(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-24
(45)【発行日】2023-06-01
(54)【発明の名称】防止機器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230525BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20230525BHJP
G08B 29/12 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G08B17/00 K
G08B17/10 L
G08B29/12
(21)【出願番号】P 2019052563
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 英樹
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-052833(JP,A)
【文献】特開2018-067031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災又は防犯のために用いられる防止機器であって、複数種類の試験を行うことが可能な前記防止機器であって、
前記防止機器の外部の、所定の近接領域から入力される試験信号を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記試験信号に基づいて、前記防止機器の試験を行う試験手段と、を備え、
前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間に基づいて、前記複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した前記少なくとも1種類の試験を行
い、
前記検出手段は、複数設けられており、
前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間、及び複数の前記検出手段のうちの何れが前記試験信号を検出したかに基づいて、前記防止機器の試験を行う、
防止機器。
【請求項2】
前記試験手段は、前記検出手段が所定時間以上連続して前記試験信号を検出した場合に、前記防止機器の試験を行う、
請求項1に記載の防止機器。
【請求項3】
前記防止機器の外部に対して発光する発光手段と、
前記試験手段は、前記防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて前記発光手段を発光させることにより、前記防止機器での試験に関する状況を報知する、
請求項1又は2に記載の防止機器。
【請求項4】
前記試験手段は、前記防止機器が前記試験信号を受け付けたこと、前記防止機器で行われた試験の種類、又は、前記防止機器で行われた試験の結果を、前記防止機器での試験に関する状況として報知する、
請求項3に記載の防止機器。
【請求項5】
前記複数種類の試験は、少なくとも、前記防止機器の感度に関する試験、前記防止機器の監視領域での異常を前記防止機器が検出したことを示す信号を出力する機能に関する試験、又は、前記防止機器の障害に関する試験を含む、
請求項1から4の何れか一項に記載の防止機器。
【請求項6】
前記検出手段は、少なくとも磁気に基づく信号を前記試験信号として検出する、
請求項1から
5の何れか一項に記載の防止機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防止機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井等に設置されて火災を検出する感知器が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の感知器を含めて、一般的に、感知器については、当該感知器が正常に動作するか否かを確認するための試験が定期的に行われていた。そして、当該試験としては、例えば、試験用の冶具を用いて感知器に対して疑似的に発報信号を出力させる試験が行われていた。
【0005】
しかしながら、感知器については、発報信号を出力機能以外にも様々な機能が設けられているので、様々な試験を行うことが要望されていた。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、様々な試験を天井などの設置場所から取り外すことなく行うことができる防止機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防止機器は、防災又は防犯のために用いられる防止機器であって、前記複数種類の試験を行うことが可能な防止機器であって、前記防止機器の外部の、所定の近接領域から入力される試験信号を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記試験信号に基づいて、前記防止機器の試験を行う試験手段と、を備え、前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間に基づいて、前記複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した前記少なくとも1種類の試験を行い、前記検出手段は、複数設けられており、前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間、及び複数の前記検出手段のうちの何れが前記試験信号を検出したかに基づいて、前記防止機器の試験を行う。
【0008】
また、請求項2に記載の防止機器は、請求項1に記載の防止機器において、前記試験手段は、前記検出手段が所定時間以上連続して前記試験信号を検出した場合に、前記防止機器の試験を行う。
【0009】
また、請求項3に記載の防止機器は、請求項1又は2に記載の防止機器において、前記防止機器の外部に対して発光する発光手段と、前記試験手段は、前記防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて前記発光手段を発光させることにより、前記防止機器での試験に関する状況を報知する。
【0010】
また、請求項4に記載の防止機器は、請求項3に記載の防止機器において、前記試験手段は、前記試験信号を受け付けたこと、前記防止機器で行われた試験の種類、又は、前記防止機器で行われた試験の結果を、前記防止機器での試験に関する状況として報知する。
【0011】
また、請求項5に記載の防止機器は、請求項1から4のいずれか一項に記載の防止機器において、前記複数種類の試験は、少なくとも、前記防止機器の感度に関する試験、前記防止機器の監視領域での異常を前記防止機器が検出したことを示す信号を出力する機能に関する試験、又は、前記防止機器の障害に関する試験を含む。
【0013】
また、請求項6に記載の防止機器は、請求項1から5のいずれか一項に記載の防止機器において、前記検出手段は、少なくとも磁気に基づく信号を前記試験信号として検出する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の防止機器によれば、検出手段による試験信号の検出継続時間に基づいて、複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した少なくとも1種類の試験を行うことにより、例えば、様々な試験を行うことが可能となる。また、例えば、試験信号を出力する試験装置の試験冶具を、防止機器に対して近づけたり遠ざけたりするという単純な作業にて試験を選択することができるので、意図した試験を天井などの設置場所から取り外すことなく確実且つ容易に行うことが可能となる。
また、検出手段による試験信号の検出継続時間、及び複数の検出手段のうちの何れが試験信号を検出したかに基づいて、防止機器の試験を行うことにより、例えば、選択可能な試験の種類の個数を増大させることができる。
【0015】
請求項2に記載の防止機器によれば、所定時間以上連続して試験信号を検出した場合に試験を行うことにより、例えば、外乱等によってユーザの意図に反して試験が行われることを防止することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の防止機器によれば、防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて発光手段を発光させることにより、防止機器での試験に関する状況を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する状況を認識させることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の防止機器によれば、防止機器が試験信号を受け付けたこと、防止機器で行われた試験の種類、又は、防止機器で行われた試験の結果を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する様々な状況を認識させることが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の防止機器によれば、複数種類の試験は、少なくとも、防止機器の感度に関する試験、防止機器の監視領域での異常を防止機器が検出したことを示す信号を出力する機能に関する試験、又は、防止機器の障害に関する試験を含むことにより、例えば、防止機器の様々な機能の試験を行うことが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の防止機器によれば、少なくとも磁気に基づく信号を試験信号として検出することにより、例えば、電源等が不要で比較的安価で扱い易い磁石を備える試験冶具にて試験を行うことができるので、防止機器を試験するためのコストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態における感知器の試験を行っている場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る防止機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、防止機器に関するものである。
【0024】
「防止機器」とは、防災又は防犯のために用いられる機器であり、例えば、感知器、人体検出器、あるいは、感知器及び人体検出器以外の任意の装置を含む概念である。
【0025】
「感知器」とは、防災のために用いられる防災機器であり、また、監視領域の異常を検出する機器であり、具体的には、監視領域の検出対象を検出することにより、火災、又はガス漏れ等の異常を検出する機器であり、例えば、煙感知器、熱感知器、火災感知器、及びガス感知器、あるいは、これらの各感知器の機能を組み合わせたコンベンショナル感知器等を含む概念である。また、「感知器」とは、例えば、検出手段、及び試験手段を備え、任意で発光手段を備えるものである。
【0026】
「人体検出器」とは、防犯のために用いられる防犯機器であり、また、監視領域の異常を検出する機器であり、具体的には、監視領域への人の侵入又は監視領域内の人(例えば不審者等)の存在を検出する機器であり、例えば、人感センサ等を用いて構成することができる機器等を含む概念である。
【0027】
「監視領域」とは、防止機器による監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であり、例えば、建築物の部屋(例えば、1階の部屋A、1階の部屋B等)、廊下、階段等を含む概念である。また、「監視領域の異常」とは、監視領域の状態が通常とは異なっている状態であることであり、具体的には、火災発生、ガス漏れ、人(例えば不審者等)の侵入又は存在等を含む概念である。
【0028】
「検出手段」とは、防止機器の外部の、所定の近接領域から入力される試験信号を検出する手段であり、例えば、1個のみ設けられるもの、あるいは、複数個設けられるもの等を含む概念である。なお、「所定の近接領域」とは、例えば、防止機器の周囲の予め定められた領域であり、一例としては、防止機器外装から3cm以内の領域等を含む概念である。
【0029】
「試験信号」とは、防止機器の試験を行うための信号であり、例えば、磁気、光、音(つまり、音波又は振動)、圧力、又は静電気のうちの少なくとも1個に基づく信号等を含む概念である。
【0030】
「試験手段」とは、検出手段が検出した試験信号に基づいて、防止機器の試験を行う手段であり、具体的には、検出手段による前記試験信号の検出継続時間に基づいて、複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した少なくとも1種類の試験を行う手段である。また、「試験手段」とは、例えば、検出手段が所定時間以上連続して試験信号を検出した場合に、防止機器の試験を行う手段等を含む概念であり、また、防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて発光手段を発光させることにより、防止機器での試験に関する状況を報知する手段等を含む概念であり、また、検出手段による試験信号の検出継続時間、及び複数の検出手段のうちの何れが試験信号を検出したかに基づいて、防止機器の試験を行う手段等を含む概念である。
【0031】
「試験信号の検出継続時間」とは、例えば、試験信号を連続して検出し続けた時間、あるいは、試験信号を連続して検出し続けたものとみなす時間等を含む概念である。
【0032】
「試験」とは、防止機器の機能が正常であるか否かを検査する試験であり、例えば、感度試験、発報試験、及び障害試験等を含む概念である。「感度試験」とは、防止機器の異常を検出する感度を検査する試験であり、例えば、防止機器のゼロ点が正常であるか否かを検査する試験等を含む概念である。「ゼロ点」とは、例えば、火災が発生していない場合における防止機器である感知器による火災に関連する物理量の検出値に対応する概念である。「発報試験」とは、防止機器が異常を検出した場合の動作を検査する試験であり、例えば、想定通り発報信号を出力するか否かを検査する試験等を含む概念である。「障害試験」とは、防止機器自体の障害を検査する試験であり、例えば、防止機器の構成要素が正常に動作するか否か又は断線していないか否か等を検査する試験等を含む概念である。
【0033】
「試験に関する状況」とは、例えば、防止機器が試験信号を受け付けたこと、防止機器で行われた試験の種類、又は、防止機器で行われた試験の結果等を含む概念である。
【0034】
「発光手段」とは、防止機器の外部に対して発光する手段であり、例えば、任意の光源(一例としては、LED等)を有するもの等を含む概念である。「発光態様」とは、発光手段による発光のあり様であり、例えば、発光する色である発光色、及び発光するパターンである発光パターン等を含む概念である。
【0035】
そして、以下に示す実施の形態では、「防止機器」が感知器であり、また、「試験信号」が磁気に基づく信号である場合について説明する。
【0036】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0037】
(構成)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における感知器の試験を行っている場合の側面図であり、
図2は、感知器を示すブロック図である。なお、
図1において、感知器1の一部は実際には試験冶具22に隠れて見えない状態となっているが、便宜上、実線にて描かれている。
図2の感知器1は、防止機器であり、例えば、物理量検出部11、磁界検出部12、情報出力部13、記録部14、及び制御部15を備える。
【0038】
(構成-物理量検出部)
物理量検出部11は、異常である火災に関連する物理量を検出する物理量検出手段である。この物理量検出部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、検煙空間、当該検煙空間に入り込んだ煙の濃度を検出する煙検出手段を用いて構成することができる。なお、煙検出手段としては、少なくとも、LED等の発光部と、当該発光部からの光に基づく光を受光するフォトダイオード等の受光部とを用いて、散乱光式又は減光式のものとして構成することができる。
【0039】
(構成-磁界検出部)
磁界検出部12は、感知器1の外部の、所定の近接領域から入力される試験信号を検出する磁界検出手段である。この磁界検出部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図1に示す試験装置2の支持棒21の先端に設けられている試験冶具22の所定位置に、試験信号である磁気を出力するマグネット(例えば、永久磁石)が設けられていることとし、この試験冶具22が感知器1に近接された場合に当該マグネットから出力される試験信号である磁気によって発生する磁界を検出するように構成されており、また、ホールIC(検出手段)等を用いて構成することができる。なお、ここでは、例えば、磁界検出部12のホールICは、感知器1おける所定位置に1個のみ設けられていることとして説明する。
【0040】
(構成-情報出力部)
情報出力部13は、感知器1に関連する情報を出力する情報出力手段である。この情報出力部の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図1の表示灯131等を備えて構成することができる。表示灯131は、感知器1の外部に対して発光する発光手段であり、例えば、LED等の光源を用いて構成することができる。なお、ここでは、
図1の試験冶具22は貫通した中空部を有する筒形状となっているので、当該試験冶具22が感知器1に近接された場合でも、表示灯131は当該中空部を介して露出することになり、ユーザは表示灯131を視認することが可能となる。
【0041】
(構成-記録部)
図2に戻って、記録部14は、感知器1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、フラッシュメモリを用いて構成させている。ただし、フラッシュメモリに代えて任意の記録媒体を用いることができる。
【0042】
(構成-制御部)
制御部15は、感知器1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して感知器1にインストールされることで、制御部15の各部を実質的に構成する。
【0043】
制御部15は、機能概念的には、例えば、試験部151を備える。試験部151は、磁界検出部12のホールICが検出した試験信号に基づいて、感知器1の試験を行う試験手段であり、具体的には、磁界検出部12のホールICによる前験信号の検出継続時間に基づいて、複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した少なくとも1種類の試験を行う手段である。なお、この制御部15の各部により行われる処理については、後述する。
【0044】
(処理)
次に、このように構成される
図2の感知器1によって実行される試験処理について説明する。
図3は、試験処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「試験処理」とは、試験に関する処理であり、具体的には、感度試験又は発報試験を行う処理である。この試験処理を実行するタイミングは任意のタイミングであるが、例えば、感知器1の電源をオンした場合に起動されて実行するものとして、試験処理が起動されたところから説明する。
【0045】
図3のSA1において試験部151は、試験を行うか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、磁界検出部12のホールICの出力値を監視し、ホールICが所定レベル以上の磁界を所定時間(例えば、0.5秒等)以上検出したか否かを判定し、判定結果に基づいて判定する。そして、ホールICが所定レベル以上の磁界を所定時間以上検出していないものと判定した場合、所定時間以上連続して試験信号を検出したわけではないので、試験信号を受け付けていないものと判断し、試験を行わないものと判定した(SA1のNO)上で、試験を行うものと判定するまで、SA1を繰り返し実行する。また、ホールICが所定レベル以上の磁界を所定時間以上検出したものと判定した場合、所定時間以上連続して試験信号を検出したので、試験信号を受け付けたものと判断し、試験を行うものと判定した(SA1のYES)上で、SA2に移行する。
【0046】
ここでは、例えば、
図1に示すように、ユーザが試験装置2の試験冶具22を所定時間以上感知器1に近接させた場合、当該試験冶具22のマグネットから出力される磁気によって発生する所定レベル以上の磁界がホールICに所定時間以上印加されることになるので、試験信号を受け付けたものと判断し、試験を行うものと判定する。
【0047】
図3のSA2において試験部151は、感知器1が試験信号を受け付けたことを示す情報(試験に関する状況)を出力する。
図4は、表示灯の発光タイミングを示す図であり、(a)は試験を行わない通常時を示しており、また、(b)は感度試験を行う場合を示しており、また、(c)は発報試験を行う場合を示している。なお、
図4においては、(a)にて図示されているように、大小のパルスが1秒間隔の時間を示しており、大きなパルス(以下、大パルス)が発光するタイミングを示しており、この大パルス以外(つまり、小さなパルス(小パルス)及びパルスが図示されていない部分)は発光していないタイミングを示している。また、この表示灯131の発光については、従来と同様にして、制御部15によって制御される。例えば、
図4(a)に示す通常時には、表示灯131は、図示されている大パルスのタイミングで、緑色に発光することにより、3秒間隔で緑色に点滅していることとして、以下説明する。
【0048】
図3のSA2の処理について具体的には任意であるが、例えば、表示灯131の発光態様を、感知器1が試験信号を受け付けたことを示す発光態様に変更することにより、当該試験信号を受け付けたことを示す情報を出力する。詳細には、表示灯131を1秒間隔で5回点滅させる。ここでは、例えば、
図4(b)のタイミングT11に、ユーザが試験冶具22を感知器1に近接させて、SA1にて試験を行うものと判定した場合、この後の5個の大パルスのタイミングで、表示灯131を赤色で5回発光させることにより、当該表示灯131を赤色で5回点滅させる。この場合、ユーザは、表示灯131の発光色及び発光パターンを視認することにより、感知器1が試験信号を受け付けたことを把握することが可能となる。
【0049】
図3のSA3において試験部151は、試験を選択する。具体的には任意であるが、例えば、感知器1に感度試験及び発報試験を行う機能が備えられていることとて、何れかの試験を選択する。詳細には、磁界検出部12のホールICを監視し、試験信号を受け付けた時からホールICが磁界を検出し続けた時間を特定し、特定した時間が種別判定用時間未満である場合、感度試験を選択し、また、特定した時間が種別判定用時間以上である場合、発報試験を選択する。なお、ここでの「ホールICが磁界を検出し続けた時間」が「試験信号の検出継続時間」に相当する。ここで、「種別判定用時間」とは、試験を選択する基準となる時間であり、具体的には、ユーザが意図している試験を判定する基準となる時間であり、一例としては、
図4(b)に示す時間間隔T12に対応する9秒間等である。なお、ここでの「試験信号を受け付けた時」としては、例えば、
図4(b)に示すように、5個の大パルスのうちの最初の大パルスに対応するタイミング(つまり、表示灯131が赤色にて5回発光する場合の1回目の発光のタイミング)に対応するものとして以下説明する。
【0050】
ここでは、例えば、
図4(b)のタイミングT11に、ユーザが試験冶具22を感知器1に近接させた後、時間間隔T12の間のタイミングに当該試験冶具22を感知器1から遠ざけた場合、ホールICが磁界を検出し続けた時間が種別判定用時間未満となるので、感度試験を選択する。また、例えば、
図4(c)のタイミングT11に、ユーザが試験冶具22を感知器1に近接させた後、時間間隔T12の経過後のタイミングに当該試験冶具22を感知器1から遠ざけた場合、ホールICが磁界を検出し続けた時間が種別判定用時間以上となるので、発報試験を選択する。
【0051】
図3のSA4において試験部151は、試験を行う。具体的には任意であるが、例えば、SA3で選択した試験を行う。なお、ここで行う感度試験及び発報試験の具体的な内容は公知であるので、概要のみ説明する。
【0052】
詳細には、SA3で感度試験を選択した場合、感知器1のゼロ点を任意の手法で特定し、特定したゼロ点が規定範囲内であるか否かを判定し、判定結果を表示灯131を介して出力する。判定結果の出力手法は任意であるが、例えば、ゼロ点が規定範囲内である場合、正常である判定結果を出力するために、
図4(b)の時間間隔T12の後の大パルスのタイミングで表示灯131を緑色にて発光させる(つまり、
図4(a)通常時の発光に戻す)。一方、例えば、ゼロ点が規定範囲内でない場合、異常である判定結果を出力するために、
図4(b)の時間間隔T12の後の大パルスのタイミングで表示灯131を赤色にて発光させることにより、3秒間隔で赤色に点滅させる。
【0053】
また、SA4で発報試験を選択した場合、感知器1が火災を検出した場合と同様にして発報信号を出力する処理を行い、正常に発報信号を出力した場合、
図4(c)のタイミングT13の大パルスに示すタイミングで、表示灯131を赤色にて発光させる(つまり、表示灯131を赤色にて点灯させ続ける)。なお、この表示灯131の発光については、公知のリセット操作を行うまで持続されることになる。
【0054】
これらの場合、ユーザは、表示灯131の発光色及び発光パターンを視認することにより、感知器1で行われた試験の種類、及び当該試験の結果を把握することが可能となる。これにて、試験処理を終了する。
【0055】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、磁界検出部12のホールICによる試験信号の検出継続時間に基づいて、複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した少なくとも1種類の試験を行うことにより、例えば、様々な試験を行うことが可能となる。また、例えば、試験信号を出力する試験装置2の試験冶具22を、感知器1に対して近づけたり遠ざけたりするという単純な作業にて試験を選択することができるので、意図した試験を天井などの設置場所から取り外すことなく確実且つ容易に行うことが可能となる。
【0056】
また、所定時間以上連続して試験信号を検出した場合に試験を行うことにより、例えば、外乱等によってユーザの意図に反して試験が行われることを防止することが可能となる。
【0057】
また、感知器1での試験に関する状況に対応する発光態様にて表示灯131を発光させることにより、感知器1での試験に関する状況を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する状況を認識させることが可能となる。
【0058】
また、試験信号を受け付けたこと、感知器1で行われた試験の種類、又は、感知器1で行われた試験の結果を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する様々な状況を認識させることが可能となる。
【0059】
また、複数種類の試験は、少なくとも、感度試験、及び発報試験を含むことにより、例えば、感知器1の様々な機能の試験を行うことが可能となる。
【0060】
また、磁気に基づく信号を試験信号として検出することにより、例えば、電源等が不要で比較的安価で扱い易い磁石を備える試験冶具22にて試験を行うことができるので、感知器1を試験するためのコストを低減させることが可能となる。
【0061】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0063】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0064】
(試験について(その1))
また、上記実施の形態では、
図3のSA3にて感度試験又は発報試験を選択する場合について説明したがこれに限らない。例えば、障害試験を選択するように構成してもよい。
【0065】
(試験について(その2))
また、上記実施の形態で説明した各発光態様とは異なる発光態様にて表示灯131を発光させることにより、試験に関する状況を出力するように構成してもよい。
【0066】
(試験について(その3))
また、上記実施の形態では、
図3のSA3にて、磁界検出部12の1個のホールICが磁界を検出し続けた時間に基づいて、感知器1で行う試験を選択する場合について説明したが、これに限らない。例えば、磁界検出部12のホールICを複数個設けて、当該ホールICの磁界の検出感度、及び試験冶具22のマグネットの取り付け個数、位置又は磁界の強さを調整して、複数のホールICが相互に選択的に磁界を検出できるように構成し、磁界を検出したホールICに基づいて試験を選択するように構成してもよい。つまり、例えば、ホールICとして第1ホールIC、及び第2ホールICを設けた上で、第1ホールICのみが磁界を検出した場合に感度試験を選択して当該試験を行い、また、第2ホールICのみが磁界を検出した場合に発報試験を選択して当該試験を行い、また、第1及び第2ホールICが両方もと磁界を検出した場合に障害試験を選択して当該試験行うように構成してもよい。
【0067】
(試験について(その4))
また、実施の形態の技術(磁界を検出し続けた時間に基づいて試験を選択する技術)と「(試験について(その3))」の技術(磁界を検出したホールICに基づいて試験を選択する技術)とを組み合わせて、磁界を検出したホールIC、及び当該ホールICが磁界を検出し続けた時間に基づいて試験を選択し、当該試験を行うように構成してもよい。このように構成することにより、ホールICによる試験信号の検出継続時間、及び複数のホールICのうちの何れが試験信号を検出したかに基づいて、感知器1の試験を行うことにより、例えば、選択可能な試験の種類の個数を増大させることができる。
【0068】
(試験信号について)
また、上記実施の形態では、「試験信号」が磁気に基づく信号である場合について説明したが、これに限らない。例えば、
図2の試験冶具22に任意の構成要素を設けて、光、音(つまり、音波又は振動)、圧力、又は静電気を感知器1側に出力するように構成した上で、これらの光、音(つまり、音波又は振動)、圧力、又は静電気に基づく信号を試験信号として用いてもよい。なお、この場合、感知器1に対して、これらの光、音(つまり、音波又は振動)、圧力、又は静電気に基づく信号を検出する任意の構成要素を検出手段として設けてもよい。
【0069】
(特徴について)
また、上記実施の形態の構成、及び変形例の特徴を、任意に組み合わせてもよい。
【0070】
(付記)
付記1の防止機器は、防災又は防犯のために用いられる防止機器であって、複数種類の試験を行うことが可能な前記防止機器であって、前記防止機器の外部の、所定の近接領域から入力される試験信号を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記試験信号に基づいて、前記防止機器の試験を行う試験手段と、を備え、前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間に基づいて、前記複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した前記少なくとも1種類の試験を行う。
【0071】
付記2の防止機器は、付記1に記載の防止機器において、前記試験手段は、前記検出手段が所定時間以上連続して前記試験信号を検出した場合に、前記防止機器の試験を行う。
【0072】
付記3の防止機器は、付記1又は2に記載の防止機器において、前記防止機器の外部に対して発光する発光手段と、前記試験手段は、前記防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて前記発光手段を発光させることにより、前記防止機器での試験に関する状況を報知する。
【0073】
付記4の防止機器は、付記3に記載の防止機器において、前記試験手段は、前記防止機器が前記試験信号を受け付けたこと、前記防止機器で行われた試験の種類、又は、前記防止機器で行われた試験の結果を、前記防止機器での試験に関する状況として報知する。
【0074】
付記5の防止機器は、付記1から4のいずれか一項に記載の防止機器において、前記複数種類の試験は、少なくとも、前記防止機器の感度に関する試験、前記防止機器の監視領域での異常を前記防止機器が検出したことを示す信号を出力する機能に関する試験、又は、前記防止機器の障害に関する試験を含む。
【0075】
付記6の防止機器は、付記1から5のいずれか一項に記載の防止機器において、前記検出手段は、複数設けられており、前記試験手段は、前記検出手段による前記試験信号の検出継続時間、及び複数の前記検出手段のうちの何れが前記試験信号を検出したかに基づいて、前記防止機器の試験を行う。
【0076】
付記7の防止機器は、付記1から6のいずれか一項に記載の防止機器において、前記検出手段は、少なくとも磁気に基づく信号を前記試験信号として検出する。
【0077】
(付記の効果)
付記1に記載の防止機器によれば、検出手段による試験信号の検出継続時間に基づいて、複数種類の試験のうちの少なくとも1種類の試験を選択し、選択した少なくとも1種類の試験を行うことにより、例えば、様々な試験を行うことが可能となる。また、例えば、試験信号を出力する試験装置の試験冶具を、防止機器に対して近づけたり遠ざけたりするという単純な作業にて試験を選択することができるので、意図した試験を天井などの設置場所から取り外すことなく確実且つ容易に行うことが可能となる。
【0078】
付記2に記載の防止機器によれば、所定時間以上連続して試験信号を検出した場合に試験を行うことにより、例えば、外乱等によってユーザの意図に反して試験が行われることを防止することが可能となる。
【0079】
付記3に記載の防止機器によれば、防止機器での試験に関する状況に対応する発光態様にて発光手段を発光させることにより、防止機器での試験に関する状況を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する状況を認識させることが可能となる。
【0080】
付記4に記載の防止機器によれば、防止機器が試験信号を受け付けたこと、防止機器で行われた試験の種類、又は、防止機器で行われた試験の結果を報知することにより、例えば、ユーザに対して試験に関する様々な状況を認識させることが可能となる。
【0081】
付記5に記載の防止機器によれば、複数種類の試験は、少なくとも、防止機器の感度に関する試験、防止機器の監視領域での異常を防止機器が検出したことを示す信号を出力する機能に関する試験、又は、防止機器の障害に関する試験を含むことにより、例えば、防止機器の様々な機能の試験を行うことが可能となる。
【0082】
付記6に記載の防止機器によれば、検出手段による試験信号の検出継続時間、及び複数の検出手段のうちの何れが試験信号を検出したかに基づいて、防止機器の試験を行うことにより、例えば、選択可能な試験の種類の個数を増大させることができる。
【0083】
付記7に記載の防止機器によれば、少なくとも磁気に基づく信号を試験信号として検出することにより、例えば、電源等が不要で比較的安価で扱い易い磁石を備える試験冶具にて試験を行うことができるので、防止機器を試験するためのコストを低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 感知器
2 試験装置
11 物理量検出部
12 磁界検出部
13 情報出力部
14 記録部
15 制御部
21 支持棒
22 試験冶具
131 表示灯
151 試験部
T11 タイミング
T12 時間間隔
T13 タイミング