(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-23
(45)【発行日】2023-05-31
(54)【発明の名称】通信システムの復号加速方法、受信側装置及び非一時的なコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
H04L1/00 B
(21)【出願番号】P 2022031906
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505141934
【氏名又は名称】リアルテック セミコンダクター コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】謝 岳霖
(72)【発明者】
【氏名】林 佳宏
【審査官】玉田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-251435(JP,A)
【文献】特開2009-141818(JP,A)
【文献】特開2008-099263(JP,A)
【文献】特開2011-97602(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008428(WO,A1)
【文献】特開2017-118333(JP,A)
【文献】特開2011-015290(JP,A)
【文献】特開2007-028201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信側装置によって、通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを処理し、且つ前記複数のOFDMシンボルの複数のキャリアが伝送多重制御(TMCC)情報を伝送することに用いられるステップと、
前記受信側装置により前記複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて前記複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、前記TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うステップと、
前記受信側装置により前記複数の信号対雑音比のうちの1つが前記閾値よりも小さいと判定した場合、前記受信側装置によって前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行い、訂正された前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うステップと、
を含む通信システムの復号加速方法。
【請求項2】
前記受信側装置によって、前記通信チャンネルを介して受信した前記フレームにおける複数のOFDMシンボルを処理するステップは、
前記受信側装置により前記複数のキャリアで伝送される同期信号に基づいて前記受信側装置
と送信側装置がフレーム同期化していると判定した場合、前記受信側装置によって、前記複数のキャリアで前記同期信号の後に伝送される前記TMCC情報に対してデータ処理を行うステップと、
前記受信側装置により前記同期信号に基づいて前記受信側装置と前記送信側装置がフレーム同期化していないと判定した場合、前記複数のキャリアで前記同期信号の後に伝送される情報を破棄するステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のキャリアの前記複数のビットは、前記TMCC情報の一部を伝送することに用いられる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のキャリアの前記複数のビットは、前記TMCC情報における現在の情報フィールドを伝送することに用いられる請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記受信側装置によって、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うステップは、
前記TMCC情報におけるパリティコードを受信する前に、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するステップを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記受信側装置によって前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行うステップは、
前記受信側装置が既に前記TMCC情報におけるパリティコードを完全に受信した場合、前記受信側装置によって前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行うステップと、
前記受信側装置が前記パリティコードを完全に受信していない場合、前記受信側装置によって前記フレームを受信し続けるステップと、
を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記受信側装置は、前記TMCC情報におけるパリティコードを利用して前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行う請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数のコンピュータ実行可能な命令を含む
コンピュータプログラムであって、
受信側装置が前記複数のコンピュータ実行可能な命令を実行すると、前記受信側装置は、
通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを処理し、且つ前記複数のOFDMシンボルの複数のキャリアが伝送多重制御(TMCC)情報を伝送することに用いられる動作と、
前記受信側装置により前記複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて、前記複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、前記TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う動作と、
前記受信側装置により前記複数の信号対雑音比のうちの1つが前記閾値よりも小さいと判定した場合、前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行い、訂正された前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う動作と、
を実行する
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記受信側装置によって、前記通信チャンネルを介して受信した前記フレームにおける前記複数のOFDMシンボルを処理する場合、前記受信側装置は、
前記受信側装置により前記複数のキャリアで伝送される同期信号に基づいて、前記受信側装置
と送信側装置がフレーム同期化していると判定した場合、前記複数のキャリアで前記同期信号の後に伝送される前記TMCC情報に対してデータ処理を行い、且つ、
前記受信側装置により前記同期信号に基づいて前記受信側装置と前記送信側装置がフレーム同期化していないと判定した場合、前記複数のキャリアで前記同期信号の後に伝送される情報を破棄することに用いられる請求項8に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項10】
前記複数のキャリアの前記複数のビットは、前記TMCC情報の一部を伝送することに用いられる請求項8又は9に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項11】
前記複数のキャリアの前記複数のビットは、前記TMCC情報における現在の情報フィールドを伝送することに用いられる請求項8~10のいずれか一項に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項12】
前記受信側装置が訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う場合、前記受信側装置は、
前記TMCC情報におけるパリティコードを受信する前に、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化することに用いられる請求項8~11のいずれか一項に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項13】
通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを処理するための受信回路と、
前記受信回路に結合される計算回路と、
を備え、
且つ、前記複数のOFDMシンボルの複数のキャリアが伝送多重制御(TMCC)情報を伝送することに用いられ、
前記計算回路は、
前記複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて、前記複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、前記TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うことと、
前記複数の信号対雑音比のうちの1つが前記閾値よりも小さいと判定した場合、前記TMCC情報に対して前記エラー訂正を行い、訂正された前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うことに用いられる受信側装置。
【請求項14】
前記複数のキャリアの前記複数のビットは、前記TMCC情報の一部を伝送することに用いられる請求項13に記載の受信側装置。
【請求項15】
前記計算回路が訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化するとともに前記通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う場合、前記計算回路は、
前記TMCC情報におけるパリティコードを受信する前に、訂正されていない前記TMCC情報に基づいて前記フレームを復号化することに用いられる請求項13又は14に記載の受信側装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、復号加速方法、受信側装置及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、特に、通信システムの復号加速方法、受信側装置及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術は、マルチキャリア伝送技術のうちの1つであり、その原理は、データパケットを特定のシーケンスに基づいて複数の異なる直交サブキャリア(Orthogonal Sub-Carrier)に割り当てて並列に伝送することであるため、各サブキャリアのシンボル持続時間を延長して干渉を低減させることできる。また、直交周波数分割多重技術での複数のサブキャリアは、互いに干渉することなく直交性を有し、且つ周波数スペクトルが重なり合ってよいため、良好な帯域幅効率を有する。直交周波数分割多重技術を使用する通信システムにおいて、受信側が順調に復調・復号できることを保証するために、伝送側では、いくつかのサブキャリアに伝送多重制御(Transmission and Multiplexing Configuration Control;TMCCと略称する)信号を配置する。TMCC信号の信頼度を向上させるために、符号化されたTMCC信号は、通常、対応するパリティコードと共に受信側に送信される。従来、パリティコードを完全に受信し且つパリティコードを利用してTMCC情報を訂正した後、TMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともにチャンネル推定を行う。しかしながら、このような方法によれば、使用者が操作の遅れを感じることになる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、受信側装置によって、通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを処理し、且つ複数のOFDMシンボルの複数のキャリアが伝送多重制御(TMCC)情報を伝送することに用いられるステップと、受信側装置により複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて、複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、且つ、受信側装置によって、訂正されていないTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うステップと、受信側装置により複数の信号対ノイズ比のうちの1つが閾値よりも小さいと判定した場合、受信側装置によって、TMCC情報に対してエラー訂正を行い、訂正されたTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うステップと、を含む通信システムの復号加速方法を提供する。
【0004】
本開示は、複数のコンピュータ実行可能な命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体であって、受信側装置が複数のコンピュータ実行可能な命令を実行すると、受信側装置は、通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数のOFDMシンボルを処理し、且つ複数のOFDMシンボルの複数のキャリアがTMCC情報を伝送することに用いられる動作と、受信側装置により複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて、複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、訂正されていないTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う動作と、受信側装置により複数の信号対雑音比のうちの1つが閾値よりも小さいと判定した場合、TMCC情報に対してエラー訂正を行い、訂正されたTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行う動作と、を実行する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0005】
本開示は、通信チャンネルを介して受信したフレームにおける複数のOFDMシンボルを処理するための受信回路と、受信回路に結合される計算回路と、を備え、且つ、複数のOFDMシンボルの複数のキャリアがTMCC情報を伝送することに用いられ、計算回路は、複数のOFDMシンボルのうちの連続的な複数のシンボルに基づいて複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であると判定した場合、TMCC情報に対するエラー訂正を省略し、訂正されていないTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うことと、複数の信号対雑音比のうちの1つが閾値よりも小さいと判定した場合、TMCC情報に対してエラー訂正を行い、訂正されたTMCC情報に基づいてフレームを復号化するとともに通信チャンネルに対してチャンネル推定を行うことに用いられる受信側装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の実施例による通信システムを簡略化した後の機能ブロック図である。
【
図2】伝送多重制御信号を含むフレームの概略図である。
【
図3】
図2の伝送多重制御信号のビット配置の概略図である。
【
図4】本開示の実施例による受信側装置を簡略化した後の機能ブロック図である。
【
図5】本開示の実施例による通信システムの復号加速方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、関連図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。図面において、同一の符号は、同一又は類似する素子又は方法のステップを示す。
【0008】
図1は、本開示の実施例による通信システム100を簡略化した後の機能ブロック図である。通信システム100は、送信側(Tx)装置110と、受信側(Rx)装置120と、を備える。送信側装置110及び受信側装置120は、通信チャンネル130を介して互いに通信的に結合される。いくつかの実施例において、送信側装置110及び受信側装置120は無線装置である。いくつかの他の実施例において、送信側装置110は、デジタル無線テレビ送信局であるが、受信側装置120は、デジタル無線テレビ信号を処理できるシステムオンチップTVセットトップボックス又はシステムオンチップテレビである。いくつかの別の実施例において、通信システム100は、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDMと略称する)技術によって通信チャンネル130を確立し、即ち、送信側装置110及び受信側装置120が複数の直交サブキャリア(Orthogonal Sub-Carrier;以下、キャリアと略称する)によって互いに通信する。
【0009】
受信側装置120は、通信チャンネル130を介して送信側装置110から複数のフレーム、例えば、複数のOFDMフレームを順に受信する。いくつかの実施例において、複数のフレームは、変調方式(modulation scheme)、符号化率(coding rate)及び時間インターリーブの長さ(time interleaving length)などの、受信側装置120によって復調及び復号を行うことに利用可能な複数の伝送パラメータを含む。受信側装置120は、複数の伝送パラメータを利用して通信チャンネル130に対してチャンネル推定を行うとともに複数のフレームにおけるデータに前方エラー訂正(FEC)を行うことができる。いくつかの実施例において、送信側装置110は、伝送多重制御(Transmission and Multiplexing Configuration Control;TMCCと略称する)信号26を生成することに用いられ、且つTMCC信号26は、復調及び復号に用いられる前記複数の伝送パラメータを含む。送信側装置110は、更に、フレームを介してTMCC信号26を受信側装置120に伝送することに用いられる。いくつかの実施例において、送信側装置110により受信側装置120に伝送される複数のフレームは、それぞれ1つのTMCC信号26を含む。
【0010】
図2は、TMCC信号26を含むフレーム200の概略図である。フレーム200は、時間シーケンスに従って配列される複数のOFDMシンボル(Symbol)22
0~22
N-1を含む。OFDMシンボル22
0~22
N-1のそれぞれは、複数のサブキャリア24を含む。例えば、OFDMシンボル22
0は、S
0,0~S
M-1,0により表されるM個のサブキャリア24を含む。また、例えば、OFDMシンボル22
1は、S
0,1~S
M-1,1により表されるM個のサブキャリア24を含み、このように類推する。同一のキャリアで伝送される複数のサブキャリア24は、同一の列に示されており、即ち、送信側装置110は、合わせて番号0~M-1により表されるM個のキャリアでフレーム200を伝送する。
図2に示すように、送信側装置110は、K個のキャリアを利用してTMCC信号26を伝送する。上記実施例において、M、N及びKは、いずれも1よりも大きい正整数である。いくつかの実施例において、フレーム200は、パイロット信号、オーディオ信号及び/又はビデオ信号を更に含む。
【0011】
TMCC信号26の1つのサブキャリア24は、1つのビットを代表することを説明しておく。従って、TMCC信号26を伝送するための各キャリアは、N個のビットを有する。一方、フレーム200の変調方式によって、TMCC信号に属さないサブキャリア24は、1つ以上のビットを代表してよい。
【0012】
図3は、
図2のTMCC信号26のビット配置の概略図である。
図3に示すように、TMCC信号26を伝送するための各キャリアは、N個のビットを有し、且つ、TMCC信号26は、同期信号310、TMCC情報320及びパリティコード(parity code)330を含む。いくつかの実施例において、これらのフィールドは、TMCC信号26のビットシーケンスにおける特定の位置に位置する。例えば、同期信号310は、第1ビットから第16ビットに位置し、TMCC情報320は、第20ビットから第121ビットに位置し、パリティコード330は、第122ビットから第203ビットに位置するが、本開示は、これらに限定されない。
【0013】
同期信号310は、送信側装置110と受信側装置120との間の通信伝送を同期させることに用いられる。一実施例において、同期信号310は、特定のビットパターン(bit pattern)のワード(word)を含む。受信側装置120は、自身に記憶されたワードと同期信号310のワードとを比較する。両者が同じである場合、受信側装置120は、送信側装置110と受信側装置120が既にフレーム同期化(frame-synchronized)していると判定し、更に、
図3におけるK個のキャリアで同期信号310の後に伝送される情報(例えば、TMCC情報320及びパリティコード330)に対してデータ処理を行う。逆に、受信側装置120に記憶されたワードと同期信号310のワードが異なる場合、受信側装置120は、
図3におけるK個キャリアで同期信号310の後に伝送された情報を破棄してよい。いくつかの実施例において、「破棄」とは、受信したデータに対してデータ処理、使用又は記憶を行わないことを指す。
【0014】
TMCC情報320は、変調方式、符号化率及び時間インターリーブの長さなどの復調及び復号に用いられる複数の伝送パラメータを含む。TMCC情報320の現在の情報(current information)フィールド322は、現在のフレームに対応する複数の伝送パラメータを含み、即ち、送信側装置110は、複数のキャリアの複数の伝送パラメータを変調することに用いられている。TMCC情報320の次の情報(next information)フィールド324は、受信側装置120に事前に通知するように、送信側装置110が次のフレームにおいて切り替えて使用する複数の伝送パラメータを格納することに用いられる。即ち、送信側装置110は、TMCC情報320によって、次のフレームにおいて次の情報フィールド324における複数の伝送パラメータを代わりに使用して複数のキャリアを変調することを受信側装置120に通知することができる。
【0015】
また、パリティコード330は、TMCC情報320の正確性を確保するように、伝送過程でチャンネル変調効果によってフレーム200に発生したエラーを訂正することに用いられる。
【0016】
いくつかの実施例において、受信側装置120により送信側装置110と受信側装置120がフレーム同期化していると判定した場合、受信側装置120は、フレーム200における複数の連続的なOFDMシンボルに基づき、
図3におけるK個キャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比を判定する。詳細には、受信側装置120は、
図3におけるK個のキャリアのうち現在の情報フィールド322を伝送するための複数のビットの複数の信号対雑音比を検出する。例えば、一実施例において、現在の情報フィールド322がTMCC情報26の第27ビットから第66ビットによって伝送される場合、受信側装置120は、K個のキャリアのそれぞれのこれらの40個のビットの信号対雑音比を検出する。検出された複数の信号対雑音比がいずれも受信側装置120に記憶された閾値以上である(即ち、信号品質が良好である)場合、受信側装置120は、現在の情報フィールド322の後に伝送される情報を破棄してよく、例えば、次の情報フィールド324及びパリティコード330を破棄する。従って、受信側装置120は、パリティコード330を利用してフレーム200を訂正せず、即ち、パリティコード330を利用してTMCC情報320を訂正しない。続いて、受信側装置120は、訂正されていないTMCC情報320(又は現在の情報フィールド322)におけるデータに基づいてフレーム200を早めに復号化するとともに通信チャンネル130に対してチャンネル推定を早めに行う。
【0017】
いくつかの実施例において、「フレーム200を早めに復号化する」とは、パリティコード330を受信する前にフレーム200を復号化することを指し、「通信チャンネル130に対してチャンネル推定を早めに行う」とは、パリティコード330を受信する前に通信チャンネル130に対してチャンネル推定を行うことを指す。いくつかの他の実施例において、フレーム200の復号手順は、フレーム200に対して前方エラー訂正を行うことを含む。
【0018】
一方、受信側装置120により現在の情報フィールド322を伝送するための複数のビットの複数の信号対雑音比のうちの1つが閾値よりも小さい(即ち、信号品質が不良である)と判定した場合、受信側装置120は、フレーム200を復号化するための十分な情報を完全に受信した、例えば、既にパリティコード330を完全に受信したと判定するまで、フレーム200を持続的に受信する。受信側装置120は、まずパリティコード330を利用してフレーム200を訂正し、即ち、パリティコード330を利用してTMCC情報320を訂正する。続いて、受信側装置120は、訂正されたTMCC情報320(又は、現在の情報フィールド322)に基づいてフレーム200を復号化するとともに通信チャンネル130に対してチャンネル推定を行う。
【0019】
以上から分かるように、信号品質が良好である場合、受信側装置120は、現在の情報フィールド322を受信した後に復号動作を早めに開始することで、使用者の感じた操作の遅れを低減させる。例えば、
図3に示すように、現在の情報フィールド322の最後のビットが第n1ビットであり、TMCC信号26の最後のビットが第N-1ビットである場合、受信側装置120が1つの周波数ビンの信号を復号化することで節約された時間は、[(N-1)-n1]×Tとして表すことができ、Tは、OFDMシンボル22
0~22
N-1のそれぞれの時間の長さを代表する。
【0020】
一実施例において、TMCC信号26の最後のビットが第203ビットであり、現在の情報フィールド322の最後のビットが第66ビットであり、且つOFDMシンボル220~22N-1のそれぞれの時間の長さが1.26ミリ秒である場合、受信側装置120において1つの周波数ビンに対して節約された時間は、約172.6ミリ秒である。この場合、使用者が、デジタル無線テレビ信号の合計100個のチャンネルにチャンネルスキャン操作を行うように受信側装置120を操作すれば、受信側装置120において、チャンネルスキャン操作で約17.26秒を大幅に節約することができる。当業者は、電波産業会により出版されたSTD-B31標準から上記計算されたパラメータ設定を知ることができ、ここでその説明を省略する。いくつかの実施例において、信号品質を判定するために、受信側装置120は、現在の情報フィールド322以外の他の情報を伝送するための他のビットの信号対雑音比を検出してもよく、本開示は、現在の情報フィールド322に対応する複数のビットの信号対雑音比の検出に限定されないことに留意されたい。
【0021】
図4は、本開示の実施例による受信側装置120を簡略化した後の機能ブロック図である。受信側装置120は、計算回路410と、受信回路420と、チャンネル推定ユニット430と、前方エラー訂正ユニット440と、を備え、計算回路410は、受信回路420、チャンネル推定ユニット430及び前方エラー訂正ユニット440に結合される。受信回路420は、通信チャンネル130における複数のキャリアを受信するとともに処理することに用いられ、例えば、受信したキャリアに対してアナログからデジタルへの変換、フィルタリング及びサンプリングを行う。受信回路420は、更に、サンプリング結果を計算回路410に伝送することに用いられる。計算回路410は、フレーム同期化を達成したか否かを判定することに用いられ、且つ、信号対雑音比と閾値を比較することに用いられて、早めに復号化するか否かを決定する。チャンネル推定ユニット430及び前方エラー訂正ユニット440は、それぞれ通信チャンネル130に対してチャンネル推定を行うとともに複数のフレームに対して前方エラー訂正を行うために計算回路410によってイネーブルされるように設定される。
【0022】
いくつかの実施例において、受信側装置120は、TMCC情報320に基づいてフレーム200を復号化してオーディオデータ及びビデオデータを得ることに用いられ、且つ、オーディオデータ及びビデオデータに基づいて出力信号OUTを生成することに用いられる。受信側装置120は、更に、出力信号OUTをオーディオ/ビデオ復号回路401(例えば、表示制御用チップ)に伝送することに用いられる。
【0023】
いくつかの実施例において、計算回路410は、シングルチップ又はマルチチッププロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ又はデジタル信号プロセッサによって実現されてよい。チャンネル推定ユニット430及び前方エラー訂正ユニット440は、非一時的なコンピュータ可読媒体(図示せず)に記憶されたプログラムであってもよく、且つ、計算回路410によってアクセスされて実行されてもよい。又は、チャンネル推定ユニット430及び前方エラー訂正ユニット440は、デジタル論理回路又はデジタル論理回路とプログラムとの組み合わせによって実行されてもよい。
【0024】
図5は、本開示の実施例による通信システムの復号加速方法500のフローチャートである。受信側装置120(又は計算回路410)が非一時的なコンピュータ可読媒体における複数のコンピュータ実行可能な命令を実行すると、受信側装置120(又は計算回路410)は、通信システムの復号加速方法500を実行する。いくつかの実施例において、受信側装置120は、デジタル無線テレビのチャンネル切り替え操作又はチャンネルスキャン操作を行うように、通信システムの復号加速方法500を実行することができる。
【0025】
まず、受信側装置120は、ステップS510及びS520において、送信置110からの現在のフレーム(例えば、前記OFDMフレーム200)を処理する。受信側装置120は、ステップS510において、送信チャンネル130を介して複数の送信側信号を受信するとともに、複数の送信側信号にアナログからデジタルへの変換及びサンプリングを行うことで、現在のフレームを得て、現在のフレームにおける複数のキャリア(例えば、
図3におけるK個のキャリア)は、TMCC情報320を伝送することに用いられる。ステップS520において、受信側装置120は、同期信号310に基づいて受信側装置120と送信側装置110がフレーム同期化しているか否かを判定する。そうであれば、受信側装置120は、引き続きステップS530を実行して、同期信号310の後に伝送されるTMCC情報320に対してデータ処理を行う。そうでなければ、受信側装置120は、同期信号310の後に伝送される情報を破棄してよく、且つ、ステップS510を再び実行してよい。
【0026】
ステップS530において、受信側装置120は、現在のフレームにおける連続的な複数のOFDMシンボルの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であるか否かを判定する。詳細には、受信側装置120は、連続的な複数のOFDMシンボルに基づいてTMCC情報320を伝送するための複数のキャリアの複数のビットの複数の信号対雑音比がいずれも閾値以上であるか否かを判定し、前記複数のビットは、一実施例において現在の情報フィールド322を伝送することに用いられるが、本開示は、これらに限定されない。そうであれば、受信側装置120は、引き続きステップS540を実行する。そうでなければ、受信側装置120は、引き続きステップS550を実行する。
【0027】
ステップS540にいて、受信側装置120は、現在のフレーム(即ち、TMCC情報320を含むフレーム)を早めに復号化するために必要な情報フィールドを完全に受信したか否かを判定し、例えば現在の情報フィールド322を完全に受信したか否かを判定する。そうであれば、受信側装置120は、ステップS560を実行して、現在のフレームを早めに復号化するとともに通信チャンネル130に対してチャンネル推定を早めに行う。そうでなければ、受信側装置120は、ステップS510を再び実行してよい。
【0028】
一方、ステップS550である(即ち、ステップS530において「いいえ」である)場合、受信側装置120は、現在のフレーム(即ち、TMCC情報320を含むフレーム)を復号化するために必要な情報フィールドを完全に受信したか否かを判定し、例えばパリティコード330を完全に受信したか否かを判定する。そうであれば、受信側装置120は、ステップS570を実行して、パリティコード330を利用してTMCC情報320を訂正し、受信側装置120は、ステップS570が終了した後にステップS560を実行して、訂正されたTMCC情報320に基づいて現在のフレームを復号化するとともに通信チャンネル130に対してチャンネル推定を行う。一方、ステップS550の判定「いいえ」である場合、受信側装置120は、ステップS510を再び実行して、現在のフレームを受信し続けてよい。
【0029】
いくつかの実施例において、ステップS520の判定「いいえ」である場合、受信側装置120は、ステップS520の実行が所定の回数に達したか否かを別途判定する。所定の回数に達した場合、受信側装置120は、現在の周波数ビンの複数のキャリアの受信を停止するとともに、別の周波数ビンの複数のキャリアの受信に切り替える。逆に、受信側装置120は、ステップS510を再び実行してよい。一実施例において、受信側装置120は、チャンネルスキャン操作を実行する際にこの別途の判定を実行してよいが、チャンネル切り替え操作を実行する際にこの別途の判定を実行する必要がない。
【0030】
以上から分かるように、通信システムの復号加速方法500を実行することで、信号品質が良好である時に復号動作を早めに開始して、使用者の感じた操作の遅れを低減させることができる。
【0031】
明細書及び特許請求の範囲において、特定の用語は、特定の素子を指摘するために使用されている。しかしながら、当業者であれば、同じ素子が異なる用語で呼ばれる可能性があることは、理解すべきである。明細書及び特許請求の範囲は、名称の差異で素子を区別するわけではなく、素子の機能上の差異を区別の基準とするものである。明細書及び特許請求の範囲において言及された「含む」は、開放的な用語であるため、「…を含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである。また、「結合」は、ここで、全ての直接又は間接の接続手段を含む。従って、明細書において第1の素子が第2の素子に結合されると記述されている場合、第1の素子は、電気的接続、又は無線伝送、光学伝送などの信号接続方法によって、第2の素子に直接接続され、或いは、他の素子又は接続手段によって当該第2の素子に間接的に電気的又は信号的に接続されてもよいことを代表する。
【0032】
ここで使用される「及び/又は」の説明方法は、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数の任意の組み合わせを含む。また、明細書において特に明記されていない限り、任意の単数形の用語は、全て複数形の意味を同時に含む。
【0033】
以上は、本開示の好ましい実施例に過ぎず、本開示の請求項に基づいて行われた均等の変化や修飾は、いずれも本開示の範囲内に含まれている。
【符号の説明】
【0034】
100 通信システム
110 送信側装置
120 受信側装置
130 通信チャンネル
200 フレーム
220~22N-1 OFDMシンボル
24 サブキャリア
26 TMCC信号
310 同期信号
320 TMCC情報
322 現在の情報フィールド
324 次の情報フィールド
330 パリティコード
410 計算回路
420 受信回路
430 チャンネル推定ユニット
440 前方エラー訂正ユニット
401 オーディオ/ビデオ復号回路
OUT 出力信号
500 通信システムの復号加速方法
S510~S570 ステップ