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特許7284966コイル状チュービング及びスリックラインユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】コイル状チュービング及びスリックラインユニット
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/00 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
E21B17/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020552809
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019023819
(87)【国際公開番号】W WO2019190953
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】15/935,322
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520369788
【氏名又は名称】ラドジェット サービセス ユーエス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100216736
【弁理士】
【氏名又は名称】竹井 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100202706
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 克彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】長野 光宏
(72)【発明者】
【氏名】マザラック ケビン
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03848685(US,A)
【文献】米国特許第01914654(US,A)
【文献】米国特許第03766996(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0314132(US,A1)
【文献】特表2017-534007(JP,A)
【文献】特開平02-190594(JP,A)
【文献】特表2008-501078(JP,A)
【文献】特表2009-501858(JP,A)
【文献】実開平06-053651(JP,U)
【文献】特表2003-524094(JP,A)
【文献】特開2014-238004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに取り付けられたコイル状チュービングアセンブリであって、前記コイル状チュービングアセンブリは、コイル状チュービングドラム及びシャフトを有する、コイル状チュービングアセンブリと、
前記ベースに取り付けられたスリックラインアセンブリであって、前記スリックラインアセンブリは、スリックラインドラム及び少なくとも1つのベアリングユニットを有し、前記コイル状チュービングアセンブリの前記シャフトは、前記スリックラインドラムの内部を通過するように前記少なくとも1つのベアリングユニットによって受け入れられ、前記コイル状チュービングドラムは、前記スリックラインドラムとは独立して回転可能である、スリックラインアセンブリと、
を含む装置。
【請求項2】
前記コイル状チュービングアセンブリと前記スリックラインアセンブリが共通の回転軸を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
スキッドであって、前記ベースが前記スキッド上に取り外し可能に配置されたスキッド、
をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スキッド上に配置された動力ユニットであって、エンジンと、少なくとも第1液圧ポンプと、第2液圧ポンプとを有する動力ユニットと、
前記ベース上に配置され、前記コイル状チュービングアセンブリに接続された第1モータであって、前記第1モータは第1液圧ホースを介して前記第1液圧ポンプに接続されている、第1モータと、
前記ベース上に配置され、前記スリックラインアセンブリに接続された第2モータであって、前記第2モータは第2液圧ホースを介して前記第2液圧ポンプに接続されている、第2モータと、
をさらに含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スキッド上に配置された流体ポンプであって、前記流体ポンプに接続された第3モータを有し、前記第3モータは第3液圧ホースを介して前記動力ユニットの第3液圧ポンプに接続される、流体ポンプ、
をさらに含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コイル状チュービングアセンブリの前記シャフトは、前記スリックラインドラムの外側に延びる端部を有し、
前記シャフトの前記端部に取り付けられた流体ホース接続部であって、前記流体ホース接続部が前記シャフトに対して回転可能である、流体ホース接続部と、
前記コイル状チュービングドラムの第1及び第2リールフランジの間に位置する、前記シャフトを貫通して穿設された穿孔と、
をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コイル状チュービングアセンブリの前記シャフトは、前記穿孔と前記流体ホース接続部との内部通路を有する、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コイル状チュービングアセンブリは、それに隣接して配置されたレベルワインドアセンブリを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記スキッドに配置された制御キャブ、
をさらに含む請求項3に記載の装置。
【請求項10】
動力ユニットが配置されたスキッドであって、前記動力ユニットがエンジン、第1液圧ポンプ及び第2液圧ポンプを有するスキッドと、
前記スキッド上に取り外し可能に配置されたモジュールであって、前記モジュールは、第1モータを有する第1リールアセンブリと、第2モータを有する第2リールアセンブリとを有し、前記第1リールアセンブリと前記第2リールアセンブリとは、共通の回転軸を有し、かつ、独立して回転可能であり、前記第1モータは第1液圧ホースを介して前記第1液圧ポンプに接続され、前記第2モータは第2液圧ホースを介して前記第2液圧ポンプに接続される、モジュールと、
を含み、
前記第1リールアセンブリはコイル状チュービングリールアセンブリであり、
前記第2リールアセンブリはスリックラインリールアセンブリである、
装置。
【請求項11】
前記スキッドは、前記動力ユニット、前記第1リールアセンブリ及び前記第2リールアセンブリを作動させるように構成された制御装置をその上に配置している、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記スキッド上に配置された制御キャブ内に配置される、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1リールアセンブリはシャフト及びドラムを有し、
前記第2リールアセンブリは少なくとも一つのベアリングユニットを有するドラムを有し、
前記第1リールアセンブリの前記シャフトは、前記第2リールアセンブリの前記少なくとも一つのベアリングユニットによって受け入れられ、前記第2リールアセンブリの前記ドラムの内部を通って延びる、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記第1リールアセンブリと反対側の前記第2リールアセンブリ側の前記シャフトに取り付けられた流体ホース接続部であって、前記流体ホース接続部が前記シャフトに対して回転可能である流体ホース接続部と、
前記第1リールアセンブリの前記ドラムの第1及び第2リールフランジの間に位置する、前記シャフトを貫通して穿設された穿孔と、
をさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記スキッドは、その上に配置されたポンプを有し、前記ポンプは前記流体ホース接続部および前記穿孔を介して前記第1リールアセンブリに流体を供給するように構成されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
ベースと、
前記ベースに取り付けられたコイル状チュービングアセンブリであって、対向するフランジを有するコイル状チュービングドラムと、シャフトとを有し、前記シャフトは、前記コイル状チュービングドラムの内部を通って延び、前記コイル状チュービングドラムの対向するフランジ間の位置に穿設された穿孔を有する、コイル状チュービングアセンブリと、
第2ドラムと前記コイル状チュービングドラムとが回転軸を共有するように前記コイル状チュービングアセンブリに隣接して配置された第2ドラムであって、前記第2ドラムは少なくとも1つのベアリングユニットを有し、前記コイル状チュービングアセンブリの前記シャフトは、前記少なくとも1つのベアリングユニットによって受け入れられ、前記第2ドラムの内部を通って延びる、第2ドラムと、
前記第2ドラムに隣接する前記シャフトの端部に取り付けられたスイベル接続部であって、前記スイベル接続部は前記シャフトに対して回転可能であり、前記スイベル接続部は前記シャフトの中空内部に流体またはケーブルを導入することを可能にするように構成された、スイベル接続部と、
を含み、
前記第2ドラムはスリックラインドラムである、
コイル状チュービングユニット。
【請求項17】
前記コイル状チュービングアセンブリ及び第2ドラムの各々は、それに接続され、かつ前記ベース上に位置するそれぞれのモータを有しており、
液圧動力ユニットを有するスキッドであって、前記ベースが前記スキッドに取り付けられ、前記液圧動力ユニットは、前記コイル状チュービングアセンブリの前記モータに接続された第1液圧ホースと、前記第2ドラムの前記モータに接続された第2液圧ホースと、を有する、スキッド、
をさらに含む請求項16に記載のコイル状チュービングユニット。
【請求項18】
前記ベースが前記スキッドに取り外し可能に取り付けられている、
請求項17に記載のコイル状チュービングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル状チュービングシステムの分野に関する。より詳細には、本発明は、コイル状チュービングアセンブリが、回転軸を共有するように、スリックラインアセンブリに隣接して配置されるコイル状チュービングシステムに関する。
【0002】
ウェル操作のためのコイル状チュービングシステムは一般に知られている。このようなシステムでは、典型的には金属から製造された連続的なチュービングは、インジェクタヘッドによってウェル内に下方に駆動され、インジェクタヘッドは、チュービングを把持し、2つのモータを用いてウェル内にそれを下方に駆動する一対の連続チェーン把持ドッグアセンブリからなる。チェーンドッグアセンブリの逆操作を使用して、ウェルからチュービングを引き抜きます。
【0003】
地上では、チュービングは大きなドラムまたはリールに収納され、そこからインジェクタヘッドを引くことでチュービングが引き出される。リールは、ウェルから引き出されるときにチュービングをドラム上に再装填できるようにモータ駆動される。
【0004】
レベルワインドは、ドラムが収容できるチュービングの長さを最大にするように、チュービングストリングをドラム上に整然と誘導するために使用される。
【0005】
浅いウェル深度でコイル状チュービング操作が行われ、ウェルが「死んだ」と考えられる用途(すなわち、ウェル流体の静水圧が地層圧力を超える。)については、ウェル内のコイル状チュービングストリングの重量が一般的なウェルボア流体の浮力係数を超えるため、インジェクタの必要はない。
【0006】
基本的なコイル状チュービング装置(リール、流体ポンプ、チュービングガイド)は、業界内のウェルインターベンションの分野で働くすべてのサービスプロバイダーで非常に類似した設計である。サービスプロバイダーは、クレーンで機器を移動する場合に重量制限が適用される可能性があることを考慮して、各ユニットの容量または能力を最大化するために、これらの機器を個別に供給する傾向がある。
【0007】
コイル状のチュービングリールは、それ自体がスキッドの形で又はトレーラの後部に単独で提供される傾向がある。流体ポンプも同様に、それ自体のスキッドまたはトレーラで提供される傾向がある。
【0008】
コイル状チュービングユニットに関する種々の特許が過去に発行されている。例えば、1974年10月15日にBozemanにより発行された米国特許第3,841,407号は、そのようなコイル状チュービングユニットを教示している。この特許には、フレームによって形成された弓形の経路に沿って移動する対向するローラチェーンを含む供給ユニットによってコイル状チュービングがリールから引き出される、ウェル内にコイル状チュービングを走行させるための装置および方法が開示されている。一方のローラチェーンには動力が供給され、チュービングを把持する把持要素が設けられ、他方のローラチェーンはホース内の流体圧によってチュービングと係合するように押圧される。ホースは円弧状経路に沿って均一な圧力を提供し、チュービングは円弧状経路の出口で矯正装置によって矯正される。
【0009】
1981年5月5日にBaughにより発行された米国特許第4,265,304号。この特許は、ウェル上で作動するためのコイル状チュービング装置を開示し、チュービングインジェクタヘッドがマスト上に支持され、マストに沿って選択された高さに移動可能である。マストは、下部と、下部に回動可能に結合された上部とを含む。インジェクタヘッドはピボットポイントより下に下げられ、輸送目的でマストが折り畳まれてもよい。
【0010】
スリックラインは、ウェル操作のための別の重要なツールであり、一般的によく知られている。スリックラインは、液圧でワイヤを出し入れすることによってウェル内で昇降され、一般的には、非ポンピング操作が必要とされる場所に配備することがより簡単かつ迅速であるので、コイル状チュービングユニットに加えて要求される。
【0011】
スリックラインは、スリックラインに関連する種々の特許に開示されているように、ウェル内で多くの目的のために使用することができる。例えば、2013年6月20日に公開された米国特許公開第2013/0153,227号は、ウェル内でモータ駆動ミルを運転するためのスリックラインの使用を開示している。
【0012】
2012年3月20日にLyndeらにより発行された米国特許第8,136,587号は、管状スクレーパーシステムを有するスリックラインの使用を開示している。この特許のダウンホール管状スクレーパは、搭載された電源と共にスリックライン上を走行し、アンカーを有する逆回転スクレーパ又は単一の回転スクレーパを有するアンカーを特徴とする。
【0013】
[1]2013年3月26日にLairdらにより発行された米国特許第8,403,048号は、チュービングカッタを駆動するためのスリックラインの使用を教示している。チュービングカッタは、切断されるチュービング内にシール及び支持部を含む底孔アセンブリを備えた状態で走行される。
【0014】
2017年3月14日にUllahにより発行された米国特許第9,593,573号は、光ファイバスリックラインおよびそれに関連するツールを開示している。光ファイバスリックラインは、光ファイバスリックラインを介して通信するように構成された様々なダウンホールツール及びツールアセンブリとの通信を可能にする。このスリックラインは、伐採やその他のダウンホール作業に使用でき、地上装置とのリアルタイム通信を提供します。
【0015】
本発明の目的は、コイル状チュービングとスリックラインリールとを単一のユニットに結合する装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、輸送及びリフティングに関連する潜在的な危険性を低減するコイル状チュービングとスリックラインユニットとを組み合わせたものを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、ウェルサイトでの装置のフットプリントを低減するコイル状チュービングおよびスリックラインユニットを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、現場でより少ない人員を必要とする複合コイル状チュービング及びスリックラインユニットを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、流体ポンプおよびパワーパックを種々のリールに接続するために必要な外部の取り外し可能な液圧ホースがない複合コイル状チュービングおよびスリックラインユニットを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、コイル状チュービングとスリックラインドラムの両方がウェルヘッドと整列している、複合コイル状チュービング及びスリックラインユニットを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、単一の電源パックが、一方のユニットへの電力供給から他方のユニットへの電力供給に切り替えるために必要な切断がないように、両方のユニットに電力を供給する、複合コイル状チュービングおよびスリックラインユニットを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、コイル状チュービング及び/又はスリックラインサイズを変更するために、コイル状チュービング及びスリックラインモジュールを迅速に切り替えることができる複合コイル状チュービング及びスリックラインユニットを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、コイル状チュービングおよび/またはスリックラインドラムの様々な使用を可能にするモジュラーアセンブリを提供することである。
【0024】
本発明のこれらおよび他の目的および利点は、添付の明細書および添付の特許請求の範囲を読むことによって明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0025】
本発明の一実施形態は、ベースと、ベースに取り付けられたコイル状チュービングアセンブリと、ベースに取り付けられたスリックラインアセンブリとを有する装置である。コイル状チュービングアセンブリは、シャフトに取り付けられたコイル状チュービングリールを有する。スリックラインアセンブリは、スリックラインドラムと、少なくとも1つのベアリングユニットとを有する。コイル状チュービングアセンブリのシャフトは、少なくとも1つのベアリングユニットによって、スリックラインドラムの内部を通過するように受け入れられ、コイル状チュービングドラムは、スリックラインドラムとは独立して回転可能である。
【0026】
本発明の一実施形態では、コイル状チュービングアセンブリおよびスリックラインアセンブリは、共通の回転軸を有する。
【0027】
一実施形態では、装置は、更に、スキッドを含み、ベースは、スキッド上に取り外し可能に配置される。スキッドは、その上に位置決めされた電源ユニットを有してもよい。動力ユニットは、エンジンと、少なくとも第1液圧ポンプと第2液圧ポンプとを有することが好ましい。第1モータをベース上に配置し、コイル状チュービングアセンブリに接続してもよい。第1モータは、第1液圧ホースを介して第1液圧ポンプに接続されている。第2モータをベース上に配置し、スリックラインアセンブリに接続することができる。第2モータは、第2液圧ホースを介して第2液圧ポンプに接続されている。
【0028】
流体ポンプをスキッド上に配置してもよい。流体ポンプは、好ましくは、それに接続された第3モータを有する。第3モータは、第3液圧ホースによって動力ユニットの第3液圧ポンプに接続される。
【0029】
一実施形態によると、コイル状チュービングアセンブリのシャフトは、スリックラインドラムの外側に延びる端部を有する。この実施形態では、流体ホース接続部がシャフトの端部に取り付けられ、シャフトに対して回転可能である。コイル状チュービングドラムの第1リールフランジと第2リールフランジとの間の位置に、シャフトを貫通して穿孔が開けられる。好ましくは、コイル状チュービングアセンブリのシャフトは、穿孔と流体ホース接続部との間に内部通路を有する。
【0030】
一実施形態によると、スリックラインアセンブリは、それに隣接して配置されたレベルワインドアセンブリを有する。
【0031】
好ましくは、制御キャブがスキッド上に配置される。
【0032】
本発明はまた、動力ユニットが配置されたスキッドと、その上に取り外し可能に配置されたモジュールとを有する装置である。動力ユニットは、エンジンと、第1液圧ポンプと、第2液圧ポンプとを有する。モジュールは、第1モータを有する第1リールアセンブリと、第2モータを有する第2リールアセンブリとを有する。共通の回転軸を有する第1リールアセンブリおよび第2リールアセンブリは独立して回転可能である。第1モータは第1液圧ホースを介して第1液圧ポンプに接続されている。第2モータは第2液圧ホースを介して第2液圧ポンプを接続することが好ましい。
【0033】
一実施形態では、スキッドは、動力ユニット、第1リールアセンブリ及び第2リールアセンブリを作動させるように構成された制御装置をその上に配置することが好ましい。制御装置は、好ましくは、スキッド上に配置された制御キャブ内に配置される。
【0034】
一実施形態によると、第1リールアセンブリは、シャフトとドラムとを有する。第2リールアセンブリは、少なくとも1つのベアリングユニットを有するドラムを有する。第1リールアセンブリのシャフトは、第2リールアセンブリのベアリングユニットによって受け入れられ、第2リールアセンブリのドラムの内部を通って延びる。好ましくは、流体ホース接続部は、第1リールアセンブリとは反対側の第2リールアセンブリ側のシャフトに取り付けられる。流体ホース接続部は、シャフトに対して回転可能である。第1リールアセンブリのドラムの第1リールフランジと第2リールフランジとの間の位置にあるシャフトにも穿孔が開けられる。
【0035】
一実施形態によると、スキッドは、その上に配置された流体ポンプを有し、流体ポンプは、流体ホース接続部および穿孔を介して第1リールアセンブリに流体を供給するように構成されている。
【0036】
好ましくは、第1リールアセンブリは、コイル状チュービングリールアセンブリであり、第2リールアセンブリは、スリックラインリールアセンブリである。
【0037】
本発明はまた、ベースと、ベースに取り付けられたコイル状チュービングアセンブリと、コイル状チュービングアセンブリに隣接して配置された第2ドラムと、スイベル接続部とを有するコイル状チュービングユニットである。コイル状チュービングアセンブリは、対向するフランジとシャフトとを有するコイル状チュービングドラムを有する。シャフトは、コイル状チュービングドラムの内部を通って延び、コイル状チュービングドラムの対向するフランジ間の位置に穿設された穿孔を有する。第2ドラムは、第2ドラムとコイル状チュービングドラムとが回転軸を共有するように、コイル状チュービングアセンブリに隣接して配置される。第2ドラムは、少なくとも1つのベアリングユニットを有する。コイル状チュービングアセンブリのシャフトは、少なくとも1つのベアリングユニットによって受け入れられ、第2ドラムの内部を通って延びる。スイベル接続部は、第2ドラムに隣接するシャフトの端部に取り付けられる。スイベル接続部は、シャフトに対して回転可能であり、シャフトの中空内部に流体またはケーブルを導入することを可能にするように構成されている。
【0038】
好ましくは、コイル状チュービングアセンブリ及び第2ドラムの各々は、それに接続され、かつベース上に位置するそれぞれのモータを有する。コイル状チュービングユニットはまた、液圧動力ユニットを有するスキッドを含む。ベースはスキッドに配置される。液圧動力ユニットは、コイル状チュービングアセンブリのモータに接続された第1液圧ホースを有し、第2液圧ホースは第2ドラムのモータに接続される。好ましくは、ベースはスキッドに取り外し可能に取り付けられる。
【0039】
第2ドラムは、スリックラインドラムであることが好ましい。
【0040】
この節は、特に、本発明の好ましい実施形態を説明することを意図している。これらの好ましい実施形態に対する修正は、本特許請求の範囲の範囲内で行うことができることが理解される。したがって、この節は、いかなる意味においても、本発明の広い範囲を制限するものと解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の好ましい実施形態のコイル状チュービングおよびスリックラインユニットの斜視図である。
【0042】
図2】本発明の好ましい実施形態のコイル状チュービングおよびスリックラインユニットの側面図である。
【0043】
図3】本発明の好ましい実施形態のスリックラインアセンブリに焦点を合わせた分離図である。
【0044】
図4】本発明のユニットのコイル状チュービングおよびスリックラインアセンブリの分離図であり、コイル状チュービングユニットの様々な構成要素は、明確にするために除去されている。
【0045】
図5】本発明のコイル状チュービングおよびスリックラインユニットの正面図である。
【0046】
図6】本発明のコイル状チュービングおよびスリックラインユニットの種々の構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1および図2を参照すると、本発明の好ましい実施形態によるコイル状チュービングおよびスリックラインユニット10が示されている。コイル状チュービング及びスリックラインユニット10は、ほぼ矩形のフレームを有するスキッド12を含む。スキッド12は、その一端でスリックライン及びコイル状チュービングモジュール14を支持する。好ましくは、スリックライン及びコイル状チュービングモジュール14は、スキッド12上に取り外し可能に配置され、スキッド12及びモジュール14は、フォークリフト及びスリングを含む従来の手段によって輸送されるようになっている。
【0048】
スリックライン及びコイル状チュービングモジュール14は、ベース16が第1リールアセンブリ18及び第2リールアセンブリ26を支持している。本発明の好ましい実施形態では、第1リールアセンブリ18はコイル状チュービングアセンブリ18の形態であり、第2リールアセンブリ26はスリックラインアセンブリ26の形態であり、以下、それぞれそのように呼ばれる。種々のチュービングまたはリールアセンブリが、ウェル操作または他の類似の操作で使用可能な異なるタイプのチュービングまたはリールアセンブリの形態をとり得ることは、本発明の概念の範囲内である。
【0049】
コイル状チュービングアセンブリ18は、一対のコイル状チュービングリールフランジ22を備えたコイル状チュービングドラム20を有するものとして示されている。コイル状チュービングレベルワインド24は、コイル状チュービングドラム20の前方に配置されて示されており、コイル状チュービングドラムへのコイル状チュービング(図示せず)の巻付け及びコイル状チュービングドラム20からの巻取りを補助する役割を果たす。スリックラインアセンブリ26は、以下により詳細に示されている。
【0050】
好ましくは、スキッド12は、コイル状チュービングアセンブリ18、スリックラインアセンブリ26、および関連するモータおよびポンプを制御するための適切な制御装置を備えた制御キャブ28を有する。制御キャブ28は、アクセスドア32及び窓34を有するものとして図示されている。制御キャブは、制御のためのセントラルロケーションとして機能し、したがって、コイル状チュービング及びスリックラインが別個の電源を有する別個のユニット上に設けられている従来技術と比較して、より少ない人員で操作する必要がある。
【0051】
動力ユニット30は、スキッド12上のアセンブリ18及び26と反対側の端部に配置されて示されており、動力ユニット30に隣接して、後述する液圧ポンプからの作動油を冷却するための液圧ラジエータ36が配置されている。
【0052】
高圧流体ポンプ37が図2に示されており、ウェル内の噴射に使用することができる。この流体ポンプ37は、後述するように、コイル状チュービングアセンブリ18に接続される。流体ポンプは、従来、コイル状チュービングユニットとは別に供給されている。
【0053】
図3を参照すると、スリックラインアセンブリ26に隣接する分離図が示されている。図3では、支持フレーム38が、スリックラインアセンブリ26の一端に設けられていることが分かる。支持フレームは、スリックラインドラム40を、スリックラインおよびコイル状チュービングモジュール14のベース16の垂直上方に支持する働きをする。スリックラインドラム40は、一対のスリックラムフランジ42を有するものとして示されている。チェーンスプロケット44が、スリックラインドラム40の片側に示されている。チェーンスプロケット44は、スリックラインアセンブリ26を独立して駆動する働きをする専用モータ(後述する)からチェーン(図示せず)を受け取る。
【0054】
第2チェーンスプロケット45が図3に示されている。第2チェーンスプロケット45は、チェーン(図示せず)を受け取り、コイル状チュービングドラム20の回転からレベルワインド24を作動させるために使用される。
【0055】
重要なことに、図3は、スリックラインリールベアリング46を示している。少なくとも一つのスリックラインリールベアリングユニット46が、スリックラインドラム40上に設けられている。しかし、本発明の好ましい実施形態では、スリックラインリールベアリングユニット46が、スリックラインドラムフランジ42に隣接するスリックラインドラム40の両端に設けられている。スリックラインリールベアリングユニット46は、コイル状チュービングアセンブリ18のメインシャフト54を受け入れる。重要なことに、メインシャフト54は、スリックラインドラム40の内部を通っているが、それに堅固に接続されていない。これにより、コイル状チュービングドラム20とスリックラインドラム40とが互いに独立して回転することができる。
【0056】
図3では、シャフト54の一部が支持体50の外側にどのように延びているかを見ることができる。図3はまた、スイベルジョイント流体ホース接続部48を示している。この接続部48は、メインシャフト54に対して回転することができ、メインシャフト54を貫通してメインシャフト54に穿設された穿孔(図4に示すように)と連通するようにメインシャフトの内部通路内に流体またはケーブルを導入するために利用される。スイベルジョイント流体ホース接続部48は、メインシャフト54に取り付けられた一組のベアリングによって回転可能であることが好ましい。
【0057】
図4を参照すると、コイル状チュービング18およびスリックラインアセンブリ26の分離図が示されており、コイル状チュービングアセンブリ18およびスリックラインアセンブリ26の様々な構成要素、特に、本発明の作用をよりよく示すために、コイル状チュービングドラム20の表面は示されていない。
【0058】
図4には、コイル状チュービングリールモータ及びギアボックス52が示されており、コイル状チュービングリールモータ及びギアボックスは、スリックラインアセンブリ26と反対側のコイル状チュービングリールアセンブリ18の一端に配置されている。コイル状チュービングリールモータ及びギアボックス52は、液圧ホース(図示せず)によって動力を与えられ、コイル状チュービングリールドラム20を所望の速度で回転させる働きをする。
【0059】
図4はまた、メインシャフト54がコイル状チュービングアセンブリ18の内部を通って延び、スリックラインリールベアリング46によって受け入れられる様子を示している。メインシャフト54は二つの異なる外径を有するように示されているが、メインシャフト54はその全長に沿って一定の外径を有することができる。また、メインシャフト54の穿孔56は、コイル状チュービングアセンブリ18の対向するリールフランジ22の間に示されており、穿孔56は、メインシャフト54の内部と流体連通しており、また、スイベルジョイント流体ホース接続部48は、スリックラインアセンブリ26の反対側のメインシャフト54上に配置されている。
【0060】
図5を参照すると、本発明のコイル状チュービング及びスリックラインユニット10の正面図が示されている。図5では、コイル状チュービングアセンブリ18とスリックラインアセンブリ26とが回転軸58を共有していることが分かる。このような構成により、リールアセンブリ18及び26の両方をウェルヘッドと整列させることができ、これは、コイル状チュービングアセンブリとスリックラインアセンブリが現場に配置されなければならない別個のユニットである従来技術と比較して大きな利点である。
【0061】
図6は、本発明のコイル状チュービングおよびスリックラインユニット10の様々な構成要素の概略図を示す。図6は、特に、スリックラインおよびコイル状チュービングモジュール14、動力ユニット30、および流体ポンプ37を示す。
【0062】
スリックラインおよびコイル状チュービングモジュール14は、コイル状チュービングアセンブリ18とスリックラインアセンブリ26とを含むように示されている。コイル状チュービングアセンブリ18用のモータ52は、モータ52とコイル状チュービングアセンブリ18との間にシャフト接続を有するように示されている。同様に、別のモータ72は、スリックラインリールアセンブリ26にチェーン接続を有するように示されている。
【0063】
高圧流体ポンプ37は、シャフト接続されたモータ68を有するものとして示されている。流体ポンプ37は、ホースを介して水または他の流体をコイル状チュービングアセンブリ18に供給する。
【0064】
図6は、動力ユニット30がエンジン74(好ましくはディーゼル)を変速機ボックス76を介して複数の液圧ポンプに接続する方法を示す。液圧ポンプ60は、高圧流体ポンプ37のモータ68に液圧ホース66aを介して接続されている。同様に、液圧ポンプ62が液圧ホース66bを介してコイルチュービングモータ52に接続されている。最後に、液圧ポンプ64が液圧ホース66cを介してスリックラインモータ72に接続されている。これらの液圧ホース66a、66b、66cは、スキッド12上の流体ポンプ37と、スリックラインおよびコイル状チュービングモジュール14上の各モータとに接続されるように、スキッド12を介して動力ユニット30から延びている。液圧ホース66a、66b、66cは、必要に応じて別のユニットに交換することができるように、様々な構成要素から迅速に取り外すことができる。液圧ホース66a、66b、66cは、好ましくは、従来技術の別個のコイル状チュービング及びスリックラインユニット並びにそれらのそれぞれのモータ及びポンプに関連するトリップの危険性を防止するために、スキッド12内を安全に通過する。
【0065】
好適な制御装置78は、図6に示すように、好ましくは、コイル状チュービング及びスリックラインユニット10の制御キャブ28内に配置され、本発明の種々のモータ及びポンプを制御するために使用される。これらの制御装置78の連結は、コイル状チュービング、スリックライン及び流体ポンプのための別個のシステムが必要とされる従来技術を大幅に改良したものである。
【0066】
コイル状チュービングアセンブリへの流体の導入は、コイル状チュービングアセンブリをスリックラインアセンブリと組み合わせる際に、特別な課題を提示する。通常のコイル状チュービングドラムでは、ギアシステムがリールの一方側にあり、流体がコイル状チュービングスイベルジョイントによって他方側のリールに入るので問題はほとんどない。コイル状のチュービングスイベルジョイントは、リールに流体が入ることを可能にするベアリング上で360°回転する。
【0067】
本発明では、スリックラインアセンブリは、本発明の目的を達成するために、コイル状チュービングアセンブリのギアリングシステムと反対側のコイル状チュービングアセンブリの側面に配置され、(1)コイル状チュービングドラムおよびスリックラインドラムはウェルヘッドと整列されており、(2)コイル状チュービングおよびスリックラインアセンブリは、スキッド上で容易に交換できる単一モジュール上に配置される。流体(または電気ケーブル)をコイル状チュービングアセンブリ内に導入できるように、コイル状チュービングアセンブリのメインシャフト54は、両リールの中心を通り、スリックラインリールの回転に影響を与えることなくスリックラインリールを越えて延びるように開発された。
【0068】
本発明のユニークな態様の一つは、スリックライン及びコイル状チュービングモジュール14を交換することが比較的容易であることである。コイル状チュービングストリングの交換を必要とする種々の状況はウェル操作中に生じる。例えば、利用されるチュービングサイズを変更することが必要または望ましい場合がある。多くの場合、かなりの時間を要するコイル状チュービングユニットを再ストリングすることも必要である。場合によっては、チュービングまたはウェル内で剪断された他のケーブルまたはワイヤを回収および再スプールするためのユニットを利用するために、撚りのないコイル状チュービングまたはスリックラインユニットを有することが望ましい。本発明では、コイル状チュービングユニットを交換するために(サイズまたは他の目的のために)、オペレータは、それに接続された液圧ホースを切断した後に、スリックライン及びコイル状チュービングモジュール14を取り外すだけでよい。その後、モジュールを別のモジュールと交換し、液圧ホースを接続する。
【0069】
前述したように、本発明の概念において、リールは、第1リールと第2リールとを含むことができる。特定の状況では、スリックラインまたはコイル状チュービングリール(すなわち第1リールおよび第2リール)は、従来とは異なる用途に使用することができる。例えば、電気ベース型モジュールを利用することができる。この用途では、電力又はデータケーブルは、流体の代わりに、スイベルジョイント接続部48と穿孔56との間に延在することができる。この例では、従来のキャピラリーチュービングの代わりに、より大きな第1リールを用いて、電線ケーブル又は電線コイル状チュービングを保持することができる。
【0070】
モジュール14は、ケーブル引き込みユニットとしても使用することができる。この用途では、引き込みケーブルは第1リールに追加され、現場での機器引き込み目的に使用することができる。通常の車両が使用できない環境では、川や濁った低地を横切って物品を引っ張ることが考えられる。
【0071】
モジュール14はまた、ウェル内で紛失したケーブルを回収するため、またはケーブルや、キャピラリーチュービング、スリックライン、ゴムホースなどの他のストリングを回収する必要がある場合の保管ユニットとして、使用できる。また、制御された速度かつ制御された力および張りで、ケーブル、チュービングなどを他の装置またはユニットに移送するために、ユニットを現場に移動させることもできる。本発明のユニットは、クレーンがケーブルをそのクレーンドラムに適用しているときに、ケーブルに背圧の張力を保持することができる。
【0072】
明細書および図面のレビューから理解されるように、本発明のモジュールの性質は、ウェルサイトでの時間および費用の両方を節約することができ、現場での作業者に対する傷害の可能性を低減することができる。
【0073】
本発明の前述の開示および説明は、本発明の例示および説明である。本発明の真の意図から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で、図示した構造の詳細の様々な変更を行うことができる。本発明は、以下の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物によってのみ限定されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6