(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20230525BHJP
A47G 29/08 20060101ALI20230525BHJP
A47B 96/02 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
A47G29/00 L
A47G29/08
A47B96/02 C
(21)【出願番号】P 2019153078
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591131486
【氏名又は名称】株式会社日本ロックサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】二上 直弘
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04335863(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055705(US,A1)
【文献】米国特許第06427606(US,B1)
【文献】米国特許第10211567(US,B1)
【文献】特開2009-165693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00 ー 29/30
A47B 96/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁に埋め込まれたスイッチまたはコンセントに装着可能な保持具であって、
前記スイッチまたはコンセントの上方または下方に配置されて物を保持する保持部と、
前記保持部から
下方または上方へ張り出した薄板状の部分であり、前記壁と前記スイッチまたはコンセントのプレートとの間に挿し込まれる薄板部と
を備え、
前記薄板部が、
前記保持部の左右両側から下方または上方へ伸びて、それぞれが前記プレートの異なる片側に並置される2本の幹部と、
前記2本の幹部のそれぞれから前記プレートに向かって広がり、前記壁と前記プレートとの間に挿し込まれる2枚の翼部と
を含み、
前記2枚の翼部のそれぞれの下端が前記2本の幹部のそれぞれに対して横方向の段部を成しており、
前記段部が前記プレートの裏面の凸部の上に載せられる
ことを特徴とする保持具。
【請求項2】
前記薄板部が
前記保持部よりも柔軟性に優れていることを特徴とする請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記
2本の翼部の各前面が、
上下方向に伸びており、前記プレートの
左右の辺を収容する溝を含む
、請求項1に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保持具に関し、特に壁掛け式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
保持具とは、たとえば小物入れまたは棚のように、道具、文房具、装身具、電気機器等の物の収容を目的としてそれらの物を保持し、机、台、部屋の壁、床等に固定する器具の総称である。保持具には、特に、部屋の空間を有効に活用することを目的として部屋の壁に吊されるもの、すなわち壁掛け式のものがある。この種の保持具を壁に固定する方法としては、釘、鋲、または粘着テープを用いるものがある。しかし、これらには、壁が傷つくという欠点がある。この欠点を除いた方法としては、吸着材を用いるものがある。たとえば、特許文献1に開示された保持具は、吸盤で壁面に固定される。特許文献2に開示された保持具は、平坦な背面全体が吸着性アクリル樹脂で形成されており、この背面全体で壁面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-113728号公報
【文献】実用新案登録第3186725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保持具を部屋の壁へ固定するのに吸着材を用いることは、壁が傷つきにくい点では有利である。しかし、吸着材はあらゆる壁面に対して一律に吸着力が高いものではなく、たとえば凹凸に富む壁面のように、吸着力に欠ける壁面も存在する。このような壁面に対して吸着材による固定は、保持具を落下させる危険性がある。
【0005】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、いずれの部屋の壁にも、それを傷つけることなく吊すことの可能な保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点による保持具は、部屋の壁に埋め込まれたスイッチまたはコンセントに装着可能であって、保持部と薄板部とを備えている。保持部は物を保持する。薄板部は、保持部から張り出した薄板状の部分であり、部屋の壁とスイッチまたはコンセントのプレートとの間に挿し込まれる。薄板部は、プレートの裏面と係合する段部を含む。
【0007】
薄板部が幹部と翼部とを含んでいてもよい。幹部は、保持部から上方または下方へ伸びており、プレートの片側に並置される。翼部は、幹部からプレートに向かって広がり、壁とプレートとの間に挿し込まれる。この翼部の下端が上記の段部として機能する。薄板部はまた、プレートの縁に嵌合する溝を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記の観点による保持具は、部屋の壁に埋め込まれたスイッチまたはコンセントに装着可能である。一般に、いずれの部屋の壁にも、照明等のスイッチまたはコンセントのいずれかが1つは埋め込まれているものである。さらに、一般に、スイッチまたはコンセントのプレートと部屋の壁との間には隙間を開けることができる。この隙間が保持具の固定に利用される。したがって、この保持具は、いずれの部屋の壁にも、それを傷つけることなく吊すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】部屋の壁に埋め込まれたスイッチに装着された、本発明の実施形態による保持具の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態による保持具100の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1が示す保持具100の側面図である。
図2では、部屋の壁200のみが断面で示されている。保持具100は、壁200に埋め込まれたスイッチ300に装着されている。保持具100はたとえば樹脂製であり、保持部110と薄板部120とを含む全体が一体成形されている。保持部110は、たとえば椀状の凹みを含み、そこに、文房具、装身具、印鑑、および鍵等の小物を収容可能である。薄板部120は、保持部110から、たとえば上方へ張り出した薄板状の部分であり、保持部110よりも柔軟性に優れており、部屋の壁200とスイッチ300との間に挿し込まれている。これにより保持部110が壁200に固定されている。
【0012】
図3は、スイッチ300の分解図である。スイッチ300は、本体310、取付枠320、プレート330、およびカバー340を含む。本体310は、押しボタン311を含むと共に、照明等の電気機器と電源との間を電気的に接続する(電気配線を図は示していない)。本体310は、押しボタン311の変位に応じて電気機器と電源との間で電流を通し、または遮断する。取付枠320は金属製または硬質樹脂製の枠であり、部屋の壁200に開けられた穴(図は示していない。)の内側に直接固定され、またはその穴の裏側に装着されたスイッチボックス(図は示していない。)に固定される。取付枠320は、内側の空間に本体310を保持する。プレート330は樹脂製の矩形枠であり、部屋の壁200に露出した取付枠320の前面にねじ321で固定される。プレート330は取付板320の前面よりも少し大きく、取付枠320の前面を覆って外側から隠す。カバー340は、プレート330とほぼ同形、ほぼ同サイズの樹脂製の矩形板であり、四辺をプレート330の四辺に係合させることでプレート330を外側から隠す。カバー340の中央部には穴341が開けられており、そこから本体310の押しボタン311を露出させる。
【0013】
図4は、保持具100単体の斜視図である。
図5は、
図1が示す保持具100の背面図である。
図5は、壁側から保持具100越しに見えるスイッチ300のプレート330とカバー340との外観も合わせて示している。保持具100の薄板部120は、幹部121、122と翼部123、124とを含む。幹部121、122は、保持部110の両側から上方へ伸びており、それぞれがスイッチ300のプレート330の異なる片側に並置される。翼部123、124は、幹部121、122のそれぞれからスイッチ300のプレート330に向かって広がっており、部屋の壁200とプレート330との間に挿し込まれている。これにより、保持具100が部屋の壁200に固定される。翼部123、124のそれぞれは前面に溝125、126を含む。これらの溝125、126はプレート330の左右の辺331、332に嵌合する。すなわち、これらの溝125、126の中にプレート330の左右の辺331、332が収容される。さらに、翼部123、124のそれぞれは下端127、128が幹部121、122に対して段を成しており、プレート330の裏面が下側の両隅に含む凸部333、334に係合する。これらの凸部333、334は、翼部123、124の下端127、128が引っ掛かるように特別に設けられたものでも、プレート330の構造上元々存在していたものでもよい。翼部123、124の溝125、126と下端127、128とにより、保持具100は安定化する。
[実施形態の利点]
【0014】
本発明の上記の実施形態による保持具100は、部屋の壁200に埋め込まれたスイッチ300に装着可能である。一般に、スイッチ300のプレート330と部屋の壁200との間に薄板部120を挿し込ませることができる。これにより、保持具100は自身を壁200に固定する。さらに、翼部123、124の溝125、126をプレート330の左右の辺331、332に嵌合させ、翼部123、124の下端127、128をプレート330の裏面の凸部333、334に係合させることで、保持具100は自身を安定化させる。こうして、保持具100は、いずれの部屋の壁にも、それを傷つけることなく吊すことができる。
[変形例]
【0015】
(A)スイッチ300は更に、プレート330の内側にハンドルを含んでいてもよい。ハンドルは、本体310の押しボタン311よりも大きな板状部材であって、自身の変位に押しボタン311を連動させる。
【0016】
(B)
図3の(a)が示すスイッチ300の構造は、一般的なコンセントにも共通する。したがって、保持具100はスイッチ300に代えてコンセントにも装着可能である。
【0017】
(C)保持具100は、全体が樹脂から成る一体成形品である。その他に、保持具100は、保持部110または薄板部120が金属製であってもよい。この場合、保持部110と薄板部120との間がヒンジで接続されていてもよい。
【0018】
(D)
図2が示すように、保持部110はスイッチ300の下に配置される。その他に保持部はスイッチ300の上に配置されてもよい。この場合、薄板部は保持部の底の両側から下方に張り出して、壁200とスイッチ300との間に挿し込まれればよい。
【0019】
(E)
図1が示す保持部110は椀状の凹みを含む。この場合、保持部110は小物の収納に便利である。その他に、保持部は、棚、鉤(フック)、皿(トレイ)、箱、籠等、物を保持できる構造であれば良い。
図6は、棚状の保持部410を含む保持具400の斜視図である。
図7は、鉤状の保持部510を含む保持具500の斜視図である。これらの保持具400、500は、たとえば、部屋の壁に埋め込まれたコンセント600に装着される。棚状の保持部410には、小物類の他、コンセント600を利用して充電中のスマートフォンが載置可能である。鉤状の保持部510には、ネックレス、ネクタイ、腕時計等が吊される他、コンセント600を利用して充電中のスマートフォンを引っ掛けておくことが可能である。
【符号の説明】
【0020】
100 保持具
110 保持部
120 薄板部
121、122 幹部
123、124 翼部
125、126 翼部の溝
127、128 翼部の下端
200 部屋の壁
300 スイッチ
310 本体
320 取付枠
330 プレート
340 カバー