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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20230525BHJP
   A61F 2/08 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 11/00 20220101ALI20230525BHJP
   A61M 60/122 20210101ALI20230525BHJP
   A61M 60/873 20210101ALI20230525BHJP
   A61N 1/378 20060101ALI20230525BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20230525BHJP
【FI】
A61B90/00
A61F2/08
A61F9/007 190Z
A61F11/00 300
A61M60/122
A61M60/873
A61N1/378
H02J50/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018537412
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2017031440
(87)【国際公開番号】W WO2018043670
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-06-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2016170299
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「ラジオ波無線電力伝送技術を応用した生体留意型ミクロ受電装置の開発:内視鏡手術中の消化管マーキングLED開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】320013182
【氏名又は名称】池田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】金谷 晴一
(72)【発明者】
【氏名】堤 亮介
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】宮部 愛子
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-115025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0222110(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112233(US,A1)
【文献】米国特許第8515559(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0123568(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/20
A61N1/378
A61F11/00
A61F9/007
A61F2/08
A61B90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面に貼着される一対の電極と、
前記生体内に配置可能であり、第1電極及び第2電極を有し、当該第1電極及び第2電極のそれぞれが、生体内の異なる電位差を有する異なる位置に接触した状態で電気的に接続して固着され、前記生体を含めて交流回路の一部とするバッテリレスのインプラント電子機器と、
前記生体外に配置され、前記生体外から前記生体内の前記インプラント電子機器に無線で電力を供給するように前記一対の電極間に350kHz~475KHzの高周波交流電圧を印加する電源部と、を備え、
前記インプラント電子機器が、前記高周波交流電圧を直流電圧に変換するためのキャパシタ2個とダイオード2個を梯子型に接続した少なくとも1段以上の昇圧整流回路を有することを特徴とする給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給電システムにおいて、
電子機器の第1電極及び第2電極が、当該電子機器の長手方向両端部に配設される給電システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給電システムにおいて、
前記電子機器の第1電極及び第2電極が生体内に固着される箇所以外は絶縁されている給電システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記一対の電極の抵抗値が、接地抵抗以下である給電システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記電子機器の抵抗値が、生体抵抗の1/10以下である給電システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記電子機器が、少なくとも1段以上の増幅回路を有する給電システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記一対の電極間に印加される高周波交流電圧の周波数fに対し、コイル及びキャパシタで構成する共振回路の値がコイルの自己インダクタンスをL、キャパシタの静電容量をCとすると、f=1/(2π√(LC))となるように構成された少なくとも1段以上の共振回路を有し、
コイル、キャパシタ及びダイオードの寄生成分の大きさに応じて、前記昇圧整流回路の段数が決定されている給電システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記電子機器が、発光ダイオード、発熱ダイオード、神経刺激機器、生体情報センサ、人工内耳、人工網膜、人工脊髄、人工肛門括約筋、人工心臓、自己可動式内視鏡、及び/又はマイクロロボティックサージェリーである給電システム。
【請求項9】
請求項8に記載の給電システムにおいて、
前記電子機器が一対の発光ダイオードである場合に、一方の発光ダイオードが第2電極から第1電極に流れる電流により発光し、他方の発光ダイオードが第1電極から第2電極に流れる電流により発光し、
それぞれの発光ダイオードが、基板を挟んで表面側と裏面側とにそれぞれ配設される給電システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の給電システムにおいて、
前記インプラント電子機器の第1電極及び第2電極のそれぞれが、生体内の組織に固着して電気的に接続される導電性の保持部材と、当該保持部材に係合する導電性の係合部とからなり
当該係合部が、前記インプラント電子機器の長手方向と同方向が長手方向となるように細長状に圧縮変形可能な可撓性を有する導電性金属体からなる給電システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に埋め込まれたインプラントに体外から給電する給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部に無線で電力を供給する方式として磁界共鳴を利用する方式が知られているが、送電部から発振された電波のエネルギーがあらゆる方向に拡散する等の問題があり、生体深部に埋め込まれたインプラントに適合させるのが困難である。このような技術に関して、例えば非特許文献1、2に示す技術が開示されている(以下、この方式をワンサイド送電方式という)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】John S. Ho, Alexander J. Yeh, Evgenios Neofytou, Sanghoek Kim, Yuji Tanabe, Bhagat Patlolla, Ramin E. Beygui, and Ada S. Y. Poon, “Wireless power transfer to deep-tissue microimplants”, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol. 111, no. 22, 7974-7979, June 3, 2014
【文献】John S. Ho and Ada S. Y. Poon, “Energy Transfer for Implantable Electronics in the Electromagnetic Midfield”, Progress In Electromagnetics Research, Vol. 148, 151&#8211;158, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1、2に示すような技術は、生体深部への安定的な送電には極めて強い磁気共鳴(Strongly Coupled Magnetic Resonances)が必要であり、送電アンテナとインプラント電子装置の二者間での送電システムのため、低出力の送電波が体内の深部にまで集束浸透することはできないという問題がある。
【0005】
本発明は、送電側電極と受電側電極との間にインプラント電子装置を配置することによって、一対の電極を使って電位差を生じさせるサンドイッチング方式で生体深部に埋め込まれたインプラントに給電する給電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給電システムは、生体に貼着される一対の電極と、第1電極及び第2電極を有し、当該第1電極及び第2電極のそれぞれが、生体内の異なる電位差を有する位置に固着される電子機器と、前記一対の電極間に高周波交流電圧を印加する電源部とを備えるものである。
【0007】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、一対の電極間に印加される高周波交流電圧により、生体の電位差を利用して電流を流すことが可能となり、生体内の深部に装着される電子機器に対して安定的且つ十分に電力を供給し、外部電源により駆動することが可能になるという効果を奏する。また、バッテリが不要であるため、電子機器を小型化することが可能になるという効果を奏する。
【0008】
本発明に係る給電システムは、電子機器の第1電極及び第2電極が、当該電子機器の長手方向両端部に配設されるものである。
【0009】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電子機器の第1電極及び第2電極が、当該電子機器の長手方向両端部に配設されるため、第1電極及び第2電極間の距離をできるだけ長くし、大きな電位差で電流を通電することができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る給電システムは、前記電子機器の第1電極及び第2電極が生体内に固着される箇所以外は絶縁されているものである。
【0011】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電子機器の第1電極及び第2電極が生体内に固着される箇所以外は絶縁されているため、電子機器が生体内の組織に接触しても短絡することなく、電子機器に電流を給電することが可能になるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る給電システムは、前記一対の電極の抵抗値が、接地抵抗以下とするものである。
【0013】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、前記一対の電極の抵抗値が、接地抵抗以下であるため、生体内に固着された電子機器に対して、効率よく電流を通電することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る給電システムは、前記電子機器の抵抗値が、生体抵抗の1/10以下とするものである。
【0015】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電子機器の抵抗値が、生体抵抗の1/10以下であるため、電子機器に対して、低抵抗で効率よく電流を通電することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る給電システムは、電源部が、100kHz以上、4MHz以下の高周波信号を印加するものである。
【0017】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電源部が、100kHz以上、4MHz以下の高周波信号を印加するため、熱傷等を生じることなく、小型の装置で生体内の電子機器に十分な電力を供給することが可能になるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る給電システムは、前記電子機器が、少なくとも1段以上の増幅回路を有するものである。
【0019】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、前記電子機器が、少なくとも1段以上の増幅回路を有するため、生体内に固着された電子機器に対して、電流を増幅させて効率よく通電することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る給電システムは、前記一対の電極間に印加される高周波交流電圧の周波数fに対し、コイル及びキャパシタで構成する共振回路の値がコイルの自己インダクタンスをL、キャパシタの静電容量をCとすると、f=1/(2π√(LC))となるように構成された少なくとも1段以上の共振回路を有し、前記高周波交流電圧を直流電圧に変換するための、キャパシタ2個とダイオード2個を梯子型に接続した少なくとも1段以上の昇圧整流回路を有し、コイル、キャパシタ及びダイオードの寄生成分の大きさに応じて、昇圧整流回路の段数が決定されているものである。
【0021】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電極間に印加される高周波交流電圧の周波数fに対し、コイル及びキャパシタで構成する共振回路の値がコイルの自己インダクタンスをL、キャパシタの静電容量をCとすると、f=1/(2π√(LC))となるように構成された少なくとも1段以上の共振回路を有し、前記高周波交流電圧を直流電圧に変換するための、キャパシタ2個とダイオード2個を梯子型に接続した少なくとも1段以上の昇圧整流回路を有し、コイル、キャパシタ及びダイオードの寄生成分の大きさに応じて、昇圧整流回路の段数が決定されているため、最適な段数の昇圧整流回路により生体深部のインプラントに効率よく電流を通電することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る給電システムは、前記電子機器が、発光ダイオード、発熱ダイオード、神経刺激機器、生体情報センサ、人工内耳、人工網膜、人工脊髄、人工肛門括約筋、人工心臓、自己可動式内視鏡、及び/又はマイクロロボティックサージェリーとするものである。
【0023】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電子機器が、発光ダイオード、発熱ダイオード、神経刺激機器、生体情報センサ、人工内耳、人工網膜、人工脊髄、人工肛門括約筋、人工心臓、自己可動式内視鏡、及び/又はマイクロロボティックサージェリーであるため、大掛かりな装置を用いることなく、生体内に必要な機能を人工的に実現することが可能になるという効果を奏する。
【0024】
本発明に係る給電システムは、前記電子機器が一対の発光ダイオードからなり、一方の発光ダイオードが第2電極から第1電極に流れる電流により発光し、他方の発光ダイオードが第1電極から第2電極に流れる電流により発光し、それぞれの発光ダイオードが、基板を挟んで表面側と裏面側とにそれぞれ配設されるものである。
【0025】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、電子機器が一対の発光ダイオードからなり、一方の発光ダイオードが第2電極から第1電極に流れる電流により発光し、他方の発光ダイオードが第1電極から第2電極に流れる電流により発光し、それぞれの発光ダイオードが、基板を挟んで表面側と裏面側とにそれぞれ配設されるため、電子機器を手術用のマーカとして機能させることが可能になると共に、マークとなる発光ダイオードを基板の表裏に配設することで、内視鏡などで体内を観察した際に、基板に遮られて発光ダイオードの発光を見逃すことを防止することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る給電システムは、生体内の組織に刺入される導電性の保持部材と係合する係合部を有し、当該係合部が、電子機器の長手方向と同方向が長手方向となるように細長状に圧縮変形可能な可撓性を有する導電性金属体からなるものである。
【0027】
このように、本発明に係る給電システムにおいては、生体内の組織に刺入される導電性の保持部材と係合する係合部を有し、この係合部が、電子機器の長手方向と同方向が長手方向となるように細長状に圧縮変形可能な可撓性を有する導電性金属体からなるため、内視鏡手術などで使用する軟性内視鏡の鉗子孔を通して両端の電極を含む電子機器を体内に運び、所定の箇所まで運んだ後は係合部を拡張させて保持部材で止めることができ、患者の負担を最小限に抑えて電子機器を体内に装着することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】送電方式ごとの給電システムの模式図である。
図2】第1の実施形態に係る給電システムのシステム構成を示す図である。
図3】生体内の電位差を表した図である。
図4】インプラント電子装置の回路構成の一例を示す第1の図である。
図5】インプラント電子装置の回路構成の一例を示す第2の図である。
図6】インプラント電子装置の構造の一例を示す第1の模式図である。
図7】インプラント電子装置を構成しているスパイラル状電極を示す図である。
図8】インプラント電子装置の構造の一例を示す第2の模式図である。
図9】インプラント電子装置を生体内に固着した状態を示す図である。
図10】サンドイッチング方式(非接地)の実験の様子を示す図である。
図11】サンドイッチング方式(接地)の実験の様子を示す図である。
図12】ワンサイド方式(接地)の実験の様子を示す図である。
図13図10図12の実験結果を示す図である。
図14】実際の実験系を撮像したものである。
図15】LED、共振回路及び増幅回路の組み合わせ例を示す第1の図である。
図16】LED、共振回路及び増幅回路の組み合わせ例を示す第2の図である。
図17】LED、共振回路及び増幅回路の組み合わせ例を示す第3の図である。
図18】サンドイッチング方式(非接地)の場合の実験結果を示す図である。
図19】サンドイッチング方式(接地)の場合の実験結果を示す図である。
図20】ワンサイド方式の場合の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0030】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る給電システムについて、図1ないし図3を用いて説明する。本実施形態に係る給電システムは、一対の電極を生体に装着し、高周波の交流電圧を印加することで生体内に電位差を生じさせるサンドイッチング方式による無線電力伝送システムである。すなわち、生体を電子回路の一部と考え、交互に入れ替わる送電側電極と受電側電極の間にインプラント電子装置を配置することによって、生体に浸透し貫通した電磁波をインプラントに送電する三者間送電システムである。
【0031】
図1は、送電方式ごとの給電システムの模式図である。図1(A)は、ワンサイド送電方式、図1(B)は非接地方式のサンドイッチング方式による給電システムである。図1(A)のワンサイド送電方式の場合は、生体内に送電波が浸透しないため、生体の深部にまで電力を送電するのが困難である。一方、非接地のサンドイッチング送電方式の場合は、双極電力伝送することによって送電波が体内の深部にまで集束浸透し、電力を送電することが可能である。
【0032】
図2は、本実施形態に係る給電システムのシステム構成を示す図である。給電システム1は、生体6の表面に装着される一対の電極(第1表面電極3,第2表面電極4)と、生体6内に配置され、一対の電極(第1体内電極30,第2体内電極40)を有し、共振・共鳴回路、増幅回路、駆動回路等を有するインプラント電子装置2と、第1表面電極3及び第2表面電極4に高周波の交流電圧を印加する高周波交流電源5とを備える。インプラント電子装置2の第1体内電極30と第2体内電極40とは、生体6における異なる組織に接触させて固着する。
【0033】
図2に示すように、生体6の深部に固着されたインプラント電子装置2を第1表面電極3及び第2表面電極4で挟むように体表にそれぞれの電極を貼付する。このとき、インプラント電子装置2を含む生体6は交流回路の一部となる。生体6を挟んだそれぞれの第1表面電極3及び第2表面電極4に高周波交流電源5により100kHz~4MHz(より好ましくは、生体に浸透しやすい350kHz~475kHz)の交流電圧を印加することで、インピーダンス50~2500Ωの生体6内に電位差が生じる。インプラント電子装置2のインピーダンスは生体抵抗の1/10以下(例えば、5~250Ω以下で、より好ましくは10Ω以下)と低くすることで、生体6の異なる組織(電位差が異なる組織)に接触した第1体内電極30と第2体内電極40との間に電流が流れる。これを共振・共鳴、増幅回路で増幅し駆動部(LED等)に十分な電力を供給する。
【0034】
なお、第1表面電極3及び第2表面電極4の抵抗値は、接地抵抗(グラウンドアースの抵抗値)以下とすることが望ましく、例えば50Ω以下とすることが望ましい。
【0035】
また、インプラント電子装置2は、共振・共鳴回路や増幅回路を有する必要はなく、少なくとも駆動部のみを有する構成であってもよい。
【0036】
インプラント電子装置2が、生体6内に導入されると、第1体内電極30及び第2体内電極40が生体6内に接触した状態で固着される。この状態で、高周波交流電源5により、生体6の表面に貼り付けられた第1表面電極3及び第2表面電極4を通して生体6に高周波電圧が印加される。これにより、生体6内に電位差が生じる。
【0037】
図3は、高周波電圧が印加された場合の生体内の電位差を表した一例を示す図である。図3(A)~(C)は時系列になっており、ある瞬間ごとの生体に生じた電位差を等高線で表したものである。なお、図3においては出願形式(グレースケール)の都合上、両サイドに濃度が濃い箇所が存在しているが、実際は、一方から他方に向かって、連続的に「薄い→濃い」又は「濃い→薄い」に変化しているものである。
【0038】
図3に示すように、高周波交流電圧の印加により、ある瞬間は第1表面電極3側が高電位、第2表面電極4側が低電位となっており、極性が変わる次の瞬間には、高電位と低電位が入れ替わっている。このような状態で、第1体内電極30及び第2体内電極40は、それぞれ電位の異なる場所に接触しており、インプラント電子装置2の両端に生じた電位差により、インプラント電子装置2に電流が流れることで電力が供給される。
【0039】
以下、本実施形態に係るサンドイッチング方式の給電システムについて、より詳細に説明する。上述したように、生体6内の組織とインプラント電子装置2の電極(第1体内電極30と第2体内電極40)は、それぞれ異なる2点で接触している必要があり、定格負荷350Ω(50~2500Ω)の生体組織に出来た等高線状の電位差分の電流をインプラント電子装置2内に引き込むことで通電する。生体組織における電位差の等高線は瞬時に入れ替わるため、第1体内電極30及び第2体内電極40が接している点が生体6内の同じ等高線上にある可能性は極めて低く、2点間には常時電位差が生じる。このとき、より大きい電位差とするために、第1体内電極30及び第2体内電極40と生体組織とが接触している2点間の距離ができるだけ長くなることが望ましい。
【0040】
第1体内電極30及び第2体内電極40と生体組織とが接触している接触点以外の回路部分は、生体組織との間で絶縁される。この絶縁部は、例えば120W(電流1A、電圧2000V)程度の電力でも絶縁破壊しないように構成される。
【0041】
なお、インプラント電子装置2の具体例として、例えば発光ダイオード、発熱ダイオード、神経刺激機器、例えばpHセンサのような生体情報センサ、人工内耳、人工網膜、人工脊髄等の人工センシング装置や、人工肛門括約筋、人工心臓、自己可動式内視鏡、マイクロロボティックサージェリー等の人工臓器となる装置)に応じて、ICチップやMEMS等の高機能な駆動装置であってもよい。また、これらの機器で得られる情報を記録するメモリを備えるようにしてもよい。さらには、これらの機器に、二次電池等により、電力を蓄電できる機能を持たせても良い。
【0042】
このように、本実施形態に係る給電システムにおいては、一対の電極間に印加される高周波交流電圧により、生体の電位差を利用して電流を流すことが可能となり、生体内の深部に装着される電子機器に対して安定的且つ十分に電力を供給し、外部電源により駆動することが可能になる。また、バッテリが不要であるため、電子機器を小型化することが可能になる。
【0043】
(その他の実施形態)
本実施形態に係る給電システムについて、図4ないし図9を用いて説明する。本実施形態においては、前記第1の実施形態におけるインプラント電子装置2の変形例を示す。なお、本実施形態において前記第1の実施形態を重複する説明は省略する。
【0044】
図4は、インプラント電子装置の回路構成の一例を示す第1の図である。インプラント電子装置2は、昇圧整流回路(コッククロフト増幅2段回路)及び駆動回路(図4の場合は、発光ダイオード(LED))から構成される基本回路を有している。コッククロフト増幅回路を有することで、より多くの電流が流れるような構成としている。このとき、コッククロフト増幅回路の段数を増やすと、増幅率が大きくなることで通電される電流量を増やすことは可能であるが、回路自体のインピーダンスが増加して増幅効率がよくない場合がある。
【0045】
すなわち、コッククロフト増幅回路のコイル、キャパシタ及びダイオードに有する寄生成分(例えば、寄生容量や寄生抵抗等を含む成分)の大きさに応じて増幅回路の段数には適正値が存在しており、寄生成分に応じた適正な段数を決定して回路を構成することで、より効率的な通電を行うことが可能となる。
【0046】
なお、このとき、高周波交流電源5に印加される高周波交流電圧の周波数fに対し、コイル及びキャパシタで構成する共振回路の共振周波数がコイルの自己インダクタンスをL、キャパシタの静電容量をCとすると、f=1/(2π√(LC))となるように構成された少なくとも1段以上の共振回路を有するようにしてもよい。
【0047】
図5は、インプラント電子装置の回路構成の一例を示す第2の図である。インプラント電子装置2は、LC共振回路51、コッククロフト増幅1段回路52及び駆動回路53(図5の場合は、発光ダイオード(LED))から構成される基本回路54を、相互に極性が逆向きとなるように並列し、この基本回路54のいずれか一方が高周波交流電源5の正極で発光し、他方が負極で発光する。
【0048】
なお、図5においては、基本回路54を相互に逆極性となるように2つ並列する構成としたが、1つの基本回路54のみで構成されてもよい。また、図5においては、駆動回路53として発光ダイオードを例示しているが、前記第1の実施形態において示したように、他の用途(たとえば、発熱ダイオード、神経刺激機器、pHセンサ等の生体情報センサ、人工内耳、人工網膜、人工脊髄等の人工センシング装置や、人工肛門括約筋、人工心臓、自己可動式内視鏡、マイクロロボティックサージェリー等の人工臓器となる装置)に応じて、ICチップやMEMS等の高機能な駆動装置であってもよい。また、これらの機器で得られる情報を記録するメモリを備えるようにしてもよい。さらに、これらの機器に、二次電池等により、電力を蓄電できる機能を持たせても良い。
【0049】
さらに、図5に示すように、基本回路54を相互に逆極性となるように2つ並列し、駆動回路53として発光ダイオードを用いた場合は、一方の発光ダイオードを基板の表面側、他方の発光ダイオードを基板の裏面側に配置するようにしてもよい。そうすることで、基板の影で発光ダイオードの発光が遮断されてしまうことを防止することができる。
【0050】
図6は、インプラント電子装置の構造の一例を示す第1の模式図である。図5に示した基本回路54が相互に逆極性となるように並列され、それぞれの端部には第1体内電極30及び第2体内電極40がスパイラル状に配設されている。また、各基本回路54の両端部には生体組織に固着するためのクリップ61が配設されている。このクリップ61は、それぞれの基本回路54と電気的に接続されることで、電極として機能することもできる。
【0051】
図7は、インプラント電子装置を構成しているスパイラル状電極を示す図である。図7は基本回路54を単線回路で構成した場合を示している。生体6内に挿入される前はスパイラル電極が縮んで閉じた状態となっているが(図7(A))、生体6内に入るとその体温及び/又は圧力等の影響によりスパイラルが伸びて開放された状態となる(図7(B))。つまり、生体6内に挿入されるまでは、図7(A)のような形状にすることで、軟性内視鏡の鉗子孔内をスムーズに移動できるようにし、鉗子孔を通して生体6内に入った時点でスパイラル電極が解放されることで、生体6内の電位差が異なる箇所に、できるだけ大きい電位差となるように、それぞれ接触させることができる。なお、このような挙動を実現するためのスパイラル電極の材料としては形状記憶合金等を用いることが望ましい。
【0052】
図8は、インプラント電子装置の構造の一例を示す第2の模式図である。図8(A)は、生体6内に挿入する前の係合部を圧縮変形した場合の構造を示し、図8(B)は、生体6内で係合部が拡張した場合の構造を示す図である。図8において、インプラント電子装置2は、基本回路54からなる回路部91と、回路部91の長手方向の両端部に基本回路54と電気的に接続すると共に、インプラント電子装置2を生体6内に固着するための保持部材としてのクリップ61と係合する係合部92とを備える。
【0053】
係合部92は、複数のワイヤを撚って1本の線にすることで、可撓性を有する構造となっている。図9(A)に示すように、生体6内に挿入する前は、インプラント電子装置2を内視鏡鉗子孔にスムーズに通すために、係合部92が圧縮変形する。具体的には、インプラント電子装置2の長手方向と同じ方向が長手方向となるように、係合部92が細長く圧縮変形される。この状態で、インプラント電子装置2が内視鏡鉗子孔を通って生体6内に導入される。
【0054】
生体6内でインプラント電子装置2が内視鏡鉗子孔から搬出されると、係合部92の可撓性により図8(B)に示すような構造に拡張する。図9は、インプラント電子装置2を生体内に固着した状態を示す図である。図9(A)は上面図、図9(B)は側面図である。図9に示すように、係合部92が拡張した状態で、係合部92の係合領域92aにクリップ61の一端を通し、係合部92の先端部分101とクリップ61とが接触した状態で生体組織に固着される。クリップ61と接触している係合部92の先端部分101は絶縁されておらず、クリップ61に電気的に接続した状態となる。クリップ61は導電性を有しており、生体組織に刺入されることで、インプラント電子装置2を生体6内に固着させると共に、生体組織とインプラント電子装置2とを電気的に接続する。
【0055】
このように、本実施形態に係る給電システムにおいては、インプラント電子装置2の第1体内電極30及び第2体内電極40が、当該インプラント電子装置2の長手方向両端部に配設され、生体内の組織に刺入される導電性のクリップと係合する係合部を有するため、生体内の必要な箇所に電子機器を強固に固着することができる。
【0056】
また、インプラント電子装置2の長手方向両端部に第1体内電極30及び第2体内電極40が配設されるため、第1体内電極30及び第2体内電極40間の電位差ができるだけ大きくなるように、生体6内に固着することが可能になる。
【0057】
さらに、係合部92が、インプラント電子装置2の長手方向と同方向が長手方向となるように細長状に圧縮変形可能な可撓性を有する導電性金属体からなるため、内視鏡手術などで使用する内視鏡鉗子孔を通して両端の電極を含むインプラント電子装置2を体内に運び、所定の箇所まで運んだ後は係合部92を拡張させてクリップ61で止めることができ、患者の負担を最小限に抑えてインプラント電子装置2を体内に装着することが可能になる。
【0058】
なお、インプラント電子部品2の生体6内への挿入を行いやすくするために、第1体内電極30及び第2体内電極40の接触部並びに絶縁部を含む回路全体の大きさは長径2.2mm以下の円柱状であることが望ましい。また、生体6内への挿入時の円柱状回路の高さは10mm程度以下であることが望ましい。さらに、表面が平滑で粘稠でないことが望ましい。
【0059】
さらにまた、生体組織との接触には一般的に市販されている現存のクリップ61を使用することができる。現存のクリップ61には、例えば、全体がSUSで作られているもの、結合部に樹脂が使われているもの、先端接触部が金属であるものがあるが、いずれを用いてもよい。このとき、クリップ61と同様のデリバリー器具でインプラント電子装置2を挿入できることが望ましい。
【実施例
【0060】
本発明に係る給電システムについて、以下の実験を行った。
【0061】
(1)LEDの発光
サンドイッチング方式、接地方式及びワンサイド方式のそれぞれで生体内に埋め込まれたインプラント電子装置2のLEDが発光するか実験をおこなった。高周波交流電源5及び電極(第1表面電極3,第2表面電極4)は、電気メスの装置を流用した。実験装置の構成は、以下のとおりである。
(1)生体6としての丸鶏
(2)第1表面電極3及び第2表面電極4としての電気メス用の電極
(3)高周波交流電源5としての電気メス用の高周波ジェネレータ
(4)インプラント電子装置2(基本回路54(共振・共鳴増幅回路、LEDより構成される)、第1体内電極30及び第2体内電極40の2本の電極)
(5)光センサ(パワーメーター)
【0062】
以下、サンドイッチング方式(非接地)の実験方法について説明する。図10は、サンドイッチング方式(非接地)の実験の様子を示す図である。まず、1羽の丸鶏の片足に第1表面電極3を、他側足に第2表面電極4を取り付ける。丸鶏の腹腔内にインプラント電子装置2を設置し、2本の第1体内電極30及び第2体内電極40を生体組織に接触させる。高周波ジェネレータの電源をONする。LEDが点灯した場合にはパワーメーターで計測する。なお、増幅回路は、コッククラフト回路を1段にしたもの、2段にしたもの、増幅回路を用いないものの3つの種類のインプラント電子装置2を使ってLEDの光強度を計測した。
【0063】
次に、サンドイッチング方式(接地)の実験方法について説明する。図11は、サンドイッチング方式(接地)の実験の様子を示す図である。まず、丸鶏の片足に第1表面電極3を、他側足に第2表面電極4を取り付ける。丸鶏の腹腔内にインプラント電子装置2を設置し2本の第1体内電極30及び第2体内電極40を生体組織に接触させる。丸鶏の第2表面電極40は接地する(接地プラグへ接続する)。高周波ジェネレータの電源をONする。LEDが点灯した場合にはパワーメーターで計測する。なお、増幅回路は、コッククラフト回路を1段にしたもの、2段にしたもの、増幅回路を用いないものの3つの種類のインプラント電子装置2を使ってLEDの光強度を計測した。
【0064】
次に、ワンサイド方式の実験方法について説明する。図12は、ワンサイド方式(接地)の実験の様子を示す図である。まず、丸鶏の片足に第1表面電極3を取り付ける。丸鶏の腹腔内にインプラント電子装置2を設置し2本の第1体内電極30及び第2体内電極40を生体組織に接触させる。高周波ジェネレータの電源をONする。LEDが点灯した場合にはパワーメーターで計測する。なお、増幅回路は、コッククラフト回路を1段にしたもの、2段にしたもの、増幅回路を用いないものの3つの種類のインプラント電子装置を使ってLEDの光強度を計測した。
【0065】
図13は、上記の実験結果を示す図である。横軸は高周波ジェネレータの出力、縦軸は光センサ(パワーメーター)で計測したインプラント電子装置2の中にはめ込まれているLEDの発光量を示す。サンドイッチング方式(非接地)は、高周波ジェネレータの出力に比例して、LEDの発光量が増加していることがわかる。増幅回路であるコッククラフト回路の段数が1段より2段のほうがLEDの発光量は大きい。これは、増幅率が大きいためである。なお、コッククラフト回路の段数をさらに増加させた場合、回路自体のインピーダンスが増加し増幅効率が低下してしまう。
【0066】
サンドイッチング方式(接地)については、高周波ジェネレータの出力を上げても、LEDの発光量はわずかに増加するのみで、効果的に電流を通電することができていない。ワンサイド方式については、発光量が計測されなかった。なお、図13において、サンドイッチング方式(接地)とワンサイド方式については、最も発光量が多かったコッククラフト回路2段の場合のデータのみを記載している。
【0067】
図14は、実際の実験系を撮像したものである。第1表面電極3及び第2表面電極4を丸鶏に接続し、高周波ジェネレータを駆動してインプラント電子装置2の回路に通電を行うことでLEDが発光している様子がわかる。
【0068】
(2)共振回路、増幅回路
インプラント電子装置2に用いるLED及び共振・増幅回路を複数パターンで組み合わせて、LEDの発光量を計測した。図15図17は、回路構成の組み合わせ例を示す図である。ここでは、
(1)LEDのみ(図15(A))
(2)LED+直列共振回路(図15(B))
(3)LED+増幅回路(コッククロフト1段)(図16(A))
(4)LED+増幅回路(コッククロフト1段)+直列共振回路(図16(B))
(5)LED+増幅回路(コッククロフト3段)(図17(A))
(6)LED+増幅回路(コッククロフト3段)+直列共振回路(図17(B))
について、高周波ジェネレータの出力に対するLEDの発光量を、サンドイッチング方式(非接地)、サンドイッチング方式(接地)及びワンサイド方式のそれぞれで計測した。
【0069】
図18は、サンドイッチング方式(非接地)の場合の実験結果を示す図、図19は、サンドイッチング方式(接地)の場合の実験結果を示す図、図20は、ワンサイド方式の場合の実験結果を示す図である。いずれも高周波ジェネレータの出力に対するインプラント電子装置2に組み込まれているLEDの発光量を測定した。グラフの縦軸がLEDの発光量、横軸が高周波ジェネレータの出力である。
【0070】
図19及び図20から、サンドイッチング方式(接地)の場合とワンサイド方式の場合は、いずれの回路を用いた場合もLEDの発光量が少なく、全体的に良好な結果とは言えないものとなっている。これに対して、図18に示すように、サンドイッチング方式(非接地)の場合は、増幅回路としてコッククロフト1段の回路を用いたものが発光量が一番大きかった。コッククロフト3段のほうが電圧を増幅することができるが、増幅の段数を増やすと抵抗も大きくなり、そのため電流量はコッククラフト1段の場合より小さくなり、LEDの発光量としては小さくなった。
【0071】
以上のことから、サンドイッチング方式(非接地)において、コッククロフト1段又は2段を増幅回路として用いるのが最も良好に電流を通電できることが明らかである。
【0072】
なお、図18に示すように、共振回路を有する場合と有しない場合とでは、共振回路を有しない方が、発光量が多いことがわかる。これは、上記と同様に、共振回路により電圧が増大されるものの、それ以上に抵抗が大きくなるためであると考えられる。しかしながら、共振周波数をほぼ一致させるような厳密で高精度な制御を行うことで、共振回路を有する方がインプラント電子装置に供給される電力を増加させることが可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0073】
1 給電システム
2 インプラント電子装置
3 第1表面電極
4 第2表面電極
5 高周波交流電源
6 生体
30 第1体内電極
40 第2体内電極
51 共振回路
52 増幅回路
53 駆動回路
54 基本回路
61 クリップ
91 回路部
92 係合部
92a 係合領域
101 先端部分

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20