(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】植物保持用紐及び植物保持用紐集合体
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20230525BHJP
【FI】
A01G31/00 617
(21)【出願番号】P 2019083180
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2021-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月12日~平成31年2月15日に東京都江東区有明3-11-1東京ビックサイトにて開催された株式会社ビジネス社主催の東京インターナショナルギフトショー春2019において展示、公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年3月6日~平成31年3月7日にさいたま市中央区新都心8さいたまスーパーアリーナにて開催されたジャペル株式会社主催の2019ペット総合展示会において展示、公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月21日~平成31年4月17日に別紙に記載の取引先に対し販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000193313
【氏名又は名称】水作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 智也子
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-159553(JP,U)
【文献】特開平10-304783(JP,A)
【文献】実開昭52-005994(JP,U)
【文献】特開平08-051879(JP,A)
【文献】特開2010-110243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽(V)内で陸生又は水生の植物(P,P′)を保持するために使用される植物保持用紐であって、
任意形状に曲げ変形可能な可撓性と曲げ変形後の形状を保持可能な保形性とを有する芯材(10)と、前記芯材(10)に固定されて該芯材(10)の外周を覆い且つ該芯材(10)と共に変形可能な表材(20)とを備え、
前記表材(20)は、吸水性を有し且つ前記植物(P,P′)が活着可能な繊維の集合体で構成され
、且つ前記芯材(10)を取り巻くように前記繊維を筒状に編んで構成されることを特徴とする植物保持用紐。
【請求項2】
前記表材(20)と前記芯材(10)とは、各々の両端部において相互間が結着されることを特徴とする、請求項1に記載の植物保持用紐。
【請求項3】
前記表材(20)及び前記芯材(10)は、耐水性の合成樹脂材で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植物保持用紐。
【請求項4】
前記表材(20)は、流木又は小枝に近い色に着色されることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の植物保持用紐。
【請求項5】
前記植物保持用紐(C)は、水中で沈む密度を有していることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の植物保持用紐。
【請求項6】
請求項1~
5の何れか1項に記載の植物保持用紐(C)を複数縒り合わせてロープ状に構成された、前記可撓性及び前記保形性を有した紐集合体であって、
隣り合う植物保持用紐(C)の相互間に前記植物(P,P′)の茎又は根を保持可能としたことを特徴とする植物保持用紐集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽内で陸生又は水生の植物を保持するために使用される植物保持用紐及び紐集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
陸生又は水生の植物を入れたアクアリウム用又はテラリウム用水槽において、水槽内に設置した流木に植物の茎又は根を保持させるようにした植物保持手法が、例えば下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の植物保持手法では、流木を植物保持に利用しているが、天然の流木は形状やサイズがまちまちのため、水槽のサイズや水槽内の植物のレイアウトに最適の流木を選定することが容易でない。また流木は、長時間、水に漬けておくと腐ったり変色し易いため、長期の使用に向いていない。しかも流木に植物の茎や根を直接保持させることは難しいため、植物を容易に保持可能な専用の保持具を流木に固定し、この保持具を介して植物を流木に保持させる必要があり、植物の保持作業が面倒なものとなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の上記した問題を簡単な構造で解決可能とした植物保持用紐及び紐集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、水槽内で陸生又は水生の植物を保持するために使用される植物保持用紐であって、任意形状に曲げ変形可能な可撓性と曲げ変形後の形状を保持可能な保形性とを有する芯材と、前記芯材に固定されて該芯材の外周を覆い且つ該芯材と共に変形可能な表材とを備え、前記表材は、吸水性を有し且つ前記植物が活着可能な繊維の集合体で構成され、且つ前記芯材を取り巻くように前記繊維を筒状に編んで構成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記表材と前記芯材とは、各々の両端部において相互間が結着されることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記表材及び前記芯材は、耐水性の合成樹脂材で構成されることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記表材は、流木又は小枝に近い色に着色されることを第4の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記植物保持用紐は、水中で沈む密度を有していることを第5の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1~第5の特徴を有する植物保持用紐を複数縒り合わせてロープ状に構成された、前記可撓性及び前記保形性を有した紐集合体であって、隣り合う植物保持用紐の相互間に前記植物の茎又は根を保持可能としたことを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の特徴によれば、可撓性及び保形性を有する芯材と、その芯材に固定されて芯材の外周を覆い且つ芯材と共に変形可能な表材とを備え、表材は、吸水性を有し且つ植物が活着可能な繊維の集合体で構成されるので、水槽の大きさや水槽内での植物のレイアウト及び保持態様、更には水槽付属品のレイアウトに応じて芯材(従って植物保持用紐)を適宜形状に曲げ変形させ且つその形状を保持することができ、これにより、植物を水槽内で体裁よく、しかも高い自由度を以てレイアウトし且つ保持可能である。また表材を構成する繊維集合体は、これに植物を容易に根付かせることができるばかりか、吸水性(従って保水性)も有することにより、一部を水上に配した場合でも陸生植物を支障なく生育させることができる。その上、植物保持用紐が、これを適宜曲げ変形させることで例えば流木や小枝の形態に似せられるから、ナチュラル感の演出のために流木や小枝を特別に用意する必要はなくなり、取扱いが簡便となる。しかも表材は、芯材を取り巻くように繊維を筒状に編んで構成されるので、芯材を取り巻く繊維集合体が容易に得られる。
【0013】
また第2の特徴によれば、表材と芯材とは、各々の両端部において相互間が結着されるので、表材と芯材間を簡単に一体化でき、コスト節減に寄与することができる。
【0014】
また第3の特徴によれば、表材及び芯材は、耐水性の合成樹脂材で構成されるので、植物保持用紐は、これが長時間水に浸かった状態で使用しても変質したり腐ったりせず、所期の保持性能を発揮することができる。
【0015】
また第4の特徴によれば、表材は、流木又は小枝に近い色に着色されるので、植物保持用紐を適宜曲げた状態では流木又は小枝に効果的に似せることができ、更にナチュラル感を出すことができる。
【0016】
また第5の特徴によれば、植物保持用紐は、水中で沈む密度を有しているので、水を張った水槽内に所定形状に曲げ変形させた紐を置いた場合は、紐をその曲げ形状のまま水槽Vの底部に静止状態で載置できる。
【0017】
また第6の特徴によれば、第1~第5の各特徴を有した植物保持用紐を複数縒り合わせてロープ状の植物保持用紐集合体が得られ、この紐集合体が可撓性及び保形性を有するた
め、個々の紐自体だけでなく、互いに縒り合わされた紐と紐との間も、植物の保持に利用可能となる。しかも隣り合う紐と紐との間の隙間は、紐相互を摘んで拡げたり紐集合体を引っ張ったりすることで植物のサイズに応じて適宜変化させることができるから、植物の脱着(従って交換)作業も容易であり、利便性の向上が図られる。またロープ状の紐集合体とすることで、流木や小枝により近い太めの植物保持具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の植物保持用紐及び紐集合体に陸生植物を保持させたテラリウム用水槽の一例を示す全体斜視図
【
図2】植物保持用紐の単体を示す部分側面図(
図1の2矢視拡大側面図)と、それの一部横断面
【
図3】植物保持用紐集合体の単体を示す部分側面図(
図1の3矢視拡大側面図)
【
図4】(a)は
図3の4a-4a線断面図、(b)は
図3の4b-4b線断面図、(c)は
図3の4c-4c線断面図
【
図5】(a)~(c)は、植物保持用紐の他の使用例を示す斜視図
【
図6】(a)は、縒り合わされた紐相互の隙間を拡げて植物を差し入れる手順の一例を示す斜視図、また(b)は、上記隙間に植物を差し入れた後で紐集合体の両端を引っ張って上記隙間を縮めた状態を示す斜視図
【
図7】本発明の植物保持用紐及び紐集合体に水生植物を保持させたアクアリウム用水槽の一例を示す全体斜視図(
図1対応図)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0020】
図1~
図4は、本発明の一実施形態が示される。特に
図1では、テラリウム用の水槽V内で陸生の植物Pを、本発明に係る植物保持用紐C及び紐集合体Rを用いて保持させた使用例が示される。
【0021】
植物保持用紐Cは、任意形状に曲げ変形可能な可撓性と曲げ変形後の形状を保持可能な保形性とを有する紐状体であって、これを水槽Vの大きさや水槽V内での植物のレイアウト及び保持態様、更には水槽用レイアウトグッズの配置態様等に応じて適宜形状に曲げ変形させて使用される。この紐Cを使用することで、植物Pを水槽V内で体裁よく、しかも高い自由度を以てレイアウトし且つ保持可能である。
【0022】
次に上記した紐Cの具体的構成について、主として
図2を参照して説明する。紐Cは、芯材10と、芯材10に固定されて芯材10の外周を覆い且つ芯材10と共に変形可能な表材20とを備える。
【0023】
芯材10は、紐Cに上記可撓性及び保形性を付与するためのものであって、芯材10自体が可撓性及び保形性を有する。また芯材10は、直径が例えば1~3ミリ程度の中実の棒状体に成形される。さらに芯材10は、生物(即ち動植物)に無害であり且つ耐水性も有する合成樹脂材(例えばポリエチレン)で成形される。
【0024】
尚、本明細書で「耐水性」とは、長期間に亘り水に浸かった状態に置かれても腐ったり変質しない性質をいう。
【0025】
一方、表材20は、吸水性を有し且つ植物Pが活着可能な繊維の集合体で構成される。尚、本明細書で「活着」とは植物が根付いて成長し続けることをいう。
【0026】
また上記繊維としては、生物に無害であり且つ耐水性を有する合成樹脂製の繊維(例え
ばポリエステル製の糸状繊維)が使用される。
【0027】
そして、この繊維の複数の束21…が、芯材10を取り巻くようにして筒状に編まれることで、本実施形態の表材20が構成される。この場合、本実施形態では、
図2に例示したように並列する複数の繊維束21…が芯材10の周囲を螺旋状に取り巻くようにのび、それらの繊維束21…と、他の繊維束21…とが互いに斜めに交差し且つその交差点で交互に折り重なり合うようにして筒状体に編まれる。
【0028】
尚、
図2は、上記した繊維束21…の編まれた状態を模式的に表示しており、特に横断面図は、各紐Cにおける繊維束21…相互の折り重なり態様を正確に描写したものではない。この点は、紐集合体Rの横断面を模式的に表す
図4も同様である。
【0029】
そして、表材20と、表材20の中空部を縦通する芯材10とは、各々の両端部において相互間が結着される。この結着手段として、本実施形態では接着手段が用いられ、即ち表材20及び芯材10の切り揃えられた一端部相互及び他端部相互がそれぞれ接着剤30で接着される。尚、上記した端部の接着に加えて、中間部相互を接着してもよい。
【0030】
また、上記結着手段としては、実施形態に限定されず、種々の結着手段が使用可能である。例えば表材20及び芯材10の両端部を熱溶着してもよいし、或いはまた、両端部又は中間部に被せた金属製筒体の外周をカシメるようにしてもよい。
【0031】
表材20は、流木又は小枝に近い色(例えば実施形態では焦げ茶色)に着色される。これにより、紐Cを適宜曲げた状態では、流木又は小枝により似せることができるため、ナチュラル感をより効果的に演出することができる。
【0032】
上記した構成の植物保持用紐Cは、水中では沈む密度(即ち水より大きい密度)を有している。従って、水を張った水槽V内に所定形状に曲げ変形させた紐Cを置いた場合は、紐Cがその曲げ形状のまま水槽Vの底部に静止状態で載置される。また複数の紐Cの集合体である紐集合体Rについても、上記と同様であり、即ち、紐集合体Rを適宜形状に曲げ変形させた状態のまま水槽Vの底部に載置可能である。
【0033】
次に植物保持用紐集合体Rの一例を、
図3,
図4を参照して説明する。この紐集合体Rは、複数の植物保持用紐Cを縒り合わせてロープ状に構成されたものであって、芯材10の可撓性及び保形性、並びに表材20の可撓性に由来して、紐集合体R全体としても可撓性及び保形性を有している。
【0034】
そして、紐集合体Rの両端部においては、縒り合わされた複数の紐Cの相互間が結着される。この結着手段として、本実施形態では接着手段が用いられ、即ち、縒り合わされた複数の紐Cの切り揃えられた一端部相互及び他端部相互がそれぞれ接着剤31で接着される。尚、上記結着手段としては、実施形態に限定されず、種々の結着手段が使用可能である。例えば縒り合わされた複数の紐Cの一端部相互及び他端部相互を熱溶着してもよいし、或いはまた、各端部又は中間部に被せた金属製筒体の外周をカシメてもよい。
【0035】
また植物保持用紐集合体Rにおいては、縒り合わされて隣り合う植物保持用紐Cの相互間の隙間45を、紐C相互を摘んで拡げたり紐集合体Rの両端を引っ張ったりすることで適宜変化させることができ、その隙間45に植物Pの茎又は根を保持可能である。
【0036】
次に本実施形態の作用を、
図5,
図6も併せて参照して説明する。
【0037】
水槽V内でテラリウムを構築するために、先ず、
図1に例示したように、水槽Vの底部
に砂利及び/又は土よりなる底床即ちソイル50を敷き、それに水を掛けると共に陸生植物の一部を植えつける。
【0038】
更に、他の植物Pのレイアウトに応じて植物保持用紐C及び紐集合体Rを適宜形状に曲げると共に、その紐C及び紐集合体Rに植物Pの茎又は根の部分を保持させる。そして、その紐C及び紐集合体Rを水槽V底部のソイル50の上に載置したり、或いはソイル50上に適宜置かれた水槽用レイアウトグッズ(例えば動物や建物等を模造した置物、飾り岩51等)に絡めたり、引っ掛けたり或いは置いたりする。或いはまた、紐C及び紐集合体Rの相互を適宜曲げて、互いに絡ませたり引っ掛けたりしてもよい。
【0039】
このとき、紐Cを、例えば
図5(a)に示すようにソイル50の上面から上方に蔓状にくねらせるよう変形、起立させると共に、その上端部Cuを巻き回してその中心部に植物Pの茎又は根を差し入れたり、或いは
図5(b)に示すように紐Cの途中に結び目Cmを作って、その結び目Cmの中に植物Pの茎又は根を差し入れたりすることで、植物Pを所望の姿勢に保持し、その状態で紐Cの表材20に植物Pが根付く、即ち活着するのを待つようにする。
【0040】
或いはまた、
図5(c)に示すように、紐Cをとぐろ状に大きく巻いて、その巻き部Ctの中に、植物Pの根を活着させた土入りの鉢40を嵌合、支持させる使用例も実施可能である。尚、この場合、鉢40は、図示例のように細かい網目のネット材や布材で形成してもよく、或いは通常の植木鉢と同様の有底筒状構造でもよい。
【0041】
また紐集合体Rについても、これを、例えば
図1に示すようにソイル50の上面から上方に延び出すように変形、起立させ、隣り合う紐C間の隙間45に植物Pの茎又は根を差し入れて活着させる。この場合、例えば、
図6(a)に示すように紐Cの相互間を摘んで隙間45を拡げた状態で、そこに植物Pの茎又は根を差し入れ、その後で、紐集合体Rの両端を引っ張って隙間45を詰めることで、植物Pの保持を確実にする。そして、この隙間45に保持された植物Pの茎又は根も、時間の経過と共に紐Cの表材20に活着するようになる。
【0042】
前記した本実施形態によれば、水槽V内で植物Pの保持に用いる植物保持用紐Cが、可撓性及び保形性を有する芯材10と、その芯材10に固定されて芯材10の外周を覆い且つ芯材10と共に変形可能な表材20とを備え、表材20は、吸水性を有し且つ植物Pが活着可能な繊維の集合体で構成される。これにより、水槽Vの大きさや水槽V内での植物Pのレイアウト及び保持態様、更には水槽用レイアウトグッズ51の配置態様に応じて芯材10(従って紐C)を適宜形状に曲げ変形させ且つその形状を保持できる。
【0043】
従って、この紐Cを用いて、植物Pを水槽V内で体裁よく、しかも高い自由度を以てレイアウトし且つ保持可能である。また紐Cの表材20を構成する繊維集合体は、これに植物Pを容易に根付かせることができるばかりか、吸水性(従って保水性)も有することにより、一部を水上に配した場合でも陸生植物Pが支障なく生育可能となる。
【0044】
その上、紐Cは、これを適宜曲げ変形させることで例えば流木や小枝の形態に似せられるから、表材20が焦げ茶色に着色される効果とも相俟って、ナチュラル感を効果的に演出できる。従って、ナチュラル感の演出のために流木や小枝を特別に用意する必要はなくなり、取扱いが簡便となる。
【0045】
また本実施形態の表材20は、芯材10を取り巻くように繊維を筒状に編んで構成されるため、芯材10を取り巻く繊維集合体が容易に得られる。またこの表材20と芯材10とは、各々の両端部において相互間が結着(例えば接着)される関係で、表材20と芯材
10間を簡単に一体化でき、コスト節減が達成される。
【0046】
さらに紐Cの構成材である表材20及び芯材10は、耐水性の合成樹脂材で構成される。これにより、紐Cは、これが長時間水に浸かった状態で使用しても変質したり腐ったりせず、所期の保持性能を発揮することができる。
【0047】
また本実施形態では、上記した紐Cを複数縒り合わせてロープ状の植物保持用紐集合体Rが製作される。そして、この紐集合体Rも、紐Cの芯材10と同様、可撓性及び保形性を有しており、紐Cと同様の使い勝手が可能となる。その上、互いに縒り合わされた紐Cと紐Cとの間も、植物Pの保持に利用可能となる。
【0048】
而して、水槽Vの大きさや水槽V内での植物Pのレイアウト及び保持態様、更には水槽用レイアウトグッズ51に応じて紐集合体Rを適宜形状に曲げ変形させ且つその形状を保持することができる。これにより、個々の紐Cの保持機能と同様、紐集合体Rによっても、植物Pを水槽V内で体裁よく、しかも高い自由度を以てレイアウトし且つ保持可能である。
【0049】
しかも紐Cと紐Cとの間の隙間45は、紐C相互を摘んで拡げたり紐集合体Rを引っ張ったりすることで植物Pのサイズに応じて適宜変化させることができるから、その隙間45に植物Pを簡単且つ的確に保持可能となり、植物Pの脱着(従って取替え)作業も容易であり、利便性が高められる。またロープ状の紐集合体Rとすることで、流木や小枝により近い太めの植物保持具が得られる。
【0050】
また
図7では、アクアリウム用(例えば鑑賞魚飼育用)の水槽V内で水生植物(即ち水草)P′を、本発明に係る植物保持用紐C及び紐集合体Rを用いて保持させた使用例が示される。
【0051】
この場合も、保持対象が水生植物P′である点を除いて、先の陸生植物Pを保持する場合(即ち
図1)の使用例と同様の使い勝手で、植物保持用紐C及び紐集合体Rにより水生植物P′を保持可能である。尚、その紐C及び紐集合体Rは、前述のように水の密度より高密度であるため、水中に浸漬されても水面を浮遊することなく水生植物P′の保持を的確に行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0053】
例えば、前記実施形態では、表材20として、芯材10を取り巻くように繊維(図示例では複数の繊維束21…)を筒状に編んで構成したものが示されるが、本発明の表材20を構成する繊維は実施形態に限定されず、少なくとも吸水性を有し且つ植物Pが活着可能なものであればよい。例えば、繊維を規則的に織ったり編んだりしない筒状の不織布で表材20を構成してもよい。
【0054】
また前記実施形態では、表材20の色を焦げ茶色に着色したが、その色は、実施形態に限定されず、水槽V内に置かれてナチュラル感を違和感なく演出できるような色(例えば茶色)であればよい。
【符号の説明】
【0055】
C・・・・・植物保持用紐
P・・・・・陸生の植物
P′・・・・水生の植物
R・・・・・植物保持用紐集合体
10・・・・芯材
20・・・・表材
21・・・・繊維の束
30,31・・結着手段としての接着剤