(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】情報処理装置用の駆動装置及びマルチタッチ機能を利用した情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230525BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G06F3/041
G06F3/041 590
G06F3/044 Z
(21)【出願番号】P 2022024789
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2018146343の分割
【原出願日】2010-09-16
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2009270930
(32)【優先日】2009-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 発行者名:株式会社日刊工業新聞社 刊行物名:日刊工業新聞(第20940号) 発行年月日:平成22年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】509329121
【氏名又は名称】山本 高司
(73)【特許権者】
【識別番号】510216968
【氏名又は名称】株式会社GOCCO.
(74)【代理人】
【識別番号】100103023
【氏名又は名称】萬田 正行
(72)【発明者】
【氏名】山本 高司
(72)【発明者】
【氏名】森 誠之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇司
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-505209(JP,A)
【文献】特表2008-528226(JP,A)
【文献】特開平03-282921(JP,A)
【文献】国際公開第2008/050468(WO,A1)
【文献】特開2008-305290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の複数の指が、当該複数の指と同一数の所定の複数の接触領域に同時に接触することにより、前記複数の指により前記複数の接触領域を同時に接触したときの動作である所定のマルチタッチ動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対向配置される面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に所定の配置態様で配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに同時に接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなる平面的構成であり、
前記複数の接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記マルチタッチディスプレイに同時に接触状態又は略接触状態となることで、前記配置態様に応じたマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させ、
前記複数の接触部は、前記マルチタッチディスプレイのマルチタッチ動作のために前記接触領域の数が前記所定の複数となるように設定され、かつ、前記複数の接触領域が所定の配置態様となるよう前記複数の接触領域の各々の位置が設定されている場合において、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける前記複数の接触領域に対向する位置にそれぞれ配置され、前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ接触状態又は略接触状態となることで、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対して、前記複数の接触領域の各々に人の指を同時に接触した場合と同一のマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させ、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項2】
人の複数の指が、当該複数の指と同一数の所定の複数の接触領域に同時に接触することにより、前記複数の指により前記複数の接触領域を同時に接触したときの動作である所定のマルチタッチ動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対向配置される面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなり、
前記接触部は、前記マルチタッチディスプレイのマルチタッチ動作のために前記接触領域の数が前記所定の複数となるように設定され、かつ、前記複数の接触領域が所定の配置態様となるよう前記複数の接触領域の各々の位置が設定されている場合において、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける前記複数の接触領域に対向する位置にそれぞれ配置され、前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ接触状態又は略接触状態となることで、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対して、前記複数の接触領域の各々に人の指を同時に接触した場合と同一のマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させ、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項3】
人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなり、
前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させ、
更に、前記ベース部において前記接触部と離間した部位に配設され、前記接触部の表面の面積の合計面積よりも大きな表面積を有する電荷蓄積部を備え、前記電荷蓄積部を前記導通部により前記接触部と導通し、
前記電荷蓄積部は、その厚さ方向一側の表面の面積が、前記接触部が前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となったときに、当該マルチタッチディスプレイの駆動のための静電容量変化に必要な最低量の電荷を受容して蓄積できる面積である駆動用最小面積以上の面積となるよう、前記ベース部に配設され、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項4】
人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなり、
前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させ、
更に、前記ベース部の一部の面であって前記接触部と離間した部位に配設される導電体からなる一つの露出部を備え、前記一つの露出部を前記導通部により前記複数の接触部の全てと導通し、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項5】
人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなり、
前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させ、
前記ベース部は、シート状をなし、前記対向面を有する第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分とを有し、
前記ベース部の第1の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイに対向配置され、
前記ベース部の第2の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイの外側に配置され、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項6】
人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、
前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、
前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備え、
前記導電パターン部は、
前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、
前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備え、
前記導電パターン部は、前記複数の接触部及び前記導通部を前記ベース部の対向面に面状に一体形成してなり、
前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させ、
前記ベース部は、シート状をなし、前記対向面を有する第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分とを有し、
前記ベース部の第1の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイに対向配置され、
前記ベース部の第2の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイの外側に配置され、
更に、前記ベース部の第2の部分に配設される導電体からなる露出部を備え、前記露出部を前記導通部により前記接触部と導通し、
前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなることを特徴とする情報処理装置用の駆動装置。
【請求項7】
前記導電パターン部は、導電性インク又は導電性塗料からなる導電性塗膜材料を使用して、前記導通部及び前記接触部を、前記ベース部のベース表面に印刷技術を含む塗膜形成技術により一体形成したものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の情報処理装置用の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置と対をなす別個独立(別体)の駆動装置を情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触させることで、情報処理装置に所望の情報処理を実行させるマルチタッチ機能を利用した情報処理システムに関し、特に、当該情報処理装置用の駆動装置、及び、当該情報処理装置及び駆動装置を備えた情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用者が指を触れることにより種々の処理を実行するタッチパネル式情報処理装置が開発され、特に、最近では、複数点を同時に指で接触可能として、より多彩な内容の処理を実行するマルチタッチディスプレイ(マルチタッチスクリーンまたはマルチタッチパネルとも呼ばれる)を備えた情報処理装置が普及してきている。かかるマルチタッチディスプレイ付き情報処理装置としては、典型的には、アップルインコーポレイテッド社の商品名iPhone(商標「iPhone」はアイホン株式会社の登録商標)がある。なお、マルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置(マルチタッチディスプレイ付き情報処理装置)に関しては、特許文献1に開示がある(内容量が膨大なため具体的な開示内容について発明者は了知していない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来のタッチパネル式情報処理装置では、指またはタッチペンでディスプレイの所定箇所を直接触れること(いわゆる、シングルポインティング)により、情報処理装置に所定の処理(以下、「シングルポインティング動作」ということがある。)を実行させることが一般的である。一方、マルチタッチディスプレイ付き情報処理装置では、シングルポインティング動作に加えて、マルチタッチディスプレイの複数の位置に複数の指を同時に接触すること(以下、「マルチタッチ」ということがある。)により、或いは、かかる複数の指の接触状態を維持しながらそれらの指を任意の方向に移動すること(かかる動作は一般に「ジェスチャ」と呼ばれる。)により、接触点の数及び位置や移動軌跡に応じた種々の処理を実行することができるようになっている。
【0005】
しかし、マルチタッチディスプレイの接触位置が複数指定されている場合において、特にマルチタッチディスプレイが小型の場合、それら複数の接触位置に使用者が複数の指を正確に接触することは面倒或いは困難な場合があり、複数の指の接触による迅速かつ確実な処理を行うという点では大きく改善する余地がある。また、マルチタッチディスプレイ付き情報処理装置を使用したマルチタッチによる情報処理内容としては、多種多彩なものを考えることができ、この意味からも、マルチタッチを現状と比べて簡単かつ確実に行える装置を提供することができれば、マルチタッチディスプレイ付き情報処理装置の有用性を大幅に向上することができると期待できる。更に、このような装置を提供することで、マルチタッチディスプレイ付き情報処理装置自体に新たな機能や用途を追加したり、従前の機能を大幅に改善したりすることも期待できる。
【0006】
そこで、本発明は、静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に対して、当該情報処理装置と対をなす別個独立の駆動装置を組み合わせることで、マルチタッチディスプレイでのマルチタッチを簡単かつ確実に行うことができるようにし、小型のマルチタッチディスプレイの場合でも、所定の複数の接触位置に的確かつ複数同時に指を接触させた場合と同様のマルチタッチ機能を実現することができるようにする情報処理システム用の駆動装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第1の観点によれば、人の複数の指が、当該複数の指と同一数の所定の複数の接触領域に同時に接触することにより、前記複数の指により前記複数の接触領域を同時に接触したときの動作である所定のマルチタッチ動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対向配置される面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に所定の配置態様で配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに同時に接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記複数の接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記マルチタッチディスプレイに同時に接触状態又は略接触状態となることで、前記配置態様に応じたマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させる。前記複数の接触部は、前記マルチタッチディスプレイのマルチタッチ動作のために前記接触領域の数が前記所定の複数となるように設定され、かつ、前記複数の接触領域が所定の配置態様となるよう前記複数の接触領域の各々の位置が設定されている場合において、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける前記複数の接触領域に対向する位置にそれぞれ配置され、前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ接触状態又は略接触状態となることで、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対して、前記複数の接触領域の各々に人の指を同時に接触した場合と同一のマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させる。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0008】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第2の観点によれば、人の複数の指が、当該複数の指と同一数の所定の複数の接触領域に同時に接触することにより、前記複数の指により前記複数の接触領域を同時に接触したときの動作である所定のマルチタッチ動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対向配置される面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記接触部は、前記マルチタッチディスプレイのマルチタッチ動作のために前記接触領域の数が前記所定の複数となるように設定され、かつ、前記複数の接触領域が所定の配置態様となるよう前記複数の接触領域の各々の位置が設定されている場合において、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける前記複数の接触領域に対向する位置にそれぞれ配置され、前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ接触状態又は略接触状態となることで、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対して、前記複数の接触領域の各々に人の指を同時に接触した場合と同一のマルチタッチ動作に対応する所定の処理を実行させる。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0009】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第3の観点によれば、人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させる。更に、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、前記ベース部において前記接触部と離間した部位に配設され、前記接触部の表面の面積の合計面積よりも大きな表面積を有する電荷蓄積部を備え、前記電荷蓄積部を前記導通部により前記接触部と導通する。前記電荷蓄積部は、その厚さ方向一側の表面の面積が、前記接触部が前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となったときに、当該マルチタッチディスプレイの駆動のための静電容量変化に必要な最低量の電荷を受容して蓄積できる面積である駆動用最小面積以上の面積となるよう、前記ベース部に配設される。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第4の観点によれば、人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させる。更に、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、前記ベース部の一部の面であって前記接触部と離間した部位に配設される導電体からなる一つの露出部を備え、前記一つの露出部を前記導通部により前記複数の接触部の全てと導通する。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第5の観点によれば、人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させる。前記ベース部は、シート状をなし、前記対向面を有する第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分とを有する。前記ベース部の第1の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイに対向配置される。前記ベース部の第2の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイの外側に配置される。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0012】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、第6の観点によれば、人の指または指相当物が所定の接触領域に接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用される情報処理装置用の駆動装置であって、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する面形状の対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部に設けられる導電パターン部とを備える。前記導電パターン部は、前記ベース部の対向面に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイに接触状態または略接触状態となる複数の接触部と、前記接触部相互を導通する導電体からなる導通部とを備える。前記接触部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイにおける複数の接触領域に対応する位置に配置され、その配置態様に応じて、前記情報処理装置に対応する所定の処理を実行させる。前記ベース部は、シート状をなし、前記対向面を有する第1の部分と、前記第1の部分以外の第2の部分とを有する。前記ベース部の第1の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイに対向配置される。前記ベース部の第2の部分は、前記対向面を前記マルチタッチディスプレイに重ね合わせたときに当該マルチタッチディスプレイの外側に配置される。更に、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、前記ベース部の第2の部分に配設される導電体からなる露出部を備え、前記露出部を前記導通部により前記接触部と導通する。前記ベース部は、紙基材又は合成樹脂基材を含むシート状素材からなる。
【0013】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、上記のいずれかの構成において、前記導電パターン部は、導電性インク又は導電性塗料からなる導電性塗膜材料を使用して、前記導通部及び前記接触部を、前記ベース部のベース表面に印刷技術を含む塗膜形成技術により一体形成したものであるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る駆動装置及び情報処理システムによれば、静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に対して、当該情報処理装置と対をなす別個独立の駆動装置を組み合わせることで、マルチタッチディスプレイでのマルチタッチを簡単かつ確実に行うことができるようにし、小型のマルチタッチディスプレイの場合でも、所定の複数の接触位置に的確かつ複数同時に指を接触することができるようにすると共に、簡単な構成でマルチタッチディスプレイの所定の接触検知領域を静電的に確実に所望のマルチタッチ機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係る情報処理システムの駆動装置の構造を断面的に見て概略的に示す側面図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係る情報処理システムの駆動装置を手により把持して情報処理装置のマルチタッチディスプレイに押し当てる(スタンプする)状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態1に係る情報処理システムの駆動装置の底面側(ベース部の対向面側)の接触部の配置例を示す底面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態1に係る情報処理システムで使用する情報処理装置(携帯機器としてのモバイル端末)を示し、(a)は情報処理装置のマルチタッチディスプレイの駆動装置スタンプ時の実際の表示画面を示す平面図、(b)は情報処理装置のマルチタッチディスプレイの接触領域としてのボタンの配置例を示す平面図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態1に係る情報処理システムを使用して情報処理装置に所定の情報処理(コンテンツ表示処理)を実行させる情報処理プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態1に係る情報処理プログラムによる情報処理装置の画面表示の一例を示し、(a)は
図4(a)の表示状態の情報処理装置のマルチタッチディスプレイに駆動装置をスタンプすることによりマルチタッチディスプレイに所定のコンテンツを表示した場合を示す平面図、(b)は
図4(a)の状態の情報処理装置のマルチタッチディスプレイでリストアイコンを直接指により接触してマルチタッチディスプレイに対応するリスト画面を表示した場合を示す平面図である。
【
図7】
図7は
図6(a)の表示状態の情報処理装置のマルチタッチディスプレイでリストアイコンを直接指により接触してマルチタッチディスプレイに対応するリスト画面(コンテンツ閲覧済みのアイコン表示付)を表示した場合を示す平面図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態2に係る情報処理システムを概略的に示し、(a)は底面図、(b)は側面図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態2に係る情報処理システムを使用する場合の情報処理装置のマルチタッチディスプレイの初期画面(スタンプ用画面)を概略的に示す説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態3に係る情報処理システムの使用例を概略的に示す説明図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態3に係る情報処理システムを設置物の設置面(壁面等の垂直面)へ固定した状態を示し、(a)は情報処理装置を駆動装置に近接した状態を概略的に示す側面図、(b)は情報処理装置のマルチタッチディスプレイを駆動装置の対向面(接触部側)に押し当てた状態を概略的に示す側面図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態4に係る情報処理システムを使用した情報処理プログラム(コンテンツ表示プログラム)における個々の来場者の属性データ管理の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態4に係る情報処理システムを使用した情報処理プログラム(コンテンツ表示プログラム)における全体の来場者の属性データ管理の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態4に係る情報処理システムを使用した情報処理プログラム(コンテンツ表示プログラム)における全体の来場者の属性データ管理の別の例を示す説明図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態4に係る情報処理システムを使用した情報処理プログラム(コンテンツ表示プログラム)における全体の来場者の属性データ管理の更に別の例を示す説明図である。
【
図16】
図16は本発明の実施の形態5に係る情報処理システムにおいて、自立設置型(スタンド型)の駆動装置の対向面(接触部側)に情報処理装置のマルチタッチディスプレイを押し当てた状態を概略的に示す側面図である。
【
図17】
図17は本発明の実施の形態6に係る情報処理システムにおいて、自立設置型(据え置き型)の駆動装置の対向面(接触部側)に情報処理装置のマルチタッチディスプレイを押し当てた状態を概略的に示す側面図である。
【
図18】
図18は本発明の実施の形態7に係るカバー式の情報処理システムの駆動装置を示し、(a)は駆動装置を情報処理装置の裏面側に装着した状態を側面から見て概略的に示す説明図、(b)は駆動装置を情報処理装置の表面側に装着してマルチタッチディスプレイに押し当てる状態を側面から見て概略的に示す説明図である。
【
図19】
図19は本発明の実施の形態7に係るカバー式の情報処理システムの駆動装置を示す平面図(表面側から見た図)である。
【
図20】
図20は本発明の実施の形態7に係るカバー式の情報処理システムの駆動装置を示す底面図(裏面側から見た図)である。
【
図21】
図21は本発明の実施の形態7に係るカバー式の情報処理システムの駆動装置を情報処理装置の表面側に装着した状態を示す平面図である。
【
図22】
図22は本発明の実施の形態8に係る模擬ギター動作用の情報処理システムの駆動装置を示し、(a)は駆動装置を情報処理装置に装着した状態(駆動装置の装着部により情報処理装置のマルチタッチディスプレイのボタン部分を遮蔽した状態)を示す平面図、(b)は(説明の便宜上)(a)の装着状態において駆動装置の装着部部分を省略して描画することにより情報処理装置のマルチタッチディスプレイのボタン部分を表した平面図である。
【
図23】
図23は本発明の実施の形態8に係る模擬ギター動作用の情報処理システムの駆動装置の使用例(ギターのコード表)をそれぞれ示す説明図であり、(a)はギターのCコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の(指による)押圧箇所、(b)はギターのAコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の押圧箇所、(c)はギターのDコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の押圧箇所、(d)はギターのGコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の押圧箇所、(e)はギターのEコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の押圧箇所、(f)はギターのFコードを情報処理装置に演奏動作させる場合の押圧箇所を示す。
【
図24】
図24は本発明の実施の形態8に係る模擬ギター動作用の情報処理システムの駆動装置により駆動される情報処理装置の表示画面において(説明の便宜上)ボタン配置領域を表示する(実際はボタンは非表示とされ他の画像が代わりに表示される)平面図である。
【
図25】
図25は本発明の実施の形態9に係るキーボード動作用の情報処理システムの駆動装置を情報処理装置に装着した状態を示す平面図である。
【
図26】
図26は本発明の実施の形態9に係るキーボード動作用の情報処理システムの駆動装置により駆動される情報処理装置の表示画面においてキー配置領域を表示する平面図である。
【
図27】
図27は本発明の実施の形態9に係るキーボード動作用の情報処理システムの駆動装置を情報処理装置に装着した状態を側面から見て概略的に示す説明図であり、一点差線で示す円内に要部(駆動装置の接触部のマルチタッチディスプレイへの接触部分)を拡大して示す。
【
図28】
図28は本発明の実施の形態10に係るゲーム動作用の情報処理システムの駆動装置の第1の例を示し、(a)は駆動装置を使用してゲーム動作を実行する情報処理装置のコントロールキー及びコントロールボタンの配置例を示す平面図、(b)は駆動装置を情報処理装置に装着した状態を示す平面図である。
【
図29】
図29は本発明の実施の形態10に係るゲーム動作用の情報処理システムの駆動装置の第2の例を示し、(a)は駆動装置を使用してゲーム動作を実行する情報処理装置のコントロールキー及びコントロールボタンの配置例を示す平面図、(b)は駆動装置を情報処理装置に装着した状態を示す平面図である。
【
図30】
図30は本発明の実施の形態10に係るゲーム動作用の情報処理システムの駆動装置の第3の例を示し、(a)は駆動装置を使用してゲーム動作を実行する情報処理装置のコントロールキー及びコントロールボタンの配置例を示す平面図、(b)は駆動装置を情報処理装置に装着した状態を示す平面図である。
【
図31】
図31は本発明の実施の形態11に係る情報処理システムを構成する情報処理装置及び駆動装置を概略的に示す平面図である。
【
図32】
図32は本発明の実施の形態11に係る情報処理システムの駆動装置を示し、(a)は駆動装置の導電部を遮蔽する遮蔽ステッカーを剥離した状態を示す内部構造図、(b)は遮蔽ステッカーにより導電部を遮蔽した状態(使用状態)を示す斜視的な外観図である。
【
図33】
図33は本発明の実施の形態11に係る情報処理システムの情報処理装置及び駆動装置の関係(主に相互の寸法関係)を示す説明図としての平面図である。
【
図34】
図34は本発明の実施の形態12に係る情報処理システムの情報処理装置及び駆動装置の関係(主に相互の寸法関係)を示す説明図としての平面図である。
【
図35】
図35は本発明の実施の形態13に係る情報処理システムを構成する情報処理装置及び駆動装置を概略的に示すと共に、駆動装置の遮蔽ステッカーを剥離して導電部等の内部構造を示す斜視図である。
【
図36】
図36は本発明の実施の形態14に係る情報処理システムの駆動装置を示す平面図である。
【
図37】
図37は本発明の実施の形態15に係る情報処理システムの駆動装置を接触部側からみて示す平面図である。
【
図38】
図38は本発明の実施の形態15に係る情報処理システムの駆動装置の動作原理を概略的に説明する側面図的な説明図である。
【
図39】
図39は本発明の実施の形態16に係る情報処理システムの駆動装置を示す平面図である。
【
図40】
図40は本発明の実施の形態17に係る情報処理システムの駆動装置を情報処理装置と共に示す側面図である。
【
図41】
図41は本発明の実施の形態18に係る情報処理システムの駆動装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0017】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係る情報処理システムは、使用者である人の指が接触することにより所定の動作を行うマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置と、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触して、当該情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる駆動装置とを備える。また、駆動装置は、情報処理装置に実装乃至格納された所定のプログラムに応じた所定の情報処理やイベント等の動作を開始或いは駆動するためのものでる。なお、本発明の情報処理装置のマルチタッチディスプレイは、静電容量方式のマルチタッチセンサーを備えたものであり、具体的には、液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイにシート状の静電容量方式マルチタッチセンサーを積層したものである。この種のマルチタッチディスプレイは、マルチタッチパネルまたはマルチタッチスクリーンとも呼ばれ、また、単に、タッチディスプレイ、タッチパネルまたはタッチスクリーンとも呼ばれる。典型的には、この種のマルチタッチディスプレイは、いわゆる投影型静電容量方式タッチスクリーンセンサーを典型とする静電容量方式タッチスクリーンセンサーを備えている。この種のマルチタッチディスプレイは、人の指等の静電的な導電体乃至導通体との静電結合による静電容量の変化を検知して所定の動作を行うものであり、人の指以外にも、人の指に相当する(人の指と同様にマルチタッチディスプレイに接触または略接触状態で静電容量を変化させる)「指相当物」であれば、マルチタッチ動作を行うようになっている。したがって、本発明で使用する用語である「指相当物」には、タッチディスプレイに接触することで、指を直接的に接触した場合と同様のタッチイベント等の所定の処理乃至動作を開始乃至実行させうるすべての物を含む。即ち、本発明では、マルチタッチディスプレイとして、(投影型静電容量式等の)静電容量方式タッチパネルを使用するため、指相当物は、指と同様に、接触または近接によってタッチディスプレイの静電容量を変化させうる物体(静電的な導通体)であればよい。
【0018】
詳細には、実施の形態1の情報処理システムの駆動装置20は、マルチタッチディスプレイの接触領域が、当該マルチタッチディスプレイの所定領域内に離間配置された3個以上の複数の接触領域(ボタンやキー等)からなる情報処理装置(通常は、携帯通信機器・端末や携帯情報機器・端末)に適用される。
図1~
図3に示すように、駆動装置20は、PC(パーソナルコンピュータ)用のマウスと同様の全体形状となるブロック状をなし、ベース部21,24,25及び駆動部22,23,26を備えている。ベース部21は、電気絶縁体からなると共に、マルチタッチディスプレイの表示領域の面形状(通常は矩形状)に対応する面形状の対向面(
図1中の下面となる平坦面)を有している。即ち、ベース部21,24,25の対向面は、通常は、平坦面、即ち、平坦状の当接面であって、マルチタッチディスプレイの表示領域に対向配置される面である。より詳細には、ベース部は、把持部21、保持部24及び絶縁部25からなる。また、駆動部は、露出部22、導通部23及び接触部26からなる。把持部21は、駆動装置20の上側の主要部分を占める略マウス形状の絶縁材料(例えば、導電性樹脂等を除く通常の合成樹脂やゴム等の絶縁材料)からなるブロック状をなす。また、保持部24は、把持部21の下面となる平坦面と同一外形の平板状をなし、当該平坦面に密接して接着等により接合固定される。保持部24は、針状のものを穿刺自在な絶縁材料としての発泡合成樹脂材料や絶縁性有機質材料からなる。一方、保持部24の下面の平坦面には、当該平坦面と同一外形の平板状をなす導通部23が、当該平坦面に密接して接着等により接合固定される。導通部23は、導電性材料(アルミニウム等の金属材料)からなる。また、導通部23の下面の平坦面には、当該平坦面と同一外形の平板状をなす絶縁部25が、当該平坦面に密接して接着等により接合固定される。絶縁部25も、把持部21と同様の絶縁材料からなる。これにより、把持部21、保持部24及び絶縁部25からなるベース部は、人の手で(掌及び指を丸めて)把持自在な形状であって、情報処理装置のマルチタッチディスプレイに対応する(好ましくは、略同一外形の)ブロック形状をなしている。
【0019】
駆動部の露出部22は、ベース部の底面に設けられてマルチタッチディスプレイと同一外形とされた対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなる。露出部22は、人の指先の面積以上の面積を有する露出面を有している。露出部22の露出面は、好ましくは、使用者が手でベース部を把持したときに自然とその指(特に親指)が触れるベース部の側面の下側領域に設けるが、掌が触れるベース部の上面付近に設けることも可能である。接触部26は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面においてマルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体からなる。詳細には、接触部26は、所定外形(円形、矩形等)の平板状をなす頭部と、頭部の中心から直交して軸方向に延設されるよう頭部に一体形成された針状の穿刺部とからなる(いわゆる押しピンと同様の形状をなしている)。接触部26の穿刺部は、絶縁部25を貫通して導通部23に穿刺され、まず、導通部23と電気的に導通している。また、接触部26の穿刺部は、更に保持部24に穿刺され、保持部24により抜止状態で定位置に保持されている。更に、穿刺部は、保持部24をも貫通して導通部としても機能する露出部22に穿刺され、露出部22とも電気的に導通している。この場合、露出部22は、
図1に示すような半楕円形状の露出面を有すると共に、当該露出面からベース部の内部へと延設されるブロック状とする。或いは、露出部22は、
図1に示すような半楕円形状の金属箔乃至金属フィルムをベース部の側面の所定領域に接着等により貼付固定して形成してもよい。この場合、露出部22の下縁部を導通部23の側面を覆うように当該側面に密接して(導電性接着材等によって)貼付固定し、露出部22から導通部23への電気的導通を確保する必要があるが、接触部26の穿刺部を露出部22まで延設して穿刺する必要はない。一方、露出部22を上記のように露出面からベース部の内部へと延設されるブロック状とした場合、露出部22の下縁部を導通部23の側面を覆うように当該側面に密接する必要はない。
【0020】
接触部26の頭部は、例えば、マルチタッチディスプレイにソフトウエア的に設定配置される接触領域としてのボタンやキーに対応して、当該ボタンやキーに密接自在な平坦面形状(例えば、円盤状、矩形板状等)を有している。また、接触部26の頭部は、前記絶縁部25に頭部に対応する円形凹部を形成する等によって完全に埋設され、頭部の露出面である表面(下面)が絶縁部25の表面(下面)と面一になるように配置されている。なお、接触部26の数は、マルチタッチディスプレイの接触領域と同一数の2以上(接触領域の全数)の場合もあり、接触領域の全数のうちの一部の複数(2以上の数)の場合もある。接触部26は、前記ベース部21の対向面をマルチタッチディスプレイに接近または当接させたときに、マルチタッチディスプレイの対応する接触領域にそれぞれ面的に接触状態または略接触状態(静電容量の変化を発生することができる距離まで接近した状態)となり、情報処理装置に対して当該接触領域に固有のイベントを発生させる。即ち、接触部26は、マルチタッチディスプレイの接触領域を駆動可能な面積を有する。また、接触部26は、同時駆動(マルチタッチ)する接触領域の数と同一数となる複数設けられる。例えば、マルチタッチで2個の接触領域を駆動する場合(2点タッチの場合)、2個の接触部26が配設される。なお、接触部26の数は、情報処理装置の能力により決定される最大マルチタッチ数(接触点数)に応じて決定され、例えば、最大接触点数が5点(5点タッチ)であれば5つの接触部26を配設することができる。
【0021】
実施の形態1の駆動装置20は、例えば、
図4(b)に示すように、情報処理装置10として、基部11の主要面積を占めるマルチタッチディスプレイ12を備えるものに適用することができる。この場合、マルチタッチディスプレイ12は、4行3列の合計12個の矩形状(角丸正方形状)のボタン13を接触領域として設定配置している。また、マルチタッチディスプレイ12は、12個のボタン13のうち、任意の3個の組を構成するボタン13X(例えば、
図4(b)でハッチングをした組み合わせの3個のボタン13X)を同時駆動(マルチタッチ)可能となっている。なお、
図4(b)中、ボタン13Yは、3点タッチされるボタン13X以外のボタンを示す。これに対応して、駆動装置20は、
図3に示すように、3列4行の合計12個の接触部26を、互いに離間した状態で配置できるよう、ベース部の対向面の面積及び寸法(及びこれに対応する絶縁部25の面積及び寸法)を設定している。実施の形態1では、情報処理装置10の3点タッチに対応して、駆動装置20には3個の接触部26が配設される。即ち、マルチタッチディスプレイ12の任意の3個の組を構成するボタン13Xの配置に対応する位置に、3個の接触部26Xの円形の頭部が、絶縁部25の下面から露出した状態で当該下面に密接配置されている。なお、
図3では、駆動装置20の絶縁部25の下面には、3列4行の合計12個の接触部26が描画されているが、これは、情報処理装置10の3点タッチの全ての組み合わせに対応するために必要な接触部26の配置位置(合計12個のボタン13に対応する合計12個の配置)を説明するための便宜上のものであり、実際は、(
図4(b)に示す3点タッチに対応する場合は)
図3中にハッチングで示す3個の接触部26Xのみが配設され、これら以外の接触部26Yは、情報処理装置の他の3点タッチの組み合わせに対応するときに対応する3個のものが使用される(即ち、対応する3か所の位置で絶縁部25に配設される)。
【0022】
更に、実施の形態1の駆動装置20は、前記複数(図の例では3個)の接触部26の全てを完全に遮蔽する(覆う)遮蔽部27をベース部の対向面に配設し、当該複数の接触部26の全てを外部から視認不能としている。遮蔽部27は、絶縁部25の下面に対応する外形の非透明なシート材料乃至フィルム材料からなり、接着等により絶縁部25の下面全体を覆うように貼付される。なお、遮蔽部27は、絶縁材料からなる一方で、接触部26の頭部と前記情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13との間での電気的導通(静電容量の変化)を妨げないような肉薄の薄層状とされている。これにより、絶縁部25の下面と接触部26の下面が面一となった状態で、薄層状の遮蔽部27により完全に覆われて遮蔽され、駆動装置20のマルチタッチディスプレイ12への接触面乃至当接面は、遮蔽部27の表面(下面)となる。そして、駆動装置20の遮蔽部27の下面をマルチタッチディスプレイ12に密接した状態では、露出部26は、遮蔽部27の厚みを隔ててマルチタッチディスプレイ12のボタン13と近接し、ボタン13の駆動作用の点では、密接した場合と同様の略密接状態になっているといえる(即ち、ボタン13部分の静電容量を変化させることができる程度の近接状態となっている)。なお、遮蔽部27を設けない場合は、接触部26がマルチタッチディスプレイ12のボタン13に直接的に密接する。
【0023】
ところで、実施の形態1では、露出部22及び導通部23と複数の接触部26とにより駆動部が構成され、露出部22及び導通部23は、それぞれ、単一の構成(一つの露出部22及び一つの導通部23が複数の露出部26と電気的に導通する構成)となっているが、これらの1以上を接触部26ごとに設ける構成とすることも可能である。この場合、駆動部の数が、上記接触部26の数と同一数となる。
【0024】
このように、実施の形態1の駆動装置20は、接触部26の穿刺部を露出部22まで延設せずに露出部22と直接的に導通しない場合は、ベース部の内部に導通部23を配設し、導通部23により露出部22と接触部26とを間接的に導通することができるようにしているが、上記のとおり、接触部26を露出部22と直接的に導通する場合は導通部23を省略することができる。また、接触部26の頭部をベース部の対向面に絶縁部25を介して配設し、頭部を穿刺部により導通部23と電気的に導通するようにしているが、これ以外にも、プリント配線技術や通常の結線技術を利用して、プリント配線やリード線等の電気的接続部により、接触部26の頭部を導通部23や露出部22と導通してもよい。また、コンダクティプペンや導電トレースペンなどで、前記接触部26に対応する形状(ボタン13が反応する面積の小円形等)の接触部をベース部の対向面に複数(ボタン13の配置態様に対応する配置態様で)形成し、かつ、接触部間を導通する細線状のライン部を形成して、複数の接触部を一つのライン上(一つの導線上)に配置し、更に、そのライン上の一端側の接触部をライン部により前記露出部と導通して、これにより接触部と露出部とを電気的に接続する回路を作成しても上記と同様の作用効果が得られる。その場合、
図1の導通部23、保持部24、絶縁部25及び接触部26は必要としない。この場合、接触部を導通するライン部は、マルチタッチディスプレイ12が(導電体が接触したときに)反応する範囲よりも小さい幅(細さ)に形成する。こうすれば、マルチタッチディスプレイ12がライン部に反応して誤動作することはない。更に、接触部26は、マルチタッチディスプレイ12の接触領域13の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した(即ち、接触領域が3個以上の場合は2個以上となるよう選択した)複数の接触領域に対応する位置に配置されるものであれば、上記以外の任意の数及び配置とすることができる。
【0025】
実施の形態1の駆動装置20は、
図2に示すように、使用者が手Hでベース部の把持部21を把持して、ベース部の対向面を覆う遮蔽部27をマルチタッチディスプレイ12に接近して当接させると、接触部26の頭部がマルチタッチディスプレイ12の対応する接触領域13にそれぞれ面的に接触状態となり、前記複数の接触部26がマルチタッチディスプレイ12の予め選択された複数の接触領域としてのボタン13に(同時に、あるいは、若干のタイムラグを置いて)接触する。このとき、使用者が、駆動装置20を把持したときから(少なくとも、駆動装置20をマルチタッチディスプレイ12に押し当てたときに)、その指を駆動部の露出部22に載置して触れることにより、使用者の指とマルチタッチディスプレイ12の前記選択した複数のボタン13とが、露出部22及び/または導通部23を介して電気的に接続(電気的に導通)する。これにより、使用者の指と接触部26が接触するボタン13との間で電荷が移動して、ボタン13の静電容量が変化し、ボタン13の組み合わせに対応して予め設定された固有の処理を情報処理装置10が実行する。
【0026】
このとき、駆動装置20をマルチタッチディスプレイ12の正確な位置に位置決めできるよう、ベース部(特に把持部21)の前側には、突起部28が一体的に設けられ、突起部28の下面から位置決め突起28aが下方に突出している。位置決め突起28aは、
図2に示すように、情報処理装置10の基部11の上端部中央に設けられた横長スロット状の長孔(例えば、スピーカー用の溝)11aに対応する(好ましくは同一の)外形を有している。そして、位置決め突起28aを情報処理装置10の長孔11aに密に嵌合して係止することにより、駆動装置20をマルチタッチディスプレイの正確な位置に自動的に位置決めできるようになっている。この突起部28は省略してもよい(特に、カバー付の情報処理装置の場合、突起部28が邪魔になる場合があるため、この場合は省略することが好ましい)。また、前記露出部22は、デザイン的に外部から視認することが望ましくない場合、前記遮蔽部27と同様の薄い素材(通電を妨げない素材)で完全に覆うことが可能である。なお、
図4に示す情報処理装置10は、リセットボタン11bを備えている。
【0027】
次に、実施の形態1の駆動装置20を使用して、マルチタッチディスプレイ12を備えたコンピュータとしての情報処理装置10に所定の情報処理手順を実行させる情報処理プログラムについて説明する。この情報処理プログラムは、接触領域配置手順と、表示遮蔽手順と、コンテンツ表示手順とを備えるコンテンツ表示用の情報処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実施することができる。この場合、接触領域配置手順は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12において、ソフトウエア的に設けられる多層構造のレイヤーのうちの第1のレイヤー(例えば、最上位層のレイヤー)の複数の所定領域に、それぞれ、前記接触領域としてのボタンやキー等を設定して互いに離間するよう複数配置する処理を情報処理装置10に実行させる。接触領域配置手順は、例えば、
図4(b)に示すマルチタッチディスプレイ12の配置態様(4行3列)で角丸矩形のボタン13を縦横に設定配置するよう、情報処理装置10を動作させる。ところで、ボタン13を配置するレイヤーは、上記のように第1レイヤーとする(ボタンを配置するレイヤーをコンテンツ画像を表示するレイヤーより上位階層として透明化する)以外にも、ボタンを配置するレイヤーより上位階層のレイヤーにコンテンツ画像を表示して、このレイヤーのコンテンツ画像によりボタンを隠すようにすることもできる。なお、情報処理装置として上記iPhoneを使用した場合、ボタンの上に違うViewをのせるとボタンが反応しなくなるが、同じView上であれば、ボタンの上にimageViewをのせてもボタンは反応する。ここで、マルチタッチディスプレイ12の接触領域を構成するボタン等(いわゆるコントロールの一種)は、一般的な情報処理装置に対応するプログラミング言語や開発ツールを使用して作成し、所望のタイミングでマルチタッチディスプレイ12の所定位置に所定の配置態様で表示するようプログラミングすることができる。例えば、上記iPhoneの場合、Objective-C等のプログラミング言語によりXcode(アップルインコーポレイテッドの商標)等の開発ツールを使用して(例えば、UILabel等の関数を使用して)所望のサイズのボタンを所望の位置に所望の区画及び面積で作成し、所望のタイミングで表示することができる。
【0028】
また、接触領域非表示手順は、マルチタッチディスプレイ12の第1のレイヤーに配置した前記複数の接触領域の全ての画面表示を外部から完全に遮蔽する処理、または、完全に透明化する処理等、接触領域の全てを外部から完全に視認不能とする処理を情報処理装置10に実行させる。例えば、接触領域非表示手順は、
図4(a)に示すように、マルチタッチディスプレイ12の全てのボタン13を非表示とする一方、マルチタッチディスプレイ12に駆動装置の押し当て(即ち、スタンプ乃至押印動作)を促す「(丸枠で囲んだ)印」のイメージ14を表示する。これにより、駆動装置20を押し当てる前の情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12には、イメージ14のみが表示され、ボタン13が外部から視認されることはない。このとき、接触領域非表示手順は、例えば、マルチタッチディスプレイ12のボタン13を描画する第1のレイヤーとは別個の階層のレイヤー(第2のレイヤー)に前記イメージ14を描画するようにし、第1のレイヤーをマルチタッチディスプレイ12の表層側である上位の階層に配置すると共に、第2のレイヤーを第1のレイヤーより下位のレイヤー(裏層側のレイヤー)に配置し、第1のレイヤーの表示プロパティの透明度を100%としてその表示を全て透明化することで、結果的に、第1のレイヤー上のボタン13を透明化して、その下側のイメージ14のみを外部から視認できるようにする処理とすることができる。なお、前記イメージ14は、上記「印」の文字に限らず、前記接触領域としてのボタン13の配置表示とは別個の所定の画像を表示するものであればよく、例えば、単色の画面をマルチタッチディスプレイ12の全域に表示したり、文字列を表示したり、任意の模様や記号等を表示したりすることも可能である。
【0029】
更に、コンテンツ表示手順は、前記マルチタッチディスプレイに配置した複数の接触領域のうち前記選択された複数の接触領域に、前記駆動部の複数の接触部が(通常は同時に或いはほぼ同時に)接触したときに、所定の記憶領域に記憶した複数のコンテンツから、前記選択された複数の接触領域がオンしたときに呼び出されるよう割り当てられた所定のコンテンツを呼び出し、前記マルチタッチディスプレイ12に表示する。このとき、例えば、マルチタッチディスプレイ12のボタン13を配置するレイヤーと異なるレイヤー(ボタン13を第1のレイヤーに配置する場合は、第1のレイヤーより表層側の階層(上位の階層)である第2のレイヤー等)にコンテンツを表示することができるが、同一のレイヤーに表示するようにしてもよい。
【0030】
上記情報処理プログラムによる情報処理手順の一例を
図5のフローチャート及び
図6~
図7の画面図に従って説明する。
まず、情報処理プログラムは、
図5に示すように、STEP1の開始手順で必要な初期化処理を情報処理装置10に実行させ、STEP2でのスタンプ画面表示手順で、
図4(a)に示すスタンプ画面を情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に表示させる。このSTEP2は、上記接触領域配置手順と接触領域非表示手順とを含み、これら接触領域配置手順と接触領域非表示手順により、マルチタッチディスプレイ12にボタン13が所定の配置態様で配置されると共にその非表示化が実行され、更に、マルチタッチディスプレイ12に
図4(a)に示す別個のイメージ14が表示される。また、STEP2のスタンプ画面表示時には、マルチタッチディスプレイ12の所定位置(
図4(a)では下端部)には、「スタンプ」ボタン及び「リスト」ボタンがそれぞれクリック自在に(即ち、指で触れると対応するイベントを発生するように)配置されている。そして、このスタンプ画面で、「リスト」ボタンをクリックすると、STEP3のリスト画面表示手順で、
図6(b)に示すイメージ14が情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に表示される。
図6~
図7は、情報処理装置10に表示するコンテンツの一例として、美術館や博物館等の展示物や当該展示物に関連する情報を表示する場合を示し、
図6(b)のイメージ14は、展示物関連情報をリスト形式で表示するものである。なお、
図6(b)のリスト画面表示時には、マルチタッチディスプレイ12の所定位置(
図6(b)では下端部)には、やはり、「スタンプ」ボタン及び「リスト」ボタンがそれぞれクリック自在に配置されている。そして、このリスト画面で、「スタンプ」ボタンをクリックすると、STEP2のスタンプ画面表示手順に復帰し、
図4(a)に示すイメージ14がマルチタッチディスプレイ12に表示される。なお、STEP2で「スタンプ」ボタンをクリックしたり、STEP3で「リスト」ボタンをクリックしても、画面は変更されない。
【0031】
次に、STEP4の入力手順で、使用者が、駆動装置20を把持して情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12をスタンプする。即ち、使用者が露出部22に指を触れた状態で接触部26をマルチタッチディスプレイ12のボタン13に接触させる。このとき、遮蔽部27を設けている場合は、遮蔽部27を介して接触部26がマルチタッチディスプレイ12のボタン13に上記した略密接状態となる。これにより、駆動装置20が、接触部26によりマルチタッチディスプレイ12の対応するボタン13を駆動する。例えば、
図3に示す3個の接触部26Xが、
図4(b)に示す3個のボタン13Xを駆動する。すると、STEP5のスタンプ判断手順で、スタンプの種類が判断される。即ち、スタンプした駆動装置20の接触部26Xの配置態様(配置数及び配置位置)に対応するマルチタッチディスプレイのボタン13Xの配置態様(配置数及び配置位置)が判断される、その配置態様に割り当てられたコンテンツが、情報処理装置10のコンテンツ格納領域(記憶領域)から呼び出される。そして、呼び出されたコンテンツ(例えば、
図6(a)のコンテンツ)が、STEP6の情報表示手順でマルチタッチディスプレイ12に表示される。なお、
図6(a)のコンテンツ画面表示時には、マルチタッチディスプレイ12の所定位置(
図6(a)では下端部)には、やはり、「スタンプ」ボタン及び「リスト」ボタンがそれぞれクリック自在に配置されている。そして、このコンテンツ画面で、「スタンプ」ボタンをクリックすると、
図4(a)のスタンプ画面が表示される。一方、STEP5のスタンプ判断手順で特定されたコンテンツの情報に基づき、STEP7のアイコン表示処理で、そのコンテンツに対応する前記リスト画面(
図6(b)参照)の欄に、当該コンテンツに対応するアイコンが割り当てられる。そして、
図6(a)のコンテンツ画面で「リスト」ボタンをクリックすると、
図7のリスト画面がマルチタッチディスプレイ12に表示される。
図6(b)の(閲覧前の)リスト画面が全て空欄であるのに対し、
図7のリスト画面では、マルチタッチディスプレイ12のイメージ14としてのリストには、前記表示済みのコンテンツ(例えば、「歴史」コンテンツ)を閲覧したことを示すアイコン(STEP7で割り当てられたアイコン)が、リストの対応する欄に表示される。その後、STEP8の終了手順で全体の処理が終了される。
【0032】
下記は、上記STEP5のスタンプ判断手順の一例、即ち、駆動装置20の接触部26Xによるボタン13Xの駆動(ボタンイベント)に伴う表示処理部分についてのプログラムソースコードである(プログラム言語はObjective-C)。
(以下、ソースコード)
- (void)loop:(NSTimer *)timer
{
// アニメーションの定義開始
[UIView beginAnimations:nil context:nil];
[UIView setAnimationDuration:0.5];
if((num5 == 1)&&(num8 == 1)&&(num3 == 1)){
conL1.alpha = 1; //コンテンツを表示
L1.alpha = 1; //リストボタン表示
Sview.alpha = 0;
Lview.alpha = 0;
AudioServicesPlaySystemSound(soundID);
}
if((num1 == 1)&&(num12 == 1)&&(num7 == 1)){
conL2.alpha = 1; //コンテンツを表示
L2.alpha = 1; //リストボタン表示
Sview.alpha = 0;
Lview.alpha = 0;
AudioServicesPlaySystemSound(soundID);
}
if((num3 == 1)&&(num10 == 1)&&(num4 == 1)){
conL3.alpha = 1; //コンテンツを表示
L3.alpha = 1; //リストボタン表示
Sview.alpha = 0;
Lview.alpha = 0;
AudioServicesPlaySystemSound(soundID);
}
if((num4 == 1)&&(num9 == 1)&&(num6 == 1)){
conL4.alpha = 1; //コンテンツを表示
L4.alpha = 1; //リストボタン表示
Sview.alpha = 0;
Lview.alpha = 0;
AudioServicesPlaySystemSound(soundID);
}
num1 = 0;
num2 = 0;
num3 = 0;
num4 = 0;
num5 = 0;
num6 = 0;
num7 = 0;
num8 = 0;
num9 = 0;
num10 = 0;
num11 = 0;
num12 = 0;
// アニメーションの定義終了、実行
[UIView commitAnimations];
}
(以上、ソースコード)
【0033】
実施の形態2
図8に示すように、実施の形態2の情報処理システムの駆動装置30は、ペットボトルを利用したものである。即ち、本発明者らが様々なもので情報処理装置の静電容量式マルチタッチディスプレイを接触して動作を確認したところ、液体の入っているペットボトルでもマルチタッチディスプレイが反応することを確認した。この場合、ペットボトル内の液体は何でもよく、ケチャップやボンド、洗剤などでも反応した。実施の形態2の駆動装置30は、かかる知見に基づき創作されたものである。即ち、駆動装置30は、ペットボトル形状のベース部31を備えている。ベース部31の下面には、突起状の接触部32が一体的に設けられている(例えば、一体形成されている)。ベース部31及び接触部32は、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなり、ベース部31の内部充填空間内の液体(水等)が導通部として機能する。このとき、
図8(a)に示すように、ベース部31を側面側から見ると前記接触部32は視認することができないが、
図8(b)に示すように、ベース部31の底面側からみると、接触部32を視認できる。駆動装置30は、
図9に示す情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に表示した円形のイメージからなる載置部14A上に載置すると、載置部14A内に配置された(接触部32と対応する配置態様で配置されると共に、非表示常態とされている)接触領域に接触部32がそれぞれ接触状態または略接触状態となり、接触領域を駆動して、情報処理装置10に所定の処理を実行させる。このとき、ベース部31の内部空間に充填した商品としての液体の種類、量、成分等の属性に応じて接触部32の配置態様を設定した駆動装置を、同一属性の液体ごとに用意すると、駆動装置30を情報処理装置10にスタンプして、情報処理装置10により駆動装置30の接触部32の配置態様を判断乃至解析することができる。こうすると、情報処理装置10により、接触部32の配置態様に対応する商品の属性(商品名、単価、内容量、製造年月日、賞味期限、成分等)をマルチディスプレイ12に表示して、消費者にどの商品でどのような属性のものが充填されているかを知らせることができる。
【0034】
実施の形態3
図10に示すように、実施の形態3の情報処理システムの駆動装置40は、壁面や壁面に設置した設置物(地図等)の表面に固定されて使用される固定型のものである。例えば、複数の駆動装置40A、40B,40C,40D,40Eを、地
図Mにおいて所定の地域に対応する箇所にそれぞれ固定する。各駆動装置40は、
図11(a)に示すように、実施の形態1と同様、マルチタッチディスプレイ12の所定領域内に3個以上の複数の接触領域13(ボタン等)が離間配置された情報処理装置10に適用される。また、駆動装置40は、実施の形態1の駆動装置20と同様、ベース部41及び駆動部42を備えている。一方、駆動装置40では、ベース部41は、屋内外の設置物(壁、床等)に固定され、使用者が情報処理装置10を把持して駆動装置40に押し当てるようになっている。よって、ベース部41は、やはり、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に対応する(好ましくは、略同一外形の)ブロック形状をなしている。一方、駆動部42は、図示はしないが、実施の形態1の駆動部と同様の構成を有している。即ち、駆動部42は、露出部、導通部及び接触部を有している。露出部は、ベース部41の対向面以外の面である側面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなる。また、導通部は、ベース部41の内部に配設されて前記露出部と(電気的接続部等を介して間接的に、あるいは、直接的に)電気的に導通する導電体からなる。更に、接触部は、ベース部41の対向面に配設されて前記導通部と(電気的接続部等を介して間接的に、あるいは、直接的に)電気的に導通する導電体からなると共に、導通部以外の部分は絶縁材料からなるベース部の部分により絶縁される。接触部は、マルチタッチディスプレイ12の接触領域(ボタン13等)の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した(2個以上の)複数の接触領域に対応する位置に配置された複数の接触部からなる。そして、
図11(b)に示すように、使用者が手Hで情報処理装置10を把持して当該情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12を駆動装置40のベース部41の対向面(接触部が配置された面乃至接触部を覆う遮蔽部の面)に当接配置し、指を駆動部42の露出部に載置する(乃至触れる)ことにより、複数の接触部がマルチタッチディスプレイ12の選択された複数の接触領域に接触し、使用者の指とマルチタッチディスプレイ12の選択した複数の接触領域とが、露出部及び導通部を介して電気的に接続する。これにより、指と接触部が接触する接触領域との間で電荷が移動して接触領域の静電容量が変化する。
【0035】
実施の形態3の駆動装置40を使用すると、例えば、博物館など展示スペースとして建てられた展示スペースとは違う、工場、学校、駅前等の施設を容易に展示スペースの様に変えることができるコンテンツ表示処理が可能となる。即ち、特定の施設において、会場内の様々な場所に存在する物体(展示物も含む)について、その属性をサポートする情報処理プログラムを作成しておき、各物体について、固有の(一意の)配置態様の接触部を備えた駆動装置40を当該物体の位置に固定しておくと共に、情報処理装置10がその配置態様を認識したときに対応する物体の属性に関する情報を呼び出して表示するよう構成する。なお、この情報は、サーバーに格納しておき、情報処理装置10の要求によりサーバーから情報処理装置10に情報を送信するよう構成することができる。また、情報処理装置10が受信した情報は、情報処理装置10に記憶され、記憶した情報を情報処理装置10により何度でも見返す事ができるようにする。
【0036】
一方、博物館等の施設や会場で情報処理装置10を貸し出して上記のようなコンテンツ表示を行う場合において、情報処理装置10を利用した来場者は、会場から出るときにその情報処理装置10を返却する必要があり、情報処理装置10に記憶した情報を持ち帰ることができない。したがって、この点を解消するため、来場者一人一人に一意のパスワードを渡し(例えば、来場者に渡すパンフレットやチケット等に印刷しておき)、来場者が来場時にそのパスワードを情報処理装置10に打ち込むことにより、上記のようなコンテンツ表示処理用の情報処理プログラムを起動させることで、情報処理装置10が各来場者(ユーザ)の識別情報(ID)をサーバーに送信するようにすることもできる。こうすると、個々の情報処理装置10と個々の来場者とを1対1で対応付けることができ、各来場者がどのデータをサーバーから受信したのかということをサーバー側で判断することができる。そして、来場者は、家に帰ったあとで、自分のパソコンからウエブサイトにアクセスし、自己に割り当てられたパスワードを入力することで、会場で受信した情報を閲覧できるようにすることができる。こうすれば、情報処理装置10を所有していない人でも、情報の持ち帰りというものが可能になる。また、複数の情報処理プログラムに対して1つのウエブサイトを構築及び運営することで、入手した情報をすべて1つのウエブサイトで閲覧することができるようになる。
【0037】
上記情報処理プログラムは、概略的には、以下のような処理を情報処理装置10に(サーバーを利用して)実行させる。
STEP11:リーフレット等の来場者への配布物にユニークな(来場者ごと、即ち、リーフレットごとに一意の)パスワードを表記
STEP12:情報処理装置10を起動させたときにそのパスワードを入力
STEP13:プログラムスタート画面表示
STEP14:展示スペースに置いてある入力装置としての駆動装置40を使用
STEP15:情報処理装置10の画面に情報を表示
STEP16:誰が情報を閲覧したかサーバーに記録
STEP17:リストにアイコンを追加
STEP18:リストのアイコンを押すと、対応した情報を表示
STEP19:ウエブサイトへアクセスして情報閲覧
【0038】
実施の形態4
実施の形態4は、上記情報処理システムの駆動装置20,40を利用して博物館展示物に関する情報提供を行う他の例に関するものである。詳細には、来場者が、各ポイントで駆動装置20,40を使用して情報処理装置10に固有のスタンプを押す。すると、情報処理装置10がサーバーから情報を受信して対応するコンテンツを表示する。また、情報処理装置10が閲覧者(来館者)の情報をサーバーに送信し、サーバーが、閲覧者の閲覧時間や評価等の属性(何を押したか、何時に入場したか、何時に退場したか等)をパーソナルデータとして記憶し管理する。これにより、来場者が自宅のPCで全ての来場者の行動をグラフ化したものを閲覧できる。なお、グラフの態様としては、例えば、年代(20代、30代、40代・・・)ごとの全体グラフと、個別のグラフとを挙げることができる。個別のグラフでは、来場者個人のデータを麹菌に見立てて、全ての来場者との関係や相関等を見つけ出してグラフの所定の位置に配置する。即ち、
図12に示すように、個別グラフのデータ50において、51は行程(周りの粒)、52は撮った写真の数(粒の数)、53は滞在時間、54は評価(茎の長さ)をそれぞれ示す。また、
図13に示すように、個別グラフのデータ50を集積した統合グラフの全体データ60において、61~63は、それぞれ、年代等の属性ごとの個人データ50の集合乃至集積範囲を表す。即ち、この統合グラフは、大枝に沿った軸を時間軸として大枝により時間を表し、かつ、年代ごとに空間を区画して年代別の個人データをその空間に配置して表す(年代ごとの円)。この統合グラフは空間で時間を表しており、扱えるデータの種類としては、次に向かうまでの時間、人数、評価、個人の滞在時間または閲覧時間、イベントの時間がある。また、
図14に示すように、統合グラフの全体データ71は、個別データ50を横軸(X軸)の時間軸に沿って時系列で並べたものとすることもできる。また、
図15に示すように、来場者全体の統計結果を表す全体グラフは、評価の値や撮影した写真の数を表す個別データ50を、横軸(X軸)の時間軸に沿ってスタンプの順で並べ、かつ、縦軸(Y軸)で評価の高低を表すと共に、各個別データ50の小円(粒)の数で撮影した写真の数を表すことができる。
【0039】
実施の形態5
図16に示すように、実施の形態5の情報処理システムの駆動装置90は、屋内外の設置面に設置して使用される設置型乃至縦置きスタンド型のものである。駆動装置90は、
図16に示すように、実施の形態1と同様、マルチタッチディスプレイ12の所定領域内に3個以上の複数の接触領域13(ボタン等)が離間配置された情報処理装置10に適用される。また、駆動装置90は、実施の形態1の駆動装置20と同様、ベース部91,92及び駆動部93,95を備えている。ベース部は、内面のうちの上下に延びる面を若干傾斜する傾斜面(水平面に対する傾斜角度約70~80度程度)とした略L字ブロック状をなす基部91と、基部91の傾斜面に接着等により固定される帯電部92とからなる。駆動装置90は、屋内外の設置面(壁面、床面、机上面、地面等)に載置或いは固定され、使用者が情報処理装置10を把持して駆動装置90に押し当てるようになっている。よって、ベース部91,92は、やはり、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に対応する(好ましくは、略同一外形の)ブロック形状をなしている。また、帯電部92は、発泡スチロール等の静電気を帯電した素材(誘電体等)からなる。一方、駆動部は、導通部93と接触部95とからなる。接触部95は、実施の形態1の接触部26と同様の構成であり、導電体からなり、マルチタッチディスプレイ12の接触領域の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した(2個以上の)複数の接触領域に対応する位置に配置された複数の接触部95からなる。また、導通部93は、ベース部91,92の内部において、帯電部92と(実施の形態1の絶縁部25と同様の)絶縁部94との間に介装して配設され、帯電部92と接触部95とを電気的に接続している。なお、
図16では、接触部95の穿刺部は導通部93を貫通して帯電部92内に延設され、帯電部93の電荷を直接的に接触部95に移動自在としているが、延設部を帯電部92の手前の位置の導通部93まで延長して、導通部93を介して帯電部92と(静電的に)導通するようにしてもよい。また、接触部95の全てが外部から遮蔽されるよう、実施の形態1の遮蔽部27と同様の遮蔽部96が絶縁部94の表面に貼付固定されている。
【0040】
実施の形態5の駆動装置90は、使用者が手で情報処理装置10を把持して当該情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12をベース部の対向面(遮蔽部96の表面)に当接配置することにより、指を載置したり接触したりするための露出部を駆動部に設けることなく、複数の接触部95がマルチタッチディスプレイ12の選択された複数の接触領域に接触し、帯電部92とマルチタッチディスプレイ12の選択した複数の接触領域とが、導通部93を介して電気的に接続する。これにより、帯電部92と接触部95が接触する前記接触領域との間で電荷が移動して接触領域の静電容量が変化する。実施の形態5のようなスタンド型(据え置き型)の駆動装置90では、上記駆動装置20,40のように露出を設けて指を触れるようにすることが困難な場合もあるため(駆動装置の側面に通電部を配設することも可能ではあるが)、上記のように、帯電部92を設けている。一方、帯電素材の発揮する電解作用(静電容量に影響を与える能力乃至電力)は微弱であるため、その電力を増強するため、導通部92を帯電部93に全面的に接触させ、導通部93によって接触部95との間での電荷の移動を促進している。なお、指で触れて通電し反応する素材によって露出部を設ける場合でも、素材によっては、帯電する素材(帯電部92)と組み合わせたときに反応しづらいことがあるが、この場合は、帯電する素材の能力を向上するため、通電する素材(導通部93)を多く利用することが好ましい。即ち、帯電する素材(帯電部92)の点(接触部95の穿刺部の先端の点状の部分)から電荷移動を行わせるのではなく、導通部93を介して面的に電荷移動を行わせることが好ましい。それでも反応が悪い場合、導通部93をより導電性の高い素材により形成することが好ましい。
【0041】
実施の形態6
図17に示すように、実施の形態6の情報処理システムの駆動装置100は、実施の形態5の駆動装置90とほぼ同様の構成であり、屋内外の設置面に設置して使用される設置型乃至縦置きスタンド型のものである。一方、駆動装置100は、横置きスタンド型とされている。即ち、駆動装置100は、実施の形態5の駆動装置90のベース部の基部91と同様の基部101と、駆動部の導通部93及び接触部95と同様の構成の駆動部の導通部102及び接触部104とを備えている。一方、基部101は、内面のうちの前後左右に延びる面を若干傾斜する傾斜面(水平面に対する傾斜角度約10~20度程度)とした略L字ブロック状をなしている。なお、基部101には帯電部は設けられず、基部101自体が帯電素材で形成されて帯電部の機能を兼ねるようになっている。なお、駆動部100は、前記駆動部90の絶縁部94及び遮蔽部96と同様の絶縁部103及び遮蔽部105を備えている。実施の形態6の駆動装置100も、実施の形態5の駆動装置90と同様に使用でき、同様の作用効果を発揮する。
【0042】
実施の形態7
実施の形態7の情報処理システムの駆動装置110は、携帯端末型の情報処理装置であって本体(基部11)に着脱自在な保護ケース乃至保護カバーを保護カバー付情報処理装置10(上記したiPhone等)に具体化される。即ち、従来の保護カバー付情報処理装置10の使用時には、保護カバーは、基部11の裏面側に装着され、マルチタッチディスプレイ12の指接触による操作を邪魔しないようになっている。実施の形態7の駆動装置110は、この保護カバーを改造し、上記実施の形態のように情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に押し当てることにより所定の駆動動作を行わせる構成としている。なお、
図18(a)は、かかる従来の使用時の保護カバーの装着状態に対応して、実施の形態7の駆動装置110を情報処理装置10の裏面側に装着した状態を示す。一方、実施の形態7では、保護カバー付情報処理装置10の使用時に、駆動装置110は、
図18(b)に示すように、基部11の表面側(マルチタッチディスプレイ12側)に装着される。詳細には、
図19は駆動装置110の表面側を示し、情報処理装置10に対応する横長角丸長方形状の薄型ケース状乃至保護カバー状をなす基部111には、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の主要部(下端部を除いた部分)に対応する横長長方形状の開口111aが貫通形成され、駆動装置110を情報処理装置10の表側に装着したときに、使用者が開口111a内に指を進入してマルチタッチディスプレイ12に触れて任意の操作をできるようにしている。また、基部111の右上コーナー部には円形の小開口状をなす挿通孔111bが形成されている。
【0043】
一方、
図20は駆動装置110の裏面側を示し、基部111の裏面(内面)において、基部111の開口111aの下側となる下端部には、横長帯状乃至横長長方形ブロック状をなすスポンジ材料等の大きな弾性(特に厚み方向の弾性及び伸縮性)を有する絶縁性材料からなる支持部112が貼付して固定されている。なお、支持部112は基部111の裏面側に設けられるため、基部111の表面側から接触することはできない。支持部112の表面には、長さ方向に延びるよう導線113が延設されると共に、その導線113の上には、長さ方向に離間した所定の位置に、それぞれ、駆動電極となる接触部114が貼付固定されて、接触部114と導線113とがそれぞれ電気的に導通している。なお、駆動装置110を表面側から見ると、接触部114は支持部112により完全に遮蔽され、視認することはできない。即ち、支持部112は遮蔽部としても機能する。一方、導線113は、前記挿通孔111bから基部111の表面側に引き出され、
図19に示すように、基部111の表面の所定部位(開口111aの右側端縁部)に上下に延びるよう固定されている。これにより、基部111の周縁部を情報処理装置10の周縁部に嵌合して装着すると、駆動装置110が情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12に対して正確な位置に位置決めされる。同時に、複数(
図20では2個)の接触部114が、マルチタッチディスプレイ12の所定位置に設定配置した複数の接触領域(前記ボタン13と同様のもの)に接触する。このとき、支持部112は、駆動装置110の情報処理装置10への装着時に、接触部114の表面がマルチタッチディスプレイ12に弾性的に押し当てられて密接するような厚みに設定されている。したがって、支持部112の厚み方向への弾性及び伸縮性により、導電体からなる電極としての接触部114がマルチタッチディスプレイ12の接触領域に確実かつ正確に密接する。そして、使用者が、指を基部111の表面側に露出する導線113に接触すると(例えば、基部111の装着時に接触していると)、導線113を介して指と接触部114とが電気的に導通し、接触部114によってマルチタッチディスプレイ12の接触領域を確実に駆動することができる。なお、情報処理装置10は、マルチタッチディスプレイ12の下端部に複数の接触領域を設定配置し、その配置態様に応じた処理を実行するようになっている。これに対応して、駆動装置110の接触部114も、マルチタッチディスプレイ12の接触領域の配置態様に応じた配置態様となっている。
【0044】
実施の形態7の駆動装置110は、情報処理装置10に付属の保護ケース乃至保護カバー自体を改造するため、駆動装置110の形状(特に装着部位となる外形部分)が情報処理装置10自体の形状に合致することから、駆動装置110を情報処理装置10のマルチタッチディスプレイに対して正確に位置決めすることができ、接触部114をマルチタッチディスプレイの目的の接触箇所である接触領域に確実かつ正確に接触させることができる。なお、上記実施の形態も含め、駆動装置の接触部をマルチタッチディスプレイの接触領域に完全に(輪郭が)合致するよう接触させなくても(多少ずれて接触させても)、接触部による接触領域の駆動に影響はない。また、実施の形態7の駆動装置110は、上記実施の形態のスタンプ型の駆動装置と比較して、開口111aの存在により、情報処理装置10の画面を見ながらスタンプを押すことができるため、その使用用途を拡大することができる。例えば、装着時の接触部114の接触によりマルチタッチディスプレイ12の接触領域(スイッチ等として具体化)を押している時だけ、マルチタッチディスプレイ12に特殊なコンテンツを表示し、使用者が開口111aを介してマルチタッチディスプレイ12の画面をタッチして操作できるようにすることもできる。例えば、駆動装置110を装着しているとき、情報処理装置10によってAR(拡張現実)体験ができるよう構成することもできる。従来のARは、カメラ機能を利用しての画像認識と位置情報を取得して所定の処理を実行している。これら2つの機能に加えて、実施の形態7の駆動装置110を利用してARを体験することが可能となる。即ち、情報処理装置を持って特定の場所に行き、駆動装置110を装着することで特別な感覚(疑似体験)を使用者に提供することが可能となる。
【0045】
実施の形態8
実施の形態8の情報処理システムの駆動装置120は、情報処理装置10が備えるギター演奏機能の操作を支援し操作性を大幅に向上するためのものである。即ち、実施の形態8の駆動装置は、マルチタッチディスプレイ12の接触領域が、当該マルチタッチディスプレイ12の所定の領域(接触領域用配置領域)内に離間配置された(3個以上の)複数の接触領域からなる情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10では、接触領域が、ギターの弦と隣接するフレット間の中央位置との交差位置(指押圧位置)に対応する操作点として機能するよう設定されて、当該操作点のうちの所定の操作点に接触(押圧乃至オン)することにより、接触した操作点(の組み合わせ及び接触態様)に応じた固有の音またはコード音を演奏する模擬ギター演奏処理を実行する(模擬ギター演奏用コンテンツを呼び出して画面表示する)。
【0046】
この情報処理装置10は、
図24に示すように、マルチタッチディスプレイ12の下半部にギターの弦12Gを模したイメージを表示する弾弦領域を有すると共に、上半部に、上記操作点13G(合計6本の弦1-a,1-b,1-c,1-d,1-e,1-fと合計8個のフレット間中央位置との交差点に対応する6行8列=48個の交差点)を設定配置したコントロール領域を表示している。使用者は、一方の手の指により任意の操作点13Gに触れた状態で、他方の手の指で弦12Gに触れることで、対応する操作点13Gの音を出すよう情報処理装置10に(その模擬ギター演奏プログラムを介して)模擬演奏を実行させることができる。このとき、ギターのコードに応じた複数の操作点13Gを押圧することにより、対応するコードの音を演奏することができる。
【0047】
一方、
図22に示すように、駆動装置120を情報処理装置10に装着して、駆動装置120により情報処理装置10の操作点13Gを間接的に操作して操作性を向上することができる。即ち、駆動装置120は、ベース部121と駆動部とを備える。ベース部121は、情報処理装置10の上半部に前記コントロール領域を完全に覆うように装着自在な構成とされている。ベース部121は、情報処理装置10の一方側に(情報処理装置10をギターのボディーに見立てて)延設されるギターのヘッド・ネック形状をなしている。ベース部121は、ギターのヘッドに対応する模擬形状のヘッド部121a、ネックに対応する模擬形状のネック部121b、及び、情報処理装置10の外形に対応する(ギターのヘッドに対応する模擬形状の)ボディー部121cを有している。ベース部121は、例えば、ボディー部の外周部に、スナップフィットにより情報処理装置10の外周部に着脱自在に密嵌して装着される嵌合構造を有している。また、ベース部121は、ギターのナットを模したナット部122と、弦を模した線状の弦部123とを描画等により設けている。更に、ベース部121は、フレット間の中央位置(1~8節の合計8箇所)のうち、ギターのC,A,G,D,E,Fの各コードを演奏するために必要な押圧点に、点状(正円形状)の導電体からなる露出部124を配設している。なお、各コードの押圧点は、
図23に示すとおりである。また、ベース部121のボディー部121cは、ギターのピックアップを模したピックアック部125と、ブリッジを模したブリッジ部129とを有している。更に、ベース部121のボディー部121cは、情報処理装置10への装着時にマルチタッチディスプレイ12の上半部のコントロール領域に対応する矩形シート状をなし、コントロール領域を完全に覆って遮蔽する遮蔽部126を備えている。遮蔽部126は、前記ピックアック部と一対の固着部127とにより、ボディー部121cの表面の所定位置に保持されている。なお、ベース部121のボディー部121cのうち、前記マルチタッチディスプレイ12の弾弦領域部分には、対応する矩形状の開口が貫通形成され、演奏者が開口を介してマルチタッチディスプレイ12の弾弦領域(弦12G)に指を触れることができるようになっている。
【0048】
また、駆動部は、前記複数の露出部124と、複数の接触部としての信号伝達部128と、前記露出部124と信号伝達部128とを電気的に導通する導通部とからなる。露出部124は、上記のように、ベース部121のネック部121bにおいて、所定のフリット間の中央の弦123に対応する位置に設けられ、それぞれが、人の指(指先)により個別に接触・押圧自在となっており、上記実施の形態の露出部に対応する部材である。また、信号伝達部128は、ベース部121のボディー部121cの情報処理装置10との対向面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の操作点13Gと同一の数及び種類並びに対応する配置態様で操作点13Gに対向するよう配置された導電体からなる。信号伝達部128は、それぞれが、ベース部121の情報処理装置10への装着時に、マルチタッチディスプレイ12の操作点13Gに個別に接触するようになっており、上記実施の形態の接触部に対応する部材である。また、導通部は、図示はしないが、ベース部121のネック部121bからボディー部121cまでの内部に配設されて、前記複数の露出部124と前記複数の信号伝達部128とのうち、対応する対の露出部124と信号伝達部128とを、それぞれ、電気的に接続する導電体からなる。即ち、導通部は、露出部124と信号伝達部128との連結数(連結すべき対の数)に応じた数が所定の連結態様で配設される。なお、導通部は、露出部124から信号伝達部128まで形成乃至配設したプリント配線やリード線等から構成することができる。
【0049】
駆動装置120は、各コードに対応する露出部124を指で押圧し、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12をこすると抑えたコードの音が鳴るという構成である。駆動装置120は、ベース部121等を可撓性材料でシート状に形成することにより、折り畳み自在とすることもできる。また、この駆動装置120は、ギター以外にも、同様の構成により、ベースやバイオリン等に適用することも可能である。なお、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイのコントロール領域では、弦13Gは表示せず、イラストなどを表示することが好ましい。
【0050】
実施の形態9
実施の形態9の情報処理システムの駆動装置130は、情報処理装置10が備えるキーボード入力機能の操作を支援し操作性を大幅に向上するためのものである。即ち、実施の形態9の駆動装置は、マルチタッチディスプレイ12の接触領域が、当該マルチタッチディスプレイ12の所定の領域(接触領域用配置領域)内に離間配置された(3個以上の)複数の接触領域からなる情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10では、接触領域が、キーボードのキーとして機能するよう設定されて、当該キーのうちの所定のキーに接触(押圧乃至オン)することにより、接触したキー(及び、複数キー押圧時の組み合わせ及び接触態様)に応じた固有のキー操作処理を実行する(キーボードを呼び出して画面表示する)。
【0051】
この情報処理装置10は、
図26に示すように、マルチタッチディスプレイ12の下半部にキーボードの各キー13Kを設定配置したコントロール領域を表示している。使用者は、指により任意のキー13Kに接触することで、対応するキー操作を情報処理装置10に実行させることができる。このとき、(ショートカットキーに応じた)複数のキーを押圧することにより、ショートカットキー操作も行うことができる。
【0052】
一方、
図25に示すように、駆動装置130を情報処理装置10に装着して、駆動装置130により情報処理装置10のキー13Kを間接的に操作して操作性を向上することができる。即ち、駆動装置130は、ベース部131と駆動部とを備える。ベース部131は、
図27に示すように、キーボードに対応する横長長方形状をなす(絶縁材料からなる)シート状のキーボード部131aと、キーボード部131aの前端中央部から前方斜め情報に延設して一体形成された矩形シート状乃至矩形ブロック状の装着部131bとかなり、装着部131bの嵌合凹部131cに情報処理装置10の下端部を嵌合装着して固定するようになっている。また、キーボード部131aの上面には、キーボード部131aを完全に覆う横長長方形状をなすと共に、各キーに対応する位置にキー部121を配置した絶縁材料からなるシート体が載置固定されている。このシート体の前端中央部には、マルチタッチディスプレイ12のコントロール領域に対応する矩形シート状をなす遮蔽部が、前記装着部131bと前記嵌合凹部131cの厚み間隔をおいて一体形成されている。遮蔽部133は、ベース部121に情報処理装置10を装着したときに、コントロール領域を完全に覆うようになっている。また、このシート体の下面において、各キー部132の位置には、各キー132と対応する(例えば同一の)外形のシート状の導電体からなる操作点132Kが、前記露出部に対応する部材として固着されている。
【0053】
また、駆動部は、前記複数の露出部としての操作点132Kと、複数の接触部としての信号伝達部135と、前記操作点132Kと信号伝達部135とを電気的に導通する導通部としての導通線134とからなる。操作点132Kは、上記のように、ベース部131の上面側(前記シート体の下面)においてキー部132に対応する位置に設けられ、それぞれが、人の指(指先)によりキー部132を介して個別に押圧自在となっており、上記実施の形態の露出部に対応する部材である。なお、キー部132は、前記遮蔽部27と同様の電荷移動を妨げない薄い素材からなり、指Fをキー部132に触れることにより、指と操作点132Kとの間での電荷移動が自由に行われる。また、信号伝達部135は、前記遮蔽部133の情報処理装置10との対向面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のキー13Kと同一の数及び種類並びに対応する配置態様でキー13Kに対向するよう配置された導電体からなる。信号伝達部135は、それぞれが、ベース部131への情報処理装置10の装着時に、マルチタッチディスプレイ12のキー13Kに個別に接触するようになっており、上記実施の形態の接触部に対応する部材である。また、導通部134は、ベース部131と前記(キー部132を設けた)シート体との間に配設されて、前記複数の操作点132Kと前記複数の信号伝達部135とを、それぞれ、電気的に接続する導電体からなる。即ち、導通部134は、操作点132Kと信号伝達部135との連結数(連結すべき対の数)と同一の全数(キー数と同一数)が所定の連結態様で配設される。なお、導通部135は、操作点132Kから信号伝達部135まで形成乃至配設したプリント配線やリード線等から構成することができる。なお、信号伝達部135の縦横寸法或いは面積は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12による指または指相当物の接触点の読み取り能力(最小読取面積)に応じて設定されるが、例えば、携帯端末に適用する場合、縦横5mm程度とすることが好ましい。
【0054】
通常の携帯端末からなる情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12上のキーボードは、ボタンが小さく打ちづらいことから、駆動装置130を利用することで、キーボード入力操作を大幅に容易化及び迅速化することができる。即ち、所定のキー部132を指Fで押すことにより、そのキー部132と同一のマルチタッチディスプレイ12のキー13Kとの間で電荷が移動し、キー13Kが反応する。このキーボード型の駆動装置130は、電池等の電源が不要であり、かつ、複雑な設定も必要なく、更に、制作工程次第では、全体の構造を薄くかつ軽くすることも可能で、また、折り畳む事も可能である。
【0055】
実施の形態10
実施の形態10の情報処理システムの駆動装置は、情報処理装置10が備えるゲーム機能の操作を支援し操作性を大幅に向上するためのものである。即ち、実施の形態10の駆動装置は、マルチタッチディスプレイ12の接触領域が、当該マルチタッチディスプレイ12の所定の領域(接触領域用配置領域)内に離間配置された(3個以上の)複数の接触領域からなる情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10では、接触領域が、ゲームコントローラのコントロールキー及び/またはコントロールボタンとして機能するよう設定されて、当該コントロールキー及び/またはコントロールボタンのうちの所定のコントロールキー及び/またはコントロールボタンに接触(押圧乃至オン)することにより、接触したコントロールキー及び/またはコントロールボタン(の組み合わせ及び接触態様)に応じた固有の内容のゲーム用処理を実行する(ゲーム用コンテンツを呼び出して画面表示する)。実施の形態10の駆動装置としては、
図28~
図30に示す3タイプがある。
【0056】
図28に示す駆動装置140は、
図28(a)に示す情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10は、マルチタッチディスプレイ12の下端部に、横方向に延びる帯状のコントロール領域13Wを設定配置している。コントロール領域13Wには、ゲームコントローラの十字キーに対応する(ゲーム画面上におけるキャラクタ等の上下左右の4方向の移動操作等を指令する)コントロールキー13Aと、ゲームコントローラのAボタン等に対応する(ゲーム開始等を指令する)コントロールボタン13Bとが左右に離間配置されている。使用者は、指により任意のコントロールキー13Aやコントロールボタン13Bに触れることで、対応する動作を情報処理装置10に(そのゲームプログラムを介して)実行させることができる。なお、
図28(a)の情報処理装置は、情報処理装置10単独で使用者が指によりコントロールキー13Aやコントロールボタン13Bを操作してゲーム動作可能である。
【0057】
一方、
図28(b)に示すように、駆動装置140を情報処理装置10に装着して、駆動装置140により情報処理装置10のコントロールキー13Aやコントロールボタン13Bを間接的に操作して操作性を向上することもできる。即ち、駆動装置140は、ベース部141と駆動部とを備える。ベース部141は、情報処理装置10の下端部にコントロール領域13Wを完全に覆うように装着自在な構成とされている。ベース部141は、情報処理装置10の左右に張り出す横長のゲームコントローラ形状を有し、例えば、その中央部の上側に、スナップフィットにより情報処理装置10の下端部に着脱自在に密嵌して装着される嵌合構造を有している。即ち、ベース部141は、人の手で(通常のゲームコントローラを操作するのと同様の態様で)把持自在な略平板ブロック形状または略平板パネル形状をなしている。このように、ベース部141は、情報処理装置10の下端部に嵌合する嵌合部(図中の上側中央部)と、嵌合部から下側及び左右両側に張り出すパネル状の操作部とを有するブロック状のパネル部とから構成される。
【0058】
また、駆動部は、複数のコントロール部142,143、信号伝達部及び導通部からなる。コントロール部142,143は、ベース部141の裏面側となる対向面と反対側の面である当該ベース部141の表面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のコントロールキー13Aと同一の数及び種類並びに対応する配置態様で配置された導電体からなる(コントロールキー状の)キー部142と、コントロールボタン13Bと同一の数及び種類並びに対応する配置態様で配置された導電体からなる(コントロールボタン状の)ボタン部143とを備えている。キー部142及びボタン部143は、それぞれが、人の指(指先)により個別に接触・押圧自在(コントロールキー・ボタンと同様の操作自在)となっており、上記実施の形態の露出部に対応する部材である。
【0059】
また、信号伝達部は、図示はしないが、ベース部141の対向面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のコントロールキー13Aと同一の数及び種類並びに対応する配置態様でキー13Aに対向するよう配置された導電体からなる(コントロールキー状の)コントロールキー用信号伝達部と、コントロールボタン13Bと同一の数及び種類並びに対応する配置態様でボタン13Bに対向するよう配置された導電体からなる(コントロールボタン状の)コントロールボタン用信号伝達部とを備えている。コントロールキー用信号伝達部及びコントロールボタン用信号伝達部は、それぞれが、ベース部141の情報処理装置10への装着時に、マルチタッチディスプレイ12のコントロールキー13A及びコントロールボタン13Bに個別に接触するようになっており、上記実施の形態の接触部に対応する部材である。
【0060】
また、導通部は、図示はしないが、ベース部141の内部に配設されて、前記複数のコントロール部142,143と前記複数の信号伝達部とのうち、対応する対のコントロール部142,143と信号伝達部とを、それぞれ、電気的に接続する導電体からなる。即ち、導通部は、コントロール部142,143と信号伝達部との対の数と同一数が配設される。なお、導通部は、コントロール部142,143から信号伝達部まで形成したプリント配線や、コントロール部142,143と信号伝達部とを導通するリード線等から構成することができる。
【0061】
そして、駆動装置140は、ベース部141を情報処理装置10に装着したときに、駆動部の全ての信号伝達部が、それぞれ、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の対応する全てのコントロールキー13A及びコントロールボタン13Bに接触し、使用者が手でベース部141を把持して指を駆動部のコントロール部142,143のうちの所定のコントロール部の1個或いは複数個に同時に接触することにより(即ち、通常のゲームコントローラと同様のキー操作及びボタン操作をすることにより)、当該接触したコントロール部142,143が、前記導通部により導通する対となる信号伝達部を介して、マルチタッチディスプレイ12の対応するコントロールキー13A及び/またはコントロールボタン13Bと電気的に接続する。これにより、対応するコントロールキー13Aまたはコントロールボタン13Bの静電容量が変化して、接触した指からのゲーム用制御信号がコントロールキー13A及び/またはコントロールボタン13Bに伝達される。その結果、当該コントロールキー及び/またはコントロールボタンに固有のゲーム用処理を情報処理装置10に実行させることができる。
【0062】
図29に示す駆動装置150は、
図29(a)に示す情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10は、マルチタッチディスプレイ12の左右両端部に、上下方向に延びる帯状のコントロール領域13L及びコントロール領域13Rをそれぞれ設定配置している。左側のコントロール領域13Lには、ゲームコントローラの十字キーに対応する4個のコントロールキー、1個のLEFTボタン及び1個のSTARTボタンの合計6個のキー・ボタン類に対応する6個のボタン(丸付き数字で1~6)が上下に離間配置されている。また、右側のコントロール領域13Rには、ゲームコントローラのAボタン等の6個のコントロールボタン、1個のRIGHTボタン及び1個のRESETボタンの合計8個のボタン類に対応する8個のボタン(丸付き数字で1~8)が上下に離間配置されている。なお、この情報処理装置10は、ボタン類が丸付き数字で表示されているため、使用者が指により任意のボタン類に触れて情報処理装置10にゲーム動作をさせることは(可能ではあるが)容易でないため、以下の駆動装置150を使用することが前提である。
【0063】
一方、
図29(b)に示すように、左右一対の駆動装置150L,150Rを情報処理装置10に装着して、左右一対の駆駆動装置150L,150Rにより情報処理装置10の左右のボタン類を間接的に操作して操作性を向上する。即ち、左右一対の駆動装置150L,150Rは、ベース部151L,151Rと駆動部とを備える。ベース部L,151Rは、情報処理装置10の左右両端部に、それぞれ、コントロール領域13L及びコントロール領域13Rを完全に覆うように装着自在な左右一対の構成とされている。即ち、左側ベース部151Lは、情報処理装置10の左側において左方に張り出す縦長のゲームコントローラの半部形状を有し、例えば、その右端部に、スナップフィットにより情報処理装置10の左端部に着脱自在に密嵌して装着される嵌合構造を有している。また、右側ベース部151Rは、情報処理装置10右側において右方に張り出す縦長のゲームコントローラの半部形状を有し、例えば、その左端部に、スナップフィットにより情報処理装置10の右端部に着脱自在に密嵌して装着される嵌合構造を有している。即ち、左右一対のベース部151L,151Rは、それぞれ、人の左右の手で(通常のゲームコントローラを操作するのと同様の態様で)把持自在な略平板ブロック形状または略平板パネル形状をなしている。このように、ベース部151L,151Rは、それぞれ、情報処理装置10の左右両端部に嵌合する嵌合部と、嵌合部から張り出すパネル状の操作部とを有するブロック状のパネル部とから構成される。
【0064】
また、駆動部は、複数のコントロール部152,153,154,155、信号伝達部及び導通部からなる。コントロール部は、左側ベース部151Lに配設されたコントロール部152,154,155と、右側ベース部151Rに配設されたコントロール部153,154,155とからなる。左側のコントロール部152,154,155は、左側ベース部151Lの表面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の左側のコントロール領域13Lのボタン類と同一の数及び種類並びに対応する配置態様で配置された導電体からなる(コントロールキー状の)キー部152と、STARTボタンに対応する導電体からなる(STARTボタン状の)ボタン部154と、LEFTボタンに対応する導電体からなる(LEFTボタン状の)ボタン部155とを備えている。右側のコントロール部153,154,155は、右側ベース部151Rの表面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の右側のコントロール領域13Rのボタン類と同一の数及び種類並びに対応する配置態様で配置された導電体からなる(コントロールボタン状の)ボタン部153と、RESETボタンに対応する導電体からなる(RESETボタン状の)ボタン部154と、RIGHTボタンに対応する導電体からなる(RIGHT状の)ボタン部155とを備えている。キー部152、ボタン部153、ボタン部154及びボタン部155は、それぞれが、人の指(指先)により個別に接触・押圧自在(コントロールキー・ボタンと同様の操作自在)となっており、上記実施の形態の露出部に対応する部材である。
【0065】
また、左側ベース部151Lの信号伝達部は、左側ベース部151Lの対向面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の左側のコントロール領域13Lのボタン類と同一の数及び種類並びに対応する配置態様でボタン類に対向するよう配置された導電体からなる(ボタン状の)コントロールボタン用信号伝達部(対応する合計6個)を備えている。また、右側ベース部151Rの信号伝達部は、右側ベース部151Rの対向面において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の右側のコントロール領域13Rのボタン類と同一の数及び種類並びに対応する配置態様でボタン類に対向するよう配置された導電体からなる(ボタン状の)コントロールボタン用信号伝達部(対応する合計8個)を備えている。コントロールボタン用信号伝達部は、それぞれが、ベース部151L,151Rの情報処理装置10への装着時に、マルチタッチディスプレイ12のコントロール領域13L,13Rのボタン類にそれぞれ個別に接触するようになっており、上記実施の形態の接触部に対応する部材である。
【0066】
また、導通部は、図示はしないが、ベース部151L,151Rのそれぞれの内部に配設されて、前記複数のコントロール部152,153,154,155と前記複数の信号伝達部とのうち、対応する対のコントロール部152,153,154,155と信号伝達部とを、それぞれ、電気的に接続する導電体からなる。即ち、導通部は、コントロール部152,153,154,155と信号伝達部との対の数と同一数が配設される。なお、導通部は、コントロール部152,153,154,155から信号伝達部まで形成したプリント配線や、コントロール部152,153,154,155と信号伝達部とを導通するリード線等から構成することができる。
【0067】
そして、駆動装置150L,150Rは、ベース部151L,151Rを情報処理装置10に装着したときに、駆動部の全ての信号伝達部が、それぞれ、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の対応する全てのボタン類に接触し、使用者が手でベース部151L,151Rを把持して指を駆動部のコントロール部152,153,154,155のうちの所定のコントロール部の1個或いは複数個に同時に接触することにより(即ち、通常のゲームコントローラと同様のキー操作及びボタン操作をすることにより)、当該接触したコントロール部152,153,154,155が、前記導通部により導通する対となる信号伝達部を介して、マルチタッチディスプレイ12の対応するボタン類と電気的に接続する。これにより、対応するボタン類の静電容量が変化して、接触した指からのゲーム用制御信号がボタン類に伝達される。その結果、当該ボタン類に固有のゲーム用処理を情報処理装置10に実行させることができる。
【0068】
図30に示す駆動装置160は、
図30(a)に示す情報処理装置10に適用される。この情報処理装置10は、
図29(a)の情報処理装置10のコントロール領域13L,13Rに加え、ゲームコントローラのジョグダイアルと同様の機能を発揮するジョグダイアル部13M,13Nをマルチタッチディスプレイ12に設定配置している。一方、駆動装置160は、
図29(b)の駆動装置150のベース部151L,151Rと同様の左右一対のベース部161L,161Rを備え、情報処理装置10の左右両側に着脱自在に装着されるようになっている。更に、ベース部161L,161Rは、装着時に情報処理装置10のジョグダイアル部13M,13Nに対向する位置に、ゲームコントローラのジョグダイアルと同様の構造のジョグダイアル部162を配設している。そして、ジョグダイアル部162をジョグ操作することにより、ジョグダイアルの先端(下端)がマルチタッチディスプレイのジョグダイアル部のうちの円形の反応領域13M内を摺接移動し、その摺接移動奇跡に応じた動作を情報処理装置10に実行させるようになっている。
【0069】
上記のように、本発明の駆動装置は、ベース部を把持することで自然と露出部を使用者の指が触れ、接触部まで電気が通電するようになっている。その状態で、駆動装置をマルチタッチディスプレイと重ね合わせると、上記のような所定の処理を情報処理装置が実行する。例えば、駆動装置を重ね合わせたときに、情報処理装置側では所定の複数個のボタンが同時に押されたと感知し、写真、映像、テキスト、音声などのデジタル情報を表示または出力するようになる。ところで、上記実施の形態では、縦4マス横3マスで接触領域としてのボタンを作成しているが、応用例として、ボタンの数を増やす事も可能である。もちろん、その場合に合わせた駆動装置(スタンプ)を制作する必要がある。同時に接触を感知する位置としては、上記の例では、3つ同時に押されるパターンを記述しているが、例えばiPhoneの場合は5つまで同時にタッチした位置を感知する事ができる。つまり、3×4のマス、タッチは5つまで感知できる事から、1500パターン以上の組み合わせを作成する事ができる。また、マスを増やす事で、さらにパターンを増やす事ができる。更に、モバイル端末側のアプリケーションでプログラムさえすれば、そのパターン1つに1つの情報を持たせる事ができるので、バーコードの様なものとしても利用できる。また、実施の形態1等の駆動装置は、上記のように、指が触れる部分に電気を通電させる素材(露出部)を配設し、また、下面となる対向面に接触部を配置すると共にその接触部を遮蔽部で遮蔽して、押された位置及び構造を利用者に気づかせなくすると同時に、デザイン的にも美しくしている。
【0070】
実施の形態11~15
以下、上記実施の形態5,6と同様、基本的には情報処理装置10を押し当てるタイプ(設置型)の駆動装置を備えた情報処理システムとして、実施の形態11~15に係る情報処理システムについて説明する。
【0071】
実施の形態11
[全体構成]
実施の形態11に係る情報処理システムは、スマートフォン等の携帯情報端末に代表される(上記各実施の形態で説明したものと同様の構成を有する)情報処理装置10と、情報処理装置10に所定の動作(コンテンツ出力動作)を行わせるための駆動装置210とを備える。即ち、
図31に示すように、駆動装置210は、ベース部211を備えている。ベース部211の厚さ方向一側面はベース表面211aとなっており、ベース表面211aの一側及び他側(
図1中では上端部及び下端部)には、ぞれぞれ、表示領域212及び表示領域213が設けられている。また、ベース部211のベース表面211aには、駆動部としての導電パターン部220が一体的に設けられている。実施の形態11の情報処理システムの駆動装置210は、屋内外の所定の設置面に固定的に、または、着脱自在に、または移動自在に設置して使用自在となるよう、紙素材(画用紙やステッカー等)や木質素材(板等)等からなる所定のベース部211に、所定の導電パターン部220を設けたものである。そして、駆動装置210は、マルチタッチディスプレイ12の所定領域内に(2個以上の)複数の接触領域13X(13)が離間配置された情報処理装置10に適用される。即ち、実施の形態11に係る情報処理システムは、駆動装置210により情報処理装置10に所定のイベントを発生させて所定の情報処理動作を行わせるものである。
【0072】
[ベース部]
図31~
図32に示すように、前記ベース部211は、電気的不導体である絶縁体または誘電体からなる矩形平板状等の所定形状を有する中実体である。即ち、ベース部211は、上記実施の形態のベース部11と同様の電気絶縁材料、例えば、導電性樹脂等の導電性材料を除く通常の合成樹脂やゴム等の絶縁材料から形成することができるが、これ以外にも、(導電性を有しない)一般的な木質材料(木板等)、(導電性繊維を除く非導電性の)一般的な繊維材料、(導電性紙を除く非導電性の)一般的な紙材料等、任意の電気的不導体から形成することができる。また、ベース表面212は、ベース部211の一側面(本実施の形態のようにベース部211が板状の場合はその厚さ方向一側面)を構成する表面からなる。このベース表面212は、前記導電パターン部220を所定範囲の領域に一体形成して当該導電パターン部220を露出させるための面である。典型的には、ベース表面212は、ベース部211の一側面の中央部や、或いは、その左側または右側における所定範囲に前記導電パターン部220を一体形成して露出させる。したがって、ベース表面222は、導電パターン部220を一体形成して露出できる限りにおいて、任意の形状及び寸法の面とすることができる。例えば、本実施の形態のような矩形状の平面とする以外に、円形状、楕円形状、矩形以外の多角形状、またはそれら以外の不定形状乃至異形状(星型等の任意の外形乃至輪郭を有する形状)とすることもできる。
【0073】
また、ベース部211の表示領域212,213は、印刷等によってベース表面211aに所望の内容を表示するためのものであり、それぞれ、任意の内容とすることができる。例えば、本実施の形態では、表示領域212は、駆動装置210の使用目的や使用場所等を示す(一例としての)「XYZのコーナー」といいう文言を表示し、表示領域213は、ベース部211のベース表面211aへの前記情報処理装置10の画面押し当て範囲を説明する(一例としての)文言「上の枠線内に画面を押し当てて下さい!!」を表示している。或いは、ベース部211は、表示領域212,213の内容を抽象的な表示(有意味な文言以外の文字若しくは抽象的文字列、記号、図形、またはそれらの結合)とすることもでき、或いは、表示領域212,213の一方または全部を省略することもできる。
【0074】
[導電パターン部]
図32に示すように、導電パターン部220は、導電性インクや導電性塗料等の導電性塗膜材料を使用して、電荷蓄積部221、導通部222及び接触部223を、図示の導電パターンとなるよう、ベース部211のベース表面211aの所定範囲の領域に印刷等の塗膜形成技術により一体形成したものである。また、導電パターン部220は、実施の形態1の別例として述べた技術(プリント配線技術や導電トレースペンによる導電パターン形成技術)を応用したものであり、ベース部211のベース表面211aに所望のパターンの導電パターン部220が形成される。なお、導電パターン部220形成用の導電性塗膜材料としては、導電性インク等を好適に使用することができるが、これ以外にも、良好な導電性を有してベース部211のベース表面211aに塗膜を形成できる材料であれば、任意のものを使用することができる。また、導電パターン部220形成用の塗膜形成技術も、導電性塗膜材料として導電性インクを使用した場合はスクリーン印刷やインクジェット印刷等の通常のインク印刷技術を好適に使用することができるが、導電性塗膜材料をベース部211のベース表面211aに所望のパターンで塗布して塗膜形成できる限りにおいて、任意の塗膜形成技術を利用することができる。なお、導電性塗膜材料及び塗膜形成技術は、塗膜形成対象(被塗物)であるベース部211の材料や材質、表面粗さ等の表面物性(特にベース表面211aの表面物性)等、ベース部211に固有の物性に応じて設定することが好ましいが、一般的な紙、布、木板、合成樹脂板等の場合は、導電性インクを使用した印刷技術により塗膜形成することが、製造コスト低減やパターン多様化等の点から好ましい。
【0075】
なお、印刷技術を使用した塗膜形成の場合、ベース部211は、紙や布等の薄肉シート状素材や、木板や合成樹脂板等のある程度の肉厚を有する厚肉シート状素材またはブロック状素材等、各種の印刷用基材により形成することができる。この場合の印刷基材としては、紙基材、布基材、合成樹脂基材等の任意の公知の印刷用の基材を使用することができる。また、この場合の紙基材としては、コート紙、非コート紙、合成紙、樹脂含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種紙基材を使用することができるが、精密な印刷パターンを安定して確保することが要求される等の場合は、コート紙、加工紙等の精密印刷可能な基材が好ましく、また、かかる用途でコート紙を使用する場合は、表面平滑度の高いものを使用することが好ましい。更に、この場合の合成樹脂基材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート等の公知の合成樹脂基材を使用することができる。なお、合成樹脂製の印刷基材としては、透明、半透明または有色透明の合成樹脂基材を使用することもでき、この場合、非透明の合成樹脂基材に比較して、独特の意匠性を付加することができる。
【0076】
[電荷蓄積部]
図32に示すように、導電パターン部220の静電容量増大部としての電荷蓄積部221は、所定の幅寸法の塗膜パターンを、当該パターン幅で矩形枠状(正確には、4つの各コーナー部を所定曲率の湾曲形状とした角丸の矩形枠状)の平面形状となるよう形成したものであり、導電パターン部220の全体の外形乃至輪郭を規定するものである。また、電荷蓄積部221は、その内周縁が、情報処理装置10自体(全体形状)の外周縁により規定される角丸矩形状と略同一の角丸矩形状(同一の角丸矩形状、または、それよりコンマミリ単位で若干大きな角丸矩形状)となるよう形成されている。更に、電荷蓄積部221は、その塗膜パターン幅の幅寸法の分だけ、その外周縁が、前記内周縁よりも外方に配設されている。ここで、電荷蓄積部221の幅寸法(内周縁と外周縁との間の寸法)は、人間の指(特に、親指または人差し指)の指先(腹部分)に対応する寸法となっている。例えば、電荷蓄積部221の幅寸法は、約3mm~約10mmの範囲とすることができ、好ましくは、約4mm~約9mmの範囲とすることができ、更に好ましくは、約5mm~約8mmの範囲とすることができ、更に一層好ましくは、約6mm~約7mmの範囲とすることができる。
【0077】
なお、前記駆動装置210のベース部211のベース表面211aにおいて、導電パターン部220の電荷蓄積部221の内周縁により囲まれる面状部分中、情報処理装置10を電荷蓄積部221の内周縁に整合させたときにマルチタッチディスプレイ12と対向する部分が、上記実施の形態1で述べたマルチタッチディスプレイ12との対向面(マルチタッチディスプレイ12の外周円と同一外形の平坦面かららなる対向面)となる。したがって、本実施の形態の駆動装置210では、導電パターン部220の電荷蓄積部221が、前記ベース部211のベース表面211aの対向面(情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12との接触面)の外周側に、前記情報処理装置10の外周縁とマルチタッチディスプレイ12の外周縁との間の間隔に等しい間隔をおいて配置されることになる。
【0078】
[接触部]
導電パターン部220の導通部222は、平面視で所定の幅寸法の直線状をなし、接触部223は、平面視で所定直径の円形状(正円形状)をなす。このうち、接触部223は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12において指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の複数の座標位置に接触領域としてのボタン13X(即ち、静電容量変化により指または指相当物の接触乃至近接を個別に検知する領域)が配置されている場合において、前記ベース部211のベース表面211aの前記対向面(電荷蓄積部221に囲まれる前記中央の面部分)において、マルチタッチディスプレイ12の複数のボタン13Xにそれぞれ対応する(即ち、マルチタッチディスプレイ12のボタン13Xと鏡面配置となる)所定の位置にそれぞれ配置される。なお、接触部223は、図示のように正円形とする以外にも、マルチタッチディスプレイ12のボタン13Xに接触または近接して、ボタン13Xを静電容量変化により駆動できる形状及び面積であれば、任意の外形(楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、星型等のその他の不定形状)及び任意の面積とすることができる。好ましくは、接触部223は、マルチタッチディスプレイ12で設定したボタン13の外形乃至輪郭の範囲内でできるだけ大きな面積となるよう形成して、ボタン13部分での静電結合乃至静電誘導によるボタン13の確実なイベント駆動を確保するようにする。例えば、接触部223を正円形とする場合は、その直径を正方形のボタン13の幅とほぼ同一または若干小さい寸法(コンマミリ単位またはコンマゼロミリ単位で小さい寸法)とする。なお、
図32の例では、マルチタッチディスプレイ12の幅方向に隣接する2個のボタン13Xを駆動する場合を想定して、2個の接触部223が、導電パターン部220の幅方向に若干離間して直列配置されているが、上記実施の形態で述べたように、接触部223の配置態様及び配置個数は、マルチタッチディスプレイ12において同時駆動するボタン13の配置態様及び配置個数に合致させる。
【0079】
[導通部]
一方、導通部222は、前記電荷蓄積部221と接触部223とを電気的に接続するものであり、
図32の場合は、2個の接触部223相互を導通する導通部222と、外側(電荷蓄積部221側)の接触部223と電荷蓄積部221の対応する直線部分とを導通する導通部222とが設けられている。即ち、2個の直列配置の接触部223に対応して、2本の導通部222が、2個の接触部223と電荷蓄積部221の直線部分とを結ぶよう直列的に設けられている。なお、導通部222は、各接触部223の電荷を電荷蓄積部221に導通する限りにおいて、任意の構成及び配置態様とすることができ、例えば、
図32の場合でも、各接触部223を電荷蓄積部221の別箇の位置に導通するよう配線することもできる。
【0080】
上記実施の形態の場合と同様、
図33に示すように、導電パターン220の接触部223は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の接触領域としてのボタン13の全数(例えば、4行3列=12個のボタン13)より少ない複数(例えば、2個または3個等)となるよう、当該ボタン13(上記13X及び13Y)の中から選択した(2個以上の)複数のボタン13Xに対応する位置(情報処理装置10を電荷蓄積部221の内周縁に整合させてマルチタッチディスプレイ12を電荷蓄積部221の内側の対向面に整合させたときに、ボタン13Xに対して鏡面配置となる位置)にそれぞれ配置されている。なお、上記導通部222の面積は、接触部223の面積よりも大幅に小さい面積とし、例えば、接触部223の直径の約1/5~約1/15の幅(好ましくは、約1/8~約1/12の幅、更に好ましくは、約1/10の幅)で隣接する2個の接触部223の間を直線的に延びる直線帯状とする。このように、導通部222の幅及び長さで決定される当該導通部222の面積を、接触部223の面積より相当程度小さくすることにより、各接触部223間および接触部223と電荷蓄積部221とを電気的に接続する場合において、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12が導通部222には反応(静電容量変化)せず、接触部223にのみ反応するようにする。即ち、上記実施の形態1の別例(コンダクティブペンや導電トレースペン等による)導通用のライン部の場合と同様、導通部222の面積(特に幅寸法)は、このようにマルチタッチディスプレイ12が導通部222と接触しても反応しない面積(特に幅寸法)とする。よって、導通部222は、各接触部223間及び接触部223と電荷蓄積部221とを電気的に接続する一方で、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12が反応しないものであれば、任意の形状及び寸法とすることができる。
【0081】
[遮蔽シール]
ベース部211のベース表面211aにおいて、前記導電パターン部220の電荷蓄積部221の内周縁の内側には、前記マルチタッチディスプレイ12との対向面を完全に内包するよう、かつ、当該電荷蓄積部221の内周縁の内側の全面を完全に遮蔽するよう、シート状の遮蔽手段としての遮蔽シール225が接着または粘着等によって密着している。遮蔽シール225は、通常の粘着シール材料と同様の材料から構成され、それ自体は絶縁体または誘電体である。また、遮蔽シール225は、前記電荷蓄積部221の内周縁の内側の面と同一面積で同一形状(同一外形乃至同一輪郭)のシート状であり、ベース部211のベース表面211において電荷蓄積部221の内周縁に正確に整合させて接合され、前記導電パターン220のうち、前記導通部222及び接触部223を全て外部から遮蔽すると共に、電荷蓄積部221の全体を当該遮蔽シール225の外周縁の外側に密接して露出させている。したがって、電荷蓄積部221は、ベース部221に接合した遮蔽シール225の外周縁に密接して、当該遮蔽シール225の外周縁から外方に前記所定幅(パターン幅)で設けられることになる。更に、上記実施の形態の遮蔽手段としての遮蔽部と同様、遮蔽シール225の厚みは、コンマミリまたはコンマゼロミリ単位であり、マルチタッチディスプレイ12を遮蔽シール225を介して導電パターン220の接触部223に近接させたときに、接触部223によってマルチタッチディスプレイ12の対応するボタン13Xが確実に駆動されるようになっている。
【0082】
[電荷蓄積部の電荷移動]
図33に示すように、駆動装置210の導電パターン部220において、電荷蓄積部221の外周縁の幅W1が導電パターン部220全体の最大幅となり、電荷蓄積部221の外周縁の長さL1が導電パターン部220全体の最大長さとなる。また、電荷蓄積部221の内周縁の幅W2は、前記電荷蓄積部221の外周縁の幅W1から長辺部分の幅d1だけ小さい幅であり、電荷蓄積部221の内周縁の長さL2は、前記電荷蓄積部221の外周縁の長さL1から短辺部分の幅d2だけ小さい長さである。(なお、前記幅d1=d2。)一方、前記電荷蓄積部221の内周縁の幅W2は、情報処理装置10の幅W3と同一または若干大きい幅(コンマミリ単位で大きい幅)に設定され、前記電荷蓄積部221の内周縁の長さL2は、情報処理装置10の長さL3と同一または若干大きい長さ(コンマミリ単位で大きい長さ)に設定されている。
【0083】
これにより、情報処理装置10の外周縁を遮蔽シール225の外周縁に正確に整合させて、マルチタッチディスプレイ12をベース部211の対向面に押し当てることにより、マルチタッチディスプレイ12のボタン13Xが導電パターン部220の対応する接触部223に正確に位置決めして対向及び近接すると共に、マルチタッチディスプレイ12のいずれの反応面も導電パターン220の電荷蓄積部221に対向または接触することがなく、電荷蓄積部221との接触によるマルチタッチディスプレイ12の誤動作を確実に防止することができる。更に、使用者が指で(親指と他の指との間で)情報処理装置10を把持し、マルチタッチディスプレイ12をベース部211の対向面に押し当てたときに、指先の腹の部分が、電荷蓄積部221に自然に接触するため、即ち、ベース部211の対向面と同一面内または当該対向面と連続する面内に配設される面状の導電パターン部220において、使用者の指が自然と接触するような位置に電荷蓄積部221が前記所定幅(指の腹からの電荷移動を許容する幅)で配置されている。したがって、電荷蓄積部221が、上記実施の形態の露出部と同様、使用者の指と導通し、接触部223からの電荷を導通部222を介して使用者に移動する。その結果、電荷蓄積部221を、上記実施の形態の露出部と同様に機能させ、マルチタッチディスプレイ12のボタン13Xに対する導電パターン部220の対応する接触部223による静電容量の変化量を大きく増大することができ、所定のボタン13Xだけを確実に駆動することができる。
【0084】
[電荷蓄積部の電荷受容・蓄積]
上記のように、電荷蓄積部221は、上記実施の形態の露出部と同様の露出部として構成することができ、このように使用者の指を接触させるための露出部として機能させる場合は、電荷蓄積部221は、使用者の指先が自然に接触自在な位置に、人の指先の面積以上の面積を有する露出面として構成すれば、上記接触部223からの電荷を人体へ移動させることができ、人体を通じてボタン13Xの確実な駆動を行うことができる。一方、電荷蓄積部221は、図示のように遮蔽シール225の外周側に露出させる場合でも、或いは、図示はしないが(遮蔽シール225を電荷蓄積部221の外周縁と合致する大きさの角丸矩形状として)電荷蓄積部221を遮蔽シール225の内側に遮蔽する場合でも、マルチタッチディスプレイ12の各ボタン13Xの駆動に必要な量の電荷(即ち、ボタン13Xを静電容量変化により駆動するために必要な量の電荷)を、接触部223から導通部222を介して受容及び蓄積するよう構成されている。即ち、例えば、導電パターン220において電荷蓄積部221を設けず、接触部223(及び複数の接触部223間を導通する導通部222)のみの構成とした場合、接触部223(及び導通部222)の合計面積は、それのみでマルチタッチディスプレイ12のボタン13Xの静電容量を変化させるには大きく不足し、ボタン13Xの駆動が困難になることを本発明者らは発見した。そして、本発明者らは、この点を改善すべく、鋭意の実験及び研究開発を重ねた結果、ボタン13Xを確実に駆動するための構成として、接触部223の外側を完全に包囲し、かつ、マルチタッチディスプレイ12の外側に配置される(接触部223に比較して)大面積の電荷蓄積部221を追加的に設けて接触部223と導通し、ボタン13Xから接触部223に伝達される電荷を、導通部222を介して電荷蓄積部221に受容して蓄積することで、ボタン13X部分で大きな静電容量の変化を生起できるようにしている。即ち、この場合、人体を介してボタン13X部分の電荷が接地部分に流れることはないが、電荷蓄積部221による静電誘導作用等によって、ボタン13X部分で十分な量の電荷移動及び静電容量の変化が生起し、ボタン13Xが確実に駆動している、或いは、電荷蓄積部221自体が既に蓄積した電荷によって、接触部223を介してボタン13X部分の静電容量を変化させることでボタン13Xを確実に駆動していると予想される。この場合、電荷蓄積部221に使用者の指が接触する必要はないため、上記のように、電荷蓄積部221を遮蔽シート225の外側に配置する構成とする以外にも、遮蔽シール225を電荷蓄積部221まで覆う寸法に形成して、遮蔽シール225により電荷蓄積部221の全体を遮蔽してもよい。ただし、この場合、マルチタッチディスプレイ12を正確に電荷蓄積部221の内周縁の内側に位置決めして配置できるよう、遮蔽シール225の外周縁の内側において(当該遮蔽シール225の下側の)電荷蓄積部221の内周縁に整合する位置に、マルチタッチディスプレイ12の外周縁を整合配置するための目印を示す枠線(内枠線)を表示形成することが好ましい。
【0085】
したがって、本実施の形態では、このような電荷蓄積部221の大面積を確保するため、電荷蓄積部221の形成パターン及びパターン幅d1,d2に着目し、上記のとおり、電荷蓄積部221をベース部221の対向面(マルチタッチディスプレイ12との接触面)の所定距離外側に離間配置して当該対向面を包囲する矩形枠状とし、かつ、その幅寸法d1,d2を、約3mm~約10mmの範囲、好ましくは、約4mm~約9mmの範囲、更に好ましくは、約5mm~約8mmの範囲、更に一層好ましくは、約6mm~約7mmの範囲としている。これにより、マルチタッチディスプレイ12をベース部221の対向面内に載置して当接させただけで、即ち、使用者の指を導電パターン220の電荷蓄積部221に接触させなくても、ボタン13X部分で十分な静電容量の変化が発生し、ボタン13Xに所定のイベントを発生させることができる。即ち、電荷蓄積部221が、実施の形態5の帯電部92(または実施の形態6の帯電部としての基部101)と同様の機能をも発揮するよう構成されている。ここで、実施の形態5の帯電部92及び実施の形態6の帯電部(基部101)は、駆動装置90,100の立体的構成に合わせて、駆動装置90,100におけるマルチタッチディスプレイ12との対向面・接触面である遮蔽部96,105(及びボタン13Xを駆動する接触部95,104)よりも、駆動装置90,100の厚さ方向における内部側に配置されて、ボタン13Xから接触部95,104に流れる電荷を、当該ボタン13Xを駆動するのに十分な量で受容及び蓄積し、或いは、帯電部自体が既に蓄積した電荷によって、接触部95,104を介してボタン13X部分の静電容量を変化させることで、人体へと電荷を移動させる必要なく(即ち、露出部を必要とすることなく)ボタン13Xを確実に駆動するようになっている。
【0086】
一方、本実施の形態では、駆動装置210においてボタン13Xの駆動部分である導電パターン部220の構成要素は、全て、ベース部211のベース表面211aにのみ面状に設けられる平面的構成とされ、かつ、導電パターン部220の電荷蓄積部221が、情報処理装置10の平面形状に対応する形状、即ち、その内周縁が情報処理装置10の外周縁に密接または若干(コンマミリ単位で)離間して近接することにより、同一面上または連続面上でマルチタッチディスプレイ12を所定距離を置いて完全に内包する構成とされる。したがって、実施の形態11の駆動装置210は、ベース部211のベース面211a等、マルチタッチディスプレイ12の対向面に対応して、(電荷蓄積部221が当該対向面を内包するように)ベース部211に導電パターン部220を平面的に(印刷等によって)形成するだけで、上記実施の形態5または6の駆動装置90,100と同様の機能を発揮することができ、製造コストを大幅に低減することができると共に、導電パターン部220のパターンを容易に多様化することができる等の特有の作用効果を発揮する。即ち、本実施の形態の電荷蓄積部221は、実施の形態5及び6の帯電部と同様、ボタン13Xから接触部223に流れる電荷を、当該ボタン13Xを駆動するのに十分な量で受容及び蓄積し、或いは、電荷蓄積部221自体が既に蓄積した電荷によって、接触部223を介してボタン13X部分の静電容量を変化させることで、人体へと電荷を移動させる必要なく(即ち、露出部を必要とすることなく)ボタン13Xを確実に駆動するようになっている。
【0087】
[作用・効果]
実施の形態11の駆動装置210は、実施の形態5または6の駆動装置90,100と同様、使用者が手で情報処理装置10を把持してその外周縁を遮蔽シール225の外周縁に整合させ、当該情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12をベース部221の対向面(遮蔽シール225の表面中央部)に密接配置することにより、複数の接触部223が遮蔽シール225を介してマルチタッチディスプレイ12の選択された複数のボタン13Xと静電結合し、ボタン13X部分の電荷が接触部223から導通部222を介して電荷蓄積部221に流れる。そして、このとき、使用者の指が電荷蓄積部221に接触している場合は、ボタン13Xからの電荷は、電荷蓄積部221を介して人体に流れ、ボタン13Xが静電容量変化により駆動して、情報処理装置10が所定のイベントを発生し、所定の情報処理(典型的には、上記実施の形態で述べたようなコンテンツ表示処理)を実行する。一方、このとき、使用者の指が電荷蓄積部221に接触していない場合は、ボタン13Xからの電荷は、接触部223から導通部222を介して電荷蓄積部221に流入し、大面積の当該電荷蓄積部223に受容及び蓄積されて、上記電荷が人体に流れる場合と同様、ボタン13Xが静電容量変化により駆動して、情報処理装置10が所定のイベントを発生し、所定の情報処理を実行する。
【0088】
実施の形態12
図34に示すように、実施の形態12に係る情報処理システムは、実施の形態11に係る情報処理システムとほぼ同様の構成であるが、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12のボタン13を、実施の形態11の3行4列=12個のボタン数の構成(及びそのうちから任意の複数個のボタン13Xを選択する構成)から、4行5列=20個のボタン数の構成(及びそのうちから任意の複数個のボタン13Xを選択する構成)とした点が相違する。なお、この情報処理装置10側の構成変更に対応して、駆動装置220の導電パターン部220の接触部223の配置位置は、当該4行5列=20個のボタン13のうちの任意の複数個のボタン13Xに対応する(上記の鏡面配置となる)位置に設定されている。実施の形態12に係る情報処理システムも、実施の形態11に係る情報処理システムと同様に機能し、同様の作用効果を発揮する。
【0089】
実施の形態13
図35に示すように、実施の形態13に係る情報処理システムは、実施の形態11に係る情報処理システムとほぼ同様の構成であるが、まず、駆動装置320全体を、情報処理装置10の外形より若干大きな寸法の長方形板状にした点において、実施の形態11に係る情報処理システムと相違する。詳細には、駆動装置320は、上記各実施の形態の導電性材料と同様の導電性材料からなる導電パターン部321~323と、導電パターン部321の内部を充填する(前記ベース部211と同様の板材により形成される)ベース部324とを備えている。即ち、導電パターン部321~323は、ベース部324の外周縁部及び内部領域にそれぞれ配設されるようになっている。具体的には、実施の形態11の導電パターン部220は、ベース部221のベース表面221aに平面的に形成される面状のものであるのに対し、実施の形態13の導電パターン部321~323は、電荷蓄積部321、導通部322及び接触部323が、ベース部324の厚さ方向全体に延設され、所定の厚み寸法h(ベース部324と同一の厚み寸法)を有する立体的構成となっている。即ち、例えば、導電性材料(金属材料等)により導電パターン部321~323の全体を一体形成すると共に、当該導電パターン部321~323の内部(電荷蓄積部321の内周縁321aより内側の部分であって、導電パターン部320の厚み寸法hの範囲の部分)に合成樹脂材料を充填して充填部324を一体形成することで、絶縁体からなる充填部324と導電体からなる導電パターン部321~323とを一体化して平板状の板状体としている。
【0090】
前記導電パターン部321~323の平面視における寸法及び形状は前記導電パターン220と同様であり、電荷蓄積部321の内周縁が、情報処理装置10の外周縁に一致する構成であり、また、電荷蓄積部321が前記電荷蓄積部221と同様の幅寸法d1,d2を有する角丸矩形枠状となって、情報処理装置10の外周縁の外側に密接配置されるようになっている。また、本実施の形態では、一例として、マルチタッチディスプレイ12で設定したボタン13Xに対応して、3個の接触部323が、異なる平面位置(座標位置)に配置され、電荷蓄積部321は、導通部322を介して3個の接触部323とそれぞれ導通している。一方、電荷蓄積部321の内周縁より内側にあるベース部324並びに導通部322及び接触部323には、前記遮蔽シール225と同様の構成の遮蔽シール325が貼付されてそれらの表面側の全面を遮蔽している。遮蔽シール325は、その外周縁が電荷蓄積部321の内周縁と整合する構成(外形状及び寸法)とされている。なお、遮蔽シール325は、上記実施の形態11で述べたように、導電パターン部321~323の全体を同時に覆う構成としてもよい。或いは、実施の形態13では、遮蔽シール325を省略し、導電パターン部321~323の全体を露出してもよい。(同様に、実施の形態11において、ベース部221から遮蔽シール225を省略し、導電パターン部220の全体を露出してもよい。)
【0091】
実施の形態13に係る駆動装置320によれば、導電パターン部321~323が所定の厚み寸法hを有するため、電荷蓄積部321の厚み増加分によって全体的な電荷受容量及び電荷蓄積量をその厚みの分だけ大幅に増加することができる。(接触部323及び導通部322の厚み増加分によっても付随的に電荷需要量・蓄積量を増加できる。)また、駆動装置320が、情報処理装置10より若干(電荷蓄積部321の幅の分だけ)大きな平板状であるため、実施の形態11のように情報処理装置10を把持して駆動装置320に押し当てる以外に、実施の形態1のように、駆動装置320を把持して情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12側に押し当てて駆動させることも可能である。
【0092】
実施の形態14
図36に示すように、実施の形態14に係る情報処理システムの駆動装置350は、実施の形態11に係る駆動装置210の導電パターン部220を、前記ベース部211よりも大きな(約3倍以上の)寸法のベース部351のベース表面351aに複数(図示の例では合計3個)並列的に配置している点が相違する。即ち、ベース部351は、3個の導電パターン部220A,220B,220C(それぞれ、導電パターン部220と同様の構成)を縦置きした状態で、その長さ方向に離間して並列的に配置している。なお、各導電パターン部220A,220B,220Cにおいて、電荷蓄積部221の内側には、実施の形態11と同様、遮蔽シール225が貼付されている。実施の形態14に係る情報処理システムも、実施の形態11に係る情報処理システムと同様に機能し、同様の作用効果を発揮する。更に、実施の形態14に係る情報処理システムは、単一のベース部351に配置した3個の導電パターン部220A,220B,220Cが、それぞれ、異なる接触部223の配置パターンを有するため、単一の駆動装置350を使用して、3種類の情報処理を情報処理装置に実行させることができる(例えば、3種類の異なるコンテンツを表示させることができる)。
【0093】
実施の形態15
図37~
図38に示すように、実施の形態14に係る情報処理システムの駆動装置420は、ベース部としての台座421と、台座421の内部に配設された複数個(図示の例では、3行3列=9個)の駆動部431とを備えている。台座421は、情報処理装置10の外形状及び外形寸法に対応する外形状及び外形寸法を有する矩形板状をなし、台座421の表面(
図37中の平面)が、前記ベース部211のベース表面211aに対応する台座表面となっている。また、台座421は、その厚さ方向に貫通する複数個(図示の例では、3行3列=9個)の円形孔422を形成している。各円形孔422は、前記接触部223と同様、マルチタッチディスプレイ12で設定した数のボタン13(合計で3行3列=9個となるボタン13)に対応する位置(鏡面位置)に配置されている。また、円形孔422と同一数となる駆動部431は、台座421の内部において、円形孔422に対向する位置にそれぞれ配設されている。更に、駆動部431は、例えば、ソレノイドモーターやサーボモーター等により、円柱状の当接部432を伸縮乃至出没自在な構成(即ち、ピストン状に駆動自在な構成)であり、当接部432が円形孔422に正確に対向して整合する位置にそれぞれ配設されている。なお、台座421は、前記ベース221と同様の絶縁体から形成されている。
【0094】
各駆動部431は、駆動制御回路441に接続されている。そして、駆動制御回路441の制御によって、任意の組合せの複数の駆動部431を駆動して、その当接部432を対応する台座421の円形孔422から出没させる(
図38(a)中の矢印方向に往復移動させる)ようになっている。即ち、駆動制御回路441により所定の駆動部431をオン(ON)駆動すると、駆動制御回路441により所定の駆動部431をオフ(OFF)駆動すると、当接部432が伸張状態から収縮状態へと収縮移動する。なお、当接部432の伸張状態では、当接部432の先端面(円形の平坦面)432aが、台座421の対応する位置の円形孔422の周縁部(台座421のベース表面421aにおける当該円形孔422の周縁部)から若干の寸法だけ(例えば、約0.5mm~約1.0mmの寸法だけ)突出すると共に、当接部432の収縮状態では、当接部432の先端面432aが、台座421の円形孔422の裏面(ベース表面421aと反対側の面)より若干内部の位置まで没入するようになっている。
【0095】
一方、駆動部430の当接部432は、前記導電性材料(金属材料等)から形成され、その先端面(円形の平坦面)432aがマルチタッチディスプレイ12のボタン13Xに当接したときに、ボタン13Xの電荷を駆動部430を介して受容・蓄積し、または、駆動部430を介して(及び駆動部430から駆動制御回路441や全体のハウジング等の接地部へと通じる導線を介して)接地方向へと流し、ボタン13Xを静電容量変化により駆動するようになっている。
【0096】
これにより、実施の形態15に係る情報処理システムでは、駆動装置420の台座421の台座表面421aに情報処理装置10を整合させてマルチタッチディスプレイを押し当てると共に、駆動制御回路441によりマルチタッチディスプレイ12のボタン13のうちの(所望のイベント発生用の)所定の組合せのボタン13Xに対応する複数の駆動部431をオン駆動して、それらの当接部432を台座421の円形孔422から突出させることにより、当該複数の当接部432の先端面432aがマルチタッチディスプレイ12の所定の組合せのボタン13Xに当接し、当該ボタン13Xの電荷を移動することにより静電容量を変化させて、当該ボタン13Xを駆動することで、所望のイベントを発生させる。
【0097】
実施の形態11~15の別例
ところで、実施の形態11~15に係る情報処理装置のベース部(211等)は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12を位置的に整合させて押し当てる対向面(導電パターンの電荷蓄積部に内包される面)を有すると共に、導電パターン部(220等)を一体的に設けることができるよう、少なくとも、情報処理装置10の外周縁形状(通常は長方形状)の寸法に対応して、当該外周縁形状の寸法より前記導電パターン部220の電荷蓄積部の幅寸法の分だけ大きな寸法のベース表面を有する板状やブロック状等の任意の形状に形成することができる。例えば、実施の形態11及び14のように、ベース部211,351を情報処理装置10より相当大きな板状またはブロック状とすることもでき、あるいは、実施の形態12のように、情報処理装置10より電荷蓄積部321の幅の分だけ大きな板状またはブロック状とすることもできる。
【0098】
また、実施の形態11~15に係る情報処理装置では、電荷蓄積部は、前記電荷蓄積部221のようにその全周を通じて完全に同一幅寸法とすることもできるが、一部のみを幅広または幅狭としてもよく、例えば、角部(コーナー部)を他の部分(直線部)よりも若干幅広とすることもできる。更に、電荷蓄積部(221等)は、遮蔽シール(225等)や上記各実施の形態の遮蔽手段等の各種シート状の(静電容量の変化を妨げない厚み及び材料からなる)遮蔽手段によって完全に遮蔽してもよく、この場合も、接触部(223等)が遮蔽手段を通じてボタン13Xと静電結合してボタン13Xを確実に駆動する。更にまた、電荷蓄積部(221等)は、上記のように、使用者が手で情報処理装置10を把持して、そのマルチタッチディスプレイ12を駆動装置(210等)のベース部(211等)の対向面に対向して接触(または近接)させたときに、情報処理装置10を把持する人の指(親指等)の指先の腹が、自然に当該電荷蓄積部(221等)に接触する領域乃至範囲(または近接する)に配置されているが、電荷蓄積部をそれ以外の位置、例えば、上記の場合に使用者の掌が自然に触れるベース部211の領域乃至範囲に設けることも可能である。
【0099】
また、電荷蓄積部(211等)の内周縁は、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12を完全に内方できる形状及び寸法であれば、任意の形状及び寸法とすることができる。例えば、電荷蓄積部211の内周縁は、
図31~
図32に示すように、マルチタッチディスプレイ12の外周縁により規定される角丸矩形状と同一の(またはコンマミリ単位で若干大きな)角丸矩形状とする以外に、当該マルチタッチディスプレイ12の外周縁により規定される角丸矩形状よりも大きな(左右寸法及び上下寸法を大きく設定した)角丸矩形状としてもよい。
【0100】
また、上記ベース表面(211a等)を有するベース部(211等)の形状は、上記ベース表面(211a等)を設けることができる限りにおいて、任意の形状とすることができる。例えば、ベース部211は、
図31に示すように、矩形平板状として厚さ方向両側面を平坦面とし、その一側面を前記ベース表面211とする以外にも、厚さ方向他側面を湾曲面や不定形状の面乃至異形状の面とすることもできる。また、一般的なマルチタッチディスプレイ12は平坦面であり、また、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の外側の面も平坦面であるため、ベース部の前記対向面を内包するベース表面も、これに合わせて平坦面とするが、この場合でも、ベース部のベース表面において情報処理装置の平坦面と密接する面部分のみを平坦面とし、それ以外の面は湾曲面等の平坦面以外の面形状としてもよい。一方、情報処理装置のマルチタッチディスプレイ側の面が湾曲面等となる場合は、ベース部のベース表面も、これに対応する湾曲面とする必要がある。
【0101】
実施の形態1~10の発明
実施の形態1~10で述べた発明は、以下の情報処理システムに係る発明として把握することができる。即ち、この発明に係る情報処理システムは、人の指または指相当物が接触することにより所定の動作を行うマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置と、当該情報処理装置を駆動するための駆動装置等を備えた情報処理システムである。この駆動装置は、ベース部と、駆動部とを備える。ベース部は、電気絶縁体からなると共に、マルチタッチディスプレイの面形状に対応する面形状の対向面を有する。駆動部は、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面において前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体からなる。後述する実施の形態のように、ベース部は、例えば、把持部、保持部、絶縁部等から構成される。駆動部は、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに接近または当接させたときに前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域にそれぞれ(通常は面的に)接触状態または略接触状態(即ち、静電容量の変化を発生することができる距離まで接近した状態)となり、前記情報処理装置に対して当該接触領域に固有のイベントを発生させる。後述する実施の形態のように、駆動部は、例えば、露出部、導通部及び接触部等からなり、その接触部において前記ベース部の対向面から露出する露出面を形成する頭部は、マルチタッチディスプレイの接触領域を駆動可能な面積を有すると共に、同時駆動することになる複数の接触領域の数と同一数の複数の接触部が設けられる。なお、本発明は、静電容量式のマルチタッチディスプレイを備える情報処理装置に適用することが好適であるが、上記構成の駆動装置を利用して駆動できる限りにおいて任意の情報処理装置に適用可能である。また、本発明は、使用者が駆動装置自体においてマルチタッチディスプレイの接触領域に接触する接触部と指とを電気的に導通する部分(例えば露出部の外部露出面)に指を直接的に接触して当該駆動装置を動作させる指接触動作式の駆動装置以外にも、使用者が指を駆動装置に接触させることなく、情報処理装置のマルチタッチディスプレイと駆動装置の対向面とを互いに接触させる(即ち、マルチタッチディスプレイの接触領域と駆動装置の接触部とを互いに接触させる)だけで、駆動装置の内部に設けて接触部と電気的に導通する帯電部分等により、マルチタッチディスプレイの接触領域を駆動する自立動作式の駆動装置としても具体化することができる。
【0102】
プログラムの発明
また、本発明は、上記各実施の形態の駆動装置や情報処理装置を備えた情報処理システムを使用して、前記マルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に所定の情報処理手順を実行させる情報処理プログラムに適用することもできる。この場合、情報処理プログラムは、接触領域配置手順と、接触領域非表示手順と、コンテンツ表示手順とを備えるコンテンツ表示用の情報処理をコンピュータに実行させるプログラムとして実施することができる。この場合、接触領域配置手順は、情報処理装置のマルチタッチディスプレイの(ソフトウエア的に設けられる多層構造のレイヤーのうちの)第1のレイヤーの複数の所定領域に、それぞれ、前記接触領域としてのボタンやキー等を設定して互いに離間するよう複数配置するよう構成することができる。また、接触領域非表示手順は、前記マルチタッチディスプレイに配置した(第1のレイヤーに配置する場合は当該第1のレイヤーに配置した)前記複数の接触領域の全ての画面表示を外部から視認不能とする。更に、コンテンツ表示手順は、前記マルチタッチディスプレイに配置した複数の接触領域のうち前記選択された複数の接触領域に、前記駆動部の複数の接触部が(通常は同時に或いはほぼ同時に)接触したときに、所定の記憶領域に記憶した複数のコンテンツから、前記選択された複数の接触領域がオンしたときに呼び出されるよう割り当てられた所定のコンテンツを呼び出し、前記マルチタッチディスプレイに表示する。このとき、例えば、マルチタッチディスプレイの接触領域を配置するレイヤーと異なるレイヤー(接触領域を第1のレイヤーに配置する場合は、第1のレイヤーより表層側の階層(上位の階層)である第2のレイヤー等)にコンテンツを表示することができる。
【0103】
[作用効果]
なお、上記態様に係る情報処理システムによれば、マルチタッチディスプレイでのマルチタッチを簡単かつ確実に行うことができるようにし、特に、小型のマルチタッチディスプレイの場合でも、マルチタッチディスプレイの接触領域であるボタン等に直接接触することなく、マルチタッチディスプレイの所定の複数の接触位置に設けた接触領域に的確かつ複数同時に指を接触したと同一の動作を行わせることができる。また、この情報処理システムを使用した情報処理プログラムは、例えば、上記コンテンツ表示プログラムとして実施した場合、マルチタッチディスプレイの接触領域であるボタン等に直接接触することなく、マルチタッチディスプレイの所定の複数の接触位置に設けた接触領域に的確かつ複数同時に指を接触したと同一の動作を行わせることができるという特有の効果に起因して、例えば、マルチタッチディスプレイの接触領域としてのボタンの配置数や配置位置を変更すると共に、これに対応して駆動装置の接触部の配置数や配置位置を変更する(接触領域と同一数を鏡面配置とする)ことで、多種多彩な異なるコンテンツを表示することができるようになる。また、このとき、マルチタッチディスプレイのボタン等の接触領域の画面は、接触領域非表示手順により完全に遮蔽されて(或いは完全に透明化されて)外部から視認することができないので、使用者はどのボタンを押したかはわからず、コンテンツ表示動作に予測不可能性及び意外性を出すことができる。特に、この場合、駆動装置にも接触部を外部から完全に遮蔽して視認不能とする遮蔽部を設けることが好ましく、この場合、駆動装置の接触部も完全に遮蔽されて外部から視認することができないので、使用者は、マルチタッチディスプレイのどのボタンを押すことになるかについても全く事前に知ることができず、更に意外性による趣向を大幅に向上することができる。その他、本発明は、コンテンツ表示用のプログラム以外にも、ギター等の楽器演奏用のプログラム、キーボード操作用のプログラム、ゲーム操作用のプログラム等、各種のプログラムを情報処理装置により実行するようにし(即ち、これらのプログラムに対応するボタンやキー等の接触領域をマルチタッチディスプレイに所定数だけ所定の配置態様で設定配置し)、これに対応して駆動部にも対応する数及び配置態様の接触部を設け、かつ、それらの接触部にそれぞれ電気的に導通してそれらの接触部を個別に動作自在な操作点をベース部の表面等に設けることで(即ち、操作点に指を接触することで接触部からマルチタッチディスプレイのボタン等を操作できるようにすることで)、情報処理装置のマルチタッチディスプレイに直接指を接触して操作することなく、駆動装置を介して情報処理装置を間接的に(遠隔操作とも呼べる状態で)操作することができるため、特に小型の情報処理装置(携帯情報端末や携帯通信端末)の場合において情報処理装置のプログラムの操作性を大幅に向上することができる。
【0104】
実施の形態11~14の発明
上記実施の形態11~14で述べた発明は、以下の情報処理システムに係る発明として把握することができる。即ち、この発明に係る情報処理システムは、情報処理装置と、情報処理装置に所定の動作を行わせるための駆動装置とを備える。駆動装置は、ベース部を備えている。ベース部の一側面はベース表面となっており、ベース部のベース表面には、駆動部としての導電パターン部が一体的に設けられている。ベース部は、電気的不導体からなる。ベース部の一側面のベース表面は、前記導電パターン部を所定範囲の領域に一体形成して当該導電パターン部を露出させるための面である。導電パターン部は、導電性塗膜材料を使用して、電荷蓄積部、導通部及び接触部を、所定の導電パターンとなるよう、ベース部のベース表面の所定範囲の領域に一体形成したものである。導電パターン部の静電容量増大部としての電荷蓄積部は、所定の幅寸法の塗膜パターンを、当該パターン幅で枠状の平面形状となるよう形成したものである。また、電荷蓄積部は、その内周縁が、情報処理装置自体の外周縁により規定される外形状と略同一の形状となるよう形成されている。接触部は、マルチタッチディスプレイの複数のボタンにそれぞれ対応する所定の位置にそれぞれ配置される。導通部は、前記電荷蓄積部と接触部とを電気的に接続するものである。導電パターンの接触部は、情報処理装置のマルチタッチディスプレイのボタンの全数より少ない複数となるよう、当該ボタンの中から選択した複数のボタンに対応する位置にそれぞれ配置されている。使用者が指で情報処理装置を把持し、マルチタッチディスプレイをベース部の対向面に押し当てたときに、指先の腹の部分が、電荷蓄積部に自然に接触するよう、即ち、ベース部の対向面と同一面内または当該対向面と連続する面内に配設される面状の導電パターン部において、使用者の指が自然と接触するような位置に電荷蓄積部が前記所定幅(指の腹からの電荷移動を許容する幅)で配置されている。
【0105】
実施の形態16~18
以下、上記実施の形態11~14と同様、基本的には平板タイプの駆動装置を備えた情報処理システムとして、実施の形態16~18に係る情報処理システムについて説明する。
【0106】
実施の形態16
図39に示すように、実施の形態16に係る情報処理システムは、実施の形態11に係る情報処理システムとほぼ同様の構成であり、駆動装置220とほぼ同様の構成の駆動装置520を備えている。一方、駆動装置520は、前記電荷蓄積部221の内側の対向面に形成する導通部522及び複数の接触部523を、実施の形態11の導通部222及び接触部223のように単純パターン形状とするのではなく、任意の文字、ロゴ、記号、図形、模様等、任意のパターン形状として構成している。即ち、本発明の導通部及び接触部は、電荷蓄積部の内側の対向面に配設される限りにおいて、任意のパターン形状として配設することができる。具体的には、実施の形態16では、かかるパターン形状の一例として、「GO」という単語を構成する各文字「G」及び「O」を描くように、導通部522及び接触部523が形成されている。即ち、文字「G」において、接触部523(2個)は、導電体から形成され、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の任意の複数の接触領域13Xに対応する位置に形成された円形状であり、材料、配置及び形状は実施の形態11の接触部223と同様である。一方、接触部523を電荷蓄積部221と導通する導通部522は、導通部522と同様の細線状の導電体からなる3つの線状の導通部522a,522b,522cから構成される。導通部522aは、一端に1個の接触部523を接続した湾曲状乃至円弧状の細線状に形成される。また、導通部522bは、導通部522aの他端と他の1個の接触部523を連結・導通する直線状に形成される。更に、導通部522cは、導通部522aの他端と電荷蓄積部221とを連結・導通する直線状に形成される。これにより、3個の導通部522a,522b,522cと2個の接触部523とにより「G」の文字が描かれている。
【0107】
一方、「O」の文字において、接触部533(1個)は、導電体から形成され、情報処理装置10のマルチタッチディスプレイ12の任意の接触領域13Xに対応する位置に形成された円形状であり、材料、配置及び形状は実施の形態11の接触部223と同様である。一方、接触部533を電荷蓄積部221と導通する導通部532は、導通部222と同様の細線状の導電体からなり、接触部533を電荷蓄積部221に連結・導通している。一方、「O」の文字において接触部533以外の線状部分は、接触部533の直径と同一幅の円弧線状をなす連結部534が、通常のインク(非導電性インク)等の被導電性の塗膜により形成されている。なお、連結部534は、接触部533をも完全に覆うよう、即ち、「O」の文字全体を描くよう形成してもよい。これにより、1個の導通部532と1個の接触部533と1個の連結部534とにより「O」の文字が描かれている。実施の形態16の駆動装置520も、実施の形態11の駆動装置220と同様の作用効果を発揮し、更に、導通部522,532及び接触部523,533により(複雑なパターンを含む)任意のパターンを描いて意匠的な効果を増大することができる。したがって、実施の形態16では、遮蔽シールを省略して、或いは、遮蔽シールを透明体として、導通部522,532及び接触部523,533を外部から視認できるようにしてもよい。
【0108】
実施の形態17
図40に示すように、実施の形態17の情報処理システムに係る駆動装置540は、実施の形態3の設置式(据置式)の駆動装置を、実施の形態1と同様の把持式(スタンプ型)として構成している。詳細には、駆動装置540は、絶縁材料からなる絶縁部としてのベース部541を、使用者が把持できるよう、情報処理装置10の外形寸法及び外形状とほぼ同様の外形寸法及び外形状の矩形板状に形成している。ベース部541は実施の形態3のベース部41と同様の構成である。また、ベース部541の四方の側面の一側面には、実施の形態3の露出部42と同様の構成の露出部542を導電体から形成して導電露出部を構成している。更に、ベース部541の内部には、実施の形態4の帯電部(電荷蓄積部として機能)と同様の構成の平板状の帯電部543を、絶縁体乃至誘電体から形成して電荷蓄積部を構成している。更にまた、ベース部の内部には、実施の形態1の絶縁部25と同様の構成の平板状の絶縁部545を、絶縁体から形成している。そして、ベース部541の(情報処理装置10との)対向面において所定の位置(マルチタッチディスプレイ12の接触領域13Xと対向する位置)には、前記接触部26,223等と同様の構成の導電体からなる複数の接触部546を、前記絶縁部545に埋設して、接触部546の表面が当該絶縁部545の表面(即ち、対向面)と面一となるようにしている。接触部546は、その裏面が前記帯電部543と密接し、帯電部543との間で電荷を授受自在となっている。また、接触部546は、導電体からなる導通部(図示略)により露出部542と導通している。なお、実施の形態4等で述べたように、帯電部543との間での電荷授受によって、接触部546によってマルチタッチディスプレイ12の接触領域13Xを確実に駆動できるため、露出部542を省略してもよく、この場合、導通部は不要となる。また、帯電部543は、絶縁部545との裏面と密接する位置に配置されているが、ベース部541において更に内部側の位置に絶縁部545と離間して配置してもよく、この場合、導通部により接触部546と導通し、或いは、接触部546を帯電部543まで延びる円柱状等の形状として接触部546の裏面を帯電部543に密接させる。実施の形態17の駆動装置540も、上記各実施の形態の駆動装置と同様の作用効果を発揮する。
【0109】
実施の形態18
図41に示すように、実施の形態18の情報処理システムの駆動装置620は、実施の形態13の駆動装置320とほぼ同様の構成であるが、電荷蓄積部221、導通部222及び接触部223を、実施の形態13のような厚みを有する電荷蓄積部321、導通部322及び接触部323とするのではなく、実施の形態11と同様の導電性インク等による薄膜状に形成している。更に、駆動装置620は、実施の形態13のベース部と同様の絶縁材料により、情報処理装置10の外形寸法と同様の外形寸法の平板状をなすベース部621を形成し、その四方の側面に、前記電荷蓄積部221と連続して導通する導電体かなる薄膜状の露出部622を塗布形成している。これにより、使用者が駆動装置620を把持したときに、指がベース部621の四方の側面の露出部622に接触するようにしている。実施の形態18の駆動装置620も、上記実施の形態13の駆動装置320と同様の作用効果を発揮する。
【0110】
本発明の骨子
本発明(特に、上記実施の形態4,5,11~14,16~18に対応する発明)は、以下の骨子(課題を解決する手段に相当する構成)を備えるものとして把握することができる。
【0111】
まず、本発明は、人の指または指相当物が接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用され、当該情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触して、当該情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる情報処理装置用の駆動装置として構成される。また、駆動装置は、前記情報処理装置として、前記マルチタッチディスプレイにおける異なる座標位置に、前記指又は指相当物の接触を独立して検知自在な大きさの面積を有する接触領域を、所定の面積の設定領域の範囲内に、所定の配置態様で、当該情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以上の所定の複数個となるよう区画して設定配置する機能を実現する接触領域設定手段と、前記接触領域設定手段により前記マルチタッチディスプレイに設定した全ての前記接触領域のうち、前記情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以下の数の範囲内で、1個以上の前記接触領域を組合せて複数種類の接触領域の組合せパターンを設定し、当該接触領域の組合せパターンごとに、それぞれ、別箇の情報処理を前記情報処理装置に実行させるための個別のイベントを割り当てる機能を実現するイベント割当手段とを備える情報処理装置に使用される。そして、駆動装置のベース部は、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイの前記設定領域と同一の外形で、かつ、同一の面積を有する連続面(連続する平坦面または湾曲面)である対向面を有する電気的絶縁体から構成される。
【0112】
また、接触部は、前記ベース部の対向面において、前記マルチタッチディスプレイの設定領域を当該対向面に整合させて配置したときに、前記マルチタッチディスプレイの所定の組合せパターンのそれぞれの接触領域に対向する位置に配設される(当該組合せパターンの接触領域と同一個数で鏡面配置態様の)導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接(完全に当接はしないが静電容量を変化させる距離まで近接した状態、例えば、遮蔽シールを介して近接した状態をいう)させたときに前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域に、それぞれ、表面の全面(下面乃至対向面と同一平面上若しくは接触部が厚みを有する場合はその厚みを置いた平行な平面上にある表面)が接触状態または略接触状態(完全に当接はしないが静電容量を変化させる距離まで近接した状態、例えば、遮蔽シールを介して近接した状態をいう)となるよう構成さている。更に、電荷蓄積部は、前記ベース部において(当該ベース部の絶縁材料を間に挟んで)前記接触部と離間した部位に(接触部と略平行となるよう、接触部の対向面と異なる平面であるベース部の内部側の平面に、または、接触部の対向面と同一平面であるベース部の表面上に)配設され、前記接触部の表面の面積の合計面積よりも大きな表面積を有するよう構成されている。更にまた、導通部は、前記電荷蓄積部と前記接触部とを導通するよう構成されている。
【0113】
前記各接触部は、前記表面の面積が、前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域の面積の範囲内で、当該接触領域の最小検知面積以上の面積となるように形成されている。即ち、接地状態の指や指相当物が接触状態または略接触状態となったときに当該接触領域を静電容量結合により駆動する(即ち、接触領域の静電容量変化により駆動する)のに必要な最小単位の面積以上の面積となるように形成され、また、非接地状態の指相当物である接触部の場合は、当該接触部が接触状態または略接触状態となったときに、導通部を介して電荷蓄積部に電荷を移動させることによって、当該接触領域を静電容量結合により駆動するのに必要な最小単位の面積以上の面積となるよう形成されている。また、前記導通部は、自身(それ自体の静電容量)による前記マルチタッチディスプレイの接触領域との静電容量結合によって当該接触領域を駆動しない態様で前記ベース部に設けられ、(即ち、ベース部の内部に帯電部または電荷蓄積部を配設する場合には、マルチタッチディスプレイの設定領域に対して対向面を接触または略接触させたときでも常に非接触状態となるように、ベース部の内部に埋設した態様で配設されている。または、ベース部の表面(対向面と同一面側)に電荷蓄積部を配設する場合は、マルチタッチディスプレイの設定領域に対して対向面を接触または略接触させたときに、接触領域と接触状態若しくは略接触状態となる場合は、その接触面積が接触領域の最小検知面積未満の面積となるよう、即ち、前記接触部を前記マルチタッチディスプレイの接触領域と接触状態または略接触状態としたときに、その接触部に隣接する導通部の表面(マルチタッチディスプレイとの接触面)の面積または当該接触領域との対向部分の表面の面積が、前記接触領域の最小検知面積未満の面積となるように形成されている。
【0114】
前記接触部は、自身の対向表面(接触領域と対向する面)の面積だけでは、前記マルチタッチディスプレイの接触領域と接触状態または略接触状態となったときに、当該接触領域の静電容量を変化させるために必要な量の電荷を移動させることはできない。即ち、接触部自身の前記対向表面の面積は、接触領域の面積の範囲内であるため、そのような小面積では、接触領域の電荷を受容及び蓄積するために必要な最小面積よりも大幅に小さい面積(面積不足)となり、当該接触領域に静電容量の変化を生起させるに十分な量の電荷を受容または蓄積して移動させることはできない。換言すれば、各接触部の静電容量は非常に小さく、接触部単体では、接触領域を駆動するために必要な量の静電容量変化を生起することはできない。したがって、接触部に導通部を介して大面積の電荷蓄積部を電気的に接続し、当該電荷蓄積部により全体としての静電容量を大幅に増大している。即ち、指相当物としての(例えば平板状の)導体の対向表面(接触領域と対向する面)が、当該導体の非接地状態において、マルチタッチディスプレイの接触領域に接触状態または略接触状態となったときに、当該接触領域の駆動のための静電容量変化に必要な量の電荷を受容して蓄積できる最小の面積以上の面積を有していれば、当該接触領域を駆動してオンすることができる。したがって、実施の形態11のように、電荷蓄積部をベース部において情報処理装置と対向するベース表面に設ける場合は、電荷蓄積部におけるベース部の対向面側の面である対向表面(マルチタッチディスプレイまたは情報処理装置と対向する面)の面積は、少なくとも、接触部がマルチタッチディスプレイの接触領域に接触状態または略接触状態となったときに、当該接触領域の駆動のための静電容量変化に必要な最低量の電荷を受容して蓄積できる面積(便宜上、本願書類中では「駆動用最小面積」という。)である必要がある。正確には、接触部の前記対向表面も小面積ではあるものの一定の面積を有するため、電荷蓄積部の前記対向表面は、かかる駆動用最小面積から接触部の表面の面積を減算した面積以上の面積を有すればよい。なお、この場合、導電体からなる電荷蓄積部は、ベース部において接触部を設ける面(対向面)と同一側の面で、当該対向面と同一平面上に平坦状に延びる所定形状(枠状)の面状体乃至層状体となるが、導電体からなる電荷蓄積部は他の構成とすることもできる。
【0115】
例えば、電荷蓄積部は、導電体から面状体または層状体として構成する場合でも、ベース部において接触部を設ける面と異なる平面上に設けてもよい。この場合、電荷蓄積部は、例えば、ベース部の内部において対向面と平行となる平面上)に埋設して設けた平面状体または平板層状体として構成してもよく、或いは、ベース部の内部において対向面と90度以外の角度で交差する平面上に埋設して設けた平面状体または平板層状体として構成してもよく、或いは、ベース部の内部において対向面と90度の角度で交差する(即ち、直交する)平面上に埋設して設けた平面状体または平板層状体として構成してもよく、或いは、これらの平面状体または平板層状体を組み合せた(複数の平面に延びる平面状体または平板層状体からなる)立体的平板状の構成とすることもできる。更に、これらいずれの場合においても、実施の形態1等の露出部(22等)と同様、電荷蓄積部に導通する導体からなる露出部をベース部の外表面に設けてもよいが、上記のとおり、露出部を設けない場合でも、電荷蓄積部単体で、マルチタッチディスプレイの接触領域を確実に駆動することができる。いずれにしても、これらの場合、電荷蓄積部は、絶縁体からなるベース部の内部に埋設され、外部から電気的に絶縁され、導通部を介した接触部との導通により、外部の電荷(接触領域の電荷)を移動自在となる。そして、これらの場合、電荷蓄積部は、その厚さ方向一側の表面が、前記駆動用最小面積以上の面積を有するよう構成すればよい。
【0116】
ここで、実施の形態11~14,16,18の電荷蓄積部(221等)は、情報処理装置10をベース部(210等)に当接したときに、情報処理装置10の外周縁から露出して、使用者の指が自然と接触する部位に配設されており、この意味で、実施の形態1等の導電体からなる露出部と同様の機能をも発揮する(即ち、使用者の指を介した接地による電荷移動機能を発揮する)。しかし、実施の形態11~14,16,18の電荷蓄積部(221等)は、理論上は、絶縁体からなるシール部材乃至遮蔽部材等により、完全に外部との電気的絶縁状態及び静電結合遮断状態を維持して配設することも可能であり、この場合、露出部としての機能を消失させることで、電荷蓄積部のみの機能を発揮させることもでき、この場合でも、上記のとおり、マルチタッチディスプレイの接触領域の確実な駆動を行うことができる。
【0117】
なお、電荷蓄積部は、実施の形態11等のように、駆動装置全体を平板状の構成とした平板タイプの駆動装置の場合は、平板状のベース部のベース表面上、即ち、ベース部の対向面と同一平面上において、前記駆動用最小面積以上の対向表面面積を有する面状または層状となるよう設けられる。
【0118】
また、ベース部のベース表面や対向表面は、マルチタッチディスプレイを湾曲面とした特殊な情報処理装置の場合は、その湾曲面に対応する(同一湾曲率で対称的な湾曲面となる)ベース表面及び対向表面を備える構成とするため、ベース表面に設ける電荷蓄積部も、対応する湾曲面状の構成となる。
【0119】
同様に、上記のように、電荷蓄積部をベース部の内部に設ける場合も、任意の湾曲状の面状態または層状体の構成とすることもできる。
【0120】
一方、実施の形態4,5のように、ベース部の内部に設けられる平板状の帯電部は、電荷蓄積部と同様の機能を発揮し、本発明の電荷蓄積部を構成する。即ち、実施の形態11等の導電体からなる電荷蓄積部は、接触部がマルチタッチディスプレイの接触領域と接触状態または略接触状態となったときに、当該接触領域からの電荷を接触部から導通部を介して受容・蓄積することで、接触領域の静電容量変化を生起せしめ、接触領域を駆動する。(この電荷移動は、静電誘導による電荷移動と考えることができる。)これに対し、実施の形態4等の誘電体からなる帯電部は、接触部がマルチタッチディスプレイの接触領域と接触状態または略接触状態となったときに、自らが予め帯電して蓄積した電荷を、導通部から接触部を介して接触領域に移動することで、接触領域の静電容量変化を生起せしめ、接触領域を駆動する。或いは、帯電部は、帯電して電荷を蓄積していない場合でも、誘電分極による電荷移動により、電荷を、導通部から接触部を介して接触領域に移動することで、接触領域の静電容量変化を生起せしめ、接触領域を駆動すると考えることもできる。
本発明の電荷蓄積部によるマルチタッチディスプレイの接触領域の駆動原理(電荷移動原理)は上記のように予想することができるが、いずれにしても、本発明者は、かかる帯電部により、露出部を設けて使用者の指と接触部を導通(即ち、接触部を人体を介して接地)しない場合でも、マルチタッチディスプレイの接触領域を確実に安定して駆動できることを確認している。また、導電体からなる電荷蓄積部の場合も、ベース部に露出部(使用者の指と接触する部分)を設けて使用者の指と接触部を導通(即ち、接触部を人体を介して接地)しない場合でも、マルチタッチディスプレイの接触領域を確実に安定して駆動できることを確認している。
【0121】
更に、本発明のその他の実施の形態1等においても、導電体からなる平板状の導通部(23等)を、実施の形態11,17の電荷蓄積部と同様の電荷蓄積部として機能させ、電荷蓄積部として構成することもできる。この場合、実施の形態1等では、導電体からなる平板状の導通部の周囲(特に、接触部と反対側の面)に絶縁体乃至誘電体からなるベース部の素材が充填されるため、当該素材との誘電効果等により、導電体からなる電荷蓄積部が、十分な量の電荷移動を確保する。同様に、絶縁体乃至誘電体からなる保持部(24等)や絶縁部(25等)を、実施の形態4,5,17の帯電部からなる電荷蓄積部と同様の帯電部として機能させ、帯電部からなる電荷蓄積部として構成することもできる。この場合、実施の形態1等では、絶縁体乃至誘電体からなる平板状の保持部または絶縁部の周囲(特に、厚さ方向一側面、絶縁部の場合は接触部と反対側の面)に導電体素材からなる導通部が存在するため、当該素材との誘電効果等により、誘電体からなる電荷蓄積部が、十分な量の電荷移動を確保する。
【0122】
前記電荷蓄積部は、その厚さ方向一側の表面の面積が、前記接触部が前記マルチタッチディスプレイの接触領域に接触状態または略接触状態となったときに、当該接触領域の駆動のための静電容量変化に必要な最低量の電荷を受容して蓄積できる面積である駆動用最小面積以上の面積となるよう(そのような形状及び構成で)、前記ベース部に配設されるよう構成されている。
【0123】
本発明のその他の態様
本発明は、以下の態様の発明として把握することもできる。
【0124】
[第1の態様の発明]
人の指または指相当物が接触することにより所定の動作を行うマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置用駆動装置であって、電気絶縁体からなると共に、マルチタッチディスプレイの面形状に対応する面形状の対向面を有するベース部と、前記マルチタッチディスプレイにおいて指または指相当物の接触により固有のイベントを発生するよう所定の接触領域が複数配置されている場合において、前記ベース部の対向面において前記マルチタッチディスプレイの複数の接触領域にそれぞれ対応する位置に配置される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに接近または当接させたときに前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域にそれぞれ接触状態または略接触状態となり、前記情報処理装置に対して当該接触領域に固有のイベントを発生させる複数の駆動部とを備えることを特徴とする情報処理装置用駆動装置。
【0125】
[第2の態様の発明]
前記第1の態様の発明において、更に、前記複数の接触部の全てを完全に遮蔽する遮蔽部を前記ベース部の対向面に配設し、前記複数の接触部の全てを外部から視認不能としたことを特徴とする情報処理装置用駆動装置。この駆動装置は、把持型・設置型の両タイプの駆動装置として実現可能であり、接触部を遮蔽する遮蔽部を備える構成となる。
【0126】
[第3の態様の発明]
前記第1または第2の態様の発明において、前記マルチタッチディスプレイの接触領域が、当該マルチタッチディスプレイの所定領域内に離間配置された複数の接触領域からなる情報処理装置に適用される情報処理装置であって、前記ベース部は、人の手で把持自在なブロック形状をなし、前記駆動部は、前記ベース部の対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなる露出部と、前記ベース部の内部に配設されて前記露出部と電気的に導通する導電体からなる導通部と、前記ベース部の対向面に配設されて前記導通部と電気的に導通する導電体からなり、前記マルチタッチディスプレイの前記接触領域の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した複数の接触領域に対応する位置に配置された複数の接触部とを含み、使用者が手で前記ベース部を把持して指を前記駆動部の露出部に載置することにより、前記複数の接触部が前記マルチタッチディスプレイの前記選択された複数の接触領域に接触し、前記使用者の指と前記マルチタッチディスプレイの前記選択した複数の接触領域とが、前記露出部及び/または導通部を介して電気的に接続するようにしたことを特徴とする情報処理装置用駆動装置。この駆動装置は、把持型の駆動装置として実現可能であり、接触部から導通部を経て露出部から使用者の指へと電荷を移動する経路を形成する。
【0127】
[第4の態様の発明]
前記第1または第2の態様の発明において、前記マルチタッチディスプレイの接触領域が、当該マルチタッチディスプレイの所定領域内に離間配置された複数の接触領域からなる情報処理装置に適用され、前記ベース部は、屋内外の設置物に固定されるブロック形状をなし、前記駆動部は、前記ベース部の対向面以外の面に露出する所定面積の露出面を有する導電体からなる露出部と、前記ベース部の内部に配設されて前記露出部と電気的に導通する導電体からなる導通部と、前記ベース部の対向面に配設されて前記導通部と電気的に導通する導電体からなり、前記マルチタッチディスプレイの前記接触領域の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した複数の接触領域に対応する位置に配置された複数の接触部とを含み、使用者が手で前記情報処理装置を把持して当該情報処理装置のマルチタッチディスプレイを前記ベース部の対向面に当接配置し、指を前記駆動部の露出部に載置することにより、前記複数の接触部が前記マルチタッチディスプレイの前記選択された複数の接触領域に接触し、前記使用者の指と前記マルチタッチディスプレイの前記選択した複数の接触領域とが、前記露出部及び導通部を介して電気的に接続するようにしたことを特徴とする情報処理装置用駆動装置。この駆動装置は、設置型の駆動装置として実現可能である。
【0128】
[第5の態様の発明]
前記第1または第2の態様の発明において、前記マルチタッチディスプレイの接触領域が、当該マルチタッチディスプレイの所定領域内に離間配置された複数の接触領域からなる情報処理装置に適用され、前記ベース部は、屋内外の設置面に載置されるブロック形状をなすと共に、更に、帯電した誘電体からなる帯電部を含み、前記駆動部は、導電体からなり、前記マルチタッチディスプレイの前記接触領域の全数より少ない複数となるよう当該接触領域の中から選択した複数の接触領域に対応する位置に配置された複数の接触部と、前記帯電部と前記接触部とを電気的に接続する導通部とを含み、使用者が手で前記情報処理装置を把持して当該情報処理装置のマルチタッチディスプレイを前記ベース部の対向面に当接配置することにより、前記複数の接触部が前記マルチタッチディスプレイの前記選択された複数の接触領域に接触し、前記帯電部と前記マルチタッチディスプレイの前記選択した複数の接触領域とが、前記導通部を介して電気的に接続するようにしたことを特徴とする情報処理装置用駆動装置。この駆動装置は、設置型の駆動装置として実現可能である。
【0129】
[第6の態様の発明]
前記第3乃至5のいずれかの情報処理装置用駆動装置を使用して、前記マルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に所定の情報処理手順を実行させる情報処理プログラムであって、情報処理装置のマルチタッチディスプレイの第1のレイヤーの複数の所定領域に、それぞれ、前記接触領域を設定して互いに離間するよう複数配置する接触領域配置手順と、前記マルチタッチディスプレイに配置した前記複数の接触領域の全ての画面表示を外部から視認不能とする接触領域非表示手順と、前記マルチタッチディスプレイに配置した複数の接触領域のうち前記選択された複数の接触領域に、前記駆動部の複数の接触部が接触したときに、所定の記憶領域に記憶した複数のコンテンツから、前記選択された複数の接触領域がオンしたときに呼び出されるよう割り当てられた所定のコンテンツを呼び出し、前記マルチタッチディスプレイに表示するコンテンツ表示手順とを前記情報処理装置に実行させる情報処理プログラム。この駆動装置は、把持型及び設置型のいずれの駆動装置としても実現可能である。
【0130】
[第7の態様の発明]
前記第1または第2の態様の発明において、前記マルチタッチディスプレイの接触領域が、当該マルチタッチディスプレイの所定の領域内に離間配置された複数の接触領域からなると共に、前記接触領域が、ゲームコントローラのコントロールキー及び/またはコントロールボタンとして機能するよう設定されて、当該コントロールキー及び/またはコントロールボタンのうちの所定のコントロールキー及び/またはコントロールボタンに接触することにより、接触したコントロールキー及び/またはコントロールボタンに応じた固有の内容のゲーム用処理を実行する情報処理装置に適用され、前記ベース部は、前記情報処理端末に装着自在とされると共に、人の手で把持自在な略平板ブロック形状または略平板パネル形状をなし、前記駆動部は、前記ベース部の裏面側となる対向面と反対側の面である前記ベース部の表面において、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイのコントロールキー及び/またはコントロールボタンと同一の数及び種類並びに対応する配置態様で配置された導電体からなり、それぞれを人の指により個別に接触自在とした、前記露出部としての複数のコントロール部と、前記ベース部の対向面において、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイのコントロールキー及び/またはコントロールボタンと同一の数及び種類並びに同一の配置態様で配置された導電体からなり、それぞれが前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイのコントロールキー及び/またはコントロールボタンに個別に接触自在とされた、前記接触部としての複数の信号伝達部と、前記複数のコントロール部と前記複数の信号伝達部とのうち、対応する対のコントロール部と信号伝達部とを、それぞれ、電気的に接続する複数の導通部とを含み、前記ベース部を前記情報処理装置に装着したときに、前記駆動部の信号伝達部が、それぞれ、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイの対応するコントロールキー及び/またはコントロールボタンに接触し、使用者が手で前記ベース部を把持して指を前記駆動部のコントロール部のうちの所定のコントロール部に接触することにより、当該接触したコントロール部が、前記導通部により導通する対となる前記信号伝達部を介して、前記マルチタッチディスプレイの対応するコントロールキー及び/またはコントロールボタンと電気的に接続し、当該コントロールキー及び/またはコントロールボタンに固有のゲーム用処理を前記情報処理装置に実行させるようにしたことを特徴とする情報処理装置用駆動装置。
【0131】
また、本発明に係る情報処理装置用の駆動装置は、人の指または指相当物が接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置に使用され、当該情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触して、当該情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる情報処理装置用の駆動装置である。駆動装置は、前記情報処理装置として、前記マルチタッチディスプレイにおける異なる座標位置に、前記指又は指相当物の接触を独立して検知自在な大きさの面積を有する接触領域を、所定の面積の設定領域の範囲内に、所定の配置態様で、当該情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以上の所定の複数個となるよう区画して設定配置する機能を実現する接触領域設定手段と、前記接触領域設定手段により前記マルチタッチディスプレイに設定した全ての前記接触領域のうち、前記情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以下の数の範囲内で、1個以上の前記接触領域を組合せて複数種類の接触領域の組合せパターンを設定し、当該接触領域の組合せパターンごとに、それぞれ、別箇の情報処理を前記情報処理装置に実行させるための個別のイベントを割り当てる機能を実現するイベント割当手段とを備える情報処理装置に使用される。駆動装置は、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイの前記設定領域と同一の外形で、かつ、同一の面積を有する連続面である対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部の対向面において、前記マルチタッチディスプレイの設定領域を当該対向面に整合させて配置したときに、前記マルチタッチディスプレイの所定の組合せパターンのそれぞれの接触領域に対向する位置に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域に、それぞれ、表面の全面が接触状態または略接触状態となる接触部と、前記ベース部において前記接触部と離間した部位に配設される露出部と、前記露出部と前記接触部とを導通する導通部とを備える。前記各接触部は、前記表面の面積が、前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域の面積の範囲内で、当該接触領域の最小検知面積以上の面積となるように形成される。前記導通部は、自身(それ自体の静電容量)による前記マルチタッチディスプレイの接触領域との静電容量結合によって当該接触領域を駆動しない態様で前記ベース部に設けられる。前記露出部は、使用者が手で情報処理装置を把持したときに、情報処理装置を把持する使用者の指の指先の腹が、自然に接触する領域及び範囲に配置されて、使用者の指と導通し、前記接触部からの電荷を前記導通部を介して使用者に移動するようになっている。
【0132】
また、本発明に係る情報処理システムは、人の指または指相当物が接触することにより所定の動作を行う静電容量方式のマルチタッチディスプレイを備えた情報処理装置と、前記情報処理装置に使用され、当該情報処理装置のマルチタッチディスプレイに接触して、当該情報処理装置に対して固有のイベントを発生させる情報処理装置用の駆動装置とを備えるマルチタッチ機能を利用した情報処理システムである。前記情報処理装置は、前記マルチタッチディスプレイにおける異なる座標位置に、前記指又は指相当物の接触を独立して検知自在な大きさの面積を有する接触領域を、所定の面積の設定領域の範囲内に、所定の配置態様で、当該情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以上の所定の複数個となるよう区画して設定配置する機能を実現する接触領域設定手段と、前記接触領域設定手段により前記マルチタッチディスプレイに設定した全ての前記接触領域のうち、前記情報処理装置が同時に検知可能な最大個数以下の数の範囲内で、1個以上の前記接触領域を組合せて複数種類の接触領域の組合せパターンを設定し、当該接触領域の組合せパターンごとに、それぞれ、別箇の情報処理を前記情報処理装置に実行させるための個別のイベントを割り当てる機能を実現するイベント割当手段とを備える。前記駆動装置は、前記情報処理装置のマルチタッチディスプレイの前記設定領域と同一の外形で、かつ、同一の面積を有する連続面である対向面を有する電気的絶縁体からなるベース部と、前記ベース部の対向面において、前記マルチタッチディスプレイの設定領域を当該対向面に整合させて配置したときに、前記マルチタッチディスプレイの所定の組合せパターンのそれぞれの接触領域に対向する位置に配設される導電体からなり、前記ベース部の対向面を前記マルチタッチディスプレイに当接または略当接させたときに前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域に、それぞれ、表面の全面が接触状態または略接触状態となる接触部と、前記ベース部において前記接触部と離間した部位に配設される露出部と、前記露出部と前記接触部とを導通する導通部とを備える。前記駆動装置の各接触部は、前記表面の面積が、前記マルチタッチディスプレイの対応する接触領域の面積の範囲内で、当該接触領域の最小検知面積以上の面積となるように形成される。前記駆動装置の導通部は、自身(それ自体の静電容量)による前記マルチタッチディスプレイの接触領域との静電容量結合によって当該接触領域を駆動しない態様で前記ベース部に設けられる。前記駆動装置の露出部は、使用者が手で情報処理装置を把持したときに、情報処理装置を把持する使用者の指の指先の腹が、自然に接触する領域及び範囲に配置されて、使用者の指と導通し、前記接触部からの電荷を前記導通部を介して使用者に移動するようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、映画館、駅、ショッピングセンターなど各店にスタンプを置き、自分のモバイル端末のマルチタッチディスプレイに本発明の駆動装置を重ね合わせる事で、その店舗の情報を呼び出す事ができる任意の駆動装置に適用することができる。また、普及率などの問題でマルチタッチディスプレイの付いたモバイル端末をすべての人が持っているとは限らないため、博物館や美術館などでは、モバイル端末を貸し出し、展示物の前に本発明の駆動装置を配置して、情報を得てもらうなどの利用方法も可能である。更に、同様の利用方法により、スタンプラリーのゲームとして利用する事もできる。また、本発明は、マルチタッチディスプレイを備えるコンピュータとしての情報処理装置である限り、通常の通話機能以外に情報端末機能を備えた携帯電話、PDA等の情報端末装置以外にも、通常のPCやその他の任意の情報処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
10:情報処理装置、12:マルチタッチディスプレイ
20:駆動装置、30:駆動装置、40:駆動装置、90:駆動装置
100:駆動装置、110:駆動装置、120:駆動装置、130:駆動装置
140:駆動装置、150:駆動装置、160:駆動装置
210:駆動装置、320:駆動装置、350:駆動装置、420:駆動装置
520:駆動装置、540:駆動装置、620:駆動装置