(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ウレタンフォームインシュレーター
(51)【国際特許分類】
B60R 13/08 20060101AFI20230524BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B60R13/08
G10K11/162
(21)【出願番号】P 2021114957
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391013106
【氏名又は名称】株式会社パーカーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂根 亮治
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】中泉 直之
(72)【発明者】
【氏名】宮原 正治
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016055(JP,A)
【文献】特開2010-069912(JP,A)
【文献】実開平06-042443(JP,U)
【文献】実開昭64-055150(JP,U)
【文献】中国実用新案第212073929(CN,U)
【文献】特開2020-003698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/08
G10K 11/162
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材であって、
前記ウレタンフォーム材は、単層構造を有するものであって、
前記ウレタンフォーム材を圧縮率10%以上、50%以下の範囲内で圧縮したときの、圧縮弾性率が20KN/m
2
以下であり、
前記ウレタンフォーム材は、厚さが均一もしくは必要とされる部位のみの厚さが増加されたものであり、
前記ウレタンフォーム材を圧縮させながら、自動車用部品を装着することが可能なことを特徴とする、自動車用防音材。
【請求項2】
前記ウレタンフォーム材を、前記自動車用部品を装着させながら圧縮することによって、該ウレタンフォーム材の弾性率が低減し、遮音性能が向上することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用防音材。
【請求項3】
前記ウレタンフォーム材の厚さを、圧縮率が10%以上、50%以下の範囲内で圧縮することを特徴とする、請求項1~2のいずれかに記載の自動車用防音材。
【請求項4】
前記自動車用部品を装着する部分のみを圧縮することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の自動車用防音材。
【請求項5】
前記自動車用部品が装着されたときに前記ウレタンフォーム材が圧縮されることにより、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間から漏れ出る音を遮断できることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の自動車用防音材。
【請求項6】
前記ウレタンフォーム材の密度が40~120Kg/m
3、圧縮応力が1~10KPaであることを特徴とする、請求項1~
5のいずれかに記載の自動車用防音材。
【請求項7】
自動車用部品の取り付け方法であって、車室内外を隔てるパネルに
圧縮率10%以上、50%以下の範囲内で圧縮したときの、圧縮弾性率が20KN/m
2
以下であるウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、該ウレタンフォーム材の自動車用部品装着部分を圧縮した後に自動車用部品を該ウレタンフォーム材に密着(圧縮)させながら装着するか、もしくは、該自動車用防音材を装着後に該ウレタンフォーム材を圧縮させながら自動車用部品を装着することを特徴とする、自動車用部品の取り付け方法。
【請求項8】
前記ウレタンフォーム材は、単層構造を有するものであって、
厚さが均一もしくは必要とされる部位のみの厚さが増加されたものであることを特徴とする、請求項
7に記載の自動車用部品の取り付け方法。
【請求項9】
前記車室内外を隔てるパネルと前記ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材が密着しており、かつ、前記ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材と前記自動車用部品を装着した場合の該自動車用部品が密着していることを特徴とする、請求項
7または請求項
8に記載の自動車用部品の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォーム材からなるインシュレーターに関し、特には、自動車用のダッシュインシュレーターに用いる防音材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばエンジンルーム内の騒音が車室内に伝播するのを防止するための防音材がエンジンルームと車室内を仕切るパネル(ダッシュパネル)の車室内側に配置されている。防音材の材料としては、車体パネルの細かな凹凸に追随できる柔軟性を有し、かつ空隙を多く含む繊維構造体や発泡体が適している。この種の防音材は、空隙に音波を取り込んで減衰させる吸音作用を発揮するとともに、音波を反射することで、音波が車室内に侵入することを抑制する遮音作用を発揮する。
【0003】
例えば、車室内に侵入するノイズを防ぐために、車室内をエンジンルームから隔てるパネル(ダッシュパネル)に、ダッシュインシュレーターと呼ばれる防音材を配設している。しかしながら、エンジンルームから車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)を通過して車室内に侵入するエンジンノイズや、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)やフロアパネル、そして装着されているエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品の振動に起因する放射音等のノイズについては、従来のダッシュインシュレーターに用いられる防音材では、十分に防ぐことができないという問題がある。
【0004】
特許文献1には、ウレタンフォーム等からなる第1の吸音層と、同じくウレタンフォーム等からなる第2の吸音層を積層させるとともに、これら吸音層の界面に熱可塑性樹脂フィルム等からなる遮音層を介装させてなる防音材が開示されている。
このような構成をとる防音材は、例えば、車両用防音材として用いた場合、第1の吸音層によって、車室外の騒音を吸音するとともに、遮音層によって車室外の騒音を遮音することができ、また、第2の吸音層で車室内の騒音を吸音し、静かな車室を実現できるものである。
しかしながら、3層構造をとるため、製法が複雑であるという不都合を有している。
【0005】
特許文献2には、吸音層をポリウレタンフォーム等の発泡樹脂系吸音層と、フェルト等の繊維系吸音層で構成し、これら吸音層の界面において、発泡樹脂と繊維とを複合させた遮音層を形成した防音材が開示されている。
このような構成とすることによって、簡易な構造、製法で吸音性、遮音性に優れた防音材が得られるものである。
しかしながら、車室内へ侵入するノイズの一部は、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)や自動車用部品が発する振動に起因するものであって、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)や自動車用部品の振動を抑制することは十分に考慮されていない。
また、フェルトの場合、圧縮時の反力が大きく、防音性能を上げるために層を厚くすると自動車用部品が取り付けられないという問題点がある。さらに、フェルトの場合、圧縮により弾性率が上がるため、遮音性能が悪化するという問題点があった。
【0006】
特許文献3には、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と自動車用部品との間に吸音材を挟持しながら、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に自動車用部品を取り付けることによって、自動車用部品の良好な取付け性を確保し、自動車用部品やパネルの振動を抑制することができることが開示されている。
しかしながら、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と自動車用部品との間に挟持される吸音材は、自動車用部品の一部分でのみ挟持されているのであって、依然として車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と自動車用部品との間には多くの隙間が存在しており、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)や自動車用部品が発生する振動に起因するノイズの抑制は十分ではない。
また、特許文献4には、自動車用部品の凹み部を有する面と吸音材の凸部が接するように載置することによって、自動車用部品と吸音材の密着度が向上し、自動車用部品と吸音材との隙間を埋めることが可能になり、車室内への音漏れを軽減することが可能になることが開示されている。
しかしながら、表面に凹み部を有しない自動車用部品に対しては適用することができず、吸音材に、載置する自動車用部品の凹み部と合致する形状の凸部を、自動車用部品を載置する予定の位置に、予め整形しておく必要があって、作業性が悪いという不都合を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001‐347900号公報
【文献】特開2009-226675号公報
【文献】特開2017-7626号公報
【文献】特開2017-9975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)やエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品が発する振動に起因する、車室内へ侵入するノイズをも含めて、前記従来と同等以上の防音性を有する防音材を簡易な構造で実現し、該防音材を用いた自動車用部品の取り付け方法において優れた防音性を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、本発明の自動車用のダッシュインシュレーターに用いる防音材は以下の特徴を有する自動車用防音材であり、優れた防音性を実現できる該自動車用防音材を用いた自動車用部品の取り付け方法である。
(1)ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材であって、
前記ウレタンフォーム材は、単層構造を有するものであって、
前記ウレタンフォーム材は、厚さが均一もしくは必要とされる部位のみの厚さが増加されたものであり、
前記ウレタンフォーム材を圧縮させながら、自動車用部品を装着することが可能なことを特徴とする、自動車用防音材。
(2)前記ウレタンフォーム材を、前記自動車用部品を装着させながら圧縮することによって、該ウレタンフォーム材の弾性率が低減し、遮音性能が向上することを特徴とする、上記(1)に記載の自動車用防音材。
(3)前記ウレタンフォーム材の厚さを、圧縮率が10%以上、50%以下の範囲内で圧縮することを特徴とする、上記(1)~(2)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(4)前記自動車用部品を装着する部分のみを圧縮することを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(5)低周波数における吸音性能が向上されたことを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(6)制振性能が向上され、放射音が低減されたことを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(7)前記自動車用部品が装着されたときに前記ウレタンフォーム材が圧縮されることにより、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間から漏れ出る音を遮断できることを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(8)前記ウレタンフォーム材の密度が40~120Kg/m3、圧縮応力が1~10KPaであることを特徴とする、上記(1)~(7)のいずれかに記載の自動車用防音材。
(9)自動車用部品の取り付け方法であって、車室内外を隔てるパネルにウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、該ウレタンフォーム材の自動車用部品装着部分を圧縮した後に自動車用部品を該ウレタンフォーム材に密着(圧縮)させながら装着するか、もしくは、該自動車用防音材を装着後に該ウレタンフォーム材を圧縮させながら自動車用部品を装着することを特徴とする、自動車用部品の取り付け方法。
(10)前記ウレタンフォーム材は、単層構造を有するものであって、
厚さが均一もしくは必要とされる部位のみの厚さが増加されたものであることを特徴とする、上記(9)に記載の自動車用部品の取り付け方法。
(11)前記車室内外を隔てるパネルと前記ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材が密着しており、かつ、前記ウレタンフォーム材からなる自動車用防音材と前記自動車用部品を装着した場合の該自動車用部品が密着していることを特徴とする、上記(9)または(10)に記載の自動車用部品の取り付け方法。
(12)遮音性能が向上されたことを特徴とする、上記(9)~(11)のいずれかに記載の自動車用部品の取り付け方法。
【発明の効果】
【0010】
車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)やエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品が発する振動に起因する、車室内へ侵入するノイズをも含め、従来と同等以上の防音性を有する防音材を簡易な構造で実現し、該防音材を用いた自動車用部品の取り付け方法において優れた防音性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のウレタンフォーム材と現行品相当材料の吸音性能試験の試験結果を示す特性線図である。
【
図2】本発明のウレタンフォーム材の圧縮による遮音性能効果の測定結果を示す特性線図である。
【
図3】本発明のウレタンフォーム材の密度違いによる圧縮応力の測定結果を示す特性線図である。
【
図4】本発明のウレタンフォーム材の圧縮前の厚さ違いによる圧縮応力の測定結果を示す特性線図である。
【
図5】本発明のウレタンフォーム材と比較例の圧縮弾性率の測定結果を示す特性線図である。
【
図6】本発明実施例と比較例の加振試験のダッシュパネル(車室内側)における試験結果を示す特性線図である。
【
図7】本発明実施例と比較例の加振試験のエアコンユニット(HVAC)における試験結果を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することが可能なものであれば、特に限定されるものではないが、軟質ポリウレタンフォームが好ましい。また、圧縮することによって、前記ウレタンフォーム材の弾性率が低減し、遮音性能が向上するものが好ましく、低周波数領域(1kHz以下)における吸音性能も優れているものがより好ましい。
【0014】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、ポリオールとポリイソシアネートとを発泡剤の存在下で反応させて製造されるものであり、以下、各々の成分について、詳細に説明する。
【0015】
<ポリオール>
本発明の実施形態に係るポリオールとしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3-もしくは1,4-)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5-ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラエチレングリコール、またはソルビトール系ポリオールなどのポリエーテルポリオール;アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;などが挙げられる。
また、上記多価アルコール類から導かれるものを使用しても良い。
これらのポリオールは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0016】
<ポリイソシアネート>
本発明の実施形態に係るポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、またはノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI))、MDI(例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、もしくは2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI))、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、またはトリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、またはジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;などが挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0017】
<発泡剤>
本発明の実施形態に係る発泡剤としては、水、不活性ガスなどが用いられる。不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガスなどが挙げられる。
【0018】
<その他の添加剤>
本発明の実施形態に係るその他の添加剤としては、ポリオールとポリイソシアネートを反応させる際、触媒を使用できる。触媒としてはアミン化合物や有機金属化合物などが挙げられる。
アミン化合物としては、具体的には、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノ-6-ヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノールに2モルのエチレンオキシドを付加した化合物、5-(N,N-ジメチル)アミノ-3-メチル-1-ペンタノ-ル、トリエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、などが挙げられる。
また、有機金属化合物としては、有機スズ化合物、有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物などが挙げられ、具体的には、ジ-n-ブチルスズオキシド、ジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-オクチルスズオキシド、ジ-n-オクチルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロリド、ジ-n-ブチルスズジアルキルメルカプタン、ジ-n-オクチルスズジアルキルメルカプタン、などが挙げられる。
【0019】
さらに、良好な気泡を形成するための整泡剤も多くの場合使用でき、具体的には、シリコーン系整泡剤や含フッ素化合物系整泡剤などが挙げられる。その他、任意に乳化剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤などの老化防止剤;炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの充填剤;可塑剤、着色剤、難燃剤、抗カビ剤、破泡剤などの公知の各種添加剤;助剤を必要に応じて使用できる。
【0020】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、単層構造であり、構造が簡易であることから製造が容易である。そのため、厚さを均一にすることも、必要とされる部分、例えば車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)におけるエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着する部分、のみを厚くすることも容易である。
車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)における自動車用部品の装着を予定する部分を厚くすることによって、装着した自動車用部品と車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)との間の空間を塞ぐことができる。装着した自動車用部品と車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)との間の隙間をなくすことで、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)や装着されている自動車用部品の振動に起因する放射音が、それらの間の隙間を通って車室内へ侵入することを防ぐことができる。この場合、自動車用部品の装着を予定する部分の可能な限り全面を厚くすることによって、前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材と前記車室内外を隔てるパネル、および/または前記自動車用部品を装着した場合の該自動車用部品とが密着することとなり、装着した自動車用部品と車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)との間の空間を塞ぐことができ、隙間をなくすことによって、前記自動車用部品の振動に起因する放射音が、その隙間を通って車室へ侵入することをより効果的に防ぐことができ、望ましい。
【0021】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、圧縮したときの反力が低いため、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することが容易である。
また、圧縮することによって、前記ウレタンフォーム材の弾性率は低減し、遮音性能が向上する。
前記ウレタンフォーム材を圧縮する場合の圧縮率は、10%以上、50%以下の範囲内とすることが好ましい。
圧縮率が50%を超えると、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
圧縮率が10%を下回ると、圧縮することによって生じる弾性率の低減効果が得られないので、弾性率低減による遮音性能の向上が見込めなくなる。
【0022】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、全密度が40~120kg/m3であることが好ましい。
ウレタンフォーム材の密度が大きいと、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
また、本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、圧縮応力が1~10KPaであることが好ましい。
圧縮応力が大きくなると、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
【0023】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材は、圧縮したときの反力が低いので、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することができる。
車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と装着する自動車用部品との間に前記ウレタンフォーム材を挟持し、前記ウレタンフォーム材を圧縮させながら自動車用部品を装着するので、前記装着する自動車用部品の前記ダッシュパネル側の側面の全てが、圧縮された前記ウレタンフォーム材と接触することになる。そのため、ダッシュパネルの振動のみならず、装着されている自動車用部品の振動そのものを抑制することができ、その結果、発生する放射音も低減されることとなる。この場合、前記装着する自動車用部品の前記ダッシュパネル側の側面の可能な限り全面を前記ウレタンフォーム材で挟持することが、発生する放射音を低減させるために効果的であり、望ましい。
さらに、前記ウレタンフォーム材を挟持して、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に自動車用部品を装着することとなるので、その構造は、いわゆるサンドイッチ構造となり、遮音性能がより向上することとなる。
【0024】
本発明の自動車用防音材に用いられるウレタンフォーム材を、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と前記装着する自動車用部品との間に挟持し、前記ウレタンフォーム材を圧縮させながら前記自動車用部品を装着する際に、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に設けられている、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間が、圧縮された前記ウレタンフォーム材によって塞がれることとなる。そのため、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に設けられている、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間から漏れ出る音も遮断できるという効果を奏することができる。
【0025】
本発明の自動車用部品の取り付け方法は、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、該ウレタンフォーム材をエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品の装着を予定する部分(好ましくは装着予定部分の全面)を圧縮した後に、エアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を該ウレタンフォーム材に密着させながら装着することを特徴とするものである。
また、本発明の自動車用部品の取り付け方法は、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、該ウレタンフォーム材をエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品の装着を予定する部分(好ましくは装着予定部分の全面)を圧縮した後に、該ウレタンフォーム材をさらに圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することを特徴とするものである。
また、本発明の自動車用部品の取り付け方法は、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着した後に、続いて該ウレタンフォーム材を圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することを特徴とするものである。
前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材は、単層構造であって、構造が簡易であることから製造が容易であり、厚さを均一にすることも、必要とされる部分、例えばエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品の装着を予定する部分、のみを厚くすることも容易である。
自動車用部品の装着を予定する部分を厚くすることによって、前記車室内外を隔てるパネルと前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材がより密着することとなり、かつ、前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材と前記自動車用部品を装着した場合の該自動車用部品がより密着していることとなる。そのため、装着された自動車用部品と車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)の間(隙間)を、前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材で完全に塞ぐことができるので、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)や装着されているエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品の振動に起因する放射音が、その隙間を通って車室へ侵入することを防ぐことができる。この場合、自動車用部品の装着を予定する部分の可能な限り全面を厚くすることによって、前記本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材と前記車室内外を隔てるパネル、および/または前記自動車用部品を装着した場合の該自動車用部品とがより密着することとなり、前記自動車用部品の振動に起因する放射音が、その隙間を通って車室へ侵入することをより効果的に防ぐことができ、望ましい。
前記本発明のウレタンフォーム材を圧縮して、前記自動車用部品を装着しているので、前記本発明のウレタンフォーム材の弾性率は低減し、遮音性能が向上する。
【0026】
前記本発明のウレタンフォーム材を圧縮する場合の圧縮率は、10%以上、50%以下の範囲内とすることが好ましい。
圧縮率が50%を超えると、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
圧縮率が10%を下回ると、圧縮することによって生じる弾性率の低減効果が得られないので、弾性率低減による遮音性能の向上が見込めなくなる。
【0027】
前記本発明のウレタンフォーム材は、全密度が40~120kg/m3であることが好ましい。
ウレタンフォーム材の密度が大きいと、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
前記本発明のウレタンフォーム材は、圧縮応力が1~10KPaであることが好ましい。
圧縮応力が大きくなると、圧縮したときの反力が高くなるので、圧縮させながら自動車用部品を取り付けることが困難となる。
【0028】
本発明の自動車用部品の取り付け方法では、前記本発明のウレタンフォーム材を圧縮したときの反力が低いので、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品を装着することできる。
車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と装着する自動車用部品との間に前記本発明のウレタンフォーム材を挟持し、前記本発明のウレタンフォーム材を圧縮させながら自動車用部品を装着するので、前記装着する自動車用部品の前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)側の側面の全てが、圧縮された前記本発明のウレタンフォーム材と密着することになる。そのため、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)の振動のみならず、装着されている自動車用部品の振動そのものを抑制することができ、結果として、発生する放射音も低減されることとなる。この場合、前記装着する自動車用部品の前記ダッシュパネル側の側面の可能な限り全面を前記ウレタンフォーム材で挟持することが、発生する放射音を低減させるために効果的であり、望ましい。
さらに、前記本発明のウレタンフォーム材を挟持して、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に自動車用部品を装着することとなるので、その構造は、いわゆるサンドイッチ構造となり、遮音性能がより向上することとなる。
【0029】
本発明の自動車用部品の取り付け方法では、前記本発明のウレタンフォーム材を、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)と前記装着する自動車用部品との間に挟持し、前記本発明のウレタンフォーム材を圧縮させながら前記自動車用部品を装着する際に、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に設けられている、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間が、圧縮された前記本発明のウレタンフォーム材によって塞がれることとなる。そのため、前記車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)に設けられている、前記自動車用部品の配線、もしくは配管等を通すための孔もしくは隙間から漏れ出る音も遮断できるという効果を奏することができる。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
<吸音性能試験>
材料面にすべての方向から等しい確率で入射するときのランダム入射吸音率(残響室法吸音率)を、拡散音場となっている残響室の床面に試料を装着した場合と空室の時の残響時間の変化から下記の関係式から求めた。
W.C.Sabineの理論から、残響室の容積(V)、音速(c)、空室時の室内吸音力(A)より、空室の時の残響時間(T2)は下記の式(1)で求められる。
T2=55.3V/cA ・・・・・ (1)
同様に、試料の吸音力(ΔA)より、試料を床面においた時の残響時間(T1)は下記の式(2)で求められる。
T1=55.3V/c(A+ΔA) ・・・・・(2)
式(1)および式(2)から、試料の吸音力(ΔA)は下記式によって求められる。
ΔA=(55.3V/c)×(1/T1-1/T2)
試料面積をSとすれば、残響室法吸音率(α)は下記式によって求められる。
α=ΔA/S
=(55.3V/cS)×(1/T1-1/T2)
【0032】
密度65Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3)、および密度80Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン80Kg/m3)、比較例として、現行品に相当する厚さ20mmの2層型フェルトからなる自動車用防音材(現行品想定20t)について吸音性能試験を行った。試験結果を
図1に示した。
図1の試験結果より、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材は、400Hz以上で0.80以上の優れた吸音率を有することが分かった。
そして、測定した全ての周波数帯において、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材は現行品に相当する2層型フェルトからなる自動車用防音材より、優れた吸音性能を有していることが分かった。
【0033】
<圧縮による遮音性能効果>
遮音性能は、音源室の開口部に厚さ0.8mmの鋼板を載置し、開口部より透過してくる音の大きさによって評価した。
具体的には、音源室においてホワイトノイズをスピーカで発生させ、その開口部の鋼板の上に評価対象の試料を載置した場合と載置しない場合の音圧レベルの差をとり、その差分(挿入損失)を評価対象試料の遮音性能とした。
【0034】
厚さ0.8mmの鋼板上に、密度65Kg/m
3で厚さ20mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材、続いて密度5.9Kg/m
2で厚さ5mmのアクリル板を積層した試料(5.9ksmアクリル板+ウレタン20t)、および厚さ0.8mmの鋼板上に、密度65Kg/m
3で厚さ30mmのウレタンフォーム材を20mmの厚さまで圧縮したウレタンフォーム材からなる自動車用防音材、続いて密度5.9Kg/m
2で厚さ5mmのアクリル板を積層した試料(5.9ksmアクリル板+圧縮ウレタン 30t⇒20t)について、遮音性能を測定した。測定結果を
図2に示した。
図2の測定結果より、本発明のウレタンフォーム材は圧縮することによって、同一の厚さを有する非圧縮のウレタンフォーム材に比較して、遮音性能が向上することが分かった。
【0035】
<圧縮応力>
測定対象の材料を300mm角に切り出して試料とし、直径200mmの円板を用いて、75%の厚さになるまで予備圧縮を2回繰り返した。その後、2.5mm刻みに圧縮していった時の力を測定して圧縮反力とした。
圧縮反力を圧縮時に使用した円板の面積で除した値を、その圧縮変位点における圧縮応力とした。
【0036】
密度65Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 35t)、および密度80Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン80Kg/m3 35t)、比較例として、密度2.4Kg/m
2で厚さ35mmのフェルトからなる自動車用防音材(フェルト2.4Kg/m2 35t)の圧縮応力を測定した。測定結果を
図3に示した。
図3の測定結果より、本願のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材では、ウレタンフォーム材の密度が大きいほど、圧縮反力が高くなる傾向があることが分かった。
圧縮変位が小さい(12.5mm程度以下)ときは、比較例としたフェルトからなる自動車用防音材(フェルト2.4Kg/m2 35t)の方が、圧縮応力は本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材より低いが、それ以降は、比較例としたフェルトからなる自動車用防音材(フェルト2.4Kg/m2 35t)の圧縮応力は指数関数的に増加し、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材より高くなった。
エアコンユニット(HVAC)の裏側のクリアランスは、装着される車両にもよるが、例えば17mm程度とした場合の圧縮応力は、比較例としたフェルトからなる自動車用防音材では、本願のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材の数倍の高い値となり、10KPaを超えるような高い圧縮応力となることが分かった。
【0037】
密度65Kg/m
3で厚さ20mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 20t)、密度65Kg/m
3で厚さ30mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 30t)、密度65Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 35t)、および密度65Kg/m
3で厚さ40mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 40t)の圧縮応力を測定した。測定結果を
図4に示した。
図4の測定結果より、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材では、圧縮前の厚さが薄いほど、圧縮応力増加の立ち上がりが早くなり、圧縮変位(mm)に対する圧縮応力が高くなる傾向を示すことが分かった。
そして、圧縮変位(mm)が圧縮前の厚さの50%超えるような場合、圧縮応力が急に高くなる傾向を示すことが分かった。
【0038】
<圧縮弾性率>
測定した圧縮反力を用いて求めた圧縮反力の変化量を圧縮変位の変化量(ひずみ)で除した値を圧縮弾性率とした。
【0039】
密度65Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン65Kg/m3 35t)、および密度80Kg/m
3で厚さ35mmのウレタンフォーム材からなる自動車用防音材(ウレタン80Kg/m3 35t)と、比較例として密度2.4Kg/m
2で厚さ35mmのフェルトからなる自動車用防音材(フェルト2.4Kg/m2 35t)の圧縮応力を測定し、圧縮弾性率を求めた。結果を
図5に示した。
図5の結果より、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材では、圧縮すること(圧縮変位7.5mm程度まで)により圧縮弾性率は一旦低下し、その後は、ほぼ一定の値を示すものの、さらに圧縮すること(圧縮変位17.5mm超)により圧縮弾性率の急な増加傾向を示すことが分かった。
比較例としたフェルトからなる自動車用防音材(フェルト2.4Kg/m2 35t)では、圧縮変位5.0mm程度までは、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材より低い圧縮弾性率を示すが、それ以降は、急激な増加傾向を示すことが分かった。
【0040】
<加振試験>
車両カットボディーを用いて、エンジンルーム側からダッシュパネルをハンマーによる衝撃加振を行った。
ダッシュパネルおよびエアコンユニット(HVAC)に設置した加速度計の応答を測定し、ハンマーによる加振力で規格化された振動速度レベルで評価した。
【0041】
ダッシュパネルに本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)を装着した場合(圧縮ウレタンIns)と、比較例としてのダッシュパネルに従来品のフェルトからなる自動車用防音材を装着し、従来通りにエアコンユニット(HVAC)を装着した場合(従来品フェルトIns)、および、ダッシュパネルに自動車用防音材を装着することなく、エアコンユニット(HVAC)を装着した場合(Ins無し)において、ダッシュパネルの車室内側に設置した加速度計の応答を測定した試験結果を
図6に示した。
図6に示されるように、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を圧縮させながら装着することによって、ダッシュパネルの車室内側における振動速度レベルが低下することが分かった。
【0042】
ダッシュパネルに本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を装着し、圧縮させながらエアコンユニット(HVAC)を装着した場合(圧縮ウレタンIns)と、比較例としてのダッシュパネルに従来品のフェルトからなる自動車用防音材を装着し、従来通りにエアコンユニット(HVAC)を装着した場合(従来品フェルトIns)、および、ダッシュパネルに自動車用防音材を装着することなく、エアコンユニット(HVAC)を装着した場合(Ins無し)において、エアコンユニット(HVAC)に設置した加速度計の応答を測定した試験結果を
図7に示した。
図7に示されるように、本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材を圧縮させながら装着することによって、エアコンユニット(HVAC)における振動速度レベルが低下することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のウレタンフォーム材からなる自動車用防音材をダッシュインシュレーターに用いることにより、車室内外を隔てるパネル(ダッシュパネル)やエアコンユニット(HVAC)などの自動車用部品が発する振動に起因する、車室内へ侵入するノイズをも含めて、従来と同等以上の防音性を有する防音材を簡易な構造で実現し、該防音材を用いた自動車用部品の取り付け方法において優れた防音性を実現することができる。