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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】流量センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/68 20060101AFI20230525BHJP
   G01P 5/12 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G01F1/68 Z
G01P5/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018177993
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020051754
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 泰幸
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1987/000917(WO,A1)
【文献】特開平09-304142(JP,A)
【文献】実開昭56-092859(JP,U)
【文献】特開平07-229914(JP,A)
【文献】特開2017-198496(JP,A)
【文献】特開2018-087768(JP,A)
【文献】特開2016-118511(JP,A)
【文献】特開2015-068659(JP,A)
【文献】特開2015-210196(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105753(WO,A2)
【文献】特開2008-039704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699
G01P 5/10-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量を検知するセンサ素子を備えた流量センサ装置であって、
前記センサ素子を搭載するセンサ部と、駆動制御回路を備えた駆動基板とが、前記駆動基板の幅よりも細い連結部を介して連結されたユニット本体と、前記ユニット本体を収容するケースと、を有し、
前記ケースには前記連結部が嵌る溝を有し、
前記連結部の全体が前記ケースの底面当接しており、
前記連結部には、貫通孔が形成されている、
ことを特徴とする流量センサ装置。
【請求項2】
前記駆動基板は、前記ケースの底面との間に設けられた支持台と接触する箇所を除いて、前記ケースの底面から離間していることを特徴とする請求項1に記載の流量センサ装置。
【請求項3】
前記センサ部には、前記センサ素子を複数個所で搭載可能とする、複数の端子穴が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流量センサ装置。
【請求項4】
前記センサ部の幅は、前記連結部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の流量センサ装置。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記センサ部寄りに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の流量センサ装置。
【請求項6】
前記センサ素子に対する通気口を有するとともに、外部から前記センサ素子に接触するのを防止する接触防止構造を備えた透光性カバーを具備する、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の流量センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流量を検出する流量センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、基板上に、感温抵抗体R、Rの他に、オペアンプ、トランジスタ、各種抵抗器を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-35978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、感温抵抗体と、オペアンプや各種抵抗器を備える駆動制御回路とが、同じ矩形状の基板上に配置されている。このため、駆動制御回路側の熱源にて発生する熱が感温抵抗体に影響を与え、センサ応答性が低下する問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、従来に比べて、センサ応答性を向上させた流量センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の流量センサ装置は、流量を検知するセンサ素子を備えた流量センサ装置であって、前記センサ素子を搭載するセンサ部と、駆動制御回路を備えた駆動基板とが、前記駆動基板の幅よりも細い連結部を介して連結されたユニット本体と、前記ユニット本体を収容するケースと、を有し、前記ケースには前記連結部が嵌る溝を有し、前記連結部の全体が前記ケースの底面当接しており、前記連結部には、貫通孔が形成されている、ことを特徴とする。


【発明の効果】
【0007】
本発明の流量センサ装置によれば、駆動基板側の熱源と、センサ部の熱源とを、幅の細い接続部で分離することで、駆動基板側からセンサ部に向けての熱的影響を抑制でき、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。
図2】第1実施の形態に係る流量センサ装置の分解斜視図である。
図3】第1実施の形態に係る流量センサ装置の平面図である。
図4】第1実施の形態に係る流量センサ装置の側面図である。
図5】第1実施の形態に係る流量センサ装置の正面図である。
図6】第1実施の形態に係る流量センサ装置の背面図である。
図7】本実施の形態のLED基板を裏面から見た斜視図である。
図8】LED基板を取り外した状態の流量センサ装置の平面図である。
図9図8の状態からセンサ素子を折り曲げた状態を示す流量センサ装置の平面図である。
図10図4に示す流量センサ装置の部分断面図である。
図11】本実施形態におけるセンサ部の形状の変形例を示す部分拡大平面図である。
図12】本実施の形態の流量センサ装置の回路図(一例)である。
図13】第2実施の形態に係る多連型の流量センサ装置の斜視図である。
図14図13に示す多連型の流量センサ装置を裏面側から見た部分拡大斜視図である。
図15】第3実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。
図16】第3実施の形態に係る流量センサ装置の平面図である。
図17】第3実施の形態に係る流量センサ装置の正面図である。
図18】第3実施の形態に係る流量センサ装置の側面図である。
図19】本実施の形態に係る透光性カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る流量センサ装置について説明する。図1は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。図2は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の分解斜視図である。図3は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の平面図である。図4は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の側面図である。図5は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の正面図である。図6は、第1実施の形態に係る流量センサ装置の背面図である。以下では、X1-X2方向、Y1-Y2方向、及びZ1-Z2方向を使用する。これらは、夫々直交関係にある。X1方向及びX2方向を区別しないときは、X方向で表記する。なお、X方向は、後述する、複数の端子穴13の配列方向である(図1等参照)。X方向に直交するY方向は、長さ方向であり、Y1方向は、前方向、Y2方向は、後方向である。Y1方向及びY2方向を区別しないときは、Y方向で表記する。なお、Y方向は、後述する、連結部12を介したセンサ部10と、駆動基板11との連結方向である(図2等参照)。X方向及びY方向に直交するZ方向は、流量センサ装置1の高さ方向、各基板の厚み方向である。Z1方向は、上方向、Z2方向は、下方向である。Z1方向及びZ2方向を区別しないときは、Z方向で表記する。なお、本実施の形態の流量センサ装置は、流量変化を検知できれば、検知の対象は特に限定されないが、以下では、センサ素子3、4を、風速センサとして説明する。
【0010】
<第1の実施の形態の流量センサ装置1の全体構造>
図1及び図2等に示すように、第1実施の形態に係る流量センサ装置1は、センサ素子3、4を備えたユニット本体2と、LED基板(発光基板)5と、ケース6と、を有して構成される。
【0011】
センサ素子3、4では、風速変化を検知し、この検知情報に基づいて、LED基板5に搭載されたLED25を発光させることができる。
以下、ユニット本体2、LED基板5、及びケース6について順に説明する。
【0012】
<ユニット本体2>
図2図8等に示すように、ユニット本体2は、センサ素子3、4を搭載するセンサ部10と、駆動制御回路を備えた駆動回路11と、センサ部10と駆動回路11とを連結する連結部12と、を有して構成される。
【0013】
ユニット本体2は、プリント基板をエッチング加工し、配線処理且つ形状加工が施された基板上に、センサ素子3、4、各種コネクタ及び、各回路要素を配置した構造体である。
【0014】
(センサ部10)
図2に示すように、センサ部10は、例えば、X方向に長く延出するバー形状(長尺形状)である。図1から図3、及び図8に示すように、センサ部10には、X方向に間隔を空けて設けられた複数の端子穴13が設けられている。各端子穴13は、等間隔で形成されている。また、各端子穴13は、センサ部10を貫通している。
【0015】
各端子穴13の外周表面、外周裏面、及び端子穴13の内壁面には、図示しないが、金属膜(例えば、銅箔から成る)が連続して設けられている。そして、これら金属膜は、駆動回路11の駆動制御回路にまで金属配線(図示しない)を介して電気的に接続されている。
【0016】
図1から図3図8に示す本実施の形態では、複数の端子穴13は、X方向に沿って一列に配列されている。本実施の形態では、端子穴13の数を限定するものではないが、端子穴13の数は、各センサ素子3、4の接続に必要な端子数よりも多い。
【0017】
図5等に示すように、センサ素子3は、後述する流量検知用抵抗素子を備えており、リード端子(リード線)16に接続されている。また、センサ素子4は、後述する温度補償用抵抗素子を備えており、リード端子(リード線)18に接続されている。
【0018】
図5等に示すように、各リード端子16、18は、例えば、U字状に折り曲げられる。そして、図1から図3図8に示すように、リード端子16、18の各端子先端が、センサ部10に設けられた端子穴13のいずれかに挿入される。端子穴13に挿入されたリード端子16、18は、半田付け等で、センサ部10に固定される。これにより、各センサ素子3、4は、駆動制御回路と電気的に接続された状態となる。
【0019】
本実施の形態では、端子穴13の数は、各センサ素子3、4の接続に必要な合計端子数よりも多くなっている。すなわち、図1等に示す本実施の形態では、各センサ素子3、4の接続に必要な合計端子数は、4であるが、端子穴13の数は、8である。よって、本実施の形態では、センサ部10に対するセンサ素子3、4の配置は、一箇所に限定されず、複数個所にて選択することができる。すなわち、図1等に示すセンサ素子3、4の配置は、一例に過ぎない。例えば、図3図8等に示すように、センサ素子3のX1側には、2つの端子穴13が空いている。したがって、センサ素子3を、図3図8等に示す位置でなく、センサ素子3に接続されたリード端子16を、X1方向の端にある2つの端子穴13に挿入し固定してもよい。同様に、図3図8等に示すセンサ素子4に接続されたリード端子18を、X2方向の端にある2つの端子穴13に挿入し固定してもよい。或いは、一方のセンサ素子の上方を跨ぐように、他方のセンサ素子を配置してもよい。このように、本実施の形態では、センサ素子3、4に対する配置の選択肢を広げることができる。
【0020】
図1から図3図8に示す本実施の形態では、センサ部10は、Y1方向に延出する連結部12の先端からX1方向及びX2方向の双方に延出している。連結部12とセンサ部10の形状を合わせると、略T字状となっている。ただし、本実施の形態では、略T字状に限定するものではない。例えば、図11Aに示すように、センサ部10は、連結部12の先端からX2方向にのみ延出していてもよい。また、図3等において、連結部12の先端からX1方向に延出するセンサ部10の延出長さと、X2方向に延出するセンサ部10の延出長さとを異ならせてもよい。ちなみに、図3等における実施の形態では、X1方向に延出するセンサ部10の延出長さと、X2方向に延出するセンサ部10の延出長さは、同じである。また、図3等の実施形態では、連結部12は、Y方向に延出し、センサ部10はX方向に延出しており、連結部12からセンサ部10にかけて直交関係にある。ただし、本実施の形態では、直交関係に限定されるものでなく、連結部12とセンサ部10とが、直交以外の傾きを有していてもよい。
【0021】
また、図1から図3図8に示す本実施の形態では、センサ部10に設けられた複数の端子穴13は、X方向に一列で配列されているが、図11Bに示すように、複数列で配列されていてもよい。図11Bでは、X方向に配列された端子穴13の列が、Y方向に間隔を空けて2列で配列されている。図11Bに示すように、端子穴13を複数列とすると、例えば、Y方向に間隔を空けて、センサ素子3とセンサ素子4とを配置することができる。また、図11Bに示す実施の形態では、端子穴13の数が、図3図11Aの実施の形態よりも増えており、これにより、センサ素子3、4の配置の選択肢を広げることができる。
【0022】
図2に示すように、センサ部10の幅寸法(X1方向への寸法)は、T1で形成されている。この実施の形態では、センサ部10の幅寸法T1と、駆動基板11の幅寸法T2とを同寸法としているが、異ならせてもよい。また、センサ部10と駆動基板11とを連結する連結部12の幅寸法は、T3である。連結部12の幅寸法T3は、センサ部10の幅寸法T1及び駆動基板11の幅寸法T2よりも小さい。このように、連結部12は、幅が細い形状である。
【0023】
(駆動基板11)
駆動基板11は、駆動制御回路を有している。駆動制御回路には、能動素子や受動素子、機構素子等の各回路要素(図示しない)が設けられている。駆動制御回路は、センサ部10に搭載されたセンサ素子3、4と電気的に接続されており、流量検知用抵抗素子の抵抗変化に基づいて、所定の信号処理を行う。また、駆動基板11は、後述するLED基板5と電気的に接続される。このため、駆動制御回路は、LED基板5に搭載されたLEDに対する信号処理を行うことができる。
【0024】
図2図8に示すように、駆動基板11上には、X方向の略中央であって、Y方向の中心よりもややセンサ部10寄りに(Y1側に)、LED基板との基板対基板コネクタ20が設けられている。
【0025】
また、図2図8に示すように、駆動基板11上には、電源接続コネクタ21、及び、上位側接続コネクタ22、下位側接続コネクタ23が設けられている。図4に示すように、電源接続コネクタ21は、流量センサ装置1の側部に開口部21aが向くように、駆動基板11上に配置される。
【0026】
電源接続コネクタ21は、単体動作用のコネクタである。すなわち、流量センサ装置1を単体で使用する場合に、電源接続コネクタ21が使用される。
【0027】
また、本実施の形態の流量センサ装置1を複数使用して、例えば、デイジーチェーン型に多連に接続することもできる。このとき、上位側接続コネクタ22及び下位側接続コネクタ23が使用される。一方の流量センサ装置1の上位側接続コネクタ22と、他方の流量センサ装置1の下位側接続コネクタ23とを、通信ケーブル(図示しない)を介して電気的に接続する。
【0028】
図2図8に示すように、上位側接続コネクタ22、及び下位側接続コネクタ23は、駆動基板11のセンサ部10からY2方向に離れた側の端部(「後端部」と称する)に配置される。このとき、図6に示すように、上位側接続コネクタ22、及び下位側接続コネクタ23は、流量センサ装1の後端部に、開口部22a、23aが向くように、駆動基板11上に配置される。
【0029】
図2図8に示すように、上位側接続コネクタ22と、下位側接続コネクタ23は、Y方向に多少ずれて配置されている。この実施の形態では、上位側接続コネクタ22が、下位側接続コネクタ23よりも多少、Y1側に配置されている。これにより、上位側接続コネクタ22と、下位側接続コネクタ23とを、区別することができる。特に、上位側接続コネクタ22と、下位側接続コネクタ23とが同じコネクタ形状であると、区別がつかないため、本実施の形態のように、各コネクタ22、23を前後にずらしたり、コネクタの色を変えるなどして、識別性を高めることが好ましい。
【0030】
また、電源接続コネクタ21、上位側接続コネクタ22、及び、下位側接続コネクタ23は、駆動基板11の側部や後端部に配置されており、各開口部が外側を向いている。このため、これらコネクタを通じて、駆動基板11で生じた熱を、流量センサ装置1の外部に拡散させることができる。電源接続コネクタ21、上位側接続コネクタ22、及び、下位側接続コネクタ23を、熱源の近くに配置することで、熱の拡散効果を高めることができる。
【0031】
図2図8に示すように、駆動基板11上には、LED24が設けられている。LED24は、Z1方向に向けて面発光する発光素子である。図2図8では、駆動基板11上に配置されたLED24は、一つであるが、個数を限定するものではない。また、図2図8では、LED24を、駆動基板11のX方向の略中央であって、基板対基板コネクタ20よりもセンサ部10寄り(Y1側)に配置しているが、配置場所を限定するものではない。
【0032】
本実施の形態では、後述するように、LED基板5を駆動基板11から脱着可能である。したがって、LED基板5を駆動基板11に装着しない形態とすることができる。このとき、駆動基板11に設けたLED24を使用することができる。
【0033】
ただし、本実施の形態は、駆動基板11上にLED24を配置することは必須でなく、駆動基板11上にLED24を配置しなくてもよい。
【0034】
図2図8に示すように、駆動基板11には、貫通孔11aが設けられている。後述するケース6にも、貫通孔11aと対向する位置に貫通孔が設けられている。駆動基板11をケース6に収容した状態で、図2に示す固定部材26を、ケース6及び、駆動基板11の各貫通孔に挿入する。これにより、駆動基板11とケース6とを固定することができる。
【0035】
また、図2に示すように、駆動基板11の貫通孔11aの周囲表面には、円環状の例えば、銅箔からなる金属部11bが設けられている。金属部11bは、駆動基板11の貫通孔11aの周囲裏面にも設けられることが好ましい。また、金属部11bは、貫通孔11aの内壁面にも連続して設けられることが好ましい。金属部11bを設けることで、固定部材26を通じて、熱を、ケース6の下面から外部に拡散しやすくなる。
【0036】
(連結部12)
図1から図3図8に示すように、センサ部10と駆動基板11との間には、センサ部10及び駆動基板11よりも幅が狭い連結部12が設けられている。センサ部10、駆動基板11及び連結部12は一体的に形成されている。すなわち、プリント基板を、図2図8に示す外観形状にエッチング処理することで、センサ部10、駆動基板11及び連結部12を一体的に形成することができる。
【0037】
本実施の形態では、センサ部10及び駆動基板11の幅寸法T1、T2よりも十分に細い幅寸法T3を有する連結部12を、センサ部10と駆動基板11との間に配置することで、センサ部10の熱源と、駆動基板11の熱源とを、互いに分離できる。このため、駆動基板11で生じた熱は、センサ部10に及びにくくなる。その結果、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【0038】
更に、本実施の形態では、図1から図3図8に示すように、連結部12には、貫通するスリット12aが形成されている。スリット12aは、Y方向に延出した形状である。また、スリット12aに連続して、センサ部10側にX方向に延びる小スリット12bが形成されている。すなわち、連結部12には、略T字状のスリットが形成されている。本実施の形態では、連結部12にスリットを設けることで、更に、連結部12の幅が狭くなる。したがって、熱の分離効果をより高めることができ、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を更に弱めることができる。スリット12aを、連結部12のY方向の全体に形成してもよいが、連結部12の強度が低下するため、スリット12aを、連結部12のY方向に部分的に形成することが好ましい。このとき、スリット12aをセンサ部10寄りに形成することで、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を更により弱めることができる。
【0039】
また、図示しないが、金属配線(配線パターン)の線幅を、細く形成することで、より効果的に、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を弱めることができる。なお、金属配線の幅を限定するものではないが、例えば、数十μmから数百μm程度である。
【0040】
ユニット本体2に適用されるプリント基板は、熱伝導率が比較的高いため、図1から図3図8に示すように、駆動基板11とセンサ部10とを幅の細い連結部12で連結し、更に、上記したように、連結部12にスリット12a等を設けることで、センサ部10と駆動基板11との熱源を分離する。これにより、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を弱めることができ、センサ応答性を向上させることができる。
【0041】
<LED基板5>
図1から図3に示すように、LED基板(発光基板)5の表面には、複数のLED(発光素子)25が設けられている。なお、LED25の個数や、LED25の配置を限定するものではない。LED25は、上方(Z1方向)に向けて面発光する発光素子である。なお、本実施の形態では、発光素子としてLED25を例に挙げたが、LED以外の発光素子を適用することもできる。
【0042】
図2に示すように、本実施の形態では、LED基板5と、駆動基板11とを、脱着可能に配置した。すなわち、本実施の形態では、LED基板5を、駆動基板11に装着して使用することに限定されず、LED基板5を、駆動基板11から外して使用することも可能である。
【0043】
図7は、LED基板5の裏面を示している。図7に示すように、LED基板5の裏面5aには、基板対基板コネクタ30が設けられている。駆動基板11に配置された基板対基板コネクタ20は、凸型であり、LED基板5に設けられた基板対基板コネクタ30は、凹型である。基板対基板コネクタ20、30を逆に配置してもよい。これら基板対基板コネクタ20、30を接続することで、LED基板5を駆動基板11の表面に実装することができる。このとき、基板対基板コネクタ20、30を介して、LED基板5と駆動基板11とは電気的に接続される。このように、LED基板5と駆動基板11には、基板対基板コネクタ20、30を設けることで、基板同士を脱着可能に取り付けることができる。
【0044】
図1から図3に示すように、LED基板5の外観形状の大きさは、駆動基板11の外観形状とほぼ同じ大きさで形成されている。これにより、LED基板5を駆動基板11上に装着することで、駆動基板11の表面は、LED基板5により覆われる。また、図1図3に示すように、LED基板5を駆動基板11上に装着したとき、LED基板5よりも外側に、ユニット本体2の連結部12及びセンサ部10が位置している。したがって、図1図4に示すように、センサ部10に搭載されたセンサ素子3、4は、LED基板5からY1方向に離間して配置される。
【0045】
LED基板5を、基板対基板コネクタ20、30を介して、駆動基板11に装着すると、LED基板5の各LED25は、駆動基板11の駆動制御回路に電気的に接続された状態となる。これにより、センサ素子3、4による風速測定に基づいて、LED基板5に設けられた各LED25を、発光させることができる。一方、LED基板5を、駆動基板11から取り外して使用する場合には、駆動基板11に設けられたLED24を発光させることができる。
【0046】
<ケース6>
ケース6は、例えば、樹脂成形体である。ケース6は、有色であっても、透明、或いは、半透明であってもよい。
【0047】
図1から図3図10に示すように、ユニット本体2は、ケース6に収容される。ケース6は、センサ部10、駆動基板11、及び連結部12を収容する各収容部に区画されている。
【0048】
図2に示すように、ケース6には、センサ部10を収容する第1の収容部41が設けられている。第1の収容部41は、センサ部10の形状に基づいて、X方向に細長い凹形状で形成されている。なお、図2図4に示すように、第1の収容部41を囲む壁部41bの高さは、後述する第3の収容部43の壁部45の高さよりも低い。
【0049】
また、ケース6には、第1の収容部41と連通し、連結部12を収容する第2の収容部42が形成されている。第2の収容部42は、連結部12の幅寸法T3に基づいて幅細の凹形状で形成されている。第2の収容部42の壁部42bの高さは、第1の収容部41の壁部41bの高さと同一である。
【0050】
また、本実施の形態では、第2の収容部42には、連結部12に形成されたスリット12a、12bと同位置にスリットは形成されていない。これは、第2の収容部42にスリットを形成すると、第2の収容部42の強度が低下するためである。また、第2の収容部42にスリットを形成しなくても、連結部12にスリット12a、12bを形成すれば、センサ部10への熱的影響を十分弱めることができる。
【0051】
更に、ケース6には、第2の収容部42と連通し、駆動基板11を収容する第3の収容部43が形成されている。
【0052】
第3の収容部43は、駆動基板11の形状に基づいて、矩形の凹形状で形成されている。図2図4に示すように、第3の収容部43を囲む壁部45は、第1の収容部41や第2の収容部42の壁部41b、42bよりも高い。
【0053】
図2及び図10に示すように、第1の収容部41の第1の底面41aと、第3の収容部43の第3の底面43aとは、同じ底面高さで形成されている。一方、第2の収容部42の第2の底面42aは、第1の底面41a及び第3の底面43aよりもZ1方向に突出している。このため、第2の底面42aは、第1の底面41a及び第3の底面43aよりも、高い位置に形成されている。
【0054】
図2に示すように、第3の収容部43には、駆動基板11に形成された貫通孔11aと同位置に、貫通する筒状の円環部44が形成されている。したがって、ケース6の円環部44及び駆動基板11の貫通孔11aに、固定部材26を通すことで、ケース6と駆動基板11とを固定支持することができる。円環部44の表面高さは、第2の底面42aの高さと同じである。
【0055】
また、図2に示すように、第3の収容部43の壁部45のうち、X2側の側壁部45aには、切欠き部45bが形成されている。この切欠き部45bが形成された位置では、第1の収容部41や第2の収容部42の壁部41b、42bと同じ高さとされる。これにより、ケース6に、ユニット本体2を装着したとき、図1図4等に示すように、切欠き部45bから、電源接続コネクタ21の開口部21aを外部に露出させることができる。
【0056】
また、図2図6に示すように、第3の収容部43の壁部45のうち、Y2側の後壁部45cには、2つの切欠き部45d、45eが形成されている。ケース6に、ユニット本体2を装着したとき、図6に示すように、切欠き部45dの位置から、上位側接続コネクタ22の開口部22aが外部に露出する。また、図6に示すように、切欠き部45eの位置から、下位側接続コネクタ23の開口部23aが外部に露出する。また、図6に示すように、切欠き部45d、45eの間に位置する支柱45fは、やや、上位側接続コネクタ22寄りに形成されている。これにより、上位側接続コネクタ22に挿入された通信ケーブルが支柱45fに引っかかり、抜けにくくすることができる。
【0057】
図2等に示すように、第3の収容部43の壁部45のうち、Y1側の前壁部45gには、第2の収容部42の第2の底面42aの位置まで切り欠いた切欠き部45hが形成されている。この切欠き部45hにより、第2の収容部42と第3の収容部43とが連通する。ケース6に、ユニット本体2を収容するとき、切欠き部45hを介して、連結部12及び駆動基板11を、第2の収容部42及び第3の収容部43に夫々収容することができる。
【0058】
図2図10に示すように、第3の収容部43の第3の底面43aには、第2の底面42aと同じ表面高さを有する支持台48が突出して形成されている。支持台48を複数設けてもよい。例えば、支持台48とY1方向で対向する第3の収容部43の隅にも、支持台を形成することができる。
【0059】
また、図1から図3図8に示すように、ケース6の後端部には、本実施の形態の流量センサ装置1を、図示しない機器等に固定するための外部固定部49が形成されている。外部固定部49には、貫通孔49aが形成されている。貫通孔49aを介して、本実施の形態の流量センサ装置1を、機器等に固定支持することができる。また、外部固定部49を通じて、流量センサ装置1内の熱を外部へ逃がすことができる。
【0060】
本実施の形態では、図1から図3に示すように、外部固定部49をセンサ部10からY2方向に離れた後端側に配置している。これにより、外部固定部49を通じた放熱の際の、センサ部10への熱的影響を小さくすることができる。
【0061】
図2図3図4等に示すように、第1の収容部41の壁部41bと第3の収容部43の側壁部45aとの間の外周を繋ぐ梁部50が設けられている。梁部50の高さは、第1の収容部41の壁部41bと同じ高さである。そして、図2に示すように、梁部50と、第1の収容部41の壁部41bと、第2の収容部42の壁部42bと、第3の収容部43の前壁部45gと、で囲まれた空間部51が形成されている。
【0062】
本実施の形態では、図8図10に示すように、ケース6の各収容部41、42、43に、センサ部10、駆動基板11及び連結部12を収容する。このとき、図10に示すように、センサ部10は、第1の収容部41の第1の底面41aから上方(Z1方向)に離間した状態で支持されている。このように、センサ部10と第1の底面41a間に空間を設けたことで、センサ部10より発生する熱を、空間側とセンサ部10の上方の大気側とに分離でき、熱を主として、大気側に効果的に逃がすことが可能になる。したがって、センサ部10への熱的影響を小さくでき、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【0063】
本実施の形態では、図10に示すように、連結部12を、第2の底面42aに接触させることができる。これにより、センサ部10を、第1の底面41aから所定距離だけ離間させることができる。また、センサ部10の根元に位置する連結部12を、第2の収容部42に接触支持させることで、流量センサ装置1に、衝撃等が加わった場合でも、センサ部10が第1の底面41aから浮いた状態を維持することができる。
【0064】
また、図10に示すように、本実施の形態では、駆動基板11も、第3の底面43aから上方(Z1方向)に離間している。なお、第3の底面43aと駆動基板11の間には、支持台48が設けられ、駆動基板11は、支持台48に接触する。また、図2に示す円環部44も支持台48と同一高さであり、駆動基板11は、円環部44に接触する。これにより、駆動基板11は、第2の収容部43内で、支持台48や円環部44に支持される。本実施の形態では、図10に示すように、駆動基板11と第3の底面43aとの間に空間を設けることができ、駆動基板11で生じた熱を、外部と分離することができる。
【0065】
<センサ素子3、4>
センサ素子3、4について説明する。例えば、センサ素子3は、感温抵抗素子としての流量検知用抵抗素子53を備える。また、センサ素子4は、感温抵抗素子としての温度補償用抵抗素子54を備える。
【0066】
流量検知用抵抗素子53及び温度補償用抵抗素子54は、図12に示す回路を構成する。図12に示すように、流量検知用抵抗素子53と、温度補償用抵抗素子54と、抵抗器56、57とでブリッジ回路58を構成している。図12に示すように、流量検知用抵抗素子53と抵抗器56とで第1の直列回路59を構成し、温度補償用抵抗素子54と抵抗器57とで第2の直列回路60を構成している。そして、第1の直列回路59と第2の直列回路60とが、並列に接続されてブリッジ回路58を構成している。
【0067】
図12に示すように、第1の直列回路59の出力部61と、第2の直列回路60の出力部62とが、夫々、差動増幅器(アンプ)63に接続されている。ブリッジ回路58には、差動増幅器63を含めたフィードバック回路64が接続されている。フィードバック回路64には、トランジスタ(図示せず)等が含まれる。
【0068】
抵抗器56、57は、流量検知用抵抗素子53、及び温度補償用抵抗素子54よりも抵抗温度係数(TCR)が小さい。流量検知用抵抗素子53は、例えば、所定の周囲温度よりも所定値だけ高くなるように制御された加熱状態で、所定の抵抗値Rs1を有し、また、温度補償用抵抗素子54は、例えば、前記の周囲温度にて、所定の抵抗値Rs2を有するように制御されている。なお、抵抗値Rs1は、抵抗値Rs2よりも小さい。流量検知用抵抗素子53と第1の直列回路59を構成する抵抗器56は、例えば、流量検知用抵抗素子53の抵抗値Rs1と同様の抵抗値R1を有する固定抵抗器である。また、温度補償用抵抗素子54と第2の直列回路60を構成する抵抗器57は、例えば、温度補償用抵抗素子54の抵抗値Rs2と同様の抵抗値R2を有する固定抵抗器である。
【0069】
センサ素子3が、周囲温度よりも高い温度に設定されており、風を受けると、発熱抵抗である流量検知用抵抗素子53の温度は低下する。このため、流量検知用抵抗素子53が接続された第1の直列回路59の出力部61の電位が変動する。これにより、差動増幅器63により差動出力が得られる。そして、フィードバック回路64では、差動出力に基づいて、流量検知用抵抗素子53に駆動電圧を印加する。そして、流量検知用抵抗素子53の加熱に要する電圧の変化に基づき、マイコン(図示せず)にて風速を換算し出力することができる。なお、マイコン、抵抗器、トランジスタ等は、駆動基板11の表面に設置され、各センサ素子3、4と、各リード端子16、18及び駆動基板11の表面の金属配線(図示しない)を介して電気的に接続されている。
【0070】
また、センサ素子4に設けられた温度補償用抵抗素子54は、流体そのものの温度を検知し、流体の温度変化の影響を補償する。このように、温度補償用抵抗素子54を備えることで、流体の温度変化が流量検知に影響するのを低減でき、流量検知を精度よく行うことができる。上記したように、温度補償用抵抗素子54は、流量検知用抵抗素子53よりも十分に抵抗が高く、且つ、温度が周囲温度付近に設定されている。このため、センサ素子4が風を受けても、温度補償用抵抗素子54が接続された第2の直列回路60の出力部62の電位は、ほとんど変化しない。したがって、出力部62の電位を基準電位として、流量検知用抵抗素子53の抵抗変化に基づく差動出力を精度よく得ることができる。
【0071】
なお、図12に示す回路構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0072】
また、本実施の形態の流量センサ装置1にて、測定可能な風向きの範囲を限定するものではないが、センサ素子3、4の設置状態に基づいて、測定範囲を変えることができる。例えば、本実施の形態では、風が、流量センサ装置1の前方から後方にかけて(すなわち、Y1側からY2方向にかけて)流れるとき、風速の検知が可能なように、センサ素子3、4を、Z1方向に起立して配置している。なお、測定可能な風の方向を厳密に規定するものではない。すなわち、Y1側からY2方向にかけて斜めに風が吹いても、測定は可能である。
【0073】
また、例えば、図9に示すように、起立したセンサ素子3、4を後方に倒して、センサ素子3、4を、センサ部10の後方に位置する空間部51に対向させてもよい。この場合、センサ素子3、4は、空間部51を介して、略Z方向に流れる風を検知することができる。なお、センサ素子3、4を、空間部51とは反対側の前方に倒すこともできるが、センサ素子3、4が前方に出っ張る。この場合、センサ素子3、4を保護する機構が必要である。また、センサ素子3、4が前方に出っ張ることで、流量センサ装置1がY方向に長い形状となる。そこで、図9に示すように、センサ素子3、4を、後方に倒して、空間部51と対向させることで、Z方向の風を検知できるとともに、センサ素子3、4を適切に保護しやすく、更には、流量センサ装置1の小型化に貢献することができる。
【0074】
<第1の実施の形態の流量センサ装置1の効果について>
(1) LED基板5と駆動基板11とが、脱着可能である。
本実施の形態では、図2等に示すように、LED基板5と駆動基板11とを、脱着可能に設けた。このため、本実施の形態では、例えば、ユーザの要望に応じて、LED基板5を駆動基板11上に搭載したり、或いは、LED基板5を外した流量センサ装置1とすることができる。流量センサ装置1にLED基板5を搭載することで、センサ素子3、4による風速の測定結果に基づいて、LED25を発光させることができる。
【0075】
特に、本実施の形態では、LED基板5に複数のLED25が配置されている。これらLED25を、同じように発光させてもよいし、異なるように発光させることもできる。これにより、本実施の形態の流量センサ装置1を、様々なアプリケーションで適用することができる。
【0076】
また、LED基板5を駆動基板11から外して使用することもできる。LED基板5を外すことで、流量センサ装置1の薄型化を実現することができる。例えば、LED基板5を用いない使用用途としては、イルミネーション装置でなく、分析装置等への適用が考えられる。
【0077】
(2) センサ部10への熱的影響の分離効果を高めることができる。
本実施の形態では、センサ部10と駆動基板11とを、幅寸法が細い連結部12で連結している。連結部12の幅寸法T3は、センサ部10及び駆動基板11の双方の幅寸法T1、T2よりも十分に細い。
【0078】
これにより、駆動基板11での熱源と、センサ部10の熱源とを、幅の細い連結部12により分離することができる。したがって、駆動基板11からセンサ部10に向けての熱的影響を抑制でき、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【0079】
また、本実施形態では、図8等に示すように、連結部12にスリット12a、12bを設けている。これにより、スリット12a、12bを設けた位置では、連結部12の幅はより細くなる。したがって、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響をより効果的に弱めることができる。特に、スリット12a、12bを、センサ部10寄りに形成すれば尚更である。このように、連結部12にスリット12a、12bを設けることで、センサ応答性の更なる向上を図ることができる。
【0080】
(3) 空間によりセンサ部10への熱的影響を弱めることができる。
本実施の形態では、図10に示すように、センサ部10は、ケース6の底面(第1の底面41a)から上方(Z1方向)に浮いた状態で支持されており、センサ部10が底面から離間している。このため、センサ部10で生じた熱を、センサ部10と第1の底面41a間の空間側とセンサ部10の上方の大気側とに分離でき、熱を主として、大気側に効果的に逃がすことが可能になる。したがって、センサ部10への熱的影響を小さくでき、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【0081】
本実施の形態では、図2図10に示すように、連結部12を収容する幅細の第2の収容部42の第2の底面42aを、センサ部10を収容する第1の収容部41の第1の底面41aや、駆動基板11を収容する第3の収容部43の第3の底面43aよりも突出させ高い位置に形成する。これにより、図10に示すように、ユニット本体2を、ケース6に収容したときに、連結部12は、第2の底面42aに接触する一方、センサ部10を、第1の底面41aから上方(Z1方向)に離間して支持することができる。また、このとき、駆動基板11を、第3の底面43aから上方(Z1方向)に離間して支持することができる。これにより、駆動基板11より発生する熱は、第3の底面43aとの間の空間により分離され、センサ部10への熱的影響を弱めることができる。ただし、駆動基板11は、ユニット本体2内で一番広い面積を有しているため、連結部12だけを、第2の底面42aと接触させて、ユニット本体2をケース6内で支えるのは、連結部12への負担が大きい。また、流量センサ装置1の耐衝撃性が弱まる。そのため、駆動基板11と第3の底面43aとの間にも、第2の底面42aと同一の表面高さを有する支持台48を設けて、駆動基板11を支持する構造とすることが望ましい。
【0082】
(4) センサ素子3、4の配置の選択肢を広げる。
本実施の形態では、図1等に示すように、センサ部10には、複数の端子穴13が設けられている。これら端子穴13の数は、センサ素子3、4を接続するのに必要な端子数よりも多い。これにより、センサ素子3、4の配置箇所を複数個所にでき、配置の選択肢を広げることができる。例えば、図1等では、センサ素子3、4がX方向に対し最も近い位置に配置されるが、センサ素子3、4をX方向に離すことができる。また、センサ素子3、4が、Z方向に間隔を空けて対向するように配置することも可能である。これにより、ユーザの要望等に基づいて、風の測定範囲を変えたり、測定感度を調整することができる。
【0083】
<第2の実施の形態の流量センサ装置100>
図13は、第2実施の形態に係る多連型の流量センサ装置の斜視図である。図14は、図13に示す多連型の流量センサ装置を裏面側から見た部分拡大斜視図である。
【0084】
図13に示す第2実施の形態では、多点LED基板101と、複数のユニット本体2と、を有しており、各ユニット本体2が多点LED基板101に並設された多連型の流量センサ装置100である。
【0085】
図13図14に示す多連型の流量センサ装置100は、図1に示す流量センサ装置1を多連型にしたものである。したがって、各部材の構造の詳しい説明は、上記を参照されたい。以下では、図1と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
図13に示すように、多点LED基板101は、図1に示す複数のLED基板5をX方向に向けて一体に形成したものである。図13では、多点LED基板101は、X方向に長い長尺形状であるが、例えば、X方向から途中で屈曲する形状としてもよい。あるいは、多点LED基板101は、矩形リング状や、円形リング状等であってもよい。
【0087】
なお、図13に示す多点LED基板101では、上方(Z1方向)に向けて発光するLED25が5個で一組とされたLED群102と合わせて、図13に示す前方方向(Y1方向)に向けて発光する一個のLED103が設置されている。
【0088】
なお、図1等と同様に、図13に示すように、多点LED基板101に並設された複数のユニット本体2は、多点LED基板101に対し脱着可能に取り付けられている。図13に示すように、多点LED基板101の前方(Y1方向)には、各ユニット本体2の前方に搭載された複数のセンサ素子3、4がX方向に並設されている。
【0089】
図13に示す多連型の流量センサ装置100では、風の測定範囲をX方向に広げることができる。並べ方によっては、Y方向やZ方向に風の測定範囲を広げることができ、3次元空間の見える化を実現できる。このような多連型の流量センサ100は、例えば、ラジエータに入る風やエアコンの気流、集塵機の気流、ファンの気流などを検知できる。そして、風の測定結果に応じて、例えば、多点LED基板101に配置されたX方向に連なる多数のLED25を順次発光させることができる。なお、発光の形態を、適宜設定することができる。これにより、気流の見える化を実現できる。
【0090】
図14に示すように、多点LED基板101の裏面側には、複数の信号線切替スイッチ104が配置されている。信号線切替スイッチ104は、各ユニット本体2の取付け箇所の後端位置に設けられる。
【0091】
本実施の形態では、ユニット本体2には、多点LED基板101と接続するコネクタに、隣に配置されるユニット本体2と接続する信号も通している。これにより、隣接するユニット本体2間は、多点LED基板101を介して、電気的に接続され、信号の送受信が行なわれる。よって、本実施の形態では、各ユニット本体2に設けられた接続コネクタ22、23を使用せず、多点LED基板101の裏面に配置された電源接続コネクタ105に電源ケーブルを差し込めば足りる。
【0092】
ここで、多点LED基板101に接続された複数のユニット本体2の間隔は、風速測定密度に相当する。ユニット本体2をたくさん接続すれば、その分だけ、風速測定密度は上がる。図13は、ユニット本体2を全て接続した状態であり、風速測定密度が最も高い状態にある。そこで、風速測定密度を低くしたい場合には、図13の状態からユニット本体2を間引くことになる。このとき、間引かれたユニット本体2の設置位置に配置された信号線切替スイッチをONにする。信号線切替スイッチをONにすると、ユニット本体2が設置されない位置の多点LED基板101の配線パターンを、両隣の配線パターンとショートさせることができる。この結果、ユニット本体2が設置されない位置の多点LED基板101の配線パターンを、両隣のユニット本体2と電気的に接続することが可能になる。なお、ユニット本体2を配置した位置の信号線切替スイッチ104は、OFFとされる。
【0093】
このように、図13図14に示す多連型の流量センサ装置100では、簡単且つ適切に風速測定密度を変えることができる。
【0094】
<第3の実施の形態の流量センサ装置200>
図15は、第3実施の形態に係る流量センサ装置の斜視図である。図16は、第3実施の形態に係る流量センサ装置の平面図である。図17は、第3実施の形態に係る流量センサ装置の正面図である。図18は、第3実施の形態に係る流量センサ装置の側面図である。図19は、本実施の形態に係る透光性カバーの斜視図である。
【0095】
図15に示す第3実施の形態では、図2に示すユニット本体2、及びケース6を用いるが、LED基板5は、配置されていない。第3の実施の形態では、透光性カバー201を用いて、ユニット本体2を保護している。
【0096】
図15に示す流量センサ装置200のユニット本体2及びケース6は、図1等の第1実施の形態の流量センサ装置1と同じであるため各構造の詳しい説明は、上記を参照されたい。以下では、図1には用いられていない透光性カバー201について詳しく説明する。
【0097】
図15に示す透光性カバー201は、透明或いは半透明の樹脂成形体であり、所定の光透過性を有していれば、特に、材質を問うものではない。
【0098】
図15図19等に示すように、透光性カバー201は、駆動基板11の上方を覆う後端カバー202と、センサ部10に搭載されたセンサ素子3、4を保護する前端カバー203と、を有して構成される。
【0099】
後端カバー202は、ケース6の第3の収容部43の壁部45(図2参照)で囲まれる面積とほぼ同じ大きさの平板状で形成される。
【0100】
後端カバー202の裏面には、駆動基板11に形成された貫通孔11aと対向する位置に、天井面を備えた筒状部(図示しない)が形成されている。そして、図2に示す固定部材26により、ケース6、ユニット本体2及び透光性カバー201を固定支持することが可能になっている。
【0101】
また、図17図19に示すように、後端カバー202の前端部202aには、略中央に、下方向(Z2方向)に延びる舌片204が形成されている。この舌片204は、ちょうど、図2にケース6の前壁部45gに形成された切欠き部45hに入り込む形状である。したがって、ユニット本体2を、ケース6に収容し、更に、透光性カバー201で覆うと、図17に示すように、舌片204は、ケース6の前壁部45gに形成された切欠き部45hに位置する。これにより、ケース6に収容されたユニット本体2の駆動基板11は、ケース6の壁部45と、透光性カバー201の後端カバー202及び舌片204に全周囲が囲まれ、外部から保護される。
【0102】
後端カバー202と一体に形成される前端カバー203には、図15及び図19に示すように、後端カバー202の前方で且つX方向の両側であって下方(Z2方向)に向けて側壁部205が形成されている。透光性カバー201をケース6に重ねると、図18等に示すように、側壁部205は、ケース6の梁部50から第1の収容部41の壁部41bの上端に接触する。これにより、図15図18に示すように、流量センサ装置200の側面が、電源接続コネクタ21の部分を除いて囲まれる。
【0103】
図15図19等に示すように、前端カバー203には、各側壁部205の上端から上方(Z1方向)に向けて夫々、支柱206が延出している。また、支柱206の上端間は、天井バー207で一体的に繋がれている。更に、図15図18図19に示すように、支柱206の上端側から前方(Y1方向)に張り出す前方バー208と、支柱206の上端側から後方(Y2方向)に張り出す後方バー209と、が設けられている。なお、天井バー207は、前方バー208、及び後方バー209よりも高い位置に設けられる。
【0104】
更に、図15図17図19に示すように、側壁部205の前端側を繋ぐ前方梁部210と、図16図19等に示す、支柱206よりも後方(Y2方向)に位置する側壁部205の間を繋ぐ後方梁部211と、を有する。これら梁部210、211は、前端カバー203の強度を保つためや、ユーザが誤って指等を挿入できないようにするためのものである。
【0105】
図15及び図17に示すように、前方バー208及び後方バー209は、センサ素子3、4よりもやや高い位置に設けられる。このため、センサ素子3、4の前方及び後方には、前端カバー203が存在せず、センサ素子3、4に風が通る通気口220となっている。したがって、この通気口220を通して、センサ素子3、4に風を適切に作用させることができる。
【0106】
ここで、センサ素子3、4は、既に記載したように、抵抗素子であり、作動中は、数十度から100℃程度にまで温度が上昇する。このため、ユーザが誤って手指でセンサ素子3、4を触ると、火傷等の危険性がある。このため、手指がセンサ素子3、4を触ることがないように、センサ素子3、4の上方や前方及び後方に、天井バー207、前方バー208及び後方バー209を配置した。これにより、手指がセンサ素子3、4に触れる危険性を防止できる。また、手指でなくても、外部からのセンサ素子3、4への接触を防止することができ、センサ素子3、4を保護することができる。
【0107】
この実施の形態では、LED基板5を用いず、ユニット本体2に直接、透光性カバー201を配置したが、LED基板5をユニット本体2に取り付けるとともに、LED基板5上を透光性カバー201で覆ってもよい。このとき、ケース6に、ユニット本体2及びLED基板5を配置した状態で、透光性カバー201を取り付けることができるように、透光性カバー201とケース6間の接続構造を、図19から変更することが必要である。
【0108】
本実施の形態における流量センサ装置の特徴的部分について説明する。
本実施の形態は、流量を検知するセンサ素子3、4を備えた流量センサ装置1であって、センサ素子3、4を搭載するセンサ部10と、駆動制御回路を備えた駆動基板11とが、駆動基板11の幅よりも細い連結部12を介して連結されていることを特徴とする。
【0109】
これにより、駆動基板11の熱源と、センサ部10の熱源とを、幅の細い連結部12で分離することができ、駆動基板11側からセンサ部10への熱的影響を抑制できる。したがって、良好なセンサ応答性を維持することができる。
【0110】
本実施の形態では、センサ部10には、センサ素子3、4を複数個所で搭載可能とする、複数の端子穴13が設けられていることが好ましい。このように、本実施の形態では、センサ素子3、4に対する配置の選択肢を広げることができる。これにより、ユーザの要望等に基づいて、風の測定範囲を変えたり、測定感度を調整することができる。
【0111】
本実施の形態では、センサ部10の幅は、連結部12の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、熱の分離効果をより効果的に高めることができ、センサ応答性を向上させることができる。また、センサ部10に複数のセンサ素子3、4を搭載する領域を確保することができ、特に、上記したように、センサ素子3、4を複数個所で搭載可能な構造にすることができる。
【0112】
本実施の形態では、連結部には、貫通孔が形成されていることが好ましい。貫通孔の形状を限定するものではないが、貫通孔は、スリット状(上記のスリット12a、12b)であることが好ましい。これにより、効果的に、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を弱めることができる。
【0113】
また、本実施の形態では、貫通孔は、センサ部10寄りに形成されていることが好ましい。これにより、より効果的に、駆動基板11からセンサ部10への熱的影響を弱めることができる。
【0114】
また、本実施の形態の流量センサ装置200は、センサ素子3、4対する通気口220を有するとともに、外部からセンサ素子3、4に接触するのを防止する接触防止構造を備えた透光性カバー201を具備する、ことが好ましい。このように、センサ素子3、4に対する通気口220を有することで、センサ素子3、4に適切に風を作用させることができ、良好なセンサ応答性を得ることができる。加えて、外部からセンサ素子3、4に接触するのを防止する接触防止構造を備えている。この接触防止構造は、図15に示す天井バー207、前方バー208、及び後方バー209に該当する。これにより、例えば、ユーザが手指で、熱を帯びたセンサ素子3、4に直接触れるを防止することができる。また、ユーザの手指以外でも、外部からのセンサ素子3、4への接触を防止でき、センサ素子3、4を適切に保護することができる。
【0115】
上記では、センサ素子3、4は風速センサであったが、風速以外に、ガス流や、水等の液体を対象とした流速変化を検知可能なセンサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明したように、本発明は、良好なセンサ応答性を得ることができ、流量検知を利用して、表示形態としての様々なアプリケーションに適用することができ、また分析用などとして適用することも可能である。
【符号の説明】
【0117】
1、100、200 流量センサ装置
2 ユニット本体
3、4 センサ素子
5 LED基板
6 ケース
10 センサ部
11 駆動基板
12a スリット
12b 小スリット
13 端子穴
16、18 リード端子
20、30 基板対基板コネクタ
21、105 電源接続コネクタ
22 上位側接続コネクタ
23 下位側接続コネクタ
24、25、103 LED
41 第1の収容部
41a 第1の底面
42 第2の収容部
42a 第2の底面
43 第3の収容部
43a 第3の底面
48 支持台
49 外部固定部
50、210、211 梁部
51 空間部
53 流量検知用抵抗素子
54 温度補償用抵抗素子
63 差動増幅器
64 フィードバック回路
101 多点LED基板
104 信号線切替スイッチ
201 透光性カバー
202 後端カバー
203 前端カバー
204 舌片
206 支柱
207 天井バー
208 前方バー
209 後方バー
220 通気口




図1
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