまたはその周囲の腫瘍微小環境(TME)で頻繁に起こる状態である低酸素に応答して、高濃度で放出される。いくつかの態様において、治療剤は、抗CD39抗体またはその抗原結合断片、抗CD73抗体またはその抗原結合断片、例えば、MEDI9447またはTY/23、α-β-メチレン-アデノシン二リン酸(ADP)、ARL67156、POM-3、IPH52のうちの1つまたは複数である(例えば、Allard et al. Clin Cancer Res (2013) 19(20):5626-5635;Hausler et al., Am J Transl Res (2014) 6(2):129-139;Zhang, B., Cancer Res. (2010) 70(16):6407-6411を参照されたい)。
【0446】
2. 細胞傷害剤
いくつかの態様において、治療剤は細胞傷害剤である。いくつかの態様において、治療剤は、特異的な細胞、例えば、PSMAターゲティング分子によって標的とされる細胞、または操作された細胞および/もしくはPSMAターゲティング分子によって標的とされる微小環境中の細胞を死滅させることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞のうちの1つまたは複数の、および/または、組換え受容体によって特異的に認識される対象中に存在する細胞もしくは組織、例えば、腫瘍細胞もしくはがん細胞の、死滅または破壊を誘導する。
【0447】
いくつかの態様において、細胞傷害剤である治療剤を含むPSMAターゲティング分子は、例えば、対象への操作された細胞の投与後に、操作された細胞の自殺を誘発するために、操作された細胞を除去するかまたは破壊するために、本明細書において提供される操作された細胞に関連して用いることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、細胞傷害剤に連結されたかまたはコンジュゲートされた、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含む。
【0448】
いくつかの態様において、細胞傷害剤である治療剤を含むPSMAターゲティング分子は、細胞傷害剤を、操作された細胞および/またはPSMAターゲティング分子によって標的とされる微小環境中である、対象中に存在する細胞、例えば、組換え受容体によって特異的に認識される対象中に存在する細胞または組織にターゲティングさせるために、投与することができる。例えば、いくつかの態様において、細胞傷害剤を、腫瘍微小環境(TME)にターゲティングさせることができる。
【0449】
いくつかの態様において、細胞傷害剤である治療剤を含むPSMAターゲティング分子の投与は、健常組織または健常細胞の、操作された細胞を含有しないかつ/または抗原を発現しない組織または組織の、死滅または破壊を誘導しないか、または実質的に誘導しない。
【0450】
いくつかの場合には、細胞傷害剤は、毒素または放射性金属であることができる。他の細胞傷害剤には、細胞傷害性構成要素(例えば、抗有糸分裂薬(例えばビンデシン)、抗葉酸薬、アルキル化剤(例えばテモゾロミド)、細菌毒素、リシン、抗ウイルス薬、放射性同位体、放射性金属などの化学療法薬)が含まれるが、それらに限定されない。細胞傷害剤を含むそのようなPSMAターゲティング分子は、例えば、組換え受容体の活性が望ましくない場合に、操作された細胞を特異的に死滅させるかまたは無能にするために有用であり得る。他の態様において、細胞傷害剤を含むPSMAターゲティング分子は、疾患または障害または状態、例えば、腫瘍またはがん細胞に関与する細胞を標的とするために用いることができる。
【0451】
いくつかの態様において、細胞毒性試薬は、AB毒素と称される、酵素(A単位)を細胞中に能動的に転位させる輸送タンパク質(B単位または結合単位)を用いる、細菌毒素の主要なクラスに属する細菌毒素である。AB毒素の例には、ボツリヌス神経毒素、炭疽毒素、ジフテリア毒素、志賀毒素、志賀様毒素、外毒素A、およびコレラ毒素が含まれる。これらの毒素のすべての間で類似した作用機構のために、これらの毒素はすべて、本発明の様々な局面において働くことが企図される。これらの毒素および様々な他の毒素のAおよびB構成要素は、周知である。
【0452】
細菌毒素は、しばしば、AおよびBと称される2つの機能的に別個の部分を有する。「A」構成要素は、通常「活性」部分であり、「B」構成要素は、通常「結合」部分である。したがって、A部分または構成要素は、触媒活性を含有し、他方、B部分または構成要素は、A部分の標的細胞中への細胞質送達に必要とされる決定基を保有する。これらの送達決定基は、受容体結合活性を含み、かつ常にではないが多くの場合、膜透過活性を含む。ジフテリア毒素などの多くの細菌毒素は、単一ポリペプチド内に両方の部分を含有する。対照的に、炭疽毒素は、AおよびBの機能が別々のタンパク質に存在するクラスである、いわゆる二成分毒素のメンバーである。AおよびBの機能を有するタンパク質は、別々であるが、細胞の中毒の最中に相互作用する。炭疽毒素は、2つの代替的なA部分である浮腫因子(EF;89 kDa)および致死因子(LF;89 kDa)の細胞質中への送達のために、単一のB部分である防御抗原(PA;83 kDa)を用いる(細菌毒素の例については、国際特許出願公開番号WO2012096926を参照されたい)。
【0453】
いくつかの局面において、毒素は、ペプチド毒素、リシンA鎖毒素、アブリンA鎖、ジフテリア毒素(DT)A鎖、シュードモナス外毒素、志賀毒素A鎖、ゲロニン、モモルジン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、トリコサンチン、プロアエロリジン、またはオオムギ毒素である。いくつかの態様において、ペプチド毒素は、SEQ ID NO:34に示されるアミノ酸配列を含む。
【0454】
いくつかの態様において、例示的な細胞傷害剤には、例えば、CPX-351(Celator Pharmaceuticals)、シタラビン、ダウノルビシン、ボサロキシン(Sunesis Pharmaceuticals)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals)、イダルビシン、またはミトキサントロンが含まれる。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、低メチル化剤、例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジンまたはデシタビンである。
【0455】
3. 抗がん剤
いくつかの態様において、治療剤は抗がん剤である。いくつかの態様において、抗がん剤は、その使用が対象においてがんを低減させる、停止する、または阻止することができる任意の剤を含むことができる。いくつかの態様において、抗がん剤は、単独でまたは他の化合物と組み合わせて用いられた場合に、腫瘍およびがんに関連する臨床症状または診断マーカーを緩和する、低減させる、改善する、阻止する、またはそれらの寛解の状態に置くかもしくは維持することができる任意の剤を含み、本明細書において提供される組み合わせおよび組成物において用いることができる。いくつかの態様において、抗がん剤は、その治療効果が概して、腫瘍微小環境または腫瘍空間中への抗がん剤の透過または送達に関連しているものである。
【0456】
いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤、白金薬、代謝拮抗物質、抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗新生物剤、または抗体もしくはその抗原結合抗体断片、またはその組み合わせである。いくつかの態様において、抗がん剤は、ペプチド、タンパク質、または小分子薬物である。
【0457】
いくつかの態様において、抗がん剤は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフィベルセプト(ziv-afibercept)、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トプテカン(toptecan)、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチンウェーガー(carmustine wager)、テモゾロミド、メトトレキサート、カパシタビン(capacitabine)、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソームシタラビン、シタラビン、インターフェロンα、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムシン(lomusine)、プロカルバジン、スニチニブ、ソマストスタチン(somastostatin)、ドキソルビシン、ペグ化リポソームカプセル化ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イクサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレドチド(lanredtide)、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ(dasantinib)、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セルチニブ(certinib)、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキソリプラチン(oxoliplatin)、またはアウロロピリミジン(auroropyrimidine)である。
【0458】
いくつかの態様において、抗がん剤は、抗体または抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗がん剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セルチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、もしくはビスモデギブ、またはその抗原結合抗体断片のうちのいずれか1つまたは複数であることができる。
【0459】
いくつかの態様において、抗がん剤はアルキル化剤である。アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成することおよびDNA合成を阻害することによって、DNAを直接損傷する化合物である。例示的なアルキル化剤には、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、およびチオテパ、ならびに、カルムスチンおよびロムスチンなどのニトロソ尿素アルキル化剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0460】
いくつかの態様において、抗がん剤は白金薬である。白金薬は、DNAに結合してその架橋を引き起こし、これが最終的にアポトーシスを誘発する。例示的な白金薬には、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、およびlipoplatinが含まれるが、それらに限定されない。
【0461】
いくつかの態様において、抗がん剤は代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、RNAおよびDNAの正常の構成単位に取って代わることによって、DNAおよびRNAの成長を干渉する。これらの剤は、細胞の染色体が複製されている時であるS期中に、細胞を損傷する。いくつかの場合には、白血病を、乳房、卵巣、および腸管のがんを、ならびに他のタイプのがんを処置するために、代謝拮抗物質を用いることができる。例示的な代謝拮抗物質には、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、およびペメトレキセド(Alimta(登録商標))が含まれるが、それらに限定されない。
【0462】
いくつかの態様において、抗がん剤は抗腫瘍性抗生物質である。抗腫瘍性抗生物質は、がん細胞の内部のDNAを、それらが成長しないようにかつ倍増しないように変更することによって働く。アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素を干渉する抗腫瘍性抗生物質である。これらの薬物は概して、細胞周期のすべての期において働く。それらは、様々ながんについて広範に用いることができる。例示的なアントラサイクリンには、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、およびイダルビシンが含まれるが、それらに限定されない。他の抗腫瘍性抗生物質には、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-C、およびミトキサントロンが含まれる。
【0463】
いくつかの態様において、抗がん剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。これらの薬物は、DNAの鎖を、それらがS期中に複製され得るように分離するのを手助けする、トポイソメラーゼと呼ばれる酵素を干渉する。トポイソメラーゼ阻害剤は、ある特定の白血病を、ならびに肺、卵巣、胃腸、および他のがんを処置するために用いることができる。例示的なトポイソメラーゼ阻害剤には、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、エトポシド(VP-16)、テニポシド、およびミトキサントロンが含まれるが、それらに限定されない。
【0464】
いくつかの態様において、抗がん剤は有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は多くの場合、植物アルカロイド、および天然の植物産物に由来する他の化合物である。それらは、細胞周期のM期において有糸分裂を止めることによって働くが、いくつかの場合には、酵素が細胞再生産に必要とされるタンパク質を作らないようにすることによって、すべての期において細胞を損傷することができる。例示的な有糸分裂阻害剤には、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、イクサベピロン(Ixempra(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、およびエストラムスチン(Emcyt(登録商標))が含まれるが、それらに限定されない。
【0465】
いくつかの態様において、抗がん剤はコルチコステロイドである。多くの場合にステロイドと単純に呼ばれるコルチコステロイドは、多くのタイプのがんの処置において有用である、天然のホルモンおよびホルモン様薬物である。コルチコステロイドはまた、アレルギー反応を阻止する手助けをするために化学療法の前に、ならびに吐き気および嘔吐を阻止する手助けをするために化学療法の最中および後に、用いることもできる。例示的なコルチコステロイドには、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))が含まれるが、それらに限定されない。
【0466】
いくつかの態様において、抗がん剤は、別のタイプの化学療法薬、例えばプロテオソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤である。いくつかの態様において、治療剤には、アントラサイクリン(例えば、リポソームドキソルビシンなどのドキソルビシン);ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン);アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン(decarbazine)、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド);免疫細胞抗体(例えば、アレムツザマブ(alemtuzamab)、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ);代謝拮抗物質(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えばフルダラビンを含む);TNFRグルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト;プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシン、もしくはボルテゾミブ);または、サリドマイドもしくはサリドマイド誘導体(例えばレナリドミド)などの免疫調節剤が含まれる。
【0467】
4. 放射線治療剤
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、放射線治療剤であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、治療剤は、放射線治療剤であり、かつ/または放射性同位体、放射性金属、および/もしくは放射性核種を含有する。いくつかの態様において、放射性同位体、放射性金属、および/または放射性核種を含有する治療剤はまた、診断および放射線療法にも用いることができる。例示的な放射性同位体、放射性金属、および/または放射性核種には、103Pd、105Rh、108Ag、111In、117mSn、11C、123I、124I、125I、131I、131Cs、133Xe、137Cs、149Pm、153Sm、165Dy、166Ho、169Er、169Yb、177Lu、177Yb、186Re、188Re、18F、192Ir、201T1、210Po、211At、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、47Sc、51Cr、55Co、60Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、67Ga、68Ga、68Ge、75Se、82Rb、86Y、87Y、89Sr、89Zr、90Y、および99mTcが含まれる。
【0468】
いくつかの態様において、放射線治療剤は、強いβ放射体である放射性同位体、放射性金属、および/または放射性核種を含む。いくつかの態様において、放射線治療剤は、単一光子放射によっても崩壊し、ガンマカメラでイメージングすることができるβ粒子を放射する放射性核種である177Lu、または68Gaを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、177Luおよび/または68Gaを含む。
【0469】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、放射標識抗体、例えば177Lu-J591、または放射性リガンド、例えば177Lu-DKFZ-617である。PSMAターゲティング分子に含まれ得る他の例示的な放射線治療剤には、例えば、Maurer et al. (2016) Nature Reviews Urology 13:226-235;Rowe et al. (2016) Prostate Cancer Prostatic Dis. 19(3):223-230;Mease et al., (2013) Curr Top Med Chem. 13(8):951-962に記載されているものが含まれる。
【0470】
5. 光増感剤
いくつかの態様において、治療剤は光増感剤を含む。光増感剤には、特異的な波長の光によって励起され得る化学化合物が含まれる。いくつかの態様において、光増感剤である治療剤を含むPSMAターゲティング分子の結合の効によって、光増感剤の効果および光線力学療法(PDT)を、特定の細胞、部位、場所、または微小環境に方向付けるかまたはターゲティングさせることができる。いくつかの態様において、光増感剤は、ピロフェオホルビド-a(Ppa)またはYC-9を含む(例えば、Chen et al. (2016) J Photochem Photobiol B 167:111-116;Liu et al. (2010) Cancer Lett, 296(1): 106-112;Liu et al. (2009) The Prostate 69(6): 585-594;Liu et al. (2010) Int J Oncol, 36(4):777-784を参照されたい)。
【0471】
C. 検出可能な部分
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する、1つまたは複数の部分であるかまたはそれを含む。例えば、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、検出可能な部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する1つまたは複数の部分、例えば、検出可能な部分に結合することができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、検出可能な部分に連結されているか、または検出可能なシグナルを生じることができる。いくつかの態様において、部分を含むPSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型の結合時に切断されることができるか、または腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つもしくは複数の条件もしくは要因の存在下で切断されることができ、その切断は、部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。
【0472】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、イメージングプローブ、検出試薬、イメージングモダリティ、または検出可能な標識であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、検出試薬は放射性リガンドを含む。いくつかの態様において、イメージングプローブ、検出試薬、イメージングモダリティ、または検出可能な標識は、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、発色性化合物、量子ドット、ナノ粒子、金属キレート、酵素、酸化鉄ナノ粒子、または、X線、CTスキャン、MRIスキャン、PETスキャン、超音波、フローサイトメトリー、近赤外イメージングシステム、もしくは他のイメージングモダリティによる検出のための他の公知のイメージング剤を含む(例えば、Yu et al., Theranostics (2012) 2:3を参照されたい)。
【0473】
いくつかの態様において、部分、例えば、検出可能な部分は、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、発色性化合物、量子ドット、ナノ粒子、金属キレート、または酵素を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、任意で放射性リガンドである、イメージングプローブまたは検出試薬を含む。いくつかの例において、検出可能な部分は、蛍光タンパク質または蛍光標識または蛍光体を含有する。いくつかの態様において、結合分子は、イメージングモダリティにコンジュゲートされている。
【0474】
いくつかの態様において、検出可能な部分は、Alexa Fluor(登録商標) 488 または関連した蛍光体;Alexa Fluor(登録商標) 647または関連した蛍光体;Alexa Fluor(登録商標) 680もしくは700 または関連した蛍光体;AmCyanもしくはBD Horizon V500 または関連した蛍光体;APCもしくはAlexa Fluor(登録商標) 647 または関連した蛍光体;APCまたは関連した蛍光体;APC-Cy7もしくはAPC-H7または関連した蛍光体;BD Horizon PE-CF594または関連した蛍光体;BD Horizon V450 または関連した蛍光体;Brilliant Violet 41または関連した蛍光体;FITCまたは関連した蛍光体;PEまたは関連した蛍光体;PE-Cy7または関連した蛍光体;PERCP-Cy5.5または関連した蛍光体;PE-Texas Red(登録商標)または関連した蛍光体の中から選択される蛍光体を含む。
【0475】
例示的な標識には、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、3H、もしくは32P、および/またはクロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y))が含まれる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、任意で103Pd、105Rh、108Ag、111In、117mSn、11C、123I、124I、125I、131I、131Cs、133Xe、137Cs、149Pm、153Sm、165Dy、166Ho、169Er、169Yb、177Lu、177Yb、186Re、188Re、18F、192Ir、201T1、210Po、211At、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、47Sc、51Cr、55Co、60Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、67Ga、68Ga、68Ge、75Se、82Rb、86Y、87Y、89Sr、89Zr、90Y、および99mTcの中から選択される、放射性同位体、放射性金属、および/または放射性核種を含む。
【0476】
いくつかの態様において、例示的な検出可能な部分または標識には、様々な酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が含まれる。適している酵素の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる。適している補欠分子団複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる。適している蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロ[pi]アジニルアミンフルオレセイン(dichlorot[pi]azinylamine fluorescein)、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、GFP、またはBFPが含まれる。発光物質の例には、ルミノールおよび量子ドット(Quantum Dot Corporation, Palo Alto, Calif.によって供給されるQdot(商標)ナノ粒子)が含まれる。生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれる。いくつかの態様において、例示的な検出可能な部分または標識には、検出可能であることができ、かつ視覚的に、または分光光度計、ルミノメーター、蛍光光度計、もしくは他の関連した方法を用いることによってモニターすることができる、発光タンパク質または生物発光タンパク質が含まれる。いくつかの態様において、レポーターは、生物発光を生じる酵素、例えば、発光する基質を変換することができる酵素、例えば、ルシフェラーゼまたはそのバリアントなどの、検出可能な部分である。発光タンパク質または生物発光を生じる酵素の非限定的な例には、例えば、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質、例えば赤色、青色、および緑色蛍光タンパク質(例えば、ウミシイタケ属(Renilla)の種および他の種由来のGFPを提供する米国特許第6,232,107号を参照されたい)、大腸菌(E. coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が含まれる。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)、ならびに蛍光タンパク質およびそのバリアント、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばsuper-fold GFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRed、またはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにそのバリアントが、蛍光タンパク質の種バリアント、単量体バリアント、ならびにコドン最適化および/または増強バリアントを含めて、含まれる。ルシフェラーゼおよびそのバリアントには、ホタル(フォチヌス・ピラリス(Photinus pyralis))、ウミシイタケ(レニラ・レニフォルミス(Renilla reniformis))、フォトバクテリウム属の種(ビブリオ・フィッシェリ(Vibrio fischeri)、ビブリオ・ハウェイ(Vibrio haweyi)、およびビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi))、渦鞭毛藻類、海洋カイアシ類(メトリディア・ロンガ(Metridia longa))、深海エビ(オプロフォルス(Oplophorus))、およびジャック・オー・ランタンキノコ(オムファロツス・オレアリウス(Omphalotus olearius))由来のルシフェラーゼ、ならびにそのバリアントが、コドン最適化および/または増強バリアントを含めて、含まれ得る。いくつかの態様において、レポーター分子は、赤色蛍光タンパク質(RFP)、任意でtdTomatoである。
【0477】
D. 構成要素の連結
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分、ならびに治療剤、および/またはシグナルを提供するかもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分、例えば、検出可能な部分を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤をさらに含み、該治療剤は、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子またはその一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分をさらに含み、該部分は、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子またはその一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている。
【0478】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、例えば、PSMAもしくはその改変型への結合時におよび/または特定の条件の存在下で、切断されることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子の構成要素、例えばその一部分は、PSMAに結合することができ、かつ治療剤、および/またはシグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分は、連結され、該連結は、例えば、PSMAもしくはその改変型への結合時におよび/または特定の条件の存在下で、切断されることができる。いくつかの態様において、構成要素は、リンカーを介して間接的に連結され、該リンカーは、例えば、PSMAもしくはその改変型への結合時におよび/または特定の条件の存在下で、切断されることができる。
【0479】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができ、かつ/またはPSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができ、かつ/またはPSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる。
【0480】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型に結合することができる部分と、治療剤および/または部分、例えば、検出可能な部分との間の連結は、特異的な条件下で切断されるかまたは放出されることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型の結合時に切断されることができるか、または腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つもしくは複数の条件もしくは要因の存在下で切断されることができ、治療剤および/または部分、例えば、検出可能な部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、切断は、治療剤を活性化し、かつ/またはPSMAもしくはその改変型を結合することができる一部分から治療剤を放出し、これが、剤の部位、場所、または微小環境へのターゲティングおよび/または送達を可能にする。いくつかの態様において、部分を含むPSMAターゲティング分子は、PSMAもしくはその改変型の結合時に切断されることができるが、または腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つもしくは複数の条件もしくは要因の存在下で切断されることができ、その切断は、部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。
【0481】
いくつかの態様において、リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチドであるか、または化学的リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである。
【0482】
いくつかの態様において、リンカーは、PSMAターゲティング分子によるPSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断は、治療剤および/または部分、例えば、検出可能な部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断は、治療剤および/もしくは部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらし、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である。
【0483】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるPSMAターゲティング分子の構成要素は、任意で、直接または間接的な、任意でリンカーを介した、治療剤または部分、例えば、検出可能な部分であるかまたはそれを含むことができる。いくつかの態様において、連結は、共有結合性または非共有結合性である。
【0484】
いくつかの態様において、連結または付着は、例えばリンカー、結合部分もしくはドメイン、または反応基を介する間接的連結を含む。いくつかの態様において、連結は、PSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分の直接相互作用を含む。他の態様において、PSMAターゲティング分子の構成要素の一方または両方またはすべては、1つまたは複数のリンカーに連結され、相互作用は、例えば、分子のうちの1つと別の分子とに付着したリンカーの間で、または、各々がPSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分に付着した2つのリンカーの間で、間接的である。いくつかの態様において、ターゲティング分子であるPSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分は、他の構成要素に非共有結合で連結されているか、またはそれと会合している。いくつかの例において、非共有結合性相互作用には、例えば、静電的相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、π効果、イオン性相互作用、水素結合、ハロゲン結合、および/もしくはそれらの組み合わせ、または力のうちの1つもしくは複数に依存する任意の相互作用が含まれる。いくつかの態様において、ターゲティング分子であるPSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分は、例えば、リガンド-受容体相互作用、抗体-抗原相互作用、アビジン-ビオチン相互作用、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用、ヒスチジン-二価金属イオン相互作用(例えば、Ni、Co、Cu、Fe)、多量体化(例えば二量体化)ドメインの間の相互作用、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)-グルタチオン相互作用、および/またはその任意の組み合わせなどの、非共有結合性分子相互作用を用いて、またはそれを模倣する相互作用を用いて連結されている。
【0485】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分は、リンカーを介して間接的に連結されている。例えば、リンカーは、ペプチド、ポリペプチド、または化学的リンカーであることができる。様々なペプチドリンカー、ポリペプチドリンカー、および化学的リンカーが、いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子中で用いられてもよい。例えば、リンカーは、ペプチドリンカー、または切断可能ペプチドリンカーであってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、共有結合性リンカーであり、共有結合性の連結は、例えば、C、N、P、O、およびSの中から選択される1~60原子を有し、直鎖状または分枝状、環式または複素環式、飽和または不飽和である。いくつかの態様において、連結、例えば化学的連結は、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルバマート、尿素、チオ尿素、オキシ、またはアミド結合の任意の組み合わせを含有してもよい。いくつかの態様において、連結、例えば化学的連結は、単一、二重、三重、もしくは芳香族炭素-炭素結合、リン-酸素、リン-硫黄、窒素-窒素、窒素-酸素、窒素-白金結合、または芳香族もしくは複素芳香族結合を含んでもよい。例えば、いくつかの態様において、リンカーは、リンカーとそれに連結されている構成要素との間に結合を形成することができる、反応性のまたは活性化可能な基を有するリンカーであることができる。いくつかの態様において、リンカーは反応基を含有する。
【0486】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、放出可能または切断可能リンカーを介して、治療剤および/または検出可能な部分に連結されている。いくつかの態様において、リンカーは切断可能ではない。いくつかの態様において、リンカーの放出または切断は、PSMAターゲティング分子からの治療剤の放出を可能にする。したがって、治療剤は、例えば、操作された細胞上の、疾患、障害、または状態の微小環境における、表面に発現されたPSMAまたはその改変型を結合するPSMAターゲティング分子の効によって、疾患もしくは状態に関与する細胞にターゲティングされるかもしくは直接送達されることができ、かつ/または疾患、障害、もしくは状態の微小環境中に放出されることができる。
【0487】
いくつかの態様において、リンカーは、PSMAターゲティング分子によるPSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断は、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。上記のように、PSMAは、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ活性および葉酸ヒドロラーゼ活性を示す。PSMAの酵素活性を、リンカー、例えば、PSMAターゲティング分子ならびに/または治療剤および/もしくは検出可能な部分を連結するリンカーの切断に活用することができる。いくつかの態様において、PSMAによるリンカーの切断は、1つまたは複数の切断産物を結果としてもたらすことができ、該切断産物は、治療剤または検出可能な部分、例えば蛍光性もしくは放射性の部分を含むことができる(例えば、WO 2015143029を参照されたい)。例えば、いくつかの態様において、リンカーは、α-結合型またはγ-結合型のグルタミン酸またはアスパラギン酸を含有することができ、かつPSMAへの結合時に切断されることができる。
【0488】
本明細書において用いられる「放出可能リンカー」または「切断可能リンカー」という用語は、生理的条件下で壊されることができる少なくとも1つの結合(例えば、pH不安定性、酸不安定性、酸化不安定性、または酵素不安定性の結合)を含むリンカーを指す。化学結合の破壊を結果としてもたらす生理的条件は、例えば、生理的pHで起こる、または特定の微小環境、例えば、腫瘍微小環境(TME)などの病変の微小環境中に存在する特異的な条件の結果として起こる、標準的な化学的加水分解反応を含むことができる。
【0489】
いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、疾患、障害、または状態の微小環境において放出されるかまたは切断される。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、特異的な微小環境または生理的条件に関連している。例えば、いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は腫瘍であり、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、腫瘍微小環境(TME)において、例えば、酸性または低酸素の条件下で放出されるかまたは切断される。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で、切断は、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む。
【0490】
本明細書において提供される細胞、組成物、および方法に関連して用いることができる様々な例示的なリンカーには、WO2004-010957、米国特許出願公開第20060074008号、同第20050238649号、および同第20060024317号に記載されているものが含まれる。
【0491】
いくつかの態様において、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、低酸素条件または酸性条件において放出されるかまたは切断される。いくつかの態様において、TME中の条件は、酸性または低酸素である。いくつかの態様において、リンカーは、酸不安定性または低酸素条件において切断可能である。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、酸性条件下で切断可能であり、切断可能リンカーは、1つまたは複数のヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタール、4-(4'-アセチルフェノキシ)ブタン酸、またはチオエーテル結合を含む。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、低酸素条件下で切断可能であり、リンカーは、1つまたは複数のジスルフィド結合を含む。
【0492】
いくつかの態様において、リンカーは、病変の微小環境中に存在する切断剤によって切断可能である。リンカーは、例えば、ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであることができる。例えば、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーは、TME中に存在するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)によって放出されるかまたは切断される。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、アミノ酸Pro-Leu-Gly-Leu-Trp-Ala(SEQ ID NO:18に示される)の配列を含む。いくつかの態様において、リンカーは、病変の微小環境において過剰発現されている切断剤によって切断可能である。いくつかの態様において、例示的なリンカーには、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長であるペプチジルリンカーが含まれる。例示的なリンカーには、Phe-Leuリンカー、Gly-Phe-Leu-Glyリンカー(SEQ ID NO:33)、Val-Citリンカー、またはPhe-Lysリンカー(例えば、米国特許第6,214,345号を参照されたい)が含まれる。そのようなリンカーの他の例は、例えば、米国特許第6,214,345号およびLu et al. (2016) Int. J. Mol. Sci. 17(4):561に記載されている。いくつかの態様において、リンカーは、β-グルクロニダーゼなどの、腫瘍間質において過剰発現されている酵素によって切断可能なリンカーである。いくつかの態様において、リンカーはβ-グルクロニドリンカーである。
【0493】
他の態様において、切断可能リンカーは、pH感受性、すなわち、ある特定のpH値での加水分解に対して感受性である。典型的には、pH感受性リンカーは、例えば、病変の微小環境などの酸性条件下で加水分解性である。例えば、酸性環境において加水分解性である酸不安定性リンカー、例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、またはケタール結合を用いることができる。いくつかの態様において、例示的なリンカーには、例えば、米国特許第5,122,368号;同第5,824,805号;同第5,622,929号;Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123;Neville, et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661に記載されているものが含まれる。そのようなリンカーは、血液における条件などの中性pH条件下では比較的安定であるが、酸性条件においては不安定である。
【0494】
ある特定の態様において、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカーである(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療剤に付着したチオエーテルなど(例えば、米国特許第5,622,929号を参照されたい))。
【0495】
さらに他の態様において、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えばジスルフィドリンカー)。例えば、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセタート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチラート)、およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB およびSMPTを用いて形成され得るリンカーを含み、様々なジスルフィドリンカーが公知である(例えば、Thorpe, et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931;Wawrzynczak, et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987)を参照されたい。米国特許第4,880,935号もまた参照されたい)。
【0496】
いくつかの態様において、リンカーは、マロン酸リンカー(Johnson, et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau, et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304)、または3'-N-アミド類似体(Lau, et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1305-12)である。
【0497】
E. プロドラッグ
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、プロドラッグであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるかまたは治療剤を含むかまたは治療剤への変換もしくは治療剤のアンマスキングができ、かつ/または、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断は、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。いくつかの態様において、切断は、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす。
【0498】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、疾患、障害、または状態の微小環境において活性化されるプロドラッグである。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、特異的な微小環境または生理的条件に関連している。例えば、いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は腫瘍であり、プロドラッグは、腫瘍微小環境(TME)において、例えば、酸性または低酸素の条件下で活性化される。
【0499】
いくつかの態様において、本明細書において用いられる場合、「プロドラッグ」という用語は、放出するため、または「プロドラッグ」を活性「薬物」に変換する(例えば、酵素的に、機械的に、電磁気的になど)ために、標的生理系内での(例えば、自発的または酵素的のいずれかの)生体内変換を必要とする、親「薬物」分子の薬理学的に不活性の誘導体を指す。「プロドラッグ」は、安定性、毒性、特異性の欠如、または限定された生物学的利用能に関連する問題を克服するように設計される。例示的な「プロドラッグ」は、活性「薬物」分子自体と、化学的マスキング基(例えば、「薬物」の活性を可逆的に抑制する基)とを含む。いくつかの好ましい「プロドラッグ」は、代謝条件下で切断可能な基を有する、化合物のバリエーションまたは誘導体である。例示的な「プロドラッグ」は、生理的条件下で加溶媒分解を受けた時、または酵素的分解もしくは他の生化学的変換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素、グリコシル化など)を受けた時に、インビボまたはインビトロで薬学的に活性を有するようになる。プロドラッグは、哺乳類生物において、溶解性、組織適合性、または遅延放出の利点をもたらすことができる。プロドラッグである例示的なPSMAターゲティング分子は、PSMAによって切断されるペプチド、および治療剤を含む。
【0500】
プロドラッグであるPSMAターゲティング分子のPSMAまたはその改変型への結合時に、PSMAのグルタミン酸カルボキシペプチダーゼ活性は、プロドラッグを活性化して治療的活性剤にすることができる。いくつかの態様において、プロドラッグは、メトトレキサート、タプシガルギン、またはドキソルビシン類似体を含む。いくつかの態様において、類似体は、α-結合型またはγ-結合型のグルタミン酸またはアスパラギン酸を含有する。いくつかの態様において、プロドラッグであるPSMAターゲティング分子には、例えば、Mhaka et al. (2006) Cancer Biology & Therapy 3(6):551-558;Mahalingam et al. (2016) British Journal of Cancer 114:986-994;US 8258256に記載されているものが含まれる。例えば、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ミプサガルギン(G-202;(8-O-(12-アミノドデカノイル)-8-O-デブタノイルタプシガルギン)-Asp-γ-Glu-γ-Glu-γ-GluGluOH)である。いくつかの態様において、プロドラッグは、毒素の誘導体である。
【0501】
F. 抗体-薬物コンジュゲート(ADC)
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片であるPSMAターゲティング分子は、治療剤または薬物に直接または間接的に、コンジュゲートされているかまたは連結されている。いくつかの態様において、ADC中の治療剤は、細胞傷害剤、毒素、または抗がん剤を含む。いくつかの態様において、治療剤は免疫調節剤である。いくつかの態様において、ADCの治療剤は、細胞傷害剤、毒素、または抗がん剤、例えば、モノメチルアウリスタチンE、メイタンシノイドDM1、シュードモナス外毒素A(PE40)、またはα-アマニチンである。
【0502】
ADCである例示的なPSMAターゲティング分子には、J591-モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、A5-シュードモナス外毒素A(PE40)、抗PSMA-α-アマニチン、MLN2704、Progenics PSMA ADC、ならびに、例えば、US 2011/0165081;US 2011/0250216;US 2015/0110814;WO 2006/110745;WO 2007/002222;WO 2007/038658;およびWO 2015/057250に記載されているものが含まれる。
【0503】
いくつかの態様において、ADCの抗体またはその抗原結合断片および治療剤は、直接または間接的に、連結されているかまたはコンジュゲートされている。いくつかの態様において、ADCの抗体またはその抗原結合断片および治療剤は、任意で例えば、切断可能または放出可能なリンカーを介して、間接的に連結されている。いくつかの態様において、切断可能または放出可能リンカーは、PSMAまたはその改変型への結合時に、または疾患、障害、もしくは状態の微小環境における条件で切断されることができる。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、特異的な微小環境または生理的条件に関連している。例えば、いくつかの態様において、疾患、状態、または状態は腫瘍であり、プロドラッグは、腫瘍微小環境(TME)において、例えば、酸性または低酸素の条件下で活性化される。
【0504】
III. 組成物および製剤
PSMAまたはその改変型および組換え受容体、例えばCARを含有する操作された細胞などの細胞を含む、投与のための組成物が提供される。提供される態様の中には、本明細書において記載されるような、PSMAターゲティング分子を含有する組成物を伴うもの、例えば、本明細書において提供されるような操作された細胞ならびにそのような組成物と細胞療法との組み合わせの投与に関連する方法およびその使用も含まれる。いくつかの局面において、薬学的組成物および製剤は、所与の用量またはその分割量での投与のための細胞の数を含む単位用量形態組成物として提供される。いくつかの局面において、薬学的組成物および製剤は、所与の用量またはその分割量での投与のためのPSMAターゲティング分子の用量を含む単位用量形態組成物として提供される。いくつかの態様において、提供される組成物は、本明細書に記載される方法のいずれか、例えば、処置の方法、検出の方法および/または選択の方法に関連して用いることができる。薬学的組成物および製剤は概して、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0505】
「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性を有効にするような形態であり、かつ製剤が投与される対象に対して許容できないほどの毒性を有するさらなる構成成分を含まない調製物を指す。
【0506】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、これらに限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、または保存剤が含まれる。
【0507】
いくつかの局面において、担体の選択は一部には、特定の細胞によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、多種多様な適した製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は保存剤を含み得る。適した保存剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。いくつかの局面において、2種類以上の保存剤の混合物が用いられる。保存剤またはその混合物は典型的には、全組成物の重量で約0.0001%から約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載される。薬学的に許容される担体は概して、使用される投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、これらに限定されないが、以下のものを含む:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0508】
いくつかの局面における緩衝剤は、組成物中に含まれる。適した緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が挙げられる。いくつかの局面において、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は典型的には、全組成物の重量で約0.001%から約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams&Wilkins;21st ed.(May 1,2005)においてより詳細に記載されている。
【0509】
製剤または組成物はまた、好ましくは細胞に相補的な活性を有する、細胞で処置されている特定の適応症、疾患、または状態に有用な2つ以上の活性成分を含んでもよく、ここで、各々の活性は互いに有害な影響を与えない。そのような活性成分は、意図される目的にとって有効な量での組み合わせで適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等のような他の薬学的に活性な剤または薬物をさらに含む。いくつかの態様において、細胞または抗体は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態で投与される。適した薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸などの有機酸に由来するものが含まれる。
【0510】
活性成分は、マイクロカプセル、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルション中に封入され得る。ある特定の態様において、薬学的組成物は、シクロデキストリン包接複合体などの包接複合体として、またはリポソームとして製剤化される。リポソームは、宿主細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を特定の組織に向けるように機能することができる。多数の方法、例えば、Szoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467 (1980)、ならびに米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載されているものなどが、リポソームを調製するために利用することができる。
【0511】
いくつかの態様において、いくつかの局面における薬学的組成物、例えばPSMAターゲティング分子を含有する製剤または組成物などは、組成物の送達が、処置されるべき部位の感作の前におよびそれを引き起こすのに十分な時間で行われるように、時間放出送達システム、遅延放出送達システム、および持続放出送達システムを利用することができる。多くの種類の放出送達システムが利用可能であり、かつ公知である。そのようなシステムは、組成物の反復投与を避け、それによって対象および医師の利便性を増加させることができる。
【0512】
いくつかの態様における薬学的組成物は、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば、治療的に有効なまたは予防的に有効な量で操作された細胞を含有する。いくつかの態様における治療または予防の有効性は、処置した対象の定期的な評価によってモニターされる。数日間またはより長期にわたる反復投与では、状態に応じて、疾患症状の望ましい抑制が生じるまで、処置が繰り返される。一方で、他の投与レジメンが有用である可能性があり、決定することができる。望ましい投与量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0513】
薬学的組成物、例えば操作された細胞を含有するものなどは、標準的な投与技術、製剤、および/またはデバイスを用いて投与され得る。組成物の保存および投与のための製剤およびデバイス、例えばシリンジおよびバイアルなどが提供される。操作された細胞の投与は、自己由来または異種であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、1名の対象から得られ、同じ対象または適合性を有する異なる対象に投与することができる。末梢血由来免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、カテーテル投与、全身注入、局所注入、静脈内注入、または非経口投与を含む、局所注入を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は概して、単位投与量注入可能な形態(溶液、懸濁液、エマルション)に製剤化される。
【0514】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔投与、舌下投与、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様において、細胞集団は非経口投与される。本明細書において用いられる「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、膣内投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様において、細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注入による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0515】
いくつかの態様における組成物は、滅菌液体調製物、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供され、いくつかの局面において、選択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。加えて、液体組成物は、特に注射によって投与するのにいくぶんより便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供する適切な粘度範囲内に製剤化することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。
【0516】
滅菌注射溶液は、溶媒中に細胞を組み込むことによって、例えば適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、またはデキストロース等との混合物で、調製することができる。いくつかの局面において、組成物、例えばPSMAターゲティング分子を含有する組成物などは、凍結乾燥することもできる。組成物は、所望される投与経路および調製物に応じて、湿潤剤、分散剤または乳化剤(例えばメチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または増粘添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などの補助物質を含有し得る。標準的な教科書は、いくつかの局面において、適切な調製物を調製するために参考にされ得る。
【0517】
抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって確実にすることができる。注射用医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0518】
持続放出調製物を調製してもよい。持続放出調製物の適切な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態をとる。
【0519】
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は、例えば滅菌濾過膜を通して濾過することによって、容易に達成され得る。
【0520】
IV. 投与、処置および検出の方法
組換え受容体(例えば、CAR)によって認識される抗原が発現している疾患、状態、および障害の処置における細胞および組成物、例えば操作された細胞を含有する組成物などを使用する方法およびそれらの使用もまた提供される。いくつかの態様において、処置の方法は、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞の投与を伴う。いくつかの態様において、投与される細胞は、組換え受容体、例えばCARも発現する。いくつかの態様において、処置の方法は、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかまたは本明細書において提供される組成物のいずれかを対象に投与する工程を伴う。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載されたPSMAターゲティング分子のいずれかを対象に投与する工程も伴う。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に結合する能力を有し、そのために、治療のために特定の細胞または微少環境を標的とする、または治療剤を特定の細胞または微少環境に送達するために用いることができる。いくつかの態様において、そのような方法には、診断および予後判定の方法ならびに、いくつかの場合において、操作された細胞の自殺または除去の方法が含まれる。そのような方法の中には、例えば養子細胞療法に関連して、投与された操作された細胞をモニターする方法および操作された細胞を調節する方法が含まれる。
【0521】
いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかと、治療剤であるかまたは治療剤をさらに含むPSMAターゲティング分子とを対象に投与する工程を含む。
【0522】
いくつかの態様において、方法に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に、任意でPSMAまたは改変型の活性部位に結合する能力を有し、PSMAまたはその改変型によって切断される、および/またはPSMAまたはその改変型のアンタゴニストまたは阻害剤である。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型の細胞外部分の一部に結合することができ、例えば、PSMAまたはその改変型上に発現したPSMAは、本明細書に記載される操作された細胞の1つまたは複数の上に発現する。よって、PSMAターゲティング分子のPSMAへの結合のために、治療剤は、PSMAまたはその改変型の発現に関連する特定の細胞または微少環境を標的とすることができる、またはそれに送達され得る。いくつかの態様において、方法は、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかを投与されている対象に、治療剤であるかまたは治療剤をさらに含むPSMAターゲティング分子を投与する工程を含む。例えば、いくつかの態様において、本明細書において提供される処置の方法において用いられるPSMAターゲティング分子は、上述の第III章に記載されるいずれかであり得る。
【0523】
操作された細胞および組成物を投与する方法、およびがんを含む、疾患、状態、および障害を処置または予防するためのそのような操作された細胞および組成物の使用が提供される。いくつかの態様において、操作された細胞および組成物は、例えば、養子T細胞療法などの養子細胞療法を介して、処置される特定の疾患または状態を有する対象または患者に投与される。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、対象、例えば疾患または状態を有するかまたはその危険性がある対象などに投与される。いくつかの局面において、方法はその結果、操作されたT細胞によって認識される抗原を発現するがんにおける腫瘍量を減らすことなどによって、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置する、例えば改善する。
【0524】
いくつかの局面において処置される疾患または状態は、抗原の発現が、疾患、障害または状態の細胞または組織に関連している、それに特異的である、および/もしくはその上に発現している、ならびに/または疾患、状態または障害の病因に関与している、例えば、そのような疾患、状態、または障害を引き起こす、憎悪させる、または他の方法で関与している、いずれかのものであり得る。例示的な疾患および状態としては、悪性腫瘍もしくは細胞の形質転換(例えば、がん)、自己免疫もしくは炎症性疾患、または、例えば細菌、ウイルスもしくは他の病原体によって引き起こされる感染性疾患に関連する疾患または状態を挙げることができる。例示的な抗原は、処置することができる種々の疾患および状態に関連する抗原を含み、上記に記載されている。特定の態様において、免疫調節ポリペプチドおよび/または組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体またはTCRは、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、対象は、疾患、障害または状態、任意でがん、腫瘍、自己免疫性の疾患、障害もしくは状態、または感染性疾患を有する。
【0525】
いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、種々のがんに関連する腫瘍を含む。がんは、いくつかの態様において、対象の身体内に位置している任意のがん、例えば、これらに限定されないが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置しているがんなどであり得る。例えば、抗がん剤が、結腸がん、子宮頸がん、中枢神経系のがん、乳がん、膀胱がん、肛門がん、頭頸部がん、卵巣がん、子宮内膜がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経内分泌がん、軟部組織がん、陰茎がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、胆嚢がん、または食道がんの処置のために用いられ得る。いくつかの場合において、がんは血液のがんであり得る。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、例えば固形腫瘍、リンパ腫、白血病、血液腫瘍、転移性腫瘍、または他のがんもしくは腫瘍タイプなどである。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、結腸、肺、肝臓、乳房、前立腺、卵巣、皮膚、黒色腫、骨のがん、脳がん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞がん、膵臓腺がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、神経芽腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫の中から選択される。
【0526】
疾患、状態、および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含む、ならびに局限性および転移性腫瘍を含む腫瘍、感染性疾患、例えばウイルスまたは他の病原体、例えばHIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染および寄生虫病など、ならびに自己免疫および炎症性疾患がある。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患には、これらに限定されないが、白血病、リンパ腫、例えば急性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、治療抵抗性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および多発性骨髄腫(MM)が含まれ、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)内から選択される。
【0527】
いくつかの態様において、疾患または状態は、これらに限定されないが、ウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫感染、免疫不全、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどの、感染性疾患または状態である。いくつかの態様において、疾患または状態は、関節炎、例えば関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態などの、自己免疫または炎症性の疾患または状態である。
【0528】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン受容体A2(EPHa2)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ 5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、Gタンパク質共役型受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、L1細胞接着分子、(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、NKG2D、がん-精巣抗原 がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、MART-1、糖タンパク質100(gp100)、胎児腫瘍抗原、ROR1、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子からなる群より選択される。
【0529】
いくつかの態様において、抗原またはリガンドは、腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様において、抗原またはリガンド 抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9、CAIXまたはG250として知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはそれらを含む。
【0530】
いくつかの態様において受容体によって標的とされる抗原には、複数の公知のB細胞マーカーのいずれかなどの、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0531】
いくつかの態様において、抗原は、病原体特異的抗原または病原体発現抗原である。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原(HIV、HCV、HBV等に由来のウイルス抗原など)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0532】
養子細胞療法のための操作された細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して用いられてもよい。例えば、養子T細胞法は、例えば、Gruenberg et alに対する米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergに対する米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載される。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照。
【0533】
本明細書において用いられる「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物などであり、典型的にはヒトである。いくつかの態様において、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物が投与される対象、例えば患者は、哺乳動物であり、典型的には、ヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は雄性または雌性であることが可能であり、乳幼児期、若年期、青年期、成体期および老齢期の対象を含む、任意の適した年齢であることが可能である。いくつかの態様において、対象は霊長類以外の哺乳動物であり、例えば、齧歯類などである。
【0534】
本明細書において用いられる「処置」(およびその文法上の変形、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」など)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに付随する症状、有害な作用もしくは転帰、または表現型の完全または部分的な改善または軽減を指す。処置の望ましい作用には、それらに限定されないが、疾患の発生または再発を防止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的なもしくは間接的な病理学的結果の軽減、転移を防止すること、疾患進行の速度を低下させること、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または改善された予後が含まれる。これらの用語は、疾患を完全に治癒させること、または任意の症状を完全に排除すること、またはすべての症状もしくは転帰に対する作用を暗示するものではない。
【0535】
本明細書において用いられる「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(がんなど)の発症を先延ばしすること、妨げること、遅くすること、遅延させること、一定に保つこと、抑制すること、および/または延期させることを意味する。この遅れは、疾患歴および/または処置される個体に応じて、様々な長さの時間の遅れであり得る。当業者に明らかであるように、十分なまたは有意な遅れは、個体が疾患を発症しないという点で、実際には防止を包含し得る。例えば、後期段階のがん、例えば転移の発生が遅らされる可能性がある。
【0536】
本明細書において用いられる「防止する」は、疾患に対する素因を有するかもしれないが、該疾患が未だ診断されていない対象における該疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるために、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
【0537】
本明細書において用いられる、機能または活性を「抑制する」ことは、対象となる条件またはパラメータを除いて他の点では同じ条件と比較したとき、または代替として別の条件と比較して、この機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、該細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して腫瘍の成長速度を低下させる。
【0538】
投与の文脈において、作用物質、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」は、治療結果または予防結果などの所望の結果を達成するために、必要な投与量/量および期間での、有効な量を指す。
【0539】
作用物質、例えば、薬学的製剤または操作された細胞の「治療的有効量」は、例えば疾患、状態、または障害の処置のための、所望の治療結果、および/または処置の薬物動態学的または薬力学的な作用を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および体重ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞などの因子に応じて変動する場合がある。いくつかの態様において、提供される方法は、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物を有効量で、例えば、治療的有効量で投与することを伴う。
【0540】
「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な投与量および期間での、有効な量を指す。必ずしもそうではないが典型的には、予防的用量は、疾患に先立ってまたは疾患のより初期段階に対象において用いられることから、予防的有効量は治療的有効量より少ないであろう。
【0541】
提供される方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。いくつかの態様において、方法は、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態または障害を有する、その危険性がある、またはそれを有することが疑われるものへの、操作された細胞または該細胞を含有する組成物の投与を含む。いくつかの態様において、細胞、集団、および組成物は、例えば、養子T細胞療法などの養子細胞療法を介して、処置される特定の疾患または状態を有する対象に投与される。いくつかの態様において、細胞または組成物は、疾患もしくは状態を有するまたはその危険性がある対象などの対象に投与され、疾患もしくは状態の1つまたは複数の症状を改善する。
【0542】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、自己由来移植によって行われる。よって、いくつかの局面において、細胞は処置を必要とする対象、例えば患者に由来し、細胞は、単離および処理後に、同じ対象に投与される。
【0543】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、該細胞療法を受けることになっているまたは最終的に該細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1の対象から、細胞が単離されているおよび/または別の方法で調製されている、同種異系移植によって行われる。そのような態様において、細胞は次に、同じ種の異なる対象、例えば第2の対象に投与される。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様において、第1および第2の対象は遺伝的に類似する。いくつかの態様において、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。細胞は任意の適した手段によって投与することができる。用量および投与は、投与が短期または慢性であるかどうかに一部依拠し得る。種々の投与スケジュールは、これらに限定されないが、様々な時点での単回もしくは複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含む。
【0544】
ある特定の態様において、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万から約1000億個の細胞の範囲でおよびまたは体重キログラム当たりその量の細胞で、例えば、100万から約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値の任意の2つによって定義される範囲)、約1000万から約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値の任意の2つによって定義される範囲)、およびいくつかの場合には約1億個の細胞から約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間にある任意の値および/または体重キログラム当たりその量の細胞で対象に投与される。投与量は、疾患もしくは障害および/または患者および/エーエム他は他の処置に特有の特性に応じて異なる可能性がある。
【0545】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約5×108個未満の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)を、例えば、約1×106~5×108個のそのような細胞の範囲、例えば2×106個、5×106個、1×107個、5×107個、1×108個、もしくは5×108個または合計のそのような細胞、または前述の値の任意の2つ間の範囲で含む。
【0546】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、1×105~5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×105~1×108個の総CAR発現T細胞、1×105~5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×105~1×107個の総CAR発現T細胞、1×105~5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106個の総CAR発現T細胞、1×105~1×106個の総CAR発現T細胞、1×106~5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×106~1×108個の総CAR発現T細胞、1×106~5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、1×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×106~5×106個の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106個の総CAR発現T細胞、5×106~5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×106~1×108個の総CAR発現T細胞、5×106~5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107個の総CAR発現T細胞、5×106~1×107個の総CAR発現T細胞、1×107~5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、1×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×107~5×107個の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107個の総CAR発現T細胞、5×107~5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~2.5×108個の総CAR発現T細胞、5×107~1×108個の総CAR発現T細胞、1×108~5×108個の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108個の総CAR発現T細胞、もしくは2.5×108 ~5×108個の総CAR発現T細胞、または概ねそれらの値の総CAR発現T細胞を含む。
【0547】
いくつかの態様において、遺伝子改変された細胞の用量は、少なくとも1×105個もしくは少なくとも約1×105個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105個もしくは少なくとも約2.5×105個のCAR発現細胞、少なくとも5×105個もしくは少なくとも約5×105個のCAR発現細胞、少なくとも1×106個もしくは少なくとも約1×106個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106個もしくは少なくとも約2.5×106個のCAR発現細胞、少なくとも5×106個もしくは少なくとも約5×106個のCAR発現細胞、少なくとも1×107個もしくは少なくとも約1×107個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107個もしくは少なくとも約2.5×107個のCAR発現細胞、少なくとも5×107個もしくは少なくとも約5×107個のCAR発現細胞、少なくとも1×108個もしくは少なくとも約1×108個のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108個もしくは少なくとも約2.5×108個のCAR発現細胞、または少なくとも5×108個もしくは少なくとも約5×108個のCAR発現細胞を含む。
【0548】
いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれの両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の細胞の数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、少なくとも1×105個または少なくとも約1×105個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、少なくとも1×106個または少なくとも1×106個、少なくとも1×107個または少なくとも約1×107個、少なくとも1×108個または少なくとも約1×108個のそのような細胞の細胞の数を含む細胞の用量の投与を含む。いくつかの態様において、該数は、CD3+またはCD8+総数を基準にし、いくつかの場合には、組換え受容体発現(例えばCAR+)細胞も基準にする。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞の細胞の数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞の細胞の数を含む用量の投与を含む。
【0549】
いくつかの態様において、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0550】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量で含む、用量のCD8+T細胞は、約1×106から5×108 個の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5×106~1×108個のそのような細胞の範囲で、例えば1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、または5×108個の総数のそのような細胞、または前述の値の任意の2つ間の範囲で含む。いくつかの態様において、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は前述の値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様において、細胞の用量は、それぞれ両端の値を含む、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~2.5×107個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~0.75×108個または約1×107~0.75×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個または約1×107、2.5×107、5×107 7.5×107、1×108、もしくは5×108個の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。
【0551】
いくつかの態様において、細胞、例えば組換え受容体発現T細胞の用量は、単回用量として対象に投与されるか、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれを上回る期間の範囲内に1回のみ投与される。いくつかの局面において、用量のサイズは、以前の処置、例えば化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、容積、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくは種類、病期、ならびに/または毒性転帰、例えばCRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて決定される。
【0552】
いくつかの局面において、用量のサイズは、対象における疾患または状態の負荷によって決定される。例えば、いくつかの局面において、用量で投与される細胞の数は、細胞の用量の投与開始の直前に対象中に存在する腫瘍負荷に基づいて決定される。いくつかの態様において、第1のおよび/またはその後の用量のサイズは、疾患負荷と反比例で相関する。いくつかの局面では、大きな疾患負荷の状況のように、対象は少数の細胞が投与される。他の態様では、低い疾患負荷の状況のように、対象は多数の細胞が投与される。
【0553】
いくつかの態様において、方法はPSMAターゲティング分子の投与を含む。いくつかの態様において、細胞は、PSMAターゲティング分子、例えば、治療剤および/または検出可能な部分であるかそれらを含むPSMAターゲティング分子と同時にまたは任意の順序で連続的に投与される。
【0554】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、養子性の操作された細胞のための細胞と連続的に、間欠的に、またはそれと同時にもしくはそれと同じ組成物中で投与される。例えば、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞の投与の前に、投与時に、投与と同時に、または投与後に投与することができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、同じ組成物でまたは異なる組成物で、操作された細胞と同時に投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は操作された細胞と接触する、例えば、操作された細胞およびPSMAターゲティング分子の両方の投与の前に同じ組成物中に含まれる。いくつかの態様において、操作された細胞およびPSMAターゲティング分子は、独立して、または異なる組成物で投与される。
【0555】
いくつかの態様において、方法は、操作された細胞の投与前にPSMAターゲティング分子を投与する工程を伴う。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞の開始後にさらに投与されない。他の態様において、方法は、操作された細胞の投与後にPSMAターゲティング分子を投与する工程をさらに伴う。いくつかの場合において、投与スケジュールは、操作された細胞の開始前および開始後にPSMAターゲティング分子を投与する工程を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子の投与の開始は、操作された細胞の投与の開始前1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、3日、6日、12日、15日、30日、60日、もしくは90日を上回る、または約1時間、約2時間、約6時間、約12時間、約24時間、約3日、約6日、約12日、約15日、約30日、約60日、もしくは約90日を上回る時点である。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子の投与の開示は、操作された細胞の投与の4日より前である。
【0556】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞の投与の開始前に毎日、隔日、週に1回、または1回のみ投与される。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるかまたはそれを含むPSMA結合分子の治療作用が観察されるまで投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞の投与の開始後、最長2日、最長7日、最長14日、最長21日、最長28日、最長35日、または最長42日の期間で投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、該期間にわたる操作された細胞の投与の開始後、毎日、隔日、週に1回、または1回のみ投与される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、操作された細胞の投与後、4時間超、5時間超、6時間超、7時間超、8時間超、9時間超、10時間超、11時間超、12時間超、18時間超、24時間超、36時間超、2日超、3日超、4日超、もしくは5日超で、またはそれ以上の期間を上回って投与することができる。そのような態様のいくつかにおいて、阻害剤が、操作された細胞の投与後、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、2日以内、3日以内、4日以内、もしくは5日以内に、またはそれ以上の期間以内に投与されてもよい。
【0557】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、例えば、PSMAターゲティング分子および/もしくは治療剤の種類および特徴、事前処置に対する対象の応答、投与された操作された細胞の用量、対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、容積、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくは種類、病期など、ならびに/または毒性転帰を発症する対象の可能性もしくは発生率などの、1つまたは複数の基準に基づいて決定される用量で独立して投与される。
【0558】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、対象の体重kg当たり0.2 mg (mg/kg)~200 mg/kg、0.2 mg/kg~100 mg/kg、0.2 mg/kg~50 mg/kg、0.2 mg/kg~10 mg/kg、0.2 mg/kg~1.0 mg/kg、1.0 mg/kg~200 mg/kg、1.0 mg/kg~100 mg/kg、1.0 mg/kg~50 mg/kg、1.0 mg/kg~10 mg/kg、10 mg/kg~200 mg/kg、10 mg/kg~100 mg/kg、10 mg/kg~50 mg/kg、50 mg/kg~200 mg/kg、50 mg/kg~100 mg/kg、もしくは100 mg/kg~200 mg/kg、または約0.2 mg/kg~約200 mg/kg、約0.2 mg/kg~約100 mg/kg、約0.2 mg/kg~約50 mg/kg、約0.2 mg/kg~約10 mg/kg、約0.2 mg/kg~約1.0 mg/kg、約1.0 mg/kg~約200 mg/kg、約1.0 mg/kg~約100 mg/kg、約1.0 mg/kg~約50 mg/kg、約1.0 mg/kg~約10 mg/kg、約10 mg/kg~約200 mg/kg、約10 mg/kg~約100 mg/kg、約10 mg/kg~約50 mg/kg、約50 mg/kg~約200 mg/kg、約50 mg/kg~約100 mg/kg、もしくは約100 mg/kg~約200 mg/kgの投与量で独立して投与されるか;またはPSMAターゲティング分子は、それぞれ両端の値を含む、25 mg~2000 mg、25 mg~1000 mg、25 mg~500 mg、25 mg~200 mg、25 mg~100 mg、25 mg~50 mg、50 mg~2000 mg、50 mg~1000 mg、50 mg~500 mg、50 mg~200 mg、50 mg~100 mg、100 mg~2000 mg、100 mg~1000 mg、100 mg~500 mg、100 mg~200 mg、200 mg~2000 mg、200 mg~1000 mg、200 mg~500 mg、500 mg~2000 mg、500 mg~1000 mg、もしくは1000 mg~2000 mg、または約25 mg~約2000 mg、約25 mg~約1000 mg、約25 mg~約500 mg、約25 mg~約200 mg、約25 mg~約100 mg、約25 mg~約50 mg、約50 mg~約2000 mg、約50 mg~約1000 mg、約50 mg~約500 mg、約50 mg~約200 mg、約50 mg~約100 mg、約100 mg~約2000 mg、約100 mg~約1000 mg、約100 mg~約500 mg、約100 mg~約200 mg、約200 mg~約2000 mg、約200 mg~約1000 mg、約200 mg~約500 mg、約500 mg~約2000 mg、約500 mg~約1000 mg、もしくは約1000 mg~約2000 mgの投与量で投与されるか、もしくはPSMAターゲティング分子の各投与は、これらの量で独立して投与される。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子は、少なくとも対象の体重kg当たり0.2 mg(mg/kg)、1 mg/kg、3 mg/kg、6 mg/kg、10 mg/kg、20 mg/kg、30 mg/kg、50 mg/kg、100 mg/kg、もしくは200 mg/kg、または少なくとも約0.2 mg/kg、約1 mg/kg、約3 mg/kg、約6 mg/kg、約10 mg/kg、約20 mg/kg、約30 mg/kg、約50 mg/kg、約100 mg/kg、もしくは約200 mg/kg、または約0.2 mg/kg、約1 mg/kg、約3 mg/kg、約6 mg/kg、約10 mg/kg、約20 mg/kg、約30 mg/kg、約50 mg/kg、約100 mg/kg、もしくは約200 mg/kgの投与量で投与されるか、またはPSMAターゲティング分子の各投与は独立して、これらの量で投与される;またはPSMAターゲティング分子は、少なくとも25 mg、50 mg、100 mg、200 mg、400 mg、500 mg、600 mg、800 mg、1000 mg、1200 mg、1600 mg、もしくは2000 mg、または少なくとも約25 mg、約50 mg、約100 mg、約200 mg、約400 mg、約500 mg、約600 mg、約800 mg、約1000 mg、約1200 mg、約1600 mg、もしくは約2000 mgの投与量で投与されるか、またはPSMAターゲティング分子の各投与は独立して、これらの量で投与される。PSMAターゲティング分子は、少なくとも25 mg/日、50 mg/日、100 mg/日、200 mg/日、400 mg/日、500 mg/日、600 mg/日、800 mg/日、1000 mg/日、1200 mg/日、1600 mg/日、もしくは2000 mg/日、または少なくとも約25 mg/日、約50 mg/日、約100 mg/日、約200 mg/日、約400 mg/日、約500 mg/日、約600 mg/日、約800 mg/日、約1000 mg/日、約1200 mg/日、約1600 mg/日、もしくは約2000 mg/日の投与量で毎日投与される。
【0559】
いくつかの態様において、細胞および/またはPSMAターゲティング分子は、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または細胞傷害剤もしくは治療剤などの作用物質などの別の治療的介入と、例えば同時にまたは任意の順序で連続的に、さらなる組み合わせ処置の一部として投与される。例えば、いくつかの態様において、抗がん剤は、さらなる免疫調節剤と一緒に、および/またはPSMAターゲティング分子、例えばPSMAまたはその改変型に結合することができかつ治療剤であるかまたはそれを含むPSMAターゲティング分子の投与に加えて、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞による養子細胞療法を用いる組み合わせ療法において用いることができる。
【0560】
いくつかの態様における細胞は、別の治療的介入と関連して、1つまたは複数のさらなる治療剤、例えばPSMAに結合することができる部分および治療剤および/または検出可能な部分、および/または追加の治療剤または細胞傷害剤を含む、PSMAターゲティング分子と共に、同時にまたは任意の順序で連続的に共投与される。いくつかの状況では、細胞は、細胞集団がPSMAターゲティング分子および/または1つもしくは複数の追加の治療剤の作用を増強するように、またはその逆も同様であるように、時間的に十分に近いPSMAターゲティング分子および/または別の療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞は、PSMAターゲティング分子および/または1つもしくは複数の追加の治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、PSMAターゲティング分子および/または1つもしくは複数の追加の治療剤の後に投与される。
【0561】
いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば持続性を高めるための、IL-2などのサイトカインを含む。いくつかの態様において、方法は化学療法剤の投与を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の治療剤は、例えば操作された細胞の投与の開始前またはそれと同時の、1つまたは複数のリンパ枯渇療法を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は、シクロホスファミドなどのホスファミドの投与を含む。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法はフルダラビンの投与を含み得る。いくつかの態様において、フルダラビンはリンパ枯渇療法において除外される。いくつかの態様において、リンパ枯渇療法は施与されない。
【0562】
細胞の投与後、いくつかの態様における操作された細胞集団の生物学的活性は、例えばいくつかの公知の方法のいずれかによって、測定される。評価するパラメータには、インビボでの、例えばイメージングによる、またはエクスビボでの、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。ある特定の態様において、操作されたT細胞が標的T細胞を破壊する能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイなど、任意の適した方法を用いて測定することができる。ある特定の態様において、細胞の生物学的活性は、1つまたは複数のサイトカイン、例えばCD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍負荷または量の減少などの臨床転帰を測定することによって測定される。
【0563】
ある特定の態様において、操作された細胞は、それらの治療的または予防的有効性が増加するように、任意のいくつかの方法でさらに改変される。例えば、集団によって発現される操作された組換え受容体、例えばCARまたはTCRは、直接的にまたはリンカーを介して間接的に、ターゲティング部分にコンジュゲートすることができる。化合物、例えばCARまたはTCRをターゲティング部分にコンジュゲートすることの実施は公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3: 1 1 1 (1995)、および米国特許第5,087,616号を参照。
【0564】
いくつかの態様において、細胞表面受容体コンジュゲートは、操作された細胞の自殺死滅または操作された細胞の除去のための、操作された細胞のターゲティングで用いられる。いくつかの態様において、インビボで、例えば抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)を介してまたは細胞傷害剤による細胞の特異的ターゲティングを介して媒介される、操作された細胞の消失および/または枯渇で用いることができる方法が提供される。いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型を発現するように操作された細胞の死滅は、PSMAまたはその改変型に特異的なPSMAターゲティング分子を用いる。他の局面において、毒素などの細胞傷害剤に連結されたコンジュゲートの作用物質に特異的なPSMAターゲティング分子を含む分子を用いるPSMAまたはその改変型の作用物質を標的とすることによって細胞を死滅される方法が提供される。
【0565】
いくつかの態様において、細胞傷害剤である治療剤を含むPSMAターゲティング分子は、例えば、対象への操作された細胞の投与後に、操作された細胞の自殺を誘発し、操作された細胞を除去または破壊するために、本明細書において提供される操作された細胞と関連して用いることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、細胞傷害剤に連結またはコンジュゲートされる、PSMAまたはその改変型に結合することができる部分を含む。いくつかの態様において、細胞傷害剤を含むPSMAターゲティング分子は、対象が、投与される細胞に対する有害な副作用、例えば操作された細胞の毒性または免疫原性に付随する有害な副作用を有するまたはそれを有する可能性があるまたはそれを発症することが公知であるまたはそれが疑われる場合、対象に投与される。
【0566】
いくつかの態様において、細胞傷害剤であるである治療剤を含むPSMAターゲティング分子の投与は、健常組織または健常細胞の、操作された細胞を含有しないおよび/または抗原を発現しない組織または細胞の、死滅または破壊を誘導しないか、または実質的に誘導しない。
【0567】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型は、細胞自殺を誘導するために用いられてもよい。例えば、細胞表面分子は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)経路を回する自殺遺伝子として用いられ得る。ADCCは、Fc受容体を発現する非特異的細胞傷害性細胞、例えばナチュラルキラー細胞、好中球、およびマクロファージなどが標的細胞に対する結合抗体を認識し、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞介在性反応を指す。ADCC活性は、例えば米国特許第5,821,337号に記載されているものなどの方法を用いて評価され得る。いくつかの態様において、ADCCは、PSMAまたはその改変型を標的とする任意の抗体を対象に投与することによって媒介されうる。いくつかの局面において、細胞表面上に発現するように操作された、PSMAまたはその改変型は、本明細書に記載されるいずれかなど、抗PSMA抗体であるPSMAターゲティング分子の投与を介して自殺遺伝子として用いられ得る。
【0568】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型を発現する細胞の自殺死滅は、毒素などの細胞傷害剤であるかそれを含むPSMAターゲティング分子を利用することによって達成される。いくつかの態様において、細胞傷害剤を含有するPSMAターゲティング分子のPSMAまたはその改変型への結合のおかげで、毒素は、PSMA発現細胞、例えば本明細書に記載の操作された細胞を特異的に標的とする、またはそれに特異的に送達されることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子の、操作された細胞の細胞表面上のPSMAまたはその改変型への結合は、それに結合させた受容体および分子の内部移行をもたらす可能性がある。よって、PSMAへの結合および内部移行のために、細胞傷害剤を含有するPSMA結合分子は、操作された細胞を特異的に標的都市、細胞自殺または除去をもたらすことができる。
【0569】
V. 検出の方法
いくつかの態様において、例えば、対象における投与された細胞の存在、数、または位置を決定または評価するために、対象に投与された操作された細胞をモニターする、例えば検出または特定するための方法が提供される。いくつかの態様において、検出はインビボで行われる、インビボで実施される。いくつかの態様において、検出は、対象由来の試料からインビトロまたはエクスビボで行われる。操作された細胞によって発現されるPSMAまたはその改変型の認識による、細胞および組成物、例えば操作された細胞を含有するものなどの特定、検出、または選択のための方法および使用もまた提供される。
【0570】
いくつかの態様において、方法は、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を検出する工程、および/またはPSMAターゲティング分子のPSMAまたはその改変型への結合および/またはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を含む。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、検出可能であるシグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する1つまたは複数の部分であるかまたはそれを含む。例えば、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は検出可能な部分であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される検出の方法に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、上記の第III章に記載のいずれかであり得る。
【0571】
いくつかの態様において、検出のための方法は、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかをPSMAターゲティング分子を接触させる工程;およびPSMAまたはその改変型および/または操作された細胞へのまたはそれらを伴う、該PSMAターゲティング分子の結合および/または該PSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を含む。いくつかの態様において、接触させる工程は、操作された細胞を投与されている対象にPSMAターゲティング分子を投与する工程を含む。
【0572】
いくつかの態様において、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかを予め投与されている対象における組換え受容体およびPSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞の存在または非存在を検出するための方法が提供される。いくつかの態様において、方法は、対象にPSMAターゲティング分子と投与する工程;および対象におけるPSMAまたはその改変型および/もしくは操作された細胞に対するPSMAターゲティング分子の結合ならびに/またはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程を伴う。
【0573】
いくつかの場合において、提供される態様のいずれか、または本明細書において提供される検出のための方法またはアッセイなどの態様における検出限界(LOD)は、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、例えばPSMAまたはその改変型、例えばPSMAの切断型を発現する操作された細胞を検出することが可能である、検出するのに有用である、または検出するもしくは検出することができる。そのような態様のいくつかの局面において、検出限界は、またはそのような方法およびアッセイなどの態様は、指定された体積または組織または試料中に存在するそのような細胞、例えばそのような数の細胞または少なくともそのような数の細胞またはそのような数の低量もしくは少量の細胞を検出することが可能である、検出するのに有用である、または検出するもしくは検出することができる。いくつかの局面において、体積は、10もしくは約10から200 もしくは約200μL、10もしくは約10から200もしくは約200 μL、10もしくは約10から100もしくは約100 μL、10もしくは約10から90もしくは約90 μL、10もしくは約10から80もしくは約80 μL、10もしくは約10から70もしくは約70 μL、10もしくは約10から60もしくは約60 μL、10もしくは約10から50もしくは約50 μL、10もしくは約10から40もしくは約40 μL、10もしくは約10から30もしくは約30 μL、10もしくは約10から20もしくは約20 μL、20もしくは約20から100もしくは約100 μL、20もしくは約20から90もしくは約90 μL、20もしくは約20から80もしくは約80 μL、20もしくは約20から70もしくは約70 μL、20もしくは約20から60もしくは約60 μL、20もしくは約20から50もしくは約50 μL、20もしくは約20から40もしくは約40 μL、20もしくは約20から30もしくは約30 μL、20もしくは約20から20もしくは約20 μL、50もしくは約50から100もしくは約100 μL、50もしくは約50から90もしくは約90 μL、50もしくは約50から80もしくは約80 μL、50もしくは約50から70もしくは約70μL、50もしくは約50から60もしくは約60 μLの間、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100 μL、または約10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100 μLである。いくつかの局面において、体積は、液体、緩衝液、媒体の体積、生体試料もしくは生物学的液体などの試料の、および/または腫瘍、処置される疾患もしくは状態に対応する腫瘍もしくはその部分などの器官または組織の、および/またはインビトロ培養系、媒体、もしくは緩衝液の、および/または混合物もしくはマトリックス、例えばマトリゲルの体積である。
【0574】
態様のいずれかのいくつかにおいて、検出限界または体積当たりの細胞の数は、μL当たり、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、もしくは1,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、もしくは1,000個の低量もしくは少量の細胞、例えばPSMA(例えばtPSMA)発現細胞または操作された細胞である。提供される態様のいずれかのいくつかにおいて、態様または方法は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、もしくは1,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、もしくは1,000個の細胞/μLを検出するのに有用である、または検出を可能にする、または検出することができる。態様のいずれかのいくつかにおいて、検出限界または体積当たりの細胞の数は、20または50 μL中に500、1,000、2,000、4,000、5,000 、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ500、1,000、2,000、4,000、5,000 、もしくは10,000個の細胞である。いくつかの態様において、提供される態様のいずれかにおける検出限界は、または本明細書において記載される検出のための方法またはアッセイは、20または50 μL体積中に2,000、4,000、5,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ2,000、4,000、5,000、もしくは10,000個の細胞を検出することができる。
【0575】
いくつかの態様において、検出限界または方法およびアッセイは、試料の、および/または器官もしくは組織の、および/またはインビトロ培養系、媒体、もしくは緩衝液の、および/または混合物もしくはマトリックス、例えばマトリゲルの特定の体積、例えば、液体、緩衝液、媒体の体積中に存在する細胞を検出することができる。いくつかの態様において、検出限界は、インビボイメージングにおける検出限界である。いくつかの態様において、検出限界は、インビトロイメージングまたはエクスビボイメージングにおける検出限界である。
【0576】
いくつかの態様において、発明に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に、任意でPSMAまたは改変型の活性部位に結合することができ、PSMAまたはその改変型によって切断されるか、および/またはPSMAまたはその改変型のアンタゴニストまたは阻害剤である。
【0577】
いくつかの態様において、検出の方法は、T細胞、例えばT細胞ベースの療法のために投与されるT細胞の曝露、数、濃度、持続性、および増殖の定量的評価などの、評価を伴う。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法における、T細胞療法などの免疫療法のために投与される細胞などの、細胞の曝露または長期的な増大および/もしくは持続性、ならびに/または細胞表現型もしくは細胞の機能的活性の変化が、例えば下記の検出方法のいずれかを用いて、インビボ、インビトロまたはエクスビボでT細胞の存在および/または特徴を評価することによって測定することができる。いくつかの態様において、そのようなアッセイは、提供される細胞または組成物、例えばPSMAまたはその改変型を発現する操作されたT細胞を投与する前にまたはその後に、T細胞療法などの免疫療法のために用いられるT細胞の存在、増殖、数、濃度、および/または機能を決定または確認するために用いることができる。
【0578】
いくつかの局面において、曝露、数、濃度、持続性、および増殖は、薬物動態パラメータに関する。いくつかの態様において、薬物動態パラメータには、身体の特定の位置にある、例えば特定の器官もしくは組織、腫瘍、または血漿中にある、細胞の数または濃度が含まれる。いくつかの態様において、薬物動態パラメータには、経時的な細胞の数もしくは濃度の変化を評価すること、またはある特定の期間にわたる治療、例えば投与されたT細胞への全体曝露を決定することも含まれる。いくつかの場合において、薬物動態は、投与後の、最大(ピーク)濃度(Cmax)、ピーク時間(すなわち、最大濃度(Cmax)が生じる時;Tmax)、最小血漿濃度(すなわち、投与される細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現する操作されたT細胞の投与間の最小濃度;Cmin)、排出半減期(T1/2)、および曲線下面積(すなわち、時間 対 投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞の血漿濃度をプロットすることによって作成される曲線下面積;AUC)などのパラメータを測定することによっても評価することができる。投与後の血漿中の特定の投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現する操作されたT細胞の濃度は、例えば、検出可能な部分を含有するPSMAターゲティング分子を投与することによって、PSMAまたはそのバリアントを検出するための任意の検出方法を用いて測定することができる。いくつかの態様において、薬物動態パラメータは、放射性核種標識リガンドを用いるインビボ検出方法、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、および単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて決定することができる。生体試料、例えば血液中の投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞の濃度を評価するのに適した他の公知のインビボ、インビトロ、もしくはエクスビボでの方法、または本明細書に記載の任意の方法は、投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞を検出するために用いることができる。例えば、核酸ベースの方法、例えば定量的PCR(qPCR)もしくはフローサイトメトリーベースの方法、または他のアッセイ、例えばイムノアッセイ、ELISA、もしくはクロマトグラフィ/マススペクトロメトリーベースのアッセイを用いることができる。
【0579】
いくつかの態様において、「曝露」は、ある特定の期間にわたる投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞の投与後に、身体の特定の位置、例えば特定の器官もしくは組織、腫瘍、または血漿(血液または血清)における投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現する操作されたT細胞の身体曝露を指し得る。いくつかの態様において、曝露は、投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現する操作されたT細胞の用量の投与後の薬物動態分析によって決定されるような、投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞の濃度-時間曲線下の面積(AUC)として示すことができる。いくつかの場合において、AUCは、細胞療法において投与される細胞についての細胞*日/μLで、またはその対応する単位で表される。いくつかの態様において、AUCは、サンプル患者集団などの患者集団における平均AUC、例えば1名または複数名の患者からの平均AUCとして測定される。いくつかの態様において、曝露は、ある特定の期間、例えば、0日目から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、28日目、もしくはそれ以上、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15週、もしくはそれ以上、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、48ヶ月、もしくはそれ以上、の範囲内の曲線下面積(AUC)を指す。いくつかの態様において、AUCは、投与される細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現する操作されたT細胞の投与後0日目から28日目(AUC0-28)のAUCとして測定され、全ての測定されたデータ、およびサンプル患者集団などの患者集団からの平均AUCなど、測定された薬物動態(PK)パラメータから推定されるデータを含む。いくつかの態様において、経時的曝露、例えばある特定の期間のAUC、例えばAUC0-28などを決定するために、投与された細胞濃度-時間曲線は、パラメータの複数の測定値または評価、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、もしくは28日毎、またはそれ以上毎に採取される測定値など、経時的な細胞濃度を用いて作成される。
【0580】
A. インビボでの検出
いくつかの態様において、検出、特定および/またはモニタリングの方法は、PSMAまたはその改変型に結合することができかつシグナルを提供するか検出可能であるシグナルを誘導する1つまたは複数の部分を含むPSMAターゲティング分子を対象に投与することによってインビボで実施される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するか、または検出可能であるシグナルを誘導するか、またはシグナルを提供するもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができる;および/またはPSMAターゲティング分子は、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、リアルタイムでの細胞、例えばPSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体を発現する細胞のイメージングは、形質導入された細胞のインビボでの位置を明らかにする。いくつかの態様において、検出の方法は、PSMAターゲティング分子を投与された、操作された細胞の生物学的分布をモニターする、または操作された細胞の毒性または免疫原性に関連する転帰を診断もしくは評価するために用いることができる。
【0581】
いくつかの局面において、インビボでの検出は、シグナルを提供する、または検出可能であるシグナルを誘導する、またはシグナルを提供するもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に結合することができる;および/またはシグナルを提供するもしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分を含む、本明細書に記載されるいずれかなどのPSMAターゲティング分子を用いて、インビボで行われる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、イメージングプローブ、検出試薬、イメージングモダリティ、または検出可能な標識であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、検出試薬は放射性リガンドを含む。いくつかの態様において、イメージングプローブ、検出試薬、イメージングモダリティ、または検出可能な標識は、X線、CTスキャン、MRIスキャン、PETスキャン、超音波、フローサイトメトリー、近赤外イメージングシステム、または他のイメージングモダリティによる検出のための、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、発色性化合物、量子ドット、ナノ粒子、金属キレート、酵素、酸化鉄ナノ粒子、または他の公知のイメージング剤を含む(例えば、Yu et al., Theranostics (2012) 2:3を参照)。
【0582】
いくつかの態様において、細胞を検出するためのインビボイメージング、検出または診断の方法は、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、コンピュータ断層撮影法(CT)、コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)、電子ビームコンピュータ断層撮影法(EBCT)、高解像度コンピュータ断層撮影法(HRCT)、下環状断層撮影法、陽電子放射断層撮影法(PET)、シンチグラフィー、ガンマカメラ、β+検出器、γ検出器、蛍光イメージング、低照度イメージング、X線、生物発光イメージング、近赤外(NIR)光断層撮影法、および他のイメージングモダリティであり得る。
【0583】
PSMAターゲティング分子によって認識されるそのエピトープの存在の検出などによる、検出、予後予測、診断、ステージ分類、1つまたは複数の組織または細胞型に対する特定の処置の結合の決定、および/または対象における処置決定の通知ための、提供されるPSMAターゲティング分子、例えば小分子、リガンド、または抗体もしくはその抗原結合断片の使用を伴う方法も提供される。いくつかの態様において、方法は、組換え受容体によって特異的に認識される標的抗原の発現に関連する疾患または状態に関連する診断および/または予後予測方法である。いくつかの態様における方法には、生体試料を抗体とインキュベートするおよび/もしくはプローブする工程、ならびに/または抗体を対象に投与する工程が含まれる。ある特定の態様において、生体試料には、細胞もしくは組織またはそれらの部分、例えば腫瘍もしくはがん組織もしくは生検またはそれらの切片などが含まれる。
【0584】
いくつかの態様において、検出または診断目的で用いることができるPSMAターゲティング分子またはその一部分には、例えば、
に記載されているいずれかが含まれる。
【0585】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子またはその一部分は、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S,4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N、N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、N-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される。
【0586】
いくつかの態様において、PSMAまたはそのバリアントを発現する操作された細胞を検出するためのインビボイメージング、検出または診断のための方法は、陽電子放射断層撮影法(PET)/コンピュータ断層撮影法(CT)である。いくつかの態様において、PSMAまたはそのバリアントを発現する操作された細胞を検出するためのインビボイメージング、検出または診断のための方法は、操作された細胞療法を受けた対象へのPET/CTリガンドとして用いることができるPSMAターゲティング分子の投与後に実施される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、放射標識したPSMAターゲティング分子、例えば、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)などの2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、高親和性陽電子放射リガンドであるか、またはそれを含む。
【0587】
いくつかの態様において、PET/CTでは、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)が、放射標識の線量に基づく用量で対象に投与される。いくつかの態様において、PET/CTでは、18F-DCFPyLは、ヒトに対して安全であるかまたは有害ではない線量、例えばヒト対象における放射標識化合物の使用向けの規制上の要件(例えば、International Commission on Radiological Protection(ICRP)によって明記されたガイドラインまたは米国連邦規則集第21巻パート361に明記されたガイドライン)内である線量などで対象に投与される。いくつかの態様において、投与のための18F-DCFPyLの線量は、様々な器官における吸収線量に基づく、投与活性当たり最高平均吸収線量単位による器官での、クリティカルな器官線量限度を超えない線量である(例えば、Chen et al., Clin Cancer Res. 2011 Dec 15; 17(24): 7645-7653; Shan L. 2-(3-{1-Carboxy-5-[(6-[18F]fluoro-pyridine-3-carbonyl)-amino]-pentyl}-ureido)-pentanedioic acid. 2012 Nov 10 [Updated 2012 Dec 19]. In: Molecular Imaging and Contrast Agent Database (MICAD) [Internet]. Bethesda (MD): National Center for Biotechnology Information (US); 2004-2013を参照。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK114904/から利用可能)。
【0588】
いくつかの態様において、小動物、例えばマウスへの投与のための18F-DCFPyLの例示的な線量は、50 μCi(1.85 MBq)から10 mCi(370 Mbq)の間または約50 μCi(1.85 MBq)から約10 mCi(370 Mbq)間、例えば約50 μCiから約1 mCi、100 μCiから 500 μCi、または200 μCiから 400 μCiの間を含む。いくつかの態様において、ヒト対象では、小動物実験、例えばマウス実験に基づくヒト等価線量が用いられる。いくつかの態様において、ヒト線量測定値は、小動物実験、例えばマウス実験からの体内分布の結果に基づいて推定することができる(例えば、Stabin et al.,(2005) J Nucl Med. 46:1023-7を参照)。いくつかの態様において、ヒトへの投与用の18F-DCFPyLの例示的線量は、小動物、例えばマウスでの、50 μCi(1.85 MBq)から5 mCi(185 Mbq)の間または約50 μCi(1.85 MBq)から約5 mCi(185 Mbq)の間、例えば約50 μCiから約1 mCi、100 μCiから500 μCi、または200 μCiから400 μCiの間の等価線量である。いくつかの態様において、ヒト対象に対する投与のための18F-DCFPyLの例示的線量としては、50 μCi(1.85 MBq)から100 mCi(3.7 Gbq)の間または約50 μCi(1.85 MBq)から約100 mCi(3.7 Gbq)の間、例えば約50 μCiから100 mCi、100 μCiから50 mCi、200 μCiから25 mCi、500 μCiから20 mCi、1 mCiから10 mCi、例えば約50 μCi、100 μCi、200 μCi、400 μCi、500 μCi、750 μCi、1 mCi、2 mCi、3 mCi、4 mCi、5 mCi、6 mCi、7 mCi、8 mCi、9 mCi、10 mCi、15 mCi、20 mCi、25 mCi、または50 mCiが挙げられる。いくつかの態様において、ヒト対象に対する投与のための18F-DCFPyLの線量としては、18F-DCFPyLまたはヒト対象への投与のための18Fで標識した関連化合物もしくは類似化合物に適した公知の線量が挙げられる(例えば、Chen et al., Clin Cancer Res. 2011 Dec 15; 17(24): 7645-7653; Shan L. 2-(3-{1-Carboxy-5-[(6-[18F]fluoro-pyridine-3-carbonyl)-amino]-pentyl}-ureido)-pentanedioic acid. 2012 Nov 10 [Updated 2012 Dec 19]. In: Molecular Imaging and Contrast Agent Database (MICAD) [Internet]. Bethesda (MD): National Center for Biotechnology Information (US); 2004-2013を参照。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK114904/から利用可能)。
【0589】
いくつかの局面において、提供される態様は、投与された細胞の空間分布に関する情報を得るために用いることができる。いくつかの局面において、検出の方法を含む提供される態様は、養子移入した細胞の全身空間分布を評価し、例えば、疾患または障害の部位または場所、例えば腫瘍の内部にあるまたはその周囲の細胞の特定の位置、体内での細胞の持続性、および/または有害な作用、例えば毒性の発生を決定するために用いることができる。いくつかの局面において、提供される態様は、空間の分布の情報を得るために、インビボイメージング、検出または診断のための方法、例えば、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、コンピュータ断層撮影法(CT)、コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)、電子ビームコンピュータ断層撮影法(EBCT)、高解像度コンピュータ断層撮影法(HRCT)、下環状断層撮影法、陽電子放射断層撮影法(PET)、シンチグラフィー、ガンマカメラ、β+検出器、γ検出器、蛍光イメージング、低照度イメージング、X線、生物発光イメージング、近赤外(NIR)光断層撮影法、および他のイメージングモダリティと関連して用いることができる。
【0590】
いくつかの態様において、方法は、対象において投与された操作された細胞の数または濃度を決定する工程をさらに含む。いくつかの態様において、投与された操作された細胞の数または濃度を決定する工程は、対象におけるまたは対象からの試料におけるPSMAターゲティング分子の結合またはその存在の検出に由来するシグナルを標準曲線と比較する工程を含む。いくつかの態様において、標準曲線は、定義された数の細胞を含有する多数の対照試料におけるPSMAターゲティング分子の結合または存在の検出に由来するシグナルから作成される。
【0591】
いくつかの局面において、提供される態様は、投与された細胞に関する定量的な情報を得るために、例えば、体全体に存在するおよび/または特定の器官または組織中に存在する投与された細胞の数を推定するために用いることができる。いくつかの局面において、提供される態様は、投与された細胞の存在、体内分布、輸送および/または薬物動態をリアルタイムで定量的に評価するために用いることができる。いくつかの態様において、検出の方法は、T細胞、例えばT細胞ベースの療法のために投与されたT細胞の曝露、数、濃度、持続性、および増殖の評価を含む。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法において、細胞、例えばT細胞療法などの免疫療法のために投与された細胞の曝露、または長期にわたる増大および/もしくは持続性、ならびに/または該細胞の細胞表現型もしくは機能活性の変化は、インビボでの方法を用いて投与された細胞を評価することによって測定することができる。いくつかの態様において、そのようなアッセイは、本明細書において提供される細胞療法を施与する前にまたはその後に、免疫療法、例えばT細胞療法のために用いられるT細胞の機能を決定または確認するために用いることができる。
【0592】
いくつかの態様において、提供される方法は、対象において投与された操作された細胞の数または濃度を決定する工程を含む。いくつかの態様において、投与された操作された細胞の数または濃度を決定する工程は、対象におけるまたは対象からの試料におけるPSMAターゲティング分子の結合または存在の検出に由来するシグナルを標準曲線と比較する工程を含む。いくつかの態様において、標準曲線は、定義された数の細胞を含有する多数の対照試料におけるPSMAターゲティング分子の結合または存在の検出に由来するシグナルから作成される。
【0593】
いくつかの局面において、曝露、数、濃度、持続性、および増殖は、薬物動態パラメータに関連する。いくつかの態様において、薬物動態パラメータは、体内の特定の位置、例えば特定の器官もしくは組織、腫瘍、または血漿における細胞の数または濃度を含む。いくつかの態様において、薬物動態パラメータは、細胞の数または濃度の経時的な変化を評価すること、またはある特定の期間にわたる治療、例えば投与されたT細胞への全体曝露を決定することも含む。投与後の血漿中の投与された細胞、例えばPSMAまたはそのバリアントを発現するCAR+ T細胞の濃度は、例えば、検出可能な部分を含有するPSMAターゲティング分子を投与することによって、PSMAまたはそのバリアントを検出するための任意の検出方法を用いて測定することができる。いくつかの態様において、薬物動態パラメータは、放射性核種標識したリガンドを用いて、インビボ検出方法、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)、および単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて決定することができる。
【0594】
いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型を発現する投与された操作された細胞の曝露、数、濃度、持続性および増殖、または他の薬物動態パラメータは、陽電子放射断層撮影法(PET)/コンピュータ断層撮影法(CT)を用いて決定することができる。いくつかの態様において、身体の特定の位置、例えば特定の器官、組織もしくは腫瘍、および/または身体全体における細胞の数または濃度。いくつかの態様において、特定の位置および/または体全体における細胞の数または濃度は、特定の検出方法および細胞の公知の濃度を用いて決定された標準曲線に基づく推定によって定量的に決定することができる。例えば、いくつかの態様において、標準曲線は、特定の細胞、例えばPSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞に特異的なPETリガンド、例えば18F-DCFPyLへの曝露の後に、複数の異なる公知の数または濃度の細胞の、例えばPET/CTによるイメージングに基づいて確立することができる。
【0595】
いくつかの態様において、標準曲線は、例えば細胞の連続希釈の、複数の既知の数または濃度の細胞からの読み取り値または結果、例えばPETシグナルを用いて確立することができる。いくつかの態様において、標準曲線は、方法の検出限界を上回るまたは方法の検出の範囲内にある、複数の既知の数または濃度の細胞を用いて確立することができる。例えば、いくつかの態様において、方法の検出限界は、特定の条件、例えば特定の体積においておよそ500、1,000、2,000、3,000、4,000、または5,000個の低量もしくは少量の細胞であってもよく、標準曲線は、特定の条件における検出限界を上回る既知の細胞濃度を用いて作成することができる。いくつかの態様において、標準曲線のために用いられる細胞濃度の範囲は、特定の体積、例えば10または約10から200または約200 μLの間、例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100 μL、または約10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100 μLにおいて、1,000(1k)、5,000(5k)、10,000(10k)、50,000(50k)、100,000(0.1M)、500,000(0.5M)、1,000,000(1M)、もしくは5,000,000(5M);500(0.5k)、2,500(2.5k)、5,000(5k)、25,000(25k)、50,000(50k)、250,000(250k)、500,000(0.5M)、もしくは2,500,000(2.5M);または200(0.2k)、400(0.4k)、600(0.6k)、800(0.8k)、1000(1k)、2000(2k)、4000(4k)、6000(6k)、8000(8k)、10000(10k)、20000(20k)、もしくは40000(40k)から選択される任意の1つまたは複数の濃度を含み得る。いくつかの態様において、標準曲線は、5,000(5k)、10,000(10k)、20,000(20k)、または40,000(40k)を用いて作成することができる。いくつかの態様において、決定される読み取り値または結果は、例えばボクセル(三次元空間における図形情報の単位)またはピクセルでの、PETシグナルである。いくつかの態様において、決定される読み取り値または結果は、例えば総ボクセルでの、PETシグナルである。いくつかの態様において、標準曲線は、定義された数のPSMAまたはその改変型を発現する細胞を含有する多数の対照試料からのシグナルの検出から作成され、該多数の対照試料はPSMAターゲティング分子と接触している。
【0596】
いくつかの態様において、標準曲線は、検出および定量化のために用いられるものと同じ条件および方法を用いて、例えば、特定の細胞、例えばPSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞に特異的なPETリガンド、例えば18F-DCFPyLの投与後にインビボイメージングのためのPET/CTを用いて作成することができる。いくつかの態様において、標準曲線は、検出および定量化のために用いられるものと同じ方法を用いる、例えば、特定の細胞、例えばPSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞に特異的なPETリガンド、例えば18F-DCFPyLへの曝露後にPET/CTを用いるものの、インビトロで作成することができる。いくつかの態様において、標準曲線は、例えば線形回帰および/またはロジスティック回帰による、既知の数または濃度からのデータ点に基づく回帰法によって作成することができる。いくつかの態様において、標準曲線は線形回帰によって作成することができる。いくつかの態様において、試験対象または試料における投与された細胞の数または濃度の定量化は、決定された標準曲線に基づいて決定することができる。
【0597】
B. インビトロまたはエクスビボでの検出
いくつかの態様において、モニターする方法は、インビトロまたはエクスビボで実施され、PSMAまたはその改変型を発現するまたは発現する可能性がある細胞を含有する組成物を、PSMAまたはその改変型を認識するかまたはそれに結合することができるPSMAターゲティング分子と接触させることによって、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を検出する工程を含む。いくつかの局面において、生体試料は、対象から得られ、本明細書に記載されるいずれかを含むPSMAターゲティング分子、例えば小分子、リガンド、抗体またはその抗原結合断片と接触される。生体試料には、これらに限定されないが、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および器官に由来する処理された試料を含む組織および器官試料が含まれる。
【0598】
いくつかの態様において、上記に記載の方法のいずれかは、対象由来の試料から得られるPSMAまたはその改変型を発現する細胞を検出または特定するために利用することができる。ある特定の態様において、コンジュゲートを発現する組換え細胞は、小分子、リガンド、抗体またはその抗原結合断片、例えば抗PSMA抗体などのPSMAターゲティング分子を用いることによって、インビトロまたはエクスビボで検出または追跡され得る。
【0599】
いくつかの態様において、インビトロまたはエクスビボで行われる検出の方法には、これらに限定されないが、免疫組織化学(IHC)、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、免疫ブロット、およびエクスビボ蛍光イメージングが含まれる。特異的抗体-抗原結合を検出するための種々の公知の方法を用いることができる。用いることができる検出の他の方法には、蛍光偏光免疫検定(FPIA)、蛍光免疫測定(FIA)、酵素免疫測定(EIA)、比濁阻害免疫測定(nephelometric inhibition immunoassay)(NIA)、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、および放射性免疫検定(RIA)などの例示的イムノアッセイが含まれる。
【0600】
用いることができる検出の他の方法は、例えば定量的PCR(qPCR)などの例示的な核酸増幅ベースの方法を含み、対象の血液または血清または器官または組織試料(例えば疾患部位、例えば腫瘍試料)における組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞ベースの療法のために投与されるCAR発現細胞)の量を評価するために用いられる。いくつかの局面において、持続性は、DNAマイクログラム当たりの受容体、例えばCARをコードするDNAまたはプラスミドのコピー数として、または試料、例えば血液もしくは血清マイクロリットル当たりの、または試料マイクロリットル当たりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数当たりの受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の数として定量化される。いくつかの態様において、qPCRまたは他の核酸ベースの方法のために用いられるプライマーまたはプローブは、提供されるPSMAまたはその改変型をコードする核酸、ならびに/または組換え受容体および/もしくはプロモーター、転写および/もしくは転写後調節エレメントなどの調節エレメントまたは応答エレメントを含む、プラスミドおよび/もしくはベクターの他の構成成分もしくは要素をコードする核酸への結合、それの認識および/または増幅に特異的である。いくつかの態様において、核酸を検出するのに用いられるプライマーまたはプローブは、提供されるPSMAまたはその改変型をコードする核酸に特異的である。
【0601】
いくつかの態様において、検出の方法は、フローサイトメトリーベースの方法によって行われる。いくつかの態様において、フローサイトメトリーベースの方法は、フローサイトメトリーを用いる分析のために検出可能な部分(例えば蛍光部分)にコンジュゲートされたリガンドと接触させた細胞の集団を提供する工程を含む。フローサイトメトリーにおいて、蛍光標識された試薬によって結合された細胞は、流体流中に運ばれ、サイズおよび/または蛍光シグナルの強度に基づき分離され、続いて、FACSソフトウェアプログラム(例えばFlowJoソフトウェア)を用いて分析および計数される。いくつかの態様において、細胞の集団内の細胞は、線源(例えば、特定の波長の光を提供するレーザービーム源または光源)によって通過され、検出可能なシグナル(例えば蛍光)を発生する。
【0602】
公知の方法を用いる総細胞数を推定するための、他の例示的なインビトロまたはエクスビボの検出方法、例えばフローサイトメトリーベースの方法または定量的PCRベースの方法。例えば、Brentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177), Park et al, Molecular Therapy 15(4):825-833 (2007), Savoldo et al., JCI 121(5):1822-1826 (2011), Davila et al., (2013) PLoS ONE 8(4):e61338, Davila et al., Oncoimmunology 1(9):1577-1583 (2012), Lamers, Blood 2011 117:72-82, Jensen et al., Biol Blood Marrow Transplant 2010 September; 16(9): 1245-1256, Brentjens et al., Blood 2011 118(18):4817-4828を参照。
【0603】
VI. 選択の方法
PSMAまたはその改変型を発現する細胞、例えば本明細書において提供される操作された細胞のいずれかなどを選択、単離、または分離する方法が提供される。方法のいくつかの態様において、特定の細胞、例えばPSMAまたはその改変型および組換え受容体を発現するように操作された細胞が、複数の細胞または細胞の混合物から選択、単離および/または分離される。いくつかの態様において、方法は、遺伝子改変された細胞の製造、例えば調製および処理に関連して用いることができる。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型を発現する操作された細胞およびPSMAターゲティング分子が、PSMAまたはその改変型を形質導入された細胞を検出、選択もしくは単離および/または特定するために用いることができる。
【0604】
いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択、単離または分離する方法は、本明細書において提供される操作された細胞のいずれかを含む複数の細胞をPSMAターゲティング分子と接触させる工程;ならびにPSMAターゲティング分子よって認識または結合される細胞を選択、単離または分離する工程を伴う。いくつかの態様において、複数の細胞は、本明細書に記載されるような、PSMAもしくはその改変型および/または組換え受容体をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、ベクターおよび/またはベクターのセットのいずれかを含む操作された細胞を含む。
【0605】
いくつかの態様において、方法は、PSMAターゲティング分子と接触させた本明細書において提供される操作された細胞のいずれかを含む複数の細胞から、PSMAターゲティング分子によって認識または結合される細胞を選択、単離または分離する工程を伴う。
【0606】
いくつかの態様において、方法に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、PSMAまたはその改変型に、任意でPSMAまたは改変型の活性部位に結合することができ、PSMAまたはその改変型によって切断され、および/またはPSMAまたはその改変型のアンタゴニストまたは阻害剤である。例えば、いくつかの態様において、細胞を選択、単離または分離する方法に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、上記第III章に記載されるいずれかであり得る。
【0607】
いくつかの局面において、細胞を操作する方法の遺伝子移入、細胞処理、インキュベーション、培養および/または製剤化工程の1つまたは複数の工程の前、その間、またはその後、例えば上記のような細胞を操作するための任意の工程の間に、遺伝子改変した細胞を検出、選択または単離する方法が提供される。いくつかの局面において、遺伝子改変した細胞(例えばT細胞)の産生およびさらなる処理の過程で、導入遺伝子について陽性である細胞のみを特異的に選択しさらに処理することは関心対象である。提供された方法において、遺伝子改変した細胞の検出および選択は、本明細書に記載されたいずれかなどのPSMAターゲティング分子と接触させることによって行われる。いくつかの局面において、PSMAまたはその改変型の検出は、PSMAまたはその改変型と同時導入したおよび/または同時発現させた組換え受容体の代替マーカーである。
【0608】
いくつかの局面において、選択、単離、分離、特定および/または検出のために用いられる複数の細胞または細胞の混合物は、1つまたは複数の処理工程、例えば分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの結果生じる試料を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のいずれかなど、細胞を操作する方法の遺伝子移入(例えばウイルスベクターによる形質導入)、細胞処理、インキュベーション、培養、洗浄および/または製剤化工程の1つまたは複数の工程の前、その間、またはその後に得られる細胞または細胞の組成物は、PSMAターゲティング分子と接触される。ある特定の態様において、接触は、組成物の細胞中に存在するPSMAまたはその改変型へのPSMAターゲティング分子の結合を可能にする条件下である。ある特定の態様において、方法は、複合体がPSMAターゲティング分子とPSMAまたはその改変型との間で形成されるかどうかを検出する工程、およびまたはそのような結合の存在もしくは非存在またはレベルを検出する工程をさらに含む。
【0609】
いくつかの態様において、方法は、複数の細胞または細胞の混合物を含有する生体試料由来の細胞、例えばPSMAまたはその改変型および組換え受容体を発現するように操作された細胞を選択、単離または分離することに関連して用いることができる。生体試料には、これらに限定されないが、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および器官に由来する処理された試料を含む組織および器官試料が含まれる。いくつかの態様において、生体試料は、対象への操作された細胞の投与後に得ることができる。例えば、いくつかの態様において、操作された細胞を含む複数の細胞は、生体試料、例えば本明細書に記載された操作された細胞のいずれかを投与されている対象由来の末梢血白血球を含む。
【0610】
いくつかの態様において、方法に関連して用いるためのPSMAターゲティング分子、例えば小分子、リガンドおよび/または抗体は、固体支持体に結合していない、すなわち、PSMAターゲティング分子は可溶性形態で存在するかまたは可溶性である。いくつかの場合において、PSMAターゲティング分子は、個々の分子のオリゴマーもしくはポリマーまたは個々の分子を構成するサブユニットの複合体のオリゴマーもしくはポリマーである。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、ポリエチレングリコール(PEG)分子などの合成担体に共有結合により結合することができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、有機担体などの担体に連結される、それに付着する、またはそれと反応することができる。いくつかの局面において、多糖との反応に加えて、担体タンパク質として、生理的にまたは薬学的に許容されるタンパク質、例えば血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)またはウシ血清アルブミン(BSA))を用いることも可能である。
【0611】
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法に関連して用いられるPSMAターゲティング分子は、固体支持体または表面などの支持体、例えばビーズまたは固相(クロマトグラフィマトリックス)上に含まれる。いくつかのそのような態様において、PSMAターゲティング分子は、支持体上に可逆的に固定化される。いくつかの場合において、PSMAターゲティング分子は、共有結合を介して支持体に固定化される。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子は、支持体に非共有結合的に可逆的に固定化される。
【0612】
いくつかの態様において、支持体は固体支持体である。いくつかの態様において、任意の固体支持体(表面)が、PSMAターゲティング分子の固定化のために用いることができる。その上にPSMAターゲティング分子を固定化できる固体支持体の実例には、磁性ビーズ、ポリマービーズ、細胞培養プレート、マイクロタイタープレート、膜、または中空繊維が含まれる。いくつかの局面において、中空繊維は、TerumoBCT Inc.(Lakewood, CO, USA)から入手可能なQuantum(登録商標) Cell Expansion Systemにおいてバイオリアクターとして用いることができる。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、固体支持体に共有結合的に付着される。他の態様において、非共有結合性相互作用もまた、例えばプラスチック基質上への、固定化のために用いることができる。商業的に容易に入手可能である他の実例は、オリゴ-ヒスチジンタグ付け(hisタグ付け)タンパク質の固定化のために、例えばペンタ-またはヘキサ-ヒスチジンタグなどのオリゴヒスチジンタグの結合のために用いることができるTALON(登録商標)樹脂(Westburg, Leusden, The Netherlands)などの固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC)樹脂である。他の例としては、作用物質(アフィニティタグ)がカルモジュリン結合ペプチドであるコンジュゲートを結合するために用いることができる、GE Life Sciencesから入手可能なカルモジュリンセファロースが挙げられる。さらなる例としては、作用物質(アフィニティタグ)がグルタチオン-S-トランスフェラーゼであるコンジュゲートを結合するために用いることができる、グルタチオンがカップリングされているセファロースが挙げられる。
【0613】
いくつかの態様において、本方法において利用される固体支持体は、磁気的に誘引可能な物質、例えば1つまたは複数の磁気的に誘引可能な粒子またはフェロ流体を含んでもよい。代表的な磁気的に誘引可能な粒子は、標的細胞に結合できる結合部位を有するPSMAターゲティング分子を含んでもよい。いくつかの場合において、磁気的に誘引可能な粒子は、反磁性、強磁性、常磁性、または超常磁性の材料を含有してもよい。概して、超常磁性材料は、結果として生じる永久磁化なしに誘起磁場による磁場に応答する。酸化鉄に基づく磁性粒子は、例えばDynal BiotechからDynabeads(登録商標)として、Miltenyi Biotecから磁性MicroBeadsとして、CPG Inc.から磁性多孔ガラスビーズとして、ならびに種々の他の供給源、2~3例挙げると、例えばRoche Applied Science、BIOCLON、BioSource International Inc.、micromod、AMBION、Merck、Bangs Laboratories、Polysciences、またはNovagen Inc.などから市販されている。超常磁性CoおよびFeCo、ならびに強磁性Coナノ結晶に基づく磁性ナノ粒子は、例えばHutten, A. et al. (J. Biotech. (2004), 112, 47-63)によって記載されている。いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、免疫磁気(またはアフィニティ磁性)分離技術を用いて分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In vitro and In vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(商標) Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説される)。
【0614】
いくつかの態様において、支持体は固定相を含有する。よって、いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、固定相(クロマトグラフィマトリックスとも呼ばれる)上に含まれる。いくつかのそのような態様において、PSMAターゲティング分子は、固定相上に可逆的に固定化される。いくつかの場合において、PSMAターゲティング分子は、共有結合を介して固定相に可逆的に固定化される。いくつかの局面において、PSMAターゲティング分子は、固定相に非共有結合的に可逆的に固定化される。
【0615】
任意の材料が、特定の局面において、クロマトグラフィマトリックスとして利用され得る。概して、適したクロマトグラフィ材料は本質的に無害である、すわなち、例えば望ましい条件下で充填クロマトグラフィカラムにおいて用いたときなどに、細胞生存性に対して有害ではない。いくつかの態様において、固定相は、所定の場所、例えば所定の位置にとどまっているのに対して、試料の位置は変化している。よって、いくつかの態様において、固定相は、それを通って移動相が流れる(フロースルーによってあるいはバッチモードで)かつここで相と相との間の液相中に含まれる(溶解しているまたは分散している)構成成分の分布が生じる、クロマトグラフィシステムの一部である。
【0616】
いくつかの態様において、クロマトグラフィマトリックスは、固相または半固相の形態を有するのに対して、単離/分離されるべき標的細胞を含有する試料は液相である。クロマトグラフィマトリックスは、任意の公知のおよび使用されている材料など、紙基材または膜を含む、粒子状材料(任意の適したサイズおよび形状の)またはモノリシックなクロマトグラフィ材料であり得る。1つの態様において、クロマトグラフィマトリックス/固定相は、非磁性材料または非磁化可能材料である。他の態様において、本方法において利用されるクロマトグラフィマトリックスは、任意の磁気的に誘引可能な物質を除去する。いくつかの態様において、本発明において適している非磁性または非磁化可能クロマトグラフィ固定相は、誘導体化シリカまたは架橋ゲル、例えば天然ポリマーまたは合成ポリマーに基づく架橋ゲルを含む。例示的なクロマトグラフィマトリックス/固定相は公知であり、本明細書において提供される方法に関連して用いることができる。
【0617】
いくつかの態様において、ビーズまたはクロマトグラフィマトリックスなどの固体支持体は、該固体支持体(例えばマトリックス)を、試料、例えば生体試料および/または濃縮または選択されるべき細胞、例えば記載されているようなPSMAもしくはその改変型を発現する細胞を含有する複数の細胞もしくは細胞の混合物と接触させることによって、本明細書において記載されているような濃縮および選択方法において用いることができる。いくつかの態様において、選択された細胞は、PSMAターゲティング分子とPSMAまたはその改変型との相互作用を破壊することによって、固体支持体(例えばマトリックス)から溶出または遊離される。いくつかの態様において、PSMAまたはその改変型に対するPSMAターゲティング分子の結合は可逆的である。
【0618】
いくつかの態様において、方法は、PSMAターゲティング分子による検出に基づいてPSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択、単離、分離または濃縮するために行われる。いくつかの局面において、選択、単離、分離または濃縮された細胞は、例えば、PSMAまたはその改変型および任意で同時発現させるCARなどの組換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸分子および/またはベクターによる形質導入によって、遺伝子操作されている細胞である。いくつかの態様において、提供される方法は、PSMAまたはその改変型を発現する細胞について濃縮された細胞およびそのために組換え受容体を発現する細胞も含有する細胞組成物を生成するまたはそれをもたらす。
【0619】
いくつかの態様において、濃縮された組成物におけるPSMAまたはその改変型を発現する細胞の収量、すなわち、出発試料中の同じ細胞の集団の数と比較した集団中の濃縮細胞の数は、10%~100%、例えば20%~80%、20%~60%、20%~40%、40%~80%、40%~60%、または60%~80%である。
【0620】
いくつかの態様において、濃縮されたまたは単離された組成物中のPSMAまたはその改変型を発現する細胞のパーセンテージ、すなわち、濃縮されたまたは単離された細胞の集団中の総細胞に対する選択されたPSMAまたはその改変型について陽性の細胞のパーセンテージは、少なくとも 70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%であり、概して少なくとも 95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上である。
【0621】
VII. キットおよび製造物品
PSMAまたはその改変型および組換え受容体を発現する提供される操作された細胞、および1つもしくは複数のPSMAターゲティング分子、および/またはそれら組成物を含有するキットおよび製造物品も提供される。本明細書において製造物品も提供される。いくつかの態様において、製造物品には、本明細書において提供される、操作された細胞、組成物、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、ポリヌクレオチドのセットを含有する組成物、ベクター、ベクターのセット、ベクターのセットを含有する組成物、キット、および/またはPSMAターゲティング分子のいずれかが含まれる。
【0622】
いくつかの態様において、操作された細胞および/またはPSMAターゲティング分子を検出するための、PSMAターゲティング分子を含む組成物;および本明細書に記載の操作された細胞のいずれかの治療的有効量を受けているかまたは投与されている対象にPSMAターゲティング分子を投与するおよび/またはそれを検出するための説明書を含む、キットが提供される。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法のいずれかによる投与および/または検出のための工程を特定する。
【0623】
いくつかの態様において、本明細書に記載された操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含む組成物および本明細書において記載されたPSMAターゲティング分子;ならびに疾患または状態を処置するための対象に対して、操作された細胞と、シグナルを提供するかまたは検出可能であるシグナルを誘導する1つまたは複数の部分であるか、それを含むか、またはそれに連結されているPSMAターゲティング分子とを投与するための説明書;ならびに操作された細胞および/またはPSMAターゲティング分子を検出するための説明書を含むキットが提供される。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法のいずれかによる投与および/または検出のための工程を特定する。
【0624】
いくつかの態様において、説明書は、対象における投与された操作された細胞の数または濃度を決定する工程をさらに特定する。いくつかの態様において、説明書は、決定する工程がシグナルを標準曲線と比較することを含むことを特定する。いくつかの態様において、説明書は、標準曲線が、PSMAターゲティング分子と接触させた、定義された数のPSMAまたはその改変型を発現する細胞を含有する多数の対照試料からのシグナルの検出から作成されることをさらに特定する。いくつかの態様において、説明書は、検出する工程が、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された、陽電子放射断層撮影法(PET)を介して行われ、PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)であることを特定する。
【0625】
いくつかの態様において、本明細書に記載される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含む組成物、および疾患または状態を処置するための対象に対して、疾患または状態を処置するための治療剤であるか、それを含むか、またはそれと連結されるPSMAターゲティング分子との併用療法において操作された細胞を投与するための説明書を含むキットが提供される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子または治療剤は、腫瘍微小環境(TME)を調節する能力を有するか、または腫瘍に対して細胞傷害性である。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法のいずれかによる投与のための工程を特定する。
【0626】
いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子を含む組成物;および疾患または状態を処置するための対象に対して、疾患または状態を治療するための、本明細書において記載される操作された細胞のいずれかの治療的有効量との併用療法においてPSMAターゲティング分子を投与するための説明書を含む、キットが提供される。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法のいずれかによる投与のための工程を特定する。
【0627】
いくつかの態様において、本明細書において記載される操作された細胞のいずれかの治療的有効量を含む組成物およびPSMAターゲティング分子を含む組成物を含む、キットが提供される。いくつかの態様において、PSMAターゲティング分子は、治療剤であるか、またはそれを含むか、またはそれをさらに含む。いくつかの態様において、キットは、疾患または状態を処置するための対象に対して、疾患または状態を処置するための併用療法において操作された細胞およびPSMAターゲティング分子を投与するための説明書をさらに含む。いくつかの態様において、キットは、操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書をさらに含む。いくつかの態様において、治療剤は、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療剤である。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法のいずれかによる投与のための工程を特定する。
【0628】
キットおよび製造物品は、容器、および容器上またはそれに付随するラベルまたは添付文書を含んでもよい。適した容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど多様な材料から形成され得る。いくつかの態様における容器は、組成物を単独で、または状態を処置、予防および/または診断するのに有効な別の組成物との組み合わせで保持する。いくつかの態様において、容器は滅菌アクセスポートを有する。例示的な容器には、注入用の針によって穴空け可能なストッパーを有するものを含む、静脈内溶液バッグ、バイアル、または経口投与剤用のボトルもしくはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、組成物が疾患または状態を処置するために使用されることを示してもよい。製造物品は、(a)PSMAまたはその改変型および組換え受容体を発現する操作された細胞を含む組成物をその中に含有する第1の容器;および(b)1つまたは複数のPSMAターゲティング分子などの第2の剤を含む組成物をその中に含有する第2の容器を含んでもよい。製造物品は、組成物が特定の状態を処置するために使用できることを示す添付文書をさらに含んでもよい。代替的に、または追加的に、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別のまたは同じ容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、および/またはシリンジなどの他の物質をさらに含んでもよい。
【0629】
VIII. 定義
別途定義される場合を除き、本明細書において使用するすべての専門用語、表記法、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、特許請求の範囲に記載された対象が関係する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合において、通常理解されている意味を有する用語が、明快さのために、かつ/または即座の参照のために本明細書において定義されており、そのような定義が本明細書に含まれることは、当技術分野において一般に理解されていることを超える実質的な違いを表すように必ずしも解釈されるべきではない。
【0630】
本明細書において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書において記載される局面および変化形は、局面および変化形「からなる」ことおよび/またはそれら「から本質的になる」ことを包含することが理解される。
【0631】
本開示の全体を通して、特許請求の範囲に記載される対象の種々の局面が範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔性のためであり、特許請求の範囲に記載される対象の範囲に関して柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能性のある部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある各介在する値(intervening value)、およびその表記された範囲における任意の他の表記された値または介在する値が、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、このより小さい範囲に独立して含まれてもよく、表記された範囲における任意の特に除外される限界に従うことを条件に、特許請求の範囲に記載される対象の範囲内にも包含される。表記された範囲が限界点の一方または両方を含む場合、そのような含まれた限界点のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、特許請求の範囲に記載される対象において含まれる。このことは、範囲の広さにかかわらず、当てはまる。
【0632】
本明細書において用いられる用語「約」は、この技術分野における当業者には容易に理解されるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及には、その値またはパラメータ自体に関する態様が含まれる(および記載される)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0633】
本明細書において用いられる場合、ヌクレオチド位置またはアミノ酸位置が、配列表に示されるものなど、開示された配列におけるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置「に対応する」という記載は、標準的なアライメントアルゴリズム、例えばGAPアルゴリズムなどを用いて同一性を最大となるように開示された配列とのアライメント時に特定されたヌクレオチド位置またはアミノ酸位置を指す。配列をアライメントすることによって、当業者は、例えば、保存アミノ酸残基および同一のアミノ酸残基をガイドとして用いて、対応する残基を特定することができる。一般に、対応する位置を特定するために、アミノ酸の配列は、最も高水準の一致が得られるようにアライメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New.Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照)。
【0634】
用語「ベクター」は、本明細書において用いられる場合、それに連結される別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製性核酸構造としてのベクターならびに導入されている宿主細胞のゲノム内に組み込まれるベクターが含まれる。ある種のベクターは、それに機能的に連結される核酸の発現を導くことができる。そのようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。ベクターには、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターが含まれる。
【0635】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、互換的に用いられ、その中に外因性核酸が導入されている細胞を、そのような細胞の子孫を含めて指す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞、および継代の数に関係なくそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容において親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有していてもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫は本明細書において含まれる。
【0636】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーの細胞上でのまたは細胞内での検出可能な存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体によって染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものと実質的に同様のレベルで、および/またはマーカーについて陰性であることが公知である細胞のものより実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出することができる。
【0637】
本明細書において用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記述は、特定のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞上でのまたは細胞内での実質的に検出可能な存在の非存在を指す。表面マーカーを指す場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体によって染色し、該抗体を検出することによって検出されるような表面発現の非存在を指し、ここで、染色は、アイソタイプが一致する対照を用いてそれ以外は同一条件下で同じ手法を行って検出される染色を実質的に上回るレベルでフローサイトメトリーによって検出されず、および/またはマーカーについて陽性であることが公知の細胞のものより実質的に低いレベルで、および/またはマーカーに陰性であることが公知である細胞のものと比較して実質的に同様のレベルである。
【0638】
本明細書において用いられる場合、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関連して用いられるとき「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」および「パーセント同一性」は、最大のパーセント配列同一性を達成するように配列をアライメントし、必要に応じて、ギャップを導入し後の、かついかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列(例えば、対象の抗体または断片)におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定することを目的とするアライメントは、当技術分野における技術の範囲内である種々の方法で、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどを使用して達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大アライメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0639】
アミノ酸置換は、ポリペプチド中の1つのアミノ酸の別のアミノ酸との交換を含み得る。置換は、保存的アミノ酸置換または非保存的アミノ酸置換であり得る。アミノ酸置換は、所望の活性についてスクリーニングされた、例えば、抗原結合を保持する/改善した、免疫原性を低減させた、またはADCCもしくはCDCを改善した、関心対象の結合分子、例えば、抗体、および産物に導入され得る。
【0640】
アミノ酸は概して、以下の一般的な側鎖特定によってグループ分けできる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖方向性に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族;Trp、Tyr、Phe。
【0641】
いくつかの態様において、保存的置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーの、同じクラスの別のメンバーへの交換を伴い得る。いくつかの態様において、非保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴い得る。
【0642】
本明細書において用いる場合、組成物は、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁物、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0643】
本明細書において用いられる場合、「対象」は、哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
【0644】
IX. 例示的な態様
特に、提供される態様は以下である:
1. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型、ならびに
キメラ受容体および/または組換え抗原受容体
を含む、操作された細胞。
2. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする核酸、ならびに
キメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸
を含む、操作された細胞。
3. PSMAまたはその改変型が、細胞の表面上に発現される、態様1または態様2の操作された細胞。
4. PSMAまたはその改変型が、細胞外部分および膜貫通ドメインを含む、態様1~3のいずれかの操作された細胞。
5. PSMAまたはその改変型、任意で細胞外部分が、PSMAターゲティング分子またはその一部分によって認識されることができる、態様1~4のいずれかの操作された細胞。
6. 前記PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様5の操作された細胞。
7. PSMAまたはその改変型が、
N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメイン
を含む、かつ/または、
任意で、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700の残基である、1個または複数個の活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基
を含む、
態様1~6のいずれかの操作された細胞。
8. PSMAまたはその改変型が、ヒトPSMAまたはその改変型である、態様1~7のいずれかの操作された細胞。
9. PSMAまたはその改変型が、野生型PSMA、任意で野生型ヒトPSMAである、態様1~8のいずれかの操作された細胞。
10. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメイン、または、
SEQ ID NO:23またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメインに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列
を含む、態様1~9のいずれかの操作された細胞。
11. PSMAまたはその改変型が、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む改変PSMAである、態様1~8および10のいずれかの操作された細胞。
12. 前記野生型または非改変PSMAが、
ヒトPSMAである、かつ/または、
SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、
態様11の操作された細胞。
13. 前記1つまたは複数のアミノ酸改変が、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む、態様11または態様12の操作された細胞。
14. 改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、(i)低減した内在性シグナル伝達を示す、(ii)増加した細胞表面発現を示す、かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す、態様11~13のいずれかの操作された細胞。
15. 改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、W2Gに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、またはW2を含まないか、または位置2にいかなる残基も含まない、態様1~8および10~14のいずれかの操作された細胞。
16. 改変PSMAが、
SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:24またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
を含む、態様15の操作された細胞。
17. 改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、態様1~8および10~16のいずれかの操作された細胞。
18. 改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、態様17の操作された細胞。
19. 改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、野生型または非改変PSMAと比較して、位置2、3、4、または5の残基から開始しかつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む、態様1~8および10~18のいずれかの操作された細胞。
20. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:25もしくは52に示されるアミノ酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:25もしくは52またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ、1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含み、かつ任意でメチオニン開始コドンを含有する、アミノ酸配列
を含む、態様1~8および10~19のいずれかの操作された細胞。
21. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:26もしくは53に示される核酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:26もしくは53またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、態様1~20のいずれかの操作された細胞。
22. PSMAまたはその改変型が、
CpGを含まないように改変されている、かつ/またはコドン最適化されている、核酸配列
によってコードされる、態様1~21のいずれかの操作された細胞。
23. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:27に示される核酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:27またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、態様22の操作された細胞。
24. 改変PSMAが、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインのすべてもしくは実質的にすべてを含む、または
改変PSMAが、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインと同じ数もしくは少なくとも同じ数のアミノ酸を有する膜貫通ドメインを含む、
態様1~8および10~23のいずれかの操作された細胞。
25. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様5~24のいずれかの操作された細胞。
26. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様5~25のいずれかの操作された細胞。
27. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様26の操作された細胞。
28. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様27の操作された細胞。
29. 前記PSMAターゲティング分子が、
PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片
であるかまたはそれを含む、態様5~25のいずれかの操作された細胞。
30. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様29の操作された細胞。
31. 前記PSMAターゲティング分子が、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様5~25のいずれかの操作された細胞。
32. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様31の操作された細胞。
33. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、
疾患、障害、もしくは状態に関連する、疾患、障害、もしくは状態に特異的である、かつ/または疾患、障害、もしくは状態の細胞もしくは組織上に発現される、標的抗原
に結合することができる、態様1~32のいずれかの操作された細胞。
34. 前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、態様33の操作された細胞。
35. 前記標的抗原が腫瘍抗原である、態様33または態様34の操作された細胞。
36. 前記標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子の中から選択される、態様33~35のいずれかの操作された細胞。
37. 前記標的抗原が、ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-A1、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、胎児腫瘍性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化 GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、態様33~36のいずれかの操作された細胞。
38. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様1~37のいずれかの操作された細胞。
39. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、態様1~38のいずれかの操作された細胞。
40. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインを含む、態様1~39のいずれかの操作された細胞。
41. 前記抗原結合ドメインが、
抗体、または、任意で一本鎖断片である、その抗体断片
であるかまたはそれを含む、態様40の操作された細胞。
42. 前記断片が、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含む、態様41の操作された細胞。
43. 前記断片がscFvを含む、態様41または態様42の操作された細胞。
44. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、態様1~43のいずれかの操作された細胞。
45. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、細胞内シグナル伝達領域を含む、態様1~44のいずれかの操作された細胞。
46. 前記細胞内シグナル伝達領域が、細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様45の操作された細胞。
47. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれらを含む、態様46の操作された細胞。
48. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖の、任意でCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、態様47の操作された細胞。
49. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含む、態様45~48のいずれかの操作された細胞。
50. 前記細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様45~49のいずれかの操作された細胞。
51. 前記共刺激シグナル伝達領域が、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、態様50の操作された細胞。
52. 前記共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、態様50または態様51の操作された細胞。
53. 前記共刺激シグナル伝達領域が、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある、態様50~52のいずれかの操作された細胞。
54. PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、細胞に含まれる1つまたは複数のポリヌクレオチド内に含まれる、態様2~53のいずれかの操作された細胞。
55. 前記1つまたは複数のポリヌクレオチドが1つのポリヌクレオチドであり、PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている、態様54の操作された細胞。
56. PSMAまたはその改変型をコードする核酸およびCARをコードする核酸が、細胞に含まれる1つのポリヌクレオチド内に含まれ、該ポリヌクレオチドが、5'から3'への順序で以下を含む、態様39~55のいずれかの操作された細胞:
i)シグナルペプチドをコードする核酸、
ii)CARをコードする核酸であって、該CARが、scFv;スペーサー;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸、
iii)任意でT2A、P2A、E2A、またはF2Aである、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列、ならびに
iv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列またはその断片、あるいは、
SEQ ID NO:52またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、アミノ酸配列
を任意で含む、PSMAまたはその改変型をコードする核酸。
57. PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている、態様55または56の操作された細胞。
58. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、PSMAまたはその改変型をコードする核酸の下流に存在する、態様55~57のいずれかの操作された細胞。
59. 前記1つまたは複数のポリヌクレオチドが、2つの異なるポリヌクレオチドを含み、PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている、かつ/または、PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、細胞のゲノム内の異なる場所に存在するかまたは挿入されている、態様54~58のいずれかの操作された細胞。
60. 免疫細胞である、
CD4+ T細胞およびそのサブタイプならびにCD8+ T細胞およびそのサブタイプからなる群より任意で選択される、T細胞である、
NK細胞である、かつ/または
任意でiPSCである、多分化能もしくは多能性細胞に由来する、
態様1~59のいずれかの操作された細胞。
61. セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、ナイーブT細胞、幹セントラルメモリーT細胞、エフェクターT細胞、および制御性T細胞からなる群より選択されるT細胞である、かつ/または
多数の細胞を含み、該多数が、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、ナイーブT細胞、幹セントラルメモリーT細胞、エフェクターT細胞、および制御性T細胞からなる群より選択される細胞の集団を少なくとも50%含む、
態様60の操作された細胞。
62. 制御性T細胞である、態様61の操作された細胞。
63. 組換えFOXP3またはそのバリアントをさらに含む、態様60~62のいずれかの操作された細胞。
64. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする第1の核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする第2の核酸を含む、ポリヌクレオチド。
65. PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、同じプロモーターに機能的に連結され、かつ、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または任意でT2A、P2A、E2A、もしくはF2Aである、自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって任意で分離されている、態様64のポリヌクレオチド。
66. PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、2つの異なるプロモーターに機能的に連結されている、態様64のポリヌクレオチド。
67. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、PSMAまたはその改変型をコードする核酸の下流に存在する、態様64~66のいずれかのポリヌクレオチド。
68. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変型をコードする核酸を含む第1のポリヌクレオチド、ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸を含む第2のポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドのセット。
69. 態様68のポリヌクレオチドのセットを含む、組成物。
70. PSMAまたはその改変型をコードする核酸ならびにキメラ受容体および/または組換え抗原受容体をコードする核酸が、各々独立して、プロモーターに機能的に連結されている、態様64~69のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
71. コードされるPSMAまたはその改変型が、細胞の表面上に発現されることができる、態様64~70のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
72. コードされるPSMAまたはその改変型が、細胞外部分および膜貫通ドメインを含む、態様64~71のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
73. PSMAまたはその改変型、任意で細胞外部分が、PSMAターゲティング分子またはその一部分によって認識されることができる、態様64~72のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
74. 前記PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様73のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
75. コードされるPSMAまたはその改変型が、
N-アセチル化-α-結合型酸性ジペプチダーゼ(NAALADアーゼ)ドメイン
を含む、かつ/または、
任意で、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置210、257、269、272、377、387、387、424、424、425、433、436、453、517、518、519、552、553、534、535、536、552、553、628、666、689、699、および/または700の残基である、1個または複数個の活性部位残基ならびに/またはPSMA基質結合および/もしくはPSMA触媒活性に関与する残基
を含む、
態様64~74のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
76. コードされるPSMAまたはその改変型が、ヒトPSMAまたはその改変型である、態様64~75のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
77. コードされるPSMAまたはその改変型が、野生型PSMA、任意で野生型ヒトPSMAである、態様64~76のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
78. コードされるPSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメイン、または、
SEQ ID NO:23またはその細胞外および/もしくは膜貫通ドメインに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列
を含む、態様64~77のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
79. コードされるPSMAまたはその改変型が、野生型または非改変PSMAと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変を含む改変PSMAである、態様64~76および78のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
80. 前記野生型または非改変PSMAが、
ヒトPSMAである、かつ/または、
SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、
態様79のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
81. 前記1つまたは複数のアミノ酸改変が、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を含む、態様79または態様80のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
82. コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、(i)低減した内在性シグナル伝達を示す、(ii)増加した細胞表面発現を示す、かつ/または(iii)低減した細胞内部移行を示す、態様79~81のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
83. コードされる改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、W2Gに対応する少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、またはW2を含まないか、または位置2にいかなる残基も含まない、態様64~76および78~82のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
84. コードされる改変PSMAが、
SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:24またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
を含む、態様83のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
85. コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、細胞内部分内に1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、態様64~76および78~84のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
86. コードされる改変PSMAが、野生型または非改変PSMAと比較して、最大で2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、態様85のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
87. コードされる改変PSMAが、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列における位置に関して、位置2、3、4、または5の残基から開始しかつ位置6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19までのN末端の連続したアミノ酸配列の欠失を含む、態様64~76および78~86のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
88. コードされるPSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:25もしくは52に示されるアミノ酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:25もしくは52またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ、1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含み、かつ任意でメチオニン開始コドンを含有する、アミノ酸配列
を含む、態様64~76および78~87のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
89. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:26もしくは53に示される核酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:26もしくは53またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、態様64~88のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
90. PSMAまたはその改変型が、
CpGを含まないように改変されている、かつ/またはコドン最適化されている、核酸配列
によってコードされる、態様64~89のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
91. PSMAまたはその改変型が、
SEQ ID NO:27に示される核酸配列またはその断片、または、
SEQ ID NO:27またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ任意で、メチオニン開始コドンをコードする核酸を含有する、核酸配列
によってコードされる、態様90の操作された細胞。
92. コードされる改変PSMAが、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインのすべてもしくは実質的にすべてを含む、または
コードされる改変PSMAが、野生型もしくは非改変PSMAの膜貫通ドメインと同じ数もしくは少なくとも同じ数のアミノ酸を有する膜貫通ドメインを含む、
態様64~76および78~91のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
93. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様73~91のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
94. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様73~93のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
95. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様94のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
96. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様95のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
97. 前記PSMAターゲティング分子が、
PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片
であるかまたはそれを含む、態様73~93のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
98. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様97のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
99. 前記PSMAターゲティング分子が、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様73~93のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
100. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様99のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
101. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、
疾患、障害、もしくは状態に関連する、疾患、障害、もしくは状態に特異的である、かつ/または疾患、障害、もしくは状態の細胞もしくは組織上に発現される、標的抗原
に結合することができる、態様64~100のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
102. 前記疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、態様101のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
103. 前記標的抗原が腫瘍抗原である、態様101または態様102のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
104. 前記標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9;CAIXまたはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、胎児腫瘍性抗原、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1またはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼ、またはDCTとしても知られる)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子の中から選択される、態様101~103のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
105. 前記標的抗原が、ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸アンヒドラーゼ9(CAIX)、tEGFR、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、Gタンパク質共役受容体5D(GPCR5D)、HMW-MAA、IL-22R-α、IL-13R-α2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、κ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、黒色腫の優先発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体α2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-A1、MAGE A1、HLA-A2、NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、がん-精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、胎児腫瘍性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、がん胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化 GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグに関連する抗原の中から選択される、態様101~104のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
106. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様64~104のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
107. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、態様64~106のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
108. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインを含む、態様64~107のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
109. 前記抗原結合ドメインが、
抗体、または、任意で一本鎖断片である、その抗体断片
であるかまたはそれを含む、態様108のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
110. 前記断片が、フレキシブルリンカーによって連結された抗体可変領域を含む、態様109のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
111. 前記断片がscFvを含む、態様109または態様110のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
112. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、態様64~111のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
113. コードされるキメラ受容体および/またはコードされる組換え抗原受容体が、細胞内シグナル伝達領域を含む、態様64~112のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
114. 前記細胞内シグナル伝達領域が、細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様113のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
115. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれらを含む、態様114のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物細胞。
116. 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖の、任意でCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、態様115のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
117. キメラ受容体および/または組換え抗原受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインをさらに含む、態様113~116のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
118. 前記細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様113~117のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
119. 前記共刺激シグナル伝達領域が、T細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、態様118のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
120. 前記共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、態様118または態様119のポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
121. 前記共刺激シグナル伝達領域が、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間にある、態様118~120のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、または組成物。
122. 5'から3'への順序で以下を含む、態様107~121のいずれかのポリヌクレオチド:
i)シグナルペプチドをコードする核酸、
ii)CARをコードする核酸であって、該CARが、scFv;スペーサー;膜貫通ドメイン;共刺激シグナル伝達領域と、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分とを含む、細胞内領域を含む、核酸、
iii)任意でT2A、P2A、E2A、またはF2Aである、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸配列、ならびに
iv)SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列またはその断片、あるいは、
SEQ ID NO:52またはその断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、もしくは少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつ1個または複数個のN末端アミノ酸残基の欠失を含む、アミノ酸配列
を任意で含む、PSMAまたはその改変型をコードする核酸。
123. 態様66~67および70~122のいずれかのポリヌクレオチドを含む、ベクター。
124. ウイルスベクターである、態様123のベクター。
125. レトロウイルスベクターである、態様123または態様124のベクター。
126. レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、態様123~125のいずれかのベクター。
127. 第1のベクターおよび第2のベクターを含むベクターのセットであって、第1のベクターが、態様66~122のいずれかの第1のポリヌクレオチドを含み、かつ第2のベクターが、態様66~122のいずれかの第2のポリヌクレオチドを含む、ベクターのセット。
128. 態様127のベクターのセットを含む、組成物。
129. 態様64~121のいずれかのポリヌクレオチド、もしくはポリヌクレオチドのセットのポリヌクレオチド、もしくは組成物中のポリヌクレオチド、または態様123~128のいずれかのベクター、もしくはベクターのセットのベクター、もしくは組成物中のベクターを細胞に導入する工程を含む、操作された細胞を作製する方法。
130. 態様129の方法によって作製される、操作された細胞。
131. 態様64~122のいずれかのポリヌクレオチド、もしくはポリヌクレオチドのセットのポリヌクレオチド、もしくは組成物中のポリヌクレオチド、または態様123~128のいずれかのベクター、もしくはベクターのセットのベクター、もしくは組成物中のベクターを含む、操作された細胞。
132. 免疫細胞である、
CD4+ T細胞およびそのサブタイプならびにCD8+ T細胞およびそのサブタイプからなる群より任意で選択される、T細胞である、
NK細胞である、かつ/または
任意でiPSCである、多分化能もしくは多能性細胞に由来する、
態様130および131の操作された細胞。
133. 態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞を含む、組成物。
134. 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様133の組成物。
135. PSMAターゲティング分子をさらに含む、態様133または態様134の組成物。
136. 態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞または態様133~135のいずれかの組成物を対象に投与する工程を含む、処置の方法。
137. 前記対象に、
PSMAターゲティング分子、または
PSMAターゲティング分子を含む組成物
を投与する工程をさらに含む、態様136の方法。
138. 前記PSMAターゲティング分子が、治療剤であるかもしくは治療剤を含む、または治療剤をさらに含む、態様137の方法。
139. 対象に、
(a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞、または
態様133~135のいずれかの組成物、および
(b)治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤をさらに含む、PSMAターゲティング分子、または
治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤をさらに含むPSMAターゲティング分子を含む、組成物
を投与する工程を含む、処置の方法。
140. 態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞または態様133~135のいずれかの組成物を投与されている対象に、
治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤をさらに含む、PSMAターゲティング分子、または
治療剤であるかもしくは治療剤を含むかもしくは治療剤をさらに含むPSMAターゲティング分子を含む、組成物
を投与する工程を含む、処置の方法。
141. 前記PSMAターゲティング分子または前記PSMAターゲティング分子を含む組成物が、前記操作された細胞または前記操作された細胞を含む組成物の投与と同時に、または逐次的に任意の順序で投与される、態様137~140のいずれかの方法。
142. 前記PSMAターゲティング分子または前記PSMAターゲティング分子を含む組成物が、前記操作された細胞または前記操作された細胞を含む組成物の投与と同時に、任意で同じまたは異なる組成物において投与される、態様137~141のいずれかの方法。
143. 前記PSMAターゲティング分子または前記PSMAターゲティング分子を含む組成物が、前記操作された細胞または前記操作された細胞を含む組成物の投与と逐次的に任意の順序で投与される、態様137~141のいずれかの方法。
144. 前記PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様137~143のいずれかの方法。
145. PSMAまたはその改変型が、前記操作された細胞のうちの1つまたは複数の上に発現される、態様136~144のいずれかの方法。
146. 前記対象が、疾患、障害、または状態、任意で、がん、腫瘍、自己免疫性の疾患、障害、もしくは状態、または感染性疾患を有する、態様136~145のいずれかの方法。
147. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様137~146のいずれかの方法。
148. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様137~147のいずれかの方法。
149. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様148の方法。
150. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様149の方法。
151. 前記PSMAターゲティング分子が、
PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片
であるかまたはそれを含む、態様137~147のいずれかの方法。
152. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様151の方法。
153. 前記PSMAターゲティング分子が、
任意でA9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、アプタマーまたはそのコンジュゲート
であるかまたはそれを含む、態様137~152のいずれかの方法。
154. 前記治療剤が、腫瘍微小環境(TME)を調節することができるか、または腫瘍に対して細胞傷害性である、態様138~153のいずれかの方法。
155. 前記治療剤が、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である、態様138~154のいずれかの方法。
156. 前記PSMAターゲティング分子が、
治療剤であるか、または治療剤を含むか、または治療剤への変換もしくは治療剤のアンマスキングができる、プロドラッグ
であるかまたはそれを含む、かつ/または、
前記PSMAターゲティング分子が、PSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断が、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、
態様138~155のいずれかの方法。
157. 前記PSMAターゲティング分子が、ミプサガルギン(G-202、(8-O-(12-アミノドデカノイル)-8-O-デブタノイルタプシガルギン)-Asp-γ-Glu-γ-Glu-γ-GluGluOH)であるかまたはそれを含む、態様156の方法。
158. 前記PSMAターゲティング分子が、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である、態様138~155のいずれかの方法。
159. 前記PSMAターゲティング分子が、治療剤をさらに含み、該治療剤が、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている、態様138~158のいずれかの方法。
160. 前記リンカーが、ペプチドもしくはポリペプチドであるか、または化学的リンカーである、態様159の方法。
161. 前記リンカーが、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである、態様159または態様160の方法。
162. 前記リンカーが、前記PSMAターゲティング分子によるPSMAまたはその改変型の結合時に切断されることができ、その切断が、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、態様159~161のいずれかの方法。
163. 前記放出可能リンカーまたは切断可能リンカーが、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断が、治療剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、態様161または態様162の方法。
164. 前記腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む、態様163の方法。
165. 前記PSMAターゲティング分子が、前記操作された細胞のうちの1つまたは複数の、ならびに/または前記キメラ受容体および/もしくは組換え抗原受容体によって特異的に認識される対象中に存在する細胞もしくは組織の、死滅または破壊を誘導する、態様138~164のいずれかの方法。
166. 前記治療剤が細胞傷害剤を含む、態様138~165のいずれかの方法。
167. 前記細胞傷害剤が、毒素であるかまたはそれを含む、態様166の方法。
168. 前記毒素が、ペプチド毒素、リシンA鎖毒素、アブリンA鎖、ジフテリア毒素(DT)A鎖、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、志賀毒素A鎖、ゲロニン、モモルジン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、トリコサンチン、プロアエロリジン、またはオオムギ毒素である、態様167の方法。
169. 前記治療剤が、
任意でピロフェオホルビド-a(Ppa)またはYC-9であるかまたはそれを含む、光増感剤
を含む、態様138~168のいずれかの方法。
170. 前記PSMAターゲティング分子の投与が、健常組織または健常細胞の、前記操作された細胞を含有しないかつ/または前記抗原を発現しない細胞または組織の、死滅または破壊を誘導しないか、または実質的に誘導しない、態様138~169のいずれかの方法。
171. 前記治療剤が免疫調節剤である、態様138~157および159~165のいずれかの方法。
172. 前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント阻害剤もしくは調節物質、またはサイトカインである、態様171の方法。
173. 前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント分子の機能または免疫チェックポイント分子を含むシグナル伝達経路を阻害または遮断することができる免疫チェックポイント阻害剤である、態様172の方法。
174. 前記免疫チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン受容体または細胞外アデノシン、任意で、アデノシン2A受容体(A2AR)もしくはアデノシン2B受容体(A2BR)、またはアデノシン、または前述のいずれかを含む経路の中から選択される、態様173の方法。
175. PSMAもしくはその改変型を発現する細胞を検出する工程、ならびに/または、PSMAもしくはその改変型へのPSMAターゲティング分子の結合および/もしくはPSMAターゲティング分子の存在を検出する工程をさらに含む、態様136~174のいずれかの方法。
176. 前記検出する工程が、インビボで行われる、かつ/または前記検出が、インビボイメージングを介して実施される、態様175の方法。
177. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞または態様133もしくは態様134の組成物を、PSMAターゲティング分子と接触させる工程、ならびに
(b)PSMAもしくはその改変型および/または操作された細胞へのまたはそれらを伴う、該PSMAターゲティング分子の結合および/または該PSMAターゲティング分子の存在を検出する工程
を含む、操作された細胞を検出する方法。
178. 前記接触させる工程が、前記操作された細胞を投与されている対象へのPSMAターゲティング分子の投与を含む、態様177の方法。
179. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞または態様133~135のいずれかの組成物を以前に投与されている対象に、PSMAターゲティング分子を投与する工程であって、該操作された細胞が、対象においてキメラ受容体および/または組換え抗原受容体ならびにPSMAまたはその改変型を発現する、工程、ならびに
(b)対象における、PSMAもしくはその改変型への、および/または操作された細胞へのPSMAターゲティング分子の結合、ならびに/または、PSMAターゲティング分子の存在を検出する工程
を含む、対象における、操作された細胞の存在または非存在を検出する方法。
180. 前記検出が、インビボイメージングを介して実施される、態様179の方法。
181. 前記PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様177~180のいずれかの方法。
182. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様177~181のいずれかの方法。
183. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様177~182のいずれかの方法。
184. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様183の方法。
185. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様184の方法。
186. 前記PSMAターゲティング分子が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様177~182のいずれかの方法。
187. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、164-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様186の方法。
188. 前記PSMAターゲティング分子が、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様177~182のいずれかの方法。
189. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様188の方法。
190. 前記検出する工程が、対象における、または対象由来の試料からの、シグナルの同定を含み、
前記PSMAターゲティング分子が、
シグナルを提供する、または
検出可能であるシグナルを誘導する、または
シグナルを提供する部分もしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に、結合することができる、かつ/または
前記PSMAターゲティング分子が、
シグナルを提供する部分または検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む、
態様156~189のいずれかの方法。
191. 前記部分が、放射性同位体、生物発光化合物、化学発光化合物、蛍光化合物、発色性化合物、量子ドット、ナノ粒子、金属キレート、または酵素を含む、態様190の方法。
192. 前記PSMAターゲティング分子が、
任意で放射性リガンドである、イメージングプローブまたは検出試薬
であるかまたはそれを含む、態様190または態様191の方法。
193. 前記PSMAターゲティング分子が、前記部分であるかまたはそれを含む、かつ/または、
前記PSMAターゲティング分子が、PSMAまたはその改変型との結合時に切断されることができ、その切断が、前記部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である、
態様190~192のいずれかの方法。
194. 前記PSMAターゲティング分子が、
シグナルを提供する部分または検出可能であるシグナルを誘導する部分
をさらに含み、該部分が、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている、態様190~193のいずれかの方法。
195. 前記リンカーが、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである、態様194の方法。
196. 前記リンカーが、PSMAまたはその改変型との結合時に切断されることができ、その切断が、前記部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である、態様194または態様195の方法。
197. 前記放出可能リンカーまたは切断可能リンカーが、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断が、前記部分を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、かつ/または蛍光性および/もしくは放射性である、態様195または態様196の方法。
198. 前記腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む、態様197の方法。
199. 放射線治療薬、放射性同位体、放射性リガンド、または放射性切断産物が、11C、18F、64Cu、68Ga、68Ge、86Y、89Zr、90Y、99mTc、111In、123I、125I、177Lu、および/または213Biを含む、態様156および191~198のいずれかの方法。
200. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-[18F]フルオロベンジル-L-システイン(18F-DCFBC)である、態様199の方法。
201. 前記接触させる工程および/または前記検出する工程が、インビボで行われる、かつ/または前記検出が、インビボイメージングを介して実施される、態様177~200のいずれかの方法。
202. 前記インビボイメージングが、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、コンピュータ断層撮影法(CT)、コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)、電子ビームコンピュータ断層撮影法(EBCT)、高解像度コンピュータ断層撮影法(HRCT)、下環状断層撮影法、陽電子放射断層撮影法(PET)、シンチグラフィー、ガンマカメラ、β+検出器、γ検出器、蛍光イメージング、低照度イメージング、X線、生物発光イメージング、および近赤外(NIR)光断層撮影法の中から選択される、態様176および180~201のいずれかの方法。
203. 前記インビボイメージングが、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された、陽電子放射断層撮影法(PET)である、態様176および180~202のいずれかの方法。
204. 4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、または、指定された体積中に存在するおよそ4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞を検出することができる、態様175および177~203のいずれかの方法。
205. 前記指定された体積が、液体の、試料の、および/または器官もしくは組織の体積である、かつ/または、10~100μLまたは約10~約100μLである、態様204の方法。
206. 前記接触させる工程および/または前記検出する工程が、インビトロまたはエクスビボで行われる、態様177~200のいずれかの方法。
207. 前記接触させる工程および/または前記検出する工程が、免疫組織化学(IHC)、免疫細胞化学、またはフローサイトメトリーを含む、態様177~200および206のいずれかの方法。
208. 2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、またはおよそ2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞、または、指定された体積中に存在するおよそ2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000個の低量もしくは少量の細胞を検出することができる、態様177~200、206、および207のいずれかの方法。
209. 前記指定された体積が、液体の、試料の、および/または器官もしくは組織の体積である、かつ/または、10~100μLまたは約10~約100μLである、態様208の方法。
210. 対象における、投与された前記操作された細胞の、数または濃度を決定する工程をさらに含む、態様190~209のいずれかの方法。
211. 前記決定する工程が、シグナルと標準曲線との比較を含む、態様210の方法。
212. 前記標準曲線が、PSMAまたはその改変型を発現する定義された数の細胞を含有する多数の対照試料由来のシグナルの検出から生成され、該多数の対照試料は、PSMAターゲティング分子と接触している、態様211の方法。
213. 前記インビボイメージングが、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された、陽電子放射断層撮影法(PET)であり、かつ前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)である、態様176、および180~185、192、199~205、および210~212のいずれかの方法。
214. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞を含む多数の細胞を、PSMAターゲティング分子と接触させる工程、ならびに
(b)PSMAターゲティング分子によって認識されるかまたは結合される細胞を選択する、単離する、または分離する工程
を含む、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択する、単離する、または分離する方法。
215. PSMAターゲティング分子によって認識されるかまたは結合される細胞を、PSMAターゲティング分子と接触させた態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞を含む多数の細胞から選択する、単離する、または分離する工程を含む、PSMAまたはその改変型を発現する細胞を選択する、単離する、または分離する方法。
216. 前記PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様214または態様215の方法。
217. 前記多数の細胞が、態様58~110のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、もしくは組成物、または態様111~116のいずれかのベクター、ベクターのセット、もしくは組成物を含む操作された細胞を含む、態様214~216のいずれかの方法。
218. 前記操作された細胞を含む多数の細胞が、態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞または態様133~135のいずれかの組成物を投与されている対象由来の末梢血白血球を含む、態様214~218のいずれかの方法。
219. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様214~218のいずれかの方法。
220. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様214~219のいずれかの方法。
221. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様220の方法。
222. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様221の方法。
223. 前記PSMAターゲティング分子が、抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様214~219のいずれかの方法。
224. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、196-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様223の方法。
225. 前記PSMAターゲティング分子が、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様214~219のいずれかの方法。
226. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様225の方法。
227. 前記PSMAターゲティング分子が、マトリックス中に含まれるか、または固体支持体上に固定化される、態様224~226のいずれかの方法。
228. 前記固体支持体が磁性粒子を含む、態様227の方法。
229. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞の治療的有効量を含む組成物、ならびに
(b)PSMAターゲティング分子を含む組成物
を含む、キット。
230. 前記検出する工程が、対象における、または対象由来の試料からの、シグナルの同定を含み、
前記PSMAターゲティング分子が、
シグナルを提供する、または
検出可能であるシグナルを誘導する、または
シグナルを提供する部分もしくは検出可能であるシグナルを誘導する部分に、結合することができる、かつ/または
前記PSMAターゲティング分子が、
シグナルを提供する部分または検出可能であるシグナルを誘導する部分であるかまたはそれを含む、
態様229のキット。
231. 疾患または状態を処置するための対象に、該疾患または該状態を処置するための併用療法において前記操作された細胞および前記PSMAターゲティング分子を投与するための説明書
をさらに含む、態様229または態様230のキット。
232. 前記操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、前記操作された細胞を検出するために前記PSMAターゲティング分子を投与するための説明書
をさらに含む、態様229または態様230のキット。
233. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞の治療的有効量を含む組成物、ならびに
(b)該操作された細胞を受けているかまたは投与されている対象に、該操作された細胞を検出するためにPSMAターゲティング分子を投与するための説明書
を含む、キット。
234. (a)PSMAターゲティング分子を含む組成物、ならびに
(b)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞の治療的有効量を受けているかまたは投与されている対象に、該操作された細胞を検出するために該PSMAターゲティング分子を投与するための説明書
を含む、キット。
235. 前記説明書が、対象における、投与された前記操作された細胞の、数または濃度を決定する工程をさらに指定する、態様232~234のいずれかのキット。
236. 前記説明書が、前記決定する工程がシグナルと標準曲線との比較を含むことをさらに指定する、態様235のキット。
237. 前記説明書が、
前記検出する工程が、任意でコンピュータ断層撮影法(CT)と連結された、陽電子放射断層撮影法(PET)を介して実施され、かつ前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(18F-DCFPyL)であること
を指定する、態様232~236のいずれかのキット。
238. (a)態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞の治療的有効量を含む組成物、ならびに
(b)疾患または状態を処置するための対象に、PSMAターゲティング分子との併用療法において該操作された細胞を投与するための説明書であって、該PSMAターゲティング分子が、該疾患または該状態を処置するための治療剤であるかまたはそれを含むかまたはそれをさらに含む、説明書
を含む、キット。
239. 前記PSMAターゲティング分子または治療剤が、腫瘍微小環境(TME)を調節することができるか、または腫瘍に対して細胞傷害性である、態様238のキット。
240. 前記治療剤が、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である、態様230、238、および239のいずれかのキット。
241. (a)PSMAターゲティング分子を含む組成物、ならびに
(b)疾患または状態を処置するための対象に、該疾患または該状態を処置するための態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞の治療的有効量との併用療法において該PSMAターゲティング分子を投与するための説明書
を含む、キット。
242. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様229~241のいずれかのキット。
243. 前記PSMAターゲティング分子が、小分子であるかまたはそれを含む、態様229~242のいずれかのキット。
244. 前記小分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される、態様243のキット。
245. 前記PSMAターゲティング分子が、2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様244のキット。
246. 前記PSMAターゲティング分子が、
PSMAに特異的に結合する結合部位を任意で有する、抗体またはその抗原結合断片
であるかまたはそれを含む、態様229~242のいずれかのキット。
247. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様246のキット。
248. 前記PSMAターゲティング分子が、アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様229~242のいずれかのキット。
249. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様248のキット。
250. PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含むPSMAターゲティング分子であって、免疫調節剤であるかまたは免疫調節剤をさらに含む、PSMAターゲティング分子。
251. 前記免疫調節剤が、免疫細胞の活性もしくは免疫応答を調節する、任意で増加させることができる、かつ/または腫瘍微小環境(TME)を調節することができる、態様250のPSMAターゲティング分子。
252. 免疫調節剤であるか、または免疫調節剤を含むか、または免疫調節剤への変換もしくは免疫調節剤のアンマスキングができる、プロドラッグ
であるかまたはそれを含む、かつ/または、
PSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断が、免疫調節剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、
態様250または態様251のPSMAターゲティング分子。
253. 前記免疫調節剤が、PSMAまたはその改変型に結合することができるPSMAターゲティング分子の一部分に、直接または間接的に、任意でリンカーを介して連結されている、態様250~252のいずれかのPSMAターゲティング分子。
254. 前記リンカーが、ペプチドもしくはポリペプチドであるか、または化学的リンカーである、態様253のPSMAターゲティング分子。
255. 前記リンカーが、放出可能リンカーまたは切断可能リンカーである、態様253または態様254のPSMAターゲティング分子。
256. 前記リンカーが、結合分子によるPSMAまたはその改変型への結合時に切断されることができ、その切断が、免疫調節剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、態様253~255のいずれかのPSMAターゲティング分子。
257. 前記放出可能リンカーまたは切断可能リンカーが、腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因の存在下で放出されるかまたは切断され、その切断が、免疫調節剤を含む少なくとも1つの切断産物を結果としてもたらす、態様255または態様256のPSMAターゲティング分子。
258. 前記腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む、態様257のPSMAターゲティング分子。
259. 前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント阻害剤もしくは調節物質、またはサイトカインである、態様250~258のいずれかのPSMAターゲティング分子。
260. 前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント分子の機能または免疫チェックポイント分子を含むシグナル伝達経路を阻害または遮断することができる免疫チェックポイント阻害剤である、態様250~259のいずれかのPSMAターゲティング分子。
261. 前記免疫チェックポイント分子が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン受容体または細胞外アデノシン、任意で、アデノシン2A受容体(A2AR)もしくはアデノシン2B受容体(A2BR)、またはアデノシン、または前述のいずれかを含む経路の中から選択される、態様260のPSMAターゲティング分子。
262. PSMAまたはその改変型に結合することができる一部分を含むPSMAターゲティング分子であって、該PSMAターゲティング分子は、腫瘍微小環境(TME)を調節することができる治療剤であるかまたはそれをさらに含み、該治療剤は、TME中に存在する1つまたは複数の条件または要因に応答性の放出可能または切断可能リンカーによって該PSMAターゲティング分子の該一部分に連結されている、PSMAターゲティング分子。
263. 前記腫瘍微小環境(TME)中に存在する1つまたは複数の条件または要因が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、低酸素条件、または酸性条件を含む、態様262のPSMAターゲティング分子。
264. 前記治療剤が、免疫調節剤、細胞傷害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である、態様262または態様263のPSMAターゲティング分子。
265. 抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である、態様250~264のいずれかのPSMAターゲティング分子。
266. PSMAターゲティング分子またはその一部分が、
PSMAおよび/もしくはその改変型に結合することができる、かつ/または
PSMAの活性部位および/もしくはPSMAの改変型の活性部位に結合することができる、かつ/または
PSMAによっておよび/もしくはPSMAの改変型によって切断されることができる、かつ/または
PSMAのおよび/もしくはその改変型の、アンタゴニスト、選択的アンタゴニスト、インバースアゴニスト、選択的インバースアゴニスト、アゴニスト、選択的アゴニスト、阻害剤、および/もしくは選択的阻害剤である、
態様250~265のいずれかのPSMAターゲティング分子。
267. 小分子、リガンド、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、ペプチド、またはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様250~264および266のいずれかのPSMAターゲティング分子。
268. 2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)、(アミノスチリル)ピリジニウム(ASP)色素、2-(3-[1-カルボキシ-5-[(5-ヨード-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル]-ウレイド)-ペンタン二酸(YC-VI-11)、2-[3-[1-カルボキシ-5-(4-ヨード-ベンゾイルアミノ)-ペンチル]-ウレイド]-ペンタン二酸(DCIBzLまたはYC-7)、1-(3-カルボキシ-4-(3-ヒドロキシ-6-オキソ-6H-キサンテン-9-イル)フェニルアミノ)-9,16,24-トリオキソ-1-チオキソ-2,8,17,23,25-ペンタアザオクタコサン-7,22,26,28-テトラカルボン酸(YC-36)、Glu-NH-CO-NH-Lys(Ahx)-HBED-CC(PSMA-HBED-CC)、9-(4-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン(FHBG)、Glu-尿素-Lys-(Ahx)-[(HBED-CC)](PSMA-11)、PSMA-617、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸、2-PMPA、フルオロベンゾイルホスホルアミダート、(2S, 4S)-2-フルオロ-4-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(BAY1075553)、N-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-S-メチル-L-システイン(-DCMC)、EuK-Subkff-DOTAGA、2-[3-(1,3-ジカルボキシプロピル)ウレイド]ペンタン二酸(DUPA)、PSMAN、N'-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N, N'-二酢酸、MIP-1072、MIP-1095、MIP-1404、MIP-1405、およびN-[[[(1S)-1-カルボキシ-3-メチルブチル]アミノ]カルボニル]-L-グルタミン酸(ZJ43)、(S)-2-(4-ヨードベンジルホスホノメチル)-ペンタン二酸(GPI-18431)、2-[(3-{4-[(2-アミノ-4-ヒドロキシ-プテリジン-6-イルメチル)-アミノ]-ベンゾイルアミノ}-3-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシ-ホスフィノイルメチル]-ペンタン二酸(MPE)、(2S,3'S)-{[(3'-アミノ-3'-カルボキシ-プロピル)-ヒドロキシホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(EPE)、および(2S)-2-{[(2-カルボキシ-エチル)-ヒドロキシ-ホスフィノイル]メチル}-ペンタン二酸(SPE)の中から選択される小分子であるかまたはそれを含む、態様250~264、266、および267のいずれかのPSMAターゲティング分子。
269. 2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)またはN-[N-[(S)-1,3-ジカルボキシプロピル]カルバモイル]-4-フルオロベンジル-L-システイン(DCFBC)であるかまたはそれを含む、態様268のPSMAターゲティング分子。
270. 抗体またはその抗原結合断片であるかまたはそれを含む、態様250~267のいずれかのPSMAターゲティング分子。
271. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
J591、DFO-J591、CYT-356、J415、3/A12、3/F11、3/E7、D2B、107-1A4、YPSMA-1、YPSMA-2、3E6、2G7、24.4E6、GCP-02、GCP-04、GCP-05、J533、E99、1G9、3C6、4.40、026、D7-Fc、D7-CH3、4D4、A5、ならびにその抗原結合断片および誘導体の中から選択される、または
CDR3、VHおよび/もしくはVLを含む、かつ/または
PSMAに対する結合について競合する、または
前述のいずれかと同じPSMAエピトープに結合する、
態様270のPSMAターゲティング分子。
272. アプタマーまたはそのコンジュゲートであるかまたはそれを含む、態様250~264、266、および267のいずれかのPSMAターゲティング分子。
273. 前記アプタマーが、A9、A10、A10g、A10-3.2、もしくはSZT101、またはそのコンジュゲートを含む、態様272のPSMAターゲティング分子。
274. 態様250~273のいずれかのPSMAターゲティング分子を対象に投与する工程を含む、処置の方法。
275. 態様1~63および130~132のいずれかの操作された細胞、態様133~135のいずれかの組成物、態様64~122のいずれかのポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドのセット、もしくは組成物、または態様123~128のいずれかのベクター、ベクターのセット、もしくは組成物、態様229~249のいずれかのキット、または態様250~273のいずれかのPSMAターゲティング分子を含む、製造物品。
【実施例】
【0645】
I. 実施例
以下の実施例は、例示のみを目的として含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0646】
実施例1:キメラ抗原受容体(CAR)および前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはそのバリアントを発現する細胞の操作
キメラ抗原受容体(CAR)および野生型ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその改変バリアントをコードする核酸構築物を作製した。操作される細胞における単一のプロモーターの制御下で、PSMAまたは改変バリアントおよびCARの共発現のために、自己切断T2A配列をコードする配列によって、PSMAまたは改変バリアントをコードする核酸を、CARをコードする核酸から分離した。
【0647】
具体的には、各核酸構築物によってコードされるCARは、以下の順序で、抗CD19 scFv(VH-リンカー-VL方向性)、Ig由来スペーサー;ヒトCD28由来膜貫通ドメイン;ヒト4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメイン;およびヒトCD3ゼータ由来シグナル伝達ドメインを含んだ。各核酸分子はまた、自己切断P2A(SEQ ID NO:53に示される核酸配列によってコードされる、SEQ ID NO:19に示される)またはT2A配列(SEQ ID NO:17に示される)をコードするヌクレオチド配列と、その後に続く完全長野生型 PSMA(WT PSMA、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を有する)またはその改変バリアントのいずれかをコードする配列も含んだ。改変バリアントは、(1)受容体サイクリングを阻害することが観察される、SEQ ID NO:23の配列を基準にして、位置2にアミノ酸置換を有するN末端改変PSMAバリアント(PSMA(W2G)、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を有する)、または(2)明確にするために翻訳に必要とされる開始メチオニンの欠失を含まない、受容体サイクリングおよびシグナル伝達を阻害することが観察される、SEQ ID NO:23の最大で9個のN末端アミノ酸残基のN末端欠失(9個のN末端アミノ酸残基の欠失を含むPSMA(N9del);SEQ ID NO:53に示される核酸配列によってコードされる、SEQ ID NO:52に示されるアミノ酸配列を有する)を含んだ。
【0648】
比較のために、抗CD19 CARをコードする配列含む対応する核酸分子が作製され、PSMA(または改変PSMA)コード配列の代わりに、切断型EGFR(EGFRt;SEQ ID NO:16に示される)配列をコードする配列を含んだ。
【0649】
核酸分子のそれぞれをコードする個々のレンチウイルスベクターを用いて、ヒトドナー末梢血試料から免疫親和性ベースの濃縮によって単離された初代ヒト T細胞に形質導入した。対照として、細胞に、CARをコードしないおよび/またはPSMAをコードしないベクターを形質導入した(モック)。
【0650】
CAR発現T細胞について濃縮後、WT PSMAまたはN末端改変PSMAバリアント(PSMA(W2G)またはPSMA(N9del))の表面発現を、PSMAの細胞外領域を認識する抗PSMA抗体を用いるフローサイトメトリーによって評価した。フローサイトメトリーによって、非抗体PSMAターゲティング試薬(PSMAに特異的に結合する小分子化合物(DCFPyL)のFITCコンジュゲート類似体(YC-36-FITC))の結合も評価した。
【0651】
図1A~1Bは、形質導入した集団のそれぞれからのCAR+ T細胞濃縮試料における抗PSMA抗体およびCD4の結合の検出レベルを示す例示的なFACSプロットを示す。
図1Cは、CD4+およびCD8+ T細胞について本試験において抗体結合により決定したPSMA(またはN末端改変バリアント)の発現についての幾何平均蛍光強度(gMFI)を示す。示すように、PSMAおよびN末端改変バリアントを、形質導入したCD4+およびCD8+細胞の表面上で検出した。本試験において、N末端改変PSMA
(W2G)およびPSMA
(N9del)はより高いレベルで発現された。同様に、
図1Dに示すように、N末端改変PSMA
(W2G)およびPSMA
(N9del)の発現は、PSMA+細胞でゲーティングした場合に、CD4+およびCD8+ 形質導入細胞において、WT PSMAの発現を上回った(
図1D)。形質導入しなかった細胞(モック)または対照組換えタンパク質切断型EGFR(EGFRt)を形質導入した細胞では、PSMAの発現は観察されなかった。
【0652】
図1E~1Fは、PSMAまたは各改変バリアント(PSMA
(W2G)およびPSMA
(N9del))を形質導入したCAR濃縮細胞におけるフローサイトメトリーによって観察されたYC-36-FITC結合およびCD8発現のレベルを示す。
図1Gは、CARの結合ドメインに特異的な抗イディオタイプ抗体により決定された、CARを発現する細胞の表面上の改変(N9del)PSMAの共発現を示す。同様の結果は、他のPSMA構築物でも観察された(
図1H~1L)。
図1Mは、2名の異なるドナーから作製した操作された細胞による追加実験からの、切断型PSMAバリアント(CD19-tPSMA;PSMA
(N9del))を共発現する抗CD19 CAR発現細胞または対照代替マーカーとして切断型受容体を発現する細胞(CD19-tReceptor)における、フローサイトメトリーによりCARの結合ドメインに特異的な抗イディオタイプ抗体を用いて決定されたCARの表面発現についてのgMFIを示す。結果は、PSMAターゲティング小分子およびPSMA特異的抗体に結合するその能力を維持する形で、野生型および改変PSMAバリアントをCAR-T細胞上に発現させる能力を確認した。
【0653】
実施例2:抗CD19 CARおよびPSMAまたはN末端改変PSMAバリアントを発現する操作されたT細胞のインビトロ評価
実施例1に記載のように作製した、抗CD19 CARおよび/またはPSMAもしくはそのN末端改変バリアントを発現する操作されたヒト T細胞をインビトロで評価した。
【0654】
A. 細胞溶解活性
CD19発現標的細胞(CD19を形質導入したK562細胞、K562-CD19と名付ける)をNucLight Red(NLR)で標識し、4:1、2:1、1:1および1:2のエフェクター対標的(E:T)比で実施例1に記載のように作製した種々の操作されたT細胞と一緒に3連でインキュベートした。
【0655】
細胞溶解活性を、(IncuCyte(登録商標) Live Cell Analysis System, Essen Bioscienceを用いて)赤色蛍光シグナルによって決定されるように、3日間の生存標的細胞の減少を測定することによって評価した。NLR+ 標的細胞の数を0時間から66時間にわたって2時間毎に決定した。記載がある場合には、死滅指標は、0時間から66時間の経時的なNLR+ 標的細胞数の1/曲線下面積(AUC)として決定される。
【0656】
図2Aは、4:1エフェクター対標的細胞比での結果を示す。
図2Bは、様々なE:T比(4:1、2:1、1:1および1:2)からの死滅指標の結果の比較を示す。結果は、PSMA(WT、PSMA
(W2G)または PSMA
(N9del))を共発現したCAR発現細胞は、PSMAを発現しない(および代替のEGFRtマーカーを発現する)CAR発現細胞の抗原特異的死滅活性を示すことが観察されることを示した。
【0657】
2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸(DCFPyL)である、PSMAの触媒ドメインに結合する試薬の存在下でインキュベーションをさらに行ったことを除いて、上記と同様の細胞溶解アッセイを、4:1のE:T比での抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞およびK562-CD19標的細胞のインキュベーションによって実施した(例えば、Chen et al., Clin Cancer Res. 2011, 17(24):7645-7653; WO 2015/143029を参照)。具体的には、共培養を、3.33×10
-6 Mから始めてDCFPyLの7種類の3倍段階希釈の1つでのDCFPyLと一緒にインキュベートした、またはDCFPyLなしで(0 M)インキュベートした。
図2Cで示すように、DCFPyLとのインキュベーションは、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞の細胞溶解活性に影響しなかった。
【0658】
細胞溶解活性を、4:1および1:1のE:T比、およびの1×10
-5 Mから4.59×10
-9 Mの範囲のDFPCyL濃度でも評価した。
図2Dに示すように、同様の結果が観察され、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞の細胞溶解活性に対してDFPCyLの影響はなかった。
【0659】
結果は、DCFPyLなどのPSMAターゲティング剤とPSMA(N9del)の結合は、CAR発現T細胞のCAR抗原特異的細胞傷害機能に影響を与えないという結論と一致した。
【0660】
B. サイトカイン放出
サイトカインレベルを、CD19発現標的細胞(K562-CD19)と実施例1に記載したように作製された種々の操作されたT細胞との共培養後の上清において評価した。具体的には、サイトカイン(IL-2、IFN-γ、TNF-α)の蓄積量(pg/mL)を、およそ22~24時間の標的細胞と操作された細胞の種々の集団とのインキュベーション後に評価した。そのようなアッセイは、用量中のCAR+細胞当たりの抗原特異的サイトカイン分泌の基準を提供した。他のアッセイにおいて、CD19発現標的細胞に対する細胞溶解活性を、T細胞とのインキュベーション後に評価した。
【0661】
培養上清中のサイトカイン量を、多重サイトカインイムノアッセイ(Luminex(登録商標))を用いて決定した。
図3A(IFN-γ)、
図3B(TNF-α)および
図3C(IL-2)に示すように、抗CD19 CAR/WT PSMA、抗CD19 CAR/PSMA
(W2G)、または抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するT細胞は、CAR抗原特異的細胞とのインキュベーションに応答してサイトカインを産生したが、モック形質導入細胞ではそうではなかった。
図3Dは、2名の異なるドナーから作製した操作された細胞による追加実験からの、切断型PSMAバリアントを共発現する抗CD19 CAR発現細胞(CD19-tPSMA;PSMA
(N9del))または対照代替マーカーとして切断型受容体を発現する細胞(CD19-tReceptor)におけるIFN-γ産生を示す。
【0662】
サイトカインレベルを、DCFPyLの存在下で培養された、4:1および1:1のE:T比での抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現する操作されたT細胞とK562-CD19標的細胞との共培養でも評価した。共培養を、1×10
-5 Mから始めてDCFPyLの8種類の3倍段階希釈の1つでのDCFPyLと一緒にインキュベートした。
図3Eに示すように、PSMAターゲティング剤DCFPyLとのインキュベーションは、4:1または1:1のE:T比いずれかでのIFN-γ産生に実質的に影響を与えなかった。同様の結果がTNF-αおよびIL-2でも得られた。結果は、DCFPyLなどのPSMAターゲティング剤とPSMA
(N9del)の結合はCAR発現T細胞によるサイトカイン産生に実質的に影響を与えないという結論と一致した。結果は、改変PSMAバリアント(例えば、切断型PSMA、tPSMA)を発現するCAR+ T細胞は、代替マーカーを発現するCAR+ T細胞のものと類似するインビトロCAR+ T細胞機能を示すことを示した。
【0663】
実施例3:腫瘍モデルにおけるPSMA発現CAR+ T細胞のインビボ抗腫瘍活性の評価
腫瘍異種移植マウスモデルを、NOD/Scid/gc-/-(NSG)マウスにCD19+ Nalm-6播種性腫瘍株の細胞を注入することによって作製した。具体的には、0日目に、NSGマウスに、緑色蛍光タンパク質およびホタルルシフェラーゼをトランスフェクトした5×105個のNalm6ヒト前駆B細胞白血病細胞株(Nalm6-GFP-ffluc)を静脈内に(i.v.)注入した。腫瘍の生着が4日間で生じ、生物発光イメージングを用いて検証した。4日目に、マウスを、以下のように実施例1に記載されたように作製される、操作された細胞の準最適用量(1×106個のCAR+ T細胞)の単回静脈内(i.v.)注入を受ける2つの試験群にグループ分けした:(1)抗CD19 CAR/PSMA(N9del)によって操作されたT細胞または(2)抗CD19 CAR/EGFRtによって操作されたT細胞。2つ追加の試験群、具体的には、マウスにいかなる細胞も注入しない試験群(処置なし)およびマウスにCARを発現しない1×106個のT細胞を注入した試験群(モック試験群)を対照として加えた。
【0664】
処置後、経時的な腫瘍成長を生物発光イメージングによってモニターし、平均放射輝度(p/s/cm
2/sr)を4、7、10、17、21、29、32および36日目に測定した。生物発光イメージングでは、マウスは、PBSで再懸濁したルシフェリン基質(CaliperLife Sciences, Hopkinton, MA)(15 μg/g体重)の腹腔内(i.p.)注射を受けた。
図4Aに示すように、陰性対照マウスにおける腫瘍は、対照T細胞の養子移入後の試験の過程にわたって成長し続けた。対照マウスと比較して、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)または抗CD19 CAR/EGFRtを発現する操作されたT細胞の養子移入を施与されているマウスは、試験された処置後の全ての時点で平均放射輝度の量の低下を有することが観察された。この結果は、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞が、抗CD19 CAR/EGFRt T細胞と比較して同様の抗腫瘍活性を維持したことを示す。
【0665】
各群におけるマウスの生存率もまた、CD19+ Nalm-6細胞の注入後最大で40日間モニターした。結果を
図4Bに示す。抗CD19 CAR/ PSMA
(N9del)T細胞または抗CD19 CAR/EGFRt T細胞の養子移入を受けたマウスの生存率は類似しており、いずれの場合もモック形質導入細胞を投与されたマウスまたは未処置のままのマウスと比較して上回ることとが観察された。結果は、改変PSMAバリアント(例えば、切断型PSMA、tPSMA)を発現するCAR+ T細胞は、代替マーカーを発現するCAR+ T細胞のものと類似するインビボCAR+ T細胞機能を呈することを示した。
【0666】
実施例4:[
18
F]DCFPyLを用いる改変PSMA発現CAR+T細胞のインビボPET/CTイメージング
様々な数のPSMA(N9del)を発現する抗CD19 CAR+T細胞を、マウス腫瘍モデルに注入し、陽電子放射断層撮影法-コンピュータ断層撮影法(PET/CT)をインビボで用いる改変PSMA発現CAR+T細胞のインビボ検出のための放射標識PSMA特異的(陽電子放射断層撮影法)PET試薬を用いて画像化した。
【0667】
4~6週齢の胸腺欠損雄ヌードマウスに、その半分がPSMA(N9del)を発現する操作された抗CD19 CAR+T細胞である、1,000(1k)、5,000(5k)、10,000(10k)、50,000(50k)、100,000(0.1M)、500,000(0.5M)、1,000,000(1M)、または5,000,000(5M)個のT細胞を皮下に注入した。この細胞を、2:1(細胞:Matrigel)の比でのMatrigel(BD Biosciences, Bedford, MA)との50 μL懸濁物で上側腹部に注入した。各50 μL Matrigel懸濁物中の抗CD19 CAR/PSMA(N9del)発現T細胞の数は、500(0.5k)、2,500(2.5k)、5,000(5k)、25,000(25k)、50,000(50k)、250,000(250k)、500,000(0.5M)、または2,500,000(2.5M)個であった。各マウスは、PSMAの活性部位に結合する、400 μCiのPSMA特異的放射標識PET試薬2-(3-{1-カルボキシ-5-[(6-[18F]フルオロ-ピリジン-3-カルボニル)-アミノ]-ペンチル}-ウレイド)-ペンタン二酸([18F]DCFPyL)(例えば、WO 2015/143029; Chen et al., Clin Cancer Res. 2011, 17(24):7645-7653, Szabo et al., Mol Imaging Biol. 2015 August; 17(4): 565-574を参照)を受けた。PETスキャンを、小動物PETスキャナーを用いて[18F]DCFPyLの注入の1時間後に得、かつ対応するCTスキャンを、小動物イメージングデバイスを用いて得た(例えば、WO 2015/143029に記載された例示的な方法を参照)。PETの結果を、画像化した組織の立方センチメートル当たりの注入用量のパーセンテージ(%ID/cc)で表した。PETおよびCTデータを、AMIDEソフトウェア(sourceforge.net)を用いて共記載した。画像を腎臓における背景シグナルを最小化するように再構築した。
【0668】
図5Aに示すように、細胞はいずれの場合にも、[
18F]DCFPyL試薬を用いるPET/CTによって検出可能であり、それによって、CAR/PSMA
(N9del)発現T細胞がインビボで[
18F]DCFPyL試薬に結合できることが実証された。検出可能なシグナルは、わずか1,000個の抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞の投与によって観察された。追加の実験において、50 μLのMatrigelで約1,000、2,500、5,000、10,000個またはそれを上回る抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現T細胞注入後に、インビボ検出限界は、50 μL体積でおよそ5,000~10,000個の抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞であった。50 μL(50% Matrigel(登録商標))中に2,000(2k)、4,000(4k)、20,000(20k)、40,000(40k)、200,000(200k)、400,000(400k)、または2,000,000(2M)個のPSMA-N9delを発現する抗CD19 CAR+T細胞をNOD/Scid/gc-/-(NSG)マウスの肩に注入する、追加の同様のインビボファントムイメージング試験を行った。このマウスに14.8 MBq(400 μCi)の[
18F]DCFPyLを注入し、注入の1時間後に小動物PET/CTデバイスによって画像化した。この試験では、
図5Bに示すように、50 μL体積中にわずか4,000個の抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)発現T細胞を、[
18F]DCFPyLおよびPETを用いて確実に検出した(白矢印は注入細胞の位置を示す)。いくつかの態様において、検出限界(すなわち、アッセイが検出する能力を有する)は、試料の、および/または器官もしくは組織の50 μL体積、例えば液体の50 μL体積中に4,000個の低量もしくは少量の、またはおよそ4,000個の低量もしくは少量の抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞である。結果は、PET/CTによって、高感度でCAR+T細胞をインビボ検出するための、マーカーとしての改変PSMAバリアント(例えば、切断型PSMA、tPSMA)の有用性と一致する。
【0669】
実施例5:PET/CTによるPSMAターゲティング放射標識剤([
18
F]DCFPyL)を用いる腫瘍モデルにおける投与されたPSMA発現CAR+T細胞のインビボ検出
原発性および転移性腫瘍部位における操作された細胞の検出を評価するために、播種性腫瘍モデルを開発し、CARおよびPSMAバリアントを発現するT細胞を投与した。NSGマウスに、5×106個のNalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を皮下(s.c.)移植した(n=8/群)。Nalm6皮下移植マウスモデルは、いくつかの局面において、脾臓、肝臓、および骨髄において自然転移性病巣を発症することができる。腫瘍移植後15日目に、マウスは、2.5×106個の操作された初代ヒト抗CD19 CAR/PSMA(N9del)発現T細胞または抗CD19 CAR/EGFRt T細胞の単回静脈内(i.v.)注入を受けた。対照として、いかなる細胞も注入しなかったマウス(T細胞なし)またはCARを発現しない2.5×106個のT細胞を注入したマウス(モック試験群)を用いた。
【0670】
腫瘍移植後24日目に、マウスを、生物発光イメージングおよびPSMAターゲティング放射標識剤を用いるPET/CTに供した。腫瘍細胞を検出するための生物発光イメージングを概して、上記実施例3に記載されるように実施した。PET/CTを概して、上記実施例4に記載されるように実施した。具体的には、各マウスは、400 μCiのPSMA特異的放射標識PET試薬([18F]DCFPyL)を受けた。PETスキャンを[18F]DCFPyLの注入の1時間後に得た。
【0671】
図6の上段のパネルは、各試験群における例示的なマウスにおいて発症した腫瘍の生物発光イメージングを示す。
図6の下段のパネルは、上段のパネルの各部分に示されるマウスのそれぞれにおける、PSMAターゲティング剤を用いる改変PSMA発現CAR+細胞の検出のための対応するPET/CTスキャンを示す。
【0672】
図6に示すように、T細胞を投与されていないマウス、またはモック T細胞もしくは抗CD19 CAR+/EGFRt T細胞を投与されているマウスでは、いかなるPET/CTシグナルも観察されなかった。抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞を投与されたマウスでは、PET/CTシグナルが観察された。このシグナルは、腫瘍生物発光とPET/CTシグナルとの対応関係によって示されるように、腫瘍の部位に共局在化した。自然転移性病巣を発症していることが生物発光シグナルによって観察されたマウス、例えば
図6の右端のパネルに図示するマウスでは、投与された抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞は、転移病巣を示す生物発光シグナルと共局在化するようにPET/CT試薬を介して検出された。結果は、PSMAの細胞外領域を含有する改変PSMAおよびCARを共発現する操作されたT細胞は、局所および転移性腫瘍部位を含む部位で、PSMA標的指向性PET剤を介して検出され得ることを実証した。
【0673】
実施例6:PETによるPSMAターゲティング放射標識剤([
18
F]DCFPyL)を用いるPSMA発現CAR+T細胞のインビトロ検出
PSMA発現細胞を、PSMAターゲティング放射標識剤([18F]DCFPyL)を用いてインビトロで検出した。様々な数の操作された抗CD19 CAR/PSMA(N9del)発現T細胞、40,000(40K)、20,000(20K)、10,000(10K)、8,000(8K)、6,000(6K)、4,000(4K)、2,000(2K)、1,000(1K)、800(0.8K)、600(0.6K)、400(0.4K)、または200(0.2K)個いずれかの細胞を、20 μL PBSで、384ウェル細胞培養プレートの個別のウェルに添加した。飽和用量(37 MBq)の[18F]DCFPyLをプレートの各ウェルに添加し、1時間後、各ウェル中の細胞をPETによって画像化した。
【0674】
図7に示すように、少なくともわずかおよそ2,000個のPSMA発現CAR T細胞/20 μLが、[
18F]DCFPyLおよびPETを用いて、この試験においてインビトロで検出可能であった。結果は、PET/CTによって、高感度でCAR+T細胞をインビボ検出するための、マーカーとしての改変PSMAバリアント(例えば、切断型PSMA、tPSMA)の有用性と一致する。
【0675】
実施例7:播種性腫瘍モデルにおけるPSMA発現CAR+T細胞のインビボ抗腫瘍活性、インビボ検出、および局在性
自然転移が生じる播種性異種移植モデルを作製するために、NSGマウスに1×106個のNalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を皮下に(s.c.)移植した。腫瘍移植後21日目に、マウスは、そのうち2×106個の細胞が抗CD19 CAR/PSMA(N9del)を発現するように操作されたT細胞である、5×106個の初代ヒトT細胞の単回静脈内(i.v.)注入を受けた。対照として、マウスがいかなる細胞も注入されていない(T細胞なし)マウスまたはCARを発現しない5×106個の T細胞を注入したマウス(モック試験群)の群を用いた。マウスの生存率を各群について経時的にモニターし、腫瘍細胞およびCAR+T細胞の検出をそれぞれ、概して実施例3および4に記載されているように、生物発光イメージング(BLI)およびPET/CTによって評価した。
【0676】
A. 生存曲線
各群におけるマウスの生存率を、CD19+ Nalm-6細胞の注入後最大で100日間モニターした。結果を
図8に示す。示すように、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞の養子移入を受けている全マウスにおける生存率は、モック形質導入細胞を投与したまたは未処置のままであるマウスにおいて観察されたものと比較して改善された。
【0677】
B. 腫瘍細胞およびCAR+T細胞のインビボ検出
生物発光イメージングを、CAR+T細胞の注入後0および11日目にマウスに対して行い、[18F]DCFPyL PSMAターゲティング放射標識剤を用いるPET/CTイメージングを、CAR+T細胞の注入後5および12日目に行った。
【0678】
3匹の例示的マウスからのPETおよびBLIの結果を
図9A~9Cに示す。第1および第3の画像パネルはそれぞれ、0および11日目でのBLIの結果を示し、第2および第4の画像パネルはそれぞれ、5および12日目でのPET/CTスキャンの結果を示す。PET/CTシグナルは概して、腫瘍生物発光とPET/CTシグナルとの対応関係によって示されるように、腫瘍の部位に共局在化した。
図9Dおよび9Eに示されるように、同様の結果が、同様に処置された第4のマウスでも観察され(
図9D)、処置されなかったまたはモック試験群におけるマウスでは、実質的なPET/CTシグナルは観察されなかった(
図9E)。結果は、PSMAの細胞外領域を含有するPSMAおよびCARを共発現する操作されたT細胞は、局所および転移性腫瘍部位を含む部位で、PSMA標的指向性PET剤を介して検出され得るという知見と一致する。
【0679】
C. 免疫組織化学
腫瘍移植後のマウスから得られた腫瘍試料を、免疫組織化学に供し、腫瘍内でのCAR発現細胞の位置を決定した。得られた腫瘍試料を薄片にし、T細胞を検出するために抗CD3抗体(
図10に示さず)、Nalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を検出するために抗GFP抗体(
図10でのα-GFP)、または抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞を検出するために抗PSMA抗体(
図10でのα-PSMA)で染色した。
図10に示すように、結果は、CAR発現T細胞は、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞の養子移入を受ける播種性腫瘍を有するマウスにおける腫瘍部位内に存在するという知見と一致する。
【0680】
実施例8:腫瘍モデルにおけるPSMA発現CAR+T細胞のインビボ薬物動態および腫瘍局在性
マウス異種移植腫瘍モデルにおける腫瘍、末梢血、および骨髄中の投与されたPSMA発現CAR+T細胞の薬物動態を、PET/CTイメージングおよびフローサイトメトリーによって決定した。
【0681】
A. PET/CTからの薬物動態決定
概して実施例7において記載されたように作製された、Nalm6-GFP-ffluc異種移植腫瘍モデルマウスに、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するように操作された2×10
6個のT細胞を、0日目のマウスの初回生物発光イメージング(BLI)の1日後に投与した。初回BLI後4、5、6、7、8、9、10、11および12日目に、マウスを、14.8 MBq(400 μCi)の [
18F]DCFPyLの注入後のPET/CT、およびBLIによって評価した。腫瘍内に位置するCAR+T細胞の総数(百万単位で)を、
図11Aに図示する標準曲線と比較したPET画像のシグナル強度を内挿することによって計算した。標準曲線を、対応する細胞数に対する、インビトロファントムイメージング実験からのPET画像(n=8)に由来する総ボクセル(三次元空間での画像情報の単位)をプロットすることによって決定した。その結果生じる一次回帰式は、y=5×10
-6x+0.0122(R
2=0.9989)であった。
図11Aにおけるエラーバーは標準偏差を示す。末梢血(PPB)または骨髄(BM)試料中の生細胞内の腫瘍細胞(GFPシグナルによる)およびCAR+T細胞(抗PSMA抗体染色による)のパーセンテージをフローサイトメトリーにより決定した。
【0682】
図11Bおよび11Cに図示されるマウスからの種々の位置において決定されるCAR+T細胞の数を表1に列記する(各マウスについて最終BLIの日付を表す日)。結果は、PET/CTに基づくおよび抗PSMA抗体を用いるローサイトメトリーに基づく両方のインビボでの、投与されたCAR+T細胞の検出および定量化ならびに投与された細胞の薬物動態の評価のための、代替マーカーとしてのPSMAバリアントの有用性と一致する。
【0683】
(表1)マウス腫瘍モデルにおけるCAR+T細胞薬物動態
【0684】
B. 腫瘍におけるCAR+T細胞密度
投与後6~13日の間に得られた腫瘍生検試料中に存在する投与されたCAR+T細胞の密度を、抗PSMA抗体で染色したPSMA+細胞の数を計数することによって決定した。
図12に示すように、腫瘍中のCAR+T細胞密度は、CAR+T細胞の投与後のヒト腫瘍生検試料から得られたものと同様の範囲内であった。結果は、腫瘍中のCAR+T細胞密度の定量化のための代替マーカーとしてのPSMAバリアントの有用性と一致する。
【0685】
C. 免疫組織化学
CAR+T細胞の投与後4日目から11日目の間のマウスから得られた腫瘍試料を免疫組織化学に供し、腫瘍内のCAR発現細胞の存在を決定した。得られた腫瘍試料を薄片にした。Nalm6-GFP-ffluc腫瘍細胞を検出するための抗GFP抗体(
図13A~13Bでのα-GFP)、または抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)T細胞を検出するための抗PSMA抗体(
図13A~13Bでのα-PSMA)。結果は、抗PSMA抗体を用いる免疫組織化学による、投与されたCAR+T細胞の検出のための、代替マーカーとしてのPSMAバリアントの有用性に一致する。
【0686】
実施例9:末梢血および骨髄CAR+T細胞ならびに腫瘍局在CAR+T細胞の数の決定
末梢血および骨髄中に存在するCAR+T細胞の数ならびに腫瘍に局在するCAR+T細胞の数を、PET/CTおよびフローサイトメトリーを用いて決定した。
【0687】
概して実施例7において記載したように作製された5匹のNalm6-GFP-ffluc異種移植腫瘍モデルマウスに、抗CD19 CAR/PSMA
(N9del)を発現するように操作された2×10
6個のT細胞を、0日目のマウスの初回生物発光イメージング(BLI)の1日後に投与した。初回BLI後10、11または12日目に、14.8 MBq(400 μCi)の[
18F]DCFPyLによる注入後にPET/CTによって、またはBLIによって、マウスを評価した。腫瘍の全領域内に位置するCAR+T細胞の総数を、標準曲線(
図11Aを参照)と比較したPET画像のシグナル強度に基づいて計算した。さらに、末梢血(PPB)中のまたは骨髄(BM)試料内の生細胞内でのCAR+T細胞のパーセンテージを、抗PSMA抗体で染色することによってフローサイトメトリーを用いて決定した。
【0688】
代表的なBLIおよびPET/CT画像を
図14A~14Bに示す。
図14A~14Bに示されるマウスのそれぞれでのPPBおよびBMにおける生細胞内でのCAR+T細胞のパーセンテージと比較してPET/CT画像から決定された腫瘍細胞中の細胞の数を、
図14C(PPB)および14D(BM)に示す。結果は、抗PSMA抗体を用いるPET/CTおよびフローサイトメトリーによる、投与されたCAR+T細胞の検出および定量化のための、代替マーカーとしてのPSMAバリアントの有用性に一致する。
【0689】
本発明は、特定の開示される態様に範囲を限定されることを意図せず、それらは、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される。記載される組成物および方法に対する様々な変更が、本明細書中の説明および教示から明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0690】
【配列表】