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特許7284827トラバーサ、ベースユニット及び移動ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】トラバーサ、ベースユニット及び移動ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
B65G47/52 101B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021554276
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2020038343
(87)【国際公開番号】W WO2021085090
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2019200206
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 文吾
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-157843(JP,A)
【文献】特開2007-269431(JP,A)
【文献】特開2000-168548(JP,A)
【文献】実開平04-107163(JP,U)
【文献】実開平06-065330(JP,U)
【文献】国際公開第2011/118246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部材を備えたベースユニットと、
前記レール部材上で第一の位置と第二の位置との間を往復する移動ユニットと、
前記移動ユニットに搭載され、搬送対象物を搬送する搬送ユニットと、
を備えたトラバーサであって、
前記移動ユニットは、
駆動ローラである第一の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラに回転駆動力を付与する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
回転駆動力を供給する走行用モータと、
前記走行用モータの回転駆動力を、摩擦力により前記第一の走行用ローラに伝達する摩擦伝達機構と、を含
前記駆動機構は、
前記走行用モータにより回転される第一の駆動軸と、
前記第一の駆動軸の端部に設けられ、該第一の駆動軸と一体に回転する第一の駆動輪と、を備え、
前記摩擦伝達機構は、
前記第一の駆動軸の周面に設けられ、前記第一の走行用ローラを該第一の駆動軸に装着する第一の摩擦伝達部材を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項2】
請求項に記載のトラバーサであって、
前記移動ユニットは、
従動ローラである複数の第二の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラの回転駆動力を前記複数の第二の走行用ローラに伝達する走行伝達機構と、を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項3】
請求項に記載のトラバーサであって、
前記走行伝達機構は、
複数の第二の駆動軸と、
前記複数の第二の駆動軸の端部にそれぞれ設けられた第二の駆動輪と、
前記複数の第二の駆動軸の中途部にそれぞれ一体に設けられた被伝達部と、
それぞれの前記第二の駆動軸における前記被伝達部と前記第二の駆動輪との間に挟持される第二の摩擦伝達部材と、
それぞれの前記第二の駆動軸に設けられ、前記被伝達部と前記第二の駆動輪との間の駆動力を付勢する付勢手段と、
前記第一の駆動輪の回転駆動力をそれぞれの前記第二の駆動輪に伝達する駆動力伝達部材と、を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載のトラバーサであって、
前記搬送ユニットは、
複数の搬送用ローラと、
前記複数の搬送用ローラを回転させる搬送伝達機構と、を備え、
前記搬送用ローラは、前記第二の走行用ローラと同じローラであり、
前記搬送伝達機構は、前記走行伝達機構と同じ機構である、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項5】
請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のトラバーサであって、
前記移動ユニットは、
前記複数の第二の走行用ローラを前記移動ユニットの移動方向に沿って配列してなる第一のローラ列と、
前記第一のローラ列に対して前記移動方向と直交する直交方向に離間して配置され、前記複数の第二の走行用ローラを前記移動方向に沿って配列してなる第二のローラ列と、を備え、
前記第一の駆動軸は、前記直交方向に延設され、
前記第一の駆動輪は、前記第一の駆動軸の一方端と他方端にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のトラバーサであって、
前記走行用モータの回転を検知するロータリエンコーダと、
前記走行用モータの駆動を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記移動ユニットが、前記第一の位置と前記第二の位置との間の途中の位置に位置している場合であって、前記ロータリエンコーダの出力信号が一定時間変化しなくなったことを契機として、前記走行用モータの駆動を停止する、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項7】
請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のトラバーサであって、
前記移動ユニットは、
前記走行伝達機構を支持する支持体と、
前記支持体に支持され、前記移動ユニットの走行中に前記レール部材の側面に当接する当接部と、を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のトラバーサであって、
前記ベースユニットに設けられた送電部と、前記移動ユニットに設けられた受電部と、を備えた無線給電装置を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のトラバーサであって、
前記ベースユニットは、
前記走行用モータに電力を供給するケーブルの収容空間を画定する枠体と、
前記収容空間を覆うカバーと、
前記移動ユニットに当接されて前記第一の位置に前記移動ユニットを停止させる第一の停止部材と、
前記移動ユニットに当接されて前記第二の位置に前記移動ユニットを停止させる第二の停止部材と、を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項10】
請求項に記載のトラバーサであって、
前記枠体の側方に設置され、作業者が前記ベースユニットを横断する際の踏み台となる通路部材を備え、
前記通路部材は、前記ベースユニットが設置される設置面から前記レール部材の上面に亘って延設されている、
ことを特徴とするトラバーサ
【請求項11】
請求項に記載のトラバーサであって、
前記ベースユニットは、
前記走行用モータに電力を供給するケーブルの収容空間を画定する枠体と、
前記収容空間を覆うカバーと、
前記移動ユニットに当接されて前記第一の位置に前記移動ユニットを停止させる第一の停止部材と、
前記移動ユニットに当接されて前記第二の位置に前記移動ユニットを停止させる第二の停止部材と、を備え、
前記移動ユニットは、
前記走行用モータの駆動を制御する制御回路と、
前記走行伝達機構を支持する支持体と、
前記支持体に支持され、前記移動ユニットの走行中に前記レール部材の側面に当接する当接部と、を備え、
前記カバーと、前記レール部材との間に、前記レール部材に沿った隙間が形成され、
前記走行伝達機構と、前記制御回路とが前記カバーよりも上側に位置し、
前記当接部は前記カバーよりも下側に位置し、
前記支持体は、前記隙間を通って前記当接部を支持する支持部を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項12】
請求項11に記載のトラバーサであって、
前記ベースユニットは、前記ケーブルを支持する第1及び第2のケーブル支持部を備え、
前記ケーブルは、前記隙間を通って前記制御回路に接続されている、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項13】
請求項に記載のトラバーサであって、
前記搬送ユニットは、
複数の搬送用ローラを前記移動ユニットの移動方向と直交する直交方向に沿って配列してなる第三のローラ列と、
前記第三のローラ列に対して前記移動方向に離間して配置され、複数の搬送用ローラを
前記直交方向に沿って配列してなる第四のローラ列と、
回転駆動力を供給する搬送用モータと、
前記搬送用モータにより回転される第三の駆動軸と、
前記第三の駆動軸の一方端と他方端にそれぞれ設けられた第三の駆動輪と、を備える、
ことを特徴とするトラバーサ。
【請求項14】
レール部材上で第一の位置と第二の位置との間を往復する移動ユニットと、前記移動ユニットに搭載され、搬送対象物を搬送する搬送ユニットと、を備えたトラバーサを構成するベースユニットであって、
前記移動ユニットは、
駆動ローラである第一の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラに回転駆動力を付与する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
回転駆動力を供給する走行用モータと、
前記走行用モータの回転駆動力を、摩擦力により前記第一の走行用ローラに伝達する摩擦伝達機構と、を含み、
前記ベースユニットは、
前記レール部材と、
前記走行用モータに電力を供給するケーブルの収容空間を画定する枠体と、
前記収容空間を覆うカバーと、
前記移動ユニットに当接されて前記第一の位置に前記移動ユニットを停止させる第一の停止部材と、
前記移動ユニットに当接されて前記第二の位置に前記移動ユニットを停止させる第二の停止部材と、を備え、
前記収容空間に延設され、前記ケーブルを支持する案内装置を更に備え、
前記案内装置の一端は前記枠体に固定されており、
前記案内装置は、前記収容空間に蛇行するように配置され、
前記枠体は、前記案内装置の移動を案内するガイド部を備える、
ことを特徴とするベースユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のベースユニットであって、
前記枠体の側方に設置され、作業者が前記ベースユニットを横断する際の踏み台となる通路部材を備え、
前記通路部材は、前記ベースユニットが設置される設置面から前記レール部材の上面に亘って延設されている、
ことを特徴とするベースユニット。
【請求項16】
レール部材を備えたベースユニットと、搬送対象物を搬送する搬送ユニットと、を備えたトラバーサを構成し、前記搬送ユニットを搭載して前記レール部材上で第一の位置と第二の位置との間を往復する移動ユニットであって、
駆動ローラである第一の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラに回転駆動力を付与する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
回転駆動力を供給する走行用モータと、
前記走行用モータの回転駆動力を、摩擦力により前記第一の走行用ローラに伝達する摩擦伝達機構と、を含み、
前記移動ユニットは、
前記駆動機構を支持する支持体と、
前記支持体に支持され、前記移動ユニットの走行中に前記レール部材の側面に当接する当接部と、
前記支持体に設けられ、前記搬送ユニットを支持する搬送支持部と、を備え、
前記駆動機構は、
前記走行用モータにより回転される第一の駆動軸と、
前記第一の駆動軸の端部に設けられ、該第一の駆動軸と一体に回転する第一の駆動輪と、を備え、
前記摩擦伝達機構は、
前記第一の駆動軸の周面に設けられ、前記第一の走行用ローラを該第一の駆動軸に装着する第一の摩擦伝達部材を備える、
ことを特徴とする移動ユニット。
【請求項17】
レール部材を備えたベースユニットと、搬送対象物を搬送する搬送ユニットとを備えたトラバーサを構成し、前記搬送ユニットを搭載して前記レール部材上で第一の位置と第二の位置との間を往復する移動ユニットであって、
駆動ローラである第一の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラに回転駆動力を付与する駆動機構と、
前記第一の走行用ローラと、前記駆動機構とを支持する支持体と、を備え、
前記駆動機構は、
回転駆動力を供給する走行用モータと、
前記走行用モータの回転駆動力を、摩擦力により前記第一の走行用ローラに伝達する摩擦伝達機構と、を含み、
前記支持体は、
前記搬送ユニットを支持する搬送支持部を含
前記駆動機構は、
前記走行用モータにより回転される第一の駆動軸と、
前記第一の駆動軸の端部に設けられ、該第一の駆動軸と一体に回転する第一の駆動輪と、を備え、
前記摩擦伝達機構は、
前記第一の駆動軸の周面に設けられ、前記第一の走行用ローラを該第一の駆動軸に装着する第一の摩擦伝達部材を備える、
ことを特徴とする移動ユニット。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の移動ユニットであって、
従動ローラである複数の第二の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラの回転駆動力を前記複数の第二の走行用ローラに伝達する走行伝達機構と、を備える、
ことを特徴とする移動ユニット。
【請求項19】
請求項18に記載の移動ユニットであって、
前記複数の第二の走行用ローラを前記移動ユニットの移動方向に沿って配列してなる第一のローラ列と、
前記第一のローラ列に対して前記移動方向と直交する直交方向に離間して配置され、前記複数の第二の走行用ローラを前記移動方向に沿って配列してなる第二のローラ列と、を備え、
前記第一の駆動軸は、前記直交方向に延設され、
前記第一の駆動輪は、前記第一の駆動軸の一方端と他方端にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする移動ユニット。
【請求項20】
請求項17に記載の移動ユニットであって、
上位装置からの指示を受信し、前記走行用モータの駆動を制御する通信装置を備え、
前記通信装置は、
前記走行用モータの制御に関わる表示を行う表示部を備え、かつ、前記表示部が前記移動ユニットの外部から視認可能なように配置されている、
ことを特徴とする移動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラバーサに関する。
【背景技術】
【0002】
移動台車上にコンベアを備え、二点間でワークを移送するトラバーサが知られている(例えば特許文献1)。このトラバーサは、移動台車が移動する移動経路の一方の端部に位置するコンベアの下流端と、同じく移動経路の他方の端部に位置するコンベアの上流端の二点間を移動し、ワークを移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4625782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラバーサの往復移動経路上に作業者がいたり、異物が混入したりしてトラバーサと干渉が生じる場合がある。このとき、トラバーサの移動が阻害され、それに伴い、トラバーサの駆動系に過負荷が作用することがあり、トラバーサやワークに損傷が生じる場合がある。よって、このような干渉が生じた場合、特に作業者と接触が生じるような場合、トラバーサには、安全柵やライトカーテンなどのセンサといった付帯設備なしで、安全に停止可能であることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、過負荷作用時に、付帯設備無しに安全に停止可能なトラバーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
レール部材を備えたベースユニットと、
前記レール部材上で第一の位置と第二の位置との間を往復する移動ユニットと、
前記移動ユニットに搭載され、搬送対象物を搬送する搬送ユニットと、
を備えたトラバーサであって、
前記移動ユニットは、
駆動ローラである第一の走行用ローラと、
前記第一の走行用ローラに回転駆動力を付与する駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、
回転駆動力を供給する走行用モータと、
前記走行用モータの回転駆動力を、摩擦力により前記第一の走行用ローラに伝達する摩擦伝達機構と、を含
前記駆動機構は、
前記走行用モータにより回転される第一の駆動軸と、
前記第一の駆動軸の端部に設けられ、該第一の駆動軸と一体に回転する第一の駆動輪と、を備え、
前記摩擦伝達機構は、
前記第一の駆動軸の周面に設けられ、前記第一の走行用ローラを該第一の駆動軸に装着する第一の摩擦伝達部材を備える、
ことを特徴とするトラバーサが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動に対する過負荷作用時に、付帯設備無しに安全に停止可能なトラバーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態に係るトラバーサの斜視図。
図1B】実施形態に係るトラバーサの使用態様を示す概略平面図。
図2】ベースユニットの平面図。
図3図2の1A部の拡大図。
図4図2の1B分の拡大図。
図5】移動ユニットの斜視図。
図6】移動ユニットの駆動系の説明図。
図7】移動ユニットの駆動系の説明図。
図8】移動ユニットの駆動系の部分斜視図。
図9】走行用ローラの摩擦伝達構造の説明図。
図10】走行用ローラの摩擦伝達構造の説明図。
図11図1AのA-A線断面図に相当する、当接部の支持構造の説明図。
図12】搬送ユニットの駆動系の説明図。
図13】制御系のブロック図。
図14】無線給電例を示す図。
図15図1BのC-C線断面図。
図16】通信ユニットの配置例を示す図。
図17図16の例における制御系のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<概要>
図1Aは本発明の一実施形態に係るトラバーサ100の斜視図である。各図において矢印X、矢印Yは互いに直交する水平方向を示し、矢印ZはX-Y平面に対する垂直方向を示す。トラバーサ100は、ベースユニット1と、移動ユニット2と、搬送ユニット3とを備える。移動ユニット2と搬送ユニット3がトラバーサ本体Tを構成する。ベースユニット1はY方向に延設され、トラバーサ本体T(移動ユニット2)の走行路(レール部材12)を備える。移動ユニット2は、ベースユニット1の走行路上を往復動する走行ユニットであり、走行路の両端部に位置する停止位置P1および停止位置P2で停止される。図1は移動ユニット2が停止位置P1に位置している状態を示している。搬送ユニット3は、複数の支柱2aを介して移動ユニット2上に搭載されており、搬送対象物Wを搬入出する。本実施形態の場合、搬送ユニット3は、搬送ローラ32、33を備えたローラコンベアである。
【0011】
トラバーサ100は、例えば、図1Bに示すように、コンベア61、62間で搬送対象物Wを移載するために用いられる。具体的には、コンベア61、62の位置に応じて、移動ユニット2の停止位置P1、P2が設けられている。移動ユニット2が停止位置P1で停止すると、搬送ユニット3のコンベアユニット(後述)が一方のコンベア61の搬出端(下流端)と対向する。この状態で、一方のコンベア61から搬送ユニット3に搬送対象物Wの受け渡し(移載)が行われる。搬送対象物Wが移載されたトラバーサ本体Tは走行路に沿って移動し、停止位置P2で停止される。このとき、搬送ユニット3のコンベアユニットが他方のコンベア62の搬入端(上流端)と対向する。この状態で、搬送ユニット3から他方のコンベア62に搬送対象物Wの受け渡しが行われる。なお、本実施形態では搬送ユニット3はX方向に搬送対象物Wを搬送するが、X方向と交差する水平方向に搬送対象物Wを搬送させてもよい。例えば、トラバーサ本体T(移動ユニット2)に搬送対象物Wの向きを変更するターンユニットを設け、搬送ユニット3をZ軸回りに回転自在としてもよい。これにより、走行路に対するコンベア61、62の搬送方向の傾きに応じて、搬送ユニット3の搬送方向を変えることができる。
【0012】
<ベースユニット>
ベースユニット1は、上方に開口した箱型の枠体10と、枠体10の開口を覆いベースユニット1の上面を形成するカバー11と、X方向に離間した一対のレール部材12と、を備える。また、ベースユニット1は、通路部材16を備える。図2は枠体10の内部空間10aを表すためにカバー11を透過して表したベースユニット1の平面図であり、図3図4図2の1A部、1B部の各拡大図である。
【0013】
一対のレール部材12は板状の部材であり、Y方向に延設させて平行に枠体10に固定されている。一対のレール部材12、12が走行路を形成する。レール部材12の上面はベースユニット1の上面に露出しており、移動ユニット2の走行用ローラ22、23(後述する)がレール部材12、12に接して転動することにより、移動ユニット2(トラバーサ本体T)がベースユニット1上を走行する。カバー11とレール部材12との間には、レール部材12に沿ってY方向に延びる隙間14が形成され、この隙間14を介してカバー11と枠体10で囲まれた内部空間10aと、ベースユニット1の上方の外部空間とが連通している。
【0014】
通路部材16は、枠体10のX方向の両側方にそれぞれ配置された傾斜板である。通路部材16は、作業者がベースユニット1を横断する際の踏み台を構成する。言い換えると通路部材16は、作業者がベースユニット1を横断する際のベースユニット1における通路を規定する。通路部材16を設けたことで、移動ユニット2の停止中であれば、ベースユニット1を作業者や台車が横断することができ、トラバーサ100の設置工場内の作業者の移動性を向上することができる。
【0015】
図15図1BのC-C線断面図である。通路部材16は、ベースユニット1が設置される設置面(工場の床面)Gからレール部材12の上面に亘って延設されている。通路部材16は例えば鋼板からなり、傾斜部16aと水平部16bとを含む。傾斜部16aを設けたことで、枠体10と設置面Gとの段差を解消し、滑らかなスロープを形成することができる。水平部16bは、枠体10の構成部材17に固定される。水平部16bと構成部材17との固定は、ねじ止め構造であってもよいし、それぞれに設けた係合部(例えば折り曲げ部や凹凸)を係合する構造であってもよい。
【0016】
図3図4に戻り、枠体10により画定される内部空間10aは、移動ユニット2に接続されるケーブル13の収容空間としても機能する。内部空間10aは仕切り部材18cにより二分されている。
【0017】
ケーブル13は、外部電気回路から移動ユニット2の走行用モータ271に電力を供給するために用いられる電源ケーブルを少なくとも含む。またケーブル13は、不図示の上位装置と制御回路4との通信に用いる通信ケーブルを含んでもよい。カバー11はこの内部空間(収容空間)10aを覆う薄板材であり、このカバー11により内部空間10aに塵等が侵入することが抑制される。ケーブル13はケーブル類保護案内装置(ケーブルベア(登録商標))17に支持されている。
【0018】
本実施形態の場合、ケーブル類保護案内装置17は二本が横倒し状態で枠体10内に設けられている。そして、ケーブル13が、電源ケーブルと通信ケーブルとを含む場合、一方のケーブル類保護案内装置17には、電源ケーブルが支持され、他方のケーブル類保護案内装置17には、通信ケーブルが支持されてもよい。なお、内部空間10aを仕切り部材18cにより仕切らない構成も採用可能であり、この場合、一つのケーブル類保護案内装置17が設けられる。そして、ケーブル13が、電源ケーブルと通信ケーブルとを含む場合、これらのケーブルを一つのケーブル類保護案内装置17で支持してもよい。
【0019】
各ケーブル類保護案内装置17は、内部空間10aを蛇行するように配設され、枠体10に設けられた複数のガイド18a、仕切り部材18c及び一つのローラ18bによりその移動が案内される。複数のガイド18aは直線状の部材18a-1とローラ18bの周囲の弧状の部材18a-2とを含む。仕切り部材18cは直線状のガイドとして機能する。
【0020】
ケーブル類保護案内装置17の一端17aは、隙間14を通過する連結具(不図示)を介して移動ユニット2に連結され、他端17bは枠体10に固定されている。ケーブル13の一端13aは隙間14を介して、枠体10の外部に延設される。
【0021】
ケーブル13が電源ケーブルの場合、その一端13aは移動ユニット2の電源部(不図示)に接続される。当該電源部は、駆動ユニット25の走行用モータ271や、駆動ユニット35の搬送用モータ371などに電力を供給する。他端13bはベースユニット1の外部に配される不図示の外部電気回路(例えば電源装置等)に接続される。
【0022】
ケーブル13が通信ケーブルの場合、その一端13aは隙間14を介して、移動ユニット2の制御回路4に接続される。当該制御回路4は、駆動ユニット25の走行用モータ271や、駆動ユニット35の搬送用モータ371の制御を行う。他端13bはベースユニット1の外部に配される不図示の上位装置(例えばPLC等)に接続される。
【0023】
このように隙間14を設けたことで、移動ユニット2をベースユニット1上に配置しつつ、移動ユニット2とベースユニット1の内部空間10aとの間を連絡することができる。
【0024】
枠体10内におけるレール部材12、12の両端部には、移動ユニット2に当接される停止部材15がそれぞれ設けられている。各停止部材15は支持部材16を介して枠体10に固定されている。本実施形態では四つの停止部材15が設けられており、そのうちの、図3に図示する2つの停止部材15、15が停止位置P1に移動ユニット2(トラバーサ本体T)を停止させ、図4に図示する残りの2つの停止部材15、15が停止位置P2に移動ユニット2を停止させる。
【0025】
本実施形態の場合、各停止部材15は、移動ユニット2との当接時に、その衝撃を緩和するショックアブソーバであり、ロッド15aとロッド15aを進退自在に収容するシリンダ15bとを備える。停止部材15は、レール部材12、12の両端部近傍に、ロッド15aをY方向に対向させた状態でそれぞれ配置される。ロッド15aの先端は、移動ユニット2と当接する当接部を構成し、隙間14の下方近傍に位置している。シリンダ15bには、例えば、ロッド15aを進出方向に付勢するバネと、ロッド15aの端部に設けられたピストンと、ピストンの移動に抵抗する液体が収容される。移動ユニット2がロッド15aに当接すると、ロッド15aがシリンダ15b内に後退しつつ、当接の衝撃が緩和される。停止部材15として固形の部材を用いてもよい。しかし、本実施形態のように可動部を有したショックアブソーバとすることで、トラバーサ100の耐久性を向上できる。
【0026】
<移動ユニット>
図1A図5を参照して移動ユニット2の概要を説明する。図5は移動ユニット2をその底面側から見た斜視図である。移動ユニット2は、X方向に離間して、かつ、平行に配置された二つのローラユニット20と、二つのローラユニット20を連結するように設けられ、移動ユニット2の駆動源である駆動ユニット25とを有する。二つのローラユニット20は、複数の連結部材2bで連結され、これによりローラユニット20、20は平行に離間した状態が保持されている。
【0027】
各ローラユニット20は、駆動ローラである走行用ローラ22と、従動ローラである複数の走行用ローラ23とが移動方向(Y方向)に沿って配列されたローラ列を有する。走行用ローラ22及び23はレール部材12上を転動し、これにより移動ユニット2がY方向に走行する。各ローラユニット20は、走行用ローラ22及び23並びに後述する機構を支持する支持体(フレーム)21を備える。支持体21は、ローラユニット20の底部を構成し、Y方向に延びるベースプレート21aと、ベースプレート21aのY方向の前後端にそれぞれ設けられた支持プレート21cとを含む。
【0028】
支持プレート21cはストッパ当接部29を備える。ストッパ当接部29は停止位置P1又はP2において停止部材15に当接する部分である。ストッパ当接部29は、支持プレート21cの下面からZ方向下向きに伸びる支持部29aと、支持部29aの下端部からローラユニット20、20の中央側に向かって伸びる当接部本体29bとを備えたL字形状を有している。移動ユニット2の走行に伴い、支持部29aが隙間14に沿って移動し、当接部本体29bが停止部材15のロッド15aに当接する。また、支持プレート21cの下面には、後述するレール当接部28も支持される(図6参照)。
【0029】
図5図8を参照して移動ユニット2の駆動系の構成について説明する。図6は外装部分を除いた状態での移動ユニット2の平面図である。駆動ユニット25は、支持体(フレーム;図5参照。図6では図示せず。)26に支持された駆動機構27を備える。駆動機構27は走行用ローラ22、23に回転駆動力を付与する機構であり、回転駆動力を供給する走行用モータ271と、ベルト伝動機構272と、駆動軸273と、駆動輪274と、摩擦伝達機構FMとを含む。図7は駆動軸273近傍における移動ユニット2の縦断面図(図6のB―B矢視断面図)である。図8は駆動機構27の部分斜視図である。
【0030】
走行用モータ271は例えばDCモータであり、回転軸の回動方向及び速度を制御する制御基板(不図示)を備え、その回転軸が駆動軸273の上方に、かつ、平行に支持体26に支持されている。
【0031】
制御基板は、例えば、CPUに代表されるプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとプロセッサとを中継する入出力インタフェース、PLCなど上位のコントローラと通信を行う通信インタフェースを備える。制御基板は、例えば走行モータ271の筐体の内部に配置され、走行用モータ271等に電力を供給する電源部に接続される。
【0032】
そして、制御基板は、回転軸の回動方向を示す制御信号と、回動速度を示すPWM(パルス幅変調)信号を出力し、走行用モータ271の回転軸の回動を制御する。
【0033】
また、走行用モータ271の回転軸はロータリエンコーダ41が取り付けられており、ロータリエンコーダ41が検知した回転軸の回転量が制御基板に入力される。
【0034】
制御基板は、ロータリエンコーダ41の出力信号が一定時間変化しなくなったことを契機として、走行用モータ271の回動を指示する制御信号(CW、CCW信号)の出力を停止する。これによって走行用モータ271の駆動が停止される。
【0035】
このように走行用モータ271の制御基板は、走行用モータ271の回転軸の回転が一定時間検知されないと、この走行用モータ271の回転軸の駆動を停止させる。
【0036】
上記の方法では、ロータリエンコーダを用いて走行用モータ271の回転軸の回転が物理的に停止していることを検出したが、回動を指示する制御信号(CW、CCW信号)の電流値を用いて、走行用モータ271の回転軸の回転が物理的に停止していることを検出しても良い。
【0037】
例えば、制御信号(CW、CCW信号)の電流値は、回転軸の回転が妨げられると上昇する。このため、回転している走行用モータ271の回転軸に負荷がかかり、回転軸の回転が物理的に停止するときの電流値を閾値とし、制御信号(CW、CCW信号)の電流値が一定時間継続して閾値を超えたことを検出することで、走行用モータ271の回転軸が物理的に停止したことを検出することができる。
【0038】
これによって、走行用モータ271の回転軸の回転が物理的に停止されると、回転軸の駆動が停止される。回転軸の回転が物理的に停止する場合としては、例えば、ボルトやネジなどの異物を誤って隙間14内に落としてしまい、駆動輪242、274と駆動伝達部材246、または駆動輪242、274と支持プレート21bとの間に噛み込ませてしまったときが挙げられる。このとき、駆動輪242、274の回転や駆動伝達部材246の走行が妨げられる。
【0039】
ここで、走行用モータ271として汎用のモータを用いている場合、駆動輪242、274の回転や駆動伝達部材246の走行が妨げられ、モータの回転軸が物理的に停止したとしても、モータは回転し続ける。その結果、物理的に回転不能な回転軸をモータが無理に回し続ける状態となり、最悪の場合、モータの故障や破損を招いてしまう。
【0040】
これに対して、本実施の形態に係るトラバーサ100においては、先ず、駆動輪24、274の回転や駆動伝達部材246の走行が異物で妨げられると、駆動軸273の回転およびベルト伝達機構272の走行が停止する。しかしながら、本実施の形態に係るトラバーサ100は、前述したように、走行用モータ271が、”走行用モータ271の回転軸の回転が一定時間検知されないと、この走行用モータ271の回転軸の駆動を停止させる”ものである。これにより、走行用モータ271の回転軸の回転が物理的に停止されたとしても、これを検知して走行用モータ271の回転軸の駆動が停止される。すなわち、走行用モータ271の回転軸が物理的に停止されると、これを検知して走行用モータ271の回転軸の駆動が停止されるため、回転できない回転軸を走行用モータ271が無理に回し続けるということがなくなる。その結果、異物に起因した走行用モータ271の故障や破損が生じることが無く、安全に走行用モータ271の回転軸の駆動が停止される。
【0041】
ベルト伝動機構272は、走行用モータ271の回転駆動力を駆動軸273に伝達して駆動軸273を回転させる。駆動軸273はX方向に延設された部材であり、本実施形態の場合、複数本の軸が軸継手を介して連結され、全体で一本の軸を構成している。各ローラユニット20の支持体21は、走行用ローラ22及び23の各回転中心軸を回転自在に支持する一対の支持プレート21bを含む。一対の支持プレート21bはX方向に任意の間隔に離間して、かつ、平行にベースプレート21a上に立設されており、支持プレート21b、21b間に走行用ローラ22及び23が配置されている。
【0042】
駆動軸273は、X方向に離れて位置する一対の支持プレート21bにそれぞれ回転自在に軸支されている。一対の支持プレート21bの間に走行用ローラ22が設けられ、各走行用ローラ22は摩擦伝達機構FMを介して駆動軸273に装着されている。摩擦伝達機構FMは、走行用モータ271の回転駆動力を摩擦力により走行用ローラ22に伝達する機構であり、本実施形態の場合、摩擦伝達部材275を備える。
【0043】
図9は走行用ローラ22の縦断面図である。摩擦伝達部材275は、駆動軸273の周面に設けられており、走行用ローラ22を駆動軸273に装着する一対のリング部材である。本実施形態の場合、摩擦伝達部材275は、走行用ローラ22の中心孔に嵌合される一対のフランジ付ブッシュ275a、275bで構成されている。駆動軸273と摩擦伝達部材275との接触部において、駆動軸273の周面にブッシュ276が設けられる。例えば、ブッシュ276の孔内に駆動軸273が嵌入される。駆動軸273におけるブッシュ276の部分を摩擦伝達部材275の中央の孔275h内に挿入し、摩擦伝達部材275の孔275h内にブッシュ276を位置させる。摩擦伝達部材275とブッシュ276とは固定されておらず、駆動軸273から摩擦伝達部材275への回転駆動力の伝達は摩擦伝達による。したがって、走行用ローラ22に、その回転に抵抗する過剰な負荷が作用した場合、駆動軸273に設けたブッシュ276と摩擦伝達部材275との間で空転(滑り)が生じ、駆動軸273は回転し続けるが、走行用ローラ22は回転を停止する。
【0044】
図5図8に戻り、駆動軸273の両端部には、それぞれ駆動輪274が設けられている。各駆動輪274は駆動軸273に固定されており、駆動軸273と一体に回転する。駆動輪274の回転駆動力は、ローラユニット20に設けられた走行伝達機構24を介して走行用ローラ23に伝達される。
【0045】
走行伝達機構24は、各走行用ローラ23の駆動軸241と、各駆動軸241の外側端部に設けられた駆動輪242と、駆動力伝達部材246と、を含む。駆動軸241は駆動軸273と平行に設けられ、一対の支持プレート21bに回転自在に支持されている。駆動輪242は駆動軸241の一方端(移動ユニット2の幅方向外側の端)に設けられている。ローラユニット20毎に、駆動軸273に設けられた一つの駆動輪274と、各駆動軸241に設けられた複数の駆動輪242とがY方向に沿って一列に配列されており、これら駆動輪274及び242に無端の駆動力伝達部材246が巻き回されている。したがって、駆動軸273の回動に伴って、駆動輪274が回転し、この駆動輪274の回転によって各駆動輪242が回転する。
【0046】
本実施形態の場合、駆動力伝達部材246はチェーンであり、駆動輪274及び242はチェーンと噛み合うスプロケットであって、これらはチェーン伝動機構を構成している。しかし、チェーン伝動機構に代えてベルト伝動機構を採用してもよく、また、駆動輪274及び242並びに駆動力伝達部材246をそれぞれ歯車で構成した歯車機構であってもよい。
【0047】
図10を参照して走行伝達機構24の構成のうち、走行用ローラ23毎の構成について更に説明する。図10は走行用ローラ23付近の縦断面図である。本実施形態の場合、走行ローラ23は駆動軸241と一体に形成されており、駆動軸241はボール軸受を介して一対の支持プレート21bに支持されている。
【0048】
駆動軸241の周面には被伝達部249、摩擦伝達部材244が設けられている。被伝達部249は、駆動軸241の中途部に設けられ、駆動軸241の径方向外方に延びる円盤状の部材であり、駆動軸241に固定されて駆動軸241と一体的に回転する。被伝達部材249と駆動軸241とは一部材であってもよい。
【0049】
摩擦伝達部材244は、駆動軸241の周面に設けられており、駆動輪242と駆動軸241との間に介在される。摩擦伝達部材244は、一対のフランジ付ブッシュであり、駆動輪242の両側および駆動輪242の内周面を覆うべく、駆動輪242の両側からそれぞれのフランジ付きブッシュが装着される。本実施形態の場合、摩擦伝達部材244は、駆動軸241の軸方向の各端部が径方向に突出したフランジ部244aを形成している。このフランジ部244a間に駆動輪242が装着されており、駆動輪242の側面とフランジ部244aとは接している。そして、駆動輪242の一側面(走行用ローラ23側の側面)と被伝達部249との間に一方のフランジ部244aが挟持されている。摩擦伝達部材244と駆動軸241との間は固定されておらず、駆動輪242から駆動軸241への回転駆動力の伝達は、フランジ部244aを介した、駆動輪242の一側面(走行用ローラ23側(図10中では左側)の側面)と被伝達部249との間の摩擦伝達による。
【0050】
駆動輪242の一側面(走行用ローラ23側の側面)と被伝達部249との間におけるフランジ部244aの挟持力を付勢するために、付勢部材245が設けられている。付勢部材245は本実施形態の場合、コイルスプリングであるがゴム等、他の弾性部材であってもよい。駆動軸241には、駆動軸241を軸方向に貫通し、駆動軸241と同心の貫通孔241aが形成されている。貫通孔241aは、駆動輪242側で小径、反対側(走行ローラ23側)で大径の段付き孔である。
【0051】
貫通孔241aにはロッド247が挿通されている。ロッド247の一端部(駆動輪242側の端部)には押圧部材248が固定されており、他端部にはストッパ部247aが形成されている。付勢部材245は、貫通孔241aの段部分の壁面とストッパ部247aとの間に介装されている。押圧部材248は摩擦伝達部材244の他方側(被伝達部材249と接触しない側)のフランジ部244aに接する円板状の部材である。
【0052】
付勢部材245の付勢により、ロッド247及び押圧部材248は走行用ローラ23の側に付勢され、これにより駆動輪242の一側面(走行用ローラ23側の側面)と被伝達部249との間に、被伝達部材249と接触する側(図10中では左側)のフランジ部244aを押圧する挟持力が生じる。これにより、このフランジ部244aを介して駆動輪242の回転駆動力が駆動軸241に摩擦伝達される。走行用ローラ23に、その回転に抵抗する過剰な負荷が作用した場合、駆動軸241と摩擦伝達部材244との間で空転(滑り)が生じ、駆動輪242は回転し続けるが、走行用ローラ23は回転を停止する。
【0053】
なお、本実施形態では付勢部材245を駆動軸241に内蔵する構造としたが、駆動軸241の周面に配置する構造等、他の構造も採用可能であり、駆動輪242の一側面(走行用ローラ23側の側面)と被伝達部249との間に挟持力を付勢できればよい。
【0054】
図6を参照して、各支持プレート21cには、支持部21dを介してレール当接部28が支持されている。図11図1AのA-A断面図であり、移動ユニット2がベースユニット1上に搭載された状態でのレール当接部28と周囲の構成との配置を示している。レール当接部28は支持プレート21cの下方に配置されたローラである。支持部21dは、垂直方向(Z方向)に延びる軸部材であり、その上端部が支持プレート21cに固定され、その下端部にレール当接部28が回転自在に支持される。支持部21dは隙間14を通ってカバー11の下側まで延びており、支持部21dの下端に設けられるレール当接部28は、レール部材12の側面(図11中では左側面。平行に設けられたレール部材12、12の各内側面)と当接する。これにより、四つのレール当接部28は、移動ユニット2がレール部材12上を移動する際に、移動ユニット2がレール部材12、12から脱輪するのを防止する。
【0055】
<搬送ユニット>
図1A図12を参照して搬送ユニット3の構成について説明する。図12は外装部分を除いた状態での搬送ユニット3の平面図である。搬送ユニット3は、Y方向に離間して、かつ、平行に配置された二つのローラユニット30と、二つのローラユニット30を連結するように設けられ、搬送ユニット3の駆動源である駆動ユニット35とを有する。二つのローラユニット30は、また、複数の連結部材3aで連結され、これによりローラユニット30、30は平行に離間した状態が保持されている。
【0056】
ローラユニット30及び駆動ユニット35とは、ローラの数が異なるものの、駆動機構に関してローラユニット20及び駆動ユニット25と同じ構造である。言い換えると、移動ユニット2の走行機構と、搬送ユニット3の搬送機構が同じ構造であり、これにより、双方を共用の部品を用いて構成することができる。これによって、トラバーサ本体Tを構成する部品の点数を少なくすることができ、コストダウンを図ることができるとともに、部品管理が容易となる。
【0057】
各ローラユニット30は、駆動ローラである搬送用ローラ32と、従動ローラである複数の搬送用ローラ33とが一列(X方向)に配列されたローラ列を有する。搬送用ローラ32及び33の回転により、これらのローラ上の搬送対象物WがX方向に搬送される。搬送用ローラ32は走行用ローラ22と同じローラを用いることができ、搬送用ローラ33は走行用ローラ23と同じローラを用いることができる。
【0058】
各ローラユニット30は、搬送用ローラ32及び33並びに後述する機構を支持する支持体(フレーム)31を備える。支持体31は、移動ユニット2の支持体21と同様の構成であり、ローラユニット30の底部を構成し、X方向に沿って延びるベースプレート31aと、一対の支持プレート31bとを含む。一方、搬送ユニット3の支持体31は移動ユニットの支持体21と異なり、支持プレート21cに相当する構成は有していない。また、移動ユニット2の当接部28、29に相当する構成を搬送ユニット3は有していない。
【0059】
駆動ユニット35は、支持体(フレーム)36に支持された駆動機構37を備える。駆動機構37は搬送用ローラ32に回転駆動力を付与する機構であり、回転駆動力を供給する搬送用モータ371と、ベルト伝動機構372と、駆動軸373と、駆動輪374とを含む。駆動機構37は駆動機構27と同じ構成であり、同じ部品を共用できる。
【0060】
搬送用モータ371は例えばDCモータであり、回転軸の回動方向及び速度を制御する制御基板(不図示)を備え、その回転軸が駆動軸373の上方に、かつ、平行に支持体36に支持されている。ここで、制御基板は、駆動ユニット25の制御基板と同様の構成を備え、搬送用モータ371の回転が一定時間停止したことを契機として、搬送用モータ371を停止させる。ベルト伝動機構372は、搬送用モータ371の回転駆動力を駆動軸373に伝達して駆動軸373を回動させる。駆動軸373はY方向に延設された部材であり、本実施形態の場合、複数本の軸が軸継手を介して連結され、全体で一本の軸を構成している。各ローラユニット30の支持体31は、搬送用ローラ32及び33の各回転中心軸を回転自在に支持する一対の支持プレート3bを含む。一対の支持プレート31bはY方向任意の間隔に離間して、かつ、平行にベースプレート31a上に立設されており、支持プレート31b、31b間に搬送用ローラ32及び33が配置されている。
【0061】
駆動軸373は、Y方向に離れて位置する一対の支持プレート3bにそれぞれ回転自在に支持されている。一対の支持プレート3bの間に搬送用ローラ32が設けられ、各搬送用ローラ32は摩擦伝達部材(不図示)を介して駆動軸373に装着されている。搬送用ローラ32は、移動ユニット2の走行用ローラ22と同様、摩擦伝達部材275に相当する摩擦伝達部材およびブッシュ(共に不図示)を介して駆動軸373に装着されている。したがって、搬送用ローラ32に、その回転に抵抗する過剰な負荷が作用した場合、駆動軸373に設けたブッシュと摩擦伝達部材との間で空転(滑り)が生じ、駆動軸373は回転し続けるが、搬送用ローラ32は回転を停止する。
【0062】
駆動軸373の両端部には、駆動輪374がそれぞれ設けられている。各駆動輪374は駆動軸373に固定されており、駆動軸373と一体に回転する。駆動輪374の回転駆動力は、ローラユニット30に設けられた搬送伝達機構34を介して搬送用ローラ33に伝達される。
【0063】
搬送伝達機構34は、ローラの数を除いて走行伝達機構24と同じ機構であり、駆動力伝達部材346を介して各搬送用ローラ33の駆動輪342に駆動輪374の回転駆動力を伝達する機構である。各搬送用ローラ33の機構も、図10に例示した各走行用ローラ23の機構と同じ機構である。ここでも部品の共用化を図れる。
【0064】
<制御回路>
図13は移動ユニット2の制御系のブロック図である。移動ユニット2は走行用モータ271を制御する制御回路4を備える。走行用モータ271の駆動軸にはロータリエンコーダ41が取り付けられており、ロータリエンコーダ41が検知した駆動軸の回転量が制御回路4に入力される。また、トラバーサ100には、移動ユニット2の位置を検知する位置センサ42が設けられている。本実施形態の位置センサ42は、二つの停止位置P1、P2にそれぞれ設けられ、一方の位置センサ42は移動ユニット2が停止位置P1に存在するか否かを、他方の位置センサ42は移動ユニット2が停止位置P2に存在するか否かをそれぞれ検知する。位置センサ42は、例えば、移動ユニット2との接触でONとなる機械式センサや、移動ユニット2の存在を光学的に検知するフォトインタラプタ等の光学センサである。
【0065】
制御回路4は、例えば、CPUに代表されるプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとプロセッサとを中継する入出力インタフェース、上位のコントローラと通信を行う通信インタフェース、走行用モータ271の駆動回路等を備えるマイコンである。制御回路4は例えば駆動ユニット25の筐体の内部に配置することができ、走行用モータ271等に電力を供給するため、隙間14を通過して配索されるケーブル13が制御回路4に接続される。
【0066】
搬送ユニット3の制御は制御回路4が行ってもよいし、搬送ユニット3に設けた制御回路が行ってもよい。走行用モータ271と同様、搬送用モータ371にロータリエンコーダを設け、搬送用モータ371の駆動軸の回転量を検知可能としてもよい。搬送ユニット3に設けた制御回路は、制御回路4と同じ構成でよく、制御回路4と通信可能に構成されてもよい。
【0067】
このように、搬送用ローラと走行用ローラ、搬送伝達機構と走行伝達機構の構成を同じとすることができるため、製造コストを抑えることができる。
【0068】
<動作例>
制御回路4による移動ユニット2の制御例について説明する。制御回路4は上位のコントローラの指示により、移動ユニット2を停止位置P1から停止位置P2へ、また、停止位置P2から停止位置P1へ、移動させる。具体的には、制御回路4は走行用モータ271の回転方向と回転の開始及び停止並びに回転速度を制御する。
【0069】
まず、停止位置P1から停止位置P2に向けて、トラバーサ本体Tを移動させる。トラバーサ本体Tが停止位置P2に到達すると、ストッパ当接部29が停止部材15に機械的・物理的に当接する。これによって、トラバーサ本体Tの移動が妨げられ、トラバーサ本体Tが停止位置P2で停止する。
【0070】
このとき、走行用モータ271、駆動軸273、駆動輪274、駆動力伝達部材246および駆動輪242は回転し続けるが、走行用ローラ22、23の回転は停止する。
【0071】
そして、移動ユニット2が停止位置P2に到達したことが位置センサ42で検知された後、搬出側のコンベア62から搬送ユニット3に搬送対象物Wが移載される。
【0072】
トラバーサ本体Tが停止位置P1から停止位置P2に向けて移動を開始してから一定時間が経過した後、かつ、搬送ユニット3が搬送対象物Wの移載動作中ではないことが確認されたとき、トラバーサ本体Tは、停止位置P2から停止位置P1に向けて移動する。
【0073】
トラバーサ本体Tが停止位置P1に到達すると、ストッパ当接部29が停止部材15に機械的・物理的に当接する。これによって、トラバーサ本体Tの移動が妨げられ、トラバーサ本体Tが停止位置P1で停止する。
【0074】
このとき、走行用モータ271、駆動軸273、駆動輪274、駆動力伝達部材246および駆動輪242は回転し続けるが、走行用ローラ22、23の回転は停止する。
【0075】
そして、移動ユニット2が停止位置P1に到達したことが位置センサ42で検知された後、搬送ユニット3から搬入側のコンベア61に搬送対象物Wが移載される。
【0076】
また、トラバーサ本体Tが停止位置P2から停止位置P1に向けて移動を開始してから一定時間が経過した後、かつ、搬送ユニット3が搬送対象物Wの移載動作中ではないことが確認されたとき、トラバーサ本体Tは、停止位置P1から停止位置P2に向けて移動する。
【0077】
これらの動作を繰り返すことで、トラバーサ100によりコンベア61、62間で搬送対象物Wの搬送を行うことができる。
【0078】
また、トラバーサ本体Tを各停止位置P1、P2で停止させる際、トラバーサ本体Tは、ストッパ当接部29が停止部材15に機械的・物理的に当接することによって、その移動が妨げられる。
【0079】
ここで、走行用ローラ22、23は、走行用モータ271の回転駆動力が、摩擦伝達により伝達されている。このとき、停止部材15とストッパ当接部29との機械的・物理的な当接によって移動ユニット2の移動が妨げられ、摩擦伝達力を超える過負荷が作用すると、摩擦伝達部材275とブッシュ276との間および摩擦伝達部材244と走行用ローラ23との間で滑りが生じる。これによって、走行用モータ271は回転し続けるが、走行用ローラ22、23の回転は停止する。すなわち、走行用ローラ22、23はアキュムレート機能(フリーフロー機能ともいう)を有している。
【0080】
このため、本実施の形態のトラバーサ100においては、走行用モータ271のインバータ制御や、走行用モータ271の駆動軸にトルクリミッタ等を別途設けることなく、走行用モータ271は回転させたまま、トラバーサ本体Tを停止させることができる。
【0081】
前述した滑りが発生している間においても、摩擦伝達部材275とブッシュ276との間および摩擦伝達部材244と走行用ローラ23との間の摩擦はゼロではなく、摩擦が生じている。
【0082】
したがって、滑りが発生している間も、この摩擦により、摩擦伝達部材275とブッシュ276との間および摩擦伝達部材244と走行用ローラ23との間において、走行用ローラ22、23に、トラバーサ本体Tの移動方向(前進方向)に回転させようとする力が作用する。
【0083】
このため、走行用ローラ22、23は、見かけ上の回転は停止しているが、走行用ローラ22、23に前進させようとする力が作用し続けている。このため、走行用ローラ22、23が移動方向と反対(後進方向)に回転することはない。すなわち、走行用ローラ22、23(トラバーサ本体T)はアンチバックローラであるため、後退することはない。よって、トラバーサ本体Tは、停止部材15に当接した停止位置P1(またはP2)に停止し続け、停止位置P1(またはP2)での正確な位置決め状態が保持される。
【0084】
搬送対象物Wを搬入出する際には、トラバーサ本体Tとコンベア61、62の位置をミリ単位で正確に位置決めする必要がある。このため従来は、トラバーサ本体の位置決め装置を準備し、停止位置にトラバーサ本体Tを位置決めしていた。位置決め装置としては、トラバーサ本体とコンベアとの相対位置関係を固定するための機構、例えば突き合わせ機構やクランプ機構等を必要とし、装置的に大がかりな構成となってしまう。
【0085】
これに対して、本実施の形態のトラバーサ100においては、トラバーサ本体Tを、アンチバックローラである走行用ローラ22、23により、停止部材15とストッパ当接部29の構成だけで正確な位置に位置決めできるため、従来必須であった位置決め装置が不要となる。
【0086】
さらに、停止部材15にショックアブソーバを用いた場合でも、走行用ローラ22、23により、ショックアブソーバのばね等による押し戻しに抗して、ストッパ当接部29がショックアブソーバを押し続ける。このため、ストッパ当接部29がショックアブソーバに当接した状態のままトラバーサ本体Tは停止される。よって、トラバーサ本体Tをショックアブソーバのみで、停止位置P1(またはP2)に正確に位置決めすることができる。
【0087】
また、移動ユニット2が停止位置P1(又はP2)に到達したことが位置センサ42で検知された後、搬送対象物Wの搬入出が終了するまで、走行用モータ271の回転を所定時間継続させ、搬送ユニット3が搬送対象物Wの移載の搬送動作中ではないことが確認されると、走行用モータ271を停止させてもよい。
【0088】
走行用ローラ22、23は摩擦伝達により回転駆動力が伝達されているため、トラバーサ本体Tが停止位置P1からP2へ、又は、停止位置P2からP1へ移動する途中で、作業者などに接触し、摩擦伝達力を超える過負荷が作用すると、走行用ローラ22、23への回転駆動力の伝達が遮断され、走行用ローラ22、23の回転が停止する。したがって、本実施の形態のトラバーサ100においては、トラバーサ本体Tの移動の際に、摩擦伝達力を超える過負荷が作用すると、安全柵、ライトカーテン、エリアセンサなどといった付帯設備を設けることなくとも、安全、かつ、瞬時にトラバーサ本体Tを停止させることができる。
【0089】
<第二実施形態>
上記実施形態では、移動ユニット2に対する電力供給設備としてケーブル13を用いた有線給電としたが、送電側のユニット(送電ユニット)から受電側のユニット(受電ユニット)に非接触(無線)で電力を供給する無線給電としてもよい。
【0090】
図14は無線給電装置5を備えたトラバーサ100の一例を示す図である。同図に示すように無線給電装置5は、ベースユニット1に設けられた送電ユニット51と、移動ユニット2に設けられた受電ユニット52及びバッテリ、キャパシタ等の蓄電装置53を備える。
【0091】
送電ユニット51は、不図示の外部電気回路(例えば電源装置等)に接続され、停止位置P1及び停止位置P2にトラバーサ本体Tが停止したときに、送電ユニット51および受電ユニット52が近接、対向する(給電可能となる)ように配置される。
【0092】
受電ユニット52は、移動ユニット2の側面に設置され、蓄電装置53と電気的に接続されている。この電気的接続は、有線給電または無線給電のいずれであっても良い。また、蓄電装置53は、受電ユニット52と別体に設けても良いが、一体に設けても良いことは言うまでもない。
【0093】
そして、無線給電装置5では、トラバーサ本体Tが停止位置P1(又はP2)に停止しているときに、停止位置P1(又はP2)に設けた送電ユニット51が、無線給電により受電ユニット52に電力を供給する。
【0094】
受電ユニット52は送電部51から供給された電力を蓄電装置53に蓄電する。この蓄電装置53に蓄電された電力を用い、制御回路4が走行用モータ271を駆動する。
【0095】
本実施の形態によれば、ケーブル13に関わる構成が不要であることから、ケーブル等の配線、取り回しが不要で、装置構成が簡易となる。
【0096】
なお、図14における受電部52、送電部51、蓄電装置53の配置は一例であり、様々な配置を採用可能である。例えば、送電部51は1つのみであってもよい。また、送電部51はベースユニット1の内部空間10aに収容されてもよい。
【0097】
また、本実施形態における無線給電方式としては、転送効率や伝送距離などの関係などから、例えば電磁誘導方式が好適である。その他にも、無線給電方式として慣用的に用いられている磁界共鳴方式、電界結合方式、電波受信方式などが全て適用可能である。
【0098】
<第三実施形態>
制御回路4は、移動ユニット2の外部に配置される構成であってもよい。図16はその一例を示すトラバーサ100の斜視図であり、図17図16の例における制御系のブロック図である。
【0099】
図16の例では、制御回路4に代わる制御ユニットとして通信ユニット4Aが設けられている。通信ユニット4Aは表示部43を備えており、表示部43が移動ユニット2の外部から作業者が視認可能なように配置されている。図16の例の場合、通信ユニット4Aは搬送ユニット3の外壁部の支持部30aに固定されており、全体的に外部に露出している。通信ユニット4Aの固定場所は移動ユニット2の外壁部であってもよい。
【0100】
通信ユニット4Aは、コネクタ44~46を備える。コネクタ44には、通信ユニット4Aと上位装置200とを接続する通信ケーブルが接続される。コネクタ45には、通信ユニット4Aと外部の電源とを接続する電源ケーブルが接続される。コネクタ46には、走行用モータ271やロータリエンコーダ41等の制御対象デバイスが接続される。
【0101】
通信ユニット4Aは、例えば、CPUに代表されるプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、制御対象デバイスとプロセッサとを中継する入出力インタフェース、上位のコントローラと通信を行う通信インタフェースを備える。なお、通信ユニット4Aは、無線通信により上位装置200と通信してもよい。
【0102】
通信ユニット4Aは、上位装置200からの指示を受信し、走行用モータ271の駆動を制御する。なお、通信ユニット4Aは搬送ユニット3の制御も行ってもよい。
【0103】
本実施形態の場合、位置センサ42の検知信号は、通信ユニット4Aを介して上位装置200に入力される。上位装置200は位置センサ42の検知信号に基づいて、通信ユニット4Aに対して動作停止指示等を送信する。通信ユニット4Aは上位装置200からの指示とロータリエンコーダ41の検知結果に基づいて走行用モータ271の駆動を制御する。
【0104】
表示部43は、走行用モータ271の制御に関わる表示等を行う。表示部43は、複数の発光素子から構成されている。各発光素子は、例えば、通信ユニット4Aのコネクタ毎に設けられ、対応するコネクタから制御対象のデバイスや上位装置に対して制御信号を送信している間、点灯する。また、各発光素子は、上位装置200からの制御信号の種類ごとに対応付けられ、対応する制御指令を上位装置200から受信している間、点灯する。作業者は表示部43の表示部を確認して移動ユニット2等の動作が正常に行われているかを確認することができる。
【0105】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 ベースユニット、2 移動ユニット、3 搬送ユニット、100 トラバーサ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17