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特許7284763フィルタリング方法およびフィルタリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】フィルタリング方法およびフィルタリング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020543899
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019062677
(87)【国際公開番号】W WO2020106993
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】62/770,270
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520142893
【氏名又は名称】バッファロー フィルター エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BUFFALO FILTER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェツォフ,キリーロ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペペ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ボナーノ,サマンサ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-506618(JP,A)
【文献】特開2016-123972(JP,A)
【文献】国際公開第2014/204195(WO,A1)
【文献】特開昭59-133235(JP,A)
【文献】米国特許第05874052(US,A)
【文献】米国特許第05674219(US,A)
【文献】特開2018-140197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術装置であって、
遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、
前記細長体の前記長手方向軸線を通って延在し、ガス状流体吸収材料を有する中空の流体導管と、
前記遠位端部に隣接して配置された流体入口と、
前記遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、
前記近位端部に隣接して配置された流体出口と
を有し、前記流体入口および前記流体出口は、前記流体導管を介して流体連通されており、
前記ガス状流体吸収材料が、前記流体導管の内面の全体にわたり均等に分配されている、
手術装置。
【請求項2】
前記流体導管は、前記ガス状流体吸収材料が含浸された多孔性材料を有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項3】
前記流体導管は多孔性ポリマーを有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項4】
前記多孔性ポリマーは焼結されたポリマーを有する、請求項3記載の手術装置。
【請求項5】
前記ガス状流体吸収材料は活性炭を有する、請求項2記載の手術装置。
【請求項6】
前記流体導管は、前記細長体から取り外されるように機能可能なチューブを有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項7】
前記チューブは、前記細長体からの前記チューブの取り外し中に前記カッティング部材を収容するように機能可能なスロットを有する、請求項6記載の手術装置。
【請求項8】
前記ガス状流体吸収材料は吸着剤である、請求項1記載の手術装置。
【請求項9】
前記流体導管は、半径方向内面を有するチューブと、前記チューブの半径方向内面と結合された吸収材料と、前記吸収材料の半径方向内面と結合された浸透性ポリマーと有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項10】
前記流体導管は、前記吸収材料から成る軸線方向に離間された複数のリングを有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項11】
前記カッティング部材は、前記遠位端部から延在する電極を有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項12】
前記装置はさらに、前記流体導管と流体接続された真空チューブと、前記真空チューブと流体接続され、流体の流れを引き起こすように動作可能な真空源とをさらに有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項13】
前記流体導管は殺菌性金属を有する、請求項1記載の手術装置。
【請求項14】
手術装置であって、
遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、
前記細長体の前記長手方向軸線を通って延在し、互いに離間した複数の殺菌性金属リングを有する中空の流体導管と、
前記遠位端部に隣接して配置された流体入口と、
前記遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、
前記近位端部に隣接して配置された流体出口と
を有し、前記流体入口および前記流体出口は、前記流体導管を介して流体連通されており、
前記複数の殺菌性金属リングが、前記流体導管の内面上に配置されている、
手術装置。
【請求項15】
前記殺菌性金属は銀イオンである、請求項14記載の手術装置。
【請求項16】
前記流体導管は、前記殺菌性金属が含浸された多孔性ポリマーを有する、請求項14記載の手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体の排出に関し、より詳細には、医療処置中にスモークを排出およびフィルタリングする機能に関する。
【背景技術】
【0002】
手術中、有毒なまたはさもなければ有害なサージカルスモークおよびエアロゾルまたはプルームが生じる可能性がある。たとえば、サージカルエネルギーが細胞に加えられると、熱が生成される可能性があり、これによって細胞内液が気化させられる。細胞内液が気化させられることによって、作用が及ぼされた細胞内部の圧力が高められ、場合によってはこのことにより細胞膜の破裂が引き起こされる。水蒸気を含むスモークのプルームが、手術室または診療所の大気中に放出される。これと同時に、サージカルエネルギーにより生成された熱は、細胞内のタンパク質および他の有機物を焦がす可能性があり、これによって隣接する細胞において熱による壊死が引き起こされる場合がある。細胞が焦げることによっても、炭化した細胞片やガス状炭化水素など、有害な不純物が放出される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで述べてきたことに鑑み、本開示の課題は、外科処置のための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の例示的な実施形態によれば、手術装置が提供される。この手術装置は、遠位端部と近位端部とを有し長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在する流体導管とを含み、この場合、流体導管はガス状流体吸収材料を有する。この手術装置はさらに、遠位端部に隣接して配置された流体入口と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材とを含む。しかもこの手術装置はさらに、近位端部に隣接して配置された流体出口を含み、この場合、流体入口および流体出口は、流体導管を介して流体連通されている。
【0005】
本開示の第2の例示的な実施形態によれば、手術装置が提供される。この手術装置は、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在する流体導管とを含み、この場合、流体導管は殺菌性金属を有する。この手術装置はさらに、遠位端部に隣接して配置された流体入口を含む。しかもこの手術装置はさらに、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、近位端部に隣接して配置された流体出口とを含み、この場合、流体入口および流体出口は、流体導管を介して流体連通されている。
【0006】
本開示の第3の例示的な実施形態によれば、方法が提供される。この方法は、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在し、ガス状流体吸収材料が含浸された多孔性材料を有する流体導管と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、流体導管と流体接続された真空源とを有する手術装置を提供するステップと、組織をカットするステップであって、その際にプルームが発生し、このプルームを少なくとも部分的に流体導管へ伝搬させるステップと、流体導管を通って伝搬されるプルームの一部分をガス状流体吸収材料において吸収するステップとを含む。
【0007】
本開示の第4の例示的な実施形態によれば、方法が提供される。この方法は、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在し、殺菌性金属を有する流体導管と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、流体導管と流体接続された真空源とを有する手術装置を提供するステップと、組織をカットするステップであって、その際にプルームが発生し、このプルームを少なくとも部分的に流体導管へ伝搬させるステップと、殺菌性金属を介して流体導管を少なくとも部分的に消毒するステップとを含む。
【0008】
以下では本開示の実施形態について説明するが、自明のとおり、本開示はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、基本原理から逸脱することなく本開示の様々な変更が可能である。よって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は本明細書の一部としてここで組み込まれる。ここで説明する図面は、目下開示されている保護対象の実施形態を表しており、本開示の選択された原理ならびに教示を例示している。ただしこれらの図面は、目下開示されている保護対象の考えられるすべての具現化形態を表しておらず、決して本開示の範囲の限定を意図したものではない。
図1】本開示の1つの実施形態による例示的な排出システムを概略的に示す図である。
図2】本開示の1つの実施形態による例示的な手術装置を示す図である。
図3】本開示の1つの実施形態による例示的な手術装置の断面を示す図である。
図4】本開示の1つの実施形態による例示的な手術装置の一部分を示す図である。
図5】本開示の1つの実施形態による例示的な手術装置の一部分の断面を示す図である。
図6】本開示の別の実施形態による例示的な手術装置の一部分の断面を示す図である。
図7】本開示のさらに別の実施形態による例示的な手術装置の一部分の断面を示す図である。
図8】本開示の1つの実施形態による例示的な手術装置の断面を示す図である。
図9】本開示の例示的な実施形態を実施するために適した論理流れ図を示す図である。
図10】本開示の例示的な実施形態を実施するために適した別の論理流れ図を示す図である。
図11】本開示の例示的な実施形態を実施するために適したさらに別の論理流れ図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで理解されたいのは、明示的に相反することについて述べられている場合を除き、本発明は別の選択肢となる様々な方向性およびステップシーケンスを想定することができる、という点である。さらに同様に理解されたいのは、添付の図面に示されており、以下の明細書中で説明される特定のアセンブリおよびシステムは、本明細書で定義される発明のコンセプトの例示的な実施形態であるにすぎない、という点である。よって、開示された実施形態に関する特定の寸法、方向またはその他の物理的特性は、明示的に別途記載がないかぎりは、限定と見なされるべきではない。また、そうではない場合もあるにせよ、本明細書で説明する様々な実施形態における同じ部材は、本願のこの部分においては通常、同じ参照番号で表すことができる。
【0011】
手術中に生成されるプルームの少なくとも一部分を効率的かつ効果的にフィルタリング可能な流体排出システムに対するニーズが、相変わらず存在している。したがって本開示の実施形態によれば、気体、液体および/または粒子をフィルタリングするための方法および装置が提供される。本開示の実施形態には導管を有する手術装置が含まれ、この導管は、そこを通過する気体、液体および/または粒子を吸収(たとえば吸引または吸着)するように機能可能な材料を保持する。
【0012】
図1に示されているように1つの実施形態において、排出システム100(流体排出システムとも称する)は、第1のチューブ104を介してフィルタアセンブリ106と流体連通された手術装置102を有することができる。第1のチューブ104の第1の端部104Aを、手術装置102の近位端部108と密封接続することができ、第1のチューブ104の第2の端部104Bを、フィルタアセンブリ106の流体入口110と密封接続することができる。自明のとおり、第1のチューブ104の実施形態を、取り外し可能にまたは固定された状態で、手術装置の近位端部108およびフィルタアセンブリの流体入口110に取り付けることができる。第2のチューブ112は、フィルタアセンブリ106の流体出口と密封接続された第1の端部と、真空パワーユニット116の流体入口118と密封接続された第2の端部114とを有することができる。
【0013】
第2のチューブ112の実施形態は、流体入口118および流体出口114と取り外し可能にまたは固定された状態で取り付けられた第2のチューブ112を含む。図1に示されているように1つの実施形態において、真空パワー源116を医療施設の壁に設置された中央真空ユニットとすることができる。別の実施形態において、真空パワー源116を、フィルタアセンブリ106に隣接して配置された、またはそこから離間された、スタンドアローンまたは遠隔の真空ユニットとすることができる。さらに別の実施形態において、真空パワー源116およびフィルタアセンブリ106を、単一のハウジング内に統合することができる。真空パワー源116は、手術装置102、第1のチューブ104、フィルタアセンブリ106および第2のチューブ112を通過する流体の流れを引き起こすまたは推進するように動作可能である。
【0014】
自明のとおり、本開示の実施形態は、真空パワー源116と直接、流体接続された手術装置102を含む。換言すれば実施形態は、手術装置102と真空パワー源116との間に配置されたフィルタアセンブリ106が存在しないことを含む。この択一的な実施形態の場合、第2のチューブ112は、第1のチューブ104または第1の端部104Aと直接、流体接続される。
【0015】
図2に示されているように1つの実施形態において、手術装置102は、カッティング部材120と長手方向軸線122とを有する電気手術ペンシルを含むことができる。手術装置102は、流体導管126(図3参照)を取り囲む中空体124を有することもできる。1つの実施形態において、流体導管126を、電気手術ペンシルの中空体124の長手方向軸線122を同軸に通って、この中空体124の遠位端部128から近位端部108まで延在させることができる。図2に示されているように、電気手術ペンシルの中空体124の遠位端部128に、カッティング部材120を配置することができる。
【0016】
引き続き図2を参照すると、1つの実施形態において、カッティング部材120は少なくとも1つの電極を有することができる。患者の組織をカットおよび/または凝固させる目的で患者の組織に電流を印加するために、少なくとも1つの電極120を用いることができる。図示されていない別の実施形態において、カッティング部材120は、以下に限定されるものではないが、超音波メスまたはレーザメスを有することができる。
【0017】
図3に示されているように、流体導管126と流体連通された電気手術ペンシルの中空体124の近位端部108に、ポート132を配置することができる。1つの実施形態において、電気手術ペンシルの近位端部108に配置された取り付け部材130は、バーブ付き取り付け部材を有することができ、この中を通って流体導管134が配置されている。取り付け部材130は、電気手術ペンシルの近位端部108と結合されており、ポート132と流体連通されている。別の実施形態において、取り付け部材130は、他のデザインのコネクタを有することができる。たとえば、バーブ付き取り付け部材130の代わりに雌コネクタを使用することができる。雌コネクタを使用して、取り付け部材つまりは流体導管134の内径を、できるかぎり大きく維持することができる。
【0018】
図2および図3に示されているように、電気手術ペンシルの遠位端部128に、中空体の流体導管126と流体連通された入口136を設けることができる。手術装置102の動作中、真空パワー源116は、カッティング部材120により生成された気体、液体および/または粒子(たとえばサージカルスモーク)の流れを推進または生成して、中空体の入口136に入れ、流体導管126を通ってポート132まで通過させる。気体、液体および/または粒子は、ポート132から取り付け部材130を通ってチューブ104へと流れる。したがって処置により生じる気体、液体および/または粒子を、手術装置102を通してチューブ104へと搬送することができる。気体、液体および/または粒子は、チューブ104からフィルタアセンブリ106へと搬送され、あるいはフィルタアセンブリ106が設けられていない実施形態については直接、真空パワー源116へ搬送される。サージカルスモークという用語について、本明細書ではプルームと意味の区別なく言及する場合がある。自明のとおり、本開示の実施形態を、気体、液体、粒子、スモークおよび/またはプルームを排出するように実施可能なものとして説明する場合がある一方で、実施形態は、スモークおよび/またはプルームを排出するようにも実施可能である。
【0019】
引き続き図2および図3を参照すると、1つの実施形態において、手術装置102にカットボタン138と凝固ボタン140とを設けることができ、これらのボタンによって、カッティング部材の電極120にそれぞれ異なる電流レベルが供給される。1つの実施形態において、カットボタン138は、第1の電力レベルでカッティング部材の電極120をアクティブ状態にするように動作可能であり、凝固ボタン140は、第2の電力レベルでカッティング部材の電極120をアクティブ状態にするように動作可能である。1つの実施形態において、第1の電力レベルを第2の電力レベルよりも大きくすることができる。
【0020】
図3に示されているように1つの実施形態において、手術装置の流体導管126は吸収材料150を含むことができ、この吸収材料150は、流体導管126を通過するサージカルスモーク(たとえば気体、液体および/または粒子)の少なくとも一部分を吸着または吸収するように実施可能である。1つの実施形態において、吸収材料150を、流体導管126の半径方向内面全体にわたり均等に分布させることができ、あるいはこれを流体導管126の半径方向内面の1つ以上の領域に集中させることができ、あるいはこれを半径方向内面に隣接する流体導管126内に集中させることができる。
【0021】
実施形態には、流体導管126の半径方向内面502全体が長手方向軸線122に沿って吸収材料150を有することが含まれる。実施形態には、流体導管126の半径方向内面502上で、半径方向および長手方向の複数の位置に吸収材料150が配置されていることも含まれ、流体導管126の半径方向内面502のかかる部分が吸収材料150を含み、流体導管126の半径方向内面502の他の部分は吸収材料150を含まない。
【0022】
図4に示されているように1つの実施形態において、流体導管126はチューブ126Aを有するまたは保持することができる。チューブ126Aを、手術装置102の交換可能な部品とすることができる。チューブ126Aの実施形態は、流体導管126の内径よりも小さい外径を有しており、したがってチューブ126Aの半径方向外面504と流体導管126の半径方向内面502とにより摩擦嵌合が形成され、これによってチューブ126Aを手術装置102から取り外し可能とすることができる。チューブ126Aは、その半径方向内面502によって規定される中空通路508を含む。チューブ126Aの中空通路508は、チューブ126Aが手術装置102の流体導管126内に配置されると、流体導管126と流体接続される。手術装置102を1回または複数回使用した後、チューブ126Aを手術装置102から取り外すことができ、吸収材料150の効力を保証するために新たなチューブ126Aと交換することができる。1つの実施形態において、チューブ126Aはスロット127を規定することができ、このスロット127は、チューブ126Aの取り外し中および挿入中にカッティング部材の電極120を収容するために、チューブ126Aの長手軸線を通って延在している。
【0023】
図5に示されているように1つの実施形態において、チューブ126Aは、たとえばポリマー材料から成る一般に直円の中空円筒体154を有することができる。吸収材料150から成る層を、中空円筒体154の半径方向内面と結合することができ、浸透性ポリマー152から成る層を、吸収材料150の半径方向内面510と結合することができる。この実施形態の場合、中空円筒体154と吸収材料150と浸透性ポリマー152とによって同軸の部材が形成され、浸透性ポリマー152の半径方向内面512によって中空通路508が規定される。吸収材料150を、中空円筒体154の長手軸線全体にわたって延在させることができ、あるいは中空円筒体154の1つ以上の部分に沿って配置することができる。
【0024】
図6に示されているように1つの実施形態において、吸収材料150によって、浸透性ポリマー152を有していない流体導管126を規定することができる。換言すれば実施形態には、チューブ126Aの半径方向内面502が吸収材料150から成る層のみを有することが含まれ、したがって中空通路508は、吸収材料150の半径方向内面510によって規定される。
【0025】
図7に示されているように別の実施形態において、チューブ126Aを多孔性ポリマーにより形成することができ、以下に限定されるものではないが、活性炭などの吸収材料150を含浸させることができる。吸収材料150を、以下に限定されるものではないが、微孔性の共役ポリマーまたは焼結されたポリマーなどのような多孔性ポリマーとすることができる。
【0026】
図8に示されているように1つの実施形態において、吸収材料150は、チューブ126Aと結合された複数のリングまたは中空円筒体を成すことができる。吸収材料150のリングを、接着剤、プレス嵌め、またはオーバーモールディングプロセスを介して、チューブ126Aと結合することができるが、かかるプロセスに限定されるものではない。別の実施形態において、チューブ126Aはその半径方向内面において、全体的に環状の切欠きを規定することができ、これらの切欠きの中に吸収材料150のリングが配置される。さらに別の実施形態において、乱流および/または再循環流の領域を形成するために、吸収材料150のリングを流体導管126中に突出させることができ、これによってサージカルスモークと吸収材料150とが接触する容積および/または期間が増加する。
【0027】
手術装置102の動作中、気体、液体および/または粒子は、流体導管126を通って抜き出される。気体、液体および/または粒子の一部分は、吸収材料150によって吸着および/または吸収される。吸収材料150が吸着剤である実施形態において、サージカルスモークの分子、原子および/またはイオンの一部分が、吸収材料150に付着する。これによりサージカルスモークの一部分は、排出システム100を通るサージカルスモークの流れからフィルタリングされる。排出システム100は、手術装置102の下流に付加的なフィルタを含むことができ、以下に限定されるものではないが、これには粒子フィルタが含まれる。吸収材料150が組み込まれた流体導管126を有する手術装置102を使用することによって、排出システム100は、この排出システム100を通るサージカルスモークの流量を減少させることなく、高められたフィルタリング能力を維持する。
【0028】
ここで図3図8を参照すると、手術装置の流体導管126は、吸収材料150の代わりに、またはこれに加えて、殺菌性材料160を含むことができる。殺菌性材料160を、以下に限定されるものではないが、殺菌性金属とすることができる。殺菌性金属は銀イオンを有することができる。殺菌性材料160が組み込まれた流体導管126を有する手術装置102を使用することにより、流体導管126内での微生物の発生が妨げられる。流体導管126内での微生物の発生が阻止されることによって、チューブ126Aの耐用期間を延ばすことができ、さらにチューブ126Aを交換すべき頻度を少なくすることができる。
【0029】
自明のとおり、本開示の実施形態によれば導管を含む手術装置が提供され、この導管は、そこを通過する気体、液体および/または粒子を吸収または吸着するように機能可能な材料を保持する。いずれの実施形態においても、吸着または吸収するように機能可能な材料は、導管を通る流れを妨害しない。この点に関連して材料は、導管の流れの領域を実質的に低減しないし、導管を通過する気体、液体および/または粒子の流れを直接的には妨げない。それどころか本開示の実施形態によれば、気体、液体および/または粒子が導管を通過するだけで、気体、液体および/または粒子を収集および/またはフィルタリングする手術装置が提供される。したがって本開示の実施形態によれば有利には、慣用のフィルタによる妨害を克服する必要なく、導管を通る流れを吸引器によって推進することができる。
【0030】
次に、本開示の例示的な実施形態を実施するために適した論理流れ図を示す図9を参照する。ブロック902には、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在し、ガス状流体吸収材料が含浸された多孔性材料を有する流体導管と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、流体導管と流体接続された真空源とを有する手術装置を提供するステップと、組織をカットするステップであって、その際にプルームが発生し、このプルームを少なくとも部分的に流体導管へ伝搬させるステップと、流体導管を通って伝搬されるプルームの一部分をガス状流体吸収材料において吸収するステップとが記載されている。このプロセスにはブロック904が続き、このブロック904には、流体導管を細長体から引き抜くステップと、ガス状流体吸収材料が含浸された多孔性材料を有する第2の流体導管を細長体に挿入するステップとが記載されている。
【0031】
図10を参照すると、この図には、本開示の例示的な実施形態を実施するために適した別の論理流れ図が示されている。ブロック1002には、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在し、殺菌性金属を有する流体導管と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、流体導管と流体接続された真空源とを有する手術装置を提供するステップと、組織をカットするステップであって、その際にプルームが発生し、このプルームを少なくとも部分的に流体導管へ伝搬させるステップと、殺菌性金属を介して流体導管を少なくとも部分的に消毒するステップとが記載されている。次いでブロック1004には、殺菌性金属が銀イオンを有することが記載されている。最後にブロック1006には、流体導管が、殺菌性金属が含浸された多孔性ポリマーを有することが記載されている。
【0032】
図11を参照すると、この図には、本開示の例示的な実施形態を実施するために適したさらに別の論理流れ図が示されている。ブロック1102で始まり、このブロック1102には、遠位端部と近位端部とを有し、長手方向軸線を規定する細長体と、細長体の長手方向軸線を通って延在し、ガス状流体吸収材料を有する流体導管と、遠位端部に隣接して配置された流体入口と、遠位端部に隣接して配置されたカッティング部材と、近位端部に隣接して配置された流体出口とを提供するステップが記載されており、ここで流体入口および流体出口は、流体導管を介して流体連通されている。次いでブロック1104には、流体導管が、上述のガス状流体吸収材料が含浸された多孔性材料を有することが記載されている。
【0033】
ブロック1104に続きブロック1106には、流体導管が多孔性ポリマーを有することが記載されている。次いでブロック1108には、多孔性ポリマーが、焼結されたポリマーを有することが記載されている。ブロック1110には、ガス状流体吸収材料が活性炭を有することが記載されている。次のブロック1112には、流体導管が、細長体から取り外されるように機能可能なチューブを有することが記載されている。ブロック1114には、このチューブが、細長体からのチューブの取り外し中にカッティング部材を収容するように機能可能なスロットを有することが記載されている。ブロック1116には、流体導管が、半径方向内面を有するチューブと、このチューブの半径方向内面と結合された吸収材料と、この吸収材料の半径方向内面と結合された浸透性ポリマーと有することが記載されている。最後にブロック1118には、流体導管が、吸収材料から成り軸線方向に離間された複数のリングを有することが記載されている。
【0034】
図9図10および図11の論理流れ図を、本明細書で開示した例示的な実施形態の使用方法の動作を説明するためのものと見なすことができ、または装置を動作させるようにその装置の部品を構成する特定の手法を説明するためのものと見なすことができる。
【0035】
本明細書で説明した実施形態の1つ以上の特徴を組み合わせて、図示されていない付加的な実施形態を作り出すことができる。これまで様々な実施形態について詳しく説明してきたが、それらの実施形態は限定としてではなく例として呈示されたことを理解されたい。当業者に自明のとおり、開示した保護対象を、その範囲、着想または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態、変形および変更した形態で具現化することができる。よって、これまで説明してきた実施形態はあらゆる点で、限定的ではなく例示的なものとして見なされるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって表されており、これと等価の趣旨および範囲に収まるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
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図11