(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】除湿ユニットおよび防湿庫
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20230525BHJP
F26B 9/06 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
B01D53/26 210
F26B9/06 A
(21)【出願番号】P 2018228398
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000222509
【氏名又は名称】東洋リビング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】牛田 唯一
(72)【発明者】
【氏名】押田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】矢木 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 広国
(72)【発明者】
【氏名】牛田 規容子
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117760(JP,A)
【文献】特開2005-296725(JP,A)
【文献】特開昭51-060685(JP,A)
【文献】特開2004-278993(JP,A)
【文献】特開平09-075653(JP,A)
【文献】特開2002-195722(JP,A)
【文献】実開平04-046632(JP,U)
【文献】特開2013-134034(JP,A)
【文献】実開昭59-186792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 81/00-06
B01D 53/26
B01J 20/00
E04H 1/12
E05G 1/00-04
F24F 3/12-167
F26B 9/00-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管品を保管する防湿庫の庫内を除湿する除湿ユニットであって、
前記除湿ユニット内と前記庫内との空気循環を行うための庫内吸気口および庫内排気口を有するハウジングと、
スリットが複数設けられたケース、および前記ケース内に収容された乾燥剤を有し、前記
ハウジング内に配置された乾燥装置と、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングの前記庫内吸気口を介して前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気を前記乾燥装置の前記ケースに設けられた前記スリットに案内する風向板と、を備え、
前記風向板は、前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に沿って複数配置されており、
前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に向かうにしたがって、当該空気の進行方向に沿って複数配置された前記風向板が、当該空気の進行方向の上流側かつ前記乾燥装置側において当該空気の進行方向となす角は徐々に小さくなる
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の除湿ユニットであって、
前記風向板は、少なくとも、前記乾燥装置の前記ケースおよび前記ハウジングの内壁の一方に設けられている
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載の除湿ユニットであって、
前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に沿って複数配置された前記風向板は、当該空気の進行方向の上流側から下流側に向けて、当該空気の進行方向と垂直な方向における長さが、徐々に大きくなる
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の除湿ユニットであって、
前記乾燥装置は、前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に対して斜めに配置されている
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の除湿ユニットであって、
前記乾燥装置は、前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向において位置をずらして複数配置されている
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の除湿ユニットであって、
前記ハウジングは、
前記除湿ユニット内と前記
防湿庫の庫外との空気循環を行うための庫外吸気口および庫外排気口をさらに有し、
前記乾燥剤は、加熱再生可能であり、
前記乾燥装置は、
前記乾燥剤とともに前記ケース内に収容された乾燥剤用ヒータをさらに有し、
前記除湿ユニットは、
前記庫内吸気口、前記庫内排気口、前記庫外吸気口、および前記庫外排気口の開閉を行うシャッタと、
前記庫内吸気口あるいは前記庫外排気口を介して除湿ユニット内に空気を強制的に取り込むためのファンと、
前記シャッタにより、前記庫内吸気口および前記庫内排気口を開き、かつ、前記庫外吸気口および前記庫外排気口を閉じて、必要に応じて前記ファンを駆動して、前記除湿ユニット内と前記庫内との空気循環を行わせ、前記乾燥装置の前記乾燥剤が吸湿することにより前記庫内の空気を除湿する除湿処理、および、前記シャッタにより、前記庫内吸気口および前記庫内排気口を閉じ、かつ、前記庫外吸気口および前記庫外排気口を開いて、必要に応じて前記ファンを駆動して、前記除湿ユニット内と前記庫外との空気循環を行わせるとともに、前記乾燥装置の前記乾燥剤用ヒータを動作させて前記乾燥剤を加熱し、当該乾燥剤に溜まった水分を前記庫外に排出させて当該乾燥剤の乾燥能力を再生する加熱再生処理の実施を制御する制御手段と、をさらに備える
ことを特徴とする除湿ユニット。
【請求項7】
保管品を除湿された庫内に保管する防湿庫であって、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の除湿ユニットを備えている
ことを特徴とする防湿庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密機器、食品、化学薬品等の保管品を保管する防湿庫に関し、特に、防湿庫の庫内を除湿するための除湿ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿ユニットを備え、この除湿ユニットにより除湿された庫内に精密機器、食品、化学薬品等の保管品を保管する防湿庫が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
ここで、除湿ユニットは、除湿ユニット内と庫内との空気循環、および除湿ユニット内と庫外の空気循環を択一的に行わせるためのシャッタと、庫内あるいは庫外の空気を除湿ユニット内に強制的に取り込むためのファンと、除湿ユニット内に配置された乾燥装置と、を備えている。乾燥装置は、ケースと、ケース内に充填された球状、ペレット状等の粒状の加熱再生可能な乾燥剤と、乾燥剤とともにケース内に収容された乾燥剤用ヒータと、を有する。ケースには、スリットが多数設けられており、ケース内に充填された粒状の乾燥剤は、これらのスリットを介して除湿ユニット内の空気に接触している。
【0004】
この種の防湿庫は、シャッタにより除湿ユニット内と庫内との間を空気循環させ、必要に応じてファンを駆動して、庫内の空気を除湿ユニット内に強制的に取り込んで、乾燥装置により除湿する(除湿処理)。具体的には、庫内から除湿ユニット内に取り込んだ湿った空気を乾燥装置のケースに設けられたスリットを介してケース内に取り込んで、ケース内に充填された乾燥剤に吸湿させる。そして、乾燥剤により除湿された乾いた空気を除湿ユニット内から庫内に放出する。また、シャッタにより除湿ユニット内と庫外との間を空気循環させ、必要に応じてファンを駆動して、庫外の空気を除湿ユニット内に強制的に取り込むとともに、乾燥装置の乾燥剤用ヒータを動作させて、乾燥装置のケース内に充填された乾燥剤の乾燥能力を再生させる(加熱再生処理)。具体的には、乾燥剤用ヒータを動作させて乾燥剤を加熱することにより、乾燥剤に溜まった水分をケースに設けられたスリットを介してケース外に放出し、庫外から除湿ユニット内に取り込んだ乾いた空気を加湿する。そして、加湿された湿った空気を除湿ユニット内から庫外に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、除湿ユニットを備えた防湿庫において、庫内を低湿度に維持するためには、庫内から除湿ユニット内に取り込んだ空気を、除湿ユニット内に配置された乾燥装置のケース内に効率よく取り込んで、ケース内に充填された乾燥剤に吸湿させる必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、庫内の空気を効率よく乾燥できる除湿ユニット、およびこの除湿ユニットを用いた防湿庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、庫内から除湿ユニット内に取り込んだ空気を、除湿ユニット内に配置された乾燥装置のケースに設けられたスリットに案内する風向板を設けた。なお、風向板は、乾燥装置のケースに設けてもよいし、あるいは除湿ユニットのハウジングの内壁に設けてもよい。
【0009】
例えば、本発明の除湿ユニットは、
保管品を保管する防湿庫の庫内を除湿する除湿ユニットであって、
前記除湿ユニット内と前記庫内との空気循環を行うための庫内吸気口および庫内排気口を有するハウジングと、
スリットが複数設けられたケース、および前記ケース内に収容された乾燥剤を有し、前記ハウジング内に配置された乾燥装置と、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングの前記庫内吸気口を介して前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気を前記乾燥装置の前記ケースに設けられた前記スリットに案内する風向板と、を備え、
前記風向板は、前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に沿って複数配置されており、
前記庫内から前記ハウジング内に取り込まれた空気の進行方向に向かうにしたがって、当該空気の進行方向に沿って複数配置された前記風向板が、当該空気の進行方向の上流側かつ前記乾燥装置側において当該空気の進行方向となす角は徐々に小さくなる。
【0010】
また、本発明の防湿庫は、上述の除湿ユニットを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、除湿ユニットのハウジング内に配置された風向板により、庫内から除湿ユニットのハウジング内に取り込まれた空気が、除湿ユニットのハウジング内に配置された乾燥装置のケースに設けられたスリットに案内される。これにより、庫内から除湿ユニットのハウジング内に取り込まれた空気を乾燥装置のケース内に収容された乾燥剤に効率よく吸湿させることできるので、庫内の空気を効率よく乾燥させて、庫内を低湿度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る防湿庫1の概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す除湿ユニット4の概略断面図である。
【
図3】
図3(A)は、乾燥装置6の正面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示す乾燥装置6のA-A断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施の形態に係る防湿庫1の試験品と比較品とを同条件で稼働させた場合における庫内10の露点温度の測定結果を示す図である。
【
図5】
図5は、除湿ユニット4の変形例4Aを説明するための概略断面図である。
【
図6】
図6は、除湿ユニット4の変形例4Bを説明するための概略断面図である。
【
図7】
図7は、除湿ユニット4の変形例4Cを説明するための概略断面図である。
【
図8】
図8は、除湿ユニット4の変形例4Dを説明するための概略断面図である。
【
図9】
図9は、除湿ユニット4の変形例4Eを説明するための概略断面図である。
【
図10】
図10は、除湿ユニット4の変形例4Fを説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る防湿庫1の概略構成図である。
【0015】
本実施の形態に係る防湿庫1は、精密機器、食品、化学薬品等の、高度な湿度管理が要求される保管品を保管するための保管庫であり、庫内10を自動的に除湿し、保管品を一定の湿度状態で保管する。
【0016】
図示するように、防湿庫1は、筺体15と、防湿庫1の筺体15の前面(庫内10にアクセスするための扉11が設けられている側の面)等に配置された操作パネル2と、庫内10に配置された湿度センサ3と、除湿ユニット4と、制御盤5と、を備えている。
【0017】
操作パネル2は、各種指示、設定情報等を操作者から受け付けるためのボタン、キー等の入力装置と、各種設定情報、動作状態、環境情報等を操作者に知らせるための液晶パネル、LED等の表示装置と、を備えている。
【0018】
湿度センサ3は、庫内10の湿度を検知し、その検知結果を制御盤5に出力する。
【0019】
除湿ユニット4は、制御盤5の制御信号に応じて庫内10を除湿する。
【0020】
【0021】
図示するように、除湿ユニット4は、例えば筺体15の背面板12に形成された開口13を塞ぐように配置される。なお、
図2では、除湿ユニット4を、庫内10側から開口13を塞ぐように庫内10に配置しているが、庫外14側から開口13を塞ぐように庫外14に配置してもよい。除湿ユニット4は、乾燥装置6と、ファン41と、乾燥装置6およびファン41を収容するハウジング40と、を備えている。
【0022】
ハウジング40には、ハウジング40の内部と庫内10とをつなぐ庫内側通気口として、庫内10の空気B1をハウジング40内に取り込むための庫内吸気口421、422と、ハウジング40内の空気B2を庫内10へ排出する庫内排気口423、424と、が形成されている。また、ハウジング40の内部と庫外14とをつなぐ庫外側通気口として、庫外14の空気A1をハウジング40内に取り込むための庫外吸気口425、426と、ハウジング40内の空気A2を庫外14へ排出するための庫外排気口427、428と、が形成されている。
【0023】
また、ハウジング40の内壁400には、庫内10あるいは庫外14からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向(庫内吸気口421、庫外吸気口425から庫内排気口423、庫外排気口427に向かう方向)Cに沿って風向板401が複数配置されている。風向板401は、ハウジング40の庫内吸気口421、422あるいは庫外吸気口425、426を介してハウジング40内に取り込まれた空気を乾燥装置6の後述するケース60に設けられたスリット601に案内する。ここで、風向板401は、空気の進行方向Cの上流側かつ乾燥装置6側において空気の進行方向Cとなす角αが90度より大きくなるように、空気の進行方向Cに対して傾斜した姿勢で設置されている。
【0024】
ファン41は、庫内吸気口421、422および庫内排気口423、424を介して、ハウジング40内と庫内10との間を強制的に空気循環させるため、あるいは、庫外吸気口425、426および庫外排気口427、428を介して、ハウジング40内と庫外14との間を強制的に空気循環させるために駆動される。
【0025】
乾燥装置6は、吸湿することにより、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気を除湿する。また、吸湿した水分をハウジング40内から庫外14へ排出する。
【0026】
図3(A)は、乾燥装置6の正面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示す乾燥装置6のA-A断面図である。
【0027】
図示するように、乾燥装置6は、ケース60と、ケース60内に充填された球状、ペレット状等の粒状の乾燥剤61と、ケース60内に乾燥剤61とともに収容された乾燥剤用ヒータ62と、庫内10あるいは庫外14からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cに沿ってケース60の表面に複数配置された風向板63と、を備えている。
【0028】
乾燥剤61は、ゼオライト、シリカゲル等の加熱再生可能な乾燥剤であり、庫内10の空気を十分に除湿できるように庫内10のスペースに応じて定められた量の乾燥剤61がケース60に充填されている。
【0029】
ケース60には、乾燥剤61の粒径より狭い幅のスリット601が複数形成されている。乾燥剤61は、このスリット601を介してハウジング40内を除湿したり、加湿したりする。
【0030】
乾燥剤用ヒータ62は、制御盤5の制御により、ケース60内に充填された乾燥剤61を加熱して乾燥剤61の乾燥能力を再生する。
【0031】
風向板63は、ハウジング40の庫内吸気口421、422あるいは庫外吸気口425、426を介してハウジング40内に取り込まれた空気を、ケース60に設けられたスリット601に案内する。ここで、風向板63は、空気の進行方向Cの上流側かつ乾燥装置6側に位置する空気の進行方向Cとのなす角βが90度より大きくなるように、空気の進行方向Cに対して傾斜した姿勢で設置されている。また、風向板63と、ハウジング40の内壁400に設けられた風向板401とは、空気の進行方向Cに沿って交互に配置されている(
図2参照)。
【0032】
【0033】
除湿ユニット4は、庫内吸気口421および庫外吸気口425を互いに排他的に開閉するシャッタ431と、庫内排気口423および庫外排気口427を互いに排他的に開閉するシャッタ432と、をさらに備えている。
【0034】
除湿ユニット4は、後述する制御盤5の制御に従い、ハウジング40の内部を庫内10にのみ開放した状態(庫内吸気口421:開、庫外吸気口425:閉、庫内排気口423:開、庫外排気口427:閉)で、必要に応じてファン41を回転させる。これにより、庫内10内の湿った空気B1が、ハウジング40内に取り込まれ、風向板63、401によって乾燥装置6のスリット601に向けて誘導されて乾燥剤61に効率的に接触して除湿された後、乾いた空気B2として庫内10に排出されて、庫内10が除湿される(除湿処理)。
【0035】
また、ハウジング40の内部を庫外14にのみ開放した状態(庫内吸気口421:閉、庫外吸気口425:開、庫内排気口423:閉、庫外排気口427:開)で、乾燥装置6の乾燥剤用ヒータ62を動作させて乾燥装置6の乾燥剤61を加熱しつつ、必要に応じてファン41を回転させる。これにより、庫外14の空気A1が、ハウジング40内に取り込まれ、風向板63、401によって乾燥装置6のスリット601に向けて誘導されて、乾燥剤用ヒータ62により加熱された乾燥装置6の乾燥剤61に効率的に接触して水分を放出された後、湿った空気A2として庫外14に排出されて、乾燥装置6の乾燥剤61が乾燥する(加熱再生処理)。
【0036】
【0037】
制御盤5は、操作パネル2を介して操作者から受け付けた指示に従い、湿度センサ3により検知された庫内湿度に基づき除湿ユニット4を制御して、庫内10を所望の湿度状態にする。図示するように、制御盤5は、湿度センサIF部51と、操作パネルIF部52と、シャッタ駆動部53と、ファン駆動部54と、ヒータ駆動部55と、主制御部50と、を備えている。
【0038】
湿度センサIF部51は、湿度センサ3と接続するためのインターフェースである。操作パネルIF部52は、操作パネル2と接続するためのインターフェースである。シャッタ駆動部53は、シャッタ431、432の動作を制御する。ファン駆動部54は、ファン41の動作を制御する。ヒータ駆動部55は、乾燥装置6の乾燥剤用ヒータ62の動作を制御する。
【0039】
主制御部50は、湿度センサIF部51に入力された湿度センサ3のセンサ値、操作パネルIF部52に入力された操作パネル2に対するユーザの操作情報に基づいて、シャッタ駆動部53、ファン駆動部54、およびヒータ駆動部55を制御する。これにより、上述の除湿処理を実施することにより庫内10を効率的に除湿して、庫内10を所望の湿度状態に保つとともに、上述の加熱再生処理を実施して乾燥装置6の乾燥剤61を効率的に乾燥させて、乾燥装置6の乾燥剤61の除湿能力を維持する。
【0040】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0041】
本実施の形態では、除湿ユニット4のハウジング40内に配置された風向板63、401により、除湿処理中、庫内10から除湿ユニット4のハウジング40内に取り込まれた空気が、除湿ユニット4のハウジング40内に配置された乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601に案内される。このため、庫内10から除湿ユニット4のハウジング40内に取り込まれた空気を、乾燥装置6のケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。したがって、本実施の形態によれば、庫内10の空気を効率よく乾燥させて、庫内10を低湿度に維持することができる。同様に、加熱再生処理中、除湿ユニット4のハウジング40内に配置された庫外14から除湿ユニット4のハウジング40内に取り込まれた空気が、風向板63、401により、乾燥装置6のケース60のスリット601に案内されるため、乾燥装置6のケース60内の乾燥剤61の除湿能力を効率的かつ確実に再生することができる。このため、十分に除湿能力を回復させ乾燥剤61によって庫内10の空気が効率的に除湿され、庫内10を低湿度に維持することができる。
【0042】
本発明者は、本実施の形態に係る防湿庫1の試験品と、防湿庫1の除湿ユニット4から風向板63、401を省略した比較品とを、試験環境(雰囲気温度、湿度)、加熱再生処理の実施タイミング等の条件を同じにして所定時間(110時間)稼働させ、それぞれの庫内10の露点温度を観測した。その結果を
図4に示す。
【0043】
図において、実線のグラフ70は、防湿庫1の試験品の測定結果を示しており、点線のフラグ71は、除湿ユニット4から風向板63、401を省略した比較品の測定結果を示している。両グラフ70、71において、定期的に露点温度が上昇しているのは、加熱再生処理の影響によるものである。
【0044】
図示するように、防湿庫1の試験品の方が比較品よりも露点温度が低く、比較品の最低露点温度が-37.71度であったのに対して、試験品の最低露点温度は-40.82度であり、試験品は比較品に対して最低露点温度が3度以上低い。この効果は、比較品において、風向板63、401を省略した除湿ユニット4を2台搭載した場合に得られる効果と略同程度であり、防湿性能に関し、防湿庫1の試験品は、比較品に対して顕著な改善効果を確認できた。
【0045】
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0046】
例えば、上記の実施の形態では、除湿ユニット4のハウジング40内に、2台の乾燥装置6を、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cにおいて位置を揃えて配置している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5に示す除湿ユニット4Aのように、空気の進行方向Cに位置をずらして2台の乾燥装置6をハウジング40内に配置してもよい。このようにすることで、ハウジング40内を流れる空気により多くの乱流を発生させて、より多くの空気を、乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601内に流入させ、ケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。この際、ハウジング40の内壁400に複数設けられた風向板401の位置を、乾燥装置6の位置に合わせて調整することが好ましい。
【0047】
また、上記の実施の形態では、除湿ユニット4のハウジング40内に、2台の乾燥装置6を、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cに平行となるように配置している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6に示す除湿ユニット4Bのように、この空気の進行方向Cに対して斜めとなるように2台の乾燥装置6をハウジング40内に配置してもよい。このようにすることで、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気を乾燥装置6に直接当てて、より多くの空気を乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601内に流入させ、ケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、乾燥装置6のケース60に同サイズの複数の風向板63を同様な姿勢で設けることによって、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cに対して垂直な方向における風向板63の長さT(
図2参照)をすべて同じにしている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示す除湿ユニット4Cのように、乾燥装置6のケース60に、幅の異なる複数の風向板を同様な姿勢で設けることによって、空気の進行方向Cの上流側から下流側に向かうにしたがって、空気の進行方向Cに対して垂直な方向における風向板63の長さTが徐々に大きくなるようにしてもよい。このようにすることで、空気の進行方向Cの下流側においても、乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601内に空気を効率よく流入させることが可能となるので、ケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。ここで、ハウジング40の内壁400に複数設けられた風向板401についても同様に、空気の進行方向Cの上流側から下流側に向かうにしたがって、空気の進行方向Cに対して垂直な方向における長さが徐々に大きくなるようにしてもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態では、乾燥装置6のケース60に設けられたすべての風向板63が、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cの上流側かつ乾燥装置6側において空気の進行方向Cと同じ角β(
図3(B)参照)をなすようにしている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示す除湿ユニット4Dのように、空気の進行方向Cの上流側から下流側に向うにしたがって、空気の進行方向Cに対して風向板63の上流側かつ乾燥装置6側に位置する、空気の進行方向Cと風向板63とのなす角βが徐々に小さくなるようにしてもよい。このようにすることで、空気の進行方向Cの下流側においても、乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601内に空気を効率よく流入させることが可能となるので、ケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。ここで、ハウジング40の内壁400に複数設けられた風向板401についても同様に、空気の進行方向Cの上流側から下流側に向うにしたがって、空気の進行方向Cの上流側かつ乾燥装置6側に位置する、空気の進行方向Cと風向板401とのなす角α(
図2参照)を徐々に小さくしてもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態では、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cにおいて、2台の乾燥装置6のケース60に複数設けられた風向板63の位置を揃えている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図9に示す除湿ユニット4Eのように、2台の乾燥装置6のケース60に複数設けられた風向板63の位置を空気の進行方向Cにずらしてもよい。このようにすることで、ハウジング40内を流れる空気により多くの乱流を発生させて、より多くの空気を乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601内に流入させ、ケース60内に収容された乾燥剤61に効率よく吸湿させることできる。この際、ハウジング40の内壁400に複数設けられた風向板401の位置を、風向板63の位置に合わせて調整することが好ましい。
【0051】
また、上記の実施の形態において、
図10に示す除湿ユニット4Fのように、乾燥装置6の乾燥剤61が充填されたケース60内を通って、ケース60のスリット601から排出された空気を、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cの下流側に案内する風向板64を、空気の進行方向Cに沿ってケース60に複数設けてもよい。
【0052】
また、上記の実施の形態において、
図5~
図10に示す除湿ユニット4A~4Fの特徴(風向板63、401の配置、乾燥装置6の配置、風向板64の追加等)を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態では、乾燥装置6のケース60に複数設けられた風向板63を、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気の進行方向Cに沿って等間隔に配置しているが、本発明はこれに限定されない。同様に、ハウジング40の内壁400に複数設けられた風向板401を空気の進行方向Cに沿って等間隔に配置しているが、本発明はこれに限定されない。また、庫内10からハウジング40内に取り込まれた空気を乾燥装置6のケース60に設けられたスリット601に案内する風向板は、乾燥装置6およびハウジング40の少なくとも一方に少なくとも1枚設置されていればよい。
【0054】
また、上記の実施の形態では、除湿ユニット4のハウジング40内に2台の乾燥装置6を配置した場合を例に取り説明したが、本発明はこれに限定されない。要求される除湿性能に応じて、ハウジング40内に乾燥装置6を1台あるいは3台以上配置してもよい。
【0055】
また、上記の実施の形態では、除湿ユニット4を庫内10に1台配置した場合を例に取り説明したが、本発明はこれに限定されない。庫内10のサイズ等に応じて、必要な数の除湿ユニット4を庫内10に配置すればよい。
【0056】
また、上記の実施の形態において、
図1に示す制御盤5の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、およびHDD等の補助記憶装置を備えた汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:防湿庫 2:操作パネル 3:湿度センサ 4:除湿ユニット 5:制御盤
6:乾燥装置 10:庫内 11:扉 12:背面板 13:開口 14:庫外
15:筺体 40:ハウジング 41:ファン 50:主制御部
51:湿度センサIF部 52:操作パネルIF部 53:シャッタ駆動部
54:ファン駆動部 55:ヒータ駆動部 60:ケース 61:乾燥剤
62:乾燥剤用ヒータ 63、64、401:風向板 400:内壁
421、422:庫内吸気口 423、424:庫内排気口
425、426:庫外吸気口 427、428:庫外排気口
431、432:シャッタ 601:スリット