(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】複数の指示周辺機器を同時に管理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
G06F3/041 550
(21)【出願番号】P 2020521587
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2018078792
(87)【国際公開番号】W WO2019077142
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520129920
【氏名又は名称】イマージョン
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION
【住所又は居所原語表記】3 rue Raymond Lavigne 33100 BORDEAUX, France
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】カステ.ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】スメル.ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ケルヴェガン.セドリック
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0319099(US,A1)
【文献】米国特許第05917472(US,A)
【文献】特開2001-084076(JP,A)
【文献】特開2012-234517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指示周辺機器(A、B、C)をコンピュータ・システム(100)の同じ中央装置(90)に接続するためのレコンポーザ(10)において、前記レコンポーザが、
前記指示周辺機器が前記レコンポーザに接続されたとき、前記指示周辺機器が前記中央装置に直接接続されているときに前記中央装置(90)との間で通常交換されるデータを前記指示周辺機器の各々と交換するための入力(11A、11B、11C)
と、
前記レコンポーザが前記中央装置に接続されたときに、前記中央装置(90)とデータを交換するための出力(17)
と、
前記レコンポーザの前記入力(11A、11B、11C)で受信された前記データを、前記レコンポーザから出力されるデータ(17)に変換するように構成されたデジタル処理手段(12、13、15、13C、14C、16)
とを含み、
前記出力データは、単一のアクティブ面(16U)を含む指示周辺機器によって送出されるであろうデータに、内容および構造が準拠しており、
前記出力されるデータ(17)は、各瞬間において、前記単一のアクティブ面(16U)上で、前記指示周辺機器(A、B、C)を用いて実行されるアクションを個々に特徴付け、アクションは、入力(11A、11B、11C)として受信される前記データによって特徴付けら
れ、
且つ、前記デジタル処理手段が、
前記レコンポーザに接続された前記指示周辺機器の各々から入力(11A、11B、11C)として受信された前記データから、可変データのテーブルと、前記指示周辺機器の記述子とを抽出するように構成された少なくとも1つのアナライザ(13、13C)と、
前記レコンポーザに接続された前記指示周辺機器の各々に関連付けられた指示面(16A、16B、16C)の寸法および位置を、前記単一のアクティブ面(16U)の座標系に定義するように構成された少なくとも1つのコンフィギュレータ(16)と、
入力(11A、11B、11C)として受信された前記データの可変データを、前記出力されるデータ(17)の可変データに変換するための少なくとも1つのコントローラ(12)と、
出力される前記データ(17)を、前記レコンポーザ(10)が接続されるべき前記中央装置(90)が備える通信プロトコルに従って構造化するように構成された少なくとも1つのコンディショナ(15)と
を含むことを特徴とするレコンポーザ。
【請求項2】
前記コンフィギュレータ(16)は、前記レコンポーザに接続された指示周辺機器に関連付けられた各指示面(16A、16B、16C)について、前記指示周辺機器に関連付けられた前記アクティブ面に対応するエリア(16A’、16B’、16C’)の単一のアクティブ面(16U)における寸法および位置を、
前記単一のアクティブ面(16U)の座標系に合わせた、前記指示面の座標系において既知の前記指示面の横軸および縦軸の各々のスケーリング、
前記単一のアクティブ面(16U)の座標系における前記指示面の参照点の位置、
により定義する、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項3】
前記レコンポーザの入力(11A、11B、11C)で受信された前記可変データ内で送信される、または前記受信された可変データから前記レコンポーザによって作成される、指示周辺機器(A、B、C)の座標系における指示面(16A、16B、16C)上で指示される点の座標が、前記単一のアクティブ面(16U)の座標系における、前記指示面上で指示された前記点の座標に変換され、前記出力(17)によって送出される前記データの前記可変データに組み込まれる、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項4】
オープン標準、例えばUSB標準および前記USB標準へのHIDオーバーレイ、の要件に合致したデータを、少なくとも1つの入力(11A、11B)で受信するように構成される、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項5】
「独自仕様」プロトコルと呼ばれるクローズドなプロトコルによって定義されるデータを、少なくとも1つの入力(11C)で受信するように構成される、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項6】
前記出力されるデータ(17)が、オープン標準、例えばUSB標準および前記USB標準へのHIDオーバーレイ、の要件に合致している、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項7】
少なくとも1つの入力(11C)は、例えば無線リンクまたは光リンクによりワイヤレス指示周辺機器(C)が接続することが可能なワイヤレス・リンクに対応する、請求項
1に記載のレコンポーザ。
【請求項8】
請求項
1に記載のレコンポーザ(10)を含み、少なくとも2つの指示周辺機器(A、B、C)を含む、アセンブリ。
【請求項9】
少なくとも1つの指示周辺機器(A、B)が、タッチ画面に関連付けられたアクティブ面(16A、16B)を含む、請求項
8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
少なくとも1つの指示周辺機器(C)が、指示面に関連付けられたスタイラスである、請求項
8に記載のアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも1つの指示周辺機器は、指示面上での位置を定義するためにその信号が処理されるスクロール装置である、請求項
8に記載のアセンブリ。
【請求項12】
請求項
8に記載のアセンブリを含むコンピュータ・システムであって、レコンポーザ(10)の出力(17)が、前記コンピュータ・システムの中央装置(90)に接続されている、コンピュータ・システム。
【請求項13】
数個の指示周辺機器(A、B、C)をコンピュータ・システム内の同じ中央装置(90)に接続して、前記指示周辺機器の同時の相互動作性を可能にする方法であって、前記指示周辺機器を、請求項
1に記載のレコンポーザ(10)の入力に接続するステップと、前記レコンポーザに接続された前記指示周辺機器が前記中央装置によって単一のアクティブ面指示周辺機器として見られるように、前記レコンポーザの出力を前記中央装置(90)に接続するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記レコンポーザ(10)をパラメータ化するステップを含み、前記パラメータ化ステップが、前記接続された指示周辺機器(A、B、C)の各々に関連付けられた指示面(16A、16B、16C)の配置を、単一のアクティブ面(16U)内で定義することを含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ・システム、特にヒューマン・マシン・インターフェースの分野に属する。
【0002】
本発明は、特に、作業者がコンピュータと相互作用するための数個の指示周辺機器が同時に同じコンピュータ・システム内で接続されるときに、それらの指示周辺機器を管理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ・システムのユーザが前記コンピュータ・システムに働きかけることを可能にする周辺機器の分野では、画面上でグラフィック要素を用いて相互作用するためにユーザによって操作される装置を実装することが知られている。
【0004】
そのような装置の中には、特に、キーボード、マウス、スタイラス、タッチ・タブレット、またはタッチ画面がある。
【0005】
そのような装置が多くのコンピュータ・システムに機能することを保証するために、それらの装置は、HID(「ヒューマン・インターフェース装置」)と呼ばれる標準化されたプロトコルに従ってフォーマットされたデータ・フレームを送ることによってコンピュータ・システムと通信する。
【0006】
一般に、それらの装置を通じて作業者によって実行されるアクションは、コンピュータ・システムの1つまたは複数の表示面上に視覚化される。これにより、作業者が、選択、有効化、プロットなどの自身の相互作用ニーズに従って動作することが可能になる。
【0007】
数個のそのような装置、例えば数個のキーボードまたは数個のマウスを同じコンピュータ・システムに接続することが可能であるが、そのような場合、所与の瞬間には冗長な装置のうち1つしか使用することができない。よって、一つのマウスが、表示面上のポインタの位置に働きかけることを可能にし、ポインタの位置は、数個のマウスが同時にアクティブ化された場合には管理することが実際上不可能になる。
【0008】
この事例は、例えば単一ユーザのコンピュータ・ステーション等で2つのマウスが接続されているとしても、それらを同時に使用する必要がないときには、実際に不都合になることはない。対して、これは、共同作業の文脈において2人の者が同じコンピュータ・ステーション上で各々マウスを使うことを阻む。
【0009】
タッチ画面またはグラフィック・タブレット型の指示システムの場合、それらシステムの感知面に同時に働きかけることが望ましいことがある。
【0010】
よって、現在は、数個の同時の接触点を検出および管理するように適合されたタッチ画面を使用して、接触点の情報を使用するソフトウェアによる特定の効果を得ることが一般化している。しかし、この複数接触の可能性は、現在は単一のタッチ面に限られており、固有のコンピュータ処理なしで、異なるタッチ面に同時に働きかけることは可能でない。
【0011】
この制限は、指示周辺機器と、コンピュータ・システムの中央装置との間で個々の標準化されたリンクを組み合わせることが困難であることに起因する。
【0012】
コンピュータ・システムが数個の指示周辺機器(A、B、C)を含む場合、
図1に例示されるように、それら様々な周辺機器は各々、専用のリンク、現在は大半の場合USBリンク(「ユニバーサル・シリアル・バス」)により、中央装置に個々に接続される。
【0013】
すると、このハードウェアおよび論理構成では、少なくとも機能的観点から満足の行く様態で、別の指示周辺機器と作用できるようにするために、一つの指示周辺機器と作用するのを中止する必要がある。
【0014】
指示周辺機器はそれらが接続されているコンピュータ・システムからできる限り独立するように、USB標準の上に重畳される特定のHID標準が、端末と中央装置との間で交換されるデータの内容および構造を定義している。
【0015】
このアーキテクチャの不都合点は、作業者の連携されたアクションの文脈における衝突を伴わずに、数個の指示周辺機器に対する同時のアクションを考慮に入れることが不可能であることに由来する。
【0016】
この問題を克服するために、ソフトウェアによる解決法が開発されているが、それらの解決法は、実装されるオペレーティング・システムおよびアプリケーションに固有である。
【0017】
すると、指示周辺機器、特にタッチ画面装置およびグラフィック・タブレットに期待される汎用性の品質は、コンピュータ・システムのユーザによって失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、コンピュータ・システムにより複数のアクティブ面指示周辺機器を同時に実装することのこれら問題に対する解決法を提供する。これは、複数のアクティブ面指示周辺機器によって送出されたデータを、様々な指示周辺機器のアクティブ面面上で作業者によって実行されたアクションを特徴付けるすべてのデータを含み、単一の指示周辺機器によって送出されるデータの構造を有する、データのセットへと配置するレコンポーザを利用する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的のために、本発明は、複数の指示周辺機器をコンピュータ・システムの同じ中央装置に接続するためのレコンポーザに関する。
【0020】
レコンポーザは、
- 前記指示周辺機器がレコンポーザに接続されたとき、前記指示周辺機器が中央装置に直接接続されているときに中央装置との間で通常交換されるデータを指示周辺機器の各々と交換するための入力を含み、
- レコンポーザが中央装置に接続されたときに、中央装置とデータを交換するための出力を含み、
- レコンポーザの入力で受信されたデータを、レコンポーザから出力されるデータに変換するように構成されたデジタル処理手段を含み、
出力データは、単一のアクティブ面を含む指示周辺機器によって送出されるであろうデータに、内容および構造が準拠しており、
出力されるデータは、各瞬間において、単一のアクティブ面上で、指示周辺機器を用いて実行されるアクションを個々に特徴付け、アクションは、入力として受信されるデータによって特徴付けられる。
【0021】
レコンポーザとデータを交換することにより、中央装置は、複数の指示周辺機器が中央装置に直接接続されるときに遭遇する不整合および衝突を被ることがなくなる。レコンポーザは、様々な指示周辺機器から受信されたデータを変換すると、様々な接続された指示周辺機器の機能特徴を組み合わせる単一の指示周辺機器により、その生成に対応する値および構造をそれらの指示周辺機器に与える。前記機能特徴を組み合わせる指示周辺機器は、レコンポーザに接続された実際の各指示周辺機器のデジタル・アセンブリの結果として生じる仮想の指示周辺機器に相当する。
【0022】
本発明のレコンポーザは、技術的に組み合わせ可能である限り、以下の特徴のすべてまたは一部を含む。
【0023】
1つの実施形態において、デジタル処理手段は、
- 前記レコンポーザに接続された指示周辺機器の各々から入力として受信されたデータから、可変データのテーブルと、前記指示周辺機器の記述子とを抽出するように構成された少なくとも1つのアナライザと、
- 前記レコンポーザに接続された指示周辺機器の各々に関連付けられたアクティブ面の寸法および位置を、単一のアクティブ面の座標系に定義するように構成された少なくとも1つのコンフィギュレータと、
- 入力として受信されたデータの可変データを、出力されるデータの可変データに変換するための少なくとも1つのコントローラと、
- 出力されるデータを、レコンポーザが接続されるべき中央装置が備える通信プロトコルに従って構造化するように構成された少なくとも1つのコンディショナと、を含む。
【0024】
これらの様々な機能は、一つの筐体内に、または相互に接続された筐体のセット内に組み込まれた、レコンポーザの1つまたは複数のマイクロコントローラによって実行され得る。この構成は、中央装置におけるハードウェアの介在なしに中央装置にクイック接続される、または中央装置内に恒久的に設置される電子基板に搭載された、独立したレコンポーザのものとすることができる。
【0025】
1つの実施形態において、コンフィギュレータは、レコンポーザに接続された指示周辺機器に関連付けられた各アクティブ面について、その指示周辺機器に関連付けられたアクティブ面に対応するエリアの単一のアクティブ面における寸法および位置を、
- 単一のアクティブ面の座標系に合わせた、アクティブ面の座標系において既知のアクティブ面の横軸および縦軸の各々のスケーリング、
- 単一のアクティブ面の座標系におけるアクティブ面の参照点の位置、
により定義する。
【0026】
指示周辺機器に関連付けられた各アクティブ面は、よって、その指示周辺機器を用いて実行される作業者のアクションが特徴付けられる単一のアクティブ面の特定のエリアとして定義される。
【0027】
1つの実施形態において、レコンポーザの入力で受信された可変データ内で送信される、またはそれら受信された可変データからレコンポーザによって作成される、指示周辺機器の座標系におけるアクティブ面上で指示される点の座標が、単一のアクティブ面の座標系における、アクティブ面上で指示された前記点の座標に変換され、出力によって送出されるデータの可変データに組み込まれる。
【0028】
1つの実施形態において、レコンポーザは、オープン標準、例えばUSB標準および前記USB標準へのHIDオーバーレイ、の要件に合致したデータを、少なくとも1つの入力で受信するように構成される。
【0029】
1つの実施形態において、レコンポーザは、「独自仕様」プロトコルと呼ばれるプロトコルによって定義されるデータを、少なくとも1つの入力で受信するように構成される。
【0030】
1つの実施形態において、出力されるデータは、オープン標準、例えばUSB標準および前記USB標準へのHIDオーバーレイ、の要件に合致している。
【0031】
1つの実施形態において、少なくとも1つの入力は、例えば無線リンクまたは光リンクによりワイヤレス指示周辺機器が接続することが可能なワイヤレス・リンクに対応する。
【0032】
本発明は、本発明のレコンポーザに合致するレコンポーザを含み、少なくとも2つの指示周辺機器を含むアセンブリにも関する。
【0033】
よって、数個の既存の指示周辺機器のアセンブリの結果として生じる複雑な指示周辺機器を作り出すことが可能であり、よって、異なる指示周辺機器に関連付けられた、および/または普通は互換性のない機能同士を関連付ける、指示面のアセンブリの結果生じる、より大きい寸法の指示面を作り出すことが可能となる。
【0034】
1つの実施形態において、このアセンブリの少なくとも1つの指示周辺機器は、タッチ画面に関連付けられたアクティブ面を含む。
【0035】
1つの実施形態において、このアセンブリの少なくとも1つの指示周辺機器は、指示面に関連付けられたスタイラスである。
【0036】
1つの実施形態において、このアセンブリの少なくとも1つの指示周辺機器は、マウスまたはトラックボールなど、指示面上での位置を定義するためにその信号が処理されるスクロール指示周辺機器である。
【0037】
本発明は、本発明のレコンポーザを組み込んだそのようなアセンブリを含むコンピュータ・システムにも関し、レコンポーザの出力が、コンピュータ・システムの中央装置に接続されている。
【0038】
本発明は、数個の指示周辺機器をコンピュータ・システム内の同じ中央装置に接続して、前記指示周辺機器の同時の相互動作性を可能にする方法にも関し、この方法は、前記指示周辺機器を、本発明のレコンポーザの入力に接続するステップと、レコンポーザに接続された指示周辺機器が中央装置によって単一の指示周辺機器として見られるように、このレコンポーザの出力を中央装置に接続するステップとを含む。
【0039】
この方法の1つの実施形態において、方法は、レコンポーザをパラメータ化するステップを含み、このパラメータ化ステップは、接続された指示周辺機器の各々に関連付けられたアクティブ面の配置を、単一のアクティブ面内で定義することを含む。
【0040】
よって、単一のアクティブ面において仮想的に割り振られる配置との、アクティブ面の物理的配置の整合性を達成することが可能となる。
【0041】
本発明について、本発明の一実施形態の非制限例として与えられる図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】すでに述べられた、コンピュータ・システム内の様々な指示周辺機器の「交替」動作の原理を示す図であり、その中央装置が、従来技術の原理に従ってそれら様々な周辺機器からの信号を受信する図である。
【
図2】コンピュータ・システム内の様々な指示周辺機器の同時の動作の原理を示す図であり、その中央装置が、本発明に係るデータ・レコンポーザによりそれらの様々な周辺機器からの信号を受信する図である。
【
図3】本発明に係るレコンポーザの一実施形態の内部アーキテクチャの例を示す図である。
【
図4】レコンポーザにおけるデータ処理の概要表現である。
【
図5】レコンポーザによる指示周辺機器のデータの処理方法の主要ステップの表現である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図には、システムおよびその構成要素の様々な部分の図面が記号的に表されている。
【0044】
本発明の全般的な原理が、コンピュータ・システム100を図式化した
図2に例示され、コンピュータ・システム100は、表示面91が接続される中央装置90を含み、また、1人または複数の作業者により、同時にまたは非同時に、使用されることが意図される3つの指示周辺機器A、B、Cを含む。ここで、下記で考察される指示周辺機器は、表示面上でポインタの位置を復元する周辺機器であることが留意される。
【0045】
そのような指示周辺機器は、アクティブ面上での、またはアクティブ面の近傍もしくは上方での、例えば、指またはスタイラスなどの物理的ポインタの位置を復元するための指示面を実装する。
【0046】
そのような指示周辺機器は、例えば、マウスまたはトラックボールの形におけるカーソルの変位の測定を実装し、その変位から、特に変位を積分することにより、ポインタの位置が表示面上に定義される。
【0047】
ここで、本発明は、標準化されたデジタル通信バス、例えば現在広く使用されるUSB(「ユニバーサル・シリアル・バス」)標準によるバスを通じて周辺機器が中央装置と対話する従来のコンピュータ・システムに組み込まれることが理解されよう。
【0048】
他の既存のまたは将来の「中央装置周辺機器」通信標準が本発明において実装され得るが、本記載では、USB標準を満たす通信バスが参照され、またUSB標準へのHID(ヒューマン・インターフェース装置)オーバーレイの特定のケースも参照される。
【0049】
当業者に知られる適用可能な標準は、特に「USB Implementers Forum,Inc.」から入手可能である。
【0050】
ここで、考察される数個の指示周辺機器が、例えば、その画面表面が指示周辺機器のアクティブ面の表面よりも大きいタッチ画面の場合に、同じ表示面に関連付けられることが可能であり、および/または、数個の画面に関連付けられることが可能であり、並置されるタッチ画面の例が挙げられることに留意されたい。
【0051】
図2の表示面91は、したがって、1つまたは複数の画面を含む表示装置の記号的表現であり、表示システムのこの態様は本発明に対して特に影響を及ぼさない。
【0052】
以下の説明では、指示周辺機器A、B、Cによってコンピュータ・システム100の中央装置90に送信されるデータのうち、本発明およびその動作の理解に必要である一部のみが考察される。
【0053】
特に、通信プロトコル、および適用可能な標準、例えば、様々な改定で入手可能であり、参照することが可能なUSB標準:「ユニバーサル・シリアル・バス仕様」、に従って送信されるデータの詳細な構造のすべてが詳述される訳ではない。
【0054】
図2に例示される例では、2つの第1のタイプの指示周辺機器AおよびBは各々、1つまたは複数のタッチ画面を構成するように画面91の表面に配置されたアクティブ面を含む。
【0055】
各指示周辺機器A、Bは、データを生成し、データは、HID標準の要件に従ってデジタルUSBバスを介して送信される。しかし、データは、本発明の原理を問題にすることなく、別のタイプのバスを介して、および別の送信標準に従って送信され得る。
【0056】
指示周辺機器は、したがって、この例ではHID通信標準を満たす標準的な機器であり、どのような技術的特定性も本発明の実装に関して課されることはない。
【0057】
以下の説明において、「指示周辺機器」および「HID周辺機器」という表現は、アクティブ面を含み、作業者の指または例えばスタイラスなどの適切な道具によって指示された点のアクティブ面の参照フレーム内での絶対位置を特に送信するように構成される指示周辺機器を指すために、交換可能に使用される。
【0058】
HID標準への言及は、ここでは、指示周辺機器の分野で現在頻繁に使用されているという理由から例として挙げられる、標準の特定のケースであるが、この選択は、別の通信標準に合わせて容易に適合可能である本発明を制限しないことが留意されるべきである。
【0059】
コンピュータ・システム100は、レコンポーザ10も実装する。
【0060】
レコンポーザ10は、様々なHID周辺機器によって、ここでは指示周辺機器A、Bの各々から送出された、標準化フォーマットに従う、本例ではHIDフォーマットのデータを、前記レコンポーザの入力11A、11Bで受信する。
【0061】
レコンポーザ10は、様々な入力11A、11Bで受信された標準化フォーマットのデータを処理して、前記レコンポーザの単一の出力17で送出される複合データを標準化フォーマットに従って再構築する。
【0062】
ここで、複合出力データは、標準の要件を満たし、したがって、中央装置90にとっては、ここではHID標準に従って単一の周辺機器によって送られたデータに対応することが理解されるべきである。
【0063】
この特定の構築は、コンピュータ間の通信ネットワークの分野でよく知られているUSBハブまたはスイッチの構築とは異なり、シリアルモードでの、またはこのデータのバックグラウンドでの変換を伴わない、入来データの連続した送信を保証する。
【0064】
本発明のレコンポーザ10において、少なくとも2つのHID周辺機器から送られて来る、入力として受信されるデータは、それぞれ異なる入力で受信され、HIDフォーマットで単一の出力17で送出されるデータは、所与の瞬間に受信されるデータに含まれている情報を組み合わせており、それにより、レコンポーザ10およびそれに接続されたHID周辺機器を含むアセンブリは、中央装置90によって、HID通信標準を満たす単一の周辺機器であるかのように見え、したがって、中央装置90は、固有のソフトウェアまたはドライバを前記中央装置にインストールすることなくアセンブリと通信する。
【0065】
当業者には、レコンポーザ10は、異なる周辺機器によって送出または受信される信号の同期および処理の問題を考慮に入れるように、また、受信および送出の両方において使用される通信標準の種々の制約を引き受けるように設計されなければならないことが明らかである。したがって、レコンポーザは、特に、入力として受信された、またはこれから出力されるデジタル・データのためのバッファ・メモリと、マイクロコントローラとを、必要なだけ含むことになる。
【0066】
レコンポーザ10によって送出されるデータは、したがって、所与の瞬間に利用可能である、異なる入力で前記レコンポーザによって受信されるデータから構築される。
【0067】
レコンポーザは、有利には、プロセッサ、メモリ、周辺ユニット、入出力インターフェースなどの従来の要素を含むマイクロコントローラの周辺に設計され、その主要な実施形態において、入力で受信されたデータに適用される変換を実行し、その特徴が下記で説明される出力データを構築するようにプログラムされる。
【0068】
図3は、本発明に係るレコンポーザ10の内部アーキテクチャの例を例示し、
図5に概略的に示されるその動作は、アクティブ面を持つ指示周辺機器にHID標準を使用するケースにおいて説明される。
【0069】
図3では、左から右に以下が存在する。
- 例えばUSB標準に従うクイック・コネクタに関連付けられた、HID周辺機器の各々によって生成されるデータ送信バスが接続される入力11A、11B;
- 受信データをアナライザ13に送信するように実装される従来のUSBハブ14;
- アナライザ13;
- コントローラ12;
- コンディショナ15;
- この例示的実施形態ではUSB標準に従うシリアル・バスであるデータ送信バスが接続された出力17。
【0070】
図3のハブは、アナライザと、コントローラと、コンディショナとにリンクされた、コンフィギュレータ16も含む。
【0071】
図3は、無線受信器11cも示し、これは、付属コントローラ14’に、次いで、コントローラ12とコンフィギュレータ16とに接続された付属アナライザ13’に、受信信号を送信する。
【0072】
この無線受信器、付属コントローラ、および付属アナライザの機能および利点は後述される。
【0073】
入力11Aおよび11B上で接続された、またその逆も同様の2つのHID周辺機器AおよびBのケースを考察すると、それらは各々、自身の特徴および自身の現在の状態に関するデータのセットを送信する。
【0074】
前記データは、USBハブ14を介してアナライザ13に送信され、アナライザ13は、レコンポーザによって送られてくるデータの再構築に必要な情報を抽出するために、受信したデータをHID標準に従って解釈する。
【0075】
2つのタイプのデータが存在する。
- HID周辺機器記述子;
- HID周辺機器可変データ。
【0076】
記述子は「固定された」データであり、必要な場合はパラメータ化可能であり、行われる指示に関係なくHID周辺機器を特徴付け、HID周辺機器ごとに異なり得る。それらは一般に、中央装置90が、可変データをそこから受信するHID周辺機器の特徴を知ることを可能にし、そのため、前記中央装置にインストールされたアプリケーションは、この同じHID周辺機器から受信される可変データを正確に解釈できるようになる。本発明の場合、それらはアナライザによって処理される。
【0077】
可変データは、HID周辺機器の使用に関係する。タッチ面上で、これらのデータは、指がアクティブ面と接触していることを示し、記述子と整合する座標の形態で指の位置を与える。これらのデータは、それらがHID標準に準拠しているとみなして、中央装置に実装されたアプリケーションによって解釈される。
【0078】
すでに述べたように、USB/HID標準に準拠する周辺機器は、当該標準を自身の通信プロトコルに組み込んでいるすべてのアプリケーションにより、および任意のオペレーティング・システム上で、「独自仕様」通信プロトコルと呼ばれる通信プロトコルを使用するシステムの場合のように固有のドライバを実装する必要なく、サポートされ得る。
【0079】
図5に図式化された入力データを変換する方法50によれば、第1の分析ステップ51で、アナライザ13は、よって、関係するHID周辺機器各々の記述子および可変データから得られるデータ・テーブルを、コントローラによる処理によって再構築する。
【0080】
マウスなどのカーソルHID周辺機器の場合、カーソルの変位に関するデータは、前記周辺機器に割り当てられた指示面上で前記カーソルによって制御されるポインタの位置を計算するために、コントローラによって解釈される。
【0081】
第2の記述ステップ54で、コンフィギュレータ16は、HID周辺機器A、B各々の記述子を処理することにより、前記周辺機器の指示面の物理的配置を表す単一の仮想のアクティブ面16Uを定義するための、HID周辺機器A、Bの指示面16A、16Bの仮想アセンブリを開発する。
【0082】
指示面のこの物理的配置は、単純なケース、例えば、コンフィギュレータが指示面の事前定義されたアセンブリを対象とする場合には、レコンポーザに知られ、事前配置されたタッチ画面のアクティブ面の例を挙げることができる。
【0083】
別の実施形態において、物理的配置は、例えば、コンピュータ・システム100のユーザにより、中央装置90を介して、初期化またはパラメータ化ステップ中に、パラメータの形態でレコンポーザに通信される。
【0084】
図4は、そのような単一のアクティブ面16Uを定義するアセンブリの単純な例を特に例示する。
【0085】
考察されるHID周辺機器は、この例では、タッチ面に触れている指の位置を特定することが可能な、接触を感知するタッチ面を含む。
【0086】
この例では、各々がタッチ面で覆われた2つの表示画面が、実質的に端部から端部まで並置されて、単一の画面の外観を有する複合画面91を形成する。この構成では、模擬されるアクティブ面16Uは、物理的には、画面を覆うタッチ面のアセンブリに対応する。
【0087】
しかし、これらのタッチ画面を含む指示周辺機器は既製の「オフ・ザ・シェルフ」機器であるため、2つのタッチ面が同じ特徴を有することは必要でなく、それらは特に、異なる物理的寸法、異なる論理的寸法(解像度)、異なる検出技術を有することができる。対応するHID周辺機器各々の記述子は、したがって、別個であるだけでなく異なってよい。
【0088】
単一のアクティブ面16Uは、レコンポーザ10に接続されたHID周辺機器の記述子がそれに転換されなければならない、任意に選択された、または形状設定された記述子にも対応する。コンフィギュレータ16内で行われる転換は主に、前記指示面の参照系内の座標によって表される指示周辺機器の指示面の点が、単一のアクティブ面16U上で、前記単一のアクティブ面の座標系における座標によって表される前記単一のアクティブ面の点に対応するような変換を決定する。
【0089】
例として、
図4のコンフィギュレータは、各々が同じ長さ、図示では高さの端部によって結合されているが、前記指示面の点は、2つの指示面それぞれに対して異なるスケールを持つ座標系において決定される、2つの矩形の指示面の場合を例示している。
【0090】
ここでは第1のHID周辺機器Aの表示面に関連付けられた、第1の指示面16Aの座標系において、前記タッチ面のスケールは、前記第1の指示面の左下の点の原点:[X=0;Y=0]と比較して右上にある点の座標:[X=2353;Y=1322]によって(構築により)決定され、Xは、幅に沿った横軸であり、Yは、前記指示面の高さに沿った縦軸である。
【0091】
第2のHID周辺機器Bの表示面に関連付けられた第2の指示面16Bの座標系において、前記指示面のスケールは、前記第2の指示面の左下の点の原点:[X=0;Y=0]と比較して右上にある点の座標:[X=19353;Y=10886]によって(構築により)決定される。
【0092】
2つの指示面のアセンブリを表す単一のアクティブ面16Uは、前記単一のアクティブ面の左下の点の原点:[X=0;Y=0]と比較して右上にある点の座標:[X=32768;Y=32768](値は任意に選択される)を有する座標系に関連付けられる。
【0093】
そして、この単一のアクティブ面16Uは、2つのエリアを含み、そのうち第1のエリア16A’は、第1の指示面16Aと同形であり、そのうち第2のエリア16B’は、第2の指示面16Bと同形である。前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間の相対位置は、第1の実際の指示面16Aと、第2の指示面16Bとの間の相対位置でもある。
【0094】
よって、単一のタッチ面16Uの座標系において、第1のHID周辺機器Aの表示面に関連付けられた第1のエリア16A’は、ここでは、右上にある点の座標:[X=16384;Y=32768]と、左下の点にある原点[X=0;Y=0]とによって決定される。
【0095】
そして、第2のHID周辺機器Bの表示面に関連付けられた第2のエリア16B’は、右上にある点の座標:[X=32768;Y=32768]と、左下の点にある前記第2の指示面の原点:[X=16385;Y=0]とによって決定される。前記第2のエリアの原点のXにおけるオフセットは、2つの指示面16A、16Bの並置された配置に対応する。
【0096】
この単純な例では、2つのタッチ面16Aおよび16Bは同じ物理的寸法を有し、これにより、Xに沿った同じ幅およびYに沿った同じ高さの2つのエリアとなる。
【0097】
しかし、この条件は必須ではない。
【0098】
実際、指示面は、互いに異なる寸法、異なる形状、異なる向きを有することができる。それらは、完全にまたは部分的に重畳されることも可能である。
【0099】
指示面に関連付けられた単一のアクティブ面16Uのエリアは、物理的タッチ面の線形変換であってよく、または、非線形の法則によって変換されて、例えば、指示面上での指示された点の位置に依存した、または湾曲効果に依存したスケール修正などの、特定の効果を生む。
【0100】
異なる指示面に対応するエリアは、必ずしも、前記指示面の物理的配置と同様の様態で配置されず、異なる指示面のエリアの単一のアクティブ面16Uにおいて、近づけられるもしくは離される、またはより多くもしくはより少なく重畳され得る。エリアは、指示面のいくつかの場所を非アクティブとして宣言することもできる。この後者の構成は、例えば、スライディングの対象となる2つの並置された指示面の間に非アクティブなエリアがあるときに、作業者の指のスライディングなどのアクションの連続性を保証することを可能にする。
【0101】
例えば、ここで説明される2つの指示面の単純なケースでは、指示面16Aおよび16Bは両方とも、図示されるように同じ物理的高さを有するが、異なる幅を有することができ、そのケースは図示しておらず、この場合、2つのエリア16A’および16B’のYに沿った寸法は同一となり、Xに沿った寸法は異なり、前記指示面の物理的幅同士の比になる。それらは、例えばタッチ・モザイクを形成するように、90度または45度だけ異なる向きを有することもできる。それらは、指示面の物理的配置に対応するように連続していなくてもよい。
【0102】
2つの指示面16Aおよび16Bは、異なる物理的高さを有することもでき、そのケースは図示していない。この場合、単一の矩形のアクティブ面16Uは、完全にはアクティブにならない。
【0103】
第3の転換ステップ52で、記述ステップ54中にコンフィギュレータ16によって確立された、HID周辺機器A、Bに関連付けられたエリア16A’、16B’を特徴付けるデータが、コントローラ12に送信される。
【0104】
この転換ステップでは、レコンポーザ10に接続されたHID周辺機器ごとに、コントローラ12が、そのHID周辺機器の動作に関係する可変データを変換して、前記HID周辺機器の記述子に対応させて前記HID周辺機器によって送信された前記可変データが、記述子と対応させた単一のアクティブ面16Uの変換後に、表されるようにする。
【0105】
通例は、考察される指示面の座標系における指示された位置に対応する値のペア(Xf,Yf)としてデータ中で前記HID周辺機器によって送信される、HID周辺機器の指示面上での指示された位置、例えば検出された指の位置が、単一のアクティブ面16Uの座標系において、各軸上のスケール率と、座標の原点からのオフセットとによって転換され、スケール率および原点オフセットは、考察される指示面に対応する単一のアクティブ面16Uのエリアに依存する。
【0106】
よって、前に公開した例示の例では、第1のHID周辺機器Aの座標の点(Xfa,Yfa)は、原点同士が一致するために原点オフセットなしで、単一のアクティブ面16Uの座標系における座標の点(Xga,Yga)に、単純な相似によって変換され、
Xga=Xfa x 16384/2353
Yga=Yfa x 32768/1322
第2のHID周辺機器Bの座標の点(Xfb,Yfb)は、相似および原点オフセットにより、単一のアクティブ面16Uの座標系における座標の点(Xgb,Ygb)に変換されることになる。
Xgb=(Xfb x 16384/19353)+16385
Ygb=Yfb x 32768/10886
【0107】
第4のフォーマッティング・ステップ53で、HIDコンディショナ15は、
- コンフィギュレータ16から、HID標準の仕様に従って単一のアクティブ面16Uの記述子を再構築するためのデータ;及び
- レコンポーザ10に接続されたHID周辺機器の各々によって送信された可変データを転換するステップ中の変換から得られた可変データ。HID周辺機器の前記可変データを担持しており、単一のアクティブ面16Uの動作に関する可変データの形態である可変データ;
を受信し、次いで、
- 単一のアクティブ面16Uの記述子および可変データを組み込んだデータ・テーブルを再構築して、HID周辺機器に関係する標準の条件に従って前記データを送出する。すなわち、データは、単一のアクティブ面16Uの指示面の単一の指示周辺機器によって送出されるであろうデータに対応している。
【0108】
レコンポーザ10が動作している間、新しい可変データが変換されなければならないときに、入力データを変換するための方法50の種々のステップが繰り返し実行される。
【0109】
しかし、第2の分析ステップは、レコンポーザがコンピュータ・システム内でサービス状態にされたとき、および前記レコンポーザに接続された指示周辺機器の構成が、例えば指示周辺機器を追加することによって修正されるときにのみ、実装されればよい。
【0110】
よって、本発明の結果、レコンポーザ10に接続された複数のHID周辺機器A、Bは、単純な接続(「プラグ・アンド・プレイ」)によって同時に実装されることが可能な前記複数のHID周辺機器のHID周辺機器の組み合わせられた指示能力を含む、単一のHID周辺機器として、中央装置90によって「見られる」ことになる。
【0111】
レコンポーザ10に接続されるすべての指示周辺機器に関連付けられたレコンポーザ10は、したがって、中央装置90に対して単一の指示周辺機器として動作し、それについては、数個の指示周辺機器が個々に中央装置に直接接続されたときに既知の動作問題が発生することはなくなる。
【0112】
この例示的実施形態の説明の導入部ですでに示したように、HID周辺機器の動作に関連するUSBおよびHID標準において公開されるプロトコルに関係する詳細は、本記載では提示されず、これらの詳細は当業者に知られており、本発明の理解のために有用な情報を提供しない。
【0113】
さらに、本発明は、HID標準が現在広く使用されているが、HID標準以外のデータ送信標準を使用する指示装置に対して実装され得る。
【0114】
1つの実施形態において、レコンポーザ10は、アクティブ面を含み、一般には「独自仕様システム」という表現で呼称される、公衆的な標準を満たさない特定のプロトコル、または前記レコンポーザに接続された第1のタイプの指示周辺機器に使用されるものとは異なる標準により中央装置と通信するように設計される、第2のタイプの指示周辺機器についての少なくとも1つの入力を取り込む。
【0115】
この実施形態において、第2のタイプのこの指示周辺機器によって送信されたデータは、前記レコンポーザに接続されたその他の指示周辺機器のデータ・テーブルと同等の形態のデータ・テーブルを再構築するために、データの構造に応じてレコンポーザによって変換される。
【0116】
第2のタイプのこの指示周辺機器から受信されたデータは、次いで、第1のタイプの指示周辺機器のデータと同じように処理され、フォーマッティング・ステップ53で考慮に入れられて、単一のアクティブ面16Uのデータ・テーブルに取り込まれる。
【0117】
第2のタイプの指示周辺機器、少なくともその一部は、単一のアクティブ面16Uの特定のエリアをアクティブ面に割り振るのに必要な記述子を必ずしも含まないことに留意されたい。この場合、任意のエリアが前記指示周辺機器に割り振られ、これは、例えば、単一のアクティブ面16Uの全体、または別の指示周辺機器A、Bのエリア16A、16B、または接続されたコンピュータ・ステーションから作業者によって選択されるエリアである。
【0118】
【0119】
この例では、第2のタイプの指示周辺機器Cは、アクティブ面C2に関連付けられたスタイラスC1である。例示されるケースにおいて、周辺機器Cは、基本的に実用的な理由から、無線リンク(Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等)によりデータを送信する。
【0120】
そのような第2のタイプの指示周辺機器は、HID標準化通信標準を使用せず(それ以外の場合は第1のタイプの指示周辺機器と考えられる)、一般には、その実装のために中央装置にインストールされなければならないドライバ・ソフトウェアを必要とする。
【0121】
そのようなドライバ・ソフトウェアは、中央装置90にインストールされたオペレーティング・システムに固有であり、一部のオペレーティング・システムには利用可能でないこともあり、それにより、ドライバ・ソフトウェアが利用可能であるオペレーティング・システムに対してこれらの周辺機器の使用が制限される。
【0122】
本発明のレコンポーザ10の例示される実施形態において、前記レコンポーザは、
図3に例示されるように、2つのHID周辺機器をサポートするための上記で説明した特徴に加えて、以下を含む。
- 受信器11C;
- 付属コントローラ14C;
- 付属アナライザ13C。
【0123】
ここでは無線受信器である受信器11Cは、スタイラスによって送出されたデータを受信する。
【0124】
これらのデータは、レコンポーザが表面C2上でその周辺機器に対応する相互作用を割り振ることができるように、周辺機器の少なくとも1つの識別情報を含む。
【0125】
これらの動作データは、通常の使用という条件下において、考察される周辺機器に合わせて特別に適合されたドライバ・ソフトウェアによって通常通り抽出および解釈される。
【0126】
レコンポーザ10の場合、無線コントローラ14Cによって受信されたデータは、グラフィック・タブレットの使用に関する可変データを取得するために付属アナライザ13Cによって処理される。
【0127】
この目的のために、付属アナライザ13Cは、例えば、レコンポーザの製造時にインストール可能な、または例えば中央装置90からフラッシュ・メモリにダウンロード可能なファームウェアを含む。
【0128】
有利なことに、スタイラス記述子が付属アナライザ13Cに組み込まれる。
【0129】
第2のタイプの指示周辺機器Cについて決定された可変データおよび記述子は、次いでコントローラ12に送信される。
【0130】
コントローラ12は、次いで、考察されるスタイラスなどの前記第2のタイプの指示周辺機器について、HID周辺機器によって作成されたデータ・テーブルと整合するデータ・テーブルを再構築し、前記第2のタイプの指示周辺機器は次いで、前記指示周辺機器がアクティブになっている指示面、例えばスタイラスC1の場合であれば前記スタイラスに関連付けられたアクティブ面C2、に関連付けられた第1のタイプの指示周辺機器として処理される。
【0131】
第2のタイプの指示周辺機器のアクティブ面は、次いで、単一のアクティブ面16Uのエリア16’Cに関連付けられる。
【0132】
前記エリア16C’は、例えば、単一のアクティブ面16Uと等しく、そのため、スタイラスC1は、例えば単一のアクティブ面16Uに対応する表示面91の任意の点を指示することを可能にする。
【0133】
実際には、スタイラスC1が作用しているエリア16C’のすべてまたは一部が、指示周辺機器16A、16Bの他のエリア16A’、16B’と並置されることが可能であるか、またはそのすべてもしくは一部を覆うことができる。
【0134】
コントローラ12によって再構築された後、第2のタイプの指示周辺機器Cに結びつけられたデータは、他の指示周辺機器A、Bのデータと同じ構造を有し、そのため、それらデータは、後者としてコントローラ12によって受け取られ、処理されて、コンフィギュレータ16から受信されたデータに従ってデータを転換する。
【0135】
2つのHID周辺機器を実装する実施形態と同様、データは次いでコンディショナ15に送信され、コンディショナ15はデータ・テーブルを再構築して、レコンポーザ10に接続された、第1のタイプまたは第2のタイプの指示周辺機器A、B、およびCすべてからの変換後可変データを組み込む。
【0136】
これらのデータは次いで、指示周辺機器に関係する標準、本例においてはHID標準、の形態および条件で、出力17に接続された通信バスを介して送信され、単一のアクティブ面16Uの動作を表すデータとして中央装置90によって見られる。
【0137】
ここで、グラフィック・タブレットおよびタッチ画面の同時の使用は一般には検討されないことが留意され得る。
【0138】
しかし、この状況は、そのような同時の使用を実質的に可能にせず、むしろ混乱させると考えられる現在のシステムの制限に非常に結びついている。
【0139】
逆に、本発明のレコンポーザ10は、数個の表示画面パネルおよび数個のタッチ面から構成され得る、例えば垂直位置にある大きいタッチ画面であるタッチ画面上で、グラフィック・タブレットを用いて作業することを可能にし、同時に、1人または複数の他の作業者が共同作業の一部としてタッチ画面上で直接的な相互作用を通じて作業することを可能にする。
【0140】
さらに、レコンポーザ10は、名目上は異なるオープン・プロトコルまたは独自仕様プロトコルに従って通信する、第2のタイプの指示周辺機器に、HID標準などの標準との互換性をもたせる効果も有する。実際、本発明のレコンポーザのおかげで、前記レコンポーザによって管理されるデータの出力の標準と互換性のある任意のコンピュータ・システム上で第2のタイプの指示周辺機器を使用することができ、固有のドライバが前記コンピュータ・システムについて利用可能であると仮定して、そのようなドライバをコンピュータ・システム上で使用する必要はない。
【0141】
また、ここで、マウスなどのカーソルを用いるHID周辺機器が、レコンポーザ10を通じて他の指示周辺機器と共に同時に使用可能であり、これらの他の指示周辺機器は、タッチ面、アクティブ面に関連付けられたスタイラス、またその他のカーソル周辺機器などのあらゆるタイプであり得ることにも留意されたい。
【0142】
いくつかの構成では、特に、レコンポーザ10の入力の数を超えて中央装置の単一の入力に接続されるHID周辺機器の数を増やすために、前記レコンポーザ10は、第1のレコンポーザ10の入力に各々が接続された1つまたは複数の他のレコンポーザを受け入れることができ、そのようなカスケード型の搭載は、少なくとも理論上は、中央装置に同時に接続される指示周辺機器の数を無限に倍増することを可能にする。
【0143】
明らかなように、指示周辺機器をレコンポーザに接続するための入力の数は、考察される標準との互換性を維持しながら、対応する可変データを単一の出力に置くことができる限り、少なくとも理論上は制限されない。
【0144】
有利なことに、レコンポーザは、少なくとも2つの指示周辺機器を同時に使用可能にするために少なくとも2つの入力を含む。
【0145】
コンピュータ・システムの中央装置にデータを送信するために出力で使用される標準は、レコンポーザの入力でデータを受信するために使用される標準と必ずしも同じではない。
【0146】
実装例として、各々がタッチ面を含む2つの指示周辺機器に関してすでに説明した状況を考察する。
【0147】
2つのタッチ面は、タッチ画面を形成するように配置され、例えば、各タッチ面は、タッチ面の寸法よりも大きい寸法の画面の半分を覆うか、または、各タッチ面が1つの画面を覆い、2つの画面が、表示面全体を形成するように配置され、2つのタッチ面は必ずしも同じ技術ではなく、例えば、一つのタッチ面は静電容量技術であり、別のタッチ面は光学技術である。
【0148】
レコンポーザのおかげで、表示システム上で動作を実行することが可能となり、これらの動作は、現在単純なタッチ画面上では慣例的であるが、ここで考察されるタッチ面の複合配置上では単純かつ直観的な方式で達成することができない。
【0149】
例1:単純なドラッグ。作業者がタッチ面の1つに指を置き、指を変位させて、例えば線を書く、または「つかまれた」オブジェクトを変位させる。作業者の指の経路が1つのタッチ面から別のタッチ面に移る場合、その移動は、不連続性のない単一のタッチ面上での連続した指の変位として、中央装置によって知覚される。特に技術的理由から2つのタッチ面の間に分離が存在する場合、単一のアクティブ面16U内の対応する「不感」エリアの定義により、2つのタッチ面上で指によってたどられる経路が整合することが保証され、その信号の瞬間的な不在は、この例では、瞬間的な指の持ち上げと考えられ得る。
【0150】
例2:同時の複数の接触:作業者が、2本の指のうち、1本の指をタッチ面の一方に置き、もう一方の指をもう一方のタッチ面に置く。この二重の接触は、同じタッチ面上での二重の接触として中央装置によって受信されるため、衝突を発生させることはない。したがって、中央装置によって単一のタッチ面と考えられる、タッチ面上で指を連携させてスライドすることにより、画像の拡大または縮小、画像の回転効果を生むことが可能となる。
【0151】
例3:共同作業:作業者が、スタイラスおよびアクティブなタブレットを用いて動作を行い、これらの動作は(単純なまたは複合)タッチ画面上で行われる。別の作業者が、スタイラスおよびアクティブなタブレットを用いて生成された形状または他の要素に、指により、衝突なしに同時に相互作用する。
【0152】
このように、本発明は、1つのみの指示周辺機器であるが、指示周辺機器各々において実行されたアクションについての個別化された全情報を送信する指示周辺機器を中央装置が特定するコンピュータ・システムに対して指示周辺機器を透過的に同時に使用できることを保証することにより、必要な場合には異なる技術である、数個の既存の指示周辺機器をまとめることを可能にすることにより、既存解決法の欠陥を克服することを可能にする。
【0153】
レコンポーザのアーキテクチャについては、特例のケースにおける例として記載していること、ならびに、当業者は、必要な場合には、1つまたは複数のアナライザ、および/または1つまたは複数のコントローラ、および/または1つまたは複数のコンフィギュレータ、および/または1つまたは複数のコンディショナを実装することにより、本発明のレコンポーザによって様々な機能を実行させることを選択し得ることが理解されよう。当業者は、本発明から逸脱することなく、いくつかの要素を一緒にグループ化する、またはその反対に機能を分散させてそれぞれ異なる方式で行わせることを選択してもよい。
【0154】
1つの実施形態において、レコンポーザは、再構成されたデータを数個のコンピュータに送信することができるように数個の出力を含む。
【0155】
本文献に記載された本発明は、Magellan助成同意番号611526の下で第7回フレームワーク・プログラムの文脈において部分的に欧州委員会によって支援された研究の成果である。
【符号の説明】
【0156】
100 コンピュータ・システム
91 表示面、(複合画面)
90 中央装置
A、B、C 指示周辺機器
10 レコンポーザ
11A、11B、11C 入力
17 出力
13 アナライザ
14 USBハブ
16 コンフィギュレータ
14’ 付属コントローラ
13’ 付属アナライザ
11c 無線受信器
50 方法
51 第1の分析ステップ
52 第3の転換ステップ
53 第4のフォーマッティング・ステップ
54 第2の記述ステップ
16U 仮想のアクティブ面
16A 第1の指示面
16B 第2の指示面
16A’ 第1のエリア
16B’ 第2のエリア
15 HIDコンディショナ
C2 アクティブ面、表面
C1 スタイラス
11C 受信器
14C 付属コントローラ
13C 付属アナライザ
16’C エリア