(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】療法薬を送達するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/39 20150101AFI20230525BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230525BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20230525BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20230525BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20230525BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20230525BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20230525BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20230525BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230525BHJP
A61K 38/22 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/26 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/28 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/29 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/31 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/43 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/46 20060101ALN20230525BHJP
A61K 38/48 20060101ALN20230525BHJP
A61K 47/32 20060101ALN20230525BHJP
A61K 47/34 20170101ALN20230525BHJP
【FI】
A61K35/39
A61K35/12
A61L27/16
A61L27/18
A61L27/36 100
A61L27/38 100
A61L27/38 200
A61L27/54
A61L27/56
A61P3/10
A61K38/22
A61K38/26
A61K38/28
A61K38/29
A61K38/31
A61K38/43
A61K38/46
A61K38/48
A61K38/48 100
A61K47/32
A61K47/34
(21)【出願番号】P 2020519004
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2018037637
(87)【国際公開番号】W WO2018232180
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-14
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】サノス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】キウ,ヤン
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0150984(US,A1)
【文献】特表2012-520107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/39
A61L 27/00
A61L 27/54
A61K 35/12
A61P 3/10
A61L 27/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1μm以下の平均孔径を有し、10μm~150μmの平均厚さを有し、1MPa以上の引張強度を有する多孔性ポリマー膜;
膵前駆細胞、内分泌細胞、アルファ細胞、デルタ細胞、およびベータ細胞の群から選択される少なくとも1つを含む細胞集団;
を含む、植え込み式デバイスであって、
ここで、前記の膜は、2以上
50以下のD
first/D
secondの比を
示すように設計されており、ここで、D
firstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、第1分子量は50Da以上10kDa以下であり、D
secondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、第2分子量は50kDa以上500kDa以下であり、かつここで、前記の第1分子量に対する前記の第2分子量の比は、10以上であるデバイス。
【請求項2】
前記膜が細胞集団を封入するように設計されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記細胞集団が
、1μLあたり10
4~10
6細胞の
量で前記のデバイス内に封入されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
対象中に移植された際にインスリンを産生し、放出するように設計されている請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記の第1分子が、4kDaのFITC-デキストランであり、前記の第2分子が、500kDaのFITC-デキストランである、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記の第1分子が、4kDaのFITC-デキストランであり、前記の第2分子が、ペプシノーゲン、リパーゼ、プロリパーゼ、アンギオテンシノーゲン、アミラーゼ、またはコレステロールエステラーゼである、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記の膜が
、1000nm以下の平均繊維径を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記の膜が電界紡糸ポリマー膜である、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記の膜が、400Da以上1,500,000Da以下の分子量を有する機能性ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
D
firstが10
-7cm
2/秒以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記の細胞が非天然ベータ細胞を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記非天然ベータ細胞がグルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示す、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記膜が、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリスルホン(PSf)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記膜が60MPa以上のヤング率を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記細胞集団がヒト細胞由来である、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001] 本出願は、2017年6月14日に出願された米国仮出願第62/519,702号の利益を主張し、その出願は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 糖尿病は、慢性疾患であり、患者の生活の質に影響を及ぼす。インスリンの自動送達を支援するための療法デバイスは、患者が使用するにはかさばり、扱いにくい可能性がある。植え込み式デバイスは、それらが目立たず、管理が容易であり得るため、利点を提供し得る。植え込み式デバイスは、長期の構造的完全性を示すことから利益を得ることができ、宿主タンパク質の浸潤を可能にすることなく療法薬の通過を可能にすることから利益を得ることができる。本発明は、低分子量の療法的部分の高い流動を可能にする一方でより大きなタンパク質または細胞の通過を制限するデバイスおよび同じデバイスを投与する方法を提供する。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 療法薬(例えば細胞または療法剤)を送達するためのデバイス、方法および組成物が、本明細書で開示される。
[0004] 一側面において、膜および非天然膵β細胞の集団を含むデバイスが、開示され、ここで、前記の非天然膵β細胞は、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示し、ここで、前記の膜は、約2以上の
【0004】
【0005】
比を含み、ここで、Dfirstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、Dsecondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第1分子量に対する第2分子量の比は、約10以上である。
【0006】
[0005] ある場合には、前記の非天然膵β細胞は、前記のデバイス内に封入されている(encapsulated)。ある場合には、前記の非天然膵β細胞は、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しない。ある場合には、前記のデバイスは、対象中に移植された場合にインスリンを産生し、放出するように設計されている。ある場合には、前記の非天然膵β細胞は、体積1μLあたり約104~約106細胞の範囲で前記のデバイス内に封入されている。ある場合には、前記の膜は、前記の非天然膵β細胞の通過を遮断するように設計されている。
【0007】
[0006] 別の側面において、膜および細胞の集団を含むデバイスが、開示され、ここで、前記の細胞の集団の少なくとも1個の細胞が、第1分子量を含む第1分子を産生し、前記の細胞の集団の少なくとも1個の細胞が、第2分子量を含む第2分子を産生し、ここで、前記のデバイスは、対象中に移植された場合に、前記の第1分子を第1流動速度で放出し、前記の第2分子を第2流動速度で放出するように設計されており、ここで、前記の第1流動速度は、前記の第2流動速度とは異なり、前記の第1分子量対前記の第2分子量の比は、約1.0~約5.0である。
【0008】
[0007] ある場合には、前記の第1分子または前記の第2分子は、療法剤を含む。ある場合には、前記の第1分子は、インスリンである。ある場合には、前記の第2分子は、グルカゴンである。ある場合には、前記の第1分子量対前記の第2分子量の前記の比は、約1.6である。ある場合には、前記の第2分子は、ソマトスタチンである。ある場合には、前記の第1分子量対前記の第2分子量の比は、約3.5である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンまたは酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンである。ある場合には、前記の療法剤は、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドである。ある場合には、前記の療法剤は、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼである。ある場合には、前記の療法剤は、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン(pacifastin)、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択される。ある場合には、前記の細胞は、ホルモンまたは酵素分泌細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、非天然細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、幹細胞由来膵島細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、非天然膵β細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示す。ある場合には、前記の細胞は、前記のデバイス内に封入されている。ある場合には、前記の細胞は、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しない。ある場合には、前記のデバイスは、前記の対象中に移植された場合にインスリンを産生し、放出するように設計されている。ある場合には、前記の細胞は、体積1μLあたり約104~約106細胞の範囲で前記のデバイス内に封入されている。ある場合には、前記の膜は、前記の細胞の通過を遮断するように設計されている。
【0009】
[0008] 別の側面において、膜および療法剤を含むデバイスが、開示され、ここで、前記の療法剤は、前記のデバイス内に封入されており、ここで、前記の膜は、約2以上の
【0010】
【0011】
比を含み、ここで、Dfirstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、Dsecondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第2分子量対前記の第1分子量の比は、約10以上である。
【0012】
[0009] ある場合には、前記の療法剤は、プロドラッグである。ある場合には、前記の療法剤は、10kDa未満である。ある場合には、前記の療法剤は、小分子である。ある場合には、前記の療法剤は、生物学的物質である。ある場合には、前記の生物学的物質は、ペプチドまたはタンパク質である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンまたは酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンである。ある場合には、前記の療法剤は、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドである。ある場合には、前記の療法剤は、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼである。ある場合には、前記の療法剤は、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、約0.01mg療法剤/mgポリマー~約0.5mg療法剤/mgポリマーの範囲で存在する。ある場合には、前記の療法剤は、少なくとも3日間前記の膜から放出されるように設計されている。ある場合には、前記の療法剤は、疎水性である。ある場合には、前記の療法剤は、親水性である。ある場合には、前記の療法剤は、微細化された微粒子の形態である。
【0013】
[0010] 別の側面において、膜を含むデバイスが、開示され、ここで、前記の膜は、細胞の集団または療法剤の封入を可能にするように設計されたポリマーを含み、ここで、前記の膜は、以下:a)約1000nm以下の平均繊維径;b)約5μm以下の平均孔径;およびc)約500μm以下の平均厚さの少なくとも1つを含み;かつここで、前記の膜は、約2以上の
【0014】
【0015】
比を含み、ここで、Dfirstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、Dsecondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第2分子量対第1分子量の比は、約10以上である。
【0016】
[0011] ある場合には、前記のポリマーは、前記の細胞の集団の封入を可能にするように設計されている。ある場合には、前記の細胞は、ホルモンまたは酵素分泌細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、療法剤を分泌する。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンである。ある場合には、前記の療法剤は、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドである。ある場合には、前記の療法剤は、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼである。ある場合には、前記の療法剤は、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択される。ある場合には、前記の細胞は、非天然細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、幹細胞由来膵島細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、非天然膵β細胞を含む。ある場合には、前記の細胞は、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示す。ある場合には、前記の細胞は、前記のデバイス内に封入されている。ある場合には、前記の細胞は、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しない。ある場合には、前記のデバイスは、前記の対象中に移植された場合にインスリンを産生し、放出するように設計されている。ある場合には、前記の細胞は、体積1μLあたり約104~約106細胞の範囲で前記のデバイス内に封入される。ある場合には、前記の膜は、前記の細胞の通過を遮断するように設計されている。
【0017】
[0012] ある場合には、前記のポリマーは、前記の療法剤の封入を可能にするように設計されている。ある場合には、前記の療法剤は、プロドラッグである。ある場合には、前記の療法剤は、10kDa未満である。ある場合には、前記の療法剤は、小分子である。ある場合には、前記の療法剤は、生物学的物質である。ある場合には、前記の生物学的物質は、ペプチドまたはタンパク質である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンまたは酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、ホルモンである。ある場合には、前記の療法剤は、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドである。ある場合には、前記の療法剤は、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、酵素である。ある場合には、前記の療法剤は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼである。ある場合には、前記の療法剤は、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択される。ある場合には、前記の療法剤は、約0.01mg療法剤/mgポリマー~約0.5mg療法剤/mgポリマーの範囲で存在する。ある場合には、前記の療法剤は、少なくとも3日間前記の膜から放出されるように設計されている。ある場合には、前記の療法剤は、疎水性である。ある場合には、前記の療法剤は、親水性である。ある場合には、前記の療法剤は、微粉化された微粒子の形態である。
【0018】
[0013] ある場合には、前記の膜は、約1000nm以下の平均繊維径を含む。ある場合には、前記の平均繊維径は、約800nm以下である。ある場合には、前記の平均繊維径は、約500nm以下である。ある場合には、前記の膜は、約5μm以下の平均孔径を含む。ある場合には、前記の平均孔径は、約2μm以下である。ある場合には、前記の平均孔径は、約1μm以下である。ある場合には、前記の膜は、約800μm以下の平均厚さを含む。ある場合には、前記の平均厚さは、約500μm以下である。ある場合には、前記の平均厚さは、約200μm以下である。ある場合には、前記の第1分子量は、約10kDa未満であり、前記の第2分子量は、約100kDaより大きい。ある場合には、前記の第1分子量は、約4kDaであり、前記の第2分子量は、約150kDaである。ある場合には、前記の第1分子は、4kDaのFITC-デキストラン分子であり、前記の第2分子は、500kDaのFITC-デキストラン分子である。ある場合には、前記の膜は、電界紡糸ポリマー膜である。ある場合には、前記の膜は、さらにベースポリマーを含む。ある場合には、前記のベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLまたはPLLAを含む。ある場合には、前記のベースポリマーは、PANである。ある場合には、前記の膜は、さらに機能性ポリマーを含む。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAまたはTEGDAを含む。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、PEGMAである。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、TEGDAである。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、反応性官能基を含む。ある場合には、前記の反応性官能基は、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、アミド基、アジド基またはマレイミド基である。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、約400~4000Daの範囲内の分子量を含む。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、約480Daの分子量を含む。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、約1500~2500Daの範囲内の分子量を含む。ある場合には、前記の機能性ポリマーは、約2000Daの分子量を含む。ある場合には、前記の比は、約3以上である。ある場合には、前記の比は、約5以上である。ある場合には、前記の比は、約10以上である。ある場合には、前記の膜は、約1MPa以上の引張強度を含む。ある場合には、前記の膜は、約5MPa以上のヤング率を含む。ある場合には、前記の膜は、親水性である。ある場合には、前記の膜は、疎水性である。
【0019】
[0014] 別の側面において、本明細書で開示されるいずれかのデバイスをそれを必要とする対象において配置することを含む、病気を処置する方法が、開示される。ある場合には、前記のデバイスは、6ヶ月より長い期間の間前記の対象中に留まるように設計されている。ある場合には、前記の病気は、慢性疾患である。ある場合には、前記の慢性疾患は、糖尿病である。ある場合には、前記の病気は、組織創傷である。ある場合には、前記の病気は、副甲状腺機能低下症である。ある場合には、前記の方法は、さらに6ヶ月より長い前記の期間にわたって前記の対象のインスリンレベルをモニターすることを含む。
【0020】
[0015] 別の側面において、細胞の集団または療法剤をそれを必要とする対象に送達するためのデバイスを作製する方法であって、ポリマーを溶媒中で溶解させてポリマー溶液を提供し;前記のポリマー溶液を使用して繊維を含む膜を形成し;そして前記の膜を前記のデバイスへと組み立てることを含む方法が、開示され、ここで、前記のデバイスは、本明細書で開示されるあらゆるデバイスである。
【0021】
[0016] ある場合には、前記の方法は、さらに前記の膜を架橋することを含む。ある場合には、前記の膜の架橋は、光開始剤の存在下で前記の膜を紫外線(UV)光に曝露することを含む。ある場合には、前記の光開始剤は、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゼントリカルボニルクロム、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン(2,5-dimethylbenzonphenone)、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、フェロセン、3-ヒドロキシアセトフェノン、4-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholinoproiophenone)、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート塩類、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩類またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。ある場合には、前記の膜の架橋は、前記の膜を熱開始剤の存在下で熱に曝露することを含む。ある場合には、前記の熱開始剤は、過硫酸アンモニア、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-azobissobutyronitrile)、過酸化ベンゾイル、2,2’-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメン、ヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウムまたはそれらのあらゆる組み合わせを含む。ある場合には、前記の膜の架橋は、前記の膜を遷移金属に曝露させることを含む。ある場合には、前記の遷移金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、鉄またはそれらのあらゆる組み合わせのイオンを含む。ある場合には、前記の膜の架橋は、さらに前記の膜を架橋剤に曝露させることを含む。ある場合には、前記の架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0022】
[0017] ある場合には、前記の方法は、さらに前記のポリマー溶液中に薬物を添加することを含む。ある場合には、前記の溶媒は、混和性溶媒である。ある場合には、前記の薬物は、疎水性薬物である。ある場合には、前記の薬物は、親水性薬物である。ある場合には、前記の薬物は、微細化された微粒子の形態である。ある場合には、前記の方法は、さらに前記のデバイス内に細胞を封入することを含む。ある場合には、前記の細胞は、非天然細胞である。ある場合には、前記の細胞は、幹細胞由来膵島細胞である。ある場合には、前記の細胞は、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示す。ある場合には、前記の方法は、さらに回転ドラムコレクターを用いて前記の繊維を収集することを含む。ある場合には、前記の方法は、さらに前記の繊維をパターン化された構造上に収集することを含む。ある場合には、前記の膜は、前記のパターン化された構造の形状を含む。ある場合には、前記の溶媒は、DMF、アセトン、アセトニトリル、アニリン、酢酸n-ブチル、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジアセトンアルコール、ジ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、ギ酸、グリセロール、メタノール、酢酸メチル、モルホリン、2-ニトロプロパン、1-ペンタノール、n-プロパノール、ピリジン、トリフルオロエタノール(trifloroethanol)、テトラヒドロフラン、水またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。ある場合には、前記のポリマーの前記の溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを前記の溶媒中で溶解させることを含む。ある場合には、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーを、前記の溶媒中で約1:1(w/w)以下の比で溶解させること。ある場合には、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーは、前記の溶媒中で約1:5(w/w)以下の比である。ある場合には、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーは、前記の溶媒中で約1:10(w/w)以下の比である。ある場合には、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーは、前記の溶媒中で約1:20(w/w)以下の比である。ある場合には、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーは、前記の溶媒と共に約6重量対体積パーセントで存在する。ある場合には、前記の膜は、コーティングを含まない。
【0023】
[0018] 様々な側面において、本開示は、細胞または療法剤を使用者に送達するための組成物を提供し、その組成物は、膜(例えば電界紡糸されたポリマー)を含み、ここで、膜は、(1)膜の架橋および/または(2)療法剤の膜へのコンジュゲーションを可能にするように設計された機能性ポリマーを含み、ここで、膜は、約2以上の
【0024】
【0025】
比を含み、ここで、Dfirstは、第1分子量を含む部分に関する第1拡散係数であり、Dsecondは、第2分子量を含む部分に関する第2拡散係数であり、かつここで、第2分子量対第1分子量の比は、約10以上である。ある側面において、組成物は、膜からなるデバイス内に封入された細胞をさらに含む。ある側面において、細胞は、インスリンを産生するように設計されている。さらなる側面において、細胞は、操作された幹細胞由来ベータ細胞である。さらに別の側面において、操作された幹細胞は、インスリンを発現する。
【0026】
[0019] さらなる側面において、操作された幹細胞は、封入の直後にインスリンを分泌するように設計されている。ある側面において、細胞は、体積1μLあたり約104~約106細胞の範囲でデバイス内に封入される。ある側面において、組成物は、さらに薬物を含む。ある側面において、薬物は、プロドラッグである。さらなる側面において、薬物は、10kDa未満である。ある側面において、薬物は、小分子である。他の側面において、薬物は、生物学的物質である。さらなる側面において、生物学的物質は、ペプチドまたはタンパク質である。
【0027】
[0020] ある側面において、薬物は、約0.01mg薬物/mgポリマー~約0.5mg薬物/mgポリマーの範囲で存在する。ある側面において、薬物は、少なくとも3日間膜から放出されるように設計されている。ある側面において、薬物は、疎水性薬物である。ある側面において、薬物は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の繊維に含まれる。ある側面において、薬物は、親水性薬物である。ある側面において、薬物は、微細化された微粒子の形態である。さらなる側面において、薬物は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)内で分散している。ある側面において、第2分子量対第1分子量の比は、約20以上である。
【0028】
[0021] 他の側面において、第2分子量対第1分子量の比は、約30以上である。ある側面において、第1分子量は、約10kDa未満であり、第2分子量は、約100kDaより大きい。さらなる側面において、第1分子量は、約4kDaに等しく、第2分子量は、約150kDaに等しい。
【0029】
[0022] ある側面において、組成物は、さらに抗酸化剤、マクロファージ阻害剤または抗炎症剤を含む。ある側面において、膜は、細胞の通過を可能にするように設計されている。さらなる側面において、膜は、約5μm以上の孔径を有する。
【0030】
[0023] 他の側面において、膜は、細胞の通過を遮断するように設計されている。さらなる側面において、膜は、約3μm以下の孔径を有する。ある側面において、膜は、コーティングを含まない。ある側面において、ベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLまたはPLLAを含む。ある側面において、機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAまたはTEGDAを含む。さらなる側面において、ベースポリマーは、PANである。さらに別の側面において、機能性ポリマーは、PEGMAである。他の側面において、機能性ポリマーは、PEGDAである。さらに他の側面において、機能性ポリマーは、TEGDAである。
【0031】
[0024] ある側面において、機能性ポリマーは、反応性官能基を含む。ある側面において、反応性官能基は、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、アミド基、アジド基またはマレイミド基である。ある側面において、組成物は、さらに抗線維化剤、抗炎症剤、血管新生促進剤または親水化剤を含む。ある側面において、機能性ポリマーは、約400~4000Daの範囲内の分子量を含む。さらなる側面において、機能性ポリマーは、約1500~2500Daの範囲内の分子量を含む。
【0032】
[0025] ある側面において、機能性ポリマーは、約2000Daの分子量を含む。ある側面において、機能性ポリマーは、約480Daの分子量を含む。ある側面において、Dfirstは、10-7cm2/秒以上である。さらなる側面において、Dfirstは、インスリンに関する拡散係数に対応し、Dsecondは、IgGに関する拡散係数に対応する。
【0033】
[0026] ある側面において、膜は、約1MPa以上の引張強度を含む。ある側面において、膜は、約5MPa以上のヤング率を含む。ある側面において、膜は、繊維を含む。
[0027] さらなる側面において、繊維は、約180~240nmの範囲内の直径を含む。他の側面において、繊維は、約520~560nmの範囲内の直径を含む。ある側面において、繊維は、約1000nm以下の直径を含む。ある側面において、膜は、約10~150μmの範囲内の厚さを含む。さらなる側面において、膜は、約80~120μmの範囲内の厚さを含む。
【0034】
[0028] ある側面において、膜は、約1:1の比でベースポリマーおよび機能性ポリマーを含む。他の側面において、膜は、約1:5の比でベースポリマーおよび機能性ポリマーを含む。さらに他の側面において、膜は、約1:10の比でベースポリマーおよび機能性ポリマーを含む。さらに他の側面において、膜は、約1:20の比でベースポリマーおよび機能性ポリマーを含む。ある側面において、膜は、親水性である。ある側面において、ベースポリマーは、膜に構造的完全性を提供するように設計されている。ある側面において、ベースポリマーは、疎水性である。
【0035】
[0029] 様々な側面において、本開示は、使用者において膜を配置することを含む療法セッションのために本明細書で開示される組成物を提供する方法を提供し、ここで、膜は、6ヶ月より長い期間の間使用者において留まるように設計されている。ある側面において、使用者は、慢性疾患を有する。さらなる側面において、慢性疾患は、糖尿病である。ある側面において、方法は、さらに6ヶ月より長い期間にわたって使用者のインスリンレベルをモニターすることを含む。
【0036】
[0030] 様々な側面において、本開示は、細胞または療法薬を使用者に送達するための膜を提供する方法を提供する方法を提供し、その方法は、ベースポリマーならびに(1)膜の架橋および/または(2)療法薬の膜へのコンジュゲーションを可能にするように設計された機能性ポリマーを溶媒中で溶解させてコポリマー溶液を提供し;コポリマー溶液を電界紡糸して繊維を生成し;繊維を集めて膜を形成することを含み、ここで、膜は、約2以上の
【0037】
【0038】
比を含み、ここで、Dfirstは、第1分子量を含む部分に関する拡散係数であり、Dsecondは、第2分子量を含む部分に関する拡散係数であり、ここで、第2分子量対第1分子量の比は、約10より大きい。
【0039】
[0031] ある側面において、方法は、さらに膜の架橋を含み、ここで、架橋工程は、約2以上の
【0040】
【0041】
比を膜に提供する。ある側面において、膜の架橋は、光開始剤の存在下で膜を紫外(UV)光に曝露させることを含む。さらなる側面において、光開始剤は、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゼントリカルボニルクロム、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン(2,5-dimethylbenzonphenone)、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、フェロセン、3-ヒドロキシアセトフェノン、4-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholinoproiophenone)、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート塩類、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩類またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0042】
[0032] ある側面において、膜の架橋は、光開始剤および架橋剤の存在下で膜を紫外線(UV)光に曝露させることを含む。さらなる側面において、架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0043】
[0033] ある側面において、膜の架橋は、熱開始剤の存在下で膜を熱に曝露させることを含む。さらなる側面において、熱開始剤は、過硫酸アンモニア、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-azobissobutyronitrile)、過酸化ベンゾイル、2,2’-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメン、ヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウムまたはそれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0044】
[0034] 他の側面において、膜の架橋は、熱開始剤および架橋剤の存在下で膜を熱に曝露させることを含む。さらなる側面において、架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0045】
[0035] さらに他の側面において、膜の架橋は、膜を遷移金属に曝露させることを含む。さらなる側面において、遷移金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、鉄またはそれらのあらゆる組合せのイオンを含む。
【0046】
[0036] ある側面において、その方法は、さらに薬物をコポリマー溶液中に組み込むことを含む。ある側面において、溶媒は、混和性溶媒である。ある側面において、薬物は、親水性薬物である。さらなる側面において、薬物は、微細化された微粒子の形態である。ある側面において、その方法は、さらに細胞を膜内に封入することを含む。ある側面において、細胞は、インスリンを産生するように設計されている。
【0047】
[0037] ある側面において、その方法は、さらに繊維を膜の形態で収集することを含み、それは、回転式ドラムコレクターを用いて繊維を収集することを含む。ある側面において、その方法は、さらに繊維を膜の形態で収集することを含み、それは、パターン化された構造上に繊維を収集することを含む。さらなる側面において、膜は、パターン化された構造の形状を含む。
【0048】
[0038] ある側面において、溶媒は、DMF、アセトン、アセトニトリル、アニリン、酢酸n-ブチル、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジアセトンアルコール、ジ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド(dimethyle sulfoxide)、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、ギ酸、グリセロール、メタノール、酢酸メチル、モルホリン、2-ニトロプロパン、1-ペンタノール、n-プロパノール、ピリジン、トリフルオロエタノール(trifloroethanol)、テトラヒドロフラン、水またはそれらのあらゆる組合せを含む。ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを約1:1の比で溶媒中で溶解させることを含む。
【0049】
[0039] ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:5の比で溶解させることを含む。他の側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:10の比で溶解させることを含む。さらに他の側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:20の比で溶解させることを含む。ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーは、約6重量%対体積パーセントで溶媒と共に存在する。ある側面において、その方法は、さらに抗酸化剤、マクロファージ阻害剤または抗炎症剤を含む。
【0050】
[0040] ある側面において、膜は、細胞の通過を可能にするように設計されている。さらなる側面において、膜は、約5μm以上の孔径を含む。ある側面において、膜は、細胞の通過を遮断するように設計されている。さらなる側面において、膜は、約3μm以下の孔径を含む。ある側面において、膜は、コーティングを含まない。ある側面において、ベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLまたはPLLAを含む。
【0051】
[0041] さらなる側面において、機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAまたはTEGDAを含む。ある側面において、ベースポリマーは、PANである。ある側面において、機能性ポリマーは、PEGMAである。ある側面において、方法は、さらに抗線維化剤、抗炎症剤、血管新生促進剤または親水化剤を含む。ある側面において、機能性ポリマーは、約500~4000Daの範囲内の分子量を含む。さらなる側面において、機能性ポリマーは、約1500~2500Daの範囲内の分子量を含む。
【0052】
[0042] ある側面において、Dfirstは、10-7cm2/秒以上である。ある側面において、Dfirstは、インスリンに関する拡散係数に対応し、Dsecondは、IgGに関する拡散係数に対応する。ある側面において、膜は、約1MPa以上の引張強度を含む。さらなる側面において、膜は、約1MPa~約100MPaの引張強度を含む。ある側面において、膜は、約30MPa以上のヤング率を含む。さらなる側面において、膜は、約10MPa~約100,000MPaのヤング率を含む。ある側面において、繊維は、約180~240nmの範囲内の直径を含む。
【0053】
[0043] 他の側面において、繊維は、約520~560nmの範囲内の直径を含む。ある側面において、繊維は、約1000nm以下の直径を含む。ある側面において、膜は、約10~150umの範囲内の厚さを含む。さらなる側面において、膜は、約80~120umの範囲内の厚さを含む。ある側面において、膜は、親水性である。ある側面において、ベースポリマーは、膜に構造的完全性を提供するように設計されている。ある側面において、ベースポリマーは、疎水性である。
【0054】
[0044] 様々な側面において、本開示は、細胞または療法剤を使用者に送達するための膜を提供し、その膜は、コポリマー溶液ベースの電界紡糸繊維を含み、ここで、コポリマー溶液は、ベースポリマーならびに(1)膜の架橋および/または(2)療法薬の膜へのコンジュゲーションを可能にするように設計された機能性ポリマーを含み、ここで、膜は、約2以上の
【0055】
【0056】
比を含み、ここで、Dfirstは、約5kDa未満の第1分子量を含む部分に関する拡散係数であり、Dsecondは、約150kDaより大きい第2分子量を含む部分に関する拡散係数である。
【0057】
[0045] ある側面において、その方法は、さらに前記の膜の架橋を含み、ここで、前記の架橋工程は、膜に約2以上の
【0058】
【0059】
比を提供する。ある側面において、膜の架橋は、光開始剤の存在下で膜を紫外線(UV)光に曝露させることを含む。さらなる側面において、光開始剤は、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゼントリカルボニルクロム、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン(2,5-dimethylbenzonphenone)、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、フェロセン、3-ヒドロキシアセトフェノン、4-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholinoproiophenone)、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート塩類、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩類またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0060】
[0046] ある側面において、膜の架橋は、光開始剤および架橋剤の存在下で膜を紫外線(UV)光に曝露させることを含む。さらなる側面において、架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0061】
[0047] ある側面において、膜の架橋は、熱開始剤の存在下で膜を熱に曝露させることを含む。さらなる側面において、熱開始剤は、過硫酸アンモニア、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-azobissobutyronitrile)、過酸化ベンゾイル、2,2’-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメン、ヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウムまたはそれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0062】
[0048] 他の側面において、膜の架橋は、熱開始剤および架橋剤の存在下で膜を熱に曝露させることを含む。さらなる側面において、架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0063】
[0049] さらに他の側面において、膜の架橋は、膜を遷移金属に曝露させることを含む。さらなる側面において、遷移金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、鉄またはそれらのあらゆる組合せのイオンを含む。
【0064】
[0050] ある側面において、その方法は、さらに薬物をコポリマー溶液中に組み込むことを含む。ある側面において、溶媒は、混和性溶媒である。ある側面において、薬物は、親水性薬物である。さらなる側面において、薬物は、微細化された微粒子の形態である。ある側面において、その方法は、さらに細胞を膜内に封入することを含む。ある側面において、細胞は、インスリンを産生するように設計されている。
【0065】
[0051] ある側面において、その方法は、さらに繊維を膜の形態で収集することを含み、それは、回転式ドラムコレクターを用いて繊維を収集することを含む。ある側面において、その方法は、さらに繊維を膜の形態で収集することを含み、それは、パターン化された構造上に繊維を収集することを含む。さらなる側面において、膜は、パターン化された構造の形状を含む。
【0066】
[0052] ある側面において、溶媒は、DMF、アセトン、アセトニトリル、アニリン、酢酸n-ブチル、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジアセトンアルコール、ジ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、ギ酸、グリセロール、メタノール、酢酸メチル、モルホリン、2-ニトロプロパン、1-ペンタノール、n-プロパノール、ピリジン、トリフルオロエタノール(trifloroethanol)、テトラヒドロフラン、水またはそれらのあらゆる組合せを含む。ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを約1:1の比で溶媒中で溶解させることを含む。
【0067】
[0053] ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:5の比で溶解させることを含む。他の側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:10の比で溶解させることを含む。さらに他の側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの溶媒中での溶解は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを溶媒中で約1:20の比で溶解させることを含む。ある側面において、ベースポリマーおよび機能性ポリマーは、約6重量%対体積パーセントで溶媒と共に存在する。ある側面において、その方法は、さらに抗酸化剤、マクロファージ阻害剤または抗炎症剤を含む。
【0068】
[0054] ある側面において、膜は、細胞の通過を可能にするように設計されている。さらなる側面において、膜は、約5μm以上の孔径を含む。ある側面において、膜は、細胞の通過を遮断するように設計されている。さらなる側面において、膜は、約3μm以下の孔径を含む。ある側面において、膜は、コーティングを含まない。ある側面において、ベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLまたはPLLAを含む。
【0069】
[0055] さらなる側面において、機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAまたはTEGDAを含む。ある側面において、ベースポリマーは、PANである。ある側面において、機能性ポリマーは、PEGMAである。ある側面において、方法は、さらに抗線維化剤、抗炎症剤、血管新生促進剤または親水化剤を含む。ある側面において、機能性ポリマーは、約500~4000Daの範囲内の分子量を含む。さらなる側面において、機能性ポリマーは、約1500~2500Daの範囲内の分子量を含む。
【0070】
[0056] ある側面において、Dfirstは、10-7cm2/秒以上である。ある側面において、Dfirstは、インスリンに関する拡散係数に対応し、Dsecondは、IgGに関する拡散係数に対応する。ある側面において、膜は、約1MPa以上の引張強度を含む。さらなる側面において、膜は、約1MPa~約100MPaの引張強度を含む。ある側面において、膜は、約30MPa以上のヤング率を含む。さらなる側面において、膜は、約10MPa~約100,000MPaのヤング率を含む。ある側面において、繊維は、約180~240nmの範囲内の直径を含む。
【0071】
[0057] 他の側面において、繊維は、約520~560nmの範囲内の直径を含む。ある側面において、繊維は、約1000nm以下の直径を含む。ある側面において、膜は、約10~150umの範囲内の厚さを含む。さらなる側面において、膜は、約80~120umの範囲内の厚さを含む。ある側面において、膜は、親水性である。ある側面において、ベースポリマーは、膜に構造的完全性を提供するように設計されている。ある側面において、ベースポリマーは、疎水性である。
【0072】
参照による援用
[0058] 本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照により援用されることが具体的かつ個々に示された場合と同程度まで参照により本明細書に援用される。
【0073】
[0059] 本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面(単数または複数)を有するこの特許または特許出願公開のコピーは、請求および必要な手数料を支払えば庁(Office)により提供されるであろう。本発明の新規の特徴は、添付された特許請求の範囲において詳細に述べられている。本発明の特徴および利点のよりよい理解が、本発明の原理が利用されている説明的な態様を述べる以下の詳細な記載およびその添付の図面への参照により得られるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1A】[0060]
図1Aは、態様に従う電界紡糸ポリマーの走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を図説している。
【
図1B】[0061]
図1Bは、態様に従う異なるフィラメント径を有する電界紡糸ポリマー膜における分子の放出プロフィールを図説している。
【
図2A】[0062]
図2Aは、態様に従う直径540nmのフィラメントを有する電界紡糸ポリマー膜からの異なる分子の拡散を図説している。
【
図2B】[0063]
図2Bは、態様に従う直径202nmのフィラメントを有する電界紡糸ポリマー膜からの異なる分子の拡散を図説している。
【
図3A】[0064]
図3Aは、態様に従うBiopore ePTFE膜と比較したポリ(アクリロニトリル)(PAN)から製作された電界紡糸ポリマー膜の拡散係数を図説している。
【
図3B】[0065]
図3Bは、架橋されていない状態および架橋された状態の両方におけるある範囲の電界紡糸ポリマー膜にわたる4kDaの溶質の流動を図説している。
【
図4A】[0066]
図4Aは、態様に従う電界紡糸ポリマー膜から構築された細胞を装填された平面デバイスを移植されたマウスの精巣上体脂肪パッドを図説している。
【
図4B】[0067]
図4Bは、態様に従うマウスの精巣上体脂肪パッド中に移植された後の電界紡糸ポリマー膜の壁の中への宿主細胞の進入を図説している。
【
図5】[0068]
図5は、電界紡糸ポリマー膜から製作された平面デバイスの破裂強度を測定するために使用される試験システムを図説している。
【
図6A】[0069]
図6Aは、態様に従う電界紡糸ポリマー膜が破裂する圧力(psi)を図説している。
【
図6B】[0070]
図6Bは、態様に従うASTM D790-03に従う電界紡糸ポリマー膜により耐えられる最大負荷(mN)を図説している。
【
図7A】[0071]
図7Aは、態様に従う架橋されていない電界紡糸ポリマー膜のSEM画像を図説している。
【
図7B】[0072]
図7Bは、態様に従う架橋された電界紡糸ポリマー膜のSEM画像を図説している。
【
図7C】[0073]
図7Cは、態様に従う架橋の程度において異なる本開示の電界紡糸ポリマー膜からの分子の放出プロフィールを示している。
【
図8A】[0074]
図8Aは、光開始剤および紫外線(UV)がどのように態様に従うPEGMAおよびTEGDAを伴なうPEGMA、二次架橋剤、TEGDAの構造に影響を及ぼすかを図説している。
【
図8B】[0075]
図8Bは、態様に従う架橋の際のPEGMAポリマーにおけるC=C結合からC-C結合への遷移を示すフーリエ変換赤外分光法(FTIR)の結果を図説している。
【
図9A】[0076]
図9Aは、態様に従う架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜の引張強度(MPa)を図説している。
【
図9B】[0077]
図9Bは、態様に従う架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜のヤング率(MPa)を図説している。
【
図9C】[0078]
図9Cは、態様に従う本開示の様々なポリマー膜に関する時間の経過に伴う分子の放出プロフィールを図説している。
【
図10】[0079]
図10は、態様に従うUV架橋後の機能性電界紡糸ポリマー膜の超微細構造を示すSEM画像を図説している。
【発明を実施するための形態】
【0075】
[0080] 本開示は、療法薬を送達するためのデバイス、組成物および方法を提供する。例えば、デバイスの様々な構成要素および特徴、ならびにそのようなデバイスを作製および使用する方法が、本明細書で開示される。ある場合には、機能性電界紡糸ポリマーは、架橋されることができ、かつ/または膜の形態で提供されることができる。膜という用語が主に本明細書において用いられるが、膜は、本明細書で記載される機能性ポリマーのあらゆる形状または形態を指すことができ、かつあらゆる目的のために利用されることができることは、理解されるべきである。例えば、膜は、薄くても薄くなくてもよく、境界または裏打ちまたは仕切りの役目を果たしても果たさなくてもよく、構成要素または異なる部分の選択的通過を可能にしてもしなくてもよい。場合により、膜は、デバイスとして提供されることができ、またはデバイス、例えば医療デバイスと統合されていることができる。
【0076】
[0081] 例えば“含有する”、“含有すること”、“含む(include)”、“含むこと(including)”等の非限定用語(open terms)は、含むこと(comprising)を意味する。
【0077】
[0082] 単数形“a”、“an”および“the”は、本明細書では、文脈がそうではないことを明確に指示しない限り、複数の参照を含むように用いられている。
[0083] 別途示されない限り、本明細書中のいくつかの態様は、数値範囲を意図している。数値範囲が提供されている場合、別途示されない限り、範囲は、範囲の終点を含むことができる。別途示されない限り、数値範囲は、あたかも明示的に記載されたかのようにその中の全ての値および部分範囲を含むことができる。
【0078】
[0084] 参照数値に関する用語“約”は、その値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値を含むことができる。例えば、量“約10”は、9、10および11の参照数を含む9~11の量を含む。参照数値に関する用語“約”は、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%の範囲の値も含むことができる。
【0079】
[0085] 本明細書で用いられる際、語句“膜”は、あらゆる技術によって作製された膜を指し得る。“膜”の部分集合は、膜がポリマーで構成されている“ポリマー膜”を含み得る。“膜”の部分集合は、本開示において記載される“電界紡糸ポリマー膜”を含むこともでき、ここで、ポリマー膜は、本明細書で開示される電界紡糸プロセスを使用して作製される。“電界紡糸ポリマー膜”の部分集合は、“架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜”を含むことができ、ここで、電界紡糸ポリマー膜は、機能性ポリマーを介して架橋される。本明細書で記載される全ての特性および特徴、例えば封入部分の拡散比、機械的特性等は、膜、ポリマー膜、電界紡糸ポリマー膜、架橋または機能性電界紡糸ポリマー膜に適用可能であり得る。
【0080】
[0086] 本明細書において記載される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、それらの製造およびスケールアップの容易さならびに所望の結果に基づいて膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の種々の特性を調節する能力に関する利点を提供し得る。例えば、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を作製する組成物および方法は、封入剤もしくは浸透剤の拡散係数、機械的特性(例えば引張強度およびヤング率)および/または長期的構造完全性を調節するために変動させられることができる。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のこれらの側面は、個々の繊維径、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の厚さ、ポリマーおよび架橋剤構成要素の選択、ポリマー(例えばベースポリマーおよび機能性ポリマー)の量、架橋ポリマーもしくは架橋剤の量、架橋の方法またはそれらのあらゆる組み合わせを制御することによって所望のように調整されることができる。
【0081】
[0087] 本開示の機能性電界紡糸ポリマーは、研究および開発において使用され得る濾過デバイスを提供することから、慢性の病気を有する対象に軽減を提供する実際の植え込み式療法製品まで、多くの適用において使用されることができる。一例として、機能性電界紡糸ポリマーは、濾過の目的のために利用され得る。例えば、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、細胞濾過デバイスとしてまたは高分子量部分(例えば大きいタンパク質)を排除するための濾過デバイスとして使用されることができる。別の例として、機能性電界紡糸ポリマーは、例えば所望の速度で有効薬剤を放出することができる療法剤または有効薬剤を含む膜を用いて療法的利益を提供する目的で利用されることができる。ある場合には、ポリマーベースの膜またはデバイスは、それを必要とする対象に送達され得る。例えば、ポリマーベースの膜は、対象に隣接して配置されることができ、または対象内に移植されることができる。本明細書で用いられる際、膜は、機能性ポリマーの集合体を指すことができる。
【0082】
[0088] ある場合には、ポリマーベースの膜は、療法的構成要素(本明細書では療法的部分とも呼ばれる)を含むことができる。ある場合には、療法的構成要素は、膜から放出されるように設計されることができる。例えば、膜は、膜から放出される療法的部分および/または薬物を放出するように設計された細胞(例えば操作された細胞)を含むことができる。ポリマーベースの膜は、患者または使用者に有効な処置を提供するために、関連部分(例えば療法的部分)の膜中への、または膜からの拡散または移動を可能にすることのような特徴を含むことができる。例えば、ポリマーベースの膜は、関連する療法的部分が所望の速度で膜から拡散することを可能にする拡散係数および/または細孔構造を含むことができ、またはそれを用いて設計されることができる。あるいは、または加えて、膜は、関連する部分(例えば宿主タンパク質、細胞等)の膜中への、または膜からの拡散または移動を防止する、制限する、または最小限にすることのような特徴を含むことができる。例えば、膜は、望ましくない部分が膜中に入る動きを妨げることができる拡散係数および/または孔径を含むことができ、またはそれを用いて設計されることができる。
【0083】
[0089] ある場合には、ポリマーベースの膜またはデバイスは、デバイスから対象中への関連する部分(例えば療法的部分)の容易な拡散を提供する一方で望ましくない部分(例えば宿主タンパク質、例えばIgGおよびBSA)の浸潤を制限するバランスを満たす特徴を含むことができる。ある場合には、療法的部分を分泌する細胞を封入するポリマーベースのデバイスは、療法的部分の放出を可能にする一方で細胞がポリマーネットワークの中および/または外に移動するのを防止するように設計または作製されることができる。あるいは、または加えて、ポリマーベースの膜またはデバイスは、細胞がポリマーネットワークの中および/または外に移動することを可能にするように設計または作製されることができる。
【0084】
[0090] 本明細書で記載される膜は、低分子量部分の高分子量部分への拡散係数を定めるDfirst/Dsecond比を含むことができ、かつ/または提供するように設計されることができる。低分子量部分は、療法的部分であることができ、一方で高分子量部分は、宿主浸潤物または細胞である。ある場合には、本明細書に記載された膜の架橋は、膜に所望の特性、例えば上記で言及されたDfirst/Dsecond比を提供することができる。場合により、Dfirst/Dsecond比は、2以上であることができる。従って、本開示の架橋された機能性膜(例えば、電界紡糸ポリマー膜)は、より低い分子量の療法的部分の高い流動を可能にする一方で、より高い分子量の浸潤物の通過を制限するかまたは低分子量の療法的部分を分泌する操作された細胞がデバイスから出るのを防ぐことができる。ある場合には、機能性膜(例えば、電界紡糸ポリマー膜)の架橋された性質は、本明細書で開示される膜の機械的特性および構造的完全性をさらに増強し得る。
【0085】
[0091] 本明細書中で記載される膜(例えば、電界紡糸ポリマー膜)は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを含むように操作されることができ、それらの各々は、結果として得られる膜の所望の機能性または特性に依存して調節されることができる。上記のように、膜は、結果として得られる膜の所望の機能性または特性を調節するためにさらに架橋されることができる。場合により、膜は、以下でさらに詳細に記載されるように、架橋剤および架橋開始剤を含むことができる。本明細書中で記載される組成物および方法は、新規の架橋された機能性膜(例えば、電界紡糸ポリマー膜)の開発を可能にし、それは、疾患を処置する目的のためにそれを必要とする対象中に移植され得る植え込み式デバイスを含むがそれに限定されない様々な適用のために使用されることができる。一例では、疾患は、慢性疾患、例えば糖尿病であることができる。投与の方法および架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を作製する方法も、本明細書で開示される。
【0086】
ベースポリマー
[0092] 本明細書で記載される膜は、ベースポリマーを含むことができるかまたはベースポリマーで作製されることができる。ベースポリマーは、ポリアクリロニトリル類、ポリアクリレート類、アクリルポリマー類、メタクリルポリマー類、ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリウレタン類、乳酸ポリマー類、グリコール酸ポリマー類、セルロース、セルロイド、フルオロポリマー類、核酸、有機ケイ素ポリマー類、ペプチド類、ポリアミド、ポリアクリルアミド類、ポリカーボネート類、ポリアリールエーテルケトン、ポリオレフィン類、多糖類、タンパク質、タンニン類および/またはビニルポリマー類を含むがそれらに限定されない多くの異なるカテゴリーのポリマーを含むことができる。ベースポリマーは、生分解性または非生分解性であることができる。場合により、ベースポリマーは、生体適合性であることができる。本開示は、生体適合性であり対象への移植に適したベースポリマーを提供する。ある場合には、ベースポリマーは、コポリマー、例えばポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(フマル酸-セバシン酸無水物(pFASA)、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブチルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル-コ-塩化ビニリデン)またはポリ(アクリルアミド)コポリマーであることができる。他の例では、ベースポリマーは、ジブロックまたはトリブロックポリマーであることができる。例えば、ジブロックまたはトリブロックポリマーは、ベースポリマーおよび別のベースポリマーの融合体であることができるであろう。別の例では、ジブロックまたはトリブロックポリマーは、ベースポリマーおよび機能性ポリマー(例えば、PLGA-PEG)の融合体であることができるであろう。
【0087】
[0093] 制御された分解は、生分解性ポリマー(例えば、PLA、PGA、PLGA、PDS、キトサン等)をベースポリマー溶液中に組み込むことによって達成され得る。生分解性/ベースポリマーの比、生分解性ポリマーの分子量および/または電界紡糸パラメーターを変更することは、分解速度論の制御を可能にして様々な生理学的環境(例えば、薬物送達標的、移植部位、病理学的条件)において特定の望ましいものを達成することができる。ある典型的な態様において、生分解性ポリマー(例えばPLA、PGA、PLGA、PDS、キトサン)は、独立して、または架橋剤(例えばTEGDA)の存在下で非生分解性ポリマー(例えばPAN)と共に電界紡糸されて、薬物(例えばCXCL12)の生分解性制御放出を構築する。
【0088】
[0094] ベースポリマーは、本明細書で記載される膜に構造的完全性を提供するように設計されることができる。ある場合には、ベースポリマーは、疎水性であることができる。例えば、疎水性ベースポリマーは、所望であれば、より強い異物応答を刺激するように選択されることができるであろう。場合により、特定のベースポリマーが、所望の適用に応じてポリマー膜を設計するために選択されることができる。ある場合には、植え込み式膜を設計するために、生体適合性、疎水性であり適切な構造的完全性を提供するベースポリマーが、選択されることができる。さらなる場合において、植え込み式膜を設計するために、非生分解性ポリマーは、生物学的条件において長期間の構造的完全性を提供するように選択される。ある場合には、ベースポリマーは、所望の弾性、親水性、共役化学における反応性、表面エネルギー、光学特性、膨潤性または所望のフィラメント径で電界紡糸する能力に従って選択され得る。
【0089】
[0095] 本開示のベースポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(d,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリアクリロニトリル(PCL)、ポリ(アクリロニトリル)-ポリ(塩化ビニル)(PAN-PVC)コポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレングリコール(PEG、ポリ(エチレンオキシド)またはPEOとも呼ばれる)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリスルホン(PSf)、ポリスチレン(PSt)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸(PLA)(ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(L-乳酸)を含む)、セルロース、セルロイド、フルオロポリマー、核酸、有機ケイ素ポリマー、ペプチド類、ポリアミド、ポリアクリルアミド類、ポリカーボネート類、ポリアリールエーテルケトン、ポリオレフィン類、多糖類、タンパク質、タンニン類、ビニルポリマー類またはそれらのあらゆる組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0090】
[0096] 典型的な態様において、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、PANのベースポリマーを含む。他の態様において、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、PAN、PCL、EVA、PLLA、pFASAまたはそれらのあらゆる組み合わせのベースポリマーを有することができる。本明細書で記載されるポリマーのあらゆる組み合わせが、本明細書においてベースポリマー組成物を構成するために用いられることができる。例えば、上記のあらゆる1種類のベースポリマー、上記のあらゆる2種類のベースポリマー、上記のあらゆる3種類のベースポリマー、上記のあらゆる4種類のベースポリマー、あらゆる5種類のベースポリマーまたはより多くが、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のベースポリマー構成要素を構成するために組み合わせて使用されることができる。本明細書中で記載されるあらゆる膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)に含まれることができる賦形剤は、細胞外マトリックスタンパク質(ラミニン、コラーゲン等)、ヒドロゲル類(アルギネート、キトサン、アガロース、カルボキシメチルセルロース)、ゼラチン、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)およびそれらのマイクロテクスチャー化(microtextured)バージョンを含む、組織統合(tissue integration)を増進または制御し得る賦形剤を含む。
【0091】
[0097] 本開示のベースポリマーは、約10kDa~約2,000kDaを含むある範囲の分子量を有することができる。例えば、PAN等の本開示のベースポリマーは、150,000Daの分子量を有することができる。
【0092】
機能性ポリマー
[0098] 本開示の膜は、ある場合には、機能性ポリマーを含むことができ、または機能性ポリマーから作製されることができる。機能性ポリマーは、膜に追加の特性を付与するためにさらなる合成操作を受けることができ得る。例えば、機能性ポリマーは、膜の架橋を可能にするように設計されることができる。あるいは、または加えて、機能性ポリマーは、療法剤の膜へのコンジュゲーションを可能にするように設計されることができる。場合により、機能性ポリマーは、改善された機械的強度および/またはデバイスの完全性のような特性を膜に付与することができる。本明細書で記載される機能性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート(poly(ethylene glycol) methacylate)(PEGMA)、ポリ(エチレングリコール)ジアシレート(PEGDA)、テトラエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)またはそれらのあらゆる組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。
【0093】
[0099] 機能性ポリマーは、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、アルキン-PEG-マレイミド、ビオチン-PEG-TPG、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミドを含むこともできる。非ポリマー剤は、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタン等を含むこともできる。典型的な態様において、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、機能性ポリマーとしてPEGMAを含む。あるいは、PEGMAおよびTEGDAは、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)における機能性ポリマーとして使用されることができる。
【0094】
[0100] 機能性ポリマーは、本明細書において“架橋剤”とも呼ばれ得る。ある態様において、機能性ポリマーが受け入れることができるさらなる合成操作は、架橋を含む。例えば、本開示の膜(例えば、電界紡糸ポリマー膜)における組み込み後、機能性ポリマーは、紫外(UV)光、熱、遷移金属への曝露、化学反応ベースの架橋またはそれらのあらゆる組み合わせによって架橋され得る。例えば、本開示の典型的な膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、ベースポリマーとしてPANならびに機能性ポリマーとしてPEGMAまたはPEGMAおよびTEGDAを含むことができる。これらの膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、膜の架橋を促進するために光開始剤の存在下でUV光にさらに曝露され、そうして機械的特性およびデバイスの完全性を向上させ、あらゆる装填された薬剤(例えば、細胞または薬物)の放出も調節することができる。
【0095】
[0101] ある場合には、機能性ポリマーは、療法的部分を膜にコンジュゲートさせる能力を提供することができる。これは、活性化された部位の存在によって達成されることができ、それは、活性化された部位上にコンジュゲート薬物または療法剤との化学結合または物理的相互作用を形成することができる。ある場合には、療法的部分は、膜の繊維に含まれる、またはその一部であることができる。例えば、薬物は、本明細書中で記載されるように、ポリマー膜の電界紡糸の前にポリマー溶液内に分散され得る。あるいは、または加えて、薬物は、ポリマー溶液が電界紡糸されて膜を形成した後に膜にコンジュゲートされることができる。薬物は、紡糸された繊維中に組み込まれることもでき、またはカップリング化学を使用して事後に取り付けられることもできる。本明細書で用いられる際、療法的部分は、薬物を指すことができ、その用語は、互換的に使用されることができる。しかし、“薬物”という用語は、限定的であることは意味されず、プロドラッグ、小分子、生物学的物質、ペプチド、タンパク質等を含むがそれらに限定されないあらゆる療法的部分を指すことができることは、理解されるべきである。薬物は、親水性であることも疎水性であることもできる。ある場合には、薬物は、微細化された微粒子の形態であることができる。ある場合には、薬物は、抗炎症剤、例えばシロスタゾール、デキサメタゾンおよびトリアムシノロン、抗コロニー刺激因子ならびに他の免疫調節性サイトカイン類および因子を含むことができるであろう。
【0096】
[0102] 機能性ポリマーは、薬物の架橋および/またはコンジュゲーションのための反応性官能基の存在によっても定義され得る。反応性官能基は、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、アミド基、アジド基、マレイミド基、イソシアネート基、アジリジン基、アクリルアルケン基、トリアジリジン基、エポキシ基、活性化アルケン基、アルデヒド基、ケトン基、アクリレート基、アルコール基、アクリルアミド基、マルチカルボン酸基、金属アルコキシド基、アセチレン基、アルケン基、共役ジエン基、アルキン基またはシアニド基(cynide group)を含み得るが、それらに限定されない。特定の架橋戦略が、以下でさらに記載される。
【0097】
[0103] 上記の機能性ポリマーのあらゆる混合物が、本明細書において機能性ポリマー組成物を構成するために用いられることができる。例えば、上記のあらゆる1種類の機能性ポリマー、上記のあらゆる2種類の機能性ポリマー、上記のあらゆる3種類の機能性ポリマー、上記のあらゆる4種類の機能性ポリマーまたは上記のあらゆる5種類の機能性ポリマーが、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の機能性ポリマー構成要素を構成するために組み合わせて用いられることができる。
【0098】
ベースポリマーおよび機能性ポリマー
[0104] ある場合には、本明細書で記載される膜は、ベースポリマーおよび機能性ポリマーの両方を含むことができる。例えば、ベースポリマーおよび機能性ポリマーは、それぞれ本明細書で記載されるように所望の溶媒中で溶解させられ、電界紡糸の前に一緒に混合されることができる。膜は、ベースポリマー対機能性ポリマーの異なる質量比を含むことができ、または異なる質量比で作製されることができる。例えば、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約5000対1、2000対1、1000対1、800対1、600対1、400対1、200対1、100対1、50対1、20対1、10対1、5対1、2対1、1対1、1対2、1対5、1対10、1対20、1対50、1対100、1対200、1対400、1対600、1対800、1対1000、1対2000、1対5000またはそれらの間のあらゆる値以上の質量比(w/w)を含むことができる。ある場合には、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約0.001対1000、0.001対100、0.001対10、0.001対1、0.001対0.1、0.001対0.01、0.001対0.1、0.01対1000、0.01対100、0.01対10、0.01対1、0.01対0.1、0.1対1000、0.1対100、0.1対10、0.1対1、1対1000、1対100、1対10、10対1000、10対100または100対1000の範囲内の質量比(w/w)の機能性ポリマー対ベースポリマーを含むことができる。
【0099】
[0105] 場合により、ベースポリマーは、PANであることができ、機能性ポリマーは、PEGMAであることができる。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、ベースポリマーと比較して同じ比の機能性ポリマー、機能性ポリマーより少なくとも5倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも6倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも7倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも8倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも9倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも10倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも11倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも12倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも13倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも14倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも15倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも16倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも17倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも18倍高いベースポリマー、機能性ポリマーより少なくとも19倍高いベースポリマーまたは機能性ポリマーより少なくとも20倍高いベースポリマーを含むことができる。従って、PEGMAのような機能性ポリマーは、総ポリマー組成物の少なくとも0.5%(w/w)~少なくとも50%(w/w)で膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれることができる。他の場合には、機能性ポリマーは、総ポリマー組成物の少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%または少なくとも7%のようなより低い百分率で組み込まれることもできる。
【0100】
[0106] ある場合には、より高い百分率の架橋剤または機能性ポリマーの組み込みは、結果として封入された部分の放出の減弱をもたらし得る。例えば、より高い百分率の架橋剤は、結果としてより多くの架橋をもたらす可能性があり、それは、結果として膜の多孔性(例えば孔径)の減少をもたらし、結果として封入された部分の減弱した放出をもたらす可能性がある。例えば、
図9Cにおいて示されるように、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中のPEGMA対PANの比を1:5 PEGMA:PANから1:10 PEGMA:PANに変化させることは、結果として薬剤の増大したバースト放出をもたらした。例えば、
図9Cにおいて示されるように、膜中のPEGMAの濃度を1:10 PEGMA:PANから1:5 PEGMA PANに増大させることは、結果として膜からの薬物の流動における減少をもたらし得る。また、
図7Cにおいて示されるように、PEGMA対PANの比を1:10から1:5に変化させることは、結果としてより多くの架橋および膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)からの薬物の減弱した放出をもたらした。
【0101】
[0107] ベースポリマー対機能性ポリマーの比は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の破裂圧力に影響を及ぼし得る。
図6Aにおいて示されているように、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中のベースポリマー(PAN)の量の増大は、破裂圧力を増大させ得る。従って、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)が破裂前に耐えることができる圧力を向上させるための1つの戦略は、ベースポリマー(例えば、PAN)の量を増大させることおよび/または組成物中で使用される機能性ポリマー(例えば、PEG)の量を低減することであり得る。ベースポリマー対機能性ポリマーの比は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の最大負荷にも影響を及ぼし得る。
図6Bにおいて示されるように、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中のベースポリマー(PAN)の量の増大は、最大負荷を増大させ得る。従って、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)が破損前に耐えることができる最大負荷を向上させるための1つの戦略は、ベースポリマー(例えばPAN)の量を増大させることおよび/または機能性ポリマー(例えばPEG)の量を低減させることである。
【0102】
[0108] 本開示に適合する機能性ポリマーは、100Da~10000Daの範囲の分子量を有することができる。ある場合には、本開示のベースポリマーは、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1,000Da、1,200Da、1,500Da、2,000Da、2,500Da、3,000Da、3,500Da、4,000Da、4,500Da、5,000Da、6,000Da、7,000Da、8,000Da、9,000Da、10,000Da、12,000Da、14,000Da、16,000Da、18,000Da、20,000Da、30,000Da、40,000Da、50,000Da、60,000Da、70,000Da、80,000Da、90,000Da、100,000Da、150,000Da、200,000Da、250,000Da、300,000Da、350,000Da、400,000Da、450,000Da、500,000Da、600,000Da、700,000Da、800,000Da、900,000Da、1,000,000Da、1,100,000Da、1,200,000Da、1,300,000Da、1,400,000Da、1,500,000Da、1,600,000Da、1,700,000Da、1,800,000Da、1,900,000Daまたは2,000,000Da以下の分子量を有することができる。ある場合には、本開示のベースポリマーは、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1200Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Da、20000Da、30,000Da、40,000Da、50,000Da、60,000Da、70,000Da、80,000Da、90,000Da、100,000Da、150,000Da、200,000Da、250,000Da、300,000Da、350,000Da、400,000Da、450,000Da、500,000Da、600,000Da、700,000Da、800,000Da、900,000Da、1,000,000Da、1,100,000Da、1,200,000Da、1,300,000Da、1,400,000Da、1,500,000Da、1,600,000Da、1,700,000Da、1,800,000Da、1,900,000Da以上、または2,000,000Daに至るまでの分子量を有することができる。場合により、本開示のベースポリマーは、約100Da~約200Da、約200Da~約400Da、約400Da~約600Da、約600Da~約800Da、約800Da~約1,000Da、約1,000Da~約1,200Da、約1,200Da~約1,500Da、約1,500Da~約2,000Da、約2,000Da~約2,500Da、約2,500Da~約3,000Da、約3,000Da~約3,500Da、約3,500Da~約4,000Da、約4,000Da~約4,500Da、約4,500Da~約5,000Da、約5,000Da~約6,000Da、約6,000Da~約7,000Da、約7,000Da~約8,000Da、約8,000Da~約9,000Da、約9,000Da~約10,000Da、約10,000Da~約12,000Da、約12,000Da~約14,000Da、約14,000Da~約16,000Da、約16,000Da~約18,000Da、約18,000Da~約20,000Da、約20,000Da~約30,000Da、約30,000Da~約40,000Da、約40,000Da~約50,000Da、約50,000Da~約60,000Da、約60,000Da~約70,000Da、約70,000Da~約80,000Da、約80,000Da~約90,000Da、約90,000Da~約100,000Da、約100,000Da~約150,000Da、約150,000Da~約200,000Da、約200,000Da~約250,000Da、約250,000Da~約300,000Da、約300,000Da~約350,000Da、約350,000Da~約400,000Da、約400,000Da~約450,000Da、約450,000Da~約500,000Da、約500,000Da~約600,000Da、約600,000Da~約700,000Da、約700,000Da~約800,000Da、約800,000Da~約900,000Da、約900,000Da~約1,000,000Da、約1,000,000Da~約1,100,000Da、約1,100,000Da~約1,200,000Da、約1,200,000Da~約1,300,000Da、約1,300,000Da~約1,400,000Da、約1,400,000Da~約1,500,000Da、約1,500,000Da~約1,600,000Da、約1,600,000Da~約1,700,000Da、約1,700,000Da~約1,800,000Da、約1,800,000Da~約1,900,000Daまたは約1,900,000Da~約2,000,000Daの範囲内の分子量を有することができる。本開示と適合可能な機能性ポリマーは、1500Da~2500Daの分子量を有することができる。ある場合には、本開示の機能性ポリマーは、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1200Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Daまたは20000Da以下の分子量を有することができる。ある場合には、本開示の機能性ポリマーは、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1200Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Daまたは20000Da以上の分子量を有することができる。場合により、本開示の機能性ポリマーは、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1200Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、4500Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Daまたは20000Daの範囲内の分子量を有することができる。ある場合には、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれた機能性ポリマー(例えば、PEGMA)は、480Daの分子量を有することができる。他の場合には、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれた機能性ポリマー(例えば、PEGMA)は、2000Daの分子量を有し得る。
【0103】
[0109] 機能性ポリマーの分子量は、本開示のポリマー膜の構造および/または機能性を決定する際の重要な因子であり得る。
図10は、1/5の比のPAN/PEGMAポリマーおよびTEGDAから作製された、異なる分子量のPEGMA(480Daおよび2kDaを含む)を有する架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のコーティングにおける変化を実証する。より低い分子量の機能性ポリマーは、所与の鎖長において架橋点であるより多くの反応性官能基を有し得る。比較すると、高分子量機能性ポリマーは、同じ所与の鎖長において架橋点であるより少ない反応性官能基を有し得る。結果として、架橋されると、
図10において示されるように、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中のより低い分子量のPEGMAは、結果として膜中に組み込まれた高分子量PEGMAにおけるよりも多孔性が有意に小さくなるようなオーバーコーティングをもたらし得る。
【0104】
[0110] さらに、
図9Aにおいて示されるように、TEGDAなしでは、PEGMAの分子量の2kDaから480Daへの低下は、結果として引張強度における低下をもたらす。
図9Bにおいて示されるように、TEGDAなしでは、PEGMAの分子量の2kDaから480Daへの低下は、結果としてヤング率における低下をもたらす。しかし、TEGDAを有する架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)において、PEGMA分子量の低下は、ヤング率を増大させた。従って、機能性ポリマーの分子量は、引張強度およびヤング率の両方に影響を及ぼし得る。
【0105】
[0111] 本明細書で記載されるように、ベースポリマーおよび/または機能性ポリマーは、それぞれ所望の溶媒中で溶解させられて電界紡糸の前に一緒に混合されることができる。ポリマー、例えば本明細書で記載されるベースポリマーまたは機能性ポリマーは、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、アセトニトリル、アニリン、酢酸n-ブチル、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジアセトンアルコール、ジ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、ギ酸、グリセロール、メタノール、酢酸メチル、モルホリン、2-ニトロプロパン、1-ペンタノール、n-プロパノール、ピリジン、トリフルオロエタノール(trifloroethanol)、テトラヒドロフラン、水またはそれらの溶媒のあらゆる組合せ中で溶解させられることができる。
【0106】
電界紡糸
[0112] 本明細書で記載されるポリマーのいずれか1種類またはいずれかの組合せを含有するポリマー溶液は、エミッターおよびコレクターを含む電界紡糸装置を使用して電界紡糸されることができる。収集されるあらゆる形態の繊維は、膜と呼ばれることができる。ポリマー溶液は、エミッターからコレクター上に噴霧され、エミッターおよびコレクターの間の電圧差によって集束される。紡糸されることができるポリマー溶液の最大濃度は、ポリマーの粘度および導電率に依存することができ、異なるベース/機能性ポリマーまたは異なる溶媒によって変動することもできる。順調な初期繊維形成の後、エミッタのx軸並進ステージは、反復線形パターンに設定されることができる。繊維は、回転ドラムコレクター上に収集されることができる。繊維は、平坦な表面上に収集されることもできる。繊維は、さらに、パターン化された構造上に繊維を収集することによって膜の形態で収集されることができる。結果として得られる膜は、パターン化された構造と同じ形状である形状を含むことができる。
【0107】
[0113] 膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、個々の繊維から作製され、それは、回転ドラムコレクターまたはパターン化された構造のような構造上に紡糸される。これらの個々の繊維は、180nm~240nm、520nm~560nmまたは1000nm以下の直径を有することができる。個々の繊維は、100nm~120nm、120nm~140nm、140nm~160nm、160nm~180nm、180nm~200nm、200nm~220nm、220nm~240nm、240nm~260nm、260nm~280nm、280nm~300nm、300nm~320nm、320nm~340nm、340nm~360nm、360nm~380nm、380nm~400nm、400nm~420nm、420nm~440nm、440nm~460nm、460nm~480nm、480nm~500nm、500nm~520nm、520nm~540nm、540nm~560nm、560nm~580nm、580nm~600nm、600nm~620nm、620nm~640nm、640nm~660nm、660nm~680nm、680nm~700nm、700nm~720nm、720nm~740nm、740nm~760nm、760nm~780nm、780nm~800nm、800nm~820nm、820nm~840nm、840nm~860nm、860nm~880nm、880nm~900nm、900nm~920nm、920nm~940nm、940nm~960nm、960nm~980nm、980nm~1000nmの直径を有することができる。
【0108】
[0114] 繊維の直径は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の機能的特性に関して重要であり得る。例えば、
図1Bにおいて示されるように、個々の繊維の直径の増大は、例えば膜の多孔性の減少により膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)からの封入部分の拡散を増大させることができる。
図1Aは、異なるサイズの個々の繊維径を有する膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を示し、それは、電界紡糸の前にポリマー溶液の濃度を調節することにより、そして電圧を調節することにより得られ得る。さらに
図2Aおよび
図2Bにおいて示されるように、繊維径の540nmへの増大(
図2A)は、結果として4kDa部分および500kDa部分両方の放出の増大をもたらし、一方で、繊維径の減少は、4kDa部分および500kDa部分両方の放出を減少させた。電界紡糸された膜中の個々の繊維の直径の低減は、ポリマーマトリックスおよび相互連結している繊維フィラメントの全体的な充填における増大を可能にし、それにより結果として膜の微細構造の多孔性屈曲度(porous tortuosity)における同時に生じる増大をもたらし得る。この増大した屈曲度は、膜中に組み込まれているあらゆる薬物の放出を減少させ得る。従って、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を設計する際、直径は、異なる分子量の部分の所望の放出プロフィールを高精度で調整するために変化されられることができる。例えば、低流動分子量部分の迅速な放出は、繊維径を増大させることによって達成され得る。あるいは、低流動分子量部分の減弱した放出は、繊維径を減少させることによって達成され得る。繊維フィラメント径は、電界紡糸溶液中のポリマー濃度(例えば電界紡糸溶液中のパーセント(w/v)ポリマー)、正電圧、負電圧、供給速度(mL/h)、繊維コレクターからの針の距離および電界紡糸の時間を含むがそれらに限定されない電界紡糸パラメーターのいくつかの1以上を調節することによって増大または減少させられ得る。これらのパラメーターのそれぞれは、繊維フィラメント径を変化させるために個々に、またはあらゆる他のパラメータと組み合わせて調節されることができる。例えば、電界紡糸溶液中のポリマー濃度は、繊維フィラメント径を変化させるためのパラメータとして、0.01重量%もの低い濃度から10重量%もの高い濃度まで、6重量%から8重量%まで、または8重量%から10重量%まで調節されることができる。正電圧は、繊維フィラメント径を変化させるためのパラメーターとして、10~30または20~22で調節されることができる。負電圧は、繊維フィラメント径を変化させるために1~10で調節されることができ、または5で保持されることができる。供給速度は、繊維フィラメント径を変化させるために0.1~5mL/hまたは0.7~1.25mL/hで調節されることができる。針からコレクターまでの距離は、繊維フィラメント径を変化させるために0.1~30cmで調節されることができ、または約17.5cmで一定に保持されることができる。電界紡糸の時間は、繊維フィラメント径を変化させるために30分~504分で調節されることができ、または30分~60分、60分~120分、36分~72分、72分~144分、144分~252分または252分~504分の紡糸時間を含むことができる。
【0109】
[0115] 一度電界紡糸が完了すると、かつ/または架橋が完了すると、膜は、10μm~150μmまたは80μm~120μmの厚さを有することができる。ある場合には、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、10μm~500μmの厚さを有することができる。例えば、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、10μm~20μm、20μm~30μm、30μm~40μm、40μm~50μm、50μm~60μm、60μm~70μm、70μm~80μm、80μm~90μm、90μm~100μm、100μm~110μm、110μm~120μm、120μm~130μm、130μm~140μm、140μm~150μm、150μm~160μm、160μm~170μm、170μm~180μm、180μm~190μm、190μm~200μm、200μm~210μm、210μm~220μm、220μm~230μm、230μm~240μm、240μm~250μm、250μm~260μm、260μm~270μm、270μm~280μm、280μm~290μm、290μm~300μm、300μm~310μm、310μm~320μm、320μm~330μm、330μm~340μm、340μm~350μm、350μm~360μm、360μm~370μm、370μm~380μm、380μm~390μm、390μm~400μm、400μm~410μm、410μm~420μm、420μm~430μm、430μm~440μm、440μm~450μm、450μm~460μm、460μm~470μm、470μm~480μm、480μm~490μm、490μm~500μmの厚さを有することができる。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の厚さは、封入された薬物の放出速度を調節するために使用され得る。例えば、膜の厚さを増大させることによって、封入された薬物は、ポリマー膜を出る前に横断するためのより長い距離を有し得る。従って、膜の厚さの増大は、膜からの薬物の急速なバースト放出を減弱させるための別の方法であり得る。さらに、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の厚さの増大は、よりかさばり、かつより良好な長期機械的強度を有する膜をもたらすこともできる。厚さの増大だけで、結果として生じる膜からの組み込まれた薬物の流動を減少させることもできる。本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、親水性であることができる。親水性は、連続的な溶質拡散を維持するために膜表面の脱湿潤を防止するために、本発明の一側面において重要であり得る。本開示の他の側面において、本明細書で記載される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、疎水性であることもできる。
【0110】
[0116] 膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、機能性ポリマーを含むことができ、それは、続いて架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を得るために架橋される。架橋剤および/または架橋開始剤は、以下でさらに記載されるが、初期ポリマー溶液中に含まれ得る。架橋剤および/または架橋開始剤は、以下でさらに記載されるが、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を架橋剤の溶液に曝露させ、続いて膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を架橋法に曝露させることにより組み込まれることもできる。架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、そうしてこれらの電界紡糸および架橋合成戦略を用いて得られることができる。例えば、架橋剤であるTEGDAは、溶媒中でPANおよびPEGMAと共に溶解させられ、次いで電界紡糸されてPAN/PEGMA/TEGDA膜を生成することができる。次いで、このPAN/PEGMA/TEGDA膜は、光開始剤のみを含有することができる溶液中で浸漬されることができ、架橋のためにUV光にさらに曝露され、結果として架橋されたPAN/PEGMA/TEGDA膜をもたらす。あるいは、PANおよびPEGMAは、溶媒中で溶解させられ、電界紡糸されてPAN/PEGMA膜を生成することができる。この電界紡糸された膜は、架橋剤(例えば、TEGDA)および光開始剤を含有することができる溶液中で浸漬される。次いで、その膜は、UV光に曝露され、架橋されたPAN/PEGMA/TEGDA膜を形成する。架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、本明細書において“コーティング”または“オーバーコーティング”を有するものとしても記載されている。本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、架橋されないこともでき、従ってコーティングを伴なわずに得られることができる。
【0111】
[0117] 膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)(例えば架橋されているか否かにかかわらず)は、細胞の通過を可能にするように設計され得る。例えば、架橋の前または後の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約5μm以上の孔径を有するように設計され得る。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、細胞の通過を遮断するようにも設計され得る。例えば、架橋の前または後の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約3μm以上の孔径を有するように設計され得る。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の孔径は、10nm~10μmの間のいずれであることもできる。例えば、孔径は、10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、900nm~950nm、950nm~1μm、1μm~2μm、2μm~3μm、3μm~4μm、4μm~5μm、5μm~6μm、6μm~7μm、7μm~8μm、8μm~9μm、9μm~10μmであることができる。ある場合には、5μm以下の孔径を有する膜は、結果として細胞の通過の制限をもたらす可能性があり、孔径の増大は、細胞の侵入または逃避を増大させ得る。
【0112】
[0118] 本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)(例えば架橋されているか否かにかかわらず)は、それらが構造的完全性を失うことなく長期間対象中に移植されることを可能にする優れた機械的特性を有し得る。これらの膜は、特定の引張強度またはヤング率を得るように設計されることができる。例えば、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の引張強度は、約1MPa以上であることができる。本開示の膜(例えば電解紡糸ポリマー膜)の引張強度は、0.5MPa~1MPa、1MPa~1.5MPa、1.5MPa~2MPa、2MPa~2.5MPa、2.5MPa~3MPa、3MPa~3.5MPa、3.5MPa~4MPa、4MPa~4.5MPa、4.5MPa~5MPa、5MPa~5.5MPa、5.5MPa~6MPa、6MPa~6.5MPa、6.5MPa~7MPa、7MPa~7.5MPa、7.5MPa~8MPa、8MPa~8.5MPa、8.5MPa~9MPa、9MPa~9.5MPa、9.5MPa~10MPa、10MPa~20MPa、20MPa~30MPa、30MPa~40MPa、40MPa~50MPa、50MPa~60MPa、60MPa~70MPa、70MPa~80MPa、80MPa~90Mpaまたは90MPa~100Mpaであることができる。本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のヤング率は、約30MPa以上であることができる。本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のヤング率は、10MPa~100MPaであることができる。例えば、ヤング率は、10MPa~15MPa、15MPa~20MPa、20MPa~25MPa、25MPa~30MPa、30MPa~35MPa、35MPa~40MPa、40MPa~45MPa、45MPa~50MPa、50MPa~55MPa、55MPa~60MPa、60MPa~65MPa、65MPa~70MPa、70MPa~75MPa、75MPa~80MPa、80MPa~85MPa、85MPa~90MPa、90MPa~95MPa、95MPa~100MPa、100MPa~150MPa、150MPa~200MPa、200MPa~250MPa、250MPa~300MPa、300MPa~350MPa、350MPa~400MPa、400MPa~450MPa、450MPa~500MPa、500MPa~600MPa、600MPa~700MPa、700MPa~800MPa、800MPa~900MPa、900MPa~1,000MPa、1,000MPa~2,000MPa、2,000MPa~3,000MPa、3,000MPa~4,000MPa、4,000MPa~5,000MPa、5,000MPa~6,000MPa、6,000MPa~7,000MPa、7,000MPa~8,000MPa、8,000MPa~9,000MPa、9,000MPa~10,000MPa、10,000MPa~20,000MPa、20,000MPa~30,000MPa、30,000MPa~40,000MPa、40,000MPa~50,000MPa、50,000MPa~60,000MPa、60,000MPa~70,000MPa、70,000MPa~80,000MPa、80,000MPa~90,000MPaまたは90,000MPa~100,000MPaであることができる。
【0113】
架橋技術
[0119] 様々な架橋の方法が、本開示の機能性の架橋された膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を得るために利用されることができる。これらの方法は、光開始剤によるUV架橋、熱架橋開始剤による熱架橋、遷移金属および他の化学的架橋法を含むが、それらに限定されない。架橋剤は、機能性ポリマー上の反応性基間に新しい結合を形成するために、下記の架橋反応の1つにおいて使用され得るポリマー架橋剤または他の分子構造を含むことができる。言い換えれば、架橋剤は、本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中の機能性ポリマー上の反応性基を化学的に連結するために使用されることができる。これは、向上した機械的特性、より良好なデバイス完全性、多孔性の調節および結果として膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を通る様々な分子量部分の拡散速度の調節をもたらし得る。
【0114】
[0120] 架橋剤は、上記のようなあらゆる機能性ポリマーまたは他の化学的部分を含むことができる。例えば、架橋剤は、機能的問題である可能性があり、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート(poly(ethylene glycol) methacylate)(PEGMA)、ポリ(エチレングリコール)ジアシレート(PEGDA)、テトラエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)またはそれらのあらゆる組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。架橋剤は、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタン等を含むこともできる。
【0115】
[0121] 架橋剤は、2%(w/v)または7%(w/v)で含まれることができる。ある場合には、架橋剤は、0.01%(w/v)、0.1%(w/v)、0.5%(w/v)、1%(w/v)、10%(w/v)、20%(w/v)で含まれることができる。ある場合には、架橋剤は、約0.01%(w/v)~約20%(w/v)、0.01%(w/v)~約0.05%(w/v)、0.05%(w/v)~約0.1%(w/v)、0.1%(w/v)~約0.2%(w/v)、0.2%(w/v)~約0.3%(w/v)、0.3%(w/v)~約0.4%(w/v)、0.4%(w/v)~約0.5%(w/v)、0.5%(w/v)~約1%(w/v)、1%(w/v)~約2%(w/v)、2%(w/v)~約3%(w/v)、3%(w/v)~約4%(w/v)、4%(w/v)~約5%(w/v)、5%(w/v)~約10%(w/v)、10%(w/v)~約15%(w/v)または15%(w/v)~約20%(w/v)で含まれることができる。
【0116】
[0122] UV光開始剤。紫外(UV)光開始剤は、本開示の機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を架橋するために利用されることができる。光開始剤は、UV光への曝露時に架橋を触媒するために使用されることができる。光開始剤は、最初のポリマー溶液中に組み込まれることができ、それは、その後電界紡糸されて機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)になり、架橋を開始するためにUV光の下に置かれる。光開始剤は、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を光開始剤を含有する溶液中に浸漬することによって組み込まれることもできる。次いで、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、乾燥させられ、架橋を開始するためにUV光の下に置かれる。本開示と適合し、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれることができる適切な光開始剤は、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゼントリカルボニルクロム、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン(2,5-dimethylbenzonphenone)、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、フェロセン、3-ヒドロキシアセトフェノン、4-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholinoproiophenone)、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート塩類、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩類等を含むが、それらに限定されない。
【0117】
[0123]
図8Aは、UV架橋によって作製された、本開示の典型的な架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜の概略図を示している。PEGMA(機能性ポリマー)またはPEGMAおよびTEGDA(機能性ポリマーおよび架橋剤ポリマー)は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれ、光開始剤およびUV光に曝露されて、電界紡糸ポリマーデバイスを架橋することができる。
図8Bは、さらに、UV架橋の際に、炭素-炭素二重結合が炭素-炭素単結合に変換されることを確証しており、それによって機能性ポリマーの架橋の成功を実証している。
【0118】
[0124] PANおよびPEGMAを含む架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の別の例が、
図7において示されている。
図7Aは、UV架橋前の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を示しており、
図7Bは、TEGDA架橋剤で架橋した後の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を示している。
図7Aおよび
図7Bの比較から理解され得るように、UV架橋後、ポリマー膜の多孔性が低下し、ポリマーは、よりクモの巣状にされている(webbed)ように見える。
図7Cは、ベースポリマー対機能性ポリマーの異なる比率での、そしてTEGDAの存在下での、PAN/PEGMA膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)からの4kDaのFITC-デキストラン分子(インスリンを表わす)の放出の調節を実証している。この図は、上記のUV架橋法は、封入された薬物のバースト放出を減弱させるために有効に使用され得ることを示している。従って、低分子量療法的部分の所望の流量(例えば、低分子量療法的部分の所望のD
first)に応じて、機能性電界紡糸ポリマーのUVベースの架橋が、D
firstを調節するために用いられることができる。
【0119】
[0125]
図9Aおよび
図9Bは、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のUVベースの架橋によって付与される機械的強度およびデバイス完全性における向上のいくつかを図説している。これらの図において示されるように、TEGDAのような架橋剤を含ませることにより、全体の引張強度およびヤング率が、向上させられることができる。
図9Cは、さらに、本明細書の架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)からの低分子量療法的部分の放出(例えば、低分子量療法的部分の所望のD
first)の調節を示す。この図は、本明細書のD
first係数における全体的な減弱がUVベースの架橋によって達成され得ることを図説している。
【0120】
[0126] 熱開始剤。熱開始剤が、本開示の機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を架橋するために利用されることができる。熱開始剤は、熱への曝露時に架橋を触媒するために使用されることができる。熱に媒介される架橋を触媒するために本開示において使用される温度は、40℃~100℃であることができる。熱に媒介される架橋を触媒するために本開示において使用される温度は、40℃~45℃、45℃~50℃、50℃~55℃、55℃~60℃、60℃~65℃、65℃~70℃、70℃~75℃、75℃~80℃、80℃~85℃、85℃~90℃、90℃~95℃または95℃~100℃であることができる。熱開始剤は、最初のポリマー溶液中に組み込まれることができ、それは、その後電界紡糸されて機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)になり、架橋を開始するために加熱される。熱開始剤は、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を光開始剤を含有する溶液中に浸漬することによって組み込まれることもできる。次いで、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、乾燥させられ、架橋を開始するためにUV光下に置かれる。
【0121】
[0127] 本開示と適合し、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれることができる適切な熱開始剤は、過硫酸アンモニア、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-azobissobutyronitrile)、過酸化ベンゾイル、2,2’-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメン、ヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム等を含むが、それらに限定されない。
【0122】
[0128] 遷移金属。遷移金属は、本開示の機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を架橋するために利用されることができる。遷移金属は、機能性ポリマー上の反応性基と相互作用して機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の架橋を調整することができる。遷移金属は、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を溶液中に浸漬して開始することによって組み込まれることができる。本開示と適合し、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)に組み込まれることができる適切な遷移金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、鉄等のイオンを含むが、それらに限定されない。
【0123】
拡散率
[0129] 本開示は、第1拡散係数(Dfirst)および第2拡散係数(Dsecond)の比によって特性付けられることができる膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を提供する。DfirstおよびDsecondは、第1分子量を有する第1部分および第2分子量部分を有する第2部分に対応する。ある場合には、第1部分は、膜内に配置されるかまたは含まれる部分(例えば療法的部分)であることができる。膜からのまたは膜を横切る第1部分の有効な放出または拡散を提供することができることが、望ましい可能性がある。ある場合には、第2部分は、膜の外側(例えば宿主の体内)に配置されるかまたは含まれる部分であることができる。第2部分の膜中への、または膜を横切る拡散を防止する、または止めることができることが、望ましい可能性がある。一例として、第1部分は、インスリンであることができ、第2部分は、IgGであることができる。
【0124】
[0130] 第1分子量部分は、100Da~100,000Daの分子量を有することができる。ある場合には、第1分子量部分は、約50Da、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Da、20000Da、25000Da、30000Da、35000Da、40000Da、45000Da、50000Da、55000Da、60000Da、65000Da、70000Da、75000Da、80000Da、85000Da、90000Da、95000Da、100000Da、110000Da、120000Da、130000Da、140000Daまたは150000Da以下の分子量を有することができる。ある場合には、第1分子量部分は、約50Da、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Da、20000Da、25000Da、30000Da、35000Da、40000Da、45000Da、50000Da、55000Da、60000Da、65000Da、70000Da、75000Da、80000Da、85000Da、90000Da、95000Da、100000Da、110000Da、120000Da、130000Da、140000Daまたは150000Da以上の分子量を有することができる。ある場合には、第1分子量部分は、以下の値のいずれかの間の分子量を有することができる:50Da、100Da、200Da、400Da、600Da、800Da、1000Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、5000Da、6000Da、7000Da、8000Da、9000Da、10000Da、12000Da、14000Da、16000Da、18000Da、20000Da、25000Da、30000Da、35000Da、40000Da、45000Da、50000Da、55000Da、60000Da、65000Da、70000Da、75000Da、80000Da、85000Da、90000Da、95000Da、100000Da、110000Da、120000Da、130000Da、140000Daまたは150000Da。
【0125】
[0131] 第2分子量部分は、50000Da~1,000,000Daの分子量を有することができる。ある場合には、第2分子量部分は、約50000Da、75000Da、100000Da、120000Da、140000Da、160000Da、180000Da、200000Da、250000Da、300000Da、350000Da、400000Da、450000Da、500000Da、600000Da、700000Da、800000Da、900000Daまたは1000000Da以下の分子量を有することができる。ある場合には、第2分子量部分は、約50000Da、75000Da、100000Da、120000Da、140000Da、160000Da、180000Da、200000Da、250000Da、300000Da、350000Da、400000Da、450000Da、500000Da、600000Da、700000Da、800000Da、900000Daまたは1000000Daの分子量を有することができる。ある場合には、第2分子量部分は、以下の値のいずれかの間の分子量を有することができる:50000Da、75000Da、100000Da、120000Da、140000Da、160000Da、180000Da、200000Da、250000Da、300000Da、350000Da、400000Da、450000Da、500000Da、600000Da、700000Da、800000Da、900000Daまたは1000000Da。
【0126】
[0132] 第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、1~100の範囲内であることができる。ある場合には、第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100以上であることができる。ある場合には、第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100以下であることができる。ある場合には、第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、以下の値のいずれかの範囲内であることができる:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90または100。
【0127】
[0133] 第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、約10以上であることができる。第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、約20以上であることもできる。第2分子量部分の分子量の第1分子量部分の分子量に対する比は、約30以上であることもできる。第1分子量部分は、約10kDa未満であることができる。第2分子量部分は、約100kDaより大きいことができる。本開示の典型的な態様では、第1分子量部分は、約4kDaに等しいことができ、第2分子量部分は、約150kDaに等しいことができる。
【0128】
[0134] 膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40または50以上のD
first/D
second比を含むことができる。例えば、高D
first/D
second比を有する膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)(高流束電界紡糸ポリマー膜)が、
図3Aにおいて示されている。この図は、商業的に入手可能な膜および他の膜の配合物を、架橋されていない高流束膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)と比較する。高流束膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、約8.5×10
7cm
2/秒のD
first(D
4kDa)および約2×10
7Dcm
2/秒のD
second(D
150kDa)を示した。この例では、D
first/D
second比は、約4であった。
【0129】
[0135] Dfirstは、10-7cm2/秒以上であることができ、インスリンに関する拡散係数に対応し得る。Dsecondは、IgGに関する拡散係数に対応し得る。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のDfirst/Dsecond比は、機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の架橋によって付与されることができる。あるいは、Dfirst/Dsecond比は、本開示のあらゆる膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の特徴を定め得る。例えば、Dfirst/Dsecond比は、架橋されていない膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の特徴も定め得る。Dfirst/Dsecond比は、本明細書で示される様々な技法によって制御されることができ、それは、ベースポリマー(単数または複数)の分子量を変化させること、機能性ポリマー(単数または複数)の分子量を変化させること、第1および第2部分との相互作用を増大させたかまたは相互作用を低減した特定のベースポリマーおよび/または機能性ポリマーを選択すること、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の孔径を変更すること、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中の個々の繊維の直径を変更すること、架橋剤の量、架橋の時間および他の変数を含む。
【0130】
[0136] 本開示の膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)のDfirst/Dsecond比は、所望の適用に基づいて設計されることができる。例えば、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を含む膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、移植の目的のためおよび糖尿病を処置する目的のための対象への長期インスリン送達のために設計され得る。この例では、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、インスリンを分泌する操作された幹細胞を封入するように設計され得る。従って、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、膜からの分泌されるインスリン(Dfirst)の高い流束を提供し、特定のポリマー、架橋剤、架橋剤濃度、架橋時間、膜多孔性、繊維径またはそれらのあらゆる組合せを選択することによって封入細胞(Dsecond)もしくは宿主部分(Dsecond)、例えば宿主細胞もしくは宿主タンパク質、またはそれらのあらゆる組合せの拡散を制限するように設計されることができる。別の例では、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、最初にインスリンを封入するように設計され得る。ここで、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、膜からのインスリンの高流束(Dfirst)を提供する一方で宿主細胞または宿主タンパク質のような宿主部分の拡散(Dsecond)を制限するように設計されることができる。
【0131】
療法剤
[0137] 本明細書で開示される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、架橋されていてもいなくても、療法剤を装填され得る。本開示の療法剤は、間接的または直接的のいずれかで療法上の利益を示す部分を含むことができる。療法剤は、最初のポリマー溶液中への組み込みによって膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)に埋め込まれることができ、それは、その後電界紡糸されて機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)になる。療法剤は、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を療法剤を含有する溶液中に浸漬することによって組み込まれることもできる。
【0132】
[0138] 細胞。間接的な療法的利益を付与する療法剤は、細胞、例えば療法的利益を有する薬物を分泌するように操作された細胞を含むことができる。例えば、細胞は、インスリンを産生するように操作され得る。例えば、細胞は、インスリンを発現するように操作された幹細胞由来ベータ島細胞であることができる。架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に組み込まれた後、細胞は、対象における膜の移植後にインスリンを分泌する。ある場合には、細胞は、非天然膵β細胞の集団であることができる。細胞は、いくつかの型の細胞:ホルモングルカゴンを産生するアルファ-2細胞;ホルモンインスリンを製造するβ細胞(本明細書では“膵β細胞”とも呼ばれる);および制御因子ソマトスタチンを産生するアルファ-1細胞を含有する幹細胞由来の島細胞であることができる。
【0133】
[0139] 細胞は、成熟細胞であることができる。細胞は、インビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示すことができる。細胞は、インビボGSIS応答を示すことができる。細胞は、インビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示すことができる。細胞は、インビトロおよびインビボグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示すことができる。細胞は、少なくとも1回のグルコース負荷に対してGSIS応答を示すことができる。細胞は、少なくとも2回の連続したグルコース負荷に対してGSIS応答を示すことができる。細胞は、少なくとも3回の連続したグルコース負荷に対してGSIS応答を示すことができる。GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物中に移植した際にすぐに観察されることができる。GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物に移植しておおよそ24時間以内に観察されることができる。GSIS応答は、細胞をヒトまたは動物中に移植しておおよそ2週間以内に観察されることができる。
【0134】
[0140] 細胞は、幹細胞由来β細胞であることができる。細胞は、非天然膵β細胞であることができる。幹細胞由来β細胞は、非天然であることができる。本明細書中で使用される場合、“非天然”は、その細胞が天然に存在する細胞(例えば天然β細胞)と特定の側面(例えば遺伝子発現プロフィール)において著しく異なっていることを意味する。例えば、非天然膵β細胞は、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しない可能性がある。
【0135】
[0141] それは、a)i)グルカゴン(GCG)およびii)ソマトスタチン(SST)からなる群から選択されるホルモン;b)i)アミラーゼおよびii)カルボキシペプターゼA(CPA1)からなる群から選択される腺房細胞マーカー、c)i)GCG、Arx、Irx1およびIrx2からなる群から選択されるα細胞マーカー、d)i)CFTRおよびii)Sox9からなる群から選択される腺管細胞マーカーからなる群から選択される少なくとも1種類のマーカー(例えば内因性成熟膵β細胞によって発現されないマーカー)を発現しない可能性がある。本発明は、細胞が由来する出発細胞によって限定されることを意図しないため、細胞は、あらゆる出発細胞からインビトロで分化させられ得る。典型的な出発細胞は、限定ではなく、インスリン陽性内分泌細胞またはそのあらゆる前駆細胞、例えばNkx6-1陽性膵前駆細胞、Pdx1陽性膵前駆細胞ならびに多能性幹細胞、胚性幹細胞および誘導多能性幹細胞を含む。細胞は、再プログラムされた細胞、部分的に再プログラムされた細胞(すなわち体細胞、例えば誘導多能性細胞およびそれが由来する体細胞の間の中間状態でそれが存在するように部分的に再プログラムされた線維芽細胞)またはトランス分化細胞(transdifferentiated cell)からインビトロで分化させられることができる。細胞は、インビトロでインスリン陽性内分泌細胞またはその前駆細胞から分化させられることができる。細胞は、Nkx6-1陽性膵前駆細胞、Pdx1陽性膵前駆細胞および多能性幹細胞からなる群から選択される前駆細胞からインビトロで分化させられることができる。多能性幹細胞は、胚性幹細胞および誘導多能性幹細胞からなる群から選択されることができる。細胞またはその細胞が由来する多能性幹細胞は、ヒト細胞である。
【0136】
[0142] 細胞は、外分泌細胞(例えば外分泌腺、すなわち管を介してその分泌を放出する腺の細胞)であることができる。細胞は、膵臓細胞であることができ、それは、小腸中に分泌される酵素を産生する膵臓細胞であることができる。これらの酵素は、食物を、それが胃腸管を通過する際に消化するのを助けることができる。膵臓細胞は、2種類のホルモン(インスリンおよびグルカゴン)を分泌することができる。膵臓細胞は、いくつかの細胞型の1種類であることができる:アルファ-2細胞(それは、ホルモングルカゴンを産生し得る);またはβ細胞(それは、ホルモンインスリンを製造し得る);およびアルファ-1細胞(それは、制御因子ソマトスタチンを産生し得る)。非インスリン産生細胞は、アルファ-2細胞またはアルファ-1細胞であることができる。膵臓細胞は、膵臓外分泌細胞であることができる。膵臓細胞は、膵臓内分泌細胞であることができ、それは、ホルモン(例えばインスリン(β細胞から産生される)、グルカゴン(アルファ-2細胞によって産生される)、ソマトスタチン(デルタ細胞によって産生される)および血流中に分泌される膵臓ポリペプチド(F細胞によって産生される)を産生する膵臓細胞を指す。
【0137】
[0143] 本明細書で開示される細胞は、ホルモン分泌細胞であることができる。ホルモン分泌細胞は、アルファ細胞、ベータ細胞、副腎皮質刺激細胞、デルタ細胞、胃主細胞、向生殖腺細胞、乳腺刺激細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺主細胞、体泌乳刺激細胞(somatomammotrophic cells)、成長促進細胞(somatotropic cells)または甲状腺刺激細胞であることができる。一例では、ホルモン分泌細胞は、実施例7に記載の幹細胞由来ベータ細胞および/またはインスリン分泌細胞であることができる。別の例において、ホルモン分泌細胞は、実施例13において記載されるように、副甲状腺ホルモンを分泌する細胞であることができる。
【0138】
[0144] 細胞から分泌されるホルモンは、アミノ酸由来のホルモン(例えばエピネフリン、メラトニン、トリヨードチロニンおよびチロキシン)、エイコサノイド(例えばプロスタグランジン類、ロイコトリエン類、プロスタサイクリンおよびセロシス(therocis))、ペプチドホルモン(例えばアミリン、カルシトニン、エンケファリン、エリスロポエチン、ガラニン、グルカゴン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、レニン、ソマトスタチンおよび血管作動性腸ペプチド)またはステロイド(例えばアンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲストーゲンおよびセコステロイド)であることができる。
【0139】
[0145] 本明細書で開示される細胞は、酵素分泌細胞であることができる。酵素分泌細胞は、膵臓細胞であることができる。酵素分泌細胞は、プロテアーゼ(例えばトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン)、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼを分泌することができる。酵素分泌細胞は、プロ酵素、例えばアンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ類、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼ類も分泌し得る。
【0140】
[0146] 細胞は、体積1μLあたり約104~約106細胞で膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)内に封入されることができ、ここで、体積は、製造されたデバイス内の管腔体積を指すことができる。例えば、体積または管腔体積は、デバイスが収容することができる細胞体積の量であることができる。ある場合には、細胞は、1μLあたり約4×106~約1×109細胞で膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)内に封入され得る。ある場合には、細胞は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)内に、1μLあたり約4×106~約5×106、約5×106~約6×106、約6×106~約7×106、約7×106~約8×106、約8×106~約9×106、約9×106~約1×107、約1×107~約2×107、約2×107~約3×107、約3×107~約4×107、約4×107~約5×107、約5×107~約6×107、約6×107~約7×107、約7×107~約8×107、約8×107~約9×107、約9×107~約1×108、約1×108~約2×108、約2×108~約3×108、約3×108~約4×108、約4×108~約5×108、約5×108~約6×108、約6×108~約7×108、約7×108~約8×108、約8×108~約9×108または約9×108~約1×109細胞で封入され得る。
【0141】
[0147] 薬物。直接的な療法的利益を付与する療法剤は、小分子、ペプチド、タンパク質またはそれらのあらゆる組み合わせのような薬物を含むことができる。これらの薬物は、プロドラッグとして封入されることもでき、それは、架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)から放出されてそれらの活性な療法的形態になった後に代謝される。これらの薬物は、親水性薬物を含む様々な生理化学的特性の療法剤またはそれらのあらゆる組み合わせを含むことができる。疎水性薬物は、最初のポリマー溶液に含まれることができ、それは、続いて電界紡糸される。親水性薬物は、微細化された微粒子の形成で封入されることができ、または膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)内に組み込まれる。薬物は、バイオコンジュゲーション化学を用いて機能性ポリマー上の反応性基にコンジュゲートされることもできる。薬物は、ポリマーが電界紡糸の前に溶解される溶媒と異なるが混和性である溶媒に溶解または懸濁されることができる。薬物は、ポリマーが電界紡糸の前に溶解される溶媒と異なり、かつ混和性ではない溶媒中で溶解または懸濁されることもできる。あるいは、薬物は、ポリマーが電界紡糸の前に溶解される溶媒と同じ溶媒中で溶解または懸濁されることもできる。
【0142】
[0148] 薬物は、約0.01mg薬物/mgポリマー~約0.5mg薬物/mgポリマー、約0.01mg薬物/mgポリマー~約0.05mg薬物/mgポリマー、約0.05mg薬物/mgポリマー~約0.1mg薬物/mgポリマー、約0.1mg薬物/mgポリマー~約0.15mg薬物/mgポリマー、約0.15mg薬物/mgポリマー~約0.2mg薬物/mgポリマー、約0.2mg薬物/mgポリマー~約0.25mg薬物/mgポリマー、約0.25mg薬物/mgポリマー~約0.3mg薬物/mgポリマー、約0.3mg薬物/mgポリマー~約0.35mg薬物/mgポリマー、約0.35mg薬物/mgポリマー~約0.4mg薬物/mgポリマー、約0.4mg薬物/mgポリマー~約0.45mg薬物/mgポリマーまたは約0.45mg薬物/mgポリマー~約0.5mg薬物/mgポリマーで膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に存在することができる。例えば、薬物は、約0.01mg薬物/mgポリマー~約0.05mg薬物/mgポリマーまたは0.05mg薬物/mgポリマー~0.1mg薬物/mgポリマーで膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)中に存在することができる。薬物は、分子量が10kDa未満であることができる。本開示の療法剤は、抗線維症剤、抗炎症剤、血管新生促進剤、親水化剤、抗酸化剤、マクロファージ阻害剤、細胞毒性薬物、化学療法用薬物またはそれらのあらゆる組み合わせを含むことができる。本開示の特定の療法剤は、インスリンを含むことができる。
【0143】
[0149] ある態様において、薬物は、組換え成長因子、サイトカイン、抗炎症剤、標的化療法、補助剤またはそれらのあらゆる組み合わせを含む。ある態様において、薬物は、GM-CSF、G-CSF、PDGF、BMP-2、bFGF、VEGF、SDF1、CXCL12、BMP-7、グレリン、トシリズマブ、抗IL-5R、インフリキシマブ等、抗TNFα、ステロイド類、アナキンラ、IL-1RAntag、カナキヌマブ、抗IL1β、イキセキズマブ、抗IL17A、リツキシマブ、抗CD20、オクレリズマブ、アバタセプト、ベラタセプト、CTLA4-Ig、アレファセプト、LFA3-Ig、アレムツズマブ、抗CD52、ATG、ナタリズマブ、抗α4-インテグリン、ルキソリチニブ、トファシチニブ、JAK阻害剤、レスベラトロール、クロドロネート、GW2580、BLZ945、NPFF、シロスタゾール、ピルフェニドン、ザフィルルカスト、アスピリン、アプレミラスト、ファモチジン、セチリジン、シロスタゾール、ザフィルルカスト、アプレミラスト、アスピリンまたはそれらのあらゆる組み合わせを含む。薬物は、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間または少なくとも6ヶ月間膜から放出され得る。
【0144】
[0150] 薬物送達は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)上/中への薬物のコーティング、包埋および/または封入の1以上により達成され得る。薬物コーティングは、薬物を膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)と共にインキュベートすることによって達成され得る。ある態様において、薬物は、電界紡糸後に膜と共にインキュベートされる。ある態様において、繊維および溶媒の極性、pH、イオン強度の少なくとも1つが、薬物の吸着を可能にすることができる。薬物包埋は、ポリマー溶液中に薬物を溶解させることによって達成され得る。薬物封入は、ポリマー溶液の調製の間に不均一なプロセス(例えば2相系の同軸またはエマルジョン電界紡糸)を通してポリマー溶液中に薬物を溶解させることによって達成され得る。ある態様において、薬物は、電界紡糸の前にポリマー溶液に溶解される。
【0145】
疾患の処置
[0151] 本開示の架橋された機能性膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)を含む本明細書で開示される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、それを必要とする対象に療法的利益を与えるために利用されることができる。それを必要とする対象は、慢性疾患のような病気を有することができる。本明細書で開示される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)で処置され得る慢性疾患は、糖尿病を含み得る。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、対象において皮下、臓器実質中、腹腔中または筋内に移植され得る。
【0146】
[0152] それを必要とする対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類であることができる。それを必要とする対象は、マウス、ラット、ウサギおよびブタを含む他の動物であることもできる。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、それを必要とする対象中に移植されることができ、そして1日より長い、2日より長い、3日より長い、4日より長い、5日より長い、6日より長い、1週より長い、2週より長い、3週より長い、1ヶ月より長い、2ヶ月より長い、3ヶ月より長い、4ヶ月より長い、5ヶ月より長い、または6ヶ月より長い期間の間使用者中に留まるように設計されることができる。
【0147】
[0153] 本明細書で開示される膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、療法的利益のために対象における移植以外の目的のために使用されることもできる。例えば、これらの膜は、濾過デバイスもしくは材料の取り扱いにおいて、または移植前に細胞が播種されることができる未装填の細胞の足場として使用されることができる。他の適用は、網膜下インプラント支持体、創傷治癒マトリックス、組織培養支持体、組織充填剤または包帯を含み得る。
【実施例】
【0148】
[0154] 本発明は、以下の非制限的な実施例によりさらに説明される。
実施例1
膜の製造
[0155] この実施例は、膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)の製造を記載する。膜製作プロセスは、6cmの直径を有する500rpmで動作する回転ドラムコレクターから5~17cm間隔を空けられた19ゲージ針を有する単一エミッターからなる環境制御電界紡糸装置(EC-CLI、IME Technologies)を使用して実施された。ポリマー溶液(6%w/v)を、湿度50%において23℃で、16.7μL/分の流速で0.8mm PTFE管を通過させてエミッター中に入れた。エミッターを15kV~18kVに設定し、収集ドラムを-4kVに保った。ファイバー形成が成功した後、エミッターのx軸並進ステージを、100mm/sの速度およびエッジにおける200msの遅延で、繰り返し線形パターンに設定した。並進ステージの起動後の総収集時間は、140分であった。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、パターン化された構造上に収集されることもできる。
【0149】
[0156] ポリマー溶液は、ベースポリマー、機能性ポリマーおよび/または架橋剤を含む。ベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLおよび/またはPLLAを含む。機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAおよび/またはTEGDAを含む。架橋開始剤は、光開始剤、熱開始剤および/または遷移金属を含む。
【0150】
実施例2
様々な直径のPAN膜
[0157] この実施例は、走査型電子顕微鏡法および様々な直径のPAN膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)からのタンパク質の累積放出を記載する。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、実施例1に従って製造された。PANポリマーを6%(w/v)PANポリマー溶液で電界紡糸した。結果として得られた電界紡糸ポリマー膜中のフィラメントの直径を、ポリマー濃度および電圧を制御することによって変化させた。表1は、ポリマー溶液濃度(w/v)、正および負の電圧設定(kV)、供給速度、距離および電界紡糸の時間を含む、直径540nm、325nmおよび202nmの繊維フィラメントを有する50μm厚のポリマー膜を得るために使用される電界紡糸パラメーターを示す。
【0151】
【0152】
[0158] 電界紡糸ポリマー膜を50μmの厚さに紡糸した。8kVでの走査型電子顕微鏡法(SEM)による可視化のために、電界紡糸膜をパラジウム-金複合体でコートした。放出研究は、フランツ細胞拡散装置を用いて実施した。簡潔には、膜を2つの流体チャンバーの間に取り付けた。FITC-デキストランをモデル薬物として使用し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液を放出媒体として使用した。放出媒体の分割量を様々な時点で採取し、拡散したFITC-デキストランを蛍光強度に基づいて定量化した。
【0153】
[0159]
図1は、PANベースポリマーから作られた電界紡糸ポリマー膜を図説する。
図1Aは、異なる直径のフィラメントを得るために電界紡糸されたPANベースポリマーの走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を図説する。上の列は、電界紡糸ポリマー膜を1500倍の倍率で示し、下の列は、電界紡糸ポリマー膜を5000倍の倍率で示す。
図1Bは、540nmのフィラメント径、325nmのフィラメント径および202nmのフィラメント径を有する電界紡糸ポリマー膜中の4kDaのFITC-デキストラン分子の時間経過に伴う累積放出を図説する。
【0154】
[0160] SEM画像は、繊維を紡糸して異なる直径のフィラメントを得ることができることを示す。フィラメント径が増大するにつれて、4kDaのFITC-デキストラン分子のバースト放出が増大した。
【0155】
実施例3
PAN電界紡糸ポリマー膜からのタンパク質放出
[0161] この実施例は、PAN電界紡糸ポリマー膜からの異なる分子量のタンパク質の放出を記載する。電界紡糸ポリマー膜を実施例1に従って製造した。PANポリマーを6%(w/v)ポリマー溶液中で電界紡糸した。放出試験を、上で実施例2において記載したように実施した。
【0156】
[0162]
図2は、540nmフィラメント径または202nmフィラメント径を与えるように電界紡糸されたベースポリマーブレンドからの4kDaのFITC-デキストラン分子および500kDaのFITC-デキストラン分子の拡散を図説する。
図2Aは、4kDaのFITC-デキストラン分子および500kDaのFITC-デキストラン分子の、電界紡糸されて直径540nmのフィラメントを有する厚さ100ミクロンの膜になったベースポリマーブレンドからの30分および60分の時点での拡散を図説する。
図2Bは、4kDaのFITC-デキストラン分子および500kDaのX部分の、電界紡糸されて直径202nmのフィラメントを有する厚さ100ミクロンの膜になったベースポリマーブレンドからの30分および60分の時点での拡散を図説する。PAN電界紡糸膜は、流束に関して500kDaの分子に対して4kDaの分子の良好な選択性を示した。これらの膜は、4kDaのFITC-デキストランに対して透過性であったが、500kDaのFITC-デキストランに対してはそれほど透過性ではなかった。
図3は、様々なポリマー膜における4kDaおよび500kDa部分の拡散係数ならびに本開示の架橋されていない電界紡糸ポリマー膜および架橋された電界紡糸ポリマー膜における4kDa部分の流束を図説する。
図3Aは、態様に従うBiopore ePTFE膜と比較したポリ(アクリロニトリル)(PAN)から製作された電界紡糸ポリマー膜の拡散係数を図説する。商業的に入手可能な膜(Biopore ePTFE)と比較して、この実施例の高流束電界紡糸ポリマー膜は、4kDaタンパク質の特に高い流動を示す一方で150kDaタンパク質の拡散を制限する。
図3Bは、実施例1および実施例2で述べられた方法を用いて合成された、ある範囲の架橋されていない電界紡糸膜および架橋された電界紡糸膜における4kDaのFITC-デキストランの流束を図説する。
【0157】
実施例4
マウスに移植された電界紡糸ポリマー膜の組織学的分析
[0163] この実施例は、マウスに移植された電界紡糸ポリマー膜の組織学的分析を記載する。PAN電界紡糸ポリマー膜を実施例1に従って製造した。PANポリマーを6%(w/v)ポリマー溶液中で溶解させ、実施例2で記載したように電界紡糸した。電界紡糸ポリマー膜を、NOD scidガンマ(NSG)マウスの精巣上体脂肪パッド中に60日間移植した。マウスを安楽死させ、電界紡糸ポリマー膜を含有する組織を剖検し、切片を作製し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。
【0158】
[0164]
図4は、細胞を装填された本開示のPAN電界紡糸ポリマー膜を精巣上体脂肪パッドに移植されたマウスからのヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色組織切片の顕微鏡写真を図説する。
図4Aは、細胞を装填された電界紡糸ポリマー膜からの平面デバイス構造を移植されたマウスの精巣上体脂肪パッドを図説する。
図4Bは、マウスの精巣上体脂肪パッド中に移植された後の、電界紡糸ポリマー膜の壁の中への宿主細胞の進入を図説する。これらの研究は、膜中に封入された細胞はポリマーネットワークから出て拡散することができることを示した。これらの結果は、電界紡糸ポリマー膜が細胞移動を可能にするように設計され得ることを実証した。電界紡糸ポリマー膜は、例えば機能性電界紡糸ポリマーを架橋することにより細胞移動を防止するように設計されることもできる。
【0159】
実施例5
電界紡糸ポリマー膜の機械的強度
[0165] この実施例は、電界紡糸ポリマー膜の機械的強度を記載する。電界紡糸ポリマー膜を実施例1に従って製造した。エチレンカーボネート:PANおよびPAN:PEGの様々な配合物を、6%(w/v)ポリマー溶液中で電界紡糸した。引張特性は、所与の大きさの膜の細片を制御された方法の下で延伸することによって測定された。
【0160】
[0166]
図5は、電界紡糸ポリマー膜から製作された平面デバイスの破裂強度を測定するために使用される試験システムを図説する。
図6は、本開示の様々な電界紡糸ポリマー膜の破裂分析を図説する。
図6Aは、以下の電界紡糸ポリマー膜組成物:1%のエチレンカーボネート:PAN、1:1のPEG:PAN、1:2.5のPEG:PAN、1:5のPEG:PANおよび1:10のPEG:PANに関して電界紡糸ポリマー膜が破裂する圧力(psi)を図説する。
図6Bは、以下の電界紡糸ポリマー膜組成物:1:1 PEG:PAN、1:2.5 PEG:PAN、1:5 PEG:PANおよび1:10 PEG:PANに関して電界紡糸ポリマー膜によって耐えられる、Flexion機器を使用してASTM D790-03に従って測定された最大負荷(mN)を図説する。最大負荷機械的試験は、ASTM D790法を用いて行った。1:10のPEG:PAN電界紡糸ポリマー膜は、1%のエチレンカーボネート:PA膜および他の試験されたPAN:PEG電界紡糸ポリマー膜と比較して、最高の破裂圧力および最高の最大負荷に耐えた。
【0161】
実施例6
架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜の製造および試験
[0167] この実施例は、本開示の架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜の製造および試験を記載する。電界紡糸ポリマー膜を実施例1に従って製造した。PEGMA:PANポリマーを、6%(w/v)ポリマー溶液中で1:1~1:10の比のPEGMA:PANで電界紡糸した。SEMおよび放出試験のための膜の調製は、上記で実施例2において記載されている。別に、PAN:PEGMAポリマーを、2%TEGDAを含む6%(w/v)ポリマー溶液中で電界紡糸した。電界紡糸ポリマー膜を収集した後、膜をUV光下で照射して架橋を開始し、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を得た。UV曝露を、UV架橋剤を用いて実施し、それは、上から照らすUVランプを有する密閉チャンバーである。光開始剤は、1%の濃度で存在し、UV曝露は、10分間実施される。
【0162】
[0168]
図7は、本開示の架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を図説する。
図7Aは、1:5の比のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)からなる架橋されていない電界紡糸ポリマー膜のSEM画像を図説する。
図7Aは、
図7Bにおけるものと同じであるがUV架橋されていなかった電界紡糸膜を示す。
図7Bは、1:5の比のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)からなるUV架橋された電界紡糸ポリマー膜のSEM画像を図説しており、ここで、2%TEGDAがUV架橋段階で導入された。電界紡糸膜を、2%TEGDAおよびUV開始剤であるジメトキシアセトフェノンの溶液に浸漬し、架橋のためにUV光に曝露した。
図7Cは、1:10のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)、1:5のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)、2%TEGDA(0.3kDa)を用いた1:10のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)および2%TEGDA(0.3kDa)を用いた1:10のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)を含む本開示の電界紡糸ポリマー膜からの4kDaのFITC-デキストラン分子の時間経過に伴う累積放出を示す。SEM画像は、架橋後のポリマーネットワークの超微細構造における変化を確認した。例えば、多孔性が架橋後に低減することがSEM画像において視覚的に観察された。放出実験は、電界紡糸ポリマー膜(1:10 PEGMA:PAN)中のPEGMAの量の増大が電界紡糸ポリマー膜からの4kDaのFITC-デキストラン分子のバースト放出を減弱させることを示した。放出実験は、電界紡糸ポリマー膜の架橋が電界紡糸ポリマー膜からの4kDaのFITC-デキストラン分子のバースト放出をさらに減弱させることも示した。
【0163】
[0169] 減衰全反射-FTIR(ATR-FTIR)を32スキャンで用いた。
図8は、電界紡糸後のベースポリマーおよび機能性ポリマーの架橋を図説する。
図8Aは、PEGMA自体を光開始剤でUV架橋して機能性電界紡糸ポリマー膜を提供することができることを図説する。あるいは、PEGMAを架橋剤TEGDAでUV架橋して架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を得ることができる。
図8Bは、架橋時のPEGMAポリマーにおけるC=C結合からC-C結合への移行を示すフーリエ変換赤外分光法(FTIR)の結果を図説する。これらの結果は、化学的架橋がUV曝露され架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜において生じることを確証した。
【0164】
[0170] 引張強度およびヤング率の値は、プラスチックの引張特性に関するASTM-882 02標準試験法を用いてインストロン引張を用いて測定された。放出試験は、上で実施例2において記載されたように実施された。
図9は、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜の引張特性および透過性を図説する。
図9Aは、TEGDAを用いない1:5のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)および2%(w/v)TEGDAを用いた1:5のPEGMA(480Da):PAN(150kDa)ならびにTEGDAを用いない1:5のPEGMA(480Da):PAN(150kDa)および2%(w/v)TEGDAを用いた1:5のPEGMA(480Da):PAN(150kDa)の引張強度(MPa)を図説する。
図9Bは、TEGDAを用いない1:5のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)および2%(w/v)TEGDAを用いた1:5のPEGMA(2kDa):PAN(150kDa)ならびにTEGDAを用いない1:5のPEGMA(480Da):PAN(150kDa)および2%(w/v)TEGDAを用いた1:5のPEGMA(480Da):PAN(150kDa)のヤング率(MPa)を図説する。
図9Cは、2%(w/v)TEGDAを用いた、および用いない架橋された電界紡糸膜中の150kDa PANおよび2kDaまたは480Da PEGMAの様々な配合物に関する時間の経過にわたる4kDaのFITC-デキストラン分子の累積放出を図説する。
【0165】
[0171] 引張強度は、TEGDAを用いた架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜において増大し、1:5 PAN(150kDa):PEGMA(2kDa)および1:5 PAN(150kDa):PEGMA(480Da)の両方に関してほぼ同じであった。TEGDA架橋剤なしでは、PEGMAの分子量が低減するにつれてPAN:PEGMA電界紡糸ポリマー膜の引張強度が低下した。ヤング率は、1:5 PAN(150kDa):PEGMA(2kDa)におけるTEGDAを用いた架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜において非常にわずかに増大し、ヤング率は、1:5 PAN(150kDa):PEGMA(480Da)におけるTEGDAを用いた架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜において有意に増大した。TEGDA架橋剤なしでは、PEGMAの分子量が低減するにつれてPAN:PEGMA電界紡糸ポリマー膜のヤング率が低下した。放出実験は、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜中のTEGDA架橋剤の含有が4kDaのFITC-デキストランの放出を減弱させることを示した。TEGDAを用いない電界紡糸ポリマー膜中のPEGMAの量の増大は、FITC-デキストランの放出を増大させた。TEGDAで架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜において、PEGMAの分子量の減少は、FITC-デキストランの放出を減弱させた。
【0166】
[0172]
図10は、2%(w/v)TEGDAを用いない、および用いたUV架橋後の機能性電界紡糸ポリマー膜の超微細構造を示すSEM画像を図説する。電界紡糸ポリマー膜は、1:5 PEGMA(2kDa):PAN(150kDa)および1:5 PEGMA(480Da):PAN(150kDa)で構成されていた。SEM画像は、TEGDAを用いない、および2%TEGDAを用いた電界紡糸ポリマー膜における架橋後のオーバーコーティングの変化を示す。多孔性は、480DaのPEGMAを含有し、2%TEGDAを用いて架橋された膜に関して、サイズがより小さいことがSEM画像で視覚的に観察された。
【0167】
実施例7
架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜におけるインスリン分泌細胞送達
[0173] この実施例は、架橋された機能的電界紡糸ポリマー膜におけるインスリン分泌細胞の送達を記載する。膜(例えば電界紡糸ポリマー膜)は、実施例1に従って製造される。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、適切な厚さの機能性電界紡糸ポリマー膜を得るための技術を用いて電界紡糸される。ベースポリマーは、PANおよびPEGMAを含み、架橋剤は、TEGDAを含み、光開始剤は、ジメトキシアセトフェノンを含む。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、本明細書で記載されたポリマーおよび化合物のいずれであることもできる。機能性電界紡糸ポリマー膜をUV光で架橋して、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を得る。細胞は、電界紡糸前のポリマー溶液中への組み込みにより架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜中に装填され、または架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜上にまかれる。細胞は、幹細胞、例えばインスリンを発現するように操作された幹細胞由来ベータ細胞である。
【0168】
実施例8
架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜における薬物送達
[0174] この実施例は、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜における薬物の送達を記載する。電界紡糸ポリマー膜は、実施例1に従って製造される。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、適切な厚さの機能性電界紡糸ポリマー膜を得るための技法を用いて電界紡糸される。ベースポリマーは、PANおよびPEGMAを含み、架橋剤は、TEGDAを含み、光開始剤は、ジメトキシアセトフェノンを含む。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、本明細書で記載されたポリマーおよび化合物のいずれであることもできる。機能性電界紡糸ポリマー膜をUV光で架橋して、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を得る。薬物は、電界紡糸前のポリマー溶液中への組み込みにより架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜中に装填され、または架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜上にまかれる。薬物は、小分子、例えば疎水性薬物もしくは親水性薬物、または生物学的物質、例えばペプチドもしくはタンパク質を含む。特定の薬物は、免疫反応抑制剤または酸素生成試薬を含む。
【0169】
実施例9
糖尿病の処置
[0175] この実施例は、それを必要とする対象における糖尿病の処置を記載する。本開示のあらゆる架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜は、実施例1に従って製造される。細胞または薬物を、実施例7および実施例8で記載されたように、架橋された機能的電界紡糸ポリマー膜に装填する。細胞は、インスリンを発現するように操作された幹細胞由来ベータ細胞である。薬物は、インスリンタンパク質である。これらの細胞または薬物を装填された架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を、それを必要とする対象中に移植する。対象は、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはヒトのようなあらゆる動物である。それを必要とする対象は、病気を有する。病気は、糖尿病である。膜を移植すると、糖尿病の状態が改善される。膜は、6~36ヶ月までの間インスリンの放出によって糖尿病の状態を管理する。
【0170】
実施例10
平行フィラメントを有する電界紡糸ポリマー膜の製造
[0176] この実施例は、平行フィラメントを有する機能性電界紡糸ポリマーの製造を記載する。電界紡糸膜製作プロセスは、直径6cmを有する500rpmで作動する回転ドラムコレクターから5~17cm間隔を空けられた19ゲージ針を有する単一エミッターからなる環境制御電界紡糸装置(EC-CLI、IME Technologies)を使用して実施された。ポリマー溶液(6%w/v)を、湿度50%において23℃で、16.7μL/分の流速で0.8mm PTFE管を通過させてエミッター中に入れた。エミッターを15kV~18kVに設定し、収集ドラムを-4kVに保った。ファイバー形成が成功した後、エミッターのx軸並進ステージを、100mm/sの速度およびエッジにおける200msの遅延で、繰り返し線形パターンに設定した。並進ステージの起動後の総収集期間は、140分であった。電界紡糸ポリマー膜は、パターン化された構造上に収集されることもできる。
【0171】
[0177] ポリマー溶液は、ベースポリマー、機能性ポリマーおよび/または架橋剤を含む。ベースポリマーは、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLおよび/またはPLLAを含む。機能性ポリマーは、PEG、PEGMA、PEGDAおよび/またはTEGDAを含む。架橋開始剤は、光開始剤、熱開始剤および/または遷移金属を含む。
【0172】
[0178] 平行フィラメント形成は、走査型電子顕微鏡法によってy軸配向を参照して電界紡糸膜中のフィラメントの代表的な試料の角度を測定することによって保証されるであろう。これは、1,000×の倍率で少なくとも100フィラメントの試料サイズで行われる。
【0173】
実施例11
架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜における細胞送達
[0179] この実施例は、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜における細胞の送達を記載する。電界紡糸ポリマー膜は、実施例1に従って製造される。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、適切な厚さの機能性電界紡糸ポリマー膜を得るための技術を用いて電界紡糸される。ベースポリマーは、PANおよびPEGMAを含み、架橋剤は、TEGDAを含み、光開始剤は、ジメトキシアセトフェノンを含む。ベースポリマー、架橋剤および光開始剤は、本明細書で記載されたポリマーおよび化合物のいずれであることもできる。機能性電界紡糸ポリマー膜をUV光で架橋して、架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜を得る。細胞は、電界紡糸前のポリマー溶液中への組み込みにより架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜中に装填され、または架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜上にまかれる。細胞は、副甲状腺細胞、網膜色素上皮または心筋細胞である。
【0174】
実施例12
虚血性創傷の処置
[0180] この実施例は、それを必要とする対象における虚血性創傷の処置を記載する。本開示のあらゆる架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜は、実施例1に従って製造される。細胞または薬物を、実施例7および実施例8において記載されたように、架橋された機能的電界紡糸ポリマー膜中に装填する。細胞は、虚血性創傷を処置するための適切な薬物、例えば血小板由来成長因子(PDGF)、結合組織成長因子(CTGF)、肝細胞成長因子(HGF)、幹細胞因子(SCF)、インスリン様成長因子(IGF-I)、形質転換成長因子ベータ-1(TGF-B1)等を発現するように操作される。これらの細胞または薬物を装填された架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜は、それを必要とする対象中に移植される。対象は、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはヒトのようなあらゆる動物である。それを必要とする対象は、病気を有する。病気は、虚血性創傷である。膜を移植すると、虚血性創傷状態は、改善される。
【0175】
実施例13
副甲状腺機能低下症の処置
[0181] この実施例は、それを必要とする対象における副甲状腺機能低下症の処置を記載する。本開示のあらゆる架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜は、実施例1に従って製造される。細胞または薬物を、実施例7および実施例8において記載されたように、架橋された機能的電界紡糸ポリマー膜中に装填する。細胞は、副甲状腺機能低下症を処置するための適切な薬物、すなわち副甲状腺ホルモンを発現または分泌するように操作される。これらの細胞または薬物を装填された架橋された機能性電界紡糸ポリマー膜は、それを必要とする対象中に移植される。対象は、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはヒトのようなあらゆる動物である。それを必要とする対象は、病気を有する。病気は、副甲状腺機能低下症である。膜を移植すると、副甲状腺機能低下症状態は、改善される。
【0176】
[0182] 本発明の好ましい態様が、本明細書で示され、記載されたが、そのような態様は例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。数多くのバリエーション、変更および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく当業者には思い浮かぶであろう。本明細書で記載された本発明の態様に対する様々な代替物が本発明の実施において利用され得ることは、理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範囲を定めることならびにこれらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれによりカバーされることが、意図されている。本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]膜および非天然膵β細胞の集団を含むデバイスであって、
ここで、前記の非天然膵β細胞は、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示し、
ここで、前記の膜は、約2以上の
【化9-1】
比を含み、ここで、D
firstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、D
secondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第1分子量に対する前記の第2分子量の比は、約10以上であるデバイス。
[2][1]に記載のデバイスであって、前記の非天然膵β細胞が前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[3][1]または[2]に記載のデバイスであって、前記の非天然膵β細胞が、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しないデバイス。
[4][1]~[3]のいずれかに記載のデバイスであって、前記のデバイスが、対象中に移植された際にインスリンを産生し、放出するように設計されているデバイス。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の非天然膵β細胞が、体積1μLあたり約10
4~約10
6細胞の範囲で前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、前記の非天然膵β細胞の通過を遮断するように設計されているデバイス。
[7]膜および細胞の集団を含むデバイスであって、
ここで、前記の細胞の集団の少なくとも1個の細胞が、第1分子量を含む第1分子を産生し、前記の細胞の集団の少なくとも1個の細胞が、第2分子量を含む第2分子を産生し、
ここで、前記のデバイスは、対象中に移植された際に、前記の第1分子を第1流動速度で放出し、前記の第2分子を第2流動速度で放出するように設計されており、
ここで、前記の第1流動速度は、前記の第2流動速度とは異なり、かつここで、前記の第2分子量に対する前記の第1分子量の比は、約1.0~約5.0であるデバイス。
[8][7]に記載のデバイスであって、前記の第1分子または前記の第2分子が療法剤を含むデバイス。
[9][7]または[8]に記載のデバイスであって、前記の第1分子が、インスリンであるデバイス。
[10][7]~[9]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の第2分子が、グルカゴンであるデバイス。
[11][10]に記載のデバイスであって、前記の第1分子量対前記の第2分子量の前記の比が、約1.6であるデバイス。
[12][7]~[9]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の第2分子が、ソマトスタチンであるデバイス。
[13][12]に記載のデバイスであって、前記の第1分子量対前記の第2分子量の前記の比が、約3.5であるデバイス。
[14][8]~[13]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンまたは酵素であるデバイス。
[15][14]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンであるデバイス。
[16][15]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドであるデバイス。
[17][15]または[16]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択されるデバイス。
[18][14]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、酵素であるデバイス。
[19][18]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼであるデバイス。
[20][18]または[19]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択されるデバイス。
[21][7]~[20]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、ホルモンまたは酵素分泌細胞を含むデバイス。
[22][7]~[21]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、非天然細胞を含むデバイス。
[23][7]~[22]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、幹細胞由来島細胞を含むデバイス。
[24][7]~[23]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、非天然膵β細胞を含むデバイス。
[25][7]~[24]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示すデバイス。
[26][7]~[25]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[27][7]~[26]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しないデバイス。
[28][7]~[27]のいずれかに記載のデバイスであって、前記のデバイスが、前記の対象中に移植された際にインスリンを産生し、放出するように設計されているデバイス。
[29][7]~[28]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、体積1μLあたり約10
4~約10
6細胞の範囲で前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[30][7]~[29]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、前記の細胞の通過を遮断するように設計されているデバイス。
[31]膜および療法剤を含むデバイスであって、
ここで、前記の非天然膵β細胞は、前記のデバイス内に封入されており、
ここで、前記の膜は、約2以上の
【化9-2】
比を含み、ここで、D
firstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、D
secondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第1分子量に対する前記の第2分子量の比は、約10以上であるデバイス。
[32][31]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロドラッグであるデバイス。
[33][31]または[32]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、10kDa未満であるデバイス。
[34][31]~[33]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、小分子であるデバイス。
[35][31]~[33]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、生物学的物質であるデバイス。
[36][35]に記載のデバイスであって、前記の生物学的物質が、ペプチドまたはタンパク質であるデバイス。
[37][31]~[36]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンまたは酵素であるデバイス。
[38][37]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンであるデバイス。
[39][38]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドであるデバイス。
[40][38]または[39]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択されるデバイス。
[41][37]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、酵素であるデバイス。
[42][41]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼであるデバイス。
[43][41]または[42]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択されるデバイス。
[44][31]~[43]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、約0.01mg療法剤/mgポリマー~約0.5mg療法剤/mgポリマーの範囲で存在するデバイス。
[45][31]~[44]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、少なくとも3日間前記の膜から放出されるように設計されているデバイス。
[46][31]~[45]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、疎水性であるデバイス。
[47][31]~[45]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、親水性であるデバイス。
[48][31]~[47]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、微細化された微粒子の形態であるデバイス。
[49]膜を含むデバイスであって、
ここで、前記の膜が、細胞の集団または療法剤の前記の膜への封入を可能にするように設計されたポリマーを含み、
ここで、前記の膜が、以下:
a)約1000nm以下の平均繊維径;
b)約5μm以下の平均孔径;
c)約500μm以下の平均厚さ;
の少なくとも1つを含み、かつここで、前記の膜が、約2以上の
【化9-3】
比を含み、ここで、D
firstは、第1分子量を含む第1分子に関する第1拡散係数であり、D
secondは、第2分子量を含む第2分子に関する第2拡散係数であり、かつここで、前記の第1分子量に対する前記の第2分子量の比が、約10以上であるデバイス。
[50][49]に記載のデバイスであって、前記のポリマーが、前記の細胞の集団の封入を可能にするように設計されているデバイス。
[51][49]~[50]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、ホルモンまたは酵素分泌細胞を含むデバイス。
[52][49]~[51]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、療法剤を分泌するデバイス。
[53][52]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンであるデバイス。
[54][53]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドであるデバイス。
[55][53]または[54]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択されるデバイス。
[56][52]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、酵素であるデバイス。
[57][56]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼであるデバイス。
[58][56]または[57]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択されるデバイス。
[59][49]~[58]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、非天然細胞を含むデバイス。
[60][49]~[59]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、幹細胞由来島細胞を含むデバイス。
[61][49]~[60]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、非天然膵β細胞を含むデバイス。
[62][49]~[61]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示すデバイス。
[63][49]~[62]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[64][49]~[63]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、ソマトスタチン、グルカゴンまたは両方を発現しないデバイス。
[65][49]~[64]のいずれかに記載のデバイスであって、前記のデバイスが、前記の対象中に移植された際にインスリンを産生し、放出するように設計されているデバイス。
[66][49]~[65]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の細胞が、体積1μLあたり約10
4~約10
6細胞の範囲で前記のデバイス内に封入されているデバイス。
[67][49]~[66]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、前記の細胞の通過を遮断するように設計されているデバイス。
[68][49]~[67]のいずれかに記載のデバイスであって、前記のポリマーが、前記の療法剤の封入を可能にするように設計されているデバイス。
[69][68]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロドラッグであるデバイス。
[70][68]または[69]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、10kDa未満であるデバイス。
[71][68]~[70]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、小分子であるデバイス。
[72][68]~[70]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、生物学的物質であるデバイス。
[73][72]に記載のデバイスであって、前記の生物学的物質が、ペプチドまたはタンパク質であるデバイス。
[74][72]~[73]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンまたは酵素であるデバイス。
[75][74]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、ホルモンであるデバイス。
[76][75]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アミノ酸由来ホルモン、エイコサノイド、ペプチドホルモンまたはステロイドであるデバイス。
[77][75]または[76]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、グルカゴン、成長ホルモン、インスリン、膵臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチンおよびグルココルチコイドからなる群から選択されるデバイス。
[78][74]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、酵素であるデバイス。
[79][78]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、ホスホリパーゼA2、リゾホスホリパーゼまたはコレステロールエステラーゼであるデバイス。
[80][78]または[79]に記載のデバイスであって、前記の療法剤が、アンギオテンシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲン、プロカスパーゼ、パシファスチン、プロエラスターゼ、プロリパーゼおよびプロカルボキシポリペプチダーゼからなる群から選択されるデバイス。
[81][68]~[80]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、約0.01mg療法剤/mgポリマー~約0.5mg療法剤/mgポリマーの範囲で存在するデバイス。
[82][68]~[81]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、少なくとも3日間前記の膜から放出されるように設計されているデバイス。
[83][68]~[82]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、疎水性であるデバイス。
[84][68]~[82]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、親水性であるデバイス。
[85][68]~[84]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の療法剤が、微細化された微粒子の形態であるデバイス。
[86][1]~[85]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、約1000nm以下の平均繊維径を含むデバイス。
[87][86]に記載のデバイスであって、前記の平均繊維径が、約800nm以下であるデバイス。
[88][87]に記載のデバイスであって、前記の平均繊維径が、約500nm以下であるデバイス。
[89][1]~[88]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、約5μm以下の平均孔径を含むデバイス。
[90][89]に記載のデバイスであって、前記の平均孔径が、約2μm以下であるデバイス。
[91][90]に記載のデバイスであって、前記の平均孔径が、約1μm以下であるデバイス。
[92][1]~[91]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、約800μm以下の平均厚さを含むデバイス。
[93][92]に記載のデバイスであって、前記の平均厚さが、約500μm以下であるデバイス。
[94][93]に記載のデバイスであって、前記の平均厚さが、約200μm以下であるデバイス。
[95][1]~[94]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の第1分子量が、約10kDa未満であり、前記の第2分子量が、約100kDaより大きいデバイス。
[96][95]に記載のデバイスであって、前記の第1分子量が、約4kDaであり、前記の第2分子量が、約150kDaであるデバイス。
[97][1]~[6]および[31]~[96]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の第1分子が、4kDaのFITC-デキストラン分子であり、前記の第2分子が、500kDaのFITC-デキストラン分子であるデバイス。
[98][1]~[97]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、電界紡糸ポリマー膜であるデバイス。
[99][1]~[98]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、さらにベースポリマーを含むデバイス。
[100][99]に記載のデバイスであって、前記のベースポリマーが、PAN、PET、PLG、PHEMA、PCLまたはPLLAを含むデバイス。
[101][100]に記載のデバイスであって、前記のベースポリマーが、PANであるデバイス。
[102][1]~[101]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、さらに機能性ポリマーを含むデバイス。
[103][102]に記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、PEG、PEGMA、PEGDAまたはTEGDAを含むデバイス。
[104][103]に記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、PEGMAであるデバイス。
[105][103]に記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、TEGDAであるデバイス。
[106][102]~[105]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、反応性官能基を含むデバイス。
[107][106]に記載のデバイスであって、前記の反応性官能基が、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、アミド基、アジド基またはマレイミド基であるデバイス。
[108][102]~[107]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、約400~4000Daの範囲内の分子量を含むデバイス。
[109][102]~[107]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、約480Daの分子量を含むデバイス。
[110][102]~[107]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、約1500~2500Daの範囲内の分子量を含むデバイス。
[111][102]~[107]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の機能性ポリマーが、約2000Daの分子量を含むデバイス。
[112][1]~[111]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の比が、約3以上であるデバイス。
[113][1]~[112]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の比が、約5以上であるデバイス。
[114][1]~[113]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の比が、約10以上であるデバイス。
[115][1]~[114]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、約1MPa以上の引張強度を含むデバイス。
[116][1]~[115]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、約5MPa以上のヤング率を含むデバイス。
[117][1]~[116]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、親水性であるデバイス。
[118][1]~[116]のいずれかに記載のデバイスであって、前記の膜が、疎水性であるデバイス。
[119]病気を処置するための方法であって、以下の工程:
[1]~[118]のいずれかに記載の前記のデバイスを、それを必要とする対象中に配置する;
を含む方法。
[120][119]に記載の方法であって、前記のデバイスが、6ヶ月より長い期間の間前記の対象中に留まるように設計されている方法。
[121][119]または[120]に記載の方法であって、前記の病気が、慢性疾患である方法。
[122][121]に記載の方法であって、前記の慢性疾患が、糖尿病である方法。
[123][119]~[122]のいずれかに記載の方法であって、前記の方法が、さらに6ヶ月より長い前記の期間にわたって前記の対象のインスリンレベルをモニターすることを含む方法。
[124]細胞または療法剤の集団をそれを必要とする対象に送達するためのデバイスを作製する方法であって、以下の工程:
ポリマーを溶媒中で溶解させてポリマー溶液を提供し;
前記のポリマー溶液を用いて繊維を含む膜を形成し;そして
前記の膜を前記のデバイスへと組み立てる;
を含み、ここで、前記のデバイスが、[1]~[118]のいずれかに記載のデバイスである方法。
[125][124]に記載の方法であって、さらに前記の膜を架橋することを含む方法。
[126][125]に記載の方法であって、前記の膜の架橋が、前記の膜を光開始剤の存在下で紫外線(UV)光に曝露させることを含む方法。
[127][126]に記載の方法であって、前記の光開始剤が、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゼントリカルボニルクロム、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン(2,5-dimethylbenzonphenone)、3,4-ジメチルベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、フェロセン、3-ヒドロキシアセトフェノン、4-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メチルベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(2-methyl-4’-(methylthio)-2-morpholinoproiophenone)、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン、チオキサンテン-9-オン、トリアリールスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモネート塩類、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩類またはそれらのあらゆる組み合わせを含む方法。
[128][125]~[127]のいずれかに記載の方法であって、前記の膜の架橋が、前記の膜を熱開始剤の存在下で熱に曝露させることを含む方法。
[129][128]に記載の方法であって、前記の熱開始剤が、過硫酸アンモニア、tert-アミルペルオキシベンゾエート、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-azobissobutyronitrile)、過酸化ベンゾイル、2,2’-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメン、ヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウムまたはそれらのあらゆる組み合わせを含む方法。
[130][125]~[129]のいずれかに記載の方法であって、前記の膜の架橋が、前記の膜を遷移金属に曝露させることを含む方法。
[131][130]に記載の方法であって、前記の遷移金属が、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、鉄またはそれらのあらゆる組み合わせのイオンを含む方法。
[132][125]~[131]のいずれかに記載の方法であって、前記の膜の架橋が、さらに前記の膜を架橋剤に曝露させることを含む方法。
[133][132]に記載の方法であって、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(polyethylene glycol diacralte)、ビス(2-(スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシル)エチル)スルホン、ジ(n-スクシンイミジル)グルタレート、ジスクシンイミジルタルタレート、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジル)プロピオネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、セバシン酸ビス(N-スクシンイミジル)エステル、スベリン酸ビス(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、APN-CHO、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、CBTF、ヨード酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、マレイミド-PEG-スクシンイミジルエステル、マレイミド酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アジピン酸ジヒドラジド、アルキン-PEG-マレイミド、APN-アミン、APN-アジド、APN-BCN、APN-COCl、ビオチン-ベンジル-テトラジン、ビオチン-PEG-TPG、1,11-ジアジド-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ジベンゾシクロオクチン-マレイミド、ジベンゾシクロオクチン-PEG-マレイミド、4-(マレインイミド)フェニルイソシアネート(およそ95%純粋)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド、プロパルギル-N-ヒドロキシルスクシンイミジルエステル、PTAD-アジド、スルホ-NHS-ジアジリン、スルホスクシンイミジル4,4’-アジペンタノエート、4-(N-マレイミド)ベンゾフェノン、4-アジドフェナシルブロミド、5-アジド-2-ニトロ安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(5-azido-2-nitriobenzoic acid N-hydroxy succinimide ester)、スクシンイミジル-[4-(ソラレン-8-イルオキシ)]ブチレート、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステル、1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビス-マレイミドエタン、ジチオ-ビス-マレイミドエタンまたはそれらのあらゆる組合せを含む方法。
[134][124]~[133]のいずれかに記載の方法であって、さらに薬物を前記のポリマー溶液に添加することを含む方法。
[135][124]~[134]のいずれかに記載の方法であって、前記の溶媒が、混和性溶媒である方法。
[136][134]~[135]のいずれかに記載の方法であって、前記の薬物が、疎水性薬物である方法。
[137][134]~[135]のいずれかに記載の方法であって、前記の薬物が、親水性薬物である方法。
[138][134]~[137]のいずれかに記載の方法であって、前記の薬物が、微細化された微粒子の形態である方法。
[139][124]~[138]のいずれかに記載の方法であって、さらに前記のデバイス内に細胞を封入することを含む方法。
[140][124]~[139]のいずれかに記載の方法であって、前記の細胞が、非天然細胞である方法。
[141][124]~[140]のいずれかに記載の方法であって、前記の細胞が、幹細胞由来島細胞である方法。
[142][124]~[141]のいずれかに記載の方法であって、前記の細胞が、グルコース負荷に対してインビトログルコース刺激インスリン分泌(GSIS)反応を示す方法。
[143][124]~[142]のいずれかに記載の方法であって、さらに回転ドラムコレクターを用いて前記の繊維を収集することを含む方法。
[144][124]~[143]のいずれかに記載の方法であって、さらに前記の繊維をパターン化された構造上に収集することを含む方法。
[145][144]に記載の方法であって、前記の膜が、前記のパターン化された構造の形状を含む方法。
[146][124]~[145]のいずれかに記載の方法であって、前記の溶媒が、DMF、アセトン、アセトニトリル、アニリン、酢酸n-ブチル、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジアセトンアルコール、ジ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、ギ酸、グリセロール、メタノール、酢酸メチル、モルホリン、2-ニトロプロパン、1-ペンタノール、n-プロパノール、ピリジン、トリフロロエタノール、テトラヒドロフラン、水またはそれらのあらゆる組み合わせを含む方法。
[147][124]~[146]のいずれかに記載の方法であって、前記のポリマーの前記の溶媒中での溶解が、ベースポリマーおよび機能性ポリマーを前記の溶媒中で溶解させることを含む方法。
[148][147]に記載の方法であって、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーを約1:1(w/w)以下の比で前記の溶媒中で溶解させることを含む方法。
[149][148]に記載の方法であって、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーを約1:5(w/w)以下の比で前記の溶媒中で溶解させることを含む方法。
[150][149]に記載の方法であって、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーを約1:10(w/w)以下の比で前記の溶媒中で溶解させることを含む方法。
[151][150]に記載の方法であって、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーを約1:20(w/w)以下の比で前記の溶媒中で溶解させることを含む方法。
[152][147]~[151]のいずれかに記載の方法であって、前記のベースポリマーおよび前記の機能性ポリマーが、約6重量%対体積パーセントで前記の溶媒と共に存在する方法。
[153][124]~[152]のいずれかに記載の方法であって、前記の膜が、コーティングを含まない方法。