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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20230525BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230525BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20230525BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H05K9/00 Q
H01L23/28 F
H01L21/56 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018238680
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020102492
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】畦▲崎▼ 崇
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 潤
(72)【発明者】
【氏名】森本 哲光
(72)【発明者】
【氏名】木下 仁
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113294(JP,A)
【文献】特開2013-197390(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125683(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/139840(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/006549(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00、23/28
H01L 21/301、21/56
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路形成面を有し、かつ、個片化された電子部品と、前記電子部品の前記回路形成面とは反対側の面に貼り付けられた第1粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、
前記電子部品の前記回路形成面に第2粘着性フィルムを貼り付ける工程(B)と、
前記工程(B)の後に、前記構造体から前記第1粘着性フィルムを剥離する工程(C)と、
前記第2粘着性フィルムに貼り付けられた状態で、個片化された前記電子部品に対して電磁波シールド層を形成する工程(D)と、
をこの順番に含む電子装置の製造方法であって、
前記第2粘着性フィルムは、基材層、凹凸吸収性樹脂層および粘着性樹脂層をこの順番に含み、
前記工程(D)の前に、前記凹凸吸収性樹脂層を架橋させることで、前記凹凸吸収性樹脂層の耐熱性を向上させる工程(E)をさらに含む電子装置の製造方法
【請求項2】
回路形成面を有し、かつ、個片化された電子部品と、前記電子部品の前記回路形成面とは反対側の面に貼り付けられた第1粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、
前記電子部品の前記回路形成面に第2粘着性フィルムを貼り付ける工程(B)と、
前記工程(B)の後に、前記構造体から前記第1粘着性フィルムを剥離する工程(C)と、
前記第2粘着性フィルムに貼り付けられた状態で、個片化された前記電子部品に対して電磁波シールド層を形成する工程(D)と、
をこの順番に含む電子装置の製造方法であって、
前記第2粘着性フィルムは、基材層、凹凸吸収性樹脂層および粘着性樹脂層をこの順番に含み、
前記凹凸吸収性樹脂層が架橋性樹脂を含む電子装置の製造方法
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(A)は、前記第1粘着性フィルムにおける前記電子部品が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する前記電子部品間の間隔を拡大させる工程を含む電子装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(A)は、個片化前の電子部品を個片化する工程を含む電子装置の製造方法。
【請求項5】
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記凹凸吸収性樹脂層の厚みが10μm以上1000μm以下である電子装置の製造方法。
【請求項6】
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記基材層を構成する樹脂がポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリイミドからなる群から選択される一種または二種以上を含む電子装置の製造方法。
【請求項7】
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記粘着性樹脂層を構成する粘着剤が(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤およびスチレン系粘着剤から選択される一種または二種以上を含む電子装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(D)の後に、前記電子部品と前記第2粘着性フィルムとを剥離する工程(F)をさらに含む電子装置の製造方法。
【請求項9】
請求項に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(F)では、前記第2粘着性フィルムにおける前記電子部品が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する前記電子部品間の間隔を拡大させた状態で、前記第2粘着性フィルムから前記電子部品を剥離する電子装置の製造方法。
【請求項10】
請求項またはに記載の電子装置の製造方法において、
前記第2粘着性フィルムを構成する粘着性樹脂層は放射線架橋型粘着剤を含み、
前記工程(F)の前に、前記粘着性樹脂層に対して放射線を照射して前記粘着性樹脂層を架橋させる工程(G)をさらに含む電子装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(D)では、スパッタリング法、蒸着法、スプレーコーティング法、電解メッキ法および無電解メッキ法から選択される少なくとも一種の方法を用いて前記電子部品に対して前記電磁波シールド層を形成する電子装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電子装置の製造方法において、
前記工程(D)では、少なくとも前記電子部品における前記回路形成面に対向する対向面および前記回路形成面と前記対向面とを繋ぐ側面に対して前記電磁波シールド層を形成する電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の製造工程では、電子部品に電磁波シールド性を付与するために、電子部品の回路形成面を保護フィルム等で保護した状態で電子部品の表面に電磁波シールド層を形成する工程をおこなう場合がある。こうすることで、電子部品に電磁波シールド性を付与でき、電子部品から発生する電磁波ノイズを遮断することができる。これにより、電子部品が周辺の他の電子部品に悪影響を与えることを抑制することができる。
このような電子部品の電磁波シールド性に関する技術としては、例えば、特許文献1(国際公開第2010/029819号)に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/029819号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの検討によれば、電磁波シールド性を有する電子装置の製造方法に関し、以下のような課題を見出した。
従来技術において、電磁波シールド性を有する電子装置の製造方法は、図3に示すように個片化された電子部品100を回路形成面保護用テープ130に再配列して電磁波シールド層形成工程を行っていた。そのため、従来の電子装置の製造方法では、個片化された電子部品100を回路形成面保護用テープ130に再配列する必要があり、工程が煩雑であった。
【0005】
すなわち、本発明者らは、電磁波シールド性を有する電子装置の製造方法には、製造工程を簡略化するという観点において、改善の余地があることを見出した。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電磁波シールド性を有する電子装置の製造工程を簡略化することが可能な電子装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下に示す電子装置の製造方法が提供される。
【0008】
[1]
回路形成面を有し、かつ、個片化された電子部品と、上記電子部品の上記回路形成面とは反対側の面に貼り付けられた第1粘着性フィルムと、を備える構造体を準備する工程(A)と、
上記電子部品の上記回路形成面に第2粘着性フィルムを貼り付ける工程(B)と、
上記工程(B)の後に、上記構造体から上記第1粘着性フィルムを剥離する工程(C)と、
上記第2粘着性フィルムに貼り付けられた状態で、個片化された上記電子部品に対して電磁波シールド層を形成する工程(D)と、
をこの順番に含む電子装置の製造方法。
[2]
上記[1]に記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(A)は、上記第1粘着性フィルムにおける上記電子部品が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する上記電子部品間の間隔を拡大させる工程を含む電子装置の製造方法。
[3]
上記[1]または[2]に記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(A)は、個片化前の電子部品を個片化する工程を含む電子装置の製造方法。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記第2粘着性フィルムは、基材層、凹凸吸収性樹脂層および粘着性樹脂層をこの順番に含む電子装置の製造方法。
[5]
上記[4]に記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(D)の前に、上記凹凸吸収性樹脂層を架橋させることで、上記凹凸吸収性樹脂層の耐熱性を向上させる工程(E)をさらに含む電子装置の製造方法。
[6]
上記[4]または[5]に記載の電子装置の製造方法において、
上記凹凸吸収性樹脂層が架橋性樹脂を含む電子装置の製造方法。
[7]
上記[4]乃至[6]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記凹凸吸収性樹脂層の厚みが10μm以上1000μm以下である電子装置の製造方法。
[8]
上記[4]乃至[7]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記基材層を構成する樹脂がポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリイミドからなる群から選択される一種または二種以上を含む電子装置の製造方法。
[9]
上記[4]乃至[8]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記粘着性樹脂層を構成する粘着剤が(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤およびスチレン系粘着剤から選択される一種または二種以上を含む電子装置の製造方法。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(D)の後に、上記電子部品と上記第2粘着性フィルムとを剥離する工程(F)をさらに含む電子装置の製造方法。
[11]
上記[10]に記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(F)では、上記第2粘着性フィルムにおける上記電子部品が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する上記電子部品間の間隔を拡大させた状態で、上記第2粘着性フィルムから上記電子部品を剥離する電子装置の製造方法。
[12]
上記[10]または[11]に記載の電子装置の製造方法において、
上記第2粘着性フィルムを構成する粘着性樹脂層は放射線架橋型粘着剤を含み、
上記工程(F)の前に、上記粘着性樹脂層に対して放射線を照射して上記粘着性樹脂層を架橋させる工程(G)をさらに含む電子装置の製造方法。
[13]
上記[1]乃至[12]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(D)では、スパッタリング法、蒸着法、スプレーコーティング法、電解メッキ法および無電解メッキ法から選択される少なくとも一種の方法を用いて上記電子部品に対して上記電磁波シールド層を形成する電子装置の製造方法。
[14]
上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
上記工程(D)では、少なくとも上記電子部品における上記回路形成面に対向する対向面および上記回路形成面と上記対向面とを繋ぐ側面に対して上記電磁波シールド層を形成する電子装置の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁波シールド性を有する電子装置の製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電子装置の製造方法の一例を示すフロー図である。
図2】本発明に係る実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
図3】従来の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。また、数値範囲の「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。また、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
【0012】
図1は、本発明に係る電子装置の製造方法の一例を示すフロー図である。図2は、本発明に係る実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
【0013】
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、以下の工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(D)を少なくともこの順番に含む。
(A)回路形成面10Aを有し、かつ、個片化された電子部品10と、電子部品10の回路形成面10Aとは反対側の面に貼り付けられた第1粘着性フィルム20と、を備える構造体30を準備する工程
(B)電子部品10の回路形成面10Aに第2粘着性フィルム40を貼り付ける工程
(C)工程(B)の後に、構造体30から第1粘着性フィルム20を剥離する工程
(D)第2粘着性フィルム40に貼り付けられた状態で、個片化された電子部品10に対して電磁波シールド層80を形成する工程
【0014】
前述したように、従来技術において、電磁波シールド性を有する電子装置の製造方法は、図3に示すように個片化された電子部品100を回路形成面保護用テープ130に再配列して電磁波シールド層形成工程を行っていた。そのため、従来の電子装置の製造方法では、個片化された電子部品100を回路形成面保護用テープ130に再配列する必要があり、工程が煩雑であった。
【0015】
すなわち、本発明者らは、電磁波シールド性を有する電子装置の製造方法には、製造工程を簡略化するという観点において、改善の余地があることを見出した。
【0016】
本実施形態に係る電子装置の製造方法によれば、第2粘着性フィルム40を、個片化された複数の電子部品10の回路形成面10Aに貼り付けた後に、個片化された電子部品10に対して、電磁波シールド層80を一度に形成することによって、図3に示すような個片化された電子部品100を回路形成面保護用テープ130に再配列するような再配列工程を省略することができるため、電子装置の製造工程を簡略化することができる。
【0017】
1.第1粘着性フィルム
以下、本実施形態に係る電子装置の製造方法で用いる第1粘着性フィルム20について説明する。
【0018】
第1粘着性フィルム20としては特に限定されず、例えば、公知のダイシングテープを用いることができる。
第1粘着性フィルム20は特に限定されないが、例えば、基材層および粘着性樹脂層を有する。
【0019】
基材層は、第1粘着性フィルム20の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
上記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、透明性や機械的強度、柔軟性、価格等のバランスに優れる観点から、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびエチレン・酢酸ビニル共重合体から選択される一種または二種以上が好ましい。
【0020】
基材層は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
【0021】
基材層の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは5μm以上300μm以下、さらに好ましくは10μm以上250μm以下である。
基材層は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0022】
粘着性樹脂層は、基材層の一方の面側に設けられる層であり、第1粘着性フィルム20を電子部品10に貼り付ける際に、電子部品10に接触して粘着する層である。
【0023】
粘着性樹脂層を構成する粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、スチレン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、接着力の調整を容易にできる点等から、(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとする(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
【0024】
2.第2粘着性フィルム
以下、本実施形態に係る電子装置の製造方法で用いる第2粘着性フィルム40について説明する。
【0025】
第2粘着性フィルム40は、例えば、基材層50および粘着性樹脂層70を有する。
【0026】
<基材層>
基材層50は、第2粘着性フィルム40の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層50は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
基材層50を構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリアミドイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンエーテル;ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリブチレンテレフタレート等のエラストマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、透明性を良好にする観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、およびポリブチレンテレフタレートから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリイミドから選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、第2粘着性フィルム40の柔軟性や伸縮性等の特性と耐熱性とのバランスを向上させる観点から、基材層50を構成する樹脂としては、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、およびポリブチレンテレフタレート等から選択される一種または二種以上がさらに好ましい。これにより、第2粘着性フィルム40の伸縮性や柔軟性が向上し、工程(D)の後に電子部品10と第2粘着性フィルム40とを剥離する際に第2粘着性フィルム40を面内方向に拡張させることがより一層容易になり、第2粘着性フィルム40から電子部品10を剥離し易くなる。
【0027】
基材層50の融点は100℃以上であることが好ましい。融点上限は特に限定されず、加工性等を鑑みて選択すればよい。
このような基材層50を用いると、工程(D)において第2粘着性フィルム40が高温に曝されても第2粘着性フィルム40の変形や溶融をより一層抑制することができる。
【0028】
基材層50は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層50を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
【0029】
基材層50の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは20μm以上300μm以下、さらに好ましくは25μm以上250μm以下である。
基材層50は他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0030】
<凹凸吸収性樹脂層>
本実施形態に係る第2粘着性フィルム40は、基材層50と粘着性樹脂層70との間に凹凸吸収性樹脂層60をさらに有することが好ましい。
凹凸吸収性樹脂層60は、第2粘着性フィルム40の回路形成面10Aへの追従性を良好にし、回路形成面10Aと第2粘着性フィルム40との密着性を良好にすることを目的として設けられる層である。
ここで、本発明者らの検討によれば、電子部品の回路形成面を保護フィルムで保護した状態で電子部品の表面に電磁波シールド層を形成する際に、電磁波シールド層を形成するための導電性成分が電子部品の回路形成面に入り込んで回路に付着し、その結果、回路が電気的に短絡してしまう場合があるという課題を見出した。また、回路形成面の凹凸が大きいほど回路形成面を構成する回路が電気的に短絡しやすかった。特に、電子部品の回路形成面上に、バンプ電極が形成された電子部品を用いる場合、回路形成面を構成する回路が電気的に短絡しやすい傾向にあった。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、電子部品と保護フィルムとの間の密着性が不十分である場合、電磁波シールド層を形成するための導電性成分が電子部品の回路形成面に入り込みやすく、回路の導通不良を引き起こしやすいことを知見した。
特に、回路形成面にバンプ電極等の比較的大きな凹凸が形成された電子部品を使用する場合、電子部品の回路形成面の凹凸に対する保護フィルムの追従性が不十分になりやすいため、電子部品と保護フィルムとの間の密着性が不十分になりやすい。その結果、電磁波シールド層を形成するための導電性成分が電子部品の回路形成面に浸入し易くなり、回路形成面を構成する回路の導通不良が起こりやすくなることを知見した。
本発明者らは、上記知見をもとにさらに検討を重ねた。その結果、電子部品10の回路形成面10Aを保護するフィルムとして、基材層50、凹凸吸収性樹脂層60および粘着性樹脂層70をこの順番に有する第2粘着性フィルム40を使用することにより、回路形成面10Aの電気的な短絡を抑制でき、電磁波シールド性を有する電子装置を安定的に得ることができることを見出した。
すなわち、第2粘着性フィルム40が凹凸吸収性樹脂層60をさらに有することで、第2粘着性フィルム40が電子部品10の回路形成面10Aに追従し易くなり、第2粘着性フィルム40と電子部品10の回路形成面10Aとの間の密着性を向上させることができる。これにより、電子部品10の回路形成面10Aの凹凸を追従し易くなり、第2粘着性フィルム40と電子部品10の回路形成面10Aとの間の隙間をより小さくできる。その結果、電子部品10の表面に電磁波シールド層80を形成する際に、電磁波シールド層80を形成するための導電性成分が電子部品10の回路形成面10Aに入り込むことを抑制でき、回路形成面10Aを構成する回路の電気的な短絡を抑制することができる。
【0031】
凹凸吸収性樹脂層60を構成する樹脂は、凹凸吸収性を示すものであれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
【0032】
また、凹凸吸収性樹脂層60は架橋性樹脂を含むことが好ましい。凹凸吸収性樹脂層60が架橋性樹脂を含むことにより、工程(D)の前に凹凸吸収性樹脂層60を架橋して耐熱性を向上させることが可能となり、その結果、工程(D)において第2粘着性フィルム40が高温に曝されても第2粘着性フィルム40の変形や溶融をより一層抑制することができる。
本実施形態に係る架橋性樹脂としては凹凸吸収性樹脂層60を形成でき、かつ、熱や光等の外部刺激によって架橋して耐熱性が向上する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンとを含むエチレン・α-オレフィン共重合体、高密度エチレン系樹脂、低密度エチレン系樹脂、中密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、プロピレン(共)重合体、1-ブテン(共)重合体、4-メチルペンテン-1(共)重合体、エチレン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・芳香族ビニル共重合体、エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・α-オレフィン・不飽和無水カルボン酸共重合体等のエチレン・無水カルボン酸系共重合体;エチレン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・α-オレフィン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体等のエチレン・エポキシ系共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・マレイン酸共重合体、エチレン・フマル酸共重合体、エチレン・クロトン酸共重合体等のエチレン・エチレン性不飽和酸共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体;エチレン・スチレン共重合体等;(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等の不飽和カルボン酸エステル(共)重合体;エチレン・アクリル酸金属塩共重合体、エチレン・メタアクリル酸金属塩共重合体等のアイオノマー樹脂;ウレタン系樹脂;シリコーン系樹脂;アクリル酸系樹脂;メタアクリル酸系樹脂;環状オレフィン(共)重合体;α-オレフィン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル化合物;芳香族ポリエン共重合体;エチレン・芳香族ビニル化合物・芳香族ポリエン共重合体;スチレン系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体;スチレン・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン・スチレン共重合体;アクリロニトリル・エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン・スチレン共重合体;メタアクリル酸・スチレン共重合体;エチレンテレフタレート樹脂;フッ素樹脂;ポリエステルカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー;塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー;液晶性ポリエステル;ポリ乳酸等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
【0033】
これらの中でも、有機過酸化物等の架橋剤による架橋が容易であることから、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体、低密度エチレン系樹脂、中密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、エチレン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・環状オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・芳香族ビニル共重合体、エチレン・α-オレフィン・芳香族ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂、エチレン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・α-オレフィン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・α-オレフィン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマーから選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体、低密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・α-オレフィン・不飽和無水カルボン酸共重合体、エチレン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・α-オレフィン・エポキシ含有不飽和化合物共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される一種または二種以上を用いることがより好ましい。
エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体、低密度エチレン系樹脂、超低密度エチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)系樹脂、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α-オレフィン・共役ポリエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体から選択される一種または二種以上を用いることがさらに好ましい。
これらの中でも、エチレン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体から選択される少なくとも一種が特に好ましく使用される。なお本実施形態においては上述した樹脂は、単独で用いてもよいし、ブレンドして用いてもよい。
【0034】
本実施形態における架橋性樹脂として用いられる、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィンとしては、通常、炭素数3~20のα-オレフィンを1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも好ましいのは、炭素数が10以下であるα-オレフィンであり、とくに好ましいのは炭素数が3~8のα-オレフィンである。このようなα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等を挙げることができる。これらの中でも、入手の容易さからプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-オクテンが好ましい。なお、エチレン・α-オレフィン共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、柔軟性の観点からランダム共重合体が好ましい。
【0035】
凹凸吸収性樹脂層60の厚さは、電子部品10の回路形成面10Aの凹凸を埋め込むことができる厚さであれば、特に制限されないが、例えば、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上900μm以下であることがより好ましく、30μm以上800μm以下であることがさらに好ましく、50μm以上700μm以下であることが特に好ましい。
【0036】
ここで、電子部品の回路形成面がバンプ電極を含む場合は、電子部品の表面に電磁波シールド層を形成する際に、回路形成面を構成する回路が電気的に短絡しやすい傾向にある。しかし、凹凸吸収性樹脂層60をさらに有する第2粘着性フィルム40を用いることによって、回路形成面10Aにバンプ電極を含む電子部品10に対しても電気的な短絡を抑制することが可能となる。
また、電子部品10の回路形成面10Aに存在するバンプ電極の高さをH[μm]とし、凹凸吸収性樹脂層60の厚みをd[μm]としたとき、H/dが1以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましい。H/dが上記上限値以下であると、第2粘着性フィルム40の厚みをより薄くしつつ、凹凸吸収性をより良好にすることができる。
H/dの下限は特に限定されないが、例えば、0.01以上であり、好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。バンプ電極の高さは、一般的に2μm以上600μm以下である。
ここで、本発明者らの検討によれば、回路形成面の凹凸が大きいほど回路形成面を構成する回路が電気的に短絡しやすいことが明らかになった。そのため、バンプ電極の高さが好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、さらにより好ましくは80μm以上、特に好ましくは100μm以上のとき、本実施形態に係る電子装置の製造方法の効果をより一層効果的に得ることができる。
【0037】
<粘着性樹脂層>
粘着性樹脂層70は、基材層50または凹凸吸収性樹脂層60の一方の面側に設けられる層であり、第2粘着性フィルム40を電子部品10の回路形成面10Aに貼り付ける際に、電子部品10の回路形成面10Aに接触して粘着する層である。
【0038】
粘着性樹脂層70を構成する粘着剤は、(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、スチレン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、接着力の調整を容易にできる点等から、(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとする(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
【0039】
また、粘着性樹脂層70を構成する粘着剤としては、放射線により粘着力を低下させる放射線架橋型粘着剤を用いることもできる。放射線架橋型粘着剤により構成された粘着性樹脂層70は、放射線の照射により架橋して粘着力が著しく減少するため、後述する電子部品10と第2粘着性フィルム40とを剥離する工程(F)において、粘着性樹脂層70から電子部品10を剥離し易くなる。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。
放射線架橋型粘着剤としては、紫外線架橋型粘着剤が好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル系粘着剤に含まれる(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物とコモノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
また、(メタ)アクリル系共重合体を構成するコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアマイド、メチロール(メタ)アクリルアマイド、無水マレイン酸等が挙げられる。これらのコモノマーは一種単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
【0041】
放射線架橋型粘着剤は、例えば、上記(メタ)アクリル系重合体と、架橋性化合物(炭素-炭素二重結合を有する成分)と、光重合開始剤または熱重合開始剤と、を含む。
【0042】
架橋性化合物としては、例えば、分子中に炭素-炭素二重結合を有し、ラジカル重合により架橋可能なモノマー、オリゴマーまたはポリマー等が挙げられる。このような架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル;エステル(メタ)アクリレートオリゴマー;2-プロペニルジ-3-ブテニルシアヌレート、2-ヒドロキシエチルビス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル系重合体が、ポリマーの側鎖に炭素-炭素二重結合を有する放射線架橋型ポリマーである場合は、架橋性化合物を加えなくてもよい。
【0043】
架橋性化合物の含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して5~900質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましく、10~50質量部がさらに好ましい。架橋性化合物の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて粘着力の調整がし易くなり、上記範囲よりも多い場合に比べて、熱や光に対する感度が高すぎることによる保存安定性の低下が起こりにくい。
【0044】
光重合開始剤としては、放射線を照射することにより開裂しラジカルを生成する化合物であればよく、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類;ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類等が挙げられる。
【0045】
熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物誘導体やアゾ系重合開始剤等が挙げられる。加熱時に窒素が発生しない点から、好ましくは有機過酸化物誘導体である。熱重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルおよびパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0046】
粘着剤には架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソシアネート等のイソシアネート系化合物等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、粘着性樹脂層70の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0047】
粘着性樹脂層70の厚みは特に制限されないが、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0048】
粘着性樹脂層70は、例えば、基材層50または凹凸吸収性樹脂層60上に粘着剤塗布液を塗布することにより形成することができる。
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。更に好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0049】
本実施形態に係る第2粘着性フィルム40の全光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。こうすることで、第2粘着性フィルム40に透明性を付与することができる。そして、第2粘着性フィルム40の全光線透過率を上記下限値以上とすることにより、本実施形態に係る第2粘着性フィルム40において基材層50側から放射線を照射する際に、粘着性樹脂層70へより効果的に放射線を照射することができ、放射線照射効率を向上させることができる。なお、第2粘着性フィルム40の全光線透過率は、JIS K7105(1981)に準じて測定することが可能である。
【0050】
本実施形態に係る第2粘着性フィルム40全体の厚さは、機械的特性と取扱い性のバランスから、好ましくは25μm以上1100μm以下であり、より好ましくは100μm以上900μm以下であり、さらに好ましくは200μm以上800μm以下である。
【0051】
本実施形態に係る第2粘着性フィルム40は、各層の間に接着層(図示せず)を設けていてもよい。この接着層によれば、各層の間の接着性を向上させることができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る第2粘着性フィルム40の製造方法の一例について説明する。
まず、基材層50の一方の面に凹凸吸収性樹脂層60を押出しラミネート法によって形成する。次いで、凹凸吸収性樹脂層60上に粘着剤塗布液を塗布し乾燥させることによって、粘着性樹脂層70を形成し、第2粘着性フィルム40が得られる。
また、基材層50と凹凸吸収性樹脂層60とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層50とフィルム状の凹凸吸収性樹脂層60とをラミネート(積層)して形成してもよい。
【0053】
3.電子装置の製造方法
次に、本実施形態に係る電子装置の製造方法の各工程について説明する。
【0054】
(工程(A))
はじめに、回路形成面10Aを有し、かつ、個片化された電子部品10と、電子部品10の回路形成面10Aとは反対側の面に貼り付けられた第1粘着性フィルム20と、を備える構造体30を準備する。
【0055】
電子部品10としては回路形成面を有し、かつ、電磁波シールド性が求められる電子部品であれば特に限定されないが、例えば、半導体ウエハ、モールドウエハ、モールドパネル、モールドアレイパッケージ、半導体基板等が挙げられる。
また、半導体基板としては、例えば、シリコン基板、サファイア基板、ゲルマニウム基板、ゲルマニウム-ヒ素基板、ガリウム-リン基板、ガリウム-ヒ素-アルミニウム基板、ガリウム-ヒ素基板、タンタル酸リチウム基板等が挙げられる。
【0056】
また、電子部品10はどのような用途の電子部品であってもよいが、例えば、ロジック用(例えば、通信用、高周波信号処理用等)、メモリ用、センサー用、電源用の電子部品等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0057】
電子部品10の回路形成面10Aは、例えば、電極10Bを有することにより、凹凸面となっている。
また、電極10Bは、電子装置を実装面に実装する際に、実装面に形成された電極に対して接合されて、電子装置と実装面(プリント基板等の実装面)との間の電気的接続を形成するものである。
電極10Bとしては、例えば、ボールバンプ、印刷バンプ、スタッドバンプ、めっきバンプ、ピラーバンプ等のバンプ電極が挙げられる。すなわち、電極10Bは、通常凸電極である。これらのバンプ電極は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、バンプ電極を構成する金属種は特に限定されず、例えば、銀、金、銅、錫、鉛、ビスマス及びこれらの合金等が挙げられる。これらの金属種は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0058】
このような構造体60は、例えば、個片化前の電子部品に対して、ダイシング工程をおこない、さらに必要に応じてエキスパンド工程をおこなうことによって得ることができる。また、必要に応じて、個片化前の電子部品に対してバックグラインド工程をおこなってもよい。
以下、構造体60の製造方法について説明する。
【0059】
バックグラインド工程を行う場合、回路形成面10A側にバックグラインドテープを貼り付けた状態で、電子部品10の回路形成面10Aとは反対側の面(以下、裏面とも呼ぶ。)をバックグラインドする。バックグラインドテープとしては特に限定されず、公知のバックグラインドテープを用いることができる。
ここで、バックグラインドするとは、電子部品10を割ったり、破損したりすることなく、所定の厚みまで薄化加工することを意味する。
電子部品10のバックグラインドは、公知の方法で行うことができる。例えば、研削機のチャックテーブル等に構造体60を固定し、電子部品10の裏面(回路非形成面)を研削する方法が挙げられる。
【0060】
ここで、電子部品10をバックグラインドする前に、電子部品10に対して、ハーフカットダイシングや、ステルスダイシングをおこなってもよい。この場合、電子部品10をバックグラインドすることによって、個片化前の電子部品10を個片化することができる。
本実施形態において、ハーフダイシングは、切断にいたらないよう電子部品10の深さ方向の途中までダイシングブレードにより切り込みを入れる操作である。例えば、電子部品10の厚み未満に切れ込みを入れる。
このハーフダイシングでは電子部品10が複数に分断されるまでには至らない。電子部品10をバックグラインドする工程あるいは第1粘着性フィルム20における電子部品10が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させる工程において、電子部品10が分断されて複数の分断された電子部品10が得られる。
本実施形態において、ステルスダイシングは、レーザー光やプラズマを照射することにより、電子部品10(例えば、半導体基板)に対し、電子部品10の切断までには至らない変質領域を設ける操作である。ステルスダイシングによれば、予め貼り付けられた第1粘着性フィルム20越しに電子部品10をダイシングすることができるため好ましい。
このステルスダイシングでは電子部品10が変質・脆化されるに留まり、電子部品10が複数に分断されるまでには至らない。電子部品10をバックグラインドする工程あるいは第1粘着性フィルム20における電子部品10が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させる工程において、電子部品10が分断されて複数の分断された電子部品10が得られる。
【0061】
裏面研削方式としては特に限定されないが、例えば、スルーフィード方式、インフィード方式等の公知の研削方式を採用することができる。それぞれ研削は、水を電子部品10と砥石にかけて冷却しながら行うことができる。
【0062】
次いで、電子部品10の回路形成面10Aとは反対側の面にダイシングテープ(本実施形態では、ダイシングテープは第1粘着性フィルム20である)を貼り付けるとともに、回路形成面10A側に貼ったバックグラインドテープを剥がす。ここで、バックグラインド工程をおこなっていない場合は、バックグラインドテープを剥がす操作はなく、電子部品10の回路形成面10Aとは反対側の面にダイシングテープ(本実施形態では、ダイシングテープは第1粘着性フィルム20である)を貼り付ける操作のみをおこなう。
次いで、電子部品10をバックグラインドする前に電子部品10に対して、ハーフカットダイシングや、ステルスダイシングをおこなっていない場合は、バックグラインドを行った電子部品10をフルダイシングする。電子部品10に対してバックグラインド工程をおこなっていない場合は、バックグラインドを行っていない電子部品10をフルダイシングする。これにより、個片化前の電子部品10を個片化することができる。電子部品10のダイシングは、公知の方法で行うことができる。
本実施形態において、フルカットダイシングは、電子部品10に対してこの電子部品10の厚さと同じ深さの切れ込みを設けることによって電子部品10を分断し、複数の分断された電子部品10を得る操作をいう。
上記ダイシングは、ダイシングブレード(ダイシングソー)、レーザー光等を用いて公知の条件で行うことができる。
【0063】
次いで、必要に応じて、第1粘着性フィルム20における電子部品10が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する電子部品10間の間隔を拡大させる工程をおこなってもよい。
こうすることにより、隣接する電子部品10間の間隔が拡大するため、工程(D)において、電子部品10における回路形成面10Aに対向する対向面と回路形成面10Aとを繋ぐ側面に対して電磁波シールド層80を形成し易くなる。
【0064】
(工程(B))
次いで、電子部品10の回路形成面10Aに第2粘着性フィルム40を貼り付ける。
電子部品10の回路形成面10Aへの第2粘着性フィルム40の貼り付けは、公知の方法で行うことができる。
【0065】
(工程(C))
次いで、工程(B)の後に、構造体30から第1粘着性フィルム20を剥離する。この工程(B)をおこなうことで、工程(D)において、電子部品10における回路形成面10Aに対向する対向面に対して、電磁波シールド層80を形成することができる。
電子部品10と第1粘着性フィルム20との剥離は、公知の方法で行うことができる。
【0066】
(工程(D))
次に、第2粘着性フィルム40に貼り付けられた状態で、個片化された電子部品10に対して電磁波シールド層80を形成する。
工程(D)では、例えば、図2(D)に示すように電子部品10における回路形成面10Aに対向する対向面および回路形成面10Aと対向面とを繋ぐ側面に対して電磁波シールド層80を形成する。
【0067】
電子部品10に対して電磁波シールド層80を形成する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スパッタリング法、蒸着法、スプレーコーティング法、電解メッキ法および無電解メッキ法等が挙げられる。
【0068】
スパッタリング法としては、例えば、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、反応性スパッタリング法等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0069】
蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
真空蒸着法としては、例えば、分子線エピタキシー法(MBE法)、物理気相成長法(PVD法)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
CVD法としては、例えば、熱CVD法、触媒CVD法、光CVD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、エピタキシャルCVD法、アトミックレイヤーCVD法、有機金属CVD法、クロライドCVD法等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの各種の乾式成膜法のなかでも、負荷温度を比較的低く抑えることができるという観点では、マグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD等が好ましい。
【0070】
電磁波シールド層80を構成する材料は導電性であることが好ましい。具体的には、20℃における電気抵抗率が10000μΩ・cm以下の導電性を有することが好ましい。この電気抵抗率は、200μΩ・cm以下がより好ましく、100μΩ・cm以下が特に好ましい。
電磁波シールド層80を構成する導電性成分は特に限定されないが、金属が好ましく、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、W、Re、Ir、Pt、Au、Bi等の金属、これらの金属から選ばれる2種以上の金属を含んだ合金、酸化物(ITO(In-SnO)、ATO(SnO-Sb)、FTO(SnO-F)等)等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Al及びFeのうちの1種又は2種以上を含む金属膜、ITO膜、ATO膜が好ましい。
【0071】
電磁波シールド層80の膜厚は、シールド特性を発揮することができればよく、特に限定されないが、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。一方、最薄膜厚は特に限定されないが、0.5μm以上であることが好ましい。
【0072】
(工程(E))
前述した工程(D)において電磁波シールド層80を形成する際に、スパッタリング法や蒸着法により、凹凸吸収性樹脂層60が高温に加温されることがある。また電解メッキ法や無電解メッキ法においても、電磁波シールド層80をアニーリングする後工程によって、やはり凹凸吸収性樹脂層60が高温に曝されることがある。したがって、本実施形態に係る電子装置の製造方法において、工程(D)の前に、凹凸吸収性樹脂層60を架橋させることで、凹凸吸収性樹脂層60の耐熱性を向上させる工程(E)をさらに含むことが好ましい。これにより、工程(D)において第2粘着性フィルム40が高温に曝されても第2粘着性フィルム40の変形や溶融をより一層抑制することができる。工程(E)をおこなうタイミングは工程(B)と工程(D)との間であれば特に限定されず、どのタイミングでおこなってもよい。
【0073】
凹凸吸収性樹脂層60の架橋方法としては架橋性樹脂を架橋できる方法であれば特に限定されないが、ラジカル重合開始剤による架橋;硫黄や硫黄系化合物による架橋;紫外線や電子線、γ線等の放射線による架橋等の架橋方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤による架橋は、架橋性樹脂の架橋に用いられているラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤およびこれらを併用することができる。
【0074】
硫黄や硫黄系化合物を用いて凹凸吸収性樹脂層60を架橋する場合には、凹凸吸収性樹脂層60に加硫促進剤、加硫促進助剤等を配合して架橋をおこなってもよい。
また、いずれの架橋方法においても凹凸吸収性樹脂層60に架橋助剤を配合して凹凸吸収性樹脂層60の架橋をおこなってもよい。
【0075】
(工程(F))
また、本実施形態に係る電子装置の製造方法において、工程(D)の後に電子部品10と第2粘着性フィルム40とを剥離する工程(F)をさらにおこなってもよい。この工程(F)をおこなうことで、第2粘着性フィルム40から電子部品10を剥離することができる。
電子部品10と第2粘着性フィルム40との剥離は、公知の方法で行うことができる。
【0076】
工程(F)では、第2粘着性フィルム40における電子部品10が貼り付けられた領域をフィルムの面内方向に拡張させて、隣接する電子部品10間の間隔を拡大させた状態で、第2粘着性フィルム40から電子部品10を剥離することが好ましい。
こうすることにより、隣接する電子部品10間の間隔が拡大するため、第2粘着性フィルム40から電子部品10を剥離し易くなる。さらに、粘着性樹脂層70の面内方向の拡張によって生じる、電子部品10と粘着性樹脂層70とのずり応力により、電子部品10と粘着性樹脂層70との粘着力が低下するため、第2粘着性フィルム40から電子部品10を剥離し易くなる。
【0077】
(工程(G))
本実施形態に係る電子装置の製造方法において、工程(F)の前に粘着性樹脂層70に対して放射線を照射し、粘着性樹脂層70を架橋させることで、電子部品10に対する粘着性樹脂層70の粘着力を低下させる工程(G)をさらにおこなってもよい。工程(G)をおこなうタイミングは工程(B)と工程(F)との間であれば特に限定されず、どのタイミングでおこなってもよい。
工程(G)をおこなうことで、粘着性樹脂層70から電子部品10を容易に剥離し易くなる。また、粘着性樹脂層70を構成する粘着成分により電子部品10の表面が汚染されることを抑制することができる。
放射線は、例えば、第2粘着性フィルム40の粘着性樹脂層70側の面とは反対側の面から照射される。
【0078】
(その他の工程)
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、上記以外のその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、電子装置の製造方法において公知の工程を用いることができる。
例えば、バックグラインド工程の後に、研削面(回路非形成面)に保護フィルムを張り付けてから、フィルムを硬化し、裏面保護層を形成させてもよい。
【0079】
また、工程(F)を行った後、得られた電子部品10を実装基板(プリント基板等)に実装する工程や、ワイヤボンディング工程、封止工程等の電子部品の製造工程において一般的におこなわれている任意の工程等をさらに行ってもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0081】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
10 電子部品
10A 回路形成面
10B 電極
20 第1粘着性フィルム
30 構造体
40 第2粘着性フィルム
50 基材層
60 凹凸吸収性樹脂層
70 粘着性樹脂層
80 電磁波シールド層
100 電子部品
100A 回路形成面
110 バックグラインドテープ
120 ダイシングテープ
130 回路形成面保護用テープ
140 電磁波シールド層
図1
図2
図3