(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】遠隔部位の血管、特に大脳動脈に有効に吸引をかけるための吸引カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20230524BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M25/14 518
(21)【出願番号】P 2019564913
(86)(22)【出願日】2018-05-23
(86)【国際出願番号】 US2018034197
(87)【国際公開番号】W WO2018217931
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515075382
【氏名又は名称】ミビ・ニューロサイエンス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mivi Neuroscience,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エフ・オーグル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500153(JP,A)
【文献】特表2015-525638(JP,A)
【文献】国際公開第2016/126974(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/040220(WO,A1)
【文献】特表2012-500049(JP,A)
【文献】特開平08-173540(JP,A)
【文献】特表2005-508230(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147815(WO,A1)
【文献】特開平11-114053(JP,A)
【文献】特開2010-057831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0030186(US,A1)
【文献】特開2009-254764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位開口部を有し、前記近位端から前記遠位開口部に延在する中央内腔を備える管状シャフトと、前記管状シャフトの前記近位端に動作的に接続され
ている近位区画であって、前記近位区画は、
負圧装置が作動している場合に前記中央内腔に負圧を印加する前記負圧装置に接続するように構成された取付具を有する、近位区画とを含むガイドカテーテルであって、前記管状シャフトは係合区画を有し、前記係合区画は前記係合区画を通って延びる内腔に関連する内径を有する、ガイドカテーテルと、
中央内腔を備える接続区画と、前記接続区画の管状要素と接続され、前記接続区画から遠位方向に延びる管を含む管状延長部と、前記接続区間から近位方向に延びる長い構造を含む制御構造とを含む吸込み延長部であって、前記接続区画の少なくとも一部は、長い外径と、前記長い外径より小さい短い外径を持つ非円形の断面を有し、前記管状延長部は、前記係合区画の内径の約20パーセント~約90パーセントの遠位内径を有し、前記接続区画は、前記管状シャフトの前記係合区画の前記中央内腔内で摺動して、前記中央内腔内の前記接続区画の相対位置を変化させ、小径の前記吸込み延長部の少なくとも一部が前記接続区画の適当な構成で前記管状シャフトの前記遠位開口部から外に延びることができるように構成される吸込み延長部と、
を含む吸引カテーテルシステムであって、
前記
負圧装置に接続されるように構成された前記取付具から、
前記ガイドカテーテルの前記中央内腔の一部
を通って延びると共に、前記吸い込み延長部の前記中央内腔、前記接続区画、及び前記管状延長部を通って前記管状延長部の遠位開口部まで延びる吸引内腔が形成され、前記接続区画は前記ガイドカテーテルの前記係合区画の前記内腔と、前記接続区画の円周に沿った2か所で係合する
と共に、前記ガイドカテーテルの前記接続区画と前記係合区画の前記中央内腔との間の嵌合により有効なシールが形成される、吸引カテーテルシステム。
【請求項2】
前記長い外径と前記短い外径の差は約30マイクロメートルから約160マイクロメートルである、請求項1に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項3】
前記ガイドカテーテルから分離された前記接続区画の長い外径は、前記係合区画の前記内径より約15マイクロメートル~約150マイクロメートル長い、請求項1又は請求項2に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項4】
前記接続区画の、C/πで明示されるその最大円周(C)における平均直径は、前記係合区画の前記内腔より約76マイクロメートル以下だけ短い、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項5】
前記ガイドカテーテルの前記管状シャフトは、内径を有する遠位区画を含み、前記遠位区画の前記内径は、前記係合区画の前記内径より約0.035mm~約0.25mm短く、前記遠位区画は約1mm~約10mmの長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項6】
前記ガイドカテーテルは、約6Fr~約10Frの範囲の外径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項7】
前記管状延長部の最遠位区画の内径は、前記係合区画の内径の約40パーセント~約80パーセントである、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項8】
前記ガイドカテーテルの前記シャフトの長さは約0.5m~約1.8mであり、前記管状延長部の長さは約5cm~約50cmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項9】
前記管状延長部は複数の一定の径のセグメントを含み、遠位セグメントはより近位のセグメントより小さい内径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【請求項10】
前記吸込み延長部のチップは、その遠位端において拘束されない構成の湾曲部を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸引カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大脳動脈等、曲がりくねった経路を有する体内血管に使用するように設計されたカテーテルに関する。特に、本発明は、ガイドカテーテルと、ガイドカテーテル内に摺動可能に配置された吸引延長部とを含む吸引カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳内血管における処置は、急性脳卒中イベントの改善又は脳内血管内のその他の介入のためのアプローチとして普及しつつある。脳内血管は、特に複雑に曲がりくねった経路をたどり、これらの血管内の標的位置に到達するのがより困難となり得る。患者のそれ以外の血管もまた、標的位置への到達がより困難となる曲がりくねった経路をたどる可能性がある。
【0003】
吸引カテーテルは、血管からの凝血塊除去に関して使用されている。さらに、経皮処置中の虚血傷害の大きな理由は血栓の形成であり得、これはより細い、より末梢の血管を詰まらせる。単独で、又は塞栓保護デバイスと共に使用される吸引カテーテルは、処置中に形成される血栓を捕捉するのに有効であり得る。有効な器具を脳の細い血管に送達して凝血塊を除去し、及び/又は凝血塊を捕捉することは依然として難しい。
【0004】
大脳動脈内の凝血塊によって虚血発作が引き起こされる可能性がある。凝血塊は、血流を阻止し、血流の阻止により、脳組織のその血液供給が阻まれる可能性がある。凝血塊は、局所的に生じる血栓、又は、別の場所から血管閉塞の場所まで移動した塞栓である可能性がある。組織への血液供給の遮断の影響を低減させるために、時間は重大な要素である。特に、できるだけ短時間で血流を回復させることが望ましい。大脳動脈系は、内頸動脈に接続されている、高度に分岐した血管系でもある。大脳動脈は、非常に迂遠である。治療デバイスは、大脳動脈内に配置されるために大脳動脈によってもたらされる迂遠経路に沿って進むことができなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本発明は、止血弁を含む近位取付具と;遠位端、及び近位取付具に接続された近位端を備えるガイドカテーテルと;遠位端と近位端を備える管状延長部、管状延長部の近位端における接続区画、及び管状延長部から近位方向に延びる制御構造を含む吸引延長部とを含む吸引カテーテルシステムを使用して患者の血管から血栓を除去する方法に関する。本方法は、管状延長部の遠位端からガイドカテーテルの近位端まで延びる吸引内腔を通じて吸引を送達するステップを含むことができ、管状延長部の遠位端はガイドカテーテルの遠位端から延びる。概して、吸引の送達時間の少なくとも一部にわたり、接続区画はガイドカテーテル内にあり、制御構造はガイドカテーテルの近位端から延びる。本方法はまた、近位取付具から吸引内腔内に負圧を送達している間に管状延長部をガイドカテーテル内腔から引き抜くステップを含み、その中で接続区画は止血弁の遠位側の近位取付具の中に引き抜かれ、それによって、吸引内腔はすると、ガイドカテーテルの内腔に全体に沿って延びる。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、近位端及び遠位開口部を有する、中央内腔を備える管状シャフトを含むガイドカテーテルと、吸込み延長部と、近位取付具とを含む吸引カテーテルシステムに関する。吸込み延長部は、中央内腔を備える接続区画、管状延長部、及び制御構造を含むことができる。管状延長部は、接続区画と接続され、接続区画から遠位方向に延びて接続区画の中央内腔を通り、管状延長部の管を通る連続内腔を形成する管を含むことができ、制御構造は、接続区画から近位方向に延びる長い構造を含むことができる。接続区画は、ガイドカテーテルの中央内腔の少なくとも一部の中で摺動して、中央内腔内の接続区画の相対位置を変化させ、管状延長部の少なくとも一部が接続区画の適当な構成で管状シャフトの遠位開口部から外に延びるように構成できる。近位取付具は概して、ガイドカテーテルの近位端に接続でき、分岐マニホルドを含むことができ、その少なくとも1つの分岐は止血弁と、止血弁とガイドカテーテルの管状シャフトの近位端との間に、吸引延長部の管の長さと少なくとも同程度に長い長さを提供するための管状セグメントとを有する。
【0008】
他の態様では、本発明は、近位端及び遠位開口部を有する、中央内腔を備える管状シャフトを含むガイドカテーテルと、吸込み延長部と、近位取付具とを備える吸引カテーテルシステムに関する。吸込み延長部は、中央内腔を備える接続区画と、管状延長部と、制御構造とを含むことができる。管状延長部は、接続区間に接続され、接続区画から遠位方向に延びる管を含むことができ、制御構造は接続区画から近位方向に延びる長い構造を含むことができる。概して、接続区画は、ガイドカテーテルの中央内腔の少なくとも一部の中で摺動して、中央内腔内の接続区画の相対位置を変化させ、管状延長部の少なくとも一部が接続区画の適当な構成で管状シャフトの遠位開口部から外に延びるように構成できる。近位取付具は、止血弁を有する少なくとも1つの分岐を備え、また近位取付具内の圧力を測定するように構成された圧力センサを備える分岐マニホルドを含むことができる。概して、近位取付具は、ガイドカテーテルの近位端に接続される。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、止血弁、及び近位取付具内の圧力を測定するように構成された圧力センサを含む近位取付具と;遠位端、及び近位取付具に接続された近位端を備えるガイドカテーテルと;区画延長部とを含む吸引カテーテルシステムを使用して患者の血管から血栓を除去する方法に関する。吸込み延長部は、遠位端を備える管状延長部と、管状延長部の近位端における接続区画と、管状延長部から近位方向に延びる制御構造とを含むことができる。幾つかの実施形態では、本方法は、管状延長部の遠位端からガイドカテーテルの近位端へと延びる吸引内腔を通じて吸引を送達するステップを含み、管状延長部の遠位端はガイドカテーテルの遠位端から延び、接続区画はガイドカテーテルの中にあり、制御構造はガイドカテーテル近位端から延びる。本方法は、吸引送達中に少なくとも1回近位取付具内の圧力をモニタするステップをさらに含むことができる。
【0010】
他の態様では、本発明は、ガイドカテーテルと吸込み延長部とを備える吸引カテーテルシステムに関する。ガイドカテーテルは、近位端及び遠位開口部を有する、中央内腔を備える管状シャフトと、管状シャフトの近位端に動作的に接続され、吸引デバイスにつながる取付具を有する近位区画とを含むことができ、管状シャフトは、係合区画であって、係合区画を通って延びる内腔に関連する内径を有する係合区画を含む。吸込み延長部は、中央内腔を備える接続区画と、接続部分の管状要素に接続され、接続部分から遠位方向に延びる管を含む管状延長部と、接続区画から近位方向に延びる長い構造を含む制御構造とを含むことができる。幾つかの実施形態では、接続区画の少なくとも一部は、長い外径と、長い外径より小さい短い外径を持つ非円筒形の断面を有する。管状延長部は、ガイドカテーテルの中央内腔内径の約20パーセント~約90パーセントの遠位内径を有することができ、接続区画は、管状シャフトの係合区画の中央内腔内で摺動して、中央内腔内の接続区画の相対位置を変化させ、吸込み延長部の少なくとも一部が接続区画の適当な構成で管状シャフトの遠位開口から外に延びることができるように構成される。幾つかの実施形態では、吸引デバイスに接続されるように構成された取付具から、中央内腔の一部、接続区画、及び管状延長部を通って管状延長部の遠位開口部まで延びる吸引内腔が形成され、接続区画はガイドカテーテルの係合区画の内腔と、円周に沿った2か所で係合する。
【0011】
さらに、本発明はガイドカテーテルと吸込み延長部を含む吸引カテーテルシステムに関する。ガイドカテーテルは、近位端及び遠位開口部を有する、中央内腔を備える管状シャフトと、管状シャフトの近位端に動作的に接続され、吸引デバイスにつながる取付具を有する近位区画とを含むことができる。管状シャフトは、係合区画を通って延びる内腔に関連する内径を有する係合区画と、係合区画の内径より約0.034mm~約0.25mm小さい内径を有する遠位区画とを含むことができ、遠位区画は約1mm~約50mmの長さを有する。吸込み延長部は、内腔を備え、管状シャフトの遠位区画の内径より少なくとも0.025mm大きい平均外径を持つ接続区画と、接続区画に接続され、接続区画から遠位方向に延びる管を含む管状延長部と、長い構造を含み、接続区画から近位方向に延びる制御構造とを含むことができる。管状延長部は、係合区画内径の約20パーセント~約90パーセントである最遠位の内径を有することができ、接続区画は係合区画の中央内腔内で摺動して、中央内腔内の接続区画の相対位置を変化させ、管状延長部の少なくとも一部が接続区画の適当な構成で管状シャフトの遠位開口部から外に延びることができるように構成できる。概して、吸引デバイスに接続されるように構成された取付具から、中央内腔の一部、接続区画、及び管状延長部を通って遠位開口部まで延びる吸引内腔が形成され、吸込み延長部は管状シャフトの係合区画の内腔内で接続区画と共に摺動可能に位置付けられ、管状延長部は管状シャフトの遠位区画から遠位方向に外に延びる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】吸込み延長部を備えるガイドカテーテルを含む吸引カテーテルシステムの、ガイドカテーテルがガイドカテーテル内の構造が見えるように透明に示されている側面図である。
【
図2】ルアーフィッティングから遠位チップまで延びるガイドカテーテルの実施形態の側面図である。
【
図3】
図2のガイドカテーテルのうち
図2の点3-3間の部分の、カテーテルの中心軸を通る平面に沿った部分断面図である。
【
図4】
図2のガイドカテーテルのうち
図2の点4-4間の部分の、カテーテルの中心軸を通る平面に沿った部分断面図である。
【
図5】
図2のガイドカテーテルのルアーフィッティングとの接続に適した分岐止血弁の側面図である。
【
図7】
図6の吸込み延長部の、一部の隠れた構造が破線で示される上面図である。
【
図8】
図6の吸込み延長部の、
図7の線8-8に沿った側断面図である。
【
図10】
図6の線10-10に沿った部分断面図である。
【
図11】
図6のカテーテルの、
図9の線11-11で示される正射影図に沿った部分断面図である。
【
図12】
図6のカテーテルの、
図8の線12-12に沿った端断面図である。
【
図13】吸込み延長部の代替実施形態の部分断面図であり、拡大挿入図は、制御ワイヤの、制御ワイヤのコイル状端部を用いた近位部分への取付けを示す。
【
図15】管状延長部がテーパ部により接続された異なる直径の2つの管状区画を有する吸込み延長部の代替実施形態の上面図である。
【
図16】
図15に示される吸込み延長部の代替実施形態の、
図15の線16-16に沿った断面図である。
【
図17】カテーテル壁の、その構成の幾つかを示す切欠き部分である。
【
図18】屈曲部を有する吸引チップの部分断面図である。
【
図19】屈曲部と角度の付いた開口部を有する吸引チップの部分側面図である。
【
図20】緩やかな湾曲を有する吸引チップの部分断面図である。
【
図21】非円形断面を有するガイドカテーテルの係合区画と接触する吸込み延長部の接続区間の端断面図である。
【
図22】ワイヤ編組の適用、金属コイルの設置、シートへのポリマー塗布、及びポリマーの過熱によるポリマー中への金属構造の埋め込みを含む1つ又は複数のステップが行われる、マンドレル上のカテーテル構造の構成を示す一連の側面図である。
【
図23】本明細書で説明する吸引システムを含む、体内血管での選択された経皮処置のために一緒に、又は選択された部分的組合せで使用可能な医療デバイスの集合の概略図である。
【
図24】ガイドカテーテルに隣接する2つの別々の構成要素と共に示され、これら2つの構成要素がY分岐マニホルドと延長止血取付具である近位取付具の部分側面図である。
【
図25】ガイドカテーテルから延びる3分岐マニホルドと1つの分岐に取り付けられた延長止血取付具を備える、ガイドカテーテルに取り付けられた近位取付具の代替実施形態の部分側面図である。
【
図26】ガイドカテーテルから延びる近位取付具の、取付具がY分岐マニホルドと、Yの一方の分岐に接続されたT分岐マニホルドと、T分岐のまっすぐの分岐から延びる延長止血取付具と及びT分岐導管に沿って取り付けられた負圧装置とを備える、さらなる代替実施形態の部分側面図である。
【
図27】ポンプとの、及び圧力センサへの接続用になされたY分岐マニホルドの斜視図である。
【
図28】電子コネクタを有する圧力センサに適合された管状取付具に取り付けられたY分岐マニホルドの側面図である。
【
図29】1つの分岐に沿った末端圧力センサ及び圧力センサと接続するための電気コネクタを備えるY分岐マニホルドの側面図である。
【
図30】人間の患者と、脳内血管の中にカテーテルを案内するための代替的なアクセスアプローチの略図である。
【
図31】ガイドカテーテルから凝血塊までのガイドワイヤに沿った医療デバイスの送達を示す、分岐する血管区画内の図である。挿入図は、ガイドカテーテルの2つの内部区間の拡大図を示す。
【
図32】凝血塊を除去するために使用中の吸引システムの、血管のある区画内の略図である。
【
図33】吸引システムが凝結塊の上流に位置決めされ、繊維系フィルタが凝血塊の下流に展開された、血管のある区画の略図である。
【
図34】凝血塊の除去を容易にするために、繊維系フィルタが吸引チップに向かって引っ張られて凝血塊がチップへと引き込まれた、
図33の血管の区画の略図である。
【
図35】吸引システムが凝血塊の上流に位置決めされ、繊維系フィルタが凝血塊の下流に展開され、他の医療デバイスが凝血塊に位置決めされた、血管のある区画の略図である。
【
図36】他の医療デバイスが凝血塊の除去のために一緒に使用されている、
図35の血管の区画の略図である。
【
図37】神経血管系内の位置から近位取付具まで延びる治療システムの、凝血塊を除去するための吸引適用及び任意選択による他の処置ステップの後に示される部分図であり、図中の挿入図はガイドカテーテル内の管状延長部の断面図を示す。
【
図38】管状延長部がガイドカテーテルの中に引き込まれている
図37の治療システムの遠位部分の部分図であり、図中の挿入図はガイドカテーテル内の管状延長部の遠位端の断面図を示す。
【
図39】管状延長部が、吸込み延長部の接続区画が挿入図の断面図に示されているようにガイドカテーテルの外部の近位取付具の中にあるように十分に引き込まれている、
図37の治療システムの近位端の部分図である。
【
図40】管状延長部がガイドカテーテルから引き込まれているが、近位取付具内に取り囲まれたままである、
図37の治療システムの近位端の部分図であり、左側の挿入図はY分岐マニホルド内の管状延長部の遠位端(及び、破線で示される延長取付具内の遠位延長部の代替的配置)の断面図を示し、右側の挿入図は、制御ワイヤが止血弁を通って延びている、延長止血取付具内の吸込み延長部の接続区画を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
吸引カテーテルシステムは、高流量で吸引を提供できる狭くなった遠位管を有する吸引延長部を備えるようになされたガイドカテーテルを含むことができる。幾つかの実施形態において、吸込み延長部は接続区画を有し、これはガイドカテーテルの内面と接触する非対象の円周を有し、2か所で接触して有効な流体シールを提供しながら、ガイドカテーテル内での吸込み延長部の並進を提供する。代替又は追加的実施形態では、ガイドカテーテルは、より小径の、それが吸込み延長部の遠位方向への移動を有効に制限する管状要素の遠位部分を有することができる。近位取付具は、幾つかの実施形態では、吸込み延長部の管状部分(管状延長部)を、吸込み延長部の管状延長部を止血弁を通過させずに、ガイドカテーテルから引き込むことができるように提供できる。吸引カテーテルシステムを吸込み延長部の、吸引内腔の一部がガイドカテーテル内腔に関して、幾つかの実施形態ではガイドカテーテルが患者の体内にある期間全体にわたりシールされた構成のままであるようにする吸引カテーテルシステムの使用方法を説明する。改善された処理は、適当なバックエンドツールに関連付けられた圧力トランスデューサによるリアルタイムでのライン圧力測定を用いて導くことができる。吸引カテーテルは、動脈等の体内血管から血栓と凝血塊を除去するために有利に使用できる。血管には小さい直径を有する可能性のあるものがあり、治療箇所は迂遠経路に沿って下流にあることがあり、このような血管では、血管内の治療箇所に到達することのできるカテーテル構造に制約がある。
【0014】
本明細書に記載される設計は摺動可能な吸込み延長部を含み、これは対応するガイドカテーテルと共に使用されるようになすことができ、それは、吸込み延長部がガイドカテーテルの遠位端から展開されたときに吸引内腔全体の大部分を形成する。吸引カテーテルシステムは体内のいずれの適当な血管でも使用できるが、システムは、たとえば急性脳卒中の治療のために大脳血管において特に望ましい可能性がある。吸引カテーテルシステムは、血栓除去のための独立した吸引カテーテルとして有効に使用できる。さらに、吸引カテーテルシステムは、血栓除去治療システム又はその他の医療システムの構成要素として、血栓を破壊するための血栓係合デバイス及び/又は処置中に生成される凝血塊を捕捉できるフィルタ構造等のほか、吸引カテーテルシステムに向かって引っ張るために使用される他の医療デバイスを使用して、吸引を提供するのに有効であり得る。治療システムは、脳卒中の治療のために有効に設計できる。
【0015】
本技術分野において一般に低侵襲処置と呼ばれるより侵襲性の低い処置は、医療状況において、多くの場合、患者の回復時間を短縮し、うまくいけば適切な場合に転帰を改善する。特に、低侵襲処置は、一般に、血管系において、さまざまな治療プロセスの実施のために、選択された血管内の遠い場所に到達するように、カテーテルベースのシステムを使用して実施される。これらの処置はまた、血管腔を通る送達を強調するために、観血的処置とは対照的に、経皮的処置又は経血管的処置とも呼ぶことができる。本明細書における考察は、虚血的脳卒中の治療に焦点を当て、それは、デバイスが、これらの臨床的に重要な状態を治療するために有効であり得るためである。しかしながら、血管系及び他の体内脈管の両方における他の処置に本デバイスを使用することができる。患者は、ヒトを含み、ペット及び家畜を含む他の動物を含むことができる。近位及び遠位という用語は、本技術分野におけるそれらの慣習的な意味で使用され、すなわち、近位は、血管系又は他の脈管内の経路に沿った患者の体内への進入点に近い方を指し、遠位は、血管系内の経路に沿った進入点から遠い方を指す。
【0016】
摺動可能な吸込み延長部は概して、ガイドカテーテルの内壁と係合して適当な締まりばめの状態をなす接続区画を含む。接続区画は概して、接続区画から近位方向に延びる制御ワイヤ等の制御構造と、制御構造から遠位方向に延びる管状延長部とをつなげる。制御構造は概して、患者の体外に延びて、吸込み延長部を、その遠位チップが血管内の治療箇所の付近にあるように位置決めするようにする。管状延長部は、任意選択による湾曲チップを有していてもよく、ガイドワイヤ上で血管内の到達しにくい箇所に到達するようにうまく追跡できる。
【0017】
血栓は、血管から血栓を除去するために吸引を適用している間に吸込み延長部の遠位チップに保持できるため、吸込み延長部の管状延長部を吸引適用によりガイドカテーテルの中に引き込み、血栓の塞栓化及び血管の上流に移動し得る血栓の喪失の機会を減らすことが望ましい可能性がある。塞栓化のリスクをさらに低減させるために、ガイドカテーテルを患者から抜去する前に、吸引を適用して管状延長部をガイドカテーテルから完全に取り外すことが望ましい可能性がある。管状延長部をガイドカテーテルから、吸込み延長部の管状延長部を止血弁に通さずに、ガイドカテーテルから取り外すことができるようにする、カテーテルシステムの後面における望ましい近位取付具を説明する。管状延長部の近位端は概して開放しているため、環状延長部の近位端が止血弁を通過すると、管状延長部の、及びおそらくはガイドカテーテルの内部内腔が周辺環境に露出する可能性がある。
【0018】
管状延長部の引込に適した適当な近位取付具は、分岐構造に続く管状延長部を有し、管状延長部は、吸込み延長部を止血弁の背後の隔離された領域内であるがガイドカテーテルの管状要素の外に保持するのに十分な長さを有する。幾つかの適当な構成は後述されており、その他の構成は、これらの実施形態の説明からわかる。吸引は概して取付具の別の分岐から適用されることと、マニホルド全体に複数の分岐を提供でき、これらは使用のために組み立てられる分離可能な構成部品であってもなくてもよいことを指摘できる。
【0019】
近位取付具内の圧力の測定は、処置に関する貴重な情報を提供できる。圧力センサの設置のためのありうる構造は後で説明する。近位取付具内で圧力がゼロに近いと、ライン内のポンプまでの流れは事実上、制約されない。流れが吸込み延長部を通って流れるときの圧力により、測定可能な圧力低下が生じるが、ポンプ圧よりかなり低い圧力のままであることが観察される。吸込み延長部が血栓で詰まると、又は吸込み延長部がねじれると、測定された圧力はポンプ圧に近くなる可能性があり、これは概して、流れがカテーテル内で基本的にブロックされていることを示す。閉塞を知ることは、効率と安全性に関して処置を大幅に改善するために利用できる。たとえば、処置の早い段階で閉塞が生じた場合、これはねじれを示唆していることもある。処置のより遅い段階での閉塞は、ひっかかった血栓でカテーテルが閉塞したことを示唆する可能性があり、これは概して、造影剤又はその他の灌流液をそのカテーテルから送達すべきではないことを知らせており、それは、送達の圧力によってカテーテルをすでに閉塞させていた血栓が血管のさらに奥まで押し動かされる可能性があるからである。代替的方法で圧力トランスデューサを導入できる。たとえば、圧力トランスデューサはマニホルドの取付具の内壁に沿って、又は取付具に接続された管に、圧力測定を提供する構成で設置できる。圧力センサは、位置に応じて滅菌されても、されなくてもよい。
【0020】
脳卒中の治療のために、治療デバイスは、動脈を通して脳の血管まで前進することができる。一般に急性脳卒中の治療に関連する血管は、血流において内頸動脈から下流であり、動脈は、一般に、血管が動脈血管系を下流方向に進みに従い、分岐し、平均径が低減する。身体は、右内頸動脈及び左内頸動脈を有する。便宜上、内頸動脈から下流の血管は、本明細書では大脳動脈と呼ぶ。大脳動脈は、カテーテルベースのシステムにより、たとえば、鼠径の大腿動脈、腕の動脈、又は頸部の頸動脈から、本技術分野において既知であるもの等、止血処置及び適切な取付具を用いてアクセスすることができる。大脳動脈は迂遠経路をたどることが知られており、血管の径が小さいことのほか、出血性卒中の状態を引き起こす可能性のある血管損傷からの危険なリスクから、血管に沿った追跡デバイスもまた複雑となり得る。それでもなお、脳卒中治療では、曲がりくねった細い動脈にアクセスすることが望ましい可能性がある。本明細書に記載するデバイスは、これらの曲がりくねった細い大脳動脈における有利な使用に対して設計されるが、当業者であれば、他の医療処置におけるこれらのデバイスの有用性を理解するであろう。
【0021】
本吸引カテーテルシステムは、大脳への処置に適した摺動可能な吸込み延長部が設けられたガイドカテーテルを取り入れる。血管の処置では概して、ガイドカテーテルを使用することにより、治療デバイスを送達しやすくしながら、ほとんどの場合に治療部位に至る保護されたチャネルを提供することを通じて、血管壁に対するリスクの低い、より迅速で正確な送達を可能にすることができる。大脳への処置では、ガイドカテーテルを患者の体外から、ガイドカテーテルの遠位端を頸動脈又は内頚動脈内に入れて血管への差入地点に設置できる。それゆえ、ガイドカテーテルは、治療部位に比較的近い位置に内腔を提供できる。幾つかの実施形態では、従来のガイドカテーテルを使用して所望の吸引カテーテルを組み立てることができるが、他の実施形態では、特定のガイドカテーテルの設計を使用して吸引カテーテルシステムが形成される。ガイドカテーテルの大きさにより、治療部位に送達される治療構造の直径に対する限界が設定されるが、これは概して大きな問題ではなく、それは、延長可能なデバイスは、より小さい構成で送達し、その後延長された状態で展開できるから、及び血管の大きさは概してガイドカテーテルから遠位方向に向かって減少し、より大きい治療デバイスの必要性が低下するからである。本明細書に記載の吸引デバイスは吸込み延長部を提供し、これは、吸込み延長部の接続区画を、吸込み延長部をガイドカテーテルの内腔の内壁と接触するように位置決めすることを通じて、ガイドカテーテルの遠位端から調節可能な量だけ突出させることができる。接続区画は、ガイドカテーテルの壁と十分密なシール状態を作ることができ、それによってガイドカテーテル内腔内の吸引は、吸込み延長部の内腔に沿って伝えられる。所望の程度の吸引は、ガイドカテーテルの近位端にかけられる吸引を使用して吸込み延長部を通じて得ることができる。
【0022】
吸込み延長部は概して、接続区画と、接続区画から近位方向に延びる制御構造と、接続区画から遠位方向に延びる管状延長部とを備える。吸込み延長部は概してガイドカテーテルと接触し、そのチップが選択された位置、たとえば大脳血管を閉塞させている血栓の位置の付近で処置を実行するためにガイドカテーテルの遠位側の選択された位置にある状態で位置決めされるように設計できる。治療箇所とガイドカテーテルの遠位端の相対位置は概して具体的な医学的状況によって異なるため、吸込み延長部をガイドカテーテルからどの程度延ばすかは、制御ワイヤ等の制御構造を用いた吸込み延長部の相対移動を通じて調節できる。吸込み延長部は、ガイドカテーテル内腔の中で過剰な力を必要とせずに移動すべきであり、これは、隣接する表面の片側又は両側に低摩擦ポリマーを使用することにより容易にされることもある。
【0023】
吸込み延長部の接続区画はガイドカテーテルの内壁と接触するようになされ、それによって接続区画周辺の、吸込み延長部の内腔を通って流れない流れをほとんど又は完全に阻止し、その一方で接続区画の少なくとも一部をガイドカテーテル内に保持し、また、患者の血管内のガイドカテーテルに関して吸込み延長部を適切に問題なく摺動させるようになされる。このような接触を形成する構成要素の様々な実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる、“Catheter Systems for Applying Effective Suction in Remote Vessels and Thrombectomy Procedures Facilitated by Catheter Systems”と題する、Ogleらによる米国特許出願公開第2017/0143938A1号明細書(以降、‘938出願という)において論じられている。本明細書に記載するように、’938出願では近位部分と呼ばれる接続区画は、非円筒断面形状を有すると述べられている。このような非円筒形断面形状は有利なことに、ガイドカテーテルと円周に沿って2か所で接触し、接続区画の円周の残りの区画の周囲に小さい隙間があるようになされる。ガイドカテーテルの内腔と接触すると、接続区間に幾分かの力が加わり、それが円周を部分的に丸くする。接続区画のためのこの非円筒形状により、ガイドカテーテル壁と接続区画との間の流れを有効にブロックしながら、接続区画が長さ方向に移動して吸込み延長部のチップを血管内で位置決めするのを阻止しない。
【0024】
吸込み延長部の接続区画の非円形の断面形状は概して楕円と説明することができる。楕円は、少なくとも一部に、楕円の長い方の寸法に沿った長軸と長い方の寸法に直交する楕円の短い方の寸法に沿った短軸により特徴付けることができる。すると、接続区画は長軸に関連する円周に沿った点に関連する2か所でガイドカテーテルの係合区画の内面と接触するか、又は非常に近付くことができる。それに対応して、非円形の断面は平均半径により特徴付けることができ、平均半径はガイドカテーテルとの全体的に非常に小さい隙間を提供しながら、依然として所望の機能を提供できる。
【0025】
非円形断面を形成するために、接続区画の表面に沿った制御ワイヤの接続と、所望の形状を提供するほか、接続区画と制御ワイヤの接続を強化する追加のポリマーとを通じて隆起を形成することができる。楕円の断面を有する接続区画の構造のさらなる実施形態を後述する。このように、接続区画断面の非円形形状は、それが吸込み延長部の構造全体と適合してガイドカテーテルと接触するように設計できる。
【0026】
また、吸込み延長部の接続区画がガイドカテーテルの遠位端から出ないようにすることが望ましいため、吸込み延長部及び/又はカテーテルは、吸込み延長部の遠位方向への移動を制限するように設計できる。本明細書に記載の実施形態では、特定のガイドカテーテルの構成を使用して吸込み延長部の接続区画又はその一部をガイドカテーテル内腔の中に保持できる。具体的には、ガイドカテーテルの管状部分は、ガイドカテーテルの遠位端において、わずかにより小さい内径の管状セグメントを有することができる。隙間は接続区画とガイドカテーテル間で小さくできるため、ガイドカテーテルの径をある程度縮小することにより、吸込み延長部が遠位方向にさらに移動するのを制限できる。小径の遠位管状要素を備えるガイドカテーテルの構成をカテーテル組立プロセスに組み込んで、安定な構成を提供できる。
【0027】
吸込みの流れが吸引カテーテルに閉じ込められるガイドカテーテルを通じて送達される吸引カテーテルと比較して、本願では、吸引カテーテルの長さの大部分を吸引カテーテルシステムの制御要素と置き換える。このように吸引カテーテルの長さの大部分を制御要素と置き換えることにより、吸引カテーテルのチップを患者の血管内で前進させる際の摩擦を低くできるデバイスが得られ、それは、制御ワイヤ又はその他の制御要素がその動きに対してより小さい抵抗を提供できるからである。吸込み延長部のチップには、ガイドワイヤ上でデバイスを追跡しやすくするために湾曲したチップを与えることができる。本明細書に記載の設計では、ガイドワイヤ上でチップを追跡するために湾曲チップを備える吸引用の吸込み延長部は、吸込み延長部の遠位端における、又はその付近の摺動部分を移動させる制御ワイヤ又はその他の制御要素を使用して非常に到達しにくい箇所へと有効に案内でき、この設計は、大脳血管等到達しにくい血管に到達する能力を犠牲にすることなく、良好な吸引能力を提供する。吸込み延長部の移動中に、吸引内腔のガイドカテーテル部分は所定の箇所に保持できる。
【0028】
吸引が適当な負圧装置でガイドカテーテルの近位端に、又はその付近に加えられると、流体は吸込み延長部の端の遠位開口部の中に吸い込まれる。強力な吸引は、吸込み延長部を通じて伝達できることがわかった。吸引内腔は、概して吸引システムの近位端における、又はその付近の近位区画に関連する取付具に取り付けられた負圧装置から、ガイドカテーテル内腔を通って吸込み延長部まで、及び吸込み延長部と吸込み延長部の管状延長部の接続区画を通って遠位開口部まで延びる。適当な負圧装置にはたとえば、シリンジ、ポンプ、又はその他が含まれる。ガイドカテーテルは、吸引内腔全体のかなりの区画として大きい内腔を提供できる。すると、有効な吸引内腔は、ガイドカテーテルが寄与する大きい近位区画と、1つ又は複数のテーパ区画を有することのできる吸込み延長部が寄与するテーパ状遠位区画とを有するように見える。
【0029】
吸込み延長部の管状延長部は、ガイドカテーテル内腔に対して小さい径と、その遠位端をより細い血管に留置できるようにする高い柔軟性の内腔を有する。しかしながら、管状延長部の内腔は、それにより内腔を通って治療箇所まで追加の治療デバイスを送達できるのに十分に大きい径に保持される。吸込み延長部のチップにおける外径は概して(直径の単位はmm=(Fr値)/3であり、Frはフレンチカテーテルスケールを表す)ガイドカテーテルの遠位区画の外径より少なくとも約1.5Fr小さい。管状延長部の径がより小さいことにより、大脳血管等の所望の血管へのアクセスが可能となる。
【0030】
これまでに、良好な吸引特性は遠位区画において径が縮小する吸引カテーテルで得られることが見出された。それゆえ、たとえば吸引カテーテルの長さの大部分を外径6Frとすることができ、遠位区画の外径は5Frであってよく、これは内径の減少にほぼ対応する。このようなカテーテルは、5Frカテーテルに適した血管へのアクセスを提供できるが、その長さ全体沿って5Frのカテーテル本体を備える吸引カテーテルよりかなりよい吸引を提供できる。市販の先細カテーテル、たとえばMi-Axus(商標)カテーテル(MIVI Neuroscience,Inc)及びACE(商標)64カテーテル(Penumbra,Inc.)は良好な臨床成果を示している。先細吸引カテーテル及び大脳動脈内の血栓除去術へのその使用については、参照により本明細書に援用される、“Aspiration Catheters for Thrombus Removal”と題する、Galdonikらの米国特許第9,532,792B2号明細書(以降、‘792特許という)に記載されている。これらのカテーテルは遠位の径と一致する一定の径のカテーテルより良好な吸引を実現するが、摺動式の吸込み延長部を備える本願の吸引カテーテルシステムは、よりよい吸引を提供することがわかっており、これは、吸引内腔の長さの大部分にわたる径が吸引内腔の遠位開口部に提供される吸引にかなりの程度で寄与することを示唆している。
【0031】
本明細書に記載のデバイスを使用する処置の初期部分は概して、血管内の治療箇所にアクセスすることを含む。ガイドワイヤは、到達しにくい箇所へのアクセスを容易にするように設計されている。ガイドワイヤという用語は、本明細書において、ワイヤ構造を広く指すために使用されており、内部構造を有していてもいなくてもよい。は、テバイスの長さの少なくとも一部にわたり閉鎖内腔を持たないこともあるコアワイヤ-オーバチューブ一体構造、コイル、又はその他のように、それらが中実の金属又は金属織物から形成されているかいないかにかかわらず、ガイドワイヤと呼ばれる。
【0032】
特に、本明細書に記載のデバイスにより、凝血塊で完全に、又は一部閉塞した血管の再灌流を提供するための処置を実行できる。大脳動脈内の凝血塊は、相応に重篤な結果を伴う卒中の原因となり得るため、これらの状態の治療において時間は重要である。ガイドカテーテルを備える吸込み延長部は、凝血塊又はその破片の除去に有益であり得る吸引を提供するために使用できる。それゆえ、吸込み延長部とガイドカテーテル及び負圧装置との組合せは、血栓除去術のための独立したデバイスとして使用できる。しかしながら、吸引機能を備える吸込み延長部は、たとえば、凝血塊又はその一部の除去を容易にする繊維系フィルタ及び/又はその他の構成要素も含む治療システムの一部として有効に使用できる。膨張可能チップを備える送達カテーテルはアクセスしやすいように設計されるため、他の各種の処置を行うためのツールとして有益である。
【0033】
処置の幾つかの実施形態では、ガイドワイヤは閉塞位置に、又はその付近に設置でき、位置決め可能な吸込み延長部を備えるガイドカテーテルは、閉塞部の上流の血管内に設置でき、ガイドワイヤは吸込み延長部の内側を通って延びる。吸引カテーテルシステムが単独で使用される場合、吸込み延長部は、ガイドワイヤ上の制御ワイヤを使用して凝血塊付近の適当な位置まで前進させることができる。すると、ガイドワイヤを取り外した、又は取り外さない状態で、吸引を開始して、凝血塊又はその一部を遠位開口部の中に、又は吸込み延長部のチップに当たるように吸い込むことができる。吸引は、吸込み延長部及び/又はガイドカテーテルが患者から抜去されるときに継続されても、されなくてもよい。
【0034】
吸込み延長部での吸引は凝血塊除去のみのためのデバイスとして有効であり得るが、吸引カテーテルシステムと共に使用するために、追加の治療システムを他のデバイスと組み合わせることができる。特に、フィルタデバイスは、塞栓保護と、凝血塊又はその一部の除去を容易にするためのツールの両方を提供するために使用でき、それにはフィルタデバイスで凝血塊と直接係合することが含まれてもよい。関心対象の細い血管において有効に使用できる繊維系フィルタ/塞栓保護システムが開発されている。特に、適当な作動システムを備える繊維系フィルタシステムは、低プロファイル状態で閉塞部を通過して送達するために使用でき、除去プロセス中に凝血塊の破片が解放されればそれから保護するように展開できる。
【0035】
吸引カテーテルシステム及びおそらくは治療システムのその他の構成要素を患者から抜去するプロセス中に、吸引は概して、血栓の塞栓化のリスクが十分に低減するまで継続される。吸込み延長部では、血栓が内腔内にあり、及び/又はチップで捉えられていることもある。吸込み延長部の管状区画の近位端は概して開放しており、それによって管状延長部の近位端が止血弁から取り除かれると、管状延長部の吸引内腔は周囲環境に露出する可能性がある。まだ患者の体内にある管状延長部の内腔の露出は好ましくない可能性があるため、本明細書に記載されているように、まだ患者の体外のシステムの隔離された区画内にある間に、管状延長部をガイドカテーテルの外に停止させることのできる取付具が考案されている。吸引は、管状延長部が患者から抜去され、周囲とは隔離されるがガイドカテーテルの外にある間は継続できる。概して、近位方向に延びる吸込み延長部の制御構造は止血弁を通過でき、その際、弁が制御構造の周囲で適切なシール状態で閉じる。管状延長部がガイドカテーテルの外に安全に停止しているときに、処置を完了でき、これには概して吸引の終了と閉塞が解消されたことの確認が含まれる。処置の終わりに、ガイドカテーテルを患者から安全に抜去できる。
【0036】
処置のうちの吸引が加えられる部分を通じて、近位取付具内の圧力をモニタできる。近位取付具内の圧力が予想範囲内にとどまれば、その処置を行っている医師はそれがわかったことに基づいて先に進めることができる。圧力が上昇すると、医師は、概して管状延長部を通じて流体を送達することなく、患者から吸込み延長部を抜き取る等、適当な行動をとることができる。
【0037】
本明細書に記載のデバイス及びそれに対応するプロセスは、凝血塊を血管から除去する治療処置を実行するための改善された機能を提供する。本明細書に記載するように、デバイスは経皮的処置のための医療システムにおいて様々な組合せで使用できる。改善された処置は、さらなる安全手段を提供しながら、デバイスを扱う医療従事者により実行される現実的なステップを提供する。
【0038】
摺動式吸込み延長部を備える吸引システム
より大きい近位吸引とより小径の吸込み延長部を有する吸引カテーテル内腔により得られる良好な吸引を利用した、ガイドカテーテル内腔を近位吸引内腔として使用する吸引システムを説明する。横方向に摺動可能な吸込み延長部は、ガイド内腔内にある近位区画から延び、吸込み延長部はより小さい径を有して細い血管へのアクセスを提供し、その他の治療構造及び/又は塞栓保護構造を送達するほか、血管からごみを除去するために望ましい吸引レベルを提供できる。制御ワイヤ又はその他の制御構造を吸込み延長部に取り付けて、摺動を制御し、吸込み延長部を固定されたガイドカテーテル及び標的治療箇所に対して選択的に横方向に設置できるようにすることができる。幾つかの実施形態では、吸込み延長部は接続区画を含み、これは、非円筒形の断面を有し、円周に沿って2つの部分で接触するガイドカテーテル内腔と接触する。この非円筒接触は、吸込み延長部の近位部分の外側とガイドカテーテルの内部の近位位置との間の流れをブロックしながら、吸込み延長部をガイドカテーテルに対して比較的容易に摺動させることかできる。具体的なガイドカテーテルの設計は、そのシャフトに沿って様々な管状要素を組み込んで所望の柔軟性を提供することができ、より小径の遠位管状要素を使用して、吸込み延長部の近位区画をガイドカテーテル内腔の中に保持できる。
【0039】
図1を参照すると、吸引システム100は、吸引用ガイドカテーテル102及び吸込み延長部104を含む。吸引用ガイドカテーテル102は、近位区画106と管状シャフト108を含む。近位区画106は概して、ハンドルとして使用するのにも適しており、概して近位取付具120、吸引ポート122、及び任意選択による制御ワイヤポート124のほか、おそらく、所望の機能とアクセスを提供する他の追加のポート及び/又は取付具を含むことができ、これらのポート及び取付具はすべて、分岐構成又は他の適当な構成に配置できる。概して、近位取付具120は、ガイドワイヤ及び/又は、代替的治療構造及び/又は塞栓保護デバイス等、ガイドワイヤ上でガイドカテーテル内腔の中に送達される構造を進入させるための適当な止血弁、ルアーフィッティング又はその他を含むことができる。
【0040】
本明細書に記載の改良型実施形態では、近位取付具120は、吸込み延長部104の管状延長部をその中に設置でき、吸引用ガイドカテーテル102の管状シャフト108の中に、又は止血弁を通じて周囲環境へと延びないようにするセグメントを含むことができる。吸引システム100の近位端における固定具の所望の特徴は近位取付具120に統合できるが、Tuohy-Borstコネクタ等のコネクタと、Y分岐、止血弁、及び吸込み延長部の管状延長部を保管する延長管状取付具等、その他の所望の特徴を、近位取付具120に使用のために取り付けられる取付構成部品として提供するための取付具の接続部を含む近位取付具120の実施形態を通じて、設計の柔軟性を実現できる。近位取付具120と統合するための適当な取付具は、以下の本開示が別々の構成要素としてではなく近位取付具120の一体部分と考えることができると理解して、治療システムのセクションで詳しく後述する。
【0041】
吸引システム100と使用するために、適当な塞栓保護デバイスをガイドワイヤに取り付けることができ、及び/又はその他の治療構造を使用できる。適当な治療構造はさらに後述されており、たとえば繊維系フィルタ、ステント、ステントリトリーバ、アテローム切除デバイス又はその他を含むことができる。
図1に示されるように、負圧装置126が吸引ポート122に接続されて示され、適当な負圧装置にはたとえば、シリンジ、蠕動運動ポンプ若しくはその他の適当なポンプ等のポンプ、アスピレータ/ベンチュリ、又はその他が含まれる。適当なポンプはGomco(商標)ブラドポンプ又はDRE DM-660(商標)ポンプ等、Allied Healthcare Products,Incから入手できる。
【0042】
一般に、管状シャフト108はその長さに沿ってほぼ一定の径を有することができるか、又は一部のガイドカテーテルは、異なる径の区画を有することができ、概して、より大径の区画の遠位側により小径の区画がある。本明細書に記載の幾つかの実施形態では、管状シャフトの長さの大部分は一定の径を有して吸込み延長部の接続区画と所望の接触をなし、接続区画は管状シャフトの係合区画と呼ぶことができ、患者への吸引の送達に適した構成の吸込み延長部と係合するように設計される。管状シャフトのうち係合区画の近位側の部分は、係合区画に対してより大きい内径と概してより大きい外形を有することができる。従来のガイドカテーテルは幾つかの実施形態では吸引カテーテルシステムに使用できるが、特定の設計を後述する。管状シャフトのうち遠位管状部分は、吸込み延長部104の一部を管状シャフト108内に保持するために、わずかにより小さい内径を有することができる。管状シャフト108は、患者の体内での管状シャフトの位置決めのほか、ガイドカテーテル内腔内の吸込み延長部の接続区画の位置決めを容易にするための1つ又は複数の放射線不透過性マーカバンドを有することができ、
図1は、管状シャフト108の遠位端付近にマーカバンド128を示しているが、希望に応じて代替的な位置を使用できる。後述のように、管状シャフト108は内面及び/又は外面又はその一部にコーティングを有することができる。
【0043】
吸込み延長部104は概して、接続区画140と、管状延長部142と、制御ワイヤ等の制御構造148とを備える。接続区画140の全部又は一部は、吸引用ガイドカテーテル102の内腔内にとどまるように構成できる。
図1に示されるように、接続区画140は放射線不透過性マーカバンド152を含むことができるが、接続区画は幾つかの実施形態ではマーカバンドを持たなくてもよく、また、他の実施形態では複数のマーカバンドを含むことができ、管状延長部142は管状延長部142の遠位チップの付近に放射線不透過性マーカバンド154を有するように示されているが、再び、管状延長部142は希望に応じて複数の放射線不透過性マーカバンドを含むことができる。制御構造148は、接続区画140と接続し、組み立てたデバイスにおいて、カテーテルの外に延び、たとえば制御ワイヤポート124又は近位取付具120を通って外に出る制御ワイヤ又はその他とすることができる。制御構造148は、管状シャフト108の内腔内の接続区画140の位置決めを制御するために使用できる。制御構造148は制御ツール156を含むことができ、これはたとえばハンドル、スライド又は、制御ワイヤ若しくは他の接続要素を固定して、制御ワイヤの移動を容易にすることのできるもの等のその他である。幾つかの実施形態では、複数のワイヤ又は円筒形ワイヤアセンブリ等の代替構造を近位部分を吸引カテーテルシステムの近位端に接続して、近位区間の位置決めに関して所望の制御レベルを提供できる。
【0044】
前述のように、吸込み延長部の接続区間はガイドカテーテルの内腔を適当なインタフェースと係合させ、吸込み延長部の接続区画間の血液の流れを減少させ、又は排除しながら、ユーザが吸込み延長部をガイドカテーテルに対して並進させて、管状延長部のチップを位置決めできるようにする。吸込み延長部の接続区画が非円形の断面を有する所望の設計は、特にこれらの基準を満たすことがわかった。本明細書に記載の材料の選択により、吸込み延長部の接続区画とガイドカテーテルの内部との間に非常に小さい平均隙間も使用できる。組み立てたときに、ガイドカテーテルの内腔は、円周に沿った2か所で吸込み延長部の接続区画と接触でき、これは、接続区画の断面を部分的に丸くすることができる。この2か所で接触する構成は、流れの望ましい閉じ込めを提供しながら、使用者は吸込み延長部を適当な容易さで摺動させることができる。
【0045】
吸込み延長部の接続区画(又はその一部)の非円形の断面は概して、ほぼ楕円の形状とすることができる。この用語により限定することは意図されないが、幾つかの実施形態では、断面は従来の卵型の断面に似た1つの対称軸を有することができる。後述のように、楕円形状は、ワイヤ制御構造を近位区画に取り付けることによって生成できるが、その他の構造的特徴を使用して楕円形状を導入でき、これはたとえばほぼ1つの対称軸又は2つの対称軸を設けるが、楕円は非対称とすることもできる。概して、楕円の断面は、長軸、たとえば対称軸に沿った長い方の寸法と、短軸、たとえば長軸に垂直な、円周を接続する最長の線分とにより部分的に特徴付けることができる。具体的な形状は明示されないため、長軸と短軸の仕様は楕円を十分に特定しないものの、長軸と短軸は楕円の寸法及び相対的形状に関する重要な情報を提供でき、これは特に、形状が概して円形の形状からかけ離れていないからである。また、平均隙間は、楕円の断面の円周(C)の最大値を使用し、透過的な円に変換して適当な平均直径を求めることによって定義できる(Da=C/π)。
【0046】
ガイドカテーテルの実施形態を
図2~
図4に示す。
図2を参照すると、ガイドカテーテル160はTuohy-Borstコネクタ、ルアーコネクタ、又はその他の一部とのコネクタ取付ハブ162と、シャフト164と、ストレインリリーフサポート166とを備える。この実施形態では、シャフト164の近位端はストレインリリーフサポート166を通ってコネクタ取付ハブ162に至り、構成部品は接着剤により相互に固定できる。また、メスコネクタ168は、1つ又は複数の分岐を有する回転止血弁を有していてもよい分岐コネクタ等、近位取付具上のオスコネクタ取付具と接続するためのコネクタ取付ハブ162の近位端に配置される。
【0047】
シャフト164のうち、近位端に近い部分の断面図を
図3に示す。
図3の実施形態を参照すると、シャフト164は、埋め込まれたステンレススチールのワイヤ編組182と潤滑ライナ184、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はその他のフッ素ポリマーを備えるポリマーチューブ180を含む。
図4は、シャフト164の遠位端を示す。
図4に示されるように、放射線不透過性マーカバンド186はポリマー管の中のシャフト164の遠位端付近に埋め込まれる。また、管の遠位区画188は、後でさらに説明するように、シャフト164の遠位端に設置され、わずかに減少した内径を有する。
図3及び
図4に示されるように、金属編組は、マーカバンド186の付近で終了し(又は、マーカバンドと重なり、その後終了し)、遠位区画188にはこの実施形態では金属編組がない。さらに後述するようにシャフトに含まれるポリマー管の組成は、シャフト164の長さに沿って変化することができ、それによってたとえばシャフトの柔軟性がシャフトの遠位端に向かって増大する。幾つかの実施形態では、ポリマー管の隣接する別の区画を加熱して相互に結合させ、さらに、シャフトの大部分を強化する上部がアーチ状の金属編組及び/又はコイルでさらに支持することができる。幾つかの実施形態では、シャフト164の大部分は、遠位区画188を除き、一定の内径を有して、ガイドカテーテルの中の遠位区画188の近位側のいずれの位置に位置決めされた吸込み延長部を通じても吸引をかけるようにすることができる。しかし、代替的実施形態では、シャフト164の近位区画は希望に応じてより大きい径を有することができ、それは、ガイドカテーテルの近位区画は吸引をかけるために吸込み延長部の接続区画を位置決めするのに使用されないこともあるからである。制御ワイヤ上の適当なマーカを使用して、吸込み延長部が吸引をかけるのに適正に位置決めされるのを確実にすることができる。
【0048】
潤滑コーティング、たとえば親水性コーティングをシャフト164又はその一部の外面上に設置できる。適当な親水性コーティングにはたとえばポリビニルアルコール、ヘパリン系コーティング、又はその他が含まれる。親水性コーティング溶液は、たとえばLUBRICENT(登録商標)(米国ミネソタ州のHarland Medical System)又はSERENE(商標)(米国ミネソタ州のSurmodics,Inc.)等、市販されている。材料及び製造プロセスのさらなる説明は以下に提供される。
【0049】
ガイドカテーテルの外径(D)は約5.5Fr(直径1.667mm)~約10Fr(直径3.333mm)、さらなる実施形態では約6Fr(直径1.833mm)~約9Fr(直径3mm)、及び幾つかの実施形態では約6.25Fr(直径2mm)~約8.5Fr(直径2.833mm)とすることができる。ガイドカテーテルの測定値は概して外径に関しており、内径は外径より壁厚の2倍小さい。一般に、シャフト164の主要部分の内径(d1)は約0.8mm~約3.175mmの範囲、さらなる実施形態では約0.9mm~約2.85mm、及びさらなる実施形態では約1.00mm~約2.7mmの範囲とすることができる。遠位区画188の内径(d2)をシャフト164の係合区画の内径(d1)に関する縮小量は、約0.034mm(0.00134インチ)~約0.25mm(0.0098インチ)、さらなる実施形態では約0.05m(0.002インチ)~約0.20mm(0.0079インチ)とすることができる。ガイドカテーテルシャフトの長さは、約30cm~約150cm、さらなる実施形態では約35cm~約130cm、さらなる実施形態では約40cm~約120cmとすることができ、概して対応する手順に適するように選択される。幾つかの実施形態では、遠位区画188の長さ(Ld)は約1mm~約50mm、さらなる実施形態では約1.5mm~約25mm、他の実施形態では約2mm~約20mmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0050】
図2のガイドカテーテルを使用して
図1と同様の近位取付具を形成するために、
図5に示される実施形態のように、Y分岐止血弁コネクタ190を使用できる。Y分岐止血弁コネクタ190は、オスコネクタ192と、分岐する流路を有するY分岐フレーム194と、回転する止血弁196と、コネクタ198と、Y分岐フレーム194にコネクタ198において接続された管200と、管200に接続された吸引デバイス202とを備える。オスコネクタ192は、
図2のメスコネクタ168に取り付けることができる。
図5に概略的に示されているように、制御ワイヤ204とガイドワイヤ206はどちらも、止血弁196から出ているように示されており、ガイドワイヤ206は治療デバイスをガイドカテーテルから止血弁を通るように案内するために使用できる。各種の分岐止血弁コネクタが、米国ユタ州のMerit Medical等の民間のサプライヤから入手できる。より一般的に、様々な取付具をガイドカテーテル160のコネクタ取付ハブ162に取り付けることができ、吸込み延長部の管状延長部を設置するための部分を備える取付具の改良型実施形態について、以下の治療システムのセクションでより詳しく説明する。
【0051】
吸込み延長部の実施形態が
図6~
図12に示されている。
図6を参照すると、吸込み延長部230は制御ワイヤ232と、接続区画234と、管状延長部236とを備える。接続区画234は、接続区画から近位方向に延びる制御ワイヤ232及び、接続区画から遠位方向に延びる管状延長部236と接続する。一般に、制御ワイヤ232は、組み立てられた吸引カテーテルシステムにおいて管状延長部236と共にガイドカテーテルに対して相応に移動できる、引く力と押す力を接続区画234へ伝達する中実ワイヤ、コイル、又はその他とすることができる。制御ワイヤ232は、いずれの妥当な断面形状を有することもでき、これは制御ワイヤの長さに沿った様々な箇所で異なっていてもよい。また、制御ワイヤは、制御ワイヤの遠位端に向かってテーパ状として、円周がより小さくなるようにすることができる。概して、制御ワイヤ232はステンレススチール、チタン、又はその他の生体適合金属で製作されるが、適切なバランスの剛性と柔軟性を有する他の材料も原則として使用できる。幾つかの実施形態では、制御ワイヤは、その長さに沿った平均径が約0.010インチ(0.254mm)~約0.040インチ(1.01mm)、さらなる実施形態では約0.0125インチ(0.32mm)~約0.030インチ(0.76mm)の丸形金属ワイヤである。制御ワイヤ232の長さは概して、ガイドカテーテルのそれより幾分長く、それによってガイドワイヤはガイドカテーテルの近位端から延び、たとえばガイドカテーテルより5cm又はそれ以上長い。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0052】
接続区画234は概して、管状延長部236より大きい外径により区別され、管状延長部236は接続区画234から遠位方向に延びる。
図6~
図12の実施形態では、管状延長部236はほぼ一定の外径及び内径を有し、管状延長部に沿って径が減少するさらなる実施形態を後述する。
図10の断面図を参照すると、管状延長部は、ポリマー管240と、金属コイル補強材242と、放射線不透過性マーカバンド244とを備える。金属コイル補強材242は平型金属ワイヤを含むことができ、これは幾つかの実施形態では、さらに後述するようにほぼ放射線不透過性マーカバンド244から接続区画234内の放射線不透過性マーカバンドまで延びるが、金属コイル補強材はマーカバンドの上に延びることができる。ポリマー管240は、管状延長部236の長さに沿って同じままとすることができ、又はポリマーは管状延長部236に沿った異なる位置において変化することができ、たとえば遠位方向に、より柔軟となる。構成中にポリマーの異なる区画を加熱して結合することができ、金属コイル補強材242のほか、任意選択によりポリマー被覆層は、ポリマー管の接続された区画をさらに安定化させることができる。管状延長部236の、放射線不透過性マーカバンド244の遠位側のチップ246は、金属補強材を持たないポリマー管240を備えることができる。PTFE等の低摩擦ライナ248又はその他のフッ素ポリマーは、管状延長部236及び/又は接続区画234の長さ又はその一部に沿って延びることができる。
【0053】
接続区画234と制御ワイヤ232及び管状延長部236との間の関係が
図6~
図8に示されている。接続区画234の部分断面図が
図9、
図11、及び
図12に示され、構造の特定の詳細を示している。接続区画234は、ポリマー管260と放射線不透過性マーカバンド262を備えることができる。ポリマー管260は近位開口部264を有し、これはポリマー管の長さ方向軸に対して角度をつけて、デバイスを機吸込み延長部から送達しやすくすることができるが、希望に応じて直角を使用できる。角度αは
図8に表示されており、25度~約85度、さらなる実施形態では約30度~約80度、さらなる実施形態では約33度~約75度の範囲とすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の寸法のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0054】
制御ワイヤ232と接続区画234との接触は、構成要素を相互に固定することと接続区画234の形状を形成するのに役立てることの両方の目的に適い、これはガイドカテーテル内腔の内部との所望の接触を提供するように選択できる。具体的には、接続区画と制御ワイヤとの接続は、接続区画の楕円の断面を形成しやすくすることができる。代替実施形態では、制御ワイヤ232の終端は平型ワイヤコイルとすることかでき、これは、‘938出願に記載され、後述するように、ポリマー管に埋め込まれて、接続区画の形状を実質的に保持する。さらなる、又は代替実施形態では、接続区画の楕円形状は、ポリマーの成形又はその他の整形を通じて導入でき、これは埋め込まれた制御ワイヤによる隆起と組み合わされても、組み合わされなくてもよい。楕円の断面の適当な寸法と接続区画を形成するための加工については、さらに後述する。低摩擦ライナ248は、
図9及び
図11に示されるように、接続区画234の内腔を通って延びることができ、又は幾つかの実施形態では、希望に応じて別の低摩擦ライナを接続区画234に含めることができる。
【0055】
図8、
図11、及び
図12を参照すると、制御ワイヤ232の遠位端はポリマー管260に関連するポリマー内に埋め込まれる。ポリマー壁を補完して制御ワイヤ232を固定することにより、断面形状が変化し、その結果、
図12において明確にわかるように、長軸(L
M)が短軸(L
m)より長くなる。前述のように、非円形の断面は、吸込み延長部とガイドカテーテルとの接触にとって有利である。非円形の形状の接続区画280の代替実施形態の断面が
図13及び
図14に示されている。この実施形態では、制御ワイヤ284の端の平坦な金属コイル282が、非円形の断面のポリマー管286に埋め込まれる。非円形の断面は、この実施形態では、
図14の断面においてわかるように、円周の1つの縁に沿ってより厚い壁のポリマーを形成することを通じて形成される。対応する円形の実施形態は、‘938出願の
図21及び
図22に示されている。接続区画は、その長さ全体にわたりほぼ一定の外径を有していてもいなくてもよく、外径はその長さの少なくとも一部にわたり、管状延長部の隣接区画の外径へとテーパ状、たとえば漸進的テーパ、段階式テーパ、又はその組合せであってよい。
【0056】
吸込み延長部の代替実施形態が
図15及び
図16に示されている。吸込み延長部300は、制御ワイヤ302と、接続区画304と、管状延長部306とを備える。制御ワイヤ302及び接続区画304は、
図6~
図12の実施形態の、それぞれ制御ワイヤ232及び接続区画234と同じとすることができる。
図16を参照すると、制御ワイヤ302の遠位端はポリマー中の接続区画304に埋め込まれ、接続区画304の表面に沿って膨張部308を形成する。接続区画304の内腔への近位開口部310は、接続区画304の軸に対して角度αをなす。接続区画304は、放射線不透過性マーカバンド312を含む。接続区画304の本体はポリマー管314である。低摩擦ライナ316、たとえばPTFE又はその他のフッ素ポリマーは、接続区画304及び/又は管状延長部306の内腔又はその選択された部分に沿って延びることができる。平型金属ワイヤコイル等の金属補強材は、ポリマー管314又はその一部を補強できる。
図16に示されるように、平型金属ワイヤコイル318は、放射線不透過性マーカバンド312の遠位側のポリマー管314にわたって埋め込まれ、管状延長部306まで延びる。さらに、
図12及び
図14に示される非対象の断面のほか
図11及び
図13の制御ワイヤ取付方式は、
図15及び
図16の実施形態にも適用できる。
【0057】
図15及び
図16を参照すると、管状延長部306は、第一の管状区画330と、テーパ区画332と、第一の管状区画330より小径の第二の管状区画334とを備える。テーパ区画332は、第一の管状区画330の直径と第二の管状区画334の直径との間でテーパが付いている。第二の管状区画334は、放射線不透過性マーカバンド336を含む。平型金属ワイヤコイル318は放射線不透過性マーカバンド336から接続区画304内の、ポリマー管に埋め込まれた放射線不透過性マーカバンド312まで延びる。第二の管状区画334の、放射線不透過性マーカバンド336の遠位側の端は、金属補強材を有していなくてよい。前述のように、低摩擦ライナ316は、管状延長部306の長さ又はその選択された部分にわたり内腔壁に沿って延びることができる。第一の管状区画330、テーパ区画332、及び第二の管状区画334の本体は概して熱可塑性ポリマー管を含む。ポリマー管の区画は、加熱して相互に結合し、さらに埋め込まれた平型金属ワイヤコイル318により、任意選択により金属補強材を被覆する熱収縮ポリマーフィルム又はその他によりさらに支持できる。第一の管状区画330の部分断面図が
図17に示され、平型金属ワイヤコイル318がポリマー管314の中に埋め込まれて示されており、テーパ区画332と第二の管状区画334の断面図は同様の構成を示すであろう。ポリマー管の組成は、希望に応じて、特定の柔軟性を選択するために長さに沿って変化させることができ、概してデバイスの遠位端に向かってより柔軟となり、ポリマー組成は異なる区画330、332、334で、及び/又は区画内で変化させることができる。
【0058】
図15及び16に示されるように、テーパ区画332は第一の管状区画330のより大径から第二の管状区画334のより小径へと直径の直線的遷移を提供する。代替実施形態では、テーパ区画の直径は希望に応じて非線形であり得るが、変化は概して単調である。テーパ区画は、押出加工を通じて、又は熱可塑性ポリマーをマンドレル形状に適合させること、若しくは当業界で知られているその他の好適なプロセスの手法を通じて形成できる。
【0059】
吸込み延長部の重要な態様は、ガイドカテーテルに対して小径の吸引チップであり、
図15及び
図16の実施形態の第二の管状区画の直径の縮小により、細い神経血管の中へとさらに到達させることができる。すると、有効な吸引内腔がガイドカテーテルから吸込み延長部の接続区画の中へ、及び、直径がさらに減少する可能性のある管状延長部の中へと延びる。接続区画の内径は、第一の管状区画の内径と同じであっても、そうでなくてもよい。管状延長部が小径であることにより、細く曲がりくねった血管の中に到達でき、より大径の近位吸引内腔の使用によって、適当な箇所に到達する能力を損なわずに吸引性能は大幅に向上する。
【0060】
吸引強度をさらに提供するために、管状延長部自体が、
図15及び
図16の実施形態に示されるような、直径が減少する異なる区画を有することができる。概して、動脈は径が徐々に減少するため、幾分大径の区画は選択された細い血管の中に吸引チップを到達させることと矛盾しないことが望ましいこともある。第一の管状区画に関して、この区画は概して、ほぼ一定の直径(概して、壁厚がほぼ一定と仮定して、内径又は外径)を有し、これは概して約0.95D~約[d+0.1(D-d)]、さらなる実施形態では約0.925D~約[d+0.25(D-d)]、及び幾つかの実施形態では約0.9D~約[d+0.35(D-d)]であり、dは第二の管状区画の直径、Dは接続区画の平均直径である。第一の管状区画の長さは、管状延長部の全長、たとえば第一の管状区画、第二の管状区画、及び任意選択による遷移区画の全長、又は相応の実施形態では単独の管状区画のみの全長(
図6のL
T)の約10%~約90%、さらなる実施形態では約20%~約80%、及びさらなる実施形態では約30%~約70%とすることができる。接続区画の長さ(
図6のL
C)は約4m~約8cm、及びさらなる実施形態では約5mm~約6cmとすることができる。当業者であれば、上の明示的範囲内のさらなる寸法及び相対寸法の範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
図15及び
図16は、直径が第二の管状区画へと1回減少する管状延長部を示しているが、他の実施形態では、直径がさらに減少する、一定の径の追加の管状区画があり得るが、これはさらに上述の管状延長部の全長をさらに分割する。たとえば、1つのさらなる中間管状区画、2つのさらなる中間管状区画、又は3つ以上のさらなる中間管状区画があり得る。
【0061】
管状延長部又は、異なる内径の複数の管状区画を有する実施形態では管状延長部の遠位管状区画は、ガイドカテーテルの係合区画の内径の約20パーセント~約90パーセント、さらなる実施形態では約30パーセント~約85パーセント、さらなる実施形態では管状シャフトの係合区画の内径の約35パーセント~約80パーセントとすることができる。たとえば、管状延長部の遠位チップの内径は、約0.5mm~約1.9mm、さらなる実施形態では約0.6mm~約1.8mm、及び他の実施形態では約0.65mm~約1.75mmの範囲とすることができる。管状延長部の長さは約3cm~約60cm、幾つかの実施形態では約5cm~約55cm、さらなる実施形態では約8cm~約50cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0062】
管状延長部の遠位チップは、その応力を受けていない自然な状態で屈曲又は湾曲し得る。概して、屈曲チップカテーテルは、吸引能力を不利に変化させることなく、ガイドワイヤ上でカテーテルを追跡しやすくすることができる。たとえば、参照により本明細書に援用される“Tracking Aspiration Catheter”と題する、Boldenowらの米国特許第8,021,351号明細書を参照されたい。屈曲吸引チップの2つの一般形態が
図18及び
図19に示されている。
図18を参照すると、吸引チップ350は、直線区画352と、屈曲部354と、屈曲チップ区画356の軸にほぼ垂直な平坦遠位開口部358を有する屈曲チップ区画356とを備える。
図19を参照すると、吸引チップ364は、直線区画366と、屈曲部368と、屈曲チップ区画370の軸に対して垂直以外の角度の斜めの遠位開口部372を有する屈曲チップ区画370とを備える。屈曲チップ区画356、370は概して円筒形であり、対応する直線区画352、366とほぼ同じ直径を有することができる。
図18及び
図19では2つの形状の開口部が示されているが、いずれの適正な形状の開口部も概して使用できる。
【0063】
吸込み延長部380の屈曲チップの具体的な実施形態が
図20に示されている。この実施形態で、遠位チップ382は湾曲しており、この実施形態の遠位端に直線区画はないが、代替実施形態では遠位端に短い直線区画があってもよい。遠位チップ382は吸込み延長部380の直線区画384から延びる。曲線の弧はほぼ円形であるが、他の緩やかな弧も使用でき、この場合、曲率半径は弧の平均とすることができる。
【0064】
この実施形態では、チップの曲率は漸進的であり、遠位チップは直線区画を持たないこともある。角度γは、初期湾曲点から遠位開口の中央で得たチップの自然点に基づいて画定できる。幾つかの実施形態では、角度γは約5度~約21度、さらなる実施形態では約7度~約20度とすることができる。緩やかな湾曲を実現するために、曲率半径は概して比較的大きく、幾つかの実施形態では、曲率半径は約21mm~約100mm、さらなる実施形態では約25mm~約75mmとすることができる。幾つかの実施形態では、チップの、湾曲部の後の直線部分の長さは約1cm以下、他の実施形態では約0.1mm~約6mm、さらなる実施形態では約0.5mm~約4mmとすることができる。代替実施形態では、湾曲部は緩やかな弧からなり、その遠位側に大きい直線区画はなく、それによって湾曲部又は屈曲部は角度と曲率半径とにより特定される。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる角度、半径、及び長さ範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0065】
前述のように、吸込み延長部の接続区画は、非円形の楕円の断面を有することができ、これはすると、ガイドカテーテルの内腔の内面と接触し、内面に円周に沿った2か所で接触することができる。吸込み延長部の接続区画とガイドカテーテルの係合区画との間の接触により、これらの表面間の流れを減らし、又は排除し、それによって吸引流れの基本的に全部が吸込み延長部の内腔を通る。それと同時に、吸込み延長部は、係合区画内で長さ方向に位置付けることができ、それによって使用者は制御構造をスライドさせることにより吸込み延長部を位置決めできる。これらの様々な条件は、所望の機能を提供するように有効にバランスをとることができる。
【0066】
図21を参照すると、ガイドカテーテルの係合部分402内の吸込み延長部の接続区画400の断面図が示されている。接続区画400の断面の非円筒形の特徴を容易に見ることができる。要素間の接触により、接続区画400の楕円形状は、特に接続区画400の長軸の歪曲されていない長さが係合部分402の内径より大きい場合、ガイドカテーテルから分離されたその形状に対して歪む可能性がある。接続区画400は、係合部分402の内腔の内面と2つの接触箇所404、406で接触できる。接触箇所404、406の大きさは概して、要素の寸法、接続区画400の形状、及び材料特性に依存する。概して、接触箇所の境界を正確に画定する必要がない。
【0067】
前述のように、非円筒形の接続区画は、長軸、短軸、及び円周から得られた平均直径で特徴付けることができる。これらのパラメータに基づき、接続区画400と係合部分402との間の接触の重要な点を、長軸と短軸との差、制約されていない接続区画400の長軸と係合部分402の内径との差、及び係合部分402の内径と接続区画400の平均直径との差で特定することができる。たとえば、長軸と短軸との差は、約30マイクロメートル~約160マイクロメートル、さらなる実施形態では約50マイクロメートルから約140マイクロメートルとすることができる。幾つかの実施形態では、係合区画402の内面の直径と接続区画の平均直径との差として測定される公差は、たとえば約4サウ(1サウ=1/1000インチ、4サウ~102.6マイクロメートル)以下、さらなる実施形態では約3サウ(76.2マイクロメートル)以下、さらなる実施形態では約1.75サウ(45マイクロメートル)以下、他の実施形態では約1サウ(25.4マイクロメートル)~約1.75サウ(45マイクロメートル)とすることができ、計測の不確かさにおいて約ゼロとすることができる。ガイドカテーテルから分離された接続区画の長軸がガイドカテーテルの内径より大きい実施形態の場合、制約されていない(すなわち、ガイドカテーテルから分離された)接続区画400の長軸と係合部分402の内径との差は、約0~約250マイクロメートル、さらなる実施形態では約15マイクロメートル~約150マイクロメートル、他の実施形態では約20マイクロメートル~約100マイクロメートルとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内のさらなる寸法差の範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0068】
カテーテル構成要素は、たとえば、ステンレス鋼若しくは合金、たとえばNitinol(登録商標)等の金属、又は、ポリエーテルアミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ナイロン(ポリアミド)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリカーボネートウレタン(たとえば、ChronoFlex AR(登録商標))、それらの混合物、それらの組合せ、又は他の好適な生体適合性ポリマー等のポリマーを含む、1種又は複数種の生体適合性材料から形成することができる。放射線不透過性は、ワイヤ又はバンド等、白金-イリジウム合金、タンタル、タングステン、金、プラチナ-タングステン合金又はそれらの混合物等、金属マーカを添加することにより、又は、ポリマー樹脂に添加された、硫酸バリウム、三酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、粉末タングステン、粉末タンタル等、放射線不透過剤(radio-pacifier)を通して、達成することができる。硫酸バリウムが添加され、様々なショア硬さの値を持つ医療用PEBAXが市販されている。さらに、カテーテルの特定の区画に対して所望の剛性/可撓性を導入する材料により、カテーテルの選択された区画を形成することができる。同様に、1種若しくは複数種の金属及び/又は1種若しくは複数種のポリマー等、好適な材料から、取付具を形成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、ガイドカテーテル、それらの吸込み延長部分又は適切な部分が、ポリマーを補強する金属要素が埋め込まれた熱可塑性ポリマー、例えば上記のポリマー等を含む。ワイヤは、ポリマー管ライナの上に、管ライナの上の適所でワイヤを維持するために幾分かの張力で編み組まれ、コイル状に巻かれ、又は他の方法で配置することができる。
幾つかの実施形態では、最上部の上に熱収縮ポリマー等のポリマージャケットを配置し、加熱して、構造上のカバーを収縮、融合させることができ、及び/又はポリマー管を熱によって軟化させて、金属補強材の組込みを可能にすることができる。ポリマーの軟化温度及び/又は熱収縮温度を超える温度まで加熱し、その後冷却すると、補強金属は、ポリマー内に埋め込まれる。適切な実施形態では、ライナ及びジャケットは、同じ材料でも異なる材料でもあり得る。好適なワイヤとしては、たとえば、平坦なステンレス鋼ワイヤ等が挙げられる。ワイヤ径は、約0.00025インチ(0.00635mm)~約0.004インチ(0.1mm)、さらなる実施形態では、約0.0005インチ(0.013mm)~約0.003インチ(0.075mm)の範囲であり得る。適切な実施形態では、1インチあたりの編組ピックは、約20~約250ピック/インチ、さらなる実施形態では、約50~約150ピック/インチであり得る。適切な実施形態では、コイルは、たとえば、約0.005インチ(0.13mm)~約0.1インチ(2.54mm)、さらなる実施形態では、約0.01インチ(0.26mm)~約0.050インチ(1.27mm)のピッチを有する、シングルフィラメント又はマルチフィラメントコイルであり得る。当業者であれば、明示的な後述する範囲内のさらなる範囲が考えられ、本開示の範囲内にあることが理解されよう。ワイヤは、適切な量の可撓性を維持しながら、さらなる機械的強度を追加する。ワイヤは、幾分かの放射線不透過性を提供することができるが、放射線不透過性バンドが、概して、ワイヤに対してより暗く識別可能な画像を提供する。しかしながら、ワイヤの画像は、処置中にカテーテルのさらなる視覚化を提供することができる。
【0070】
カテーテルから放射線不透過性バンドが偶発的に除去される可能性を低減させ、放射線不透過性バンドが血管内で他の物体に引っ掛かる可能性を低減させるために、金属補強ワイヤを使用して、放射線不透過性バンドを覆うか又は封入することができ、金属ワイヤは後に、ポリマー内に埋め込まれる。幾つかの実施形態では、金属ワイヤの上にポリマージャケットを配置することができ、それは、対応して放射線不透過性バンドを覆っており、熱接着もまた、放射線不透過性マークバンドを埋め込む。金属ワイヤの下にマーカバンドを配置することにより、壁がキンクするか又はつぶれた場合に、カテーテルからバンドが分離するのを防止することができる。カテーテル壁のつぶれ又はキンクが発生する場合、バンドの表面にわたる編組ワイヤは、マーカバンドの上に折り畳まれて、マーカバンドが構造から分離するのを防止する。
【0071】
図22を参照すると、補強カテーテルの区画を形成する手順の例を示す。ポリマーライナ420が、マンドレル422の上に配置される。続く第2図では、ポリマーライナの上に金属編組424が配置されており、このステップに対して、市販の編組機器を使用することができる。続きの第3図に示すように、金属編組424の上に金属コイル426が配置され、コイル426の上にポリマーカバー428が配置される。
図22の続く第4図に示すように、熱源430を使用して、熱収縮ポリマーカバー428を加熱して、補強カテーテル区画432を完成することができる。もちろん、幾つかの実施形態では、コイルのみ、又は金属編組だけを使用することもでき、手順は相応に変更される。同様に、及びそれとは別に、熱収縮カバーを使用してもしなくてもよく、同じく手順は相応に変更される。
【0072】
治療システム
本明細書に記載の吸引システムは、急性脳卒中の状態を治療する場合の脳内血管等の血管から凝血塊を有効に除去するために使用できる。特に、‘792特許の細いチップのカテーテルは、急性塞栓性脳卒中患者の血流を回復するための人体臨床試験でよい成績を上げ、患者の転帰は良好であった。本明細書に記載のデバイスは、誘導しにくい血管へのアクセス能力を保持しながら、さらによりよい吸引を提供することが予想され得る。しかしながら、一部の急性脳卒中の状態又はその他の塞栓性イベントでは、本明細書に記載の吸引カテーテルシステムをその他の医療器具と共に用いて治療を行うことが望ましい可能性がある。さらに、本明細書に記載の吸込み延長部を使用するための改良された手順を提供する近位取付具の特定の望ましい実施形態をこのセクションで説明する。特に、近位取付具の改造により、止血弁を通過せずにガイドカテーテルから吸込み延長部の管状延長部を取り外すことができる。また、近位取付具は、吸引プロセスの状態に関する貴重な情報を提供できる圧力センサを用いて改造できる。圧力情報の入手可能性を利用して、処置の様々な点を改善し、効率を向上させ、患者に対する潜在的リスクを低減させることができる。
【0073】
図23を参照すると、ガイドワイヤ452と、塞栓保護システム454と、ガイドカテーテル458と吸込み延長部460が分離された状態で示される吸引カテーテルシステム456と、経皮的医療デバイス462と、マイクロカテーテル464と、送達カテーテル466と、近位取付具468と、負圧装置、たとえばポンプ又はシリンジ等470とを備える治療システム450が示されている。医療システムのすべての実施形態がこれらの構成要素の全部を有しているとは限らず、一部の医療システムの実施形態は、各タイプの複数の構成要素、たとえば複数の異なる経皮的医療デバイスを有することもある。近位取付具468の好適な構造は以下のセクションで説明する。
【0074】
曲がりくねった体内血管での使用に適したガイドワイヤは、参照により本明細書に援用される、“Medical Guidewires for Tortuous Vessels”と題する、Pokorneyらの米国特許出願公開第2016/0199620号明細書に記載されている。幾つかの実施形態では、塞栓保護システム454は、ガイドワイヤとしてデバイスを送達するガイド構造を備えることができ、これらのシステムには別々のガイドワイヤが使用されてもされなくてもよい。吸引カテーテルシステム456について本明細書で詳しく説明し、本明細書に記載の各種の実施形態は、医療システムと使用するため、及び独立したデバイスとして使用するために改造できる。特に難しいデバイスの送達のために希望される場合は、医療システムは‘938出願に記載されているように、送達カテーテル466を含むことができる。
【0075】
本明細書に記載する医療システムでの使用に好適である、小さいフィルタの縦方向の広がりを有し、血管内の送達を容易にするように好適な操作に対して設計された塞栓保護デバイスが開発された。たとえば、ともに参照により本明細書に援用される、「Fiber Based Embolic Protection Device」と題する、Galdonikらによる米国特許第7,879,062B2号明細書、及び「Steerable Device Having a Corewire Within a Tube and Combination with a Functional Medical Device」と題する、Galdonikらによる米国特許第8,092,483B2号明細書を参照されたい。これらの特許の技術に基づくFiberNet(登録商標)塞栓保護デバイスが、Medtronic Inc.から販売されている。曲がりくねった血管内に送達するように特に設計されたさらなる繊維系フィルタデバイスは、参照により本明細書に援用される、「Embolectomy Devices and Method of Treatment of Acute Ischemic Stroke Condition」と題する、Galdonikらによる米国特許第8,814,892B2号明細書(以降、‘892特許)に記載されている。補足的な構造の使用もまた、本明細書の記載の手順において企図される。‘892特許は、吸引カテーテルと使用される凝血塊係合器具としてのフィルタデバイスの使用について記載する。‘892特許はまた、凝血塊との係合を容易にする補完構造の使用も想定している。
【0076】
マイクロカテーテルは、大脳血管等の細い血管にアクセスできるように設計されており、大脳マイクロカテーテルは、たとえばProwler Select(商標)(Cordis Neurovascular Inc.)及びSpinnaker Elite(商標)(Boston Scientific Co.)等、が市販されている。もちろん、マイクロカテーテルという用語は幅広いデバイスをカバーし、本説明は本明細書に記載の処置に有益なカテーテルに焦点を絞ることができる。幾つかの実施形態では、マイクロカテーテルは、近位区画より細い遠位区画を含むことができる。しかしながら、さらなる実施形態では、マイクロカテーテルは、その長さに沿ってほぼ一定の直径を有することができ、それによって他のデバイスをマイクロカテーテル上で送達しやすい。小さい遠位直径により、カテーテルが脳内の曲がりくねった血管内を進むことができる。遠位区画は非常に柔軟で、血管内を進行するのに十分であるが、ねじれに対抗できる弾性を有する。マイクロカテーテルは、少なくとも1つの内腔を含む。マイクロカテーテルはすると、他の治療デバイス、吸引、治療薬、又は状態を治療するその他の手段を送達するために使用できる。マイクロカテーテルは選択された大きさを有することができ、幾つかの実施形態では、マイクロカテーテルの遠位外径は約1.0Fr~約3.5Fr、さらなる実施形態では約1.5Fr~約3Fr、長さは約30cm~約200cm、さらなる実施形態では約45cm~約150cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の大きさのさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0077】
経皮的医療デバイス462に関して、適当なデバイスとしては、たとえば凝血塊係合デバイス、血管形成バルーン、ステント送達デバイス、ステントリトリーバ等のアテレクトミーデバイス等が挙げられる。望ましい血栓係合デバイスは、参照により本明細書に援用される、“Thrombectomy Devices and Treatment of Acute Ischemic Stroke With Thrombus Engagement”と題する、Ogleらの米国特許出願公開第2017/0056061号明細書に記載されている。ステントは、たとえば、バルーン拡張式、自己拡張式、又は他の任意の適度な機構を用いて拡張可能であり得る。バルーン拡張式ステントはまた、血管中の凝血塊と係合する送達のためにバルーンに圧着することができる。いくつかのバルーン-ステント構造は、各々が参照により本明細書に援用される、「Stent Delivery Device」と題する米国特許第6,106,530号明細書、「Method of Making an Angioplasty Balloon Catheter」と題する同第6,364,894号明細書、及び「Ballon[sic(原文のまま)] Catheter For Stent Implantation」と題する同第6,156,005号明細書にさらに記載されている。自己拡張式ステントは、ともに参照により本明細書に援用される、「Gradually Self-Expanding Stem」と題する、Jantzenらによる米国特許第8,764,813号明細書、「Self-Expanding Stent」と題する、Cottone,Jr.らによる同第8,419,786号明細書にさらに記載されている。
【0078】
凝血塊治療プロセスが完了した後、吸込み延長部の管状延長部をガイドカテーテルから少なくとも部分的に外してから、ガイドカテーテルを患者から抜去することが有利であることがわかっている。この抜去プロセス中に管状延長部の一部が止血弁を通って取り除かれると、管状延長部の近位端が閉鎖するように設計されていないため、血管と患者の体外との間の隔離が失われる可能性がある。患者の体外とカテーテルシステムの内部との間の隔離が失われると、望ましくない量の出血という結果を招くほか、ノズルに関連する捕捉された血栓の制御が複雑となる可能性がある。本明細書に記載の取付具の設計は、止血弁の遠位側にあり、管状延長部の近位端にアクセスするために接続される管状保管領域を含めることを通じてこれらの問題に対処することが意図されている。幾つかの好適な設計を本明細書で説明する。以下の説明の中で指摘するように、取付具の構造は市販の要素のために組み立てることができ、又は特に本明細書に記載の吸引システム及び/又は治療システムのための特定の取付具としても設計できる。
【0079】
近位取付具のための3つの代表的な実施形態が
図24~
図26に示されており、その中でデバイスは吸込み延長部の管状延長部を止血弁の背後にシールされたマニホルドの中に保持する。
図24~
図26に示されるように、近位取付具は複数の取付具構成要素から組み立てられる。しかしながら、希望に応じて、構成要素の1つ又は複数は単一構造として製造でき、それに応じて1つ又は複数のコネクタ群が排除され、特定の構成には、使いやすさ、コスト、パッケージング、業界水準、使用中の設計の柔軟性、又はその他等、様々なトレードオフが含まれている可能性がある。
図24に示されるように、構成要素は分離されて示されているが、対照的に、
図25及び
図26では複数の構成要素が接続されて示されている。もちろん、特定の用途では、マニホルド全体の追加の構成要素を最終的な近位取付具の構造の中に組み込むことができる。たとえば、圧力センサの取付を可能にする実施形態を以下に示す。
【0080】
図24を参照すると、取付具500はガイドカテーテル504と接続するのに適したY分岐マニホルド502と、延長止血取付具506と、を含む。ガイドカテーテル504は、前述のガイドカテーテルの実施形態のうちのいずれであってもよい。Y分岐マニホルド502は、ガイドカテーテル504と流体連通する複数のコネクタを提供する。
図24に示されるように、Y分岐マニホルド502は3つコネクタ510、512、514を含み、これらはTuohy-Borstコネクタ、ルアーコネクタ、又は他の好適なコネクタとすることができる。コネクタ510は、ガイドカテーテル504と接続するように選択できる。コネクタ512は、ポンプ等の負圧源又は灌流流体源用等の各種の接続を提供するためのさらなる分岐マニホルドに接続でき、概して負圧装置との少なくとも1つの接続を有する。コネクタ514は、延長止血取付具506と接続するように構成される。延長止血取付具506は、Y分岐マニホルド502との嵌合接続のためのコネクタ516と、止血弁518と、コネクタ516と止血弁518との間の管状部分520とを含む。管状部分520は、幾つかの実施形態では、管状延長部又は接続区画のいずれの部分も止血弁を通過することなく、吸込み延長部の管状延長部をガイドカテーテル504から取り外すのに適した長さを有することができるが、近位制御構造は概して止血弁を通過し、これは処置を通じた取り得る構成である。
【0081】
管状部分520の長さは、管状延長部の長さのほか、潜在的に希望に応じてY分岐マニホルド502の、それに関係する長さに応じて選択でき、これはまとめて、管状延長部を接続区画と共にガイドカテーテルの外部で止血隔離状態に置くための管所区画と呼ぶことができる。管状延長部を管状部分520の中に完全に引き込んで、マニホルドの残りの部分が開くようにすることは望ましい場合もあれば、望ましくない場合もある。
図24の近位取付具について考えられる代替実施形態の範囲について、管状区画の寸法は、特定の構造においてほぼ同じとすることができる。概して、延長止血取付具506の管状部分520の長さは約8cm~約55cm、さらなる実施形態では約9cm~約50cm、他の実施形態では約10cm~約45cmとすることができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の長さのさらなる範囲が企図され、本開示の範囲内にあることが理解されよう。
【0082】
代替又は追加的実施形態では、延長止血取付具506は、いずれかの端の2つのコネクタを備える管状要素と、反対の端のルアー又はその他のコネクタを備える別々の止血弁を含むことができ、これらは相互に接続されて、事実上、
図24に示されるものと同等の構造が形成される。同様に、1つ又は複数のさらなる取付具構成要素を、延長止血取付具506とY分岐マニホルド502との間の適当なコネクタ、たとえばさらなる分岐要素を使用して接続することができ、同様に、さらなる取付具構成要素をコネクタ512において接続して、取付具にさらなる特徴、たとえは圧力センサ又はその他の構造の接続を提供することかできる。それゆえ、管状延長部を閉じた取付具の中に引き込む能力を提供する一方で、近位取付具は、所望の機能を提供するための適当な構造を用いて改造できる。この説明は複数の取付具構成要素を組み立てて全体的な取付具構造を提供することに焦点が絞られているが、これらの構成要素の1つ又は複数は、たとえばY分岐マニホルド502と延長止血取付具506を、コネクタ514及び516を単一の管区画に置き換えることによって単一構造に統合する等、対応する単一構造の一体部分として形成でき、同様の統合はさらなる構造を追加するためにも行うことができる。Y分岐マニホルド502と延長止血取付具506の特徴を組み込んだ単一構造は、延長止血弁部分を備える分岐マニホルドを含み、これは
図24の構造の好適な代替となり得る。それゆえ、接続要素の各種の組合せ、単一構成要素の再設計、及びその他を実施して、所望の近位取付具の設計を形成できる。
【0083】
図25の近位取付具構造の代替構成を参照すると、3分岐マニホルド530がガイドカテーテル504に接続され、延長止血取付具518が3分岐マニホルド530の1つの分岐のコネクタに接続されている。3分岐マニホルド530は、ガイドカテーテル504の近位コネクタ536に接続された第一のコネクタ534と、第一の分岐コネクタ538と、第二の分岐コネクタ540と、止血弁542とを含む。第二の分岐コネクタ540は延長止血取付具506に接続され、これは
図24に関して詳しく説明されている。近位コネクタ536は負圧源に直接又はさらなる分岐マニホルドを通じて接続できる。止血弁542は、補足的治療構造又はその他の所望のデバイスの導入のために使用できる。再び、
図25に示される構造は、希望に応じて追加の構成部品にさらに分割できる。たとえば、3分岐マニホルドは、事実上、2つの連続するY分岐コネクタを使用して形成できる。再び、
図24に関して上述したように、追加の取付具構成要素を
図25の近位取付具構造に接続して、追加の特徴を提供できる。また、同様に、近位取付具の1つ又は複数の別々の構成要素を単一構造として構成できる。それゆえ、所望の近位取付具の構成を設計するために、構成部品の追加及び/又は組合せ/結合プロセスを組み合わせることができる。
【0084】
図26を参照すると、対称Y分岐構造を用いる近位取付具のさらなる実施形態が示されている。
図26に示されるように、対称Y分岐マニホルド550は、ガイドカテーテル504に接続された第一のコネクタ552と、分岐止血弁554と、分岐コネクタ556とを含む。分岐コネクタ556はT分岐取付具558と接続される。T分岐取付具558はTコネクタ560を有し、これは負圧装置562、たとえばシリンジ又はポンプに接続されて示されている。T分岐コネクタ556は延長止血取付具506にさらに接続され、これについては
図24に関して詳しく説明されており、それにはその要素の寸法が含まれるがこれに限定されない。T分岐コネクタ556は、嵌合相手のコネクタ556、516とそれぞれ接続するためのコネクタ564、566を含む。
図26に示される構造は、その構造を形成するために使用される複数の構成要素で形成でき、たとえば、止血弁554を備える別々の構成要素が、相応に変更された対称Y分岐マニホルド550上の嵌合相手のコネクタに適当なコネクタで接続される。再び、さらなる取付具構成要素を
図26の近位取付具構造に接続して、
図24に関して上述した追加の特徴を提供することができる。また、同様に、近位取付具の1つ又は複数の別々の構成要素は単一構造として構成できる。したがって、所望の近位取付具の構成を設計するために、構成部品の追加及び/又は組合せ/結合プロセスを組み合わせることができる。
【0085】
取付具は、滅菌操作による組立に適した材料で形成でき、これは、幾つかの実施形態では構成要素に放射線を当てることを含み得る。構成要素は、硬質及び/又は柔軟材料のいずれか、たとえば本明細書において挙げたポリマーで形成でき、コネクタはシールの形成に適した材料の組合せ、たとえばエラストマーから形成できる。硬質構成要素はたとえば、ポリカーボネート又はその他の好適なポリマーから形成できる。延長止血取付具506の管状部分520は、より柔軟なポリマー、たとえばカテーテル本体について前述したポリマーのうちの1つ又は複数、たとえばポリエーテルアミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ナイロン(ポリアミド)、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリカーボネートウレタン(たとえば、ChronoFlex AR(登録商標))、それらの混合物、それらの組合せ、又は他の好適な生体適合ポリマーから形成できる。前述のように、各種の取付具の構造を、実施形態の様々な構成要素に追加されるか、又はこれを細分する追加の構成要素から組み立てることができ、及び/又は構成要素は、相応に成型された一体構造として形成できる。それゆえ、特定の設計は、既存の市販の構成要素から組み立てることができ、又は取付具の全部又は一部をこれらの用途のために特に製造することもできる。
【0086】
近位取付具はまた、処置を導くのを助ける圧力センサを備えることもできる。ポンプが負圧の供給に使用される場合、ポンプで設定された圧力が差圧限界を確立する。流体がポンプに自由に流れると、ポンプまでの導管内の差圧は比較的小さくなり得る。流れが事実上完全にブロックされると、ライン内のゲージ圧はほぼポンプ圧となることができ、これは吸引を示す負圧である。中間の圧力レベルは、ある程度の流れの抵抗の原因となり得る正常なカテーテル若しくは吸込み延長部の構成により流れが制約されていること、又は様々な考え得る発生源からの流れが、それほど深刻ではない程度でブロックされていることを示すこともある。いずれの場合も、さらに後述するように、近位取付具内のライン圧力を測定することにより、処置において助けとなる貴重な情報を提供できる。
【0087】
近位取付具に関連する圧力センサについては各種の考え得る構成があり、3つの代表的な実施形態が
図27~
図29に示されている。
図27を参照すると、ポンプ570と圧力ゲージ572は、
図5及び
図24~
図26に示されるような、ガイドカテーテルに接続される取付具の中のマニホルドコネクタに取付け可能なコネクタ576を含むYマニホルド574に接続されている。ポンプ570と圧力ゲージ572は、それぞれ管578、580を使用してYマニホルド574に接続できる。管578、580のYマニホルド574への接続は適当なコネクタで実現でき、又はこれらは構成要素と一体に形成できる。この実施形態では、ポンプ570及び任意選択により圧力ゲージ572は滅菌されていなくてよいが、これらのデバイスから患者にはいかなる流れも到達しないことが意図される。滅菌されていない構成要素が患者の流体から適切に隔離されれば、この構成は、たとえデバイスが滅菌されなくても容認可能であり得る。適切な滅菌分離を提供するための選択された長さ、たとえば6フィートの分割線が、
図27において矢印で注釈された破線で概略的に示されている。幾つかの具体的なポンプが上述された医療用の市販の吸引ポンプは、約-1~約-26水銀柱インチ(-25mmHg~-660mmHg)のゲージ圧で動作できる。医療用の高圧管もまた、たとえばMIVI Neuroscience,Inc.又はPenumbra,Inc.から入手可能である。
【0088】
圧力センサを用いて改造された取付具のさらなる実施形態が
図28に示されている。
図28の取付具構成要素は、遠位コネクタ592、近位コネクタ594、及び分岐コネクタ596を備えるY分岐コネクタ590と、分岐コネクタ590に接続されて示されている第一のコネクタ600及び第二のコネクタ602を備える圧力センサ構成要素598とを含む。圧力センサ構成要素598は、圧力センサ構成要素598の側壁に取り付けられた圧力センサ604をさらに含む。電気ワイヤ606は圧力センサ604から延び、電気コネクタ608にその終端があり、これはマルチピンクリップ又はその他の好適なコネクタ構成とすることができる。電気コネクタ608は、好適なモニタ又はディスプレイに接続するのに適したものとすることができる。圧力センサ構成要素598として使用する民生用圧力センサ構成要素は、たとえば米国ニュージャージ州プリンストンのPendoTECHから市販されている。これらの構成要素は滅菌状態で購入でき、又はこれらはガンマ線照射の使用等の好都合な方法を使用して使用前に滅菌できる。ポンプ又はその他の負圧装置は、第二のコネクタ602又は、最終的に組み立てられた近位取付具のその他の適当な部分に接続できる。
【0089】
圧力センサを用いて改造された取付具構成要素の他の実施形態が
図29に示されている。この実施形態では、Yマニホルド620は、近位取付具の他の構成要素に接続するためのコネクタ622と、ポンプ又はその他に接続するための管626に接続されたコネクタ624とを含む。Yマニホルド620は、導管の端に圧力センサ630を備えるように改造された分岐628をさらに含む。圧力センサ630は、コネクタキャップ上に適応させることができ、又はそれは分岐628とシール状態で結合できるか、若しくはそれ以外にシールされたアタッチメントを用いて改造される。圧力センサ630はマルチピンクリップ等の電気コネクタに終端を有する電気ケーブル632に動作的に取り付けられる。医療用に適した圧力センサのダイ又はアセンブリは、例えばMerit Medical Systems,Inc.から市販されており(Merit Sensors)、これをこのように接続するために改造できる。
【0090】
治療システムを利用する処置
前述のように、本明細書に記載の吸引カテーテルシステムを含む医療システムは、独立した治療デバイスとしての吸引カテーテルシステムと共に、おそらくはガイドワイヤ及び/又はその他の送達支援デバイスと併せて使用でき、又は虚血性血管閉塞の治療のための補足的治療デバイスと共に使用できる。特に、幾つかの実施形態では、吸引システムは塞栓保護デバイスと共に使用され、さらなる実施形態では、いずれかの形態の凝血塊係合デバイス、ステント、バルーン、アテレクトミーデバイス、又はその他も使用されてよい。いずれの場合も、概してガイドワイヤが治療部位へのアクセスを提供するために使用される。吸引カテーテルシステムのガイドカテーテル部分は、吸込み延長部を導入する前に位置決めされても、されなくてもよい。特定の構成要素の構造はすでに上で詳しく説明しており、本セクションではデバイスの使用に焦点を絞ることができるように、繰り返さない。
【0091】
急性虚血性脳卒中の状態を治療するために、
図30を参照すると、患者700が3つの代替的な血管アクセスポイント、大腿動脈702、腕の動脈704、又は首の頸動脈706と共に示されている。アクセスポイントに関係なく、カテーテルとそれに伴うデバイスは、左又は右の頸動脈に案内され、脳の大脳動脈710の中の凝血塊708に到達する。
図31の概略図を参照すると、凝血塊708は大脳動脈710の中に示され、ガイドワイヤ712はその遠位チップが凝血塊を通過した位置に位置決めされている。ガイドカテーテル714は、頸動脈706内でガイドワイヤ上に位置決めされる。吸込み延長部716は接続区画718と共にガイドカテーテル714内にあり、管状延長部720はガイドワイヤ712上でガイドカテーテル714から延びる。
図32を参照すると、管状延長部720は、ガイドワイヤ上で凝血塊708に近い位置まで進めることができる。吸引は、図中、流れの矢印で示されるように加えることができる。ガイドワイヤ712は、吸引が加えられる前に取り外されても、取り外されなくてもよい。吸引カテーテルにより、さらなる医療デバイスで介入することなく、虚血性脳卒中の原因となる凝血塊の除去が成功している。しかしながら、より難しい凝血塊の場合、詳しく後述するように、追加の治療デバイスを使用できる。
【0092】
図27~
図29に示されるような、圧力検知機能を備えるように改造された近位取付具の実施形態を使用して、
図32に関して説明した吸引の開始をその効率に関して確認できる。負圧がカテーテルシステムに加えられてから適当な流れが確立されると、近位取付具内の圧力は適当な範囲となり得る。予想される圧力の正確な範囲は概して、吸込み延長部の具体的な設計に依存し、容認可能な圧力範囲は相応に調節可能である。いずれの場合も、圧力は処置中にリアルタイムで確認することができ、特定の吸引カテーテル構成要素について改造された仕様と比較される。吸引の開始の直後の時点の圧力が、設定された容認可能範囲に基づいて予想されるものよりポンプの負圧に近ければ、医師は、吸引を止めて、又は止めずに、吸込み延長部を送達された状態から少なくとも部分的に引き込むことができる。部分的な引込みは、完全に取り外さずに吸込み延長部のねじれを解こうとする際に利用できる。さらに後述するように、止血弁を通過せずに患者のための管状延長部を取り外すことができるような近位取付具が使用される場合、管状延長部は目視でチェックでき、管状延長部を周囲雰囲気にさらさずに済む。管状延長部が使用できる状態であることを確認した後、又は吸込み延長部を交換した後、吸込み延長部を再び送達できる。
【0093】
図33及び
図34を参照すると、繊維系フィルタデバイスの使用が、吸引カテーテルシステムとの使用において示されている。
図33に示されるように、凝血塊708は大脳動脈710内に示され、ガイドワイヤ735上に支持された展開済みの繊維系フィルタ734は、フィルタが凝血塊を通過して展開された状態で位置決めされている。繊維系フィルタ734は、基本的に血管、すなわち大脳動脈710の壁まで延びる繊維要素を有することができる。管状延長部736は、その遠位チップが凝血塊のすぐ近位側にある状態で位置決めでき、吸引カテーテルシステムの残りの部分はこの図では示されていない。
図34を参照すると、繊維系フィルタ734は、吸引を加えて凝血塊708を除去しやすくしながら、管状延長部736の方に引くことができる。凝血塊708は、吸引により破壊して除去でき、及び/又は凝血塊708の全部又は一部を管状延長部736の中に、任意選択により繊維系フィルタの全部又は一部と共に引き入れることができ、及び/又は凝血塊708の全部又は一部を、繊維系フィルタが凝血塊を保持した状態で、管状延長部736の開口部まで保持できる。いずれの場合も、凝血塊が適切に安定化されたら、依然として血管又はカテーテル内にあるデバイス及び凝結塊のすべてを患者から除去できる。デバイスの取外しについてはさらに後述する。
【0094】
凝血塊除去を容易にするための追加の医療デバイスのさらなる使用が
図35及び
図36に示されている。
図35に示されるように、凝血塊708は大脳動脈710に示され、治療デバイス744は凝血塊に位置決めされ、ガイドワイヤ748上で支持される展開済みの繊維系フィルタ746は、フィルタが凝血塊を過ぎて展開された状態で位置決めされる。凝血塊と係合するための適当な治療デバイスは上述した。選択された治療デバイスは、概して展開された繊維系フィルタからの保護により、及び任意選択により吸引により展開される。凝血塊に治療デバイスが係合すると、凝血塊の残りの部分の回収物と治療デバイスが、
図35に示されるプロセスと同様に、
図36に示されるように除去できる。特に、治療デバイスを取り外すことができるが、ステント等の一部はそこに残されてもよく、除去はフィルタ及び/又は凝血塊の残りの破片の除去と共に進め、又は行うことができる。凝血塊708の全部又は一部は、吸引によりまだ破壊されて除去されていなければ、管状延長部736の中に、任意選択により繊維系フィルタの全部又は一部と共に引き込むことができ、及び/又は凝血塊708の全部又は一部は、繊維系フィルタが凝血塊を保持した状態で管状延長部736の遠位開口部まで保持できる。再び、凝血塊が適切に安定化されたら、依然として血管又はカテーテル内にあるデバイス及び凝血塊のすべてを患者から除去できる。複数の追加の治療デバイスの使用は、上で概説した処置を延長して追加の医療デバイスにかかわるステップを繰り返すことにより実行できる。
【0095】
また、
図33~
図36の実施形態では、近位取付具に接続された圧力センサを使用して処置を導くことができる。負圧が開始されたときに近位取付具内の圧力が標的範囲の外の圧力まで上昇した場合、ねじれを取り除いたり、吸込み延長部を交換したりするように是正のための注意やその他の適当な注意を払うことができる。また、吸引がかけられ、凝血塊への対処が行われたように見えたら、近位取付具内の圧力をチェックして、凝血塊とカテーテルの状態、たとえば凝血塊が吸込み延長部の遠位端にひっかかっているかいないか等を評価できる。近位取付具内の圧力に基づいて適切な措置をとることができる。
【0096】
図37は、大脳動脈750内の凝血塊を治療した後の吸引治療システムを示す。吸込み延長部752は、その遠位チップが大脳動脈750内にあるように位置決めされており、血栓754は開口部にある場合もない場合もある。ガイドカテーテル756は、その遠位端が頸動脈758内にある状態で位置付けられる。ガイドカテーテル756の内部のある区画は、
図37のバルーン挿入図に示されている。吸込み延長部752の接続区画760は、近位方向に延びる制御ワイヤ762と共にガイドカテーテル756内にある。患者の脚764は、脚から延びる、止血弁768を備えるイントロデューサシース766と共に示されている。ガイドカテーテル756は、止血弁768から延びている。Y分岐マニホルド770は、コネクタ772においてガイドカテーテル756の遠位端に接続される。延長止血取付具774は、コネクタ776においてY分岐マニホルド770と接続され、その終端は止血弁778にある。制御ワイヤ762は止血弁778から延びる。Y分岐マニホルド770はコネクタ780を有し、これはコネクタ780に接続するためのコネクタ784を備えるさらなるY分岐マニホルド782に接続可能である。Y分岐マニホルドは、ポンプ又はその他の負圧装置に接続可能な負圧ライン786と、
図27~
図29に示されるような適当な圧力センサに接続可能な圧力センサライン788に接続できる。
【0097】
図37に示される処置の段階で、デバイスを患者から徐々に抜去するための処置ステップを開始できる。他の構成要素を取り除き、処置の成功を確認する間に、ガイドカテーテルを所定の位置に保持することが有利である可能性がある。概して、ガイドカテーテルは、処置が完全に終了するまで所定の場に保持することが望ましく、これは、ガイドカテーテルの設置には多大な労力がかかわるからである。近位取付具での圧力の計測は、吸込み延長部752への流れがブロックされていることもある状態に関する有益な情報を提供できる。
図38を参照すると、ガイドカテーテル756は依然として頸動脈758の中の所定の位置にあり、大脳動脈750にはデバイス及び凝血塊がない。
図38に関連するバルーン挿入図を参照すると、さらなる拡大断面図がガイドカテーテル758の内部の中にある吸込み延長部752の遠位端を示している。血栓(血栓790)は、ガイドカテーテル758の遠位端に関連している場合も関連していない場合もあり、これは吸込み延長部752がガイドカテーテル758の中に引き込まれたときにその場に、及び/又は吸込み延長部752の遠位端に堆積する可能性がある(血栓756)。再び、近位取付具での圧力計測は、カテーテルシステムからポンプ等の負圧装置への流れを血栓がブロックしている可能性に関する有益な情報を提供できる。
【0098】
図39を参照すると、バルーン挿入図が、吸込み延長部752を患者からさらに引き抜いたときの、吸込み延長部752の接続区画760がY分岐マニホルド770の中にあるさらなる拡大断面図を示している。この状態で負圧をかけ続けると、流体が吸込み延長部752を通じてではなく、ガイドカテーテル756から吸い出される。吸込み延長部752が詰まっているか否かにかかわらず、この状態はガイドカテーテル756の端における血栓790をさらに除去する能力を提供でき、吸引により、血栓790があった場合にこれを処置のその後の部分のためにさらに安定化させることができる。処置のこの段階で、近位取付具内の圧力は、ガイドカテーテル756への液体の流れに関する情報を提供できる。
【0099】
吸込み延長部752をガイドカテーテル756から完全に取り除いた状態が
図40に示されている。
図40の遠位側のバルーン挿入図は、吸込み延長部752の遠位端がY分岐マニホルド770の中にあるさらなる拡大図を示しているが、吸込み延長部752の遠位端はそのバルーン挿入図につなげられた破線により示されるように、延長止血取付具774の中に完全に引き込むことができる。
図40の近位側のバルーン挿入図は、延長止血取付具774の中の接続区画760が止血弁778の遠位側の位置にあるさらなる拡大断面図を示している。再び、近位取付具内の圧力は、処置のこの部分において情報を提供するのに有益であり得る。
【0100】
ガイドカテーテル756は凝血塊の治療後に患者から抜去できるが、ガイドカテーテルが所定の位置にある状態で、吸込み延長部752をその展開位置に関して少なくとも部分的に取り除いて、吸引システム構成要素に関連して捕捉されることもあるが患者から十分に除去されていない血栓の塞栓化のリスクを低減させることが望ましい可能性がある。
図38~40は、吸込み延長部を取り外す3つの段階を示しており、その時点でガイドカテーテル756を、概してイントロデューサシース766の止血弁768を通じて患者から抜去することを選択できる。
図38に示されるように、吸込み延長部752の遠位端がガイドカテーテル756の中にある状態で、吸込み延長部752に関連するいずれの血栓もガイドカテーテル756内になく、それにより、塞栓化がかかわる可能性が低くなる。
図39を参照すると、前述のように、接続区画760がY分岐マニホルド770の中にあり、吸込み延長部752が詰まっているか否かにかかわらず、吸引はガイドカテーテル756の内腔に直接かけられ、このようにガイドカテーテル756に吸引を直接かけることにより、塞栓化の機会の低減化に関する安全性が増す。さらに、
図40に示されるように、吸込み延長部752をガイドカテーテル756から完全に取り外すと、吸込み延長部752に関連する血栓の塞栓化に対する安全性が増す。
図40に示されるように、吸込み延長部752は止血弁778の背後で隔離されたままであり、この状態は、ガイドカテーテル756内の圧力の望ましい制御を行うことができ、これが塞栓化のほか、汚染のリスクもさらに低下させる。
【0101】
吸引カテーテルシステムは概して、e-ビーム又はガス滅菌等、適切に滅菌される。吸込みカテーテルシステムの構成要素は、当業界で知られているプラスチック包装材等のシールされたパッケージに一緒に又は別々に包装できる。パッケージは、概してFDA又はその他の規制当局の規則に従って適切にラベリングされる。吸引カテーテルシステムは、ガイドワイヤ、フィルタデバイス、及び/又はその他の医療デバイス等、他の構成要素と共に包装できる。包装されたシステムは概して、法定の要求事項に従って詳細な使用説明書を添付して販売される。
【0102】
ベンチテスト及び計算を実施し、ガイドカテーテルと接触する、又はその他の市販の吸引カテーテルへの吸込み延長部の使用の一般的吸引性能を評価した。これらの結果は、‘938出願に記載されており、参照によって本明細書に援用する。
【0103】
上記実施形態は、限定ではなく例示するように意図されている。さらなる実施形態は特許請求の範囲内にある。さらに、本発明は、特定の実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部を変更することができることが理解されよう。上述した文献の参照によるいかなる援用も、本明細書における明示的な開示に対して反対のいかなる主題も援用されないように限定される。本明細書において、別段明確に指示がない限り、考察において示唆されるように、所定の構造、構成及び/又はプロセスが、構成要素、要素、成分又は他の部分とともに記載される程度まで、本明細書の開示は、所定の実施形態、所定の構成要素、要素、成分、他の部分又はそれらの組合せを備える実施形態とともに、主題の基本的な性質を変更しない追加の特徴を含むことができる、こうした所定の構成要素、成分若しくは他の部分又はそれらの組合せから本質的に構成される実施形態を包含することが理解されるべきである。