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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ガス炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A47J27/00 105Z
A47J27/00 103R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018196358
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020062240
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義生
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-154624(JP,A)
【文献】特開2004-121524(JP,A)
【文献】実開昭61-018717(JP,U)
【文献】実開平02-022730(JP,U)
【文献】特開2003-190491(JP,A)
【文献】特開2006-095133(JP,A)
【文献】特開2007-029647(JP,A)
【文献】特開平09-022259(JP,A)
【文献】実開平07-023378(JP,U)
【文献】特開2003-180514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272385(US,A1)
【文献】国際公開第2014/093476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/13
A47J 27/20-29/06
A47J 33/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナが内部に固定され、且つ、表示ユニットが設けられる下部筐体と、
前記下部筐体の上側に固定され、内部に内釜が収納される上部筐体と
を備えたガス炊飯器であって、
前記下部筐体は、
上端部が開口した切欠き状の部位であって、前記表示ユニットが嵌まる嵌合部を備え、
前記表示ユニットは、前面部及び側面部を備えたユニット本体部を備え、
前記前面部は、表面側に情報を表示し、
前記側面部は、前記前面部に対し、前記前面部に沿って水平に延びる第1水平方向の両側に設けられ、
前記下部筐体の前記嵌合部及び前記ユニット本体部の前記側面部の一方は、第1係合部を有し、
前記下部筐体の前記嵌合部及び前記ユニット本体部の前記側面部の他方は、前記第1係合部に係合可能な第2係合部を有し、
前記表示ユニットは、
前記開口を介して上側から前記嵌合部に進入し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記嵌合部に嵌まり、
前記ユニット本体部は、
前記前面部の上端部から表面側に延びる第2上面部を更に備え、
前記第2上面部は、
前記第1水平方向に延びる第3係合部を有し、
前記上部筐体は、
前記第3係合部に係合して前記表示ユニットの位置ずれを規制する第4係合部を備え、
前記ユニット本体部の上端と、前記下部筐体の上端とのそれぞれの上下方向の位置が一致することを特徴とするガス炊飯器。
【請求項2】
前記第1係合部及び前記第2係合部の一方は、上下方向に沿って延びる溝部を有し
前記第1係合部及び前記第2係合部の他方は、前記溝部に対応して上下方向に沿って延びる突条を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で、前記溝部に前記突条が嵌ることを特徴とする請求項1に記載のガス炊飯器。
【請求項3】
前記ユニット本体部は、
複数のセグメントに対応する複数の孔を有し、前記前面部の少なくとも一部に形成された導光部を備え、
前記表示ユニットは、更に、
前記前面部の表面側に貼付され、透過性を有するシートと、
前記前面部の裏面側に配置され、前記導光部の前記複数の孔に対向する位置に複数のLEDが実装された基板と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス炊飯器。
【請求項4】
前記ユニット本体部の前記前面部の表面側は、前記第1水平方向と直交する第2水平方向に対して上側に傾斜した方向を向いたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のガス炊飯器。
【請求項5】
前記ユニット本体部は、
前記前面部の上端部から裏面側に延びる第1上面部を更に備えたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のガス炊飯器。
【請求項6】
前記下部筐体の底面のうち、前記嵌合部の下側に貫通穴が形成されたことを特徴とする請求項1からの何れかに記載のガス炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部を備えたガス炊飯器が公知である。特許文献1は、表示部を備えたガス燃焼式の炊飯器を開示する。表示部は、炊飯器のケーシングの上面のうち、閉じた状態の蓋の前側に配置される。表示部には、炊飯器の状態や選択メニュー等が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-350657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス炊飯器のデザインの多様化に伴い、表示部をガス炊飯器の下部に配置したいという要求がある。又、炊飯器の製造工程における表示部の組み付け作業や、メンテナンス時における表示部の取り外し作業を容易化したいという要求がある。
【0005】
本発明の目的は、筐体の下部に配置された表示部の組み付け作業及び取り外し作業が容易なガス炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係るガス炊飯器は、バーナが内部に固定され、且つ、表示ユニットが設けられる下部筐体と、前記下部筐体の上側に固定され、内部に内釜が収納される上部筐体とを備えたガス炊飯器であって、前記下部筐体は、上端部が開口した切欠き状の部位であって、前記表示ユニットが嵌まる嵌合部を備え、前記表示ユニットは、前面部及び側面部を備えたユニット本体部を備え、前記前面部は、表面側に情報を表示し、前記側面部は、前記前面部に対し、前記前面部に沿って水平に延びる第1水平方向の両側に設けられ、前記下部筐体の前記嵌合部及び前記ユニット本体部の前記側面部の一方は、第1係合部を有し、前記下部筐体の前記嵌合部及び前記ユニット本体部の前記側面部の他方は、前記第1係合部に係合可能な第2係合部を有し、前記表示ユニットは、前記開口を介して上側から前記嵌合部に進入し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合することによって、前記嵌合部に嵌まり、前記ユニット本体部は、前記前面部の上端部から表面側に延びる第2上面部を更に備え、前記第2上面部は、前記第1水平方向に延びる第3係合部を有し、前記上部筐体は、前記第3係合部に係合して前記表示ユニットの位置ずれを規制する第4係合部を備え、前記ユニット本体部の上端と、前記下部筐体の上端とのそれぞれの上下方向の位置が一致することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るガス炊飯器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1係合部及び前記第2係合部の一方は、上下方向に沿って延びる溝部を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部の他方は、前記溝部に対応して上下方向に沿って延びる突条を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態で、前記溝部に前記突条が嵌るとよい。
【0008】
請求項3に係るガス炊飯器は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記ユニット本体部は、複数のセグメントに対応する複数の孔を有し、前記前面部の少なくとも一部に形成された導光部を備え、前記表示ユニットは、更に、前記前面部の表面側に貼付され、透過性を有するシートと、前記前面部の裏面側に配置され、前記導光部の前記複数の孔に対向する位置に複数のLEDが実装された基板とを備えるとよい。
【0009】
請求項4に係るガス炊飯器は、請求項1から3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記ユニット本体部の前記前面部の表面側は、前記第1水平方向と直交する第2水平方向に対して上側に傾斜した方向を向くとよい。
【0010】
請求項5に係るガス炊飯器は、請求項1から4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記ユニット本体部は、前記前面部の上端部から裏面側に延びる第1上面部を更に備えるとよい。
【0011】
【0012】
請求項に係るガス炊飯器は、請求項1からの何れかの発明の構成に加え、前記下部筐体の底面のうち、前記嵌合部の下側に貫通孔が形成されるとよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るガス炊飯器によれば、表示ユニットが嵌合部に嵌められた状態で下部筐体に保持される。ここで作業者は、下部筐体の開口を介して上側から嵌合部に表示ユニットを差し込み、第1係合部と第2係合部とを係合させることによって、下部筐体に表示ユニットを取り付けることができる。このため作業者は、ガス炊飯器の製造工程において表示ユニットを下部筐体に容易に組み付けることができる。又、作業者は、第1係合部と第2係合部との係合状態を解除することによって、下部筐体から表示ユニットを取り外すことができる。このため作業者は、ガス炊飯器のメンテナンス時において表示ユニットを下部筐体から容易に取り外すことができる。又、ガス炊飯器は、表示ユニットの第3係合部に上部筐体の第4係合部を係合させることにより、上部筐体及び下部筐体に対して表示ユニットの位置がずれることを防止できる。
【0014】
請求項2に係るガス炊飯器は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、溝部に突条を嵌めることによって、下部筐体に表示ユニットを取り付けることができる。又、作業者は、溝部から突条を引き抜くことによって、下部筐体から表示ユニットを取り外すことができる。更に、下部筐体に対して表示ユニットが水平方向に移動することを、溝部及び突条によって抑制できる。
【0015】
請求項3に係るガス炊飯器によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、セグメント方式のLED素子が不要となるので、表示ユニットのコストを削減できる。
【0016】
請求項4に係るガス炊飯器によれば、請求項1から3の何れかに記載の発明の効果に加え、上側に傾斜した方向に向けて前面部の表面側を配置することによって、ガス炊飯器の使用者による視認性を良好にできる。
【0017】
請求項5に係るガス炊飯器によれば、請求項1から4の何れかに記載の発明の効果に加え、ユニット本体部に第1上面部を設けたことにより、裏面側に配置された基板におねばが付着する可能性を軽減できる。
【0018】
【0019】
請求項に係るガス炊飯器によれば、請求項1からの何れかの発明の効果に加え、貫通孔を介して通流される空気により、基板を効率的に冷却できる。
【0020】
上述した請求項1からの発明は、任意に組み合わせることができる。例えば請求項1の全部または一部を備えずに他の請求項2からの少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に、請求項1の構成を備えて、請求項2からの少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また請求項1からの任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】蓋体50が閉塞位置にあるガス炊飯器1の斜視図である。
図2】蓋体50が開放位置にあるガス炊飯器1の斜視図である。
図3図1のI-I線を矢印方向から視た断面図である。
図4】下部筐体3及び表示ユニット6の斜視図である。
図5】表示ユニット6を前方から視た分解斜視図である。
図6】表示ユニット6を後方から視た分解斜視図である。
図7図4のII-II線を矢印方向から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造、フローチャートなどは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0023】
<ガス炊飯器1の概要>
図1図2に示すように、ガス炊飯器1は、筐体10、蓋体50、及び、非図示のヒンジを備える。蓋体50は、ヒンジにより筐体10に固定される。筐体10は上部筐体2及び下部筐体3を有する。上部筐体2は、下部筐体3の上側に固定される。
【0024】
上部筐体2は略円筒状を有し、上下方向に延びる。上部筐体2の上端部及び下端部は開口する。上部筐体2は、前突出部21、後突出部22、及び湾曲部23を有する。湾曲部23は、右方及び左方に凸状に湾曲する円弧に沿って延びる。左右の湾曲部23のそれぞれに、ハンドル11が回転可能に接続される。前突出部21は、左右の湾曲部23のそれぞれの前端部から前方に突出する。前突出部21のうち右側の湾曲部23の前端部から前方に延びる部分を、右壁21Rという。前突出部21のうち左側の湾曲部23の前端部から前方に延びる部分を、左壁21Lという。前突出部21のうち右壁21R及び左壁21Lのそれぞれの前端部の間に亘って延びる部分を、前壁21Fという。図3に示すように、前壁21Fの下端部に、第4係合部21Uが設けられる。第4係合部21Uは、第1延設部211及び第2延設部212を有する。第1延設部211は、前壁21Fの後面から後方に延びる。第2延設部212は、第1延設部211の後端部から下方に延びる。
【0025】
図1図2に示すように、後突出部22は、左右の湾曲部23のそれぞれの後端部から後方に突出する。前突出部21、後突出部22、及び湾曲部23で囲まれた部分を、上部筐体2の内部という。図2に示すように、上部筐体2の内部に内釜2Kが収納される。
【0026】
蓋体50は板状を有し、上部筐体2の上端部の開口を開閉可能である。非図示のヒンジは、上部筐体2の後突出部22と蓋体50との間に介在し、上部筐体2に対して蓋体50を開閉可能に支持する。蓋体50は、左右方向に延びる軸を中心として揺動し、図1に示す閉塞位置と、図2に示す開放位置とに移動可能である。図1に示すように、閉塞位置に配置された蓋体50は、上部筐体2の上端部の開口を閉塞する。図2に示すように、開放位置に配置された蓋体50は、上部筐体2の上端部の開口を閉塞せず、上部筐体2の上端部の開口は開放される。
【0027】
図1図2に示すように、下部筐体3は、上部筐体2の下端部に設けられる。下部筐体3は略円柱状を有し、上下方向に延びる。図4に示すように、下部筐体3の上端部は開口し、下端部は閉口する。下部筐体3は、前突出部31、後突出部32、湾曲部33、及び底面34を有する。湾曲部33は、右方及び左方に凸状に湾曲する円弧に沿って延びる。右側の湾曲部33の後端部に、ガスホースが接続されるガス接続口12が設けられる。前突出部31は、左右の湾曲部33のそれぞれの前端部から前方に突出する。前突出部31のうち右側の湾曲部33の前端部から左斜め前方に延びる部分を、右壁31Rという。前突出部31のうち左側の湾曲部33の前端部から右斜め前方に延びる部分を、左壁31Lという。底面34は、前突出部31、後突出部32、及び湾曲部33のそれぞれの下端部に接続する。底面34は、前突出部31、後突出部32、及び湾曲部33によって囲まれる空間を、下側から覆う。底面34の上面にバーナ3Bが保持される。バーナ3Bは、前突出部31、後突出部32、及び湾曲部33によって囲まれる空間を、下部筐体3の内部という。バーナ3Bは、下部筐体3の内部に固定される。
【0028】
底面34のうち、左右の湾曲部33の前端部よりも前側に突出した部分を、突出底面34Uという。前突出部31の右壁31R及び左壁31L、並びに、突出底面34Uは、下部筐体3の前端部に、上端部が開口した切欠き状の部位を形成する。以下、この切欠き状の部位を、嵌合部35という。嵌合部35の上端部の開口を、開口35Aという。嵌合部35には、後述する表示ユニット6が嵌る。
【0029】
嵌合部35のうち、右壁31R及び左壁31Lのそれぞれの内面近傍に、第1係合部37が設けられる。第1係合部37は、右壁31R及び左壁31Lのそれぞれの内側に空間を形成する。該空間の左右方向の幅は、前方に向かうに従って小さくなる(図7参照)。第1係合部37は突条36を有する。突条36は、上下方向に長い略長方形の板状であり、左右方向と直交する。左壁31Lの内面近傍に設けられた突条36は、左壁31Lに対して右側に離隔して配置される。図4では省略されているが、右壁31Rの内面近傍に設けられた突条36は、右壁31Rに対して左側に離隔して配置される。それぞれの突条36の前端部36Aは、上下方向に沿って延びる。底面34のうち嵌合部35の下側、即ち、突出底面34Uには、複数の貫通孔340が形成される。それぞれの貫通孔340は、前後方向に長い長孔である。複数の貫通孔340は、左右方向に配列される。
【0030】
<表示ユニット6>
図5図6に示すように、表示ユニット6は、シート6A、ユニット本体部6B、スペーサ6C、基板6D、及びカバー6Eを有する。シート6A、ユニット本体部6B、スペーサ6C、基板6D、及びカバー6Eは、この順で前側から後側に向けて配列される。
【0031】
ユニット本体部6Bは、前面部61、側面部62A、62B(総称して「側面部62」という。)、第1上面部63(図6参照)、及び第2上面部64を有する。前面部61は、左右方向に長い略長方形の板状を有する。前面部61の下端部から上端部に向かう方向は、上方向に対して後側に傾斜する。図5に示すように、前面部61の前側の面を、表面61Sという。図6に示すように、前面部61の後側の面を、裏面61Bという。図3図5に示すように、前面部61の表面61Sに垂直な方向を、垂直方向D11という。垂直方向D11は、前方向D10に対して上側に傾斜した方向を向く。即ち、前面部61の表面61S側は、前方向に対して上側に傾斜した方向を向く。垂直方向D11と前方向D10との間のなす角度θ1は、好ましくは10~20度、更に好ましくは15±2度である。
【0032】
図5に示すように、前面部61の左右方向中央且つ上下方向中心よりも上側に、導光部61Hが形成される。導光部61Hは、7セグメント表示が可能な4つの表示部611を有する。4つの表示部611は、左右方向に配列される。各表示部611は、7セグメントに対応する7つの孔を有する。前面部61のうち導光部61Hの左側に、導光部61Jが形成される。導光部61Jは、上下方向に配列された5つの表示部612を有する。各表示部612は、1つの孔を有する。前面部61は、表示部611、612のそれぞれの複数の孔を介して、後述する複数のLED66,67の光を表面61S側に通過させる。これによって、表面61S側に情報が表示される。導光部61Hの右側及び下側に、操作部61Kが形成される。操作部61Kは、円形又は矩形の複数の孔を有する。
【0033】
図5図6に示すように、側面部62は、前面部61に沿って水平方向に延びる方向、即ち、左右方向の両側に設けられる。側面部62は板状を有し、左右方向と直交する。側面部62Aは前面部61の右端部に設けられる。側面部62Bは前面部61の左端部に設けられる。側面部62A、62Bは、前面部61の表面61Sから前方に突出する。側面部62A、62Bのそれぞれの前端部は、上下方向に沿って延びる。図6に示すように、側面部62A、62Bのそれぞれの後端部に、後方に突出する略板状の第2係合部621が設けられる。第2係合部621の左右方向の幅は、前方に向かうに従って小さくなる(図7参照)。第2係合部621の後端部には、上下方向に沿って延びる溝部62Gが形成される。
【0034】
図6に示すように、第1上面部63は、前面部61の上端部から裏面61B側に延びる。第1上面部63は、左右方向に長い長方形の板状である。第1上面部63は、前面部61に対して直交する。第1上面部63の右端部に側面部63Aが接続する。第1上面部63の左端部に側面部63Bが接続する。側面部63A、63Bはそれぞれ、上下方向に長い長方形の板状である。側面部63A、63Bは、第1上面部63から下方に向けて、裏面61Bに沿って延びる。側面部63Aは、側面部62Aの第2係合部621の左側に隣接する。側面部63Bは、側面部62Bの第2係合部621の右側に隣接する。
【0035】
図5に示すように、第2上面部64は、前面部61の上端部から表面61S側に延びる。第2上面部64は、左右方向に長い長方形の板状である。第2上面部64は、前面部61に対して直交する。第2上面部64は、側面部62A、62Bのそれぞれの上端部の間に架け渡される。図6に示すように、第2上面部64は、上面に第3係合部64Aを有する。第3係合部64Aは、上面から上方に突出し、左右方向に延びる。
【0036】
図5図6に示すように、シート6Aは、左右方向に長い長方形の板状である。シート6Aの形状は、ユニット本体部6Bの前面部61の形状と略同一である。シート6Aは、ユニット本体部6Bの前面部61の表面61S側に貼付される。シート6Aのうち、ユニット本体部6Bに貼付された状態で導光部61Hに対向する位置に、透過部60Hが形成される。透過部60Hは、導光部61Hの4つの表示部611がそれぞれ有する複数の孔に対応する位置に窓613を有する。窓613は透過性を有する。シート6Aのうち、ユニット本体部6Bに貼付された状態で導光部61Jに対向する位置に、透過部60Jが形成される。透過部60Jは透過性を有する。
【0037】
基板6Dは、左右方向に長い長方形の板状である。基板6Dの形状は、ユニット本体部6Bの前面部61の形状と略同一である。図6に示すように、基板6Dは、ユニット本体部6Bの前面部61の裏面61B側に配置された状態で、ユニット本体部6Bにねじ止めされる(図3参照)。基板6Dは、ユニット本体部6Bにねじ止めされた状態で、第1上面部63及び側面部63A、63Bによって上側及び左右両側を囲まれる。基板6Dの前面に、複数のLED66、67及び、複数のスイッチ68が実装される。ユニット本体部6Bに基板6Dがねじ止めされた状態で、複数のLED66は、前面部61の導光部61Hのうち4つの表示部611のそれぞれの7つの孔に対向する位置に配置される。複数のLED67は、前面部61の導光部61Jのうち5つの表示部611のそれぞれの孔に対向する位置に配置される。複数のスイッチ68は、前面部61の操作部61Kの複数の孔に対向する位置に配置される。
【0038】
スペーサ6Cは、ユニット本体部6Bの前面部61と基板6Dとの間に介在する。スペーサ6Cは、ユニット本体部6Bに基板6Dがねじ止めされた場合において、前面部61及び基板6Dによって前後方向から挟持される。スペーサ6Cは、前面部61及び基板6Dの間に挟持された状態で基板6Dの複数のスイッチ68の周囲を囲む複数の枠状部65を有する。スペーサ6Cは、シート6A及び前面部61と基板6Dとが前後方向に離隔した状態を維持する。カバー6Eは、屈曲した板状を有する。カバー6Eは、第1覆部69A及び第2覆部69Bを有する。第1覆部69Aの形状は、左右方向に長い略長方形である。第1覆部69Aは、ユニット本体部6Bにねじ止めされた基板6Dと平行に配置され、基板6Dを後側から覆う。第2覆部69Bは、第1覆部69Aの上端部から前方に延びる。第2覆部69Bは、ユニット本体部6Bの第1上面部63の下側に配置され、ユニット本体部6Bに支持された基板6Dを上側から覆う。
【0039】
<表示ユニット6の組み付け、取り外し>
図4を参照し、下部筐体3に対する表示ユニット6の組み付け工程について説明する。はじめに、図4(a)に示すように、上部筐体2(図1図2参照)が取り外された状態の下部筐体3が用意される。下部筐体3の前端部の上方に表示ユニット6が配置される。表示ユニット6は、下部筐体3の嵌合部35に向けて下方に移動される。表示ユニット6は、下部筐体3の嵌合部35の開口35Aを介して、上側から嵌合部35に差し込まれる(矢印Y11)。図7に示すように、下部筐体3の第1係合部37に、表示ユニット6の第2係合部621が係合する。前述のように、第1係合部37の空間の左右方向の幅は、前方に向かうに従って小さくなっている。又、第2係合部621の左右方向の幅は、前方に向かうに従って小さくなっている。このため、第1係合部37に対する第2係合部621の前方への移動は規制される。第1係合部37及び第2係合部621は、互いに係合した状態で密着する。
【0040】
表示ユニット6の側面部62A、62Bのそれぞれの第2係合部621に設けられた溝部62G(図6参照)に、下部筐体3の右壁31R及び左壁31Lのそれぞれの内側近傍に設けられた突条36が下側から進入する。これによって、溝部62Gに突条36が嵌る。図4(b)に示すように、下部筐体3の底面34の突出底面34Uに表示ユニット6の下端部が接触することにより、表示ユニット6の下方への移動は規制される。これによって、下部筐体3の嵌合部35に表示ユニット6が嵌められる。
【0041】
ガス炊飯器1の使用時、表示ユニット6が嵌められた状態の下部筐体3に対して上部筐体2(図1図2参照)が上側から重ねられる。このとき、下部筐体3の前突出部31、後突出部32、及び湾曲部33のそれぞれの上端部に、上部筐体2の前突出部21、後突出部22、及び湾曲部23(図1図2参照)の下端部が接触する。図3に示すように、上部筐体2の第4係合部21Uの第2延設部212の下端部は、表示ユニット6の第3係合部64Aに後側から接触し係合する。第4係合部21Uに対する第3係合部64Aの移動が規制される。このように、表示ユニット6の位置ずれは、第4係合部21Uが第3係合部64Aに係合することで規制される。
【0042】
ガス炊飯器1から表示ユニット6を取り外す場合、初めに、下部筐体3から上部筐体2が取り外される。上部筐体2の第4係合部21Uは、表示ユニット6の第3係合部64Aから外される。次に、表示ユニット6が上方に持ち上げられる。下部筐体3の突条36は、表示ユニット6の溝部62Gから引き抜かれる。これにより、表示ユニット6は、下部筐体3の嵌合部35から外される。
【0043】
<本実施形態の作用、効果>
ガス炊飯器1において、表示ユニット6は、嵌合部35に嵌められた状態で下部筐体3に保持される。ここで作業者は、下部筐体3の開口35Aを介して上側から嵌合部35に表示ユニット6を差し込み、第1係合部37と第2係合部621とを係合させることによって、下部筐体3に表示ユニット6を取り付けることができる。このため作業者は、ガス炊飯器1の製造工程において表示ユニット6を下部筐体3に容易に組み付けることができる。又、作業者は、溝部62Gから突条36を引き抜くことによって、下部筐体3から表示ユニット6を取り外すことができる。このため作業者は、ガス炊飯器1のメンテナンス時において表示ユニット6を下部筐体3から容易に取り外すことができる。
【0044】
第1係合部37の空間及び第2係合部621は、それぞれ、左右方向の幅が前方に向かうに従って小さくなる。このため、第1係合部37に対する第2係合部621の前方への移動を規制できるので、下部筐体3に対して表示ユニット6が前方に移動することを抑制できる。又、溝部62Gに突条36を嵌めることによって、下部筐体3に表示ユニット6を取り付けることができる。この場合、下部筐体3に対して表示ユニット6が左右方向に移動することを、突条36及び溝部62Gによって抑制できる。
【0045】
ユニット本体部6Bは導光部61Hを備える。導光部61Hの4つの表示部611のそれぞれは、7セグメントに対応する7つの孔を有する。表示ユニット6のシート6Aは、導光部61Hの複数の孔に対向する位置に、透過性を有する窓613を備える。表示ユニット6の基板6Dは、導光部61Hの複数の孔に対向する位置に実装された複数のLED66を有する。この場合、複数のLED66の発光による光は、導光部61Hの孔及び窓613を通過して、表示ユニット6の前側に放射される。ガス炊飯器1の制御部は、複数のLED66の発光パターンを制御することにより、表示ユニット6の前面に数字等の情報を表示できる。従って、ガス炊飯器1は、情報を表示するためのセグメント方式のLED素子が不要となるので、表示ユニット6のコストを削減できる。
【0046】
ガス炊飯器1は、ユニット本体部6Bの前面部61の表面61Sを上側に傾斜した方向に向けることによって、使用者による表示ユニット6の視認性を良好にできる。
【0047】
ユニット本体部6Bの第1上面部63は、上部筐体2の上端部からふきこぼれたおねばが下方に垂れることを防止する。このためガス炊飯器1は、ユニット本体部6Bの裏面61B側に配置された基板6Dにおねばが付着する可能性を軽減できる。更に、第1上面部63の両端部に接続する側面部63A、63Bは、基板6Dを左右両側から覆う。このため、側面部63A、63Bは、基板6Dにおねばが付着する可能性を更に軽減できる。
【0048】
ガス炊飯器1は、表示ユニット6の第3係合部64Aに上部筐体2の第4係合部21Uを係合させることにより、上部筐体2及び下部筐体3に対して表示ユニット6の位置がずれることを防止できる。
【0049】
下部筐体3の底面34のうち、嵌合部35の下側の突出底面34Uに貫通孔340が形成される。このため、貫通孔340を介して通流される空気により、基板6Dを効率的に冷却できる。
【0050】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。下部筐体3の第1係合部37は突条36を有していなくてもよい。表示ユニット6の第2係合部621は、溝部62Gを有していなくてもよい。下部筐体3は、第1係合部の代わりに第2係合部を有していてもよい。表示ユニット6は、第2係合部の代わりに第1係合部を有していてもよい。下部筐体3は、突条36の代わりに、上下方向に延びる溝部を有していてもよい。表示ユニット6は、溝部62Gの代わりに、上下方向に延びる突条を有していてもよい。表示ユニット6は、下部筐体3の溝部に表示ユニット6の突条が係合することによって、下部筐体3の嵌合部35に嵌ってもよい。
【0051】
導光部61Hの各表示部611が有する孔の数は、7つに限定されず、1-6、8以上の何れかであってもよい。基板6Dに実装される複数のLED66の数は、各表示部611が有する孔の数に応じ、1-6、8以上の何れかに変更されてもよい。表示ユニット6は、7セグメント方式のLEDモジュールを有していてもよい。ユニット本体部6Bの前面部61の表面61Sは、前方を向いていてもよく、傾斜していなくてもよい。ユニット本体部6Bは、前面部61の表面61Sの向く角度を調整できる調節機構を有していてもよい。第1上面部63は、ユニット本体部6Bと別体に設けられてもよい。この場合、ユニット本体部6Bに第1上面部63は設けられなくてもよい。第1上面部63の代わりに、カバー6Eの第2覆部69Bによって、おねばの付着の可能性を軽減してもよい。第3係合部64Aは、第2上面部64の上面から上方に向けて棒状に延びていてもよい。第4係合部21Uは、上部筐体2に設けられた孔であってもよい。ガス炊飯器1は、表示ユニット6の棒状の第3係合部64Aを、上部筐体2の孔状の第4係合部21Uに嵌めることにより、上部筐体2及び下部筐体3に対して表示ユニット6の位置ずれを防止してもよい。ガス炊飯器1は、第3係合部64A及び第4係合部21Uを有さなくてもよい。表示ユニット6の基板6Dを冷却する為の貫通孔340は、突出底面34Uを除く部位、例えば、下部筐体3の右壁31R又は左壁31Lに設けられてもよい。
【0052】
<その他>
左右方向は、本発明の「第1水平方向」の一例である。前方向は、本発明の「第2水平方向」の一例である。
【符号の説明】
【0053】
1 :ガス炊飯器
2 :上部筐体
2K :内釜
3 :下部筐体
3B :バーナ
6 :表示ユニット
6A :シート
6B :ユニット本体部
6D :基板
21U :第4係合部
34U :突出底面
35 :嵌合部
35A :開口
36 :突条
37 :第1係合部
60H :透過部
61 :前面部
61B :裏面
61H :導光部
61S :表面
62、62A、62B :側面部
62G :溝部
63 :第1上面部
64 :第2上面部
64A :第3係合部
66 :LED
340 :貫通孔
613 :窓
621 :第2係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7