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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/158 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
E04D13/158
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019031978
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020133351
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】前川 敏晴
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05031374(US,A)
【文献】特開平09-317090(JP,A)
【文献】米国特許第04619100(US,A)
【文献】特開2006-183294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00-15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地材と、
前記屋根下地材に支持される金属屋根材と、
前記金属屋根材と鉛直方向で部分的に重なるように配置され、前記屋根下地材に支持されている端部金物と、
前記金属屋根材及び前記端部金物が鉛直方向に重なって構成される積重部で、前記金属屋根材と前記端部金物との間に位置する第1止水部材と、
前記積重部の位置で、前記金属屋根材及び前記端部金物を貫いて前記屋根下地材に締結されており、前記金属屋根材と前記端部金物との間で前記第1止水部材を挟み込む締結部材と、
前記積重部の鉛直方向上方に配置される押さえ部材と、
前記積重部と前記押さえ部材との間に位置する第2止水部材と、を備え、
前記押さえ部材は、前記積重部から鉛直方向上方に突出するように配置されており、前記金属屋根材の上面を流れる水と接触する側面を備え、
前記締結部材は、前記積重部の位置で、前記押さえ部材の上面から前記押さえ部材及び前記第2止水部材を貫いて前記屋根下地材に締結されており、前記積重部と前記押さえ部材との間で前記第2止水部材を挟み込んでいる、屋根構造。
【請求項2】
前記締結部材は、前記積重部の位置で、前記第1止水部材を貫いて前記屋根下地材に締結されている、請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記押さえ部材の鉛直方向上方を覆うカバー部材を備える、請求項1又は2に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記屋根下地材と前記金属屋根材との間、及び、前記屋根下地材と前記端部金物との間、に介在する防水シート部材を備える、請求項1乃至のいずれか1つに記載の屋根構造。
【請求項5】
前記金属屋根材は、前記積重部において、前記端部金物の鉛直方向上方に重なっている、請求項1乃至のいずれか1つに記載の屋根構造。
【請求項6】
前記金属屋根材は、前記積重部において、前記端部金物の鉛直方向下方に重なっている、請求項1乃至のいずれか1つに記載の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属屋根のケラバ側の端部の雨仕舞構造として、ケラバ唐草などの端部金物を用いる構成が知られている。特許文献1には、この種の雨仕舞構造が開示されている。特許文献1の雨仕舞構造は、屋根下地材と、山部と谷部とが連設された角波状の金属屋根材と、止水材が設けられたけらば包みと、金属屋根材の山部と屋根下地材との間に配置される固定具と、この固定具に固定され金属屋根材とけらば包みとの間に配置される内カバーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-237973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の雨仕舞構造を有する屋根構造は複雑であり、施工性に関して依然として改善の余地がある。
【0005】
本発明は、屋根端部の雨仕舞の施工性を向上させることが可能な屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての屋根構造は、屋根下地材と、前記屋根下地材に支持される金属屋根材と、前記金属屋根材と鉛直方向で部分的に重なるように配置され、前記屋根下地材に支持されている端部金物と、前記金属屋根材及び前記端部金物が鉛直方向に重なって構成される積重部で、前記金属屋根材と前記端部金物との間に位置する止水部材と、前記積重部の位置で、前記金属屋根材及び前記端部金物を貫いて前記屋根下地材に締結されており、前記金属屋根材と前記端部金物との間で前記止水部材を挟み込む締結部材と、を備える。
【0007】
本発明の1つの実施形態として、前記締結部材は、前記積重部の位置で、前記止水部材を貫いて前記屋根下地材に締結されている。
【0008】
本発明の1つの実施形態としての屋根構造は、前記止水部材を第1止水部材とした場合に、前記積重部の鉛直方向上方に配置される押さえ部材と、前記積重部と前記押さえ部材との間に位置する第2止水部材と、を備え、前記締結部材は、前記積重部の位置で、前記押さえ部材及び前記第2止水部材を貫いて前記屋根下地材に締結されており、前記積重部と前記押さえ部材との間で前記第2止水部材を挟み込んでいる。
【0009】
本発明の1つの実施形態としての屋根構造は、前記押さえ部材の鉛直方向上方を覆うカバー部材を備える。
【0010】
本発明の1つの実施形態としての屋根構造は、前記屋根下地材と前記金属屋根材との間、及び、前記屋根下地材と前記端部金物との間、に介在する防水シート部材を備える。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記金属屋根材は、前記積重部において、前記端部金物の鉛直方向上方に重なっている。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、前記金属屋根材は、前記積重部において、前記端部金物の鉛直方向下方に重なっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、屋根端部の雨仕舞の施工性を向上させることが可能な屋根構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としての屋根構造を備える建物を示す図である。
図2図1のI-I断面図である。
図3図2に示す屋根構造の第1の変形例としての屋根構造を示す断面図である。
図4図2に示す屋根構造の第2の変形例としての屋根構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る屋根構造の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。また、本明細書において、特に記載がない限り、「上」とは鉛直方向の上側を意味し、「下」とは鉛直方向の下側を意味する。
【0016】
図1は、本発明に係る屋根構造の一実施形態としての屋根構造1を備える建物100を示す図である。まず、本発明に係る屋根構造を適用可能な建物の一例としての建物100の概略について説明する。
【0017】
建物100は、例えば、鉄骨造の骨組みを有する2階建ての住宅とすることができる。また建物100は、例えば、地盤に固定された基礎構造体と、当該基礎構造体上に固定される上部構造体と、で構成される。
【0018】
基礎構造体は、上部構造体の下方に位置し、上部構造体を支持するものであり、例えば、鉄筋コンクリート造の断面T字状の布基礎とすることができる。上部構造体は、複数の柱と、柱間に架設された複数の梁とで構成される架構と、この架構の外周側に配置される外周壁部101と、架構の梁に支持される各階の床部と、架構の上方を覆う屋根部102と、を備える。
【0019】
外周壁部101は、外装材としての外壁パネル101aを備える。また、外周壁部101は、外壁パネル101aの屋内側に、断熱層を構成する断熱材及び内装材を備える。
【0020】
外壁パネル101aとしては、例えば、軽量気泡コンクリート(以下、「ALC」と記載する。「ALC」とは「autoclaved light weight concrete」の略である。)のパネル、金属系や窯業系のサイディング、押出成形セメント板、木質系パネルなどを用いることができる。この外壁パネル101aを架構の外周部の周囲に連接することにより、外周壁部101の外皮層を形成することができる。
【0021】
また、断熱材としては、例えば、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂系の材料からなるパネル状の断熱材の他、ロックウール等の繊維系の断熱材を用いることもできる。この断熱材を外壁パネル101aの屋内側に、外壁パネル101aの内面に沿って配置することにより、外周壁部101の断熱層を形成することができる。内装材としては、例えば、石膏ボードを用いることができ、内装材を断熱材の屋内側に連接することにより、外周壁部101の内皮層を形成することができる。
【0022】
床部は、建物の層間に位置する。床部は床スラブ材を含む。床スラブ材は、架構の梁間に架設され、梁により直接的又は間接的に支持される。床スラブ材としては、例えば、ALCパネルを用いることできるが、折板、押出成形セメント板、木質パネル材などの別の部材を用いてもよい。床部は、床スラブ材に加えて、例えば、床スラブ材に対して直接的又は間接的に取り付けられる、下階の天井面を構成する天井内装材や、床スラブ材上に積層された、上階の床面を構成するフローリング等の床内装材など、を含む構成であってもよい。
【0023】
屋根部102は、大棟102aを挟む両側に勾配屋根面102bを有する切妻屋根である。但し、屋根部102の形状は、切妻屋根に限られず、片流れ屋根等の他の形状であってもよい。
【0024】
以下、本実施形態の屋根部102の屋根構造1について詳細に説明する。図2は、屋根部102の屋根構造1の断面図である。より具体的に、図2に示す屋根構造1の断面は、図1に示す勾配屋根面102bの水上側から水下側に向かう勾配方向Aと直交するI-I線での断面である。
【0025】
図2に示すように、屋根構造1は、屋根下地材2と、金属屋根材3と、端部金物4と、第1止水部材5と、締結部材6と、押さえ部材7と、第2止水部材8と、防水シート部材9と、カバー部材10と、を備える。
【0026】
屋根下地材2は、金属屋根材3、端部金物4、第1止水部材5、締結部材6、押さえ部材7、第2止水部材8、防水シート部材9及びカバー部材10を支持する。屋根下地材2は、屋根部102の鉄骨下地材に取り付けられて支持されている。屋根下地材2は、例えば野地板により構成される。鉄骨下地材は、屋根下地材2が取り付けられ、屋根下地材2を支持するものであれば特に限定されない。鉄骨下地材は、例えば、勾配方向Aに延在し、勾配方向Aと直交する方向Bに所定間隔を隔てて複数配置されている長尺な傾斜材と、勾配方向Aと直交する方向Bに延在し、勾配方向Aに所定間隔を隔てて複数配置されている長尺な横材と、で構成することができる。
【0027】
金属屋根材3は、上述したように、屋根下地材2に支持される。金属屋根材3は、例えば、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)(登録商標)、銅板、アルミニウム板、ステンレス鋼板等によって形成することができる。
【0028】
本実施形態の金属屋根材3は、端部屋根材3aと、中央屋根材3bと、の2種類を含む。屋根下地材2上には、端部屋根材3a及び中央屋根材3bが敷設される。端部屋根材3aは、屋根端部に配置される屋根材であり、中央屋根材3bは、屋根端部以外に配置される屋根材である。まず、端部屋根材3aについて説明する。
【0029】
図2に示すように、端部屋根材3aは、矩形板状の本体部36と、この本体部36の外縁部のうち直線状の一辺部36aに連続する下ハゼ部33と、を備える。
【0030】
本体部36は、後述する端部金物4と鉛直方向に重ねられる部分である。
【0031】
下ハゼ部33は、本体部36の一辺部36aから立ち上がる第1下ハゼ傾斜側板33aと、この第1下ハゼ傾斜側板33aの上端に係止顎部35aを介してつながり、屋根中央側に隣接して配置される中央屋根材3bの後述する上ハゼ部32の内部空間に内嵌可能な下ハゼ頭部33bと、この下ハゼ頭部33bに係止顎部35bを介して垂下し、第1下ハゼ傾斜側板33aとの間で下方に向かって幅が拡がる下開き開口を区画する第2下ハゼ傾斜側板33cと、この第2下ハゼ傾斜側板33cの下端と連続し、本体部36と略平行に延在する固定板部33dと、により構成されている。
【0032】
固定板部33dは、ビス等の締結部材6により、屋根下地材2に締結される。
【0033】
次に、中央屋根材3bについて説明する。図2に示すように、中央屋根材3bは、矩形板状の本体部31と、この本体部31の対向する外縁部の一方側に連続する上ハゼ部32と、本体部31の対向する外縁部の他方側に連続する下ハゼ部33と、を備える。図2では、中央屋根材3bの下ハゼ部33が図示されていないが、その構成は、上述の端部屋根材3aの下ハゼ部33と同様である。
【0034】
上ハゼ部32は、矩形板状の本体部31の外縁部のうち直線状に延在する第1辺部31aに沿って設けられている。また、下ハゼ部33は、矩形板状の本体部31の外縁部のうち、上ハゼ部32が設けられている第1辺部31aと対向し略平行な直線状の第2辺部(端部屋根材3aの一辺部36aと同じ)に沿って設けられている。
【0035】
本実施形態の端部屋根材3a及び中央屋根材3bは、上述の上ハゼ部32及び下ハゼ部33の延在方向が勾配方向Aとなるような姿勢で、上述の屋根下地材2に取り付けられる。つまり、本実施形態の金属屋根材3は縦葺き用の屋根材である。
【0036】
図2に示すように、上ハゼ部32は、本体部31の第1辺部31aから立ち上がる第1上ハゼ傾斜側板32aと、この第1上ハゼ傾斜側板32aの上端に係止顎部34aを介してつながり、屋根端部側に隣接して配置される端部屋根材3aの下ハゼ部33を内嵌可能な内部空間を区画する上ハゼ頭部32bと、この上ハゼ頭部32bに係止顎部34bを介して垂下し、第1上ハゼ傾斜側板32aとの間で下方に向かって幅が拡がる下開き開口を区画する第2上ハゼ傾斜側板32cと、で構成されている。
【0037】
上述したように、中央屋根材3bの下ハゼ部33は、端部屋根材3aの下ハゼ部33と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
中央屋根材3bの上ハゼ部32の一方の係止顎部34a及び他方の係止顎部34bは、対向して配置されている。そして、中央屋根材3bの上ハゼ部32において、一方の係止顎部34aは、他方の係止顎部34bに向かって突出している。また、中央屋根材3bの上ハゼ部32において、他方の係止顎部34bは、一方の係止顎部34aに向かって突出している。つまり、中央屋根材3bの上ハゼ部32には、一方の係止顎部34a及び他方の係止顎部34bにより、括れ部が形成されている。
【0039】
端部屋根材3a及び中央屋根材3bの下ハゼ部33の一方の係止顎部35a及び他方の係止顎部35bについても、中央屋根材3bの上ハゼ部32の一方の係止顎部34a及び他方の係止顎部34bと同様の構成を有する。具体的に、端部屋根材3a及び中央屋根材3bの下ハゼ部33において、一方の係止顎部35a及び他方の係止顎部35bは、対向して配置されている。そして、端部屋根材3a及び中央屋根材3bの下ハゼ部33において、一方の係止顎部35aは、他方の係止顎部35bに向かって突出している。また、端部屋根材3a及び中央屋根材3bの下ハゼ部33において、他方の係止顎部35bは、一方の係止顎部35aに向かって突出している。つまり、端部屋根材3a及び中央屋根材3bそれぞれの下ハゼ部33においても、一方の係止顎部35a及び他方の係止顎部35bにより、括れ部が形成されている。
【0040】
図2に示すように、端部屋根材3aの下ハゼ部33は、屋根中央側で隣接する中央屋根材3bの上ハゼ部32に嵌合する。これにより、端部屋根材3aと中央屋根材3bとが連結される。
【0041】
また、中央屋根材3bは、勾配方向Aと直交する方向Bに直列に複数連結される。その際に、隣接する2つの中央屋根材3bは、一方の中央屋根材3bの上ハゼ部32と他方の中央屋根材3bの下ハゼ部33とを嵌合することにより、連結される。
【0042】
このように、上ハゼ部32及び下ハゼ部33を嵌合状態にすることで、端部屋根材3aと中央屋根材3bとが連結される。また、上ハゼ部32及び下ハゼ部33を嵌合状態にすることで、中央屋根材3b同士が連結される。
【0043】
中央屋根材3bの上ハゼ部32の上ハゼ頭部32bの収容空間に、隣接して配置される端部屋根材3a又は別の中央屋根材3bの下ハゼ部33の下ハゼ頭部33bが収容されると、上ハゼ部32の係止顎部34a、34bと、下ハゼ部33の係止顎部35a、35bと、が係合することで、引き抜けが抑制される。そのため、本実施形態の上ハゼ部32及び下ハゼ部33の嵌合状態は保持され易い。つまり、端部屋根材3aと中央屋根材3bとの連結状態、及び、中央屋根材3b同士の連結状態、が外力等により解除されることを抑制できる。
【0044】
なお、本実施形態の金属屋根材3は、上述の端部屋根材3a及び中央屋根材3bの異なる形状を有する2種類で構成されているが、別の形状の屋根材を含む構成としてもよい。
【0045】
端部金物4は、上述したように、屋根下地材2に支持されている。端部金物4は、金属屋根材3と鉛直方向で部分的に重なるように配置されている。詳細は後述するが、本実施形態の端部金物4は、金属屋根材3のうち端部屋根材3aと鉛直方向で部分的に重なるように配置されている。本実施形態の端部金物4は、勾配屋根面102bのケラバ端の雨仕舞のために配置されるケラバ唐草であるが、屋根端部において雨仕舞のために用いられる金物であれば、その構成は特に限定されない。
【0046】
端部金物4は、例えば、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)、銅板、アルミニウム板、ステンレス鋼板等によって形成することができる。
【0047】
本実施形態の端部金物4は、屋根下地材2の上面を覆う上面カバー板部41と、この上面カバー板部41の端部で連続し、屋根端部で屋根下地材2の側面を覆うように上面カバー板部41から下方に垂下する側面カバー板部42と、この側面カバー板部42の下端から屋根下地材2の下面側に折り返され、上方に向かって延在する折返し板部43と、備える。
【0048】
上面カバー板部41は、金属屋根材3の端部屋根材3aのうち本体部36と鉛直方向で重なるように配置されている。つまり、本実施形態の端部金物4は、上面カバー板部41が本体部36と鉛直方向で重なるように配置されることで、金属屋根材3と鉛直方向で部分的に重なる。つまり、本実施形態では、金属屋根材3及び端部金物4が鉛直方向に重なって構成される積重部Xが、本体部36及び上面カバー板部41により形成されている。
【0049】
図2に示すように、本実施形態の上面カバー板部41は、上述の積重部Xよりも屋根中央側の、端部屋根材3aの本体部36に覆われる位置で、ビス等の締結部材6により屋根下地材2に締結されている。また、上面カバー板部41は、屋根中央側の端部に上方に折り返された折返し端部41aを備える。
【0050】
本実施形態において、金属屋根材3は、積重部Xにおいて、端部金物4の上方に重なっている。つまり、金属屋根材3の本体部36が、端部金物4の上面カバー板部41の上方に重なっている。しかしながら、積重部Xにおける金属屋根材3及び端部金物4の上下の位置関係は特に限定されず、後述するように、端部金物4が、積重部Xにおいて、金属屋根材3の上方に重なる構成であってもよい(図4参照)。
【0051】
第1止水部材5は、金属屋根材3及び端部金物4が鉛直方向に重なる積重部Xで、金属屋根材3と端部金物4との間に位置する。第1止水部材5は、後述の締結部材6により、金属屋根材3と端部金物4との間に挟み込まれている。このように第1止水部材5を配置することで、積重部Xにおいて、金属屋根材3と端部金物4との間から雨水等の水が屋根部102内に侵入することを抑制できる。
【0052】
更に、このような第1止水部材5を配置する構成を採用することで、金属屋根材3及び端部金物4の施工性を高めることができる。つまり、金属屋根材3及び端部金物4の位置関係を、積重部Xの重なり度合いにより、施工時において簡単に調整できる。そのため、積重部Xの重なり度合いにより、金属屋根材3の寸法の個体差等により生じる寸法誤差を容易に吸収できる。これにより、端部金物4の雨仕舞のための部位(本実施形態では側面カバー板部42及び折返し板部43)を施工現場で加工(本実施形態では折り曲げ加工)しなくよい。
【0053】
第1止水部材5は、弾性変形可能な材料により形成されていることが好ましい。第1止水部材5としては、例えば、ブチルテープやエチレン・プロピレン・ジエンゴム等を使用することができるが、特に限定されず、例えば、ブチル系、シリコーン系、アクリル系のゴムやシーリング材としてもよい。
【0054】
締結部材6は、積重部Xの位置で、金属屋根材3及び端部金物4を貫いて屋根下地材2に締結されている。第1止水部材5は、この締結部材6により、金属屋根材3と端部金物4との間で挟み込まれている。このようにすることで、上述したように、積重部Xにおいて、金属屋根材3と端部金物4との間から雨水等の水が屋根部102内に侵入することを抑制できる。
【0055】
より具体的に、本実施形態の第1止水部材5は、締結部材6の作用により、金属屋根材3と端部金物4の間で圧縮された状態で挟み込まれている。特に、本実施形態の締結部材6は、積重部Xの位置で、金属屋根材3及び端部金物4に加えて、第1止水部材5をも貫いた状態で、屋根下地材2に締結されている。このようにすることで、第1止水部材5がより強固に挟み込まれ、第1止水部材5によるシール性能を高めることができる。
【0056】
更に、本実施形態の締結部材6は、積重部Xの位置で、後述の押さえ部材7及び第2止水部材8を貫いて、屋根下地材2に締結されている。つまり、本実施形態の締結部材6は、上述の金属屋根材3、端部金物4及び第1止水部材5に加えて、押さえ部材7及び第2止水部材8をも貫いた状態で、屋根下地材2に締結されている。このようにすることで、勾配屋根面102b(図1参照)を構成する金属屋根材3の上面を流れる雨水等の水が、締結部材6が挿通する締結孔を通じて屋根部102内に侵入することを抑制できる。この詳細は後述する。
【0057】
また更に、本実施形態では、締結部材6が、積重部Xの位置で、後述の防水シート部材9をも貫いて、屋根下地材2に締結されている。
【0058】
本実施形態の締結部材6は、外面にねじ山が形成されている棒状の雄ねじ部61と、この雄ねじ部61から径方向外側に突設されているフランジ部62と、を備える。より具体的に、本実施形態の締結部材6は金属製のビスであり、本実施形態のフランジ部62はビス頭部により構成されている。したがって、本実施形態の金属屋根材3、端部金物4、第1止水部材5、押さえ部材7、第2止水部材8及び防水シート部材9は、締結部材6のフランジ部62としてのビス頭部と、屋根下地材2と、の間に挟み込まれている。
【0059】
押さえ部材7は、積重部Xの上方に配置される。押さえ部材7は、耐水性能及び防錆性能の高い構成とされる。押さえ部材7は、例えば樹脂を主成分とする構成にすることができる。積重部Xと押さえ部材7との間に後述する第2止水部材8を介在させた状態で、上述の締結部材6を、押さえ部材7の上面から屋根下地材2に至るまで挿入し締結することにより、第2止水部材8を、積重部Xと押さえ部材7との間に挟み込ませることができる。このような押さえ部材7を設けることで、勾配屋根面102b(図1参照)を構成する金属屋根材3の上面を流れる雨水等の水は、押さえ部材7の側面に接触するが、押さえ部材7の上面には接触し難くなる。つまり、このような押さえ部材7を設け、この押さえ部材7の上面から締結部材6を挿入する。このようにすれば、金属屋根材3の上面を流れる雨水等が、押さえ部材7の上面から外部に露出する締結部材6の上面に接触し難い。そのため、本実施形態のように締結部材6を金属製のビスとしても、締結部材6が錆びることを抑制できる。更に、金属屋根材3の上面を流れる雨水等の水が締結部材6の締結孔に入り難くなる。そのため、締結孔から屋根部102内に水が侵入することをも抑制できる。また更に、第2止水部材8を設けることで、締結孔から屋根部102内に水が侵入することを、より抑制できる。この詳細は後述する。
【0060】
1つの押さえ部材7には、複数の締結部材6が挿通されている。換言すれば、押さえ部材7は、締結部材6が締結される複数の位置に跨るように配置されている。そのため、複数の締結部材6の間の位置においても、押さえ部材7と屋根下地材2との間で、上述の金属屋根材3、端部金物4、第1止水部材5、第2止水部材8及び防水シート部材9を挟み込むことができる。すなわち、このような押さえ部材7とすることで、締結部材6が設けられていない位置でのシール性を高めることができる。
【0061】
押さえ部材7は、特に限定されないが、耐水性能及び防錆性能の高い構成とされることが好ましい。一例として、本実施形態の押さえ部材7のように、樹脂を主成分とする構成とすることができる。なお、樹脂を主成分とする構成とは、樹脂の重量パーセントが50%以上の構成を意味する。したがって、押さえ部材7は、樹脂のみから構成(樹脂の重量パーセント100%)されてもよく、樹脂に木粉が混ぜ合わされた構成としてもよい。更に、押さえ部材7は、外表面のみを樹脂で被覆された構成であってもよい。樹脂の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。また更に、押さえ部材7は、防錆処理されたステンレス等の金属から構成されてもよい。このように、押さえ部材7は、耐水性能及び防錆性能の高い構成であれば、その形成材料は特に限定されない。したがって、押さえ部材7は、例えば、上述のような各種材料から形成される耐水性能及び防錆性能の高い、断面矩形状の角棒部材とすることができる。
【0062】
第2止水部材8は、積重部Xと押さえ部材7との間に位置する。上述したように、締結部材6は、積重部Xの位置で、上述の金属屋根材3、端部金物4、第1止水部材5、押さえ部材7、第2止水部材8及び防水シート部材9を貫いた状態で、屋根下地材2に締結されている。そのため、第2止水部材8は、この締結部材6により、積重部Xと押さえ部材7との間で挟み込まれている。第2止水部材8は、積重部Xと押さえ部材7との間で圧縮され、積重部Xと押さえ部材7との間のみならず、締結孔の位置で締結部材6の周囲にも密着した状態となる。このような第2止水部材8を設けることで、仮に締結部材6の締結孔から雨水等が侵入したとしても、第2止水部材8が締結部材6と密着しているため、水がそれ以上侵入することを抑制できる。つまり、締結孔から屋根部102内に水が侵入することを、より抑制できる。
【0063】
第2止水部材8は、第1止水部材5と同様、弾性変形可能な材料により形成されていることが好ましい。第2止水部材8としては、例えば、ブチルテープやエチレン・プロピレン・ジエンゴム等を使用することができるが、特に限定されず、例えば、ブチル系、シリコーン系、アクリル系のゴムやシーリング材としてもよい。なお、第1止水部材5と第2止水部材8とを同一の材料から構成してもよく、別の材料から構成してもよい。
【0064】
防水シート部材9は、屋根下地材2と金属屋根材3との間、及び、屋根下地材2と端部金物4との間、に介在させることができる。より具体的に、本実施形態の防水シート部材9は、屋根下地材2上に敷設されている。上述した金属屋根材3、端部金物4、第1止水部材5、締結部材6、押さえ部材7及び第2止水部材8は、防水シート部材9上に配置される。
【0065】
防水シート部材9は、防水性能を有する材料から構成されていればよく、例えば、アスファルトルーフィングを用いることができる。
【0066】
カバー部材10は、押さえ部材7の上方を覆うように配置される。このようなカバー部材10を設けることで、雨水が締結部材6の上面に降り注ぐことを抑制できる。そのため、本実施形態のように締結部材6を金属製としても、押さえ部材7の上面から露出する締結部材6が錆びることを抑制できる。また、締結部材6の締結孔から雨水が入ることについても抑制できる。更に、樹脂を含む押さえ部材7は、太陽光により劣化するおそれがあるが、カバー部材10を設けることで、押さえ部材7の太陽光による劣化を抑制できる。
【0067】
より具体的に、本実施形態のカバー部材10は、押さえ部材7の上方を覆う本体部10aと、この本体部10aの屋根中央側の端部から垂下し、押さえ部材7の側面の少なくとも一部を覆う第1側部10bと、本体部10aの屋根中央側とは反対側の端部から垂下し、押さえ部材7の側面全域及び屋根下地材2の側面の少なくとも一部を覆う第2側部10cと、を備える。また、本実施形態のカバー部材10は、締結部材6により押さえ部材7の上面に固定された支持部材11により支持されているが、支持部材11がなく、押さえ部材7に直接取り付けられるカバー部材としてもよい。
【0068】
カバー部材10は、例えば、各種の金属鋼板から構成される。但し、カバー部材10は、樹脂製としてもよい。
【0069】
次に、図2に示す屋根構造1の第1の変形例としての屋根構造1aについて説明する。図3は、図2と同様の位置での屋根構造1aの断面図である。
【0070】
図3に示す屋根構造1aは、図2に示す屋根構造1と比較して、第3止水部材12の有無で主に相違する。ここでは、図3に示す屋根構造1aのうち、図2に示す屋根構造1と相違する点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
【0071】
図3に示すように、屋根構造1aは第3止水部材12を備える。第3止水部材12は、屋根下地材2と端部金物4の間に介在している。より具体的に、図3に示す屋根構造1aでは、第3止水部材12が、屋根下地材2上の防水シート部材9と、端部金物4の上面カバー板部41と、の間に介在している。
【0072】
したがって、図3に示す締結部材6は、積重部Xの位置で、上方から下方に向かって、押さえ部材7、第2止水部材8、金属屋根材3の端部屋根材3a、第1止水部材5、端部金物4、第3止水部材12、防水シート部材9の順に貫いた状態で、屋根下地材2に締結されている。屋根下地材2と端部金物4の間に第3止水部材12を設けることで、屋根下地材2と端部金物4との間のシール性を高めることができる。また、締結部材6が、第1止水部材5及び第2止水部材8に加えて、第3止水部材12をも貫く構成とすることで、締結孔から屋根部102内に水が侵入することを、より一層抑制できる。
【0073】
なお、図3に示す端部金物4の上面カバー板部41は、図2に示す構成と異なり、積重部Xよりも屋根中央側で、ビス等の締結部材6により屋根下地材2に締結されていないが、端部屋根材3aの本体部36に覆われる位置で、締結部材6により締結される構成としてもよい。
【0074】
次に、図2に示す屋根構造1の第2の変形例としての屋根構造1bについて説明する。図4は、図2と同様の位置での屋根構造1bの断面図である。
【0075】
図4に示す屋根構造1bは、図2に示す屋根構造1と比較して、積重部Xの位置での金属屋根材3及び端部金物4の上下位置関係が主に相違する。ここでは、図4に示す屋根構造1bのうち、図2に示す屋根構造1と相違する点について主に説明し、共通する構成については説明を省略する。
【0076】
図4に示す屋根構造1bにおいて、金属屋根材3は、積重部Xにおいて、端部金物4の下方に重なっている。より具体的に、図4では、金属屋根材3のうち端部屋根材3aの本体部36が、端部金物4の上面カバー板部41の下方に重なっている。
【0077】
したがって、図4に示す締結部材6は、積重部Xの位置で、上方から下方に向かって、押さえ部材7、第2止水部材8、端部金物4、第1止水部材5、金属屋根材3の端部屋根材3a、防水シート部材9の順に貫いた状態で、屋根下地材2に締結されている。
【0078】
本発明に係る屋根構造は、上述した実施形態及び変形例に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。上述した実施形態及び変形例では、屋根端部としてのケラバ端に配置される構成について説明しているが、例えば、屋根端部としての軒端に配置される構成に本発明に係る屋根構造を適用してもよい。また、上述した実施形態及び変形例に示す金属屋根材3の上ハゼ部32及び下ハゼ部33の形状についても、特に限定されるものではなく、他の形状の上ハゼ部32及び下ハゼ部33としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は屋根構造に関する。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、1b:屋根構造
2:屋根下地材
3:金属屋根材
3a:端部屋根材
3b:中央屋根材
4:端部金物
5:第1止水部材
6:締結部材
7:押さえ部材
8:第2止水部材
9:防水シート部材
10:カバー部材
10a:本体部
10b:第1側部
10c:第2側部
11:支持部材
12:第3止水部材
31:本体部
31a:第1辺部
32:上ハゼ部
32a:第1上ハゼ傾斜側板
32b:上ハゼ頭部
32c:第2上ハゼ傾斜側板
33:下ハゼ部
33a:第1下ハゼ傾斜側板
33b:下ハゼ頭部
33c:第2下ハゼ傾斜側板
33d:固定板部
34a、34b:上ハゼ部の係止顎部
35a、35b:下ハゼ部の係止顎部
36:本体部
36a:一辺部
41:上面カバー板部
41a:折返し端部
42:側面カバー板部
43:折返し部
61:雄ねじ部
62:フランジ部
100:建物
101:外周壁部
101a:外壁パネル
102:屋根部
102a:大棟
102b:勾配屋根面
A:勾配方向
B:勾配方向と直交する方向
X:積重部
図1
図2
図3
図4