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特許7285010リールベースのクロージャーシステムを含むようにフットウェアを後付け改装するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】リールベースのクロージャーシステムを含むようにフットウェアを後付け改装するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/20 20060101AFI20230525BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A43C11/20
A43B23/02 105Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020146790
(22)【出願日】2020-09-01
(62)【分割の表示】P 2018038331の分割
【原出願日】2014-04-01
(65)【公開番号】P2021000465
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】61/807,251
(32)【優先日】2013-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラベット クリストファー シー.
(72)【発明者】
【氏名】コンバース クリストファー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】モーガン クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ニッケル マイケル ジェイ.
【審査官】小松 竜一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-211906(JP,A)
【文献】国際公開第2011/137405(WO,A1)
【文献】米国特許第06240657(US,B1)
【文献】特表2008-525052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/20
A43B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の従来の靴紐を置き換えるために前記靴を後付け改装するためのリール式閉鎖装置であり、足の周りで前記靴を閉鎖および締め付けるように操作可能な前記リール式閉鎖装置であって、
前記リール式閉鎖装置が、
内部領域を画定するハウジングであって、ハウジングは上端と、前記上端の反対側にある下端とを有する、ハウジングと、
前記内部領域内に配置されるスプールであって、周囲に引張部材が巻き付け可能な円筒形ポストを有する、スプールと、
前記ハウジングの前記上端に結合され、前記スプールと操作可能に結合されるノブであって、前記引張部材を前記スプールの周りに巻き付けるように前記ハウジングに対して締め付け方向に回転可能である、ノブと、
前記ノブと操作可能に結合され、かつ前記スプールと操作可能に結合される爪部品であって、前記スプールの緩み方向への回転を防止し、前記スプールが前記ハウジングの前記内部領域内で前記締め付け方向に回転できるように構成される、爪部品と、
を備え、
前記リール式閉鎖装置は前記靴を閉鎖および締め付けることが可能であり、かつ、前記リール式閉鎖装置が前記靴の従来の靴紐を置き換えるように、前記リール式閉鎖装置が装用者によって前記靴に装着可能であり、
前記ハウジングの前記下端は、前記ハウジングの前記下端を前記靴に接着結合する接着剤を含む、
リール式閉鎖装置。
【請求項2】
前記引張部材が、前記靴の開口部の第1の側面の第1のガイドを通して位置決めされ、かつ前記靴の前記開口部の第2の側面の第2のガイドを通して位置決めされ、前記第1のガイドおよび前記第2のガイドは前記靴の前記開口部の周りに前記引張部材を案内または取り回すように構成される、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項3】
前記第1のガイドは前記開口部の前記第1の側面に配置されるアイレットであり、前記第2のガイドは前記開口部の前記第2の側面に配置されるアイレットである、請求項2に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項4】
前記第1のガイドおよび前記第2のガイドのそれぞれは、前記開口部のそれぞれの前記側面に固定可能か、または前記開口部のそれぞれの前記側面のアイレットを通して配置可能な部品である、請求項2に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項5】
前記接着剤は、両面テープである、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項6】
前記リール式閉鎖装置は、前記靴の開口部の第1の側面、前記靴の前記開口部の第2の側面、または前記靴の舌部に装着可能である、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項7】
前記引張部材は、前記リール式閉鎖装置が前記靴に装着された後に、前記スプールに取り付け可能である、請求項1に記載のリール式閉鎖装置。
【請求項8】
従来の靴紐を置き換えるために、リール式閉鎖装置で靴を後付け改装する方法であって、前記方法が、
内部領域を有するハウジングと、
前記内部領域内に配置されるスプールと、
前記ハウジングに結合され、ノブの締め付け方向への回転が引張部材を前記スプールの周りに巻き付けさせるように、前記スプールに操作可能に結合されるノブと、
前記スプールの緩み方向への回転を防止し、前記スプールが前記締め付け方向に回転できるように構成される爪部品と、
を備えるリール式閉鎖装置を提供することと、
置き換えのために前記ハウジングを前記靴に装着することと、
を含み、
前記ハウジングを前記靴に装着することは、前記ハウジングの下端を前記靴に接着結合することを含む、方法。
【請求項9】
前記ハウジングの前記下端を前記靴に接着結合することは、前記ハウジングの前記下端および前記靴に両面テープを接着することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記引張部材を、前記靴の開口部の第1の側面の第1のガイドを通して、かつ前記靴の前記開口部の第2の側面の第2のガイドを通して位置決めすることをさらに含み、
前記第1のガイドおよび前記第2のガイドは前記靴の前記開口部の周りに前記引張部材を案内または取り回すように構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のガイドを通して前記引張部材を位置決めすることは、前記開口部の前記第1の側面のアイレットを通して前記引張部材を位置決めすることを含み、
前記第2のガイドを通して前記引張部材を位置決めすることは、前記開口部の前記第2の側面のアイレットを通して前記引張部材を位置決めすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のガイドを通して前記引張部材を位置決めすることは、前記開口部の前記第1の側面に固定される、または前記開口部の前記第1の側面のアイレットを通して位置決めされる、部品を通して前記引張部材を位置決めすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
靴の従来の靴紐を置き換えるために前記靴を後付け改装するためのリール式閉鎖装置であって、
内部領域を画定するハウジングと、
前記内部領域内に配置されるスプールと、
前記ハウジングに結合され、ノブの締め付け方向への回転が引張部材を前記スプールの周りに巻き付けさせるように、前記スプールに操作可能に結合されるノブと、
前記スプールの緩み方向への回転を防止し、前記スプールが前記締め付け方向に回転できるように構成される爪部品と、
を備え、
前記ハウジングが、前記靴の前記従来の靴紐を置き換えるために、装用者によって前記靴に装着されるように構成され、
前記ハウジングの下端が、前記ハウジングの前記下端を前記靴に接着結合する接着剤を含む、
リール式閉鎖装置。
【請求項14】
前記接着剤は、前記ハウジングの前記下端に接着される両面テープである、請求項13に記載のリール式閉鎖装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されている態様は、概して、フットウェアに関連するクロージャーまたは締め付けシステム、装置、および方法に関する。これらの態様は、具体的には、既存のフットウェアに後付けし得るクロージャーまたは締め付けシステムおよび装置、ならびにクロージャーまたは締め付けシステムまたは装置を既存のフットウェアに後付けする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フットウェアは一般にクロージャーまたは締め付けシステムまたは装置を含む。たとえば、フットウェアは一般に、靴を足の周りに締め付けるように靴のアイレットに通され、引っ張られる靴紐を含む。靴紐は、ユーザがそれを締め付け、結び目を作ることを要求するため、ユーザにとって不便である場合もある。結び目は、一定期間後および/またはユーザが特定の活動、たとえばハイキング、ランニング、スポーツイベントなどに参加した結果として、ほどけることがある。靴の締め付け具合は、多くの場合、靴紐の結び目がほどけるとともに損なわれ、それが、活動におけるユーザのパフォーマンスを妨げ得る、および/またはユーザが靴紐を再び引っ張り、締め直すことを要求し得る。
【0003】
一部のフットウェアは、靴紐と関連する問題のいくつかを軽減する他の非靴紐クロージャーシステムまたは装置を含み得る。たとえば、フットウェアは、引っ張り部品が靴およびストッパまたはクリンプ型部品と結合されているプルコードシステムを含み得る。引っ張り部品は、たとえば引っ張り部品の一端を引くことによって引っ張られ得、ストッパまたはクリンプ型部品が引っ張り部品と係合して引っ張り部品の所定の張力を維持し得る。他のフットウェアは、ユーザによって回されるノブを含むリールベースの機構を含み得る。ノブは一般に、チャネルを含むスプールに結合され、ノブがユーザによって回されるとき、そのスプールの周囲にレースが巻き取られる。リールベースの機構は、スプールおよび/またはノブの逆回転を防ぐ、係合する歯または別のラチェット型機構を含み得る。
【0004】
これらの非靴紐クロージャーシステムを含むフットウェアは、多くの場合、そのシステムと合わせて設計および/または具体的に構成されている。そのようなものとして、現在靴紐を含むフットウェアは、多くの場合、非靴紐型クロージャーシステムを使用することができない。いくつかの例において、非靴紐型クロージャーシステムは、元々は靴紐によって締め付けるように構成されているフットウェアに取り付けられ得るが、そのような例において、フットウェアは一般に、当該非靴紐型クロージャーシステムの取り付けによって、フットウェアが有意に損傷されるかまたは他のやり方で顕著に視認可能なもしくは他の取り付けの形跡が生じるような何らかのかたちで、物理的に変形される。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書に記載されている態様は、フットウェアを有意に損傷もしく変形するかまたは顕著に視認可能なもしくは他の取り付けの形跡を形成することなく、既存のフットウェアに取り付けられ得る、クロージャーまたは締め付けシステムおよび装置を提供する。当該態様はまた、フットウェアを有意に損傷または変形することなくクロージャーまたは締め付けシステムまたは装置を既存のフットウェアに取り付ける方法を提供する。一つの態様にしたがって、フットウェアと取り外し可能に結合可能なレーシングシステムが提供される。当該レーシングシステムは、フットウェアの第一の側辺部に配置可能な第一のガイド部材と、フットウェアの第一の側辺部とは反対側の第二の側辺部に配置可能な第二のガイド部材とを含む。当該レーシングシステムはまた、第一のガイド部材および第二のガイド部材を介してフットウエアの周りの経路に沿って(一般にはフットウェアの舌革部分に沿って)案内される引張部材を含む。当該引張部材は、第一および第二の側辺部をいっしょに引くかまたは付勢することによってフットウェアを足の周りに締め付けるように張力をかけられることができる。
【0006】
レーシングシステムはさらに、フットウェアを損傷することなくフットウェアとの結合およびフットウェアからの取り外しが可能な引張機構であって、引張機構を取り外した時に引張機構とフットウェアとの結合が容易には認識されないような引張機構を含む。引張機構は、該引張部材の張力を維持してそれにより足の周りにおけるフットウェアの締め付けを維持するように、引張部材を用いて動作可能である。いくつかの態様において、引張機構は、引張部材に張力をかけるように片手で操作可能である。そのような態様において、引張機構はリールベースの機構またはプルコード型機構であり得る。
【0007】
いくつかの態様において、引張機構は、フットウェアの舌革に沿って配置可能な細長いパネル部材と結合される。そのような態様において、引張機構は、細長いパネル部材の遠位端と結合され得、細長いパネル機構の近位端が、そこから略直交方向に延びる支持部材を含み得る。支持部材は、細長いパネル部材を安定化させるためにフットウェアの舌革の対向する側辺部(すなわち、フットウェアの第一および第二の側辺部)と結合可能であり得る。いくつかの態様において、支持部材は、様々な形状およびサイズのフットウェアに対応するために、細長いパネル部材の近位端に対して近位端方向および遠位端方向に移動可能であり得る。フットウェアの舌革に沿う細長いパネル部材の配置および/または支持部材とフットウェアの舌革の対向する側辺部との結合を容易にするために、細長いパネル部材の近位端はトリミング可能であってもよいし、および/または支持部材の対置された端部がトリミング可能であってもよい。
【0008】
いくつかの態様において、第一のガイド部材および/または第二のガイド部材は、ベース部材と、ループを形成するようにベース部材に取り付けられているアッパー部材とを含み得る。アッパー部材は、フットウェアのアイレットに挿入可能であるのに十分な可撓性を有し、アッパー部材がアイレットの一方の側に配置され、ベース部材がアイレットの反対側に配置され得る。そのような態様において、ベース部材は、ガイド部材がアイレットから抜けるのを防ぐように構成され得る。
【0009】
いくつかの態様において、第一のガイド部材および/または第二のガイド部材は、一つまたは複数のループ部分を形成するようにフットウェアの舌革に沿っておよびフットウェアのアイレットの中を縫うように通されているファブリック材料ストリップ(たとえば靴紐)によって形成され得る。そのような態様において、引張部材は、ループ部分への引張部材の挿入を介してフットウェアの周りの経路に沿って案内され得る。いくつかの態様において、第一のガイド部材および/または第二のガイド部材は、フットウェアの隣接アイレットに挿入可能な対置された端部を有するファブリックループであって、ファブリックループの中間部分がアイレットより下に配置されるのに対してファブリックループの対置されたループ状の端部がアイレットより上に配置される、ファブリックループを含む。
【0010】
いくつかの態様において、引張機構をフットウェアと結合させる前に、引張部材は引張機構に固着される。そのような態様において、第一および第二のガイド部材は引張部材と摺動可能に結合され得、レーシングシステムは、フットウェアと結合可能な一体型ユニットになる。
【0011】
別の態様にしたがって、取り外し可能な締め付け装置が提供される。取り外し可能な締め付け装置は、物品を損傷することなく物品と取り外し可能に結合可能な引張機構であって、取り外された時にその結合が認識されないような引張機構を含む。当該引張機構は、該引張部材の張力を維持するように、引張部材を用いて動作可能であり、当該引張部材は、物品を締め付けるように張力をかけられることができ、一つまたは複数のガイド部材を介して物品の周りの経路に沿って案内され得る。
【0012】
引張機構は、引張部材を物品に対して安定化させるために物品の周りに配置可能な細長いパネル部材と結合され得る。支持部材は、細長いパネル部材の、引張機構とは反対側の端部の近くに結合され得る。支持部材は、細長いパネル部材を物品に対して安定化させるために物品の対向する側辺部と結合可能であり得る。一つまたは複数のガイド部材は、ベース部材と、ループを形成するようにベース部材に取り付けられているアッパー部材とを含み得る。アッパー部材は、物品のアイレットに挿入可能であるのに十分な可撓性を有し、アッパー部材がアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材はアイレットの反対側に配置され得る。ベース部材は、一つまたは複数のガイド部材がアイレットから抜けるのを防ぐように構成され得る。引張部材は、引張機構を物品と結合させる前に引張機構に固着され得、一つまたは複数のガイド部材は、引張部材と摺動可能に結合され得る。
【0013】
別の態様にしたがって、物品を締め付けるための取り外し可能な装置が提供される。取り外し可能な装置は、物品を損傷することなく物品との結合および物品からの取り外しが可能な引張機構を含み、引張機構を取り外した時に、物品は、引張機構が物品と結合していたという視認可能なしるしを実質的に有しない。引張機構は、引張部材に張力をかけて物品を締め付け、引張部材の張力を維持して物品の締め付けを維持するように、動作可能である。引張部材は、物品の周りのレース経路に沿ってまたは当該経路の周りに延び、物品の一つまたは複数のガイド部材を介してレース経路に沿って案内される。
【0014】
別の態様にしたがって、取り外し可能な引張機構を含むようにフットウェアを構成する方法が提供される。当該方法は、フットウェアの第一の側辺部に配置された第一のガイド部材と、フットウェアの第一の側辺部とは反対側の第二の側辺部に配置された第二のガイド部材とを含むフットウェアを含むかまたは必要とする。当該方法はまた、フットウェアの周りおよび経路沿いに引張部材を配置する工程であって、該引張部材が第一のガイド部材および第二のガイド部材を介して該経路に沿って案内される、工程を含む。引張部材は、フットウェアの第一の側辺部をフットウェアの第二の側辺部に向けて付勢するかまたは引くことによってフットウェアを締め付けるように張力をかけられることができる。当該方法はさらに、フットウェアを損傷することなく引張機構をフットウェアと結合させる工程であって、引張機構を取り外した時に引張機構とフットウェアとの結合が認識されないかまたは容易には検出できない、工程を含む。引張機構は、該引張部材の張力を維持してそれによりフットウェアの締め付けを維持するように、引張部材を用いて動作可能である。
【0015】
いくつかの態様において、引張機構は細長いパネル部材と結合される。そのような態様において、当該方法はまた、細長いパネル部材をフットウェアの舌革部分に沿って配置する工程を含む。そのような態様において、当該方法はさらに、細長いパネル部材を安定化させるために細長いパネル部材の支持部材をフットウェアの舌革部分の対向する側辺部と結合させる工程であって、支持部材が、細長いパネル部材の、引張部材とは反対側の端部の近くに結合される、工程を含み得る。そのような態様において、当該方法は、フットウェアの形状および/またはサイズに対応するように、細長いパネル部材に関して支持部材を近位端方向または遠位端方向に調節する工程をさらに含み得る。そのような態様において、当該方法は、フットウェアの舌革に沿って細長いパネル部材を配置するのを容易にするために細長いパネル部材の端部をトリミングする工程および/または支持部材とフットウェアの舌革の対向する側辺部との結合を容易にするために支持部材の対置された端部をトリミングする工程をさらに含み得る。
【0016】
いくつかの態様において、第一のガイド部材および/または第二のガイド部材は、ベース部材と、ループを形成するようにベース部材に取り付けられているアッパー部材とを含み得る。そのような態様において、当該方法はまた、アッパー部材をフットウェアのアイレットに挿入する工程であって、アッパー部材がアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材はアイレットの反対側に配置される、工程を含み得る。
【0017】
いくつかの態様において、当該方法はさらに、靴紐を、一つまたは複数のループ部分を形成するようにフットウェアの舌革部分に沿っておよび一つまたは複数のアイレットの中を縫うように通す工程であって、第一のガイド部材および第二のガイド部材が一つまたは複数のループ部分から形成される、工程、および引張部材を一つまたは複数のループ部分に挿入する工程であって、引張部材がフットウェアの周りの経路に沿って案内される、工程を含む。
【0018】
別の態様にしたがって、引張機構を物品と取り外し可能に結合する方法が提供される。当該方法は、物品を損傷することなく引張機構を物品と結合させる工程であって、引張機構が物品から取り外し可能であり、引張機構を取り外した時に引張機構の結合が認識されないかまたは容易には検出できない、工程を含む。当該方法はまた、引張機構を引張部材と結合させる工程を含み、ここで、引張部材は、一つまたは複数のガイド部材を介して物品の周りの経路に沿って案内されかつ物品を締め付けるように張力をかけられることができ、引張機構は、引張部材の張力を維持してそれにより物品の締め付けを維持するように動作可能である。いくつかの態様において、物品はフットウェアであり得る。
【0019】
いくつかの態様において、引張機構は細長いパネル部材と結合される。そのような態様において、当該方法はまた、引張機構を物品に関して安定化させるために細長いパネル部材を物品の周りに配置する工程を含む。いくつかの態様において、第一のガイド部材および/または第二のガイド部材は、ベース部材と、ループを形成するようにベース部材に取り付けられているアッパー部材とを含む。そのような態様において、当該方法はまた、アッパー部材を物品のアイレットに挿入する工程であって、アッパー部材がアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材がアイレットの反対側に配置される、工程を含む。
【0020】
いくつかの態様において、引張部材は、引張機構を物品と結合させる前に引張機構に固着され、一つまたは複数のガイド部材は、引張部材と摺動可能に結合される。そのような態様において、当該方法はまた、一つまたは複数のガイド部材を物品と結合させる工程を含む。そのような態様において、一つまたは複数のガイド部材を物品と結合させる工程は、一つまたは複数のガイド部材、引張部材、および引張機構を物品と取り外し可能に結合させ得る。そのような態様において、一つまたは複数のガイド部材を物品と結合させる工程は、一つまたは複数のガイド部材の近位端を物品のそれぞれのアイレットに挿入する工程を含み得る。
【0021】
別の態様にしたがって、物品の経路に沿って引張部材を取り回すためのガイド部材が提供される。ガイド部材は、ベース部材と、引張部材がループに挿入された後に引張部材を取り回すためのループを形成するようにベース部材に取り付けられているアッパー部材とを含む。アッパー部材は、物品のアイレットに通して配置されるのに十分な可撓性を有し、ベース部材は、ベース部材がアイレットから抜けるのを阻止するのに十分な剛性を有する。アッパー部材がアイレットに挿入されたとき、アッパー部材はアイレットの一方の側に配置され、ベース部材はアイレットの反対側に配置される。
【0022】
いくつかの態様において、アッパー部材は、ファブリック材料ループまたはストリップである。いくつかの態様において、ベース部材は硬質材料である。他の態様において、ベース部材は、アッパー部材ファブリック材料ストリップの縦方向長さよりもよりも短い縦方向長さを有するファブリック材料ストリップである。そのような態様において、ベース部材から延びるアッパー部材のファブリック材料ストリップの中央部分がループを形成するように、アッパー部材およびベース部材のファブリック材料ストリップの対置された端部が互いに結合されていてもよい。そのような態様において、結合された対置された端部は、アッパー材料ループから略直交方向に延びるフランジを形成し得る。各フランジは3~6mmの縦方向長さを有し得る。
【0023】
いくつかの態様において、アッパー部材は、ループのベース部材に直接隣接する部分が幅3~5mmのギャップを含むようにベース部材に取り付けられる。いくつかの態様において、アッパー部材ループは、ベース部材の上方に約8~12mm延びている。いくつかの態様において、アッパー部材がアイレットに通して配置された後に、裏地材料をベース部材の上に配置可能であり得る。裏地材料は物品と結合されてその下のベース部材を隠し得る。
【0024】
別の態様にしたがって、ガイド部材を形成する方法が提供される。ガイド部材は、物品の経路に沿って引張部材を取り回すように構成されており、当該方法は、ベース部材が物品のアイレットから抜けるのを阻止するのに十分な剛性を有するベース部材を提供する工程およびアッパー部材をベース部材に取り付けて、引張部材がループに挿入された後に引張部材を取り回すためのループを形成する工程を含む。アッパー部材は、物品のアイレットに通して配置可能であるのに十分な可撓性を有し、アッパー部材がアイレットに挿入されたとき、アッパー部材はアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材はアイレットの反対側に配置される。
【0025】
いくつかの態様において、アッパー部材は、ループを形成するように互いに結合される対置された端部を有するファブリック材料ストリップであり、ベース部材は、ファブリック材料が摺動可能に通される一対のスロットを有する硬質材料である。他の態様において、アッパー部材はファブリック材料ストリップであり、ベース部材はファブリック材料ストリップであり、ベース部材のファブリック材料ストリップは、アッパー部材のファブリック材料ストリップの縦方向長さよりも短い縦方向長さを有する。そのような態様において、当該方法はまた、ベース部材から略直交方向に延びるアッパー部材ファブリック材料ストリップの中央部分がループを形成するように、これらのファブリック材料ストリップの対置された端部を結合させる工程を含む。そのような態様において、結合された対置された端部は、アッパー材料ループから略直交方向に延びるフランジを形成し得、各フランジは3~6mmの幅を有する。
【0026】
いくつかの態様において、アッパー部材は、ループのベース部材に直接隣接する部分が幅3~5mmのギャップを含むようにベース部材に取り付けられる。いくつかの態様において、アッパー部材ループはベース部材の上方に約8~12mm延びている。いくつかの態様において、当該方法はさらに、アッパー部材がアイレットに通して配置された後に裏地材料をベース部材の上に配置する工程および裏地材料を物品と結合してその下のベース部材を隠す工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は添付図面とともに説明される。
【0028】
図1】靴または他の物品を閉じるために用いられ得るレーシングシステム部品およびレーシングシステム操作の概略的態様を示す。
図2】靴または他の物品を閉じるために用いられ得るレーシングシステム部品およびレーシングシステム操作の概略的態様を示す。
図3】靴または他の物品を閉じるために用いられ得るレーシングシステム部品およびレーシングシステム操作の概略的態様を示す。
図4】靴または他の物品を閉じるために用いられ得るレーシングシステム部品およびレーシングシステム操作の概略的態様を示す。
図5A】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5B】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5C】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5D】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5E】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5F】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5G】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5H】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5I】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図5J】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な態様を示す。
図6A】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6B】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6C】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6D】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6E】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6F】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6G】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6H】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6I】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6J】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6K】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6L】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6M】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6N】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6O】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6P】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る他の様々な態様を示す。
図6Q】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な部品を示す。
図6R】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な部品を示す。
図6S】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な部品を示す。
図6T】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な部品を示す。
図6U】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る様々な部品を示す。
図6V】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る細長い舌革パネルの様々な態様を示す。
図6W】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る細長い舌革パネルの様々な態様を示す。
図6X】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る細長い舌革パネルの様々な態様を示す。
図6Y】靴または他の物品に締め付け機構を後付けするために用いられ得る細長い舌革パネルの様々な態様を示す。
図7A】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7B】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7C】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7D】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7E】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7F】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7G】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7H】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7I】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7J】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7K】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図7L】靴または他の物品に引張部材のためのガイドを後付けする様々な態様を示す。
図8A】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8B】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8C】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8D】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8E】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8F】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8G】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8H】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8I】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8J】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8K】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8L】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図8M】ファブリックまたは他の材料ストリップを使用して引張部材ガイドを形成する様々な態様を示す。
図9A】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9B】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9C】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9D】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9E】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9F】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図9G】靴紐、すなわちウェビングを使用して引張部材のためのウェビングガイドを形成する様々な態様を示す。
図10】締め付けシステムを含むように靴を後付け改装するためのフレーム部材の態様を示す。
図11図11A~Dは、靴または物品に後付けするための締め付け機構と結合され得るパネルの態様を示す。
図12A図8K~Lに示すガイドを製造するための装置の様々な態様を示す。
図12B図8K~Lに示すガイドを製造するための装置の様々な態様を示す。
図12C図8K~Lに示すガイドを製造するための装置の様々な態様を示す。
図12D図8K~Lに示すガイドを製造するための装置の様々な態様を示す。
【0029】
添付図面において、類似部品および/または特徴は同じ参照番号を有し得る。さらに、同タイプの様々な部品は、類似部品および/または特徴を区別する文字を参照番号の後に付けることによって区別され得る。はじめの参照番号だけが明細書において使用されるならば、その記載は、接尾文字にかかわらず、同じはじめの参照番号を有する類似部品および/または特徴のいずれにも適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本明細書に記載されている態様は、多様な物品、たとえば医療用ブレース(すなわちバックブレース、ニーブレースなど)、衣料品(すなわち帽子、手袋など)、スポーツアパレル(ブーツ、スノーボードブーツ、スキーブーツなど)および他の様々な物品を閉じるために使用され得るクロージャー装置の様々な特徴を提供する。クロージャー装置が使用され得る具体的な態様は、靴を含む。本明細書における態様を説明しやすくするため、本開示は、主に靴に使用されるクロージャー装置を説明するが、クロージャー装置は他の様々な物品に使用されてもよいことが理解されよう。
【0031】
いくつかの態様において、レーシングシステムの一つまたは複数の部品を含むように靴を「後付け改装」することが望ましい場合がある。本明細書で使用されている語「後付け改装」とは、既存の靴または別の物品もしくはアパレルを、レーシングシステムの一つまたは複数の部品を含むように適合させて、レーシングシステムを使用して靴または他の物品/アパレルを閉じることができるようにすることをいう。既存の靴の適合または後付け改装は、締め付け機構、一つまたは複数のガイド、レース終端点などを靴または他のアパレルと結合させて、レーシングシステムによって靴を閉じることができるようにすることを含み得る。いくつかの態様において、靴は、レーシングシステムを含むように後付け改装または適合される際に視認可能な損傷または他の損傷をこうむらなくてもよい。たとえば、本明細書に記載されている態様の多くにおいて、レーシングシステムは、靴を変形または損傷することなく取り外し可能である。これは、システムを、相対的に古い、および/またはすり減った靴から、相対的に新しい、および/またはきれいな靴へと移すことを可能にし得る。これはまた、レーシングシステムを後付けする靴を、以前にレーシングシステムを後付けしていたという視認可能なまたは容易に検出可能な痕跡またはしるしなしで、その後、従来の靴紐または別の締め付け装置とフィットさせることを可能にする。
【0032】
いくつかの態様において、靴または他のアパレルの適合は、靴または他のアパレルのレースを、レーシングシステムのためのガイドとして使用する、またはガイドとともに使用することができるようなやり方で利用することを含む。靴紐の利用は、レーシングシステムのレースが挿入され得るループを形成するやり方で、レースを、靴または他のアパレルの既存のアイレットまたはウェビングに挿入する、または挿入して輪にすることを含み得る。他の態様において、リールベースの機構が、縫合、リベット、接着結合などによって靴または他のアパレルと結合されてもよい。以下、レーシングシステムの一つまたは複数の部品を含むように既存の靴および/または他のアパレルを適合させる様々な態様を本明細書の中で説明する。図1~4は、靴または他のアパレルを閉じるために用いられ得るレーシングシステム部品およびレーシングシステム操作の概説を提供する。図1~4は、リールベースの機構の構造を示すために提供され、必ずしも、本明細書に記載されている後付け態様とともに使用され得る実際のリールベースの機構を反映するわけではない。したがって、本明細書に記載されている後付け態様を逸脱することなく、様々な異なる構成のリールベースの機構が用いられ得る。他の態様においては、プルコードまたは他の締め付け機構またはシステムが、後付け態様とともに用いられてもよい。
【0033】
ここで図面を参照すると、図1は、靴102を締め付けるように使用されるレーシングシステム100の態様の斜視図である。靴は、装用者の周囲に締め付けることができる任意の適当なフットウェアであることができる。レーシングシステム100は、本明細書に記載されているような他の様々な物品、たとえばベルト、帽子、手袋、スノーボードビンディング、医療用ブレース、またはバッグを閉じるかまたは締め付けるために使用することができる。レーシングシステムは、リールアセンブリ104、レース106、および一つまたは複数のレースガイド108を含むことができる。図示されている態様において、リールアセンブリ104は、靴の舌革110に取り付けることができる。また、他の様々な構成が可能である。たとえば、リールアセンブリ104を靴102の側面に取り付けることもでき、それは、締め付けられたときに靴の側辺部112a~bが互いに近く引き寄せられて舌革110の小さな部分しか露出されないように設計されている靴の場合に好都合であり得る。リールアセンブリ104を靴102の背面に取り付けることもでき、背面に取り付ける場合は、レース106をリールアセンブリ104と係合させることができるよう、レース106の一部が装用者の足首のいずれかの側で靴102を貫通することができる(レースを通すための管材を使用する場合もある)。いくつかの態様において、リールアセンブリ104はまた、レーシングスロートの側面または頂部の近くに取り付けられてもよい。
【0034】
図2は、レーシングシステム100または本明細書に記載されている任意の他のレーシングシステムに類似していることができるレーシングシステム200の態様の斜視図である。レーシングシステムは、リールアセンブリ104または当技術分野において公知の任意の他のリール/ノブアセンブリに類似していることができるリールアセンブリ204を含むことができる。図3はリールアセンブリ204の分解斜視図である。図4はリールアセンブリ204の別の分解斜視図である。
【0035】
図2~4を参照すると、リールアセンブリ204は、ベース部材214、スプール部材216およびノブ部材218を含むことができる。ベース部材はハウジング220および取り付けフランジ222を含むことができる。スプールハウジング220は、半径方向内側に延びることができる複数のラチェット歯224を含むことができる。ベース部材214は、レース206がスプールハウジング220に入ることを可能にするレースホール(たとえば226a)を含むことができる。
【0036】
スプール部材216は、スプールハウジング220に対してスプール部材216が軸228を中心に回転可能であるようにスプールハウジング220内に配置されることができる。レース206は、スプール部材216が締め付け方向(矢印Aによって示す)に回転すると、レース206がスプールハウジング220の中に引き込まれ、スプール部材216中に形成されたチャネル230の周囲に巻き取られ、スプール部材216が緩め方向(矢印Bによって示す)に回転すると、レース206がスプール部材216のチャネル230から巻き出され、レースホール(たとえば226a)を通ってハウジング220から出るように、スプール部材216に確保されることができる。スプール部材216はまた、その上に形成されたスプール歯232を含むことができる。本明細書に開示される態様は、矢印Bによって示す方向への回転がレースを締め付けるように変更されることもできることが理解されよう。この特定の態様においては、レースを解放するためには、ノブ部材218を軸方向に持ち上げてスプール230との係合を解除して、スプールが方向Bに自由に回転することを許し得る。他の態様においては、矢印Aによって示す方向へのノブ部材218の回転がレーシングシステムを緩めてもよい。特定の態様において、レーシングシステムを緩めるために、ノブ部材218は、緩め方向(たとえば矢印Bによって示す)に特定の量(たとえば1/4~1/2回転)回転させ得る。レースを締め付ける、解く、またはその張力を調節するための他のユーザインタフェースが可能である。
【0037】
ノブ部材218は、スプールハウジング220に対してノブ部材218が軸228を中心に回転することができるようにスプールハウジング220に取り付けることができる。ノブ部材218はノブ歯234を含むことができ、これらのノブ歯は、スプール歯232と噛合してノブ部材218をスプール部材216に結合して、締め付け方向へのノブ部材218の回転がスプール部材216もまた締め付け方向に回転させるように構成されることができる。いくつかの態様において、緩め方向へのノブ部材218の回転はまた、スプール部材216を緩め方向に回転させることができる。ノブ部材218はまた、ラチェット歯224と噛合するように半径方向外側に偏らせられることができる一つまたは複数の爪236を含むことができる。爪236およびラチェット歯224は、ノブ部材218が締め付け方向に回転するときラチェット歯224が爪236を半径方向内側に移動させて、それにより、ノブ部材218が締め付け方向に回転することを可能にするように構成されることができる。爪236およびラチェット歯224はまた、ノブ部材218を緩め方向にねじる力が加えられたとき互いに係合して、それにより、ノブ部材218が緩め方向に回転するのを防ぐように構成されることができる。他の構成において、ラチェット歯224は、軸方向に噛合するように相応に配設されているノブ爪部材(図示せず)と係合するように軸方向に向けられてもよい。
【0038】
したがって、リールアセンブリ204のようなリールアセンブリは、ユーザがノブ部材218を締め付け方向に回すことを許し、それがスプール部材216を締め付け方向に回転させ、それが他方で、レース206がレースホール(たとえば226a)を通してスプールハウジング220の中に引き込まれるように構成された一方向締め付けシステムを提供することができる。レース206がスプールハウジング220の中に引き込まれると、レーシングシステム200は締まり、レースガイド208がリールアセンブリ204の方向(図2に矢印Cによって示す)に引き込まれることができる。レーシングシステム200は、一つのレースガイド208を有するものとして示されているが、任意の他の適当な数のレースガイドを使用することができる。リール・レースシステムの他の特徴は、2011年4月29日に出願された「Reel Based Lacing System」と題する米国特許出願第2011/0266384号に記載されている。この出願の開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0039】
本明細書に記載されている態様は、概して、靴または他のアパレルがレーシングシステムの一つまたは複数の部品、たとえば図1~4に上記された部品を含むように後付け改装される態様を記載する。本開示は概して、リールまたはダイヤル機構およびレーシングシステムを使用する場合に関するが、任意の締め付け機構が使用され得、本開示が、リールもしくはダイヤルおよび/またはレーシングシステムのみを使用する態様に限定されないことが理解されよう。たとえば、靴、ブレースまたは他の装置に後付けするために他の様々な締め付け機構を使用することもできる。別のそのような締め付け機構の例が、張力をかけた後にコードを定位置にロックするための適当な手段を備えたプルコードシステムである。
【0040】
次に図5Aおよび5Bを参照すると、リールアセンブリ504を含むように靴502を後付け改装する一つの態様500が示されている。この態様において、リールアセンブリ504は、リールアセンブリ504のハウジングのバヨネットまたは下部に設けられた、スリット、穴などであり得る一対の開口506を含む。リールアセンブリ504を靴502の舌革507に取り付けるためにリベット508が開口506に挿入されている。他の態様において、リールアセンブリ504は、リールアセンブリ504を舌革507ではなく靴502の側面に結合するために、靴502のアイステイ部509または側面に取り付けられてもよい。リベット508が舌革507のファブリックおよび/またはアイステイ部509の材料から抜けるのを防ぐために、一つまたは複数の座金510がリベット508とともに使用されてもよい。リベット508は、リールアセンブリ504を靴502に相対的に固く結合して、リールアセンブリ504のノブが回され、レースがリールアセンブリ504のスプールの周囲に巻き取られるとき、舌革507の周りのリールアセンブリ504の回転を防ぎ得る。リベット508またはそれと結合した座金510は、その縁がユーザと接触するのを防ぐためにテーパ状であってもよい。
【0041】
いくつかの態様において、リベット508は、リベットガンを使用して適用され得るが、またはより簡単な場合には、ハンマーまたは他の物体を使用してリベット508を適用してもよい。他の態様において、リベット508は、他の締結機構、たとえばセルフタッピンねじ、ナット・ボルトアセンブリ、バインダポストねじまたは当技術分野において公知の他の機械的締結具に代えられてもよい。
【0042】
いくつかの態様において、リールアセンブリは、クリップが挿入される複数の開口を含み得る。靴の舌革はまた、リールアセンブリを舌革に結合するためにクリップが挿入される複数のスリットまたは穴を含み得る。図示されないが、いくつかの態様においては、靴のアイステイ部も同様に、リールアセンブリを靴のアイステイ部に結合するためにクリップが挿入される複数のスリットを含み得る。クリップおよびリールアセンブリは、リールアセンブリを靴と結合して、ノブが操作されたとき、リールアセンブリの回転を防ぐ、または最小限にし得る。靴の開口とリール/スプールハウジング受け部との間に他のクリップ形状を使用することもできる。
【0043】
次に図5Cおよび5Dを参照すると、リールアセンブリ524を靴522と結合させる別の態様520が示されている。具体的には、この態様においては、リールアセンブリ524を靴522と結合させるために、一つまたは複数のケーブルタイ526を靴522のアイレット528に挿入し得、さらに、リールアセンブリ524の対応する開口に挿入し得る。ケーブルタイ526の頭部が、ケーブルタイ526のケーブルまたはワイヤを頭部に通して引くことを許しながらもそれらの後退を防ぐラチェット機構を含んでもよい。このようにして、ケーブルタイ526は、アイレット528に挿入され、リールアセンブリ524の開口に挿入され、これらの部品に対して締め付けられて、リールアセンブリ524を靴522と結合し得る。ケーブルタイ526はまた、同様なやり方で一つまたは複数のガイド525を靴522と結合させるために使用されてもよい。または、レースガイドがラチェット機構およびラチェットストリップを含んでもよい。いくつかの態様において、ケーブルタイ526は、レーシングシステムのレースのためのガイドとして使用され得る。
【0044】
次に図5E~Hを参照すると、リールアセンブリ534を靴532と結合させる他の態様530が示されている。具体的には、リールアセンブリ534はクリップボディ533と結合され、そのクリップボディが靴532のアイステイ部の上に挿入され、それに対して結合される。クリップボディ533は、締結機構535をアイステイ部のアイレット538に挿入し、クリップボディ533の対応する開口に挿入することにより、靴532のアイステイ部に結合される。締結機構535は、解放可能または非解放可能なやり方で互いにパチンと嵌まる一つまたは複数の部品を含み得る。他の態様において、締結機構535は、互いにねじ止め、プレス嵌め、結合などする部品を含む。
【0045】
いくつかの態様において、リールアセンブリ534は、クリップボディ533を靴532のアイステイ部と結合した後にリールアセンブリ534をクリップボディ533に取り付け得るよう、および/またはたとえば交換、修理、清掃などのためにリールアセンブリ534をクリップボディ533から取り外し得るよう、クリップボディ533と取り外し可能に結合され得る。他の態様において、クリップボディ533は、一つまたは複数のガイド536を靴532のアイステイ部と結合させるために使用されてもよいし、および/またはレーシングシステムのレースのためのガイドとして使用されてもよい。
【0046】
次に図5Iおよび5Jを参照すると、リールアセンブリ544を靴と結合させる別の態様540が示されている。この態様において、リールアセンブリ544は、靴の一部分、たとえば舌革、アイステイ部、ヒール部などに接着結合(546)され得る(たとえばホットメルトなどを使用する)。代替的および/または追加的に、他の接着法、たとえば両面テープ547を使用してリールアセンブリ544を靴に結合してもよい。
【0047】
いくつかの態様においては、ロッキングタブ(図示せず)を使用してリールアセンブリを靴の舌革または靴の任意の他の部分に締結してもよい。リールアセンブリは、ロッキングタブが滑り込むスロットまたは凹みを含み得る。一対の締結部材がスロットを横切って横方向に延び得て、ロッキングタブがスロットの中に挿入されたとき、締結部材がタブを定位置に保持または確保する。また、靴の舌革が、ロッキングタブが挿入されるスロット(たとえば、舌革のファブリック材料に切り込まれたスリット)を含んでもよい。舌革スロットをリールアセンブリの締結部材の間に配置して、ロッキングタブをリールアセンブリスロットおよび舌革スロットの中に滑り込ませてリールアセンブリを靴に確保し得る。靴からのリールアセンブリの結合解除は逆の手順で実施し得る。
【0048】
リールアセンブリをアイステイ部に結合する場合には、リベット、ボルトおよび他の機械的締結具の使用が好ましいといえる。理由は、そのような部品は、リールアセンブリを靴により固く結合し、それにより、靴に対するリールアセンブリの回転を防ぐからである。靴へのリールアセンブリの固定結合は、リールのねじれを防ぐ、および/または、ユーザが接する部品(たとえばリールアセンブリ)のための構造を提供することにより、改善されたユーザインタフェースを提供する。構造は、リールアセンブリそのものによって、別の部品(たとえば本明細書に記載されている細長い舌革ガイド)によって、または靴によって固定結合を介して提供され得る。相対的に固い結合はさらに、リールアセンブリが靴に対して動く、または偏るのを防ぐ。これらの機械的締結具も同様に、リールアセンブリが靴のファブリックから抜けるのを防ぎ得る。パワーが高めの用途の場合には、舌革の周りのリールアセンブリの配置および取り付けが好ましい場合がある。理由は、レースがリールアセンブリの両側に配置されると、レースによってリールアセンブリに加えられる力が本質的に均等化されるからである。
【0049】
次に図6A~Oを参照すると、リールアセンブリを靴と結合させる他の様々な態様が示されている。これらの態様において、リールアセンブリは、靴と直接結合されなくてもよく、代わりに、他方で靴と結合される一つまたは複数の部品に結合され得る。図6Aおよび6Bに示すように、一つの態様600において、リールアセンブリ604がスリーブ606に結合され得、そのスリーブが他方で靴602と結合されている。スリーブ606は、靴のレース608をスリーブ606中のスリットまたは穴609に挿入することにより、靴602と結合される。レース608は、靴602のアイレット607に通して巻き取られて、レーシングシステムのレース(番号なし)のためのガイドを形成し、かつスリーブ606を靴602に結合する。そして、スリーブ606は、リールアセンブリ604のバヨネット601またはソーフランジに巻き付けられ、それに結合される。いくつかの態様において、スリーブ606は、ソーフランジまたはバヨネット601に巻き付けられ、その後、縫合されてリールアセンブリ604をスリーブ606に結合し得る。別の態様において、スリーブ606は、スリーブ606をバヨネット601の上にきつく引っ張る弾性バンドを含み得る。リールアセンブリ604をスリーブ606と結合させる他の方法は、接着結合、機械的締結などを含み得る。このスリーブは、加工された織物および/または成形部品であり得る。代替態様において、スリーブ606は、リールアセンブリと取り外し可能に結合するバヨネットであってもよい。スリーブ606は、レーシングシステムのレースがリールアセンブリ604にアクセス可能になるように挿入される一つまたは複数の穴を含み得る。
【0050】
図6Bに示すように、リールアセンブリ604は靴602のアイステイ部と結合され得る。他の態様において、リールアセンブリ604は、靴602の舌革部分または別の部分と結合され得る。同様に、一つの靴紐608を使用して、スリーブ606を靴602と結合し、かつレーシングシステムのための様々なガイドを形成してもよいし、または別々の靴紐を使用して、レーシングシステムガイドを形成し、かつスリーブ606を靴602と結合してもよい。
【0051】
次に図6C~Eを参照すると、リールアセンブリ614および靴(図示せず)と結合され得る部品の他の態様610が示されている。部品は、靴の舌革の上に配置され得る細長い舌革パネル612を含む。細長い舌革パネル612が靴の舌革の上に配置されると、レーシングシステムのレース(図示せず)が細長い舌革パネル612の上面を横切り得る。細長い舌革パネル612は、リールアセンブリ614と結合する相対的に拡大された上部を含み得る。いくつかの態様において、細長い舌革パネル612は、靴の舌革の上に細長い舌革パネル612をさらに結合するために靴のレースが挿入され得る一つまたは複数のスロット615を含み得る。細長い舌革パネル612の下部613は、様々なサイズの靴に対応するように細長い舌革パネル612の全長を調節し得るよう、トリミングされるかまたは他のやり方で除去され得る。
【0052】
いくつかの態様においては、取り付け部材618(たとえばバレル、プラグなど)が細長い舌革パネル612の下部と結合され得る。取り付け部材618は、たとえばバレルまたはプラグを靴のアイレット619に挿入することによって靴と結合可能であり得る。取り付け部材618は、低デュロメータTPUもしくはTPE材料のセカンドショット成形、接着結合、機械的締結または当技術分野において公知の任意の他の方法を使用して、細長い舌革パネル612に取り付けられ得る。取り付け部材618は、取り付け部材618を細長い舌革パネル612から靴に向けて横に引き、靴と結合させることを可能にするやり方で、細長い舌革パネル612に結合され得る。
【0053】
次に図6Gおよび6Hを参照すると、リールアセンブリ624を靴622と間接的に結合するために使用され得る細長い舌革パネル622a~dの他の態様620が示されている。図6Fは、細長い舌革パネルが靴622と結合される様子を示す。細長い舌革パネル622a~dは、レーシングシステムのレースおよび/または靴紐の一部分がその上面を横切る状態で靴の舌革の上に配置されるように構成されている点で、前記細長い舌革パネル612に類似している。図6Fは、靴の舌革の上に配置された細長い舌革パネルを示し、また、靴紐628が靴622のアイレットに挿入されて、以下に説明するようなレーシングシステムのレース627のためのガイドを形成する様子を示す。靴紐628は、靴の舌革の上での細長い舌革パネルの結合を補強するために、細長い舌革パネルの遠位端に設けられたスリットまたは穴625に挿入され得る。レース627が、靴紐628のウェビングループに挿入され、細長い舌革パネルの上面を横切る。レース627はまた、図示されているような細長い舌革パネルの一つまたは複数のスリット(番号なし)に挿入されてもよい。スリットは、レース627のためのさらなるガイドとして機能し得るし、またはパネルを横切るレース627を他のやり方で管理または制御し得る。靴紐628がレースガイドを形成し、細長い舌革パネルが靴の舌革の上に配置されるように靴622を適合させると、レーシングシステムを容易に靴622に後付けすることが可能になる。細長い舌革パネル622a~dは、レースのための低摩擦面を提供し、また、レース圧力を靴の舌革全体に分散する。細長い舌革パネル622a~dはまた、レース交差点の位置を制御し、靴の舌革材料と比べて高い剛性により、交差点間の下革の「ふくれ」を最小限にし得る。様々な材料、たとえば多様な熱可塑性樹脂および織物と熱可塑性樹脂との積層物を細長い舌革パネル622a~dのために使用し得る。
【0054】
図6Gは、細長い舌革パネル622a~dが、必要性、用途またはユーザの好みに応じて様々な設計または構成を有し得ることを示す。たとえば、第一の細長い舌革パネル622aは複数のヒンジ部または一体蝶番線を含み、それらが、それらの縦方向長さに沿って細長い舌革パネル622aが撓むことを可能にする。これは、ユーザが靴622を履いて動く、または歩くとき細長い舌革パネル622aが容易に曲がる、または撓むことを可能にする。細長い舌革パネル622bは狭いボディ部分を含み、これが、細長い舌革パネル622bが、狭い舌革を有する靴とフィットすることを可能にする、および/または、細長い舌革パネル622bが容易に撓むことを可能にする。細長い舌革パネル622cは複数のリブを含み、それらのリブも同様に、細長い舌革パネルが撓むことを許しながらも、おそらくは、靴の舌革の上での細長い舌革パネル622cの回転を防ぐ、および/または靴のふくれを減らす。細長い舌革パネル622dは複数の穿孔を含み、これらの穿孔が、細長い舌革パネル622dの可撓性を高め得る、および/または細長い舌革パネル622dの通気性を増し得る。細長い舌革パネル622dの穿孔を靴622の類似した穿孔に合致させてもよい。
【0055】
図6Hに示すように、別の態様において、細長い舌革パネル629は、リールアセンブリ624が細長い舌革パネル629と取り外し可能に結合することを可能にするバヨネット623を含み得る。このようにして、細長い舌革パネル629は靴の舌革にフィットされ、結合され得、ユーザの必要性および/または用途に応じてリールアセンブリ624が選択され、バヨネット623と結合され得る。
【0056】
バヨネット623は、相対的に硬質の材料のハウジングをリールアセンブリ624のために使用し、相対的に軟質の材料でできていてもよい細長い舌革パネル629と結合させることを可能にする。いくつかの態様において、バヨネット623は、細長い舌革パネル629とは異なる材料でできていてもよい。たとえば、バヨネット623は、相対的に硬質かつ剛性の材料でできていてもよく、細長い舌革パネル629は相対的に軟質の材料でできている。バヨネット623は、スナップ嵌め、ツーショット成形法、接着結合、インサート成形、縫合、機械的締結(たとえばリベット締め)などによって細長い舌革パネル629と結合され得る。
二つの部品バヨネット623および細長い舌革パネル629は、さらなる可撓性、重量節約または削減、通気性増加などを提供し得る。二つの部品はまた、細長い舌革パネル629およびバヨネットを、靴のデザインにマッチするよう、異なる色にすることを許し得る。
【0057】
次に図6I~Mを参照すると、リールアセンブリ1226を含むように靴または他の物品を後付け改装するために使用され得る細長い舌革パネル1220の別の態様が示されている。細長いパネル1220は、上記のような靴の舌革に沿って配置されるように設計されている主ボディ部1202を含む。リールアセンブリ1226に対応するために、近位端または上端が遠位端または下端よりもわずかに大きい。ボディ部1202は、リールアセンブリ1226の下方に離間した舌革ガイド1204を含み得、この舌革ガイドにレースを挿入し得る。舌革ガイド1204は、レースを案内するかまたは制御することに加え、パネル1220を靴の舌革に関して安定化させるのを支援し得る。いくつかの態様において、パネル1220は、リールアセンブリ1226をパネル1220と取り外し可能に結合することを可能にする、近位端または上端に位置するバヨネットまたはハウジングを含み得る。
【0058】
細長いパネル1220は、細長いパネル1220の下部を靴に対して固着する支持または安定化部材1228(以下、支持部材1228)を含む。支持部材1228は、細長いパネルのボディ1202の遠位部または下部から略直交方向に延び、靴の舌革の対向する側辺部と解放可能に結合するように構成されている。支持部材1228を靴の対向する側辺部と結合させることにより、支持部材1228は細長いパネル1220を安定化し、それが、パネル1220のフィットを改善する、および/または靴に後付けするのに要する時間を減らす。支持部材1228は、靴に対するパネル1220の遠位部または下部の動きを阻止または制限することにより、細長いパネル1220を靴に対して安定化させる。たとえば、リールアセンブリのノブをユーザがつまみ、回すとき、パネル1220の遠位部または下部の回転動および/または並進動が制限または阻止される。
【0059】
支持部材1228を靴の対向する側辺部と結合させるために、支持部材1228は、レースのためのガイド部材が通される、および/またはレースが通される一つまたは複数の開口1230を含む。たとえば、図6Lは、支持部材1228のそれぞれの開口1230に挿入された、本明細書に記載されたようなウェビングガイド部材1252を示す。他の態様においては、ウェビングガイド1252ではなく、プラスチックまたは相対的に硬いガイド部材が開口1230に挿入されてもよい。いくつかの態様において、支持部材1228は、支持部材1228の伸びによって横方向調節を可能にすることができるエラストマー材料でできている。たとえば、安定化部材1208は、ショアAデュロメータで計測して45~60の硬さを有することができる。
【0060】
支持部材1228は、パネル1220に対して縦方向に調節可能であるために、細長いパネル1220と結合される。本明細書で使用されている縦方向なる用語は、パネル1220の上部からパネルの下部までで計測される方向をいう。支持部材1228の縦方向調節を可能にするために、細長いパネル1220は、一つまたは複数の配置開口1234を含むチャネル1232を含み得る。支持部材1228は、支持部材1228を細長いパネル1220と結合させるために配置開口1234の一つに挿入されることができるノブ1236を含む。いくつかの態様において、ノブ1236は、配置開口1234内のノブ1236の回転が部品をいっしょにロックまたは結合するように楕円形または非円形であり得る。たとえば、ノブ1236および支持部材1228は、ノブ1236を配置開口1234に挿入することを可能にするためにパネル1220のボディ1202と整合され得る。そして、支持部材1228およびノブ1236を回転(たとえば90°)させて、ノブ1236が配置開口1234と係合し、配置開口1234からのノブ1236の抜けを防止または阻止し得るようにする。
【0061】
図6Mは、細長いパネル1220に関して、またはそれに対して支持部材1228の位置を調節するプロセスを示す。工程1に示すように、支持部材1228は、もっとも遠位端寄りの配置開口1234中に位置している。ノブ1236は、そのもっとも幅広の部分がパネルの縦軸に対して直交する向きで配置され、その向きが、配置開口1234からのノブ1236の抜けを防止または阻止する。工程2で、支持部材1228を、パネルの縦軸と一直線に並ぶように回転させると、それがノブ1236を回転させて、ノブのもっとも幅広の部分を配置開口1234およびチャネル1232と一直線に並ばせる。ノブ1236のこの位置は、工程3に示すように、ノブ1236を配置開口1234から取り出し、別の配置開口、たとえばより近位端寄りの配置開口内に配置し直すことを可能にする。工程4で、支持部材1228を細長いパネル1220に対して回転させて、支持部材1228がパネルの縦軸から略直交方向に延びるようにすると、それがノブ1236を回転させて、ノブのもっとも幅広の部分が再びパネルの縦軸に対して直交する方向に向くようにして、それにより、支持部材1228およびパネル1220を定位置にロックし得る。上記プロセスを実施することにより、支持部材1228の配置を、細長いパネル1220に対して近位端方向および遠位端方向に調節し得る。
【0062】
図6Kに示すように、いくつかの態様においては、細長いパネル1220の遠位端セグメント1240をパネル1220から除去して、パネルを短縮し、特定の靴に合わせてサイズ決めすることを許してもよい。同様に、支持部材1228の末端部分1238を除去して、支持部材1228を短縮し、特定の靴に合わせてサイズ決めすることを許してもよい。このようにして、パネル1220および支持部材1228のいずれかまたは両方は、様々な形状およびサイズの足および靴に対応するように調節され得る。
【0063】
図6Lは、靴の舌革部分の周りで靴と結合される細長い舌革パネル1220を示す。具体的には、パネル1220の主ボディ部分1202が靴の下革に沿って縦方向に配置される。レーシングシステムのレース1250がパネルの下革ガイド1204に通され、靴のアイレットに挿入されたガイド部材1252に通される。レース1250は、いくつかのレースガイドの間で、靴の周りまたは靴に沿う経路に沿って延びる。上記のように、支持部材1228は、ガイド部材1252を支持部材1228の開口1230に挿入することにより、靴の対向する側辺部に取り付けられる。
【0064】
前記支持部材とは違って、図6Lの支持部材1228は、細長いパネル1220の遠位端に配置されたポスト1256の上にパチンと嵌まる開口1254を含む。支持部材1228の開口1254とパネル1220のポスト1256との構成は、工程1~3に示すように、パネル1220の周りにおける支持部材1228の位置を速やかかつ容易に調節することを可能にする。たとえば、開口1254をポスト1256の上にパチンと嵌めることにより、靴からレース1246を取り外すことなく、両部品の位置の調節を容易に達成することができる。パネル1220を靴に取り付けた後に、リールアセンブリ1226を操作してレース1250に張力をかけ、それによって靴を締め付けることができる。
【0065】
次に図6Nを参照すると、細長いパネル1260の別の態様が示されている。パネル1260は、前記パネルに類似するが、支持部材1268が引っ張りシステムのレース1274と直結するように構成されている支持部材1268の代替構成を含む。支持部材1268とレース1274との直結を可能にするために、支持部材1268の対置された端部1270は管腔1272を含み、これらの管腔は、その軸がレース1274と一直線に並ぶように向けられている。この整列は、レース1274を支持部材1268の管腔1272に挿入することを許し、それが支持部材をレースと直結させる。直結はパネル1260の全体サイズを減らし得る。
【0066】
図6I~Nの細長いパネルは、フットウェアを損傷することなく引張機構を靴と結合させ、靴から取り外すことを可能にして、引張機構を取り外した時に引張機構とフットウェアとの以前の結合または取り付けが容易には認識されないかまたは検出できないようにする場合に特に有用である。たとえば、細長いパネルおよびそれに取り付けられたすべての部品(たとえばリールアセンブリ、支持部材、レースなど)は靴の舌革の上に配置され、本質的にそれに対して浮くため、細長いパネルおよび部品は、パネルおよび部品が靴と結合されていたという視認可能な痕跡を生じさせず、残さない。言い方を換えると、靴は、細長いパネルおよび部品を靴と結合または取り付ける際に変形または改造される必要がなく、それが、パネルおよび部品が靴と結合していたという検出可能なしるしを本質的に生じさせない。
【0067】
引張部材と靴との結合を説明する際に本明細書で使用されている、認識されない、容易には検出できない、容易には目に見えない、などの用語の使用は、その結合が完全に検出不可能であることを意味するわけではないことが理解されよう。たとえば、細長いパネルおよび/またはその部品(たとえばリールアセンブリ、支持部材など)は、長期間および/または使用の後に、靴にわずかな痕または傷を残すことがある。これらの痕または傷は、靴を入念に検査したときに検出可能であり得るが、主として、引張機構と靴との実際の結合中に靴がこうむり得る任意の損傷とは無関係である。本明細書で使用されている、認識されない、容易には検出できない、容易には目に見えない、などの用語は、むしろ、結合中に靴がいかに有意に損傷、改造および/または変形を受けないかを指す(有意に損傷、改造および/または変形されるならば、容易に検出可能な結合の痕跡またはしるしが残るであろう)。靴の穿刺、縫合、接着結合、ヒートプレスまたは溶接などを伴う従来の後付けプロセスにおいては靴の有意な損傷、改造および/または変形が容易に起こる。これらの操作は一般に、靴の構造をいくぶん変化させ、損傷または変形の痕跡またはしるしを残すかまたは生じさせる。対照的に、図6I~Nの細長いパネルは、靴の既存の特徴および/または部品を利用して、引張機構と靴との結合を可能にする。利用される既存の特徴および/または部品には、靴のアイレット、舌革などが含まれる。
【0068】
本明細書に記載されている細長いパネルは、レーシングシステムのレースが上を滑動する、より低摩擦の面を形成するように相対的に低摩擦の材料でできたプラスチック部材を含み得る。これは、靴の舌革にかけてレースをより容易に引くことを許し、レーシングシステムによって靴の対向する側辺部を閉じることを容易にし得る。細長い舌革パネルはまた、レーシングシステムが引っ張られるとき靴の舌革を下向きに押して「ふくれ」を減らし得る、または換言するならば、レーシングシステムのレースの引っ張り中に外方に突出してレーシングシステムのレースに当たる舌革の部分または面積を減らし得る。本明細書に記載されているように、細長い舌革パネルは概して、靴の舌革の表面上で浮く状態にある。しかし、他の態様において、細長い舌革パネルは、たとえば靴の舌革に縫合または接着結合されることにより、靴の舌革に固く締結され得る。さらに他の態様においては、セルフタッピンねじ、ナット・ボルトアセンブリ、両面テープ、様々なプラグ、アイロン接着剤などのような締結具を使用して、細長い舌革パネルを靴の舌革に結合してもよい。
【0069】
次に図6Oおよび6Pを参照すると、リールアセンブリ634を靴632と結合させるために使用され得る部品の別の態様630が示されている。具体的には、図6Oおよび6Pはパネル636を示し、このパネルは、パネル636の前面に巻き付き、リールアセンブリ634と結合させるストラップ638を含む。リールアセンブリ634を靴632と結合させるために、パネル636は靴の舌革633の背面に配置され、ストラップ638が靴の舌革633の前面に巻き付く。この構成において、リールアセンブリ634は靴の舌革633の前面に配置される。パネル636は、リールアセンブリ634を靴の舌革633の上面の近くに配置するが、靴の舌革633に対するリールアセンブリ634の配置は望みどおり調節され得る。いくつかの態様においては、パネル636が様々な形状およびサイズの靴に対応するよう調整可能なように、パネル636の遠位部および/またはパネル636の側辺部がトリミング可能であり得る。
【0070】
いくつかの態様において、ストラップが、リールアセンブリまたはリールハウジングと取り外し可能に結合するバヨネットもしくはハウジングと結合され得る。ストラップはバックル、たとえばラダーロックバックルを含み得、このバックルは、ストラップをバックルに通して引くことによってストラップのループ領域のサイズを調節することを可能にする。リールアセンブリを靴(具体的には靴の舌革)と結合させるためには、ストラップを靴の舌革に巻き付け、ループ領域が靴の舌革の周りにおいて実質的に緊縮するまでバックルに通して引き得る。いくつかの態様において、ストラップのループ領域は、リールアセンブリのハウジングの背面に対して配置される裏地部品を含み得る。裏地部品は靴の舌革の外面に対して配置されて、相対的に硬い面を提供し、ストラップがバックルに通されて引かれ、舌革の周りにおいて緊縮されるとき、靴の舌革がつぶれるのを防止し得る。
【0071】
次に図6Q~Uを参照すると、リールアセンブリ654を靴652と結合させるために使用され得る別の態様650が示されている。図6Q~Uの部品は、該部品が靴652と結合されたとき、靴の舌革の上に「浮く」するように構成されている。語「浮く」とは、リールアセンブリ654が、靴652と結合されるガイド656およびレース653以外では、靴652、すなわち靴の舌革に固着されないことをいう。リールアセンブリ654は靴652に固着されないため、リールアセンブリ654は、靴652の上で、具体的には靴の舌革の上で相対的に自由に動く、または「浮く」ことができる。図6Q~Uの態様は、フットウェアと結合可能な一体型ユニットを表す。レースまたは引張部材は、引張機構とフットウェアとの結合の前に、リールアセンブリまたは引張機構に固着される。ガイド部材も同様に、フットウェアとの結合の前に、引張部材と摺動可能に結合される。
【0072】
図6Tおよび6Uに示すように、部品と靴652との結合は、ガイド656を靴652のアイレット658に挿入することによって達成される。ガイド656のそれぞれまたは、いくつかの態様においては、ガイドのいくつかは、靴652のアイレットに挿入可能なポストを含み得る。各ガイド656のポストは、ガイド656が靴652と固く結合されるようにリベット締めされ得る。他の態様においては、機械的締結具、たとえばスナップ、スクリュー、ボルトなどを使用して、ガイド656を靴652のアイレット内に機械的に締結してもよい。
【0073】
レーシングシステムのレース653は、リールアセンブリ654が浮動的に靴652と間接的に結合されるようにリールアセンブリ654およびガイド656に接続される。レース653は、リールアセンブリのハウジング中に配置された一つまたは複数のチャネル659に挿入されることにより、リールアセンブリ654に結合される。一つの態様において、レースは、リールアセンブリ654のスプールから、靴652の上部領域と結合されている複数のガイド656を通過して延びる。次いで、レース653は、リールアセンブリ654のチャネル659を通過し、靴652の下部領域と結合されている複数のガイド656を通過する。レース653は、リールアセンブリ654のハウジングおよび/またはスプールで終端する。この構成において、リールアセンブリ654は、靴652の上下領域の間に配置され、靴652に対して略中央点で浮く。図6Q~Uの構成は、靴の任意の部分を本質的に損傷することなく、レーシングシステムを靴652と容易に結合することを可能にする。部品は、レース653に取り付けられたガイド656と事前にアセンブルされてもよく、または、ユーザが、使用するガイド656の数を決定し、ガイド656をレース653と結合させることができる。いくつかの態様において、リールアセンブリ654は、レースの上部またはレースの下部のいずれかと結合され得るが、両部分とは結合され得ない。
【0074】
図6V~Yは、リールアセンブリを含むように靴または他のアパラレルを後付け改装するために使用され得る細長い舌革パネルの他の様々な態様を示す。図6Vは細長い舌革パネル670の一つの態様を示し、この細長い舌革パネルは主ボディ部分672を含み、この主ボディ部分は、それに沿って縦方向に離間し、配設された複数の穴673を有する。図6Vに示すように、靴紐、ウェビングまたは他のファブリックもしくは材料が穴673に通されて、細長い舌革パネル670が靴の舌革にしっかりと取り付けられ得る。靴紐を複数の穴673に縫うように通すことによって形成されるウェビングループは、図6Vに示すようなレーシングシステムのレースのためのウェビングガイドとして機能し得る。
【0075】
図6Wは、ファブリック材料でできた主ボディ部分675を含む細長い舌革パネル674の別の態様を示す。ファブリック主ボディ部分675の近位端676は、それ自体の上に折り返され、縫合、接着または他のやり方で結合されてループを形成し得、このループに靴紐、ウェビングまたは他のファブリックもしくは材料を挿入して、細長い舌革パネル674を靴と結合し得る。いくつかの態様において、ファブリック主ボディ部分675は、相対的に薄くてもよいし、および/または靴の材料および/または色と実質的にマッチする材料でできていてもよい。このようにして、細長い舌革パネル674は、靴と結合したとき、見えないように相対的に隠され得る。いくつかの態様においては、中心シャフトが主ボディ675に挿入されてもよいし、または主ボディ675が中心シャフトに巻き付けられてもよい。中心シャフトは、パネル674を補剛していくらかの剛性を提供し得る。
【0076】
図6Xは、ファブリック、ウェビング、靴紐などを編み合わせることによって形成される主ボディ部分682を有する細長い舌革パネル680の別の態様を示す。この材料は、細長い舌革パネル680を靴と結合させるために靴紐、ウェビングまたは他のファブリックが通され得る一つまたは複数のループ684を主ボディ部分682の近位端に形成するように編まれ得る。いくつかの態様において、主ボディ部分682は、レースのためのガイドとして機能するためにレーシングシステムのレースが挿入され得る一つまたは複数のループを主ボディ部分682の縦方向長さに沿って形成するように編まれ得る。そのような態様において、主ボディ部分682は、レーシングシステムのレースを案内および/または管理するように機能し得る。図6Xはまた、細長い舌革パネル685を靴と結合させるために靴紐、ウェビングまたは他のファブリック材料が通され得る開口688を含む主シャフトボディ686を有する細長い舌革パネル685の別の態様を示す。いくつかの態様において、主シャフトボディ686は、細長い舌革パネルの遠位端を、靴紐、ウェビングまたは他のファブリックと結合されている近位端に対して伸ばす、または曲げることを可能にする相対的に可撓性または弾性の材料で作られ得る。このようにして、様々な形状およびサイズの靴に対応するために細長い舌革パネル685を伸ばし得る。
【0077】
図6Yは、パネルの主ボディ部分が、それに沿って縦方向に設けられた複数のスリットまたは切り込み692を含む細長い舌革パネル690の態様を示す。切り込み692は、細長い舌革パネル690の主ボディ部分の可撓性を増す。いくつかの態様において、レーシングシステムのレースは、切り込みがレースのためのガイドとして機能するように切り込み692の中および/または周囲に巻き付けられ得る。いくつかの態様において、細長い舌革パネルは、主ボディ部分の遠位端に配置されたバヨネットまたはハウジングを有し得る。そのような態様において、パネルの主ボディ部分は第一のタイプの材料で作られ得、一方で、バヨネットまたはハウジングは、第一のタイプの材料とは異なる第二のタイプの材料でできている。たとえば、一つの態様において、主ボディ部分は相対的に可撓性の材料、たとえばナイロンまたは軟質ウレタンで作られ得、一方で、ハウジングまたはバヨネットは相対的に硬質の材料、たとえばポリカーボネートでできている。このようにして、主ボディ部分は相対的に可撓性であり得、一方で、バヨネットまたはハウジングは、それと取り付けられた、または結合されたリールアセンブリを支持するために相対的に硬質である。バヨネットまたはハウジングは、当技術分野において公知の任意の方法、たとえばセカンドショット成形、インサート成形、接着結合、機械的締結などによって主ボディ部分と結合され得る。
【0078】
図7A~Lは、ガイドを靴に取り付ける様々な態様を示す。図7A~Bは、ガイド702のプラグ704をアイレットの開口706に挿入することによってガイド702を靴のアイレットと結合させる一つの態様700を示す。プラグ704は、プラグ704がアイレットの開口706内で押されたとき半径方向内側および外側に撓む、中心ポストの周囲に配置された複数の延びる部材を含む。プラグ704が開口706内に完全に配置されると、延びる部材は半径方向外側に広がってガイド702をアイレットの開口706内に保持または確保する。座金ボディ(図示せず)を使用して、ガイド702がアイレットから抜けるのをさらに防いでもよい。図7A~Bのガイド702は、複数のガイドを靴のアイレットと容易に結合することを可能にする。
【0079】
図7C~Dは、靴と容易に結合させ得る類似のガイド712を示す。具体的には、ガイド712は第一端および第二端を含み、これらは、第一端を第二端の上に折り返すことを可能にするヒンジ部713によって結合されている。第一端および第二端はそれぞれ、第一端が第二端の上に折り返されたときパチンと嵌まり合うボタン部品714を含む。ガイド712を靴と結合させるためには、第二端のボタン部品714を、靴のアイレット716に隣接して、またはその中に配置する。次いで、第一端を第二端の上に折り返して、第一端のボタン部品714が第二端のボタン部品と結合するようにする。次いで、ボタン部品がアイレット716の中に配置されている、および/またはそれに通されている状態で、ガイド712を靴に対して定位置にロックする。いくつかの態様においては、第一端を第二端の上に折り返して、レーシングシステムのレースが挿入されるチャネルを形成する。他の態様において、ガイド712は、レーシングシステムのレースが挿入される別個のチャネルを含んでもよい。別の態様において、ガイド712は、パチンと嵌められる、または他のやり方で結合される二つの別々のピースを含んでもよい。
【0080】
図7E~Fは、ガイドを靴に取り付ける別の態様720を示す。具体的には、ガイド722aは、ねじ付きポスト724aが挿入されるねじ付き開口(図示せず)を含み得る。ねじ付きポスト724aが靴のアイレット726に挿入され、次いでガイド722aの開口にねじ込まれて、ガイドを靴と結合し得る。代替態様において、ガイド722bは、ボルトまたはプラグ724bの開口にねじ込まれるねじ付きポストを含んでもよい。いくつかの態様において、ポストまたはプラグ724bとガイド722bとのねじ付けは、締結工具、たとえばスクリュードライバ、レンチなどを要してもよいし、手で実施されてもよい。いくつかの態様において、ガイド724bは、セルフタッピン式または打ち込みリベット型であり得る。
【0081】
図7G~Jは、ガイドを靴に取り付ける別の態様730を示す。具体的には、この態様において、ガイド732は、ガイド732の主ボディに回動的に取り付けられる結合部材734を含む。結合部材734は、靴のアイレット736に挿入され、ガイド732に対して回されて、結合部材734の遠位端がガイド732の遠位端に隣接して配置されるように構成されている。結合部材734はガイド732の主ボディ内の相対的に中央に配置されて、結合部材734がガイド732の方向に回されると、結合部材734の遠位端がガイド732の遠位端に対して定位置にパチンと嵌まり得る、またはロックし得る。結合部材734がガイド732に対して定位置にロックする、またはパチンと嵌まると、ガイド732は靴の周りに定位置にロックされる。
【0082】
結合部材734の遠位端およびガイド732の遠位端は、結合部材734の遠位端とガイド732の遠位端とが互いに隣接して配置されたとき、同軸に整合するように構成されている管腔を含み得る。レーシングシステムのレースが結合部材734の管腔およびガイド732の管腔に挿入されて、整合した管腔が、本明細書に記載されているようにレースを案内するためのチャネルとして機能し得る。レースが結合部材734の管腔およびガイド732の管腔に挿入されると、レースは、結合部材734およびガイド732をロックされた配置に維持するように機能し得る。管腔は、その中に挿入されるレースに対する任意の潜在的摩耗および/または応力を減らすために、弓形もしくはカーブした構造および/またはフレア状の開口を有し得る。
【0083】
次に図7K~Lを参照すると、ガイドを靴または靴に特有のレース材料に取り付ける別の態様740が示されている。具体的には、ガイド742はT字形の下部744を含み、これが、ガイド742の下部744を靴のアイレット746に挿入することを許しながらもガイド742がそこから抜けるのを防ぐ、または阻止する。下部744は、アイレット746へのガイド742の挿入を容易にしながらもガイド742がそこから抜けるのを防ぐ、または阻止するために、テーパ状であり得る。
【0084】
図8A~Mには、靴に一般的なレースを使用してガイドを形成する態様が示されている。たとえば、図8A~Cに示すように、レーシングシステムのためのガイドを形成するためには、ファブリックのストリップの対置された端部を結合してファブリックの輪806を形成し得る。ファブリックの輪806の対置された端部809は、図8Cに示すようなウェビングガイドを形成するように靴のアイレット808に通して配置され得る。レーシングシステムのレースは、ファブリックの輪806の対置された端部809が靴のアイレット808に挿入されたとき形成されるループに挿入され得る。いくつかの態様において、ファブリックループ806の対置された端部809は、それぞれ、図8Cに示すように、対になったウェビングループガイド構造の一つのループとして機能し得る。対になったウェビングループガイド構造の各ウェビングループは、レースが引っ張られると曲げられ得、それが摩耗を減らし、改善されたレースの曲率半径を提供する。ファブリックループ806によって形成されるガイドは、レーシングシステムのためのウェビングガイドを形成する相対的に低廉かつ簡単な方法を提供する。「Guides for Lacing Systems」と題する米国特許出願第13/011,707号にさらに記載されているように(開示内容全体がすべての趣旨に関して参照により本明細書に組み入れられる)、曲げられたウェビングまたは対になったウェビングループガイド構造は、レースに対する摩擦摩耗を減らす。この構成によって提供される他の利点は、レース疲労の減少によるレース耐久性の増大、レース交差点の減少、レース-ガイド摩擦の減少、サイズ格付けの可能性などを含む。いくつかの態様において、レーシングシステムのレースは一重ウェビングループに通されてもよい。
【0085】
いくつかの態様において、ファブリックの輪806は、靴の一つのアイレット中に、一つのウェビングループまたは一対のウェビングループを形成するために使用され得る。たとえば、ファブリックの輪806は、その対置された端部809それぞれが、レースが挿入されるウェビングループを形成するようにアイレットに挿入され得る。別の態様においては、ファブリックの輪806の一端がアイレットの上に配置され、対置された端部809がアイレットに通して引かれて一つのウェビングループを形成し得る。レースが引っ張られると、ファブリックの輪はアイレットに対して定位置にロックされる。
【0086】
図8Dは、靴紐を使用してガイドを靴と結合させる別の態様810を示す。具体的には、ガイドボディ816は、靴紐818が挿入されるスロット817を含む。靴紐818は他方で靴のアイレットに挿入されて、ガイドボディ816を靴に結合する。ガイドボディ816はまた、前記のようにレーシングシステムのレースが挿入されるチャネル819を含む。靴紐818は、アイステイ部に沿って縦方向に設けられたアイレットに通され、アイレットとアイレットとの間に配置されたガイド816のスロット817に通されながら靴のアイステイ部にらせんに巻き付けられて、一つまたは複数のガイド816がアイレットとアイレットとの間に配置され得る。一つの態様においては、一つの靴紐を使用してすべてのガイド816を靴と結合し得るが、他の態様においては、複数の靴紐または他のウェビングもしくはコードを使用してもよい。
【0087】
図8E~Fは、ガイド826の下部に設けられた開口827に靴紐828を挿入することによってガイド826が靴と結合される類似態様を示す。図8E~Fは、靴紐828を、アイステイ部にらせんに巻き付けるのではなく、アイステイ部に沿って縦方向に延ばす点で、図8Dとは異なる。ガイド826は、本明細書に記載されているようにレーシングシステムのレースが挿入されるチャネル829を含む。図8E~Fに示すように、ガイド826は、単独で使用されてもよいし、可変長ガイドを形成するように他のガイドと組み合わせて使用されてもよい。図8D~Fのガイドは、使用後に廃棄および/または容易に交換され得る相対的に低廉な部品である。いくつかの態様において、ガイドは、特定のイベントのために特別に設計され得る。ユーザは、任意の所与のイベントのために、適当なガイドのセットを簡便に選択し、その適当なガイドを含むように自らの靴を容易に構成し得る。いくつかの態様において、あるいはまた、靴紐828は、レーシングシステムのレースのためのガイドとして使用されてもよい。
【0088】
次に図8G~Jを参照すると、靴のレーシングシステムとともに使用され得るガイドの別の態様830が示されている。具体的には、ガイドは、ウェビングループ838が挿入される一対のスロット835を有する座金として、スロット付きプラスチックまたは金属の相対的に平坦な座金部分836を含む。ウェビングループ838は、その対置された端部が縫合、結び、熱接着または他のやり方で結合されて、ウェビングループ838が座金836に対して定位置にロックされるようにする。図8Jに示すように、ウェビングループ838は、靴のアイレット837に挿入され、座金836が靴の内面に当接するまでアイレット837に通して引かれ得る。座金836は、ウェビングループ838が靴のアイレット837に通して完全に引き抜かれるのを防ぐ。そして、靴の外面を越えて延びるウェビングループ838の部分を、本明細書に記載されているようにレーシングシステムのレースのためのガイドとして使用し得る。
【0089】
いくつかの態様においては、靴の外面を越えて延びるウェビングループ838の部分を1/2回転させることによってそれ自体の上に折り返して、レーシングシステムのレースのための三角形のウェビングガイドを形成してもよい。このようにして形成された三角形のウェビングガイドは、レースを、靴の舌革をまっすぐ90°に横切る方向に向ける場合および/またはレースを、隣接するウェビングガイドに向けて靴のアイステイ部に沿う縦方向に向ける場合に特に有用であり得る。三角形のウェビングガイドはまた、レースを、アイステイ部に沿う縦方向から靴の舌革を横切る横方向に向けるための相対的に滑らかな曲率半径を提供し得、それにより、レースに対する摩耗を減らす。そのような三角形のウェビングガイドは、レース摩耗の減少ならびにレース管理および/または指向特性を提供することがわかった。たとえば、レースが靴を略90°に横切る場合、特に大きな交差角のレース交差の場合に一般に起こるような、靴を閉じるレースの力の減少は起こらない。
【0090】
次に図8K~Lを参照すると、レース852を靴と結合させ、レース852を靴に沿うレース経路の周りに案内するために使用され得るソフトガイド850の別の態様が示されている。ガイド830と同様に、ガイド850は、靴のアイレットに挿入されるように構成され、さらに、ガイド850がアイレットから抜けるのを防ぐように構成されている。ガイド850は、結合される複数の(たとえば二つの)ファブリック片から作られる。たとえば、ファブリック片は、縫合される、接着される、音波溶接される、熱溶接される、などであり得る。ガイド830とは異なり、ガイド850は、硬質の裏地、たとえばプラスチック座金部分836を含まない。それどころか、裏地材料ストリップまたはベース部材856が上材料ストリップまたはアッパー部材854に取り付けられている。アッパー部材854は、ベース部材856から略直交方向に延びかつループ860を形成するように、ベース部材856に取り付けられている。ループ860は、レース852がそれに挿入された後に、レース852を取り回すように機能する。アッパー部材854は、靴または他の物品のアイレットに通して配置されるのに十分な可撓性を有し、ベース部材856は、ベース部材856がアイレットから引き抜かれるのを阻止するのに十分な剛性を有する。図8Jと同様に、アッパー部材854が靴のアイレットに挿入されたとき、アッパー部材854はアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材856はアイレットの反対側に配置される。図8Lに示すように、いくつかの態様において、アッパー部材854は、少なくとも部分的にそれ自体の上に折り返されて、レース852のための三角形形状のガイドを形成することができる。三角形形状のガイドは、レース852を、アイステイ部の縁に対して靴の舌革を横切る略直交方向に案内するのに役立ち得る。
【0091】
ガイド850が靴のアイレットから抜けるのを防ぐ、または大きく阻止するために、ベース部材856は、アッパー部材854よりも大きな面積または「足跡」を有する。言い方を換えると、ベース部材856のファブリック材料ストリップは、アッパー部材854のファブリック材料ストリップの縦方向長さよりも短い縦方向長さを有し得る。そのようなものとして、図8Kに示すように、ベース部材およびアッパー部材のファブリック材料ストリップの対置された端部が互いに結合されると、アッパー部材のファブリック材料ストリップの中央部分がベース部材856から延びてループ860を形成する。このようにしてアッパー部材854とベース部材856との結合はまた、フランジ858を画定し、このフランジが、靴の内面と接触し、ガイド850がアイレットから抜けるのを防ぐ、または大きく阻止する。ベース部材856とアッパー部材856との結合はガイド850のフランジ部分858を強化し得る。フランジ858は、任意の形状、たとえば正方形、長方形、楕円形、円形などであることができ、結合されたベース部材856およびアッパー部材854の周囲360°に延びることができる。
【0092】
いくつかの態様において、ベース部材856は、約6~20mm、より一般的には10~15mmの縦方向長さZを有することができ、各フランジ858(すなわち各端部)は、3~6mm、より一般的には3~5mmの縦方向長さを有することになる。3mmよりも小さいフランジまたは端部858寸法は、ガイド850がアイレットから抜けるのを防ぐには小さすぎ、弱すぎることがあり、一方で、約5または6mmよりも大きいフランジまたは端部寸法は、フランジまたは端部858の一部をアイステイ部の縁を越えて突出させ、視認可能にする場合がある。
【0093】
アッパー部材854および/またはループ860は、ベース部材856から約8~12mmの高さY延び得る。ループ860の高さ寸法Yが約8mm未満であるならば、レース852を通すのに十分なループサイズが得られない場合がある。対照的に、高さ寸法Yが約12mmよりも大きいならば、ループ860が隣接ループ860と接触して、ガイド850の不十分な機能および/または粗末な見た目を生じさせる場合がある。上記寸法ZおよびYが、ループ860を、レース852との容易な結合を可能にするほど十分に靴または他の物品の表面から突出させながらもガイド850のサイズを最小化し、ベース部材856が靴のアッパーの下に隠蔽されたままにするのに理想的であることがわかった。しかし、これらの寸法は、必要性、機能性、外観および/または他の考慮事項に応じて変更されてもよいことが理解されよう。
【0094】
アッパー部材854は、ループのベース部材856に直接隣接する部分がネックまたはギャップ862を形成するようにベース部材856に取り付けられている。ネックまたはギャップ862は、3~5mm、より一般的には約3.5~4.5mmの幅を有し得る。ネック862の幅は、約3~6mmまたは3~5mmのフランジ858長さを維持するように選択されるべきである。ネック862の適切な幅Xおよびベース部材856の全長Zを選択する際、以下の式を使用して、3~5mmのフランジ幅(すなわち858の幅)を出し得る:1/2(Z)-1/2(X)=3~5mm。上記寸法は、約24~60mm2、より一般的には約32~48mm2のループ表面積を有するループ860を生じさせ得る。上記のような表面積を有するループが、ループ860を靴のアイレットに容易に挿入することを可能にしながらも、レースが挿入され得るのに十分な量のループを提供し、かつアイレットから延びるループの量を最小限にするのに理想的であることがわかった。
【0095】
図8Mに示すように、いくつかの態様においては、アッパー部材854が靴のアイレット864に通して配置された後に、裏地材料866がベース部材856の上に配置され得る。裏地材料866は、その下のベース部材856を隠すために靴と結合され得る。いくつかの態様においては、図8A~Mに記載されたガイドの一つまたは複数が靴と結合されて様々なレースガイド構造を提供し得る。
【0096】
いくつかの態様において、靴のレース経路に沿って取り回すためのガイド部材を形成する方法は、ベース部材が靴のアイレットから抜けるのを阻止するのに十分な剛性を有するベース部材を提供する工程およびアッパー部材をベース部材に取り付けて、レースがアッパー部材のループに挿入された後にレースを取り回すためのループを形成する工程を含む。アッパー部材は、靴のアイレットに通して配置されるのに十分な可撓性を有する。アッパー部材がアイレットに挿入されたとき、アッパー部材はアイレットの一方の側に配置されるのに対してベース部材はアイレットの反対側に配置される。
【0097】
本明細書に記載されているように、アッパー部材は、互いに結合されてループを形成する対置された端部を有するファブリック材料ストリップであり得、ベース部材は、ファブリック材料が摺動可能に通される一対のスロットを有する硬質材料であり得る。他の態様において、アッパー部材はファブリック材料ストリップであり得、ベース材料はファブリック材料ストリップであり得る。ベース部材のファブリック材料ストリップは、アッパー部材のファブリック材料ストリップの縦方向長さよりも短い縦方向長さを有し得る。そのような例において、方法はまた、ベース部材から略直交方向に延びるアッパー部材のファブリック材料ストリップの中央部分がループを形成するように、ファブリック材料ストリップの対置された端部を結合させる工程を含み得る。結合された対置された端部は、アッパー材料のループから略直交方向に延びるフランジを形成し得、各フランジは3~5mmの幅を有する。アッパー部材は、ループのベース部材に直接隣接する部分が、0.5~3mm、より一般的には1~2mmの幅を有するネックまたはギャップを含むようにベース部材に取り付けられ得る。アッパー部材のループはベース部材の上方に約8~12mm延び得る。いくつかの態様において、方法はさらに、アッパー部材がアイレットに通して配置された後に裏地材料をベース部材の上に配置する工程および裏地材料を物品と結合してその下のベース部材を隠す工程を含み得る。
【0098】
次に図9A~Gを参照すると、靴紐またはウェビングまたは両方を使用してレーシングシステムのレースのためのウェビングガイドを形成する様々な態様が示されている。図9A~Gに記載されている態様は、靴にレーシングシステムを後付けするまたは適合させるために靴と結合されなければならない部品の数を最小限にする。言い方を換えると、図9A~Gに記載されている態様は、レーシングシステムに対応するように靴を後付け改装または適合させる際に靴の一般的または既存の部品を使用することを可能にする。他の態様においては、ウェビングガイドを形成するように特別に設計されたファブリックまたはウェビング(たとえばポリエステル)を使用し得る。ファブリックまたはウェビングは、従来の靴紐材料に対する利点、たとえば低い摩擦、きしみ音またはノイズ発生の減少、低い摩耗によるレース耐久性の増大などを提供し得る。
【0099】
図9A~Bを具体的に参照すると、第一の態様900において、靴紐904は、靴のアイステイ部に沿って配置されたアイレットまたはループに通されながら靴のアイステイ部に沿って縦方向に延ばされて、レーシングシステムのレースが通され得るウェビングループを形成する。たとえば、靴紐904は、靴紐ガイドまたは細長いアイレット902にその遠位端905bまで通されながらアイステイ部に沿って(アイステイ部の内面または外面いずれかに沿って)縦方向に延ばされる。次いで、靴紐904は、靴紐ガイド902の周囲で靴紐ガイド905bの近位端905aまでループを形成し、靴紐ガイド902に再び挿入される。このようにして、靴紐ガイド902に対してウェビングループ906が形成される。上記プロセスは、靴のアイステイ部に沿って配置された靴紐ガイド902ごとに繰り返されて、それに対してウェビングループ906を形成する。
【0100】
いくつかの態様において、靴紐904はアイステイ部の遠位端で靴の舌革を横切り得、上記プロセスは、靴の反対側アイステイ部に沿って配置された靴紐ガイド902の一つまたは複数に関して、一つの靴紐904を使用して本質的にすべてのレーシングシステムのガイドを形成するようなやり方で繰り返され得る。他の態様においては、別々の靴紐または靴紐の組み合わせが、複数の靴紐を使用して上記ウェビングガイドを形成するようなやり方で各アイステイに沿って延ばされてもよい。
【0101】
いくつかの態様において、靴紐ガイド902の近位端905aおよび遠位端905bは、アイステイ部に沿って縦方向に配置された個々のアイレット(図示せず)によって代わられてもよく、ウェビングループ906はアイレット905aおよび905bに対して形成されてもよい。たとえば、靴紐904は、遠位端寄りアイレット905bに通されながらアイステイ部に沿って縦方向に延ばされて近位端寄りアイレット905aまで回され、それに通されてループを形成して、近位端寄りアイレット905aおよび遠位端寄りアイレット905bに対してウェビングループ906を形成してもよい。いくつかの態様においては、ウェビングループ906の一部分が後方に折り返されて、上記のような三角形のウェビングガイド907を形成してもよい。同じく図9Aに示すように、靴紐904の対置された端部が結ばれて結び目908を作り、靴紐904の対置された端部が靴の近位端寄りのアイレットから抜けるのを防いでもよい。
【0102】
次に図9C~Dを参照すると、靴紐914を使用してレーシングシステムのためのウェビングガイドを形成する別の代替態様910が示されている。具体的には、靴紐914は、靴のアイステイ部に沿って縦方向に、アイレット915に遭遇するまで延ばされ得る。アイレット915に遭遇すると、図9Cに示すように、靴紐914はそのアイレット915に挿入され、アイステイ部の縁に巻き付けられ、アイレット915に戻されて、アイレット915に隣接する靴紐ループ917を形成し得る。アイレット915に隣接して形成された靴紐ループ917は、レーシングシステムのレースのためのウェビングガイドとして働き得る。図9C~Dに関連して記載された構造は一般に、靴紐914が、隣接するアイレット915の間のアイステイ部の外面に沿って縦方向に延びた後に、隣接するアイレット915の間のアイステイ部の内面に沿って縦方向に延びる、交互レースパターンを生じさせる。
【0103】
上記プロセスは、アイレット915に遭遇するたび、望みどおりアイレット915のそれぞれまたはいくつかに隣接して靴紐ループが形成されるようなやり方で繰り返され得る。図9A~Bに記載された靴紐構造と同様に、いくつかの態様においては、一つの靴紐914を使用してウェビングガイドの全部または一部を形成してもよいし、または別々の靴紐を使用して靴のウェビングガイドを形成してもよい。さらに、いくつかの態様においては、各靴紐ループ917が、二重または対になったウェビングガイド構造919において一つのウェビングガイドとして機能し得る。図9Dに示すように、靴紐914は、二重または対になったウェビングガイド構造919を形成するウェビングガイドの間でアイステイ部916の外面に沿って縦方向に延ばされ得る。他のレーシングパターンにおいて、レースは個々のウェビングループに通して延ばされてもよい。
【0104】
次に図9Eを参照すると、靴紐914を使用してレーシングシステムのためのウェビングガイドを形成する別の態様920が示されている。図9Eの靴のアイステイ部に沿う靴紐構造は、図9C~Dに関連して説明されたものに類似している。図9Eは、靴紐914が靴のカラーにも巻き付けられて靴のカラーの近くにさらなるウェビングガイドを形成する点で、図9C~Dとは異なる。たとえば、いくつかの態様において、靴紐914は、靴のカラーの特徴922に巻き付けられて第一のヒールウェビングガイド917を形成してもよいし、および/またはスロット924に挿入され、ヒールに巻き付けられて第二のウェビングガイド918を形成してもよい。レーシングシステムのレースは、所望により、第一および/または第二のヒールウェビングガイドに挿入されてもよい。このようにして、レースは、靴の舌革を横切ることに加え、靴のカラーにも巻き付けられて、靴を閉じるさらなる閉止力を提供し得る、たとえば靴のカラーをユーザの足首に圧着させてより大きなヒール保持を形成し得る。いくつかの態様において、特徴922および/またはスロット924は、靴の既存の特徴であってもよいし、または靴において切り込みもしくは加工されてもよい。任意の態様において、靴紐914は、靴を後付け改装し、レースを靴のカラーの周りに巻き付けることを可能にするために、靴のヒールまたはカラー部分に巻き付けられ得る。
【0105】
いくつかの態様において、靴紐は、靴のアイステイ部に沿って縦方向に、アイレットに遭遇するまで延ばされ得る。そして、靴紐はアイレットに挿入され、そこに二回巻き付けられて、レーシングシステムのレースのためのウェビングガイドとして使用される二つの靴紐ループを形成し得る。そして、靴紐は、再びアイレットに挿入され、アイステイ部に沿って縦方向に隣接アイレットまで延ばされ得る。所望により、上記プロセスを、アイステイ部に沿って配置された一つまたはすべてのアイレットに関して繰り返して、レーシングシステムのレースためのウェビングガイドを形成してもよい。いくつかの態様においては、一つのレースを各アイステイ部に沿って延ばして、レーシングシステムのためのすべてのウェビングガイドを形成してもよいし、または所望により、複数のレースを使用してもよい。
【0106】
上述のプロセスによって形成された二つの靴紐ループの各靴紐ループは、二重または対になったウェビングガイド構造において一つのウェビングガイドとして機能し得る。たとえば、各アイレットは、近接する位置にあるアイレットの靴紐ループとともに機能して、それとともに二重または対になったウェビングガイド構造を形成する一つの靴紐ループを有し得るが、一方で、第二の靴紐ループは、遠い位置にあるアイレットの靴紐ループとともに機能して、それとともに二重または対になったウェビングガイド構造を形成する。このようにして、靴の舌革上のレース交差点の数を増して、たとえば、レーシングシステムによって加えられる張力を増大し得る。いくつかの態様においては、レーシングシステム構造全体が一重および二重靴紐ループ構造の組み合わせを含むように、アイレットの一つまたは複数が一つの靴紐ループしか有しなくてもよい。
【0107】
次に図9F~Gを参照すると、靴紐944を使用してレーシングシステムのためのウェビングガイドを形成するさらに別の態様940が示されている。この態様においては、ウェビングガイドを形成するために、靴紐944は靴のアイステイ部に沿って二回延ばされている。たとえば、靴紐944は、アイステイ部に沿って縦方向に延ばされ、かつアイステイ部に沿って縦方向に配置されたアイレット945の中に縫うように出し入れされて、靴の舌革の周りの第一のレース経路942を形成する。第一のレース経路942は、隣接するアイレット945の間でアイステイ部の内面および外面に沿って交互に延びる靴紐944の区分を有する。そして、レース944は、アイステイ部に沿って逆方向に延ばされて、靴の舌革の周りの第二のレース経路948を形成する。第二のレース経路948のレース944は、アイステイ部の外面に沿って延びる第一のレース経路942のレース944の下の区分が引っ張られて、レーシングシステムのウェビングガイドとして機能するループ部分946を形成する。
【0108】
この構成において、第二のレース経路948のループ部分946は、本明細書に記載されているように、レースを、靴の舌革を横切る横方向およびアイステイ部に沿う縦方向に向ける三角形のウェビングガイドを形成する。いくつかの態様において、レース944は、前記のように、アイステイ部の遠位端寄りアイレット945の周囲でループにされて靴紐ループを形成し得る。
【0109】
いくつかの態様においては、第一のレース経路942および第二のレース経路948の両方を形成するために、一つの靴紐944が靴の両アイステイ部に沿って縦方向に二回延ばされ得る。他の態様においては、所望により、二つ以上のレースを使用して、第一のレース経路942および第二のレース経路948の両方を形成してもよい。図9F~Gの説明にしたがって形成されたレース経路およびウェビングガイドは、レーシングシステムのための丈夫なウェビングガイドを提供しながらも、本明細書に記載されている様々な利点を提供する三角形のウェビングガイドの形成を可能にする。いくつかの態様においては、図9A~9Gに関連して説明された靴紐パターンの一つまたは複数またはそれらの任意の組み合わせを使用して様々なウェビングガイド構造を形成し得る。
【0110】
次に図10を参照すると、レーシングシステムを含むかまたはレーシングシステムを用いて使用可能になるように靴を後付け改装する態様が示されている。図10の態様は、容易に靴の周りにフィットされ、靴を閉じるために使用され得る、レーシングシステムを示す。具体的には、後付けフレーム1010が靴1012と結合され得る。フレーム1010は、フレーム1010の主ボディから靴1012のソールを巻いて延びる複数のストラップ1016を含む。フレーム1010は、フレーム1010のフロント部分が靴のトウに巻き付き、一方で、フレーム1010のリヤ部分が靴のヒールに巻き付くようなやり方で完全に靴1012に巻き付くように設計されている。リールアセンブリ1024は、リールアセンブリ1024が靴のヒールに隣接して配置されるようなやり方でフレーム1010のリヤ部分と結合される。フレーム1010はまた、レース1017を靴1012のアッパー部分および舌革を横切る方向に向ける複数のガイド1018を含む。また、所望により、レース1017を靴1012および/またはフレーム1010の部分の間に向けるために管材1019がフレーム1010と結合されてもよい。
【0111】
別の態様において、フレームは、靴の外面にフィットするように構成され得る。後付けフレームは、靴のトウ領域の近くから靴のヒールまで靴に巻き付く楕円形の主ボディを含み得る。後付けフレームはまた、フレームの主ボディレースから延び、かつ靴のソールの下にフィットして後付けフレームが靴から外れるのを防ぐ一つまたは複数のストラップを含み得る。後付けフレームおよびストラップは、靴のトウ領域を後付けフレームのストラップとアッパー部分との間に挿入することを可能にするように設計され得る。いくつかの態様においては、後付けフレームをより固く靴の周りに結合させるために、靴の一つまたは複数のアイレットにレースを挿入してもよい。他の態様においては、靴紐をアイステイ部に沿って延ばして一つまたは複数のウェビングガイドを形成させ、それにレースを挿入して後付けフレームを靴の周りに固く結合させてもよい。
【0112】
いくつかの態様において、図10のフレームは、フレームを靴の上および靴の周りに延ばすことができるよう、ゴムまたは他のやり方で弾性の材料で作られ得る。ゴムまたは弾性材料はまた、フレームが靴の形状およびサイズに適合することを許し得る。フレームの内面は、フレームを靴に取り付けやすくする粘着性または他のやり方で他着性の材料を含み得る。靴のストラップも同様に、ストラップが伸び、靴の形状に適合するのを支援するために、ゴムまたは弾性材料で作られてもよいし、あるいは靴に対してフレームをきつく引き、閉じるために、相対的に非弾性の材料で作られてもよい。いくつかの態様において、フレームのストラップの下面は、付形され得る、成形され得る、または他のやり方で、ストラップが一つまたは複数の機能、たとえば滑りやすい面(たとえば氷)に対してグリップする、ハイキング、アイスクライミング、ランニングのためにトレッド模様を提供する、などを実行することを可能にする部品を含み得る。さらに別の態様において、フレームのストラップは、ユーザがある特定の活動に従事するつもりであるとき、特定の活動のために設計されている他のストラップをフレームと結合し得るよう、取り外し可能であり得る。上記フレームは増大したフットウェア支持を提供し得、それは、特定の活動またはスポーツにおいて有益であり得る。
【0113】
図11A~Dは、リールアセンブリを含むように靴を後付け改装し得る別の態様を示す。第一の態様において、一般にはファブリックまたはプラスチック材料でできているパネル1102が複数の切り込み1106を含み得、これらの切り込みが、リールアセンブリをパネル1102に結合するために使用され得る一つまたは複数のフラップ1108を形成する。たとえば、リールアセンブリのフランジ1104が、パネル1102中に形成されたフラップ1108の一つまたは複数の下に挿入され得る。一つの態様においては、フランジ1104の対置された縁部が対置されたフラップ1108の下に挿入されてリールアセンブリをパネル1102と結合し得る。一つの態様においては、フランジ1104はパネル1108に縫合されて、リールアセンブリをそれに永久的に取り付けてもよい。別の態様において、パネル1108はフランジ1104に接着結合または機械的に締結されてもよい。
【0114】
別の態様において、パネル1110は、リールアセンブリ1116の上部よりも大きく、かつリールアセンブリのフランジ部分1114よりも小さいサイズの開口1112を含み得る。リールアセンブリ1116は、上部がパネル1110の上面を越えて延び、一方で、フランジ1114がパネル1110の背後に配置されるようなやり方で開口1112内に挿入され得る。フランジ1114の上面(図示せず)がパネル1110の下面に接着結合されてリールアセンブリをそれに取り付けてもよい。他の態様において、フランジ1114はパネル1110に縫合または機械的に締結されてもよい。
【0115】
いくつかの態様においては、パネル1102および1110のいずれかが、靴のファブリックまたはプラスチック部品、たとえば靴の舌革またはヒール部分であってもよい。開口1112またはパネル1108は、リールアセンブリのフランジを靴と結合させることを可能にするために、靴材料中に切り込まれ得る。他の態様において、パネル1102または1110は、たとえば接着結合、縫合、機械的締結、熱溶接などによって後で靴と取り付けまたは結合され得る、靴とは別のファブリックまたはプラスチック部品であってもよい。
【0116】
次に図12A~Dを参照すると、図8K~Lに示したソフトガイド850を製造するための装置が示されている。図12Aは、ソフトガイド850を製造するための装置1200の一つの態様を示す。装置1200は、第一のファブリックストリップ1202および第二のファブリックストリップ1204を第一端で受ける。第一のストリップ1202および第二のストリップ1204は、略平行な向きで装置1200の第一端に受けられることができる。図12Dに示すように、枢動アーム1206が、第一のストリップ1202と第二のストリップ1204との間に挿入される部材1208を含むことができる。図12Bに示すように、枢動アーム1206は、部材1208がスロット1210内で滑動するようなやり方で回転する。スロット1210内の部材1208の滑動が第二のストリップ1204をスロット1210に押し込んで、ソフトガイド850のU字形またはループ部分860を形成する。
【0117】
図12Cに示すように、音波溶接機1212または他の装置を使用して第一のストリップ1202および第二のストリップ1204をいっしょに確保して、二つの材料片からガイド850を形成する。図12Dでは、音波溶接機1212が除かれ、枢動アーム1206が装置1200から引き離されて、部材1208を第二のストリップ1204から係合解除している。次いで、枢動アーム1206をその開始位置まで回転させ、部材1208をストリップ1202とストリップ1204との間に再び挿入することができる。いくつかの態様において、装置1200はまた、ストリップが溶接された後に、ストリップ1202および1204から各ガイド850を切り出すためのポンチまたはブレードを含み得る。ポンチは、ガイド850の周囲に正方形、円形、楕円形または他の形状のフランジを形成するように構成されることができる。
【0118】
前述の後付け部品のいずれも、自らの靴に後付けするためにユーザが購入し得るキットの一部として製造、販売され得る。他の態様において、後付けは、スポーツイベント前に、または指定されたイベントもしくは活動の一部として、一人または複数の個人によって、たとえば指定のブースの中で実施されてもよい。他の態様において、後付けシステムとともに使用されるレースは、レースの耐久性および/またはレースの特定の用途(すなわち、所与の活動のためのレースの用途)を示すために、カラーコード化または他のやり方で構成されてもよい。リールアセンブリおよび/またはガイドも同様に、これらの部品の耐久性および/またはそれらの特定の用途を示すために、カラーコード化または他のやり方で構成されてもよい。ユーザが、所与の活動に適切なレース、リールアセンブリおよび/またはガイドを選択し、適切なレーシングシステム部品を含むように自らの靴を後付け改装し得る。いくつかの態様においては、靴の色とマッチする、それを補う、またはそれと対比するような色付きのレースを選択してもよい。
【0119】
いくつかの態様において、靴は、レーシングシステムの部品が事前に靴に組み込まれた状態で提供されてもよい。たとえば、バヨネットまたはハウジングが事前に靴に組み込まれて、そのバヨネットまたはハウジングを介してリールアセンブリを容易に定位置にパチンと嵌める、または他のやり方で靴と結合させることを許してもよい。同様に、ガイドもまた、事前に靴に組み込まれているバヨネットまたは他の部品を介して定位置にパチンと嵌め込められる、または他のやり方で結合されてもよい。そのような態様において、レーシングシステムの部品(たとえばリールアセンブリ、ガイドおよび/またはレース)は、レーシングシステムの使用または用途に基づくパッケージとして製造、かつ販売されてもよい。たとえば、リールアセンブリ、ガイドおよび/またはレースパッケージは、「ダート用」、「ロード用」、「水中用」などと指定されてもよい。そのようなパッケージとして売られるリールアセンブリ、ガイドおよびレースは、そのような用途を具体的に指定されてもよく、ユーザは、靴の用途に基づいてレーシングシステムの部品を速やかかつ容易に交換することができる。
【0120】
さらに他の態様において、靴は、レーシングシステムの部品(たとえばリールアセンブリ、ガイドなど)を靴と結合させることを可能にするために、事前に加工された穴が舌革またはアイステイ部の中および/またはそれに隣接して穿孔された状態で提供されてもよい。他の態様において、磁石または金属片が、舌革またはアイステイ部の中またはそれに隣接して配置されて、それとのレーシングシステムの部品の結合を許してもよい。
【0121】
いくつかの既存の靴は、ウェビングガイド、プラスチックガイド、金属ガイドなどの様々な組み合わせを含む。そのような靴においては、いくつかの既存のレースガイド特徴が、本明細書に記載されている技術と組み合わせて使用されてもよい。
【0122】
いくつかの態様を説明したところで、本発明の精神を逸脱することなく、様々な変形、代替構成および均等物が使用され得ることが当業者には理解されよう。加えて、本発明を不必要に不明瞭化することを避けるために、いくつかの周知のプロセスおよび要素は記載されていない。したがって、上記説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0123】
数値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に入る各値が、下限の単位の10分の1まで(そうでないことを文脈が明らかに指図しない限り)、同じく具体的に開示されるということが理解されよう。述べられた範囲内の任意の述べられた値または間に入る値と、その述べられた範囲の任意の他の述べられた値または間に入る値との間のより小さな範囲それぞれが包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含まれてもよいし、またはその範囲から除外されてもよく、範囲のいずれかもしくは両方がより小さな範囲に含まれる各範囲、またはいずれもより小さな範囲に含まれない各範囲もまた、その述べられた範囲内の任意の特別に除外された限界を条件として、本発明に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、含まれる。
【0124】
本明細書および特許請求の範囲の中で使用される単数形「一つの」または「その」は、文脈がそうでないことを明らかに指図しない限り、複数の指示対象をも含む。したがって、たとえば、「ある一つのプロセス」の参照は、複数のそのようなプロセスをも含み、「その装置」の参照は、一つまたは複数の装置および当業者には公知のそれらの等価物の参照をも含む、などである。
【0125】
また、本明細書および特許請求の範囲の中で使用される語「含んでなる」、「含んでなり」、「含む」および「含み」は、述べられた特徴、完全体、部品または工程の存在を指定することを意図したものであるが、一つまたは複数の他の特徴、完全体、部品、工程、動作または群の存在または追加を排除するものではない。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
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図5J
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図12B
図12C
図12D